JP2010053621A - コンクリート水路改修構造および改修方法 - Google Patents

コンクリート水路改修構造および改修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】下地が水分を含んだ状態でも補修作業をすることが可能であり、漏水性能にも優れ目地からの亀裂の発生も少ないコンクリート水路改修構造を提供する。
【解決手段】コンクリート水路1の内面に少なくともセメントとポリマー分からなる接着層3、防水シート4、少なくともセメントとポリマー分からなる表面層5の順で積層配置したコンクリート水路の改修構造において、コンクリート水路1の内面下地2の少なくとも一部に配置する表面層5は、それぞれ固形分でセメント100質量部に対してポリマーを180〜260質量部、増粘剤を5〜12質量部、水を180〜250質量部の割合で配合してなる伸縮性ポリマーセメントペーストを用いた。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリートからなりU字形状等の水路部材を並べて形成した水路の漏水を防止するための改修構造および改修方法であり、水路内が水分を含んだ湿潤下地であっても強固に接着・防水が可能である改修構造に関する。
従来、農業用、工業用、一般の用水路や排水路として、U字形状のコンクリート水路部材が地面に埋め込まれるような形態でよく用いられている。一定長の水路部材を直列に並べて延長し、目地部には例えばアスファルト組成物等からなるシール材を介在させるなどして漏水しないようにして用いられている。
しかし、コンクリート製の水路は水路を埋め込んだ地盤の挙動、天候によるコンクリートの乾燥収縮、環境温度の変化に伴うコンクリートの伸縮等によって比較的短期間の内に水路部材自身に亀裂が発生するという問題があった。また、前記のように一定長の水路部材を長手方向に並べて延長し、長い水路を形成していることから水路部材同士の間に目地がある。この目地をシールするために木材を挟み込んだものやアスファルトピッチを流し込んだもの等が使用されている。これらは止水処理が完全であるとは言えず目地からの漏水は避けられなかった。
このようなコンクリート水路の場合亀裂の発生や目地部のシール性が低下することによって一旦漏水が発生すると、水路下の土砂が侵食され、さらには亀裂の成長によって漏水量が多くなり、水路及び地盤が崩壊するということがあった。特に、水路付近に民家等が存在する場合には、非常に危険な問題となっていた。
しかし、コンクリートで全面改修するには膨大な費用と工期を要するため、漏水が発生すると亀裂等の漏水部分にシール材、注入剤、モルタル等を充填して補修していた。また、漏水のひどいところについては、そのコンクリート水路部材自体を撤去して、再度型枠を組んだ後に、コンクリートを打設して新たに水路部材を形成するといった方法が採られていた。
補修に要する費用を低減し工期を短縮できるような方法として、例えば特許文献1には損傷した水路部材を補修するためにポリウレタン樹脂塗料を用いており、水路の内面に厚く塗布して膜厚の厚い塗膜層を形成することによって、漏水を止めるとともに水路の形状も整える補修工法が開示されている。
また、特許文献2にはコンクリート水路上に、防錆性の鉄板を複数敷設配置して長手方向に連結し、敷設した鉄板とコンクリート水路との間に凝固性のある充填材を注入することによって、低コストでしかも工期を短縮できる補修方法が開示されている。
特許文献3には水路内に遮水性を有するシートを介在してFRP板を水路内面にアンカー止めすることで水路を補修するとともに漏水防止性能も持たせることが開示されている。
特許文献4には、水路内にレジンコンクリートからなるパネル材を接着剤で取り付けて、水路が損傷したり漏水したりしているのを補修する方法が開示されている。
特開平11−172654号公報 特開2002−54120号公報 特開2002−266337号公報 特開2003−306923号公報
特許文献1では、補修する際に水路内の水分を少ない状態にしなければならないこと、またウレタンの膜厚の厚い塗膜層を形成する作業にも少なからず時間がかかってしまうという問題がある。
