以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
先ず、本発明に係る金属(電極)−絶縁体−半導体構造を有する素子、いわゆるMIS素子の実施例を示す。本例のMIS素子は、ゲート絶縁膜、特に、そのうちの窒化膜中へのエレクトロンやホール等の電荷の蓄積量をアナログ的に制御することで、ゲート下のポテンシャル、ないし、しきい値電圧Vthを、アナログ的に設定できるように構成するものである。
図1は、本発明に係るMIS素子をMISFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)に例をとって示す。本例のMISFET21は、第1導電型(例えばn型又はp型)の半導体領域(半導体ウエル、半導体基体等)22の主面に第2導電型(p型又はn型)のソース領域23及びドレイン領域24を形成し、半導体領域22のソース領域23及びドレイン領域24間に対応する主面上に、酸化膜例えばシリコン酸化膜(SiO2 )26、窒化膜例えばシリコン窒化膜(SiN)27及び酸化膜例えばシリコン酸化膜(SiO2 )28をこの順に積層してなる3層構造のゲート絶縁膜25を形成し、このゲート絶縁膜25上に例えば多結晶シリコンからなるゲート電極30を、ソース領域23及びドレイン領域24上に夫々ソース電極31及びドレイン電極32を、夫々形成して構成する。
このいわゆるMONOS(metal oxide nitride oxide semiconductor)構造のMISFET21においては、ゲート絶縁膜25のシリコン窒化膜27中へエレクトロンを蓄積すれば、ゲート電圧VG に一定の負電位のオフセットを加えたのと同等となり例えばnチャネル型であれば、ゲート下のポテンシャルがいわゆるエンハンスメントの方向(ポテンシャルが浅くなる方向)に、pチャネル型であればディプレッション(ポテンシャルが深くなる方向)に動く結果となる。逆にゲート絶縁膜25のシリコン窒化膜27中へホールを蓄積すれば、ゲート電圧VG に一定の正電位のオフセットを加えたのと同等となり、例えばnチャネル型であれば、ゲート下のポテンシャルがいわゆるディプレッションの方向に、pチャネル型であればエンハンスメントの方向に動くことになる。
例えば、図2に示すようにMONOS構造のnチャネルMISFET21Nとした場合には、ゲート電極30とその直下のチャネル領域との間に高電圧を与え、一例として、ソース電圧VS 及びドレイン電圧VD を共に0Vとし(但し、p型半導体領域22は接地されている)、ゲート電極30に+(正)の高いゲート電圧(通常の駆動電圧より高い電圧)VG を一定時間与えると、或る一定量のエレクトロンeがソース領域23及びドレイン領域24を構成するn+ 層からシリコン窒化膜27中に注入される。このエレクトロンeの注入量は、ゲート電極30への印加電圧VG や、印加時間に依存し、これら印加電圧、印加時間を制御すれば、所望の量のエレクトロンeを注入することができる。即ち、ポテンシャルがエンハンスメントの方向に動き、所望のポテンシャル、或いはしきい値電圧Vthが得られる。
逆にこのnチャネルMISFET21Nのゲート電極30に、−(負)の高いゲート電圧VG を印加した場合、ゲート近傍にp型のホール供給源があれば、之からホールhがシリコン窒化膜27中に注入され、ポテンシャルはディプレッションの方向に動く。
また、例えば図3に示すように、MONOS構造のpチャネルMISFET21Pとした場合には、同様にゲート電極30とそのチャネル領域との間に高電圧を与え、一例としてソース電圧VS 及びドレイン電圧VD を共に0Vにし(但し、n型半導体領域22は所定の正電圧が印加されている)、ゲート電極30に−(負)の高いゲート電圧VG (通常の駆動電圧より高い電圧)を印加すれば、ソース領域23及びドレイン領域24を構成するp+ 層からホールhが同様にゲート絶縁膜25のシリコン窒化膜27中へ注入され、ポテンシャルがエンハンスメントの方向に動き、所望のポテンシャル、或いはしきい値電圧Vthが得られる。
このpチャネルMISFET21Pでも、逆に、ゲート電極30に、+(正)の高いゲート電圧VG を印加した場合、ゲート近傍にn型のエレクトロン供給源があれば、之からエレクトロンeがシリコン窒化膜27中に注入され、ポテンシャルはディプレッションの方向に動く。
シリコン窒化膜27中に一度注入されたエレクトロンやホールの電荷は、シリコン窒化膜27の上下のシリコン酸化膜26及び28によって挟まれており、逃げにくく、通常の駆動電圧では、その障壁を超えることなく、永久にシリコン窒化膜27中に保持される。
かかる構成のMISFET21によれば、そのゲート絶縁膜25のシリコン窒化膜27に注入する電荷量を制御することにより、チャネルポテンシャルないししきい値電圧Vthをアナログ的に設定することができる。このMISFET21はアナログMISFETとしアナログ回路等に用いることが可能となる。
上述したポテンシャル、或いはしきい値電圧をアナログ的に設定できるMONOS構造のMIS素子は、MISFETの他、アナログ用メモリ素子、所望の値の出力バイアスを得るバイアス回路等に応用できる。
