JP2010052515A - 電磁式作動装置制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁モータを有してその電磁モータがバッテリから電流の供給を受けて発生させる力に依拠して作動する電磁式作動装置の制御システムの実用性を向上させる。
【解決手段】電磁式作動装置の制御を、バッテリ電圧VBが第1閾電圧VLより低くなった場合(S22)に標準制御(S34)から供給電流低減制御(S26,31)に切り換え、バッテリ電圧VBが第2閾電圧VHより高くなった場合(S24)に供給電流低減制御から標準制御に切り換えるように構成され、供給電流低減制御が実行されている際にバッテリから電流の供給を受けて作動する電磁式作動装置とは別の装置へ供給されている電流IB−ISが閾電流I0以下である状況下(S27,29)においては、バッテリ電圧VBが第2閾電圧VHより高くなった場合であっても、電磁式作動装置の制御の供給電流低減制御から標準制御への切換を禁止すること(S33,32)を特徴とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、電磁モータを有してその電磁モータがバッテリから電流の供給を受けて発生させる力に依拠して作動する電磁式作動装置を制御するための制御システムに関する。
近年では、車両に、電磁モータを有してその電磁モータがバッテリから電流の供給を受けて発生させる力に依拠して作動する電磁式作動装置、例えば、電動パワーステアリング装置や電動アクティブスタビライザ装置等が搭載される。また、電磁式作動装置として、下記特許文献に記載されているような、電磁モータの力に依拠してばね上部とばね下部とに対してそれらが接近・離間する方向の力を発生させるもの、いわゆる電磁式サスペンション装置(より詳しく言えば、電磁式のショックアブソーバ)等が検討されている。つまり、今後も、車両に搭載される電磁式作動装置の数は増加すると考えられる。
特開2007−161100号公報 特開2005−119560号公報 特開2007−118714号公報
そして、車両に搭載される電磁式作動装置の増加等により、車両全体としてのバッテリからの供給電流が増加し、それによってバッテリの電圧が降下してしまう場合がある。また、バッテリの電圧が大きく降下した場合には、電磁式作動装置への電流供給ができないだけでなく、例えば、その電磁式作動装置を制御する装置への電流供給も停止して、走行中にシステム自体が初期化されてしまう虞すらある。特に、電磁式作動装置の中には、比較的大きな電流を必要とするものが存在し、そのような電磁式作動装置による大きな供給電流は、バッテリの電圧降下の要因となる可能性が高い。例えば、上述した電磁式サスペンション装置は、比較的大きな電流を必要とする場合がある装置である。そこで、上記特許文献1に記載された電磁式サスペンション装置の制御システムは、バッテリの電圧が閾電圧より低下した場合等に、電磁式サスペンション装置が有する電磁モータの通電電流を通常の制御に比較して低減するとともに、バッテリの電圧が回復した場合に、通常の制御に戻すように構成される。ところが、そのような制御システムでは、バッテリからの供給電流の変動が激しい場合に、バッテリの電圧の変動も激しく、電磁式サスペンション装置への通電電流を低減する制御と通常の制御とが、頻繁に切り換わることになるため、システムの実用性という点において充分とは言い難い。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、電磁式作動装置を制御するための制御システムである電磁式作動装置制御システムの実用性を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の電磁式作動装置制御システムは、電磁式作動装置の制御として、定められた制御規則に従って制御する標準制御と、電磁式作動装置がバッテリから受ける供給電流を標準制御より低減させるように制御する供給電流低減制御とを実行可能とされて、バッテリの電圧が第1閾電圧より低くなった場合に標準制御から供給電流低減制御に切り換え、バッテリの電圧が第2閾電圧より高くなった場合に供給電流低減制御から標準制御に切り換えるように構成され、供給電流低減制御が実行されている際にバッテリから電流の供給を受けて作動する電磁式作動装置とは別の装置へ供給されている電流が閾電流以下である状況下においては、バッテリの電圧が第2閾電圧より高くなった場合であっても、供給電流低減制御から標準制御への切換を禁止することを特徴とする。
本発明の電磁式作動装置制御システムによれば、例えば、バッテリが、本システムが備える電磁式作動装置へ電流を供給するだけで電圧が比較的大きく低下してしまうような場合に、標準制御と供給電流低減制御とが頻繁に切り換わるような事態が生じることを防止することが可能である。そのような利点を有することで、本発明の電磁式作動装置制御システムは実用性の高いものとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項ないし(4)項のの技術的特徴を合わせたものが請求項2に、(6)項が請求項3に、(9)項が請求項4に、それぞれ相当する。
(1)電磁モータを有してその電磁モータがバッテリから電流の供給を受けて発生させる力に依拠して作動する電磁式作動装置と、その電磁式作動装置の作動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置が、
定められた制御規則に従って前記電磁式作動装置を制御する標準制御を実行する標準制御実行部と、
前記電磁式作動装置が前記バッテリから受ける供給電流を前記標準制御より低減させるように、前記電磁式作動装置を制御する供給電流低減制御を実行する供給電流低減制御実行部と、
前記電磁式作動装置の制御を、前記バッテリの電圧が第1閾電圧より低くなった場合に前記標準制御から前記供給電流低減制御に切り換え、前記バッテリの電圧が第2閾電圧より高くなった場合に前記供給電流低減制御から前記標準制御に切り換える実行制御切換部と、
前記供給電流低減制御が実行されている際に前記バッテリから電流の供給を受けて作動する前記電磁式作動装置とは別の1以上の装置へ供給されている電流が閾電流以下である状況下においては、前記バッテリの電圧が第2閾電圧より高くなった場合であっても、前記実行制御切換部による前記電磁式作動装置の制御の前記供給電流低減制御から前記標準制御への切換を禁止する制御切換禁止部と
を有する電磁式作動装置制御システム。