特許文献2では水路にちょうど嵌め込むことができる鉄板を水路の長さ分準備しなければならず、重量物となるので搬入にも手間がかかり、また作業性も良好とはいえない。
特許文献3ではFRP板をボルト等のアンカー材で水路部材に固定しており、遮水性を持たせたい場合、遮水層にはアンカー部材が貫通しているために、その貫通口から後に漏水が発生してしまうといった可能性がある。
特許文献4では、パネルを貼り付けていく方法であり、漏水が発生しやすい箇所であるパネル同士の目地が多くできてしまうので、将来の漏水性能に不安を残す方法であるということができる。
また、その他の問題として、U字形状の水路内において側面は地面に対して略垂直面であることから、側面への塗膜層の形成は比較的困難な作業であるということができる。例えば塗膜剤の粘度が低すぎると液垂れが起こりやすく必要な厚みを確保するのが難しくなること、逆に粘度が高すぎると作業性が悪くなること、また、所定の厚みに設定することや仕上げ面を形成する作業が専門の職人でなければできない場合があるといったことが挙げられる。
そこで本発明では、下地が水分を含んだ状態でも補修作業をすることが可能であり、漏水防止性能にも優れ、またU字溝の側面においても所定の厚みを確保して仕上げ面を形成した塗膜層を容易に形成することができるコンクリート水路改修構造の提供を課題とする。
このような課題を解決するために本発明の請求項1では、コンクリート水路内面に少なくともセメントとポリマー分からなる接着層、防水シート、少なくともセメントとポリマー分からなる表面層の順で積層配置したコンクリート水路の改修構造において、コンクリート水路内面の少なくとも一部に配置する表面層はセメント100質量部に対してポリマーを180〜260質量部、増粘剤を5〜12質量部、水を180〜250質量部の割合で配合してなる伸縮性ポリマーセメントペーストを用いたことを特徴とする。
請求項2では、コンクリート水路が底面及び該底面の両側端から立ち上がる側面を有する断面略U字形状の部材であり、側面に配置する表面層には伸縮性ポリマーセメントペーストを配置してなる請求項1記載のコンクリート水路改修構造としている。
請求項3では、コンクリート水路内面のすべての表面層に伸縮性ポリマーセメントペーストを配置してなる請求項1記載のコンクリート水路改修構造。
請求項4では、コンクリート水路内面に少なくともセメントとポリマー分からなる接着層、防水シート、セメントとポリマー分からなる表面層の順で積層配置するコンクリート水路の改修工法において、水路内面の下地上に少なくともセメントと樹脂エマルションからなる接着剤を塗布して接着層を形成し、その上に防水シートを敷設し、更にその上から少なくともセメントと樹脂エマルションからなる表面層を塗布形成する改修方法であり、表面層の少なくとも一部にセメント100質量部に対してポリマーを180〜260質量部、増粘剤を5〜12質量部、水を180〜250質量部の割合で配合してなる伸縮性ポリマーセメントペーストを用いたことを特徴とする。
請求項5では、コンクリート水路が底面及び該底面の両側端から立ち上がる側面を有する断面略U字形状の部材であり、側面に配置する表面層には伸縮性ポリマーセメントペーストを配置してなる請求項4記載のコンクリート水路改修方法としている。
請求項6では、コンクリート水路内面のすべての表面層に伸縮性ポリマーセメントペーストを配置してなる請求項4記載のコンクリート水路改修方法としている。
請求項1および請求項4では、水路内の表面層としてセメントとポリマーと水を所定割合で配合した伸縮性を有するポリマーセメントペーストを配置していることから、表面層を薄くすることができ、塗布形成する作業も比較的容易行うことができるとともに、乾燥収縮によるひび割れの問題が発生しにくい。そのことから水路の目地を特に意識することもなく、施工時間も短時間にすることができる。
請求項2および請求項5では、特に水路内の側面に伸縮性ポリマーセメントペーストにて表面層を形成するとしており、立ち上がり面で表面層を形成する作業中に垂れるなどの問題がおきやすい面であっても、塗布による薄塗りが可能であり、経験の豊富な職人を必要としない。
