JP2010067101A - 工具の干渉域設定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 数値制御工作機械の加工現場で作業者が容易・簡便に干渉域を設定することのできる工具の干渉域設定方法を提供する。
【解決手段】 数値制御工作機械のテーブル上に実際に工作物を固定、締結している取付け治具を工具の障害物として干渉域を設定する方法であって、ティーチング装置4bからのティーチングデータおよび桝目指定部4cからの桝目データが記憶部52、54に与えられる。記憶部60の干渉域作成用のプログラムにより、前記桝目データを用いて、工具の可動ストローク範囲に対応する平面領域または平板状領域を、桝目または格子状桝目に区画・割り付ける。さらにティーチングデータを用いて干渉域に在る桝目または格子状桝目の代表値をビット「1」に、干渉域外の桝目または格子状桝目の代表値をビット「0」として座標値メモリテーブル上にビットパターンとして形成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は数値制御工作機械(以下NC工作機械と称する)に於ける工具の干渉域設定方法に係り、具体的にはティーチング機能を利用し干渉域をビットパターン化してNC工作機械の作業者による工具干渉域の設定を容易とする工具の干渉域設定方法に関する。
特許文献1には、工具と工作物および工作物の取付け具との干渉を防止する技術が開示されている。同文献1の第2図のフローチャートには、(■) 素材形状の定義、(■)工作物取付位置の定義、(■)加工の定義、(■)NCデータの創成、(■)干渉チェック、により全体の手順が示されており、その各詳細は同文献1の明細書第3頁下段右欄の■)素材形状の定義から、第8頁上段左欄にわたり説明されている。この特許文献1では、工作物および取付治具の外形形状、を基本的な形状である直方体、円柱、丸穴、角穴の組み合わせとして定義するとともに、加工の定義の工程を経て数値制御データの創成を行ない、さらにその創成された数値制御プログラムをシミュレートすることで干渉チェックを行っている。
一方、特許文献2では、演算処理や信号処理及び機械の惰走等の影響を最小限に抑えて禁止領域に干渉する前に工具を停止させることを目的として、
位置データ記憶器21及び工具移動ベクトル演算器22で検出されたバイトの移動方向及び移動速度に基づいてバイトの刃先位置を予測補正する予測刃先位置演算器23を備え、この予測刃先位置演算器23で補正された予測の刃先位置が予め設定された加工禁止領域に侵入した際に刃物台の移動手段に減速信号を出力してバイトの移動速度を減速させると共に実際の刃先位置が加工禁止領域に侵入した際に刃物台の移動手段に停止信号を出力してバイトの送りを停止させ、バイトの刃先が実際に禁止領域に干渉する前の段階で禁止領域へのバイトの侵入を検知してバイトの移動速度を減速させると共にバイトを停止させ、演算処理や信号処理及び機械の惰走等の影響を最小限に抑えて禁止領域に干渉する前にバイトを停止させるものであり、具体的には、以下の請求項1、2記載された構成を提案するものである。すなわち、その請求項1には、
「工具の刃先の移動方向及び移動速度を検出する移動状況検出手段と、該移動状況検出手段で検出された移動方向及び移動速度に基づいて前記工具の刃先位置を予測補正する予測補正手段と、該予測補正手段で補正された予測の刃先位置が予め設定された加工禁止領域に侵入した際に工具移動系に減速信号を出力して工具の移動速度を減速させる制御手段とを備えたことを特徴とする工作機械の工具移動装置。」と記載され、また、同請求項2には、
「 工具の刃先の移動方向及び移動速度を検出する移動状況検出手段と、該移動状況検出手段で検出された移動方向及び移動速度に基づいて前記工具の刃先位置を予測補正する予測補正手段と、該予測補正手段で補正された予測の刃先位置が予め設定された加工禁止領域に侵入した際に工具移動系に減速信号を出力して工具の移動速度を減速させると共に実際の刃先位置が前記加工禁止領域に侵入した際に工具移動系に停止信号を出力して工具の送りを停止させる制御手段とを備えたことを特徴とする工作機械の工具移動装置。」が記載されている。
