JP2010064241A - インゴットの研削装置 - Google Patents
インゴットの研削装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010064241A JP2010064241A JP2009124784A JP2009124784A JP2010064241A JP 2010064241 A JP2010064241 A JP 2010064241A JP 2009124784 A JP2009124784 A JP 2009124784A JP 2009124784 A JP2009124784 A JP 2009124784A JP 2010064241 A JP2010064241 A JP 2010064241A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ingot
- band saw
- band
- grinding
- saw
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
- Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
- Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)
Abstract
【課題】インゴットを薄く研削する際に、研削代を非常に小さくできようにするとともに、研削途中にインゴットに欠けを生じさせることなく、一度に多数枚の切り出しを行えるようにしたインゴット研削装置を提供することを目的とする。
【解決手段】シリコンインゴット81から薄板状のシリコンウエハ82を研削するインゴット研削装置1において、研削方向に沿って単一の硬度を有するように形成されたバンドソー2と、このバンドソー2を複数枚平行な状態で保持する保持体3と、この保持体3を用いて前記バンドソー2をシリコンインゴット81に対して往復運動させる駆動機構4と、当該駆動機構4によってバンドソー2を移動させている際に、砥粒71を含有させたスラリー72をシリコンインゴット81の研削部分に供給する供給機構6とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】シリコンインゴット81から薄板状のシリコンウエハ82を研削するインゴット研削装置1において、研削方向に沿って単一の硬度を有するように形成されたバンドソー2と、このバンドソー2を複数枚平行な状態で保持する保持体3と、この保持体3を用いて前記バンドソー2をシリコンインゴット81に対して往復運動させる駆動機構4と、当該駆動機構4によってバンドソー2を移動させている際に、砥粒71を含有させたスラリー72をシリコンインゴット81の研削部分に供給する供給機構6とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、単結晶シリコンや多結晶シリコン、半導体化合物、セラミックスなどのインゴットから薄い板状体を切り出すことのできる研削装置に関するものであり、より詳しくは、研削代を少なくして効率的に薄い板状体を得ることのできる研削装置に関するものである。
一般に、単結晶のシリコンのインゴットを研削する場合、図9に示すようなワイヤーソーを用いた研削装置が用いられる。この図9について説明すると、図9において、91はワイヤーソーであり、92は、ワイヤーローラーである。このワイヤーソー91は、図示しないボビンによって巻き付けられており、ワイヤーローラー92上を複数回周回して他方のボビンに巻き取られる。このワイヤーソー91は、直径0.12mm〜0.16mmのピアノ線などによって構成されており、一般的には、特開平7−96454号公報に示すように、ダイヤモンド砥粒などを表面に付着させてシリコンインゴット81を薄く研削できるようにしている。また、このようなワイヤーソー91を用いる方法において、ワイヤーソー91にダイヤモンド砥粒を付着させることなく、砥粒を含有させたスラリーを研削部分に供給し、これによってシリコンインゴット81を研削するような装置も提案されている(特開2008−103690号公報)。
また、他の研削装置として図10に示すような装置も用いられる。図10において、93はバンドソーであり、94は、バンドローラーである。このバンドソー93はバンドローラー94に周回するように巻き付けられており、バンドローラー94を高速回転させることによってシリコンインゴット81を薄く研削できるようにしている。このようなバンドソー93は、比較的扁平な帯状体によって構成されており、特開2003−205471号に示すように、その縁部にダイヤモンド砥粒などを付着させてシリコンインゴット81を薄く研削できるようにしている。
しかしながら、上述のような従来の研削装置では、次のような問題を生ずる。
