JP2010054338A - 液状化発生評価システム - Google Patents
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Abstract
地震対策等の評価対象地点における液状化に関する地盤調査評価データから得られる液状化発生の可能性の有無を分離する分離面に基づいて、評価対象地点における液状化発生危険度の定量評価を実施することができる液状化発生評価システムを提供する。
【解決手段】
入力部1と、演算部2と、格納部11,13,15,17,22と、出力部7を有し、評価対象地点における液状化発生の要因に係るn次元の要因データと評価対象地点に対する要因データ毎に構成されるn次元の地盤調査学習データ14を用いて得られる液状化発生の可能性の有無を分離する分離面を基準として、ある評価対象地点における地盤調査評価データ12を基に液状化発生危険度を算出して定量評価を実施するための液状化発生評価システムである。
【選択図】図1
Description
地震による被害には大きく分けて二つあり、1つ目に地震動による建物や交通機関等への直接被害、2つ目に地盤の変状による構造物被害(液状化・地盤変形)があげられる。本願発明は、2つの地震被害の中でも、近年、広範囲かつ大規模に、しかも特徴的な被害形態が数多く出現している液状化に対する地盤の評価に注目してなされたものである。
地盤の液状化は、昭和39年の新潟地震を契機に、地盤の液状化現象が注目され始めた。平成7年の兵庫県南部地震では、湾岸埋立地において広域的に液状化が発生し大きな被害をもたらした。また、近年では新潟県中越地震や能登半島地震において、水田や道路が液状化の被害にみまわれた。
現在、液状化の判定には道路橋示方書にも準じている、土の粒度や密度などの土質情報による土層別のFL法や箇所別のPL法が利用されている。
この液状化判定方法は、平成7年の兵庫県南部地震の事例分析に基づき、動的せん断応力比(R)の算出方法の改定、地震動特性による補正係数(Cw)の導入など大幅な改定が行われた。これにより現在、液状化の発生予測技術は向上している。
この特許文献1に開示される発明によれば、地盤の固有周期などの地盤特性値を用いて、それに対応した地盤変位を、予め算定した地盤測定値と地盤変位との相関グラフによって算定することができる。
また、特許文献2に開示される「地盤応答解析方法、地盤応答解析システム、地盤応答解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、このプログラムを記録した記録媒体」では、地震に対する地盤応答を解析しつつ、この地盤応答に関するデータと地質に関するデータを組み合わせることで地盤液状化に関する評価を可能としている。
また、従来の液状化判定(FL法,PL法)は、的中率が決して高いとは言えず、満足な判定ができないことが多い。
また、特許文献1に開示された発明においては、地盤変位との相関関係を求める地盤特性値として地盤の固有周期のみを用いて評価しており、この相関関係の優れたプロットデータを用いてその後の解析を行うため、用いるデータ数を減らしてしまうと同時に、相関関係を得るための特性値の種類が少なく、結局液状化の予測に対する要因として少なくなってしまうという課題があった。
さらに、特許文献2に開示される発明においては、前述の地盤の液状化の判定方法をコンピュータによって算出するだけのものであり、特に発明として新規に何らかの手法が開発されたというものではなかった。
そこで、本願発明者らは、これまでに蓄積されたデータを効率的に利用し、従来の液状化判定よりも高精度に液状化発生の危険度を評価することを目的とし、サポートベクターマシーン(Support Vector Machine:以下SVMという。)による液状化判定手法の確立に取り組み、今回の発明に至ったものである。
前記入力部は、前記評価対象地点における前記液状化の要因に係るn次元の要因データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査評価データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査学習データと、を前記格納部に入力可能な手段であって、
前記格納部は、前記液状化の要因に係るn次元の要因データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査評価データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査学習データと、を格納可能な手段であって、
前記演算部は、前記評価対象地点における前記液状化の要因に係るn次元の要因データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査学習データとを用いてn次元以上の座標空間(以下、多次元座標空間という。)中に分離面を演算する分離面演算部と、
