しかし、特許文献1の背景技術では、LCD駆動部へ供給される電圧がスイッチによってオン/オフされることでパワーセービングモードに移行するが、CPUで実行されるアプリケーションを終了させることで、携帯型無線通信装置の消費電力を制御するような技術は開示されていない。
また、非特許文献1の「長持ちモード」では、EZアプリおよびPCサイトビューアーによる処理の一部を制限することができるが、EZアプリおよびPCサイトビューアーの動作状態に基づいて、処理を制限するようなことはできない。
また、コンピュータでは、キーボード操作が一定時間されない場合に、CPUを一時的に停止するスリープモードに移行させることで、消費電力を抑える技術が提案されているが、携帯電話のCPUは、基地局との間欠受信を行うため、携帯電話のCPUをスリープモードにすることはできない。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、携帯端末を提供することである。
この発明の他の目的は、アプリケーションの動作状態に基づいて携帯電話の消費電力を抑えることができる、携帯端末を提供することである。
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
第1の発明は、電池(30)を電源として用い、複数のアプリケーションを実行し、間欠受信を行うことで消費電力を抑える省電力状態または通常状態の状態をとることが可能な携帯端末であって、消費電力相関値を取得する取得手段、通常状態から省電力状態に遷移したかを判断する判断手段、および判断手段によって通常状態から省電力状態に遷移したと判断され、かつ消費電力相関値が閾値を超えたとき、複数のアプリケーションの少なくとも1つを終了する終了手段を備える。
第1の発明では、携帯端末(10)は、電池(30)を電源として用い、複数のアプリケーション(天気情報取得アプリケーション、カメラアプリケーション、ブラウザアプリケーションなど)を実行し、間欠受信を行うことで消費電力を抑える省電力状態または通常状態の状態をとることが可能である。取得手段(20、S3−S7)は、消費電力相関値を取得する。判断手段(20、S21、S37)は、通常状態から省電力状態に遷移したかを判断する。終了手段(20、S35)は、判断手段によって通常状態から省電力状態に遷移したと判断され、かつ消費電力相関値が閾値を超えたとき、複数のアプリケーションの少なくとも1つを終了する。たとえば、消費電力は、携帯端末で実行されるアプリケーションの動作状態によって変動し、携帯端末で実行されるアプリケーションが多くなると、携帯端末の消費電力も大きくなる。そして、終了手段は、消費電力相関値が閾値より大きくなると、実行される複数のアプリケーションの少なくとも1つを終了する。
第1の発明によれば、消費電力相関値から携帯端末で実行されるアプリケーションの動作状態を判断して、アプリケーションを終了させることができるため、アプリケーションの動作状態に基づいて携帯端末の消費電力を抑えることができる。さらに、省電力状態を考慮しない仕様のアプリケーションが携帯端末に設定されたとしても、携帯端末の消費電力を抑えることができる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、所定時間毎に電池の電圧値を計測する計測手段、および計測手段によって計測された電圧値を記憶する記憶手段をさらに備え、取得手段は、記憶手段によって記憶された電圧値から消費電力相関値を算出する算出手段を含む。
第2の発明では、計測手段(28b)は、所定時間(100ms)毎に電池の電圧値を計測する。記憶手段(26)は、計測手段によって計測された電圧値を記憶する。算出手段(20、S5、S7)は、記憶手段によって記憶された電圧値から消費電力相関値を算出する。たとえば、消費電力相関値は、5秒間分の電圧値を電流値に変換した後に、5秒間分の電流値を平均した値である。つまり、算出手段は、電流値から平均電流値を算出し、取得手段は、平均電流値を消費電力相関値として取得する。
第2の発明によれば、電池から供給される電圧の電圧値を利用して、消費電力相関値を算出することができるようになる。
第3の発明は、第2の発明に従属し、記憶手段は、複数のアプリケーションのそれぞれが終了可能か不可能かを示す第1属性情報を含む属性テーブルをさらに記憶し、終了手段は、属性テーブルに含まれる第1属性情報が終了可能を示すアプリケーションのみを終了させる。
第3の発明では、記憶手段は、複数のアプリケーションのそれぞれが終了可能か不可能かを示す第1属性情報(終了属性)を含む属性テーブル(342)をさらに記憶する。そして、終了手段は、属性テーブルに含まれる第1属性情報が終了可能を示すアプリケーションのみを終了させる。
第3の発明によれば、使用者は、属性情報に従って終了させるアプリケーションを選択することができるため、省電力状態であっても終了させてはならないアプリケーションが終了されないように設定することができる。
第4の発明は、第3の発明に従属し、判断手段は、省電力状態から通常状態に遷移したかをさらに判断し、終了手段によって終了されたアプリケーションの識別情報を記憶する第1識別情報記憶手段、および判断手段によって省電力状態から通常状態に遷移したと判断されたとき、第1識別情報記憶手段によって記憶された識別情報に基づいて、終了されたアプリケーションを復帰させる復帰手段をさらに備える。
第4の発明では、判断手段は、省電力状態から通常状態に遷移したかをさらに判断する。第1識別情報記憶手段(20、S33)は、終了手段によって終了されたアプリケーションの識別情報(アプリID)を記憶する。復帰手段(20、S61)は、判断手段によって省電力状態から通常状態に遷移したと判断されたとき、第1識別情報記憶手段によって記憶された識別情報に基づいて、終了されたアプリケーションを復帰させる。
第4の発明によれば、終了させたアプリケーションは、携帯端末が省電力状態から通常状態に遷移すれば復帰されるため、使用者は、省電力状態を意識することなく携帯端末のアプリケーションを実行させることができる。
第5の発明は、第3の発明または第4の発明に従属し、入力を受け付ける入力受け付け手段、判断手段によって通常状態から省電力状態に遷移したと判断されたとき、属性テーブルに含まれる第1属性情報が終了不可能を示すアプリケーションの識別情報を記憶する第2識別情報記憶手段、判断手段によって省電力状態から通常状態に遷移したと判断されたとき、第2識別情報記憶手段によって記憶された識別情報に基づいて、終了されなかったアプリケーションの名前を表示する第1表示手段、および第1表示手段によって終了されなかったアプリケーションの名前が表示された後に、入力受け付け手段が終了されなかったアプリケーションの第1属性情報を変更する入力を受け付けたとき、終了されなかったアプリケーションの第1属性情報を終了可能に変更する第1変更手段をさらに備える。
