JP2010052533A - 車両用衝撃吸収体 - Google Patents

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誠司 堀越
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Abstract

【課題】衝撃吸収性能のばらつきを少なくさせ、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響を低減させることを課題とする。
【解決手段】車体パネルAU2と装飾部材AU12との間に設置される車両用衝撃吸収体1に、衝撃を吸収する材料で筒状に形成された筒状衝撃吸収部10と、筒状衝撃吸収部10を挟む位置で該筒状衝撃吸収部10の長手方向D4に沿って延出して一端42,42が車体パネルAU2と装飾部材AU12の一方に固定される一対の側壁部40A,40Bと、該一対の側壁部の他端41,41同士を架橋するとともに筒状衝撃吸収部10の一端11を固定する橋掛部50とを有し、衝撃を吸収する材料で板状に形成された板状衝撃吸収部30とを設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、車体パネルと装飾部材との間に設置される車両用衝撃吸収体に関する。
自動車には、側面衝突等による側面からの衝撃から乗員を保護するため、ドアパネルとドアトリムとの間に衝撃吸収体が設けられている。この衝撃吸収体は、自動車の側面からの衝撃入力時に乗員の腰がドアトリムに当たる位置を想定してドアパネルとドアトリムとの間に設置される。側面からの衝撃入力時には乗員の腰が旨や腹よりも先にドアトリムに当たる傾向があるので、ドアトリムに対して乗員の腰に相当する位置に衝撃吸収体を設けることにより、側面からの衝撃入力時に乗員を効果的に保護することが期待される。
上述した衝撃吸収体として、ポリウレタンフォーム等の発泡体が用いられている。
特開2000−108826号公報
衝撃吸収体の衝撃吸収性能は、衝撃吸収体の変位に対する圧縮荷重(反力)で表されることがある。ドアパネルとドアトリムとの間の限られた空間に設置される衝撃吸収体は、初期変位で圧縮荷重の立ち上がりが速く、圧縮荷重が許容限度を超える”底付き状態”となるまでの衝撃吸収体の変位量が大きい方が好ましい。
また、自動車の側面からの衝撃入力時に乗員の腰がドアトリムに当たる箇所は一定しないため、衝撃吸収体の設置場所の中心から若干ずれた箇所のドアトリムに乗員の腰が当たることを想定しておく方が好ましい。
特許文献1記載の車両用衝撃吸収体は、乗員の頭上部分に対する衝撃を吸収することを目的としているため、上述の課題に対応していない。
なお、特許文献1記載の衝撃吸収体は、ブロー成形によって一体成形された熱可塑性樹脂製のものであり、略中空立方体形状の本体と、該本体の互いに対向する当接面及び支持面をそれぞれ他方へ向けて窪ませて形成された一方の凹状リブ及び他方の凹状リブと、両凹状リブの先端が当接した接合部とを備えている。本体が略中空立方体形状であるため、衝撃入力時に略中空立方体形状の本体における辺の部分の屈曲が安定しない。このため、衝撃吸収性能にばらつきが生じ易く、衝撃入力時に乗員の頭が内装部材に当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれたときに衝撃吸収性能のばらつきが生じ易い。
以上を鑑み、本発明は、衝撃吸収性能のばらつきを少なくさせ、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響を低減させることを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、車体パネルと装飾部材との間に設置される車両用衝撃吸収体であって、衝撃を吸収する材料で筒状に形成された筒状衝撃吸収部と、前記筒状衝撃吸収部を挟む位置で該筒状衝撃吸収部の長手方向に沿って延出して一端が前記車体パネルと前記装飾部材の一方に固定される一対の側壁部と、該一対の側壁部の他端同士を架橋するとともに前記筒状衝撃吸収部の一端を固定する橋掛部とを有し、衝撃を吸収する材料で板状に形成された板状衝撃吸収部とを備えることを特徴とする。
筒状衝撃吸収部の長手方向から衝撃が入力されると、筒状衝撃吸収部が該衝撃を吸収するとともに、一対の側壁部も該衝撃を吸収する。ここで、橋掛部と一対の側壁部とが板状衝撃吸収部を構成しているので、衝撃吸収性能のばらつきが少なくなる。この板状衝撃吸収部が筒状衝撃吸収部の一端を固定しているので、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響が少なくなる。
本衝撃吸収体は、一体成形により筒状衝撃吸収部と板状衝撃吸収部とが同時に形成されてもよいし、別々に成形された筒状衝撃吸収部と板状衝撃吸収部とが組み合わされて形成されてもよい。
筒状衝撃吸収部の筒状は、円筒状など中空部を有する柱体状、中空部を有する錐台状、等が含まれ、カップ状のように一端が閉じた形状でもよいし、両端が開口した形状でもよい。前記錐台状には、楕円錐台状、角錐台状、が含まれる。該楕円錐台状には、円錐台状が含まれる。
