図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラー画像を形成可能であるカラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
画像形成装置100において、静電潜像及び現像されたトナー像を担持する像担持体として備えられている感光体は、可撓性のベルト状像担持体としての感光体ベルト20として構成されている。感光体ベルト20は、回動ローラ72、73、74間に架設され、図示しない回転駆動機構によって回転駆動される回動ローラ72の回転により、図中の反時計方向である矢印A方向に、線速Vp:180mm/秒で回動され、その表面が画像形成面となるように構成されている。感光体ベルト20は、帯電極性が負極性の有機感光体である。
画像形成装置100は、かかる感光体ベルト20、回動ローラ72、73、74の他、感光体ベルト20に静電潜像、トナー像を形成するための手段として、感光体ベルト1の表面を均一に帯電するための帯電手段たる帯電装置としての帯電チャージャ30K、30M、30C、30Yと、書込ユニットとしての書込装置31K、31M、31C、31Yと、現像手段としての現像装置たる現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yとを備えている。現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yは、フルカラー構成色である黒、マゼンタ、シアン、イエローの各色の、一成分系の現像剤であるトナーにより現像を行う。符号にK、M、C、Yの添字が付されている場合は、その符号が示す構成がそれぞれ黒、マゼンタ、シアン、イエローの各色用の構成であることを意味する。
画像形成装置100はまた、感光体ベルト20を挟んで現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yに対向する位置に配置され回動ローラ72、73、74とともに感光体ベルト20の裏面に当接配置された対向ローラ32K、32M、32C、32Yと、感光体ベルト20を挟んで回動ローラ72に対向する位置に配置され感光体ベルト20上に担持されたトナー像を記録媒体である転写材たる転写紙Sに転写するための転写ローラ33と、転写ローラ33に接続された図示しない電圧印加手段とを有している。
画像形成装置100はまた、感光体ベルト20と転写ローラ33との間に向けて搬送される転写紙Sを積載した給紙ユニットとしての給紙装置であるシート給送装置61と、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるための定着ユニットとしての定着装置6と、感光体ベルト20を挟んで回動ローラ74に対向する位置に配置され感光体ベルト20に担持されたトナー像を検知するPセンサ34と、画像形成装置100全体の動作を制御する制御手段35と、画像形成装置100の状態等を表示する液晶表示パネル等によって構成された図示しない表示手段とを有している。
このような構成の画像形成装置100は、いわゆる1パスカラータイプの画像形成装置であって、感光体ベルト20がA方向に移動するときに、順次、黒、マゼンタ、シアン、イエローのトナー像が感光体ベルト20上に重ねていくように形成される。転写ローラ33には電圧印加手段による電圧印加が行われることで、シート給送装置61から給送された転写紙Sに、感光体ベルト20上に担持されたトナー像を一括して転写する。転写紙Sはトナー像を転写され担持すると定着装置6に進入し、定着装置6によってトナー像を固定されてから画像形成装置100の外部上方に排出される。
かかる画像形成を行うため、書込装置31K、31M、31C、31Yはそれぞれ、帯電チャージャ30K、30M、30C、30Yによる帯電領域と、現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yによる現像領域との間の領域に、画像情報に応じて光変調された、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の各色のトナー像に対応したレーザー光LK、LM、LC、LYを照射して帯電チャージャ30K、30M、30C、30Yにより帯電された後の感光体ベルト20の表面を露光して除電し、現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yによって黒、マゼンタ、シアン、イエローの各色のトナー像として可視像化される静電潜像を形成するようになっている。
書込装置31K、31M、31C、31Yによる感光体ベルト20への書込みは、感光体ベルト20がA方向に移動する過程において、各色のトナー像が、感光体ベルト20の同じ位置に重ねて形成されるよう、A方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。なお書込装置31K、31M、31C、31Yは、ポリゴンを用いるタイプであってもよいし、LEDアレイを用いるタイプなど、種々のタイプのものを使用可能である。
