JP2010050292A - 露光方法及び露光装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】露光装置の稼働率を低下させることなく、高精度なウエハステージの駆動制御を行う。
【解決手段】露光動作、及び/又はアライメント計測中、制御装置により、エンコーダシステムを用いてウエハステージWSTの位置情報が計測される。制御装置は、ウエハステージの位置に応じて、例えばヘッド642から643へ切り換える際に、ヘッド643の計測値と、該計測値に対するウエハステージの位置情報から予測される予測値との差を、較正データとして収集する。また、制御装置は、収集された較正データを用いて、個々のヘッドの計測値の基準として設定されているオフセットを、適宜、更新する。そして、更新されたオフセットとエンコーダシステムの計測結果とに従って、ウエハステージを駆動制御する。
【選択図】図8
【解決手段】露光動作、及び/又はアライメント計測中、制御装置により、エンコーダシステムを用いてウエハステージWSTの位置情報が計測される。制御装置は、ウエハステージの位置に応じて、例えばヘッド642から643へ切り換える際に、ヘッド643の計測値と、該計測値に対するウエハステージの位置情報から予測される予測値との差を、較正データとして収集する。また、制御装置は、収集された較正データを用いて、個々のヘッドの計測値の基準として設定されているオフセットを、適宜、更新する。そして、更新されたオフセットとエンコーダシステムの計測結果とに従って、ウエハステージを駆動制御する。
【選択図】図8
Description
本発明は、露光方法及び露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、特に、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等を製造するリソグラフィ工程で用いられる露光方法及び露光装置、並びに前記露光方法又は露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
従来、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが、主として用いられている。
この種の露光装置では、ウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、ウエハと総称する)上の複数のショット領域にレチクル(又はマスク)のパターンを転写するために、ウエハを保持するウエハステージが、例えばリニアモータ等により2次元方向に駆動される。ウエハステージの位置は、一般的に、長期に渡って高い安定性を有するレーザ干渉計を用いて、計測されていた。
しかし、近年、半導体素子の高集積化に伴うパターンの微細化により、重ね合わせ精度の要求が厳しくなり、レーザ干渉計のビーム路上の雰囲気の温度変化や温度勾配の影響で発生する空気揺らぎに起因する計測値の短期的な変動がオーバレイバジェット中の大きなウエイトを占めるようになった。
そこで、レーザ干渉計と同程度以上の計測分解能を有し、一般的に干渉計に比べて空気揺らぎの影響を受けにくいエンコーダを、ウエハステージの位置計測装置として採用する露光装置が、先に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に開示されている露光装置では、エンコーダシステムを構成する複数のエンコーダヘッド(以下、適宜、ヘッドと略述する)を用いて、ウエハステージに設けられたグレーティング(スケール)に計測ビームを照射し、そのグレーティングで発生する回折光を受光することによって、グレーティングの周期方向に関する個々のヘッドとスケールとの間の相対位置を計測する。そして、ウエハステージの位置に応じて複数のヘッドを切り換えて使用することにより、ウエハステージの位置をその全移動領域に渡って計測することができる。しかしながら、このような構成のエンコーダシステムでは、ヘッドの設置位置がずれると計測誤差が発生する。
本発明は、上述の事情の下でなされたものであり、第1の観点からすると、物体上にパターンを形成する露光方法であって、所定平面内を移動する移動体と該移動体の外部との一方に設けられた複数のヘッドのうち、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に対向する複数の第1ヘッドを用いて、前記移動体の位置情報を計測し、前記複数の第1ヘッドの計測情報と前記複数の第1ヘッドのそれぞれに対して設定されているオフセットとから前記移動体の位置情報を求め、該位置情報に従って前記移動体を駆動する工程と;前記移動体に保持される前記物体上にパターンを形成する工程と;前記物体に付与されたマークを検出する工程と;前記形成する工程と前記検出する工程との少なくとも一方と並行して、前記複数のヘッドのうち、前記計測面に対向する前記複数の第1ヘッドとは異なる少なくとも1つの第2ヘッドを用いて、前記移動体の位置情報を計測し、前記駆動する工程において求められた前記位置情報から前記第2ヘッドの計測情報を予測し、該計測情報からの前記第2ヘッドの計測情報のずれを収集する工程と;前記収集する工程において収集された前記ずれを用いて、前記第2ヘッドに対するオフセットを設定する工程と;を含む露光方法である。
これによれば、収集する工程では、計測面に対向する複数の第1ヘッドとは異なる少なくとも1つの第2ヘッドを用いて移動体の位置情報を計測し、駆動する工程において求められた位置情報から第2ヘッドの計測情報を予測し、予測された計測情報からの第2ヘッドの計測情報のずれを収集する。そして、設定する工程では、収集する工程において収集されたずれを用いて、第2ヘッドに対するオフセットを設定する。これにより、第2ヘッドの設置位置と複数の第1ヘッドの設置位置との関係が、第2ヘッドに対するオフセットに取り込まれる。すなわち、前述のようなヘッドの設置位置のずれが、オフセットに実効的に取り込まれるので、設置位置のずれに伴う計測誤差の発生を回避することが可能となる。さらに、収集する工程では、形成する工程と検出する工程との少なくとも一方と並行して、ずれを収集する。それにより、露光装置の稼働率を低下させることなく高精度且つ安定な移動体の駆動制御を維持することが可能となる。
本発明は、第2の観点からすると、本発明の露光方法を用いて、物体上にパターンを形成する工程と;前記パターンが形成された前記物体に処理を施す工程と;を含む第1のデバイス製造方法である。
本発明は、第3の観点からすると、物体上にパターンを形成する露光装置であって、前記物体を保持して所定平面内を移動する移動体と;前記移動体と該移動体の外部との一方に設けられ、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に計測光を照射し、前記計測面からの光を受光する複数のヘッドを有し、前記複数のヘッドのうち、前記計測面に対向する複数の第1ヘッドと少なくとも1つの第2ヘッドとを用いて、前記移動体の位置情報を計測する位置計測系と;前記物体上にパターンを形成するパターン生成装置と;前記物体に付与されたマークを検出するマーク検出装置と;前記複数の第1ヘッドの計測情報と前記複数の第1ヘッドのそれぞれに対して設定されているオフセットとから前記移動体の位置情報を求め、該位置情報に従って前記移動体を駆動するとともに、前記パターン生成装置による前記物体に対するパターン形成と、前記マーク検出装置による前記物体上のマークの検出と、の少なくとも一方と並行して、求められた前記位置情報から前記第2ヘッドの計測情報を予測し、該計測情報からの前記第2ヘッドの計測情報のずれを収集し、さらに、該ずれを用いて前記第2ヘッドに対するオフセットを設定する制御装置と;を備える露光装置である。
これによれば、制御装置により、複数の第1ヘッドの計測情報と複数の第1ヘッドのそれぞれに対して設定されているオフセットとから求められる移動体の位置情報から、第2ヘッドの計測情報が予測され、予測された位置情報からの第2ヘッドの計測情報のずれが収集され、さらに、収集したずれを用いて第2ヘッドに対するオフセットが設定される。これにより、第2ヘッドの設置位置と複数の第1ヘッドの設置位置との関係が、第2ヘッドに対するオフセットに取り込まれる。すなわち、前述のようなヘッドの設置位置のずれが、オフセットに実効的に取り込まれるので、設置位置のずれに伴う計測誤差の発生を回避することが可能となる。さらに、制御装置により、パターン生成装置による物体に対するパターン形成と、マーク検出装置による物体上のマークの検出と、の少なくとも一方と並行して、ずれが収集される。これにより、露光装置の稼働率を低下させることなく高精度且つ安定な移動体の駆動制御を維持することが可能となる。
本発明は、第4の観点からすると、本発明の露光装置を用いて、物体上にパターンを形成することと;前記パターンが形成された前記物体に処理を施すことと;を含む第2のデバイス製造方法である。
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図9に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。