本項に記載の「電磁式作動装置」とは、電磁モータ(以下、単に「モータ」という場合がある)によって作動するものであればよく、例えば、ばね上部とばね下部に対してそれらを接近離間させる方向の力である接近離間力を発生可能な接近離間力発生装置,車輪を転舵させる力を発生させる転舵力発生装置,ステアリング操作部材の操作量に対する転舵装置の転舵量の比を変更可能な装置(いわゆるVGRS(Variable Gear Ratio Steering)アクチュエータ)等の種々の構成のものをいう。例えば、それらのうち2つ以上の電磁式作動装置を車両が備える場合には、それらのうちの少なくとも1つの電磁式作動装置を本項に記載の電磁式作動装置として、その電磁式作動装置に対する制御システムを、本項に記載の電磁式作動装置制御システムとすることができる。そして、車両が複数の電磁式作動装置を備える場合には、本項の電磁式作動装置制御システムは、それら複数の電磁式作動装置のうちの上記供給電流低減制御を実行したとしても車両の走行に比較的支障をきたさない特定の電磁式作動装置に対する制御システムであることが望ましい。具体的には、例えば、車両が備える複数の電磁式作動装置の各々に対して、車両走行時の必要性や供給電流の大きさ等を考慮して優先順位を付けた場合に、その優先順位の比較的低い電磁式作動装置に対する制御システムであることが望ましい。以下の説明において、本項に記載のシステムが備える電磁式作動装置を、他の電磁式作動装置と区別するために、特定電磁式作動装置と呼ぶ場合がある。
本項に記載の電磁式作動装置制御システムは、バッテリの電圧、詳しくは、バッテリの放電時における端子電圧だけでなく、バッテリから特定電磁式作動装置とは別の装置への供給電流をも狭慮して、標準制御と供給電流低減制御とのいずれを実行するかが決定されるように構成される。本項にいう「供給電流低減制御が実行されている際にバッテリから電流の供給を受けて作動する電磁式作動装置とは別の装置へ供給されている電流が閾電流以下である状況下」とは、例えば、バッテリが、特定電磁式作動装置へ電流を供給するだけで電圧が比較的大きく低下してしまう程に劣化しているような場合が考えられる。そのような場合において、バッテリの電圧のみによって特定電磁式作動装置の制御を切り換えた場合、供給電流低減制御から標準制御に戻すと再びバッテリの電圧が低下してしまい、標準制御と供給電流低減制御とが頻繁に切り換わることになる。本項の態様によれば、その標準制御と供給電流低減制御とが頻繁に切り換わることを防止することが可能である。換言すれば、バッテリの電圧の変動を抑制することになる。
なお、本項に記載の「バッテリから電流の供給を受けて作動する電磁式作動装置とは別の装置(以下、「他電気装置」という場合がある)」とは、例えば、ランプ類,オーディオ類などの電装品や、当該電磁式作動装置制御システムが搭載される車両が特定電磁式作動装置以外に電磁式作動装置を備える場合にはその電磁式作動装置等をいう。そして、本項にいう「1以上の他電気装置へ供給されている電流」は、車両が複数の他電気装置を備える場合には、複数の他電気装置のうちの一部(少なくとも1つの他電気装置)であってもよく、複数の他電気装置の全部への供給電流であってもよい。なお、複数の他電気装置への供給電流である場合には、それら複数の他電気装置の各々への供給電流の和と考えることができる。また、複数の他電気装置の全部への供給電流である場合には、例えば、バッテリの総供給電流から特定電磁式作動装置への供給電流を引いた値と考えることもできる。
本項に記載の「制御装置」は、電磁式作動装置の作動を制御するための制御目標値、具体的に言えば、電磁式作動装置に発生させる力や、その力の大きさを指標する何らかの物理量を決定し、その制御目標値に従って電磁式作動装置の作動を制御するものとすることができる。制御目標値について、より具体的に言えば、例えば、モータ力,モータを流れる電流の大きさ,PWM(Pulse Width Modulation)制御におけるデューティ比等であってもよい。本項の「標準制御実行部」は、その制御目標値を定められた制御規則に従って決定し、その決定された制御目標値に従って電磁式作動装置の作動を制御するものとすることができる。また、「供給電流低減制御実行部」は、供給電流低減制御として、例えば、バッテリから受ける供給電流が小さくなるように、その標準制御実行部において決定された制御目標値を補正する制御や、モータの各相の通電端子間を導通させることで、電磁式作動装置への供給電流を0とする制御を実行するものとすることができる。なお、前者の制御目標値を補正する制御としては、例えば、標準制御実行部において決定された制御目標値を低減する制御や、標準制御実行部において決定された制御目標値が設定値を超えないようにその制御目標値を補正する制御等を採用可能である。
なお、上記の標準制御と供給電流低減制御とを切り換える「第1閾電圧」と「第2閾電圧」とは、同じ大きさに設定されてもよいが、その同じ大きさとされた電圧付近でバッテリの電圧が変動して2つの制御が頻繁に切り換わることを防止するために、第2閾電圧が、第1閾電圧より高い値に設定されることが望ましい。
(2)前記供給電流低減制御が、前記バッテリから前記特定電磁式作動装置への供給電流が設定電流を超えないように、前記電磁式作動装置を制御する制御である(1)項に記載の電磁式作動装置制御システム。
(3)前記供給電流低減制御実行部が、前記設定電流を、前記バッテリの電圧が低くなるほど小さな値とするように構成された(2)項に記載の電磁式作動装置制御システム。
上記2つの項に記載の態様は、供給電流制御を具体化した態様であり、電磁式作動装置への供給電流を設定電流以下に制限するように構成される。本項の態様は、供給電流そのものを制限する態様に限定されず、先に述べた制御目標値に制限値を設定することで、供給電流が設定電流を超えないようにする態様であってもよい。上記2つの項の態様によれば、特定電磁式作動装置がバッテリから受ける電流を確実に低減できる。さらに、後者の態様によれば、設定電流を、バッテリの電圧の大きさに応じた適切な大きさとできるため、特定電磁式作動装置の機能を制限を受ける中で最大限に発揮できる。なお、標準制御が、モータに過大な負荷を掛けないようにすること等を目的として供給電流がある電流を超えないようにする制御規則に従う制御である場合には、本項の態様における供給電流低減制御は、その標準制御における電流より小さな値に設定された設定電流を超えないようにする制御とすることができる。
(4)前記供給電流低減制御実行部が、前記1以上の装置へ供給されている電流が前記閾電流以下である状況下においては、前記設定電流を、前記バッテリの電圧が今回の制御中において最も低くなった場合に対応する値とするように構成された(3)項に記載の電磁式作動装置制御システム。
供給電流低減制御が実行されている際に前述の他電気装置へ供給されている電流が閾電流以下である状況下においては、供給電流の変動量に対するバッテリ電圧の変動量が、その状況下にない通常の状態に比較して大きくなっていると推定される。本項の態様は、上記設定電流が供給電流制御の実行中における最も小さな値とされることで、供給電流の変動幅が小さくされ、供給電流低減制御中におけるバッテリ電圧の変動を抑制することが可能である。
(5)前記第2閾電圧が、前記第1閾電圧より高い値に設定された(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の電磁式作動装置制御システム。
