以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
<画像形成装置>
以下、図面に基づいて、本発明の一実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、図面では部材の位置及び大きさ等は適宜強調して描かれている。また、以下の実施形態は、本発明の画像形成装置の一例として、プリンタを挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の画像形成装置は画像形成部を備えていればよく、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有するいわゆる複合機(MFP:Multi Function Peripheral)やコピー機能のみを備えた複写機等であってもよい。
図1は、本実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例を、プリンタ100を例に示すものであり、カラー画像を形成するためのタンデム型の画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKを備えている。この画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKには、転写ベルトB1と、転写ベルトB1の表面を清掃するためのクリーニング部B2と、転写ベルトB1の移動方向に沿って転写ベルトB1に接するように配列されたイエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの各感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kが設けられている。
イエロー用の感光体ドラム10Yには、感光体ドラム10Yの周面に形成された静電潜像をトナーで現像するための現像装置HY、およびこの感光体ドラム10Yの周面を帯電させるための帯電器11Yが隣設されている。同様に、マゼンタ、シアン、ブラック用の感光体ドラム10M、10C、10Kに対して現像装置HM、HC、HK、および各感光
体ドラム10M〜10Kの周面を帯電させるための帯電器11M、11C、11Kが設けられる。さらに、各感光体ドラム10Y〜10Kの周面に担持される各トナー像を転写ベルトB1に転写するために、各感光体ドラム10Y〜10Kの周面には、転写ベルトB1を隔てて転写ローラ20Y、20M、20C、20Kが配置されている。
各感光体ドラムに回転を伝達するモータは、フィードバック制御により、モータの回転を制御するための制御信号(クロック信号)と、モータが回転することによって発生するフィードバックパルスとに基づいて回転を制御される像担持体モータから構成され、当該像担持体モータは、例えば、DCブラシレスモータ(直流ブラシレスモータ)が採用される。
転写ベルトB1は、駆動ローラ21および従動ローラ22間に張設されており、テンションローラ23によって所定の張力が与えられている。転写ベルトB1は、矢印方向に移動し、このため、4つの感光体ドラム10Y〜10Kは、それぞれ、図1において反時計周りに回転する。
転写ベルトB1に回転を伝達するモータは、モータの回転を制御するための制御信号に基づいて回転を制御される中間転写体モータから構成され、当該中間転写体モータは、例えば、所定の周波数を有する制御信号を入力すると、所定の角度毎に回転可能なモータであるステッピングモータが採用される。なお、ステッピングモータは、制御信号の周波数を調整することにより、回転する角度が変更され、結果として、回転数(回転速度)が変更される。
図2に示すように、各感光体ドラム10Y〜10Kは、帯電器11Y、11M、11C、11Kによって、その周面がそれぞれ予め定める電位に帯電され、露光装置12Y、12M、12C、12Kにより原稿画像に対応した画像が書き込まれ、それによって静電潜像が形成される。その静電潜像は、現像装置HY、HM、HC、HKによって互いに異なる色のトナー像にそれぞれ現像される。そして、各色のトナー像は、転写ローラ20Y〜20Kによって転写ベルトB1上に転写されて、転写ベルトB1上で、各トナー像が重ね合わされる。
上記のように転写がなされた後の感光体ドラム10Y〜10Kの表面に残っているトナーはブレード35によって拭き取られ、排出ローラ31で所定の容器に輩出され、その後、感光体ドラム10Y〜10Kの表面は除電装置13によって除電される。
一方で、用紙Pは、複数枚の用紙Pを収容可能なカセット2から、搬送部6によって、画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKに向けて複数枚の用紙Pが所定の間隔をあけて搬送される。この画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKに搬送される用紙Pに対して、転写ベルトB1に転写されたトナー像が2次転写部3によって転写される。
制御部30は、各感光体ドラム10Y〜10K、各現像装置HY、HM、HC、HK、各帯電器11Y、11M、11C、11K、および各転写ローラ20Y〜20Kを含む画像形成ユニットFY、FM、FC及びFKにおける各画像形成部材の動作制御を制御する。また、搬送ローラB1を含む搬送機構の動作制御を行う。
次に、現像装置HYの構成について説明する。各色の現像装置HY、HM、HC、HBの構成は同様である。
現像装置HYは、現像容器40、現像ローラ40aを備え、現像容器40は、内部に黄色のトナー粒子とキャリアからなる粉体の現像剤を貯留する。
上記現像ローラ40aは感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ40aに印加される現像バイアスの電位差によって上位装置から形成指示された画像に応じたトナー像が感光体ドラム10の表面に形成される(現像動作)。
このような構成の下、パーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置から画像形成の指示を受けた画像形成装置1は、指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY、FM、FC、FBを用いて形成する。各画像形成部で形成されたトナー像は中間転写ベルトB1に転写されて、中間転写ベルトB1上で重ね合わされてカラートナー像となる。