また、上述のMONOS構造のMIS素子は、固体撮像装置におけるリセットゲート部、あるいはCCD転送レジスタの転送部に応用できる。更には、固体撮像装置における基板電圧の設定、リセットゲートバイアスの設定等に応用できる。
図4〜図6は、本発明に係るCCD固体撮像素子の一実施の形態を示す。本例は、特に、上記MIS素子、即ちMONOS構造を用いてリセットゲート部のポテンシャルを制御するようにしたものである。
同図は、インターライン転送方式のCCD固体撮像素子に適用した場合である。なお、このCCD固体撮像素子は飽和電荷を基板方向に、即ち縦方向に掃き捨てる所謂縦型オーバーフロー構造となっている。
このCCD固体撮像素子41は、画素となる複数の受光部42がマトリックス状に配列され、各受光部列の一側にCCD構造の垂直転送レジスタ43が設けられた撮像領域44と、各垂直転送レジスタ43の終段が接続されたCCD構造の水平転送レジスタ45と、水平転送レジスタ45の出力側に接続された出力回路、即ち電荷検出回路46とを備えて成る。
撮像領域44では、図5に示すように、第1導電型例えばn型のシリコン半導体基板48上の第2導電型即ちp型の第1のウエル領域49内に、受光部42を構成するn型の不純物拡散領域50と、垂直転送レジスタ43を構成するn型の転送チャネル領域51と、p型のチャネル領域52が形成され、上記n型の不純物拡散領域50上にp型の正電荷蓄積領域53が、n型の転送チャネル領域51の直下に第2のp型ウエル領域54が夫々形成されている。
ここでn型の不純物拡散領域50とp型ウエル領域49とのpn接合によるフォトダイオードPDによって受光部(光電変換部)42が構成される。垂直転送レジスタ43を構成する転送チャネル領域51、チャネルストップ領域52及び読み出しゲート部47上にわたって、シリコン酸化膜(SiO2 )56、シリコン窒化膜(Si3 N4 )57及びシリコン酸化膜(SiO2 )58が順次積層されてなる3層構造のゲート絶縁膜59が形成され、このゲート絶縁膜59上に例えば1層目及び2層目の多結晶シリコンからなる複数の転送電極61が転送方向に向って配列形成され、転送チャネル領域51、ゲート絶縁膜59及び転送電極61により垂直転送レジスタ43が構成される。
垂直転送レジスタ43は例えば4相の垂直駆動パルスφV1 ,φV2 ,φV3及びφV4 にて駆動される。
一方、水平転送レジスタ45は、図6に示すように、n型の転送チャネル領域51上に、上記と同様のシリコン酸化膜(SiO2 )56、シリコン窒化膜(Si3 N4 )57及びシリコン酸化膜(SiO2 )58からなる3層構造のゲート絶縁膜59を介して、1層目の多結晶シリコン膜からなる第1の転送電極65Aと2層目の多結晶シリコン膜からな第2の転送電極65Bが転送方向に沿って交互に複数配列して構成される。
この水平転送レジスタ45では、互に接続された隣り合う2つの転送電極65A及び65Bを1組として1つ置きの組の転送電極65〔65A,65B〕と、他の1つ置きの組の転送電極65〔65A,65B〕とに夫々2相の水平駆動パルスφH1 ,φH2 が印加される。各第2の転送電極65B下の転送チャネル領域51には、第2導電型即ちp型の半導体領域66が例えば不純物のイオン注入で形成され、これによって、第1の転送電極65Aをストレージ電極とするストレージ部と、第2の転送電極65Bをトランスファ電極とするトランスファ部を有する転送部が形成される。ゲート絶縁膜59においては、通常動作中に多結晶シリコン電極からシリコン窒化膜57への電荷の注入がシリコン酸化膜58によって阻止され、ポテンシャル変動が生じない。
水平転送レジスタ45の最終段の転送部の後にはゲート絶縁膜59を介して例えば2層目の多結晶シリコン膜からなるゲート電極67を形成してなる水平出力ゲート部HOGが形成される。水平出力ゲート部HOGには固定の出力ゲート電圧、例えばグランド電位(GND)が印加される。この水平出力ゲート部HOGの後段には、電荷検出装置80が形成される。この電荷検出装置80は、水平出力ゲート部HOGに隣接して信号電荷を蓄積するn型半導体領域からなるフローティングディフージョン領域FDと、さらにこのフローティングディフージョン領域FDに隣接してフローティングディフージョン領域FDの蓄積信号電荷をリセットするためのリセットゲート部82とリセットドレイン領域81と、フローティングディフージョン領域FDに接続されてこのフローティングディフージョン領域FDに蓄積された信号電荷を検出する出力回路(検出回路)46とを有して構成される。t2 は出力端子である。リセットドレイン領域81はn型半導体層で形成され、之にリセット電圧VRD(例えば電源電圧VDD)が印加される。リセットゲート部82にはリセットパルスφRGが印加される。
しかして、本実施の形態においては、特に、リセットゲート部82を、p型ウエル49上に垂直、水平転送レジスタ43,45のゲート絶縁膜59と同時に形成したシリコン酸化膜(SiO2 )56、シリコン窒化膜(Si3 N4 )57及びシリコン酸化膜(SiO2 )58を順次積層してなる3層構造のゲート絶縁膜84を介して、例えば多結晶シリコン膜によるゲート電極85を形成して構成する。即ち、このリセットゲート部82では、上述したMONOS構造のMIS素子として構成される。ここでは、このリセットゲート部とフローティングディフージョン領域及びリセットドレイン領域とによってMONOS構造のMIS素子即ちMISFETが構成される。
