JP2010065707A - エンジンの点火時期制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸気バルブの開閉特性の変化にかかわらず適切な点火時期を設定することのできるエンジンの点火時期制御装置を提供する。
【解決手段】このエンジンの点火時期制御装置は、吸気バルブ35の開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構5を備えたエンジン1に適用されて、エンジン1の運転状態に基づいて、出力トルク及び燃料消費率が最良となるMBT点火時期とノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうち最も進角側のノック限界点火時期とを算出し、これら点火時期のうち遅角側の点火時期を混合気の燃焼に用いるベース点火時期として設定する。そして、吸気バルブ35の開閉特性の変更にともなう燃焼室23内の温度または圧力の変化を加味してMBT点火時期及びノック限界点火時期を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸気バルブの開閉特性(開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方)を変更する可変動弁機構を備えたエンジンの点火時期制御装置に関する。
一般に、可変動弁機構は、吸気バルブのバルブタイミングを変更するバルブタイミング可変機構と吸気バルブの最大バルブリフト量を変更する最大バルブリフト量可変機構との少なくとも一方を備えて構成されている。なお、特許文献1には、これらバルブタイミング可変機構と最大バルブリフト量可変機構とをあわせて備えた可変動弁機構が提案されている。
特開平2001−263015号公報
ところで、可変動弁機構を備えたエンジンにおいては、開閉特性の変更にともなって燃焼室内の温度/圧力が変化するようになる。従って、良好な燃焼状態を確保するためには、こうした温度/圧力の変化を考慮して点火時期の設定を行う必要がある。
しかし、吸気バルブの開閉特性と燃焼室内の温度/圧力との関係に着目して点火時期の設定を行う点火時期制御装置は未だ提案されていない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸気バルブの開閉特性の変化にかかわらず適切な点火時期を設定することのできるエンジンの点火時期制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
<請求項1>
請求項1に記載の発明は、吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、前記エンジンの運転状態に基づいて点火時期を設定するエンジンの点火時期制御装置において、前記吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化を加味して前記点火時期の設定を行う制御手段を備えたことを要旨としている。
上記構成では、吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化が加味されて点火時期の設定が行われるため、吸気バルブの開閉特性の変化にかかわらず適切な点火時期を設定することができるようになる。
<請求項2>
請求項2に記載の発明は、吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、前記エンジンの運転状態に基づいて、出力トルク及び燃料消費率が最良となるMBT点火時期とノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうち最も進角側のノック限界点火時期とを算出し、これら点火時期のうち遅角側の点火時期を混合気の燃焼に用いるベース点火時期として設定するエンジンの点火時期制御装置において、前記吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化を加味して前記MBT点火時期及び前記ノック限界点火時期を算出する制御手段を備えたことを要旨としている。
上記構成では、吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化が加味されてMBT点火時期及びノック限界点火時期の設定が行われるため、吸気バルブの開閉特性の変化にかかわらず適切なベース点火時期を設定することができるようになる。
<請求項3>
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記吸気バルブの開弁時期に基づいて前記燃焼室内の温度または圧力の変化を推定することを要旨としている。
燃焼室内の温度または圧力は、吸気バルブの開弁時期時に対して一定の相関関係をもって変化する。従って、上記構成を採用することにより、燃焼室内の温度または圧力を適切に推定することができるようになる。
<請求項4>
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記吸気バルブの閉弁時期に基づいて前記燃焼室内の温度または圧力の変化を推定することを要旨としている。
燃焼室内の温度または圧力は、吸気バルブの閉弁時期時に対して一定の相関関係をもって変化する。従って、上記構成を採用することにより、燃焼室内の温度または圧力を適切に推定することができるようになる。
<請求項5>
請求項5に記載の発明は、吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、混合気の燃焼に用いる点火時期をベース点火時期として、前記エンジンの運転状態に基づいてベース点火時期を設定するエンジンの点火時期制御装置において、前記吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行う制御手段を備え、前記制御手段は、適合するベース点火時期がすでに把握されているエンジンの運転状態を基本の運転状態として、前記基本の運転状態における吸気バルブの開閉特性である基本開閉特性と現在の運転状態における吸気バルブの開閉特性である現在開閉特性とに基づいて、前記基本の運転状態における燃焼室内の温度または圧力と前記現在の運転状態における燃焼室内の温度または圧力との差である状態変化量を推定し、前記基本の運転状態に適合したベース点火時期を前記状態変化量に基づいて補正し、補正後のベース点火時期を現在の運転状態に適合したベース点火時期として設定することを要旨としている。
吸気バルブの開閉特性が基本開閉特性から現在開閉特性まで変更されたとき、燃焼室内の温度または圧力は、開弁時期や閉弁時期の変化量に応じて基本の運転状態の温度または圧力から現在の運転状態の温度または圧力まで変化する。このため、基本の運転状態に適合したベース点火時期と現在の運転状態に適合したベース点火時期との間には、上記状態変化量に応じた量のずれが生じる。そこで、上記態様をもってベース点火時期の設定を行うことで、吸気バルブの開閉特性の変化にかかわらず適切なベース点火時期を設定することができるようになる。
<請求項6>
請求項6に記載の発明は、吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、ノッキングの発生を抑制するとともに出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期をベース点火時期として、現在の運転状態に適合したベース点火時期を予め記憶されている複数の基本ベース点火時期のなかから選択するエンジンの点火時期制御装置において、現在の運転状態に適合したベース点火時期を前記複数の基本ベース点火時期のなかから選択することができないとき、前記複数の基本ベース点火時期のいずれか一つに対応した運転状態を基本の運転状態として、この基本の運転状態における吸気バルブの開閉特性である基本開閉特性と現在の運転状態における吸気バルブの開閉特性である現在開閉特性とに基づいて、前記基本の運転状態における燃焼室内の温度または圧力と前記現在の運転状態における燃焼室内の温度または圧力との差である状態変化量を推定し、前記基本の運転状態に適合したベース点火時期を前記状態変化量に基づいて補正し、補正後のベース点火時期を現在の運転状態に適合したベース点火時期として設定する制御手段を備えたことを要旨としている。
吸気バルブの開閉特性が基本開閉特性から現在開閉特性まで変更されたとき、燃焼室内の温度または圧力は、開弁時期や閉弁時期の変化量に応じて基本の運転状態の温度または圧力から現在の運転状態の温度または圧力まで変化する。このため、基本の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期と現在の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期との間には、上記状態変化量に応じた量のずれが生じる。そこで、上記態様をもってMBT点火時期及びノック限界点火時期の設定を行うことで、吸気バルブの開閉特性の変化にかかわらず適切なベース点火時期を設定することができるようになる。
<請求項7>
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、バルブオーバーラップ量の変化にともなう燃焼室内の残留ガス量の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行うものであり、バルブオーバーラップが設定された第1運転状態に対して予め適合されている第1ベース点火時期とバルブオーバーラップが設定されていない第2運転状態に対して予め適合されている第2ベース点火時期とに基づいて、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を算出し、この補正量を前記現在の運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた補正量へ変換し、この変換した補正量と前記第1ベース点火時期とに基づいて、前記現在の運転状態に適合したベース点火時期を算出することを要旨としている。
第1ベース点火時期と第2ベース点火時期との間には、バルブオーバーラップ量に応じた量のずれがある。従って、これら各ベース点火時期を通じて、第1ベース点火時期に含まれているバルブオーバーラップ量に対する点火時期の補正量を算出することができる。そして、この補正量をそのときどきのバルブオーバーラップ量に応じた補正量へ変換することにより、バルブオーバーラップ量がいずれの値に変更されてもこれに対応してベース点火時期の補正を行うことが可能となる。
従って、上記態様をもってベース点火時期の補正を行うことにより、各バルブオーバーラップ量についてベース点火時期の補正量を予め適合しなくとも、バルブオーバーラップ量の変化に対するベース点火時期の補正を適切に行うことができるようになる。
<請求項8>
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記吸気バルブの開閉特性が前記第1運転状態の開閉特性から前記第2運転状態の開閉特性へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量を開閉状態変化量として、この開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を算出し、前記第1ベース点火時期を前記第2ベース点火時期に相当する分だけ遅角するとともに前記開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を加えることで、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を前記第1ベース点火時期から抽出することを要旨としている。
第1ベース点火時期と第2ベース点火時期との間には、次のような違いがある。
(A)第1ベース点火時期は、第1運転状態のバルブオーバーラップ量に対する点火時期の補正量を含めて適合されている。一方で、第2運転状態のベース点火時期は、バルブオーバーラップ量が「0」の状態に対して適合されている。このため、第1ベース点火時期と第2ベース点火時期との間には、第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた量の差がある。
(B)第1ベース点火時期は、第1運転状態の燃焼室内の温度または圧力(第1運転状態の温度/圧力)に対して適合されている。一方で、第2ベース点火時期は、第2運転状態の燃焼室内の温度または圧力(第2運転状態の温度/圧力)に対して適合されている。このため、第1ベース点火時期と第2ベース点火時期との間には、第1運転状態の温度/圧力と第2運転状態の温度/圧力との違いに応じた量の差がある。
ここで、第1ベース点火時期を基準にすると、第1ベース点火時期には燃焼室の温度/圧力変化に対する点火時期の補正量が含まれていないことになる。一方で、第2ベース点火時期には、第1運転状態の温度/圧力から第2運転状態の温度/圧力までの変化量(開閉状態変化量)に応じた点火時期の補正量が含まれていることになる。
従って、第2ベース点火時期に対して第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を加えた点火時期と、第1ベース点火時期に対して開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を加えた点火時期が等しくなる。
そこで、第1ベース点火時期を第2ベース点火時期に相当する分だけ遅角するとともに開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を加えることで、第1ベース点火時期から第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じたベース点火時期の補正量を抽出することが可能となる。これにより、バルブオーバーラップ量に対するベース点火時期の補正量を予め適合しなくとも、同補正量を適切に算出することができるようになる。
<請求項9>
請求項9に記載の発明は、吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、前記エンジンの運転状態に基づいて、出力トルク及び燃料消費率が最良となるMBT点火時期とノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうち最も進角側のノック限界点火時期とを算出し、これら点火時期のうち遅角側の点火時期を混合気の燃焼に用いるベース点火時期として設定するエンジンの点火時期制御装置において、前記吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行う制御手段を備え、前記制御手段は、適合するMBT点火時期及びノック限界点火時期がすでに把握されているエンジンの運転状態を基本の運転状態として、前記基本の運転状態における吸気バルブの開閉特性である基本開閉特性と現在の運転状態における吸気バルブの開閉特性である現在開閉特性とに基づいて、前記基本の運転状態における燃焼室内の温度または圧力と前記現在の運転状態における燃焼室内の温度または圧力との差である状態変化量を推定し、前記基本の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期を前記状態変化量に基づいて補正し、補正後のMBT点火時期及びノック限界点火時期のうち遅角側の点火時期を現在の運転状態に適合したベース点火時期として設定することを要旨としている。なお、こうした構成によれば、請求項5に記載の発明の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
<請求項10>
請求項10に記載の発明は、吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期をMBT点火時期とするとともにノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうち最も進角側の点火時期をノック限界点火時期として、現在の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期を予め記憶されている複数の基本MBT点火時期及び複数の基本ノック限界点火時期のなかから選択し、これら選択した点火時期のうち遅角側の点火時期を混合気の燃焼に用いるベース点火時期として設定するエンジンの点火時期制御装置において、現在の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期を前記複数の基本MBT点火時期及び前記複数の基本ノック限界点火時期のなかから選択することができないとき、前記複数の基本MBT点火時期のいずれか一つと前記複数の基本ノック限界点火時期のいずれか一つとに共通して対応した運転状態を基本の運転状態として、この基本の運転状態における吸気バルブの開閉特性である基本開閉特性と現在の運転状態における吸気バルブの開閉特性である現在開閉特性とに基づいて、前記基本の運転状態における燃焼室内の温度または圧力と前記現在の運転状態における燃焼室内の温度または圧力との差である状態変化量を推定し、前記基本の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期を前記状態変化量に基づいて補正し、補正後のMBT点火時期及びノック限界点火時期のうち遅角側の点火時期を現在の運転状態に適合したベース点火時期として設定する制御手段を備えたことを要旨としている。なお、こうした構成によれば、請求項6に記載の発明の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
<請求項11>
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、バルブオーバーラップ量の変化にともなう燃焼室内の残留ガス量の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行うものであり、バルブオーバーラップが設定された第1運転状態に対して予め適合されている第1MBT点火時期とバルブオーバーラップが設定されていない第2運転状態に対して予め適合されている第2MBT点火時期とに基づいて、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を算出し、この補正量を前記現在の運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた補正量へ変換し、この変換した補正量と前記第1MBT点火時期とに基づいて、前記現在の運転状態に適合したMBT点火時期を算出することを要旨としている。なお、こうした構成によれば、請求項7に記載の発明の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
<請求項12>
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記吸気バルブの開閉特性が前記第1運転状態の開閉特性から前記第2運転状態の開閉特性へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量を開閉状態変化量として、この開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を算出し、前記第1MBT点火時期を前記第2MBT点火時期に相当する分だけ遅角するとともに前記開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を加えることで、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を前記第1MBT点火時期から抽出することを要旨としている。なお、こうした構成によれば、請求項8に記載の発明の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
<請求項13>
請求項13に記載の発明は、請求項9〜12のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、バルブオーバーラップ量の変化にともなう燃焼室内の残留ガス量の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行うものであり、バルブオーバーラップが設定された第1運転状態に対して予め適合されている第1ノック限界点火時期とバルブオーバーラップが設定されていない第2運転状態に対して予め適合されている第2ノック限界点火時期とに基づいて、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を算出し、この補正量を前記現在の運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた補正量へ変換し、この変換した補正量と前記第1ノック限界点火時期とに基づいて、前記現在の運転状態に適合したノック限界点火時期を算出することを要旨としている。なお、こうした構成によれば、請求項7に記載の発明の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
<請求項14>
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記吸気バルブの開閉特性が前記第1運転状態の開閉特性から前記第2運転状態の開閉特性へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量を開閉状態変化量として、この開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を算出し、前記第1ノック限界点火時期を前記第2ノック限界点火時期に相当する分だけ遅角するとともに前記開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を加えることで、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を前記第1ノック限界点火時期から抽出することを要旨としている。なお、こうした構成によれば、請求項8に記載の発明の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
<請求項15>
請求項15に記載の発明は、請求項8または12または14に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記第1運転状態の開弁時期と前記第2運転状態の開弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの開弁時期が前記第1運転状態の開弁時期から前記第2運転状態の開弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である開弁側状態変化量を推定するとともに、前記第1運転状態の閉弁時期と前記第2運転状態の閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記第1運転状態の閉弁時期から前記第2運転状態の閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である閉弁側状態変化量を推定し、前記開弁側状態変化量と前記閉弁側状態変化量とに基づいて前記開閉状態変化量を推定することを要旨としている。
開弁時期の変化に対する燃焼室内の温度または圧力の変化傾向と、閉弁時期の変化に対する燃焼室内の温度または圧力の変化傾向とは、それぞれ異なったものとなる。そこで、上記構成を採用することにより、開弁時期及び閉弁時期の影響を適切に反映した開閉状態変化量を算出することができるようになる。
<請求項16>
請求項16に記載の発明は、請求項5〜15のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記基本開閉特性の開弁時期である基本開弁時期と前記現在開閉特性の開弁時期である現在開弁時期とに基づいて前記状態変化量を推定することを要旨としている。
<請求項17>
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記吸気バルブの開弁時期のうち上死点の開弁時期を基準開弁時期として、前記基準開弁時期と前記基本開弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの開弁時期が前記基準開弁時期から前記基本開弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第1開弁状態変化量を推定するとともに、前記基準開弁時期と前記現在開弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの開弁時期が前記基準開弁時期から前記現在開弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第2開弁状態変化量を推定し、前記第1開弁状態変化量と前記第2開弁状態変化量とに基づいて前記状態変化量を推定することを要旨としている。
請求項16及び請求項17に記載の発明によれば、次のような作用効果が奏せられるようになる。
燃焼室内の温度または圧力は、吸気バルブの開弁時期時に対して一定の相関関係をもって変化する。従って、上記構成を採用することにより、状態変化量を適切に推定することができるようになる。
<請求項18>
請求項18に記載の発明は、請求項5〜17のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記基本開閉特性の閉弁時期である基本閉弁時期と前記現在開閉特性の閉弁時期である現在閉弁時期とに基づいて前記状態変化量を推定することを要旨としている。
<請求項19>
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記吸気バルブの閉弁時期のうち下死点の閉弁時期を基準閉弁時期として、前記基準閉弁時期と前記基本閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記基準閉弁時期から前記基本閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第1閉弁状態変化量を推定するとともに、前記基準閉弁時期と前記現在閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記基準閉弁時期から前記現在閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第2閉弁状態変化量を推定し、前記第1閉弁状態変化量と前記第2閉弁状態変化量とに基づいて前記状態変化量を推定することを要旨としている。
請求項18及び請求項19に記載の発明によれば、次のような作用効果が奏せられるようになる。
燃焼室内の温度または圧力は、吸気バルブの閉弁時期時に対して一定の相関関係をもって変化する。従って、上記構成を採用することにより、状態変化量を適切に推定することができるようになる。
<請求項20>
請求項20に記載の発明は、請求項18に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記吸気バルブの閉弁時期のうち前記エンジンの充填効率が最大となる閉弁時期を最大充填閉弁時期として、前記最大充填閉弁時期と前記基本閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記最大充填閉弁時期から前記基本閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第3閉弁状態変化量を推定するとともに、前記最大充填閉弁時期と前記現在閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記最大充填閉弁時期から前記現在閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第4閉弁状態変化量を推定し、前記第3閉弁状態変化量と前記第4閉弁状態変化量とに基づいて前記状態変化量を推定することを要旨としている。
最大充填閉弁時期は、吸気バルブの閉弁時期に対する燃焼室内の温度または圧力の変化傾向の変曲点に相当するため、最大充填閉弁時期を状態変化量の算出基準とすることにより、燃焼室内の温度/圧力の変化傾向が同じ領域において状態変化量が算出されることになる。これにより、状態変化量の推定精度が向上するため、点火時期の補正精度の向上を図ることができるようになる。
<請求項21>
請求項21に記載の発明は、請求項5〜20のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記エンジンの回転速度を加味して前記状態変化量を推定することを要旨としている。
燃焼室内の温度/圧力は、エンジンの回転速度に応じた吸気脈動の影響を受けて変化する。そこで、上記構成を採用することにより、状態変化量の推定精度を向上させることができるようになる。
<請求項22>
請求項22に記載の発明は、請求項5〜21のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記エンジンの吸入空気量を加味して前記状態変化量を推定することを要旨としている。
吸気脈動の振幅は、エンジンの吸入空気量に応じて変動するため、吸入空気量とともに燃焼室の温度/圧力が変化するようになる。そこで、上記構成を採用することにより、状態変化量の推定精度を向上させることができるようになる。
<請求項23>
請求項23に記載の発明は、請求項5〜22のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記エンジンの吸気管の有効長さを加味して前記状態変化量を推定することを要旨としている。
吸気管の有効長さが変化すると、これにともなって吸気脈動の周期が変化するため、あわせて燃焼室内の温度/圧力も影響を受けるようになる。そこで、上記構成を採用することにより、状態変化量の推定精度を向上させることができるようになる。
<請求項24>
請求項24に記載の発明は、請求項1〜23のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、前記制御手段は、前記燃焼室内の温度または圧力の指標値として圧縮上死点における燃焼室内の温度または圧力の推定値を用いることを要旨としている。
圧縮端温度/圧縮端圧力は、他のクランク角度における燃焼室内の温度/圧力に比べて吸気バルブの開閉特性の変化に対する感度が高いことが確認されている。そこで、上記構成を採用することにより、開閉特性の変化に対する状態変化量の変化がより的確に把握されるようになるため、状態変化量に基づく点火時期の補正精度を向上させることができるようになる。