すなわち、シリコンインゴットから多数枚のシリコンウエハを得るためには、ワイヤーソーや薄いバンドソーを用いて研削代を小さくしなければならない。しかるに、上述のように、ワイヤーソーやバンドソーの表面にダイヤモンド砥粒などを付着させた構造であると、ワイヤーソーやバンドソーの砥粒によって厚み幅が大きくなってしまい、研削代が大きくなってシリコンインゴットから多数枚のシリコンウエハを得ることができなくなる。具体的には、0.20mmのシリコンウエハを得るのに、研削代が0.20mmとなってしまい、シリコンインゴットに対して体積比で50%の製品しか得ることができない場合がある。
また、ワイヤーソーやバンドソーにダイヤモンド砥粒を付着させる構造では、砥粒の大きさや形状にばらつきがあるため、大きな砥粒によってシリコンインゴットに急激な負荷がかかり、しかも、その砥粒がワイヤーソーに固着されているため、その砥粒で強引に引っ掻いてシリコンインゴットに欠けを生じさせてしまう問題があった。しかも、このとき、ワイヤーソーのように細い部材を用いていると急激な負荷や大きな張力に耐えることができず、ワイヤーソーが破断してしまう可能性がある。このため、従来では、作業者が定期的に砥粒の状態を確認し、砥粒が剥がれ落ちたり摩耗したりしている場合は、新しいワイヤーソーなどと交換しなければならないという問題があった。
さらに、マルチワイヤーソーは、特開2006−148068号や特開2008−213110号、特開2008−103690号などに示すように、一対の円柱ローラーに一本のワイヤーを何回も周回させて一度に多数枚のシリコンウエハを切り出すようにしているが、バンドソー93でシリコンインゴット81を研削する場合においては、図10に示すように、バンドローラー94に一本のバンドソー93しか巻き付けることができなかったため、一度に一枚のシリコンウエハしか切り出すことができなかった。
また、このようにワイヤーソーやバンドソーをシリコンインゴットに押圧して切断する場合、その摩擦によって一方向の力(すなわち、ソーの走行方向の力)がインゴットに掛かり、これに耐えられるように力強くシリコンインゴットを保持しておかなければならず、保持部分に欠けなどを生じさせてしまうという問題もあった。
加えて、マルチワイヤーソーのように複数本のソーを隣接させて設ける場合、それぞれのソーの間隔を一定の隙間に保つのが難しく、力強い張力で引っ張らなければならないという問題もあった。
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされたもので、インゴットを薄く研削する際に、研削代を非常に小さくできようにすることを第一の目的とするとともに、研削途中にインゴットに欠けを生じさせることなく、一度に多数枚の切り出しを正確に行えるようにしたインゴット研削装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、インゴットから板状体を切り出すインゴット研削装置において、長手方向に沿って単一の硬度を有するように形成されたバンドソーと、前記インゴットの両側でバンドソーを保持する保持体と、当該保持体を用いて前記バンドソーをインゴットに対して移動させる駆動機構と、当該駆動機構によってバンドソーを移動させている際に、砥粒を含有させたスラリーをインゴットの研削部分に供給する供給機構とを備えるようにしたものである。
このように構成すれば、バンドソーの表面にダイヤモンド砥粒などを付着させていないため、バンドソーを薄くすることによって研削代を小さくすることができるようになる。しかも、帯状のバンドを用いているため、大きな張力や研削による摩耗に耐えることができ、すぐにバンドが破断してしまうようなことがなくなる。さらには、研削方向(長手方向)に沿って単一の硬度を有するようになっているため、従来のように、ワイヤーソーなどに付着した砥粒が引っ掛かってインゴットが欠けたり、大きな負荷がかかってワイヤーソーが破断したりするようなこともなくなる。なお、ここで「バンドソー」とは、断面の横幅よりも縦幅の方が長い帯状のもので、長手方向に移動させることによって縁部で研削対象物を研削できるようにしたものを意味する。
また、このような発明において、複数枚のバンドソーを保持体で保持し、当該保持体を移動させることによってインゴットを研削できるようにする。
このようにすれば、バンドソーを用いた場合であっても、ワイヤーソーを用いた場合のように一度に多数枚のインゴットウエハなどを切り出すことができるようになる。
さらに、このように複数枚のバンドソーを保持する場合、これらのバンドソーを往復動させることによってインゴットを研削する。
また、このとき、バンドソーの上方から砥粒を含有させたスラリーを供給させる。
このようにすれば、バンドソーの研削部分に砥粒に均一に流し込むことができ、各バンドソーで挟まれた中央部分のバンドソーに砥粒が供給されずに研削できなくなるといった不具合を防止することができるようになる。
また、別の発明として、バンドソーをボビンに巻き付け、このボビンからバンドソーを繰り出ことによってインゴットを研削するようにすることもできる。