筒状衝撃吸収部は、一つで構成されてもよいし、複数で構成されてもよい。
板状衝撃吸収部の板状には、平板状、曲板状、ビード板状、等が含まれる。
側壁部を車体パネルと装飾部材の一方に固定するとは、側壁部を車体パネル又は装飾部材に対して移動しないようにすることを意味する。従って、側壁部を車体パネル又は装飾部材に固定することには、側壁部を車体パネル又は装飾部材に直接取り付けて固定すること、別部材を介して側壁部を車体パネル又は装飾部材に取り付けて移動しないようにすること、の両方が含まれる。
請求項1に係る発明によれば、衝撃吸収性能のばらつきを少なくさせ、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響を低減させることができる。
請求項2、請求項4に係る発明では、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響をさらに低減させることができる。
請求項3に係る発明では、衝撃吸収体を設置した部分の衝撃吸収性能をほぼ同じ荷重の領域が長く続く性能とすることができ、より多くの衝撃エネルギーを吸収することが可能となる。
請求項5に係る発明では、衝撃吸収性能のばらつきをさらに低減させることができる。
(1)衝撃吸収体の構成:
図1は本発明の一実施形態に係る車両用衝撃吸収体1を採用した自動車AU1の内装の要部を示す側面図、図2は車体パネルAU2と装飾部材AU12との間に衝撃吸収体1が設置される様子を示す分解斜視図、図3は衝撃吸収体1を車外側から見て示す斜視図、図4は衝撃吸収体1を車室側から見て示す斜視図、図5は衝撃吸収体1を図3のA1−A1の位置で断面視して示す水平断面図、図6は衝撃入力時の衝撃吸収体1の様子を示す平面図、図7は衝撃吸収体1を固定したドアトリムAU12による衝撃吸収性能の例を説明するための図である。
なお、D1は自動車AU1の前後方向を表し、D2は上下方向を表し、D3は車室SP1と車外空間SP2とを結ぶ内外方向(車幅方向)を表している。
図1に示す自動車AU1は、座席SE1,SE2の側方にドアパネル(車体パネル)AU2,AU3やピラー(車体パネル)AU4,AU5,AU6等が設けられている。これらの車体パネルAU2〜AU6は、通常、鋼板等の金属で形成される。ドアパネルAU2,AU3には、樹脂クリップ等でドアトリムAU12,AU13が内装部材(装飾部材)として取り付けられる。ピラーAU4,AU5,AU6には、樹脂クリップ等でピラートリムAU14,AU15,AU16が内装部材として取り付けられる。これらの内装部材AU12〜AU16には、樹脂成形品、表皮材を積層した樹脂成形品、等が用いられる。図1では、ドアパネルAU2,AU3とドアトリムAU12,AU13との間に車両用衝撃吸収体1,1が設置されていることが示されている。衝撃吸収体1は、ピラーAU4,AU5,AU6とピラートリムAU14,AU15,AU16との間、天井パネル(車体パネル)とルーフライナ(内装部材)との間、フロアパネル(車体パネル)とカーペット(内装部材)との間、バンパーリンフォース(車体パネル)とバンパーフェイシア(装飾部材)との間、等にも設置可能である。
図3〜図5に示すように、衝撃吸収体1は、筒状衝撃吸収部10と板状衝撃吸収部30とを備えている。筒状衝撃吸収部10は、衝撃を吸収する材料で筒状に形成されている。板状衝撃吸収部30は、一対の側壁部40A,40Bと橋掛部50とを有し、衝撃を吸収する材料で板状に形成されている。側壁部40A,40Bは、筒状衝撃吸収部10を挟む位置で該筒状衝撃吸収部10の長手方向D4に沿って延出し、一端42,42がドアトリムAU12に固定されるようにされている。橋掛部50は、一対の側壁部40A,40Bの他端41,41同士を架橋し、筒状衝撃吸収部10の一端11を固定している。
図2に示すように、ドアパネルAU2の車室SP1側の面には、衝撃吸収体の橋掛部50を接触させるための部位AU2aが設けられている。また、ドアトリムAU12の車外側の面には、側壁部40の先端部42を取り付けるための部位AU12aが設けられている。衝撃吸収体1は、筒状衝撃吸収部の長手方向D4を自動車の内外方向D3へ向けてドアパネルの接触部位AU2aに接触しながらドアトリムの取付部位AU12aに取り付けられて固定される。
本実施形態の筒状衝撃吸収部10は、自動車の前後方向D1へ複数設けられている。筒状衝撃吸収部の数は、3以上でもよいし、一つでもよい。衝撃吸収体に筒状衝撃吸収部を設けることにより、ドアトリムに対して狭い範囲で効果的な衝撃吸収性能を付与することができる。
各筒状衝撃吸収部10は、中空部H1を有する円錐台状に形成され、橋掛部50側の端部11が開口し、橋掛部50とは反対側の端部(先端部12)が橋掛部側端部11よりも細くされて閉じている。筒状衝撃吸収部の橋掛部側端部11はドアパネルAU2に接して配置され、先端部12はドアトリムAU12に接して配置される。いわゆるカップ状に形成された各筒状衝撃吸収部10には、筒状衝撃吸収部の長手方向D4に沿って橋掛部側の縁部11から該橋掛部とは反対側の縁部(先端部12)に向かう途中まで直線状に延びる薄肉部20が複数形成されている。ここで、各筒状衝撃吸収部に設けられる薄肉部の数は、3以上が好ましいものの、一つでもよい。薄肉部20は、筒状衝撃吸収部10の側面部13の内面に対して橋掛部側縁部11に繋がり先端部12から離間して溝状に形成されている。むろん、薄肉部は、筒状衝撃吸収部の側面部の外面に形成されてもよいし、側面部の内外両面に形成されてもよい。
