JP2010067351A - 平面型表示装置及び平面型表示装置の製造方法 - Google Patents

平面型表示装置及び平面型表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構成によりアノード電極におけるウィスカーやヒロック等の突起物の発生を抑制し、耐電圧特性の劣化、放電の発生を抑制できる構造、構成を有する平面型表示装置を提供する。
【解決手段】複数の電子放出領域を配置した面を有するカソードパネルと複数の蛍光体領域を配置した面を有するアノードパネルとを、前記電子放出領域を配置した面と前記蛍光体領域を配置した面とを間隔を持って対向させてなる平面型表示装置において、前記複数の蛍光体領域の各々はアノード電極により覆われており、該アノード電極は、前記蛍光体領域側から順に積層された、アルミニウム層(1層目)、酸化アルミニウム層(2層目)及びアルミニウム層(3層目)の3層からなる積層構造を有することを特徴とする平面型表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は平面型表示装置及びその製造方法に関する。
電界放出表示装置は、アノードパネルとカソードパネル間に高真空領域を形成し、電圧を印加して、電子放出素子領域から放たれた電子が蛍光体領域へ照射され、蛍光体を発光させることにより各種の表示を行う装置である。このため、電界放出表示装置ではアノードパネルとカソードパネル間の耐電圧特性の安定化が重要である。
電界放出表示装置の耐電圧特性を著しく低下させる原因として、電界放出表示装置内部における異物の存在が挙げられる。外部から混入する異物に対しては、電界放出表示装置の製造工程において、異物の侵入を極力抑える製造方法や製造環境等で行うことにより、対策を取ることができる。
しかしながら、電界放出表示装置の製造工程において、アルミニウムから成るアノード電極に、ウィスカーやヒロックといった一種の突起物が発生する場合がある。尚、針状の突起物をウィスカーと呼び、塊状の突起物をヒロックと呼ぶ。そして、このような突起物は、電界放出表示装置の実動作時に電圧によって放電が生じる原因となる場合がある。また、電界放出表示装置の実動作時に加わる電圧によって生成する電界に起因した静電力により、突起部が剥離し、異物となり、電界放出表示装置の耐電圧特性を著しく低下させる原因となる。
このウィスカーやヒロックは、電界放出表示装置の製造工程における熱処理過程において、アルミニウムからなるアノード電極と、アノード電極の下地との間の熱膨張の差に起因した圧縮応力によって生じると考えられる。
アノード電極におけるウィスカーやヒロックの発生を抑制する技術としては、例えば、特許文献1には、アノード電極を酸化物膜或いは窒化物膜で被覆することによって、放電の発生を抑制する技術が開示されている。しかし、放電発生の原因となるウィスカーやヒロックの発生に関しての記載は認められない。
また、特許文献2には、アノード電極として、アルミニウム又はアルミニウム合金の一方又は双方を用い、かつアノード電極周辺部の平均厚さをアノード電極中央部の平均厚さより薄くする方法が開示されている。これにより、ウィスカーやヒロックの発生は抑制されるが、その製造方法は複雑であり、簡便な製造方法が望まれる。
特開2003−31150号公報 特開2007−128701号公報
本発明の目的は、従来の技術より簡易な構成によりアノード電極におけるウィスカーやヒロックの発生を抑制し、耐電圧特性の劣化、放電の発生を抑制できる構造、構成を有する平面型表示装置を提供することである。
本発明に係る平面型表示装置は、複数の電子放出領域を配置した面を有するカソードパネルと複数の蛍光体領域を配置した面を有するアノードパネルとを、前記電子放出領域を配置した面と前記蛍光体領域を配置した面とを間隔を持って対向させてなる平面型表示装置において、前記複数の蛍光体領域の各々はアノード電極により覆われており、該アノード電極は、前記蛍光体領域側から順に積層された、アルミニウム層(1層目)、酸化アルミニウム層(2層目)及びアルミニウム層(3層目)の3層からなる積層構造を有することを特徴とする。