本項の態様によれば、先にも説明したように、第1閾電圧と第2閾電圧とが同じ大きさに設定された場合に生じる2つの制御が頻繁に切り換わるような事態を防止することが可能である。
(6)前記特定電磁式作動装置が、前記電磁モータが発生させる力に依拠してばね上部とばね下部に対してそれらを接近離間させる方向の力である接近離間力を発生可能な接近離間力発生装置である(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の電磁式作動装置制御システム。
本項に記載の「接近離間力発生装置」は、それの構造が特に限定されるものではなく、例えば、後に説明するように、接近離間力をロール抑制力として発生可能なスタビライザ装置とすることが可能である。また、(a)ばね上部に連結されるばね上部側ユニットと、(b)ばね下部に連結され、ばね上部とばね下部との接近離間動作に伴ってばね上部側ユニットと相対動作するばね下部側ユニットとを有し、電磁モータが発生させる力に依拠して、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作に対する力を発生させる構造の装置、いわゆる電磁式のショックアブソーバとすることも可能である。つまり、本項の態様は、平たく言えば、サスペンションシステムが、当該電磁式作動装置制御システムを含むように構成された態様である。
(7)前記特定電磁式作動装置が、
スタビライザバーを有し、そのスタビライザバーの捩り反力によって前記接近離間力をロール抑制力として発生させるとともに、前記電磁モータが発生させる力に依拠して前記スタビライザバーの捩れ量を変更することでそのロール抑制力を変更可能な構造のスタビライザ装置である(6)項に記載の電磁式作動装置制御システム。
本項に記載の態様は、前述の接近離間力発生装置をスタビライザ装置に限定した態様である。本項の「スタビライザバー」は、左右の車輪の各々に対応して設けられ、それぞれが、車幅方向に延びて配設されるトーションバー部と、そのトーションバー部に連続してそれと交差して延びるとともに先端部において車輪保持部にばね下部に連結されるアーム部とを有する1対のスタビライザバー部材によって構成されてもよい。そのような場合、前記電磁モータが、それら1対のスタビライザバー部材のトーションバー部の各々を相対回転させる構造のスタビライザ装置とすることができる。また、1対のスタビライザバー部材の各々に対応して設けた1対の電磁モータを有し、それぞれが、電磁モータが発生させる力に依拠してトーションバー部を捩ることで、接近離間力を発生させる構造の装置、いわゆる左右独立型のスタビライザ装置とすることもできる。
(8)前記標準制御が、車体の姿勢の変動を抑制するための姿勢変動抑制制御を実行するための規則を含む制御規則に従う制御である(6)項または(7)項に記載の電磁式作動装置制御システム。
車体姿勢変動抑制制御は、例えば、車両の旋回に起因する車体のロールを抑制するためのロール抑制制御,車両の加減速に起因する車体のピッチを抑制するためのピッチ抑制制御等である。その車体姿勢変動抑制制御は、ばね上部とばね下部との接近・離間を実質的に伴わない状態で接近離間力を発生させるため、その姿勢変動を抑制するための力は、供給電流量に比例すると考えることができる。したがって、車体姿勢変動抑制制御が実行されるシステムにおいては、バッテリの電圧が低下した場合の供給電流低減制御が、特に有効である。
なお、先に述べた電磁式のショックアブソーバや左右独立型のスタビライザ装置においては、標準制御が、上記車体姿勢変動制制御のみならず、例えば、振動減衰を目的とした制御、具体的には、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づく制御を平行して実行するような制御規則に従う制御であってもよい。
(9)当該電磁式作動装置制御システムが、
前記電磁モータが発生させる力に依拠して車輪を転舵させる力を発生させる転舵力発生装置を前記1以上の装置に含む車両に搭載された(6)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の電磁式作動装置制御システム。
本項に記載の「転舵力発生装置」は、例えば、モータが発生させる力が、それのみで車輪を転舵させる力とされる装置、つまり、いわゆるステアバイワイヤ型のステアリング装置とすることができる。また、例えば、モータが発生させる力が、操作力を助勢する力とされる装置、つまり、いわゆる電動式パワーステアリング装置とすることも可能である。そのような転舵力発生装置は、先に述べた接近離間力発生装置に比較して、車両の走行時に必要性が高いため、上記転舵力発生装置を備えた車両である場合には、特定電磁式作動装置が接近離間力発生装置である電磁式作動装置制御システムが、特に有効である。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例および変形例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明における技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
≪スタビライザシステムの構成≫
図1に、請求可能発明の実施例である電磁式作動装置制御システムを含んで構成されるスタビライザシステム10を備えた車両を模式的に示す。本スタビライザシステム10は、前後左右の車輪12FL,12FR,12RL,12RRの前輪側と後輪側との各々に配設された1対のスタビライザ装置20を備えている。それら1対のスタビライザ装置20の各々は、スタビライザバー22と、アクチュエータ24とを有している。なお、1対のスタビライザ装置20の各々は、略同様の構成であるため、説明の簡略化に配慮して、以下、前輪側のスタビライザ装置20を代表して詳しく説明する。
図2は、前輪側に配設されたスタビライザ装置20を車両上方から眺めた図である。スタビライザバー22は、1対のスタビライザバー部材30を有し、それら1対のスタビライザバー部材30がアクチュエータ24を介して接続された構成のものとされている。それら1対のスタビライザバー部材30の各々は、概して車幅方向に延びるトーションバー部32と、そのトーションバー部32の車幅方向外側の端部からそれと交差して概ね車両の前方に向かって延びるアーム部34とに区分することができる。各スタビライザバー部材30のトーションバー部32は、アーム部34に近い箇所において、車体に固定的に設けられた保持具36によって回転可能に保持され、互いに同軸的に配設されている。各トーションバー部32の車幅方向内側の端部は、後に詳しく説明するようにアクチュエータ24に接続されている。一方、アーム部34の車両前方側の端部は、ロアアーム38に連結されている。