帯電チャージャ30K、30M、30C、30Yはそれぞれ、コロナ帯電方式を採用している。コロナ帯電方式のごとく非接触の方式を採用していることで、A方向上流側で形成されたトナー像を乱すことなく感光体ベルト20を帯電させることに寄与している。帯電チャージャ30M、30C、30Yは、すでに感光体ベルト20上にトナー像が形成されている場合でも、トナー像を含め感光体ベルト20表面を一様に帯電させる。
シート給送装置61は、多数枚の転写紙Sを積載可能な給紙カセット61aと、給紙カセット61aに積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ61bとを有している。給送ローラ61bは、反時計方向に回転駆動されることにより、給紙カセット61aに積載されている転写紙Sのうち最上位の転写紙Sを転写ローラ33に向けて給送する。給送ローラ61bの回転駆動のタイミングは、感光体ベルト20に担持されたトナー像が転写ローラ33に対向する位置に到達するタイミングと、転写紙Sが転写ローラ33の位置に到達するタイミングとが同期するタイミングとされている。
定着装置6は、内部に図示しない熱源を有する加熱ローラ6aと、加熱ローラ6aに圧接された加圧ローラ6bとを有しており、トナー像を担持した転写紙Sがトナー像とともに加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの間に挟まれ圧力を受けつつ加熱されることで、転写紙Sにトナー像が固定され可視像が形成される。
対向ローラ32K、32M、32C、32Yはそれぞれ、図示を省略するが、芯金とこの芯金を被覆する導電性弾性層とを有している。導電性弾性層は、ポリウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)等の弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ等の導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を106〜1010Ω・cmの中抵抗に調整した弾性体である。対向ローラ32K、32M、32C、32Yはそれぞれ、現像カートリッジ50K、50M、50C、50Y側のトナーを感光体ベルト20側に転写させる転写ローラとして機能する。
Pセンサ34は、上述のようにして画像形成を行う通常の画像形成モードとは別に画像形成装置100に備えられた、各色トナー像の色ずれやトナー濃度の調整を行なうモードであるプロセス調整モードにおいて機能するものである。Pセンサ34は、プロセス調整モードにおいて現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yにより感光体ベルト20上に形成された所定パターンのトナー像を検出する。この検出結果に基づいて書込タイミングや現像バイアスの変更などが行なわれ、最適なカラー画像が得られる状態に調整される。感光体ベルト20上のトナーパターンは対向ローラ32K、32M、32C、32Yに印加されたバイアスによって帯電極性を整えられ、対向ローラ32K、32M、32C、32Yに印加された電圧によって現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yに回収される。この点、現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yは感光体ベルト20をクリーニングするクリーニング手段として機能する。
なお本形態の画像形成装置100では感光体ベルト20表面の転写残トナー粒子等を回収するためのクリーニング部材は設けていない。転写残トナー粒子等は対向ローラ32K、32M、32C、32Yによって帯電され、やがて転写紙Sに転写されて感光体ベルト20上から除去される。転写残トナー粒子が転写紙Sに転写されると多少の画像の乱れが生じるが、わずかの乱れであれば視覚的に認識されない。
制御手段35は、図示しないCPUと、図示しないROM、RAM等の記憶手段等とを備え、現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yの駆動制御など、画像形成装置100の動作全般を制御するようになっている。
現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yについて説明する。現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yは互いに構成、動作等において同一であるため、以下の現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yの説明では、符号におけるK、M、C、Yの添字を省略し、現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yについての共通の説明とする。