第5の発明では、入力受け付け手段(22)は、入力を受け付ける。第2識別情報記憶手段(20、S29)は、判断手段によって通常状態から省電力状態に遷移したと判断されたとき、属性テーブルに含まれる第1属性情報が終了不可能を示すアプリケーションの識別情報を記憶する。第1表示手段(20、S41)は、判断手段によって省電力状態から通常状態に遷移したと判断されたとき、第2識別情報記憶手段によって記憶された識別情報に基づいて、終了されなかったアプリケーションの名前を表示する。第1変更手段(20、S45)は、第1表示手段によって終了されなかったアプリケーションの名前が表示された後に、入力受け付け手段が終了されなかったアプリケーションの第1属性情報を変更する入力を受け付けたとき、終了されなかったアプリケーションの第1属性情報を終了可能に変更する。たとえば、入力受け付け手段は、キー入力装置であり、第1変更手段は、第1属性情報を変更するキー入力がされたときに、第1属性情報を変更する。
第5の発明によれば、使用者は、省電力状態で終了されなかったアプリケーションについて、次に省電力状態に遷移したときには終了されるように、設定することができる。
第6の発明は、第4の発明または第5の発明に従属し、属性テーブルは、複数のアプリケーションのそれぞれが復帰可能か不可能かを示す第2属性情報をさらに含み、復帰手段は、終了されたアプリケーションの第2属性情報が復帰可能であるとき、終了させたアプリケーションを復帰させる。
第6の発明では、属性テーブルは、複数のアプリケーションのそれぞれが復帰可能か不可能かを示す第2属性情報(復帰属性)をさらに含む。そして、復帰手段は、終了されたアプリケーションの第2属性情報が復帰可能であるとき、終了させたアプリケーションを復帰させる。
第6の発明によれば、使用者は、有料サイトなどを閲覧中のアプリケーションが終了されたとき、復帰することで追加料金を請求されないように、アプリケーションが復帰されないように設定することができる。
第7の発明は、第6の発明に従属し、判断手段によって省電力状態から通常状態に遷移したと判断され、かつ終了されたアプリケーションの第2属性情報が復帰不可能を示すとき、復帰不可能なアプリケーションの名前を表示する第2表示手段、および第2表示手段によって復帰不可能なアプリケーションの名前が表示された後に、入力受け付け手段が復帰不可能なアプリケーションの第2属性情報を変更する入力を受け付けたとき、復帰不可能なアプリケーションの第2属性情報を復帰可能に変更する第2変更手段をさらに備える。
第7の発明では、第2表示手段(20、S53)は、判断手段によって省電力状態から通常状態に遷移したと判断され、かつ終了されたアプリケーションの第2属性情報が復帰不可能を示すとき、復帰不可能なアプリケーションの名前を表示する。第2変更手段(20、S57)は、第2表示手段によって復帰不可能なアプリケーションの名前が表示された後に、入力受け付け手段が復帰不可能なアプリケーションの第2属性情報を変更する入力を受け付けたとき、復帰不可能なアプリケーションの第2属性情報を復帰可能に変更する。
第7の発明によれば、使用者は、復帰されないように設定されているアプリケーションであっても、次に省電力状態から通常状態に遷移したときには復帰されるように、設定することができる。
第8の発明は、第4の発明ないし第7の発明のいずれかに従属し、第1識別情報記憶手段は、終了されたアプリケーションの動作状態をさらに記憶し、復帰手段は、第1識別情報記憶手段によって記憶された動作状態に基づいて、終了されたアプリケーションが終了される前の動作状態となるように復帰させる。
第8の発明では、第1識別情報記憶手段は、終了されたアプリケーションの動作状態をさらに記憶する。そして、復帰手段は、第1識別情報記憶手段によって記憶された動作状態に基づいて、終了されたアプリケーションが終了される前の動作状態となるように復帰させる。
第8の発明によれば、終了させる前の動作状態で復帰させることができるため、使用者は、省電力状態を意識することなく携帯端末のアプリケーションを実行させることができる。
第9の発明は、電池(30)を電源として用い、複数のアプリケーションを実行し、間欠受信を行うことで消費電力を抑える省電力状態または通常状態の状態をとることが可能な携帯端末のプロセサ(20)に、消費電力相関値を取得する取得ステップ(S3−S7)、通常状態から省電力状態に遷移したかを判断する判断ステップ(S21、S37)、および判断ステップによって通常状態から省電力状態に遷移したと判断され、かつ消費電力相関値が閾値を超えたとき、複数のアプリケーションの少なくとも1つを終了する終了ステップ(S35)を実行させるための、消費電力制御プログラムである。
第9の発明でも、第1の発明と同様に、アプリケーションの動作状態に基づいて携帯端末の消費電力を抑えることができる。
第10の発明は、電池(30)を電源として用い、複数のアプリケーションを実行し、間欠受信を行うことで消費電力を抑える省電力状態または通常状態の状態をとることが可能な携帯端末の消費電力制御方法であって、消費電力相関値を取得する取得ステップ(S3−S7)、通常状態から省電力状態に遷移したかを判断する判断ステップ(S21、S37)、および判断ステップによって通常状態から省電力状態に遷移したと判断され、かつ消費電力相関値が閾値を超えたとき、複数のアプリケーションの少なくとも1つを終了する終了ステップ(S35)を含む、消費電力制御方法である。
第10の発明も、第1の発明と同様に、アプリケーションの動作状態に基づいて携帯端末の消費電力を抑えることができる。
この発明によれば、消費電力相関値から実行されるアプリケーションの動作状態を判断して、アプリケーションを終了させることができるため、アプリケーションの動作状態に基づいて携帯端末の消費電力を抑えることができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1を参照して、携帯端末10は、二次電池であるリチウムイオン電池30の電圧に基づく電源をシステム全体に供給する電源回路28を含む。また、電源回路28が二次電池であるリチウムイオン電池30の電圧に基づく電源をシステム全体に供給している場合には、電源オン状態と呼ぶことにする。同様に、電源回路28が二次電池であるリチウムイオン電池30の電圧に基づく電源をシステム全体に供給していない場合には、電源オフ状態と呼ぶことにする。電源回路28は、電源オフ状態で、入力受け付け手段であるキー入力装置22によって電源オン操作がされると起動され、電源オフ状態で、キー入力装置22による電源オフ操作がされると停止される。さらに、電源オフ状態であっても、電源回路28は、リチウムイオン電池30の充電に応答して起動され、リチウムイオン電池30の充電が完了するのに応答して停止される。また、充電とは、リチウムイオン電池30が図示しない外部充電器から電流の供給を受けることで、電気エネルギーを蓄えることを言う。