本実施形態の板状衝撃吸収部30は、一枚の細長い矩形状の平板を折り曲げて橋掛部50の両側に側壁部40A,40Bが形成されるような形状に成形されている。従って、各側壁部40A,40Bの幅方向の両縁部43,43と橋掛部50の幅方向の両縁部53とは架橋されておらず、これらの縁部43,53,43で囲まれる部分が開口している。
平板状とされた側壁部40A,40Bは、橋掛部50から筒状衝撃吸収部の長手方向D4へ延出した先端部42,42が筒状衝撃吸収部10の長さh1に合わせた位置で互いに離れる方向D1へ折り曲げられた部位48A,48Bを有している。図示の折曲部位48A,48Bには、ドアトリムAU12の突出部を通す孔49が形成されている。折曲部位48がドアトリムAU12に固定されることにより、衝撃吸収体1がドアトリムAU12に固定される。側壁部に折曲部位を設けることにより、衝撃入力時にドアトリムへ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響がさらに低減する。
一方、側壁部の橋掛部側端部41は、ドアパネルAU2に接して配置される。
平板状とされた橋掛部50は、各筒状衝撃吸収部の橋掛部側端部11の部分を開口させながら自動車の前後方向D1へ延出し、側壁部40A,40Bの橋掛部側端部41,41に繋がっている。橋掛部50は、ドアパネルAU2に接して配置される。
橋掛部で繋がった一対の側壁部で挟まれた位置に筒状衝撃吸収部が存在することにより、側面からの衝撃入力時における筒状衝撃吸収部の変形がより安定する。
衝撃吸収体1を形成する素材には、樹脂成形材料が好ましいが、アルミニウム等の金属を用いることも可能である。衝撃吸収体を形成するための樹脂成形材料を構成する樹脂(エラストマーを含む)には、合成樹脂が好ましく、衝撃吸収体に適度な衝撃吸収性を付与する観点から熱可塑性樹脂が特に好ましいが、熱硬化性樹脂を用いることも可能である。熱可塑性樹脂には、特に好適な衝撃吸収性を衝撃吸収体に付与する観点から、ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂、オレフィン系樹脂にエラストマーを添加した樹脂、等が好ましい。樹脂材料には、充てん材等の添加剤が添加されてもよい。添加剤の配合比は、樹脂の性質を十分に発揮させる観点から、例えば樹脂の重量比以下の重量比とされる。樹脂成形材料の成形には、射出成形、プレス成形、押出成形、等を用いることができる。
衝撃吸収体を形成するための樹脂成形材料のアイゾット衝撃強さ(JIS K7110「プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法」に規定されるアイゾット衝撃強さ)は、200J/m以上が好ましく、400J/m以上がより好ましい。アイゾット衝撃強さを前記下限以上にすると、衝撃入力時に板状衝撃吸収部の割れが少なくなって筒状衝撃吸収部及び側壁部が適度に曲げ変形し、衝撃吸収体の衝撃吸収性能のばらつきがさらに低減する。
衝撃吸収体の密度は、例えば、0.9〜1.2g/cm3(より好ましくは1.0〜1.1g/cm3)とすることができる。
筒状衝撃吸収部の側面部13及び先端部12の厚みt1は、例えば、1〜3mm程度とすることができる。筒状衝撃吸収部の長さh1は、例えば、50〜150mm程度とすることができる。ここで、長さh1は、橋掛部50の厚みt3を含む長さとする。筒状衝撃吸収部の長さh1は、ドアパネルとドアトリムとの間隔di1とするのが好ましいものの、0<h1<di1とすることも可能である。筒状衝撃吸収部の橋掛部側端部11の外径(直径)d1は、例えば、40〜50mm程度とすることができる。筒状衝撃吸収部の先端部12の外径(直径)d2は、例えば20〜30mm程度とすることができる。先端部12の外径d2は、衝撃吸収体1を容易に成形する観点から0<2×t1<d2<d1が好ましいが、2×t1<d1≦d2とすることも可能である。
側面部13に沿った薄肉部20の長さh2は、例えば、1〜50mmとすることができる。薄肉部の深さdt1は、0<dt1<t1の範囲内で、例えば、0.5〜2mm程度とすることができる。
側壁部40(折曲部位48を含む)の厚みt2は、例えば、1〜3mm程度とすることができる。側壁部の長さh3は、50〜160mm程度とすることができる。ここで、長さh3は、橋掛部50及び折曲部位48の厚みt3,t2を含む長さとする。側壁部40(折曲部位48を含む)の幅w1は、50〜100mm程度とすることができる。