スタビライザ装置20が有するアクチュエータ24は、図3に示すように、電磁モータ60(以下、単に「モータ60」という場合がある)と、そのモータ60の回転を減速して伝達する減速機62とを含んで構成されている。これらモータ60と減速機62とは、アクチュエータ24のハウジング64内に設けられている。そのハウジング64の一端部には、1対のスタビライザバー部材30の一方のトーションバー部32の端部が固定的に接続されており、一方、1対のスタビライザバー部材30の他方は、ハウジング64の他端部からそれの内部に延び入る状態で配設されるとともに、後に詳しく説明するように、減速機62と接続されている。さらに、1対のスタビライザバー部材30の他方は、それの軸方向の中間部において、ブシュ型軸受70を介してハウジング64に回転可能に保持されている。
モータ60は、ハウジング64の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のコイル72と、ハウジング64に回転可能に保持された中空状のモータ軸74と、コイル72と向きあうようにしてモータ軸74の外周に固定して配設された永久磁石76とを含んで構成されている。モータ60は、コイル72がステータとして機能し、永久磁石76がロータとして機能するモータであり、ブラシレスDCモータとされている。なお、ハウジング64内に、モータ軸74の回転角度、すなわち、モータ60の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ78が設けられている。モータ回転角センサ78は、エンコーダを主体とするものであり、アクチュエータ24の制御、つまり、スタビライザ装置20の制御に利用される。
減速機62は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)80,フレキシブルギヤ(フレクスプライン)82およびリングギヤ(サーキュラスプライン)84を備え、ハーモニックギヤ機構(「ハーモニックドライブ(登録商標)機構」,「ストレインウェーブギヤリング機構」等と呼ばれることもある)として構成されている。波動発生器80は、楕円状カムと、それの外周に嵌められたボールベアリングとを含んで構成されるものであり、モータ軸74の一端部に固定されている。フレキシブルギヤ82は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状をなすものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯(本減速機62では、400歯)が形成されている。このフレキシブルギヤ82は、先に説明した1対のスタビライザバー部材30の他方(図において右側のもの)のトーションバー部32の端部に接続され、それによって支持されている。詳しく言えば、そのスタビライザバー部材30のトーションバー部32は、モータ軸74を貫通しており、それから延び出す部分の外周面において、当該減速機62の出力部としてのフレキシブルギヤ82の底部を貫通する状態でその底部とスプライン嵌合によって相対回転不能に接続されている。リングギヤ84は、概してリング状をなして内周に複数の歯(本減速機62においては、402歯)が形成されたものであり、ハウジング64に固定されている。フレキシブルギヤ82は、その周壁部が波動発生器80に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ84と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。このような構造により、波動発生器80が1回転(360度)すると、つまり、電磁モータ60のモータ軸74が1回転すると、フレキシブルギヤ82とリングギヤ84とが、2歯分だけ相対回転させられる。つまり、減速機62の減速比は、1/200とされている。
上述のような構成から、車両の旋回等によって、ロールモーメントが作用する場合、左右のスタビライザバー部材30を相対回転させる力、つまり、アクチュエータ24に対する外力が作用する。その場合、モータ60が発生させる力であるモータ力(モータ60が回転モータであることから、回転トルクと考えることができるため、回転トルクと呼ぶ場合がある)によって、アクチュエータ24がその外力に対抗する力を発生させているときには、それら2つのスタビライザバー部材30によって構成された1つのスタビライザバー22が捩じられることになる。この捩りにより生じる捩り反力は、ロールモーメントに対抗する力となる。つまり、スタビライザ装置20が、スタビライザバー22の捩り反力によってロール抑制力を発生させているのである。そして、モータ力によってアクチュエータ24の回転量を変化させることで、左右のスタビライザバー部材30の相対回転量を変化させれば、上記ロール抑制力が変化し、車体のロールをアクティブに抑制することが可能となる。
なお、ここでいうアクチュエータ24の回転量とは、車両が平坦路に静止している状態を基準状態としてその基準状態でのアクチュエータ24の回転位置を中立位置とした場合において、その中立位置からの回転量、つまり、動作量を意味する。また、スタビライザ装置20の制御においては、アクチュエータ24の回転量とモータ60の回転角とは対応関係にあるため、実際には、アクチュエータ24の回転量に代えて、モータ回転角センサ78によって取得されるモータ回転角を対象とした制御が行われる。
本スタビライザシステム10は、図1に示すように、スタビライザ電子制御ユニット100(以下、「スタビライザECU100」という場合がある)によって、アクチュエータ24の制御、詳しくは、アクチュエータ24のモータ60の作動の制御が行われる。スタビライザECU100は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたコントローラ102と、各アクチュエータ24が有するモータ60に対応する駆動回路としてのインバータ104とを有している。そのインバータ104は、コンバータ108を介してバッテリ110に接続されており、各アクチュエータ24のモータ60には、そのコンバータ108とバッテリ110とを含んで構成される電源から電力が供給される。なお、モータ54は定電圧駆動されることから、モータ60への供給電力は、供給電流を変更することによって変更され、モータ60の力は、その供給電流に応じた力となる。
図4に示すように、各アクチュエータ24のモータ60は、コイルがデルタ結線された三相ブラシレスDCモータであり、上述したようにインバータ104によって制御駆動される。そのインバータ104は、図に示すような一般的なものであり、high側(高電位側),low側(低電位側)のそれぞれに対応し、かつ、モータ60の3つの相であるU相,V相,W相のそれぞれに対応する6つのスイッチング素子HUS,HVS,HWS,LUS,LVS,LWSを備えている。インバータ104は、いわゆる120°通電矩形波駆動によってモータ60を駆動するのであり、インバータ104が有するスイッチング素子切換回路120によって、モータ60に設けられた3つのホール素子Hの検出信号により電気角が判断され、その電気角に基づいて6つのスイッチング素子の開閉が制御される。そして、そのスイッチング素子の制御は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われるのであり、そのディーティ比の変更によりモータ60への供給電流が変更されるようになっている。