このCCD固体撮像素子41では、各受光部42において受光量に応じて光電変換された信号電荷が垂直転送レジスタ43に読み出され、垂直転送レジスタ43内を転送して水平転送レジスタ45に転送される。水平転送レジスタ45に転送された信号電荷は、1画素分毎、フローティングディフージョン領域FDに転送され、出力回路46を通じて電荷電圧変換されて端子t2 よりCCD出力として読み出される。
1画素の信号電荷が読み出された後、リセットゲート部82にリセットパルスφRGが印加されることにより、フローティングディフージョン領域FDの信号電荷がリセットゲート部82を通じてリセットドレイン領域81に掃き捨てられ、フローティングディフージョン領域FDのポテンシャルがリセットドレイン領域81の電位にリセットされる。
しかして、本実施の形態のCCD固体撮像素子41において、図7の調整前のポテンシ
ャル分布89で示すように、製造ばらつきによってリセットゲート部82下のポテンシャ
ルφm が深くなった場合には、次のようにしてポテンシャル調整を行う。
即ち、リセットゲート部82下のポテンシャルφm (=φm1)を検出し、このポテンシャルφm1を基準値φm2(即ち設定すべきポテンシャルの値)と比較する。
そして、基準値φm2とのずれを補う量の電荷をゲート絶縁膜84のシリコン窒化膜57に注入する。即ち、リセットドレイン領域81のリセット電圧VRDを0Vとし、リセットゲート部82のゲート電極85に、ずれ量に応じて設定された所要の+(正)の高電圧VRDを所要時間印加し、ゲート絶縁膜84のシリコン窒化膜57に基準値φm2とのずれを補う量のエレクトロンを注入し、蓄積する。
実際は、画像出力の波形を観察しながら、適正な波形になるまで電荷量を注入する。
このシリコン窒化膜57に蓄積されたエレクトロンにより、リセットゲート部82下のポテンシャルを、製造直後(調整前)のポテンシャルφm1より調整後のポテンシャル分布90で示すように、エンハンスメントの方向、従って浅くなる方向に動かすことができ、
正常なポテンシャルφm2に調整することができる。
ここで、リセットドレインの端子及びリセットゲート部の端子は外部に導出されている端子であるため、静電気で、上述のようなポテンシャル変動が発生することは避けねばならない。通常、これらの外部端子には、高電圧が印加されないように保護素子(例えばダイオード、トランジスタ等)が付加されている。この保護素子が付加された状態ではポテンシャル調整はできない。
そこで、ポテンシャル調整する時のみ、保護素子を切り離したり、その耐圧を高くして保護素子の動作を止め、ポテンシャル調整を可能とさせる。ポテンシャル調整後は、再び保護素子を接続する等して保護素子を動作させ、以後、調整値がずれないようにする。
具体例として、図7に示すように、同一半導体ウエハ上に、撮像素子本体と共に、例えば1対の直列接続されたダイオードPDからなり、1端を電源電圧VDDに接続し、他端を接地し、両ダイオードPDの接続中点を外部導出端子87に接続されるようにした保護素子86を形成し、ウエハ状態では、リセットゲート部82のゲート電極85に接続されている外部導出端子87と保護素子86とを切り離した状態にして置く。ウエハ状態での検査時にリセットゲート部82下のポテンシャルφm を調整し、組立て時に、外部導出端子87と保護素子86とをワイヤボンディング88で接続する。これにより出荷後に、外部導出端子85に静電気が印加されても、保護素子86によってリセットゲート部82に静電気が印加されることはなく、出荷後の故障が防止できる。
図4〜図7に示すCCD固体撮像素子41によれば、シリコン酸化膜56、シリコン窒化膜57及びシリコン酸化膜58の3層からなるゲート絶縁膜84を有したいわゆるMONOS構造のリセットゲート部82を構成し、そのゲート絶縁膜84のシリコン窒化膜57中へアナログ的に所望量の電荷を注入し蓄積することにより、リセットゲート部82下のポテンシャルφm をアナログ的に調整することができる。従って、従来のCCD固体撮像素子完成後に、外部回路等でポテンシャル調整するのに比べて完成後のポテンシャルの無調整化が可能となり、且つ低消費電力化のためのリセットパルスφRGの低振幅化を図ることができる。
一方、CCD固体撮像素子において、基板電圧Vsub の設定は、基板構造がpn接合を有しており、MISトランジスタ構造でないため、上述したリセットゲート部82の様な直接的な調整方法は採れない。
かかる場合には、調整回路即ち調整用のバイアス回路を別途付加し、このバイアス回路に上述したMONOS構造のMIS素子を用い、該MIS素子のチャネルポテンシャル調整によってバイアス回路からの出力バイアス値を調整し、この出力バイアスをCCD固体撮像素子の基板48に印加すればよい。