また、前記アノード電極の膜厚が、70nm以上、300nm以下であることが好ましい。
本発明に係る平面型表示装置の製造方法は、前記平面型表示装置の製造方法であって、以下の工程(a)から(f)を含むことを特徴とする。
(a)アノードパネル用基板の一方の面に設けられた複数の蛍光体領域の各々に樹脂層を被覆する工程。
(b)前記樹脂層上に、アルミニウム層(1層目)を形成する工程。
(c)前記アルミニウム層(1層目)上に、酸化アルミニウム層(2層目)を形成する工程。
(d)前記酸化アルミニウム層(2層目)上にアルミニウム層(3層目)を形成する工程。
(e)焼成により前記樹脂層を除去して、アノードパネルを得る工程。
(f)工程(e)を経て得られたアノードパネルの蛍光体領域を有する面とカソードパネルの複数の電子放出領域を有する面とを対向配置して平面型表示装置を得る工程。
また、前記平面型表示装置の製造方法は、前記工程(c)において、前記酸化アルミニウム層(2層目)を、前記アルミニウム層(1層目)を空気中に暴露することにより形成することが好ましい。
また、前記工程(b)又は(d)の一方又は双方において、前記アルミニウム層(1層目又は3層目の一方又は双方)を真空蒸着法により形成することが好ましい。
本発明により、アノード電極で放電の原因となるウィスカー又はヒロックの発生を抑制でき、実動作時に加わる電圧によっても放電が生じ難い。また耐電圧特性に優れ、安定した動作特性を示し、高い信頼性、長寿命を有する平面型表示装置を提供することができる。
本発明に係る平面型表示装置は、複数の電子放出領域が支持体に設けられたカソードパネルと複数の蛍光体領域及びアノード電極が設けられたアノードパネルとを有する。カソードパネルとアノードパネルとは、一定の間隔でこれらの周縁部で支持枠を介して接合される。
特に、電子放出素子を備えたカソードパネルを組み込んだ平面型表示装置は、カソードパネルとアノードパネル間の耐電圧特性の安定化が非常に重要であり、本発明が適用される好ましい形態である。
前記アノード電極は、アノード電極とカソードパネルの電子放出領域との間に電圧を印加することにより、電子放出領域から放出された電子を蛍光体領域に衝突させる機能を有する。さらに、アノード電極を通して蛍光体領域の帯電を逃がす、また、蛍光体領域で発生した可視光を反射させて平面型表示装置の前面へ引き出す等の機能を有する。
本発明の平面型表示装置は、アノードプレート用基板上の各蛍光体領域のカソードプレートと対応する側の面がアノード電極(層)により覆われた構造を有し、アノード電極は、蛍光体領域側から順に積層された、アルミニウム層(1層目)、酸化アルミニウム層(2層目)及びアルミニウム層(3層目)の3層からなる。蛍光体領域は公知の材料及び方法によりアノードプレート用基板上に形成することができ、必要に応じて、光吸収層や隔壁層とともに設けられる。これらの光吸収層や隔壁層も公知の材料及び方法により形成することができる。例えば、光吸収層は絶縁性に近い材料、隔壁層は導電性と絶縁性の両方を持つ材料を用いることができる。一方、アノード電極は後述する方法により形成することができる。
アノード電極であるアルミニウム層の層間に酸化アルムニウム層を有することにより、ウィスカーやヒロックの発生を抑制することができる。これにより、実作動時において電圧が印加された際、放電の発生を抑制することができる。
アノード電極の膜厚としては、70nm以上、300nm以下が好ましい。膜厚が300nmを超えると、電子放出領域から放出された電子がアノード電極を通過する際の障壁効果(Dead Voltage)が大きくなり、蛍光体領域からの発光輝度が低下する場合がある。一方、膜厚が70nm未満であると、蛍光体領域での発光をアノード電極での反射により表示装置の前面(アノードパネルの基板方向)へ十分に引き出せなくなり、輝度が低下する場合がある。より好ましくは80nm以上、140nm以下である。
