JP2010065094A - 樹脂材用の接着剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この樹脂材1間用の接着剤2は、金属微粉3が、約10重量%程度以下の割合で混入されている。樹脂材1は、例えばパイプ材やプレート材よりなり、接着剤2が外部目視不能に塗布される。接着剤2は、溶剤系や無溶剤系の樹脂を主組成とする。金属微粉3は、砂鉄,鉄,ステンレス,ニッケル,アルミ,又はチタン等よりなる。そして金属検知器が、樹脂材1に塗布された接着剤2中の金属微粉3の有無を、外部から検知可能であり、接着剤2の塗布不良,塗布不足,塗布忘れ等を、判定可能となっている。
【選択図】図1
Description
そして、接着作業が確実に行われ、事故なく確実な接着が実現されることは、作業者,管理者,企業等にとって、大きな使命となっている。接着作業が不確実で事故につながることは、製品品質上の問題のみならず、人身事故や工事災害の虞も発生する。
これに対し、このような事態発生を防止すべく、この種の接着作業の確認は、目視検査により行われていた。すなわち、接着作業後に作業者の感覚や主観に頼って、接着が確実に行われた否かがチェックされており、接着剤の塗布不良,塗布不足,塗布忘れ等の防止が図られていた。
パイプ材やプレート材等の樹脂材の接着では、接着剤が外部から目視検査不能に塗布されているケースが、圧倒的に多い。従って、目視検査によるチェック、つまり作業者の主観に頼るチェックでは、接着剤の塗布不良,塗布不足,塗布忘れ等を、発見することは、非常に困難となっていた。人為的作業ミス(いわゆるポカミス)の発見は、容易ではなく、不確実となりがちであった。
その対策として、作業者の作業マニュアル作成や教育徹底等も行われたが、効果的な対策とはならず、依然として製品品質不良,人身事故,工事災害等が多発する状況にあり、効果的な対策出現が切望されていた。
そして本発明は、第1に、樹脂材間の確実な接着が実現され、第2に、もって製品品質が向上し、事故や災害等も防止可能となる、樹脂材用の接着剤を提案することを、目的とする。
請求項1の樹脂材用の接着剤は、樹脂材間の接着に使用され、金属検知器にて検知可能な金属微粉が、混入されていること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。請求項2の樹脂材用の接着剤では、請求項1において、該金属微粉は、約10重量%程度以下の割合で混入されていること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。請求項3の樹脂材用の接着剤では、請求項2において、該樹脂材は、樹脂を基材としたパイプ材やプレート材よりなり、該接着剤が外部から目視不能に塗布される。該接着剤は、溶剤系や無溶剤系の樹脂を主組成とする。該金属微粉は、砂鉄,鉄,ステンレス,ニッケル,アルミ,又はチタン等よりなる。
そして該金属検知器は、該接着剤が塗布された該樹脂材について、該接着剤に混入された該金属微粉の有無を、外部から検知可能であり、もって、該接着剤の塗布不良,塗布不足,塗布忘れ等を、判定可能となっていること、を特徴とする。
この接着剤は、パイプ材やプレート材等の樹脂材間の接着に、使用される。そしてまず、接着剤が樹脂材の接着対象箇所に塗布されるが、接着剤塗布作業が完了した樹脂材において、接着対象箇所は、外部からは目視不能となっている。つまり、透明な樹脂材はレアケースであり、外部から隠れた箇所に接着剤は塗布されている。
そこで接着対象箇所について、金属検知器を使用したテストが実施される。その結果、金属微粉が検知されると、接着剤の塗布が完全であり確実な接着が実施された旨、判定され、金属微粉が検知されない部分やエリアがあると、接着剤の塗布不良,塗布不足,塗布忘れ等がある旨、判定される。
さてそこで、この本発明の樹脂材用の接着剤は、次の効果を発揮する。
前述したこの種従来例の目視検査のように人間の感覚に頼ることなく、客観的に発見,判定,チェック可能となる。
従って、塗布不良,塗布不足,塗布忘れ等の人為的作業ミス(いわゆるポカミス)があった場合には、接着剤の塗布作業をやり直すことにより、確実な接着が実現されるようになる。
