JP2010056633A - 分波装置及びこれを用いた集合建築物用の通信システム - Google Patents

分波装置及びこれを用いた集合建築物用の通信システム Download PDF

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Abstract

【課題】電力線搬送通信システムにおいて、電力線13の分岐が多かったり分電盤を中継したりすると、高周波信号が減衰して伝送損失が大きくなり、通信状態が悪くなるという問題を解消する。
【解決手段】電力線13に高周波信号を重畳して通信を行える電力線通信モデム25を接続可能なデュプレクサ15を備える。当該デュプレクサ15は、電力線13、信号線14及び電力線通信モデム25に接続した状態で、電力線13以外(信号線14及び電力線通信モデム25)に高周波信号を伝送するように構成される。
【選択図】図2

Description

本願発明は、電力線に通信信号を重畳して通信を行える電力線通信端末を接続可能な分波装置と、これを用いた集合建築物用の通信システムとに関するものである。
従来の集合建築物用の通信システム(セキュリティシステム)では、集合インタホンと各室内の室内インタホンとの間を、2芯VCTFケーブルといった信号線にてつないでいることが多かったが、この場合は専用信号線の設置工事が必要なため、システム導入のための設備コストが嵩むという不都合がある。
近年、前述の不都合を解消するものとして、電力線に高周波信号を重畳して通信を実行する電力線搬送通信が実用化されている(例えば特許文献1等参照)。電力線搬送通信は、インタホン同士の通信に際して電力線を使用するため、新たに専用信号線の設置工事をする必要がないという利点を有している。
特開2001−320307号公報
しかし、前記従来の電力線搬送通信においては、電力線の分岐が多かったり分電盤を中継したりすると、高周波信号が減衰して伝送損失が大きくなり、通信状態が悪くなるという問題があった。本願発明は、上記の現状を改善することを第1の課題とするものである。
ところで、既設の集合建築物においても、セキュリティシステムを最新式のものに更新したいという要望は多い。しかし、近年のセキュリティシステムでは一般に、インタホン同士をLANケーブルにて接続するため、専用信号線に代えてLANケーブルを設置する工事が必要になる。従って、導入コストがかかるという問題もあった。本願発明は、かかる問題を解消することを第2の課題とするものである。
本願発明者は始めに、既設の集合建築物にインタホン同士をつなぐ専用信号線が標準的に設けられている点に着目して、電力線搬送通信における伝送損失の問題を解消すると共に、既設の集合建築物に簡単に設置できる分波装置、及び、これを用いた集合建築物用の通信システムの発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1の発明は、電力線に高周波信号を重畳して通信を行える電力線通信端末を接続可能な分波装置であって、電力線、信号線及び前記電力線通信端末に接続した状態で、前記電力線以外に高周波信号を伝送するように構成されているというものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載した分波装置において、高周波信号を減衰させて遮断する高周波遮断部と、高周波信号のみを通過させる高周波通過部とを備えており、前記高周波遮断部にて、前記電力線通信端末への電力供給を許容しながら高周波信号が前記電力線に伝送されるのを遮断する一方、前記高周波通過部にて、高周波信号が前記信号線又は前記電力線通信端末に伝送されるのを許容しながら前記信号線への電力供給を遮断するように構成されているというものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載した分波装置において、前記高周波遮断部はチョークコイルであり、前記高周波通過部はバイパスコンデンサであるというものである。
請求項4の発明は、電力線及び信号線が敷設された集合建築物用の通信システムであって、前記電力線と前記信号線とに、請求項1〜3のうちいずれかに記載した分波装置の複数個が接続されているというものである。
請求項5の発明は、電力線に高周波信号を重畳して通信を行える電力線通信端末を接続可能な分波装置であって、電力線、これとは別の専用電線及び前記電力線通信端末に接続した状態で、前記電力線以外に高周波信号を伝送するように構成されているというものである。
