JP2010062111A - 薄膜形成方法、デバイス製造方法及び有機el装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板上にインクジェット法などの液滴吐出法を用いて薄膜を形成する場合であっても、薄膜形成領域の全域で薄膜の形状を均一化することが可能な製造方法を提供する。
【解決手段】基板9上に形成された隔壁20によって区画された複数の区画領域に、薄膜形成材料を含む液状体101を配置することにより薄膜を形成する薄膜形成方法であって、複数の区画領域に液状体101を配置する前に、複数の区画領域によって構成される薄膜形成領域の中央部Hに位置する隔壁20の液状体101に対する濡れ性を、薄膜形成領域の外周部Lに位置する隔壁20の液状体101に対する濡れ性よりも向上させる表面処理を行うことを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】基板9上に形成された隔壁20によって区画された複数の区画領域に、薄膜形成材料を含む液状体101を配置することにより薄膜を形成する薄膜形成方法であって、複数の区画領域に液状体101を配置する前に、複数の区画領域によって構成される薄膜形成領域の中央部Hに位置する隔壁20の液状体101に対する濡れ性を、薄膜形成領域の外周部Lに位置する隔壁20の液状体101に対する濡れ性よりも向上させる表面処理を行うことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、薄膜形成方法、デバイス製造方法及び有機EL装置に関するものである。
近年、自発光型の画像表示装置として有機物を発光素子に用いた有機EL(Electro-Luminescent)素子の開発が盛んに行われている。有機EL素子の形成としては、マイクロオーダーの液滴を高解像度で塗布することが可能なインクジェット法が注目されている。しかしながら、基板上の塗布領域の周辺部では、塗布された液体から蒸発する溶媒分子の分圧が該塗布領域の中央部よりも低く、速く乾きはじめる場合がある。このような、基板上に塗布された液体の乾燥時間の差は機能層の薄膜ムラを引き起こし、これを表示装置等として用いた場合には、表示ムラを生じる原因となる惧れがある。
図10は、インクジェット法を用いた薄膜形成方法により形成された有機層(薄膜)10の概略断面図である。ここで、符号Lは薄膜形成領域の外周部であり、符号Hは、薄膜形成領域の中央部である。薄膜形成領域の中央部Hよりも薄膜形成領域の外周部Lのほうが蒸発する溶媒分子の分圧が低いことから、吐出された液体の乾燥の進行が速い。これにより、従来の薄膜形成方法では、隔壁20の間に形成された有機層10の特に中央部の膜厚は、薄膜形成領域の中央部Hに形成された有機層10Lの膜厚THよりも、薄膜形成領域の外周部Lに形成された有機層10Lの膜厚TLのほうが小さくなる場合がある。
このような問題点を解決するための技術が各種検討されており、例えば特許文献1及び特許文献2では、表示領域の周囲に表示に寄与しないダミー領域を形成し、該ダミー領域にも有機層と同一のインクを塗布することで、表示領域の中央部と周辺部とにおいて有機層の薄膜ムラが生じることを防止する技術を開示している。
また、特許文献3では、表示領域の周囲に表示に寄与しないダミー領域を形成し、該ダミー領域にも有機層と同一のインクを塗布し、該ダミー領域に塗布される単位面積当たりの溶媒の量を有機層に塗布される許容量よりも多くすることで、表示領域の中央部と周辺部とにおいて均一で等しい膜厚の層を形成する技術を開示している。
特開2002−222695号公報
特開2002−252083号公報
特開2006−3870号公報
しかしながら、これら特許文献1から特許文献3の技術では、十分な効果を得るためにはダミー領域が多く必要となり、パネル全体の面積のうちの非発光面積の割合が多くなり表示領域の大きさが限られてしまう場合がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、基板上にインクジェット法などの液滴吐出法を用いて薄膜を形成する場合に、薄膜形成領域の全域で薄膜の形状を均一化することが可能な薄膜形成方法及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の薄膜成形方法は、基板上に形成された隔壁によって区画された複数の区画領域に、薄膜形成材料を含む液状体を配置することにより薄膜を形成する薄膜形成方法であって、前記複数の区画領域に前記液状体を配置する前に、前記複数の区画領域によって構成される薄膜形成領域の中央部に位置する前記隔壁の前記液状体に対する濡れ性を、前記薄膜形成領域の外周部に位置する前記隔壁の前記液状体に対する濡れ性よりも向上させる表面処理を行うことを特徴とする。
この製造方法によれば、薄膜形成領域の中央部に位置する隔壁の液状体に対する濡れ性を、薄膜形成領域の外周部における濡れ性よりも向上させる表面処理を行うことで、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。すなわち、薄膜形成領域の中央部の隔壁に対する液状体の接触角を薄膜形成領域の外周部における接触角よりも小さくすることで、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部とに吐出された液状体の乾燥による対流の移動変化を同じように操作することができる。従って、従来の技術では隔壁の間に形成された有機層の特に中央部の膜厚は、薄膜形成領域の中央部に形成された有機層の膜厚よりも、薄膜形成領域の外周部に形成された有機層の膜厚のほうが小さくなる場合があるが、本願ではその膜厚を同じ厚さにすることができる。すなわち、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラを防ぐことができる。また、薄膜形成領域の周囲にダミー領域を形成する必要がないので、基板全体を無駄なく使うことができる。