露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では投影光学系PLとプライマリアライメント系AL1(図4、図5等参照)が設けられている。以下においては、投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内で光軸AXとプライマリアライメント系AL1の検出中心を結ぶ直線と平行な方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、図1に示されるように、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU、局所液浸装置8、ウエハステージWST及び計測ステージMSTを有するステージ装置50、並びにこれらの制御系等を備えている。図1において、ウエハステージWST上には、ウエハWが載置されている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、構成されている。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステム)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられる。
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図7参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)116によって、移動鏡15(又は端面に形成された反射面)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図7参照)に送られる。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられる。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10によってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、その第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、レチクルR及び投影光学系PLによってウエハW上にパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
本実施形態の露光装置100には、液浸方式の露光を行うために、前述の如く、局所液浸装置8が設けられている。局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図7参照)、液体供給管31A、液体回収管31B、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように、投影ユニットPUを保持する不図示のメインフレームに吊り下げ支持されている。本実施形態では、ノズルユニット32は、図1に示されるように、その下端面が先端レンズ191の下端面とほぼ同一面に設定されている。局所液浸装置8は、例えば国際公開第2007/097379号パンフレットなどに開示される局所液浸装置と同様に構成されている。
主制御装置20(図7参照)は、液体供給装置5(図7参照)を制御して、液体供給管31Aを介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図7参照)を制御して、液体回収管31Bを介して先端レンズ191とウエハWとの間から、供給される液体の量と同一量の液体を回収する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図1参照)が常に入れ替わって保持され、これにより液浸領域14(図4参照)が形成される。なお、投影ユニットPUの下方に後述する計測ステージMSTが位置する場合にも、同様に先端レンズ191と計測テーブルとの間に液浸領域14を形成することができる。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水(以下、特に必要な場合を除いて、単に「水」と記述する)が用いられるものとする。
ステージ装置50は、図1に示されるように、ベース盤12の上方に配置されたウエハステージWST及び計測ステージMST、両ステージWST,MSTの位置情報を計測する計測システム200(図7参照)、及び両ステージWST,MSTを駆動するステージ駆動系124(図7参照)等を備えている。計測システム200は、図7に示されるように、干渉計システム118、エンコーダシステム150、及び面位置計測システム180などを含む。
ウエハステージWST及び計測ステージMSTは、不図示の非接触軸受、例えばエアベアリングなどにより、数μm程度のクリアランスを介して、ベース盤12の上方に支持されている。また、両ステージWST,MSTは、リニアモータ等を含むステージ駆動系124(図7参照)によって、独立して駆動可能である。
ウエハステージWSTは、図1に示されるように、ステージ本体91と、該ステージ本体91上に搭載されたウエハテーブルWTBとを含む。ウエハテーブルWTB及びステージ本体91は、リニアモータ及びZ・レベリング機構(ボイスコイルモータなどを含む)を含む駆動系によって、ベース盤12に対し、6自由度方向(X,Y,Z,θx,θy,θz)に駆動可能に構成されている。
ウエハテーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダ(ウエハの載置領域)の外側には、図2(A)に示されるように、ウエハW(ウエハホルダ)よりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ矩形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28の表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている(撥液面が形成されている)。なお、プレート28は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と同一面となるようにウエハテーブルWTB上面に固定されている。
プレート28は、中央に上述の円形の開口が形成された矩形の外形(輪郭)を有する第1撥液領域(第1撥液板)28aと、その周囲に配置された矩形枠状(環状)の第2撥液領域(第2撥液板)28bと、を有する。
第1撥液板28aの+Y側の端部の切り欠きの内部に、表面がプレート28とほぼ同一面となる状態で計測プレート30が設けられている。この計測プレート30には、中央に基準マークFMが、それを挟むように一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLが、設けられている。そして、各空間像計測スリットパターンSLに対応して、それらを透過する照明光ILを、ウエハステージWST外部に導く送光系(不図示)が設けられている。
第2撥液板28bには、X軸方向の一側と他側(図2(A)における左右両側)の領域には、それぞれYスケール39Y1,39Y2が形成され、Y軸方向の一側と他側(図2(A)における上下両側)の領域には、Yスケール39Y1及び39Y2に挟まれた状態で、Xスケール39X1,39X2がそれぞれ形成されている。これらのスケール39Y1,39Y2及び39X1,39X2は、それぞれの長手方向に直交する方向に伸びる格子線38及び37が、所定ピッチで長手方向に配列された、長手方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。スケール39Y1,39Y2及び39X1,39X2は、後述するエンコーダシステムで用いられる。
なお、格子線37,38のピッチは、例えば1μmと設定される。図2(A)及びその他の図において、図示の便宜のため、格子のピッチは実際のピッチよりも大きく図示されている。
また、回折格子を保護するために、撥液性をそなえた低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板(カバーガラスとも呼ばれる)としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、そのガラス板の表面がウエハ面と同じ高さ(同一面)になるよう、ウエハテーブルWTB上面に設置される。
また、ウエハテーブルWTBの−Y端面,−X端面には、図2(A)に示されるように、後述する干渉計システムで用いられる反射面17a,反射面17bが形成されている。
計測ステージMSTは、図1に示されるように、不図示のリニアモータ等によってXY平面内で駆動されるステージ本体92と、ステージ本体92上に搭載された計測テーブルMTBとを含んでいる。計測ステージMSTは、不図示の駆動系によりベース盤12に対し、少なくとも3自由度方向(X,Y,θz)に駆動可能に構成されている。
なお、図7では、ウエハステージWSTの駆動系と計測ステージMSTの駆動系とを含んで、ステージ駆動系124として示されている。