本発明にかかるエンジンの点火時期制御装置を具体化した第1実施形態について、エンジンの構造を示す構成図。 同実施形態の吸気バルブタイミング可変機構による吸気バルブタイミングの変更態様を示す図。 同実施形態の排気バルブタイミング可変機構による排気バルブタイミングの変更態様を示す図。 同実施形態の吸気最大バルブリフト量可変機構による吸気最大バルブリフト量の変更態様を示す図。 同実施形態の吸気カム選択マップの一例を示す図。 吸気バルブ開弁時期と燃焼室内の温度/圧力との関係を示すグラフ。 吸気バルブ閉弁時期と燃焼室内の温度/圧力との関係を示すグラフ。 バルブオーバーラップ量と残留ガス率との関係を示すグラフ。 同実施形態においてベース点火時期を設定するために実行される「ベース点火時期設定処理」の構造を示す図。 同実施形形態においてベース点火時期を設定するために実行される「ベース点火時期設定処理」の構造を示す。 同実施形態の「ベース点火時期設定処理」を通じて算出される各パラメータの関係を示す図。 同実施形態の「ベース点火時期設定処理」を通じて算出される各パラメータの関係を示す図。 同実施形態において可変動弁機構を駆動するために実行される「可変動弁機構駆動処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において目標カムを設定するために実行される「目標カム設定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態においてベース点火時期を設定するために実行される「ベース点火時期設定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態においてベース点火時期を設定するために実行される「ベース点火時期設定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において現在カム全圧力変化量を算出するために実行される「圧縮端圧力変化量算出処理[1]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において現在カムIVO圧力変化量を算出するために実行される「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[1]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において現在カムIVC圧力変化量を算出するために実行される「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[1]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において初期カム全圧力変化量を算出するために実行される「圧縮端圧力変化量算出処理[2]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において初期カムIVO圧力変化量を算出するために実行される「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[2]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において初期カムIVC圧力変化量を算出するために実行される「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[2]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態においてオーバーラップ比率を算出するために実行される「オーバーラップ比率算出処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において現在カムMBT点火時期を算出するために実行される「現在カムMBT点火時期設定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において第1MBT補正量を算出するために実行される「第1MBT補正量算出処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において第2MBT補正量を算出するために実行される「第2MBT補正量算出処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において現在カム全温度変化量を算出するために実行される「圧縮端温度変化量算出処理[1]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において現在カムIVO温度変化量を算出するために実行される「IVO圧縮端温度変化量算出処理[1]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において現在カムIVC温度変化量を算出するために実行される「IVC圧縮端温度変化量算出処理[1]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において初期カム全温度変化量を算出するために実行される「圧縮端温度変化量算出処理[2]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において初期カムIVO温度変化量を算出するために実行される「IVO圧縮端温度変化量算出処理[2]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において初期カムIVC温度変化量を算出するために実行される」IVC圧縮端温度変化量算出処理[2]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において現在カムノック限界点火時期を算出するために実行される「現在カムノック限界点火時期設定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において第1ノック限界補正量を算出するために実行される「第1ノック限界補正量算出処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において第2ノック限界補正量を算出するために実行される「第2ノック限界補正量算出処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において吸気バルブ開弁時期及びエンジン回転速度と圧縮端圧力との関係を設定したIVO圧縮端圧力算出マップの一例を示す図。 同実施形態のIVO圧縮端圧力算出マップについて、等エンジン回転速度における吸気バルブ開弁時期と圧縮端圧力との関係を示すグラフ。 同実施形態において吸気バルブ閉弁時期及びエンジン回転速度と圧縮端圧力との関係を設定したIVC圧縮端圧力算出マップの一例を示す図。 同実施形態のIVC圧縮端圧力算出マップについて、等エンジン回転速度における吸気バルブ閉弁時期と圧縮端圧力との関係を示すグラフ。 同実施形態において圧縮端圧力変化量と第1MBT補正量との関係を設定した第1MBT補正量算出マップの一例を示す図。 同実施形態において吸入空気率及びエンジン回転速度と最適カムMBT点火時期との関係を設定した最適カムMBT点火時期算出マップの一例を示す図。 同実施形態の最適カムMBT点火時期算出マップについて、等エンジン回転速度における吸入空気率とMBT点火時期との関係を示すグラフ。 同実施形態において吸入空気率及びエンジン回転速度と初期カムMBT点火時期との関係を設定した初期カムMBT点火時期算出マップの一例を示す図。 同実施形態の初期カムMBT点火時期算出マップについて、等エンジン回転速度における吸入空気率とMBT点火時期との関係を示すグラフ。 同実施形態においてオーバーラップ比率と点火時期補正比率との関係を設定した点火時期補正比率算出マップの一例を示す図。 同実施形態において吸気バルブ開弁時期及びエンジン回転速度と圧縮端温度との関係を設定したIVO圧縮端温度算出マップの一例を示す図。 同実施形態のIVO圧縮端温度算出マップについて、等エンジン回転速度における吸気バルブ開弁時期と圧縮端温度との関係を示すグラフ。 同実施形態において吸気バルブ閉弁時期及びエンジン回転速度と圧縮端温度との関係を設定したIVC圧縮端温度算出マップの一例を示す図。 同実施形態のIVC圧縮端温度算出マップについて、等エンジン回転速度における吸気バルブ閉弁時期と圧縮端温度との関係を示すグラフ。 同実施形態において圧縮端温度変化量と第1ノック限界補正量との関係を設定した第1ノック限界補正量算出マップの一例を示す図。 同実施形態において吸入空気率及びエンジン回転速度と最適カムノック限界点火時期との関係を設定した最適カムノック限界点火時期算出マップの一例を示す図。 同実施形態の最適カムノック限界点火時期算出マップについて、等エンジン回転速度における吸入空気率とノック限界点火時期との関係を示すグラフ。 同実施形態において吸入空気率及びエンジン回転速度と初期カムノック限界点火時期との関係を設定した初期カムノック限界点火時期算出マップの一例を示す図。 同実施形態の初期カムノック限界点火時期算出マップについて、等エンジン回転速度における吸入空気率とノック限界点火時期との関係を示すグラフ。 本発明にかかるエンジンの点火時期制御装置を具体化した第2実施形態について、現在カムIVC圧力変化量を算出するために実行される「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[3]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において初期カムIVC圧力変化量を算出するために実行される「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[4]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において現在カムIVC温度変化量を算出するために実行される「IVC圧縮端温度変化量算出処理[3]」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において初期カムIVC温度変化量を算出するために実行される「IVC圧縮端温度変化量算出処理[4]」の処理手順を示すフローチャート。 本発明にかかるエンジンの点火時期制御装置を具体化した第3実施形態について、圧縮端圧力変化量と第1ノック限界補正量との関係を設定した第1ノック限界補正量算出マップ[2]の一例を示す図。 本発明にかかるエンジンの点火時期制御装置を具体化した第4実施形態について、圧縮端温度変化量と第1MBT補正量との関係を設定した第1MBT補正量算出マップ[2]の一例を示す図。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1〜図54を参照して説明する。
本実施形態では、吸気バルブのバルブ特性(バルブタイミング及び最大バルブリフト量)を変更することのできる可変動弁機構を備えたエンジンに対して本発明を適用している。
<エンジンの構成>
図1に、エンジン1の断面構造を示す。
エンジン1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド3とを備えて構成されている。
シリンダブロック2には、シリンダ21が設けられている。
シリンダ21内には、ピストン22が往復動可能に収容されている。
シリンダ21内には、シリンダ21の内周面、ピストン22の頂面、及びシリンダヘッド3に囲まれて燃焼室23が区画形成されている。
シリンダヘッド3には、吸気ポート31及び排気ポート32が設けられている。
吸気ポート31には、吸気管33が接続されている。また、吸気ポート31を開閉することにより吸気管33と燃焼室23との接続状態を変更する吸気バルブ35が配置されている。
排気ポート32には、排気管34が接続されている。また、排気ポート32を開閉することにより排気管34と燃焼室23との接続状態を変更する排気バルブ36が配置されている。
シリンダヘッド3において燃焼室23の頂部を形成する箇所には、燃料と空気とにより形成された混合気を火花着火するイグニッションプラグ37が配置されている。
吸気管33には、吸気管33内を流通する空気の流量を調整するスロットルバルブ38が設けられている。また、吸気ポート31へ向けて燃料を噴射するポート噴射インジェクタ39が配置されている。
シリンダヘッド3には、吸気バルブ35及び排気バルブ36のバルブ特性を変更する可変動弁機構5が備えられている。
可変動弁機構5は、吸気バルブタイミング可変機構51、排気バルブタイミング可変機構52、及び吸気最大バルブリフト量可変機構53を備えて構成されている。
吸気バルブタイミング可変機構51は、吸気バルブ35のバルブタイミング(吸気バルブタイミングINVT)を変更する。即ち、エンジン1のクランクシャフトに対する吸気バルブ35のカムシャフトの相対回転位相を変更する。バルブタイミングの変更により、吸気バルブ35の開弁時期(吸気バルブ開弁時期IVO)及び吸気バルブ35の閉弁時期(吸気バルブ閉弁時期IVC)が同じクランク角度だけ進角または遅角される。
図2に示すように、吸気バルブタイミングINVTは、最も進角側のバルブタイミング(最進角吸気バルブタイミングINVTmax)から最も遅角側のバルブタイミング(最遅角吸気バルブタイミングINVTmin)までの間で連続的に変更される。また、吸気バルブ35の開弁期間(吸気バルブ開弁時期IVOから吸気バルブ閉弁時期IVCまでのクランク角度)が一定に維持された状態で、吸気バルブ開弁時期IVO及び吸気バルブ閉弁時期IVCが変更される。なお、以降では、吸気バルブ35の開弁期間を吸気バルブ作用角INCAMとする。
排気バルブタイミング可変機構52は、排気バルブ36のバルブタイミング(排気バルブタイミングEXVT)を変更する。即ち、エンジン1のクランクシャフトに対する排気バルブ36のカムシャフトの相対回転位相を変更する。バルブタイミングの変更により、排気バルブ36の開弁時期(排気バルブ開弁時期EVO)及び排気バルブ36の閉弁時期(排気バルブ閉弁時期EVC)が同じクランク角度だけ進角または遅角される。
図3に示すように、排気バルブタイミングEXVTは、最も進角側のバルブタイミング(最進角排気バルブタイミングEXVTmax)から最も遅角側のバルブタイミング(最遅角排気バルブタイミングEXVTmin)までの間で連続的に変更される。また、排気バルブ36の開弁期間(排気バルブ開弁時期EVOから排気バルブ閉弁時期EVCまでのクランク角度)が一定に維持された状態で、排気バルブ開弁時期EVO及び排気バルブ閉弁時期EVCが変更される。なお、以降では、排気バルブ36の開弁期間を排気バルブ作用角EXCAMとする。
吸気最大バルブリフト量可変機構53は、吸気バルブ35の最大バルブリフト量(吸気最大バルブリフト量INVL)を変更する。また、吸気最大バルブリフト量INVLとともに吸気バルブ作用角INCAMを変更する。
図4に示すように、吸気最大バルブリフト量INVLは、最も大きい最大バルブリフト量(上限最大バルブリフト量INVLmax)から最も小さい最大バルブリフト量(下限最大バルブリフト量INVLmin)までの間で連続的に変更される。また、これに対応して、吸気バルブ作用角INCAMも最も大きいバルブ作用角(最大吸気バルブ作用角INCAMmax)から最も小さいバルブ作用角(最小吸気バルブ作用角INCAMmin)までの間で連続的に変更される。
エンジン1においては、吸気バルブタイミング可変機構51及び吸気最大バルブリフト量可変機構53による吸気バルブ35のバルブ特性の変更にともなって吸気バルブ35の開閉特性(吸気バルブ開弁時期IVO及び吸気バルブ閉弁時期IVCの少なくとも一方)が変更される。
エンジン1には、燃料噴射量、点火時期、及びバルブ特性(バルブタイミング及び最大バルブリフト量の組み合わせ)などを統括的に制御する電子制御装置9が備えられている。なお、制御手段は、電子制御装置9を備えて構成されている。
電子制御装置9は、エンジン制御にかかる演算処理を実行するCPU、エンジン制御に必要なプログラムや情報の記憶するためのメモリ、外部との信号の入出力を行うための入力ポート及び出力ポートを備えて構成される。
電子制御装置9の入力ポートには、エンジン運転状況を検出する以下の各種センサが接続されている。
・回転速度センサ91は、エンジン1のクランクシャフトの回転速度(エンジン回転速度NE)を検出する。
・スロットル開度センサ92は、スロットルバルブの開度(スロットル開度TA)を検出する。
・エアフロメータ93は、吸気管33内を流通する空気の流量(吸入空気量GA)を検出する。
・吸気バルブタイミングセンサ94は、吸気バルブタイミングINVTを検出する。
・排気バルブタイミングセンサ95は、排気バルブタイミングEXVTを検出する。
・吸気最大バルブリフト量センサ96は、吸気最大バルブリフト量INVLを検出する。
電子制御装置9の出力ポートには、イグニッションプラグ37、スロットルバルブ38、ポート噴射インジェクタ39、吸気バルブタイミング可変機構51、排気バルブタイミング可変機構52、及び吸気最大バルブリフト量可変機構53などが接続されている。
電子制御装置9は、吸気バルブタイミング可変機構51及び吸気最大バルブリフト量可変機構53とスロットルバルブ38との協調制御を通じて吸入空気量を調整することで、実際の吸入空気量(吸入空気量GA)を吸入空気量の要求値(要求吸入空気量GAreq)へ収束させる。なお、要求吸入空気量GAreqは、アクセルの操作量等に基づいて算出される。
<エンジンのバルブ特性>
本実施形態において、吸気最大バルブリフト量可変機構53の制御や点火時期制御などに用いられるエンジン1の各バルブ特性(バルブタイミング及び最大バルブリフト量)について説明する。
[A]目標カムCtrgは、エンジン1の運転状態に基づいて設定されるバルブ特性の目標値を示す。
[B]最適カムCbstは、燃料消費率が最良となるバルブ特性を示す。なお、最適カムCbstは、バルブオーバーラップ量OVLPが「0」より大きい値に設定されている。また、最適カムCbstは、第1運転状態のバルブ特性に相当する。
[C]初期カムCdflは、エンジン1の冷間時にエミッションの悪化を抑制することのできるバルブ特性を示す。なお、初期カムCdflは、バルブオーバーラップ量OVLPが「0」に設定されている。また、初期カムCdflは、第2運転状態のバルブ特性に相当する。
[D]基準カムCtdcは、吸気バルブ開弁時期IVOが上死点(TDC)、且つ吸気バルブ閉弁時期IVCが下死点(BDC)のバルブ特性を示す。なお、本実施形態では、上死点のクランク角度を「0deg」としている。
[E]現在カムCnowは、現在のバルブ特性を示す。
上記各バルブ特性における各パラメータを次のように規定する。
[1]「最適カム」
・最適カムCbstの吸気バルブ開弁時期IVO…最適カム吸気開弁時期IVObst。
・最適カムCbstの吸気バルブ閉弁時期IVC…最適カム吸気閉弁時期IVCbst。
・最適カムCbstの排気バルブ閉弁時期EVC…最適カム排気閉弁時期EVCbst。
・最適カムCbstのバルブオーバーラップ量OVLP…最適カムオーバーラップ量OVLPbst。
[2]「初期カム」
・初期カムCdflの吸気バルブ開弁時期IVO…初期カム吸気開弁時期IVOdfl。
・初期カムCdflの吸気バルブ閉弁時期IVC…初期カム吸気閉弁時期IVCdfl。
・初期カムCdflの排気バルブ閉弁時期EVC…初期カム排気閉弁時期EVCdfl。
[3]「基準カム」
・基準カムCtdcの吸気バルブ開弁時期IVO…基準カム吸気開弁時期IVOtdc。
・基準カムCtdcの吸気バルブ閉弁時期IVC…基準カム吸気閉弁時期IVCtdc。
・基準カムCtdcの排気バルブ閉弁時期EVC…基準カム排気閉弁時期EVCtdc。
[4]「現在カム」
・現在カムCnowの吸気バルブ開弁時期IVO…現在カム吸気開弁時期IVOnow。
・現在カムCnowの吸気バルブ閉弁時期IVC…現在カム吸気閉弁時期IVCnow。
・現在カムCnowの排気バルブ閉弁時期EVC…現在カム排気閉弁時期EVCnow。
・現在カムCnowのバルブオーバーラップ量OVLP…現在カムオーバーラップ量OVLPnow。
なお、最適カム吸気開弁時期IVObstは、基本開弁時期に相当する。最適カム吸気閉弁時期IVCbstは、基本閉弁時期に相当する。基準カム吸気開弁時期IVOtdcは、基準開弁時期に相当する。基準カム吸気閉弁時期IVCtdcは、基準閉弁時期に相当する。現在カム吸気開弁時期IVOnowは、現在開弁時期に相当する。現在カム吸気閉弁時期IVCnowは、現在閉弁時期に相当する。
<バルブ特性の設定態様>
電子制御装置9は、エンジン1の冷間時、初期カムCdflを目標カムCtrgとして設定する。また、エンジン1の暖機完了後、基本的には最適カムCbstを目標カムCtrgとして設定する。なお、特別な要求が検出されたときには、そうした要求に応じたバルブ特性を目標カムCtrgとして設定する。
吸気バルブ35特性(吸気バルブタイミングINVT及び吸気バルブ作用角INCAM)及び排気バルブ34特性(排気バルブタイミングEXVT)は、次のように変更される。
[A]エンジン1の冷間時、吸気バルブタイミングINVT及び吸気バルブ作用角INCAM(吸気最大バルブリフト量INVL)は、初期カムCdflの特性に維持される。また、排気バルブタイミングEXVTも、初期カムCdflの特性に維持される。
[B]エンジン1の暖機完了後、吸気バルブタイミングINVT及び吸気バルブ作用角INCAMは、基本的には要求吸入空気量GAreqに応じて変更される。また、排気バルブタイミングEXVTは、特別な要求がない限り一定のバルブタイミング(定常排気バルブタイミングEXVTst)に維持される。
電子制御装置9は、バルブタイミング−バルブ作用角線図上に最適カムCbst、初期カムCdfl及び基準カムCtdcの吸気バルブ35特性(吸気バルブタイミングINVT及び吸気バルブ作用角INCAM)を設定した吸気カム選択マップを通じて、エンジン1の運転状態に応じた吸気バルブ35特性を選択する。なお、吸気カム選択マップは、予め電子制御装置9に記憶されている。
図5に、吸気カム選択マップの一例を示す。
吸気カム選択マップにおいて、吸気バルブタイミングINVTが最進角吸気バルブタイミングINVTmaxから最遅角吸気バルブタイミングINVTminへ向かうにつれて吸気バルブ作用角INCAMが最大吸気バルブ作用角INCAMmaxから最小吸気バルブ作用角INCAMminへ変化する方向に傾斜した線は、等吸気バルブ開弁時期線(吸気バルブ開弁時期IVOが等しいバルブ特性)を示す。
また、吸気バルブタイミングINVTが最進角吸気バルブタイミングINVTmaxから最遅角吸気バルブタイミングINVTminへ向かうにつれて吸気バルブ作用角INCAMが最小吸気バルブ作用角INCAMminから最大吸気バルブ作用角INCAMmaxへ変化する方向に傾斜した線は、等吸気バルブ閉弁時期線(吸気バルブ閉弁時期IVCが等しいバルブ特性)を示す。
吸気カム選択マップ上において、最適カムCbst、初期カムCdfl及び基準カムCtdcは、次のように示される。
・最適カムCbstの吸気バルブタイミングINVT及び吸気バルブ作用角INCAMは、曲線A−Aで示される。
・初期カムCdflの吸気バルブタイミングINVT及び吸気バルブ作用角INCAMは、点Bで示される。
・基準カムCtdcの吸気バルブタイミングINVT及び吸気バルブ作用角INCAMは、点Cで示される。
電子制御装置9には、上記吸気カム選択マップとは別に、最適カムCbst、初期カムCdfl及び基準カムCtdcの排気バルブ34特性(排気バルブタイミングEXVT)を設定した排気カム選択マップが予め記憶されている。最適カムCbst、初期カムCdfl及び基準カムCtdcの排気バルブ34特性は、それぞれ最適カムCbst、初期カムCdfl及び基準カムCtdcの吸気バルブ35特性と関連付けて設定されている。
電子制御装置9は、エンジン1の運転状態に基づいて目標カムCtrgを設定する際、エンジン1の運転状態に対応した吸気バルブ35特性を吸気カム選択マップから選択する。また、エンジン1の運転状態に対応した排気バルブ34特性を排気カム選択マップから選択する。
そして、これら吸気バルブ35特性と排気バルブ34特性とから目標カムCtrgを設定し、現在カムCnowが目標カムCtrgと一致するように吸気バルブタイミング可変機構51、排気バルブタイミング可変機構52、及び吸気最大バルブリフト量可変機構53の各々のアクチュエータを駆動する。
<点火時期の設定態様>
電子制御装置9には、最適カムCbstに適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期が設定されたマップと、初期カムCdflに適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期が設定されたマップとが予め記憶されている。なお、最適カムCbst及び初期カムCdflは、適合するベース点火時期が予め把握されている運転状態(基本の運転状態)のバルブ特性に相当する。
電子制御装置9は、最適カムCbstを目標カムCtrgとして設定しているとき、最適カムCbstのMBT点火時期と最適カムCbstのノック限界点火時期とのうち、遅角側の点火時期を最終的にイグニッションプラグ37へ適用するための点火時期(ベース点火時期)として設定する。
一方で、初期カムCdflを目標カムCtrgとして設定しているとき、初期カムCdflのMBT点火時期と初期カムCdflのノック限界点火時期とのうち、遅角側の点火時期を最終的にイグニッションプラグ37へ適用するための点火時期(ベース点火時期)として設定する。
なお、MBT点火時期は、現在の運転状態において出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期を示す。また、ノック限界点火時期は、現在の運転状態においてノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうち、最も進角側の点火時期を示す。
ところで、エンジン1においては、基本的には現在カムCnowが吸気カム選択マップの曲線A−A上を移動するように可変動弁機構5が制御されるが、吸気バルブタイミング可変機構51と吸気最大バルブリフト量可変機構53との応答性の違いにより、現在カムCnowが最適カムCbst(吸気カム選択マップの曲線A−A)から外れた状態となることもある。このとき、燃焼室23内の状態が最適カムCbstのMBT/ノック限界点火時期の適合に際して想定された状態とは異なっているため、最適カムCbstのMBT/ノック限界点火時期に基づいてベース点火時期を設定した場合には、出力トルクの低下やノックなどをまねくようになる。
なお、こうした問題は、現在カムCnowが最適カムCbstと一致しない場合に限られず、MBT/ノック限界点火時期が予め適合されているバルブ特性(本実施形態では最適カムCbst及び初期カムCdflがこのバルブ特性に相当する)と現在のバルブ特性とが一致していない状況であれば同様に生じる。即ち、予め記憶されているMBT/ノック限界点火時期のなかに現在カムCnowに適合した点火時期がないとき、上記問題をまねくようになる。
また、吸気バルブタイミング可変機構51と吸気最大バルブリフト量可変機構53との応答性の違い以外の要因によって上記問題が生じることもある。ちなみに、エンジン1においては、積極的に目標カムCtrgを最適カムCbst及び初期カムCdflと異なるバルブ特性に設定することもある。例えば、要求吸入空気量GAreqが急激且つ大幅に増加したとき、要求吸入空気量GAreqに対する実際の吸入空気量の応答性を確保するため、こうした要求に対応することのできるバルブ特性を目標カムCtrgとして設定する。この場合も、現在カムCnowが最適カムCbst及び初期カムCdflと異なった状態となるため、上記問題が生じる。
現在カムCnowが最適カムCbstから外れているとき、最適カムCbstにおける燃焼室23内の状態と現在カムCnowにおける燃焼室23内の状態との間には、次のような違いが生じるようになる。
[A]現在カムCnowと最適カムCbstとにおいて、吸気バルブ35のバルブタイミング(吸気バルブ開弁時期IVO及び吸気バルブ閉弁時期IVC)が異なることにより、燃焼室23内の温度/圧力に差が生じる。
[B]現在カムCnowと最適カムCbstとにおいて、バルブオーバーラップ量OVLPが異なることにより、燃焼室23内の残留ガス量に差が生じるようになる。なお、残留ガスには、燃焼室23から排気管34へ一旦流出した後に排気管34から燃焼室23内へ流入した内部EGRガスと、排気管34へ排出されずに燃焼室23内に滞留し続けているガスとが含まれている。
そこで、本実施形態では、こうした最適カムCbstにおける燃焼室23内の状態と現在カムCnowにおける燃焼室23内の状態との違いを把握し、これを加味してベース点火時期を設定するようにしている。
<バルブタイミングと燃焼室内の温度/圧力との関係>
〔1〕「吸気バルブ開弁時期と燃焼室の温度/圧力との関係」
図6に、吸気バルブ開弁時期IVOと燃焼室23内の温度/圧力との関係を示す。
エンジン1の吸気行程において、吸気バルブ35のバルブリフト量が小さい状態のとき、吸気ポート31の開口面積が小さいため、空気の流れの方向が吸気バルブ35近傍(燃焼室23と吸気ポート31との境界付近)において大きく曲げられた後、吸気バルブ35とシリンダ壁との微小な隙間を介して燃焼室23内へ空気が引き込まれる。このとき、燃焼室23内へ流入する空気の流速が大きいほど気流方向が急激に変化するため、気流方向の変化にともなう熱エネルギの発生量が増加する(燃焼室23内の空気の温度上昇が生じる)ようになる。
従って、吸気バルブ開弁時期IVOがATDC側において遅角側へ大きくなるほど燃焼室23内の負圧が大きい状態(空気の流速が大きくなる条件下)で吸気バルブ35が開弁されることになるため、燃焼室23内の温度/圧力が大きくなる傾向を示す。
なお、吸気最大バルブリフト量INVLが大きい場合においては、吸気ポート31が開かれた直後及び吸気ポート31が閉じられる直前が、上述したバルブリフト量の小さい状態に相当する。また、吸気最大バルブリフト量INVLが小さい場合においては、吸気バルブ35の全バルブリフト領域が上述したバルブリフト量の小さい状態に相当する。
〔2〕「吸気バルブ閉弁時期と燃焼室の温度/圧力との関係」
図7に、吸気バルブ閉弁時期IVCと燃焼室23の温度/圧力との関係を示す。
エンジン1の吸気行程において、吸気脈動により吸気ポート31付近の圧力が上昇しているとき、燃焼室23内へ流入する空気の流速が高められるようになる。
従って、吸気脈動により充填効率が最大となるときに吸気バルブ35が閉弁される場合、バルブリフト量が小さい状態において燃焼室23内へ流入する空気の流速が大きくなるため、気流方向が急激に変化することにより気流方向の変化にともなう熱エネルギの発生量が増加するようになる。
これにより、吸気バルブ閉弁時期IVCに対して燃焼室23内の温度/圧力は次のように変化する。
[A]充填効率が最大となる吸気バルブ閉弁時期IVC(最大充填閉弁時期IVCmax)において、燃焼室23内の温度/圧力が最も大きくなる。なお、エンジン回転速度NEが大きくなるほど、燃焼室23内に引き込まれる空気の慣性が大きくなるため、最大充填閉弁時期IVCmaxはエンジン回転速度NEが高くなるにつれて遅角側へ大きくなる傾向を示す。
[B]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxよりも進角側の領域においては、吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxよりも進角側へ向かうにつれて、吸気脈動による圧力の上昇度合いが小さくなる。従って、吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxを基準として進角されるほど燃焼室23内の温度/圧力が小さくなる。
[C]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxよりも遅角側の領域においては、吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxよりも遅角側へ向かうにつれて、燃焼室23内の混合気の実圧縮比が小さくなる。従って、吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxを基準として遅角されるほど燃焼室23内の温度/圧力が小さくなる。ちなみに、最大充填閉弁時期IVCmaxは、基本的にはBDCよりも遅角側となる。
<バルブオーバーラップと残留ガスとの関係>
図8に、バルブオーバーラップ量OVLPと残留ガス率EGrateと関係を示す。なお、残留ガス率EGrateは、吸入空気量GAに占める残留ガス量の割合を示す。
バルブオーバーラップ量OVLPが大きくなるほど、排気管34から燃焼室23内へ流入する内部EGRガス量が増加するため、基本的にはバルブオーバーラップ量OVLPとともに残留ガス率EGrateが増加する。ただし、バルブオーバーラップ量OVLPが基準オーバーラップ量OVLPX未満の領域では、バルブオーバーラップ量OVLPの増加により燃焼ガスの排気効率が高くなるため、バルブオーバーラップ量OVLPの増加に対して残留ガス率EGrateが減少する傾向を示す。
即ち、バルブオーバーラップ量OVLPが基準オーバーラップ量OVLPX未満の領域では、バルブオーバーラップ量OVLPの増加とともに残留ガス率EGrateが減少し、バルブオーバーラップ量OVLPが基準オーバーラップ量OVLPX以上の領域では、バルブオーバーラップ量OVLPの増加とともに残留ガス率EGrateが増加する。
<MBT/ノック限界点火時期の補正態様>
本実施形態では、最適カムCbstと現在カムCnowとにおける燃焼室23内の状態の違いを示すパラメータとして燃焼室23内の温度/圧力及び残留ガス率を採用し、これらパラメータに基づいて最適カムCbstのMBT点火時期及びノック限界点火時期を各別に補正することで、最適カムCbstのMBT/ノック限界点火時期を現在カムCnowに適合した点火時期へ変換するようにしている。
以降では、各バルブ特性における上記各パラメータを次のように示す。
[最適カム燃焼室温度Tbst]…最適カムCbstの燃焼室23内の温度。
[最適カム燃焼室圧力Pbst]…最適カムCbstの燃焼室23内の圧力。
[最適カム残留ガス率Gbst]…最適カムCbstの燃焼室23内の残留ガス率。
[現在カム燃焼室温度Tnow]…現在カムCnowの燃焼室23内の温度。
[現在カム燃焼室圧力Pnow]…現在カムCnowの燃焼室23内の圧力。
[現在カム残留ガス率Gnow]…現在カムCnowの燃焼室23内の残留ガス率。
〔1〕「燃焼室内の圧力変化に基づくMBT点火時期の補正」
現在カムCnowが最適カムCbstから外れているとき、最適カム吸気開弁時期IVObstと現在カム吸気開弁時期IVOnowとのずれに応じて、最適カム燃焼室圧力Pbstと現在カム燃焼室圧力Pnowとの間に差が生じる。また、最適カム吸気閉弁時期IVCbstと現在カム吸気閉弁時期IVCnowとのずれに応じて、最適カム燃焼室圧力Pbstと現在カム燃焼室圧力Pnowとの間に差が生じる。
このため、現在カムCnowが最適カムCbstから外れているときに適切なMBT点火時期を設定するためには、こうした最適カム燃焼室圧力Pbstと現在カム燃焼室圧力Pnowとの差を把握し、この差を加味してMBT点火時期の設定を行う必要がある。
本実施形態では、最適カム燃焼室圧力Pbst及び現在カム燃焼室圧力Pnowの指標値として、混合気の点火を行わない状態においてピストン22が圧縮上死点に到達したときの燃焼室23内の圧力(圧縮端圧力)を用いるようにしている。
そして、吸気バルブ開弁時期IVOが最適カム吸気開弁時期IVObstから現在カム吸気開弁時期IVOnowに変化したときの圧縮端圧力の変化量(IVO圧縮端圧力変化量)と、吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カム吸気閉弁時期IVCbstから現在カム吸気閉弁時期IVCnowに変化したときの圧縮端圧力の変化量(IVC圧縮端圧力変化量)とに基づいて、最適カムCbstから現在カムCnowへの変化にともなう圧縮端圧力の変化量(燃焼室23内の圧力変化量)を算出する。
この変化量に基づいて最適カムCbstのMBT点火時期の補正を実施することにより、最適カムCbstのMBT点火時期について、燃焼室23内の圧力変化により生じた最適値からのずれを補償するようにしている。
〔2〕「燃焼室内の温度変化に基づくノック限界点火時期の補正」
現在カムCnowが最適カムCbstから外れているとき、最適カム吸気開弁時期IVObstと現在カム吸気開弁時期IVOnowとのずれに応じて、最適カム燃焼室温度Tbstと現在カム燃焼室温度Tnowとの間に差が生じる。また、最適カム吸気閉弁時期IVCbstと現在カム吸気閉弁時期IVCnowとのずれに応じて、最適カム燃焼室温度Tbstと現在カム燃焼室温度Tnowとの間に差が生じる。
このため、現在カムCnowが最適カムCbstから外れているときに適切なノック限界点火時期を設定するためには、こうした最適カム燃焼室温度Tbstと現在カム燃焼室温度Tnowとの差を把握し、この差を加味してノック限界点火時期の設定を行う必要がある。