この製造方法によれば、薄膜形成領域の中央部に位置する隔壁の液状体に対する濡れ性を、薄膜形成領域の外周部における濡れ性よりも向上させる表面処理を行うことで、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。すなわち、薄膜形成領域の中央部の隔壁に対する液状体の接触角を薄膜形成領域の外周部における接触角よりも小さくすることで、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部とに吐出された液状体の乾燥による対流の移動変化を同じように操作することができる。従って、従来の技術では隔壁の間に形成された有機層の特に中央部の膜厚は、薄膜形成領域の中央部に形成された有機層の膜厚よりも、薄膜形成領域の外周部に形成された有機層の膜厚のほうが小さくなる場合があるが、本願ではその膜厚を同じ厚さにすることができる。すなわち、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラを防ぐことができる。また、薄膜形成領域の周囲にダミー領域を形成する必要がないので、基板全体を無駄なく使うことができる。
本製造方法においては、前記隔壁は、有機材料で形成された有機隔壁層を含み、前記表面処理は、前記有機隔壁層の表面を酸素プラズマ処理、ヘリウムプラズマ処理、アルゴンプラズマ処理若しくは窒素プラズマ処理することにより行われることが望ましい。
この製造方法によれば、前記表面処理が、有機隔壁層の表面を酸素プラズマ処理、ヘリウムプラズマ処理、アルゴンプラズマ処理若しくは窒素プラズマ処理することにより行われるので、有機隔壁層の表面の液状体に対する濡れ性を確実に向上させることができる。
この製造方法によれば、前記表面処理が、有機隔壁層の表面を酸素プラズマ処理、ヘリウムプラズマ処理、アルゴンプラズマ処理若しくは窒素プラズマ処理することにより行われるので、有機隔壁層の表面の液状体に対する濡れ性を確実に向上させることができる。
本製造方法においては、前記表面処理は、プラズマガスを前記基板上の所定領域にスポット的に照射可能なスポット照射型プラズマ装置を用いて、前記薄膜形成領域の中央部に位置する前記隔壁に対して選択的にプラズマガスを照射することにより行われることが望ましい。
この製造方法によれば、薄膜形成領域の中央部に位置する隔壁に対して部分的にプラズマガスを照射することができるので、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。従って、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラをより防ぐことができる。
この製造方法によれば、薄膜形成領域の中央部に位置する隔壁に対して部分的にプラズマガスを照射することができるので、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。従って、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラをより防ぐことができる。
本製造方法においては、前記表面処理は、前記基板を挟持する一対の電極を有し、前記一対の電極の間に発生するプラズマガスにより前記基板の表面を処理する平行平板型のプラズマ装置を用いて行われ、前記プラズマ装置は、前記一対の電極の間の距離が、前記薄膜形成領域の中央部に位置する部分が前記薄膜形成領域の外周部に位置する部分よりも小さくなっており、これにより、前記薄膜形成領域の中央部に位置する前記隔壁に対するプラズマ強度を、前記薄膜形成領域の外周部に位置する前記隔壁に対するプラズマ強度よりも向上させることが望ましい。
この製造方法によれば、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。従って、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラをより防ぐことができる。
この製造方法によれば、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。従って、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラをより防ぐことができる。
本製造方法においては、前記隔壁は、有機材料で形成された有機隔壁層を含み、前記表面処理は、UV光を前記基板上の所定領域にスポット的に照射し、前記紫外線によって発生したオゾンを前記基板の所定領域にスポット的に供給可能なヘッドオン型UVオゾン装置を用いて行われることが望ましい。
この製造方法によれば、基板上の有機隔壁層の所定領域に対して選択的に狙った部分にUV光を照射することができるので、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。従って、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラをより防ぐことができる。
この製造方法によれば、基板上の有機隔壁層の所定領域に対して選択的に狙った部分にUV光を照射することができるので、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。従って、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラをより防ぐことができる。
本製造方法においては、前記隔壁は、有機材料で形成された有機隔壁層を含み、前記表面処理は、低エネルギ電子線を前記基板上の所定領域にスポット的に照射可能な低エネルギ電子線照射装置を用いて行われることが望ましい。
この製造方法によれば、基板上の有機隔壁層の所定領域に対して低エネルギ電子線を打ち込んで表面改質をするので、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部に位置する隔壁に対してダメージを与えることなく、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。
この製造方法によれば、基板上の有機隔壁層の所定領域に対して低エネルギ電子線を打ち込んで表面改質をするので、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部に位置する隔壁に対してダメージを与えることなく、薄膜形成領域の中央部と外周部の液状体に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。
本発明のデバイス製造方法は、上述の方法により形成された薄膜を用いてデバイスを製造することが望ましい。
この製造方法によれば、上記薄膜形成方法によって薄膜を形成可能であることから、表示ムラの少ない信頼性に優れたデバイスを提供することが可能となる。