さらにまた、特許文献3には、干渉チェックのため、移動体の形状データ(三次元データ)と干渉物の形状データ(三次元データ)の位置関係を監視する技術が提案されている。具体的には、手動/自動の操作において、作業者の操作によらず、いかなる操作を行っても干渉物との接近を検出したら減速を行い、確実に、精度よく干渉物に接近して衝突を回避するための手段として、
軸移動指令に応じて工作機械の移動体を軸移動制御する数値制御装置は、移動体と移動体に干渉する可能性のある干渉物との形状データを記憶する三次元データ格納手段11と、移動体の速度から減速停止に必要な距離を算出して移動体の近接チェック値とする近接チェック値算出手段9と、軸移動指令に応じた関数発生を開始する前に仮想的に移動体の形状データを軸移動方向に移動させて移動体の形状データに近接チェック値を付加した領域と前記干渉物の形状データとの干渉の有無を確認する干渉有無確認手段10と、干渉有無確認手段の情報により減速/加速処理を行う関数発生手段3Aとを有する、というものである。
さらに、特許文献4には、数値制御装置、特に、指定領域を設定して加工する機能を備えたNC工作機械において加工領域の指定を、加工現場で簡単に指定し、描画確認をできるようにする数値制御装置を提供するために、 数値制御装置12において、指定領域を設定する領域指定部101と、予め設定された切り込み変化量を記憶する切り込みパラメータ記憶部107と、加工プログラムの各命令が指定領域の領域内か領域外かを判別し、その判定結果に応じて、該当する各命令を切り込みパラメータ記憶部107の前記切り込み変化量により補正する領域判別切り込み算出部109及び切り込み補正処理部110と、切り込み変化量により補正された加工プログラムに従って駆動部13に加工を行なわせる出力制御部111とを備える、ことが開示され、さらに、同特許文献4の図9には、加工領域と非加工領域を示すビットパターンが例示されている。
しかしながら、上記の特許文献1にあっては、干渉域を定義する作業自体が煩雑であり、NC工作機械の作業現場で作業者が容易に干渉域を形成することに難点があり、また、工作物と取付け治具の両方を、直方体、円柱などの基本的な図形モデルを利用して干渉域を形成する関係から数値制御装置の中に、こうした基本形状からの干渉域の形成をバックアップするための複雑なプログラム制御手段を用意しておかなければならない。また、データを入力するにあたり、作業者は、上述した(■) 素材形状の定義、(■)工作物取付位置の定義、(■)加工の定義、(■)NCデータの創成という各プロセスに参加せねばならず、キーボードから位置データに関する情報入力を都度指示されるため、非常な緊張感、誤入力への心配などを伴う。(特許文献1の明細書第4頁下段左欄6〜17行参照)
さらに、また、干渉防止チェックを、各軸送りを早送り動作で行うかどうかで決めているため、例えば切削送り速度や手動低速送りなどで各軸を送るケースでは干渉チェックが行われず、工具が干渉域へ侵入してしまう可能性がある。
また、干渉域へ侵入するまで干渉とはみなされないため、十分な減速が行われないまま急停止することになる。
また、上記特許文献2では、干渉域自体は予め与えられているものとして、その干渉域と工具との干渉を回避する手段特に、工具の刃先位置を予測補正することについて提案し、干渉域として旋盤上の工作物そのものを例示している。また、干渉防止のチェックは、各軸送りを早送り動作で行うかどうかで決めているため、例えば切削送り速度や手動低速送りなどで各軸を送るケースでは干渉チェックが行われず、工具が干渉域へ侵入してしまう可能性がある。
さらに、上記特許文献3では、工具先端部というよりは、工具を含む移動体の3次元的形状を設定し、さらに工作物を含む干渉物の3次元的形状との干渉をチェックするものであり、これら3次元データの生成については、現場の作業者が、加工現場にて容易に参加できるものではなく、同文献3の明細書には単に三次元データ格納手段には素材、治具、工具、工作機械要素などの三次元データが登録・格納されている、としか記述されておらず、また、3次元データをNC装置に格納しておかなければならず、実際の加工時の工具と機械の干渉状況が変わった場合など、都度3次元データを作成し、それをNC装置へ格納しなければならず、手間と時間がかかる。また、3次元データを格納してから、干渉チェックが正しいかどうか事前テストもしなければならない、といった難点がある。
