JP2010059515A - 耐食性に優れた自動車用熱交換器 - Google Patents

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【課題】純Alの皮材を有するチューブ材と当該皮材面にフィンを接合する熱交換器であって、ろうの流動によって純Al表面にAl−Si合金層が形成され、カソード反応が促進されることを抑制し、腐食速度の遅い犠牲防食層を備えた自動車用熱交換器を提供する。
【解決手段】Al合金からなる心材の少なくとも片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドしたAl合金チューブ材の当該皮材面に、Siを3〜8mass%含有したAl合金ろう材を心材にクラッドしたフィン材を接合した材料を用いてなる自動車用熱交換器。
【選択図】 なし

Description

本発明は腐食に対する耐久性に優れた熱交換器に関し、特に、カーエアコン用コンデンサ、エバポレータ、オイルクーラー、ラジエータ、インタークーラなどの自動車用途において有用な熱交換器に関する。
アルミニウム(Al)合金は軽量で熱伝導性に優れていること、適切な処理により高耐食性が実現できること、ならびに、ブレージングシートを利用したろう付けによって効率的な接合が可能であることから、自動車用などの熱交換器用材料として重用されてきた。しかし、近年、自動車の高性能化或いは環境対応として、より軽量で高耐久性を有するように熱交換器の性能向上が求められており、これに対応できるアルミニウム合金材料技術が要求されている。
例えば、カーエアコンのコンデンサやエバポレータに代表される熱交換器において、チューブ、外部フィンなどの薄肉化による軽量化がさらに進められ、また、防食効果の高いクロメートタイプの化成表面処理が環境面の規制により排除される傾向にある。さらに、融雪材の大量使用や大気汚染・酸性雨など腐食を促進する要因も高まっている。
このような自動車用熱交換器の一形態として、ろう材、心材、犠牲防食層をクラッドした3層ブレージングシートを成形加工したチューブと、単層の外部フィン材をコルゲート成形した外部フィンとを組み合わせ、ろう付け接合したものが現用されている。このチューブは冷媒などの流体を流通させる目的のものであるから、孔食によるリークが生じると熱交換器として使用するには致命傷となる。チューブの孔食を抑制する有力な防食手法としては、クラッド圧延等の方法でチューブ表面にAl−Zn層を形成することによって、Al−Zn層による犠牲防食効果による心材の防食方法が一般に採用されている。また、外部フィンに若干の犠牲効果を持たせるために、Zn等を外部フィン材に添加することもチューブの耐食性確保の目的で実施されている。
しかしながら、犠牲防食層としてAl−Zn合金を使用した場合には腐食による犠牲防食層の消費が速くなってしまう。そこで、犠牲防食層として純Alをクラッドし、犠牲防食層の消費を抑えるための手法が下記文献に記されている。
特許文献1では、Mn 0.2〜2mass%を含む、またはさらにMg 0.01〜2mass%、Cu 0.01〜0.5mass%のうちの1つ以上を含むAl合金を心材とし純度99.7mass%以上の高純Alを皮材としてなることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金合わせ材が記されている。
特許文献2では、Alからなる芯材の少なくとも一方の面に犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウムクラッド材であって、犠牲陽極材がAl純度99.9mass%以上の純Alからなることを特徴とする熱交換器用高耐食Alクラッド材が記されている。
上記2つの文献では、ろう付によりフィンと接合した場合について考慮されておらず、ろうの流動によって純Al層表面にAl−Si合金層が形成され、カソード反応を促進することで純Alの腐食速度が著しく増大してしまう問題がある。
特開昭56−44742号公報 特開2006−37135号公報
本発明の解決課題は、純Alの皮材を有するチューブ材と当該皮材面にフィン材を接合する熱交換器について、ろうの流動によって純Al表面にAl−Si合金層が形成され、カソード反応が促進されることを抑制し、腐食速度の遅い犠牲防食層を備えた自動車用熱交換器を提供することである。