さらに、保持体として、バンドソーを周回させるものを用い、かつ、隣接するそれぞれのバンドソーを逆方向に移動させるローラーを用いる。
このように構成すれば、それぞれのバンドソーが互いに逆方向に移動するため、インゴットを切断する際の摩擦力を分散させてインゴットの保持力を小さくすることができる。しかも、互いに隣接するバンドソーをオーバーラップさせた状態で隙間を短くすれば、バンドソーの表面に境界層となる空気層を形成することができ、この空気圧によってバンドソー間の隙間を一定に保つことができる。
また、バンドソーとして、アラミド繊維を前記長手方向に沿って複数本束ねたものを用いる。
このようなアラミド繊維を用いた場合も高い張力と摩擦にも耐えることができ、しかも、マルチフィラメントの間に砥粒を挟み込ませてその砥粒でインゴットを研削することができるようになる。また、アラミド繊維を複数本積層させるように束ねて構成するため、一本のアラミド繊維が切れてもその上層のアラミド繊維によってインゴットを切断することができるようになる。
本発明によれば、インゴットから板状体を切り出すインゴット研削装置において、長手方向に沿って単一の硬度を有するように形成されたバンドソーと、前記インゴットの両側でバンドソーを保持する保持体と、当該保持体を用いて前記バンドソーをインゴットに対して移動させる駆動機構と、当該駆動機構によってバンドソーを移動させている際に、砥粒を含有させたスラリーをインゴットの研削部分に供給する供給機構とを備えるようにしたので、バンドソーを薄くすることができ、これによって、研削代を小さくすることができるようになる。しかも、帯状のバンドを用いているため、大きな張力や研削による摩耗に耐えることができ、すぐにバンドが破断してしまうようなことがなくなる。さらには、研削方向に沿って単一の硬度を有するようになっているため、従来のように、ワイヤーソーなどに付着した砥粒が引っ掛かってインゴットが欠けたり、大きな負荷がかかってワイヤーソーが破断したりするようなこともなくなる。
以下、本発明の第一の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の第一の実施の形態であるインゴット研削装置1の外観斜視図を示したものであり、図2は、シリコンインゴット81を切断している状態を示した断面図である。
この実施の形態のインゴット研削装置1は、図1に示すように、一対の保持体3の間に薄板状の複数枚のバンドソー2を平行に並べ、これを駆動機構4を用いて往復運動させてシリコンインゴット81を薄く研削できるようにしたものであって、バンドソー2の上方から供給機構6を介して砥粒71を含有させたスラリー72を供給し、この砥粒71によってシリコンインゴット81を研削できるようにしたものである。
このバンドソー2は、比較的強い張力に耐えることができる素材であって、しかも、高い摩擦熱によっても破断しにくい素材のものが用いられる。このバンドソー2は、低コストで製造できるように、単一の素材、もしくは、研削される短手方向に沿って単一の素材を多層に重ねた素材で構成され、しかも、研削部分であるバンドソー2の縁部21を連続する直線状にして、長手方向に沿った硬度に連続性を持たせている。すなわち、従来のように、砥粒をワイヤーソーやバンドソーに付着させる構造では、その付着した砥粒によってシリコンインゴットを強く引っ掻いてしまい、シリコンインゴットに欠けを生じさせてしまう可能性がある。さらに、バンドソーに砥粒を付着させた構造では、バンドソーの幅が厚くなってしまい、研削代が大きくなって研削に無駄を生じてしまう。これに対して、今回のように表面に砥粒71を付着させない構造では、バンドソー2のテンションを強くしたり、あるいは、シリコンインゴット81への押圧力を強くした場合であっても、砥粒71がバンドソー2とシリコンインゴット81の隙間に逃がすことができるため、シリコンインゴット81を強く引っ掻いてしまうことがなくなる。なお、ここでは、バンドソー2の縁部21については、研削方向に沿って滑らかに連続状にしておけばよく、例えば、縁部21を研削しやすい第一の素材で構成し、第一素材の上部(すなわち、バンドソー2の短手方向の上部)については、耐張力性を有する第二の素材を設けるようにしてもよい。この第一の素材としては、例えば、高硬度の素材を用い、第二の素材としては、第一の素材よりも低硬度を有する素材を用いることができる。この場合においても、第一の素材と第二の素材をバンドソー2の長手方向の全領域にわたって設けておく。このようなバンドソー2の例としては、ステンレス鋼などのように比較的硬い素材のものを用いるようにしてもよく、あるいは、マルチフィラメントで構成された細いアラミド繊維を平行に配置し、もしくは、この平行なアラミド繊維を樹脂で固めた素材などを用いる。特にアラミド繊維のようにマルチフィラメントで構成した場合は、繊維の隙間に砥粒71を軽く挟み込ませることができ、これによってシリコンインゴット81を研削することができるというメリットがある。また、上下方向に並べたアラミド繊維を樹脂で固化させた場合は、アラミド繊維が切断されてしまった場合であっても、樹脂でその繊維を固化させているので、樹脂が毛糸状に膨らむようなことがなくなり、切断代を小さくすることができる。さらには、樹脂で固化させた場合は、バンドソー2の厚み幅を樹脂で均一にさせることができるとともに、アラミド繊維の強度やフィラメントの間に挟み込まれる砥粒によって素早く研削することができるようになる。