この製造方法によれば、上記薄膜形成方法によって薄膜を形成可能であることから、表示ムラの少ない信頼性に優れたデバイスを提供することが可能となる。
本発明の有機EL装置は、基板上に形成された隔壁によって区画された複数の区画領域を有し、前記複数の区画領域の各々には、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に狭持された発光層とを有する有機EL素子を有する有機EL装置であって、前記複数の区画領域によって構成される薄膜形成領域の中央部に位置する前記隔壁の前記液状体に対する濡れ性は、前記薄膜形成領域の外周部に位置する前記隔壁の前記液状体に対する濡れ性よりも高いことが望ましい。
この構成によれば、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラを防ぐことができるので、高品質な有機EL装置を提供することが可能となる。
この構成によれば、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラを防ぐことができるので、高品質な有機EL装置を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
図1は、本発明の薄膜形成方法により形成された薄膜を有する有機EL装置1が備えるサブ画素G周辺の拡大平面図である。有機EL装置1は、平面視左右方向に長手を有する矩形状の基板9と、平面視格子状の隔壁20と、平面視上下方向に長手を有する矩形状の複数のサブ画素Gとを備えている。各々のサブ画素Gは、隔壁20によって区画された複数の区画領域に形成されている。
本発明の薄膜形成方法は、有機EL素子5(図2参照)の形成材料を溶媒に溶解または分散させた液状体101(図3参照)をインクジェット法などの液滴吐出法を用いて基板9上の隔壁20の複数の区画領域に吐出し、これを乾燥することによって膜化するものである。インクジェット法を用いて液状体101が吐出された薄膜形成領域Sのうち外周部(破線部外)では、液状体101の溶媒を乾燥させるときに蒸発する溶媒分子の分圧が薄膜形成領域Sの中央部(破線部内)よりも一般的に低くなる。ここで、液状体101より蒸発する溶媒分子の分圧が相対的に低くなる領域を薄膜形成領域の外周部L(薄膜形成領域Sの破線部外)とし、液状体101より蒸発する溶媒分子の分圧が相対的に高くなる領域を薄膜形成領域の中央部H(薄膜形成領域Sの破線部内)とする。
図2は、図1に示したA‐A線に沿った断面構成を示している。有機EL装置1は、基板9と、基板9上に形成される画素電極としての第1電極11と、第1電極11と平面的に重なる区画領域を備えた隔壁20と、隔壁20に囲まれた領域に形成された有機層10と、基板9上の隔壁20及び有機層10の露出する部位全面を覆って形成された共通電極としての第2電極12と、第2電極12上に形成された封止層30とを備えている。第1電極11と有機層10と第2電極12とで有機EL素子5を形成している。
なお、図2に示した有機EL装置1の断面構成の左側部は薄膜形成領域の外周部Lのうちの一部を示しており、右側部は薄膜形成領域の中央部Hのうちの一部を示している。後述する製造方法により、薄膜形成領域の外周部L及び薄膜形成領域の中央部Hにおける有機層10の特に中央部の厚さは、その膜厚が同じになるように形成されている。また、有機層10は、正孔注入層13、正孔輸送層14、発光層15、電子注入層16がこの順に積層されて形成されており、それぞれの特に中央部の膜厚が同じになるように形成され、薄膜形成領域Sの全域でその膜厚の形状が均一化されている。
基板9は、透明なガラスやプラスチック等の絶縁材料から形成され、その上面には複数の有機EL素子5が形成されている。有機EL素子5は、第1電極11と第2電極12の間に有機層10を有し、注入された電子と正孔の再結合により励起して有機層10の中の発光層15を発光させる。発光層15は、発光色により3種類に分類され、例えば、赤色の光を発生する発光層(図示略)と、緑色の光を発生する発光層(図示略)と、青色の光を発生する発光層(図示略)とを有している。基板9上では、これら3種類の発光層を有する複数の有機EL素子5がマトリクス状に規則的に配列されており、各有機EL素子5が図示略のTFTにより独立に駆動されるようになっている。
基板9上には、絶縁性の隔壁20が形成されている。この隔壁20は、第1電極11と平面的に重なる区画領域を備えた無機隔壁層21と、無機隔壁層21上に立設された有機隔壁層22とを含んでおり、複数の有機EL素子5を独立させて区分するものである。基板9及び隔壁20は凹部を形成しており、この凹部の底部を有機EL素子5が占めている。
有機EL素子5は、有機層10を挟む第1電極11及び第2電極12を有する。第1電極11及び第2電極12は、有機層10に正孔及び電子を注入するための電極である。第1電極11は、正孔注入性の高いITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる電極であり、基板9上に形成され上記のTFTに接続されている。
また、基板9上には、第1電極11の端部に一部が乗り上げるように、無機隔壁層21が形成されている。無機隔壁層21は第1電極11に対応する区画領域を備えており、この区画領域に第1電極11が露出している。無機隔壁層21は、有機層10の形成材料を溶媒に溶解または分散させた液状体に親液性を示すように形成されており、例えばSiO2(酸化シリコン)等の絶縁性の無機材料で形成されている。
無機隔壁層21上には、第1電極11の周囲を囲む位置に有機隔壁層22が立設されている。有機隔壁層22は、有機層10の形成材料を溶媒に溶解または分散させた液状体101に撥液性を示すように形成されており、例えば含フッ素樹脂や、表面がCF4プラズマ処理により撥液処理された光硬化性のアクリル樹脂等の絶縁性の有機材料で形成されている。
有機隔壁層22に囲まれた領域の底面に露出した面(ここでは第1電極11と無機隔壁層21の一部)には、第1電極11からの正孔の注入を容易にするための正孔注入層13が厚さ50nmで形成されている。正孔注入層13の形成材料は、例えばPEDOT/PSS(3,4‐ポリエチレンジオチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸)を用いることができる。
正孔注入層13の上には、注入された正孔を後述する発光層15へ輸送し易くするための正孔輸送層14が厚さ10nmで形成されている。正孔輸送層14の形成材料は、例えば芳香族アミン系ポリマーを用いることができる。また、この時に用いられる溶媒は、例えばシクロヘキシルベンゼンが挙げられる。