計測テーブルMTB(及びステージ本体92)には、例えば、図2(B)に示されるように、照度むらセンサ94、空間像計測器96、波面収差計測器98、照度モニタ(不図示)などの各種計測用部材が設けられている。また、ステージ本体92には、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとがY軸方向に関して所定距離以内に近接(接触状態を含む)したとき、計測プレート30の各空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILを一対の送光系をそれぞれ介して受光する受光素子を有する一対の受光系(不図示)が設けられている。本実施形態では、各空間像計測スリットパターンSLと一対の送光系と一対の受光系とによって、空間像計測装置45(図7参照)が構成される。
また、計測テーブルMTBの+Y端面、−X端面には、干渉計用の反射面19a,19bが形成されている。
計測テーブルMTBの−Y側の面には、図2(B)に示されるように、X軸方向に延びるフィデューシャルバー(以下、「FDバー」と略述する)46が取り付けられている。FDバー46の長手方向の一側と他側の端部近傍には、センターラインCLに関して対称な配置で、Y軸方向を周期方向とする基準格子(例えば回折格子)52がそれぞれ形成されている。また、FDバー46の上面には、複数の基準マークMが形成されている。各基準マークMとしては、後述するアライメント系によって検出可能な寸法の2次元マークが用いられている。なお、FDバー46の表面及び計測テーブルMTBの表面も撥液膜で覆われている。
本実施形態の露光装置100では、図4及び図5に示されるように、投影光学系PLの光軸AXとプライマリアライメント系AL1の検出中心とを結ぶY軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、投影光学系PLの光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が設けられている。プライマリアライメント系AL1は、不図示のメインフレームの下面に固定されている。図5に示されるように、プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、可動式の支持部材を介してメインフレーム(不図示)の下面に固定されており、駆動機構601〜604(図7参照)を用いて、X軸方向に関してそれらの検出領域の相対位置が調整可能となっている。
本実施形態では、アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれとして、例えば画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれからの撮像信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される。
干渉計システム118は、図3に示されるように、反射面17a又は17bにそれぞれ干渉計ビーム(測長ビーム)を照射し、その反射光を受光して、ウエハステージWSTの位置を計測するY干渉計16、及び3つのX干渉計126〜128、並びに計測ステージMSTの位置を計測するY干渉計18、及びX干渉計130等を備えている。詳述すると、Y干渉計16は、基準軸LVに関して対称な一対の測長ビームB41,B42を含む少なくとも3つのY軸に平行な測長ビームを反射面17a、及び後述する移動鏡41に照射する。また、X干渉計126は、図3に示されるように、光軸AXと基準軸LVとに直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LH(図4参照)に関して対称な一対の測長ビームB51,B52を含む少なくとも3つのX軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計127は、アライメント系AL1の検出中心にて基準軸LVと直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LA(図4参照)を測長軸とする測長ビームB6を含む少なくとも2つのY軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計128は、Y軸に平行な測長ビームB7を反射面17bに照射する。
干渉計システム118の上記各干渉計からの位置情報は、主制御装置20に供給される。主制御装置20は、Y干渉計16及びX干渉計126又は127の計測結果に基づいて、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)のX,Y位置に加え、θx方向の回転情報(すなわちピッチング情報)、θy方向の回転情報(すなわちローリング情報)、及びθz方向の回転情報(すなわちヨーイング情報)も求めることができる。
また、図1に示されるように、ステージ本体91の−Y側の側面に、凹形状の反射面を有する移動鏡41が取り付けられている。移動鏡41は、図2(A)からわかるように、X軸方向の長さがウエハテーブルWTBの反射面17aよりも、長く設計されている。
移動鏡41に対向して、干渉計システム118(図7参照)の一部を構成する一対のZ干渉計43A,43Bが配置されている(図1及び図3参照)。Z干渉計43A,43Bは、移動鏡41を介して、例えば投影ユニットPUを支持するフレーム(不図示)に固定された固定鏡47A,47Bにそれぞれ2つの測長ビームB1,B2を照射する。そして、Z干渉計43A,43Bは、それぞれの反射光を受光して、測長ビームB1,B2の光路長を計測する。その結果より、主制御装置20は、ウエハステージWSTの4自由度(Y,Z,θy,θz)方向の位置を算出する。
本実施形態では、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、主として、後述するエンコーダシステム150を用いて計測される。干渉計システム118は、ウエハステージWSTがエンコーダシステム150の計測領域外(例えば、アンローディングポジション又はローディングポジション付近)に位置する際に、使用される。また、干渉計システム118は、エンコーダシステム150の計測結果の長期的変動(例えばスケールの経時的な変形などによる)を補正(較正)する場合などに補助的に使用される。勿論、干渉計システム118とエンコーダシステム150とを併用して、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)の全位置情報を計測することとしても良い。
干渉計システム118のY干渉計18、及びX干渉計130は、図3に示されるように、反射面19a,19bに、干渉計ビーム(測長ビーム)を照射して、それぞれの反射光を受光することにより、計測ステージMSTの位置情報(例えば、少なくともX軸及びY軸方向の位置情報とθz方向の回転情報とを含む)を計測し、その計測結果を、主制御装置20に供給する。
本実施形態の露光装置100には、干渉計システム118とは独立に、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を計測するためのエンコーダシステム150(図7参照)を構成する複数のヘッドユニットが設けられている。
図4に示されるように、ノズルユニット32の+X側、+Y側、−X側、及びプライマリアライメント系AL1の−Y側に、4つのヘッドユニット62A、62B、62C、及び62Dが、それぞれ配置されている。また、図5に示されるように、アライメント系AL1、AL21〜AL24のX軸方向の両外側にヘッドユニット62E、62Fが、それぞれ配置されている。これらのヘッドユニット62A〜62Fは、支持部材を介して、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)に吊り下げ状態で固定されている。
ヘッドユニット62A、62Cは、図5に示されるように、X軸方向に関して間隔WDで配置された複数のYヘッド65(651〜655)、Yヘッド64(641〜645)を、それぞれ備えている。ここで、Yヘッド652〜655及びYヘッド641〜644は、基準軸LH上に間隔WDで配置され、Yヘッド651及びYヘッド645は、ノズルユニット32の−Y側の位置に配置されている。なお、Yヘッド651〜655とYヘッド645〜641は、基準軸LVに関して対称に配置されている。
ヘッドユニット62A,62Cは、それぞれ、Yスケール39Y1、39Y2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼のYリニアエンコーダ70A,70C(図7参照)を構成する。なお、以下では、Yリニアエンコーダを、適宜、「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する。
ヘッドユニット62B、62Dは、図5に示されるように、基準軸LV上に間隔WDで配置された複数のXヘッド66(666〜669)、66(661〜665)を、それぞれ備えている。
ヘッドユニット62B、62Dは、Xスケール39X1、39X2をそれぞれ用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX軸方向の位置(X位置)を計測する、多眼のXリニアエンコーダ70B、70D(図7参照)を構成する。なお、以下では、Xリニアエンコーダを、適宜、「Xエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する。