このカラートナー像の形成と同期して用紙収容部2に収容されている用紙が図示しない給紙装置で用紙収容部2から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送部6上を搬送される。そして、用紙は中間転写ベルトB1への一次転写とタイミングを合わせて二次転写部3に送り込まれ、二次転写部3で中間転写ベルトB1上のカラートナー像が用紙に二次転写される。カラートナー像が転写された用紙はさらに定着部4に搬送されて熱と圧力によりカラートナー像が用紙に定着される。さらに用紙は排紙装置5によって画像形成装置1の外周に設けられた排紙トレイ部7に排紙される。二次転写後、中間転写ベルトB1に残留したトナーは、中間転写ベルトのクリーニング部B2によって中間転写ベルトB1から除去される。
図3は、本実施形態におけるプリンタ100の制御関連の概略構成図である。
プリンタ100は、CPU(CENTRAL Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304及び上記印刷における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。上記CPU301は、例えばRAM202を作業領域として利用し、ROM303やHDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。
上述は、プリンタ100全般についての説明である。
ここで、本発明の実施形態に係るプリンタ100では、従来より知られているDCブラシレスモータの機械構成、制御回路、これに準ずるCPU等の構成を採用していない。
従来より知られているDCブラシレスモータの制御回路は、例えば、位相比較器と、フィルタ制御処理回路と、PWM回路と、DCブラシレスモータドライバとを備えている。上記位相比較器は、プリンタのエンジンから入力される指令クロック信号(制御信号)と、DCブラシレスモータのエンコーダから入力されるフィードバック信号とを比較して位相差等を算出する。また、上記フィルタ制御処理回路は、位相比較器から入力された位相差等にフィルタ処理・所定の演算処理等を施し、所定の制御値をPWM回路に入力する。上記PWM回路は、入力された制御値に基づいて、速度指令信号であるPWM信号を発生し、そのPWM信号をDCブラシレスモータドライバに入力する。そして、DCブラシレスモータドライバは、当該PWM信号に対応する駆動パルス(駆動信号)をDCブラシレスモータに入力して、そのDCブラシレスモータの回転を制御する。従来では、上述したような構成と手順にて、DCブラシレスモータの回転をフィードバック制御していた。
本発明の実施形態に係るプリンタ100における、機械構成、制御構成、制御手順等に
ついては、以下で詳細に説明する。
<本発明の実施形態>
<<プリンタの機械構成>>
図4には、本発明の実施形態に係るプリンタ100の機械構成を示した。
プリンタ100には、エンジン401と、ステッピングモータドライバ402と、ステッピングモータ402aと、各DCブラシレスモータの回転を制御するDCブラシレスモータ用CPU403と、各感光体ドラムの色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)に対応するDCブラシレスモータドライバ4041、4042、4043、4044(パワードライバともいう)と、各色に対応するDCブラシレスモータ4041a、4042a、4043a、4044aとが備えられている。
上記エンジン401は、プリンタ100の駆動、停止、画像形成等の制御を司り、ステッピングモータ402aの回転に関する制御信号A(命令信号、指示クロック信号)をステッピングモータドライバ402に入力する。上記制御信号Aには、例えば、ステッピングモータ402aの回転を制御するパルス信号である指示クロック信号が該当する。さらに、当該エンジン401は、上記制御信号Aをステッピングモータドライバ402に入力すると同時に、DCブラシレスモータ用CPU403に入力するように構成される(後述する)。
また、上記エンジン401は、上記制御信号Aとは異なる制御信号であり、各DCブラシレスモータ4041a、4042a、4043a、4044aの回転開始、回転停止に関する制御信号BをDCブラシレスモータ用CPU403に入力する。
上記ステッピングモータドライバ402は、エンジン401から入力される制御信号Aに基づいて、ステッピングモータ402aに駆動パルスを入力する。ステッピングモータ402aは駆動ローラ21(図示せず)に回転を伝達する。
上記DCブラシレスモータ用CPU403には、上記エンジン401からの制御信号Bに加えて、当該エンジン402からステッピングモータドライバ402に入力される制御信号Aが入力される。DCブラシレスモータ用CPU403は、当該制御信号Bと制御信号Aとに基づいて、所定の速度指令信号をDCブラシレスモータドライバ4041、4042、4043、4044に入力する(後述する)。
上記DCブラシレスモータドライバ4041、4042、4043、4044は、DCブラシレスモータ用CPU403から入力される速度指令信号に基づいて、各DCブラシレスモータ4041a、4042a、4043a、4044aに駆動パルスを入力する。各DCブラシレスモータ4041a、4042a、4043a、4044aはそれぞれの感光体ドラム10Y、10C、10Y、10K(図示せず)に回転を伝達する(後述する)。
<<プリンタの制御構成>>
次に、DCブラシレスモータの制御構成(制御回路)であるDCブラシレスモータ用CPU403について、詳細に説明する。
図5には、本発明の実施形態に係るDCブラシレスモータ用CPU403の構成を示した。図5に示すように、本発明の実施形態に係るプリンタ100では、CPU等に基づき、エンコーダ(後述する)から発生されたフィードバックパルス等を制御量として目標値に追従するように自動動作する機構であるサーボ制御機構を採用している。
なお、後述するDCブラシレスモータ用CPU403は、イエローに対応する感光体ドラム10Yと、その感光体ドラム10Yに回転を伝達するDCブラシレスモータ4041aとを制御するものとして説明するが、マゼンタ、シアン、ブラックに対応する感光体ドラム10C、10Y、10K、DCブラシレスモータ4042a、4043a、4044aでも同様である。
DCブラシレスモータ用CPU403は、主に、第一のタイムキャプチャ回路501と、速度係数回路502と、目標速度設定回路503と、第二のタイムキャプチャ回路504と、制御演算回路505と、PWM回路506とから構成される。
第一のタイムキャプチャ回路501は、エンジン401からステッピングモータドライバ402に入力される制御信号Aと同等の信号が同時に入力されるよう構成されている。上記第一のタイムキャプチャ回路501は、エンジン401から入力された制御信号Aと内部タイマパルス信号とを比較し、当該制御信号Aの一パルス幅に含まれる内部タイマパルス信号の数をカウントする(後述する)。カウントされたカウント数は速度係数回路502に入力される。