正孔輸送層14の上には、発光層15が厚さ100nmで形成されている。発光層15は、第1電極11から注入された正孔と第2電極12から注入された電子との再結合により励起して発光する。発光層15の形成材料は、例えばポリオレフィン系ポリマー蛍光材料を用いることができる。また、この時に用いられる溶媒は、例えばシクロヘキシルベンゼンが挙げられる。
発光層15の上には、電子の注入を容易にするための電子注入層16が厚さ約5nmで形成されている。電子注入層16の形成材料は、例えばCa(カルシウム)などの電子注入性の良い材料を用いることができる。
有機層10と隔壁20の基板9上で露出する部位全体を覆って、第2電極12が厚さ300nmで形成されている。第2電極12は、各有機EL素子5共通の共通電極として機能するものである。第2電極12の形成材料は、例えばAl(アルミニウム)を用いることができる。
第2電極12の上には、第2電極12を覆うように封止層30が形成されている。封止層30は、隔壁20とその区画領域による凹凸形状を埋めるように形成され、基板9上を平坦化している。封止層30の形成材料は、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。
(有機EL装置の製造方法)
次に、本発明の有機EL装置1を製造する工程について図面を参照して説明する。図3〜図4は有機EL装置1の製造方法の一例を示す断面工程図である。
次に、本発明の有機EL装置1を製造する工程について図面を参照して説明する。図3〜図4は有機EL装置1の製造方法の一例を示す断面工程図である。
先ず、図3(a)に示すように、第1電極11が形成された基板9上にSiO2等の無機絶縁膜を形成し、これを公知のフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより、第1電極11の周囲を囲む無機隔壁層21を形成する。
次に、無機隔壁層21の上にアクリル樹脂等の有機絶縁膜を形成し、これを公知のフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより、有機隔壁層22を形成する。このようにして、無機隔壁層21と有機隔壁層22を備えた隔壁20が形成される。
有機隔壁層22を形成した後に、全体をO2ガス下でプラズマ処理を行い、次いで、CF4ガス下でプラズマ処理を行う。先ず、O2プラズマ処理により、基板9及び基板9上に形成された各構成要素の表面は不純物が除去されて親液化され、次いでCF4プラズマ処理により、有機隔壁層22の表面が撥液化される。CF4プラズマ処理では有機物が撥液化されるため、有機隔壁層22の表面を選択的に撥液化することができる。これら一連の処理により、有機隔壁層22は撥液化され、第1電極11や無機隔壁層21の表面は親液化される。
次に、図3(b)に示すように、基板9上の所定の領域に対してプラズマガスをスポット的に照射可能なスポット照射型プラズマ装置300(図5参照)を用いて、大気圧環境下で薄膜形成領域の中央部Hの隔壁20に薄膜形成領域の外周部Lよりも相対的に強いN2プラズマを照射する。すなわち、薄膜形成領域の中央部Hに位置する隔壁20の特に有機隔壁層22の側壁部の表面の液状体101に対する濡れ性を、薄膜形成領域の外周部Lにおける濡れ性よりも向上させる。
スポット照射型プラズマ装置300としては、例えば松下電工社製の型番ANUCAS5SMLが挙げられる。このスポット照射型プラズマ装置300の詳細な説明については後述する。
ここで、N2プラズマの照射による有機隔壁層22の側壁部の表面改質のメカニズムについて説明する。N2プラズマを照射することにより、N2ガス中に含まれる微量なO2や大気中から巻き込んだO2からO2ラジカルが発生する。このO2ラジカルは、有機隔壁層22の側壁部の表面に衝突して樹脂材料の分子鎖を切断し、樹脂表面の炭素原子と反応して官能基を生成する。これらの官能基には、親水性をもつカルボキシル基やカルボニル基が含まれることから、吐出される液状体101との親和性を大きく高めることができ、濡れ性が向上する。
次に、図3(c)に示すように、基板9上の第1電極11の上に、例えばインクジェット法を用いて正孔注入層13の形成材料を配置する。より具体的には、正孔注入層13の形成材料を含む液状体101が液滴吐出ヘッド100から隔壁層20の区画領域に対して吐出される。正孔注入層13の形成材料を含む液状体101としては、例えばPEDOT/PSS用インク(PEDOT:PSS重量比=1:50、固形分濃度0.5%、溶媒:ジエチレングリコール50%、残量:純水)を用いることができる。
このとき、薄膜形成領域の中央部Hの隔壁20の区画領域に形成された液状層101Hは、上述したN2プラズマ処理により有機隔壁層22に対する液状層101Hの撥液性が低下(濡れ性が向上)していることにより、薄膜形成領域の外周部Lの隔壁20の区画領域に形成された液状層101Lよりも有機隔壁層22の側壁に対して濡れ広がって形成されている。すなわち、薄膜形成領域の中央部Hの液状層101Hの有機隔壁層22に対する接触角ΘHは、薄膜形成領域の外周部Lの液状層101Lの有機隔壁層22に対する接触角ΘLよりも小さく形成されている。
次に、図4(a)に示すように、液状層101H,101Lを真空乾燥し、N2雰囲気中で熱処理(200℃、10min)を行うことにより、厚さが50nmの正孔注入層13を形成する。このとき、薄膜形成領域の中央部H及び薄膜形成領域の外周部Lに形成された正孔注入層13の特に中央部の厚さは同じになっている。
次に、図4(b)に示すように、正孔注入層13の上に正孔輸送層14、発光層15、電子注入層16をこの順に成膜し、有機層10を形成する。先ず、正孔注入層13の上に、正孔輸送層14の形成材料を含む液状体101をインクジェット法を用いて隔壁20の区画領域に対して吐出し配置する。正孔輸送層14の形成材料を含む液状体101としては、例えば溶質を芳香族アミン系ポリマー、その溶媒をシクロヘキシルベンゼンとしたものを用いることができる。このとき、薄膜形成領域の中央部Hの液状層101Hの有機隔壁層22に対する接触角ΘHは、薄膜形成領域の外周部Lの液状層101Lの有機隔壁層22に対する接触角ΘLよりも小さく形成されている。
