JP2010055427A - 誘導加熱コイル設計支援のためのシミュレーション方法 - Google Patents

誘導加熱コイル設計支援のためのシミュレーション方法 Download PDF

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Abstract

【課題】端面に複雑形状を有する被加熱部材を効率的に高周波誘導加熱するためのコイルを提供する。
【解決手段】円形の外周縁を有する端面に円形より小さい径を有する円形の内周縁によって画成した開口部と、内周縁と外周縁との間で半径方向に沿って延出していて円形の中心まわりに等角度間隔に設けた複数のスリットと、を有すると共に、外周縁から外側へ突出し円形の中心まわりに等角度間隔に設けた複数の凸部を有する被加熱部材を、誘導加熱コイルで加熱した場合の被加熱部材の渦電流分布及び発熱分布をコンピュータでシミュレーションする方法であって、被加熱部材と誘導加熱コイルのCADデータをコンピュータに読み込む第1工程と、シミュレーションの条件を入力する第2工程と、第1工程で取り込んだCADデータと第2工程で設定した条件とに基づいて有限要素解析を行う第3工程と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばスリット付き複雑形状のワークを均一加熱するための高周波誘導加熱用のコイル(以下、誘導加熱コイルと言う)に係り、特に該誘導加熱コイルを設計するためのシミュレーション方法に関する。
従来、自動車の駆動機構には、金属製の部材(以下、ワークと言う)が利用されている。この種のワークは、耐摩耗性や機械的強度を高めるために、表面に所定の熱処理を施すことが望ましい。
一般に、自動車を構成するセンターピラーなどの車体部品は、高周波焼入れによって強度が向上されている。
この種のワークとして、図8に示すものが考えられる。図8に示すワーク50は、円形の外周縁50Aと同心上で外周縁50Aより小さい径の円形の内周縁50Bによって画成された開口部51と、内周縁50Bと外周縁50Aとの間に形成された複数のスリット52と、を有している。各スリット52は半径方向に沿って延出していて外周縁50A及び内周縁50Bの中心50Cまわりに等角度間隔に設けられている。図示例では、12個のスリット52が、中心50Cまわりに30度間隔に設けられている。
この種のスリット付き複雑形状の平板ワーク50の表面を均一に加熱するための高周波誘導加熱用のコイルは、複雑形状を有さない平板ワーク(図示省略)の表面を加熱するための高周波誘導加熱用コイルをそのまま利用することはできない。
そこで、通常、当該ワーク50に適したコイルの作製はベテランが担当し、その経験と実績から適したものが案出されて形作られる。
特許文献1には、所定の幅を有し孔や溝が穿設されている環状の被加熱面を誘導加熱するための高周波加熱コイル体が開示されている。
実開平6−60096号公報
しかし、誘導加熱用のコイルについての経験や知識等の少ない者がコイル設計に従事した場合、加熱中のワークの温度や渦電流分布は把握が困難であるため、複数の試作品を作製することになり、時間ばかりかコストも嵩んでしまう。
そこで、複雑形状のワーク用のコイル設計の際、コンピュータシミュレーションを行って、試作コイルの有効性を確認できれば、試作回数を低減することができる。さらに、シミュレーションで加熱中のワークの温度や渦電流分布を確認してトライアンドエラーを実施することで、ワークに最適なコイルを設計することができる。
本発明は、上記の課題に鑑み、スリット付き複雑形状の表面を有する被加熱部材を効率的に高周波誘導加熱するコイルを設計するためのシミュレーション方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、円形の外周縁を有する端面に、この円形と同心上で円形より小さい径を有する円形の内周縁によって画成された開口部と、内周縁と外周縁との間で半径方向に沿って延出していて円形の中心まわりに等角度間隔に設けられた複数のスリットと、を有すると共に、外周縁から外側へ突出していて、円形の中心まわりに等角度間隔に設けられた複数の凸部と、を有する被加熱部材に対して誘導加熱コイルで加熱した場合の被加熱部材の渦電流分布及び発熱分布をコンピュータでシミュレーションする方法であって、被加熱部材と誘導加熱コイルのCADデータをコンピュータに読み込む第1工程と、シミュレーションの条件を入力する第2工程と、第1工程で取り込んだCADデータと第2工程で設定した条件とに基づいてFEM解析を行う第3工程と、を備えたことを特徴としている。