また、上例ではリセットゲート部82下のポテンシャルφm を直接的に調整するようにしたが、間接的に調整することもできる。ポテンシャルφm のばらつきは、ゲート電極85にかけるDCバイアスVRGのばらつきと同じに考えることができるから、リセットゲート部82のゲート電極85にかけるDCバイアスVRGを上記のバイアス回路によって制御すればよいことになる。
図8Aは、かかるバイアス回路の一例を示す。このバイアス回路91は、駆動用MISトランジスタ92と負荷抵抗93とからなるソースフォロワ回路で構成される。この駆動用MISトランジスタ92として、図1に示すMONOS構造のMISFET例えばnチャネルMISFET21Nを用いる。
駆動用MISトランジスタ92のドレインは電源電圧VDDが印加される電源端子96に接続され、負荷抵抗93の他端はグランド(GND)に接続され、ソース側より出力端子t3 が導出される。そして、特定ゲートバイアスが印加されるように、駆動用MISトランジスタ92のゲートが抵抗R1 を介してドレイン(電源)に接続される。
また、図8Bのバイアス回路91′の例では、特定ゲートバイアスが印加されるように、駆動用MISFETトランジスタ92′のゲートが抵抗R1 ′を介してグランド(GND)に接続される。図8Aと図8Bは抵抗R1 ,R1 ′の接続が異なる以外は、同じ構成である。従って、図8Bでは図8Aに対応する部分に、同一符号にダッシュを付して重複説明を省略する。
通常、オンチップ回路では、ゲートを抵抗を介さずに直接電源やGNDに接続すればよいが、高電圧を印加するときには、後述するようにドレインを0Vとし、ゲート端子95に高電圧を印加するため、この高電圧を印加しても、MISトランジスタ92が破壊しないような抵抗R1 が必要となる。この抵抗R1 は、高電圧に耐えられればよく、多結晶シリコンによる抵抗、拡散抵抗、MIS抵抗等を用いることができる。
かかるバイアス回路91においては、駆動用MISトランジスタ92の初期出力(ポテンシャル)をゲート電圧VG ≒ソース電圧VS となる程度に設定して置き(即ちしきい値電圧Vthが0V)、またバイアス回路91′においては、駆動用MISトランジスタ92′の初期出力をゲート電圧VG =0V時に電源電圧(VDD)となる程度に設定しておき(Vth≒−VDD)、VDD=Vsub (又はVRG)=0V(即ち電源端子96,96′及び出力端子t3 ,t3 ′を0V)とし、ゲート端子95,95′に高電圧を印加し、駆動用MISトランジスタ92,92′のゲート絶縁膜のシリコン窒化膜27に電荷を注入し、ゲート下を所望のポテンシャルに調整する。
このバイアス回路91′の出力端子t3 ′に与えられる出力バイアス電圧を、CCD固体撮像素子の基板電圧Vsub として基板に印加するようになす。
この結果、例えば基板電圧Vsub の値としては、電源電圧VDDから0Vの電圧まで可変可能になる。即ち、駆動用MISトランジスタ92′がVth=−VDDのディプレッションでいる状態であれば、出力は電源電圧VDDとなり、次いで、エンハンスメント方向にポテンシャル調整して行くに従い出力は下がり、完全に駆動用MISトランジスタ92′がオフすれば出力は0V付近となり、VDD〜0V付近の範囲で可変できる。
また、バイアス回路91の出力端子t3 に与えられる出力バイアス電圧を、CCD固体撮像素子のリセットゲート部のDCバイアスVRGとしてリセットゲート電極に印加するようになす。この結果、例えばリセットゲート部のDCバイアスVRGの値としては、電源電圧VDDから0Vの電圧まで可変可能になる。即ち、駆動用MISトランジスタ92がディプレッションでオンしている状態であれば、出力は電源電圧VDDとなり、次いで、エンハンスメント方向にポテンシャル調整して行くに従い出力は下がり、完全に駆動用MISトランジスタ92がオフすれば、出力は0Vとなり、VDD〜0Vの範囲で可変できる。
なお、ソースフォロワ回路を構成する負荷93,93′としては、抵抗以外にも、例えば定電流源97,97′を用いても良い。定電流源の方が、より入出力特性のリニアリティが良くなる。
このような調整回路即ちバイアス回路91,91′をCCD固体撮像素子のチップに内蔵すると、ポテンシャル調整すべき駆動用MISトランジスタ92のゲート端子95,95′を外部に導出する必要がないため、ウエハ検査時に駆動用MISトランジスタ92,92′のゲート下のポテンシャルを調整すれば、組立時あるいは組立後に保護素子をゲート端子95,96′に付加する必要がなくなる。但し電源端子96,96′には保護素子が必要となる。
バイアス回路91′では、入力ゲートが接地されるため、電源電圧が変動しても、出力が変動しにくく、Vsub のバイアス回路に適する。
上述のバイアス回路91においては、電源電圧VDDが変動すれば出力バイアスもほぼ同様に変動する。基板電位Vsub の供給に、このバイアス回路91を利用した場合、電源電圧VDDが変動したときには、基板電圧Vsub が変動し、これによってオーバーフローバリアの高さが変動し受光部での取り扱い電荷量が大きく変化する懼れがある。