このバンドソー2は、一対の保持体3によって両端部分が保持される。この保持体3は、複数枚のバンドソー2を同時に保持できるようにした溝部31を有しており、この溝部31にバンドソー2を挟み込んで、各バンドソー2を平行な状態に保持できるようにしている。ところで、この保持体3にバンドソー2を挟み込む場合、各バンドソー2の張力を均一にしておかなければならない。このため、保持体3でバンドソー2を保持する場合は、まず、保持体3を対向させ、この保持体3の溝部31にテンションレスの状態でバンドソー2を挟み込む。そして、全てのバンドソー2を挟み込んだ後に、溝部31のバンドソー2を溶着するなどして固定し、保持体3を左右に引っ張って全てに同じテンションを与えるようにする。
また、この保持体3については、図3に示す構造のものを用いることもできる。図3において、図1や図2と同じ符号を示したものは同じ構造を有しているものとする。図2に示すように、独立したバンドソー2を保持体3の溝部31に挟み込むようにすると、各バンドソー2のテンションを均一に調節しなければならない。そこで、図3に示すように、一本の長いバンドソー2を用意し、このバンドソー2を各溝部31に周回させるように巻き付けていき、これによってほぼすべての研削部分でテンションを一定に保てるようにすることもできる。ただし、この場合、溝部31の周回部分が角張っているとそこでバンドソー2が固定されてしまい、テンションが不均一なものになってしまう可能性がある。このため、円弧状もしくは楕円状の周回部32を設け、この周回部を周回させるようにバンドソー2を設ける。このようにすれば、周回部32によってテンションのロスを防ぐことができ、ほぼ全ての研削部分のテンションを均一にさせることができる。この場合、バンドソー2として、固化されていないアラミド繊維などのような比較的柔らかい素材を用いた場合に有効となる。
そして、このようにバンドソー2を保持した保持体3をブラケット42に取り付け、ブラケット42とともに図示しないモーターなどの駆動機構4によって往復動する。この駆動機構4は、シリコンインゴット81に対して非常に長いストロークで往復動させるようなものが用いられ、スライドレール41上で保持体3を往復させる。このとき、各保持体3の間における研削空間には、シリコンインゴット81や研削されたシリコンウエハ82などが位置することとなるから、スライドレール41やブラケット42などを設けないようにし、スライドレール41やブラケット42などを保持体3の側方に設けるようにしておく。
シリコンインゴット81の押圧機構5は、シリコンインゴット81を保持した状態で研削空間のバンドソー2と平行にシリコンインゴット81を押圧できるようにしたものであって、駆動機構4の往復動作に連動してシリコンインゴット81をバンドソー2に押圧させる。すなわち、バンドソー2が往復動作の折り返し地点にきた場合に、シリコンインゴット81の押圧動作を停止させ、バンドソー2が再び移動し始めたときに、一定の速度でシリコンインゴット81をバンドソー2に押圧させる。この押圧と停止は、駆動機構4のモーターに連動して行うようにしてもよく、もしくは、保持体3などの移動位置をセンサーで検知して行うようにしてもよい。なお、この実施の形態では、シリコンインゴット81を下から押し付けるようにしているが、バンドソー2を起立させて横からシリコンインゴット81を押し付けてもよい。また、このとき、シリコンインゴット81を押し付けるのではなく、バンドソー2側をシリコンインゴット81に押し付けるようにしてもよい。
供給機構6は、シリコンインゴット81の研削部分に対して砥粒71を含有させたスラリー72を供給するもので、各バンドソー2の平面に沿った上方からスラリー72を供給する。この砥粒71としては、シリコンインゴット81を研削できる硬度を有するものであればどのようなものでも良く、好ましくは、バンドソー2の厚み幅よりも小さい粒子からなるダイヤモンド、炭化ケイ素、酸化セリウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素などを用いる。一方、この砥粒71を含有するスラリー72は、バンドソー2による研削時にシリコンインゴット81との摩擦熱を吸収できるようにするとともに、砥粒71をバンドソー2とシリコンインゴット81の研削部分に滞留させられるようにしたものであり、例えば、親油基を多く含む溶媒、塩基性物質を含む溶媒などを用いる。この塩基性物質を含有させると、塩基性物質による化学的作用によって研削されたシリコン微粉を除去することができるようになる。この砥粒71供給機構6で砥粒71を供給する場合、回収機構を用いて砥粒71を含有したスラリー72を回収し、再利用することもできる。