さらに、特許文献4では、上述のように、加工プログラムの各命令が指定領域の領域内か領域外かを判別し、その判定結果に応じて、該当する各命令を切り込みパラメータ記憶部の前記切り込み変化量により補正することが記載され、ここで、加工領域と非加工領域を示すビットパターンが示されているが、工具の干渉域の生成に関する事項については言及されていない。
上述した各特許文献のうち多少とも干渉域の設定についての記載のある特許文献1、3の開示内容では、工作機械の加工現場で作業者が容易・簡便に干渉域を設定することはできず、また通常の数値制御装置自体とは別の複雑な処理を遂行させる制御装置やプログラム手段等が必要であり、特に特許文献1では、干渉域の設定作業に伴う作業は、前述のように、作業者にとって緊張の連続を要求されるものである。
特開昭58−163001 「干渉チェック機能を備えた数値制御装置」 特開平8−152908 「工作機械の工具移動装置」 特開2006−195862「数値制御装置及び数値制御方法」 特開平9−16420 「数値制御装置」
本発明者は上述した問題点を検討した結果、現在、通常使用されている数値制御工作機械が備えるティーチング機能に着眼し、これを活用することにより、前記問題点は基本的に解決できることを見出した。
従って、本発明の目的は、数値制御工作機械の加工現場で作業者が容易・簡便に干渉域を設定することのできる工具の干渉域設定方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明による工具の干渉域設定方法は、
数値制御装置を備えた工作機械における工具の可動ストローク範囲において、当該ストローク範囲の少なくとも1つの、第1制御軸および第2制御軸方向に広がりを有する平面(X,Y)領域における工具の干渉域を設定するものであって、
前記工作機械のティーチング機能を用いて前記ストローク範囲に在る少なくとも工作物の取付け治具からなる障害物の外周面位置座標の複数組を順次入力することにより前記障害物の外周面形状を特定する工程と、
前記数値制御装置中に前記平面領域に対応する座標値メモリテーブルを予め用意すると共に、同座標値メモリテーブルは前記平面領域を、予め指定された第1制御軸(X)および第2制御軸(Y)方向の成分量Lx、Lyを単位長さとする複数の桝目により区画し割り付ける工程と、
前記ティーチング機能を用いて入力された複数組の各位置を結ぶ複数の結合線を前記桝目で区画し割り付けされた前記平面領域に対置させ、当該各結合線の通る桝目群により囲繞された各桝目の代表値を第1の同一所定ビット値と定義し、当該各結合線の通る桝目群により非囲繞された各桝目の代表値を第2の他の同一所定ビット値と定義することにより前記座標値メモリテーブルを前記干渉域に対応するビットパターンを有するメモリテーブルとして形成する工程と、
前記数値制御装置による加工プログラム中の1つのブロック演算実行により与えられる前記工具先端位置座標(Xn、Yn)に対応する前記座標値メモリテーブル上の桝目を特定し、当該桝目の代表値が前記第1のビットであるか、第2のビットであるかに基づいて前記工具が前記第1の平面領域中の干渉域にあるか否かを判定する工程と、
からなることを特徴とする。
その場合、前記平面領域に垂直な第3制御軸方向における前記障害物の外周面形状が前記ストローク範囲において同一であるよう構成することができる
また、前記目的を達成するための本発明による工具の干渉域設定方法は、
数値制御装置を備えた工作機械における工具の可動ストローク範囲における工具の干渉域を設定するものであって、
第1制御軸(X)方向および第2制御軸(Y)方向に広がりを有し前記各制御軸と垂直な第3制御軸(A)方向に予め指定された所定の厚さを有する平板状(X,Y,Z)領域の複数個により前記ストローク範囲を割り付ける工程と、