図2に示すように、現像カートリッジ50は、感光体ベルト20に対向する部分に開口部を有し奥側がトナーを収容したトナー格納部として機能する現像ケース55と、かかる開口部から感光体ベルト20に臨むよう感光体ベルト20に近接対向して配設されトナーをクラウド状態で担持可能なトナー担持体としての現像ローラ51と、現像ローラ51上にトナー薄層を形成するためにトナー層を規制するトナー規制部材52とを有している。
現像カートリッジ50はまた、現像ローラ51が感光体ベルト20に対向する現像領域と反対側において現像ローラ51に対向配置され現像ローラ51にトナーを供給するための供給手段としての供給ローラ53と、現像カートリッジ50内の現像剤を攪拌しながら供給ローラ53に汲み上げるためのトナー攪拌手段としてのパドル54とを有している。
現像カートリッジ50はまた、現像ローラ51に対向配置され現像ローラ51に担持されたクラウド状態のトナーのクラウド度を検知するトナークラウド度検知部としてのトナークラウド度検知装置56と、現像ローラ51に担持されたトナーをクラウド化するためのトナークラウド化手段57と、制御手段35の機能の一部として備えられトナークラウド化手段57の出力を変化させて現像ローラ51に担持されたトナーのクラウド度を制御するトナークラウド度制御手段58とを有している。
現像カートリッジ50はまた、トナークラウド度検知装置56とトナークラウド度制御手段58とを備えトナークラウド度検知装置56によって検知されたクラウド度に基づいてトナークラウド化手段57の出力を変化させ現像ローラ51にクラウド状態で担持されたトナーのクラウド度を制御するトナークラウド度制御装置59と、現像ローラ51と対向ローラ32K、32M、32C、32Yとの間に直流成分の現像バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段とを有している。
現像ローラ51は、クラウド状態のトナーを担持して感光体ベルト20に供給するための部材であって、感光体ベルト20との対向領域である現像領域において感光体ベルト20と50〜1000μm、好ましくは150〜400μmの間隙を空けて非接触に対向している。現像ローラ51は、図示しないトナー担持体駆動機構としての回転駆動機構により、図中時計方向、すなわち感光体ベルト20との対向領域において感光体ベルト20と逆方向のB方向に移動するように回転駆動される。現像ローラ51のその余の詳細については後述する。
トナー規制部材52は、B方向における現像ローラ51と供給ローラ53との対向領域の下流側、且つ現像ローラ51と感光体ベルト20との対向領域である現像領域の上流側において、トナーを介して現像ローラ51に圧接するように配設されており、一定量のトナーを現像ローラ51上に薄層状とするようになっている。トナー規制部材52により、トナーは、トナー規制部材52との摩擦及び現像ローラ51との摩擦によって帯電される。トナー規制部材52は本形態においてブレード状をなしているが、ローラ状をなしていても良い。
供給ローラ53は、図示しない供給手段駆動機構としての回転駆動機構により、図中時計方向、すなわち現像ローラ51との対向領域において現像ローラ51と逆方向のC方向に移動するように回転駆動される。
トナークラウド度検知装置56は、B方向における現像ローラ51に対するトナー規制部材52の当接位置の下流側、且つ現像ローラ51と感光体ベルト20との対向領域である現像領域の上流側において、現像ローラ51に対向するように配設されている。この位置ではクラウド状態が安定しているため、クラウド度の検知精度が良好である。トナークラウド度検知装置56のその余の詳細については後述する。
バイアス印加手段は図示しない電源を有しており、現像ローラ51に担持されたクラウド上のトナーが感光体ベルト20に付着して現像を行うのに適したバイアスを設定するようになっている。本形態においては、バイアス印加手段は直流成分の現像バイアスを印加しているが、現像バイアスは、交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
トナーは、バインダー樹脂としてスチレン系またはアクリル系の重合性単量体を重合開始剤と共に水中に分散させた状態でラジカル重合させたもの、あるいはポリエステル系樹脂を水中に分散させ重付加反応により高分子化させたものに、着色剤、帯電制御剤などを加えて造粒することにより得られた、重量平均粒径約5μmの非磁性トナー粒子である。
図3ないし図6の少なくとも1つに示すように、現像ローラ51は、円柱状の支持基材81と、支持基材81上にB方向に沿って所定の間隔で配置された複数の電極82と、支持基材81及び電極82を多い現像ローラ51の表面を構成する表面保護層としての保護層83と、現像ローラ51の回転中心をなしフランジ形状部84cを有する軸84とを有している。