次に、このように構成されたインゴット研削装置1によるシリコンインゴット81の研削方法について説明する。
保持体3にバンドソー2を張り合わせた状態で往復運動させ、砥粒71含有スラリー72を供給しながらシリコンインゴット81を押圧させると、バンドソー2とシリコンインゴット81の間に砥粒71が挟まり、この砥粒71とバンドソー2の往復動作によってシリコンインゴット81が研削されていく。このとき、薄くシリコンウエハ82を形成するためにはバンドソー2の張力を高くしなければならないが、バンドソー2が帯状をなしているため比較的高い張力に耐えることができ、しかも、研削によって縁部21が摩耗した場合であっても容易に破断するようなことがなくなる。そして、このように高い張力でシリコンインゴット81を研削するとともに、シリコンインゴット81をバンドソー2に押圧すると、バンドソー2とシリコンインゴット81との間に砥粒71が挟まり、この砥粒71によってシリコンインゴット81を研削していくことができる。このとき、シリコンインゴット81の押圧力が強すぎると、従来であればバンドソーに付着した砥粒でインゴットを強く引っ掻いてしまうが、今回のように砥粒71を付着させない構造であれば、一定以上の押圧力がかかると砥粒71が待避するので、従来のように強引にシリコンインゴット81を引っ掻いてしまうようなことがなくなる。
そして、このように砥粒71含有スラリー72を供給しながらバンドソー2を往復運動させ、一度に複数枚のシリコンウエハ82(図2)を生成できるようにする。
このように、第一の実施の形態によれば、長手方向に沿って単一の硬度を有するように形成されたバンドソー2と、このバンドソー2を保持する保持体3と、保持体3を用いてバンドソー2をシリコンインゴット81に対して移動させる駆動機構4と、この駆動機構4によってバンドソー2を移動させている際に、砥粒71を含有させたスラリー72をシリコンインゴット81の研削部分に供給する供給機構6とを備えるようにしたので、バンドソー2を薄くして研削代を小さくすることができるようになる。しかも、扁平状のバンド構造を用いているため、大きな張力や研削による摩耗に耐えることができ、すぐにバンドソー2が破断するようなことがなくなる。さらには、研削方向に沿って単一の硬度を有するようになっているため、従来のように、ワイヤーソーなどに付着した砥粒が引っ掛かってシリコンインゴット81が欠けたり、大きな負荷がかかってワイヤーソーが破断したりするようなことがなくなる。
また、複数枚のバンドソー2を一対の保持体3で保持し、その保持体3を移動させることによってシリコンインゴット81を研削できるようにしたので、大きな張力に耐えることができ、また、複数枚のバンドソー2によってシリコンインゴット81からシリコンウエハ82をまとめて切り出すことができるようになる。
さらに、バンドソー2の平面に沿った上方から砥粒71を含有させたスラリー72を供給するようにしたので、砥粒71を各バンドソー2の隙間に均一に流し込むことができ、中央部分のバンドソー2に砥粒71が供給されずに研削できなくなるといった不具合を防止することができるようになる。
なお、第一の実施の形態では、シリコンインゴット81とバンドソー2との角度を平行にしてシリコンインゴット81を押圧するようにしたが、この方法では、往復運動作中に砥粒71がバンドソー2とシリコンインゴット81との間に挟まらなくなる可能性がある。このため、図4に示すように、シリコンインゴット81とバンドソー2とを若干傾斜させて押圧し、シリコンインゴット81とバンドソー2との隙間空間側から砥粒71、もしくはその砥粒71を含有させたスラリー72を供給するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、保持体3に複数枚のバンドソー2を挟み込むようにして一度に数枚のシリコンウエハ82を得られるようにしたが、一枚のバンドソー2でシリコンウエハ82を一枚ずつ切り出すようにしてもよい。
次に、第二の実施の形態におけるインゴット研削装置について説明する。
第二の実施の形態におけるインゴット研削装置は、図5に示すように、バンドソー2をボビン43に巻き付けるとともに、これをローラー33を介して高速で繰り出し、インゴット81を研削できるようにしたものである。この実施の形態では、バンドソー2をボビン43に巻き付ける必要があるため、比較的可撓性を有するアラミド繊維などを用いるようにしている。そして、このバンドソー2を巻き付けたボビン43からバンドソー2を繰り出し、ローラー33を周回させて反対側のボビン43側で巻き取っていく。なお、このとき、同時に複数枚のシリコンウエハ82を切り出すために、段違いにバンドソー2やボビン43、ローラー33などを配置し、同様に、上から供給機構6を介して砥流71を含有したスラリー72を供給してインゴット81を研削していく。