前記工作機械のティーチング機能を用いて前記ストローク範囲に在る少なくとも工作物の取付け治具からなる障害物の外周面位置座標の複数組を順次入力することにより前記障害物の外周面形状を特定する工程と、
前記数値制御装置中に前記各平板状領域に対応して座標値メモリテーブルを予め用意すると共に、同各座標値メモリテーブルは対応する前記平板状領域を、第1制御軸(X)方向および第2制御軸(Y)方向の予め指定された成分量Lx、Lyならびに、第3制御軸(Z)方向の成分量Lzを単位長とする複数の格子状桝目により区画し割り付ける工程と、
前記ティーチング機能を用いて入力された複数組の各位置を結ぶ複数の結合線で形成される複数の面を、前記格子状桝目で区画し割り付けされた複数の平板状領域に対置させ、当該複数の各面と交差する各平板状領域の格子状桝目群により囲繞された各桝目の代表値を第1の同一所定ビット値と定義し、当該複数の各面と交差する各平板状領域の格子状桝目群により非囲繞された各桝目の代表値を第2の他の同一所定ビット値と定義することにより前記各座標値メモリテーブルを前記干渉域に対応するビットパターンを有するメモリテーブルとして形成する工程と、
前記数値制御装置による加工プログラム中の1つのブロック演算実行により与えられる前記工具先端位置座標(Xn、Yn、Zn)に対応する前記各座標値メモリテーブル上の格子状桝目を特定し、当該格子状桝目の代表値が前記第1のビットであるか、第2のビットであるかに基づいて前記工具が前記可動ストローク範囲の定められた干渉域にあるか否かを判定する工程と、
からなることを特徴とする。
その場合、前記複数の各面と交差する各平板状領域の格子状桝目群は、当該1つの面と前記各平板状領域を通る前記第1および第2の制御軸に平行な平面との交線の存在する前記格子状桝目として特定されるよう構成することができる。
本発明によれば、通常の数値制御装置に備わるティーチング機能を利用しているので、干渉域としての、工作機械テーブル上に工作物を固定する種々の取付け治具の外周形状からなる障害物に関する位置データを、都度測定または図面等を参照して数値化されたデータを作業者がキーボード入力するといった煩雑さを回避可能である。
また、本発明によれば、工具の可動ストローク範囲を、予め所定の2次元、または3次元に対応する平面状または格子状の桝目で区画し割り付け、当該各桝目が前記ティーチング機能により定義された干渉域にあるか否かに応じて、予め各桝目に対しその代表値をビットデータとして定義するようにしているので、工具先端位置座標に対応する桝目の代表値のビットをチェックするだけで、工具先端が干渉域に入ったか否かを判定可能とするものである。
また、本発明によれば、桝目の各制御軸方向の成分量は作業者が任意に指定できるので、必要に応じ桝目を細かく、または粗く設定することが可能である。
さらに、本発明によると、ティーチング機能を備えた数値制御装置のほかには、3次元形状データなど特別な演算を行う専用の制御ユニットや、複雑な演算処理を行う高価なプログラムなどを必要としないので、本発明を採用する場合のコストアップを可及的に小さく抑えることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態に基づく実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の適用される数値制御装置の主要部の制御ブロック図である。同図において、参照符号2は数値制御装置全体を示し、参照符号4は入力部、参照符号6は工作機械に組み込まれたサーボモータの駆動部である。
なお、前記入力装置4、駆動部6を除き、各制御ブロックは、数値制御装置2の中にハードウエアとしてそれぞれ個別に存在するものではなく、CPU(中央演算処理装置)70の動作に伴って時分割的に構成される機能部分と解されるべきである。
以下の説明では、説明の便宜上、数値制御装置2は、工作機械のX、Y、Z方向に対応する各制御軸を有するものとする。また、工具の干渉域は、大別すると、工作機械のコラムやテーブル端部など当該工作機械固有の機械的構成要素に対応した絶対的干渉域、特定の工作物ならびに当該工作物をテーブル上に固定、締結するパレットを含む各種取付け治具とに分類されるが、以下の説明では、前記取付け治具に限定し、これら治具により工作物が実際にテーブル上にて固定、締結された状態として説明する。また、干渉域による干渉チェックは、前記取付け治具が指示どおりに取付けられていても加工プログラムにミスがある場合や、加工プログラムが正確であっても、前記取付け治具が指示どおりでない場合をチェックすることができる。