速度係数回路502は、入力されたカウント数に、速度係数回路502のメモリ部に予め記憶されている速度係数を乗算して、目標値である目標速度を算出する。上記乗算によって、カウント数が、ステッピングモータ402aに対応する値からDCブラシレスモータ4041aに対応する値に換算される。当該目標速度は、カウント数が速度係数回路502に入力される度に(カウント数がカウントされる度に)算出され、更新される。速度係数回路502は、算出された目標速度を目標速度設定回路503に入力する。
目標速度設定回路503は、速度係数回路502から入力された目標速度を制御演算回路505に入力したり、当該目標速度を、プリンタ100の起動時または停止時に予めエンジン401から入力される定常速度または停止速度に切り換えたりする(後述する)。
第二タイムキャプチャ回路504は、DCブラシレスモータ4041aに備えられたエンコーダ507から発生されるエンコーダパルス信号(モータ回転速度信号、フィードバック信号)が入力されるよう構成される。上記第二タイムキャプチャ回路504は、エンコーダ507から入力されたエンコーダパルス信号と内部タイマパルス信号とを比較し、当該エンコーダパルス信号の一パルス幅に含まれる内部タイマパルス信号の数をカウントする(後述する)。カウントされたカウント数は、現時点のDCブラシレスモータ4041aの回転速度に対応する値(現行回転速度)として算出される。
上記目標速度と上記現行回転速度は、目標速度から現行回転速度を除算した速度差が算出され、その速度差が制御演算回路505に入力される。
制御演算回路505では、フィードバック制御方法の一つであるPID制御が採用されており、PID制御に用いられる制御パラメータに基づいて、入力された速度差から制御値を算出する。制御演算回路505は、算出された制御値をPWM回路506に入力する。
PWM回路506は、入力された制御値に基づいてPWM信号を生成し、そのPWM信号を速度指令信号としてDCブラシレスモータドライバ4041に入力する。
所定のメモリに記憶されているプログラム等を実行することで、DCブラシレスモータ4041aの回転を制御する。上記各回路、ドライバ等は後述する各手段として動作する
。
<<プリンタの制御手順>>
次に図6乃至図7を参照しながら、本発明に係るプリンタ100が、起動時又は停止時で感光体ドラムと転写ベルトとの間に発生する傷等を防止する手順について、詳細に説明する。図6は、本発明に係るプリンタの機能ブロック図である。図7は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。なお、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
プリンタ100が、待機時での消費電力を抑えた状態であるスリープ状態である場合に、ユーザが、プリンタ100に接続された端末を用いて、プリンタ100にカラー印刷の画像形成に関する命令(カラー印刷物出力指示)を入力すると、プリンタ100の通信手段601が、端末に接続されたネットワークを介して当該命令を受信する。
通信手段601は、当該命令を画像形成手段602に送信し、画像形成手段602は、プリンタ100のスリープ状態を解除し、画像形成可能な状態へ移行する。画像形成可能な状態とは、各感光体ドラムの表面線速度と転写ベルトの表面線速度とを一致させた状態で相互に回転している状態のことであり、DCブラシレスモータとステッピングモータとをそれぞれ所定の回転数(回転速度)(以下、画像形成可能な回転速度または定常速度とする)で回転している状態である。なお、表面線速度(表面線速)とは、回転している回転体において、その回転体の表面上の点に対する接線方向の回転速度を意味する。
以下では、イエローに対応する感光体ドラム10Yと、その感光体ドラム10Yに回転を伝達するDCブラシレスモータ4041aの回転について説明するが、マゼンタ、シアン、ブラックに対応する感光体ドラム、DCブラシレスモータ4041aの回転でも同様である。
スリープ状態では、ステッピングモータ402aとDCブラシレスモータ4041aはともに回転が停止した状態(回転速度がゼロである状態)であるため、画像形成手段602が、ステッピングモータ制御手段603に、ステッピングモータ402aの回転速度を加速する旨の信号(加速信号A)(図4では、加速指示の制御信号Aに対応する)を送信する(図7:S101)。上記加速信号Aは、所定の周波数とパルス幅を有する指示クロック信号(クロック信号、クロック)である。
ステッピングモータ制御手段603は、当該加速信号Aを受信すると、ステッピングモータ402aの回転を開始する(図7:S102)。
具体的には、ステッピングモータ制御手段603が、画像形成手段602から入力された加速信号Aに基づいてステッピングモータ402aの回転速度を加速する駆動パルスをステッピングモータ402aに入力する。ステッピングモータ402aの回転が開始すると、そのモータの回転軸と連結している駆動ローラ21の回転が開始し、駆動ローラ21に巻き掛けられた転写ベルトB1に回転が伝達され、転写ベルトB1の回転が開始される。
ステッピングモータ402aに入力される駆動パルスの周波数は、ステッピングモータ402aの回転数(回転速度)に対応するため、画像形成手段601が、ステッピングモータ402aの加速に伴い、加速信号Aの周波数を増加させて、ステッピングモータ制御手段602に入力する。加速信号Aの周波数が駆動パルスの周波数に対応し、駆動パルスの周波数が増加することにより、ステッピングモータ402aの回転速度が増加する。
画像形成手段601は、現行のステッピングモータ402aの回転速度を、ステッピングモータ402aでの定常速度(定常速度Aとする)に到達するまで、加速信号Aの周波数を連続的に(段階的に)増加させていくことになる。
また、画像形成手段601は、上述した加速信号Aを、ステッピングモータ制御手段602に入力するとともに、DCブラシレスモータ制御手段604を構成する目標速度算出手段605に入力する。
さらに、上記加速信号Aとは別個に、画像形成手段602が、目標速度算出手段605に、目標速度を算出する旨の信号(算出信号B)(図4では、算出指示の制御信号B)とDCブラシレスモータ4041aの定常速度(定常速度Bとする)を送信する(図7:S102)。上記目標速度とは、ステッピングモータ402aの回転速度に同期したDCブラシレスモータ4041aの回転速度のことである。
目標速度算出手段605は、当該算出信号Bを受信すると、ステッピングモータ制御手段602に入力される加速信号Aに基づいて、当該目標速度を算出する(図7:S104)。
目標速度の算出は、以下のように実行される。
目標速度算出手段605には、パルスの周期が安定した内部タイマパルス(内部タイマクロック信号ともいう)を発生する第一のタイムキャプチャ回路が備えられており、当該目標速度算出手段605は、当該内部タイマパルスと、画像形成手段602から入力される加速信号Aとを比較し、加速信号Aの一パルス当たりに存在する内部タイマパルスのパルス数をカウントする。このカウントした数をステッピングモータカウント数Naとする。