橋掛部50の厚みt3は、例えば、1〜3mm程度とすることができる。橋掛部の長さh4は、該橋掛部50の長手方向(前後方向D1)に存在する筒状衝撃吸収部の数をN(Nは正の整数)として、N×d1+2×t2<h4であればよく、例えば、1.2×N×d1+2×t2<h4<3×N×d1+2×t2程度とすることができる。ここで、長さh4は、側壁部40A,40Bの厚みt2,t2を含む長さとする。橋掛部の幅w2は、50〜100mm程度とすることができる。
折曲部位48A,48B間の距離df1は、例えば、1.05×(h4−2×t2)<dt1<1.5×(h4−2×t2)程度とすることができる。距離dt1を前記範囲内にすれば、橋掛部50の幅方向(上下方向D2)から衝撃吸収体1を見たときに板状衝撃吸収部30及びドアトリムAU12が略台形状となり、衝撃入力時に板状衝撃吸収部30が橋掛部50の長手方向(前後方向D1)へ倒れ難くなる。
本衝撃吸収体1は、種々の公知技術を用いて製造可能である。例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性の樹脂成形材料の粒状原反を加熱機付き射出成形機に供給し、原反を加熱機にて加熱して溶融させ、衝撃吸収体の形状とされた所定の金型内に溶融状態の樹脂成形材料を射出して成形し、同金型を冷却して樹脂を固化させることにより、衝撃吸収体を形成することができる。むろん、プレス成形等によっても衝撃吸収体を形成可能である。
形成された衝撃吸収体1は、例えば、折曲部位48A,48Bの孔49にドアトリムの取付部位AU12aの突起部を通し、該突起部と折曲部位48とに対して超音波加工を施して両者を超音波溶着することにより、ドアトリムAU12に固定される。むろん、孔49にねじを通して折曲部位48をドアトリムにねじ止めして衝撃吸収体を固定してもよいし、接着剤で折曲部位48をドアトリムに接着して衝撃吸収体を固定してもよい。また、筒状衝撃吸収部の先端部12も、ドアトリムの接触部位AU12aに対して超音波溶着や接着剤等により固定してもよい。さらに、橋掛部50も、ドアパネルの接触部位AU2aに対して接着剤等により固定してもよい。
衝撃吸収体1を設置した自動車AU1が側面衝突する等して自動車AU1の側面から衝撃が入力されると、座席SE1に座っている乗員の腰がドアトリムAU12に当たることがある。ドアトリムAU12に乗員の腰が突き当たると、図6に示すように、ドアパネルAU2に対してドアトリムAU12が相対的に近づき、衝撃吸収体1が圧縮変形する。ここで、筒状衝撃吸収部10は、側面部13が蛇腹状に折り畳まれるように変形していき、この変形が薄肉部20の部分で生じると薄肉部20が破断する。また、側壁部40は、くの字状に曲がる。従って、変形後の衝撃吸収体1は、筒状衝撃吸収部の側面部13が蛇腹状に曲げ変形しているとともに薄肉部20に対応する割れ28を有し、側壁部40が折れ曲がっている。
ドアパネルとドアトリムとの間に設置される本衝撃吸収体1は、ドアトリムとともに衝撃を吸収する。図7の上段は、ドアトリムと側壁部と筒状衝撃吸収部について、所定形状のインパクターの当接位置を衝撃吸収体の設置場所の中心に合わせたときの変位xに対する圧縮荷重(反力)Fの変化、すなわち、衝撃吸収性能の例をグラフ形式で示している。ドアトリムのみの荷重変位曲線は、実線で示されるように、衝撃入力時x=0から右肩上がりに二次曲線的に上昇する曲線となる。これは、ドアトリム自体の面剛性によるものと推測される。側壁部のみの荷重変位曲線は、一点鎖線で示されるように、変位の初期で立ち上がってピークPE1を過ぎた後は下降する曲線となる。これは、側壁部が変位の初期段階で弾性変形するものの、ある段階からは弾性復元力が少なくなって側壁部が塑性変形するためと推測される。筒状衝撃吸収部のみの荷重変位曲線は、二点鎖線で示されるように、変位の初期で立ち上がってほぼ同じ荷重の領域R1を過ぎた後に一旦下がる領域R2を経て上昇する曲線となる。これは、領域R1で筒状衝撃吸収部の側面部が蛇腹状に折り畳まれるように塑性変形し、領域R2で薄肉部が破断して弾性復元力が少なくなるためと推測される。
衝撃吸収体を設置した自動車は、図7の下段に示すように、ドアトリムAU12の圧縮荷重F1、側壁部40A,40Bの全圧縮荷重F2、筒状衝撃吸収部10の全圧縮荷重F3、を合計した衝撃吸収性能を有する。同図の下段に示されるように、乗員の腰の位置におけるドア部分の変位xに対する圧縮荷重Fの曲線は、変位の初期で速く立ち上がってほぼ同じ荷重の領域R3が長く続いた後に上昇する曲線となる。このように、ドアトリムのみの衝撃吸収性能に側壁部及び筒状衝撃吸収部の衝撃吸収性能を加えることにより、変位の初期段階で荷重が速く立ち上がってほぼ同じ荷重の領域R3が長く続くことにより、圧縮荷重が許容限度を超える”底付き状態”となるまでに多くの衝撃エネルギーを吸収することができる。
なお、変位xに対する圧縮荷重Fの測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、所定形状のインパクターを衝突させる衝撃吸収体サンプル及びドアトリムサンプルを、所定位置の固定台に取り付ける。この固定台は、ドアパネルに相当する。インパクターは、固定台に向かって一定速度(例えば25km/h)で水平に移動するようにされている。インパクターには圧縮荷重Fを計測するための荷重センサが内蔵されており、図示しない制御装置にてインパクターの移動位置に応じて圧縮荷重Fを検出することが可能である。変位xは、インパクターがドアトリムに接触する位置からの移動距離を示している。