請求項6の発明は、電力線及びこれとは別の専用電線が敷設された集合建築物用の通信システムであって、前記電力線と前記専用電線とに、請求項5に記載した分波装置が接続されており、前記専用電線には、電力線通信端末を接続させるための中継コンセントが複数設けられているというものである。
請求項1〜3の発明によると、分波装置が、電力線、信号線及び前記電力線通信端末に接続した状態で、前記電力線以外に高周波信号を伝送するように構成されているので、前記分波装置を介しての前記電力線通信端末間の通信には信号線を利用することになる。このため、前記電力線を利用した通信の場合に比べて伝送損失(信号減衰)を大幅に低減でき、伝送距離が長くなっても良好な通信状態が得られるという効果を奏する。従って、請求項4の発明に係る通信システムであれば、比較的高層の集合建築物にも適用できる。
しかも、請求項1〜4の発明では、電力線通信端末を用いるものでありながら電力線を使わないので、電力線搬送通信では常に懸念される周辺機器への電波障害の問題もなくなるという効果を奏する。
また、信号線は既設の集合建築物に標準的に装備されていることが多いので、これを利用すれば、分波装置の設置工事をしたのち前記分波装置に電力線通信端末を接続するだけで通信可能になるから、従来に比べて設置コストを低減でき、既存の集合建築物でも簡単に後付けできるという利点もある。
請求項5及び6の発明によると、分波装置が、電力線、これとは別の専用電線及び前記電力線通信端末に接続した状態で、前記電力線以外に高周波信号を伝送する構成になっているから、前記分波装置を介しての前記電力線通信端末間の通信には専用電線を利用することになる。
この場合、前記専用電線を敷設する必要があるものの、前記専用電線の分岐箇所をできるだけ減らして例えば分電盤を中継させなければ、高周波信号の伝送損失を抑制できるので、通信状態を良好にすることが可能になる。
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図5)に基づいて説明する。
(1).第1実施形態における集合建築物用の通信システム
まず、図1を参照しながら、第1実施形態における集合建築物用の通信システム(以下、システムと称する)について説明する。第1実施形態のシステムが採用された集合建築物は、複数の住戸2(室)と、各住戸2の居住者や来訪者が出入りする開閉扉5付きの共用玄関4(出入口)とを備えたマンション1である。共用玄関4は主(表)玄関以外に、通用玄関など複数個あってもよい。
このシステムは、訪問販売員や勧誘者のような人物、すなわち居住者にとって好ましからざる来訪者を共用玄関4からマンション1内に入れないようにすると共に、居住者にとって必要な来訪者のみを共用玄関4からマンション1内に入れるようにし、且つ、居住者等のプライバシーの保護も確保するようにしたものである。
マンション1の電力供給系統は次のような構成になっている。すなわち、マンション1の近傍に立設された電柱6に、中圧配電線7と単相3線式の低圧配電線8とが装架されている。中圧配電線7と低圧配電線8とは、中圧配電線7からの中圧電圧を低圧電圧に変換する変圧器9(トランス)を介して接続されている。低圧配電線8から分岐して延びる電力引込線10は、電力量メータ11を介してマンション1に設置された分電盤12に接続されている。この場合、分電盤12には、低圧配電線8から例えば100Vの電源電圧が供給される。
分電盤12からは、複数系統の電力線13がマンション1の各階に対応するように分岐して延びている。この点から明らかなように、分電盤12は複数系統に分岐した電力線13の根元部分になっている。なお、以下の説明及び図面では便宜上、各階に対応した電力線13に、下の階のものから順にアルファベットを付す場合がある(例えば1階の電力線の符号は13a、2階の電力線の符号は13b等)。
また、マンション1の信号線系統は次のような構成になっている。すなわち、マンション1内には、前述の電力線13とは別に、複数系統の信号線14がマンション1の各階に対応するように分岐して延びている。第1実施形態の信号線14としては、例えば2芯のVCTFケーブル等が採用される。なお、以下の説明及び図面では、電力線13の場合と同様に、各階に対応した信号線14に、下の階のものから順にアルファベットを付す場合がある(例えば2階の信号線の符号は14b、3階の信号線の符号は14c等)。また、電力線13及び信号線14は一般に、既設のマンション1(集合建築物)に標準的に装備されているものである。