本実施形態では、最適カム燃焼室温度Tbst及び現在カム燃焼室温度Tnowの指標値として、混合気の点火を行わない状態においてピストン22が圧縮上死点に到達したときの燃焼室23内の温度(圧縮端温度)を用いるようにしている。
そして、吸気バルブ開弁時期IVOが最適カム吸気開弁時期IVObstから現在カム吸気開弁時期IVOnowに変化したときの圧縮端温度の変化量(IVO圧縮端温度変化量)と、吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カム吸気閉弁時期IVCbstから現在カム吸気閉弁時期IVCnowに変化したときの圧縮端温度の変化量(IVC圧縮端温度変化量)とに基づいて、最適カムCbstから現在カムCnowへの変化にともなう圧縮端温度の変化量(燃焼室23内の温度変化量)を算出する。
この変化量に基づいて最適カムCbstのノック限界点火時期の補正を実施することにより、最適カムCbstのノック限界点火時期について、燃焼室23内の温度変化により生じた最適値からのずれを補償するようにしている。
〔3〕「残留ガス率の変化に基づくMBT/ノック限界点火時期の補正」
現在カムCnowが最適カムCbstから外れているとき、最適カムオーバーラップ量OVLPbstと現在カムオーバーラップ量OVLPnowとの差に応じて、最適カム残留ガス率Gbstと現在カム残留ガス率Gnowとの間に差が生じる。
このため、現在カムCnowが最適カムCbstから外れているときに適切なMBT/ノック限界点火時期を設定するためには、こうした最適カム残留ガス率Gbstと現在カム残留ガス率Gnowとの差を把握し、この差を加味してMBT/ノック限界点火時期の設定を行う必要がある。
本実施形態では、最適カム残留ガス率Gbstと現在カム残留ガス率Gnowとの差の指標値として、最適カムオーバーラップ量OVLPbstと現在カムオーバーラップ量OVLPnowとの比率(オーバーラップ比率)を用いるようにしている。
そして、オーバーラップ比率に基づいて、最適カムCbstのMBT点火時期に含まれるオーバーラップ補正量(最適カムオーバーラップ量OVLPbstに対する補正量)を現在カムオーバーラップ量OVLPnowに応じた補正量に変換し、この補正量を通じて最適カムCbstのMBT/ノック限界点火時期の補正を実施する。これにより、MBT/ノック限界点火時期について、最適カム残留ガス率Gbstと現在カム残留ガス率Gnowとの差により生じる最適値からのずれが補償されるようになる。
<点火時期設定処理の概要>
本実施形態では、「ベース点火時期設定処理」(図15)を通じてベース点火時期の設定を行うようにしている。
図9及び図10に、「ベース点火時期設定処理」の構造を示す。
「ベース点火時期設定処理」は、以下の各処理を含めて構成されている。
〔図24〕…現在カムMBT点火時期設定処理。
〔図33〕…現在カムノック限界点火時期設定処理。
〔図17〕…圧縮端圧力変化量算出処理[1]。
〔図20〕…圧縮端圧力変化量算出処理[2]。
〔図27〕…圧縮端温度変化量算出処理[1]。
〔図30〕…圧縮端温度変化量算出処理[2]。
〔図23〕…オーバーラップ比率算出処理。
「現在カムMBT点火時期設定処理」は、以下の各処理を含めて構成されている。
〔図25〕…第1MBT補正量算出処理。
〔図26〕…第2MBT補正量算出処理。
「現在カムノック限界点火時期設定処理」は、以下の各処理を含めて構成されている。〔図34〕…第1ノック限界補正量算出処理。
〔図35〕…第2ノック限界補正量算出処理。
「圧縮端圧力変化量算出処理[1]」は、以下の各処理を含めて構成されている。
〔図18〕…IVO圧縮端圧力変化量算出処理[1]。
〔図19〕…IVC圧縮端圧力変化量算出処理[1]。
「圧縮端圧力変化量算出処理[2]」は、以下の各処理を含めて構成されている。
〔図21〕…IVO圧縮端圧力変化量算出処理[2]。
〔図22〕…IVC圧縮端圧力変化量算出処理[2]。
「圧縮端温度変化量算出処理[1]」は、以下の各処理を含めて構成されている。
〔図28〕…IVO圧縮端温度変化量算出処理[1]。
〔図29〕…IVC圧縮端温度変化量算出処理[1]。
「圧縮端温度変化量算出処理[2]」は、以下の各処理を含めて構成されている。
〔図31〕…IVO圧縮端温度変化量算出処理[2]。
〔図32〕…IVC圧縮端温度変化量算出処理[2]。
図9〜図12を参照して、上記各処理の概要について説明する。
図11及び図12は、上記各処理を通じて算出される各パラメータの関係を示す。
〔1〕「ベース点火時期設定処理」
本処理では、「現在カムMBT点火時期設定処理」を通じて算出された現在カムMBT点火時期MBTnowと「現在カムノック限界点火時期設定処理」を通じて算出された現在カムノック限界点火時期TKnowとのうち、遅角側の点火時期をベース点火時期BseFとして設定する。
[ベース点火時期BseF]…現在カムCnowが選択されている運転状態において、ノッキングの発生を抑制するとともに出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期。
[現在カムMBT点火時期MBTnow]…現在カムCnowが選択されている運転状態において、出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期。
[現在カムノック限界点火時期TKnow]…現在カムCnowが選択されている運転状態において、ノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうちの最も進角側の点火時期。
〔2〕「現在カムMBT点火時期設定処理」
本処理では、「第1MBT補正量算出処理」を通じて算出された第1MBT補正量MBTcompnb、「第2MBT補正量算出処理」を通じて算出された第2MBT補正量MBTOVLPnb、及び最適カムMBT点火時期MBTbstに基づいて、現在カムMBT点火時期MBTnowを算出する。
[最適カムMBT点火時期MBTbst]…最適カムCbstが選択されている運転状態において、出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期。なお、最適カムMBT点火時期MBTbstは、第1MBT点火時期に相当する。
[第1MBT補正量MBTcompnb]…最適カムCbstと現在カムCnowとにおける燃焼室23内の圧力差に応じた最適カムMBT点火時期MBTbstの補正量。
[第2MBT補正量MBTOVLPnb]…最適カムCbstと現在カムCnowとにおける残留ガス率の差に応じた最適カムMBT点火時期MBTbstの補正量。
〔3〕「第1MBT補正量算出処理」
本処理では、「圧縮端圧力変化量算出処理[1]」を通じて算出された現在カム全圧力変化量compALLnbに基づいて、第1MBT補正量MBTcompnbを算出する。
[現在カム全圧力変化量compALLnb]…バルブ特性が最適カムCbstから現在カムCnowへ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。なお、現在カム全圧力変化量compALLnbは、状態変化量に相当する。
〔4〕「第2MBT補正量算出処理」
本処理では、初期カムMBT点火時期MBTdflと初期カムMBT補正量MBTcompdbとを通じて、最適カムMBT点火時期MBTbstからオーバーラップMBT補正量MBTOVLPbstを抽出する。そして、オーバーラップMBT補正量MBTOVLPbstと点火時期補正比率MBTTKratioとに基づいて、第2MBT補正量MBTOVLPnbを算出する。
[初期カムMBT点火時期MBTdfl]…初期カムCdflが選択されている運転状態において、出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期。なお、初期カムMBT点火時期MBTdflは、第2MBT点火時期に相当する。
[初期カムMBT補正量MBTcompdb]…最適カムCbstと初期カムCdflとにおける燃焼室23内の圧力差(初期カム全圧力変化量compALLdb)に応じた初期カムMBT点火時期MBTdflの補正量。
[初期カム全圧力変化量compALLdb]…バルブ特性が最適カムCbstから初期カムCdflへ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。なお、初期カム全圧力変化量compALLdbは開閉状態変化量に相当する。
[オーバーラップMBT補正量MBTOVLPbst]…最適カムCbstのバルブオーバーラップ量(残留ガス率)に応じたMBT点火時期の補正量。なお、最適カムMBT点火時期MBTbstは、この補正量を含めて適合された値を示す。
[点火時期補正比率MBTTKratio]…最適カムCbstの点火時期補正量を現在カムCnowのバルブオーバーラップ量に応じた点火時期補正量へ変換するための補正係数。
〔5〕「ノック限界点火時期設定処理」
本処理では、「第1ノック限界補正量算出処理」を通じて算出された第1ノック限界補正量TKtempnb、「第2ノック限界補正量算出処理」を通じて算出された第2ノック限界補正量TKOVLPnb、及び最適カムノック限界点火時期TKbstに基づいて、現在カムノック限界点火時期TKnowを算出する。
[最適カムノック限界点火時期TKbst]…最適カムCbstが選択されている運転状態において、ノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうちの最も進角側の点火時期。なお、最適カムノック限界点火時期TKbstは、第1ノック限界点火時期に相当する。
[第1ノック限界補正量TKtempnb]…最適カムCbstと現在カムCnowとにおける燃焼室23内の温度差に応じた最適カムノック限界点火時期TKbstの補正量。
[第2ノック限界補正量TKOVLPnb]…最適カムCbstと現在カムCnowとにおけるバルブオーバーラップ量の差に応じた最適カムノック限界点火時期TKbstの補正量。
〔6〕「第1ノック限界補正量算出処理」
本処理では、「圧縮端温度変化量算出処理[1]」を通じて算出された現在カム全温度変化量tempALLnbに基づいて、第1ノック限界補正量TKtempnbを算出する。
[現在カム全温度変化量tempALLnb]…バルブ特性が最適カムCbstから現在カムCnowへ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。なお、現在カム全温度変化量tempALLnbは、状態変化量に相当する。
〔7〕「第2ノック限界補正量算出処理」
本処理では、初期カムノック限界点火時期TKdflと初期カムノック限界補正量TKtempdbとを通じて、最適カムノック限界点火時期TKbstからオーバーラップノック限界補正量TKOVLPbstを抽出する。そして、オーバーラップノック限界補正量TKOVLPbstと点火時期補正比率MBTTKratioとに基づいて、第2ノック限界補正量TKOVLPnbを算出する。
[オーバーラップノック限界補正量TKOVLPbst]…最適カムCbstのバルブオーバーラップ量に応じたノック限界点火時期の補正量。なお、オーバーラップノック限界補正量TKOVLPbstは、この補正量を含めて適合された値を示す。
[初期カムノック限界点火時期TKdfl]…初期カムCdflが選択されている運転状態において、ノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうちの最も進角側の点火時期。なお、初期カムノック限界点火時期TKdflは、第2ノック限界点火時期に相当する。
[初期カムノック限界補正量TKtempdb]…最適カムCbstと初期カムCdflとにおける燃焼室23内の温度差(初期カム全温度変化量tempALLdb)に応じた初期カムノック限界点火時期TKdflの補正量。
[初期カム全温度変化量tempALLdb]…バルブ特性が最適カムCbstから初期カムCdflへ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。なお、初期カム全温度変化量tempALLdbは開閉状態変化量に相当する。
〔8〕「圧縮端圧力変化量算出処理[1]」
本処理では、「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[1]」を通じて算出された現在カムIVO圧力変化量compIVOnbと「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[1]」を通じて算出された現在カムIVC圧力変化量compIVCnbとに基づいて、現在カム全圧力変化量compALLnbを算出する。
[現在カムIVO圧力変化量compIVOnb]…吸気バルブ開弁時期IVOが最適カムCbstの開弁時期(最適カム吸気開弁時期IVObst)から現在カムCnowの開弁時期(現在カム吸気開弁時期IVOnow)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。
[現在カムIVC圧力変化量compIVCnb]…吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カムCbstの閉弁時期(最適カム吸気閉弁時期IVCbst)から現在カムCnowの閉弁時期(現在カム吸気閉弁時期IVCnow)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。
〔9〕「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[1]」
本処理では、第1基準IVO圧力変化量compIVObtと第2基準IVO圧力変化量compIVOntとに基づいて、現在カムIVO圧力変化量compIVOnbを算出する。
[第1基準IVO圧力変化量compIVObt]…吸気バルブ開弁時期IVOが基準カムCtdcの開弁時期(基準カム吸気開弁時期IVOtdc)から最適カムCbstの開弁時期(最適カム吸気開弁時期IVObst)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。なお、第1基準IVO圧力変化量compIVObtは、第1開弁状態変化量に相当する。
[第2基準IVO圧力変化量compIVOnt]…吸気バルブ開弁時期IVOが基準カムCtdcの開弁時期(基準カム吸気開弁時期IVOtdc)から現在カムCnowの開弁時期(現在カム吸気開弁時期IVOnow)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。なお、第2基準IVO圧力変化量compIVOntは、第2開弁状態変化量に相当する。
〔10〕「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[1]」
本処理では、第1基準IVC圧力変化量compIVCbtと第2基準IVC圧力変化量compIVCntとに基づいて、現在カムIVC圧力変化量compIVCnbを算出する。
[第1基準IVC圧力変化量compIVCbt]…吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カムCtdcの閉弁時期(基準カム吸気閉弁時期IVCtdc)から最適カムCbstの閉弁時期(最適カム吸気閉弁時期IVCbst)へ変化したことにもとなう圧縮端圧力の変化量の推定値。なお、第1基準IVC圧力変化量compIVCbtは、第1閉弁状態変化量に相当する。
[第2基準IVC圧力変化量compIVCnt]…吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カムCtdcの閉弁時期(基準カム吸気閉弁時期IVCtdc)から現在カムCnowの閉弁時期(現在カム吸気閉弁時期IVCnow)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。なお、第2基準IVC圧力変化量compIVCntは、第2閉弁状態変化量に相当する。
〔11〕「圧縮端圧力変化量算出処理[2]」
本処理では、「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[2]」を通じて算出された初期カムIVO圧力変化量compIVOdbと「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[2]」を通じて算出された初期カムIVC圧力変化量compIVCdbとに基づいて、初期カム全圧力変化量compALLdbを算出する。
[初期カムIVO圧力変化量compIVOdb]…吸気バルブ開弁時期IVOが最適カムCbstの開弁時期(最適カム吸気開弁時期IVObst)から初期カムCdflの開弁時期(初期カム吸気開弁時期IVOdfl)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。なお、初期カムIVO圧力変化量compIVOdbは、開弁側状態変化量に相当する。
[初期カムIVC圧力変化量compIVCdb]…吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カムCbstの閉弁時期(最適カム吸気閉弁時期IVCbst)から初期カムCdflの閉弁時期(初期カム吸気閉弁時期IVCdfl)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。なお、初期カムIVC圧力変化量compIVCdbは、閉弁側状態変化量に相当する。
〔12〕「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[2]」
本処理では、第1基準IVO圧力変化量compIVObtと第3基準IVO圧力変化量compIVOdtとに基づいて、初期カムIVO圧力変化量compIVOdbを算出する。
[第1基準IVO圧力変化量compIVObt]…吸気バルブ開弁時期IVOが基準カムCtdcの開弁時期(基準カム吸気開弁時期IVOtdc)から最適カムCbstの開弁時期(最適カム吸気開弁時期IVObst)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。
[第3基準IVO圧力変化量compIVOdt]…吸気バルブ開弁時期IVOが基準カムCtdcの開弁時期(基準カム吸気開弁時期IVOtdc)から初期カムCdflの開弁時期(初期カム吸気開弁時期IVOdfl)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。
〔13〕「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[2]」
本処理では、第1基準IVC圧力変化量compIVCbtと第3基準IVC圧力変化量compIVCdtとに基づいて、初期カムIVC圧力変化量compIVCdbを算出する。
[第1基準IVC圧力変化量compIVCbt]…吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カムCtdcの閉弁時期(基準カム吸気閉弁時期IVCtdc)から最適カムCbstの閉弁時期(最適カム吸気閉弁時期IVCbst)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。
[第3基準IVC圧力変化量compIVCdt]…吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カムCtdcの閉弁時期(基準カム吸気閉弁時期IVCtdc)から初期カムCdflの閉弁時期(初期カム吸気閉弁時期IVCdfl)へ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値。
〔14〕「圧縮端温度変化量算出処理[1]」
本処理では、「IVO圧縮端温度変化量算出処理[1]」を通じて算出された現在カムIVO温度変化量tempIVOnbと「IVC圧縮端温度変化量算出処理[1]」を通じて算出された現在カムIVC温度変化量tempIVCnbとに基づいて、現在カム全温度変化量tempALLnbを算出する。
[現在カムIVO温度変化量tempIVOnb]…吸気バルブ開弁時期IVOが最適カムCbstの開弁時期(最適カム吸気開弁時期IVObst)から現在カムCnowの開弁時期(現在カム吸気開弁時期IVOnow)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
[現在カムIVC温度変化量tempIVCnb]…吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カムCbstの閉弁時期(最適カム吸気閉弁時期IVCbst)から現在カムCnowの閉弁時期(現在カム吸気閉弁時期IVCnow)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
〔15〕「IVO圧縮端温度変化量算出処理[1]」
本処理では、第1基準IVO温度変化量tempIVObtと第2基準IVO温度変化量tempIVOntとに基づいて、現在カムIVO温度変化量tempIVOnbを算出する。
[第1基準IVO温度変化量tempIVObt]…吸気バルブ開弁時期IVOが基準カムCtdcの開弁時期(基準カム吸気開弁時期IVOtdc)から最適カムCbstの開弁時期(最適カム吸気開弁時期IVObst)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
[第2基準IVO温度変化量tempIVOnt]…吸気バルブ開弁時期IVOが基準カムCtdcの開弁時期(基準カム吸気開弁時期IVOtdc)から現在カムCnowの開弁時期(現在カム吸気開弁時期IVOnow)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
〔16〕「IVC圧縮端温度変化量算出処理[1]」
本処理では、第1基準IVC温度変化量tempIVCbtと第2基準IVC温度変化量tempIVCntとに基づいて、現在カムIVC温度変化量tempIVCnbを算出する。
[第1基準IVC温度変化量tempIVCbt]…吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カムCtdcの閉弁時期(基準カム吸気閉弁時期IVCtdc)から最適カムCbstの閉弁時期(最適カム吸気閉弁時期IVCbst)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
[第2基準IVC温度変化量tempIVCnt]…吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カムCtdcの閉弁時期(基準カム吸気閉弁時期IVCtdc)から現在カムCnowの閉弁時期(現在カム吸気閉弁時期IVCnow)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
〔17〕「圧縮端温度変化量算出処理[2]」
本処理では、「IVO圧縮端温度変化量算出処理[2]」を通じて算出された初期カムIVO温度変化量tempIVOdbと「IVC圧縮端温度変化量算出処理[2]」を通じて算出された初期カムIVC温度変化量tempIVCdbとに基づいて、初期カム全温度変化量tempALLdbを算出する。
[初期カムIVO温度変化量tempIVOdb]…吸気バルブ開弁時期IVOが最適カムCbstの開弁時期(最適カム吸気開弁時期IVObst)から初期カムCdflの開弁時期(初期カム吸気開弁時期IVOdfl)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。なお、初期カムIVO温度変化量tempIVOdbは、開弁側状態変化量に相当する。
[初期カムIVC温度変化量tempIVCdb]…吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カムCbstの閉弁時期(最適カム吸気閉弁時期IVCbst)から初期カムCdflの閉弁時期(初期カム吸気閉弁時期IVCdfl)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。なお、初期カムIVC温度変化量tempIVCdbは、閉弁側状態変化量に相当する。
〔18〕「IVO圧縮端温度変化量算出処理[2]」
本処理では、第1基準IVO温度変化量tempIVObtと第3基準IVO温度変化量tempIVOdtとに基づいて、初期カムIVO温度変化量tempIVOdbを算出する。
[第1基準IVO温度変化量tempIVObt]…吸気バルブ開弁時期IVOが基準カムCtdcの開弁時期(基準カム吸気開弁時期IVOtdc)から最適カムCbstの開弁時期(最適カム吸気開弁時期IVObst)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
[第3基準IVO温度変化量tempIVOdt]…吸気バルブ開弁時期IVOが基準カムCtdcの開弁時期(基準カム吸気開弁時期IVOtdc)から初期カムCdflの開弁時期(初期カム吸気開弁時期IVOdfl)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
〔19〕「IVC圧縮端温度変化量算出処理[2]」
本処理では、第1基準IVC温度変化量tempIVCbtと第3基準IVC温度変化量tempIVCdtとに基づいて、初期カムIVC温度変化量tempIVCdbを算出する。
[第1基準IVC温度変化量tempIVCbt]…吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カムCtdcの閉弁時期(基準カム吸気閉弁時期IVCtdc)から最適カムCbstの閉弁時期(最適カム吸気閉弁時期IVCbst)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
[第3基準IVC温度変化量tempIVCdt]…吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カムCtdcの閉弁時期(基準カム吸気閉弁時期IVCtdc)から初期カムCdflの閉弁時期(初期カム吸気閉弁時期IVCdfl)へ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値。
〔20〕「オーバーラップ比率算出処理」
本処理では、最適カムオーバーラップ量OVLPbstと現在カムオーバーラップ量OVLPnowとの比率(オーバーラップ比率OVLPratio)を算出する。
[最適カムオーバーラップ量OVLPbst]…最適カムCbstのバルブオーバーラップ量。
[現在カムオーバーラップ量OVLPnow]…現在カムCnowのバルブオーバーラップ量。
<可変動弁機構の駆動態様>
ここで、ベース点火時期設定処理の詳細な説明に先立ち、図13及び図14を参照して可変動弁機構5の制御態様について説明する。
〔1〕「可変動弁機構駆動処理」
本処理は、エンジン1の運転中、電子制御装置9を通じて所定の周期毎に実行される。
[ステップS10]「目標カム設定処理」を実行する。この処理を通じて、エンジン1の運転状態に応じたバルブ特性(目標カムCtrg)が設定される。
[ステップS20]現在カムCnowが目標カムCtrgと一致しているか否かを判定する。この処理では、現在の吸気バルブタイミングINVT、排気バルブタイミングEXVT、及び吸気最大バルブリフト量INVLと目標カムCtrgの吸気バルブタイミングINVT、排気バルブタイミングEXVT、及び吸気最大バルブリフト量INVLとを比較し、この結果に基づいて上記判定を行う。
・現在カムCnowが目標カムCtrgと一致しているとき、ステップS30の処理へ移行する。
・現在カムCnowが目標カムCtrgと一致していないとき、ステップS40の処理へ移行する。
[ステップS30]吸気バルブタイミング可変機構51、排気バルブタイミング可変機構52、及び吸気最大バルブリフト量可変機構53の駆動状態を維持する。即ち、吸気バルブタイミングINVT、排気バルブタイミングEXVT、及び吸気最大バルブリフト量INVLを現在の状態に維持する。
[ステップS40]現在カムCnowが目標カムCtrgと一致するように吸気バルブタイミング可変機構51、排気バルブタイミング可変機構52、及び吸気最大バルブリフト量可変機構53を駆動する。
〔2〕「目標カム設定処理」
本処理は、「可変動弁機構駆動処理」のステップS10の処理として実行される。
[ステップS12]エンジン1の暖機が完了しているか否かを判定する。
・エンジン1の暖機が完了していないとき、ステップS14の処理へ移行する。
・エンジン1の暖機が完了しているとき、ステップS16の処理へ移行する。
[ステップS14]初期カムCdflを目標カムCtrgとして設定する。
[ステップS16]目標カムCtrgの設定に対して割り込みの要求があるか否かを判定する。即ち、目標カムCtrgの設定に際して、燃料消費率にかかる要求よりも優先して対応すべき要求があるか否かを判定する。なお、この優先して対応すべき要求としては、例えば、先に述べた吸入空気量の応答性に関する要求が挙げられる。
・目標カムCtrgの設定に対して割り込みの要求がないとき、ステップS18の処理へ移行する。
・目標カムCtrgの設定に対して割り込みの要求があるとき、ステップS1Aの処理へ移行する。
[ステップS18]要求吸入空気量GAreqに応じた最適カムCbstを目標カムCtrgとして設定する。
[ステップS1A]割り込み要求に応じたバルブ特性を目標カムCtrgとして設定する。
<ベース点火時期の設定態様>
電子制御装置9は、エンジン1の運転中、所定の周期毎にベース点火時期の設定を行う。ベース点火時期は、現在カムCnowに応じて、次の(A)〜(C)のいずれかの処理を通じて設定される。
(A)現在カムCnowが最適カムCbstと一致しているとき、即ち現在カムCnowに適合したMBT/ノック限界点火時期を最適カムCbst及び初期カムCdflのMBT/ノック限界点火時期から選択できるとき、最適カムMBT点火時期MBTbstと最適カムノック限界点火時期TKbstとのうち、遅角側の点火時期をベース点火時期BseFとして設定する。
(B)現在カムCnowが初期カムCdflと一致しているとき、初期カムMBT点火時期MBTdflと初期カムノック限界点火時期TKdflとのうち、遅角側の点火時期をベース点火時期BseFとして設定する。
(C)現在カムCnowが最適カムCbst及び初期カムCdflのいずれとも一致しないとき、即ち現在カムCnowに適合したMBT/ノック限界点火時期を最適カムCbst及び初期カムCdflのMBT/ノック限界点火時期から選択できないとき、図15及び図16に示す「ベース点火時期設定処理」を通じてベース点火時期BseFを設定する。
<ベース点火時期設定処理:図15/図16>
[ステップS100]現在カムCnow及び目標カムCtrgとなる最適カムCbstについて、吸気バルブ35の開弁時期(吸気バルブ開弁時期IVO)、吸気バルブ35の閉弁時期(吸気バルブ閉弁時期IVC)、及び排気バルブ36の閉弁時期(排気バルブ閉弁時期EVC)を算出する。この処理では、次の[A]及び[B]に基づいて、吸気バルブ開弁時期IVO、吸気バルブ閉弁時期IVC、及び排気バルブ閉弁時期EVCが算出される。
[A]各センサを通じて検出された現在の吸気バルブタイミングINVT、排気バルブタイミングEXVT、及び吸気最大バルブリフト量INVL(吸気バルブ作用角INCAM)。
[B]電子制御装置9に予め記憶されている吸気最大バルブリフト量INVLと吸気バルブ作用角INCAMとの関係(図4に示される関係)。
[ステップS200]「圧縮端圧力変化量算出処理[1]」(図17)を実行する。この処理を通じて、バルブ特性が最適カムCbstから現在カムCnowへ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(現在カム全圧力変化量compALLnb)が算出される。
[ステップS300]「圧縮端圧力変化量算出処理[2]」(図20)を実行する。この処理を通じて、バルブ特性が最適カムCbstから初期カムCdflへ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(初期カム全圧力変化量compALLdb)が算出される。
[ステップS400]「オーバーラップ比率算出処理」(図23)を実行する。この処理を通じて、最適カムオーバーラップ量OVLPbstと現在カムオーバーラップ量OVLPnowとの比率(オーバーラップ比率OVLPratio)が算出される。
[ステップS500]「現在カムMBT点火時期設定処理」(図24)を実行する。この処理を通じて、現在カムCnowの運転状態においてエンジン1の出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期(現在カムMBT点火時期MBTnow)が算出される。
[ステップS600]「圧縮端温度変化量算出処理[1]」(図27)を実行する。この処理を通じて、バルブ特性が最適カムCbstから現在カムCnowへ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(現在カム全温度変化量tempALLnb)が算出される。
[ステップS700]「圧縮端温度変化量算出処理[2]」(図30)を実行する。この処理を通じて、バルブ特性が最適カムCbstから初期カムCdflへ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(初期カム全温度変化量tempALLdb)が算出される。
[ステップS800]「現在カムノック限界点火時期設定処理」(図33)を実行する。この処理を通じて、現在カムCnowの運転状態においてエンジン1のノック発生を抑制することのできる点火時期のうち、最も進角側の点火時期(現在カムノック限界点火時期TKnow)が算出される。
[ステップS900]現在カムMBT点火時期MBTnowと現在カムノック限界点火時期TKnowとのうち、遅角側の点火時期をベース点火時期BseFとして設定する。即ち、下記処理