なお図3において白抜きの丸はトナー粒子を示しており、実際には現像ローラ51の表面に、同表面から略離れたクラウド状態で担持されている(図10においても同じ)。また現像ローラ51に関して、図4においては保護層83及びフランジ形状部84cの図示を省略しており、図5においては保護層83の図示を省略しており、図6においては電極82及び保護層83の図示を省略している。
支持基材81は、ガラス基材、樹脂基材或いはセラミックス基材等の絶縁性材料からなる基材、または、SUS、アルミなどの導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの、またはポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなる基材などによって構成される。
軸84は、支持基材81の各端部に位置する金属製で導電性の電極軸84a、84bからなっている。フランジ部84cは支持基材81の径と略同径であり、電極82に対するベタ電極を構成している。電極軸84a、84bはフランジ部84cが支持基材81の端面に当接するまで支持基材81の両端の中心部に形成された軸孔に圧入されることで、支持基材81に固定され一体化されている。電極軸84a、84bは、図示しない電極ブラシを介して電源85に電気的に接続されている。電源85は、回路的には、電極軸84aに接続された電源85aと、電極軸84bに接続された電源85bとを有している。
電極82は、支持基材81上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜10μm厚、好ましくは0.5〜2.0μmで成膜し、これを、フォトリソグラフ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。これら、複数の電極82の幅はトナーの平均粒径の1倍以上20倍以下としている。電極82は、互い違いに櫛歯状に形成された対をなす電極82a、82bによって構成されている。電極82a、82bはそれぞれ、電極軸84aのフランジ部84cによって構成されたベタ電極、電極軸84bのフランジ部84cによって構成されたベタ電極に対して配線され電気的に接続されている。よって電極82a、82bはそれぞれ、電源85a、85bから電力供給を受ける。
保護層83は、無機または有機の絶縁性材料で構成され、例えばポリカーボネート樹脂、SiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5などを厚さ0.5〜10μm、好ましくは厚さ0.5〜3μmで成膜して形成している。これにより、隣り合う電極82a、82bの間は絶縁されている。保護層83は後述する理由により、現像ローラ51、現像カートリッジ50、画像形成装置100の標準的な使用環境における性能値として体積抵抗率が109〜1012[Ω/cm]とされている。
図7に示すように、電源85a、85bはそれぞれ、矩形波を示すa相、b相の電圧を印加する。a相、b相の電圧はともに、ピークツーピークの電圧値Vppが200V〜1000V、周波数fが0.1〜5kHzであるが、位相がπだけずれて印加され、逆位相となっている。a相、b相の電圧の中心値V0は画像部電位と非画像部電位の間で現像条件によって変動させている。a相とb相とのかかる位相差によって、a相とb相との間には常にVppだけの電位差である印加振動電圧が生じている。この電位差によって互い違いに配置された電極82a、82b間にフレア電界といわれる電界が発生し、この電界に応じてトナーが電極82a、82b間をホッピングする。このホッピングによってトナーが現像ローラ51表面から引き離されクラウド状態となる。
この点、トナークラウド化手段57は、電源85と、電極82と、軸84とを有する構成となっている。トナーは、トナー規制部材52によって薄層状に規制され帯電するとともにトナークラウド化手段57によってクラウド状態とされ現像ローラ51のB方向の回転によって現像ローラ51と感光体ベルト20との間の現像領域に運ばれ、現像に用いられる。
電源85の動作言い換えるとa相、b相として印加される電圧のタイミング、大きさ、位相等はトナークラウド度制御手段58によって制御されるようになっており、これによってトナークラウド化手段57の出力が変化されて現像ローラ51に担持されたトナーのクラウド度が制御される。なお、a相、b相の電圧は矩形波であって電圧の切り替わりが瞬時に起き、トナーのホッピング、クラウド化には適しているが、この波形はサイン波でも三角波でもよい。
保護層83の体積抵抗率を109〜1012[Ω/cm]とした理由は次のとおりである。