請求項3および請求項6では、コンクリート水路内面のすべてに伸縮性ポリマーセメントペーストを用いるものであり、水路の内面は全面に渡って継ぎ目のない表面層を形成することができ、塗布作業も容易であり、水路の継ぎ目であってもシール材などで目地を形成する必要もなく、また、ひび割れなどの問題の発生しない水路の構造を得ることができる。
本発明は、図1に示すような略U字形状でコンクリート製の水路を改修する構造及び方法に関するものである。コンクリート製の水路部材1の内面を下地2として、まず少なくともセメントと樹脂エマルションなどのポリマー成分及び、増粘剤からなるポリマーセメントペーストを接着層3として塗布し、そしてその上から防水シート4を敷設して接着し、次いで防水シート4の上から更にセメントとポリマー成分と水を所定割合で配合した伸縮性を有するポリマーセメントペーストを表面層5として塗布積層したものであり、下地2からポリマーセメントペーストからなる接着層3、防水シート4、伸縮性を有するポリマーセメントペーストからなる表面層5の順で積層された構造を有する。この中でも伸縮性を有するポリマーセメントペーストからなる表面層5を形成することが本発明の特徴部分であり、重要な構成であるといえる。
接着層3は少なくともセメントと樹脂エマルションを配合したポリマーセメントペーストからなり、セメントとしては水和硬化性粉体で一般的なポルトランドセメントやアルミナセメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、マグネシアセメント、急硬性セメントなどを挙げることができ、樹脂エマルションとしては、エチレン酢酸ビニル(EVA)、変性EVA、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリルスチレン、SBR、CRなどを挙げることができる。樹脂エマルションはこれらの中では接着性とコストの面からエチレン酢酸ビニル樹脂を用いることが実用的で好ましい。
増粘剤としては、メチルセルロール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどセルロース系の増粘剤、変性ポリアクリル酸塩等の増粘剤を用いることができる。増粘剤の天下により、チキソトロピック性を向上させ、所定の塗布厚み、塗布量を確保することができ、左官ゴテ、ローラ刷毛などでの施工が可能となり、作業性を改善することができる。この増粘剤はセメント100質量部に対して5〜12質量部の範囲で添加することが好ましく、5質量部未満であると垂直の壁に塗布した場合に垂れが生じやすく、12質量部を超えると粘度が高くなりすぎて、伸びが少なくなり塗布しにくくなるなど、やはり作業性を悪くするので好ましくない。
そしてセメントと樹脂エマルションとの配合において、セメント/樹脂エマルションの固形分比を100/180〜100/260の範囲とすることによって接着層3自身に防水性能を持たせることができるので、防水シート4と接着層3の両方で防水することができるので好ましい。前記固形分比において樹脂エマルションの固形分が100/180未満であると、液の粘度が高くなるとともに塗布性が悪くなり、透水量が多くなって水密性が乏しく好ましくない。逆に100/260を超えると液の粘度が低くなりすぎて、立ち上がりの壁等塗布する場合、垂れが生じやすくなることや、1回の塗布量が少なくなり、所定の塗布量を得るには塗布回数を多くする必要があり、作業性の面で好ましくない。
接着層3の塗布厚みとしては1〜5mm程度で、塗布量としては2〜10kg/m程度が好ましい。厚みが1mm未満であるとその上に敷設する防水シート表面の凹凸によるアンカー硬化が少なくなり、防水性能を十分に確保することができない。一方、5mmを超える厚みとなると、硬化するのに長時間を要することになるので好ましくない。