また、アノード電極の酸化アルミニウム層の膜厚は、特に限定されるものではないが、1nm以上、10nm以下であることが好ましい。1nm以上では、アルミニウム層内のウィスカー成長をブロックするため好ましい。10nm以下では、アノード電極の反射率を低下させずに済むため好ましい。
また、本発明に係るアノード電極は、アルミニウム層(1層目)、酸化アルミニウム層(2層目)及びアルミニウム層(3層目)の3層が形成されていれば、各層が均一な膜厚を有する必要はない。またこれらの3層の積層構造全体により電極としての機能が得られる範囲内で一部に層状でない部分が含まれてもよい。
なお、アノード電極は、前記アルミニウム層(1層目)、酸化アルミニウム層(2層目)及びアルミニウム層(3層目)からなる3層の積層構造を、複数積層したものでもよい。
本発明の平面型表示装置の製造方法は、以下の工程(a)から(f)を含む。
(a)アノードパネル用基板の一方の面に設けられた複数の蛍光体領域の各々に樹脂層を被覆する工程、
(b)前記樹脂層上に、アルミニウム層(1層目)を形成する工程、
(c)前記アルミニウム層(1層目)上に、酸化アルミニウム層(2層目)を形成する工程、
(d)前記酸化アルミニウム層(2層目)上にアルミニウム層(3層目)を形成する工程、
(e)焼成により前記樹脂層を除去して、アノードパネルを得る工程、
(f)工程(e)を経て得られたアノードパネルの蛍光体領域を有する面とカソードパネルの複数の電子放出領域を有する面とを対向配置して平面型表示装置を得る工程。
前記工程(a)では、蛍光体領域上に平坦性のあるアノード電極を形成するため、まずアノードパネル用基板の一方の面に設けられた複数の蛍光体領域の各々に樹脂層を被覆する。樹脂層の樹脂としては、特に限定されないが、平坦性と熱分解性の両立の観点からアクリル樹脂やエチルセルロース樹脂が好ましい。
樹脂層の形成は、スクリーン印刷法、スリット塗布法、あるいはスプレー塗布法等により行うことができる。また、蛍光体領域上にのみ樹脂層を形成するには、前記方法で樹脂層を全面に塗布後、リソグラフィー技術により蛍光体領域上以外の部分を除去することができる。
前記工程(b)では、前記樹脂層上に、アルミニウム層(1層目)を形成する。前記アルミニウム層(1層目)は、真空蒸着法、スパッタリング法などのPVD法により形成することができる。
前記工程(c)では、前記アルミニウム層(1層目)上に、酸化アルミニウム層(2層目)を形成する。酸化アルミニウム層(2層目)は、アルミニウム層(1層目)を大気雰囲気(空気)中に暴露することにより形成することができる。この方法は、簡便に、かつ所望の膜厚の酸化アルミニウム層(2層目)を形成することができるため、好ましい。また、高真空中で酸素を微量導入しながらアルミニウムを蒸着することにより、酸化アルミニウム層(2層目)を形成してもよい。
前記工程(d)では、前記酸化アルミニウム層(2層目)上に、アルミニウム層(3層目)を形成する。前記アルミニウム層(3層目)は、アルミニウム層(1層目)と同様の方法により形成することができる。
前記工程(e)では、焼成により前記樹脂層を除去して、アノードパネルを得る。前記焼成における焼成温度は、前記樹脂層の種類にもよるが、400℃以上、500℃以下で行うことが、蛍光体の熱耐性から好ましく、また、樹脂を完全に焼失させることができるため好ましい。
前記工程(f)では、前記工程(e)を経て得られたアノードパネルの蛍光体領域を有する面と、カソードパネルの複数の電子放出領域を有する面とを対向配置することにより、平面型表示装置を得ることができる。
本発明の実施の形態について、電子放出領域に表面伝導型電子放出素子を備えた平面型表示装置を例に挙げ、図1を用いて以下に具体的に説明する。