また、図5に示す構成では、上下方向にバンドソー2を並べる必要があるため、上下方向の高さが高くなってしまう。このため、第三の実施の形態である図6に示すように構成を採用することもできる。図6におけるインゴット研削装置は、ボビン43からバンドソー2を繰り出し、インゴット81の左右に設けられた複数対のローラー33を交互に周回させて、回収用のボビン43で巻き取るようにしたものであり、図7は、その左右方向に設けられるローラー33の縦方向の側面図を示したものである。なお、図6や図7において前述の実施の形態と同じ符号を付したものは同じ構成を有しているものとし、押圧機構5や供給機構6の図示は省略しているものとする。供給機構6を設ける場合は、図6のブレードガイド34とブレードガイド34との間の上方に設けられる。
このローラー33にバンドソー2を何回も周回させる場合、図7に示すように、そのローラー33からバンドソー2を放射状に広げ、そのバンドソー2の隙間間隔を一定に広げる必要がある。このため、ローラー33とインゴット81との間にブレードガイド34を設け、そのブレードガイド34のスリット35にバンドソー2を通して隙間幅を一定にする。そして、ローラー33やブレードガイド34を用いて交互にバンドソー2を周回させ、インゴット81を薄く切り出していく。
また、ローラー33を介してバンドソー2を周回させる場合、第四の実施の形態である図8に示すように、左右のローラー33に一本のバンドソー2を周回させ、これを蛇行させるようにして隣接するバンドソー2の移動方向が逆方向になるようにするともできる。このとき、バンドソー2とバンドソー2との隙間を小さくすると(例えば、0.1mm程度)、バンドソー2間の隙間が変化して接触してしまう可能性があるが、それぞれ隣接する状態で交互に高速移動するバンドソー2の間に空気の流れや、もしくは、砥流を含有したスラリーの流れを形成することができるため、この流れによる圧力よってバンドソー2の隙間を一定に保つことができる。すなわち、大きな板状体の上に他の板状体を載置し、空気を送り込んで浮かせるときのように、バンドソー2とバンドソー2との間に流体の流れを作って隙間を形成することができるようになる。また、図8に示すようにバンドソー2を交互に周回させてインゴット81を研削すると、インゴット81を研削する際の摩擦力を左右に分散することができ、インゴット81を強く保持していなくてもインゴット81を切り出すことができるという効果を得ることもできる。
なお、上記実施の形態では、シリコンインゴット81からシリコンウエハ82を切り出す場合について説明したが、シリコンインゴット81に限らず他の研削対象物に適用して、薄い板状体を切り出す場合に適用することもできる。
1・・・インゴット研削装置
2・・・バンドソー
21・・・縁部
3・・・保持体
31・・・溝部
32・・・周回部
33・・・ローラ
34・・・ブレードガイド
4・・・駆動機構
41・・・スライドレール
42・・・ベース
5・・・押圧機構
6・・・供給機構
71・・・砥粒
72・・・スラリー
81・・・インゴット
82・・・ウエハ
91・・・ワイヤーソー
92・・・ワイヤーローラー
93・・・バンドソー
94・・・バンドローラー
2・・・バンドソー
21・・・縁部
3・・・保持体
31・・・溝部
32・・・周回部
33・・・ローラ
34・・・ブレードガイド
4・・・駆動機構
41・・・スライドレール
42・・・ベース
5・・・押圧機構
6・・・供給機構
71・・・砥粒
72・・・スラリー
81・・・インゴット
82・・・ウエハ
91・・・ワイヤーソー
92・・・ワイヤーローラー
93・・・バンドソー
94・・・バンドローラー
Claims (6)
- インゴットから板状体を切り出すインゴット研削装置において、
長手方向に沿って単一の硬度を有するように形成されたバンドソーと、
前記インゴットの両側でバンドソーを保持する保持体と、
当該保持体を用いて前記バンドソーをインゴットに対して移動させる駆動機構と、
当該駆動機構によってバンドソーを移動させている際に、砥粒を含有させたスラリーをインゴットの研削部分に供給する供給機構とを備えたことを特徴とするインゴット研削装置。 - 前記保持体が、複数枚のバンドソーを保持するものであり、前記駆動機構が、バンドソーを往復動させるものである請求項1に記載のインゴット研削装置。
- 前記供給機構が、複数枚のバンドソーの上方から砥粒を含有させたスラリーを供給するものである請求項1に記載のインゴット研削装置。
- 前記駆動機構が、ボビンに巻き付けられたバンドソーを繰り出す機構で構成されるものであり、前記保持体がバンドソーを周回させるように保持するローラーで構成されるものである請求項1に記載のインゴット研削装置。