本発明者らは、純Alの皮材を有するチューブ材と当該皮材面にフィン材を接合する熱交換器について、純Alの腐食速度を抑えるために、チューブ材の皮材の成分、フィン材のろう材成分ついて詳細に検討した結果、チューブ材の皮材のAl純度を99.5mass%以上とし、当該皮材面にSiを3〜8mass%含有したAl合金ろう材をクラッドしたフィン材をろう付接合させることで、純Al表面へのろうの流れを抑制することができ、純Al本来の遅い腐食速度を保つことができることを見出した。本発明は、この知見に基づきなすに至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)Al合金からなる心材の少なくとも片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドしたAl合金チューブ材の当該皮材面に、Siを3〜8mass%含有したAl合金ろう材を心材にクラッドしたフィン材を接合した材料を用いてなることを特徴とする自動車用熱交換器、
(2)Al合金からなる心材の片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドし、前記心材の皮材をクラッドした面とは反対の面にAl−Si合金ろう材をクラッドしたAl合金チューブ材の当該皮材面に、Siを3〜8mass%含有したAl合金ろう材を心材にクラッドしたフィン材を接合した材料を用いてなることを特徴とする自動車用熱交換器、
(3)Al合金からなる心材の少なくとも片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドしたAl合金チューブ材とともに自動車車用熱交換器に用いられる、Siを3〜8mass%含有したAl合金ろう材を心材にクラッドしたことを特徴とするフィン材、および、
(4)Siを3〜8mass%含有したAl合金ろう材を心材にクラッドしたフィン材とともに自動車車用熱交換器に用いられる、Al合金からなる心材の少なくとも片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドしたことを特徴とするAl合金チューブ材
を提供するものである。
本発明により、純Alの皮材を有するチューブ材と当該皮材面にフィン材を接合する熱交換器について、ろうの流動によって純Al表面にAl−Si合金層が形成され、カソード反応が促進されることを抑制し、腐食速度の遅い犠牲防食層を備えた自動車用熱交換器を提供できる。
本発明の自動車用熱交換器は、Al合金からなる心材の少なくとも片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドしたAl合金チューブ材の当該皮材面に、Siを3〜8mass%含有したAl合金ろう材を心材にクラッドしたフィン材を接合した材料を用いてなるものである。まず、本発明の自動車用熱交換器に用いられるAl合金チューブ材およびフィン材について説明する。
(Al合金チューブ材)
本発明に係る純AlをクラッドしたAl合金チューブ材は、心材の皮材をクラッドした面とは反対の面に純Alをクラッドしても良いし、Al−Si合金ろうをクラッドしても良い。また、成形等の加工を行い流路となるチューブ形状のチューブ材として使用することもできる。この場合、純Alからなる皮材を内面側として作製されたチューブ材とするものである。
本発明において、Al合金チューブ材の皮材のAl純度は99.5mass%以上とされる。Alに含まれる不純物元素は、金属間化合物として晶出・析出し、カソード反応を促進するためAlの腐食速度を増大させる。腐食を抑制するためにはAl純度を高めることが効果的であり、Al純度99.5mass%以上が必要である。Al純度は99.9mass%以上であることが好ましい。
本発明において、Al合金チューブ材の心材は、任意のAl合金から選択できるが、Si、Cu、Mnを所定量含み、必要に応じてFe、Tiをさらに含み、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金であることが好ましい。
Al合金チューブ材の心材のSiの含有量は0.1〜2.0mass%が望ましい。Siは、マトリックスに固溶したり、Al−Mn−Si系金属間化合物を生成することによって、ろう付後の強度を向上させる元素である。さらに、Siの添加は、芯材の電位を貴にして、芯材と犠牲陽極材の電位差を大きくする働きがあり、これにより外部耐食性が向上する。これらのSi添加の効果を得るためには、0.1mass%以上のSiの含有が望ましい。一方、過剰にSiが含有されれば、単独で晶出したSiにより耐食性を低下させるおそれがあると共に、合金の融点を低下させてろう付時に材料の溶融を招いてしまう。これら過剰なSiの含有による悪影響を回避するためには、Si量の上限は2.0mass%とするのが望ましい。Siの含有量は0.4〜1.5mass%がさらに好ましい。
本発明においてAl合金チューブ材の心材のFeの含有量は0.6mass%以下とするのが望ましい。Feは鋳造中にFe系金属間化合物として晶出し、耐食性を低下させるおそれがあるため、0.6mass%以下とするのが望ましく、0.2mass%以下がさらに好ましい。