之に対し、リセットゲート部82のDCバイアスVRGの調整に、このバイアス回路91を利用した場合には、リセットドレイン電圧VRDとなる電源電圧VDDが変動したときに、バイアス回路91の駆動用MISトランジスタ92のゲート電圧VG も変動し、VDDの変動と同じ変化量で出力バイアス値、従ってリセットゲートのDCバイアス値が変動することになり、逆に利点となる。 即ち、電源追従性が良くなり、リセットゲート部にポテンシャル調整用のDCバイアスを与えるためのバイアス回路としては、このソースフォロワ方式のバイアス回路91は最適となる。
図9は、上記バイアス回路91をCCD固体撮像素子のリセットゲート部82のポテンシャル調整(即ちDCバイアス調整)に適用した実施の形態である。なお、同図において、図4〜図6に対応する部分に同一符号を付して重複説明を省略する。
本実施の形態のCCD固体撮像素子101では、図9に示すように、CCD固体撮像素子を構成するチップ97に上記ソースフォロワ方式のバイアス回路91を内蔵し、その駆動用MISトランジスタ92のドレイン側をリセットドレイン領域81に接続された電源端子96に接続する。この電源端子96を通じてリセットドレイン領域81にはリセットドレイン電圧VRDとなる電源電圧VDDが印加される。
また、駆動用MISトランジスタ92のソース側が、リセットゲート部82のゲート電極85に接続されると共に、チップ97外の外部容量99を介してリセットパルス発生手段100に接続される。198は外部端子である。なお、リセットゲート部82では、そのゲート絶縁膜としては、ここに電荷を注入する必要はないので特別の構成とする必要はなく、上記3層構造、或は他の構成のゲート絶縁膜とすることができる。
この図9の実施の形態においては、ウエハ検査時にリセットゲート部82下のポテンシャルφm を測定し、基準値φm2よりずれていれば、バイアス回路91における駆動用MISトランジスタ92のゲート絶縁膜にそのずれを補う量の電荷を上述の方法で注入し、駆動用MISトランジスタのチャネルポテンシャルを調整することによって、バイアス回路91から所望の値の出力バイアス電圧が得られ、リセットゲート部にDCバイアスVRGとして印加される。これによってリセットゲート部82下のポテンシャルφm が調整される。
リセットゲート電極85には、このDCバイアスVRGにリセットパルス発生手段100からのリセットパルスの高周波成分が重量されたリセットパルスφRGが印加される。ポテンシャルφm の調整後は、駆動用MISトランジスタ92がエンハンスメントになるため、負荷電流iを極小にした場合、端子t3 からバイアス回路91を見て、等価的にツェナーダイオードZDを使ったロークランプ回路98となる(図10参照)。図11は、この等価回路のV−I特性図である。もし、駆動用MISトランジスタ92がディプレッションだと、ダイオードにならず抵抗特性をもつため、平均値クランプ回路となってしまい、リセットパルスの振幅やデューティー比の変動によって、リセットゲート電圧が変動してしまい、フローティングディフージョンFDの飽和信号量不足や、リセット不良を発生する。しかし、ロークランプ回路98であれば、パルス振幅、デューティー比の変動が
あっても、リセットゲートパルスのローレベルの電圧は一定となり、飽和信号量不足を生ずることがない。
従って、このCCD固体撮像素子101によれば、電源電圧VDDが変動すれば、これと同じ変化量でリセットゲート部82のポテンシャルも変動するので、電源電圧VDDの変動によってリセットゲート部82下のポテンシャルとリセットドレイン領域81との間のポテンシャル差は変動することがない。
上例のバイアス回路91では、ポテンシャルのシフト量が大きい場合、VG ≫VS となり、ゲート・ソース間電位差が大きくなり、実動作状態での耐圧が問題となってくる。また、バイアス回路91′では、初期でVG ≪VD となり、ゲート−ドレイン間電位差が大きく、同様に耐圧が問題となってくる。例えば基板電圧Vsub のばらつきは大きく、数Vのばらつきがあり調整範囲としては10V近い値となる。
この解決策の一例を図12に示す。本例に係るバイアス回路102は、上述したMONOS構造の駆動用MISトランジスタ92を直列に多数接続し(本例では3段)、最終段の駆動用MISトランジスタのソース側に負荷抵抗93を接続してソースフォロワ方式に構成する。t3 は出力端子である。各段の駆動用MISトランジスタ92のゲート・ドレイン間には抵抗R1 が接続され、各ゲート端子95〔95A,95B,95C〕が設けられる。
調整時には、各段の駆動用MISトランジスタ92のドレイン側とVDDと端子t3 を破線で示すように接地して、各ゲート端子95〔95A,95B,95C〕に所望の高電圧を印加して、夫々の駆動用MISトランジスタ92のチャネルポテンシャルを調整する。
かかる構成のバイアス回路102によれば、1段当りの駆動用MISトランジスタ92のポテンシャルシフト量を減らし、即ち調整範囲を小さくし、合計のポテンシャルシフト量従って調整範囲を大きくすることができると同時に、実動作状態での駆動用MISトランジスタ92のゲート・ソース及びドレイン間の耐圧劣下を回避することができる。