キー入力装置22によって発呼操作が行われると、CPU20(プロセサまたはコンピュータと呼ばれることもある。)は、CDMA方式に対応する無線通信回路14を制御して発呼信号を出力する。出力された発呼信号は、アンテナ12から送出され、基地局を含む移動通信網に送信される。そして、通話相手が応答操作を行うと、通話可能状態が確立される。また、無線通信回路14は、基地局との送受信を行う送受信回路14aと、受話音声信号などのアナログ信号をデジタル信号に変調または高周波信号などのデジタル信号をアナログ信号に復調するBB(BaseBand)回路14bなどを含む。
通話可能状態に移行した後にキー入力装置22によって通話終了操作が行われると、CPU20は、無線通信回路14を制御して、基地局を含む移動通信網に通話終了信号を送信する。通話終了信号の送信後、CPU20は、通話処理を終了する。また、先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、CPU20は、通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、CPU20は通話処理を終了する。
携帯端末10の電源がオンである状態で通話相手からの発呼信号がアンテナ12によって捉えられると、無線通信回路14は、着信をCPU20に通知する。CPU20は、着信通知に記述された発信元情報をLCD制御回路32に制御されるLCDモニタ34に表示させ、図示しない着信通知用のスピーカから着信音を出力する。キー入力装置22によって応答操作が行われると、通話可能状態が確立される。また、LCD制御回路32は、電源回路28から電圧を供給され、LCD制御回路32自身とLCDモニタ34とを駆動させる。
通話可能状態では、次のような処理が実行される。通話相手から送信された変調音声信号(高周波信号)は、アンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号は、無線通信回路14によって復調処理および復号処理を施される。これによって得られた受話音声信号は、スピーカ18から出力される。また、マイク16によって取り込まれた送話音声信号は、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理を施される。これによって生成された変調音声信号は、上述と同様、アンテナ12を利用して送信される。
携帯端末10は、カメラアプリケーションを実行することが可能である。カメラアプリケーションは、オートフォーカス処理によって、被写体にピントの合った写真画像データを記憶する。具体的には、キー入力装置22によってカメラアプリケーションを実行する操作が行われると、CPU20は、カメラ制御回路36にカメラアプリケーションを実行するために必要な命令を与える。カメラ制御回路36は、イメージセンサ38およびフォーカスレンズ40を制御し、イメージセンサ38によって取得された披写界の光学像を写真画像データに変換する。そして、CPU20は、カメラ制御回路36から得られる、被写体にピントを合わせた写真画像データを圧縮画像データに変換してフラッシュメモリ24に記憶する。また、このカメラアプリケーションでは、撮影する写真画像のサイズをWQVGA(240×400)、VGA(640×480)およびUXGA(1600×1200)から選択することが可能である。
また、キー入力装置22によってネットワーク100を介するデータ通信操作が行われると、CPU20は、無線通信回路14を制御して天気情報サーバ110とのデータ通信を行う。天気情報サーバ110はHDD112を備え、HDD112には最新の天気図の画像データおよびその天気図の画像データに対応する気象予報士のコメントを録音した音声データが記憶される。つまり、携帯端末10の使用者は、携帯端末10によって天気情報サーバ110とのデータ通信を行うことで、最新の天気図および気象予報士のコメントなどを容易に得ることができる。
図2は、電源回路28の詳細な構成を示す図解図である。電源回路28は、制御部28a、計測部28b、変圧部28c、供給部28dおよび抵抗Rから構成される。制御部28aは、電源回路28用のCPUであり、たとえば、供給部28dを制御することで、システム全体に供給する電圧を制御する。
計測部28bは、たとえばデジタル電圧計であり、計測手段として機能する。そして、計測部28bは、抵抗Rの両端から得られる電圧値を計測し、制御部28aに出力する。この抵抗Rは、リチウムイオン電池30から供給される電圧の電圧値を計測するために、電源回路28とリチウムイオン電池30との間に設けられる。たとえば、計測部28bが計測した電圧値が、3.68Vであれば、「3.68」の数値が制御部28aに出力される。
そして、制御部28aは、所定時間毎、たとえば100ms毎に計測部28bから出力された電圧値をRAM26に記憶させる。たとえば、制御部28aは、計測部28bから「3.68」の数値が出力されていれば、RAM26に「3.68」の数値を記憶させる。また、RAM26は、CPU20と制御部28aとからデータの書き込みが可能なデュアルポートRAMであり、記憶手段として機能する。
また、制御部28aは5秒間毎にCPU20へ通知を行い、CPU20は5秒間毎にRAM26に蓄積された電圧値のログデータを取得する。なお、電圧値を計測する周期は、100msより短い時間であってもよいし、100msより長い時間であってもよい。
変圧部28cは、リチウムイオン電池30から取得した電圧を昇圧または降圧することで、携帯端末10に内蔵される複数の回路のそれぞれに適した電圧に変圧する。また、変圧部28cは、複数の異なる電圧を出力することが可能である。供給部28dは、変圧部28cから得られた電圧を、制御部28aに指示された複数の回路のそれぞれに供給する。たとえば、制御部28aは、CPU20からLCD制御回路32への電圧供給を停止する指示がされると、供給部28dを制御することでLCD制御回路32への電圧供給を停止する。