本発明においてAl合金チューブ材の心材のCuの含有量は、0.1〜1.0mass%の成分範囲が望ましい。Cuは、Alの電位を貴にし、犠牲防食効果を高める働きがある。この効果を十分に得るためには、Cu量が0.1mass%以上であることが望ましい。一方、材料製造時の熱履歴およびろう付加熱によって、Al合金中にCu系金属間化合物として析出する。このCu系金属間化合物はカソード反応を促進させるため、犠牲材の腐食速度が増大する。したがって、Cu量の上限は1.0mass%とするのが望ましい。Cuの含有量は0.3〜0.8mass%がさらに好ましい。
本発明においてチューブ材の心材のMnの含有量は0.1〜2.0mass%が望ましい。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、ろう付加熱後の強度の向上に寄与し、強度を向上させる元素である。また、Al−Mn系金属間化合物は、Feを取り込むために、Feによる耐食性阻害効果を抑制する働きがある。これらの効果を得るためには、0.1mass%以上のMnを添加することが望ましい。但し、Mn量が2.0mass%を超えれば、巨大な金属間化合物が晶出し、製造性を阻害するおそれがあり、したがって、Mn量の上限は2.0mass%とするのが望ましい。Mnの含有量は0.8〜1.6mass%がさらに好ましい。
本発明においてチューブ材の心材のTiの含有量は0.05〜0.2mass%が望ましい。Tiは、耐食性、特に耐孔食性の向上に寄与する。すなわち、アルミニウム合金中に添加されたTiは、その濃度の高い領域と濃度の低い領域とに分かれ、それらが板厚方向に交互に積層状に分布する。そして、Ti濃度の低い領域がTi濃度の高い領域よりも優先的に腐食することにより、腐食形態が層状となり、その結果板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。このような耐孔食性向上の効果を十分に得るためには、Ti量が0.05mass%以上であることが望ましい。一方、Ti添加量が0.2mass%を超えれば、鋳造時に粗大な化合物が生成されて製造性を阻害するおそれがあり、したがって、Ti量の上限は0.2mass%とするのが望ましい。Tiの含有量は0.08〜0.18mass%がさらに好ましい。
本発明において、純Alをクラッドした面の反対側にAl−Si合金ろうをクラッドする場合は、ろう材のSiは3〜13.0mass%の成分範囲が望ましい。ろう材に含有されるSiは融点を低下させる作用を有し、良好なろう流れに寄与し、ろう付接合に優位に働く。融点低下の十分な低下を得るためには、6.5mass%以上のSiを添加することが望ましい、一方Si量が13.0mass%を越えると加工性の低下を招くため、Si量の上限は13.0mass%とするのが望ましい。さらに、必要に応じ、0.3mass%以下のFe、0.1mass%以下のCu、0.05〜2.0mass%のZn、0.01〜0.2mass%のIn、0.01〜0.2mass%のSnを添加しても良い。
(チューブ材の製造方法)
本発明に用いるチューブ材の製造方法については、通常の方法を採用することができ、特に限定されるものではないが、例えば次のようにすることが好ましい。
半連続鋳造により皮材、心材、ろう材の鋳塊をそれぞれ作製し、鋳塊の両面を面削して、3層を重ね合わせる。これに400〜550℃で1〜10時間の予備加熱を行い、熱間圧延により板厚を5mm程度まで減少させる。さらに、冷間圧延および300〜450℃で1〜10時間の最終焼鈍を行って、厚さ0.3mm程度のチューブ材とする。
皮材のクラッド率は3〜25%が好ましく、5〜20%がさらに好ましい。
ろう材のクラッド率は5〜20%が好ましく、8〜15%がさらに好ましい。
(フィン材)
本発明においてフィン材のろう材はSiを3〜8mass%含有し、残部がAlと不可避不純物からなるAl−Si合金からなる。ろう材に含有されるSiは融点を低下させる作用を有し、ろうが流れやすくなる。フィン材のろう材のSi含有量は通常8〜13mass%程度であるが、チューブ材皮材の純Al表面までろうが流れ耐食性を低下させるのを抑制するために、フィン材のろう材Si量を制限した。フィン材のろう材Si量が低い場合でも、ろう付加熱によってフィン材との接触している箇所のみで局所的にフィン材のろうが溶融し接合される。ろう付加熱によってフィン材とチューブ材をろう付接合するためには、3mass%以上のSiを添加する必要がある。一方Si量が8mass%を越えるとチューブ材皮材の純Al表面までろうが流れ耐食性を低下させるため、Siの上限を8mass%とした。Si含有量は4〜7mass%であることがさらに好ましい。さらに、必要に応じ、0.3mass%以下のFe、0.1mass%以下のCu、0.05〜2.0mass%のZn、0.01〜0.2mass%のIn、0.01〜0.2mass%のSnを添加しても良い。