そこで、樹脂材を使用した装置の製造工程や、樹脂材を使用した屋内外の工事現場等において、接着作業の不確実さに起因した問題発生が、確実に防止されるようになる。もって、前述したこの種従来例に比し、製品品質が向上し、人身事故や工事災害等も防止され、安全性が向上する。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
図1は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供する。そして(1)図は、第1使用例の断面図、(2)図は、第2使用例の断面図、(3)図は、第3使用例の断面図である。
本発明の樹脂材1用の接着剤2は、樹脂材1間の接着に使用され、金属検知器にて検知可能な金属微粉3が、混入されている。金属微粉3は、約10重量%程度以下の割合で混入されている。
樹脂材1は、例えば、樹脂を基材としたパイプ材やプレート材よりなり、接着剤2が外部からは目視不能に塗布される。接着剤2は、溶剤系や無溶剤系の樹脂を主組成とする。金属微粉3は、砂鉄,鉄,ステンレス,ニッケル,アルミ,又はチタン等よりなる。
そして金属検知器は、接着剤2が塗布された筈の樹脂材1について、接着剤2に混入された金属微粉1の有無を、外部から検知可能であり、もって、接着剤2の塗布不良,塗布不足,塗布忘れ等を、判定可能となっている。
本発明の概要は、このようになっている。
樹脂を基材とした樹脂材1の代表例としては、パイプ材等の配管材(図1の(1)図を参照)や、プレート材等の板材(図1の(2)図,(3)図を参照)が、挙げられる。
樹脂材1の基材となる樹脂としては、塩化ビニール,変性塩化ビニール,酢酸ビニール,ポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロン,テフロン(米国デュポン社の登録商標),ABS,EPDM,ポリイミド等の熱可塑性樹脂や、ポリエステル,エポキシ,シリコーン等の熱硬化性樹脂が考えられる。なお樹脂材1には、その使用目的に応じ、更に、ガラス,その他の補強材が、数重量%程度混入されることもある。
樹脂材1は、このようになっている。
接着剤2の主成分である樹脂としては、被着材となる樹脂材1の具体的材質,表面状態,目的等に対応した組成のものが、選択採用される。そして、公知例に準じて樹脂が選択採用されることになるが、このような樹脂は、溶剤系のものと、無溶剤系のものとに大別される。
樹脂組成としては、塩化ビニール,変性塩化ビニール,酢酸ビニール,ポリエステル,アクリル,天然ゴム,合成ゴム,PVA,エポキシ,シリコーン,ウレタン等が、代表的である。
溶剤としては、トルエン,キシレン,アセトン,メチルエチルケトン(MEK),テトラヒドロフラン,シクロヘキサノン,メタノール,エタノール,水等が、代表的である。そして、これらの内から1種類又は2種類程度が、選択使用される。更に、着色料として、染料や無機顔料が使用されることもある。
接着剤2の樹脂組成等は、このようになっている。
金属微粉3としては、砂鉄,鉄,ステンレス,ニッケル,アルミ,チタン等が、代表的である。そして、これらの内から1種類又は2種類程度が、選択採用される。勿論、金属微粉3としては、金属検知器で検知可能である限り、その他の金属の微粉も採用可能であるが、接着剤2による接着に悪影響を与えないことが必要である。
すなわち、前述したように樹脂材1としては、パイプ材やプレート材が代表的であり(図1の各図を参照)、酸性やアルカリ性の薬液に晒される環境下で、使用されることが多い。このような樹脂材1間の接着に使用される接着剤2であることに鑑み、混入される金属微粉3も、酸やアルカリに侵される危険性のないものが選択採用され、例えば銅粉等は、通常は使用されない。
金属微粉3の粒径は、例えば100μm以下程度とされる。そして金属微粉3は、約10重量%程度以下の配合比で、樹脂材1中に混入,混練りされる。
溶剤系の接着剤2の場合は、例えば樹脂組成20%で溶剤80%の接着剤2全体に対し、金属微粉3が1〜3%程度の割合で混入された構成のものが、塗布され、事後、溶剤が乾燥,除去されることにより、固化した接着剤2は、樹脂組成と金属微粉3とから構成されることになる。