- 前記駆動機構が、ボビンに巻き付けられたバンドソーを繰り出す機構で構成されるものであり、前記保持体がバンドソーを周回させ、かつ、隣接するそれぞれのバンドソーを逆方向に移動させるローラーで構成されるものである請求項1に記載のインゴット研削装置。
- 前記バンドソーが、アラミド繊維を前記長手方向に沿って複数本束ねて構成されたものである請求項1に記載のインゴット研削装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009124784A JP2010064241A (ja) | 2008-08-10 | 2009-05-24 | インゴットの研削装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008206483 | 2008-08-10 | ||
JP2009124784A JP2010064241A (ja) | 2008-08-10 | 2009-05-24 | インゴットの研削装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010064241A true JP2010064241A (ja) | 2010-03-25 |
Family
ID=42190273
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009124784A Pending JP2010064241A (ja) | 2008-08-10 | 2009-05-24 | インゴットの研削装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010064241A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012240313A (ja) * | 2011-05-19 | 2012-12-10 | Sanwa Daiya Kouhan Corp | 切断装置及び切断方法 |
-
2009
- 2009-05-24 JP JP2009124784A patent/JP2010064241A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012240313A (ja) * | 2011-05-19 | 2012-12-10 | Sanwa Daiya Kouhan Corp | 切断装置及び切断方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4411062B2 (ja) | 超砥粒ワイヤソー巻き付け構造、超砥粒ワイヤソー切断装置および超砥粒ワイヤソーの巻き付け方法 | |
JP2011051025A (ja) | ワイヤソー装置 | |
TWI549175B (zh) | 使用鋸切線從工件切分出晶圓的方法 | |
JP2011526215A (ja) | ワイヤーソー切断装置 | |
JP6304118B2 (ja) | ワイヤソー装置 | |
KR20160048787A (ko) | 잉곳의 절단방법 및 와이어 쏘 | |
JP2009535224A (ja) | 大型工作物の精密スライシング方法 | |
JP2000218504A (ja) | 固定砥粒付ワイヤ及び固定砥粒ワイヤソーの切断方法 | |
KR102228800B1 (ko) | 신뢰성이 향상된 와이어 커팅 장치 | |
CN106626111B (zh) | 固定磨粒丝锯以及固定磨粒丝的修整方法 | |
JP2000288902A (ja) | 固定砥粒付ワイヤ及び固定砥粒ワイヤソー | |
EP2815834A1 (en) | Wire monitoring system for a wire saw and method for monitoring a wire saw | |
JP4406878B2 (ja) | 単結晶インゴットの当て板 | |
JPH05220731A (ja) | ウエーハ切り離し方法及びワイヤーソー装置 | |
JP2010064241A (ja) | インゴットの研削装置 | |
JP2007301688A (ja) | ワーク切断方法 | |
JP2013094872A (ja) | 被加工物の切断方法 | |
WO2013041140A1 (en) | Method and apparatus for cutting semiconductor workpieces | |
JP5343723B2 (ja) | ワイヤーソー | |
JP2004322299A (ja) | ワイヤソーマシーン | |
CN110962246B (zh) | 线锯装置 | |
JP4960028B2 (ja) | ツルーイング装置及びツルーイング方法 | |
JP2008188721A (ja) | 基板の製造方法及びワイヤソー装置 | |
JP2002046067A5 (ja) | ||
JP2002052455A5 (ja) |