BseF←min{MBTnow,TKnow}

を通じてベース点火時期BseFの設定を行う。
<圧縮端圧力変化量算出処理[1]:図17>
本処理は、「ベース点火時期設定処理」のステップS200の処理として実行される。
[ステップS210]「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[1]」(図18)を実行する。この処理を通じて、吸気バルブ開弁時期IVOが最適カム吸気開弁時期IVObstから現在カム吸気開弁時期IVOnowへ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(現在カムIVO圧力変化量compIVOnb)が算出される。
[ステップS220]「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[1]」(図19)を実行する。この処理を通じて、吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カム吸気閉弁時期IVCbstから現在カム吸気閉弁時期IVCnowへ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(現在カムIVC圧力変化量compIVCnb)が算出される。
[ステップS230]現在カムIVO圧力変化量compIVOnbと現在カムIVC圧力変化量compIVCnbとに基づいて、現在カム全圧力変化量compALLnbを算出する。即ち、下記処理

compALLnb←compIVOnb+compIVCnb

を通じて、現在カム全圧力変化量compALLnbの算出を行う。
<IVO圧縮端圧力変化量算出処理[1]:図18>
本処理は、「圧縮端圧力変化量算出処理[1]」のステップS210の処理として実行される。
[ステップS212]吸気バルブ開弁時期IVOが基準カム吸気開弁時期IVOtdcから最適カム吸気開弁時期IVObstまで変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(第1基準IVO圧力変化量compIVObt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[4]の処理を通じて第1基準IVO圧力変化量compIVObtを算出する。
[1]IVO圧縮端圧力算出マップ(図36)に基準カム吸気開弁時期IVOtdc及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ開弁時期IVOを基準カム吸気開弁時期IVOtdcに設定したときの圧縮端圧力の推定値(基準カムIVO圧縮端圧力compIVOtdc)を算出する。
[2]IVO圧縮端圧力算出マップ(図36)に最適カム吸気開弁時期IVObst及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ開弁時期IVOを最適カム吸気開弁時期IVObstに設定したときの圧縮端圧力の推定値(最適カムIVO圧縮端圧力compIVObst)を算出する。
[3]最適カムIVO圧縮端圧力compIVObstと基準カムIVO圧縮端圧力compIVOtdcとの差(最適−基準IVO圧力変化量△compIVObt)を算出する。即ち、下記処理

△compIVObt←compIVObst−compIVOtdc

を通じて、最適−基準IVO圧力変化量△compIVObtの算出を行う。
[4]最適−基準カムIVO圧力変化量△compIVObtと吸入空気率KLとに基づいて、第1基準IVO圧力変化量compIVObtを算出する。即ち、下記処理

compIVObt←△compIVObt×(KL/100)

を通じて、第1基準IVO圧力変化量compIVObtの算出を行う。
吸入空気率KLは、エンジン1内へ吸入することのできる最大の空気量(最大吸入空気量GAmax)に対する現在の吸入空気量GAの割合を示す。即ち、「GA/GAmax」を通じて算出される値を示す。なお、吸入空気率KLは、エンジン1の負荷率に相当する。
IVO圧縮端圧力算出マップには、吸入空気率KLが100%のときの吸気バルブ開弁時期IVOと圧縮端圧力との関係が設定されているため、最適−基準IVO圧力変化量△compIVObtに吸入空気率KL(無次元化した値)を乗算することで、現在の吸入空気率KLに応じた圧縮端圧力の変化量を算出することができる。
図37に、同じエンジン回転速度NEにおける吸気バルブ開弁時期IVOと圧縮端圧力compIVOとの関係を示す。
吸気バルブ開弁時期IVOがATDC側において遅角されるほど燃焼室23内の負圧が大きい状態で吸気バルブ35が開弁されることになるため、吸気バルブ開弁時期IVOの遅角に応じて圧縮端圧力compIVOが大きくなる。
一方で、圧縮端圧力compIVO(燃焼室23内の圧力)は、エンジン回転速度NEに応じた吸気脈動の影響を受けて変化する。このため、吸気バルブ開弁時期IVOに対する圧縮端圧力compIVOの大きさは、エンジン回転速度NE毎に異なる。なお、同じエンジン回転速度NEでの吸気バルブ開弁時期IVOに対する圧縮端圧力compIVOの変化傾向は、いずれのエンジン回転速度NEにも共通する。
そこで、本実施形態では、エンジン回転速度NE毎の吸気バルブ開弁時期IVOと圧縮端圧力compIVOとの関係を予め把握し、吸気バルブ開弁時期IVO及びエンジン回転速度NEを圧縮端圧力compIVOのパラメータとしてIVO圧縮端圧力算出マップ(図36)を設定している。
なお、IVO圧縮端圧力算出マップにおいては、基準カム吸気開弁時期IVOtdcの圧縮端圧力compIVO(マップでは0kPa)に対する相対値として各吸気バルブ開弁時期IVOの圧縮端圧力compIVOが設定されている。また、IVO圧縮端圧力算出マップを通じての圧縮端圧力compIVOの算出に際して、吸気バルブ開弁時期IVOがBTDC側のときは、吸気バルブ開弁時期IVOを「0deg(TDC)」とみなして圧縮端圧力compIVOを算出する。
[ステップS214]吸気バルブ開弁時期IVOが基準カム吸気開弁時期IVOtdcから現在カム吸気開弁時期IVOnowまで変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(第2基準IVO圧力変化量compIVOnt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第2基準IVO圧力変化量compIVOntを算出する。
[1]IVO圧縮端圧力算出マップ(図36)に現在カム吸気開弁時期IVOnow及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ開弁時期IVOを現在カム吸気開弁時期IVOnowに設定したときの圧縮端圧力の推定値(現在カムIVO圧縮端圧力compIVOnow)を算出する。
[2]現在カムIVO圧縮端圧力compIVOnowと基準カムIVO圧縮端圧力compIVOtdcとの差(現在−基準IVO圧力変化量△compIVOnt)を算出する。即ち、下記処理

△compIVOnt←compIVOnow−compIVOtdc

を通じて、現在−基準IVO圧力変化量△compIVOntの算出を行う。
[3]現在−基準IVO圧力変化量△compIVOntと吸入空気率KLとに基づいて、第2基準IVO圧力変化量compIVOntを算出する。即ち、下記処理

compIVOnt←△compIVOnt×(KL/100)

を通じて、第2基準IVO圧力変化量compIVOntの算出を行う。
[ステップS216]第2基準IVO圧力変化量compIVOntと第1基準IVO圧力変化量compIVObtとの差(現在カムIVO圧力変化量compIVOnb)を算出する。即ち、下記処理

compIVOnb←compIVOnt−compIVObt

を通じて、現在カムIVO圧力変化量compIVOnbの算出を行う。
<IVC圧縮端圧力変化量算出処理[1]:図19>
本処理は、「圧縮端圧力変化量算出処理[1]」のステップS220の処理として実行される。
[ステップS222]吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カム吸気閉弁時期IVCtdcから最適カム吸気閉弁時期IVCbstまで変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(第1基準IVC圧力変化量compIVCbt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[4]の処理を通じて第1基準IVC圧力変化量compIVCbtを算出する。
[1]IVC圧縮端圧力算出マップ(図38)に基準カム吸気閉弁時期IVCtdc及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを基準カム吸気閉弁時期IVCtdcに設定したときの圧縮端圧力の推定値(基準カムIVC圧縮端圧力compIVCtdc)を算出する。
[2]IVC圧縮端圧力算出マップ(図38)に最適カム吸気閉弁時期IVCbst及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを最適カム吸気閉弁時期IVCbstに設定したときの圧縮端圧力の推定値(最適カムIVC圧縮端圧力compIVCbst)を算出する。
[3]最適カムIVC圧縮端圧力compIVCbstと基準カムIVC圧縮端圧力compIVCtdcとの差(最適−基準IVC圧力変化量△compIVCbt)を算出する。即ち、下記処理