なお、他の実施例では、内蔵RAMを備える電源回路28を利用し、シングルポートRAMを利用するようにしてもよい。つまり、制御部28aは、100ms毎に計測部28bから出力された電圧値を内蔵RAMに記憶し、制御部28aは、5秒間毎にCPU20へ通知を行うとともに、内蔵RAMに記憶した電圧値のログデータをCPU20に出力する。
CPU20は、携帯端末10の消費電力を抑えるために、通常状態から省電力状態に遷移させることが可能である。具体的には、省電力状態では、キー入力装置22によって一定時間のキー入力が検出されない場合に、LCD制御回路32への電圧供給を停止し、LCDモニタ34およびLCD制御回路32の電源をオフにすることで、消費電力を抑える。さらに、省電力状態では、LCD制御回路32の電源をオフにした後に、間欠受信を行うことで消費電力を抑える。間欠受信とは、5秒間毎にCPU20が無線通信回路14の電源をオンして無線通信を行い、無線通信を行わない間は、無線通信回路14の電源がオフにされる。そして、制御部28aからCPU20への5秒間毎の通知は、間欠受信のタイミングと同期される。つまり、CPU20は、間欠受信を行うときに、制御部28aからの通知に基づいて、電圧値のログデータを取得する。
なお、電流値がRAM26に記録され始めるのは、LCD制御回路32の電源をオフにした後に、一定間(たとえば、3分)経過してからとする。また、本実施例の通常状態とは、消費電力が制限されることなく携帯端末10が動作している状態とする。さらに、間欠受信のタイミングは5秒間毎に限らず、携帯電話会社毎に、任意のタイミングであってもよい。
ここで、省電力状態におけるCPU20によって実行されるアプリケーションを強制終了させることで、省電力状態における携帯端末10の消費電力をさらに抑える制御について説明する。
具体的には、実行されるアプリケーションのそれぞれは、強制終了可能か不可能かの属性情報が設定される。そして、CPU20は、実行されるアプリケーションを管理し、5秒間分の電圧値のログデータから、消費電力に相関する値(消費電力相関値)として、電流値の平均値(平均電流値)を求め、閾値を超えていれば、強制終了可能な属性情報を持つアプリケーションを強制終了させる。つまり、閾値を超えている場合には、想定外の電力が消費されていると判断することができる。
図3は、実行アプリ一覧テーブルの詳細を示す図解図である。この実行アプリ一覧テーブルは、CPU20によって実行されるアプリケーションの一覧が記憶される。アプリIDの欄には、CPU20が実行するアプリケーションを識別するための識別情報として、「00FF」などの16進数値が記憶される。また、アプリケーション名の欄には、アプリIDに対応するアプリケーション名が記憶される。たとえば、アプリIDが「00FF」であれば天気情報取得アプリケーションであり、アプリIDが「0100」であればブラウザアプリケーションであり、アプリIDが「0101」であればカメラアプリケーションである。
この天気情報取得アプリケーションは、定期的に天気情報サーバ110とのデータ通信を行い、最新の天気図や、天気予報士のコメントを録音した音声データなどを取得するアプリケーションである。また、図4は、天気情報取得アプリケーションによって取得された天気図の表示例を示す図解図である。LCDモニタ32には、状態表示範囲50および画像表示範囲52が表示される。状態表示範囲50には、アンテナ12の感度、リチウムイオン電池30の電池残容量および現在時刻などが表示される。画像表示範囲52には、天気情報取得アプリケーションによって取得された天気図が表示される。また、状態表示範囲50および画像表示範囲52については、他の表示例について同様であるため、他の表示例では簡単のため詳細な説明を省略する。
なお、画像表示範囲52には、実行された機能(アプリケーション)に応じて様々な画像が表示される。また、携帯電話10の待機状態で表示する画像を「壁紙画像」と呼ぶ。
図3に戻って、ブラウザアプリケーションは、天気情報サーバ110以外のサーバとデータ通信を行うことで、画像や文字列のデータを取得するアプリケーションである。たとえば、使用者は、壁紙画像を配布するサイトなどにアクセスすることで、様々な壁紙画像を取得することができる。また、壁紙画像を配布するサイトには、壁紙画像を表示すると、壁紙画像に対する料金を払う必要がある「有料サイト」もある。
図5は、強制終了テーブルの詳細を示す図解図である。強制終了テーブルは、省電力状態で平均電流値が閾値を超えた場合に、強制終了されたアプリケーションのアプリID、アプリケーション名およびその強制終了されたアプリケーションの動作状態を記憶するためのテーブルである。アプリIDの欄には、強制終了されたアプリケーションのアプリIDが記憶される。アプリケーション名の欄には、アプリIDの欄に対応して強制終了されたアプリケーションの名前が記憶される。そして、動作状態の欄には、アプリIDの欄に対応して強制終了されたアプリケーションの動作状態が記憶される。つまり、図5に示す強制終了テーブルには、アプリIDが「0100」、つまりブラウザアプリケーションが、「http://wpaper.ne.jp」のURL(Uniform Resource Locator)で示される有料サイトを閲覧中に強制終了され、アプリIDが「0101」、つまりカメラアプリケーションが「VGA撮影モード」で動作中に強制終了されたことが記憶される。
図6は、強制終了不可テーブルの詳細を示す図解図である。強制終了不可テーブルは、省電力状態で平均電流値が閾値を超えたとしても、強制終了させることができないアプリケーションのアプリIDおよびアプリケーション名を記憶するためのテーブルである。アプリIDの欄は、強制終了させることができないアプリケーションのアプリIDを記憶する。アプリケーション名の欄は、アプリIDの欄に対応して、アプリケーション名が記憶される。
図7は、属性情報テーブルの詳細を示す図解図である。属性情報テーブルは、携帯端末10で実行されるアプリケーション全ての属性情報を記憶するテーブルであり、属性情報とは、強制終了可能か不可能かを示す終了属性情報と、強制復帰可能か不可能かを示す復帰属性情報とである。アプリIDの欄には、携帯端末10で実行されるアプリケーションのアプリIDが記憶される。アプリケーション名の欄は、アプリIDの欄に対応してアプリケーションの名前が記憶される。終了属性の欄には、アプリIDの欄に対応して、「可」または「不可」が記憶される。つまり、終了属性の欄において、「可」は強制終了可能である終了属性情報を示し、「不可」は強制終了不可能である終了属性情報を示す。