本発明における平面型表示装置は、複数の電子放出領域が基板に設けられたカソードパネル2、並びに、複数の蛍光体領域及びアノード電極が基板上に設けられたアノードパネル1を有する。カソードパネル2とアノードパネル1とが、その周縁部で支持枠3を介して接合されている。そして、カソードパネル2とアノードパネル1とによって囲まれた空間は、真空(例えば、10-3Pa以下)に保持されている。なお、カソードパネル2に設けられた複数の電子放出領域は、2次元マトリックス状に配列され、アノードパネル1に設けられた複数の蛍光体領域はその電子放出領域に対向するように配置されている。
前記電子放出領域は、
(A)基板21上に形成された走査配線23及び走査電極25
(B)走査配線23上に形成された絶縁層
(C)前記絶縁層上に形成された信号配線24及び信号電極26
(D)走査電極25と信号電極26間の上に形成された電子放出素子22
から構成されている。
なお、本発明における電子放出領域に備えられる電子放出素子22は、例えば、スピント型電界放出素子、カーボンナノチューブ型電界放出素子から構成されてもよい。
カソードパネル2において、走査配線23は第一の方向(X方向)に延びる帯状の配線であり、信号配線24は第一の方向とは異なる第二の方向(Y方向)に延びる帯状の配線である。これらの走査配線23と信号配線24とは互いに直交する方向に各々帯状に延びている。1サブピクセルに相当する電子放出領域には、走査配線23と接続した走査電極25と、信号配線24と接続した信号電極26の上に表面伝導型電子放出素子22が設けられている。
一方、アノードパネル1は、基板11の内面上に、蛍光体(不図示)、光吸収層(ブラックマトリクス)13、アノード電極14、非蒸発型ゲッタ(Non−Evaporable Getter、NEG)15が形成されている。図2にアノードパネル1の断面図を示す。アノードパネル1は、基板11、基板11上に形成された蛍光体16、及び、アノード電極14から構成されている。そして、蛍光体16と蛍光体16との間の基板11上には、光吸収層(ブラックマトリックス)13、及び隔壁層17が形成されている。更には、カソードパネル2とアノードパネル1との間には、スペーサ、及び基板周縁部に支持枠3が配置されている(不図示)。
本発明における平面型表示装置において、走査電極25は走査線制御回路に接続され、信号電極24は信号線制御回路に接続され、アノード電極14はアノード電極制御回路に接続されている。これらの回路は周知の回路から構成することができる。平面型表示装置の実動作時、アノード電極14に印加されるアノード電圧Vaは、通常一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。
本発明の平面型表示装置の実動作時、走査電極25には相対的に負電圧が走査線制御回路から印加され、信号電極24には相対的に正電圧が信号線制御回路から印加される。また、アノード電極14には、信号電極24よりも更に高い正電圧(アノード電圧Va)がアノード電極制御回路から印加される。
走査電極25と信号電極26の間に生じた駆動電圧(Vf)により、量子トンネル効果に基づき電子放出領域から電子が放出され、この電子がアノード電極14を通過して蛍光体16に衝突する。その結果、蛍光体16が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この平面型表示装置の動作は、基本的に、走査電極25に印加される電圧、及び、信号電極26に印加される電圧によって制御される。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、電子放出領域が表面伝導型電子放出素子から構成されている平面型表示装置の製造例を示す。まず、表面伝導型電子放出素子を備えたカソードパネルを、以下に説明する製造方法に基づき作製する。
青板ガラスの基板上に、白金からなる走査電極層、信号電極層をスパッタリング法により成膜後、リソグラフィー技術及びエッチング技術によりパターニングすることによって、走査電極、及び信号電極を形成した。
次に、銀ペーストからなる走査配線用導電層をスクリーン印刷法により成膜、リソグラフィー技術によりパターニング後、焼成処理をすることにより、帯状の走査配線を形成した。その上に、SiO2からなる絶縁層を形成した。