≪ステアリングシステムの構成≫
本ステアリングシステム10を備えた車両には、図1に示すように、ステアリングシステム180も搭載される。そのステアリングシステム180は、パワーステアリングシステムであり、大きくは、操作装置182と、転舵装置184と、ステアリング電子制御ユニット186(以下、「ステアリングECU186」略す場合がある)とに区分することができ、それらを構成要素として含んで構成されている。
操作装置182は、ステアリングホイール190と、一端部にステアリングホイール190が接続されたステアリングシャフト192とを含んで構成され、詳細な図は省略するが、そのステアリングシャフト192が、後に説明する転舵装置184が有する入力軸としてのピニオン軸200に他の部材等を介して連結されることで、操作装置182が転舵装置184に接続される。
転舵装置184について、図5をも参照しつつ説明する。図5は、転舵装置184を下方から見た断面図である。転舵装置184は、車体に固定されたハウジング210と、ハウジング210に軸方向(車両の左右方向)に移動可能に設けられた転舵ロッド212を主体として構成されている。上述したように、転舵装置184は、操作装置182側からの操舵力が入力されるピニオン軸200を有している。転舵ロッド212には、ピニオン軸200に形成されたピニオン216と噛合するラック218が形成され、ピニオン軸200と転舵ロッド212とは、ラックアンドピニオン機構によって連結されている。そのような構造により、ピニオン軸200の回転によって転舵ロッド212が軸方向に移動するようにされている。また、転舵ロッド212の両端部の各々は、左右の前輪12FL,12FRに連結されている。
転舵装置184は、動力源としての助勢モータ230(電磁モータである)の駆動力によって、車輪12の転舵に要する転舵力を助勢する助勢機構232を備えており、いわゆる電動式パワーステアリングシステムとされている。助勢機構232は、ボールねじ機構234も有しており、そのボールねじ機構は、転舵ロッド212に形成されたねじ溝(雄ねじ)236と、ベアリングボールを有してそのねじ溝236に螺合するボールナット238とを含んで構成されている。ボールナット238は、ハウジング210内に軸受240を介して回転可能に保持された中空のモータ軸である回転軸242にそれと同軸的に固定されており、転舵ロッド212は、この回転軸242内を挿通した状態でボールナット238と螺合させられている。その回転軸242の外周部には、周方向に複数の永久磁石244が固定されて配設されており、それらは、助勢モータ230のロータを構成している。永久磁石244に対向するように、複数のコイル246が、ハウジング210の内面に固定されて配設され、ステータを構成している。このような構造とされることで、助勢モータ230は、いわゆるブラシレスDCモータとされている。上記のような構造により、助勢モータ230によってボールナット238に回転力が付与され、転舵ロッド212に移動力が付与される。つまり、助勢モータ230の駆動力によって、転舵ロッド212の移動が助勢される構造とされているのである。
本ステアリングシステム180は、図1に示すように、ステアリングECU186によって、転舵装置184の制御、詳しくは、助勢モータ230の作動の制御が行われる。ステアリングECU186は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたコントローラ260と、助勢モータ230を駆動するインバータ262とを有している。そのインバータ262は、図4に示したアクチュエータ24のインバータ104と同じ構成のものであり、助勢モータ230も、モータ60と同様の三相ブラシレスDCモータであり、インバータ262は、助勢モータ230を先に述べたように駆動する。なお、インバータ262は、アクチュエータ24のインバータ104の各々が接続されたものと同じバッテリ110に接続されており、そのバッテリ110から助勢モータ230に電流が供給される。
ちなみに、ステアリングECU186は、転舵装置184の助勢機構232に関する制御を実行する。この制御では、車速vが早くなるほど助勢力が小さくされるようになっており、その車速vとステアリングホイール190に加えられた操作トルクTqに基づいて目標となる助勢力が決定され、その決定された目標助勢力を発揮するように、助勢モータ230への目標となる供給電流が決定されるようになっている。
≪車両に搭載されるセンサ≫
車両には、イグニッションスイッチ[I/G]280,車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ[v]282,ステアリングホイール190の操作角を検出するための操作角センサ[δ]284,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ[Gy]286,バッテリ110の端子電圧を測定する電圧センサ[VB]288,バッテリ110から1対のスタビライザ装置20および転舵装置184等への供給電流である総供給電流を測定するバッテリ電流センサ[IB]290,スタビライザECU100が有するインバータ104内に設けられて実際にモータ60を流れる電流を測定するスタビライザ電流センサ[IS]292等が設けられており、それらはスタビライザECU100のコンピュータに接続されている。スタビライザECU100は、それらのスイッチ,センサからの信号に基づいて、1対のスタビライザ装置20の各々のアクチュエータ24の作動の制御を行うものとされている。ちなみに、[ ]内の文字は、上記スイッチ,センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。また、スタビライザECU100のコンピュータが備えるROMには、後に説明するところのアクチュエータ24の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
≪スタビライザシステムの制御≫
i)標準制御
本スタビライザシステム10では、1対のスタビライザ装置20の各々を独立して制御することが可能となっており、それらスタビライザ装置20の各々が、通常は、定められた制御規則に従った制御である標準制御が実行されることによって制御される。その標準制御は、詳しくは、車両の旋回に起因する車体のロールを効果的に抑制するための制御である車体姿勢変動抑制制御としてのロール抑制制御であり、車体のロールを効果的に抑制すべく、車体が受けるロールモーメントに応じた大きさのロール抑制力を発生させる制御である。先にも述べたように、ロール抑制力は、モータ60のモータ回転角を変更することによって変化させることが可能であるため、モータ60の実際のモータ回転角である実モータ回転角θrが、目標モータ回転角θ*となるようにすることで、目標となるロール抑制力を発生させる。