次に、液状層101H,101Lを真空乾燥し、N2雰囲気中で熱処理(130℃、1hour)を行うことにより、厚さが10nmの正孔輸送層14を形成する。このとき、薄膜形成領域の中央部H及び薄膜形成領域の外周部Lに形成された正孔輸送層14の特に中央部の厚さは同じになっている。
次に、正孔輸送層14の上に、発光層15の形成材料を含む液状体101をインクジェット法を用いて隔壁20の区画領域に対して吐出し配置する。発光層15の形成材料を含む液状体101としては、例えば溶質をポリオレフィン系ポリマー蛍光材料、その溶媒をシクロヘキシルベンゼンとしたものを用いることができる。このとき、薄膜形成領域の中央部Hの液状層101Hの有機隔壁層22に対する接触角ΘHは、薄膜形成領域の外周部Lの液状層101Lの有機隔壁層22に対する接触角ΘLよりも小さく形成されている。
次に、液状層101H,101Lを真空乾燥し、N2雰囲気中で熱処理(130℃、1hour)を行うことにより、厚さが100nmの発光層15を形成する。このとき、薄膜形成領域の中央部H及び薄膜形成領域の外周部Lに形成された発光層15の特に中央部の厚さは同じになっている。
次に、発光層15の上に、電子注入層16を蒸着を用いて隔壁20の区画領域に形成する。電子注入層16の形成材料としては、例えばCaを用いることができる。電子注入層16の厚さとしては、5nmとなるように形成するのが好ましい。このようにして、基板9上の第1電極11の上に、正孔注入層13、正孔輸送層14、発光層15、電子注入層16がこの順に積層された有機層10が形成される。
次に、図4(c)に示すように、複数の有機EL素子5に共通の電極となる第2電極12を有機層10と隔壁層20の基板9上で露出する部位全体を覆って蒸着を用いて形成する。第2電極12の形成材料としては、例えばAlを用いることができる。第2電極12の厚さとしては、300nmとなるように形成するのが好ましい。
次に、第2電極12の上に、第2電極12を覆うように封止層30を減圧雰囲気下でスクリーン印刷を行った後、加熱硬化させることにより形成する。封止層30の形成材料としては、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。以上により、上述した本発明の有機EL装置1を形成することができる。
なお、本製造方法では、薄膜形成領域の外周部Lよりも相対的に強いN2プラズマを薄膜形成領域の中央部Hに部分的に照射することで薄膜形成領域の中央部Hの隔壁20の特に有機隔壁層22の側壁部の表面の濡れ性を向上させているが、薄膜形成領域の中央部Hと薄膜形成領域の外周部Lの隔壁20の液状体101に対する濡れ性をコントロールすることができれば、これに限らない。例えば、薄膜形成領域の中央部Hのみの隔壁20に部分的にN2プラズマを照射することで薄膜形成領域の中央部Hのみの有機隔壁層22の側壁部の表面の濡れ性を向上させても良い。
なお、本製造方法では、有機隔壁層22の側壁部の濡れ性を向上させるためのプラズマガスの照射はN2プラズマを用いているが、O2プラズマを用いても良い。また、HeプラズマやArプラズマを用いることもできる。Arプラズマは、N2プラズマやO2プラズマに比べるとプラズマガスの照射力が強いので、適宜、被照射体を選定して行うことができる。
なお、本製造方法では、有機EL素子5の有機層10の薄膜形成方法を一例として挙げているが、ブラックマトリクス層を隔壁として用いたカラーフィルタ層の薄膜形成にも適用することができる。
図5は、本製造方法で用いたスポット照射型プラズマ装置300の一例を示した概略構成図である。スポット照射型プラズマ装置300は、大気圧環境下でプラズマガスを照射をするための処理室301と、各種装置を制御する制御部や各種配線を内装する本体部302と、タッチパネルやタッチキーなどで各種装置へ信号を入力するための操作部303とを備え、キャスター等の土台304によって固定されている。
処理室301は、プラズマを照射するプラズマヘッド部320と、プラズマヘッド部320の駆動、支持及び移動を兼ねる駆動部310と、プラズマガスの照射される被照射体の載置及び移動を兼ねるステージ330とを備えている。
プラズマヘッド部320は、プラズマヘッド本体部321の内部に一対の誘電体324,325と、これらを挟持する一対の電極322,323とを備えている。一対の電極322,323の間に高周波電界を印加することで、一対の誘電体324,325の間の空間に放電が発生する。例えば、反応ガスとしてO2を用いた場合は、放電によってO2ラジカルが発生し、放電時の加熱による気体の膨張によって噴出され、開口部326からO2ラジカルのプラズマガスが照射される。
駆動部310は、プラズマヘッド部320を支持する接続部314を備え、上側支持部311、下側支持部312及び駆動部土台313によって処理室301に固定されている。接続部314は、プラズマヘッド部320を上下左右に自在に移動させることが可能なスライド機能を有している。これにより、プラズマヘッド部320の開口部326とプラズマガスの照射される被照射体との間隔が制御される。
ステージ330は、プラズマ照射の被照射体を載せるテーブル331を備え、ステージ支持部332及びステージ土台333によって処理室301に固定されている。また、ステージ330は、テーブル331を左右に移動させることが可能なコンベア機能を有している。また、ステージ支持部332はステージ330を回転させることが可能な機能を有している。これにより、テーブル331を自在に移動させることが可能となり、テーブル331に載置された被照射体の所定の位置に部分的にプラズマガスが照射される。
なお、本製造方法では、大気圧雰囲気下でプラズマガスの照射を行っているが、減圧雰囲気下でプラズマガスの照射を行っても良い。減圧雰囲気下でプラズマガスの照射をする減圧プラズマ装置としては、例えばMarch社製の型番AP−1000が挙げられる。
本発明の薄膜形成方法によれば、薄膜形成領域の中央部Hに位置する隔壁20の液状体101に対する濡れ性を、薄膜形成領域の外周部Lにおける濡れ性よりも向上させる表面処理を行うことで、薄膜形成領域Sの中央部と外周部の液状体101に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。すなわち、薄膜形成領域の中央部Hの隔壁に対する液状体101の接触角ΘHを薄膜形成領域の外周部Lにおける接触角ΘLよりも小さくすることで、薄膜形成領域の中央部Hと薄膜形成領域の外周部Lとに吐出された液状体101の乾燥による対流の移動変化を同じように操作することができる。従って、従来の技術では隔壁20の間に形成された有機層10の特に中央部の膜厚は、薄膜形成領域の中央部Hに形成された有機層10の膜厚よりも、薄膜形成領域の外周部Lに形成された有機層10の膜厚のほうが小さくなる場合があるが、本願ではその膜厚を同じ厚さにすることができる。すなわち、薄膜形成領域の中央部Hと薄膜形成領域の外周部Lとの間の乾燥ムラを防ぐことができる。また、薄膜形成領域Sの周囲にダミー領域を形成する必要がないので、基板全体を無駄なく使うことができる。