前記n次元の地盤調査評価データを前記入力部又は前記格納部から読み出して、この地盤調査評価データが示す前記多次元座標空間中での座標から、前記多次元座標空間中に形成される分離面までの距離を前記評価対象地点の液状化発生危険度として演算する液状化発生危険度演算部と、を備え、
前記出力部は、前記地盤調査学習データ、前記分離面の座標データ、前記地盤調査評価データ、前記液状化発生危険度のうち少なくとも1の情報を出力可能な手段であるものである。
図1は、本実施の形態に係る液状化発生評価システムの構成図である。
図1において、液状化発生評価システムは、入力部1と演算部2と出力部7と複数のデータベース11,13,15,17,22から構成される。
入力部1は、これらのデータベースに格納されるデータ10aを予め入力したり、あるいは演算部2の作動時に直接データ10aや解析条件10bを入力するために使用されるものである。具体的には、例えば、キーボード、マウス、ペンタブレット、あるいは、コンピュータ等の解析装置や計測機器等から通信回線を介してデータを受信する受信装置など複数種類の装置からなり目的に応じた使い分け可能な装置が考えられる。
演算部2は、データベースから読み出されたり、入力部1から入力される地盤調査の評価に関するデータ10a、分離面に関するデータ10aや評価対象地点に対する地盤調査の学習に関するデータ10a、及び解析条件10bを用いて、評価対象地点における液状化発生危険度の解析を行なうセクションにより構成されている。これらのセクション同士は、互いに演算結果をデータとして入出力することが可能となっている。演算部2として具体的には、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等のコンピュータが考えられる。
また、データベースとしては、評価対象地点に対して調査によって得られた地盤調査評価データ12が格納される評価データベース11、評価対象地点に対する地盤調査学習データ14が格納される学習データベース13、評価対象地点の液状化発生危険度を解析するための分離面データ16を格納する分離面データベース15、種々の解析のための解析条件データ18、パラメータデータ19、分離面関数データ20及び液状化発生危険度関数データ21を格納する解析データベース17、さらには、演算部2を用いて解析された結果得られた液状化発生危険度データ23を格納する評価情報データベース22がある。
ハードウェアとしてのデータベースは具体的には、磁気ディスクや光ディスク等のコンピュータ用の記憶装置にデータを格納したものが考えられ、出力部7としては、CRT、液晶、プラズマあるいは有機ELなどによるディスプレイ装置、あるいはプリンタ装置などの表示装置、さらには外部装置への伝送を行なうためのトランスミッタなどの発信装置などが考えられる。
入力部1によるデータ入力処理では、先ず、データを入力する処理を行うが、その入力データとしては、例えば、評価データベース11に格納される地盤調査評価データ12や学習データベース13に格納される地盤調査学習データ14、さらには、分離面データベース15に格納される分離面データ16も入力しておいてもよい。
評価データベース11に格納される地盤調査評価データ12にはそれぞれの評価対象地点における液状化発生の要因(要因数をnとする。n≧2)に係るn次元の要因データも含まれるものであり、それぞれの要因データ毎に地盤調査評価結果に関するデータが含まれている。
このような地盤調査評価データは、数値による連続的なデータの場合には実測データを用いるが、他の計算への利用などを考えるような場合にはデータ数に大きなばらつきが出ないように一定の間隔を与えた離散化したデータを用いてもよい。例えば、全上載圧の場合は100kN/m2,150kN/m2などの実測データを用いもよいし、50kN/m2ごとに、そのレベルを1,2,3など離散化データとしてもよい。
また、このように3段階のレベルで表現した場合には、そのレベル1,2,3なども定量的な調査データとする。すなわち、物理量として数値で表現できるようなデータのほか、非物理量で定性的にしか表現できないようなデータについても、その状態をなんらかの数値レベルをもって表現することで、定量的な調査データとするものである。
これらのデータについては、最初にデータ入力処理を実施するようにしてもよいし、解析の工程に合わせて適宜データを入力するようにしてもよい。
さらに、特に、分離面データ16であるが、これは図1に示されるとおり、分離面演算部5によって演算されるようにしておくとよい。もちろん、外部で分離面演算部5に相当する構成要素にて演算し、先に説明したとおり入力部1から分離面データベース15に入力するようにしてもよい。
また、入力部1では、前述のとおり各データをそれぞれのデータベースに格納するが、これらのデータはデータベースに格納されることなく、直接演算部2に送信される場合もある。