共用玄関4の外側、マンション1の各住戸2、及び廊下や階段といった共用部3等には、分波装置としての電源コンセント16付きのデュプレクサ15が適宜配置されている。図1〜図4に示すように、各デュプレクサ15は、各階に対応した電力線13と信号線14との両方に接続されている。
第1実施形態では、共用玄関4の外側に集合インタホン装置21が配置されており、マンション1の各住戸2には室内インタホン装置22が配置されている。また、廊下や階段といった共用部3には非常警報装置23が配置されている。これら各装置21〜23は、電力線13に高周波信号を重畳して通信を実行できる電力線通信端末としての電力線通信モデム25を介して、各デュプレクサ15に接続されている。
詳細は省略するが、電力線通信モデム25は、電源コード26からの高周波信号をLAN信号に変換してから、LANケーブル24を介して各装置21〜23に伝送したり、LANケーブル24からのLAN信号を高周波信号に変換してから、電源コード26を介して各デュプレクサ15に伝送したりするように構成されている。
第1実施形態では、各装置21〜23から外部に延びるLANケーブル24を電力線通信モデム25のLANポート(図示省略)に接続し、各電力線通信モデム25から外部に延びる電源コード26先端の電源プラグ27を各デュプレクサ15の電源コンセント16に差し込み接続することによって、各装置21〜23は、電力線13から電力供給を受けると共に、信号線14を利用した通信ネットワークを構築している。なお、電力線通信モデム25の奏する機能を各装置21〜23に持たせてもよい(各装置21〜23を電力線通信モデム25内蔵型に構成してもよい)。
(2).デュプレクサの詳細構造
次に、図2〜図4を参照しながら、デュプレクサ15の詳細構造について説明する。
デュプレクサ15は、一対の配線ライン17a,17bと、高周波信号を減衰させて遮断する高周波遮断部の一例としての一対のチョークコイルLa,Lbと、高周波信号のみを通過させる高周波通過部の一例としての一対のバイパスコンデンサCa,Cbとを備えている。
両チョークコイルLa,Lbは、電力線13から電力線通信モデム25への電力供給を許容しながら、電力線通信モデム25や信号線14からの高周波信号が電力線13に伝送されるのを遮断するものである。両バイパスコンデンサCa,Cbは、高周波信号が電力線通信モデム25や信号線14に伝送されるのを許容しながら、電力線13から信号線14への電力供給を遮断するものである。
両配線ライン17a,17bの一端はデュプレクサ15の電源コンセント16につながっている。両配線ライン17a,17bの他端は電力線13に接続されている。各配線ライン17a,17bの中途部にチョークコイルLa,Lbがそれぞれ設けられている。
両配線ライン17a,17bのうち電源コンセント16とチョークコイルLa,Lbとの間にはそれぞれ、分岐ライン18a,18bの一端が接続されている。分岐ライン18a,18bの他端は信号線14に接続されている。各分岐ライン18a,18bの中途部にバイパスコンデンサCa,Cbがそれぞれ設けられている。両配線ライン17a,17bのうちチョークコイルLa,Lbと電力線13との間は、ノイズ防止用のコンデンサCcを介して接続されている。
(3).集合インタホン装置、室内インタホン装置、及び非常警報装置の詳細構造
次に、図1〜図4を参照しながら、集合インタホン装置21、室内インタホン装置22、及び非常警報装置23の詳細構造について説明する。
集合インタホン装置21は、例えば共用玄関4の外側で且つ開閉扉5の近傍に配置されていて、集合インタホン装置21の前面(表面)には、テンキー方式のキー入力装置31と、文字、記号及び画像等の情報を表示可能な液晶パネル32と、スピーカ33と、マイク34と、開閉扉5に対する自動開閉装置36を作動させる戸外解錠手段としてのキーロックスイッチ35とが設けられている。
集合インタホン装置21には、各種演算処理や通信制御を司る集合インタホン制御回路30が内蔵されている。詳細は図示していないが、集合インタホン制御回路30に、前述のキー入力装置31、液晶パネル32、スピーカ33、マイク34、及びキーロックスイッチ35が接続されている。キーロックスイッチ35に居住者毎に所有する鍵を差し込んで解錠操作すると、集合インタホン制御回路30からの指令にて自動開閉装置36が作動して、開閉扉5が一時的に開閉するように構成されている。