ステッピングモータカウント数Naを算出する場合、図8Aに示すように、加速信号Aの一パルスの立ち上がり時点(一パルスのHI信号のスタート時点)をスタート時点801とし、次の一パルスの立ち上がり時点(従続の一パルスのHI信号のスタート時点)をエンド時点802として、そのスタート時点801とエンド時点802との間に存在する内部タイマパルスのパルス数Naをカウントする。
なお、当該カウントは、予めユーザにより設定された周期毎、あるいは、加速信号の一パルス毎)に行われる。さらに、加速信号Aの周波数は、時間とともに随時増加していくため、結果として、ステッピングモータカウント数Naは、加速信号Aの周波数の増加とともに減少することとなる。また、内部タイマパルスのパルス幅は、加速信号Aのパルス幅に比べて十分狭い幅であると好ましい。また、目標速度算出手段605は、上述では、一パルスの立ち上がり時点を基準としてカウントしているが、一パルスの立ち下がり時点を基準としてカウントしても構わない。さらに、目標速度算出手段605が、加速信号Aのパルスの幅を測定しても構わない。
目標速度算出手段605が、一パルスでのステッピングモータカウント数Naを算出すると、当該カウント数Naに、所定の補正係数(以下、速度係数とする)を乗算し、その乗算した値を目標値、すなわち、目標速度として算出する。
上記速度係数は、定常回転時(画像形成可能時)でのステッピングモータ402aの回転速度に対するDCブラシレスモータ4041aの回転速度の割合を示す。当該割合は、ステッピングモータ402aにより回転する転写ベルトB1の表面線速と、DCブラシレスモータ4041aにより回転する感光体ドラム10Yの表面線速とが一致する条件の割
合に対応する。
転写ベルトB1の表面線速は、ステッピングモータ402aの回転数を固定しても、例えば、転写ベルトの張力の程度、その厚み、材質、周長、駆動ローラの半径、周長、ステッピングモータのギア比等のパラメータに応じて変動する。また、感光体ドラム10Yの表面線速は、DCブラシレスモータ4041aの回転数を固定しても、例えば、感光体ドラムの半径、周長、表面性状、材質、DCブラシレスモータのギア比等のパラメータに応じて変動する。従って、それぞれの表面線速は、予め上述したパラメータを適宜設計変更することによって、適切な表面線速に調整されている。
なお、本発明の実施形態に係るプリンタ100のように、複数の感光体ドラムを備えた画像形成装置では、通常、全ての感光体ドラムの半径が相互に同一となるよう構成されるため、一感光体ドラムについての速度係数を採用すれば、全ての感光体ドラムの表面線速を転写ベルトの表面線速に一致させることが可能となる。
上記速度係数は、例えば、モータの回転速度に対応するモータの回転数(rpm)やモータ制御手段に入力される制御信号(上述した加速信号または減速信号、指示クロック信号に該当する)の周波数(Hz)によって決定される。周波数を基準として、定常回転時にステッピングモータ402aの回転制御に用いられる制御信号の周波数をA(Hz)とし、定常回転時にDCブラシレスモータ4041aのエンコーダ507から発生されるエンコーダパルスの周波数をB(Hz)とすると、当該速度係数a(−)は、B/Aとなる。
また、モータの回転数(rpm)は、転写ベルトまたは感光体ドラムの表面線速に対応するため、定常回転時での転写ベルトまたは感光体ドラムの表面線速が測定可能であれば、速度係数は以下のように算出される。
上述のようにして、算出された目標速度は、ステッピングモータ402aの制御信号に基づいて算出されていることから、当該目標速度を後続のフィードバック制御に採用することによって、ステッピングモータ402aの回転に同期したDCブラシレスモータ4041aの回転を実現することが可能となる。
目標速度算出手段605が目標速度を算出すると、フィードバック制御手段606に当該目標速度を送信する。フィードバック制御手段606は、PID制御に基づくフィードバック制御を実行する。当該フィードバック制御手段606は、フィードバックパルス(後述する)により算出される、DCブラシレスモータ4041aの現行の回転速度に対応する現行回転速度と、目標速度とに基づいて、所定の制御値を算出し、当該制御値をPWM手段に送信する。
上記制御値の算出は、以下のように実行される。
DCブラシレスモータ4041aには、当該DCブラシレスモータ4041aの回転軸と感光体ドラム10Yの回転軸とを連結する連結軸に、当該連結軸が所定の回転角度だけ回転すると、その回転に対応して所定のエンコーダパルス(エンコーダパルス、以下、フィードバックパルスとする)を出力するエンコーダ507が備えられており、そのエンコーダ507は、フィードバックパルスを、DCブラシレスモータ制御手段604を構成する現行回転速度算出手段607に随時入力している。
なお、DCブラシレスモータ4041aと感光体ドラム10Yとの間に、所定の減速比を有する減速器を挿入して、DCブラシレスモータ4041aの回転数と感光体ドラム10Yの回転数とを適宜調整するよう構成しても構わない。
現行回転速度算出手段607には、第一のタイムキャプチャ回路とは別に、パルスの周期が安定した内部タイマパルスを発生する第二のタイムキャプチャ回路が備えられており、当該現行回転速度算出手段607は、当該内部タイマパルスと、エンコーダ507から入力されるフィードバックパルスとを比較し、フィードバックパルスの一パルス当たりに存在する内部タイマパルスのパルス数をカウントする。このカウントした数をDCブラシレスモータカウント数Nbとする。
DCブラシレスモータカウント数Nbを算出する場合、ステッピングモータカウント数Naを算出する方法と同様であるが、図8Bに示すように、フィードバックパルスの一パルスの立ち上がり時点(一パルスのHI信号のスタート時点)をスタート時点803とし、次の一パルスの立ち上がり時点(従続の一パルスのHI信号のスタート時点)をエンド時点804として、そのスタート時点803とエンド時点804との間に存在する内部タイマパルスのパルス数Nbをカウントする。なお、当該カウントは、予めユーザにより設定された周期毎、あるいは、加速信号の一パルス毎)に行われる。さらに、DCブラシレスモータ4041aの回転速度の増加に伴い、フィードバックパルスの周波数は随時増加していくため、結果として、DCブラシレスモータカウント数Nbは、フィードバックパルスの周波数の増加とともに減少することとなる。
なお、図8のように、初期の起動時では、DCブラシレスモータの回転速度はゼロに近いため、DCブラシレスモータカウント数Nbは、ステッピングモータカウント数Naと比較すると、著しく大きい値を取ることが理解される。