本発明においてフィン材の心材は、Alまたは任意のAl合金から選択できるが、Cuの含有量は0.3mass%以下とするのが望ましい。Cuは、材料製造時の熱履歴およびろう付加熱によって、Al合金中にCu系金属間化合物として析出する。このCu系金属間化合物はカソード反応を促進させるため、フィン材の腐食速度が増大する。また、Cu添加はAl合金の自然電位を貴にする働きもあり、フィン材によるチューブの防食効果を減ずる。以上の理由から、本発明においてフィン材の心材のCuは0.3mass%以下に制限することが望ましく、0.1mass%以下とすることがさらに好ましい。
本発明においてフィン材の心材のSiの含有量は0.1〜2.0mass%が望ましい。Siは、マトリックスに固溶したり、Al−Mn−Si系金属間化合物を生成することによって、ろう付後の強度を向上させる元素である。さらに、Siの添加は、芯材の電位を貴にして、芯材と犠牲陽極材の電位差を大きくする働きがあり、これにより外部耐食性が向上する。これらのSi添加の効果を得るためには、0.1mass%以上のSiの含有が望ましい。一方、過剰にSiが含有されれば、単独で晶出したSiにより耐食性を低下させるおそれがあると共に、合金の融点を低下させてろう付時に材料の溶融を招いてしまう。これら過剰なSiの含有による悪影響を回避するためには、Si量の上限は2.0mass%とするのが望ましい。Siの含有量は0.3〜0.8mass%がさらに好ましい。
本発明においてフィン材の心材のFeの含有量は0.6mass%以下の成分範囲が望ましい。Feは鋳造中にFe系金属間化合物として晶出し、耐食性を低下させるおそれがあるため、0.6mass%以下とするのが望ましい。Feの含有量は0.3mass%以下がさらに好ましい。
本発明においてフィン材の心材のMnの含有量は0.1〜2.0mass%が望ましい。MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して、ろう付加熱後の強度の向上に寄与し、強度を向上させる元素である。また、Al−Mn系金属間化合物は、Feを取り込むために、Feによる耐食性阻害効果を抑制する働きがある。これらの効果を得るためには、0.1mass%以上のMnを添加することが望ましい。但し、Mn量が2.0wt%を超えれば、巨大な金属間化合物が晶出し、製造性を阻害するおそれがあり、したがって、Mn量の上限は2.0mass%とするのが望ましい。Mnの含有量は0.5〜1.5mass%がさらに好ましい。
本発明においてフィン材の心材のZnの含有量は0.5〜3.0mass%が望ましい。フィン材のZnは、フィン材の自然電位を卑にすることによって、フィン材によるチューブの犠牲防食効果を向上させる働きがある。この効果を確実に得るためには、0.5mass%以上のZnを添加することが望ましい。一方、Znが3.0mass%を越えると、フィン材の消費が促進され、寿命が短くなる。したがって、Zn量の上限は3.0mass%とするのが望ましい。Znの含有量は0.8〜1.3mass%がさらに好ましい。
本発明においてフィン材の心材には、強度および耐食性を満たすために、上記の成分以外に0.05〜0.3mass%のMg、0.01〜0.2mass%のCr、0.01〜0.2mass%のTi、0.01〜0.2mass%のV、0.01〜0.2mass%のIn、0.01〜0.2mass%のSn等を添加しても良い。
(フィン材の製造方法)
本発明に用いるフィン材の製造方法については、通常の方法を採用することができ、特に限定されるものではないが、例えば次のようにすることが好ましい。
半連続鋳造により心材及びろう材の鋳塊をそれぞれ作製し、鋳塊の両面を面削して、心材の両面にろう材を重ね合わせる。これに400〜550℃で1〜10時間の予備加熱を行い、熱間圧延により板厚を5mm程度まで減少させる。さらに、冷間圧延および300〜500℃で1〜10時間の最終焼鈍を行って、厚さ0.1mm程度のシートとする。
ろう材のクラッド率は5〜20%が好ましく、8〜15%がさらに好ましい。
(ろう付加熱条件)
本発明に係る熱交換器は、種々の部材を組み合わせ、これらをろう付けして製造される。そして、上記Al合金チューブ材の皮材面に、上記のAl合金ろう材をクラッドしたフィン材を接合した部材を少なくとも一部に有するものである。
ろう付加熱方法、ろう付加熱条件は特に限定されないが、ろう付け方法としては、フラックスを用いるノコロックブレージング法が好適に用いられる。ろう付加熱条件として、ろう付け操作における、400℃からろう付け温度に達してろう凝固が終了するに至るまでの加熱工程と冷却工程に要する時間は、特に限定されるものではないが、7〜40分が好適である。さらに、580℃以上に保持される時間は3〜20分が好適である。