また、この製造方法によれば、前記表面処理が、有機隔壁層22の表面を酸素プラズマ処理若しくは窒素プラズマ処理することにより行われるので、有機隔壁層22の表面の液状体101に対する濡れ性を確実に向上させることができる。
また、この製造方法によれば、薄膜形成領域Sの中央部に位置する隔壁20に対して部分的にプラズマガスを照射することができるので、薄膜形成領域Sの中央部と外周部の液状体101に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。従って、薄膜形成領域の中央部Hと薄膜形成領域の外周部Lとの間の乾燥ムラをより防ぐことができる。
また、この構成によれば、薄膜形成領域の中央部と薄膜形成領域の外周部との間の乾燥ムラを防ぐことができるので、高品質な有機EL装置を提供することが可能となる。
なお、本実施形態では、薄膜形成領域の外周部Lと薄膜形成領域の中央部Hとで、隔壁20に対する液状体101の濡れ性を2段階で制御しているが、本発明はこれに限らず、薄膜形成領域Sを中央部から外周部にかけて複数段階に分け、それぞれの領域の隔壁20に対する液状体101の濡れ性を段階的に異ならせることもできる。また、薄膜トランジスタ(TFT)素子による駆動を行う場合、TFT素子領域や配線等の形状、あるいは配置の関係上によって画素配置が上下左右方向ともに等間隔にできない場合があり、各画素上に吐出された液状体101の周囲で局所的な蒸発する溶媒分子の分圧差が生じることもある。また、液状体101を乾燥する乾燥炉等の乾燥装置の異なる設計によっても溶媒分子の分圧差が生じる場所が変わることもある。このような場合には、溶媒の蒸発差の異なる領域ごとに隔壁20の液状体101に対する濡れ性を異ならせることができる。
(表面処理装置の例1)
図6は本製造方法に用いたスポット照射型プラズマ装置300の他の表面処理装置の第1例の平行平板型のプラズマ装置350の概略構成断面図である。平行平板型のプラズマ装置350は、基板9と一対の電極354,355を収容する本体部351と、変圧器や共振コンデンサを収容するマッチングユニット372と、を備え、一対の電極354,355の間に発生するプラズマガスのオン/オフを制御する回路を収めた電源371に接続される構成となっている。
図6は本製造方法に用いたスポット照射型プラズマ装置300の他の表面処理装置の第1例の平行平板型のプラズマ装置350の概略構成断面図である。平行平板型のプラズマ装置350は、基板9と一対の電極354,355を収容する本体部351と、変圧器や共振コンデンサを収容するマッチングユニット372と、を備え、一対の電極354,355の間に発生するプラズマガスのオン/オフを制御する回路を収めた電源371に接続される構成となっている。
基板9は、ステージ356に載置されている。ステージ356は、一対の電極のうちの一方の電極の下部電極355を内部に有している。下部電極355の下面には、冷却配管364の一方の端部が接している。冷却配管364は、L字状に設けられ、ステージ356内を経由して下部導電管358の側面から他方の端部を露出し、外部の冷却装置363に接続されている。すなわち、冷却装置363を用いてステージ356内を冷却水で循環させることにより、ステージ356の温度制御を行う構成となっている。
下部導電管358の本体部351から露出した端部は、導電配線381を介して、マッチングユニット372に接続されている。マッチングユニット372は、変圧器によるマッチング調整や共振コンデンサによる周波数の選定をするものであり、導電配線381を介して電源371に接続されている。電源371はアース382に接続され、接地されている。
下部電極355と対向する位置には、基板9を介して、一対の電極のうちの他方の電極の上部電極354が、電極間可変部353の下面に設けられている。上部電極354は、薄膜形成領域の外周部Lに対応する外周部電極354a,354cと、薄膜形成領域の中央部Hに対応する中央部電極354bと、を有している。また、上部電極354は、電極間可変部353によって上下方向(矢印方向)に移動可能に設けられている。すなわち、外周部電極354a,354cは、外周部電極間可変部353a,353cによってそれぞれ上下方向に移動可能である。また、中央部電極354bは、中央部電極間可変部353bによって上下方向に移動可能である。
ここでは、下部電極355と中央部電極354bの間の距離LHを、下部電極355と外周部電極354a,354cの間の距離LLよりも小さくすることで、基板9上に形成された隔壁20の特に有機隔壁層22の側壁部の表面にプラズマガスを照射する構成となっている。例えば、中央部電極354bから基板9上の隔壁20までの距離は35mmとするのが好ましい。また、外周部電極354a,354cから隔壁層20までの距離は70mmとするのが好ましい。
電極間可変部353の上面には、ガス配管361の一方の端部が接している。ガス配管361は、L字状に設けられ、支持部352内を経由して上部導電管357の側面から他方の端部を露出し、外部のガス供給装置(図示略)に接続されている。すなわち、外部のガス供給装置から反応ガスが供給されることで一対の電極354,355の間に挟まれた基板9の上面にプラズマガスが放射される構成となっている。
上部電極管357の本体部351から露出した端部は、導電配線381を介してアース382に接続され、接地されている。
本体部351の下側には、排気部362が設けられている。この排気部362は、例えば本体部351内を不活性ガス雰囲気にする場合に、本体部351内の気体を真空排気するための開口部として用いられる。
本例では、薄膜形成領域の中央部Hに位置する部分の一対の電極354,355の間の距離LHを、薄膜形成領域の外周部Lに位置する部分の距離LLよりも小さくしているので、薄膜形成領域Sの中央部と外周部の液状体101に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。従って、薄膜形成領域の中央部Hと薄膜形成領域の外周部Lとの間の乾燥ムラをより防ぐことができる。
