JP2010078406A - 流動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細流路の構成を変更することなく簡単に微細流路の弁機能を実現可能な流動制御装置を提供すること。
【解決手段】流動制御装置1は、チャンバ10と外部、またはチャンバ10間を接続する微細流路20を流れる液体の流動を制御するものであり、微細流路20−2の下方および微細流路20−3の下方にそれぞれ設けられたトランスデューサ3(3−1,3−2)を含む。トランスデューサ3は、対応する微細流路20に向けて音波を発生することによって微細流路20を流れる液体にその進入方向と逆向きの音響流を発生させ、液体の進入方向への流動を停止させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、微細流路を流れる液体の流動を制御する流動制御装置に関するものである。
流体制御のための弁機構は、様々な用途で用いられ、用途に応じた種々の構造が開示されている。例えば、特許文献1には、弁体の変形によって開閉するように構成された逆止弁が開示されている。
一方で、従来から、内部に微細な流路が形成されたマイクロチップを用い、マイクロチップ内で検体と試薬との混合や反応、検出(分析)等を行うマイクロタスと呼ばれる分析システム(Micro Total Analysis Systems:μTAS)が知られている。また、このマイクロタスに関する技術として、例えば特許文献2には、音波を発生させて液体の混合を行う技術が開示されている。
特開2005−16610号公報 特開2005−254112号公報
ところで、マイクロチップ内の液体の流動制御に従来の弁機構を適用する場合、微細流路に弁体を設けなければならない。また、弁体を設けることによって微細流路の構成が複雑になり、キャリーオーバーの原因となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、微細流路の構成を変更することなく簡単に微細流路の弁機能を実現可能な流動制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる流動制御装置は、微細流路を流れる液体の流動を制御する流動制御装置であって、前記微細流路の近傍に設けられ、前記微細流路に向けて音波を発生する音波発生手段を備え、前記音波発生手段が発生した音波によって、前記微細流路内に進入した液体に該液体の進入方向と逆向きの音響流を発生させて前記液体の前記進入方向への流動を停止させることを特徴とする。
また、本発明にかかる流動制御装置は、上記の発明において、前記音波発生手段による音波の発生を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記微細流路内に進入した液体を前記進入方向に流動させ、または前記微細流路内に進入した液体の前記進入方向への流動を停止させることを特徴とする。
また、本発明にかかる流動制御装置は、上記の発明において、前記微細流路に液体を吐出する吐出装置と、前記微細流路を流れた液体を吸引する吸引装置と、を備え、前記制御手段は、前記吐出装置による液体の吐出および前記吸引装置による液体の吸引を制御することを特徴とする。
また、本発明にかかる流動制御装置は、上記の発明において、前記微細流路は、前記液体を保持するチャンバと連通して前記チャンバを外部または他のチャンバと接続する微細流路を含み、前記制御手段は、前記チャンバと連通する微細流路の近傍に設けられた音波発生手段による音波の発生を制御し、前記チャンバと連通する微細流路内の液体に前記音響流を発生させることによって、前記チャンバ内に保持された液体を流動させて攪拌することを特徴とする。
本発明によれば、弁体を設ける等して微細流路の構成を変更することなく簡単に微細流路の弁機能を実現可能な流動制御装置を提供することができるという効果を奏する。
以下、図面を参照し、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における流動制御装置1の構成を示すブロック図である。また、図2は、流動制御装置1の構成を説明するための平面図である。本実施の形態の流動制御装置1は、図1に示すように、音波発生手段としての複数のトランスデューサ3(3−1,3−2)と、吐出装置5と、吸引装置7と、これら各部を動作させて流動制御装置1全体を統括的に制御する制御手段としての制御部9とを備える。