そして、上記条件でインパクターを前方からドアトリムに衝突させることにより、衝撃吸収体を設置したドア部分の変位xに対する圧縮荷重Fを測定することができる。
(2)衝撃吸収体の作用、効果:
図8の上段は衝撃が入力されていないときの衝撃吸収体1及びその近傍の様子を前から見て示す正面図であり、図8の下段は車室SP1内の乗員の腰がドアトリムAU12に当たったときの衝撃吸収体1及びその近傍の様子を前から見て示す正面図である。
自動車AU1の側面から衝撃が入力され、座席SE1に座っている乗員の腰がドアトリムAU12に当たると、ドアトリムAU12がドアパネルAU2に対して相対的に近づき、衝撃吸収体1が圧縮変形する。長手方向D4から衝撃が入力された筒状衝撃吸収部10は、側面部13が蛇腹状に折り畳まれるように変形していく。また、側面部13が蛇腹状に折り畳まれる変形が薄肉部20の部分で生じると薄肉部20が破断すると推測される。さらに、筒状衝撃吸収部の長手方向D4に沿って設けられた側壁部40は、くの字状に折れ曲がる。
ここで、自動車の側面からの衝撃入力時に乗員の腰がドアトリムに当たる箇所は一定しない。このため、乗員の腰がドアトリムAU12に対して衝撃吸収体の設置場所の中心位置P1に当たる設計でドアトリムAU12に衝撃吸収体1が固定されていても、乗員の腰がドアトリムAU12に対して衝撃吸収体の設置場所の中心から上方へずれた位置P2に当たることを想定しておいた方がよい。
図17は、側壁部を備えず筒状衝撃吸収部10を有する比較例の衝撃吸収体において、衝撃入力前後の衝撃吸収体及びその近傍の様子を前から見て示す正面図である。車室SP1内の乗員の腰がドアトリムAU12に対して衝撃吸収体の設置場所の中心位置P1に当たると、筒状衝撃吸収部の側面部13は折り畳まれるように変形していく。しかし、乗員の腰がドアトリムAU12に対して衝撃吸収体の設置場所の中心から上方へずれた位置P2に当たると、筒状衝撃吸収部の側面部13が下方へ倒れ、反力が低下して、衝撃エネルギーの吸収量が少なくなってしまう。従って、ドアトリムに対する乗員の腰の当接位置に応じて衝撃吸収体の衝撃吸収性能がばらつくことになる。
本実施形態の衝撃吸収体1は、橋掛部50と一対の側壁部40A,40Bとが板状衝撃吸収部30を構成しているので、衝撃吸収性能のばらつきが少なくなる。この板状衝撃吸収部30が筒状衝撃吸収部の橋掛部側端部11を固定しているので、乗員の腰がドアトリムAU12に対して衝撃吸収体の設置場所の中心から上方へずれた位置P2に当たっても、筒状衝撃吸収部の側面部13が倒れ難く、図8の下段に示すように筒状衝撃吸収部10が蛇腹状に折り畳まれるように変形する。従って、衝撃エネルギーの吸収量の低下が抑制され、衝撃入力時にドアトリムへ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響が少なくなる。
また、衝撃吸収体1は、橋掛部50と側壁部40A,40Bとが一枚の細長い矩形状の平板を折り曲げたような形状に成形され、各側壁部40A,40Bの幅方向の両縁部43,43と橋掛部50の幅方向の両縁部53とでで囲まれる部分が開口している。特開2000-108826号公報に記載されるように衝撃吸収体の本体を略中空立方体形状とすると略中空立方体形状の本体における辺の部分の屈曲が安定しないが、側壁部40の幅方向の両縁部43が架橋されていないと側壁部40の屈曲が安定する。これにより、本衝撃吸収体1は、衝撃吸収性能のばらつきが少ない。
従って、本実施形態の衝撃吸収体によると、衝撃吸収性能のばらつきを少なくさせ、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響を低減させることができる。
また、筒状衝撃吸収部に薄肉部が形成されていることにより、変位の途中で薄肉部が破断して反力が低下すると推測される。このため、衝撃吸収体を設置したドア部分の衝撃吸収性能をほぼ同じ荷重の領域R3が長く続く性能とすることができると推測され、”底付き状態”となるまでにより多くの衝撃エネルギーを吸収することが可能となる。
(3)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
車体パネルが比較的車外側のアウターパネルと比較的車内側のインナーパネルとから構成される場合、このインナーパネルと内装部材との間に本発明の衝撃吸収体を設置してもよい。
筒状衝撃吸収部の形状は、中空部を有することを前提として、円錐台状以外の楕円錐台状、四角錐台状等の角錐台状、楕円柱状や角柱状等の柱体状、等でもよい。また、筒状衝撃吸収部の先端部は、開口していてもよい。