前記入力装置4には加工プログラム指定部4aと、後述するティーチング装置4bおよび桝目指定部4cが設けられている。
参照符号8は加工プログラムの記憶部であり、同記憶部には、予め複数の工作物に対応する加工プログラムが格納されており、前記指定部4aによりその中の特定の加工プログラムが指定される。参照符号10は加工プログラム中の各軸移動指定ブロックを読み出して演算し、各制御軸の移動量データを生成する解析実行部である。
参照符号12は干渉域を描画表示部62に表示させるか否かを判定する描画指示判定部、参照符号14は干渉域保護モードの判定部、参照符号16は干渉域オーバー監視部であって軸停止処理実行部18に対し、軸移動を停止するよう指示する。なお、これら描画指示判定部12、干渉域保護モード判定部14を有効にするか否かは、予め加工プログラム中に指定されている。これら描画指示判定部12、干渉域保護モード判定部14が指定されていない場合は、破線で示すように、加工プログラム解析実行部10の演算出力は出力制御部20へ与えられ駆動部6を駆動する。
参照符号52は、ティーチング装置4bで設定されたティーチングデータの記憶部、参照符号54は桝目指定部4cで設定された桝目データ記憶部である。なお、ここで桝目とは、図4〜7で後述するように、工具可動ストローク範囲を、平面領域、平板状領域で区画・割付けする場合の単位領域であり、桝目指定とはその単位領域のX、Y、Z方向の成分(量)を指定することを意味するものとする。
参照符号40は、表示/処理部であって、前記干渉域描画指示判定部12が有効になっている状態で、表示部56に干渉域を表示するよう機能すると共に、干渉域保護モード判定部14が有効になっている状態で干渉域オーバー監視部16により、干渉域として定義されている座標値メモリテーブル50を参照して工具先端位置が干渉域と干渉するか否かを監視し、また、それを表示部56に表示する。参照符号60は、表示/処理部40を介して、桝目で区画・割付けされた平面領域、平板状領域に対応する座標値メモリテーブル50にビットパターンを形成するためのプログラム記憶部である。
図2は、図1に示した数値制御装置の概略機能を説明するフローチャートである。同図において、工程S0でスタートが指令されると、工程S1で干渉域の作成が遂行される。(干渉域の作成の詳細例は図4〜7で後述)次いで、工程S3において、加工プログラムが読み込み、記憶され、工程S4でその1ブロック分の解析実行が遂行される。(この解析実行により工具先端位置座標の移動終点位置が算出される。)
次いで、干渉域の表示指示の有無がチェックされ、指示有りの場合は工程S6で干渉域の表示が指令され、S7で表示データのビットパターン変換および転送が遂行され、表示装置に表示される。次いで、工程S8で干渉域保護モードがチェックされる。保護モード指示有りの場合は、S9でその設定がなされ、次いで、S10において、干渉域保護モードONの場合、S11で加工プログラムの算出結果、すなわち、1ブロックの演算による移動終点位置が出ているか否かチェックされる。
次いで、S12において、当該終点位置が干渉域の内外が判定される。干渉域内であるとS13で軸移動の停止処理が遂行され、工程S14にて出力制御信号が駆動部6へ与えられる。こうしたプロセスが加工プログラムの最後のブロックまで行われ、工程S15で最後となるとS16で終了する。なお、工程S5、S8およびS10で「無し」および「OFF」の場合は干渉域の保護およびチェックを行わない場合である。工程S2〜S16は、実際に工作物を加工する場合だけでなく、シミュレーションとして事前に干渉の有無を確認するためにも行われる。
