JP2010051255A - 血液試料からの一塩基多型の迅速検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポイントオブケア検査として、迅速で簡単に使用され、かつ費用効果の高いSNPジェノタイピングシステムを提供する。
【解決手段】下記工程を含む、一塩基多型のジェノタイピング用検査試料の調製方法:動物由来の血液検体1容量部に対し、4〜40容量部の100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液を混合する工程、前記混合溶液に、0.5〜5倍容量の80〜560mMのTris緩衝液を添加し、中和させる工程、および前記中和された溶液を遠心分離し、検査試料として上清を得る工程;前記検査試料を用いて、ユニバーサルインベーダー法によりジェノタイピングする工程をさらに含む、一塩基多型のジェノタイピングの検査方法;ならびに前記調製方法に用いられる一塩基多型のジェノタイピング用検査試料の調製キット。
【選択図】なし

Description

本発明は、血液試料からの一塩基多型の迅速検出方法に関し、ポイントオブケア検査(POCT)等の臨床診断の分野、血液試料を扱う臨床研究の分野および法科学における異同識別の分野に関する。
近年、一塩基多型(SNPまたはSNPs)を用いた関連解析により、さまざまな疾患の感受性および薬剤応答性に関する遺伝的リスク因子が同定されている。これに伴い、SNPジェノタイピングをポイントオブケア検査(患者の身辺での検査:POCT)として臨床現場で行い、個の医療を実現しようとする動きが加速している。
ヒトゲノム配列プロジェクトおよび国際HapMapプロジェクトの成果によりSNPを用いた関連解析による遺伝的リスク因子の同定が可能となり、革新的な個の医療が現実のものとなりつつある。SNPsと臨床上重要な表現型(疾患のかかり易さ、疾患の発生及び薬剤応答等)との相関に関する知見は、急速に蓄積されており(非特許文献1〜5)、当該相関関係のうちのいくつかは、臨床応用間近である(非特許文献6、7)。例えば、血栓塞栓症の治療に最も使用される経口抗凝固剤である「ワルファリン(Warfarin)」の薬剤応答は、CYP2C9*2, CYP2C9*3およびVKORC1のいくつかのSNPsと関連しており、これらのSNPsのジェノタイピング結果から、ワルファリン感受性または非感受性患者における至適投薬量をある程度予測できると報告されている(非特許文献2、3)。すでにワルファリンの添付文書は改定され、処方時にSNPsのジェノタイピングデータを参照することが推奨されている。FDAは薬剤の有効性を最大にして薬物毒性を最小にするSNPジェノタイピングに基づく個の医療の実現を強く支持している(非特許文献8)。このように臨床診断分野を中心にSNPジェノタイピングに対する需要が増加しており、生物学的試料から、正確、迅速、簡便かつ安価なSNPジェノタイピングシステムの開発が重要とされている(非特許文献9〜11)。
現存するほとんどのSNPジェノタイピング技術ではPCRによる核酸増幅が必要であり、生物学的試料からのゲノムDNAの精製工程を必要とする。その理由は、全血および口腔スワブ(綿棒検体)等の生物学的試料にヘム等のPCR阻害物質が含まれるからである(非特許文献12、13)。ゲノムDNAの旧来の精製工程は複雑でほぼ半日を要し、この工程はPOCTに対するジェノタイピングにおいて最も大きな障害となっている(非特許文献9、11、14、15)。近年、ゲノムDNA精製工程を簡素化する取組みがなされてきており、磁気ビーズ(非特許文献16)、スピンカラム(非特許文献17)またはその他の技術を用いた有用な方法が開発されている(非特許文献18)。前記技術を用いたキットまたは自動化システムがいくつか利用できるようになり(非特許文献10、18)、生物学的試料の収集から10〜30分程度で精製ゲノムDNAを得ることが可能である。しかしながら、これらは非常に高価であり、キットとして簡素化されたとはいえ、いまだに複数の工程を必要とするため、POCTには適さないと考えられる。
前記障害を解決するための別のアプローチとして、アルカリ溶解もしくはホルムアミド抽出等の前処理方法(非特許文献9、11、14、15)またはウシ血清アルブミン(BSA)、ベタインおよびgp32等の促進剤を用いる方法により(非特許文献19、20)、ゲノムDNAの精製工程なしでPCRまたはPCRをベースとした反応を可能にするいくつかの方法が報告されている。これらの中で、アルカリ溶解法は、全血、口腔スワブその他の生物学的試料を含む種々の生物学的試料に適用可能である(非特許文献14、15)。強アルカリ条件でのインキュベーションには、細胞膜および核膜の破壊、ヌクレアーゼの変性、ある種のPCR阻害剤の中和効果があり、かつ、ゲノムDNAは強アルカリ条件下で非常に安定に保たれる(非特許文献21、22)。さらに、アルカリ溶解法は、非常に簡便で安価である。PCRの前に生物学的試料を室温でNaOH溶液と混合した後、Tris-HCl緩衝液で中和するのみの作業工程である(非特許文献14、15)。したがって、この方法は、SNPジェノタイピングを臨床応用する上で有用なゲノム抽出法になる可能性があると考えられる。
SNPジェノタイピング技術に関して、これまでに多数のジェノタイピング法が報告されている。例えば、ハイブリダイゼーションプローブを用いる融解曲線解析(非特許文献23)、TaqMan法(非特許文献24)、インベーダー法(非特許文献25)、モレキュラービーコン(非特許文献26)Scorpionプライマー(非特許文献27)、アレイハイブリダイゼーション(非特許文献28)、蛍光偏光(非特許文献29)、ピロシークエンシング(Pyrosequencing)(非特許文献30)、DNAシークエンサー(非特許文献31)またはMALDI-TOF質量分析法(非特許文献32)でのプライマー伸長、オリゴヌクレオチドライゲーションPCR反応(OLA-PCR)、スマート増幅プロセス法(非特許文献11)など。これらの技術の多くは、多段階のプロトコールを有し、全体の反応を完了させるのに数時間を要する。POCTにおいては、簡素化されたプロトコールであること、シングルチューブアッセイフォーマットであること、反応時間を1時間以内に短縮することが必要である(非特許文献10)。現在、これらの条件を概ね満たす方法として融解曲線解析およびTaqMan法が知られており、臨床の分野で広く使用されている。最近、これらの技術にホルムアミドで処理した全血検体を使用できることが報告されており(非特許文献9)、反応時間は融解曲線解析で約40分、TaqMan法で約2時間であった。よって、前記方法は、POCTの有望な候補でありうるが、他と比較して標的特異的蛍光プローブが必要なために費用が高く、他のアッセイと比較してSN比が低いことが報告されている(非特許文献11、27、33)。