一対の側壁部の先端部に設けられる折曲部位の向きは、互いに180°離れる方向以外の方向としてもよく、折曲部位の一方が他方の折曲部位に近づく向きとされてもよいし、互いに近づく向きとされてもよい。また、側壁部の先端部は、折り曲げられていなくてもよい。この場合、例えば、側壁部の先端部を差し込むための凹形状をドアトリムに形成しておき、この凹形状に側壁部の先端部を挿入して固定すれば、ドアトリムに衝撃吸収体を固定することができる。
図9に示すように、折曲部位48をドアパネルAU2に固定し、橋掛部50をドアトリムAU12側に向けて車両用衝撃吸収体1を自動車に設置してもよい。図示の衝撃吸収1は、筒状衝撃吸収部の先端部12をドアパネルAU2に接触させ、橋掛部50をドアトリムAU12に接触させている。このように衝撃吸収体1を配置しても、衝撃入力時にドアトリムへ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響を低減させる効果が得られる。
図10に示す車両用衝撃吸収体2のように、側壁部にビード形状46を形成してもよい。図示の衝撃吸収体2は、ビード形状の向きを自動車の内外方向D3としている。これにより、乗員の腰がドアトリムに対して衝撃吸収体の設置場所の中心から上方へずれた位置に当たったときに筒状衝撃吸収部の側面部13がさらに倒れ難くなる。従って、本変形例によると、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響をさらに低減させることができる。
むろん、板状衝撃吸収部の形状は、平板状やビード板状のみならず、曲板状等でもよい。
図11に示すように、薄肉部の無い筒状衝撃吸収部10と板状衝撃吸収部30とから車両用衝撃吸収体3を構成してもよい。上述した薄肉部20を有する衝撃吸収体1と比べて”底付き状態”となるまでに吸収する衝撃エネルギーが少なくなるものの、本変形例でも、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響を低減させる効果が得られる。
図12に示すように、別々に成形された筒状衝撃吸収部材110と板状衝撃吸収部材(板状衝撃吸収部)130とを組み合わせて車両用衝撃吸収体4を形成してもよい。本変形例の筒状衝撃吸収部材110は、複数の筒状衝撃吸収部10がフランジ部112で連結された形状とされている。一方、板状衝撃吸収部材130は、一対の側壁部40A,40Bと橋掛部50とを有し、衝撃を吸収する材料で板状に形成されている。橋掛部50において側壁部40が延出している側の面に対して接着剤により筒状衝撃吸収部材のフランジ部112を接着する等して両部材110,130を互いに固定すれば、衝撃吸収体4が形成される。本変形例でも、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響を低減させる効果が得られる。
(4)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
ポリプロピレン(アイゾット衝撃強さ400J/m)を用いて、図3〜図5に示す衝撃吸収体1のサンプルを射出成形した。このサンプルの寸法は、以下の通りである。
筒状衝撃吸収部の側面部及び先端部の厚みt1=1mm
筒状衝撃吸収部の長さh1=100mm
筒状衝撃吸収部の橋掛部側端部の外径d1=44mm
筒状衝撃吸収部の先端部の外径d2=26mm
薄肉部の長さh2=33mm
薄肉部の深さdt1=0.5mm
側壁部の厚みt2=3mm
側壁部の長さh3=100mm
側壁部の幅w1=100mm
橋掛部の厚みt3=1mm
橋掛部の長さh4=200mm
橋掛部の幅w2=100mm
折曲部位間の距離dt1=200mm
[比較例1]
衝撃吸収体サンプルとして、圧縮速度50mm/min時の50%歪み圧縮応力が0.3MPa、密度0.052g/cm3、厚み100mm、寸法100×200mmの硬質ポリウレタンフォームを用いた。
[試験方法]
ドアトリム相当材として、厚み2mmのポリプロピレンから成る射出成形品を用いた。
圧縮荷重測定装置には、衝撃吸収体サンプルを取り付ける直方体形状の受具と、この受具に向かって一定速度25km/hで水平に移動するインパクターとを有する装置を用いた。インパクターは、ユーロSID−2ダミーの腰部分を模擬した腰形とし、圧縮荷重Fを計測するための荷重センサを内蔵し、図示しない制御装置にてインパクターの移動位置に応じて圧縮荷重Fを検出する。衝撃吸収体サンプルの変位xは、インパクターの最前面がドアトリム相当材に接触する位置からの移動距離とした。
ドアトリム相当材に実施例1及び比較例1の衝撃吸収体サンプルを順次取り付け、該ドアトリム相当材を受具に取り付けた。インパクターの当接位置は、衝撃吸収体サンプルの中心に合わせた。
衝撃吸収体サンプルを固定したドアトリム相当材に対してインパクターを受具に向かって水平に移動させて前方から衝突させ、インパクターの移動位置に応じて圧縮荷重Fを検出した。そして、試験サンプルの変位x(単位:mm)に対する圧縮荷重F(単位:kN)をグラフにした。
[試験結果]
実施例1のサンプルは、試験後、側壁部がくの字に折れ曲がり、筒状衝撃吸収部が蛇腹状に折り畳まれていた。