次に、ティーチング装置について説明する。ティーチング装置のティーチング機能は、MDI(Manual Data Input)運転または手動運転の内容をメモリ内に連続的に記憶することにより加工プログラムを作成する機能であって、この機能によりオペレータの実行した操作を自動的にプログラミングすることができるものである。ここで、オペレータの操作とは、例えば、工作機械の主軸に触針を取り付け、その先端位置を適宜移動させて工作物や取付け治具の外周面に接触させた状態でその座標値を取り込むことができるものである。
図3は、図1のティーチング装置4bのティーチング機能を説明するものであって、(a)は1つの領域指定の場合のデータ入力形式を示し、(b)は領域描画を行う際の、領域の重ね合わせのパターン(OR)と(XOR)をそれぞれ示し、(c)は領域の塗りつぶしのパターン(内側)、(外側)をそれぞれ示す。上記の(a)において、丸1〜nは領域指定の各点の座標値であり、オペレータはこれらの座標値を数値キーから入力する必要はなく、触針の停止している状態で単に設定ボタンを押すだけでよい。上記の(b)において、(OR)のときは、2つの領域A、Bの重ね合わさった部分Z1を加工領域として含める場合であり、(XOR)のときは、2つの領域A、Bの重ね合わさった部分Z2を加工領域として除外する場合である。また、上記の(c)において、領域Cの内側を加工領域として指定する場合、ならびに、領域Dの外側を加工領域として指定する場合を例示する。次に、本発明による工具の干渉域設定の具体例について説明する。
(実施例1)
図4は図2に例示した工程S2の干渉域作成の詳細を説明するフローチャートであり、図5は工具の可動ストローク範囲において1つの平面領域における桝目と干渉域との関係を説明するための、図4に対応する模式図である。
図4において、工程S0で、平面領域における干渉域設定が開始されると、工程S2で当該平面領域に対応して1つの座標値メモリテーブルが指定される。次いで、オペレータは、工作機械のテーブルに固定した障害物である工作物取付け治具の外周形状を特定するため、所定の外周点位置に触針を停止させて順次ティーチング機能の領域指定により外周点位置の座標データを取り込む。次いで、工程S3において、桝目指定データLx、Lyを読み込む。さらに、工程S4において、各桝目の区画・割付を遂行する。図5には工具の可動ストローク範囲100が平面領域として定義され、当該平面領域100が単位領域としての桝目Sijによって区画・割付されていることを示す。点a、b、c、d、e、fはティーチング機能で定義された取付け治具の外周点位置であって、同図では各点を結ぶ線が直線として示されている。なお、例えば円弧のような曲線として定義されていてもよい。本願では各点を結ぶ線分を結合線CLと呼称する。
次いで、工程S5で各結合線CLが、CLab、CLbc、CLcd、CLde、CLefと定義される。工程S6では、各結合線の通る桝目Sijを特定し、S7において、結合線CLの内側にある各桝目の代表値として同一のビット「1」を、また、結合線CLの外側にある各桝目の代表値として同一のビット「0」を、それぞれ対応する座標値メモリテーブルの桝目Sijの値として定義する。図5の太い実線は、ビット「1」とビット「0」を代表値として定義した桝目群の境界を示す。次いで、S8にて代表値の設定、すなわち、干渉域の設定が終了する。同図4に示すように、設定された境界内側の各桝目の代表値は全て「1」であり、その外側の各桝目の代表値は「0」であり、この平面領域100がビットパターンBPとして形成されていることを示す。図4、5においては、取付け治具がZ方向に同一な形状である場合に干渉域として適用可能である。
(実施例2)
これに対し、図6は3次元的広がりを有する障害物としての取付け治具を干渉域とする場合における、図2の工程S2の干渉域作成の詳細を説明するフローチャートであり、図7は工具の可動ストローク範囲において複数の平板状領域における格子状桝目と干渉域との関係を説明するための、図6に対応する模式図である。
図6において、工程S0で干渉域設定が開始される。この場合、図7に示すように、工具の可動ストローク範囲100は、X−Y平面と平行な各平板状領域PL1〜PL4が積み重ねられた空間として定義される。また、各平板状領域PL1〜PL4は単位空間領域である格子状の桝目Cijkにより区画・割付けされている。