さらに、絶縁層上に、前記走査配線と同じく銀ペーストからなる信号配線用導電層をスクリーン印刷法により成膜、リソグラフィー技術によりパターニング後、焼成処理をすることによって、帯状の信号配線を形成した。前記信号配線は、前記走査配線と直交して帯状に延びるように配置される。
最後に、前記走査電極と前記信号電極間の上に、インクジェット法により酸化パラジウムからなる電子放出素子となる材料を塗布後、前記走査電極と信号電極間にパルス電圧を印加することにより、表面伝導型電子放出素子を形成した。このようにして、表面伝導型電子放出素子が基板上に複数形成されたカソードパネルを得た。
一方、アノードパネルを、以下に説明する製造方法に基づき作製した。実施例1におけるアノードパネルは、蛍光体領域、蛍光体領域以外の光吸収層、隔壁層、及びこれらの構成部材を被覆するアノード電極で構成されている。
まず、基板上に二次元マトリクス状の光吸収層(ブラックマトリックス)を形成した。次に、光吸収層(ブラックマトリックス)上に隔壁層(リブ)を形成した。さらに光吸収層(ブラックマトリックス)によって囲まれた基板の露出した部分の上に蛍光体領域を形成した。そして、蛍光体領域上に樹脂層を形成した。具体的には、スクリーン印刷法により、全面に樹脂層を形成し、その後、リソグラフィー技術により蛍光体領域上のみに樹脂層を形成した。
このようにして、基板上に樹脂層で被覆された蛍光体領域、及び蛍光体領域を囲む光吸収層、及び隔壁層を形成した。その後、全面、すなわち樹脂層で被覆された蛍光体領域、及び蛍光体領域を囲む光吸収層及び隔壁層を被覆するようにアルミニウム及び酸化アルミニウムからなるアノード電極を形成した。
図3に、実施例1におけるアノード電極の形成方法の概略図を示す。アルミニウム及び酸化アルミニウムからなるアノード電極14の形成方法としては、まず真空蒸着装置内でアルミニウム層(1層目)28を成膜した。真空蒸着の条件は、材料として純度99.999%のアルミインゴットを使用、到達真空度10-4Pa以下のもと、10kV/0.5A相当の電子ビームを照射して蒸着速度555nm/secで形成した。これにより、厚さ60nmのアルミニウム層(1層目)28を得た。
その後、一旦空気中に暴露することによって、このアルミニウム層(1層目)28の上に酸化アルミニウム層(2層目)29を形成した。これにより、厚さ数nmの酸化アルミニウム層(2層目)29を得た。
そして再度、真空蒸着装置内でアルミニウム層(3層目)30をアルミニウム層(1層目)28の形成と同等の条件で形成した。これにより、厚さ60nmのアルミニウム層(3層目)30を得ることができ、2層のアルミニウム層の間に酸化アルミニウム層が挟まれたアノード電極14を形成した。
最後に、焼成処理を施すことによって前記樹脂層を除去した。具体的には450℃で樹脂層を焼成した。この焼成処理により樹脂層が燃焼して焼失し、アルミニウム及び酸化アルミニウムからなるアノード電極が蛍光体領域上、光吸収層、及び隔壁層上に残された。尚、樹脂層の燃焼により生じたガスは、例えば、導電材料層に生じた微細な穴を通じて外部に排出された。
以上の工程によって、アノードパネルを完成した。次に平面型表示装置の組み立てを行った。具体的には、アノードパネルの隔壁層に設けられたスペーサ保持部にスペーサを取り付け、蛍光体領域と電子放出領域とが対向するようにアノードパネルとカソードパネルとを配置した。
その後、金属から作製された高さ1.6mmの枠体とフリットガラスから構成された接着層とからなる支持枠を介して、周縁部において接合した。この接合を高真空雰囲気中(10-4Pa)で行うことによって、アノードパネルとカソードパネルと接合部によって囲まれた空間を排気し、アノードパネルとカソードパネルと接合部によって囲まれた空間を真空にした。以上により、平面型表示装置を作製した。