即ち、総ての駆動用MISトランジスタがディプレッションでオンしている状態であれば、出力端子t3 からの初めの出力は電源電圧VDDとなり、之よりエンハンスメント方向(ポテンシャルが浅くなる方向)にポテンシャル調整するに従い出力が下がり、完全に各駆動用MISトランジスタ92がオフすれば出力が0Vとなる。従ってVDD〜0Vまで広範囲の調整が可能で且つ駆動用MISトランジスタの耐圧問題が解決される。
図8に示す駆動用MISトランジスタ92の1段のバイアス回路91は、リセットゲート部のような、もともとポテンシャルのばらつきが少なく、シフト量の少ない場所に対する調整に適している。基板電圧Vsub のようにばらつきが大きい場所に対する調整には、図12の駆動用MISトランジスタ92を多段接続したバイアス回路102が適する。但し、電源変動の問題はやはり回避できない。
図13はバイアス回路の他の例を示す。本例は、広範囲に調整可能なバイアス回路である。特に、少ないシフト量で大きな出力変化が得られる増幅型に構成している。
本例のバイアス回路105は、駆動用MISトランジスタ106と負荷抵抗107を有し、駆動用MISトランジスタ106のドレインDが負荷抵抗107を介して電源電圧V
DDが印加される電源端子109に接続され、そのソースSが接地され、ゲートGを入力と
してドレインD側に出力端子t4 を導出したインバータ回路をもって構成される。
この駆動用MISトランジスタ106には、図1で示すMONOS構造のMISFET、例えばnチャネルMISFET21Nが用いられる。駆動用MISトランジスタ106のゲート及びソース間には図8で示したR1と同様の抵抗122が接続される。
このインバータ方式のバイアス回路105では、初期状態で駆動用MISトランジスタ
106をオン状態にしておき、次いで、上例に従って、駆動用MISトランジスタ106
に対するポテンシャルシフトを利用して、駆動用MISトランジスタ106をエンハンス
メント方向にし、完全にオフ状態になるまでコントロールすれば、出力端子t4 からの出
力バイアスは0Vから電源電圧VDDの範囲まで変化する。従って、このバイアス回路10
5は、インバータ方式であるため、少ないポテンシャルシフト量で大きな調整範囲が得られる。但し、このバイアス回路105は、電源変動の影響はやはり受ける。
図14は、更に電源変動に影響されないようにしたインバータ方式のバイアス回路の他の例を示す。
本例のバイアス回路110は、前述のインバータ方式によるバイアス回路、即ち駆動用MISトランジスタ106と負荷抵抗107を有し、駆動用MISトランジスタ106のドレインDが負荷抵抗107を介して電源電圧VDDに接続され、そのソースSが接地され、ゲートGを入力とし、ドレインD側に出力端子t4を導出した構成に加えて、更にゲートGに通常の印加電圧を電源電圧VDDからの抵抗Ra とRb による抵抗分割で印加し、その分割比をインバータの利得と同等となるように構成する。駆動用MISトランジスタ106は、図1で示すMONOS構造のMISFET、例えばnチャネルMISFET21Nが用いられる。
インバータのソースは直接GNDでなくとも、図13、図14の枠111内に示すようにフィードバック抵抗Rを通して接地してもよく、必要なゲインに応じて入れることが望ましい。適度にゲインを下げた方がポテンシャルφm 調整がしやすくなる。また、フィードバック抵抗は、多結晶シリコンによる抵抗、MIS抵抗、拡散抵抗のどれでも良い。負荷抵抗107は、ソースフォロワのときと同等、定電流源であってもよく、また、抵抗122,Ra ,Rb は、多結晶シリコンによる抵抗、MIS抵抗、拡散抵抗のどれでも高電圧に耐えられればよい。
このバイアス回路110によれば、電源電圧VDDが変動すると、ゲートに印加されたゲートバイアス(点aのゲートバイアス)が電源の(1/利得)分だけ変動する。このゲートバイアスの変動分は、出力側に利得分増幅されて反転されて出てくるため、ドレイン側に加わる電源変動分が吸収されて変動分0となる。
このバイアス回路110では、駆動用MISトランジスタ106のゲートに与えられるゲートバイアスでトランジスタ106がオンされていれば、出力は初期段階で0Vとなり、そこからエレクトロン注入でエンハンスメント方向にもっていくことになり、電源電圧VDDまで出力を変化させることができる。
このようにすれば、少ないシフト量で大きな出力変化が得られ、且つ電源変動の影響を受けることがない。従って、このバイアス回路110は、CCD固体撮像素子の基板電圧Vsub の設定に最適な調整回路となる。
図15〜図17はバイアス回路のさらに、他の例を示す。図15のバイアス回路125は、図14のインバータ式バイアス回路の出力に、駆動用MISトランジスタ126と負荷抵抗127からなるソースフォロワ回路を接続し、そのMISトランジスタ126のソース側より出力端子t5 を導出して出力インピーダンスを下げるように構成したものである。
図16のバイアス回路130は、図14のインバータ式バイアス回路の出力に、駆動用バイポーラトランジスタ131と負荷抵抗132からなるエミッタフォロワ回路を接続し、バイポーラトランジスタ131のエミッタ側より出力端子t6 を導出して構成したものである。このバイアス回路130によれば、出力インピーダンスを下げると同時に、例えば固体撮像素子におけるシャッタパルス印加時の耐圧を向上させることができる。