△compIVCbt←compIVCbst−compIVCtdc

を通じて、最適−基準IVC圧力変化量△compIVCbtの算出を行う。
[4]最適−基準IVC圧力変化量△compIVCbtと吸入空気率KLとに基づいて、第1基準IVC圧力変化量compIVCbtを算出する。即ち、下記処理

compIVCbt←△compIVCbt×(KL/100)

を通じて、第1基準IVC圧力変化量compIVCbtの算出を行う。
IVC圧縮端圧力算出マップには、吸入空気率KLが100%のときの吸気バルブ閉弁時期IVCと圧縮端圧力との関係が設定されているため、最適−基準IVC圧力変化量△compIVCbtに吸入空気率KL(無次元化した値)を乗算することで、現在の吸入空気率KLに応じた圧縮端圧力の変化量を算出することができる。
図39に、同じエンジン回転速度NEにおける吸気バルブ閉弁時期IVCと圧縮端圧力compIVCとの関係を示す。
[A]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxに設定されているとき、吸気バルブ閉弁時期IVCに対する空気の流速が最大となるため、圧縮端圧力compIVCが最も大きくなる。
[B]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxよりも進角側の領域においては、吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxを基準として進角されるにつれて吸気脈動による圧力の上昇度合いが小さくなるため、吸気バルブ閉弁時期IVCの進角に応じて圧縮端圧力compIVCが小さくなる。
[C]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxよりも遅角側の領域においては、吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxを基準として遅角されるにつれて燃焼室23内の混合気の実圧縮比が小さくなるため、最大充填閉弁時期IVCmaxの遅角に応じて圧縮端圧力compIVCが小さくなる。
一方で、圧縮端圧力compIVCは、エンジン回転速度NEに応じた吸気脈動の影響を受けて変化する。このため、吸気バルブ閉弁時期IVCに対する圧縮端圧力compIVCの大きさは、エンジン回転速度NE毎に異なる。なお、同じエンジン回転速度NEでの吸気バルブ閉弁時期IVCに対する圧縮端圧力compIVCの変化傾向(上記[A]〜[C])は、いずれのエンジン回転速度NEにも共通する。
そこで、本実施形態では、エンジン回転速度NE毎の吸気バルブ閉弁時期IVCと圧縮端圧力compIVCとの関係を予め把握し、吸気バルブ閉弁時期IVC及びエンジン回転速度NEを圧縮端圧力compIVCのパラメータとしてIVC圧縮端圧力算出マップ(図38)を設定している。
なお、IVC圧縮端圧力算出マップにおいては、最大充填閉弁時期IVCmaxの圧縮端圧力compIVC(マップでは0kPa)に対する相対値として各吸気バルブ閉弁時期IVCの圧縮端圧力compIVCが設定されている。
[ステップS224]吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カム吸気閉弁時期IVCtdcから現在カム吸気閉弁時期IVCnowまで変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(第2基準IVC圧力変化量compIVCnt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第2基準IVC圧力変化量compIVCntを算出する。
[1]IVC圧縮端圧力算出マップ(図38)に現在カム吸気閉弁時期IVCnow及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを現在カム吸気閉弁時期IVCnowに設定したときの圧縮端圧力の推定値(現在カムIVC圧縮端圧力compIVCnow)を算出する。
[2]現在カムIVC圧縮端圧力compIVCnowと基準カムIVC圧縮端圧力compIVCtdcとの差(現在−基準IVC圧力変化量△compIVCnt)を算出する。即ち、下記処理

△compIVCnt←compIVCnow−compIVCtdc

を通じて、現在−基準IVC圧力変化量△compIVCntの算出を行う。
[3]現在−基準IVC圧力変化量△compIVCntと吸入空気率KLとに基づいて、第2基準IVC圧力変化量compIVCntを算出する。即ち、下記処理

compIVCnt←△compIVCnt×(KL/100)

を通じて、第2基準IVC圧力変化量compIVCntの算出を行う。
[ステップS226]第2基準IVC圧力変化量compIVCntと第1基準IVC圧力変化量compIVCbtとの差(現在カムIVC圧力変化量compIVCnb)を算出する。即ち、下記処理

compIVCnb←compIVCnt−compIVCbt

を通じて、現在カムIVC圧力変化量compIVCnbの算出を行う。
<圧縮端圧力変化量算出処理[2]:図20>
本処理は、「ベース点火時期設定処理」のステップS300の処理として実行される。
[ステップS310]「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[2]」(図21)を実行する。この処理を通じて、吸気バルブ開弁時期IVOが最適カム吸気開弁時期IVObstから初期カム吸気開弁時期IVOdflへ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(初期カムIVO圧力変化量compIVOdb)が算出される。
[ステップS320]「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[2]」(図22)を実行する。この処理を通じて、吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カム吸気閉弁時期IVCbstから初期カム吸気閉弁時期IVCdflへ変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(初期カムIVC圧力変化量compIVCdb)が算出される。
[ステップS330]初期カムIVO圧力変化量compIVOdbと初期カムIVC圧力変化量compIVCdbとに基づいて、初期カム全圧力変化量compALLdbを算出する。即ち、下記処理

compALLdb←compIVOdb+compIVCdb

を通じて、初期カム全圧力変化量compALLdbの算出を行う。
<IVO圧縮端圧力変化量算出処理[2]:図21>
本処理は、「圧縮端圧力変化量算出処理[2]」のステップS310の処理として実行される。
[ステップS312]吸気バルブ開弁時期IVOが基準カム吸気開弁時期IVOtdcから初期カム吸気開弁時期IVOdflまで変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(第3基準IVO圧力変化量compIVOdt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第3基準IVO圧力変化量compIVOdtを算出する。
[1]IVO圧縮端圧力算出マップ(図36)に初期カム吸気開弁時期IVOdfl及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ開弁時期IVOを初期カム吸気開弁時期IVOdflに設定したときの圧縮端圧力の推定値(現在カムIVO圧縮端圧力compIVOdfl)を算出する。
[2]初期カムIVO圧縮端圧力compIVOdflと基準カムIVO圧縮端圧力compIVOtdcとの差(初期−基準IVO圧力変化量△compIVOdt)を算出する。即ち、下記処理

△compIVOdt←compIVOdfl−compIVOtdc

を通じて、初期−基準IVO圧力変化量△compIVOdtの算出を行う。
[3]初期−基準IVO圧力変化量△compIVOdtと吸入空気率KLとに基づいて、第3基準IVO圧力変化量compIVOdtを算出する。即ち、下記処理

compIVOdt←△compIVOdt×(KL/100)

を通じて、第3基準IVO圧力変化量compIVOdtの算出を行う。
[ステップS314]第3基準IVO圧力変化量compIVOdtと第1基準IVO圧力変化量compIVObtとの差(初期カムIVO圧力変化量compIVOdb)を算出する。即ち、下記処理

compIVOdb←compIVOdt−compIVObt

を通じて、初期カムIVO圧力変化量compIVOdbの算出を行う。
<IVC圧縮端圧力変化量算出処理[2]:図22>
本処理は、「圧縮端圧力変化量算出処理[2]」のステップS320の処理として実行される。
[ステップS322]吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カム吸気閉弁時期IVCtdcから初期カム吸気閉弁時期IVCdflまで変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(第3基準IVC圧力変化量compIVCdt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第3基準IVC圧力変化量compIVCdtを算出する。
[1]IVC圧縮端圧力算出マップ(図38)に初期カム吸気閉弁時期IVCdfl及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを初期カム吸気閉弁時期IVCdflに設定したときの圧縮端圧力の推定値(初期カムIVC圧縮端圧力compIVCdfl)を算出する。
[2]初期カムIVC圧縮端圧力compIVCdflと基準カムIVC圧縮端圧力compIVCtdcとの差(初期−基準IVC圧力変化量△compIVCdt)を算出する。即ち、下記処理

△compIVCdt←compIVCdfl−compIVCtdc

を通じて、初期−基準IVC圧力変化量△compIVCdtの算出を行う。
[3]初期−基準IVC圧力変化量△compIVCdtと吸入空気率KLとに基づいて、第3基準IVC圧力変化量compIVCdtを算出する。即ち、下記処理

compIVCdt←△compIVCdt×(KL/100)

を通じて、第3基準IVC圧力変化量compIVCdtの算出を行う。
[ステップS324]第3基準IVC圧力変化量compIVCdtと第1基準IVC圧力変化量compIVCbtとの差(初期カムIVC圧力変化量compIVCdb)を算出する。即ち、下記処理

compIVCdb←compIVCdt−compIVCbt

を通じて、初期カムIVC圧力変化量compIVCdbの算出を行う。
<オーバーラップ比率算出処理:図23>
本処理は、「点火時期設定処理」のステップS400の処理として実行される。
[ステップS410]最適カムオーバーラップ量OVLPbstを算出する。最適カムオーバーラップ量OVLPbstは、最適カム吸気開弁時期IVObstに応じて、以下の〔1〕及び〔2〕のいずれかの処理を通じて算出される。
〔1〕「最適カム吸気開弁時期IVObstがBTDCのとき」
最適カム吸気開弁時期IVObstから最適カム排気閉弁時期EVCbstまでのクランク角度を最適カムオーバーラップ量OVLPbstとして算出する。即ち、下記処理

OVLPbst←IVObst+EVCbst

を通じて、最適カムオーバーラップ量OVLPbstの算出を行う。例えば、最適カム吸気開弁時期IVObstが10deg(BTDC側)、最適カム排気閉弁時期EVCbstが10deg(ATDC側)のとき、最適カムオーバーラップ量OVLPbstは「20deg」となる。
〔2〕「最適カム吸気開弁時期IVObstがATDCのとき」
TDCから最適カム排気閉弁時期EVCbstまでのクランク角度を最適カムオーバーラップ量OVLPbstとして算出する。即ち、下記処理

OVLPbst←EVCbst

を通じて、最適カムオーバーラップ量OVLPbstの算出を行う。例えば、最適カム吸気開弁時期IVObstが10deg(ATDC側)、最適カム排気閉弁時期EVCbstが20deg(ATDC側)のとき、最適カムオーバーラップ量OVLPbstは「20deg」となる。
[ステップS420]現在カムオーバーラップ量OVLPnowを算出する。現在カムオーバーラップ量OVLPnowは、現在カム吸気開弁時期IVOnowに応じて、以下の〔1〕及び〔2〕のいずれかの処理を通じて算出される。
〔1〕「現在カム吸気開弁時期IVOnowがBTDCのとき」
現在カム吸気開弁時期IVOnowから現在カム排気閉弁時期EVCnowまでのクランク角度を現在カムオーバーラップ量OVLPnowとして算出する。即ち、下記処理

OVLPnow←IVOnow+EVCnow

を通じて、現在カムオーバーラップ量OVLPnowの算出を行う。
〔2〕「現在カム吸気開弁時期IVOnowがATDCのとき」
TDCから現在カム排気閉弁時期EVCnowまでのクランク角度を現在カムオーバーラップ量OVLPnowとして算出する。即ち、下記処理

OVLPnow←EVCnow

を通じて、現在カムオーバーラップ量OVLPnowの算出を行う。
[ステップS430]最適カムオーバーラップ量OVLPbstと現在カムオーバーラップ量OVLPnowとの比率(オーバーラップ比率OVLPratio)を算出する。オーバーラップ比率OVLPratioは、最適カムオーバーラップ量OVLPbstと基準オーバーラップ量OVLPXとの関係に応じて、以下の〔1〕及び〔2〕のいずれかの処理を通じて算出される。
〔1〕「OVLPbst≧OVLPXのとき」
現在カムオーバーラップ量OVLPnowと最適カムオーバーラップ量OVLPbstとに基づいて、オーバーラップ比率OVLPratioを算出する。即ち、下記処理

OVLPratio←OVLPnow/OVLPbst

を通じて、オーバーラップ比率OVLPratioの算出を行う。
〔2〕「OVPLbst<OVLPXのとき」
オーバーラップ比率OVLPratioを「0」にする。即ち、下記処理

OVLPratio←0

を通じて、オーバーラップ比率OVLPratioの算出を行う。
電子制御装置9は、最適カムオーバーラップ量OVLPbstが基準オーバーラップ量OVLPX以上のとき、最適カムオーバーラップ量OVLPbstに対する最適カムMBT点火時期MBTbstの補正精度を十分に確保することのできる状態にあると判定して、オーバーラップ比率OVLPratioの算出を行う。即ち、最適カムMBTbst/最適カムノック限界点火時期TKbstにバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量が含まれているとみなす。
反対に、最適カムオーバーラップ量OVLPbstが基準オーバーラップ量OVLPX未満のとき、最適カムオーバーラップ量OVLPbstに対する最適カムMBT点火時期MBTbstの補正精度を十分に確保することのできない状態にあると判定して、オーバーラップ比率OVLPratioの算出を行わない(オーバーラップ比率OVLPratioとして「0」を設定する)。即ち、最適カムMBTbst/最適カムノック限界点火時期TKbstにバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量が含まれていないとみなす。
<現在カムMBT点火時期設定処理:図24>
本処理は、「ベース点火時期設定処理」のステップS500の処理として実行される。
[ステップS510]最適カムMBT点火時期算出マップ(図41)を通じて、現在のエンジン回転速度NE及び吸入空気率KLに対応した最適カムMBT点火時期MBTbstを算出する。なお、図42は、同じエンジン回転速度NEにおける吸入空気率KLと最適カムMBT点火時期MBTbstとの関係を示す。本実施形態においては、最適カムMBT点火時期算出マップに設定されている各最適カムMBT点火時期MBTbstが、複数の基本MBT点火時期に相当する。
[ステップS520]「第1MBT補正量算出処理」(図25)を実行する。この処理を通じて、最適カムMBT点火時期MBTbstの補正項である第1MBT補正量MBTcompnbが算出される。
[ステップS530]「第2MBT補正量算出処理」(図26)を実行する。この処理を通じて、最適カムMBT点火時期MBTbstの補正項である第2MBT補正量MBTOVLPnbが算出される。
[ステップS540]第1MBT補正量MBTcompnbと第2MBT補正量MBTOVLPnbとに基づいて、MBT点火時期補正量MBTnbを算出する。即ち、下記処理

MBTnb←MBTcompnb+MBTOVLPnb

を通じて、MBT点火時期補正量MBTnbの算出を行う。
[ステップS550]最適カムMBT点火時期MBTbstとMBT点火時期補正量MBTnbとに基づいて、現在カムMBT点火時期MBTnowを算出する。即ち、下記処理

MBTnow←MBTbst+MBTnb

を通じて、現在カムMBT点火時期MBTnowの算出を行う。
<第1MBT補正量算出処理:図25>
本処理は、「MBT点火時期設定処理」のステップS520の処理として実行される。
[ステップS522]第1MBT補正量算出マップ(図40)を通じて、現在カム全圧力変化量compALLnbに対応した第1MBT補正量MBTcompnbを算出する。
第1MBT補正量算出マップには、圧縮端圧力の変化量(現在カム全圧力変化量compALLnb/初期カム全圧力変化量compALLdb)に応じて次のようにMBT補正量(第1MBT補正量MBTcompnb/初期カムMBT補正量MBTcompdb)が設定されている。
(A)圧縮端圧力の変化量が正の値となる領域、即ち現在カム燃焼室圧力Pnowが最適カム燃焼室圧力Pbstよりも大きい領域においては、MBT補正量が負の値に設定されている。また、圧縮端圧力の変化量が正側へ大きくなるほど、MBT補正量が小さくなるように(負側へ大きくなるように)設定されている。
(B)圧縮端圧力の変化量が負の値となる領域、即ち現在カム燃焼室圧力Pnowが最適カム燃焼室圧力Pbstよりも小さい領域においては、MBT補正量が正の値に設定されている。また、圧縮端圧力の変化量が負側へ大きくなるほど、MBT補正量が大きくなるように(正側へ大きくなるように)設定されている。
(C)圧縮端圧力の変化量が「0」のとき、即ち現在カム燃焼室圧力Pnowが最適カム燃焼室圧力Pbstと等しいときについては、MBT補正量が「0」に設定されている。
最適カムMBT点火時期MBTbst(MBT点火時期補正量MBTnb)は、現在カム全圧力変化量compALLnbに応じて次のように補正される(ステップS540/S550)。
(A)現在カム全圧力変化量compALLnbが正の値のとき、第1MBT補正量MBTcompnbが負の値となるため、最適カムMBT点火時期MBTbst(MBT点火時期補正量MBTnb)は第1MBT補正量MBTcompnbの絶対値に応じた量だけ遅角される。
(B)現在カム全圧力変化量compALLnbが負の値のとき、第1MBT補正量MBTcompnbが正の値となるため、最適カムMBT点火時期MBTbst(MBT点火時期補正量MBTnb)は第1MBT補正量MBTcompnbの絶対値に応じた量だけ進角される。
(C)現在カム全圧力変化量compALLnbが「0」のとき、第1MBT補正量MBTcompnbが「0」となるため、最適カムMBT点火時期MBTbst(MBT点火時期補正量MBTnb)は進角側及び遅角側のいずれにも変更されない。
<第2MBT補正量算出処理:図26>
本処理は、「MBT点火時期設定処理」のステップS530の処理として実行される。
[ステップS532]初期カムMBT点火時期算出マップ(図43)を通じて、現在のエンジン回転速度NE及び吸入空気率KLに対応した初期カムMBT点火時期MBTdflを算出する。なお、図44は、同じエンジン回転速度NEにおける吸入空気率KLと初期カムMBT点火時期MBTdflとの関係を示す。
[ステップS534]第1MBT補正量算出マップ(図40)を通じて、初期カム全圧力変化量compALLdbに対応した初期カムMBT補正量MBTcompdbを算出する。
[ステップS536]最適カムMBT点火時期MBTbstから最適カムオーバーラップ量OVLPbstに応じたMBT点火時期補正量(オーバーラップMBT補正量MBTOVLPbst)を抽出する。即ち、下記処理

MBTOVLPbst←MBTbst+MBTcompdb−MBTdfl

を通じて、オーバーラップMBT補正量MBTOVLPbstの算出を行う。
オーバーラップMBT補正量MBTOVLPbstの抽出態様について説明する。
最適カムMBT点火時期MBTbstと初期カムMTB点火時期MBTdflとの間には、次のような違いがある。
(A)最適カムMBT点火時期MBTbstは、最適カムCbstのバルブオーバーラップ量に対する点火時期の補正量を含めて適合されている。一方で、初期カムMTB点火時期MBTdflは、初期カムCdflのバルブオーバーラップ量、即ちバルブオーバーラップ量が「0」の状態に対して適合されている。このため、最適カムMBT点火時期MBTbstと初期カムMBT点火時期MBTdflとの間には、最適カムCbstのバルブオーバーラップ量に応じた量の差がある。
(B)最適カムMBT点火時期MBTbstは、最適カム燃焼室圧力Pbstに対する点火時期の補正量を含めて適合されている。一方で、初期カムMBT点火時期MBTdflは、初期カム燃焼室圧力Pdflに対する点火時期の補正量を含めて適合されている。このため、最適カムMBT点火時期MBTbstと初期カムMBT点火時期MBTdflとの間には、最適カム燃焼室圧力Pbstと初期カム燃焼室圧力Pdflの違いに応じた量の差がある。
ここで、最適カムMBT点火時期MBTbstを基準にすると、最適カムMBT点火時期MBTbstには燃焼室23の圧力変化に対する点火時期の補正量が含まれていないことになる。一方で、初期カムMBT点火時期MBTdflには、最適カム燃焼室圧力Pbstから初期カム燃焼室圧力Pdflの圧力までの圧力変化量に応じた点火時期の補正量(初期カムMBT補正量MBTcompdb)が含まれていることになる。
従って、初期カムMBT点火時期MBTdflに対してオーバーラップMBT補正量MBTOVLPbstを加えた点火時期と、最適カムMBT点火時期MBTbstに対して初期カムMBT補正量MBTcompdbを加えた点火時期とが等しくなる。
そこで、最適カムMBT点火時期MBTbstに対して初期カムMBT補正量MBTcompdbを加えた点火時期から初期カムMBT点火時期MBTdflを除くことで、最適カムMBT点火時期MBTbstからバルブオーバーラップ量に応じた補正量のみを抽出することができる。
[ステップS538]点火時期補正比率算出マップ(図45)を通じて、オーバーラップ比率OVLPratioに対応した点火時期補正比率MBTTKratioを算出する。
点火時期補正比率算出マップには、次のように点火時期補正比率MBTTKratioが設定されている。
(A)オーバーラップ比率OVLPratioが「1」よりも大きい領域、即ち現在カムオーバーラップ量OVLPnowが最適カムオーバーラップ量OVLPbstよりも大きい領域においては、点火時期補正比率MBTTKratioが「1」よりも大きい値に設定されている。また、オーバーラップ比率OVLPratioが大きくなるほど、点火時期補正比率MBTTKratioが大きくなるように設定されている。
(B)オーバーラップ比率OVLPratioが「1」よりも小さい領域、即ち現在カムオーバーラップ量OVLPnowが最適カムオーバーラップ量OVLPbstよりも小さい領域においては、点火時期補正比率MBTTKratioが「1」よりも小さい値に設定されている。また、オーバーラップ比率OVLPratioが小さくなるほど、点火時期補正比率MBTTKratioが小さくなるように設定されている。
(C)オーバーラップ比率OVLPratioが「0」のとき、即ち最適カムオーバーラップ量OVLPbstが基準オーバーラップ量OVLPX未満のときについては、点火時期補正比率MBTTKratioが「0」に設定されている。
(D)オーバーラップ比率OVLPratioが「1」のとき、即ち現在カムオーバーラップ量OVLPnowが最適カムオーバーラップ量OVLPbstと等しいときについては、点火時期補正比率MBTTKratioが「1」に設定されている。
[ステップS53A]オーバーラップMBT補正量MBTOVLPbstとMBT点火時期補正量MBTTKratioとに基づいて、第2MBT補正量MBTOVLPnbを算出する。即ち、下記処理