たとえば、強制終了させることができるブラウザアプリケーションおよびカメラアプリケーションが記憶される行の終了属性の欄には「可」が記憶される。一方、強制終了させることができない天気情報取得アプリケーションが記憶される行の終了属性の欄には「不可」が記憶される。つまり、天気情報取得アプリケーションは、定期的に最新の天気図などの天気情報を取得するため、省電力状態でも最新の天気図を取得するように、終了属性が「不可」として記憶される。
また、アプリケーションを強制終了させた後に、省電力状態でなくなった場合に、強制終了されたアプリケーションを強制復帰させるか否かを示す復帰属性が記憶される。復帰属性の欄には、「可」、「不可」または「−」が記憶される。つまり、復帰属性の欄において、「可」は強制復帰可能である復帰属性情報を示し、「不可」は強制復帰不可能である復帰属性情報を示し、「−」は復帰属性情報が記憶されていないことを示す。また、「−」は、終了属性が「不可」である場合に記憶される。
たとえば、強制復帰させることができるカメラアプリケーションが記憶される行の復帰属性の欄には「可」が記憶される。また、強制復帰させることができないブラウザアプリケーションが記憶される行の復帰属性の欄には「不可」が記憶される。そして、終了属性の欄に「不可」が記憶される天気情報取得アプリケーションが記憶される行の復帰属性の欄には「−」が記憶される。
また、属性情報テーブルに記憶される終了属性と復帰属性とは、携帯端末10にプレインストールされているアプリケーションの場合には、携帯端末10の設計者によって予め設定される。そして、使用者によってインストールされるアプリケーションの場合には、インストールするときに、終了属性および復帰属性が設定される。ただし、使用者によってインストールされるアプリケーションが属性情報テーブルに終了属性および復帰属性を設定する仕様になっていなければ、終了属性が「不可」と記憶される。
さらに、携帯端末10の設計者または使用者は、属性情報テーブルの内容を任意に変更可能なアプリケーションを設定することで、有料サイトなどを閲覧中のブラウザアプリケーションが終了されたとき、復帰することで追加料金を請求されないように、ブラウザアプリケーションが復帰されないように設定することができる。
図8は、RAM26のメモリマップを示す図解図である。RAM26のメモリマップ300には、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304が含まれる。プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ24から一度にまたは必要に応じて部分的にかつ順次的に読み出され、RAM26に記憶され、そしてCPU20などで処理される。
プログラム記憶領域302は、携帯端末10を動作させるためのプログラムを記憶する。携帯端末10を動作させるためのプログラムは、アプリケーション管理プログラム310、省電力プログラム312、電流値監視プログラム314、強制終了/強制復帰制御プログラム316および天気情報取得プログラム318などから構成される。アプリケーション管理プログラム310は、使用者の操作に応じて携帯端末10で実行されるプログラムの一覧を表示するためのプログラムであり、図3に示す実行アプリ一覧テーブルを作成する。省電力プログラム312は、リチウムイオン電池30の消費電力を抑えるためのプログラムであり、通常状態でキー入力装置22によって一定時間のキー入力が検出されない場合に携帯端末10を通常状態から省電力状態に遷移させる。さらに、省電力プログラム312は、省電力状態でキー入力装置22によってキー入力が検出された場合に省電力状態から通常状態に遷移させる。
電流値監視プログラム314は、リチウムイオン電池30の電流値を監視するためのプログラムである。強制終了/強制復帰制御プログラム316は、省電力状態においてCPU20で実行されるアプリケーションの強制終了と、終了されたアプリケーションの強制復帰とを制御するためのプログラムである。天気情報取得プログラム318は、天気情報サーバ110から、定期的に最新の天気情報を取得するためのプログラムである。また、この天気情報取得プログラム318は、使用者によってインストールされたプログラムである。
なお、図示は省略するが、携帯端末10を動作させるためのプログラムは、通話を行うためのプログラム、メールの送受信を行うプログラム、カメラアプリケーションを実行するためのプログラム、ブラウザアプリケーションを実行するためのプログラムなども含む。
データ記憶領域304には、ダウンロードデータバッファ330が設けられる。また、データ記憶領域304には、天気情報データ332、電圧値ログデータ334、実行アプリ一覧テーブルデータ336、強制終了不可テーブルデータ338、強制終了テーブルデータ340、属性情報テーブルデータ342および写真画像データ344が記憶されるとともに、省電力フラグ346および電流値フラグ348が設けられる。
ダウンロードデータバッファ330は、ブラウザアプリケーションによって取得した文字列や画像を、LCDモニタ34に表示するために一時記憶するためのバッファである。
天気情報データ332は、天気情報取得アプリケーションによって取得された最新の天気情報のデータである。また、定期的に最新の天気情報を取得する度に、天気情報データ332は更新される。電圧値ログデータ334は、計測部28bによって計測されたリチウムイオン電池30の電圧値から構成される。また、電圧値ログデータ334は、CPU20によって読み出される毎にリセットされる。実行アプリ一覧テーブルデータ336は、アプリケーション管理プログラム310によって作成され、図3に示すテーブルデータである。また、実行アプリ一覧テーブルデータ336に記憶されるアプリIDおよびアプリケーション名は、CPU20によって実行されるアプリケーションによって変化する。強制終了不可テーブルデータ338は、省電力状態で平均電流値が閾値を超えたとしても、強制終了させることができないアプリケーションのアプリIDおよびアプリケーション名を記憶するためのテーブルデータ(図6参照)である。
強制終了テーブルデータ340は、省電力状態で平均電流値が閾値を超えた場合に、強制終了されたアプリケーションのアプリID、アプリケーション名およびその強制終了されたアプリケーションの動作状態を記憶するためのテーブルデータ(図5参照)である。属性情報データ342は、携帯端末10で実行することが可能な各アプリケーションの終了属性と復帰属性とを記憶するテーブルデータ(図7参照)である。写真画像データ346は、カメラアプリケーションによって撮影された写真画像のデータである。
省電力フラグ346は、携帯端末10の状態が省電力状態であるかを判断するフラグである。たとえば、省電力フラグ346は、1ビットのレジスタで構成される。省電力フラグ346が成立(オン)されると、レジスタにはデータ値「1」が設定され、省電力フラグ346が不成立(オフ)されると、レジスタにはデータ値「0」が設定される。また、省電力フラグ346のオン/オフは省電力プログラムによって切り替えられる。