(表面処理装置の例2)
図7は本製造方法に用いたスポット照射型プラズマ装置300の他の表面処理装置の第2例のヘッドオン型UVオゾン装置400の概略構成断面図である。ヘッドオン型UVオゾン装置400は、波長172nmのUV光を発生するエキシマランプ401と、変圧器411を収容したトランス部402と、を備え、エキシマランプ401の点灯用の回路や点灯、消灯を制御する回路を収めた点灯電源(図示略)に接続される構成となっている。ヘッドオン型UVオゾン装置400としては、例えばウシオ電機社製の型番UER20H−172Bが挙げられる。
図7は本製造方法に用いたスポット照射型プラズマ装置300の他の表面処理装置の第2例のヘッドオン型UVオゾン装置400の概略構成断面図である。ヘッドオン型UVオゾン装置400は、波長172nmのUV光を発生するエキシマランプ401と、変圧器411を収容したトランス部402と、を備え、エキシマランプ401の点灯用の回路や点灯、消灯を制御する回路を収めた点灯電源(図示略)に接続される構成となっている。ヘッドオン型UVオゾン装置400としては、例えばウシオ電機社製の型番UER20H−172Bが挙げられる。
エキシマランプ401は、2本の径の異なる石英ガラス管405,406と、光取出し窓を有するフランジ403と、窒素ガス入口部431と、窒素ガス出口部432と、冷却水入口部441と、冷却水出口部443とを備えている。
2本の径の異なる石英ガラス管405,406は同軸状に配置され、その間にはArなどの放電ガス404が封入されている。内側の石英ガラス管406の内側には、半割りした円筒状の金属電極412,413が設けられている。また、外側の石英ガラス管405の外側には、半割りした円筒状の金属電極411,414が設けられている。内側の石英ガラス管406の内側に設けられた一方の金属電極412は、外側の石英ガラス管405の外側に設けられた一方の金属電極411と対向するようになっている。また、内側の石英ガラス管406の他方に設けられた金属電極413は、外側の石英ガラス管405の外側に設けられた他方の金属電極414と対向するようになっている。
これら2組の対向する金属電極411,412及び413,414の間に高周波高電圧が印加されると、内側の石英ガラス管406と外側の石英ガラス管406の間の半径方向に放電が発生する構造となっている。放電によりエネルギを得た放電ガス404の原子(励起原子)は他の原子と結合してエキシマ分子を生成する。このエキシマ分子が基底状態に遷移するときにUV光を発光し、フランジ403の光取出し窓から照射される。
窒素ガス入口部431は、フランジ403の近傍のエキシマランプ401の外壁部に設けられ窒素封入配管(図示略)に接続されている。窒素ガス出口部432は、トランス部402の近傍のエキシマランプ401の外壁部に設けられ窒素排出配管(図示略)に接続されている。窒素ガス入口部431からエキシマランプ401の内部に窒素ガスを流入し窒素ガス出口部432へ流出させる構造となっている。
冷却水入口部441は、フランジ403の近傍のエキシマランプ401の外壁部に設けられ冷却水注入配管(図示略)に接続されている。冷却水出口部443は、トランス部402の近傍のエキシマランプ401の外壁部に設けられ冷却水排出配管(図示略)に接続されている。冷却水を冷却水入口部441からエキシマランプ401の外壁部を囲んで設けられた水冷ジャケット442を経由して冷却水出口部443へ流出させて点灯中のエキシマランプ401の温度変化を抑える構造となっている。
トランス部402は、変圧器411を有し、変圧配管421を介して、内側の石英ガラス管406と外側の石英ガラス管406の間の空間に接続されている。すなわち、トランス部402は変圧配管421を介して、2組の対向する金属電極411,412及び413,414の間に高周波高電圧が印加される空間の圧力を制御するようになっている。
なお、ヘッドオン型UVオゾン装置400としてエキシマランプ401を用いる例を挙げているが、これに限らず、低圧水銀ランプも用いることができる。
本例では、基板9上の有機隔壁層22の所定領域に対して選択的に狙った部分にUV光を照射することができるので、薄膜形成領域Sの中央部と外周部の液状体101に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。従って、薄膜形成領域の中央部Hと薄膜形成領域の外周部Lとの間の乾燥ムラをより防ぐことができる。
(表面処理装置の例3)
図8は本製造方法に用いたスポット照射型プラズマ装置300の他の表面処理装置の第3例の低エネルギ電子線照射装置500の概略構成断面図である。低エネルギ電子線照射装置500は、低エネルギ電子線506の発生を制御する回路を収めた電源部501と、低エネルギ電子線506を発生する本体部502とを備えている。低エネルギ電子線照射装置500としては、例えば浜松ホトニクス社製のEB−ENGINE(登録商標)が挙げられる。
図8は本製造方法に用いたスポット照射型プラズマ装置300の他の表面処理装置の第3例の低エネルギ電子線照射装置500の概略構成断面図である。低エネルギ電子線照射装置500は、低エネルギ電子線506の発生を制御する回路を収めた電源部501と、低エネルギ電子線506を発生する本体部502とを備えている。低エネルギ電子線照射装置500としては、例えば浜松ホトニクス社製のEB−ENGINE(登録商標)が挙げられる。
本体部502は、低エネルギ電子線506を発射する電子銃505と、低エネルギ電子線506の出射窓を有するフランジ503と、本体部502の内部の真空排気や窒素ガス封入を兼ねる排気系504とを備えている。
電子銃505は、電源部501に接する位置に設けられている。電子銃505から発射された熱電子は高電圧(加速電圧60kV、電子数2mA)で加速され、フランジ503の出射窓から低エネルギ電子線506が射出される構造となっている。フランジ503の出射窓としては、例えば透過性の良い軽元素であるベリリウム箔を用いることができる。
排気系501は、電源部501の近傍の本体部502の外壁部に区画領域を有しており、真空ポンプ等の真空排気装置(図示略)や窒素ガス封入装置(図示略)に接続されるようになっている。