図17のバイアス回路140は、図15のバイアス回路の出力に、更に図16で示す駆動用バイポーラトランジスタ131と負荷抵抗132からなるエミッタフォロワ回路を接続し、そのバイポーラトランジスタ131のエミッタ側より出力端子t7 を導出して構成したものである。このバイアス回路においても最終出力段にエミッタフォロワ回路が追加されているので、出力インピーダンスを下げると同時に、シャッタパルス印加時の耐圧を向上させることができる。
ここで前述したMIS素子のポテンシャルシフトを行う際の具体的な工程を説明する。例えばnチャネルMIS素子でポテンシャルシフトさせる場合について述べる。前述の図2で説明したように、ソース領域23及びドレイン領域24の両者もしくは、いずれか一方を0Vにすることでチャネル表面にエレクトロンeを充満させ、チャネル電位を0Vとする。この状態でゲート電極に(+)正の高電圧VG を印加すると、ゲート絶縁膜25に強い電界がかかり、シリコン表面のエレクトロンeがシリコン酸化膜26の障壁を超えてシリコン窒化膜27中に入る。すなわち、シリコン酸化膜26に加えられる電界と時間によってシリコン窒化膜27中に入るエレクトロンeの総量が決まる。電圧はゲート絶縁膜25の膜厚d1の厚さに比例した量を印加する必要がある。従って、所望のポテンシャルを得るには、印加電圧もしくは印加時間を制御する。ポテンシャル値≒ソースフォロワ(又はインバータ)回路の出力電圧であるため、ゲートにパルス電圧を印加して出力値を読み、判断し、くり返すことになる。
MONOS構造におけるMIS素子のポテンシャルを調整する方式としては、パルス振幅変調と、パルス幅変調の2方式がある。図18はパルス振幅変調方式を用いた場合である。前述した図8と同様に、MONOS構造のMIS素子を駆動用MISトランジスタ92として、この駆動用MISトランジスタ92と負荷抵抗93とからなるソースフォロワ回路を構成する。
先ず、図18のステップ〔I〕でソースフォロワ回路の出力電圧Vout を検出する。次に、ステップ〔II〕でこの出力電圧Vout を基準値(所望電圧値)と比較し、一致(即ちVout ≦基準値)すれば、所望のポテンシャルに設定されていることになり、調整工程を停止させる。
ステップ〔II〕の比較工程で出力電圧Vout と基準値が不一致(即ちVout >基準値)であれば、次のステップ〔III 〕でドレイン側の電源端子96を0Vとし、基準値と出力電圧Vout の差分に比例した高電圧(即ち一定のパルス幅で振幅を変調したパルス電圧)φVGを駆動用MISトランジスタ92のゲートに印加し、所定量のエレクトロンをゲート絶縁膜中に注入する。
次いでステップ〔I〕に戻って再びソースフォロワ回路の出力電圧Vout を検出し、ステップ〔II〕でその出力電圧Vout と基準値とを比較する。一致するまで、この工程を繰返す。
図19は、パルス幅変調方式を用いた場合である。
図18と同様にMONOS構造のMIS素子を駆動用MISトランジスタ92として之と負荷抵抗93とでソースフォロワ回路を構成する。
先ず、ステップ〔I〕でソースフォロワ回路の出力電圧Vout を検出する。
次に、ステップ〔II〕でこの出力電圧Vout を基準値(所望電圧値)と比較し、一致(即ちVout ≦基準値の状態)すれば所望のポテンシャルに設定されていることになり、調整工程を停止させる。
ステップ〔II〕の比較工程で出力電圧Vout と基準値が不一致(即ちVout >基準値)であれば、次のステップ〔III 〕でドレイン側の電源端子96を0Vとし、ゲートに高電圧を基準値と出力電圧Vout の差分に比例した時間だけ、即ち一定の電圧(振幅)でパルス幅を調整したパルス電圧φVGを印加し、所定量のエレクトロンをゲート絶縁膜中に注入する。
そして、ステップ〔I〕に戻って、再びソースフォロワ回路の出力電圧Voutを検出し、ステップ〔II〕でその出力電圧Vout と基準値とを比較する。一致するまでこの工程を繰返す。
このようにして、MONOS構造のMIS素子のポテンシャルを所望の値に設定することができる。
インバータ回路を用いた場合もその出力電圧を検出して同様の工程を繰返すことにより、所望のポテンシャルを設定できる。
なお、上例はインターライン転送方式のCCD固体撮像素子に適用したが、フレームインターライン転送方式のCCD固体撮像素子にも適用できることは勿論である。
上例ではバイアス回路をCCD固体撮像素子の基板電圧の設定、リセットゲートバイアスの設定に適用したが、その他増幅型固体撮像素子においてその基板に印加する制御電圧の設定を上記バイアス回路により行うこともできる。
増幅型固体撮像素子は、光電変換により得られたホール(信号電荷)をnチャネルMOSトランジスタのp型ポテンシャル井戸に蓄積しておき、このp型ポテンシャル井戸における電位変動(いわゆるバックゲートの電位変化)によるチャネル電流の変化を画素信号として出力するようにしている。