インベーダー(Invader(登録商標))法は、最も信頼のおけるSNPジェノタイピング技術の1つとして知られており、国際HapMapプロジェクト(非特許文献34)で使用された実績を有する(非特許文献35)。インベーダー法では、塩基配列の標的部位において2種類のオリゴヌクレオチドプローブによって形成される特異的三重構造をflap エンドヌクレアーゼ(Cleavase(登録商標)VIII)という酵素が認識し、切断することを利用している。切断されたDNA断片の一部(Flapシーケンス)がユニバーサル蛍光共鳴エネルギー転位(FRET)プローブ(非特許文献35)と反応して蛍光を発することで、標的SNPサイトにおける遺伝子型を判定することが出来る。インベーダー法における蛍光シグナルの生成にはオリゴヌクレオチドプローブによる特異的な三重構造の形成が必要であるため、インベーダー法はハイブリダイゼーション単独による方法に比べてより高い標的特異性を示す。また、2種類のユニバーサルFRETプローブはすべての標的SNPアッセイに使用出来るため、標的SNPごとに蛍光プローブを必要とする融解曲線法やTaqMan法に比べて、費用効果が高い(非特許文献33)。SNPを用いた関連解析においてインベーダー法は、96箇所のSNPサイトを同時に増幅するPCRとの組合わせによる2段階の反応プロトコールで行なわれている(非特許文献35)。2段階プロトコールは、極少量のゲノムDNA(0.1ng/locus)によるハイスループットなSNPジェノタイピングを実現させたが、シングルチューブ形式でないためにPCR後の工程でコンタミネーションのリスクがあり、反応時間も数時間を要するという欠点があった(非特許文献33)。このような欠点を克服し臨床応用を可能にするために「ユニバーサルインベーダー法」(http://www.universalinvader.com/twt/uic/)が開発され、Third Wave Technologies (Madison, WI)社により公表された。この方法は、PCRとInvader(登録商標)反応とを組合せたものであり、シングルチューブアッセイ形式でPCRとインベーダー反応が連続的な様式で進行する。ユニバーサルインベーダー法の原理を図1に示す。ユニバーサルインベーダー法は、コンタミネーションリスクを最小にし、迅速な反応が期待できる簡素化されたプロトコールを有する(http://www.universalinvader.com/twt/rh.pdf)。
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本発明の目的は、ポイントオブケア検査として、迅速で簡便に使用され、かつ安価なSNPジェノタイピング法を提供することにある。
上記課題を実現させるために最も大きな障害は、生物学的試料からのゲノムDNAの精製工程およびSNPジェノタイピング技術での長い反応時間である。本発明者らは、改変されたアルカリ溶解法およびユニバーサルインベーダー法を組合わせることにより、血液試料の精製を必要としない簡便なゲノムDNAの調製法および調製されたゲノムDNAをそのまま検査試料として用いるSNPジェノタイピング法を確立することに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本願発明は、以下に示す通りである。
〔1〕 下記工程を含む、一塩基多型のジェノタイピング用検査試料の調製方法:
動物由来の血液検体1容量部に対し、4〜40容量部の100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液を混合する工程、
前記混合溶液に、0.5〜5倍容量の80〜560mMのTris緩衝液を添加し、中和させる工程、および
前記中和された溶液を遠心分離または濾過し、検査試料を得る工程。
〔2〕 下記工程を含む、一塩基多型のジェノタイピングの検査方法:
動物由来の血液検体1容量部に対し、4〜40容量部の100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液を混合する工程、
前記混合溶液に、0.5〜5倍容量の80〜560mMのTris緩衝液を添加し、中和させる工程、
前記中和された溶液を遠心分離または濾過し、検査試料を得る工程、および
前記検査試料を用いて、ユニバーサルインベーダー法によりジェノタイピングする工程。
〔3〕 水酸化アルカリ金属が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである、前記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕 Tris緩衝液がTris-HCl(pH7〜9、25℃)である前記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔5〕 前記混合工程から検査試料を得る工程までが5分以内で行なわれる、前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の方法。
〔6〕 前記ユニバーサルインベーダー法が4.5〜9.0mMのMgCl2および0〜20mMのNaClの存在下で行われる前記〔2〕〜〔5〕いずれかに記載の方法。
〔7〕 前記混合工程からジェノタイピング工程までが30分以内で行なわれる、前記〔2〕〜〔6〕いずれかに記載の方法。
〔8〕 100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液および80〜560mMのTris緩衝液を含む、一塩基多型のジェノタイピング用検査試料の調製キット。
〔9〕 さらに混合容器および/または遠心分離管を含む、前記〔8〕に記載のキット。
本発明の調製方法は、ユニバーサルインベーダー法を正確かつ迅速に行なうための血液試料の処理方法であり、血液試料からジェノタイピングを臨床現場で簡便、迅速かつ正確に行なうための前処理法として有用である。本発明の検査方法は、本発明の調製方法により得られた検査試料を用いて、正確、簡便かつ安価で、血液試料からジェノタイピングの結果を30分以内に得ることができる。この特徴は、POCTとしてのSNPジェノタイピングを実現する上で、本発明の方法が最も有望な方法の1つであることを示唆するものである。また、本発明のキットは、医療現場において本発明の方法を正確かつ迅速に実施する上で有用である。
本発明は、下記工程(1)〜(3)を含む、一塩基多型のジェノタイピング用検査試料の調製方法を提供する。
(1)動物由来の血液検体1容量部に対し、4〜40容量部の100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液を混合する工程