図6において、工程S1では、複数の座標値メモリテーブルMTG(MT1、MT2・・MTk・・MTN:図7ではN=4)が指定され、次いで、S2においてティーチングデータが読み込まれ、さらに、S3において、桝目指定データLx、Ly、Lzが読み込まれる。次いで、工程S4において、指定された座標値メモリテーブル群MTGの各々に対する各平板状領域PLkを設定し、割付する。次いで、工程S5において、各平板状領域PLk内の格子状桝目Cijkを区画・割付する。次いで、工程S6において、各結合線CLからなる複数の面領域F1〜FM(図7ではM=5)が設定される。
次いで、S7において、各面領域Fmと平板状領域PLkとの交差の有無をチェックし、S8で交差があれば、S9でPLk上の交差のある格子状桝目を特定し、さらにS10において、当該Fmで囲繞されているPLk内の格子状桝目の代表値を「1」、囲繞されていない桝目の代表値を「0」と定義する。これら定義した「1」、「0」は座標値メモリテーブルMTkに記憶される。次いで、工程S11において、インデックスkすなわち、平板状領域の数がNに達したか否か判定され、k<Nの場合はS12でkがインクリメントされて再びS7からS11を繰り返す。これにより1つの平面領域Fmとすべての平板状領域PL1〜PLNとの交差による格子状桝目が特定される。工程S13、S14は、面領域Fmのインデックスmが全ての平面領域F1〜FMに達するまで遂行されるルーチンを示す。こうして工程S13でm=Mとなると、S15で終了となる。
図7(a)には、点P1〜P5を治具の外周点位置とし、これらの点により形成された5つの面領域が平板状領域PL2〜PL4の内部ある状態を示す。そして太い実線はその内部の格子状桝目Cijkの代表値が「1」であることを例示している。図7のビットパターンBPは3次元的なビットパターンを示すものである。これらの様子を表示装置62で2または3次元的に表示させることは容易である。
図7(b)は、1つの平面領域Fmが格子状桝目Cijkと交差していることをチェックするために、当該平面領域FmのCijkにおけるX−Y平面への投影PSを得て、当該PS上の任意の点位置がCijkの底面上にあるか否かで判定できることを示す。
以上、本発明の実施例について説明したが、当業者であれば、上記実施例を知ることにより、本発明を種々変形することが可能である。例えば、桝目の成分量Lx、Ly、Lzをストローク範囲中の適宜の範囲で変化させることで、桝目区画の数を調整することも可能である。
本発明の適用される数値制御装置の主要部の制御ブロック図である。 図1に示した数値制御装置の概略機能を説明するフローチャートである。 ティーチング装置のティーチング機能を説明するものであって、(a)は1つの領域指定の場合のデータ入力形式を示し、(b)は領域描画を行う際の、領域の重ね合わせパターンを示し、(c)は領域の塗りつぶしパターンをそれぞれ示す。 干渉域作成の詳細を説明するフローチャートである。 工具の可動ストローク範囲において1つの平面領域における桝目と干渉域との関係を示す図4に対応する図である。 干渉域作成の詳細を説明するフローチャートである。 工具の可動ストローク範囲において平板状領域における格子状桝目と干渉域との関係を示す図6に対応する図であって、(a)は立体的なビットパターン生成を説明する図、(b)は1つの格子状桝目と面領域との交差を説明する図である。
符号の説明
2 数値制御装置
4 入力装置
4a ティーチング装置
4b 桝目指定部
6 駆動部
8 加工プログラム記憶部
10 加工プログラム解析実行部
12 干渉域描画指示判定部
14 干渉域保護モード判定部
16 干渉域オーバー監視部
18 軸停止処理実行部
20 出力制御部
40 表示/処理部
50 座標値メモリテーブル
52 ティーチングデータ記憶部
54 桝目データ記憶部
56 表示部
60 ビットパターン生成用プログラム記憶部
70 CPU
100 工具の可動ストローク範囲

Claims (4)

  1. 数値制御を備えた工作機械における工具の可動ストローク範囲において、当該ストローク範囲の少なくとも1つの、第1制御軸および第2制御軸方向に広がりを有する平面(X,Y)領域における工具の干渉域を設定するものであって、