本発明のシミュレーション方法はさらに、第3工程の解析結果を視覚化する第4工程を備えている。
さらに、本発明の誘導加熱コイルは、前記のシミュレーション方法によって被加熱部材に及ぼす渦電流分布をシミュレーションした誘導加熱コイルであって、二つの第1扇状コイル部と一つの第2扇状コイル部とが連なっていて、第1扇状コイル部は、中心の傍らの位置から半径方向に沿って外周縁側へ延出していて所定の角度で開いた二つの第1径方向部と、これらの第1径方向部の外周縁側の端部を連結する弧状の第1円弧部と、から成り、第2扇状コイル部は、中心の傍らの位置から半径方向に沿って外周縁側へ延出していて所定の角度で開いた二つの第2径方向部と、これらの第2径方向部の外周縁側の端部を連結する弧状の第2円弧部と、から成り、第1円弧部は、スリットの半径方向外側の端部から外周縁までに亘る中間領域で円形と同心上の第1の仮想円上に沿うように配設され、第2円弧部は、凸部を覆うように第1の仮想円よりも半径の大きい第2の仮想円上に沿うように配設されていることを特徴としている。
本発明の誘導加熱コイルにおいて、二つの第2径方向部が成す角度は、二つの第1径方向部が成す角度よりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、シミュレーションによって複雑形状のワークに対し、各種形状のコイルが及ぼす影響によるワークにおける渦電流分布及び発熱分布を確認することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
背景技術で説明した部材と同一の部材については、同じ符号を付してその説明は省略する。
本発明の実施形態に係るシミュレーション方法は、コンピュータが実行するソフトウェアによって実現される。このシミュレーション方法は、図1に示すように、ワーク、コイルのCADデータをコンピュータに読み込む第1工程と、シミュレーションの条件である周波数、電圧値、電流値、温度、加熱時間、冷却時間などのサイクルタイムを入力する第2工程と、第1工程で取り込んだモデルのデータと第2工程で設定した条件とに基づいて有限要素解析を行う第3工程と、第3工程の解析結果を表示する第4工程と、を備えている。
なお、本実施形態では、図8に示すワーク50を対象としてコイルによる渦電流分布及び発熱分布のシミュレーションを行う場合について説明する。
ここで、第3工程では、ソフトウェアが計算、即ち有限要素法(Finite Element Method;FEM)によって磁場,温度場を連成した解析の計算を行う。具体的には、本実施形態では、リードタイムを考慮し、有限要素法に基づいた磁場解析を中心として、ワーク50の渦電流分布及び発熱分布を主にシミュレーションする。第3工程における計算の結果として、渦電流によるワーク50の電流分布をディスプレイに表示させる(第4工程)。例えば、ワーク50における電流密度の高い領域を低い領域とは異なる色で表示させる。コンピュータの操作者は、このようなグラフィックを見て、当該ワーク50の渦電流分布が適切であるか確認する。そして、本実施形態に係るシミュレーション方法では、ワーク50の渦電流分布が適切でない場合(判断ステップとしての第5工程でNGと操作者が判断した場合)には、第1工程に戻り、形状を修正したコイルモデルのCADデータを再度読み込み、シミュレーションを繰り返すことを特徴としている。
このように、本実施形態に係るシミュレーション方法を繰り返すことで、本願の発明者は、図8に示すワーク50に適した後述の図6及び図7に示すコイル1を創作するに至った。
以下、ワーク50に好適な図6のコイル1を創作するまでの過程を説明する。この創作過程において、図6に示すコイル1を完成させる前に、主に第1〜第4の試作品のコイルを設計し、これらの試作コイルが図8に示すワーク50に適切であるか本発明の実施形態に係るシミュレーション方法でワーク50の渦電流分布及び発熱分布を計算させ、操作者がディスプレイに表示されたグラフィックを見て当該試作コイルの効果の確認を行った。
〔第1の試作品について〕
図2に示す高周波誘導加熱用のコイル100は、大径の第1コイル部101と、この第1コイル部101の内側に配設される小径の第2コイル部102と、を備えている。これらの第1コイル部101及び第2コイル部102は、断面が四角型に形成された、金属でなる筒状部材である。第1コイル部の幅W4は第2コイルの幅W5よりも広く、高さH1も第2コイルの高さH2より高くなるように寸法が選定されている。