ここで、ヘッドユニット62A,62Cがそれぞれ備える5個のYヘッド65,64(より正確には、Yヘッド65,64が発する計測ビーム(以下、適宜、計測光とも呼ぶ)のスケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、露光の際などに、少なくとも1つのヘッドが、常に、対応するYスケール39Y1,39Y2に対向する(計測ビームを照射する)ように、格子線38の長さより僅かに狭く設定されている。同様に、ヘッドユニット62B,62Dがそれぞれ備える隣接するXヘッド66(より正確には、Xヘッド66が発する計測ビームのスケール上の照射点)のY軸方向の間隔WDは、露光の際などに、少なくとも1つのヘッドが、常に、対応するXスケール39X又は39X2に対向する(計測ビームを照射する)ように、格子線37の長さよりも狭く設定されている。
なお、ヘッドユニット62Bの最も−Y側のXヘッド666とヘッドユニット62Dの最も+Y側のXヘッド665との間隔は、ウエハステージWSTのY軸方向の移動により、その2つのXヘッド間で切り換え(つなぎ)が可能となるように、ウエハテーブルWTBのY軸方向の幅よりも狭く設定されている。
ヘッドユニット62E、62Fは、図5に示されるように、X軸方向に関して間隔WDで配置された複数のYヘッド67(671〜674)、68(681〜684)を、それぞれ備えている。ここで、Yヘッド671〜673、及び682〜644は、セカンダリアライメント系AL21の−X側、+X側に、基準軸LA上に間隔WDとほぼ同一間隔で配置されている。Yヘッド674、681は、セカンダリアライメント系AL21の+Y側、セカンダリアライメント系AL24の+Y側に、それぞれ、配置されている。
アライメント計測の際には、少なくとも各1つのYヘッド67,68が、それぞれYスケール39Y2,39Y1に対向する。このYヘッド67,68(すなわち、これらYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダ70E,70F)によってウエハステージWSTのY位置(及びθz回転)が計測される。
また、本実施形態では、セカンダリアライメント系のベースライン計測時などに、セカンダリアライメント系AL21,AL24にX軸方向で隣接するYヘッド673,682が、FDバー46の一対の基準格子52とそれぞれ対向し、その一対の基準格子52と対向するYヘッド673,682によって、FDバー46のY位置が、それぞれの基準格子52の位置で計測される。以下では、一対の基準格子52にそれぞれ対向するYヘッド673,682によって構成されるエンコーダをYリニアエンコーダ(適宜、「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」とも略述する)70E2,70F2(図7参照)と呼ぶ。また、識別のため、Yスケール39Y2,39Y1に対向するYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダを、Yエンコーダ70E1、70F1と呼ぶ。
上述したエンコーダ70A〜70Fの計測値は、主制御装置20に供給され、主制御装置20は、エンコーダ70A〜70Dのうちの3つ、又はエンコーダ70E1,70F1,70B及び70Dのうちの3つの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBのXY平面内の位置を制御するとともに、エンコーダ70E2,70F2の計測値に基づいて、FDバー46(計測ステージMST)のθz方向の回転を制御する。
本実施形態の露光装置100には、図4及び図6に示されるように、ウエハステージWSTに載置されるウエハWの全面の面位置を計測するための、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)(90a,90b)が設けられている。多点AF系(90a,90b)の複数の検出点は、被検面上でX軸方向に沿って所定間隔で配置される。図4及び図6では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点が、個別に図示されず、照射系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域(ビーム領域)AFとして示されている。
また、図6に示されるように、多点AF系(90a,90b)の検出領域AFの両端部近傍に、基準軸LVに関して対称な配置で、各一対のZ位置計測用の面位置センサのヘッド(以下、「Zヘッド」と略述する)72a,72b、及び72c,72dが設けられている。
さらに、前述のヘッドユニット62A,62Cは、図6に示されるように、それぞれが備える5つのYヘッド65j,64i(i,j=1〜5)と同じX位置に、ただしY位置をずらして、それぞれ5つのZヘッド76j,74i(i,j=1〜5)を備えている。
従って、それぞれ5個のZヘッド76,74のうち、少なくとも1つのヘッドが、例えば露光時などには常に、対応するYスケール39Y1,39Y2に対向する(計測光(以下、適宜、計測ビームとも呼ぶ)を照射する)。
Zヘッド72a〜72d、76j,74iとしては、例えば、CDドライブ装置などで用いられる光ピックアップと同様の光学式変位センサのヘッドが用いられる。Zヘッド72a〜72d、76j,74iは、ウエハテーブルWTBに対し上方から計測ビームを照射し、その反射光を受光して、照射点におけるウエハテーブルWTBの面位置を計測する。なお、本実施形態では、Zヘッドの計測ビームは、前述のYスケール39Y1,39Y2(反射型回折格子)によって反射される構成を採用している。
上述したZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765は、図7に示されるように、信号処理・選択装置170を介して主制御装置20に接続されている。主制御装置20は、信号処理・選択装置170を介してZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765の中から任意のZヘッドを選択して作動状態とし、その作動状態としたZヘッドで検出した面位置情報を信号処理・選択装置170を介して受け取る。本実施形態では、Zヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765と、信号処理・選択装置170とを含んでウエハステージWSTのZ軸方向及びXY平面に対する傾斜方向の位置情報を計測する面位置計測システム180が構成されている。
図7には、露光装置100の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。なお、図7においては、前述した照度むらセンサ94、空間像計測器96、及び波面収差計測器98など、計測ステージMSTに設けられた各種センサが、纏めてセンサ群99として示されている。
本実施形態では、主制御装置20は、エンコーダシステム150(図7参照)を用いることにより、ウエハステージWSTの有効ストローク領域、すなわちアライメント及び露光動作のためにウエハステージWSTが移動する領域において、その3自由度(X,Y,θz)方向の位置座標を計測する。
本実施形態では、上述した各エンコーダヘッドとして、例えば、国際公開第2007/097379号パンフレットに開示されている干渉型のエンコーダヘッドが用いられている。この種のエンコーダヘッドでは、2つの計測光を対応するスケールに照射し、それぞれの戻り光を1つの干渉光に合成して受光し、その干渉光の強度を光検出器を用いて計測する。ここで、スケールが計測方向(回折格子の周期方向)に変位すると、干渉光の強度IがI(φ)∝1+cos(φ)と変化する。ただし、2つの計測光の位相差をφと表記した。また、2つの計測光の強度を互いに等しいと仮定した。
位相差(特に断らない限り位相と呼ぶ)φは、理想状態において、計測方向(X軸方向とする)についてのヘッドとスケール間の相対変位ΔXに対し、次式(1)のように変化する。
φ(ΔX)=2πΔX/(p/4n)+φ0 …(1)
ここで、pはスケールが有する回折格子のピッチ、nは回折次数(例えばn=1)、φ0は境界条件(例えば変位ΔXの基準位置の定義など)より定まる定位相項である。
ここで、pはスケールが有する回折格子のピッチ、nは回折次数(例えばn=1)、φ0は境界条件(例えば変位ΔXの基準位置の定義など)より定まる定位相項である。
式(1)より、位相φは計測光の波長λに依存しないことがわかる。そして、干渉光の強度Iは、変位ΔXが計測単位(計測ピッチとも呼ぶ)p/4n増加あるいは減少する毎に、強弱を繰り返すことがわかる。そこで、予め定められた基準位置からの変位ΔXに伴う干渉光の強度の強弱の回数を計測する。その計数値(カウント値)をcΔXと表記する。計数値cΔXはint(φ/2π)に相当する。さらに、干渉光の正弦的な強度変化を、内挿器(インターポレータ)を用いて分割することにより、干渉光の強度I(φ)の位相φ’(=φ%2π)を計測する。
各エンコーダヘッドから、上記のカウント値cΔXと位相φ’が、計測結果として出力される。これらの計測結果より、変位ΔXの計測値CΔXは、次式(2)のように求められる。