電流値フラグ348は、平均電流値が閾値を超えたか否かを判断するフラグである。たとえば、電流値フラグ348は、1ビットのレジスタで構成される。電流値フラグ348が成立(オン)されると、レジスタにはデータ値「1」が設定され、電流値フラグ348が不成立(オフ)されると、レジスタにはデータ値「0」が設定される。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、アドレス帳のデータなどが記憶されるとともに、携帯端末10の動作に必要な他のカウンタやフラグも設けられる。
CPU20は、図9に示す電流値監視処理および図10−図12に示す強制終了/強制復帰制御処理などを含むタスクを並列的に実行する。
図9は電流値監視処理を示すフロー図である。図9を参照して、ステップS1では、電源回路28からの通知が有るか否かを判断する。つまり、制御部28aが5秒間毎に行う通知があったか否かを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまり制御部28aからの通知がなければ、ステップS1の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり制御部28aからの通知が有れば、ステップS3で電圧値ログデータ334を取得する。つまり、5秒間分のリチウムイオン電池30の電圧値のログデータをRAM26から取得する。続いて、ステップS5では、電流値に変換する。つまり、RAM26から取得した電圧値のそれぞれを数1に基づいて、電流値に変換する。また、抵抗Rとは、図2に示す、計測部28bとリチウムイオン電池30との間に設けられた抵抗Rである。なお、数1に示す右辺の分母は、リチウムイオン電池30の内部抵抗などを考慮した抵抗値であってもよい。
[数1]
電流値=取得した電圧値/抵抗Rの抵抗値
続いて、ステップS7では、平均電流値を算出する。つまり、変換した5秒間分の電流値を平均して平均電流値を算出する。したがって、ステップ3で、5秒間分の電圧値のログデータをRAM26から取得し、ステップS5で、取得した電圧値のログデータを電流値に変換し、ステップS7で、変換した5秒間分の平均電流値を算出するため、ステップS3−S7の処理を実行するCPU20は、消費電力相関値を取得する取得手段として機能する。さらに、ステップS5、S7で電圧値のログデータから消費電力相関値を算出するため、ステップS5、S7の処理を実行するCPU20は、算出手段として機能する。
続いて、ステップS9では、平均電流値が閾値を超えているか否かを判断する。この閾値とは、携帯端末10を駆動させるために最低限必要なアプリケーションが実行された状態での平均電流値を閾値とする。つまり、ステップS7で算出された平均電流値が、携帯端末10を駆動させるために最低限必要なアプリケーションが実行された状態での平均電流値を超えているか否かを判断する。なお、閾値は、携帯端末10が工場から出荷されたときに設定される。また、閾値は、使用者によって任意に設定できるようになっていてもよい。
ステップS9で“YES”であれば、つまり平均電流値が閾値を超えていれば、ステップS11で電流値フラグ348をオンにして、ステップS1に戻る。一方、ステップS9で“NO”であれば、つまり平均電流値が閾値を超えていなければ、電流値フラグ348をオフにして、ステップS1に戻る。
図10は強制終了/強制復帰制御処理を示すフロー図である。ステップS21では、省電力状態か否かを判断する。つまり、省電力フラグ346がオンであるか否かを判断する。したがって、ステップS21の処理を実行するCPU20は、判断手段として機能する。
ステップS21で“NO”であれば、つまり省電力フラグ346がオフであれば、ステップS21の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS21で“YES”であれば、つまり省電力フラグ346がオンであれば、ステップS23で実行中のアプリケーションが有るか否かを判断する。つまり、図3に示す実行アプリ一覧テーブルを参照して、実行中のアプリケーションが有るか否かを判断する。ステップS23で“NO”であれば、つまり実行中のアプリケーションがなければ、ステップS21に戻る。一方、“YES”であれば、つまり実行中のアプリケーションが有れば、ステップS25で電流値フラグ348がオンであるか否かを判断する。つまり、消費電力相関値である平均電流値が閾値を超えたか否かを判断する。
ステップS25で“NO”であれば、つまり電流値フラグ348がオフであればステップS21に戻る。一方、ステップS25で“YES”であれば、つまり電流値フラグ348がオンであれば、ステップS27で強制終了不可のアプリケーションが実行中か否かを判断する。つまり、実行アプリ一覧テーブルに記憶される複数のアプリIDを取得し、図7に示す属性情報テーブルのアプリIDの欄において、取得したアプリIDを検索し、実行中のアプリケーションのそれぞれの終了属性が「不可」であるか否かを判断する。
ステップS27で“NO”であれば、つまり終了属性が「不可」のアプリケーションが実行されていなければ、ステップS31に進む。一方、ステップS27で“YES”であれば、つまり終了属性が「不可」のアプリケーションが実行されていれば、ステップS29で強制終了できないアプリケーションのアプリIDを記憶する。つまり、図6に示す強制終了不可テーブルに、強制終了できないアプリケーションのアプリIDを記憶する。したがって、ステップS29の処理を実行するCPU20は、識別情報記憶手段として機能する。
たとえば、天気情報取得アプリケーションが実行されていれば、実行アプリ一覧テーブルには、天気情報取得アプリケーションのアプリID「00FF」を取得することができる。そして、属性情報テーブルのアプリIDにおいて、取得したアプリID「00FF」を検索すると、アプリIDの欄に「00FF」が記憶される行に対応する終了属性が「不可」であるため、ステップS27では“YES”と判断され、ステップS29で、天気情報取得アプリケーションのアプリIDおよびアプリケーション名が強制終了不可テーブルに記憶される。