本発明において、動物とは特に限定されるものではなく、無脊椎動物および脊椎動物を包含するが、脊椎動物が好ましい。脊椎動物としては、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物があげられる。中でも、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ等の実験動物、ネコ、イヌ等のペット、ウシ、ウマ等の家畜、サル、ヒト等の霊長類)が検査対象としてより好ましく、最も好ましくはヒトを含む霊長類である。
本発明において、血液検体とは、動物の種類に応じて様々な血球成分を含み、当該動物の生体内を循環する液体試料をいう。血液としては、全血、血漿、血清、血餅などがあげられ、採取した後の前処理が不要で、ゲノム情報を網羅的に得る観点から、全血が好ましい。血液は動物から採取する際に、抗凝固剤を混合してもよく、混合しなくてもよい。したがって、本発明において、全血は凝固していても構わない。また、血液検体は、検査対象の動物から直接採取されるものに限定されず、採取目的外で(例えば、出血等により)当該動物から生体外に一旦放出された血液を採取してもよい。
検査対象の動物から血液試料を採取する方法は、常法に従う。採取量は特に限定されるものではないが、通常、1〜10μLで十分である。
採取後の血液検体は、すぐに本発明の調製方法に供してもよく、常法に従い、冷蔵または冷凍保存後に供してもよい。
本工程において、採取した血液検体1容量部に対し、4〜40容量部の100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液を混合する。
混合する水酸化アルカリ金属としては、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましいが、これらに限定されるものではない。
水酸化アルカリ金属水溶液の濃度は、100〜200mMであり、好ましくは200mMである。かかる範囲内の濃度の水酸化アルカリ金属を用いて混合することにより、血液試料中の細胞膜および核膜を破壊し、ヌクレアーゼを変性させ、ゲノムDNAの水溶液中への溶解が達成される。
血液検体と水酸化アルカリ金属の水溶液の混合割合は、前記ゲノムDNAの溶解を達成するためには、血液検体1容量部に対し、水酸化アルカリ金属の水溶液1〜50容量部、好ましくは4〜40容量部であり、4〜20容量部がさらに好ましい。水酸化アルカリ金属の濃度が高いほど、混合比率を下げることができる。一般に、臨床現場で行う場合、血液検体1〜10μLに対し、200mM水酸化アルカリ金属水溶液として10〜50μLが推奨される。
混合工程は、通常、10〜30℃で1〜2分間攪拌または静置することにより完了する。
(2)前記混合溶液に、0.5〜5倍容量の80〜560mMのTris緩衝液を添加し、中和させる工程
本中和工程に用いられるTris緩衝液としては、工程(1)で用いた水酸化アルカリ金属の水溶液を中和可能であれば特に限定されるものではないが、後続の酵素反応の緩衝液として一般に使用されるTris−HClが好ましい。Tris−HClを代表とするTris緩衝液のpHは、Trisの緩衝能力を発揮する範囲であることが好ましく、通常pH7〜9(25℃)である。
本中和工程において、後続のPCR反応を阻害する血液試料中の成分を沈殿させて除去するため、Tris緩衝液の濃度を、80〜560mM、好ましくは160〜240mMに設定する。
前記混合工程で得られた混合溶液に対するTris緩衝液の添加比率は、本発明の所期の目的を達成するためには、混合溶液全容量に対し、0.4〜10倍容量のTris緩衝液であり、好ましくは0.5〜5倍容量、さらに好ましくは1〜2倍容量である。Tris緩衝液の濃度が高いほど、添加比率を下げることができる。一般に、臨床現場で行う場合、混合溶液10〜50μLに対し、160 mM Tris緩衝液として20〜100μLが推奨される。
添加後に中和が完了するように、溶液全体を軽く攪拌してもよい。
(3)前記中和された溶液を遠心分離または濾過し、検査試料を得る工程
前記中和工程を経ることにより、血液試料中のタンパク質成分等が沈殿物として生じる。本工程により、血液試料から沈殿物を除去する。
遠心分離の条件は沈殿物と上清とを分離可能であれば特に限定されるものではなく、通常1000〜3000rpmで0.5〜1分が例示される。臨床現場においては、卓上の遠心分離機を用いて遠心分離することができる。また、遠心分離の代わりにフィルターによる沈殿物の除去も可能である。
本工程で遠心分離に供するため、工程(1)〜(2)は、混合操作と遠心分離操作を共に行うことのできる容器内で行われることが好ましい。それにより、工程(1)から(3)までを同一の容器内で行なうことができる。また、遠心分離の代わりにフィルター付容器を用いた濾過による沈殿物の除去も可能である。本願の方法で使用可能な容器については、後述する。
本発明の調製方法は、前記工程(1)から工程(3)までを5分以内で行うことができる。これにより、臨床現場においても、迅速に血液試料の前処理を行うことができる。
本発明は、本発明の調製方法を臨床現場において、被験者から採取した検体(血液試料)をその場で前処理可能な、一塩基多型のジェノタイピング用検査試料の調製キットを提供する。本発明のキットは、100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液および80〜560mMのTris緩衝液を含む。
本発明のキットは、さらに、血液試料の前処理に好適に利用できる混合容器および/または遠心分離管を含んでもよい。かかる混合容器および/または遠心分離管としては、従来から核酸抽出用に使用されている容器を限定なく使用することができる。好ましくは、プロピレン製の蓋付サンプリングチューブ(例、Eppendorf製、0.5、1.5、2.0、5.0ml容量など)やシリンジ(Terumo製0.5、1.0、2.0、5.0ml容量など)で、血液とアルカリ溶液、および前記混合液とTris緩衝液を容易に混合可能な容器が例示される。また、沈殿物除去のためにフィルター(0.45μmポアサイズなど)を装着可能な容器も使用することが出来る。さらに、血液試料のサンプリングから一塩基多型のジェノタイピングを自動化して行なう場合に当該技術分野で使用される容器も限定なく使用することができる。
本発明は、上記工程(1)〜(3)に加えて、下記工程(4)を含む、一塩基多型のジェノタイピングの検査方法を提供する。
(4)前記工程(3)で得られた検査試料を用いて、ユニバーサルインベーダー法によりジェノタイピングする工程