低エネルギ電子線506を披照射体(有機隔壁層22の側壁部の表面)に照射することにより、酸素原子を含む官能基が生成され被照射体に親水性が付与されることから、隔壁20の区画領域に吐出される液状体101との親和性を大きく高めることができ、被照射対の液状体101に対する濡れ性が向上する。
本例では、基板9上の有機隔壁層22の所定領域に対して低エネルギ電子線506を打ち込んで表面改質をするので、薄膜形成領域の中央部Hと薄膜形成領域の外周部Lに位置する隔壁20に対してダメージを与えることなく、薄膜形成領域Sの中央部と外周部の液状体101に対する濡れ性を確実に異ならせることができる。
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器について、携帯電話を例に挙げて説明する。図9は、携帯電話600の全体構成を示す斜視図である。携帯電話600は、筺体601、複数の操作ボタンが設けられた操作部602、画像や動画、文字等を表示する表示部603を有する。表示部603には、本発明に係る有機EL装置1が搭載される。
このように、本発明の薄膜形成方法によって薄膜を形成された有機EL装置1を備えているので、表示ムラの少ない高信頼性かつ高性能な電子機器(携帯電話)600を得ることができる。
次に、本発明に係る電子機器について、携帯電話を例に挙げて説明する。図9は、携帯電話600の全体構成を示す斜視図である。携帯電話600は、筺体601、複数の操作ボタンが設けられた操作部602、画像や動画、文字等を表示する表示部603を有する。表示部603には、本発明に係る有機EL装置1が搭載される。
このように、本発明の薄膜形成方法によって薄膜を形成された有機EL装置1を備えているので、表示ムラの少ない高信頼性かつ高性能な電子機器(携帯電話)600を得ることができる。
なお、電子機器としては、上記携帯電話600以外にも、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)、およびエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、あるいは投射型液晶表示装置、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルなどを挙げることができる。
1…有機EL装置(デバイス)、5…有機EL素子、9…基板、10…有機層(薄膜)、11…第1電極、12…第2電極、15…発光層、20…隔壁、22…有機隔壁層、101…液状体、300…スポット照射型プラズマ装置、354…上部電極(一対の電極)、355…下部電極(一対の電極)、350…平行平板型のプラズマ装置、400…ヘッドオン型UVオゾン装置、500…低エネルギ電子線照射装置、506…低エネルギ電子線、H…薄膜形成領域の中央部、L…薄膜形成領域の外周部、LH…下部電極と中央部電極の間の距離(一対の電極間の距離)、LL…下部電極と外周部電極の間の距離(一対の電極間の距離)、S…薄膜形成領域
Claims (8)
- 基板上に形成された隔壁によって区画された複数の区画領域に、薄膜形成材料を含む液状体を配置することにより薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
前記複数の区画領域に前記液状体を配置する前に、前記複数の区画領域によって構成される薄膜形成領域の中央部に位置する前記隔壁の前記液状体に対する濡れ性を、前記薄膜形成領域の外周部に位置する前記隔壁の前記液状体に対する濡れ性よりも向上させる表面処理を行うことを特徴とする薄膜形成方法。 - 前記隔壁は、有機材料で形成された有機隔壁層を含み、前記表面処理は、前記有機隔壁層の表面を酸素プラズマ処理、ヘリウムプラズマ処理、アルゴンプラズマ処理若しくは窒素プラズマ処理することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
- 前記表面処理は、プラズマガスを前記基板上の所定領域にスポット的に照射可能なスポット照射型プラズマ装置を用いて、前記薄膜形成領域の中央部に位置する前記隔壁に対して選択的にプラズマガスを照射することにより行われることを特徴とする請求項2に記載の薄膜形成方法。
- 前記表面処理は、前記基板を挟持する一対の電極を有し、前記一対の電極の間に発生するプラズマガスにより前記基板の表面を処理する平行平板型のプラズマ装置を用いて行われ、前記プラズマ装置は、前記一対の電極の間の距離が、前記薄膜形成領域の中央部に位置する部分が前記薄膜形成領域の外周部に位置する部分よりも小さくなっており、これにより、前記薄膜形成領域の中央部に位置する前記隔壁に対するプラズマ強度を、前記薄膜形成領域の外周部に位置する前記隔壁に対するプラズマ強度よりも向上させることを特徴とする請求項2に記載の薄膜形成方法。
- 前記隔壁は、有機材料で形成された有機隔壁層を含み、前記表面処理は、UV光を前記基板上の所定領域にスポット的に照射し、前記紫外線によって発生したオゾンを前記基板の所定領域にスポット的に供給可能なヘッドオン型UVオゾン装置を用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
- 前記隔壁は、有機材料で形成された有機隔壁層を含み、前記表面処理は、低エネルギ電子線を前記基板上の所定領域にスポット的に照射可能な低エネルギ電子線照射装置を用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により形成された薄膜を用いてデバイスを製造することを特徴とするデバイス製造方法。
- 基板上に形成された隔壁によって区画された複数の区画領域を有し、
前記複数の区画領域の各々には、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に狭持された発光層とを有する有機EL素子を有する有機EL装置であって、
前記複数の区画領域によって構成される薄膜形成領域の中央部に位置する前記隔壁の前記液状体に対する濡れ性は、前記薄膜形成領域の外周部に位置する前記隔壁の前記液状体に対する濡れ性よりも高いことを特徴とする有機EL装置。
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2008
- 2008-09-08 JP JP2008229470A patent/JP2010062111A/ja not_active Withdrawn
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