集合インタホン装置21は、電力線13につながるコンセント(図示省略)から別途電力を受け取っているが、電力線通信モデム25のLANポートから受け取ることも可能である。キー入力装置31はテンキー方式のものに限らず、液晶タッチパネル方式のものであってもよい。液晶タッチパネル方式の場合は、キー入力装置31と表示用の液晶パネル32とを一体に構成できる。戸外解錠手段は、キーロックスイッチ35に限らず、IDカードの認証データを読み取るカードリーダ、バイオメトリクスによる個人認証用の生体認証装置、又はRFIDタグの認証データを読み取るタグリーダであってもよい。
なお、詳細は図示していないが、自動開閉装置36は、開閉扉5を開閉するための正逆回転可能な駆動モータや、開閉扉5の開閉間隔を検知して駆動モータの入り切りを制限するための安全用リミットスイッチ、若しくは人を挟んだときの過負荷を検出するための過負荷センサ等を備えている。開閉許容装置は、前述の自動開閉装置36に限らず、開閉扉5を解施錠するための(開閉扉5自体は自動的に開閉しない)電気錠装置であってもよい。
前述の通り、室内インタホン装置22は各住戸2内に配置されており、その前面(表面)には、集合インタホン装置21からの呼び出しに応答するための応答スイッチ41と、液晶パネル42と、スピーカ43と、マイク44と、開閉扉5に対する自動開閉装置36を作動させる室内解錠手段としての解錠スイッチ45と、非常時入力手段としての非常スイッチ46とが設けられている。
室内インタホン装置22には、各種演算処理や通信制御を司る室内インタホン制御回路40が内蔵されている。詳細は図示していないが、室内インタホン制御回路40に、前述の応答スイッチ41、液晶パネル42、スピーカ43、マイク44、解錠スイッチ45、及び非常スイッチ46が接続されている。室内インタホン装置22も、電力線13につながるコンセント(図示省略)から別途電力を受け取っているが、電力線通信モデム25のLANポートから受け取ることも可能である。
前述の通り、非常警報装置23はマンション1における廊下や階段といった共用部3に適宜配置されており、その前面(表面)には、非常時入力手段としての非常スイッチ51と、液晶パネル52と、スピーカ53とが設けられている。非常警報装置23には、各種演算処理や通信制御を司る非常警報制御回路50が内蔵されている。詳細は図示していないが、非常警報制御回路50に、前述の非常スイッチ51、液晶パネル52、及びスピーカ53が接続されている。非常警報装置23も、電力線13につながるコンセント(図示省略)から別途電力を受け取っているが、電力線通信モデム25のLANポートから受け取ることも可能である。
(4).システムの使用態様
次に、第1実施形態におけるシステムの使用態様の一例について説明する。
マンション1のある住戸2に来訪する知人や親戚等の来訪者は、集合インタホン装置21のキー入力装置31にて、来訪先住戸2の住戸番号(例えば201等)を入力してから、キー入力装置31の呼び出しボタンを押す。ここで、液晶パネル32には、キー入力装置31にて入力された住戸番号が表示される。なお、入力内容の修正は、キー入力装置31の消去ボタンを押せばよい。
そうすると、キー入力装置31の入力指令を受け取った集合インタホン制御回路30は、集合インタホン装置21に接続された電力線通信モデム25に、入力指令のLAN信号を伝送する。特定のLAN信号は、電力線通信モデム25にて高周波信号に変換され、電力線通信モデム25に接続されたデュプレクサ15に伝送される。
デュプレクサ15に伝送された高周波信号は、両チョークコイルLa,Lbの作用にて電力線13に伝送されず、両分岐ライン18a,18bを介して信号線14に伝送される。このとき、電力線13から電力線通信モデム25への電力供給は、両チョークコイルLa,Lbの作用にて許容されているが、電力線13から信号線14への電力供給は、両バイパスコンデンサCa,Cbの作用にて遮断されている。
信号線14を介して来訪先住戸2のデュプレクサ15に伝送された高周波信号は、両チョークコイルLa,Lbの作用にて電力線13に伝送されず、デュプレクサ15に接続された電力線通信モデム25に伝送される。そして、電力線通信モデム25にて入力指令のLAN信号に変換され、入力指令のLAN信号が来訪先住戸2における室内インタホン装置22の室内インタホン制御回路40に伝送される。室内インタホン制御回路40は、入力指令のLAN信号を識別して、スピーカ43から呼び出し音を鳴らす。