なお、3〜8mass%Siという比較的低組成のSiを含有するろう材にてチューブ材とのろう付を行うため、チューブ材の皮材表面に非腐食性フラックスを5g/m以上塗布することが特に好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例と比較例に用いられるAl合金チューブ材(以下、「チューブ材」と表す)およびフィン材は以下のように製造されたものである。
(1)チューブ材の作製
表1に示す、皮材、心材、ろう材を、それぞれ、通常の半連続鋳造を行い、鋳塊の両面を10mmずつ面削し、3層重ね合わせ総厚さが550mmとなるようにした。次いで、500℃で6時間の予備加熱を行い、熱間圧延により板厚5mmまで圧延し、更に板厚0.3mmまで冷間圧延を行い、350℃で3時間の最終焼鈍を行なって、厚さ0.3mmのNo.A〜Eの板状チューブ材を作製した。
Figure 2010059515
(2)フィン材の作製
フィン材は通常の半連続鋳造を行い、鋳塊の両面を10mmずつ面削し、表2に示す心材の両面にろう材を重ね合わせ、総厚さが550mmとなるようにした。次いで、500℃で6時間の予備加熱を行い、熱間圧延で5mmまで圧延し、0.25mmまで冷間圧延を行い、400℃で3時間の中間焼鈍を行い、最終冷間圧延により厚さ0.1mmのシートを得た。次いで、このAl合金シートにコルゲート加工を施してNo.イ〜ニのフィン材を作製した。
Figure 2010059515
実施例1〜4及び比較例1〜3
上記のようにして作製したチューブ材とフィン材を表3に示すように組合せ、チューブ材の皮材表面に非腐食性フラックスを8g/m塗布し、窒素雰囲気中で400℃で30分間加熱処理を施し、次いで600℃まで40℃/minの速度で昇温し、580℃〜600℃の温度範囲に5分間保持しろう付を行った。次いで、これを室温で冷却して試験用テストピース(TP)の熱交換器を作製した。
Figure 2010059515
実施例および比較例の試験用テストピースについて、SWAAT(ASTM G85 Annex A3;Sea Water Acetic Acid Test)の300サイクル(600時間)試験を行なった。SWAAT後のチューブ材の単位面積あたりの腐食体積を測定し(mm/mm)、0.0050mm/mm以下を合格とした。
チューブ材表面の単位面積あたりの腐食体積の結果を表4に示す。
Figure 2010059515
表4に示す通り、実施例1〜5では、チューブ材の単位面積あたりの腐食体積が少なく、優れた耐食性を示した。
比較例1では、皮材のAl純度が低いため、金属間化合物の量が多く、カソード反応が活性に起こる。その結果、チューブ材の単位面積あたりの腐食体積が多くなり、耐食性を満足できなかった。
比較例2では、皮材としてAl−Zn合金を使用したために、チューブ材の単位面積あたりの腐食体積が多くなり、耐食性を満足できなかった。
比較例3では、フィン材のろう材のSi量が高いために、ろうの流動によって純Al表面にAl−Si合金層が形成され、カソード反応が促進される。その結果、チューブ材の単位面積あたりの腐食体積が多くなり、耐食性を満足できなかった。

Claims (4)

  1. Al合金からなる心材の少なくとも片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドしたAl合金チューブ材の当該皮材面に、Siを3〜8mass%含有したAl合金ろう材を心材にクラッドしたフィン材を接合した材料を用いてなることを特徴とする耐食性に優れた自動車用熱交換器。
  2. Al合金からなる心材の片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドし、前記心材の皮材をクラッドした面とは反対の面にAl−Si合金ろう材をクラッドしたAl合金チューブ材の当該皮材面に、Siを3〜8mass%含有したAl合金ろう材を心材にクラッドしたフィン材を接合した材料を用いてなることを特徴とする耐食性に優れた自動車用熱交換器。
  3. Al合金からなる心材の少なくとも片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドしたAl合金チューブ材とともに自動車用熱交換器に用いられる、Siを3〜8mass%含有したAl合金ろう材を心材にクラッドしたことを特徴とするフィン材。
  4. 心材にSiを3〜8mass%含有したAl合金ろう材をクラッドしたフィン材とともに自動車用熱交換器に用いられる、Al合金からなる心材の少なくとも片面に純度99.5mass%以上のAlからなる皮材をクラッドしたことを特徴とするAl合金チューブ材。
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