現行回転速度算出手段607が、一パルスでのDCブラシレスモータカウント数Nbを算出すると、当該カウント数NbをDCブラシレスモータの現行回転速度として、フィードバック制御手段606に送信する。
フィードバック制御手段606は、当該現行回転速度と目標速度とを受信すると、フィードバック制御記憶手段608に記憶されたフィードバック制御テーブルを参照し、DCブラシレスモータ4041aの加速時に対応する制御パラメータを判別(決定)する(図7:S105)。当該判別手順は、フィードバック制御手段606による制御パラメータの切換手順に該当する。
上記制御パラメータとは、比例制御と積分制御と微分制御とを組み合せて、現行回転速度を目標速度に収束させるように制御するPID制御に基づいて定められるパラメータのことである。
例えば、上記制御パラメータは、目標速度と現行回転速度との間の速度差に応じた比例制御値を算出(出力)する比例制御パラメータ「Kp」(比例定数ともいう)と、当該速度差を積分した積分値に応じた積分制御値を算出する積分制御パラメータ「Ki」(積分定数ともいう)と、当該速度差を微分した微分値に応じた微分制御値を算出する微分制御パラメータ「Kd」(微分定数ともいう)とが該当する。
また、フィードバック制御テーブル900には、図9に示すように、DCブラシレスモータの回転速度の目標値に対応する目標項目901と、その目標項目に対応する制御パラメータ902とが関連付けて記憶される。
上記目標項目901の欄には、例えば、目標速度算出手段605が算出した目標速度を目標値とする場合に「目標速度」が、画像形成手段602が目標速度算出手段605に送信した定常速度Bを目標値とする場合に「定常速度」が関連付けて記憶される。
また、上記制御パラメータ702の欄には、「Kp」、「Ki」、「Kd」を組み合せた制御パラメータが、所定の目標項目に応じて関連付けて記憶される。
例えば、フィードバック制御手段606が「目標速度」を受信すると、その目標速度に現行回転速度を追従するような制御値を算出する必要があるため、「Kp」が関連つけて記憶される。つまり、上記「Kp」が、目標速度に現行回転速度を追従するための制御パラメータであり、DCブラシレスモータ4041aの加速時または減速時に対応する制御パラメータとなる。なお、DCブラシレスモータ4041aの起動特性または停止特性(例えば、備えられたギア等の部材、半径、周径、スペック等)に応じて、当該「目標速度」に、「Kp」とともに「Kd」を関連付けるよう構成しても構わない。
上記構成とすると、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を加速する際に、DCブラシレスモータ4041aの目標速度に随時、現行回転速度を追従するように、フィードバック制御手段606が制御値を算出し、後述に続くPWM手段609、駆動パルス入力手段610を介して、DCブラシレスモータ制御手段604が駆動パルスをDCブラシレスモータ4041aに入力し、DCブラシレスモータ4041aの回転速度が順次、加速される。そのため、DCブラシレスモータ4041aの回転速度が目標の回転速度よりも大きく超過する現象であるオーバーシュート現象を防止することが可能となる。なお、DCブラシレスモータ制御手段604がDCブラシレスモータ4041aの回転速度を順次減速する場合でも、DCブラシレスモータ4041aの減速時に対応する制御パラメータ「Kp」を採用することにより、DCブラシレスモータ4041aの回転速度が目標の回転速度よりも大きく不足する現象であるアンダーシュート現象を防止することが可能となる。
一方、フィードバック制御手段606が定常速度Bを受信すると、当該定常速度Bに現行回転速度を同等とする(DCブラシレスモータ4041aの定常速度Bと現行回転速度とを一致させる)ような制御値を算出する必要があるため、「Kp」、「Kd」、「Ki」が全て関連付けて記憶される。
上記構成とすると、DCブラシレスモータ制御手段604が、DCブラシレスモータ4041aの回転を安定して制御することが可能となる。
フィードバック制御手段604が、フィードバック制御テーブル900から「目標速度」に対応する制御パラメータ「Kp」を判別すると、目標速度と現行回転速度との間の速度差を算出し、その速度差に基づいて「Kp」に対応する比例制御値(以下、制御値とする)を算出する(図7:S106)。言い換えると、上記フィードバック制御手段606が、現行回転速度を目標速度に一致させるための制御パラメータ(「Kp」、「Kd」、「Ki」)から、現行回転速度を目標速度に追従させるための制御パラメータ(「Kp」)に切り換えて、DCブラシレスモータ4041aの回転を制御することになる。
なお、現行回転速度も、目標速度も、カウント数という数値(データ)に対応し、その数値に基づいて、フィードバック制御手段606は制御値を算出する。そのため、従来からDCブラシレスモータの回転制御に用いられる位相比較器等を採用していないことに注意されたい。
制御値の算出が完了すると、フィードバック制御手段606は、算出した制御値が所定の範囲内に属するか否かを判別する。当該範囲は、例えば、PWM手段609により制御値に基づいて発生されるPWM信号(速度指令信号)のデューティーが許容範囲(0から100%までの範囲)に属するか否かで判別される。所定の範囲は、上記許容範囲に対応
するよう予め算出されている。なお、デューティー(デューティー比)とは、パルスのうち、1パルスのHI信号の幅と1パルスの周期との比のことである。
上記判別した結果、制御値が所定の範囲に包含されている場合は、フィードバック制御手段606は、そのまま制御値をPWM手段609に送信する。一方、当該制御値が所定の範囲に包含されていない場合は、フィードバック制御手段606は、予めユーザにより設定された所定の制御値をPWM手段609に送信するよう構成される。また、当該制御値が0より小さい値である場合は、フィードバック制御手段606は、制御値を0としてPWM手段609に送信するよう構成される。
PWM手段609が制御値を受信すると、当該制御値に基づいて、PWM信号を発生し、駆動パルス入力手段610に入力する。駆動パルス入力手段610は、当該PWM信号に基づいて、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を加速する駆動パルスをDCブラシレスモータ4041aに入力する。DCブラシレスモータ4041aは、入力された駆動パルスに基づき、回転を開始する(図7::S107)。