第1コイル部101は、その底面がワーク50の外周縁50Aの内側から外側に亘る領域を覆うように配設され、第2コイル部102は、その底面がワーク50の内周縁50Bより外周縁50A側の面上を覆うように配設されている。
本実施形態に係るシミュレーション方法において、このように構成されたコイル100とワーク50のCADデータを第1工程でコンピュータへ読み込み、第2工程としてコンピュータの操作者が上記条件を設定する。ここで、条件として周波数を200(kHz)に設定する。
そして、第3工程として、ソフトウェアが上記のCADデータとサイクルタイム等の条件とに基づいて、当該コイルから生じる磁界によるワーク50に生ずる渦電流分布及び発熱分布を計算する。この計算の結果として、ワーク50の加熱される表面の渦電流密度はワークの円周方向が高くなる。
このようなシミュレーションによって、図2に示すコイル100ではワークの外周縁50Aに沿って円周方向の渦電流が発生するが、スリット52同士の間において内周縁寄りの領域や外周縁寄りの領域は十分に加熱することができないことが分かった。このシミュレーションによって、半径方向に渦電流を流す必要があることを見出した。このようなシミュレーション結果に基づいて、第2の試作品を設計する。
〔第2の試作品について〕
図3に示す高周波誘導加熱用のコイル110は、3つの扇状コイル部111A〜111Cを中心50Cまわりに等角度間隔に配置し、各扇状コイル部111A〜111Cを連成して構成されている。
各扇状コイル部111A〜111Cは、ワーク50の中心50Cの傍らの位置から半径方向に沿ってワーク50の外周縁50A側へ延出していて所定の角度で開いた二つの径方向部112A,112Bと、これらの径方向部112A,112Bの外周縁50A側の端部を連結する円弧部112Cと、からなる。ここで、ワーク50の中心50Cの傍らとは、中心50Cから半径10〜40mmの円内の領域を言う。この領域内に各径方向部112A,112Bの基端部が位置し、具体的には図示するように各径方向部112A,112Bの基端部はワーク50の内周縁50Bの内側に位置しており、各径方向部112A,112Bは内周縁50Bの内側から外周縁50A側へ延出している。各扇状コイル部111A〜111Cは、一方の径方向部112A(112B)における中心50C側の端部が連結部113を介して隣り合う扇状コイルの隣接側の径方向部112B(112A)における中心側の端部に連結して、構成されている。この連結部113も、各径方向部112A,112Bの基端部と同様に、ワークにおける内周縁50Bの内側に配設される。
円弧部112Cは、その底面がワーク50の外周縁50Aの内側から外側に亘る領域を覆うように配設されている。
本実施形態に係るシミュレーション方法において、このように構成されたコイル110とワーク50のCADデータを第1工程でコンピュータに読み込み、第2工程としてコンピュータの操作者が上記条件を設定する。そして、第3工程として、ソフトウェアがCADデータとサイクルタイム等の条件とに基づいて、当該コイルから生じる磁界によってワーク50に生ずる渦電流分布及び発熱分布を計算する。ここで、実際の高周波加熱装置ではワークを回転させながらワーク表面を加熱するので、本実施形態では、基準の位置にあるワークをシミュレーションする他、基準位置から+15°回転させた状態におけるワークをシミュレーションする。
この計算の結果として、コイル110によれば、コイル直下に渦電流が流れることを確認でき、全体の渦電流分布バランスは良好であるが、外周縁50Aから突出した凸部53では温度が低い。そこで、凸部53でも渦電流が流れるよう、コイルを微調整する必要がある。
〔第3の試作品について〕
図4に示す高周波誘導加熱用のコイル120は、3つの扇状コイル部111A〜111Cを中心50Cまわりに等角度間隔に配置し互いに連成して構成されている点で図3のコイル110と同じであるが、図3のコイル110に比して、各径方向部112A,112Bが短く形成されている。
具体的には、各円弧部112Cが、スリット52(図4では省略)の半径方向外側の端部から外周縁50Aへ亘る中間領域でワーク50と同心上で、外周縁の円より半径の小さい第1の仮想円a’上に沿うように配設されている。ここで、第1の仮想円a’の半径は、スリット52の半径方向外側の端部と外周縁50Aとの中間位置から中心50Cまでの長さに設定されている。