呼び出された居住者が室内インタホン装置22の応答スイッチ41を押下すると、応答スイッチ41の入力指令を受け取った室内インタホン制御回路40が、集合インタホン装置21と室内インタホン装置22との通信(接続)を確立させ、集合インタホン装置21と室内インタホン装置22とが通話可能な状態になる。
居住者が相手を通話にて確認してから解錠スイッチ45を押下すると、解錠スイッチ45の解錠指令を受け取った室内インタホン制御回路40が、室内インタホン装置22に接続された電力線通信モデム25に解錠指令のLAN信号を伝送する。解錠指令のLAN信号は、電力線通信モデム25にて高周波信号に変換され、電力線通信モデム25に接続されたデュプレクサ15に伝送される。デュプレクサ15に伝送された高周波信号は、両チョークコイルLa,Lbの作用にて電力線13に伝送されず、両分岐ライン18a,18bを介して信号線14に伝送される。
信号線14を介して共用玄関4先のデュプレクサ15に伝送された高周波信号は、両チョークコイルLa,Lbの作用にて電力線13に伝送されず、デュプレクサ15に接続された電力線通信モデム25に伝送される。そして、電力線通信モデム25にて解錠指令のLAN信号に変換され、当該解錠指令のLAN信号が集合インタホン装置21の集合インタホン制御回路30に伝送される。集合インタホン制御回路30は、解錠指令のLAN信号を識別して、自動開閉装置36を作動させて開閉扉5を所定の短時間だけ開けたのち閉じるのである。
室内インタホン装置22の室内インタホン制御回路40は、解錠指令のLAN信号を送信すると集合インタホン装置21との通話状態を自動的に解除する一方、集合インタホン装置21の集合インタホン制御回路30は、解錠指令のLAN信号を受信すると室内インタホン装置22との通話状態を自動的に解除する。なお、来訪者がマンション1内から退出するときは、共用玄関4の内側にある退出スイッチ(図示省略)を押下すれば、自動開閉装置36が作動して開閉扉5が所定の短時間だけ開くことになる。
以上の構成によると、電力線13以外(信号線14及び電力線通信モデム25)に高周波信号を伝送するデュプレクサ15に、電力線通信モデム25を介して各インタホン装置21,22を接続しているので、電力線通信モデム25を用いながら、各インタホン装置21,22間の通信に、電力線13ではなく信号線14を利用することになる。このため、電力線13の場合に比べて伝送損失(信号減衰)を大幅に低減でき、伝送距離が長くなっても良好な通信状態が得られる。従って、高層マンションにも第1実施形態のシステムを採用できる。
しかも、電力線通信モデム25を用いながら、各インタホン装置21,22間の通信に電力線13を使わないので、電力線搬送通信では常に懸念される周辺機器への電波障害の問題もなくなる。
また、信号線14は既設のマンション1(集合建築物)に標準的に装備されていることが多いので、これを利用すれば、デュプレクサ15の設置工事は必要であるものの、各インタホン装置21,22間をつなぐ専用信号線を新たに敷設する必要がない。更に、各インタホン装置21,22に接続された電力線通信モデム25は、各デュプレクサ15の電源コンセント16に差し込み接続するだけで相互に通信可能になるから、各インタホン装置21,22の設置の手間は掛からない。従って、従来に比べてシステムの設置コストを低減でき、既存のマンション1でも簡単に後付けできる。
その上、信号線14を利用した通信では伝送損失が少ないので、電力線通信モデム25の消費電力が通常使用の場合に比べて少なくて済むという利点もある。
ところで、第1実施形態のシステムは、マンション1内への不法侵入を防止するだけでなく、防犯や安全対策を目的とした非常警報機能をも備えている。以下に、システムの有する非常警報機能について説明する。
ある住戸2内において、居住者が暴漢の侵入といった非常事態に遭遇した場合は、住戸2内にある室内インタホン装置22(以下、対応室内インタホン装置22という)の非常スイッチ46を押下する。そうすると、非常スイッチ46の非常時入力指令を受け取った室内インタホン制御回路40が、対応室内インタホン装置22に接続された電力線通信モデム25に非常時入力指令のLAN信号を伝送する。非常時入力指令のLAN信号は、電力線通信モデム25にて高周波信号に変換され、電力線通信モデム25に接続されたデュプレクサ15に伝送される。デュプレクサ15に伝送された高周波信号は、両チョークコイルLa,Lbの作用にて電力線13に伝送されず、両分岐ライン18a,18b及び信号線14を介して、対応室内インタホン装置22に関連したデュプレクサ15以外の全デュプレクサ15に伝送される。