図13は、各例の変位xに対する圧縮荷重Fをグラフにした結果である。同図に示されるように、比較例1では、初期荷重の立ち上がりが変位40mmまで続き、変位70mm程度で底付き状態となった。一方、実施例1では、所望の反力(約6kN)を得るまでの初期荷重の立ち上がりが変位約13mmまでと比較例1よりも速く、底付き状態となるのが変位約90mmと比較例1よりも遅かった。従って、実施例1の衝撃吸収体は、ドアトリムに取り付けられたとき、衝撃に対して少ない変形量で所望の反力となり、かつ、底付き状態となるまでの変位が大きいという、良好な衝撃吸収性能を発揮させることが確認された。
[実施例2]
実施例1と同じ衝撃吸収体サンプルを形成した。
[実施例3]
筒状衝撃吸収部に薄肉部を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして実施例3の衝撃吸収体サンプルを形成した。
[試験方法]
圧縮荷重測定装置には、実施例1の圧縮荷重を測定した装置を用いた。インパクターの当接位置は、衝撃吸収体サンプルの中心に合わせた。
実施例2,3の衝撃吸収体サンプルをバンパーカバー相当材に取り付けずに受具に取り付け、インパクターの当接位置を衝撃吸収体サンプルの中心に合わせた。衝撃吸収体サンプルに対してインパクターを受具に向かって水平に移動させて前方から衝突させ、インパクターの移動位置に応じて圧縮荷重Fを検出した。そして、試験サンプルの変位x(単位:mm)に対する圧縮荷重F(単位:kN)をグラフにした。
[試験結果]
実施例2のサンプルは、試験後、筒状衝撃吸収部の側面部が蛇腹状に折り畳まれて薄肉部に沿って割れが生じていた。一方、実施例3のサンプルは、試験後、筒状衝撃吸収部の側面部が蛇腹状に折り畳まれていたが、該側面部に割れは生じていなかった。
図14は、各例の変位xに対する圧縮荷重Fをグラフにした結果である。同図に示されるように、変位が約65mmに達するまでは、実施例2,3とも近似する荷重となったいる。筒状衝撃吸収部に薄肉部を形成しなかった実施例3では、変位約65〜80mmで反力が若干上昇し、その後底付き状態となった。一方、筒状衝撃吸収部に薄肉部を形成した実施例2では、変位約65〜80mmで反力が低下した後に底付き状態となった。これは、筒状衝撃吸収部が蛇腹状に折り畳まれる変形が薄肉部の部分で生じたときに薄肉部が破断するためと推測される。
筒状衝撃吸収部を有する衝撃吸収体に側壁部を設け、この衝撃吸収体を装飾部材に固定する場合、図7で示したように、筒状衝撃吸収部の衝撃吸収性能は変位の初期で立ち上がってほぼ同じ荷重の領域を過ぎた後に一旦下がる領域を経て上昇する性能が好ましい。実施例2,3で示されるように、筒状衝撃吸収部に薄肉部を形成することにより筒状衝撃吸収部の衝撃吸収性能としてより好ましい性能が得られることが確認された。
(5)解析例:
以下、CAE(Computer Aided Engineering)による解析例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は解析例により限定されるものではない。
[解析例]
解析対象の衝撃吸収体サンプルは、実施例1と同じサンプルとした。解析対象のドアトリム相当材は、厚み2mmのポリプロピレンから成る射出成形品とした。解析対象のインパクターは、ユーロSID−2ダミーの腰部分を模擬した腰形とした。衝撃吸収体サンプルを取り付けたドアトリム相当材を直方体形状の受具に取り付けたとし、インパクターの最前面の当接位置を衝撃吸収体サンプルの中心に合わせ(ずれ0mm)、衝撃吸収体サンプルを固定したバンパーカバー相当材に対してインパクターを受具に向かって一定速度25km/hで水平に移動させて前方から衝突させたとし、衝撃吸収体サンプルの変位xをインパクターがドアトリム相当材に接触する位置からの移動距離として、インパクターの移動位置に応じた圧縮荷重FをCAE解析によるシミュレーションで計算した。そして、サンプルの変位x(単位:mm)に対する圧縮荷重F(単位:kN)をグラフにした。
また、インパクターの当接位置を衝撃吸収体サンプルの中心から上方へ25mmずらし、それ以外は上述の条件に合わせて、インパクターの移動位置に応じた圧縮荷重FをCAE解析によるシミュレーションで計算し、サンプルの変位x(単位:mm)に対する圧縮荷重F(単位:kN)をグラフにした。
[比較解析例]
解析対象の衝撃吸収体サンプルは、実施例1の衝撃吸収体サンプルから側壁部を除いたサンプルとした。それ以外は解析例の条件に合わせて、インパクターの当接位置を衝撃吸収体サンプルの中心に合わせた場合(ずれ0mm)及び衝撃吸収体サンプルの中心から上方へ25mmずらした場合でインパクターの移動位置に応じた圧縮荷重FをCAE解析によるシミュレーションで計算し、サンプルの変位x(単位:mm)に対する圧縮荷重F(単位:kN)をグラフにした。
[解析結果]
図15は上記解析例の変位xに対する圧縮荷重Fをグラフにした結果であり、図16は上記比較解析例の変位xに対する圧縮荷重Fをグラフにした結果である。比較解析例では、インパクターの当接位置が衝撃吸収体サンプルの中心である場合(ずれ0mm)に対して衝撃吸収体サンプルの中心から上方へ25mmずれた場合、変位の初期で立ち上がった後のほぼ同じ荷重の領域において、荷重Fが低下した。また、ずれ0mmの場合には荷重が6kNを超える変位86mmまでの衝撃エネルギー吸収量が274Jであったのに対し、ずれ25mmの場合には荷重が6kNを超える変位87mmまでの衝撃エネルギー吸収量が201Jと小さかった。