本実施形態に係るシミュレーション方法において、コイル120とワーク50のCADデータを第1工程でコンピュータに読み込み、第2工程としてコンピュータの操作者が上記条件を設定する。そして、第3工程として、ソフトウェアが上記のCADデータとサイクルタイム等の条件とに基づいて、コイル120から生じる磁界によってワーク50に生ずる渦電流分布及び発熱分布を計算する。
このコイル120によって、加熱コイルの外径寸法を狭め、ワーク50における外周縁50Aとスリット52周辺における渦電流分布の変化を確認したところ、ワーク50の外周縁50Aには余り電流が流れないが、スリット52周辺における渦電流分布は改善した。
このシミュレーションによって、外周縁部の電流分布を改善するようコイル120をベースにモデルを改善する必要があることを見出した。このようなシミュレーション結果に基づいて、第4の試作品を設計する。
〔第4の試作品について〕
図5に示す高周波誘導加熱用のコイル130は、3つの扇状コイル部111A〜111Cを中心50Cまわりに等角度間隔に配置し互いに連成して構成されている点で図3のコイル110と同じであるが、図3のコイル110に比して、外周縁50Aにより多くの電流を流すために各径方向部112A,112Bが長く形成されている。具体的には、各円弧部112Cが、前記凸部53を覆うように、外周縁50Aよりも半径の大きい第2の仮想円b’上に沿うように配設されている。
本実施形態に係るシミュレーション方法において、コイル130とワーク50のCADデータを第1工程でコンピュータに読み込み、第2工程としてコンピュータの操作者が上記条件を設定する。そして、第3工程として、ソフトウェアが上記のCADデータとサイクルタイム等の条件とに基づいて、コイル130から生じる磁界によってワーク50に生ずる渦電流分布及び発熱分布を計算する。
このコイル130によって、加熱コイルの外径寸法を広げ、ワーク50における外周縁50Aとスリット52周辺における電流分布の変化を確認したところ、外周縁50Aにおける凸部53の渦電流分布は改善したが、ワーク50のスリット52周辺、特にスリット端部における渦電流が十分に流れないので、さらに改善を要する。
以上のように、第3,第4の試作によって、加熱コイル外径とワークに生ずる渦電流の関係を求めた。ワーク50を均一に加熱するためには、部分的に外径を調整する必要があることを見出した。
図8に示すワーク50、即ちスリット付き複雑形状の表面を有するワーク50に対し、以上の第1の試作品〜第4の試作品のシミュレーションを行った結果、本発明者は、次のコイル1がワーク50を均一に加熱するのに好適であることを見出した。
以下、本発明のシミュレーション方法を反映させて製作したコイル1について詳述する。
図6は図8に示すワーク50に適したコイル1の平面図であり、図7は図8のワーク50に対して図6のコイル1を配置した状態を示す図である。
本実施形態におけるワーク50の寸法は、外周縁50Aを成す円の半径R1(図8参照)が55mmであり、内周縁50Bを成す円の半径R2(図8参照)が13mmである。
コイル1は、一本の断面四角型の筒状部を屈曲形成させたように、二つの第1扇状コイル部10A,10Bと、一つの第2扇状コイル部20と、が連なって構成されている。
各第1扇状コイル部10A,10Bは、ワークの中心50Cの傍らの位置から半径方向に沿ってワーク50の外周縁50A側へ延出していて所定の角度で開いた二つの第1径方向部11A,11Bと、これらの第1径方向部11A,11Bの外周縁側の端部を連結する弧状の第1円弧部11Cと、から成る。ここで、ワーク50の中心50Cの傍らとは、中心50Cから半径10〜40mmの円内の領域を言う。
第1径方向部11A,11B及び第1円弧部11Cの幅、即ちコイル1を成す角筒の幅W1は、ワークにおける隣り合うスリット52同士の幅程度、例えば8mmに設定されている。
二つの第1径方向部11A,11Bがなす角度θ1は、図示例の場合、75°であるが、45°〜105°程度であってもよい。角度θ1及び後述する角度θ2〜θ4は、第1径方向部等の半径方向に延びる部材を成す角筒の幅方向における中間を通る線を基準としたものである。
第1円弧部11Cは、スリット52(図8参照)の半径方向外側の端部から外周縁までの中間領域でワーク50と同心上の第1の仮想円C1(図6参照)上に沿うように配設されている。図示例の場合、第1の仮想円C1の半径は45mmであり、第1円弧部11Cの内側の縁11Dが第1の仮想円C1に沿うように形成されている。