MBTOVLPnb←MBTOVLPbst×(MBTTKratio−1)

を通じて、第2MBT補正量MBTOVLPnbの算出を行う。
最適カムMBT点火時期MBTbst(MBT点火時期補正量MBTnb)は、オーバーラップ比率OVLPratioに応じて次のように補正される(ステップS540/S550)。
(A)オーバーラップ比率OVLPratioが「1」よりも大きいとき、第2MBT補正量MBTOVLPnbが正の値となるため、最適カムMBT点火時期MBTbstは第2MBT補正量MBTOVLPnbの絶対値に応じた量だけ進角される。
(B)オーバーラップ比率OVLPratioが「1」よりも小さいとき、第2MBT補正量MBTOVLPnbが負の値となるため、最適カムMBT点火時期MBTbstは第2MBT補正量MBTOVLPnbの絶対値に応じた量だけ遅角される。
(C)オーバーラップ比率OVLPratioが「0」のとき、第2MBT補正量MBTOVLPnbが負のオーバーラップMBT補正量MBTOVLPbstとなるため、最適カムMBT点火時期MBTbstはオーバーラップMBT補正量MBTOVLPbst(第2MBT補正量MBTOVLPnb)の絶対値に応じた量だけ遅角される。
(D)オーバーラップ比率OVLPratioが「1」のとき、第2MBT補正量MBTOVLPnbが「0」となるため、最適カムMBT点火時期MBTbstは進角側及び遅角側のいずれにも変更されない。
<圧縮端温度変化量算出処理[1]:図27>
本処理は、「ベース点火時期設定処理」のステップS600の処理として実行される。
[ステップS610]「IVO圧縮端温度変化量算出処理[1]」(図28)を実行する。この処理を通じて、吸気バルブ開弁時期IVOが最適カム吸気開弁時期IVObstから現在カム吸気開弁時期IVOnowへ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(現在カムIVO温度変化量tempIVOnb)が算出される。
[ステップS620]「IVC圧縮端温度変化量算出処理[1]」(図29)を実行する。この処理を通じて、吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カム吸気閉弁時期IVCbstから現在カム吸気閉弁時期IVCnowへ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(現在カムIVC温度変化量tempIVOnb)が算出される。
[ステップS630]現在カムIVO温度変化量tempIVOnbと現在カムIVC温度変化量tempIVCnbとに基づいて、現在カム全温度変化量tempALLnbを算出する。即ち、下記処理

tempALLnb←tempIVOnb+tempIVCnb

を通じて、現在カム全温度変化量tempALLnbの算出を行う。
<IVO圧縮端温度変化量算出処理[1]:図28>
本処理は、「圧縮端温度変化量算出処理[1]」のステップS610の処理として実行される。
[ステップS612]吸気バルブ開弁時期IVOが基準カム吸気開弁時期IVOtdcから最適カム吸気開弁時期IVObstまで変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(第1基準IVO温度変化量tempIVObt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[4]の処理を通じて第1基準IVO温度変化量tempIVObtを算出する。
[1]IVO圧縮端温度算出マップ(図46)に基準カム吸気開弁時期IVOtdc及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ開弁時期IVOを基準カム吸気開弁時期IVOtdcに設定したときの圧縮端温度の推定値(基準カムIVO圧縮端温度tempIVOtdc)を算出する。
なお、図47は、同じエンジン回転速度NEにおける吸気バルブ開弁時期IVOと圧縮端温度tempIVOとの関係を示す。IVO圧縮端圧力算出マップと同様に、図46のIVO圧縮端温度算出マップもこうしたエンジン回転速度NE毎の吸気バルブ開弁時期IVOと圧縮端温度tempIVOとの関係に基づいて設定されている。また、IVO圧縮端温度算出マップにおいては、基準カム吸気開弁時期IVOtdcの圧縮端温度tempIVO(マップでは0℃)に対する相対値として各吸気バルブ開弁時期IVOの圧縮端温度tempIVCが設定されている。
[2]IVO圧縮端温度算出マップ(図46)に最適カム吸気開弁時期IVObst及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ開弁時期IVOを最適カム吸気開弁時期IVObstに設定したときの圧縮端温度の推定値(最適カムIVO圧縮端温度tempIVObst)を算出する。
[3]最適カムIVO圧縮端温度tempIVObstと基準カムIVO圧縮端温度tempIVOtdcとの差(最適−基準IVO温度変化量△tempIVObt)を算出する。即ち、下記処理

△tempIVObt←tempIVObst−tempIVOtdc

を通じて、最適−基準IVO温度変化量△tempIVObtの算出を行う。
[4]最適−基準IVO温度変化量△tempIVObtと吸入空気率KLとに基づいて、第1基準IVO温度変化量tempIVObtを算出する。即ち、下記処理

tempIVObt←△tempIVObt×(KL/100)

を通じて、第1基準IVO温度変化量tempIVObtの算出を行う。
IVO圧縮端温度算出マップには、吸入空気率KLが100%のときの吸気バルブ開弁時期IVOと圧縮端温度との関係が設定されているため、最適−基準IVO温度変化量△tempIVObtに吸入空気率KL(無次元化した値)を乗算することで、現在の吸入空気率KLに応じた圧縮端温度変化量を算出することができる。
[ステップS614]吸気バルブ開弁時期IVOが基準カム吸気開弁時期IVOtdcから現在カム吸気開弁時期IVOnowまで変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(第2基準IVO温度変化量tempIVOnt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第2基準IVO温度変化量tempIVOntを算出する。
[1]IVO圧縮端温度算出マップ(図46)に現在カム吸気開弁時期IVOnow及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ開弁時期IVOを現在カム吸気開弁時期IVOnowに設定したときの圧縮端温度の推定値(現在カムIVO圧縮端温度tempIVOnow)を算出する。
[2]現在カムIVO圧縮端温度tempIVOnowと基準カムIVO圧縮端温度tempIVOtdcとの差(現在−基準IVO温度変化量△tempIVOnt)を算出する。即ち、下記処理

△tempIVOnt←tempIVOnow−tempIVOtdc

を通じて、現在−基準IVO温度変化量△tempIVOntの算出を行う。
[3]現在−基準IVO温度変化量△tempIVOntと吸入空気率KLとに基づいて、第2基準IVO温度変化量tempIVOntを算出する。即ち、下記処理

tempIVOnt←△tempIVOnt×(KL/100)

を通じて、第2基準IVO温度変化量tempIVOntの算出を行う。
[ステップS616]第2基準IVO温度変化量tempIVOntと第1基準IVO温度変化量tempIVObtとの差(現在カムIVO温度変化量tempIVOnb)を算出する。即ち、下記処理

tempIVOnb←tempIVOnt−tempIVObt

を通じて、現在カムIVO温度変化量tempIVOnbの算出を行う。
<IVC圧縮端温度変化量算出処理[1]:図29>
本処理は、「圧縮端温度変化量算出処理[1]」のステップS620の処理として実行される。
[ステップS622]吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カム吸気閉弁時期IVCtdcから最適カム吸気閉弁時期IVCbstまで変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(第1基準IVC温度変化量tempIVCbt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[4]の処理を通じて第1基準IVC温度変化量tempIVCbtを算出する。
[1]IVC圧縮端温度算出マップ(図48)に基準カム吸気閉弁時期IVCtdc及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを基準カム吸気閉弁時期IVCtdcに設定したときの圧縮端温度の推定値(基準カムIVC圧縮端温度tempIVCtdc)を算出する。
なお、図49は、同じエンジン回転速度NEにおける吸気バルブ閉弁時期IVCと圧縮端温度tempIVCとの関係を示す。IVC圧縮端圧力算出マップと同様に、図48のIVC圧縮端温度算出マップもこうしたエンジン回転速度NE毎の吸気バルブ閉弁時期IVCと圧縮端温度tempIVCとの関係に基づいて設定されている。また、IVC圧縮端温度算出マップにおいては、最大充填閉弁時期IVCmaxの圧縮端温度tempIVO(マップでは0℃)に対する相対値として各吸気バルブ閉弁時期IVCの圧縮端温度tempIVCが設定されている。
[2]IVC圧縮端温度算出マップ(図48)に最適カム吸気閉弁時期IVCbst及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを最適カム吸気閉弁時期IVCbstに設定したときの圧縮端温度の推定値(最適カムIVC圧縮端温度tempIVCbst)を算出する。
[3]最適カムIVC圧縮端温度tempIVCbstと基準カムIVC圧縮端温度tempIVCtdcとの差(最適−基準IVC温度変化量△tempIVCbt)を算出する。即ち、下記処理

△tempIVCbt←tempIVCbst−tempIVCtdc

を通じて、最適−基準IVC温度変化量△tempIVCbtの算出を行う。
[4]最適−基準IVC温度変化量△tempIVCbtと吸入空気率KLとに基づいて、第1基準IVC温度変化量tempIVCbtを算出する。即ち、下記処理

tempIVCbt←△tempIVCbt×(KL/100)

を通じて、第1基準IVC温度変化量tempIVCbtの算出を行う。
IVC圧縮端温度算出マップには、吸入空気率KLが100%のときの吸気バルブ閉弁時期IVCと圧縮端温度との関係が設定されているため、最適−基準IVC温度変化量△tempIVCbtに吸入空気率KL(無次元化した値)を乗算することで、現在の吸入空気率KLに応じた圧縮端温度変化量を算出することができる。
[ステップS624]吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カム吸気閉弁時期IVCtdcから現在カム吸気閉弁時期IVCnowまで変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(第2基準IVC温度変化量tempIVCnt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第2基準IVC温度変化量tempIVCntを算出する。
[1]IVC圧縮端温度算出マップ(図48)に現在カム吸気閉弁時期IVCnow及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを現在カム吸気閉弁時期IVCnowに設定したときの圧縮端温度の推定値(現在カムIVC圧縮端温度tempIVCnow)を算出する。
[2]現在カムIVC圧縮端温度tempIVCnowと基準カムIVC圧縮端温度tempIVCtdcとの差(現在−基準IVC温度変化量△tempIVCnt)を算出する。即ち、下記処理

△tempIVCnt←tempIVCnow−tempIVCtdc

を通じて、現在−基準IVC温度変化量△tempIVCntの算出を行う。
[3]現在−基準IVC温度変化量△tempIVCntと吸入空気率KLとに基づいて、第2基準IVC温度変化量tempIVCntを算出する。即ち、下記処理

tempIVCnt←△tempIVCnt×(KL/100)

を通じて、第2基準IVC温度変化量tempIVCntの算出を行う。
[ステップS626]第2基準IVC温度変化量tempIVCntと第1基準IVC温度変化量tempIVCbtとの差(現在カムIVC温度変化量tempIVCnb)を算出する。即ち、下記処理

tempIVCnb←tempIVCnt−tempIVCbt

を通じて、現在カムIVC温度変化量tempIVCnbの算出を行う。
<圧縮端温度変化量算出処理[2]:図30>
本処理は、「ベース点火時期設定処理」のステップS700の処理として実行される。
[ステップS710]「IVO圧縮端温度変化量算出処理[2]」(図31)を実行する。この処理を通じて、吸気バルブ開弁時期IVOが最適カム吸気開弁時期IVObstから初期カム吸気開弁時期IVOdflへ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(初期カムIVO温度変化量tempIVOdb)が算出される。
[ステップS720]「IVC圧縮端温度変化量算出処理[2]」(図32)を実行する。この処理を通じて、吸気バルブ閉弁時期IVCが最適カム吸気閉弁時期IVCbstから初期カム吸気閉弁時期IVCdflへ変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(初期カムIVC温度変化量tempIVCdb)が算出される。
[ステップS730]初期カムIVO温度変化量tempIVOdbと初期カムIVC温度変化量tempIVCdbとに基づいて、初期カム全温度変化量tempALLdbを算出する。即ち、下記処理

tempALLdb←tempIVOdb+tempIVCdb

を通じて、初期カム全温度変化量tempALLdbの算出を行う。
<IVO圧縮端温度変化量算出処理[2]:図31>
本処理は、「圧縮端温度変化量算出処理[2]」のステップS710の処理として実行される。
[ステップS712]吸気バルブ開弁時期IVOが基準カム吸気開弁時期IVOtdcから初期カム吸気開弁時期IVOdflまで変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(第3基準IVO温度変化量tempIVOdt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第3基準IVO温度変化量tempIVOdtを算出する。
[1]IVO圧縮端温度算出マップ(図46)に初期カム吸気開弁時期IVOdfl及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ開弁時期IVOを初期カム吸気開弁時期IVOdflに設定したときの圧縮端温度の推定値(初期カムIVO圧縮端温度tempIVOdfl)を算出する。
[2]初期カムIVO圧縮端温度tempIVOdflと基準カムIVO圧縮端温度tempIVOtdcとの差(初期−基準IVO温度変化量△tempIVOdt)を算出する。即ち、下記処理

△tempIVOdt←tempIVOdfl−tempIVOtdc

を通じて、初期−基準IVO温度変化量△tempIVOdtの算出を行う。
[3]初期−基準IVO温度変化量△tempIVOdtと吸入空気率KLとに基づいて、第3基準IVO温度変化量tempIVOdtを算出する。即ち、下記処理

tempIVOdt←△tempIVOdt×(KL/100)

を通じて、第3基準IVO温度変化量tempIVOdtの算出を行う。
[ステップS714]第3基準IVO温度変化量tempIVOdtと第1基準IVO温度変化量tempIVObtとの差(初期カムIVO温度変化量tempIVOdb)を算出する。即ち、下記処理

tempIVOdb←tempIVOdt−tempIVObt

を通じて、初期カムIVO温度変化量tempIVOdbの算出を行う。
<IVC圧縮端温度変化量算出処理[2]:図32>
本処理は、「圧縮端温度変化量算出処理[2]」のステップS720の処理として実行される。
[ステップS722]吸気バルブ閉弁時期IVCが基準カム吸気閉弁時期IVCtdcから初期カム吸気閉弁時期IVCdflまで変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(第3基準IVC温度変化量tempIVCdt)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第3基準IVC温度変化量tempIVCdtを算出する。
[1]IVC圧縮端温度算出マップ(図48)に初期カム吸気閉弁時期IVCdfl及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを初期カム吸気閉弁時期IVCdflに設定したときの圧縮端温度の推定値(初期カムIVC圧縮端温度tempIVCdfl)を算出する。
[2]初期カムIVC圧縮端温度tempIVCdflと基準カムIVC圧縮端温度tempIVCtdcとの差(初期−基準IVC温度変化量△tempIVCdt)を算出する。即ち、下記処理

△tempIVCdt←tempIVCdfl−tempIVCtdc

を通じて、初期−基準IVC温度変化量△tempIVCdtの算出を行う。
[3]初期−基準IVC温度変化量△tempIVCdtと吸入空気率KLとに基づいて、第3基準IVC温度変化量tempIVCdtを算出する。即ち、下記処理

tempIVCdt←△tempIVCdt×(KL/100)

を通じて、第3基準IVC温度変化量tempIVCdtの算出を行う。
[ステップS724]第3基準IVC温度変化量tempIVCdtと第1基準IVC温度変化量tempIVCbtとの差(初期カムIVC温度変化量tempIVCdb)を算出する。即ち、下記処理

tempIVCdb←tempIVCdt−tempIVCbt

を通じて、初期カムIVC温度変化量tempIVCdbの算出を行う。
<現在カムノック限界点火時期設定処理:図33>
本処理は、「ベース点火時期設定処理」のステップS800の処理として実行される。
[ステップS810]最適カムノック限界点火時期算出マップ(図51)を通じて、現在のエンジン回転速度NE及び吸入空気率KLに対応した最適カムノック限界点火時期TKbstを算出する。なお、図52は、同じエンジン回転速度NEにおける吸入空気率KLと最適カムノック限界点火時期TKbstとの関係を示す。本実施形態においては、最適カムノック限界点火時期算出マップに設定されている各最適カムノック限界点火時期TKbstが、複数の基本ノック限界点火時期に相当する。
[ステップS820]「第1ノック限界補正量算出処理」(図34)を実行する。この処理を通じて、最適カムノック限界点火時期TKbstの補正項である第1ノック限界補正量TKtempnbが算出される。
[ステップS830]「第2ノック限界補正量算出処理」(図35)を実行する。この処理を通じて、最適カムノック限界点火時期TKbstの補正項である第2ノック限界補正量TKOVLPnbが算出される。
[ステップS840]第1ノック限界補正量TKtempnbと第2ノック限界補正量TKOVLPnbとに基づいて、ノック限界点火時期補正量TKnbを算出する。即ち、下記処理

TKnb←TKtempnb+TKOVLPnb

を通じて、ノック限界点火時期補正量TKnbの算出を行う。
[ステップS850]最適カムノック限界点火時期TKbstとノック限界点火時期補正量TKnbとに基づいて、現在カムノック限界点火時期TKnowを算出する。即ち、下記処理

TKnow←TKbst+TKnb

を通じて、現在カムノック限界点火時期TKnowの算出を行う。
<第1ノック限界補正量算出処理:図34>
本処理は、「ノック限界点火時期設定処理」のステップS820の処理として実行される。
[ステップS822]第1ノック限界補正量算出マップ(図50)を通じて、現在カム全温度変化量tempALLnbに対応した第1ノック限界補正量TKtempnbを算出する。
第1ノック限界補正量算出マップには、圧縮端温度の変化量(現在カム全温度変化量tempALLnb/初期カム全温度変化量tempALLdb)に応じて次のようにノック限界補正量(第1ノック限界補正量TKtempnb/初期カムノック限界補正量TKtempdb)が設定されている。
(A)圧縮端温度の変化量が正の値となる領域、即ち現在カム燃焼室温度Tnowが最適カム燃焼室温度Tbstよりも大きい領域においては、ノック限界補正量が負の値に設定されている。また、圧縮端温度の変化量が正側へ大きくなるほど、ノック限界補正量が小さくなるように(負側へ大きくなるように)設定されている。
(B)圧縮端温度の変化量が負の値となる領域、即ち現在カム燃焼室温度Tnowが最適カム燃焼室温度Tbstよりも小さい領域においては、ノック限界補正量が正の値に設定されている。また、圧縮端温度の変化量が負側へ大きくなるほど、ノック限界補正量が大きくなるように(正側へ大きくなるように)設定されている。
(C)圧縮端温度の変化量が「0」のとき、即ち現在カム燃焼室温度Tnowが最適カム燃焼室温度Tbstと等しいときについては、ノック限界補正量が「0」に設定されている。
最適カムノック限界点火時期TKbst(ノック限界点火時期補正量TKnb)は、現在カム全温度変化量tempALLnbに応じて次のように補正される(ステップS840/S850)。
(A)現在カム全温度変化量tempALLnbが正の値のとき、第1ノック限界補正量TKtempnbが負の値となるため、最適カムノック限界点火時期TKbst(ノック限界点火時期補正量TKnb)は第1ノック限界補正量TKtempnbの絶対値に応じた量だけ遅角される。
(B)現在カム全温度変化量tempALLnbが負の値のとき、第1ノック限界補正量TKtempnbが正の値となるため、最適カムノック限界点火時期TKbst(ノック限界点火時期補正量TKnb)は第1ノック限界補正量TKtempnbの絶対値に応じた量だけ進角される。
(C)現在カム全温度変化量tempALLnbが「0」のとき、第1ノック限界補正量TKtempnbが「0」となるため、最適カムノック限界点火時期TKbst(ノック限界点火時期補正量TKnb)は進角側及び遅角側のいずれにも変更されない。
<第2ノック限界補正量算出処理:図35>
本処理は、「ノック限界点火時期設定処理」のステップS830の処理として実行される。
[ステップS832]初期カムノック限界点火時期算出マップ(図53)を通じて、現在のエンジン回転速度NE及び吸入空気率KLに対応した初期カムノック限界点火時期TKdflを算出する。なお、図54は、同じエンジン回転速度NEにおける吸入空気率KLと初期カムノック限界点火時期TKdflとの関係を示す。
[ステップS834]第1ノック限界補正量算出マップ(図50)を通じて、初期カム全温度変化量tempALLdbに対応した初期カムノック限界補正量TKtempdbを算出する。
[ステップS836]最適カムノック限界点火時期TKbstから最適カムCbstのバルブオーバーラップ量に応じたノック限界点火時期補正量(オーバーラップノック限界補正量TKOVLPbst)を抽出する。即ち、下記処理