CΔX=(p/4n)×〔cΔX+(φ’−φ0)/2π〕 …(2)
ここで、定位相項φ0を位相オフセット(ただし、0≦φ0<2πと定義する)とし、変位ΔXの基準位置での位相φ(ΔX=0)を保持することとする。
ここで、定位相項φ0を位相オフセット(ただし、0≦φ0<2πと定義する)とし、変位ΔXの基準位置での位相φ(ΔX=0)を保持することとする。
前述のようなエンコーダヘッドの配置を採用したことにより、ウエハステージWSTが前述の有効ストローク領域にあるときには常時、Xスケール39X1又は39X2に少なくとも1つのXヘッド66が、Yスケール39Y1に少なくとも1つのYヘッド65(又は68)が、Yスケール39Y2に少なくとも1つのYヘッド64(又は67)が、それぞれ対向する。スケールに対向しているエンコーダヘッドは、ヘッドの位置(より正確には計測ビームの照射点の位置)を基準とする、それぞれの計測方向についてのウエハステージWSTの位置(より正確には計測ビームを照射するスケールの位置)を計測する。その計測結果は、上述のエンコーダ70A,70B,70C,70D,70E1,70F1の計測結果として、主制御装置20に供給される。
主制御装置20は、エンコーダ70A、70C、及び70B又は70D、又はエンコーダ70E1、70F1、及び70B又は70Dの計測結果に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出する。ここで、Xヘッド66,Yヘッド65(又は68),64(又は67)の計測値(それぞれCX,CY1,CY2と表記する)は、ウエハステージWSTの位置(X,Y,θz)に対して、次式(3)〜(5)のように依存する。
CX= (pX−X)cosθz+(qX−Y)sinθz …(3)
CY1=−(pY1−X)sinθz+(qY1−Y)cosθz …(4)
CY2=−(pY2−X)sinθz+(qY2−Y)cosθz …(5)
ただし、(pX,qX),(pY1,qY1),(pY2,qY2)は、それぞれXヘッド66,Yヘッド65(又は68),Yヘッド64(又は67)のX,Y設置位置(より正確には計測光の照射点のX,Y位置)である。そこで、主制御装置20は、3つのヘッドの計測値CX,CY1,CY2を連立方程式(3)〜(5)に代入し、それらを解くことにより、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出する。また、主制御装置20は、算出結果に従って、ウエハステージWSTを駆動制御する。
CY1=−(pY1−X)sinθz+(qY1−Y)cosθz …(4)
CY2=−(pY2−X)sinθz+(qY2−Y)cosθz …(5)
ただし、(pX,qX),(pY1,qY1),(pY2,qY2)は、それぞれXヘッド66,Yヘッド65(又は68),Yヘッド64(又は67)のX,Y設置位置(より正確には計測光の照射点のX,Y位置)である。そこで、主制御装置20は、3つのヘッドの計測値CX,CY1,CY2を連立方程式(3)〜(5)に代入し、それらを解くことにより、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出する。また、主制御装置20は、算出結果に従って、ウエハステージWSTを駆動制御する。
また、主制御装置20は、リニアエンコーダ70E2,70F2の計測値に基づいて、FDバー46(計測ステージMST)のθz方向の回転を制御する。ここで、リニアエンコーダ70E2,70F2の計測値(それぞれCY1,CY2と表記する)は、FDバー46の(X,Y,θz)位置に対し、式(4)(5)のように依存する。従って、FDバー46のθz位置は、計測値CY1,CY2より、次式(6)のように求められる。
sinθz=−(CY1−CY2)/(pY1−pY2) …(6)
ただし、簡単のため、qY1=qY2を仮定した。
ただし、簡単のため、qY1=qY2を仮定した。
本実施形態では、前述したエンコーダヘッドの配置により、ウエハステージWSTの移動に伴い、スケールに対向するヘッドが、順次、隣接ヘッドと入れ換わる。そこで、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置を算出するために計測値を監視するエンコーダヘッドを、ウエハステージWSTの移動に従って、順次、隣接ヘッドに切り換える。
例えば、図8(A)に示されるように、ウエハステージWSTが+X方向に移動したとする。この場合、矢印e1で示されるように、ウエハステージWSTのY位置を計測するYヘッド64が、Yヘッド642からYヘッド643へと、切り換えられる。また、図8(B)に示されるように、ウエハステージWSTが+Y方向に移動したとする。この場合、矢印e2で示されるように、ウエハステージWSTのX位置を計測するXヘッド66が、Xヘッド666からXヘッド667へと、切り換えられる。このように、Yヘッド64(及び65)は、ウエハステージWSTのX軸方向への移動に伴い、順次、隣のヘッドに切り換えられる。また、Xヘッド66も、ウエハステージWSTのY軸方向への移動に伴い、順次、隣のヘッドに切り換えられる。
なお、エンコーダでは相対変位が検出されるので、絶対変位(すなわち位置)を算出するために、基準位置(位置計測の基準点)を定めなくてはならない。そこで、ヘッドの切り換え時には、切り換え後に使用されるヘッドによる位置計測の基準点(計測値の原点)がリセットされる。このヘッドの切り換え時に行う基準点のリセット処理を、つなぎ処理と呼ぶ。
次に、エンコーダヘッドの切り換え時に実行するつなぎ処理について、主制御装置20の動作を中心に、説明する。
本実施形態では、前述の如く、ウエハステージWSTの移動範囲内では、常に3つのエンコーダ(Xヘッド及び2つのYヘッド)がステージWSTの位置を監視する。これら3つのエンコーダ(ヘッド)を、それぞれEhX,EhY1,EhY2と表記する。従って、ヘッドの切り換え時には、上記3つのエンコーダヘッドに切り換え後に使用される4つめのエンコーダヘッドを加えた、4つのエンコーダヘッドがウエハステージWSTの位置を監視することになる。ここで、一例として、図8(A)に示される、Yヘッド642から隣のYヘッド643への切り換えについて説明する。ただし、Xヘッド666をEhX、Yヘッド652をEhY1、Yヘッド642をEhY2、Yヘッド643をEhY2’、と表記する。
前述の通り、ウエハステージWSTの(X,Y,θz)位置を算出するためには、少なくとも3つのヘッドの計測値が必要となる。従って、ヘッドの切り換え処理では、3つのヘッドEhX,EhY1,EhY2を用いる位置計測から、別のヘッドEhY2’を含む3つのヘッドEhX,EhY1,EhY2’を用いる位置計測へと、切り換えられる。すなわち、あるヘッドEhY2を別のヘッドEhY2’に切り換えるのではなく、3つのヘッドの組み合わせから別の3つのヘッドの組み合わせに切り換えるものである。
その際、主制御装置20は、まず、エンコーダEhX,EhY1,EhY2の計測値CX,CY1,CY2を用いて連立方程式(3)〜(5)を解き、ウエハステージWSTの(X,Y,θz)位置を算出する。次に、ここで算出された(X,Y,θz)位置を用いて、新たに使用するYヘッドEhY2’の計測値が従う理論式(7)より、予測値CY2’を求める。
CY2’=−(pY2’−X)sinθz+(qY2’−Y)cosθz …(7)
ここで、pY2’,qY2’は、YヘッドEhY2’の計測点のX、Y位置である。そして、予測値CY2’をYヘッドEhY2’の計測値として設定する。
ここで、pY2’,qY2’は、YヘッドEhY2’の計測点のX、Y位置である。そして、予測値CY2’をYヘッドEhY2’の計測値として設定する。
計測値の設定において、位相つなぎ法を適用する。YヘッドEhY2’の計測値CY2’は、式(2)と同様に、カウント値cY2’と位相φ’を用いて、次式(8)のように与えられる。
CY2’=(p/4n)×〔cY2’+(φ’−φ0)/2π〕 …(8)
ただし、定位相項φ0(0≦φ0<2π)は、YヘッドEhY2’に対して設定されている位相オフセットである。ここで、予測値CY2’を、計測単位δ(=p/4n)の離散値に変換し、カウント値cY2’として設定する。
ただし、定位相項φ0(0≦φ0<2π)は、YヘッドEhY2’に対して設定されている位相オフセットである。ここで、予測値CY2’を、計測単位δ(=p/4n)の離散値に変換し、カウント値cY2’として設定する。
以上のつなぎ処理により、ウエハステージWSTの位置計測の結果(X,Y,θz)を(計測単位δレベルにおいて)維持したまま、ヘッドの切り換え処理が完了する。ヘッドの切り換え処理の完了後には、主制御装置20は、切り換え後に使用する3つのヘッドEhX,EhY1,EhY2’の計測値CX,CY1,CY2’を用いて、連立方程式(3)、(4)、(7)を解き、ウエハステージWSTの(X,Y,θz)位置を算出する。そして、主制御装置20は、その算出結果に基づいて、ウエハステージWSTを駆動制御する。
なお、図8(B)に示される、Xヘッド666(EhXと表記する)から隣のXヘッド667(EhX’と表記する)へのXヘッド間の切り換えの場合、主制御装置20は、次の理論式(9)を用いてXヘッドEhX’の計測値CX’を予測する。