この流動制御装置1は、図2に示すチャンバ10(10−1,10−2)と外部、またはチャンバ10間を接続する微細流路20(20−1〜20−4)を流れる液体の流動を制御するものである。ここで、チャンバ10および微細流路20は、例えばガラス基板上に形成されてマイクロチップを構成するものである。なお、マイクロチップは、例えば1回の使用で廃棄することを想定している。
チャンバ10は、内部に液体を保持する閉空間を有し、この閉空間を微細流路20と連通する1つまたは複数の開口が形成されて構成される。図2の例では、図2中に向かって左側のチャンバ10−1は3つの開口を有し、微細流路20−1,20−2を介して外部と接続されるとともに、微細流路20−3を介して右側のチャンバ10−2と接続されている。一方、チャンバ10−2は2つの開口を有し、一方は微細流路20−3と連通する。また、チャンバ10−2は、他方の開口によって微細流路20−4と連通し、外部と接続されている。
そして、微細流路20−1および微細流路20−2は、外部から導入された液体をチャンバ10−1内に導き、またはチャンバ10−1内の液体を外部に導く。同様に、微細流路20−4は、外部から導入された液体をチャンバ10−2内に導き、またはチャンバ10−2内の液体を外部に導く。また、微細流路20−3は、チャンバ10−1内の液体をチャンバ10−2内に導き、またはチャンバ10−2内の液体をチャンバ10−1内に導く。
トランスデューサ3は、微細流路20に向けて音波を発生することによって微細流路20を流れる液体に音響流を発生させる。例えば、供給される電力を表面弾性波(SAW)に変換するSAW素子や、バルク音波(BAW)に変換するBAW素子等で実現される。このトランスデューサ3は、マイクロチップに形成される所望の微細流路20近傍の適所に配置されるものであり、図2の例では、微細流路20−2の下方および微細流路20−3の下方にそれぞれ位置するように2つのトランスデューサ3−1,3−2が配置されている。
吐出装置5は、分析対象の検体や分析に用いる試薬等の液体をマイクロチップ内部に導入するためのものであり、微細流路20と外部とを連通するマイクロチップの開口部で吐出動作を行って微細流路20に液体を吐出する。吸引装置7は、マイクロチップ内部の液体を排出するためのものであり、前述の開口部で吸引動作を行って微細流路20を流れた液体を吸引する。
そして、制御部9は、吐出装置5の吐出動作や吸引装置7の吸引動作を制御してマイクロチップに対する液体の導入および排出を制御するとともに、トランスデューサ3の動作を個別に制御し、微細流路20を流れる液体の流動制御処理を行う。
ここで、トランスデューサ3を駆動(ON)すると、このトランスデューサ3が発生する音波によって微細流路20を流れる液体に音響流が発生する。図3は、微細流路20を流れる液体Lの流動制御を説明する説明図であり、微細流路20の一部断面図を示している。例えば、図3中に矢印A11で示すように、微細流路20の左側から液体Lが進入してきた場合を説明する。この場合、トランスデューサ3が発生した音波の一部が矢印A13で示すように液体Lに伝播し、液体L中にこの液体Lの流れに逆らう矢印A11で示す進入方向と逆向きの音響流が発生する。この結果、微細流路20の右側への液体Lの進入が妨げられ、液体Lの矢印A11で示す進入方向への流動が停止される。
図4および図5は、流動制御処理の手順を説明する説明図である。図4では、外部から導入された液体を微細流路20−1によってチャンバ10−1へと導き(A21)、このチャンバ10−1内の液体を微細流路20−2によって外部へと導く(A23)様子を示している。一方、図5では、外部から導入された液体を微細流路20−4によってチャンバ10−2へと導き(A31)、微細流路20−3によってチャンバ10−1に導いた後(A33)、このチャンバ10−1内の液体を微細流路20−1によって外部へと導く(A35)様子を示している。
図4において、制御部9は、吐出装置5を制御し、微細流路20−1の他端側で吐出動作させることによって第1の液体を微細流路20−1に吐出し、マイクロチップ内部に第1の液体を導入する。また、制御部9は、吸引装置7を制御し、微細流路20−2の他端側で吸引動作させることによって微細流路20−2を流れた第1の液体を吸引し、マイクロチップ内部の第1の液体を排出する。さらにこのとき、制御部9は、トランスデューサ3−1をOFFした状態でトランスデューサ3−2をONする。
ここで、微細流路20−1を経てチャンバ10−1内に進入した第1の液体は、微細流路20−2内および微細流路20−3内にそれぞれ進入するが、このうちの微細流路20−3に進入した第1の液体に、ONされたトランスデューサ3−2によって微細流路20−3に向けて発生された音波が伝播する(A25)。この結果、図3に示した原理によって、微細流路20−3に進入した第1の液体の進入方向への流動が停止される。一方、トランスデューサ3−1はOFFであり、微細流路20−2に進入した第1の液体はそのまま進入方向へと流動して他端側から外部に排出される。最終的に、チャンバ10−1内に第1の液体が充填されるが、微細流路20−3に進入した第1の液体がチャンバ10−2内に進入しないため、チャンバ10−2が第1の液体で汚染されない。