TKOVLPbst←TKbst+TKtempdb−TKdfl

を通じて、オーバーラップノック限界補正量TKOVLPbstの算出を行う。
オーバーラップノック限界補正量TKOVLPbstの抽出態様について説明する。
最適カムノック限界点火時期TKbstと初期カムノック限界点火時期TKdflとの間には、次のような違いがある。
(A)最適カムノック限界点火時期TKbstは、最適カムCbstのバルブオーバーラップ量(残留ガス率)に対する点火時期の補正量を含めて適合されている。一方で、初期カムノック限界点火時期TKdflは、初期カムCdflのバルブオーバーラップ量、即ちバルブオーバーラップ量が「0」の状態に対して適合されている。このため、最適カムノック限界点火時期TKbstと初期カムノック限界点火時期TKdflとの間には、最適カムCbstのバルブオーバーラップ量に応じた量の差がある。
(B)最適カムノック限界点火時期TKbstは、最適カムCbstの燃焼室23の温度に対する点火時期の補正量を含めて適合されている。一方で、初期カムノック限界点火時期TKdflは、初期カムCdflの燃焼室23の温度に対する点火時期の補正量を含めて適合されている。このため、最適カムノック限界点火時期TKbstと初期カムノック限界点火時期TKdflとの間には、最適カムCbstの燃焼室23の温度と初期カムCdflの燃焼室23の温度との違いに応じた量の差がある。
ここで、最適カムノック限界点火時期TKbstを基準にすると、最適カムノック限界点火時期TKbstには燃焼室23の温度変化に対する点火時期の補正量が含まれていないことになる。一方で、初期カムノック限界点火時期TKdflには、最適カムCbstの燃焼室23の温度から初期カムCdflの燃焼室23の温度までの温度変化量に応じた点火時期の補正量(初期カムノック限界補正量TKtempdb)が含まれていることになる。
従って、初期カムノック限界点火時期TKdflに対してオーバーラップノック限界補正量TKOVLPbstを加えた点火時期と、最適カムノック限界点火時期TKbstに対して初期カムノック限界補正量TKtempdbを加えた点火時期とが等しくなる。
そこで、最適カムノック限界点火時期TKbstに対して初期カムノック限界補正量TKtempdbを加えた点火時期から初期カムMBT点火時期MBTdflを除くことで、最適カムノック限界点火時期TKbstからバルブオーバーラップ量に応じた補正量のみを抽出することができる。
[ステップS838]オーバーラップノック限界補正量TKOVLPbstと点火時期補正比率MBTTKratioとに基づいて、第2ノック限界補正量TKOVLPnbを算出する。即ち、下記処理

TKOVLPnb←TKOVLPdb×(MBTTKratio−1)

を通じて、第2ノック限界補正量TKOVLPnbの算出を行う。
最適カムノック限界点火時期TKbst(ノック限界点火時期補正量TKnb)は、オーバーラップ比率OVLPratioに応じて次のように補正される(ステップS840/S850)。
(A)オーバーラップ比率OVLPratioが「1」よりも大きいとき、第2ノック限界補正量TKOVLPnbが正の値となるため、最適カムノック限界点火時期TKbstは第2ノック限界補正量TKOVLPnbの絶対値に応じた量だけ進角される。
(B)オーバーラップ比率OVLPratioが「1」よりも小さいとき、第2ノック限界補正量TKOVLPnbが負の値となるため、最適カムノック限界点火時期TKbstは第2ノック限界補正量TKOVLPnbの絶対値に応じた量だけ遅角される。
(C)オーバーラップ比率OVLPratioが「0」のとき、第2ノック限界補正量TKOVLPnbが負のオーバーラップノック限界補正量TKOVLPbstとなるため、最適カムノック限界点火時期TKbstはオーバーラップノック限界補正量TKOVLPbst(第2ノック限界補正量TKOVLPnb)の絶対値に応じた量だけ遅角される。
(D)オーバーラップ比率OVLPratioが「1」のとき、第2ノック限界補正量TKOVLPnbが「0」となるため、最適カムノック限界点火時期TKbstは進角側及び遅角側のいずれにも変更されない。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第1実施形態にかかるエンジンの点火時期制御装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、吸気バルブ開弁時期IVOの変化にともなう燃焼室23内の温度/圧力の変化を加味して現在カムMBT点火時期MBTnow及び現在カムノック限界点火時期TKnowを算出するようにしている。これにより、吸気バルブ開弁時期IVOの変化にかかわらず、適切なベース点火時期BseFを設定することができるようになる。
(2)本実施形態では、吸気バルブ閉弁時期IVCの変化にともなう燃焼室23内の温度/圧力の変化を加味して現在カムMBT点火時期MBTnow及びノック限界点火時期TKnowを算出するようにしている。これにより、吸気バルブ閉弁時期IVCの変化にかかわらず、適切なベース点火時期BseFを設定することができるようになる。
(3)本実施形態では、バルブオーバーラップ量OVLPの変化にともなう燃焼室23内の残留ガス率の変化を加味して現在カムMBT点火時期MBTnow及びノック限界点火時期TKnowを算出するようにしている。これにより、バルブオーバーラップ量OVLPの変化にかかわらず、適切なベース点火時期BseFを設定することができるようになる。
(4)本実施形態では、燃焼室23内の温度/圧力の指標値として圧縮端温度/圧縮端圧力を採用し、吸気バルブ開弁時期IVO及び吸気バルブ閉弁時期IVCの変化にともなう圧縮端温度/圧縮端圧力の変化量に基づいて、最適カムCbstのMBT点火時期及びノック限界点火時期の補正を行うようにしている。ちなみに、圧縮端温度/圧縮端圧力は、他のクランク角度における燃焼室23内の温度/圧力に比べて吸気バルブ開弁時期IVO及び吸気バルブ閉弁時期IVCの変化に対する感度が高いことが確認されている。そこで、上記構成を採用することにより、吸気バルブ開弁時期IVO及び吸気バルブ閉弁時期IVCの変化に対する燃焼室23内の温度/圧力の変化量がより的確に把握されるようになるため、点火時期の補正精度の向上を図ることができるようになる。
(5)本実施形態では、最適カムMBT点火時期MBTbstから最適カムオーバーラップ量OVLPbstに応じたMBT点火時期の補正量を抽出し、この補正量を通じて現在カムオーバーラップ量OVLPnowに応じたMBT点火時期の補正量を算出するようにしている。これにより、各バルブオーバーラップ量OVLPに応じたMBT点火時期の補正量を予め適合しなくとも、バルブオーバーラップ量OVLPの変化に対するMBT点火時期の補正を適切に行うことができるようになる。
(6)本実施形態では、最適カムノック限界点火時期TKbstから最適カムオーバーラップ量OVLPbstに応じたノック限界点火時期の補正量を抽出し、この補正量を通じて現在カムオーバーラップ量OVLPnowに応じたノック限界点火時期の補正量を算出するようにしている。これにより、各バルブオーバーラップ量OVLPに応じたノック限界点火時期の補正量を予め適合しなくとも、バルブオーバーラップ量OVLPの変化に対するノック限界点火時期の補正を適切に行うことができるようになる。
(7)本実施形態では、最適カムオーバーラップ量OVLPbstに応じた補正量の抽出に際して、初期カムCdflに対して予め適合されている初期カムMBT点火時期MBTdfl及び初期カムノック限界点火時期TKdflを利用している。ちなみに、バルブオーバーラップ量OVLPに応じた補正量の算出に際しては、バルブオーバーラップが設定されたバルブ特性の点火時期とバルブオーバーラップが設定されていないバルブ特性の点火時期とが必要になる。上記構成では、エンジン1の冷間時のために予め適合されている初期カムCdflの点火時期を利用しているため、別途、バルブオーバーラップが設定されていないバルブ特性に対してMBT点火時期及びノック限界点火時期を適合する必要がなくなる。
(8)本実施形態では、最適カムCbstと現在カムCnowとにおける燃焼室23内の状態(温度/圧力及び残留ガス率)の違いに基づいて、最適カムMBT点火時期MBTbst及び最適カムノック限界点火時期TKbstを補正することで、現在カムCnowに適合したMBT/ノック限界点火時期を算出するようにしている。これにより、最適カムCbst及び初期カムCdflのMBT/ノック限界点火時期が予め適合されていれば、その他のバルブ特性に適合したMBT/ノック限界点火時期を算出することが可能となるため、「ベース点火時期設定処理」の構築をより効率的に行うことができるようになる。
(9)また、現在カムCnowに適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期をマップに設定されている点火時期のなかから選択することができない場合にあっても、最適カムMBT点火時期MBTbst及び最適カムノック限界点火時期TKbstの補正を通じて、適切なMBT点火時期及びノック限界点火時期を設定することができるようになる。これにより、吸気バルブタイミング可変機構51と吸気最大バルブリフト量可変機構53との応答性の違いにより、現在カムCnowが最適カムCbstから外れている場合にあっても、現在カムCnowに適合したベース点火時期を設定することができるようになる。
(10)本実施形態では、エンジン回転速度NE毎に吸気バルブ開弁時期IVOと圧縮端温度/圧縮端圧力との関係を把握し、これに基づいて圧縮端温度/圧縮端圧力の変化量を推定するようにしている。燃焼室23内の温度/圧力は、吸気脈動の影響を受けて変化するため、吸気バルブ開弁時期IVOとエンジン回転速度NEとをパラメータとすることで、より適切に圧縮端温度/圧縮端圧力を推定することができるようになる。
(11)本実施形態では、吸入空気率KLに応じて圧縮端温度/圧縮端圧力を補正するようにしている。吸気脈動の振幅は、吸入空気率KL(吸入空気量)に応じて変動するため、圧縮端温度/圧縮端圧力もこれにともなって変化するようになる。従って、上記構成を採用することで、圧縮端温度/圧縮端圧力の推定精度をより向上させることができるようになる。
(12)本実施形態では、吸気バルブ開弁時期IVO及び排気バルブ閉弁時期EVCがATDC側のとき、上死点から排気バルブ閉弁時期EVCまでの期間をバルブオーバーラップ量として算出するようにしている。ちなみに、排気バルブ閉弁時期EVCがATDC側のとき、ピストン22の下降にともなう燃焼室23内の負圧の増加により、吸気バルブ35が開弁していなくても残留ガス率が増加する傾向を示す。そこで、上記態様をもってバルブオーバーラップ量OVLPを算出することで、残留ガス率の変化をより適切に把握することができるようになる。
(13)本実施形態では、最適カムオーバーラップ量OVLPbstが基準オーバーラップ量OVLPX未満のとき、オーバーラップ比率OVLPratioを「0」に設定するようにしている。これにより、バルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正精度の低下が抑制されるため、より適切なMBT点火時期及びノック限界点火時期の設定が可能となる。
<変更例>
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・「IVO圧縮端圧力算出マップ」、「IVC圧縮端圧力算出マップ」、「IVO圧縮端温度算出マップ」及び「IVC圧縮端温度算出マップ」を、吸気管33の有効長さ毎に用意することもできる。吸気管33の有効長さが変化すると、これにともなって吸気脈動の周期が変化するため、あわせて燃焼室23内の温度/圧力も影響を受けるようになる。そこで、上記構成を採用することにより、圧縮端温度/圧縮端圧力の推定精度を向上させることができるようになる。
・「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[1]」、「IVO圧縮端圧力変化量算出処理[2]」、「IVO圧縮端温度変化量算出処理[1]」及び「IVO圧縮端温度変化量算出処理[2]」において、基準カム吸気開弁時期IVOtdc以外の吸気バルブ開弁時期IVOを基準として圧縮端圧力/圧縮端温度の変化量を算出することもできる。
・「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[1]」、「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[2]」、「IVC圧縮端温度変化量算出処理[1]」及び「IVC圧縮端温度変化量算出処理[2]」において、基準カム吸気閉弁時期IVCtdc以外の吸気バルブ閉弁時期IVCを基準として圧縮端圧力/圧縮端温度の変化量を算出することもできる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図55〜図58を参照して説明する。
前記第1実施形態では、基準カム吸気閉弁時期IVCtdcを基準として圧縮端圧力の変化量(第1基準IVC圧力変化量bt,第2基準IVC圧力変化量nt,第3基準IVC圧力変化量dt)を算出するようにしている。
これに対して、本実施形態では、最大充填閉弁時期IVCmaxを基準として圧縮端圧力の変化量を算出するようにしている。
最大充填閉弁時期IVCmaxは、圧縮端圧力の変化傾向の変曲点に相当するため(図8参照)、最大充填閉弁時期IVCmaxを基準とすることにより、圧縮端圧力の変化傾向が同じ領域において圧縮端圧力の変化量が算出されることになる。これにより、圧縮端圧力の変化量の推定精度が向上するため、MBT点火時期及びノック限界点火時期の補正精度の向上が図られるようになる。
以下、本実施形態における圧縮端圧力変化量算出処理、及び圧縮端温度変化量算出処理について説明する。なお、本実施形態において、以降にて説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<圧縮端圧力変化量算出処理[1]:図17>
本処理のステップS220では、「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[1]」に換えて以下に説明する「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[3]」を実行する。
<IVC圧縮端圧力変化量算出処理[3]:図55>
本処理は、「圧縮端圧力変化量算出処理[1]」のステップS220の処理として実行される。
[ステップT222]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxから最適カム吸気閉弁時期IVCbstまで変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(第1最大IVC圧力変化量compIVCbm)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[4]の処理を通じて第1最大IVC圧力変化量compIVCbmを算出する。
[1]IVC圧縮端圧力算出マップ(図39)に最大充填閉弁時期IVCmax及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを最大充填閉弁時期IVCmaxに設定したときの圧縮端圧力の推定値(最大充填IVC圧縮端圧力compIVCmax)を算出する。
[2]IVC圧縮端圧力算出マップ(図39)に最適カム吸気閉弁時期IVCbst及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを最適カム吸気閉弁時期IVCbstに設定したときの圧縮端圧力の推定値(最適カムIVC圧縮端圧力compIVCbst)を算出する。
[3]最適カムIVC圧縮端圧力compIVCbstと最大充填IVC圧縮端圧力compIVCmaxとの差(最適−最大IVC圧力変化量△compIVCbm)を算出する。即ち、下記処理

△compIVCbm←compIVCbst−compIVCmax

を通じて、最適−最大IVC圧力変化量△compIVCbmの算出を行う。
[4]最適−最大IVC圧力変化量△compIVCbmと吸入空気率KLとに基づいて、第1最大IVC圧力変化量compIVCbmを算出する。即ち、下記処理

compIVCbm←△compIVCbm×(KL/100)

を通じて、第1最大IVC圧力変化量compIVCbmの算出を行う。なお、第1最大IVC圧力変化量compIVCbmは、第3閉弁状態変化量に相当する。
[ステップT224]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxから現在カム吸気閉弁時期IVCnowまで変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(第2最大IVC圧力変化量compIVCnm)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第2最大IVC圧力変化量compIVCnmを算出する。
[1]IVC圧縮端圧力算出マップ(図39)に現在カム吸気閉弁時期IVCnow及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを現在カム吸気閉弁時期IVCnowに設定したときの圧縮端圧力の推定値(現在カムIVC圧縮端圧力compIVCnow)を算出する。
[2]現在カムIVC圧縮端圧力compIVCnowと最大充填IVC圧縮端圧力compIVCmaxとの差(現在−最大IVC圧力変化量△compIVCnm)を算出する。即ち、下記処理

△compIVCnm←compIVCnow−compIVCmax

を通じて、現在−最大IVC圧力変化量△compIVCnmの算出を行う。
[3]現在−最大IVC圧力変化量△compIVCnmと吸入空気率KLとに基づいて、第2最大IVC圧力変化量compIVCnmを算出する。即ち、下記処理

compIVCnm←△compIVCnm×(KL/100)

を通じて、第2最大IVC圧力変化量compIVCnmの算出を行う。なお、第2最大IVC圧力変化量compIVCnmは、第4閉弁状態変化量に相当する。
[ステップT226]第2最大IVC圧力変化量compIVCnmと第1最大IVC圧力変化量compIVCbmとの差(現在カムIVC圧力変化量compIVCnb)を算出する。即ち、下記処理

compIVCnb←compIVCnm−compIVCbm

を通じて、現在カムIVC圧力変化量compIVCnbの算出を行う。
<圧縮端圧力変化量算出処理[2]:図20>
本実施形態では、ステップS320において、「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[2]」に換えて以下に説明する「IVC圧縮端圧力変化量算出処理[4]」を実行する。
<IVC圧縮端圧力変化量算出処理[4]:図56>
本処理は、「圧縮端圧力変化量算出処理[2]」のステップS320の処理として実行される。
[ステップT322]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxから初期カム吸気閉弁時期IVCdflまで変化したことにともなう圧縮端圧力の変化量の推定値(第3最大IVC圧力変化量compIVCdm)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第3最大IVC圧力変化量compIVCdmを算出する。
[1]IVC圧縮端圧力算出マップ(図39)に初期カム吸気閉弁時期IVCdfl及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを初期カム吸気閉弁時期IVCdflに設定したときの圧縮端圧力の推定値(初期カムIVC圧縮端圧力compIVCdfl)を算出する。
[2]初期カムIVC圧縮端圧力compIVCdflと最大充填IVC圧縮端圧力compIVCmaxとの差(初期−最大IVC圧力変化量△compIVCdm)を算出する。即ち、下記処理

△compIVCdm←compIVCdfl−compIVCmax

を通じて、初期−最大IVC圧力変化量△compIVCdmの算出を行う。
[3]初期−最大IVC圧力変化量△compIVCdmと吸入空気率KLとに基づいて、第3最大IVC圧力変化量compIVCdmを算出する。即ち、下記処理

compIVCdm←△compIVCdm×(KL/100)

を通じて、第3最大IVC圧力変化量compIVCdmの算出を行う。
[ステップT324]第3最大IVC圧力変化量compIVCdmと第1最大IVC圧力変化量compIVCbmとの差(初期カムIVC圧力変化量compIVCdb)を算出する。即ち、下記処理

compIVCdb←compIVCdm−compIVCbm

を通じて、初期カムIVC圧力変化量compIVCdbの算出を行う。
<圧縮端温度変化量算出処理[1]:図27>
本処理のステップS620では、「IVC圧縮端温度変化量算出処理[1]」に換えて以下に説明する「IVC圧縮端温度変化量算出処理[3]」を実行する。
<IVC圧縮端温度変化量算出処理[3]:図57>
本処理は、「圧縮端温度変化量算出処理[1]」のステップS620の処理として実行される。
[ステップT622]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxから最適カム吸気閉弁時期IVCbstまで変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(第1最大IVC温度変化量tempIVCbm)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[4]の処理を通じて第1最大IVC温度変化量tempIVCbmを算出する。
[1]IVC圧縮端温度算出マップ(図49)に最大充填閉弁時期IVCmax及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを最大充填閉弁時期IVCmaxに設定したときの圧縮端温度の推定値(最大充填IVC圧縮端温度tempIVCmax)を算出する。
[2]IVC圧縮端温度算出マップ(図49)に最適カム吸気閉弁時期IVCbst及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを最適カム吸気閉弁時期IVCbstに設定したときの圧縮端温度の推定値(最適カムIVC圧縮端温度tempIVCbst)を算出する。
[3]最適カムIVC圧縮端温度tempIVCbstと最大充填IVC圧縮端温度tempIVCmaxとの差(最適−最大IVC温度変化量△tempIVCbm)を算出する。即ち、下記処理

△tempIVCbm←tempIVCbst−tempIVCmax

を通じて、最適−最大IVC温度変化量△tempIVCbmの算出を行う。
[4]最適−最大IVC温度変化量△tempIVCbmと吸入空気率KLとに基づいて、第1最大IVC温度変化量tempIVCbmを算出する。即ち、下記処理

tempIVCbm←△tempIVCbm×(KL/100)

を通じて、第1最大IVC温度変化量tempIVCbmの算出を行う。
[ステップT624]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxから現在カム吸気閉弁時期IVCnowまで変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(第2最大IVC温度変化量tempIVCnm)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第2最大IVC温度変化量tempIVCnmを算出する。
[1]IVC圧縮端温度算出マップ(図49)に現在カム吸気閉弁時期IVCnow及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを現在カム吸気閉弁時期IVCnowに設定したときの圧縮端温度の推定値(現在カムIVC圧縮端温度tempIVCnow)を算出する。
[2]現在カムIVC圧縮端温度tempIVCnowと最大充填IVC圧縮端温度tempIVCmaxとの差(現在−最大IVC温度変化量△tempIVCnm)を算出する。即ち、下記処理

△tempIVCnm←tempIVCnow−tempIVCmax

を通じて、現在−最大IVC温度変化量△tempIVCnmの算出を行う。
[3]現在−最大IVC温度変化量△tempIVCnmと吸入空気率KLとに基づいて、第2最大IVC温度変化量tempIVCnmを算出する。即ち、下記処理

tempIVCnm←△tempIVCnm×(KL/100)

を通じて、第2最大IVC温度変化量tempIVCnmの算出を行う。
[ステップT626]第2最大IVC温度変化量tempIVCnmと第1最大IVC温度変化量tempIVCbmとの差(現在カムIVC温度変化量tempIVCnb)を算出する。即ち、下記処理

tempIVCnb←tempIVCnm−tempIVCbm

を通じて、現在カムIVC温度変化量tempIVCnbの算出を行う。
<圧縮端温度変化量算出処理[2]:図30>
本処理のステップS720では、「IVC圧縮端温度変化量算出処理[2]」に換えて以下に説明する「IVC圧縮端温度変化量算出処理[4]」を実行する。
<IVC圧縮端温度変化量算出処理[4]:図58>
本処理は、「圧縮端温度変化量算出処理[2]」のステップS720の処理として実行される。
[ステップT722]吸気バルブ閉弁時期IVCが最大充填閉弁時期IVCmaxから初期カム吸気閉弁時期IVCdflまで変化したことにともなう圧縮端温度の変化量の推定値(第3最大IVC温度変化量tempIVCdm)を算出する。ここでは、以下の[1]〜[3]の処理を通じて第3最大IVC温度変化量tempIVCdmを算出する。
[1]IVC圧縮端温度算出マップ(図49)に初期カム吸気閉弁時期IVCdfl及び現在のエンジン回転速度NEを適用して、吸気バルブ閉弁時期IVCを初期カム吸気閉弁時期IVCdflに設定したときの圧縮端温度の推定値(初期カムIVC圧縮端温度tempIVCdfl)を算出する。
[2]初期カムIVC圧縮端温度tempIVCdflと最大充填IVC圧縮端温度tempIVCmaxとの差(初期−最大IVC温度変化量△tempIVCdm)を算出する。即ち、下記処理

△tempIVCdm←tempIVCdfl−tempIVCmax

を通じて、初期−最大IVC温度変化量△tempIVCdmの算出を行う。
[3]初期−最大IVC温度変化量△tempIVCdmと吸入空気率KLとに基づいて、第3最大IVC温度変化量tempIVCdmを算出する。即ち、下記処理

tempIVCdm←△tempIVCdm×(KL/100)