CX’= (pX’−X)cosθz+(qX’−Y)sinθz …(9)
ここで、pX’,qX’は、XヘッドEhX’の計測点のX、Y位置である。そして、主制御装置20は、予測値CX’をXヘッドEhX’の計測値として設定する。ここで、先と同様に、位相つなぎ法を適用する。XヘッドEhX’の計測値CX’は、式(2)と同様に、カウント値cX’と位相φ’を用いて与えられるので、予測値CX’を計測単位δ(=p/4n)の離散値に変換し、カウント値cX’として設定する。以降、主制御装置20は、切り換え後に使用する3つのヘッドEhX’,EhY1,EhY2の計測値CX’,CY1,CY2を用いて、連立方程式(9)、(4)、(5)を解いて、ウエハステージWSTの(X,Y,θz)位置を算出する。そして、主制御装置20は、その結果に基づいて、ウエハステージWSTを駆動制御する。
ここで、pX’,qX’は、XヘッドEhX’の計測点のX、Y位置である。そして、主制御装置20は、予測値CX’をXヘッドEhX’の計測値として設定する。ここで、先と同様に、位相つなぎ法を適用する。XヘッドEhX’の計測値CX’は、式(2)と同様に、カウント値cX’と位相φ’を用いて与えられるので、予測値CX’を計測単位δ(=p/4n)の離散値に変換し、カウント値cX’として設定する。以降、主制御装置20は、切り換え後に使用する3つのヘッドEhX’,EhY1,EhY2の計測値CX’,CY1,CY2を用いて、連立方程式(9)、(4)、(5)を解いて、ウエハステージWSTの(X,Y,θz)位置を算出する。そして、主制御装置20は、その結果に基づいて、ウエハステージWSTを駆動制御する。
本実施形態の露光装置100では、特に、高い計測精度(〜0.1nm)が要求される。この計測精度に対し、エンコーダヘッドの設置位置のずれが、必ずしも無視できないレベルの計測誤差を発生し得る。また、エンコーダヘッドを設計位置に、長期にわたって安定して固定することも困難である。そこで、本実施形態では、主制御装置20が、エンコーダヘッドの設置位置のずれに起因するエンコーダシステム150の計測誤差を補正するための較正情報を収集・作成し、それを用いてエンコーダシステム150の計測誤差を補正して、ウエハステージWSTの位置計測精度を保障している。以下、これについて説明する。
前述のエンコーダヘッドの切り換え時に実行するつなぎ処理(位相つなぎ)と並行して、次のようにエンコーダヘッドの設置位置のずれを較正するための較正データを収集する。先と同様に、図8(A)に示されるYヘッド642から隣のYヘッド643への切り換えを例に考える。ただし、Xヘッド666をEhX、Yヘッド652をEhY1、Yヘッド642をEhY2、Yヘッド643をEhY2’、と表記する。
主制御装置20は、先に説明したつなぎ処理に従って、切り換え前に使用している3つのヘッドEhX,EhY1,EhY2の計測値CX,CY1,CY2から、連立方程式(3)〜(5)を介して、ウエハステージWSTの(X,Y,θz)位置を算出する。また、主制御装置20は、算出された(X,Y,θz)位置から、式(7)を介して、新たに使用するYヘッドEhY2’の計測値CY2’を予測する。また、主制御装置20は、先に説明した位相つなぎ法に従って、予測値CY2’を計測単位δ(=p/4n)の離散値に変換し、カウント値cY2’として設定する。主制御装置20は、そのカウント値の設定と並行して、離散値δ×cY2’と微小量dCY2’の和δ×cY2’+dCY2’を、式(7)の左辺に代入し、連立方程式(3)、(4)、(7)を解いて、ウエハステージWSTの位置を逆算する。ただし、計測値CX,CY1は、先と共通である。ここで求まる位置(X’,Y’,θz’)が、先に求められた位置(X,Y,θz)に一致するように、主制御装置20は、微小量dCY2’を決定する。そして、主制御装置20は、式(8)内の位相項(δ/2π)・(φ’−φ0)が微小量dCY2’に一致するように、位相オフセットφ0を求める。すなわち、主制御装置20は、φ0=φ’−2πdCY2’/δの演算を行う。なお、微小量dCY2’は、ヘッドの設置位置のずれなどにより、CY2’をδで除した剰余と異なり得る。
そして、主制御装置20は、求められた位相オフセットφ0を較正データとして、切り換え前に使用していたYヘッドEhY2が対応するスケール39Y2から外れ、ウエハステージWSTの位置計測に使用する3つのヘッドをヘッドEhX,EhY1,EhY2からヘッドEhX,EhY1,EhY2’へ切り換えるまでの間、収集する。
ここで、切り換え対象のヘッドも含め、ウエハステージWSTの位置を計測するために使用している4つのヘッドの計測精度が十分保証されているとする。この条件の下で求められた位相オフセットφ0には、切り換え対象の2つのヘッド間の位置関係、すなわち切り換えられるYヘッドEhY2の設置位置を基準とする新規ヘッドEhY2’の設置位置の相対関係、が取り込まれる。従って、収集された位相オフセットφ0を用いることにより、エンコーダヘッドの設置位置を、直接計測することなく、較正することができる。
主制御装置20は、上述の較正データ(位相オフセットφ0)の収集を、通常のシーケンスの実行中、例えば、露光動作、アライメント計測等を実行している際に、すべてのエンコーダヘッドについて、ヘッドの切り換え(つなぎ処理)が発生する毎に、実行する。露光動作中に較正データを収集する場合、露光動作中に使用されるXヘッド66及びYヘッド65,64に対する較正データが収集される。例えば、図8(A)に示されるYヘッド642からYヘッド643への切り換え時には、Yヘッド643に対する較正データが収集される。図8(B)に示されるXヘッド666からXヘッド667への切り換え時には、Xヘッド667に対する較正データが収集される。また、アライメント計測中に較正データを収集する場合、アライメント計測中に使用されるXヘッド66及びYヘッド68,67に対する較正データが収集される。
なお、主制御装置20は、実際の露光動作中に限らず、露光動作中にウエハステージWSTが移動する領域内をウエハステージWSTが移動する際に、較正データを収集しても良い。また、主制御装置20は、実際のアライメント計測中に限らず、アライメント計測中にウエハステージWSTが移動する領域内をウエハステージWSTが移動する際に、較正データを収集しても良い。
また、主制御装置20は、エンコーダヘッドの設置位置を正確に較正するために、較正データを選別して収集する。例えば、主制御装置20は、ウエハステージWSTの加速度が所定の許容範囲を超えた場合には、較正データの収集を中断する。これは、ウエハステージWSTの加速に伴ってスケールが歪み、それによってエンコーダの計測誤差が発生するからである。従って、主制御装置20は、ウエハステージWSTが等速度で移動している又は停止している際に、集中して較正データを収集することとしても良い。
また、主制御装置20は、ウエハステージWSTの速度が所定の許容範囲を超えた場合にも、較正データの収集を中断することとしても良い。ウエハステージWSTの速度に応じてエンコーダヘッドの計測誤差が拡大することも考えられるからである。また、主制御装置20は、ウエハステージWSTが基準姿勢(θx=θy=0)を維持している場合にのみ、較正データの収集を実行することが望ましい。
主制御装置20により、上述の手順に従って収集された較正データ(位相オフセットφ0)を用いて、エンコーダシステム150を構成するヘッド66,65,64,68,67のそれぞれについて設定されている位相オフセットφ0が更新されることで、個々のヘッドの設置位置のずれが較正される。ここで、選別して収集された較正データには、殆ど無秩序に発生した誤差のみが含まれる。そこで、主制御装置20は、各ヘッドについて収集された較正データを平均し、それを用いて位相オフセットφ0を更新し、以降、更新された位相オフセットφ0と式(2)又は式(8)を用いて、各ヘッドからの出力、すなわちカウント値cΔXと位相φ’より、変位ΔX又はΔYを求める。そして、主制御装置20は、変位ΔX又はΔYを用いてウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出し、算出された位置に従って、ウエハステージWSTを駆動制御する。
なお、露光装置の稼働中に、エンコーダヘッドの設置位置がずれることも考えられる。そこで、主制御装置20は、例えば、所定数(例えば1、あるいは25枚(1ロット))のウエハの露光が終了し、最後のウエハを交換する毎に、上述の手順に従って位相オフセットを更新することとしても良い。さらに、主制御装置20は、位相オフセットを更新する際、収集してから一定時間内の較正データのみを用いることとしても良い。この場合、主制御装置20は、収集された較正データの分散が一定の範囲内に収まる(すなわち収集された較正データを平均して求められる位相オフセットに含まれる誤差が一定の範囲内に収まる)場合にのみ、位相オフセットを更新する。このように、適宜、較正情報を更新することにより、エンコーダシステム150の計測誤差、さらに時間とともに拡大するような計測誤差でさえも、解消することができる。従って、高精度且つ安定なウエハステージWSTの駆動制御が可能となる。
次に、本実施形態の露光装置100で行われるXエンコーダ70B,70Dの較正方法について説明する。