また、図5において、制御部9は、吐出装置5を制御し、微細流路20−4の他端側で吐出動作させることによって第2の液体を微細流路20−4に吐出し、マイクロチップ内部に第2の液体を導入する。また、制御部9は、吸引装置7を制御し、微細流路20−1の他端側で吸引動作させることによって微細流路20−1を流れた第2の液体を吸引し、マイクロチップ内部の第2の液体を排出する。さらにこのとき、制御部9は、トランスデューサ3−2をOFFにした状態でトランスデューサ3−1をONする。
このとき、微細流路20−4を経てチャンバ10−2内に進入した第2の液体は、微細流路20−3に進入する。トランスデューサ3−2はOFFであり、微細流路20−3に進入した第2の液体はそのまま進入方向へと流動し、第1の液体が充填されたチャンバ10−1内に進入する。そして、チャンバ10−1内に進入した第1の液体および第2の液体を含む液体は、微細流路20−1および微細流路20−2に進入するが、このうちの微細流路20−2に進入した液体に、ONされたトランスデューサ3−1によって微細流路20−2に向けて発生された音波が伝播する(A37)。この結果、図3に示した原理によって、微細流路20−2に進入した液体の進入方向への流動が停止される。一方、微細流路20−1に進入した液体はそのまま進入方向へと流動して他端側から外部に排出される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、トランスデューサ3のON/OFFを切り換えて音波の発生を制御することによって、対応する微細流路20内の液体を進入方向へと流動させ、または対応する微細流路20内の液体の進入方向への流動を停止させることができる。これによれば、マイクロチップ内部に導入した液体が流れる微細流路20を簡単に切り換えることができる。したがって、弁体を設ける等して微細流路の構成を変更することなく簡単に微細流路20の弁機能を実現することができるという効果を奏する。
なお、上記した実施の形態では、トランスデューサ3が発生する音波によって液体の流動を制御する場合について説明したが、トランスデューサ3が発生する音波をチャンバ10内の液体の混合・攪拌に利用することもできる。
図6および図7は、変形例における流動制御処理の手順を説明する説明図である。なお、図6および図7において、上記した実施の形態と同様の構成には同一の符号を付している。図6では、外部から導入された液体を微細流路20−4によってチャンバ10−2へと導き(A41)、チャンバ10−2内に液体を充填する様子を示している。一方、図7では、チャンバ10−2内に充填された液体を攪拌する様子を示している。本変形例では、微細流路20−4の下方にさらにトランスデューサ3−3を配置して、流動制御装置を構成している。
図6において、制御部9は、吐出装置5を制御し、微細流路20−4の他端側で吐出動作させることによって第3の液体を微細流路20−4に吐出し、マイクロチップ内部に第3の液体を導入する。さらにこのとき、制御部9は、トランスデューサ3−1および3−3をOFFした状態でトランスデューサ3−2をONする。
トランスデューサ3−3がOFFであるので、微細流路20−4の他端側から進入した第3の液体はそのまま進入方向へと流動し、チャンバ10−2内に進入する。このようにしてチャンバ10−2内に進入した第3の液体は微細流路20−3内に進入するが、この微細流路20−3に進入した第3の液体に、ONされたトランスデューサ3−2によって微細流路20−3に向けて発生された音波が伝播する(A43)。この結果、上記した実施の形態で図3に示した原理によって、微細流路20−3に進入した第3の液体の進入方向への流動が停止される。そして、最終的に、チャンバ10−2内に第3の液体が充填される。このとき、微細流路20−3に進入した第3の液体がチャンバ10−1内に進入しないため、チャンバ10−1が第3の液体で汚染されない。
また、図7において、制御部9は、トランスデューサ3−2をONにしたままでトランスデューサ3−3をONする。