本発明で使用するユニバーサルインベーダー法の原理を図1に示す。ユニバーサルインベーダー法とは、PCRおよび インベーダー反応をシングルチューブ形式で連続的に行う測定法である。5つの非標識オリゴヌクレオチド(順方向プライマー、逆方向プライマー、インベーダープローブおよび2つのアレルプローブ)、dNTP、2つのFRETプローブ、TaqポリメラーゼおよびCleavaseVIIIは、同じ反応混合液中にある。5つのオリゴヌクレオチドのうちPCRプライマーのみがPCRの段階で働き、インベーダー法関連のオリゴヌクレオチドは、Tm値が低いのでPCRの段階(アニーリング/伸長、68℃)では反応できない。PCRの後、インベーダー反応は連続的に開始する。インベーダー法は、SNPの2つの異なるアレルを単一チューブ内で識別する方法である。標的SNP毎に、各アレルに相補的な2つのアレルプローブを設計する。各アレルプローブは、5’末端に異なるユニバーサルflap配列を有する。さらに標的SNPごとに1つのインベーダープローブを、アレルプローブの反対側の部位で設計する。一次インベーダー反応で、インベーダープローブおよびアレルプローブが相補的な標的DNAにハイブリダイズすると、SNP部位でインベーダープローブによる1塩基の侵入構造(三重構造)が形成され、その特異構造を認識したCleavase VIIIがアレルプローブの標的SNP部位を切断する。矢印は切断部位を示す。FlapおよびSNP部位の塩基を有する切断されたオリゴヌクレオチドがflap シーケンスと相補的なシーケンスを有する特定の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)プローブとハイブリダイズし、二次インベーダー反応でインベーダープローブとして挙動する。Cleavase VIIIは侵入構造を認識してFRETプローブを切断し、蛍光シグナルが生成する。FRETプローブはレポーター蛍光色素が異なる2種類を使用し、各flapシーケンスに相補的になるように設計されている。一次および二次インベーダー反応は連続して進行する。プローブが目的の部位で完全にハイブリダイズせずに侵入構造が形成されない場合、切断は起こらず蛍光シグナルは発生しない。SNPジェノタイピングは、通常、反応の最終段階で、二次元のアレル識別(AD)プロット中のクラスタリング解析で行われる。
前記ユニバーサルインベーダー法に用いられる上記5つの非標識オリゴヌクレオチド(順方向プライマー、逆方向プライマー、インベーダープローブおよび2つのアレルプローブ(アレル1プローブ、アレル2プローブ))は、ユニバーサルインベーダー設計ソフトウエア(Third Wave Technologies, http://www.universalinvader.com/twt/uic/)を用いて設計することができる。ただし、ブラストサーチなどは行われないため、本実施例のような遺伝子ファミリーを有する薬物代謝酵素などゲノム中に類似配列が存在するターゲットに対してアッセイ構築をする場合は、Tm値を考慮したマニュアルでのプライマー設計が必要になる。また、上記設計ソフトウェアで反応が不良であった場合も、マニュアルによるプライマー、およびプローブの設計が必要となる。本願実施例で使用されたオリゴヌクレオチドの具体例を表1および配列番号1〜283に示す。
前記工程(3)で得られた検査試料(上清)は、その一部をそのままユニバーサルインベーダー法のための反応液に添加し、ユニバーサルインベーダー反応を行なうことができる。
本工程(4)において、PCRおよびインベーダー反応を良好に進行させるためには、反応液中のMgCl2濃度およびNaCl濃度を厳密に制御することが重要である。MgCl2濃度としては4.5〜10.5mMが好ましく、6.0〜7.5mMがより好ましい。NaCl濃度としては0〜20mMが好ましく、0〜10mMがより好ましい。MgCl2およびNaCl以外の反応液中の組成としては、10〜20mM Tris緩衝液(pH約8.0 〜8.8)またはMOPS緩衝液(pH7.0〜8.0)、0〜5%グリセロール、0.8〜1.6mMデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)、0.2〜2.0μM 順方向および逆方向プライマー、0.1〜0.4μM インベーダープローブ、0.2〜0.8 μMアレルプローブ、0.1〜0.5μM FRETプローブ、10〜40μM Rox、20〜100ng Cleavase VIII、0.1〜0.5U Taq polymeraseなどが例示される。
工程(4)の全反応時間は、通常25分以内であり、前記工程(1)から工程(4)までを30分以内で完結させることが可能である。
工程(4)のSNPジェノタイピングは、切断されたFRETプローブから発する2種類の蛍光シグナルをApplied Biosystems製7500リアルタイムPCRシステム、Applied Biosystems製7900リアルタイムPCRシステム、ロシュ製ライトサイクラー480等により測定し、二次元のアレル識別(AD)プロットを作成してクラスタリング解析で行われる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
1.試験した試料
本発明者らの所属する研究室の日本人健常者ボランティアから18個の全血試料を採取した。採取した全血試料を抗凝固剤のEDTAで処理し、使用するまで-80℃で保管した。全血試料からのSNPジェノタイピングの結果を確認するために、QIAamp(登録商標)DNA Blood MiniKit (Qiagen, Hildden, Germany)を用いて、製造業者の推奨するプロトコールに従って精製したゲノムDNA試料を得た。ヒト材料を用いる本研究を行なうための研究所の承認は、理研倫理諮問委員会から得た。本発明者らは、それぞれのユニバーサルインベーダー 法でのアッセイの性能確認のため、国際HapMapプロジェクトで採用された268のゲノムDNA試料(44名の日本人由来、44名の中国人由来、90人の白人由来、および90人のヨルバ族由来)も使用した。これらのゲノムDNA試料は、Coriell Cell Repositories (Camden, NJ)から購入した。268のHapMap試料で変異型を検出しなかったアッセイに関しては、アンプリコン領域をカバーする人工オリゴヌクレオチド鋳型を合成し、それぞれの多型においてアッセイが両アレルに有効であるか否かを確認した。人工鋳型の配列を表1に示す。
2.全血試料のアルカリ溶解