また、図示はしないが下地2に接着層3を塗布するに先立って、プライマーを下地2に塗っておいてもよい。下地2のコンクリート表面には図示していないが、通常、細かな孔が存在していることから、直接、ポリマーセメントペーストからなる接着層3に塗ると孔内の空気によって気泡が生じ、ピンホールになり易いため下地2に接着層3を塗る前に予めプライマーを塗布することでその様な問題を防止することができる。素材としてはエチレン酢酸ビニル(EVA)、変性EVA、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリルスチレン、SBR、CR等のエマルションを用いることができる。
防水シート4の素材としてはエチレン・プロピレン・ターポリマー(EPDM)、ブチルゴム(IIR)あるいはこれらのブレンド物などの加硫ゴムシートやポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル樹脂ならびにその変性体などの熱可塑性樹脂防水シートが挙げられる。厚みは0.5〜2.0mm程度が好ましく、簡単に破断しないよう強度を持たせるためにゴム中にポリエステル繊維、綿、ポリアミド繊維などからなる基布を埋設したものを用いてもよい。シートが露出しないような用途の場合は少し耐候性に劣るところがあるもののスチレンブタジエンゴムやニトリルゴム、天然ゴムを用いることも可能である。防水シート4の厚みが0.5mm未満であると強度不足となりシートが破断してしまうといった問題があり、2.0mmを超える厚みであると柔軟性が失われて出入隅部などに沿いにくくなるので好ましくない。
また、防水シート4の別の例として図2に示すようなものを挙げることができる。図2の防水シート4は、ゴムシートからなるシート本体4aと該シート本体4aに目付量が10〜70g/mの不織布4bを貼り合わせて一体化しており、接着層3に不織布4bの面を重ねることによってポリマーセメントペーストである接着層3を不織布4bに含浸させて物理的な効果等により防水シート4と接着層3を固定することができる。不織布4bは、シート本体4aの両面に配置することによって上面の不織布4bにも表面層5が含浸して防水シート4との間を強固に固定することができるので好ましい形態ということができるが、片面だけであっても構わない。
不織布4aの目付量が10g/m未満であると不織布12の強度が不足して不織布自身が容易に破壊されるので剥がれが生じやすくなり、70g/mを超えるとポリマーセメントペーストからなる接着層3の不織布4bへの含浸が不十分になることから固定力が小さくなってポリマーセメントペーストと不織布との間で剥離しやすくなるので好ましくない。
不織布4bのシート本体4aへの貼り合わせは、ゴムからなるシート本体4aを加硫した際の熱を利用して圧着ロールで不織布4bを熱により圧着する方法を採ることができる。また、シート本体4aと不織布4bとの間の接着強度を高めるためにシート本体4aに融着層4cを介在させておき、そこに不織布4bを重ね合わせて加熱圧着してよい。そうすることによって不織布4bをシート本体4aに対して容易に融着させることができるとともに接着強度も十分に大きなものを得ることができる。
不織布4bとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、レーヨンなどの素材を挙げることができ、特にポリエステルからなるものがポリマーセメントペーストからなる接着層3との接着が良好であることから好ましい。
本発明の特徴部分である表面層5は、少なくともセメントと樹脂エマルションとからなるものであるが、表面に位置する層であることからある程度の強度を有する必要があるとともに下地の動きに追従できる程度の伸びを有することが好ましく、表面層はセメント100質量部に対してポリマーを180〜260質量部、増粘剤を5〜12質量部、水を180〜250質量部の割合で配合した伸縮性を有するポリマーセメントペーストを用いている。