その際の基準となる値などの標準化解析に用いられる条件については、解析データベース17に解析条件データ18として格納されている。基準値を例えば標準となる地盤における要因データの最大値としつつ解析条件データ18として格納しておき、標準化解析部3は、解析データベース17から解析条件データ18を読み出して、これと評価データベース11から読み出した地盤調査評価データ12や学習データベース13から読み出した地盤調査学習データ14、あるいは分離面データベース15から読み出した分離面データ16を用いて標準化処理を実施する。基準値は要因データの最大値に限定するものではなく、所望の基準値を解析条件データ18として予め解析データベース17に格納しておくとよい。
なお、この標準化解析部3における処理については選択的でもある。
ここで解析条件設定部4は、入力部1を介して、どのような条件で解析を行なうかについて入力を促し、入力された条件をキーとして、評価データベース11、学習データベース13及び分離面データベース15にアクセスして該当する地盤調査評価データ12と地盤調査学習データ14を読み出す。入力を促すために表示される評価データベース11及び学習データベース13に格納されているデータ内容あるいはデータ構造を示すパラメータデータ19は、解析データベース17に格納されているため、解析条件設定部4はまず、この解析データベース17にアクセスして、パラメータデータ19を読み出して、そのパラメータデータ19を出力部7を利用して表示などさせるとよい。
この表示を受けて本液状化発生評価システムのユーザーは地盤調査評価データ12や地盤調査学習データ14のデータの選択を行なうことができる。
液状化発生危険度演算部6では、分離面演算部5によって演算された分離面データ16を分離面データベース15から読み出すか、あるいは分離面演算部5によって解析された分離面データ16をそのまま読み出して、分離面データ16が表す分離面から評価対象となる地点の地盤調査評価データ12の座標までの距離を演算する。地盤調査評価データ12には、ボーリングが施された評価対象地点に対するデータが使用され、地盤調査評価データ12の座標は、地盤調査評価データ12の要因データ毎に付されるものである。
演算された距離は、液状化発生危険度データ23となり、液状化発生危険度演算部6によって評価情報データベース22に格納されるかあるいは出力部7に直接出力される。
液状化発生に関するデータとして、既往8地震85箇所のボーリングデータを使用した。ボーリングデータは、各層1mの深さ20mまでの20層のデータで構成されている。実際の液状化の有無は発生データ52箇所、非発生データ33箇所である。
ボーリングデータは、兵庫県南部地震が発生箇所33箇所、非発生箇所29箇所と全体の70%以上を占めている。また、新潟県中越地震他6地震の発生箇所数及び非発生箇所数は、表1に示すように、発生箇所数は最大でも7箇所、非発生箇所は2箇所と非常に少ない。本願明細書では、液状化の検討を行うにあたって、最もデータ数の多い兵庫県南部地震のデータ62箇所を用いることとした。
また、実際に液状化が発生している箇所については教師値として「−1」、非発生の箇所については「1」を設定した。
そこで本願明細書では、表3に示す検討ケースI〜Vの5ケースの実施例を記載することとした。
同様に、検討ケースIIでは、危険度の大小など特徴的な層を抽出することで液状化の発生危険度が分離しやすくなるのではないかと考え、最大・平均・最小の3層のデータを用いた。
検討ケースIIIにおいては、ばらつきのある危険度FL値の中でも平均値に近い層のボーリングデータが全体の特徴を捉えるのではないかと考え、平均値付近の層を用いた。
検討ケースIVでは、液状化の発生する深度が比較的浅い(10m以内)箇所が多いことから深度10mまでの層のデータを全部用いた。
検討ケースVでは、液状化の発生・非発生を深度毎の層ではなく、箇所毎に考え、全層のデータを用いることとした。
本願明細書では,表1の中でも比較的データ数の多い兵庫県南部地震のボーリングデータ(62箇所)を用いるが、SVMでの液状化評価においては、地盤調査学習データで分離面を構築し、その分離面から地盤調査評価データまでの距離f(x)を算出する必要がある。
具体的には、図2に示すとおりである。
図2は、本実施の形態に係る液状化発生評価システムによって演算される液状化発生危険度の基本的な考え方を説明するための概念図である。
図2において、横軸には表2に示される要因データのうち、標準貫入試験におけるN値を採用し、縦軸には同じく要因データのうち、震度を採用したものである。黒色点で表現される発生データ点24と、白色点で表現される非発生データ点25をSVMを用いた解析で得られた分離面26で分離している。