一方、解析例では、インパクターの当接位置が衝撃吸収体サンプルの中心である場合(ずれ0mm)に対して衝撃吸収体サンプルの中心から上方へ25mmずれた場合でも、荷重Fはずれ0mmの場合とほぼ同じ荷重となった。また、ずれ0mmの場合には荷重が6kNを超える変位85mmまでの衝撃エネルギー吸収量が571Jであったのに対し、ずれ25mmの場合も荷重が6kNを超える変位89mmまでの衝撃エネルギー吸収量が583Jとずれ0mmの場合と同じであった。
以上より、筒状衝撃吸収部を有する衝撃吸収体に側壁部を設けることにより、衝撃入力時に装飾部材へ当たる位置が衝撃吸収体の設置場所の中心からずれることによる衝撃吸収性能への影響を低減させることができることが確認された。
なお、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
衝撃吸収体を採用した自動車の一例を垂直断面にて示す要部断面図。 車体パネルと装飾部材との間に衝撃吸収体が設置される様子を例示する分解斜視図。 衝撃吸収体の一例を車外側から見て示す斜視図。 衝撃吸収体の一例を車室側から見て示す斜視図。 図3に示す衝撃吸収体を同図のA1−A1の位置で断面視して示す水平断面図。 衝撃入力時の衝撃吸収体の様子を例示する平面図。 衝撃吸収体を固定した装飾部材による衝撃吸収性能の例を説明するための図。 衝撃入力前後の衝撃吸収体の様子を例示する正面図。 変形例に係る自動車に用いられる衝撃吸収体を示す平面図。 変形例の衝撃吸収体の外観を示す斜視図。 変形例の衝撃吸収体の外観を示す斜視図。 変形例の衝撃吸収体の外観を示す分解斜視図。 実施例1及び比較例1について、変位に対する圧縮荷重の変化を示す図。 実施例2,3について、変位に対する圧縮荷重の変化を示す図。 解析例について、変位に対する圧縮荷重の変化を示す図。 比較解析例について、変位に対する圧縮荷重の変化を示す図。 比較例において衝撃入力前後の衝撃吸収体の様子を例示する正面図。
符号の説明
1,2,3,4…車両用衝撃吸収体、
10…筒状衝撃吸収部、11…橋掛部側端部、12…先端部、13…側面部、
20…薄肉部、28…割れ、
30,130…板状衝撃吸収部、
40,40A,40B…側壁部、41…橋掛部側端部、42…先端部、43…縁部、
46…ビード形状、
48,48A,48B…折曲部位、49…孔、
50…橋掛部、53…縁部、
110…筒状衝撃吸収部材、
AU1…自動車、AU2,AU3…ドアパネル(車体パネル)、AU2a…接触部位、
AU4,AU5,AU6…ピラー(車体パネル)、
AU12,AU13…ドアトリム(装飾部材)、AU12a…取付部位、
AU14,AU15,AU16…ピラートリム(装飾部材)、
D1…前後方向、D2…上下方向、D3…内外方向、
D4…筒状衝撃吸収部の長手方向、
H1…中空部、
SP1…車室、SP2…車外空間、
P1,P2…当接位置、

Claims (5)

  1. 車体パネルと装飾部材との間に設置される車両用衝撃吸収体であって、
    衝撃を吸収する材料で筒状に形成された筒状衝撃吸収部と、
    前記筒状衝撃吸収部を挟む位置で該筒状衝撃吸収部の長手方向に沿って延出して一端が前記車体パネルと前記装飾部材の一方に固定される一対の側壁部と、該一対の側壁部の他端同士を架橋するとともに前記筒状衝撃吸収部の一端を固定する橋掛部とを有し、衝撃を吸収する材料で板状に形成された板状衝撃吸収部とを備えることを特徴とする車両用衝撃吸収体。
  2. 前記筒状衝撃吸収部は、前記橋掛部とは反対側の端部が前記橋掛部側の端部よりも細くされて閉じ、
    前記一対の側壁部は、前記橋掛部から前記筒状衝撃吸収部の長手方向へ延出した先端部が該筒状衝撃吸収部の長さに合わせた位置で互いに離れる方向へ折り曲げられた部位を有し、該部位が前記車体パネルと前記装飾部材の一方に固定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝撃吸収体。
  3. 前記筒状衝撃吸収部には、該筒状衝撃吸収部の長手方向に沿って前記橋掛部側の縁部から該橋掛部とは反対側の縁部に向かう途中まで直線状に延びる薄肉部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用衝撃吸収体。
  4. 前記側壁部には、ビード形状が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用衝撃吸収体。
  5. 前記筒状衝撃吸収部及び前記板状衝撃吸収部は、JIS K7110に規定されるアイゾット衝撃強さが200J/m以上の樹脂成形材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両用衝撃吸収体。
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