そうすることによって表面層の施工性を損なうことなく十分な伸びを持たせることができ、下地のずれや動きがあっても表面層に断裂したり浮きが生じたりするといった問題を防止することができる。場合によっては、更に砂などの骨材を必要な伸縮性を損なわない程度に混入した一般的にポリマーセメントモルタルと呼ばれるものとしてもよく、骨材を配合することによって、耐衝撃性などの強度を向上させることができ、防水性能の耐久性を増すことができる。しかし、表面層5の伸縮性を十分に保つために前記骨材の配合比率はセメント100質量部に対して75質量部以下とする。また、骨材を配合することによる効果を得るには15質量部以上配合することが好ましい。表面層5で用いることができるセメントや樹脂エマルションのようなポリマーは接着層3に用いるものと同様のものが挙げられる。
本発明のコンクリート水路改修構造および改修方法は、以上説明したような構成からなるものであるが、実際に水路に該構造を形成する場合には、例えば図1に示すように水路部材1の側面Sと底面Tとに分けて次のような手順で工事を行う。まず、水路部材1の側面Sにポリマーセメントペーストを塗布して接着層3を形成する。そして防水シート4を敷設して接着層3を硬化させ、防水シート4が接着層3に接着されるのを待ち、次に底面Tにポリマーセメントペーストを塗布して接着層3を形成した上に防水シート4を敷設して底面の接着層3と防水シート4を接着させる。そして、接着層3が硬化したら最後に防水シート4上に伸縮性を有するポリマーセメントペーストを塗布して表面層5を形成する。
次に水路を形成するときにコンクリートからなる水路部材1を長手方向に複数並べることによって必要な長さを形成するが、隣接する水路部材1同士の間に図3に示すように目地部6ができることになる。コンクリート製の水路部材1は湿度の変化や温度の変化によって伸び縮みすることや地盤沈下等でズレが発生することがあるので予め10〜40mm程度の隙間を開けて木材やアスファルト等が既設の目地材として充填されている。目地部6は特に漏水を起こしやすい箇所であり改修の際には、この目地部6をより補強することが好ましい。よって、他の箇所と比べると特別な構造を採るのが通常であるが、本発明のように表面層5に伸縮性を有するポリマーセメントペーストを用いることによって、特別な構造を採ることなく水路部材1の目地部6の動きを吸収することも可能である。
もちろん、水路部材1の目地部6において補強のために特別な構造を採ってもかまわない。その例としては図4のような構成が挙げられる。図4では、下地2の上に少なくともセメントと樹脂エマルションなどのポリマー分からなる第2接着層7、第2防水シート8、接着層3、防水シート4、表面層5の順で積層している。目地部6を含む領域において他の箇所と比べて、下地2と接着層3との間に更に第2接着層と第2防水シートを配置しており、より防水性を高めることができる。
以下、表面層5の配合比率を変化させて試験体を作成し、比較試験を行った。
(実施例)
実施例としては本発明における保護層を構成する材料、セメント100質量部にポリマー237質量部、増粘剤8質量部、水210質量部の割合で添加した配合組成物Aを用いた。
(比較例)
比較例としてはセメント100に対して、ポリマー8質量部、水50質量部の割合で添加した配合組成物Bを用いた。
これら配合組成物A、Bでテーバ摩耗試験機を使用して摩耗のしやすさを確認した。試験体を作成したが、前記配合組成物を常温で7日間と80℃オーブン内で1日乾燥させた試験体を用いた。摩耗輪はH−22、荷重は1kgとし、回転数は60回転/分で1000回転目の摩耗量を測定した。その結果を表2に示す。
次いで、前記配合組成物A、Bをスレート板上に5.0kg/m塗布し、室温で7日間養生したものを試験体として透水性試験を行った。試験条件はJIS A 6909「建築用仕上げ塗材」に準拠したものであり、試験体の上に漏斗でシールを設置し、それに30cm高さまで水を入れ24時間後の透水量を求めた。結果を表2に示す。
次に耐衝撃試験を行った。この配合組成物A、Bを用いて400mm長さ×400mm幅×5.0mm厚みの試験片を作成し、常温で7日間と80℃オーブン内で1日乾燥させた。試験方法としては重さ500gの鉄球を高さ150cmと350cmの位置より試験片に落とし、クラックの発生状況を観察した。その結果を表2に示す。