ステップS31では、強制終了可能なアプリケーションが実行中か否かを判断する。つまり、実行アプリ一覧テーブルに記憶される各アプリIDを取得し、属性情報テーブルのアプリIDの欄において取得したアプリIDを検索し、実行中のアプリケーションそれぞれの終了属性が「可」であるか否かを判断する。ステップS31で“NO”であれば、つまり終了属性が「可」のアプリケーションが実行されていなければ、ステップS37に進む。一方、ステップS31で“YES”であれば、つまり終了属性が「可」のアプリケーションが実行されていれば、ステップS33で強制終了するアプリケーションのアプリIDおよび動作状態を記憶する。つまり、終了属性が「可」である実行中のアプリケーションのアプリIDおよび動作状態を記憶する。したがって、ステップS33の処理を実行するCPU20は、識別情報記憶手段として機能する。なお、処理を行う順番は異なるが、本実施例では、ステップS33の処理を実行するCPU20が第1識別情報記憶手段として機能し、ステップS29の処理を実行するCPU20が第2識別情報記憶手段として機能する。
たとえば、図5を参照して、終了属性が「可」であり、壁紙画像を表示する有料サイトを表示中のブラウザアプリケーションと、VGA撮影モードのカメラアプリケーションとが実行中である場合に、強制終了テーブルには、ブラウザアプリケーションのアプリIDと、アプリケーション名と、壁紙画像を表示する有料サイトのURLおよび「有料サイト閲覧中」の文字列とが記憶される。さらに、強制終了テーブルには、カメラアプリケーションのアプリIDと、アプリケーション名と、VGA撮影モードであることを示す文字列が記憶される。
続いて、ステップS35では、強制終了可能なアプリケーションを終了する。つまり、終了属性が「可」である実行中のアプリケーションを終了する。また、実行中のアプリケーションを終了と同時に、実行アプリ一覧テーブルを更新する。そして、ステップS35の処理を実行するCPU20は、終了手段として機能する。
続いて図11を参照して、ステップS37では、省電力状態を解除したか否かを判断する。つまり、省電力フラグ346がオフにされたか否かを判断する。したがって、ステップS21の処理を実行するCPU20と同様に、ステップS37の処理を実行するCPU20は、判断手段として機能する。
ステップS37で“NO”であれば、つまり省電力フラグ346がオンであれば、ステップS37の処理を繰り返し実行する。一方、“YES”であれば、たとえば、キー入力装置22に対してキー入力がされ、省電力フラグ346がオフにされば、ステップS39で強制終了不可のアプリケーションが実行されていたか否かを判断する。つまり、強制終了不可テーブルにおいて、アプリIDおよびアプリケーション名が記憶されているか否かを判断する。ステップS39で“NO”であれば、つまり強制終了不可テーブルにアプリIDおよびアプリケーション名が記憶されていなければ、ステップS47に進む。
また、ステップS39で“YES”であれば、つまり強制終了不可テーブルにアプリIDおよびアプリケーション名が記憶されていれば、ステップS41で強制終了不可のアプリケーションの属性を変更するか否かを確認する。つまり、強制終了不可テーブルに記憶されたアプリケーションの終了属性を変更するポップアップをLCDモニタ34に表示する。たとえば、図6に示す強制終不可テーブルに、天気情報取得アプリケーションが記憶されていれば、図13(A)に示すポップアップが表示される。図13(A)を参照して、壁紙画像を表示する画像表示範囲52には、ポップアップ54が表示される。さらに、ポップアップ54内には、天気情報取得アプリケーションの名前を含んで、終了属性を変更するか否かを確認する文章と、キー入力装置22によってチェックすることが可能なチェックボックス54a、54bとが表示される。したがって、ステップS41の処理を実行するCPU20は、第1表示手段として機能する。
続いて図11に戻って、ステップS43で属性を変更する操作がされたか否かを判断する。たとえば、図13(A)に示すポップアップ54内のチェックボックス54a、54bにおいて、終了属性を変更することを認めるチェックボックス54aにチェックがされた後に、確定操作がされたか否かを判断する。ステップS43で“NO”であれば、つまりチェックボックス54bにチェックがされた後に確定操作がされれば、ステップS47に進む。一方、ステップS43で“YES”であれば、つまりチェックボックス54aにチェックがされた後に確定操作がされれば、ステップS45で強制終了不可のアプリケーションの属性を強制終了可に変更する。つまり、終了属性を変更するか否かを確認したアプリケーションにおいて、属性情報テーブルに記憶される終了属性を「不可」から「可」に変更する。たとえば、天気情報取得アプリケーションの終了属性が「不可」から「可」に変更される。したがって、ステップS45の処理を実行するCPU20は、第1変更手段として機能する。なお、天気情報取得アプリケーションの終了属性が「不可」から「可」に変更されると、復帰属性は「不可」に設定される。
これによって、使用者は、省電力状態で強制終了されなかったアプリケーションについて、次に省電力状態に遷移したときには強制終了されるように、終了属性を変更することができる。
なお、復帰属性は「可」に設定されるようになっていてもよいし、アプリケーションの種類によって、「可」または「不可」が選択されるようになっていてもよい。また、終了属性が「不可」のアプリケーションが複数実行される場合には、それぞれのアプリケーションにおいて、終了属性を変更するか否かが確認される。
続いて、ステップS47では、強制終了されたアプリケーションが有るか否かを判断する。つまり、強制終了テーブルにアプリID、アプリケーション名および動作状態が記憶されているか否かを判断する。ステップS47で“NO”であれば、つまり強制終了テーブルにアプリID、アプリケーション名および動作状態が記憶されていなければ、ステップS49で各テーブルをリセットし、ステップS21に戻る。つまり、強制終了テーブルと強制終了不可テーブルとに記憶されている各項目を消去する。
また、ステップS47で“YES”であれば、つまり強制終了テーブルにアプリID、アプリケーション名および動作状態が記憶されていれば、図12に示すステップS51で強制復帰不可のアプリケーションが有るか否かを判断する。つまり、強制終了テーブルに記憶されるアプリIDを取得し、属性情報テーブルのアプリIDの欄において、取得したアプリIDを検索する。そして、該当するアプリケーションの復帰属性が「不可」であるか否かを判断する。ステップS51で“NO”であれば、つまり復帰属性が「不可」のアプリケーションが実行されていなければ、ステップS59に進む。一方、ステップS51で“YES”であれば、つまり復帰属性が「不可」のアプリケーションが実行されていれば、ステップS53で強制復帰不可のアプリケーションの属性を変更するか否かを確認する。つまり、アプリケーションの復帰属性を「不可」から「可」に変更するか否かを確認する。たとえば、復帰属性が「不可」のブラウザアプリケーションが実行されていた場合に、図13(B)に示すポップアップ56が表示される。図13(B)を参照して、画像表示範囲52には、ポップアップ56が表示される。さらに、ポップアップ56内には、ブラウザアプリケーションの名前を含めて、復帰属性を変更するか否かを確認する文章と、キー入力装置22によって入力可能なチェックボックス56a、56bとが表示される。したがって、ステップS53の処理を実行するCPU20は、第2表示手段として機能する。