この結果、微細流路20−4内の第3の液体には、ONされたトランスデューサ3−3によって微細流路20−4に向けて発生された音波が伝播し(A45)、この微細流路20−4内の第3の液体に、進入方向と逆向きすなわちチャンバ10−2内に逆流する向きの音響流が発生する。一方、微細流路20−3内の第3の液体には、引き続きONされたトランスデューサ3−2によって微細流路20−3に向けて発生された音波が伝播しており(A43)、この微細流路20−3内の第3の液体に、進入方向と逆向きすなわちチャンバ10−2内に逆流する向きの音響流が発生している。そしてこの音響流が、チャンバ10−2内に充填・保持された液体を流動して攪拌する。
本変形例によれば、上記した実施の形態と同様の効果を奏するとともに、トランスデューサ3によって発生される音波をチャンバ10内に充填・保持された液体の攪拌に利用できる。したがって、攪拌装置を別途設けることなく、微細流路20の流動制御に用いるトランスデューサ3を用いてチャンバ10内の液体の攪拌が行える。ここで、チャンバ10内の液体を攪拌する場合には、そのチャンバ10と連通する微細流路20の近傍に設けられたトランスデューサ3を全てONすればよい。例えば、図6中左側のチャンバ10−1内の液体を攪拌したい場合には、微細流路20−1の近傍にトランスデューサを設けて流動制御装置を構成する。そして、チャンバ10−1内に液体を充填した後、微細流路20−2および20−3の近傍にそれぞれ設けられたトランスデューサ3−1および3−2と、微細流路20−1に新たに設けたトランスデューサとをONすればよい。
また、上記した実施の形態では、管状に形成された微細流路20について例示したが、これに限定されるものではなく、上部が開口した溝状の流路にも同様に適応できる。
また、上記した実施の形態では、微細流路20の下方にトランスデューサ3を配置した場合を例示したが、微細流路の上方や側方等、微細流路の近傍位置に適宜配置できる。
また、マイクロチップに形成されるチャンバの数および各チャンバ間を接続する微細流路の構成は適宜設定でき、流動制御装置は、所望の微細流路の近傍にトランデューサを配置することで構成できる。
流動制御装置の構成を示すブロック図である。 流動制御装置の構成を説明するための平面図である。 微細流路を流れる液体の流動制御を説明する説明図である。 流動制御処理の手順を説明する説明図である。 流動制御処理の手順を説明する他の説明図である。 変形例における流動制御処理の手順を説明する説明図である。 変形例における流動制御処理の手順を説明する他の説明図である。
符号の説明
1 流動制御装置
3(3−1,3−2) トランスデューサ
5 吐出装置
7 吸引装置
9 制御部
20(20−1〜20−4) 微細流路
10(10−1,10−2) チャンバ

Claims (4)

  1. 微細流路を流れる液体の流動を制御する流動制御装置であって、
    前記微細流路の近傍に設けられ、前記微細流路に向けて音波を発生する音波発生手段を備え、
    前記音波発生手段が発生した音波によって、前記微細流路内に進入した液体に該液体の進入方向と逆向きの音響流を発生させて前記液体の前記進入方向への流動を停止させることを特徴とする流動制御装置。
  2. 前記音波発生手段による音波の発生を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記微細流路内に進入した液体を前記進入方向に流動させ、または前記微細流路内に進入した液体の前記進入方向への流動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の流動制御装置。
  3. 前記微細流路に液体を吐出する吐出装置と、
    前記微細流路を流れた液体を吸引する吸引装置と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記吐出装置による液体の吐出および前記吸引装置による液体の吸引を制御することを特徴とする請求項2に記載の流動制御装置。
  4. 前記微細流路は、前記液体を保持するチャンバと連通して前記チャンバを外部または他のチャンバと接続する微細流路を含み、
    前記制御手段は、前記チャンバと連通する微細流路の近傍に設けられた音波発生手段による音波の発生を制御し、
    前記チャンバと連通する微細流路内の液体に前記音響流を発生させることによって、前記チャンバ内に保持された液体を流動させて攪拌することを特徴とする請求項2または3に記載の流動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110314715A (zh) * 2019-07-17 2019-10-11 西安交通大学 基于聚焦式表面声波和微液滴技术的粒子富集微流控芯片

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