全血試料からの迅速SNPジェノタイピングを実現するために、本発明者らは、本研究の初期段階で既報のアルカリ溶解法(比較例)を採用した[Rudbeck et al, Biotechniques 25:588-592 (1998)]。簡潔に説明すると、5μlの全血試料に20μlの200 mM NaOHを加えて混合し、室温で1-2分間インキュベートした。その後、アルカリ処理血を180μlの40 mM Tris-HCl pH7.5で中和し、処理した試料の2μlを10μlのユニバーサルインベーダー反応系に用いた。既報のアルカリ溶解法は、ユニバーサルインベーダー法に適切でなかったので、濃縮したTris-HCl緩衝液を用いる改変されたプロトコールを開発した。改変されたプロトコール(本発明)は、5μlの全血試料を20μlの200 mM NaOHで室温で1-2分間処理し45μlの160 mM Tris-HCl pH 7.5と混合して中和させるものであった。沈殿物を除去するために卓上遠心分離システムChibitan(Millipore, Billerica, MA)で遠心分離した後、2μlの上清を10μlのユニバーサルインベーダー反応系に用いた。
3.ユニバーサルインベーダー法のアッセイ設計
薬剤応答性および疾患感受性にかかわるいくつかの報告から38個の臨床上重要な一塩基多型(SNPs)または数塩基の挿入・欠失(Indels)を選択した(表1)。これらの38個の標的のうち36個について、インベーダープローブおよびアレルプローブをユニバーサルインベーダー設計ソフトウエア(Third Wave Technologies, http://www.universalinvader.com/twt/uic/)を用いて設計し、Third Wave Technologiesの指示書に従って合成した。3つの対立遺伝子をもつSNPであるABCB1*3,2677T>G>Aに関してはTm値を考慮して、マニュアルでABCB1*3, 2677T>AおよびABCB1*3, 2677G>Aという形で2アッセイに分けて設計した。その際のTm値の条件はインベーダープローブが58から62℃、アレルプローブが50から53℃であった。UGT1A1*28(TAの6または7回繰り返し)に関しても、マニュアルで合成した。PCRプライマーに関しては、Tm値が68から72℃になるようにPrimer Expressソフトウェア(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて行った。最終的に38個の多型に対して、39個のアッセイを構築した。各オリゴヌクレオチドの配列を表1に示す。
4.ユニバーサルインベーダーアッセイ
独自に調整した反応溶液を用いてユニバーサルインベーダーアッセイを行なった。MgCl2およびNaClの濃度に関しては詳細な最適化を行い、その他の成分に関しては、通常の2段階PCR-インベーダー反応の組成を参考にして濃度を決定した。反応溶液の組成は、20 mM Tris-HCl pH8.5、3%グリセロール、1.6mMデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTPs)、1.6μMの順方向および逆方向プライマー、200 nMのインベーダープローブ、400 nMのアレルプローブ、FAMまたはYakima Yellowで標識された200 nMのFRETプローブ(Third Wave Technology)、10μMのRox (Sigma, St. Louis, MO)、60 ngのCleavase VIII (Third Wave Technology) および0.25 UのTakara Ex Taq (Takara, Shiga, Japan)からなる。反応は、2μlのアルカリ処理した全血試料または0.5 ng/wellの精製したゲノムを含めて10μlの容量で行った。反応の温度サイクルおよび反応のエンドポイントでの蛍光検出は、7500 First Real-time PCR システム(Applied Biosystems)のファストリアクションモードで行なった。温度サイクルは、95oC 20秒で開始した後、PCRステージが95oC 1秒および68oC 15秒の35サイクル、PCRの後インベーダー反応が、99oC 30秒および、63oC 2分で行なった。UGT1A1*28 単独のアッセイにおいては、PCRでのアニーリング/伸長温度を68℃から64℃に、およびインベーダー反応温度を63℃から60℃に変更する必要があった。これはオリゴヌクレオチドの計算上のTm値と実際のTm値の差が大きく、反応に影響したためと考えられた。反応(25分)終了後、SDS1.3.1ソフトウエア(Applied Biosystems)のオート-ジェノタイプ-コーリング機能によりSNPジェノタイピングを行なった。アレル識別(AD)プロットにおいて単一のホモ接合体クラスターのみが検出されたアッセイはこのソフトウエアでは自動的にクラスター化できないので、これらのアッセイでは手動でジェノタイピングを行なった。このとき、手動のコールの基準として、ADプロットで陰性対照の蛍光シグナル値を差し引いた正規化レポーターシグナル値{(試料中のFAM/RoxまたはYakima Yellow/Rox) − (鋳型なし対照(NTC)中のFAM/RoxまたはYakima Yellow/Rox)}が>0.5を採用した。
5.シークエンスでのジェノタイプの結果の確認
39個のユニバーサルインベーダーアッセイにより得られたジェノタイプの結果を確認するために、18名のボランティア由来の精製したゲノムDNA試料を用いて、ABI prism 3700 DNA シークエンサー(Applied Biosystems製)でシークエンスを行なった。BigDye terminator v3.1 サイクルシークエンシングキット(Applied Biosystems)を、製造業者の推奨したプロトコールに従ってシークエンシング反応に使用した。PCR増幅およびシークエンシング反応に関するプライマーを表1および配列番号1〜283に示した。
6.アルカリ溶解法でのゲノムDNAの収率の測定
報告されたアルカリ溶解法および本発明の改変されたアルカリ溶解法でのゲノムDNAの収率を測定するために、QuantiBlot Human DNA Quantitation Kit (Applied Biosystems製)を用いて、製造業者の推奨したプロトコールに従ってスロットブロット解析を行なった。
結果
ユニバーサルインベーダー法の反応溶液の開発および最適化
血液試料を用いた反応系を開発する上では、血液の各種構成成分の反応に対する影響を詳しく調べる必要があり、反応溶液の組成を完全に把握していることが重要である。市販のユニバーサルインベーダーアッセイ用の反応溶液は組成が明らかでないため、はじめに反応溶液の開発を行なった。既報のアルカリ溶解法はアルカリ溶解後の中和にTris-HClを採用しており[Rudbeck et al., Biotechniques 25:588-592 (1998); Klintschar et al., Forensic Sci, 45:669-673 (2000)]、中和後の試料のpHの値は約8.5である。さらに、pH8.5は、PCR法およびインベーダー法の両方に最適の範囲内にあったので[Blanchard et al, PCR Methods Appl 2:234-240 (1993); Kaiser et al, J Biol Chem 274:21387-21394 (1999)]、ユニバーサルインベーダーアッセイの反応緩衝液として、20 mM Tris-HCl pH 8.5を採用した。