上述した手順は、ステッピングモータ制御手段603がステッピングモータ402aの回転速度を定常速度Aに到達するまで、目標速度算出手段605とフィードバック制御手段606とが繰り返すこととなる。すなわち、画像形成手段602が、加速信号Aの周波数を、定常速度Aに対応する制御信号の周波数まで連続的に増加すると、その増加分に対応して、目標速度算出手段605が、ステッピングモータ402aの回転に同期したDCブラシレスモータ4041aの目標速度を算出し、フィードバック制御手段606が、当該目標速度と現行回転速度との間の速度差と、所定の制御パラメータとに基づいて制御値を算出する。算出された制御値は、PWM手段609を介して、PWM信号に変換されるが、当該PWM信号は、所定の周波数を保持しつつ、連続的にデューティーが増加するクロック信号(速度指令信号)となる。その結果、駆動パルス入力手段610が、DCブラシレスモータの回転速度を増加させる駆動パルスをDCブラシレスモータ4041aに入力することになる。
これにより、ステッピングモータ402aにより回転する転写ベルトの表面線速に、DCブラシレスモータ4041aにより回転する感光体ドラム10Yの表面線速を同期する(追従する)ようにして、DCブラシレスモータ4041aの回転速度とステッピングモータ402aの回転速度とを加速することが可能となる。
ステッピングモータ402aの回転速度が定常速度Aまで到達すると、その到達に対応して、DCブラシレスモータ4041aの回転速度が定常速度Bまで到達する。これにより、プリンタ100は画像形成可能な状態へ移行することになる(図7::S108)。
図10の領域10Aでは、プリンタ100がスリープ状態から画像形成可能な状態まで移行する際(起動時)の、ステッピングモータ制御手段603に入力される制御信号(加速信号A)の周波数と、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数との経時変化を示した。図10の領域10Aから分かるように、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数が、ステッピングモータ402aの制御信号の周波数に対して、速度係数(a=B/A)を維持しながら増加される、言い換えると、DCブラシレスモータ4041aの回転が、ステッピングモータ402aの回転に同期しながら増加されることが理解される。従って、転写ベルトB1の表面線速と感光体ドラム10Yの表面線速とを一致させた状態で、ステッピングモータ402aとDCブラシレスモータ4041aの回転速度を加速することとなる。
さらに、図10の領域10Aでは、フィードバック制御手段606が、目標速度と現行回転速度との速度差に基づいて、制御パラメータ「Kp」に対応する比例制御値を算出することが理解される。
プリンタ100が画像形成可能な状態に移行すると、画像形成手段602が、定常速度Aに対応する制御信号をステッピングモータ制御手段603に入力するため、当該ステッピングモータ制御手段603がステッピングモータ402aの回転速度を定常速度Aに維持することになる。また、上記定常速度Aに対応する制御信号は目標速度算出手段605に入力されることとなるが、その制御信号の周波数は一定となるため、目標速度算出手段605が算出する目標速度は一定となる。
目標速度算出手段605が、目標速度算出手段605自身が算出する目標速度が一定となることを検知すると、フィードバック制御手段606に送信する目標速度を、最初に画像形成手段602から受信した定常速度Bに切り換える。
定常速度Bに切り換える場合の判断は、目標速度算出手段605が、目標速度算出手段605自身が算出する目標速度が一定となることを検知したり、目標速度が所定の値に収束したことを検知したりすることによって判断される。
目標速度算出手段605が定常速度Bをフィードバック制御手段606に送信すると、フィードバック制御手段606は、フィードバック制御テーブル900を参照して、定常速度に対応する制御パラメータを判別する。
フィードバック制御テーブル900では、「定常速度」に制御パラメータ「Kp」、「Kd」、「Ki」が関連付けて記憶されているため、フィードバック制御手段606は、当該制御パラメータ「Kp」、「Kd」、「Ki」を判別し、定常速度Bと現行回転速度との間の速度差に基づいて、「Kp」、「Kd」、「Ki」に対応する比例制御値、微分制御値、積分制御値を算出する。
当該判別手順と制御値算出手順は、言い換えると、上記フィードバック制御手段606が、現行回転速度を目標速度に追従させるための制御パラメータ(「Kp」)から、現行回転速度を目標速度に一致させるための制御パラメータ(「Kp」、「Kd」、「Ki」)に切り換えて、DCブラシレスモータ4041aの回転を制御することになる。
フィードバック制御手段606が、PWM手段609、駆動パルス入力手段610を介して、これらの制御値に対応する駆動パルスをDCブラシレスモータ4041aに入力する。DCブラシレスモータ4041aの回転は安定して実行して実行される。
なお、イエローに対応する感光体ドラム10Y以外の感光体ドラム10M、10C、10Kも同様にして回転し、それぞれのDCブラシレスモータによってその回転を制御される。
ステッピングモータ402aの回転速度とDCブラシレスモータ4041aの回転速度とが安定すれば、画像形成手段602が、カラー印刷の画像形成に関する命令に基づいて、各感光体ドラム10Yにトナー像を形成し、そのトナー像を転写ベルトB1に転写し、印刷物の出力を実行する。これにより、1ジョブが完了する。
図10の領域10Bでは、プリンタ100の画像形成可能な状態(定常時)の、ステッピングモータ制御手段603に入力される制御信号の周波数と、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数との経時変化を示した。図10の領域10Bから分かるように、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数が、ステッピングモータ402aの制御信号の周波数に対して、速度係数(a=B/A)を維持しており、定常時(カラー印刷時)では転写ベルトB1の表面線速と感光体ドラム10Yの表面
線速とを一致させた状態を維持することが理解される。
さらに、図10の領域10Bでは、フィードバック制御手段606が、定常速度Bと現行回転速度との間の速度差に基づいて、制御パラメータ「Kp」、「Kd」、「Ki」に対応する制御値を算出することが理解される。
次に、感光体ドラムと転写ベルトの駆動を停止する手順について説明する。
例えば、ステッピングモータ制御手段603と、DCブラシレスモータ制御手段604とがそれぞれのモータの回転速度を定常速度で維持している際に、画像形成可能な状態からスリープ状態(停止状態)へ移行するまでの待ち時間であるスリープ時間が経過すると、画像形成手段602は、画像形成可能な状態からスリープ状態へ移行する。
具体的には、画像形成手段602が、ステッピングモータ制御手段603に、ステッピングモータ402aの回転速度を減速する旨の信号(減速信号A)(図4では、減速指示の制御信号Aに対応する)を送信する(図7:S101)。上記減速信号Aは、所定の周波数とパルス幅を有する指示クロック信号(クロック信号、クロック)である。