前述のとおり、分離面26から距離f(x)が、液状化発生危険度となる。例えば、符号Aで示される矢印は、発生データ点24aから分離面26に対して垂線を引いて、発生データ点24aと分離面26との距離を求めたもので負の液状化発生危険度となっている。これは分離面26から危険側に離れているため、液状化発生危険度が大きくなっている場合を示している。一方、符号Bで示される矢印は、非発生データ点25aから分離面26に対して垂線を引いて、非発生データ点25aと分離面26の距離を求めたもので正の液状化発生危険度となっている。これは分離面26から安全側に離れているため、液状化発生危険度が小さくなっている場合を示している。
分離面26は、まず、演算部2の分離面演算部5が解析データベース17から分離面関数データ20を読み出し、さらに、学習データベース13から地盤調査学習データ14を読み出して、この地盤調査学習データ14を分離面関数データ20に代入することによって解析される。解析後、分離面演算部5は得られた分離面データ16を出力部7に表示したり、あるいは分離面データベース15に格納する。なお、分離面は、表2に示されるような要因データ毎の多次元の座標軸に形成されるように解析されるものである。従って、地盤調査学習データ14もこれらの要因データ毎の数値データを備えるものである。
本願明細書においては、前述のとおり、兵庫県南部地震のボーリングデータ(62箇所)を用いながら、実施の形態として説明するが、このボーリングデータを便宜的に地盤調査評価データ12としても用い、さらに、地盤調査学習データ14としても用いることとする。実際のシステムでは、十分な地盤調査学習データ14を別個独立に存在させて、分離面演算部5にて分離面を解析した後に、地盤調査評価データ12を用いて液状化発生危険度の評価を実施するものであるが、本実施の形態においては、データが限られているため、いずれのデータもこの兵庫県南部地震のボーリングデータを用いることとする。
ここで62箇所という少ないデータの中から地盤調査学習データ14と地盤調査評価データ12を抽出するための分類方法が問題となる。分類を行うにあたって、地盤調査学習データ14が少なすぎるとSVM解析により構築した分離面の信頼性が欠ける結果となる。また、地盤調査評価データ12が少なすぎると分離面の汎用性に欠ける結果となる。
そこで、地盤調査学習データ14及び地盤調査評価データ12の数がほぼ同数となるように分類するにあたって、地域的なまとまりのある行政区に着目し、地盤調査学習データと地盤調査評価データの最適な分類を検討することとした。データを整理した結果を表4、表5に示す。
地盤調査学習データ14として「須磨区他6区」、地盤調査評価データ12として「中央区・東灘区」を用いて、表3に示す検討ケースI〜Vで評価を行った。各検討ケースにおける、SVMによる解析結果を図3から図7に示す。
解析の結果、図3に示す検討ケースIでは、地盤調査学習データ14を用いた結果(以下、単に学習結果という。)については完全に発生と非発生を分離しているが、地盤調査評価データ12を用いた結果(以下、単に評価結果という。)については、f(x)値が負値の側(危険側)に非発生のデータが混在するなど、分離がよいとは言えない結果となった。また、検討ケースII〜Vにおいては地盤調査学習データ14の分離性が比較的高いが、地盤調査評価データ12については明瞭に分離できているとは言い難い結果となった。
そこで、各検討ケースの発生的中率,非発生的中率,全体の的中率の比較を行った。学習・評価結果の一覧を表6、表7に示す。
従来法には、FL法とPL法がある。そこで、この2つの従来法とSVMによる的中率との比較を行った。
まず、FL法と比較した結果、表8の検討ケースIに示すように、FL法に比べてSVMの方が発生的中率は11.8%下がったが、非発生的中率は38.4%向上し、全体の的中率は10.0%向上した。
PL法とSVMを比較した場合、SVMの方が発生的中率は8.9%下がったが非発生的中率は21.4%向上した。また、全体の的中率は6.3%向上した。この結果より従来法(FL法・PL法)よりも、SVMを用いた方が液状化判定の精度を向上させることができた。
先の兵庫県南部地震全域を用いてSVM解析を行った結果、従来のFL法やPL法に比べ、非発生の的中率が大幅に増加し、全体の的中率も向上した。
しかし、発生的中率においては、従来法よりも精度が低い結果となった。そこで、発生的中率の更なる精度向上を図るため、再検討を行った。
これまでは、全地域についてデータの検討および解析をおこなっていたが、液状化は地形や地質、地盤の強度によってその発生率・規模は異なってくる。
そこで以下では、同じような地質条件となるよう埋立地にデータを絞ることで、地質的な違いをなくした上で、再度ボーリングデータを整理して、地盤調査学習データ14・地盤調査評価データ12の作成を行うこととした。その結果を表9、表10に示す。
分類を行うにあたって、前述のとおり地盤調査学習データ14・地盤調査評価データ12の数がほぼ同数となるように、埋立地の「東側5割」を地盤調査学習データ14、「西側5割」を地盤調査評価データ12として用いることとした。