    前記工作機械のティーチング機能を用いて前記ストローク範囲に在る少なくとも工作物の取付け治具からなる障害物の外周面位置座標の複数組を順次入力することにより前記障害物の外周面形状を特定する工程と、
    前記数値制御装置中に前記平面領域に対応する座標値メモリテーブルを予め用意すると共に、同座標値メモリテーブルは前記平面領域を、予め指定された第1制御軸(X)および第2制御軸(Y)方向の成分量Lx、Lyを単位長さとする複数の桝目により区画し割り付けされる工程と、
    前記ティーチング機能を用いて入力された複数組の各位置を結ぶ複数の結合線を、前記桝目で区画し割り付けされた前記平面領域に対置させ、当該各結合線の通る桝目群により囲繞された各桝目の代表値を第1の同一所定ビット値と定義し、当該各結合線の通る桝目群により非囲繞された各桝目の代表値を第2の他の同一所定ビット値と定義することにより前記座標値メモリテーブルを前記干渉域に対応するビットパターンを有するメモリテーブルとして形成する工程と、
    前記数値制御装置による加工プログラム中の1つのブロック演算実行により与えられる前記工具先端位置座標(Xn、Yn)に対応する前記座標値メモリテーブル上の桝目を特定し、当該桝目の代表値が前記第1のビットであるか、第2のビットであるかに基づいて前記工具が前記第1の平面領域中の干渉域にあるか否かを判定する工程と、
    からなる工具の干渉域設定方法。
  2. 前記平面領域に垂直な第3制御軸方向における前記障害物の外周面形状が前記ストローク範囲において同一であることを特徴とする請求項1に記載された工具の干渉域設定方法。
  3. 数値制御装置を備えた工作機械における工具の可動ストローク範囲における工具の干渉域を設定するものであって、
    第1制御軸(X)方向および第2制御軸(Y)方向に広がりを有し前記各制御軸と垂直な第3制御軸(A)方向に予め指定された所定の厚さを有する平板状(X,Y,Z)領域の複数個により前記ストローク範囲を割り付ける工程と、
    前記工作機械のティーチング機能を用いて前記ストローク範囲に在る少なくとも工作物の取付け治具からなる障害物の外周面位置座標の複数組を順次入力することにより前記障害物の外周面形状を特定する工程と、
    前記数値制御装置中に前記各平板状領域に対応して座標値メモリテーブルを予め用意すると共に、同各座標値メモリテーブルは対応する前記平板状領域を、第1制御軸(X)方向および第2制御軸(Y)方向の予め指定された成分量Lx、Lyならびに、第3制御軸(Z)方向の成分量Lzを単位長とする複数の格子状桝目により区画し割り付ける工程と、
    前記ティーチング機能を用いて入力された複数組の各位置を結ぶ複数の結合線で形成される複数の面を、前記格子状桝目で区画し割り付けされた複数の平板状領域に対置させ、当該複数の各面と交差する各平板状領域の格子状桝目群により囲繞された各桝目の代表値を第1の同一所定ビット値と定義し、当該複数の各面と交差する各平板状領域の格子状桝目群により非囲繞された各桝目の代表値を第2の他の同一所定ビット値と定義することにより前記各座標値メモリテーブルを前記干渉域に対応するビットパターンを有するメモリテーブルとして形成する工程と、
    前記数値制御装置による加工プログラム中の1つのブロック演算実行により与えられる前記工具先端位置座標(Xn、Yn、Zn)に対応する前記各座標値メモリテーブル上の格子状桝目を特定し、当該格子状桝目の代表値が前記第1のビットであるか、第2のビットであるかに基づいて前記工具が前記可動ストローク範囲の定められた干渉域にあるか否かを判定する工程と、
    からなる工具の干渉域設定方法。
  4. 前記複数の各面と交差する各平板状領域の格子状桝目群は、当該1つの面と前記各平板状領域を通る前記第1および第2の制御軸に平行な平面との交線の存在する前記格子状桝目として特定されることを特徴とする請求項3に記載された工具の干渉域設定方法。
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