具体的に言えば、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操舵角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ286によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、目標モータ回転角が決定される。詳しくは、スタビライザECU100のコントローラ102内には、制御横加速度Gy*をパラメータとする目標モータ回転角θ*のマップデータが格納されており、そのマップデータを参照して、目標モータ回転角θ*が決定される。
そして、実モータ回転角θrが、その決定された目標モータ回転角θ*となるように、モータ60が制御される。つまり、モータ60に供給する電流が、実モータ回転角θrの目標モータ回転角θ*に対する偏差であるモータ回転角偏差Δθ(=θ*−θr)に基づくフィードバック制御の手法に従って決定される。具体的には、モータ60が備えるモータ回転角センサ78の検出値と上記目標モータ回転角θ*とによってモータ回転角偏差Δθが認定され、それをパラメータとして、次式に従って、目標供給電流i*が決定される。
*=KP・Δθ+KI・Int(Δθ)
この式は、PI制御則に従う式であり、第1項,第2項は、それぞれ、比例項、積分項を、KP,KIは、それぞれ、比例ゲイン,積分ゲインを意味する。また、Int(Δθ)は、モータ回転角偏差Δθの積分値に相当する。
ちなみに、上記目標供給電流i*は、それの符号によりモータ60のモータ力発生方向を表すものとなっており、モータ60の駆動制御にあたっては、目標供給電流i*に基づいて、モータ60を駆動するためのデューティ比およびモータ力発生方向が決定される。そして、それらデューティ比およびモータ力発生方向についての指令がインバータ104に発令され、インバータ104によって、その指令に基づいたモータ60の駆動制御がなされる。また、その目標供給電流i*は、モータ60に過大な負荷が掛かることのないように、基準供給電流制限値ilimit0以下に制限されるようになっている。
ii)供給電流低減制御
本スタビライザシステム10が搭載される車両には、先に述べたステアリングシステム180も搭載されているため、バッテリ100からの車両全体への供給電流が大きくなる場合がある。そのような場合には、バッテリ110が電圧降下して、電流供給ができない事態が生じる虞がある。そこで、本スタビライザシステム10では、電圧センサ288により測定されたバッテリ110の電圧VBが第1閾電圧である抑制閾電圧VLより低くなった場合に、転舵装置184への電流供給を優先すべく、1対のスタビライザ装置20の制御を、上述した標準制御から、1対のスタビライザ装置20への供給電流を標準制御より低減させる供給電流低減制御に切り換えるようにされている。
上記供給電流低減制御は、1対のスタビライザ装置20への目標供給電流i*を、先に述べた基準供給電流制限値ilimit0より小さく、バッテリ110の電圧VBに応じた大きさの制限値以下に制限する制御である。図6に、バッテリ電圧VBと、バッテリ電圧VBに対してバッテリ110からスタビライザ装置20へ供給する電流の上限値である供給電流上限値iVとの関係を示す。この図からも分かるように、バッテリ電圧VBが低くなるほど、供給電流上限値iVは小さな値とされるようになっている。つまり、バッテリ110の電圧VBが大きく降下するほど、スタビライザ装置20への供給電流は小さくされるのである。
バッテリ110からは、スタビライザ装置20の他に、転舵装置184をメインとして車両が備える電力によって作動する電気装置等にも電流が供給されている。スタビライザ装置20,転舵装置184,その他の電気装置(図示省略)等への総供給電流が大きい場合には、バッテリ110の電圧は降下してしまう場合もあるが、バッテリ110が正常であれば、スタビライザ装置20へ電流を供給するだけで電圧が降下することはない。つまり、スタビライザ装置20へ電流を供給するだけで電圧が降下してしまうような場合、換言すれば、供給電流の変動量に対する電圧の変動量が大きくなっているような場合には、バッテリ110には、劣化等の何らかの異常が生じていると考えられる。バッテリ110にそのような異常が生じている場合に、バッテリ110の電圧のみに基づいて、供給電流低減制御から標準制御への切り換えを行うと、バッテリ110の電圧の変動が激しくなり、それら2つの制御が頻繁に切り換わることになる。そこで、供給電流低減制御から標準制御への切り換えは、バッテリ110の電圧VBだけでなく、バッテリ110からスタビライザ装置20を除くものへ供給されている電流の和をも考慮して行われる。
具体的には、供給電流低減制御から標準制御へ戻すか否かが、バッテリ110からスタビライザ装置20を除くものへ供給されている電流の和、つまり、バッテリ電流センサ290の検出値からスタビライザ電流センサ292の検出値を差し引いた値(以下、「他装置等供給電流」と言う場合がある)IB−ISが、閾電流I0より大きいか否かによって決定される。他装置等供給電流IB−ISが、閾電流I0より大きい場合には、他の装置への供給電流が比較的大きいことでバッテリ110の電圧が降下しているため、バッテリ110の電圧VBが、上記抑制閾電圧VLより僅かに大きな値に設定された第2閾電圧である復帰閾電圧VH以上となった場合に、供給電流低減制御から標準制御に戻されるようになっている。詳しく言えば、目標供給電流i*の制限値ilimitが、基準供給電流制限値ilimit0に戻されるようになっている。一方、他装置等供給電流IB−ISが、閾値I0以下である場合には、バッテリ110に異常が生じているため、供給電流低減制御から標準制御への切換が禁止され、供給電流低減制御が継続して実行される。
なお、バッテリ110が劣化しているような場合には、供給電流低減制御において、その1回の実行中におけるバッテリ電圧VBが最も低くなった場合の値に対応する供給電流上限値iV以下に、目標供給電流i*が制限されるようになっている。それにより、供給電流低減制御中において、バッテリ110の電圧の変動を抑えることが可能となっている。
≪制御プログラム≫
先に述べたようなスタビライザ装置20の制御は、図7にフローチャートを示すスタビライザ制御プログラムが、イグニッションスイッチ280がON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec〜数十msec)をおいてスタビライザECU100により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、そのスタビライザ制御プログラムは、前輪側と後輪側とにそれぞれ設けられたスタビライザ装置20の各々に対して実行される。