ステッピングモータ制御手段603は、当該減速信号Aを受信すると、ステッピングモータ402aの回転の減速を開始する(図7:S102)。
具体的には、ステッピングモータ制御手段603が、画像形成手段602から入力された減速信号Aに基づいてステッピングモータ402aの回転速度を減速する駆動パルスをステッピングモータ402aに入力する。ステッピングモータ402aの回転が減速すると、転写ベルトB1の回転が減速される。画像形成手段602は、現行のステッピングモータ402aの回転速度を停止速度に到達するまで、減速信号Aの周波数を連続的に(段階的に)減少させていくことになる。
また、画像形成手段602は、上述した減速信号Aを、ステッピングモータ制御手段603に入力するとともに、DCブラシレスモータ制御手段604を構成する目標速度算出手段605に入力する。
また、画像形成手段602が、当該減速信号Aとは別個に、目標速度算出手段605に、目標速度を算出する旨の信号(算出信号B)(図4では、算出指示の制御信号B)を送信する(図7:S103)。
目標速度算出手段605は当該算出信号Bを受信すると、ステッピングモータ制御手段603に入力される減速信号Aに基づいて、上述したように、ステッピングモータ402aの回転速度に同期した回転速度であるDCブラシレスモータ4041aの目標速度を算出する(図7:S104)。目標速度算出手段605が目標速度を算出すると、当該目標速度をフォードバック制御手段606に送信する。
フィードバック制御手段606は、当該目標速度を受信すると、フィードバック制御テーブル900を参照し、目標速度に対応する制御パラメータを判別する(図7:S105)。
フィードバック制御テーブル900では、「目標速度」に制御パラメータ「Kp」が関連付けて記憶されているため、フィードバック制御手段606は、当該制御パラメータ「Kp」を判別し、受信した目標速度と現行回転速度との間の速度差に基づいて「Kp」に対応する比例制御値を算出する(図7:S106)。
当該判別手順と制御値算出手順は、言い換えると、上記フィードバック制御手段606が、現行回転速度を目標速度に一致させるための制御パラメータ(「Kp」、「Kd」、「Ki」)から、現行回転速度を目標速度に追従させるための制御パラメータ(「Kp」)に切り換えて、DCブラシレスモータ4041aの回転を制御することになる。
制御値の算出が完了すると、フィードバック制御手段606は、算出した制御値が所定の範囲内に属するか否かを判別し、判別された制御値をPWM手段609に送信する。
PWM手段609は、当該制御値に基づいて、PWM信号を発生し、駆動パルス入力手段610に入力する。駆動パルス入力手段610は、当該PWM信号に基づいて、DCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速する駆動パルスをDCブラシレスモータ4041aに入力する。DCブラシレスモータ4041aの回転速度は、ステッピングモータ402aの回転速度と同期しながら、低減する(図7:S107)。
上述した手順は、ステッピングモータ制御手段603がステッピングモータ402aの回転速度を停止速度(停止状態)に到達するまで、目標速度算出手段605とフィードバック制御手段606とが繰り返すこととなる。すなわち、画像形成手段602が、減速信号Aの周波数を、停止状態に対応する制御信号(ステッピングモータの初期に設定されている起動時の制御信号)の周波数まで連続的に減少すると、その減少分に対応して、目標速度算出手段605が、ステッピングモータ402aの回転に同期したDCブラシレスモータ4041aの目標速度を算出し、フィードバック制御手段606が、当該目標速度と現行回転速度との間の速度差と、所定の制御パラメータとに基づいて制御値を算出する。算出された制御値に基づいて変換されたPWM信号は、所定の周波数を保持しつつ、連続的にデューティーが減少するクロック信号となる。その結果、駆動パルス入力手段610が、DCブラシレスモータの回転速度を減少させる駆動パルスをDCブラシレスモータ4041aに入力することになる。
これにより、ステッピングモータ402aにより回転する転写ベルトの表面線速に、DCブラシレスモータ4041aにより回転する感光体ドラム10Yの表面線速を同期する(追従する)ようにして、DCブラシレスモータ4041aの回転速度とステッピングモータ402aの回転速度とを減速することが可能となる。
ステッピングモータ402aの回転速度が停止速度まで到達すると、その到達に対応して、DCブラシレスモータ4041aの回転速度が停止速度となる。これにより、転写ベルトと感光体ドラムとは同時に停止して、プリンタ100はスリープ状態へ移行することになる(図7:S108)。
図10の領域10Cには、プリンタ100が画像形成可能な状態からスリープ状態(停止状態)まで移行する際(停止時)の、ステッピングモータ制御手段603に入力される制御信号(減速信号A)の周波数と、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数との経時変化を示した。図10の領域10Cから分かるように、DCブラシレスモータ4041aのエンコーダパルスの周波数が、ステッピングモータ402aの制御信号の周波数に対して、速度係数(a=B/A)を維持しながら減速される、言い換えると、DCブラシレスモータ4041aの回転が、ステッピングモータ402aの回転に同期しながら減速され、DCブラシレスモータ4041aとステッピングモータ402aとがほぼ同時に停止することが理解される。従って、転写ベルトB1の表面線速と感光体ドラム10Yの表面線速とを一致させた状態で、ステッピングモータ402aとDCブラシレスモータ4041aの回転速度を減速することとなる。
さらに、図10の領域10Cでは、フィードバック制御手段606が、目標速度と現行
回転速度との速度差に基づいて、制御パラメータ「Kp」に対応する比例制御値を算出することが理解される。
プリンタ100がスリープ状態に移行すると、画像形成手段602が、ステッピングモータ制御手段への減速信号Aの入力を停止するため、ステッピングモータ402aの回転が停止する。また、当該減速信号Aについて、目標速度算出手段605への入力も停止するため、DCブラシレスモータ制御手段604がDCブラシレスモータの回転を停止する。
このように、DCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに加速するまたは減速する場合、上記制御信号に基づいて、ステッピングモータの回転速度に同期したDCブラシレスモータの回転速度である目標速度を算出する目標速度算出手段と、現行回転速度と目標速度とに基づいて、DCブラシレスモータの回転を制御するフィードバック制御手段と備えるよう構成している。