図8に示すように保護層83の体積抵抗率を変化させてフレア活性率を調べた。ここで、フレア活性率とは、保護層83表面において電極82a、82b間をホッピングしているトナーと、ホッピングしないで保護層83表層に付着しているトナーとの割合である。フレア活性率が高いほどトナーは活発にホッピングしていることになる。保護層83は厚み約5[μm]とし、その体積抵抗率はポリカーボネート樹脂にカーボン微粒子の量を調整しながら分散させて106〜1014の間で設定した。電極82a、82b間のピッチは50[μm]とした。同図から、フレア活性率を略100%とするには、保護層83の体積抵抗率を109〜1012(10^9〜10^12)[Ω・cm]の範囲とすることが適正であることが分かる。
これは、体積抵抗率が非常に高いと、飛翔を繰り返すトナーと保護層83との摩擦によって保護層83の表面すなわち現像ローラ51の表面が帯電したままになってしまいホッピングが生じにくくなり、逆に、体積低効率が低く導電性が高いと、電極82aと電極82bとの間で電荷のリークすなわちショートが発生してしまうために、効率的なバイアス効果が得られなくなってホッピングが生じにくくなるからである。このことから、保護層83は、その表面に蓄積した電荷が保護層83を通じて電極82a、82bにうまく逃げられるように、適当な抵抗率すなわち体積抵抗率で109〜1012[Ω・cm]となっている必要があることが分かる。なお、トナーは、通常は正規の帯電極性に帯電するが、逆の極性に帯電することもある。逆の極性に帯電した逆帯電トナーの帯電量は正規の帯電極性に帯電した場合の帯電量よりも小さく、この程度の帯電量は保護層83を通じて電極82によって除電される。このように、保護層83、電極82には逆帯電トナーの帯電を解消する逆帯電トナー解消手段としての機能も有し、これにより、現像性能が向上する利点がある。
ただし、保護層83が、特にポリカーボネート樹脂のように、高分子絶縁性材料によって形成されている場合には、空気中の湿気を吸湿することによって、そのインピーダンスが変化し、図9に示すように、保護層83の体積抵抗率は低湿になるほど高くなる態様で変化してしまう。同図から、かりに相対湿度の調整によって体積抵抗率を109〜1012(10^9〜10^12)[Ω・cm]の範囲に保つとすれば、相対湿度を30%RHより大きく、かつ80%RHより小さくするする必要があることが分かる。低湿で体積抵抗率が高くなると保護層83の表面に電荷が蓄積してトナーとの付着力が強くなってホッピングしなくなり、高湿で体積抵抗が低くなると保護層83の表面から電荷が流れて電界が弱くなるためホッピングしなくなるためである。
このように、保護層83の体積抵抗率はその使用環境に左右されるとともに、フレア活性率を左右するものである。また、フレア活性率は、保護層83表面において電極82a、82b間をホッピングしているトナーと、ホッピングしないで保護層83表層に付着しているトナーとの割合であるため、保護層83表面、言い換えると現像ローラ51に担持されたトナーのクラウド度を示す指標となる。現像ローラ51に担持されたトナーのクラウド度は、これが高いほど、トナーが感光体ベルト20側に移行しやすく供給されやすいことを示すものであり、現像性能に直結するものであるため、クラウド度を検知することは良好な現像を行う上で重要である。そのため、トナークラウド度検知装置56が現像カートリッジ50に備えられている。
図10に示すように、トナークラウド度検知装置56は、現像ローラ51の表面、言い換えると保護層83の表面の状態を光学的に検知することで現像ローラ51に担持されたトナーのクラウド度を検知するクラウド度検知手段としての正反射型光学センサ部であるセンサ部86と、センサ部86によって光学的に検知される現像ローラ51表面に向けて流体である気体としての空気を噴出する流体噴出手段としてのエアブローノズル部であるノズル部87とを有している。
センサ部86は、レーザー光を照射する光源である発光部としてのレーザーセンサー発光部86aと、レーザーセンサー発光部86aから照射されたレーザー光の反射光を受光する受光部としてのレーザーセンサー受光部86bとを有している。
レーザーセンサー発光部86aは、レーザー光を、現像ローラ51表面であってノズル部87によって空気が吹き付けられる位置に向けて照射する。
レーザーセンサー受光部86bは現像ローラ51の表面及びトナーによって反射されたレーザー光の強度に応じた信号をトナークラウド度制御手段58に向けて出力する。
なおセンサ部86では感度が高いレーザー光を用いているが、光源としてはLEDなどを用いても良い。
ノズル部87は、空気を噴出するノズル口の内径が1mmのノズル87aと、ノズル87aに接続され所定の圧力、本形態では200Paの圧力でノズル口から空気を噴出すための流体供給手段としての図示しないエアーコンプレッサーとを有している。ノズル87aは、ノズル口を、現像ローラ51表面からhの高さ、具体的には2mmの距離となるように設置されているとともに、レーザー光が反射される部分に向けて設置してある。