次いで、18名のボランティア由来の精製したゲノムDNA試料を用いて、ユニバーサルインベーダーアッセイにおける2つの重要な成分 Mg2+および一価のカチオンの濃度(Na+)の効果を調べた。Mg2+はTaq ポリメラーゼおよびCleavase VIIIの活性の必須の補因子である。さらにMg2+はDNAの重合反応にも必須でデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)と複合体を形成することが知られている。また、エントロピーに強力に影響を及ぼし、オリゴヌクレオチドのTm値を上昇させる効果を有することも報告されている[von Ahsen et al., Clin Chem 47:1956-1961 (2001)]。PCRプライマーのTm値の上昇はPCRでのアニーリングを安定化させ、適切な濃度(通常1.5-10 mM)では特異的PCR産物の効率的な増幅につながるが、より高濃度では非特異的PCR産物の産生につながり、特異的PCR産物の増幅が阻害されることが知られている。一価のカチオンも、Mg2+と同様にエントロピーに強く影響することが報告されている[von Ahsen et al., Clin Chem 47:1956-1961 (2001)]。種々のMgCl2濃度でユニバーサルインベーダー法を行なったところ、4.5 mM未満のMgCl2ではPCR断片および蛍光シグナルはともに観察されず、10.5mMより高い濃度ではPCR増幅は改善するものの蛍光シグナルの低下が認められた。PCR産物および蛍光シグナルを十分満たすMgCl2の最適濃度範囲はそれぞれ、6.0〜7.5 mMであった(図2)。MgCl2を7.5mMに固定してNaClの濃度検討を行ったところ、20 mMを超えるNaClでは十分なPCR産物を観察したが、蛍光シグナルは不十分か全く観察されなかった。PCR産物および蛍光シグナルを十分満たすNaClの最適濃度範囲は0〜20 mMであった(図2)。7.5 mM MgCl2および0 mM NaClの条件下で39個のユニバーサルインベーダーアッセイを行ったところ、100%コールレートのジェノタイピングの結果を得ることができた(図3)。すべてのジェノタイピングの結果はシークエンシングの結果と完全に一致していた。18名のボランティア試料を用いた場合、いくつかのアッセイではADプロットで単一のホモ接合体クラスターのみを観察したので(CYP2C19*17, ABCC2-34T>C, CYP2C9*2, TPMT*3A/B, TPMT*3A/C, TPMT*2,CYP2D6*4, CYP2D6*6, CYP2D6*18, CYP2D6*21, CYP2D6*44)、これらのアッセイに関してはHapMap試料または人工鋳型を用いて、両方のアレルに対してそれぞれのアレルプローブが機能することを確認した。MgCl2を7.5mM、NaClを0mMに固定し、さらなる評価を進めた。
既報のアルカリ溶解法と組合わせたユニバーサルインベーダー法
次に、既報のアルカリ溶解法で処理した全血試料を用いて、ユニバーサルインベーダー法を評価した。2μlの処理済全血試料と8μLのユニバーサルインベーダー反応溶液を混合し、25分の反応時間のプロトコールで39個のアッセイを行った。そのうち、25個のアッセイでは100%コールレートでジェノタイピング結果が得られたが、13個のアッセイで、PCRでの増幅エラーまたはADプロットにおけるドット分布のばらつきが原因でジェノタイプを決定できない試料を観察した(図4)。全コールレートは、86.32 %であった(表2)。これらのアッセイの失敗が、既報のアルカリ溶解法におけるゲノムDNAの低収率に起因すると予測し、処理した試料中のゲノムDNAの定量をスロットブロット解析で行った。その結果、18試料の平均値は0.77 ng/μl (1.54 ng/well)で、最低値が0.32 ng/μl (0.64 ng /well)であった。ユニバーサルインベーダーアッセイでは0.5 ng/wellの精製ゲノムDNAでジェノタイプが可能であり(図6)、ゲノムDNAの収率がアッセイの直接的な失敗の原因ではないと考えられた。本発明者らは、全血中のある種の阻害成分がアルカリ処理後でもある程度活性な状態にあり、PCR増幅やインベーダー反応を低下させることが直接的な失敗の原因ではないかと推測した(図5)。失敗したアッセイの性能を改善するため、既報のアルカリ溶解法を改変することを試みた。
既報のアルカリ溶解法の改変(本発明)
単純な工程でアルカリ処理した全血試料中の阻害成分を除くため、濃縮したTris-HCl緩衝液で当該成分を沈殿させ、簡単な遠心分離操作をする方法を試みた。高濃度のTris-HCl緩衝液はアルカリで溶解した細菌の細胞からのプラスミドDNAの調製においてタンパク質を沈殿させる効果があることが報告されている[Chowdhury and Akaike, J Biotechnol 119:343-347 (2006)]。本発明者らは、血液成分においても同様の効果が期待できると考え、アルカリ処理血を高濃度のTris-HCl緩衝液で中和する方法を検討した。まず、種々の濃度のTris-HCl緩衝液(40、80、160、240、320、400、480、560mMのTris-HCl、pH 7.5)を調整し、NaOHとTris-HClの濃度比が一定になるようにそれぞれ180、90、45、30、22.5、18、15、13μlの液量で各濃度のTris-HClとアルカリ処理血と混合した(濃度に反比例させて液量を決定)。このとき、各中和条件のpHの値は、ほぼ一定であった(pH 8.5〜8.7、室温)。簡単な遠心分離の後、80mM以上のTris 緩衝液を中和に使用した場合に大量の沈殿物が観察された。そして、沈殿物の生成に伴って、既報のアルカリ溶解法で失敗したアッセイにおける反応性の改善が認められた(図6)。ユニバーサルインベーダーアッセイにおける試料間の反応性は80mM Tris-HClの使用で若干ばらつきが認められ、、320mM以上の使用ではインベーダー反応由来の蛍光シグナルが下方に傾く傾向があるので(図6)、中和に使用するTris-HClの最適濃度範囲を160〜240mMとした。さらなる評価には160mMのTris-HClを用いた。また、本発明のプロトコールにおけるゲノムDNAの収率を調べたところ、18試料の平均として1.14 ng/μl(2.28 ng/well)であり、最低値の試料で0.5 ng/μl(1 ng/well)であった。これらの値は、既報の方法(非特許文献14、15)よりも高く、ユニバーサルインベーダー法に十分な値であった。本発明のアルカリ溶解法で処理した18個の全血試料を用いて、25分の反応時間で39個のアッセイを行なったところ、すべてのアッセイにおいて100%コールレートでジェノタイピング結果が得られた(図7、表2)。二連のウエル間の結果の不一致はなく、各ジェノタイプは、精製したゲノムDNAを用いたユニバーサルインベーダーアッセイまたはシークエンシングにおける結果と完全に一致していた。