を通じて、第3最大IVC温度変化量tempIVCdmの算出を行う。
[ステップT724]第3最大IVC温度変化量tempIVCdmと第1最大IVC温度変化量tempIVCbmとの差(初期カムIVC温度変化量tempIVCdb)を算出する。即ち、下記処理

tempIVCdb←tempIVCdm−tempIVCbm

を通じて、初期カムIVC温度変化量tempIVCdbの算出を行う。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第2実施形態にかかるエンジンの点火時期制御装置によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(13)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(14)本実施形態では、最大充填閉弁時期IVCmaxを基準として圧縮端温度/圧縮端圧力の変化量を算出するようにしている。これにより、圧縮端温度/圧縮端圧力の推定精度が向上するため、MBT点火時期及びノック限界点火時期の補正精度を向上させることができるようになる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図59を参照して説明する。
前記第1実施形態では、現在カム全温度変化量tempALLnb/初期カム全温度変化量tempALLdbに対して第1ノック限界補正量TKtempnb/初期カムノック限界補正量TKtempdbを適合した第1ノック限界補正量算出マップ(図50)を予め電子制御装置9に記憶している。
これに対して、本実施形態では、現在カム全圧力変化量compALLnb/初期カム全圧力変化量compALLdbに対して第1ノック限界補正量TKcompnb/初期カムノック限界補正量TKcompdbを適合した第1ノック限界補正量算出マップ[2](図59)を予め電子制御装置9に記憶している。
こうした構成を採用した場合には、「圧縮端温度変化量算出[1]」(図27)、「圧縮端温度変化量算出処理[2]」(図30)、IVO圧縮端温度算出マップ(図46)、及びIVC圧縮端温度算出マップ(図48)を省略することができるようになる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第3実施形態にかかるエンジンの点火時期制御装置によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(13)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(15)本実施形態によれば、「ベース点火時期設定処理」の構造の簡素化を図ることができるようになる。
<変更例>
なお、上記第3実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第3実施形態は、前記第2実施形態について適用することもできる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図60を参照して説明する。
前記第1実施形態では、現在カム全圧力変化量compALLnb/初期カム全圧力変化量compALLdbに対して第1MBT補正量MBTcompnb/初期カムMBT補正量MBTcompdbを適合した第1MBT補正量算出マップ(図40)を予め電子制御装置9に記憶している。
これに対して、本実施形態では、現在カム全温度変化量tempALLnb/初期カム全温度変化量tempALLdbに対して第1MBT補正量MBTtempnb/初期カムMBT補正量MBTtempdbを適合した第1MBT補正量算出マップ[2](図60)を予め電子制御装置9に記憶している。
こうした構成を採用した場合には、「圧縮端圧力変化量算出[1]」(図17)、「圧縮端圧力変化量算出処理[2]」(図20)、IVO圧縮端圧力算出マップ(図36)、及びIVC圧縮端圧力算出マップ(図38)を省略することができるようになる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第4実施形態にかかるエンジンの点火時期制御装置によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(13)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(16)本実施形態によれば、「ベース点火時期設定処理」の構造の簡素化を図ることができるようになる。
<変更例>
なお、上記第4実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第4実施形態は、前記第2実施形態及び前記第3実施形態に適用することもできる。
(その他の実施形態)
その他、上記各実施形態に共通して変更することができる要素を以下に列挙する。
・「ベース点火時期設定処理」における各演算マップは、上記各実施形態にて例示した構成に限られず適宜変更することができる。
・目標カムCtrgの設定態様は、上記各実施形態にて例示した態様に限られず適宜変更することができる。
・各最適カムCbstに適合したベース点火時期をマップに設定するとともにこのマップを予め電子制御装置9に記憶し、同マップを通じてベース点火時期の算出を行うこともできる。この場合も、上記各実施形態に準じた態様をもって最適カムCbstのベース点火時期を補正することで、現在カムCnowに適合したベース点火時期を算出することができる。なお、上記構成においては、マップに設定されているベース点火時期が、複数の基本ベース点火時期に相当する。また、最適カムCbstに適合したベース点火時期が第1ベース点火時期に、初期カムCdflに適合したベース点火時期が第2ベース点火時期に相当する。
・上記各実施形態において、残留ガス率と排気ポート32の温度とに基づいて、残留ガスによる燃焼室23内の温度の変化量を推定し、これを加味してノック限界点火時期の補正を行うこともできる。これにより、ノック限界点火時期の補正精度をより向上させることができるようになる。
・可変動弁機構5を備えたエンジン1であれば、エンジン1の構成は適宜変更することができる。
・可変動弁機構5の構成は、吸気バルブタイミング可変機構、排気バルブタイミング可変機構、吸気最大バルブリフト量可変機構、及び排気最大バルブリフト量可変機構の少なくとも一つを含む構成に変更することができる。なお、排気最大バルブリフト量可変機構は、排気バルブの最大バルブリフト量とともに排気バルブ作用角を変更する。
・吸気バルブ開弁時期及び吸気バルブ閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンであれば、いずれのエンジンに対しても上記各実施形態に準じた態様をもって本発明を適用することができる。
1…エンジン、2…シリンダブロック、21…シリンダ、22…ピストン、23…燃焼室、3…シリンダヘッド、31…吸気ポート、32…排気ポート、33…吸気管、34…排気管、35…吸気バルブ、36…排気バルブ、37…イグニッションプラグ、38…スロットルバルブ、39…ポート噴射インジェクタ、5…可変動弁機構、51…吸気バルブタイミング可変機構、52…排気バルブタイミング可変機構、53…吸気最大バルブリフト量可変機構、9…電子制御装置、91…回転速度センサ、92…スロットル開度センサ、93…エアフロメータ、94…吸気バルブタイミングセンサ、95…排気バルブタイミングセンサ、96…吸気最大バルブリフト量センサ。
Ctrg…目標カム、Cbst…最適カム、Cdfl…初期カム、Ctdc…基準カム、Cnow…現在カム。
NE…エンジン回転速度、TA…スロットル開度、GA…吸入空気量、GAreq…要求吸入空気量、KL…吸入空気率、EGrate…残留ガス率。
INVT…吸気バルブタイミング、INVTmax…最進角吸気バルブタイミング、INVTmin…最遅角吸気バルブタイミング、EXVT…排気バルブタイミング、EXVTmax…最進角排気バルブタイミング、EXVTmin…最遅角排気バルブタイミング。
INVL…吸気最大バルブリフト量、INVLmax…上限吸気最大バルブリフト量、INVLmin…下限吸気最大バルブリフト量、INCAM…吸気バルブ作用角、INCAMmax…最大吸気バルブ作用角、INCAMmin…最小吸気バルブ作用角、EXCAM…排気バルブ作用角。
IVO…吸気バルブ開弁時期、IVC…吸気バルブ閉弁時期、IVOnow…現在カム吸気開弁時期、IVObst…最適カム吸気開弁時期、IVOdfl…初期カム吸気開弁時期、IVOtdc…基準カム吸気開弁時期、IVCnow…現在カム吸気閉弁時期、IVCbst…最適カム吸気閉弁時期、IVCdfl…初期カム吸気閉弁時期、IVCtdc…基準カム吸気閉弁時期、IVCmax…最大充填閉弁時期。
EVO…排気バルブ開弁時期、EVC…排気バルブ閉弁時期、EVCnow…現在カム排気閉弁時期、EVCbst…最適カム排気閉弁時期、EVCdfl…初期カム排気閉弁時期、EVCtdc…基準カム排気閉弁時期。
OVLP…バルブオーバーラップ量、OVLPbst…最適カムオーバーラップ量、OVLPnow…現在カムオーバーラップ量、OVLPX…基準オーバーラップ量、OVLPratio…オーバーラップ比率。
BseF…ベース点火時期、MBTnow…現在カムMBT点火時期、MBTbst…最適カムMBT点火時期、MBTdfl…初期カムMBT点火時期、MBTcompnb…第1MBT補正量、MBTtempnb…第1MBT補正量、MBTOVLPnb…第2MBT補正量、MBTOVLPbst…オーバーラップMBT補正量、MBTcompdb…初期カムMBT補正量、MBTtempdb…初期カムMBT補正量、MBTTKratio…点火時期補正比率。
TKnow…現在カムノック限界点火時期、TKbst…最適カムノック限界点火時期、TKdfl…初期カムノック限界点火時期、TKtempnb…第1ノック限界補正量、TKcompnb…第1ノック限界補正量、TKOVLPnb…第2ノック限界補正量、TKOVLPbst…オーバーラップノック限界補正量、TKtempdb…初期カムノック限界補正量、TKcompdb…初期カムノック限界補正量。
compIVOnow…現在カムIVO圧縮端圧力、compIVObst…最適カムIVO圧縮端圧力、compIVOtdc…基準カムIVO圧縮端圧力、compIVCnow…現在カムIVC圧縮端圧力、compIVCbst…最適カムIVC圧縮端圧力、compIVCtdc…基準カムIVC圧縮端圧力。
compALLnb…現在カム全圧力変化量、compIVOnb…現在カムIVO圧力変化量、compIVCnb…現在カムIVC圧力変化量、compIVObt…第1基準IVO圧力変化量、compIVOnt…第2基準IVO圧力変化量、compIVOdt…第3基準IVO圧力変化量、compALLdb…初期カム全圧力変化量、compIVOdb…初期カムIVO圧力変化量、compIVCdb…初期カムIVC圧力変化量、compIVCbt…第1基準IVC圧力変化量、compIVCnt…第2基準IVC圧力変化量、compIVCdt…第3基準IVC圧力変化量。
△compIVObt…最適−基準IVO圧力変化量、△compIVOnt…現在−基準IVO圧力変化量、△compIVOdt…初期−基準IVO圧力変化量、△compIVCbt…最適−基準IVC圧力変化量、△compIVCnt…現在−基準IVC圧力変化量、△compIVCdt…初期−基準IVC圧力変化量。
tempIVOnow…現在カムIVO圧縮端温度、tempIVObst…最適カムIVO圧縮端温度、tempIVOtdc…基準カムIVO圧縮端温度、tempIVCnow…現在カムIVC圧縮端温度、tempIVCbst…最適カムIVC圧縮端温度、tempIVCtdc…基準カムIVC圧縮端温度。
tempALLnb…現在カム全温度変化量、tempIVOnb…現在カムIVO温度変化量、tempIVCnb…現在カムIVC温度変化量、tempIVObt…第1基準IVO温度変化量、tempIVOnt…第2基準IVO温度変化量、tempIVOdt…第3基準IVO温度変化量、tempALLdb…初期カム全温度変化量、tempIVOdb…初期カムIVO温度変化量、」tempIVCdb…初期カムIVC温度変化量、tempIVCbt…第1基準IVC温度変化量、tempIVCnt…第2基準IVC温度変化量、tempIVCdt…第3基準IVC温度変化量。
△tempIVObt…最適−基準IVO温度変化量、△tempIVOnt…現在−基準IVO温度変化量、△tempIVOdt…初期−基準IVO温度変化量、△tempIVCbt…最適−基準IVC温度変化量、△tempIVCnt…現在−基準IVC温度変化量、△tempIVCdt…初期−基準IVC温度変化量。
Tbst…最適カム燃焼室温度、Tnow…現在カム燃焼室温度、Pbst…最適カム燃焼室圧力、Pnow…現在カム燃焼室圧力、Gbst…最適カム残留ガス率、Gnow…現在カム残留ガス率。

Claims (24)

  1. 吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、前記エンジンの運転状態に基づいて点火時期を設定するエンジンの点火時期制御装置において、
    前記吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化を加味して前記点火時期の設定を行う制御手段を備えた
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  2. 吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、前記エンジンの運転状態に基づいて、出力トルク及び燃料消費率が最良となるMBT点火時期とノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうち最も進角側のノック限界点火時期とを算出し、これら点火時期のうち遅角側の点火時期を混合気の燃焼に用いるベース点火時期として設定するエンジンの点火時期制御装置において、
    前記吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化を加味して前記MBT点火時期及び前記ノック限界点火時期を算出する制御手段を備えた
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記吸気バルブの開弁時期に基づいて前記燃焼室内の温度または圧力の変化を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記吸気バルブの閉弁時期に基づいて前記燃焼室内の温度または圧力の変化を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  5. 吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、混合気の燃焼に用いる点火時期をベース点火時期として、前記エンジンの運転状態に基づいてベース点火時期を設定するエンジンの点火時期制御装置において、
    前記吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行う制御手段を備え、
    前記制御手段は、適合するベース点火時期がすでに把握されているエンジンの運転状態を基本の運転状態として、前記基本の運転状態における吸気バルブの開閉特性である基本開閉特性と現在の運転状態における吸気バルブの開閉特性である現在開閉特性とに基づいて、前記基本の運転状態における燃焼室内の温度または圧力と前記現在の運転状態における燃焼室内の温度または圧力との差である状態変化量を推定し、前記基本の運転状態に適合したベース点火時期を前記状態変化量に基づいて補正し、補正後のベース点火時期を現在の運転状態に適合したベース点火時期として設定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  6. 吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、ノッキングの発生を抑制するとともに出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期をベース点火時期として、現在の運転状態に適合したベース点火時期を予め記憶されている複数の基本ベース点火時期のなかから選択するエンジンの点火時期制御装置において、
    現在の運転状態に適合したベース点火時期を前記複数の基本ベース点火時期のなかから
    選択することができないとき、前記複数の基本ベース点火時期のいずれか一つに対応した運転状態を基本の運転状態として、この基本の運転状態における吸気バルブの開閉特性である基本開閉特性と現在の運転状態における吸気バルブの開閉特性である現在開閉特性とに基づいて、前記基本の運転状態における燃焼室内の温度または圧力と前記現在の運転状態における燃焼室内の温度または圧力との差である状態変化量を推定し、前記基本の運転状態に適合したベース点火時期を前記状態変化量に基づいて補正し、補正後のベース点火時期を現在の運転状態に適合したベース点火時期として設定する制御手段を備えた
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  7. 請求項5または6に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、バルブオーバーラップ量の変化にともなう燃焼室内の残留ガス量の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行うものであり、バルブオーバーラップが設定された第1運転状態に対して予め適合されている第1ベース点火時期とバルブオーバーラップが設定されていない第2運転状態に対して予め適合されている第2ベース点火時期とに基づいて、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を算出し、この補正量を前記現在の運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた補正量へ変換し、この変換した補正量と前記第1ベース点火時期とに基づいて、前記現在の運転状態に適合したベース点火時期を算出する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  8. 請求項7に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記吸気バルブの開閉特性が前記第1運転状態の開閉特性から前記第2運転状態の開閉特性へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量を開閉状態変化量として、この開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を算出し、前記第1ベース点火時期を前記第2ベース点火時期に相当する分だけ遅角するとともに前記開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を加えることで、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を前記第1ベース点火時期から抽出する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  9. 吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、前記エンジンの運転状態に基づいて、出力トルク及び燃料消費率が最良となるMBT点火時期とノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうち最も進角側のノック限界点火時期とを算出し、これら点火時期のうち遅角側の点火時期を混合気の燃焼に用いるベース点火時期として設定するエンジンの点火時期制御装置において、
    前記吸気バルブの開閉特性の変更にともなう燃焼室内の温度または圧力の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行う制御手段を備え、
    前記制御手段は、適合するMBT点火時期及びノック限界点火時期がすでに把握されているエンジンの運転状態を基本の運転状態として、前記基本の運転状態における吸気バルブの開閉特性である基本開閉特性と現在の運転状態における吸気バルブの開閉特性である現在開閉特性とに基づいて、前記基本の運転状態における燃焼室内の温度または圧力と前記現在の運転状態における燃焼室内の温度または圧力との差である状態変化量を推定し、前記基本の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期を前記状態変化量に基づいて補正し、補正後のMBT点火時期及びノック限界点火時期のうち遅角側の点火時期を現在の運転状態に適合したベース点火時期として設定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  10. 吸気バルブの開閉特性である開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を変更する可変動弁機構を備えたエンジンに適用されて、出力トルク及び燃料消費率が最良となる点火時期をMBT点火時期とするとともにノッキングの発生を抑制することのできる点火時期のうち
    最も進角側の点火時期をノック限界点火時期として、現在の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期を予め記憶されている複数の基本MBT点火時期及び複数の基本ノック限界点火時期のなかから選択し、これら選択した点火時期のうち遅角側の点火時期を混合気の燃焼に用いるベース点火時期として設定するエンジンの点火時期制御装置において、
    現在の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期を前記複数の基本MBT点火時期及び前記複数の基本ノック限界点火時期のなかから選択することができないとき、前記複数の基本MBT点火時期のいずれか一つと前記複数の基本ノック限界点火時期のいずれか一つとに共通して対応した運転状態を基本の運転状態として、この基本の運転状態における吸気バルブの開閉特性である基本開閉特性と現在の運転状態における吸気バルブの開閉特性である現在開閉特性とに基づいて、前記基本の運転状態における燃焼室内の温度または圧力と前記現在の運転状態における燃焼室内の温度または圧力との差である状態変化量を推定し、前記基本の運転状態に適合したMBT点火時期及びノック限界点火時期を前記状態変化量に基づいて補正し、補正後のMBT点火時期及びノック限界点火時期のうち遅角側の点火時期を現在の運転状態に適合したベース点火時期として設定する制御手段を備えた
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  11. 請求項9または10に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、バルブオーバーラップ量の変化にともなう燃焼室内の残留ガス量の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行うものであり、バルブオーバーラップが設定された第1運転状態に対して予め適合されている第1MBT点火時期とバルブオーバーラップが設定されていない第2運転状態に対して予め適合されている第2MBT点火時期とに基づいて、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を算出し、この補正量を前記現在の運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた補正量へ変換し、この変換した補正量と前記第1MBT点火時期とに基づいて、前記現在の運転状態に適合したMBT点火時期を算出する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  12. 請求項11に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記吸気バルブの開閉特性が前記第1運転状態の開閉特性から前記第2運転状態の開閉特性へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量を開閉状態変化量として、この開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を算出し、前記第1MBT点火時期を前記第2MBT点火時期に相当する分だけ遅角するとともに前記開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を加えることで、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を前記第1MBT点火時期から抽出する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  13. 請求項9〜12のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、バルブオーバーラップ量の変化にともなう燃焼室内の残留ガス量の変化を加味して前記ベース点火時期の設定を行うものであり、バルブオーバーラップが設定された第1運転状態に対して予め適合されている第1ノック限界点火時期とバルブオーバーラップが設定されていない第2運転状態に対して予め適合されている第2ノック限界点火時期とに基づいて、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を算出し、この補正量を前記現在の運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた補正量へ変換し、この変換した補正量と前記第1ノック限界点火時期とに基づいて、前記現在の運転状態に適合したノック限界点火時期を算出する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  14. 請求項13に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記吸気バルブの開閉特性が前記第1運転状態の開閉特性から前記第2運転状態の開閉特性へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量を開閉状態変化量として、この開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を算出し、前記第1ノック限界点火時期を前記第2ノック限界点火時期に相当する分だけ遅角するとともに前記開閉状態変化量に応じた点火時期の補正量を加えることで、前記第1運転状態のバルブオーバーラップ量に応じた点火時期の補正量を前記第1ノック限界点火時期から抽出する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  15. 請求項8または12または14に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記第1運転状態の開弁時期と前記第2運転状態の開弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの開弁時期が前記第1運転状態の開弁時期から前記第2運転状態の開弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である開弁側状態変化量を推定するとともに、前記第1運転状態の閉弁時期と前記第2運転状態の閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記第1運転状態の閉弁時期から前記第2運転状態の閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である閉弁側状態変化量を推定し、前記開弁側状態変化量と前記閉弁側状態変化量とに基づいて前記開閉状態変化量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  16. 請求項5〜15のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記基本開閉特性の開弁時期である基本開弁時期と前記現在開閉特性の開弁時期である現在開弁時期とに基づいて前記状態変化量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  17. 請求項16に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記吸気バルブの開弁時期のうち上死点の開弁時期を基準開弁時期として、前記基準開弁時期と前記基本開弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの開弁時期が前記基準開弁時期から前記基本開弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第1開弁状態変化量を推定するとともに、前記基準開弁時期と前記現在開弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの開弁時期が前記基準開弁時期から前記現在開弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第2開弁状態変化量を推定し、前記第1開弁状態変化量と前記第2開弁状態変化量とに基づいて前記状態変化量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  18. 請求項5〜17のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記基本開閉特性の閉弁時期である基本閉弁時期と前記現在開閉特性の閉弁時期である現在閉弁時期とに基づいて前記状態変化量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  19. 請求項18に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記吸気バルブの閉弁時期のうち下死点の閉弁時期を基準閉弁時期として、前記基準閉弁時期と前記基本閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記基準閉弁時期から前記基本閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第1閉弁状態変化量を推定するとともに、前記基準閉弁時期と前記現在閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記基準閉弁時期から前記現在閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第2閉弁状態変化量を推定し、前記第1閉弁状態変化量と前記第2閉弁状態変化量とに基づいて前記状態変化量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  20. 請求項18に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記吸気バルブの閉弁時期のうち前記エンジンの充填効率が最大となる閉弁時期を最大充填閉弁時期として、前記最大充填閉弁時期と前記基本閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記最大充填閉弁時期から前記基本閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第3閉弁状態変化量を推定するとともに、前記最大充填閉弁時期と前記現在閉弁時期とに基づいて、前記吸気バルブの閉弁時期が前記最大充填閉弁時期から前記現在閉弁時期へ変化したことにともなう燃焼室内の温度または圧力の変化量である第4閉弁状態変化量を推定し、前記第3閉弁状態変化量と前記第4閉弁状態変化量とに基づいて前記状態変化量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  21. 請求項5〜20のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記エンジンの回転速度を加味して前記状態変化量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  22. 請求項5〜21のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記エンジンの吸入空気量を加味して前記状態変化量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  23. 請求項5〜22のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記エンジンの吸気管の有効長さを加味して前記状態変化量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
  24. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のエンジンの点火時期制御装置において、
    前記制御手段は、前記燃焼室内の温度または圧力の指標値として圧縮上死点における燃焼室内の温度または圧力の推定値を用いる
    ことを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。
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