これらデュプレクサ15に伝送された高周波信号は、両チョークコイルLa,Lbの作用にて電力線13に伝送されず、電力線通信モデム25に伝送される。そして、電力線通信モデム25にて非常時入力指令のLAN信号に変換され、当該非常時入力指令のLAN信号が各装置21〜23の制御回路30,40,50に伝送される。各制御回路30,40,50は、非常時入力指令のLAN信号を識別して、各装置21〜23のスピーカ33,43,53から一斉に警報音を鳴らすか、又は合成音声にて「○○号室にて非常事態発生」の案内(ガイダンス)を行うのである。対応室内インタホン装置22自身もスピーカ43から警報音又は合成音声を発することは言うまでもない。
ここで、各装置21〜23の液晶パネル32,42,52には、対応室内インタホン装置22が配置されている住戸2の住戸番号が表示される。対応室内インタホン装置22の非常スイッチ46をもう一度押下すれば、各装置21〜23のスピーカ33,43,53からの警報音又は合成音声は停止する。
また、マンション1の共用部3において、居住者が暴漢に襲われるといった非常事態に遭遇した場合は、その近傍に備え付けられている非常警報装置23(以下、対応非常警報装置23という)の非常スイッチ51を押下する。そうすると、非常スイッチ56の非常時入力指令を受け取った非常警報制御回路50が、対応非常警報装置23に接続された電力線通信モデム25に非常時入力指令のLAN信号を伝送する。非常時入力指令のLAN信号は、電力線通信モデム25にて高周波信号に変換され、電力線通信モデム25に接続されたデュプレクサ15に伝送される。デュプレクサ15に伝送された高周波信号は、両チョークコイルLa,Lbの作用にて電力線13に伝送されず、両分岐ライン18a,18b及び信号線14を介して、対応非常警報装置23に関連したデュプレクサ15以外の全デュプレクサ15に伝送される。
これらデュプレクサ15に伝送された高周波信号は、両チョークコイルLa,Lbの作用にて電力線13に伝送されず、電力線通信モデム25に伝送される。そして、電力線通信モデム25にて非常時入力指令のLAN信号に変換され、当該非常時入力指令のLAN信号が各装置21〜23の制御回路30,40,50に伝送される。各制御回路30,40,50は、非常時入力指令のLAN信号を識別して、各装置21〜23のスピーカ33,43,53から一斉に警報音を鳴らすか、又は合成音声にて「○○にて非常事態発生」の案内(ガイダンス)を行うのである。対応非常警報装置23自身もスピーカ53から警報音又は合成音声を発する。
ここで、各装置21〜23の液晶パネル32,42,52には、対応非常警報装置23が配置されている共用部3を示す情報が表示される。対応非常警報装置23の非常スイッチ51をもう一度押下すれば、各装置21〜23のスピーカ33,43,53からの警報音又は合成音声は停止する。
以上の構成によると、各室内インタホン装置22及び各非常警報装置23に設けられた非常スイッチ46,51の入力操作に対応して、集合インタホン装置21、各室内インタホン装置22、及び各非常警報装置23を一斉に警報報知させるので、マンション1内にいる居住者やマンション1周辺の人に、非常事態発生の事実を即座に報知できる。
このため、マンション1内にいる居住者やマンション1周辺の人は、その場に駆け付けたり警察や消防に通報したりと、非常事態の解消のために素早く対処することが可能になる。特に居住者等がその場に駆け付ければ、警察官や外部管理事務所の人が通報に基づいて駆け付けるよりも素早い対応が可能になる。従って、マンション1全体の救援・防犯体制の確立に寄与できるのである。
(5).第2実施形態における集合建築物用の通信システム
図5は、集合建築物用の通信システムの第2実施形態を示している。ここで、第2実施形態において構成及び作用が第1実施形態と変わらないものは、第1実施形態の場合と同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図5に示す第2実施形態のシステムは、各装置21〜23間をつなぐネットワーク(通信網)として、信号線14に代えて電力線13とは別の専用電線64を採用する点と、分波装置として、1つのローパスフィルタ65を採用する点において、第1実施形態のものと相違している。
第2実施形態の専用電線64としては、例えば2芯のVVFケーブル等が採用される。専用電線64には、電力線通信モデム25を接続させるための中継コンセント66が、例えば共用玄関4の外側、マンション1の各住戸2、及び廊下や階段といった共用部3等に複数設けられている。