これに対し、無溶剤系の接着剤2の場合は、樹脂組成100%の接着剤2に対し、金属微粉3が例えば1〜3%程度の割合で混入された構成のものが、塗布されて固化する。
金属微粉3は、このようになっている。
金属微粉3を混入した接着剤2を、実際に樹脂材1間の接着に使用した場合、接着剤2としての接着強度、そして樹脂材1間の接着強度に大きな変化は見られない。寧ろ、接着強度が若干向上するケースの方が多い。
例えば、次の表1の実験データが得られた。すなわち、樹脂材1のテスト試片として、口径16mmの硬質塩化ビニール製のパイプ材を、使用した。そして両パイプ材間を、金属微粉3を混入しない従来の接着剤と、本発明の金属微粉3を混入した接着剤2にて、それぞれ接着した(図1の(1)図を参照)。温度条件は23.2℃、湿度条件は50.5%であった。
それから、それぞれについて事後、その引張り強度やせん断強度をテストした。すると、次の表1の実験データが得られ、金属微粉3を混入した本発明の接着剤2の方が、混入しない従来の接着剤に比し、接着強度に優れるという結果が得られた。
本発明の金属微粉3が混入された接着剤2は、例えば、パイプ材やプレート材等の樹脂材1間の接着に、使用される。そしてまず、接着剤2が樹脂材1の接着対象箇所表面に塗布され、塗布厚は、例えば70〜80μm程度である。
図1の(1)図の例では、樹脂材1である両パイプ材の端部間に、間隔を存しつつソケット継手4が外嵌介装され、接着剤2は、このように途中に介装されたソケット継手4も塗布対象箇所として、両パイプ材の端部間に塗布される。
又、図1の(2)図では、端面当接された樹脂材1である両プレート材の端部間に、帯板5が添設され、接着剤2は、この帯板5も塗布対象箇所として、両プレート材の端部間に塗布される。これに加え、両プレート材の当接端面間にも直接塗布される。
図1の(3)図の例では、樹脂材1である両プレート材の重ねられた端部間を塗布対象箇所として、直接塗布される。
さて、例えばこの図1の各図のようにして、接着剤2の塗布作業が完了した樹脂材1では、結果的に、その接着対象箇所(接着剤2の塗布箇所)は、外部から目視不能となっていることが多い。つまり、透明体よりなる樹脂材1はレアケースであり、殆どの場合、外部から隠れた箇所に接着剤2は塗布されている(図1の各図を参照)。
もって金属検知器により、樹脂材1の接着対象箇所について、もれなく接着剤2が塗布されているか否かが、チェックされる。その結果、金属検知器により、接着対象箇所の全エリアについて、金属微粉3が検知されると、接着剤2の塗布が完全であり確実な接着が実施された旨、判定される。
これに対し、接着対象箇所について金属微粉3が検知されない部分やエリアがあると、接着剤2の塗布不良,塗布不足,塗布忘れ等があり、接着不確実である旨、判定される。その場合には、接着対象箇所について、接着剤2の塗布作業が再実施されることになる。
本発明の作用等は、このようになっている。
2 接着剤
3 金属微粉
4 ソケット継手
5 帯板
Claims (3)
- 樹脂材間の接着に使用される接着剤であって、金属検知器にて検知可能な金属微粉が、混入されていること、を特徴とする樹脂材用の接着剤。
- 請求項1に記載した樹脂材用の接着剤において、該金属微粉は、約10重量%程度以下の割合で混入されていること、を特徴とする樹脂材用の接着剤。
- 請求項2に記載した樹脂材用の接着剤において、
該樹脂材は、樹脂を基材としたパイプ材やプレート材よりなり、該接着剤が外部から目視不能に塗布され、
該接着剤は、溶剤系や無溶剤系の樹脂を主組成とし、該金属微粉は、砂鉄,鉄,ステンレス,ニッケル,アルミ,又はチタン等よりなり、
該金属検知器は、該接着剤が塗布された該樹脂材について、該接着剤に混入された該金属微粉の有無を、外部から検知可能であり、もって、該接着剤の塗布不良,塗布不足,塗布忘れ等を、判定可能となっていること、を特徴とする樹脂材用の接着剤。
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2008
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