二つの第1扇状コイル部10A,10Bは、図示のように、一方の第1扇状コイル部10Aにおける他方の第1扇状コイル部10B側の第1径方向部11Aと、この第1径方向部11Aと隣り合う他方の第1扇状コイル部10Bにおける第1径方向部11Bとがなす角度θ2が60°になるように配設されている。一方の第1扇状コイル部10Aの第1径方向部11Aにおける中心50C側の端部には、外部からコイル1内に水を供給するための給水管41が、他方の第1扇状コイル部10Bの第1径方向部11Bにおける中心50C側の端部には、コイル1内の水を排出するための排水管42が連結されている。これらの給水管41、排水管42は、コイル1と同様に、金属、例えば銅で構成されている。
第2扇状コイル部20は、ワークの中心50Cの傍らの位置から半径方向に沿って外周縁50A側へ延出していて所定の角度で開いた二つの第2径方向部21A,21Bと、これらの第2径方向部21A,21Bの外周縁50A側の端部を連結する弧状の第2円弧部21Cと、から成る。
二つの第2径方向部21A,21Bが成す角度θ3は、図示例の場合、90°であるが、45°〜180°であってもよい。
第2円弧部21Cは、ワーク50の凸部53を覆うように、第1の仮想円C1よりも半径の大きい第2の仮想円C2上に沿うように配設されている。図示例の場合、第2の仮想円C2の半径は55mmであり、第2円弧部21Cの内側の縁21Dが第2の仮想円C2に沿うように形成されている。これにより、第2円弧部21Cは、半径方向において第1円弧部11Cよりも外側に配設されている。
第2扇状コイル部20を成す角筒も、第1扇状コイル部10A,10Bと同様に、例えば幅W3が8mmに設定されている。
この第2扇状コイル部20は、第2径方向部21A(21B)とその隣の第1扇状コイル部10A(10B)の第1径方向部11B(11A)とでなす角度θ4が30°となるように配設されている。第2径方向部21A(21B)は、中心50C側の端部を隣りの第1扇状コイル部10A(10B)の第1径方向部11B(11A)の中心50C側の端部と、連結部30A(30B)を介して連結している。
二つの第1扇状コイル部10A,10Bと一つの第2扇状コイル部20とは、それらの内部が連通するように、一体に構成されている。
このように構成されたコイル1によってワークを加熱した場合の作用について説明する。なお、コイル1は固定配置され、ワーク50が中心50Cまわりに所定の角速度で矢印A(図7参照)方向へ回転する。
本実施形態のコイル1において、第1扇状コイル部10A,10Bの第1径方向部11A,11Bによって、ワークの内周縁50Bから半径方向に沿った領域、図示の場合、スリットの長手方向に沿ってその両縁周辺が加熱される。
また、第1扇状コイル部10A,10Bの第1円弧部11Cによって、ワークにおける外側端部寄り部分が集中的に加熱される。このように、第1円弧部11Cによって加熱される領域部分より外側(即ち半径方向外側)が、第2扇状コイル部20の第2円弧部21Cによって加熱される。
そして、所定の速度でワーク50が回転されることで、ワーク50の表面はむらなく全体が十分に加熱される。
このように、本実施形態に係るコイル1によれば、上記のように、三つの扇型のコイル部材(即ち第1扇状コイル部10A,10B及び第2扇状コイル部20)を連結し、その内の一つのコイル部材(第2扇状コイル部20)が加熱する領域を他のコイル部材による加熱領域と部分的にずらしている。
したがって、本発明の実施形態に係るコイル1によれば、ワーク50が所定の速度で回転することでワーク50の表面全体をむらなく均一に加熱できる。よって、本コイル1によれば、複雑形状を円形の表面に有する薄板の表面を十分に加熱処理することができる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々の設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
例えば、本発明のコイルによって誘導加熱を施す被加熱部材は、上記のワーク50のような平板状のものに限らず、端面が図8に示すワークのようにスリットを有する柱状の部材であってもよい。
本発明のコイルは、上記実施形態の数値に寸法や角度が限定されるものではない。たとえば、第2扇状コイル部における第2径方向部21A,21Bが成す角度θ3は、第1扇状コイル部における第1径方向部11A,11Bが成す角度θ1と同じであってもよく、円周上における体積バランスから角度を決定することが重要である。