本実施例におけるアノード電極の形成方法により作製されたアノード電極は、その表面観察の結果、ウィスカーが発生していないことが確認された。ウィスカー発生有無の観察は、アノードパネルが完成した時点で光学顕微鏡を使いフェイスプレートの面内を25箇所観察、必要に応じて走査型電子顕微鏡を使い、観察を行った。ウィスカーの発生数は、0個であった。
また、作製した平面型表示装置の実動作において、放電が生じ難く、耐電圧特性に優れ、安定した動作特性を示した。本実施例で作製したアノード電極におけるウィスカーの発生数と、平面型表示装置の耐電圧特性とを表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、全体で実施例1のアノード電極と同じ厚さのアルミニウム1層からなるアノード電極を用いて、平面型表示装置を作製した。その結果、アノード電極の表面観察において、ウィスカーが多数確認された。また、平面型表示装置の実動作でも、ウィスカー起点の放電が多発した。本比較例で作製したアノード電極におけるウィスカーの発生数と、平面型表示装置の耐電圧特性とを表1に示す。
Figure 2010067351
本発明の平面型表示装置の概略を示した図である。 本発明に係るアノードパネルの断面図である。 実施例1におけるアノード電極の形成方法を示した概略図である。
符号の説明
1 アノードパネル
2 カソードパネル
3 支持枠
4 高圧端子
11 基板
13 光吸収層(ブラックマトリクス)
14 アノード電極
15 NEG
16 蛍光体
17 隔壁層
21 基板
22 電子放出素子
23 走査配線
24 信号配線
25 走査電極
26 信号電極
27 樹脂層
28 アルミニウム層(1層目)
29 酸化アルミニウム層(2層目)
30 アルミニウム層(3層目)

Claims (5)

  1. 複数の電子放出領域を配置した面を有するカソードパネルと複数の蛍光体領域を配置した面を有するアノードパネルとを、前記電子放出領域を配置した面と前記蛍光体領域を配置した面とを間隔を持って対向させてなる平面型表示装置において、
    前記複数の蛍光体領域の各々はアノード電極により覆われており、
    該アノード電極は、前記蛍光体領域側から順に積層された、アルミニウム層(1層目)、酸化アルミニウム層(2層目)及びアルミニウム層(3層目)の3層からなる積層構造を有することを特徴とする平面型表示装置。
  2. 前記アノード電極の膜厚が、70nm以上、300nm以下である請求項1に記載の平面型表示装置。
  3. 請求項1又は2に記載の平面型表示装置の製造方法であって、以下の工程(a)から(f)を含むことを特徴とする平面型表示装置の製造方法。
    (a)アノードパネル用基板の一方の面に設けられた複数の蛍光体領域の各々に樹脂層を被覆する工程。
    (b)前記樹脂層上に、アルミニウム層(1層目)を形成する工程。
    (c)前記アルミニウム層(1層目)上に、酸化アルミニウム層(2層目)を形成する工程。
    (d)前記酸化アルミニウム層(2層目)上にアルミニウム層(3層目)を形成する工程。
    (e)焼成により前記樹脂層を除去して、アノードパネルを得る工程。
    (f)工程(e)を経て得られたアノードパネルの蛍光体領域を有する面とカソードパネルの複数の電子放出領域を有する面とを対向配置して平面型表示装置を得る工程。
  4. 前記工程(c)において、前記酸化アルミニウム層(2層目)を、前記アルミニウム層(1層目)を空気中に暴露することにより形成する請求項3に記載の平面型表示装置の製造方法。
  5. 前記工程(b)又は(d)の一方又は双方において、前記アルミニウム層(1層目又は3層目の一方又は双方)を真空蒸着法により形成する請求項3又は4に記載の平面型表示装置の製造方法。
JP2008229656A 2008-09-08 2008-09-08 平面型表示装置及び平面型表示装置の製造方法 Pending JP2010067351A (ja)

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