更に、ゼロスパン試験を行った。中央に切れ目を有するコンクリート下地にポリマーセメントペーストを塗って防水シートを上から貼り、更に上から前記配合組成物A、Bを保護層として塗布し、養生期間として1ヶ月養生したものと2ヶ月養生した試験体を作成した。これらの試験体でコンクリート下地の中央の切れ目を挟んだ両側を移動させて3mm幅の隙間を生じさせたものと、5mmの隙間を生じさせたものとで、表面の保護層の状態を観察した。その結果を表2にしめす。
また、引張試験を行った。試験片としては配合組成物A、Bを用いてJIS 1号ダンベルを作成し、その試験片を室温で2週間養生した後に、更に7日間、15日間、30日間経過したものの引張強度と伸びを測定した。試験条件としては引張速度200mm/minとした。その結果を表2に示す。
Figure 2010053621
Figure 2010053621
表2の結果からセメントとポリマー固形分の比率を100/180〜100/260の範囲とするとともに増粘剤を添加することによって、伸びの性能が高く下地にクラックが発生するなどのずれや動きに対する追従性が高くクラックや浮きなどの発生を防止できる。また、塗布性も全般的に良好であった。
それに対して比較例では表面層は摩耗しやすく、透水性も大きい結果となっている。また、クラックの発生が顕著であり、伸縮性に乏しいことよりこのような結果になったものと考えられる。また、塗布作業については実施例においても比較例と同等の作業性を得ることができた。
コンクリート水路の改修に利用することができる。
本発明のコンクリート水路改修構造を示す断面図である。 防水シートの一例を示す断面図である。 目地部における構造を示す断面図である。 目地部における構造の別の例を示す断面図である。
符号の説明
1 水路部材
2 下地
3 接着層
4 防水シート
5 表面層
6 目地部
7 第2接着層
8 第2防水シート
S 側面
T 底面

Claims (6)

  1. コンクリート水路内面に少なくともセメントとポリマー分からなる接着層、防水シート、少なくともセメントとポリマー分からなる表面層の順で積層配置したコンクリート水路の改修構造において、コンクリート水路内面の少なくとも一部に配置する表面層は、それぞれ固形分でセメント100質量部に対してポリマーを180〜260質量部、増粘剤を5〜12質量部、水を180〜250質量部の割合で配合してなる伸縮性ポリマーセメントペーストを用いたことを特徴とするコンクリート水路改修構造。
  2. コンクリート水路が底面及び該底面の両側端から立ち上がる側面を有する断面略U字形状の部材であり、側面に配置する表面層には伸縮性ポリマーセメントペーストを配置してなる請求項1記載のコンクリート水路改修構造。
  3. コンクリート水路内面のすべての表面層に伸縮性ポリマーセメントペーストを配置してなる請求項1記載のコンクリート水路改修構造。
  4. コンクリート水路内面に少なくともセメントとポリマー分からなる接着層、防水シート、少なくともセメントとポリマー分からなる表面層の順で積層配置するコンクリート水路の改修工法において、水路内面の下地上に少なくともセメントと樹脂エマルションからなる接着剤を塗布して接着層を形成し、その上に防水シートを敷設し、更にその上から少なくともセメントと樹脂エマルションからなる表面層を塗布形成する改修方法であり、表面層の少なくとも一部にセメント100質量部に対してポリマーを180〜260質量部、増粘剤を5〜12質量部、水を180〜250質量部の割合で配合してなる伸縮性ポリマーセメントペーストを用いたことを特徴とするコンクリート水路改修方法。
  5. コンクリート水路が底面及び該底面の両側端から立ち上がる側面を有する断面略U字形状の部材であり、側面に配置する表面層には伸縮性ポリマーセメントペーストを配置してなる請求項4記載のコンクリート水路改修方法。
  6. コンクリート水路内面のすべての表面層に伸縮性ポリマーセメントペーストを配置してなる請求項4記載のコンクリート水路改修方法。
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