スタビライザ制御プログラムにおいては、S1(以下、「S1」と略す、他のステップも同様である)において、先に説明したような手法で、制御横加速度Gy*が決定され、S2において、その決定された制御横加速度Gy*に基づいて、前輪側のスタビライザ装置20と後輪側のスタビライザ装置20との各々のモータ60の目標モータ回転角θ*が決定される。コントローラ102には、制御横加速度Gy*をパラメータとする目標モータ回転角θ*に関するマップデータが前輪側のスタビライザ装置20と後輪側のスタビライザ装置20との各々に対応して格納されており、各モータ60の目標モータ回転角θ*は、対応するマップデータを参照することによって決定される。続いて、S3において、各モータ60のモータ回転角センサ78により、各モータ60の実モータ回転角θrが取得され、S4において、各モータ60のモータ回転角偏差Δθが決定される。そして、S5において、各モータ回転角偏差Δθに基づき、前述のPI制御則に従う式に従って、各モータ60の目標供給電流i*が決定される。
次いで、S6において、標準制御と供給電流低減制御とのいずれを実行するかを決定する処理と、供給電流低減制御を実行する場合においては供給電流の上限値を認定する処理とが実行される。先に説明したように、標準制御は、目標供給電流i*を基準供給電流制限値ilimit0以下に制限するものであり、供給電流低減制御は、目標供給電流i*の制限値を標準制御における基準供給電流制限値ilimit0より小さな値に決定する制御であるため、S6においては、目標給電流i*を制限するための供給電流制限値ilimitを決定する処理(以下、「制限値決定処理」という場合がある)が実行されるのである。
上記制限値決定処理は、図8にフローチャートを示す制限値決定処理サブルーチンが実行されることによって行われる。制限値決定処理では、バッテリ電圧VBが低下しているか否かを示す電圧低下フラグF1が採用されており、そのフラグF1のフラグ値は、バッテリ電圧VBが抑制閾電圧VLより低下した場合に、1にされ(S22,23)、バッテリ電圧VBがその低下した状態から復帰閾電圧VH以上となった場合に、0にされるようになっている(S24,25)。また、供給電流低減制御が実行されている際にバッテリ110から1対のスタビライザ装置20を除くものへ供給されている電流の和が閾値以下である状況下にあるか否か、つまり、バッテリ110が劣化しているか否かを示すバッテリ劣化フラグF2が採用されており、バッテリ110の総供給電流IBから1対のスタビライザ装置20への供給電流ISを差し引いた他装置等供給電流IB−ISが閾値I0より大きい場合に、0にされ、閾電流I0以下である場合に、1にされるようになっている(S27〜29)。
通常は、S21において電圧低下フラグF1が1でないと判定され、S22においてバッテリ電圧VBが抑制閾電圧VL以上であると判定され、S33においてバッテリ劣化フラグF2が1でないと判定されて、S34において、供給電流制限値ilimitが、基準供給電流制限値ilimit0に決定される。つまり、標準制御が実行されることになる。
上記のような状態から、バッテリ電圧VBが低下した場合には、S22において、バッテリ電圧VBが抑制閾電圧VLより低下していると判定され、S23において電圧低下フラグF1のフラグ値が1とされ、S26以下の供給電流低減制御が実行されることになる。具体的には、S26において、バッテリ電圧VBに基づいて、バッテリ110からの供給電流の上限値iVが取得される。詳しくは、コントローラ102には、図6に示したバッテリ電圧VBをパラメータとするバッテリ110からの供給電流上限値iVに関するマップデータが格納されており、供給電流上限値iVは、そのマップデータを参照することによって取得される。次いで、S27において、先に説明したように、バッテリ110が劣化しているか否かが判定される。バッテリ110が劣化していない場合には、S28において、バッテリ劣化フラグF2のフラグ値が0とされ、S31において、S26において取得された供給電流上限値iVが、目標供給電流の制限値ilimitとされる。また、バッテリ110が劣化している場合には、S29において、バッテリ劣化フラグF2のフラグ値が1とされ、S30以下において、今回のプログラムの実行において取得された上限値iVと、前回のプログラム実行時の制限値ilimitとを比較して、それらのうちの小さい方の値が、制限値ilimitとされるようになっている。つまり、1回の供給電流低減制御の実行において、最も小さな供給電流制限値が維持されることになる。
バッテリ電圧VBが低下していた場合には、次のプログラム実行時には、S21において、電圧低下フラグF1が1であると判定され、S24において、バッテリ電圧VBが復帰閾電圧VH以上であるか否かが判定される。バッテリ電圧が復帰閾電圧VHより小さい場合には、S26以下の供給電流低下制御が実行される。一方、バッテリ電圧VBが復帰閾電圧VH以上となった場合には、S25において、電圧低下フラグF1が0とされ、S33において、バッテリ劣化フラグF2が1であるか否かが判定される。バッテリ劣化フラグのフラグ値が0である場合には、S34において、供給電流制限値ilimitが基準供給電流制限値ilimit0に決定され、供給電流低減制御から標準制御に戻されることになる。また、バッテリ劣化フラグのフラグ値が1である場合には、先に説明したように、標準制御と供給電流低減制御とが頻繁に切り換わることを防止すべく、供給電流制限値ilimitが前回のプログラム実行時の制限値ilimitとされる。つまり、供給電流低減制御から標準制御への切換が禁止され、供給電流低減制御が継続して実行されることになる。
上述した制限値決定処理によって供給電流制限値ilimitが決定されると、スタビライザ制御プログラムのS7において、その供給電流制限値ilimitとS5において決定された目標給電流i*の大きさとが比較され、目標給電流i*の大きさが供給電流制限値ilimitより大きい場合には、S8において、目標給電流i*の大きさが供給電流制限値ilimitとされ、スタビライザ装置20への供給電流が制限されることになる。次いで、S9において、その目標供給電流i*に基づいて、モータ60の制御を行うためのデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ104に送信される。この処理により、各スタビライザ装置20のモータ60の作動が制御されることで、各スタビライザ装置20は、必要とされるロール抑制力を発生させることになる。
≪制御装置の機能構成≫