地盤調査学習データ14として「埋立地東5割」は発生箇所数13箇所,非発生箇所数7箇所の合計20箇所であり、地盤調査評価データ12として「埋立地西5割」は発生箇所数12箇所,非発生箇所数9箇所の合計21箇所である。
地盤調査学習データ14としての「埋立地東5割」、地盤調査評価データ12としての「埋立地西5割」を用いて、表3に示す検討ケースI〜Vで先の解析と同様の解析を行った。各検討ケースにおけるSVMの解析結果を図8から図12に示す。
図8に示す検討ケースIについて見てみると、学習結果については、発生・非発生ともに分離性が良好であり、評価結果についても、f(x)値が−1以下(危険側)、1以上(安全側)についてはほぼ誤差が無く高い分離性を示した。
次に、各検討ケースにおいて地盤調査学習データ14、地盤調査評価データ12の的中率について比較を行った。学習結果を表11に、調査結果を表12に示す。
先の解析では、SVMと従来法であるFL法・PL法との比較を行った結果、SVMの方がより正確に液状化の発生・非発生の判定を行うことができた。今回の埋立地に限定したデータを用いた解析では、先に行った兵庫県南部地震全域を用いたSVM解析結果と埋立地域にデータを絞って行ったSVM解析結果との比較を行った結果を表13に示す。
この結果より、全体の的中率の向上が見られたと同時に、発生的中率が大きく向上したことで液状化の判定には地質的な要素が大きく関わってきており、埋立地域にデータを絞り込むことの有用性を確認することができた。
以上、説明したとおり、本願実施の形態によれば、液状化発生危険度を精度高く演算することができ、従って、自治体や土木建設に係わるコンサルティング会社や建設会社によれば、容易に防災計画や防災のための補修工事を立案することができ、しかもいずれの箇所を優先すべきかという判断を行うための客観的な定量評価資料を得ることができ、独立性や公平性の高い施策や工事を実施することができる。
また、教育機関などにおいて災害の未然防止や避難訓練用の教材としても活用が見込まれる。さらに、建設・土木事業を営む企業においては、防災工事、補修工事事業のニーズ掘り起こしや事業提案のためのツール、あるいは公的機関との連携を図るための共有ツールとして活用が可能であり、企業の防災工事技術に関する研究開発や設計事業などの用途にも適用可能である。
Claims (2)
- 入力部と、演算部と、格納部と、出力部を有し、評価対象地点における液状化の要因(要因数をnとする。n≧2)に係るn次元の要因データと前記評価対象地点に対する前記要因データ毎に構成されるn次元の地盤調査評価データと前記要因データ毎に構成されるn次元の地盤調査学習データを用いて得られる液状化発生の可能性の有無を分離する分離面を基準として、ある評価対象地点における液状化発生危険度の定量評価を実施するための液状化発生評価システムであって、
前記入力部は、前記評価対象地点における前記液状化の要因に係るn次元の要因データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査評価データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査学習データと、を前記格納部に入力可能な手段であって、
前記格納部は、前記液状化の要因に係るn次元の要因データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査評価データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査学習データと、を格納可能な手段であって、
前記演算部は、前記評価対象地点における前記液状化の要因に係るn次元の要因データと、前記要因データ毎のn次元の地盤調査学習データとを用いてn次元以上の座標空間(以下、多次元座標空間という。)中に分離面を演算する分離面演算部と、
前記n次元の地盤調査評価データを前記入力部又は前記格納部から読み出して、この地盤調査評価データが示す前記多次元座標空間中での座標から、前記多次元座標空間中に形成される分離面までの距離を前記評価対象地点の液状化発生危険度として演算する液状化発生危険度演算部と、を備え、
前記出力部は、前記地盤調査学習データ、前記分離面の座標データ、前記地盤調査評価データ、前記液状化発生危険度のうち少なくとも1の情報を出力可能な手段であることを特徴とする液状化発生評価システム。 - 前記要因データは、全上載圧、有効上載圧、震度、深さ方向の低減率、標準貫入試験から得られるN値、細粒分含有率、地震動タイプ補正係数のうち、少なくとも2つを含むものであることを特徴とする請求項1記載の液状化発生評価システム。
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