本実施形態の露光装置100では、ウエハステージWSTのY軸方向の移動ストロークが長いため、投影光学系PLとアライメント系AL1を挟んで、それらの+Y側に4つのXヘッド666〜669からなるヘッドユニット62Bを、−Y側に5つのXヘッド661〜665からなるヘッドユニット62Dを、配置した。そして、主制御装置20は、ウエハステージWSTが移動ストローク領域の+Y側半部に位置する際には、Xスケール39X1に対向する(計測ビームを照射する)ヘッドを有するヘッドユニット62B(Xエンコーダ70B)を用いて、ウエハステージWSTのX位置を計測する。一方、主制御装置20は、ウエハステージWSTが移動ストローク領域の−Y側半部に位置する際には、Xスケール39X2に対向する(計測ビームを照射する)ヘッドを有するヘッドユニット62D(Xエンコーダ70D)を用いて、ウエハステージWSTのX位置を計測する。
すなわち、Xエンコーダ70B,70Dは、主制御装置20により、有効ストローク領域内でのウエハステージWSTのY位置に応じて切り換えて使用される。例えば、図9に示されるように、ウエハステージWSTが、Xエンコーダ70Bを構成するXヘッド666がXスケール39X1に対向する位置から−Y方向に移動すると、Xヘッド666がXスケール39X1から外れ、Xエンコーダ70Dを構成するXヘッド665がXスケール39X2に対向するようになる。このとき、主制御装置20により、Xエンコーダ70Bから70Dへの切り換えが行われる。なお、この切り換えは、互いに異なるスケールを走査するXヘッド666から665への切り換えと見なすこともできる。
Xエンコーダ70B,70Dは、ともにウエハステージWSTのX位置を計測するために設けられている。そのため、図9に示されるXヘッド666,665の間の切り換え時の様に、Xヘッド666,665が、同時に、それぞれXスケール39X1,39X2を走査する際には、互いに等しい計測値を提示しなくてはならない。しかし、両ヘッド666,665の離間距離は、同じヘッドユニットに属する隣接ヘッドの離間距離の数倍である。従って、両ヘッド666,665の設置位置のずれは、特に大きな計測誤差を発生する恐れがある。そこで、主制御装置20は、Xヘッド666,665に対して較正データを収集するに際し、次のように較正データを選別収集することとする。
図9に示されるXヘッド66とXスケール39X1,39X2とウエハWとの配置よりわかるように、Xヘッド666がXスケール39X1に対向すると同時にXヘッド665がXスケール39X2に対向する位置にウエハステージWSTが位置する際に、ウエハW上にマトリクス状に配列された複数のショット領域のうち、所定の1行(又は2行)に含まれ、X軸方向に並ぶ複数のショット領域が液浸領域14内に進入し得る。そこで、主制御装置20は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中、その1行(又は2行)に含まれる複数のショット領域に対する走査露光と並行して、Xヘッド666,665に対する較正データの収集を実行する。この露光動作では、両ヘッド666,665が同時に対応するXスケールに対向し、さらにウエハステージWSTは走査方向(Y軸方向)に繰り返し移動するため、両ヘッド666,665間の切り換えが頻繁に発生する。さらに、走査露光中にはウエハステージWSTは等速度で駆動される。従って、良質の較正データを収集することができる。
本実施形態では、主制御装置20は、面位置計測システム180(図7参照)を用いて、ウエハステージWSTの有効ストローク領域において、その2自由度方向(Z,θy)の位置座標をも計測する。
主制御装置20は、露光時には面位置計測システム180を構成する各1つのZヘッド74i,76j(i,jは1〜5のいずれか)を用いて、ウエハステージWSTの高さZと傾斜(ローリング)θyを計測する。また、主制御装置20は、フォーカスマッピング、すなわちZヘッド72a〜72dの計測値を基準とする、ウエハWの面位置(Z位置)情報の計測を行うときなどには、4つのZヘッド72a〜72dを用いて、ウエハステージWSTの高さZと傾斜(ローリング)θyを計測する。
主制御装置20は、露光時には、少なくとも各1つのZヘッド74i,76j(i,jは1〜5のいずれか)の計測値に基づいて、ウエハテーブルWTB上面の基準点(ウエハテーブルWTB上面と光軸AXとの交点)における、ウエハステージWSTの高さZ0とローリングθyを算出する。ここで、Zヘッド74i,76j(i,jは1〜5のいずれか)の計測値(それぞれZL,ZRと表記する)は、ウエハステージWSTの(Z0,θx,θy)位置に対して、次式(10),(11)のように依存する。
ZL=−tanθy・pL+tanθx・qL+Z0 …(10)
ZR=−tanθy・pR+tanθx・qR+Z0 …(11)
ただし、計側面(Yスケール39Y1,39Y2)を含めウエハテーブルWTBの上面は、理想的な平面だとする。なお、(pL,qL),(pR,qR)は、それぞれZヘッド74i,76jのX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。式(10)(11)より、次式(12)(13)が導かれる。
ZR=−tanθy・pR+tanθx・qR+Z0 …(11)
ただし、計側面(Yスケール39Y1,39Y2)を含めウエハテーブルWTBの上面は、理想的な平面だとする。なお、(pL,qL),(pR,qR)は、それぞれZヘッド74i,76jのX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。式(10)(11)より、次式(12)(13)が導かれる。
Z0=〔ZL+ZR−tanθx・(qL+qR)〕/2 …(12)
tanθy=〔ZL−ZR−tanθx・(qL−qR)〕/(pR−pL) …(13)
従って、主制御装置20は、Zヘッド74i,76jの計測値ZL,ZRを用いて、式(12)(13)より、ウエハステージWSTの高さZ0とローリングθyを算出する。ただし、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
tanθy=〔ZL−ZR−tanθx・(qL−qR)〕/(pR−pL) …(13)
従って、主制御装置20は、Zヘッド74i,76jの計測値ZL,ZRを用いて、式(12)(13)より、ウエハステージWSTの高さZ0とローリングθyを算出する。ただし、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
主制御装置20は、例えばフォーカスマッピング時(及びフォーカスキャリブレーション時)には、4つのZヘッド72a〜72dの計測値(それぞれZa,Zb,Zc,Zdと表記する)に基づいて、多点AF系(90a,90b)の複数の検出点の中心(X,Y)=(Ox’,Oy’)におけるウエハテーブルWTBの高さZ0とローリングθyを、次式(14)(15)より、算出する。
Z0=(Za+Zb+Zc+Zd)/4 …(14)
tanθy=−(Za+Zb−Zc−Zd)/(pa+pb−pc−pd) …(15)
ここで、(pa,qa),(pb,qb),(pc,qc),(pd,qd)はそれぞれZヘッド72a〜72dのX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。ただし、pa=pb,pc=pd,qa=qc,qb=qd,(pa+pc)/2=(pb+pd)/2=Ox’,(qa+qb)/2=(qc+qd)/2=Oy’とする。なお、先と同様に、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
tanθy=−(Za+Zb−Zc−Zd)/(pa+pb−pc−pd) …(15)
ここで、(pa,qa),(pb,qb),(pc,qc),(pd,qd)はそれぞれZヘッド72a〜72dのX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。ただし、pa=pb,pc=pd,qa=qc,qb=qd,(pa+pc)/2=(pb+pd)/2=Ox’,(qa+qb)/2=(qc+qd)/2=Oy’とする。なお、先と同様に、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
次に、Zヘッドの切り換え手順について説明する。主制御装置20は、スケールに対向している少なくとも各1つのZヘッド74i,76jの計測値を用いて、ウエハステージWSTの(Z0,θy)位置を算出する。図6に示されるZヘッド74i,76j(i,j=1〜5)の配置から明らかなように、ウエハステージWSTの移動に伴い、スケールに対向するZヘッドが、順次、隣接ヘッドと入れ換わる。そこで、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置を算出するために計測値を監視するZヘッドを、ウエハステージWSTの移動に従って、順次、隣接ヘッドに切り換える。
例えば、図8(A)に示されるように、ウエハステージWSTが+X方向に移動したとする。この場合、前述の如く、Yヘッド64が、Yヘッド642からYヘッド643へと、切り換えられるのと同時に、図8(A)中に矢印fで示されるように、Zヘッド74が、Zヘッド742からZヘッド743へと、切り換えられる。