同図又は図11に示すように、ノズル部87が空気を吹き付けることにより、トナー規制部材52によって量が一定化されクラウド状態とされた現像ローラ51表面上のトナーが空気の圧力によって吹き飛ばされ、現像ローラ51表面が露出したスポット51aが形成される。図11においてスポット51aの周囲の黒塗りの部分はクラウド状態のトナーを担持した現像ローラ51表面を示している。
フレア活性率が高くクラウド度が高い場合には、トナーは現像ローラ51への付着力が小さく吹き飛びやすいので、同11(a)に示すようにスポット51aの径φは大きくなり、フレア活性率が低くクラウド度が低い場合には、トナーは現像ローラ51への付着力が大きく吹き飛びにくいので、同図(b)に示すようにスポット51aの径φは小さくなる。レーザー光の照射領域52bにおいて、スポット51a外側ではクラウド状態のトナーによってレーザー光の反射率が低下することから、径φが大きい場合はこれが小さい場合に比べて、レーザーセンサー発光部86aから照射されたレーザー光の反射率は高く、レーザーセンサー受光部86bに入力するレーザー光の強度も大きい。なお、ノズル87aの口径が1mmであることから、径φの最大値は1mm程度であり、フレア活性率が100%に近づくほど径φも最大値に近づく。
クラウド度の測定に際して、スポット51aの形成のためには、5秒以下の短時間でエアーブローを行えば充分である。スポット51aの形成による現像への影響はない。エアーブローを止めれば、スポット51aが形成された部分はすぐにフレア電界によりクラウド状態に戻るためである。
クラウド度の測定には、ノズル部87は必須ではないが、これを配した方が、クラウド度の検知精度が向上する。ノズル部87を作動させる場合の、レーザーセンサー受光部86bにおける検知信号の波形を、図12に示す。同図の例では、上述の電圧値Vppが250Vではフレア活性率を示すレベルの信号が得られず、同電圧値Vppが500Vではフレア活性率が約90%である旨の信号が検出されている。ノズル部87を作動させているため、同電圧値Vppを500Vとした場合に検出される信号のレベルが大きくなってフレア活性率言い換えるとクラウド度の測定が実効ある程度に行われている。これに対しノズル部87を作動させない場合には、同電圧値Vppを500Vとした場合に検出される信号のレベルは低下し、クラウド度の検知精度は低下した。
トナークラウド度制御手段58は、クラウド度の測定レベルが充分に得られるように、かかる電圧値Vppの大きさを制御する。
また、トナークラウド度制御手段58は、良好な現像を行うために、レーザーセンサー受光部86bからの入力信号が、フレア活性率にして70%以上100%以下となるように、クラウド度を制御する。具体的には、トナークラウド度検知装置56によって得られるかかる入力信号をクラウド度に等価のフレア活性率として検知し、この値に基づいて、トナークラウド化手段57の出力、具体的には電源85の出力を変化させ電圧値Vppの大きさを制御してフレア電界を制御することで、フレア活性率を70%以上100%以下の範囲となるように制御してクラウド度を制御する。フレア活性率で70%以上100%以下の範囲となるクラウド度は、良好な現像を行うのに必要十分な値である。ただし、この上限値、下限値はこれらの値に限定されるものではない。
図13に、かかるトナークラウド制御手段58の制御例を示す。同図において、Fsはフレア活性率によるレーザーセンサー受光部86bからの入力値である検知フレア活性率、FHはかかる上限値である許容最高フレア活性率、FLはかかる下限値である許容最低フレア活性率を示している。すなわち、同図に示す例では、FL≦Fs≦FHとなるように制御を行う。許容最高フレア活性率FH、許容最低フレア活性率FLの値はトナークラウド制御手段58として機能する制御手段35の記憶手段としてのROMに記憶されている。
同図に示した制御について説明する。同図に示した例では、印加振動電圧である電圧値Vppの初期値を、現像ローラ51、現像カートリッジ50、画像形成装置100の標準的な使用環境でフレア活性率が70%以上100%以下の範囲となるようにVsppとし、これを制御手段35のROMに記憶している。また同ROMには、検知フレア活性率FsがFL≦Fs≦FHを満たさない場合に電圧値Vppを調整するための調整電圧値Vpと、電圧値Vppが電極82の耐圧を考慮して定められる許容範囲を超える異常状態に達したことを示す値としての異常電圧値Vhppとが記憶されている。なお、本形態においては、現像ローラ51、現像カートリッジ50、画像形成装置100の標準的な使用環境を23℃50%Rhとし、この状態における許容最高フレア活性率FH、許容最低フレア活性率FLをそれぞれ70%、100%とするとともに、初期値Vsppを、フレア活性率100%を得る値として600Vとし、また異常電圧値Vhppを700Vとしている。