続いて、ステップS55では、属性情報を変更する操作がされたか否かを判断する。たとえば、図13(B)に示すポップアップ56内のチェックボックス56a、56bにおいて、復帰属性を変更することを認めるチェックボックス56aにチェックされた後に、確定操作がされたか否かを判断する。ステップS55で“NO”であれば、つまりチェックボックス56bにチェックがされた後に確定操作がされれば、ステップS59に進む。一方、ステップS55で“YES”であれば、つまりチェックボックス56aにチェックがされた後に確定操作がされれば、ステップS57で強制復帰不可のアプリケーションの属性を強制復帰に変更する。したがって、ステップS57の処理を実行するCPU20は、第2変更手段として機能する。
たとえば、図13(B)を参照して、チェックボックス56aにチェックがされた後に確定操作がされれば、属性情報テーブルの復帰属性の欄において、ブラウザアプリケーションの復帰属性が「不可」から「可」に変更される。つまり、使用者は、復帰されないように設定されているアプリケーションであっても、復帰属性を変更することで、復帰できるようにすることができる。
なお、復帰属性が「不可」のアプリケーションが複数実行されていた場合には、それぞれのアプリケーションにおいて、復帰属性を変更するか否かを確認する。
続いて、ステップS59では、強制復帰可のアプリケーションが有るか否かを判断する。つまり、強制終了テーブルに登録されているアプリIDから、属性情報テーブルを参照して復帰情報が「可」のアプリケーションが記憶されているか否かを判断する。ステップS59で“NO”であれば、つまり復帰情報が「可」のアプリケーションが強制復帰テーブルに記憶されていなければ、ステップS21に戻る。一方、ステップS59で“YES”であれば、つまり復帰情報が「可」のアプリケーションが強制復帰テーブルに記憶されていれば、ステップS61で強制復帰可のアプリケーションを実行し、強制終了前の動作状態に復帰させる。たとえば、強制終了テーブルに記憶される、復帰属性が「可」であるカメラアプリケーションをVGA撮影モードで実行する。また、アプリケーションを復帰させると同時に、実行アプリ一覧テーブルを更新する。
つまり、省電力状態でなくなれば、復帰属性が「可」の強制復帰させたアプリケーションは、強制終了される前の動作状態で実行される。よって、使用者は、省電力状態を意識することなくアプリケーションを実行させることができる。そして、ステップS61の処理を実行するCPU20は、復帰手段として機能する。
続いて、ステップS63では、各テーブルをリセットしてステップS21に戻る。つまり、ステップS49と同様に強制終了テーブルと強制終了不可テーブルとをリセットする。
以上の説明から分かるように、携帯端末10は、リチウムイオン電池30を電源として用い、天気情報取得アプリケーション、カメラアプリケーション、ブラウザアプリケーションを実行し、間欠受信をすることで、携帯端末10の消費電力を抑える省電力状態または通常状態をとることが可能である。消費電力相関値である平均電流値は、ステップS3−S7の処理によって取得される。そして、省電力フラグ346がオンであるときに、終了属性が「可」のアプリケーションは、ステップS35の処理によって強制終了される。
さらに、省電力フラグ346がオフ、つまり省電力状態でなくなったときには、強制終了されたアプリケーションが強制復帰される。
これによって、平均電流値からCPU20によって実行されるアプリケーションの動作状態を判断し、アプリケーションを強制終了させることができるため、携帯端末10では、アプリケーションの動作状態に基づいて携帯端末10の消費電力を抑えることができる。
また、CPU20によって実行されるアプリケーションの仕様が、天気情報取得アプリケーションのように、携帯端末10の省電力状態が考慮されていなくとも、携帯端末10の設計者が意図する省電力状態とすることができる。そして、本願発明は、事業者に申請することで誰でも開発することができるBrewなどのアプリケーションプラットフォームを採用する携帯端末10において大きな効果を発揮する。つまり、携帯端末10の設計者とアプリケーションの設計者とは異なる会社であることが多いため、省電力状態で、携帯端末10の設計者が意図しない動作を行うアプリケーションが開発されても、携帯端末10の設計者が意図する省電力状態とすることができる。
なお、携帯端末10の消費電力相関値として平均電流値を用いたが、電池残容量の差分を利用してもよい。たとえば、消費電力相関値がリチウムイオン電池30における電池残容量の差分であれば、まず、リチウムイオン電池30における充電完了状態が100%、放電状態が0%となる電池残容量値を、電圧値のログデータと同様に100ms毎に記憶する。そして、各電池残容量値において直前の電池残容量値との差分値を求め、5秒間分の電池残容量値の差分値から平均差分値を求め、平均差分値が閾値を超えていれば、アプリケーションを強制終了するようにする。
また、省電力プログラム312および電流監視プログラム314による処理は、携帯端末10のミドルウェアまたはOS(Operating System)によって処理されてもよい。
さらに、携帯端末10の通信方式には、CDMA方式、W‐CDMA方式、TDMA方式に限らず、PHS方式などを採用してもよい。また、携帯電話10のみに限らず、携帯型ゲーム機,携帯型音楽プレイヤおよびPDA(Personal Degital Assistant)などの電池を電源として採用する携帯端末10であってもよい。
さらに、強制終了されたアプリケーションまたは強制復帰するアプリケーションは、アドレス帳のアプリケーションや、ゲームのアプリケーションなどであってもよい。また、二次電池としてリチウムイオン電池30を採用したが、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、ナトリウムイオン電池、金属空気電池および亜鉛臭素電池などであってもよい。さらに、二次電池だけに限らず、燃料電池や、一次電池であるマンガン電池などでもよい。