考察
本発明者らはユニバーサルインベーダーアッセイの反応溶液の開発およびアルカリ処理血の中和法の改良により採血から30分以内でSNPジェノタイピングを完結できる方法を発明した。本発明者らの開発した方法で得られたジェノタイピング結果は、精製DNAを用いたシーケンシングの結果と完全に一致しており、その正確性が証明された。また、プロトコールの単純さ、迅速性、簡便性において優れており、POCTをターゲットにしたマイクロフルイディクスや自動化のための機器開発においても有利であると考えられた。
本実施例において、本発明者らはまず反応溶液の開発を行い、ユニバーサルインベーダー法におけるMg2+の至適範囲が6.0〜7.5 mMであることを見出した。その理由として本発明のユニバーサルインベーダー反応では、1.6 mM dNTPsが同じ濃度の遊離のMg2+を必要とし、Taq DNA ポリメラーゼおよびCleavase VIIIは、それぞれ、効率的な酵素活性のために1 mMおよび4 mM以上の遊離のMg2+を必要とする。その結果、Mg2+の至適範囲は6.0〜7.5 mMであり、4.5 mM未満の場合、PCR産物と蛍光シグナルはMg2+の不足ににより観察されなかったと考えられた。10.5 mMを超えるMg2+では、PCR産物が十分な増幅が観察されたが、インベーダー反応の阻害がみとめられた(図4)。この結果は、高濃度のMg2+がアレルプローブのハイブリダイゼーションを安定化させ、インベーダー反応におけるサイクリング開裂反応の効率を低下させたことによると考えられた。したがって、ユニバーサルインベーダー法において、Mg2+の至適濃度を保つことは非常に重要である。本発明の改変されたアルカリ溶解プロトコールで処理した全血試料からは無視できる程度の濃度のMg2+(0.057mM)が反応溶液中に持ち込まれると考えられ[Blanchard et al, PCR Methods Appl 2:234-240 (1993)]、ユニバーサルインベーダー法への影響はほとんどない考えられた。
NaCl濃度の検討では、Mg2+の濃度を7.5 mMに固定した場合、NaClの濃度が低いほど、インベーダー反応がよくなることを観察し、20 mMを超えるNaClでは、PCR増幅が改善するにもかかわらず、インベーダー反応が低下することを観察した(図5)。Mg2+の場合と同様に、この結果は、高濃度のNa+によるアレルプローブの安定化したハイブリダイゼーションにより生じたものであると考えられた。ユニバーサルインベーダー法の反応溶液は一価のカチオンを含まないけれども、アルカリ溶液(200 mM NaOH)および全血(124 mM Na+およびK+)には、相当量の一価のカチオンが含まれる。したがって、プロトコール開発において全血試料からの一価のカチオンの持込を考慮する必要があった。改変されたアルカリ溶解条件において、一価のカチオンの濃度は最終濃度として約13 mMであると見積もられ、20 mM以下に厳密に調整されている。
ゲノムDNAの精製工程を省く方法として、本発明者らはアルカリ溶解法を選択した。近年、ホルムアミド抽出法が、TaqMan法や融解曲線解析に有用であることが報告されたが、抽出の際の加熱処理、ホルムアミドの不安定性や冷凍保存の必要性、オリゴヌクレオチドのTm値に対する影響とそれに伴う反応条件の変更などPOCTとして実現する上での大きな障壁を有している。これに比べ、常温での処理が可能で、反応条件を変更する必要がないアルカリ融解法はPOCTを実現する上で大変有用であると考えられた。既報(非特許文献14、15)のアルカリ溶解法では、PCR反応の阻害効果が認められ、実用化に不十分であったが、高濃度Tris−HClを用いる改良法により反応性が改善し、実用化に耐えうる血液の前処理法が確立された。本改良により、沈殿物の除去という工程が加わるが、簡単な遠心分離により達成され、またフィルトレーションでも可能であると考えられるので、POCTを実現する上で重大な障壁にはならないものと考えられる。
全血からのSNPジェノタイピング技術として、ユニバーサルインベーダー法は融解曲線解析およびTaqMan法に比べていくつかの利点を有する。ユニバーサルインベーダー法は、標的特異的認識能が高く、ハイブリダイゼーションのみをベースとする上記方法よりもS/N比が高いと考えられる。さらに高コストである蛍光プローブがどの標的SNPにも共通に使用できるので、標的ごとに蛍光プローブが必要な上記方法と比べての費用効果が高い。加えて、ユニバーサルインベーダー法は25分以内に完了させることができ、Lightサイクラー(Roche Molecular Science製)での融解曲線法(40分)およびABI Prism 7700 (Applied Biosystems製)でのTaqMan法(2時間)よりも迅速である。、シングルチューブの形式、簡便さは上記アッセイと同等で、POCTに十分応用が可能である。アッセイ設計の柔軟性に関しては、本実施例に示すとおり、薬理ゲノム学分野で最も重要かつ確立するのが困難なアッセイの1つであるUGT1A1*28やその他の重要な多型を広範囲にカバーしていることから十分と言える。ユニバーサルインベーダー法は、POCTにおいて最も有望なSNPジェノタイピング法の1つであると考えられる。
融解曲線解析およびTaqMan法以外に、アルカリ溶解法を採用する全血試料からの新規迅速SNPジェノタイピング法の1つとして、「非対称等温増幅および新規ミスマッチサプレッション技術」を使用する方法が報告されている[Mitani et al., Nat. Methods 4:257-262 (2007)]。この技術は、S/N比が高く、全血試料から20-60分でジェノタイピングが可能であると報告されている。しかしながら、当該技術の原理は非常に複雑であり、アッセイ性能およびアッセイ設計の柔軟性をさらに評価する必要があると考えられる。その他の多数の報告された技術に関して、本発明者らの知り得る限りにおいて、全血試料からのSNPジェノタイピングの報告はほとんどない。
本発明によると、正確、簡便かつ安価に、血液試料からジェノタイピングの結果を30分以内に得ることができる。本発明の方法は、個の医療の実現のために有望な方法である。