同図に示した制御は、ユーザによる画像形成開始指示が行われたことなどをトリガーとして開始される。制御が開始されると、初期値Vsppを用いて、現像ローラ51上におけるトナーのクラウド度をトナークラウド度検知装置56で検知フレア活性率Fsとして検知する(S1)とともに、制御手段35のROMから許容最高フレア活性率FH、許容最低フレア活性率FLを読み出し(S2)、検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FLより小さいか否かを判断する(S3)。検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FLより小さい場合には、同ROMから読み出した調整値Vpを同ROMから読み出した初期値Vsppに加算して(S4)、この加算の結果として得られる電圧値Vppが同ROMから読み出した異常電圧値Vhppより小さいか否かを判断する(S5)。電圧値Vppが異常電圧値Vhppより小さくない場合すなわち電圧値Vppが異常電圧値Vhpp以上となった場合には表示手段にその旨を表示する(S6)。電圧値Vppが異常電圧値Vhppより小さい場合にはこの電圧値Vppを用いてトナークラウド度検知装置56で検知フレア活性率Fsを検知し(S7)、検知された検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FL以上であるか否かを判断する(S8)。検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FL以上である場合にはクラウド度が良好な状態に制御されたこととなり、制御を終了する。検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FL以上でない場合、すなわち検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FLを下回っている場合には、ステップS4に戻り、調整値Vpを電圧値Vppに加算し、検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FL以上となるまで、同様のステップS4、S5、S7、S8を繰り返し、又はステップS6を行う。
ステップS3において検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FLより小さくないと判断された場合すなわち検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FL以上であると判断された場合には、検知フレア活性率Fsが許容最高フレア活性率FHを超えているか否かを判断する(S9)。検知フレア活性率Fsが許容最高フレア活性率FHを超えていない場合すなわち検知フレア活性率Fsが許容最高フレア活性率FH以下である場合にはクラウド度が良好な状態にあることが検知されたこととなり、制御を終了する。検知フレア活性率Fsが許容最高フレア活性率FHを超えている場合には、同ROMから読み出した調整値Vpを同ROMから読み出した初期値Vsppから減算して(S10)、この減算の結果として得られる電圧値Vppを用いてトナークラウド度検知装置56で検知フレア活性率Fsを検知し(S11)、検知された検知フレア活性率Fsが許容最高フレア活性率FH以下であるか否かを判断する(S12)。検知フレア活性率Fsが許容最低フレア活性率FL以下である場合にはクラウド度が良好な状態に制御されたこととなり、制御を終了する。検知フレア活性率Fsが許容最高フレア活性率FH以下でない場合、すなわち検知フレア活性率Fsが許容最高フレア活性率FHを超えている場合には、ステップS10に戻り、調整値Vpを電圧値Vppから減算し、検知フレア活性率Fsが許容最高フレア活性率FH以下となるまで、同様のステップS10、S11、S12を繰り返す。
画像形成装置100、これを構成する現像装置50、トナークラウド度制御装置59等は以上のような構成であるとともに、トナークラウド度制御方法、これを用いた現像方法、これらを用いた画像形成方法は以上述べたとおりであり、またこれらの方法は、これらの方法を実現し、また上述の各ステップを含むトナークラウド度制御プログラム、現像プログラム、画像形成プログラムの実行によって作用し所期の機能を発揮する。これらのプログラムは、コンピュータによって読み取り可能に記録されている外部の記録媒体から、制御手段35のROMに導入され記憶されているものである。これらのプログラムの実行に必要な各種データも同様である。
これらのプログラム及び各種データを制御手段35のROMに導入するためにこれらを記録された記録媒体は、CD−ROM、DVD−ROM、FD、USBメモリのように持ち運び可能なメディアの他、LAN、インターネット等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに内蔵ないし接続されたHD等の記憶装置など、かかるプログラム及び各種データを必要な期間記憶して保持しておくことが可能なものであればどのようなものでも良い。かかるプログラム及び各種データは制御手段35のROMでなく制御手段35のRAM等の他の媒体に記憶されていてもよく、この場合にはその媒体が記録媒体となる。