上述のスタビライザ制御プログラムを実行するスタビライザECU100は、そのプログラムに従う各種の処理を実行する各種の機能部を有していると考えることができる。詳しく言えば、図9に示すように、スタビライザECU100は、前述した2つの制御である標準制御と供給電流低減制御との各々を実行する機能部として、標準制御実行部300,供給電流低減制御実行部302を有している。これら標準制御実行部300および供給電流低減制御実行部302は、いずれも車体姿勢変動抑制制御としてのロール抑制制御を実行する機能部である。ただし、標準制御実行部300は、基準供給電流制限値ilimit0以下に目標供給電流を制限するものであり、制限値決定処理サブルーチンのS34において決定された供給電流制限値に基づいて、スタビライザ制御プログラムのS1〜S5およびS7〜S9の処理を実行する部分が相当する。一方、供給電流低減制御実行部302は、バッテリ110の電圧VBに応じた大きさの上限値iV以下に目標供給電流を制限するものであり、制限値決定処理サブルーチンのS26〜S32において決定された供給電流制限値に基づいて、スタビライザ制御プログラムのS1〜S5およびS7〜S9の処理を実行する部分が相当する。
また、スタビライザECU100は、上記2つの制御をバッテリ110の電圧に基づいて切り換える機能部として、実行制御切換部304を有している。この実行制御切換部304は、制限値決定処理サブルーチンのS21〜S25の処理を実行する部分が相当する。さらに、スタビライザECU100は、制限値決定処理サブルーチンのS27の処理を実行して供給電流低減制御が実行されている際にバッテリ110から1対のスタビライザ装置20を除くものへ供給されている電流の和が閾値以下である状況下にあるか否か、つまり、バッテリ110が劣化しているか否かを判定し、バッテリ110が劣化していと判定された場合には、バッテリ110の電圧が復帰閾電圧より高くなった場合であっても、上記実行制御切換部304による供給電流低減制御から標準制御への切換を禁止する機能部として、制御切換禁止部306を有している。この制御切換禁止部306は、制限値決定処理サブルーチンのS27〜29,S33の処理を実行する部分が相当する。
以上のような構成から、1対のスタビライザ装置20が特定の電磁式作動装置であり、スタビライザシステム10は、請求可能発明の電磁式作動装置制御システムを含んで構成されるものとなっているのである。
≪変形例≫
上記実施例のシステムにおいては、バッテリ110の総供給電流IBから特定電磁式作動装置である1対のスタビライザ装置20への供給電流ISを差し引いた値に基づいて、バッテリ110の劣化を判定するように構成されていたが、転舵装置184への供給電流が他の電気装置等への供給電流に比較して大きいため、転舵装置184への供給電流のみに基づいて、バッテリ110の劣化を判定するように構成されてもよい。
請求可能発明の実施例である電磁式作動装置制御システムが搭載された車両の全体構成を示す模式図である。 図1に示す電磁式作動装置であるスタビライザ装置を車両上方からの視点において示す模式図である。 図2のスタビライザ装置が有するアクチュエータの断面図である。 図3の電磁モータを駆動するインバータの回路図である。 図1に示す転舵装置の断面図である。 バッテリの電圧とバッテリからスタビライザ装置への供給電流の上限値との関係を示す図である。 図1に示すスタビライザ電子制御ユニットによって実行されるアクチュエータ制御プログラムを表すフローチャートである。 図7のアクチュエータ制御プログラムの一部分である制限値決定処理サブルーチンを示すフローチャートである。 図1に示すスタビライザシステムが有するスタビライザ電子制御ユニットの機能に関するブロック図である。
符号の説明
10:車両用スタビライザシステム(電磁式作動装置制御システム) 20:スタビライザ装置(特定電磁式作動装置) 22:スタビライザバー 24:アクチュエータ 30:スタビライザバー部材 32:トーションバー部 34:アーム部 38:ロアアーム(ばね下部) 60:電磁モータ 62:減速機 78:モータ回転角センサ 100:スタビライザ電子制御ユニット(制御装置,スタビライザECU) 110:バッテリ 180:ステアリングシステム 182:操作装置 184:転舵装置 186:ステアリング電子制御ユニット(ステアリングECU) 230:助勢モータ(電磁モータ) 282:車速センサ[v] 284:操作角センサ[δ] 286:横加速度センサ[Gy] 288:電圧センサ[VB] 290:バッテリ電流センサ[IB] 292:スタビライザ電流センサ[IS] 300:標準制御実行部 302:供給電流低減制御実行部 304:実行制御切換部 306:制御切換禁止部

Claims (4)

  1. 電磁モータを有してその電磁モータがバッテリから電流の供給を受けて発生させる力に依拠して作動する電磁式作動装置と、その電磁式作動装置の作動を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置が、
    定められた制御規則に従って前記電磁式作動装置を制御する標準制御を実行する標準制御実行部と、
    前記電磁式作動装置が前記バッテリから受ける供給電流を前記標準制御より低減させるように、前記電磁式作動装置を制御する供給電流低減制御を実行する供給電流低減制御実行部と、
    前記電磁式作動装置の制御を、前記バッテリの電圧が第1閾電圧より低くなった場合に前記標準制御から前記供給電流低減制御に切り換え、前記バッテリの電圧が第2閾電圧より高くなった場合に前記供給電流低減制御から前記標準制御に切り換える実行制御切換部と、
    前記供給電流低減制御が実行されている際に前記バッテリから電流の供給を受けて作動する前記電磁式作動装置とは別の1以上の装置へ供給されている電流が閾電流以下である状況下においては、前記バッテリの電圧が第2閾電圧より高くなった場合であっても、前記実行制御切換部による前記電磁式作動装置の制御の前記供給電流低減制御から前記標準制御への切換を禁止する制御切換禁止部と
    を有する電磁式作動装置制御システム。
  2. 前記供給電流低減制御が、前記バッテリから前記特定電磁式作動装置への供給電流が設定電流を超えないように、前記電磁式作動装置を制御する制御であり、
    前記供給電流低減制御実行部が、
    前記設定電流を、前記バッテリの電圧が低くなるほど小さな値とするとともに、前記1以上の装置へ供給されている電流が閾電流以下である状況下においては、前記バッテリの電圧が今回の制御中において最も低くなった場合に対応する値とするように構成された請求項1に記載の電磁式作動装置制御システム。
  3. 前記電磁式作動装置が、前記電磁モータが発生させる力に依拠してばね上部とばね下部に対してそれらを接近離間させる方向の力である接近離間力を発生可能な接近離間力発生装置である請求項1または請求項2に記載の電磁式作動装置制御システム。
  4. 当該電磁式作動装置制御システムが、
    前記電磁モータが発生させる力に依拠して車輪を転舵させる力を発生させる転舵力発生装置を前記1以上の装置に含む車両に搭載された請求項3に記載の電磁式作動装置制御システム。
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