図20は、増幅型固体撮像素子の単位画素の半導体構造を示す。この図において、120はp型基板、121はn型ウエル領域、122は光電変換されたホール(信号電荷)123を蓄積するp型ウエル領域である。このp型ウエル領域123にn型のソース領域124及びドレイン領域125が形成され、両領域124及び125間上にゲート絶縁膜を介してゲート電極126が形成される。この単位画素が複数マトリックス状に配され、図示せざるも、例えば単位画素のゲートが垂直走査回路よりの垂直選択線に接続され、ソースが信号線に接続される。信号線の一端部は負荷MOSトランジスタが接続され、信号線の他端は画素信号をサンプルホールドするサンプルホールド回路及びスイッチング用MOSトランジスタを介して水平信号線に接続され、各スイッチング用MOSトランジスタのゲートが水平走査回路に接続される。各単位画素のドレインが電源に接続され、電源と信号線間にリセット時のスイッチング用MOSトランジスタが接続される。
単位画素のp型ウエル領域122に蓄積されたホールは、読み出し時におけるチャネル領域を制御し、これにより単位画素と負荷MSトランジスタとで構成されるソースフォロワ回路におけるソース端子の電位が変化し、この電位変化が画素信号としてサンプルホールド回路を通じて水平信号線に出力される。
この増幅型固体撮像素子では、図21のポテンシャル図の実線で示すように、画素の読み出し時に、基板端子Subに基板電圧Vsub (例えば0V)が印加される。リセット時(又は電子シャッタ時)には、破線で示すように例えばゲートに読み出し時と同じゲート電圧が印加されると共に、基板端子Subに所望の基板電圧Vsub R(例えば−6V〜1
0V程度)が印加される。ホール(信号電荷)123が基板120に排出される。このリセット時(又は電子シャッタ時)の基板電圧Vsub Rの設定にも上述したバイアス回路91,102,105又は110を用いることができる。
また、本発明は、複数のMIS素子よりなる半導体集積回路の各MIS素子間のしきい値電圧のばらつきを補正する方法に適用できる。この例では、各MIS素子を、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜の順に積層された3層構造のゲート絶縁膜を有するいわゆるMONOS構造に構成する。そして、各MIS素子のチャネルポテンシャルを検出し、チャネルポテンシャルを基準値と比較する。そして、ソース及びドレインを0Vとし、ゲートに高電圧を印加して、そのチャネルポテンシャルと基準値とのずれを補う量の電荷を、上述と同様の電荷注入方法によってゲート絶縁膜のシリコン窒化膜中に注入し蓄積する。これによって、各MIS素子のしきい値電圧のばらつきを補正することができる。
本発明は、MIS素子のチャネルポテンシャル調整方法に適用できる。この例においても、MIS素子を、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜の順に積層された3層構造のゲート絶縁膜を有するMONOS構造に構成する。そして、このMIS素子のチャネルポテンシャルを基準値と比較し、この基準値とのずれを補う量の電荷を上記と同様の方法でMIS素子のゲート絶縁膜のシリコン窒化膜に注入する。これによって、MIS素子のチャネルポテンシャルを調整することができる。
本発明は他の実施の形態として、固体撮像装置、その他、等に適用されるCCD構造の電荷転送装置に適用できる。本例の電荷転送装置は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して転送方向に複数の転送電極を配列してなる電荷転送部と、この電荷転送部より転送された電荷を蓄積する浮遊容量即ち、1の導電型の半導体領域からなる、いわゆるフローティングディフージョン領域と、この浮遊容量の電位を所定電位にリセットするリセットトランジスタを備えている。リセットトランジスタは、所定電位が与えられる1の導電型の半導体領域からなるいわゆるリセットドレイン領域と浮遊容量間にMIS構造のリセットゲート部を形成して構成される。そして、このリセットトランジスタ、即ちそのリセットゲート部のゲート電極(制御電極)に供給するバイアス電圧を前述したバイアス回路91,102,105又は110によって得るようになす。
また、本発明に係るMIS素子は、CCD構造、CCD転送レジスタ、MISFET等を総称して指す。例えばCCD転送レジスタのゲート絶縁膜をシリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜の3層構造とし、そのシリコン窒化膜に電荷を蓄積して転送部下のチャネルポテンシャルを設定することもできる。
上述したように、本発明の実施の形態によれば、MIS素子におけるポテンシャル或はゲートバイアの値をアナログ的に細かく設定することができる。従って、例えばCCD固体撮像素子に例をとるならば、そのCCD固体撮像素子の特にリセットゲート部、基板電圧の無調整化が図られ、またリセットパルスの低振幅化が図られて低消費電力化が図られ
る。
また、バイアス回路を用いる場合は、一部保護素子の省略も可能となる等、保護素子面で有利となる。さらに、ソースフォロワ式のバイアス回路はCCD固体撮像素子のリセットゲート部のDCバイアスVRGを得るバイアス回路に適し、インバータ式のバイアス回路は固体撮像素子の基板電圧を得るバイアス回路に適すものである。