以上のような構成の画像形成装置100においては、すでに述べたように、現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yが、クリーニング手段としても機能することから、現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yはプロセスカートリッジとなっている。図14に示すように、画像形成装置100は、回動ローラ74を中心として、回動ローラ72、73、感光体ベルト20、転写ローラ33、対向ローラ32K、32M、32C、32Yが、現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yから離間する態様で回動可能となっている。かかる回動は、画像形成装置100の図示しない筐体の一部を開いた状態で行われ、この回動が行われると現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yが画像形成装置100外部に向けて露出するようになっている。プロセスカートリッジとしての現像カートリッジ50K、50M、50C、50Yはかかる回動が行われた図14に示した状態で画像形成装置100に着脱可能となっており、同図に示されているように、画像形成装置100内部に装着された状態から画像形成100の外部に取り出し可能となっている。かかる着脱はユーザでも容易に行うことが可能となっている。このように、プロセスカートリッジ化を行うことは、交換部品として取り扱うことを可能とし、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、トナークラウド検知装置は、トナーをクラウド状態で担持するトナー担持体に対して配設されれば良いので、現像剤は1成分現像剤でなく、2成分現像剤であってもよい。ただし、2成分現像剤を用いる場合には、トナー担持体に対して2成分現像剤のうちのトナーのみの供給を行ういわゆるハイブリッドタイプの現像を行うことを要し、かかる供給を行うトナー供給部材、トナー供給手段といわれるものを用いる。
なお、1成分現像剤を用いる現像装置は一般に小型軽量であるという利点、現像剤中のキャリヤによる画質低下や像担持体への負荷が生じることがないという利点等の種々の利点がある。2成分現像剤を用いるハイブリッドタイプの現像装置は一般に、高速現像に適し、電場に対するトナーの応答性が良好であり高解像度の微小ドットを均一に現像する性能が良好である、トナー劣化が抑制されるという、通常のタイプの現像装置と同様の種々の利点を備えつつ、キャリアが像担持体に付着することによる画質低下や像担持体への負荷が生じることが防止ないし抑制されるという利点、この利点を得るためのキャリア粒子の保持性向上の必要性が低下するという利点、転写効率やクリーニング効率を向上するための像担持体とトナーとの非静電的付着力の抑制を行うために像担持体の摩擦係数を抑制しても現像効率低下やドット再現性の低下が防止ないし抑制されるという利点といったハイブリッドタイプによる種々の利点がある。
クラウド度検知手段、クラウド度検知装置は光学的な方法以外の原理を用いてクラウド度を検知するものであっても良い。
流体噴出手段が噴出する流体は、空気でなく他の気体であっても良いし、可能であれば他の流体であっても良い。
トナー規制部材は、トナークラウド化手段等により、トナーの帯電量確保等、現像に必要な条件が満たされれば、省略可能である。
プロセスカートリッジは、少なくとも現像装置と、トナー担持体によってトナーを供給される像担持体、同像担持体を帯電させる帯電手段、同像担持体をクリーニングするクリーニング手段の少なくとも1つを含んでいれば良い。プロセスカートリッジを構成する現像装置以外の構成部品の選択は、像担持体、当該構成部品の寿命、コスト、プロセスカートリッジ化の構造上の容易性等を考慮して適宜行なわれるものである。
本発明は、いわゆる1パスカラータイプの画像形成装置に限らず、タンデム方式の画像形成装置にも同様に適用することができる。いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写ベルト、転写ドラム、中間転写ドラム等の有無を問わず、また各色のトナー像を転写紙等に直接転写する画像形成装置であっても良い。また、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置にも適用することができる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。