これにより、DCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに加速するまたは減速する場合、ステッピングモータの回転速度に同期するようにDCブラシレスモータの回転速度を制御することが可能となる。そのため、ステッピングモータにより回転する転写ベルトの表面線速に、DCブラシレスモータにより回転する感光体ドラムの表面線速を同期する(または追従する)ようにして、DCブラシレスモータの回転速度とステッピングモータの回転速度とを加速するまたは減速することが可能となる。その結果、感光体ドラムの表面線速と転写ベルトの表面線速との間に生じる速度差を最小限に抑え、当該速度差により発生する感光体ドラムと転写ベルトとの間の傷、スリップ痕等を防止することが可能となる。さらに、感光体ドラムと転写ベルトとの間の位置ズレ等も防止することが可能となり、カラー印刷時に発生する色ズレ等のトラブルの発生も防止することが可能となる。
また、上記目標速度算出手段が、内部タイマパルスと上記制御信号とに基づいて算出したカウント数に、定常回転時でのステッピングモータの回転数に対するDCブラシレスモータの回転数の割合である速度係数を乗算して、目標速度を算出するよう構成することができる。
これにより、DCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに加速するまたは減速する場合、定常回転時でのステッピングモータの回転速度とDCブラシレスモータの回転速度との関係を維持しながら、DCブラシレスモータの回転速度を加速するまたは減速することとなる。そのため、ステッピングモータにより回転する転写ベルトの表面線速とDCブラシレスモータにより回転する感光体ドラムの表面線速とが一致する条件で、DCブラシレスモータの回転速度を加速するまたは減速することが可能となる。その結果、転写ベルトと感光体ドラムとの間に発生する傷、スリップ痕等を防止することが可能となるとともに、色ズレ等のトラブルの発生も防止することが可能となる。
また、DCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに加速するまたは減速する場合、上記フィードバック制御手段が、現行回転速度を目標速度に一致させるための制御パラメータから、現行回転速度を目標速度に追従させるための制御パラメータに切り換えて、DCブラシレスモータの回転を制御するよう構成することができる。
これにより、DCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに加速するまたは減速する場合、現行回転速度を目標速度に追従させるための制御パラメータ、すなわち、DCブラシレスモータの加速時または減速時に対応する制御パラメータ
を用いて、ステッピングモータに同期するようにDCブラシレスモータの回転を制御することが可能となる。そのため、DCブラシレスモータの加速時または減速時に生じるオーバーシュート現象またはアンダーシュート現象を抑制しながら、DCブラシレスモータの回転速度とステッピングモータの回転速度とを適切に加速するまたは減速することが可能となる。
また、本発明の実施形態では、スリープ時間が経過すると、画像形成手段が、画像形成可能な状態からスリープ状態へ移行し、ステッピングモータ制御手段に、減速信号Aを送信し、DCブラシレスモータ制御手段に、算出信号Bを送信するよう構成したが、例えば、プリンタの電源が切断された場合やユーザにより駆動停止に対応する命令の信号を画像形成手段が受信した場合に、ステッピングモータ制御手段とDCブラシレスモータ制御手段に、当該減速信号と算出信号とを送信するよう構成しても構わない。
また、本発明の実施形態を構成する各手段の全部または一部を、所定の回路素子(例えば、ダイオード、オペアンプ、抵抗、トランジスタ、スイッチング素子等)とハードウェア資源(例えば、演算素子であるCPU等)を組み合わせて、回路として実現しても構わない。
例えば、フォードバック制御に基づいてトナー像が形成される像担持体に回転を伝達する像担持体モータと、モータの回転を制御するパルス信号である制御信号に基づいて該像担持体に形成されたトナー像が転写される中間転写体に回転を伝達する中間転写体モータとを備える画像形成装置において、像担持体モータの回転速度を中間転写体モータの回転速度とともに加速するまたは減速する場合、上記制御信号に基づいて、中間転写体モータの回転速度に同期した像担持体モータの回転速度である目標速度を算出する目標速度算出回路と、像担持体モータの回転からフィードバックされたフォードバックパルスにより算出される像担持体モータの現行の回転速度である現行回転速度と上記目標速度算出手段が算出した目標速度とに基づいて、像担持体モータの回転を制御するフィードバック制御回路とを備えるよう構成しても構わない。なお、フィードバック制御回路は、例えば、制御演算回路等に該当する。
また、本発明の実施形態では、画像形成手段が、ステッピングモータ制御手段に制御信号を送信するとともに、DCブラシレスモータ制御手段(目標速度算出手段)に送信するよう構成したが、他の構成を採用しても構わない。例えば、DCブラシレスモータ制御手段が、DCブラシレスモータの回転を加速(減速)する際に、ステッピングモータ制御手段に入力される制御信号を参照し、当該制御信号に基づいて、中間転写体モータの回転速度に同期した像担持体モータの回転速度である目標速度を算出するよう構成しても構わない。
また、DCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに加速するまたは減速する場合の判別として、他の判別方法を採用しても構わない。例えば、ステッピングモータ制御手段に入力される制御信号(加速信号、減速信号)と、DCブラシレスモータ制御手段に入力される制御信号(加速信号、減速信号)とを、ステッピングモータ制御手段とDCブラシレスモータ制御手段とが動作する前に、両者から取得し、DCブラシレスモータの回転速度をステッピングモータの回転速度とともに加速(減速)するか否かを判別するモータ同期判別手段を備えるよう構成して、当該判別しても構わない。
なお、本発明の実施形態では、プリンタが各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。上記構成では、上記プログラムをプリンタに読み出させ、そのプリンタが上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作
用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる記憶方法として提供することも可能である。