図1は、ユニバーサルインベーダー法によるSNPジェノタイピングの原理を示す。 図2は、ユニバーサルインベーダー法におけるMgCl2濃度およびNaCl濃度の最適条件を調べた図である(例、rs7294 (VKORC1))。(a)ユニバーサルインベーダー法におけるMgCl2濃度の最適条件を調べた図である。上段は試料1における電気泳動像。図中の数字はMgCl2の最終濃度を示す。矢印は標的アンプリコンを示す(106 base)。下段は10個のゲノムDNA試料を用いたときのADプロット。(b)ユニバーサルインベーダー法におけるNaCl濃度の最適条件を調べた図である(例、rs7294 (VKORC1))。上段は試料1における電気泳動像。図中の数字はMgCl2の最終濃度を示す。矢印は標的アンプリコンを示す(106 base)。下段は10個のゲノムDNA試料を用いたときのADプロット。 図3は、18個の精製ゲノムDNA試料を用いた39個のユニバーサルインベーダーアッセイのADプロット図である。すべての試料を二連で反応させた。各ADプロットの英数字の文字は遺伝子またはアレル名および多型を示す。すべての試料を二連で反応させた。FAMおよびYakima Yellow 蛍光シグナルは、Roxシグナルで正規化した。各ADプロットのY軸は、FAMアレルの正規化した蛍光強度を示す。X軸は、Yakima Yellow アレルの正規化した蛍光強度を示す。■、◆、黒三角、および●は、それぞれ、鋳型なしの対照、FAMアレルのホモ接合体、FAMアレルとYakima Yellowアレルのヘテロ接合体、およびYakima Yellowのホモ接合体を示す。 図4は、既報(比較例)のアルカリ溶解法で処理した18個の全血試料を用いた39個のユニバーサルインベーダーアッセイのADプロット図である。すべての試料を二連で反応させた。各ADプロットの英数字の文字は遺伝子またはアレル名および多型を示す。すべての試料を二連で反応させた。FAMおよびYakima Yellow 蛍光シグナルは、Roxシグナルで正規化した。各ADプロットのY軸は、FAMアレルの正規化した蛍光強度を示す。X軸は、Yakima Yellow アレルの正規化した蛍光強度を示す。■、◆、黒三角、および●は、それぞれ、鋳型なしの対照、FAMアレルのホモ接合体、FAMアレルとYakima Yellowアレルのヘテロ接合体、およびYakima Yellowのホモ接合体を示す。Xは自動コールでジェノタイプが決められなかった検体を示す。 図5は、既報(比較例)のアルカリ溶解法で処理した18個の全血試料を用いたユニバーサルインベーダーアッセイ(CYP2C9*3)のADプロット図および電気泳動像である。 図6は、既報のアルカリ溶解法の改変を示す。a: アルカリ処理血の中和に高濃度のTris-HClを用いることによる沈殿物の生成。図中の数値は用いた中和緩衝液の濃度を示し、40mMが既報の中和緩衝液の濃度(40mM Tris-HCl pH7.5)である。阻害性の全血成分を沈殿させて除去するために、種々の濃度の中和緩衝液(40〜560mMの範囲のTris-HCl pH7.5)を、NaOHとTris-HClの濃度比が同じになるように液量を調整して加え(12.8〜180μlの範囲)、アルカリ処理血液溶液に添加した。b: 種々の中和条件がPCR反応に及ぼす影響(試料1および試料2のユニバーサルインベーダー反応後の電気泳動像(CYP2C9*3))。c: 種々の中和条件がユニバーサルインベーダーアッセイ(CYP2C9*3)の蛍光増幅に及ぼす影響(ADプロットおよびリアルタイム蛍光データ)。10個の全血試料を評価に使用した。FAMおよびYakima Yellow蛍光シグナルをRoxシグナルで正規化した。各ADプロットのY軸はFAM アレルの正規化した蛍光強度を示す。X軸はYakima Yellowアレルの正規化した蛍光強度を示す。■、◆、および黒三角は、それぞれ、鋳型なしの対照、FAMアレルのホモ接合体、およびFAMアレルとYakima Yellowアレルのヘテロ接合体を示す。Xは自動コールでジェノタイプを決定できなかった試料を示す。 図7は、改変されたアルカリ溶解法で処理した18名の全血試料を用いて25分の反応時間のプロトコールで39個のユニバーサルインベーダーアッセイを行ったときのADプロット図である。すべての試料を二連で反応させた。FAMおよびYakima Yellow 蛍光シグナルは、Roxシグナルで正規化した。各ADプロットのY軸は、FAMアレルの正規化した蛍光強度を示す。X軸は、Yakima Yellow アレルの正規化した蛍光強度を示す。■、◆、黒三角、および●は、それぞれ、鋳型なしの対照、FAMアレルのホモ接合体、FAMアレルとYakima Yellowアレルのヘテロ接合体、およびYakima Yellowのホモ接合体を示す。

Claims (9)

  1. 下記工程を含む、一塩基多型のジェノタイピング用検査試料の調製方法:
    動物由来の血液検体1容量部に対し、4〜40容量部の100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液を混合する工程、
    前記混合溶液に、0.5〜5倍容量の80〜560mMのTris緩衝液を添加し、中和させる工程、および
    前記中和された溶液を遠心分離または濾過し、検査試料を得る工程。
  2. 下記工程を含む、一塩基多型のジェノタイピングの検査方法:
    動物由来の血液検体1容量部に対し、4〜40容量部の100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液を混合する工程、
    前記混合溶液に、0.5〜5倍容量の80〜560mMのTris緩衝液を添加し、中和させる工程、
    前記中和された溶液を遠心分離または濾過し、検査試料を得る工程、および
    前記検査試料を用いて、ユニバーサルインベーダー法によりジェノタイピングする工程。
  3. 水酸化アルカリ金属が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである、請求項1または2に記載の方法。
  4. Tris緩衝液がTris-HCl(pH7〜9、25℃)である請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記混合工程から検査試料を得る工程までが5分以内で行なわれる、請求項1〜4いずれかに記載の方法。
  6. 前記ユニバーサルインベーダー法が4.5〜9.0mMのMgCl2および0〜20mMのNaClの存在下で行われる請求項2〜5いずれかに記載の方法。
  7. 前記混合工程からジェノタイピング工程までが30分以内で行なわれる、請求項2〜6いずれかに記載の方法。
  8. 100〜200mMの水酸化アルカリ金属の水溶液および80〜560mMのTris緩衝液を含む、一塩基多型のジェノタイピング用検査試料の調製キット。
  9. さらに混合容器および/または遠心分離管を含む、請求項8に記載のキット。
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