ローパスフィルタ65は、マンション1内の任意の箇所に1つだけ配置されていて、電力線13と専用電線64とに接続されている。ローパスフィルタ65の基本構成は、第1実施形態のデュプレクサ15とほとんど変わらない。ただ、ローパスフィルタには一対のバイパスコンデンサCa,Cbがないだけである。このため、電力線13からローパスフィルタを経て専用電線64に向かう電力供給は許容されている。
以上のように構成した場合は、電力線13以外(専用電線64及び電力線通信モデム25)に高周波信号を伝送するローパスフィルタ65に、電力線通信モデム25を介して各装置21〜23を接続すると共に、専用電線64上の各中継コンセント66にも、電力線通信モデム25を介して各装置21〜23を接続するから、電力線通信モデム25を用いながら、各装置21〜23間の通信に専用電線64を利用することになる。
この場合、専用電線64を敷設する必要があるものの、専用電線64の分岐箇所をできるだけ減らして分電盤12を中継させなければ、高周波信号の伝送損失を抑制できるから、各装置21〜23間の通信状態を良好にすることが可能になる。また、信号線14に代えて専用電線64を敷設する必要があるものの、分波装置としてのローパスフィルタ65は1つだけあればよいので、システムの設置コストも抑えられる。
ただし、専用電線64には、高周波信号だけでなく電力線からの電力も供給されるので、電波障害を防止するために十分なシールドをする等の対処をしておくのが好ましい。
(6).その他
上記した実施形態の各構成は図示のものに限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
第1実施形態における集合建築物用の通信システムの概略説明図である。 集合インタホン装置とデュプレクサとの関係を示す機能ブロック図である。 室内インタホン装置とデュプレクサとの関係を示す機能ブロック図である。 非常警報装置とデュプレクサとの関係を示す機能ブロック図である。 第2実施形態における集合建築物用の通信システムの概略説明図である。
符号の説明
Ca,Cb 高周波通過部としてのバイパスコンデンサ
La,Lb 高周波遮断部としてのチョークコイル
1 集合建築物としてのマンション
2 住戸(室)
3 共用部(廊下や階段)
4 共用玄関(出入口)
5 開閉扉
13 電力線
14 信号線
15 分波装置としてのデュプレクサ
16 電源コンセント
17a,17b 配線ライン
18a,18b 分岐ライン
64 専用電線
65 分波装置としてのローパスフィルタ
66 中継コンセント

Claims (6)

  1. 電力線に高周波信号を重畳して通信を行える電力線通信端末を接続可能な分波装置であって、
    電力線、信号線及び前記電力線通信端末に接続した状態で、前記電力線以外に高周波信号を伝送するように構成されている、
    分波装置。
  2. 高周波信号を減衰させて遮断する高周波遮断部と、高周波信号のみを通過させる高周波通過部とを備えており、
    前記高周波遮断部にて、前記電力線通信端末への電力供給を許容しながら高周波信号が前記電力線に伝送されるのを遮断する一方、前記高周波通過部にて、高周波信号が前記信号線又は前記電力線通信端末に伝送されるのを許容しながら前記信号線への電力供給を遮断するように構成されている、
    請求項1に記載した分波装置。
  3. 前記高周波遮断部はチョークコイルであり、前記高周波通過部はバイパスコンデンサである、
    請求項2に記載した分波装置。
  4. 電力線及び信号線が敷設された集合建築物用の通信システムであって、
    前記電力線と前記信号線とに、請求項1〜3のうちいずれかに記載した分波装置の複数個が接続されている、
    集合建築物用の通信システム。
  5. 電力線に高周波信号を重畳して通信を行える電力線通信端末を接続可能な分波装置であって、
    電力線、これとは別の専用電線及び前記電力線通信端末に接続した状態で、前記電力線以外に高周波信号を伝送するように構成されている、
    分波装置。
  6. 電力線及びこれとは別の専用電線が敷設された集合建築物用の通信システムであって、
    前記電力線と前記専用電線とに、請求項5に記載した分波装置が接続されており、前記専用電線には、電力線通信端末を接続させるための中継コンセントが複数設けられている、
    集合建築物用の通信システム。
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