前述の第1工程では、別のコンピュータ等のCADソフトで設計したモデルのデータを、操作者が本シミュレーションを行うソフトウェアを実行するパソコンに取り込む場合を説明したが、ソフトウェアがワークのベースモデルをディスプレイに表示し、そのベースモデルの寸法がパラメータとなっていて、操作者が当該パラメータに所望の数値を設定することで、処理すべきモデル(3Dモデル)が画成されるように工程が進められても良い。例えば、図8に示すような内周縁と外周縁との間の領域にスリットを有するワークを加熱するためのコイルを設計するにあたり、ベースコイルをソフトウェアが用意していて、このベースコイルが扇状コイルで、その寸法や角度がパラメータになっていて、これらのパラメータ数値をディスプレイに表示される内容に従って設定するように構成されてもよい。このようなパラメータ数値の他、加熱時における周波数等の条件が入力されて、ワークに生ずる渦電流分布及び発熱分布がシミュレーション(計算)され、その結果がディスプレイに表示される。
本発明の実施の形態に係るシミュレーション方法のフローチャートである。 図8のワークを加熱する第1の試作品のコイルを示す斜視図である。 図8のワークを加熱する第2の試作品のコイルを示す斜視図である。 図8のワークを加熱する第3の試作品のコイルを示す斜視図である。 図8のワークを加熱する第4の試作品のコイルを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るコイルの平面図である。 図8のワークに対して図6のコイルを配置した状態を示す図である。 本発明の実施形態に係るワークの平面図である。
符号の説明
1 コイル
10A,10B 第1扇状コイル部
11A,11B 第1径方向部
11C 第1円弧部
11D 縁
20 第2扇状コイル部
21A,21B 第2径方向部
21C 第2円弧部
21D 縁
30A,30B 連結部
41 給水管
42 排水管
50 ワーク
50A 外周縁
50B 内周縁
50C 中心
51 開口部
52 スリット
53 凸部
C1 第1の仮想円
C2 第2の仮想円
R1,R2 半径
W1〜W5 幅
θ1〜θ4 角度

Claims (4)

  1. 円形の外周縁を有する端面に、上記円形と同心上で上記円形より小さい径を有する円形の内周縁によって画成された開口部と、上記内周縁と上記外周縁との間で半径方向に沿って延出していて上記円形の中心まわりに等角度間隔に設けられた複数のスリットと、を有すると共に、上記外周縁から外側へ突出していて、上記円形の中心まわりに等角度間隔に設けられた複数の凸部と、を有する被加熱部材を誘導加熱コイルで加熱した場合の上記被加熱部材の渦電流分布及び発熱分布をコンピュータでシミュレーションする方法であって、
    上記被加熱部材と上記誘導加熱コイルのCADデータをコンピュータに読み込む第1工程と、上記シミュレーションの条件を入力する第2工程と、上記第1工程で取り込んだCADデータと上記第2工程で設定した条件とに基づいて有限要素解析を行う第3工程と、を備えたことを特徴とする、上記シミュレーション方法。
  2. 前記第3工程の解析結果を視覚化する第4工程を備えたことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレーション方法。
  3. 前記請求項1のシミュレーション方法によって前記被加熱部材に及ぼす熱分布をシミュレーションした誘導加熱コイルであって、
    二つの第1扇状コイル部と、一つの第2扇状コイル部と、が連なっていて、
    上記第1扇状コイル部は、上記中心の傍らの位置から上記半径方向に沿って上記外周縁側へ延出していて所定の角度で開いた二つの第1径方向部と、これらの第1径方向部の上記外周縁側の端部を連結する弧状の第1円弧部と、から成り、
    上記第2扇状コイル部は、上記中心の傍らの位置から上記半径方向に沿って上記外周縁側へ延出していて所定の角度で開いた二つの第2径方向部と、これらの第2径方向部の上記外周縁側の端部を連結する弧状の第2円弧部と、から成り、
    上記第1円弧部は、上記スリットの半径方向外側の端部から上記外周縁までに亘る中間領域で上記円形と同心上の第1の仮想円上に沿うように配設され、
    上記第2円弧部は、上記凸部を覆うように、上記第1の仮想円よりも半径の大きい第2の仮想円上に沿うように配設されていることを特徴とする、誘導加熱コイル。
  4. 前記二つの第2径方向部が成す角度は、前記二つの第1径方向部が成す角度よりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載の誘導加熱コイル。
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