本実施形態の露光装置100において要求される計測精度に対し、Zヘッドの設置位置のずれが、必ずしも無視できないレベルの計測誤差を発生し得る。また、Zヘッドを設計位置に、長期にわたって安定して固定することも困難である。そこで、主制御装置20は、Zヘッドの設置位置のずれに起因する面位置計測システム180の計測誤差を補正するための較正情報を収集・作成し、それを用いて面位置計測システム180の計測誤差を補正して、ウエハステージWSTの位置計測精度を保障することとしている。
主制御装置20は、前述のZヘッドの切り換えと並行して、次のようにZヘッドの設置位置のずれを較正するための較正データを収集する。ここで、先と同様に、図8(A)に示される、Zヘッド742から隣のZヘッド743への切り換えを例に考える。ここでは、Zヘッド762をZh1、Zヘッド742をZh2、Zヘッド743をZh2’、と表記する。
本実施形態では、前述の如く、ウエハステージWSTの移動範囲内では、常に2つのZヘッド76,74(Zh1,Zh2)がステージWSTの位置を監視する。従って、Zヘッドの切り換え時には、切り換え後に使用される3つめのZヘッド(Zh2’)を加えた、3つのZヘッドがステージWSTの位置を監視することになる。
ウエハステージWSTの(Z0,θy)位置を算出するためには、少なくとも2つのZヘッドの計測値が必要となる。従って、Zヘッドの切り換え処理では、2つのヘッドZh1,Zh2を用いる位置計測から、別のヘッドZh2’を含む2つのヘッドZh1,Zh2’を用いる位置計測へと、切り換えられる。
その際、主制御装置20は、まず、ZヘッドZh1,Zh2の計測値ZR,ZLを用いて、式(12)、(13)より、ウエハステージWSTの(Z0,θy)位置を算出する。次に、ここで算出された(Z0,θy)位置を用いて、新たに使用するZヘッドZh2’の計測値が従う理論式(16)より、予測値ZL’を求める。
ZL’=−tanθy・pL’+tanθx・qL’+Z0 …(16)
ここで、pL’,qL’は、ZヘッドZh2’のX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX、Y位置)である。ただし、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果が用いられる。そして、主制御装置20は、オフセットO=ZL’−ZL0’を求める。ここで、ZL0’はZヘッドZh2’の実の計測値、すなわち対向するYスケール39Y2の面位置の実測結果である。
ここで、pL’,qL’は、ZヘッドZh2’のX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX、Y位置)である。ただし、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果が用いられる。そして、主制御装置20は、オフセットO=ZL’−ZL0’を求める。ここで、ZL0’はZヘッドZh2’の実の計測値、すなわち対向するYスケール39Y2の面位置の実測結果である。
主制御装置20は、求められたオフセットOを較正データとして、切り換え前に使用していたZヘッドZh2が対応するYスケール39Y2から外れ、ウエハステージWSTの位置計測に使用する2つのZヘッドをZヘッドZh1,Zh2からZヘッドZh1,Zh2’へ切り換えるまでの間、収集する。
ここで、切り換え対象のZヘッドも含め、ウエハステージWSTの位置を計測するために使用している3つのZヘッドの計測精度が十分保証されているとする。この条件の下で求められたオフセットOには、切り換え対象の2つのヘッド間の位置関係(Z軸方向に関する位置関係だけでなく、XY軸方向についての位置関係も含む)、すなわち切り換えられるZヘッドZh2の設置位置を基準とする新規ヘッドZh2’の設置位置の相対関係、が取り込まれる。従って、収集されたオフセットOを用いることにより、Zヘッドの設置位置を、直接計測することなく、較正することができる。
上述の較正データ(オフセットO)の収集を、通常のシーケンスを実行中、すなわち例えば露光動作、フォーカスマッピング(及びフォーカスキャリブレーション)等を実行している際に、すべてのZヘッドについて、Zヘッドの切り換えが発生する毎に、実行する。露光動作中に較正データを収集する場合、露光動作中に使用されるZヘッド74,76に対する較正データが収集される。例えば、図8(A)に示されるZヘッド742からZヘッド743への切り換え時には、Zヘッド743に対する較正データが収集される。また、フォーカスマッピング(及びフォーカスキャリブレーション)中に較正データを収集する場合、これらの計測中に使用されるZヘッド72a〜72dに対する較正データが収集される。
なお、主制御装置20は、実際の露光動作中に限らず、露光動作中にウエハステージWSTが移動する領域内をウエハステージWSTが移動する際に、較正データを収集しても良い。また、主制御装置20は、実際のフォーカスマッピング(及びフォーカスキャリブレーション)中に限らず、これらの計測中にウエハステージWSTが移動する領域内をウエハステージWSTが移動する際に、較正データを収集しても良い。
また、主制御装置20は、Zヘッドの設置位置を正確に較正するために、較正データを選別して収集する。主制御装置20は、前述と同様の理由により、例えば、ウエハステージWSTの加速度が所定の許容範囲を超えた場合には、較正データの収集を中断する、あるいは、ウエハステージWSTが等速度で移動している又は停止している際に、集中して較正データを収集する。また、主制御装置20は、ウエハステージWSTの速度が所定の許容範囲を超えた場合にも、較正データの収集を中断する。この場合も、主制御装置20は、ウエハステージWSTが基準姿勢(θx=θy=0)を維持している場合にのみ、較正データの収集を実行することが望ましい。
主制御装置20により、上述の手順に従って収集された較正データ(オフセットO)を用いて、面位置計測システム180を構成するZヘッド72a〜72d,74,76の設置位置のずれが較正される。ここで、選別して収集された較正データには、殆ど無秩序に発生した誤差のみが含まれる。そこで、主制御装置20は、各Zヘッドについて収集された較正データを平均し、その平均値〈O〉をオフセットとして設定する。主制御装置20は、以降、設定されたオフセット〈O〉を用いて、すなわち次式(17)のように、Zヘッドの実の計測値Z0を補正する。
Z=Z0+〈O〉 …(17)
そして、主制御装置20は、上述のようにして補正された各Zヘッドの計測値Zを用いてウエハステージWSTの(Z0,θy)位置を算出し、算出された位置に従って、ウエハステージWSTを駆動制御する。
そして、主制御装置20は、上述のようにして補正された各Zヘッドの計測値Zを用いてウエハステージWSTの(Z0,θy)位置を算出し、算出された位置に従って、ウエハステージWSTを駆動制御する。
なお、露光装置の稼働中に、エンコーダヘッドの設置位置と同様、Zヘッドの設置位置がずれることも考えられる。そこで、主制御装置20は、例えば、所定数のウエハの露光が終了し、最後のウエハを交換する毎に、上述の手順に従ってオフセットを更新する。さらに、主制御装置20は、オフセットを更新する際、収集してから一定時間内の較正データのみを用いることとしても良い。この場合、主制御装置20は、収集された較正データの分散が一定の範囲内に収まる場合にのみ、オフセットを更新する。このように、適宜、較正情報を更新することにより、面位置計測システム180の計測誤差、さらに時間とともに拡大するような計測誤差でさえも、解消することができるので、高精度且つ安定なウエハステージWSTの駆動制御が可能となる。
本実施形態の露光装置100では、主制御装置20により、国際公開第2007/097379号パンフレットの実施形態中に開示されている手順と同様の手順に従って、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを用いた並行処理動作が、通常シーケンスとして行われる。そして、主制御装置20は、この通常シーケンスの一部、例えば露光、及び/又はアライメント計測と並行して、エンコーダシステム150を構成する各ヘッドの設置位置情報を較正するための較正データを収集する。また、主制御装置20は、露光、及び/又はフォーカスマッピング(及びフォーカスキャリブレーション)と並行して、面位置計測システム180を構成する各Zヘッドの設置位置情報を較正するための較正データを収集する。その際、主制御装置20は、上述のように、較正データを選別して収集する。そして、主制御装置20は、所定のタイミングで、収集した較正データを用いて各エンコーダヘッドについて設定されている位相オフセット、各Zヘッドについてのオフセットを、更新することにより、各エンコーダヘッド及び各Zヘッドの設置位置情報を更新する。このようにしてヘッドの設置位置情報が更新されたエンコーダシステム150及びZヘッドの設置位置情報が更新された面位置計測システム180の計測結果に従って、ウエハステージWSTを駆動制御する。
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置20により、エンコーダシステム150を構成する複数のエンコーダヘッドのうちスケールに対向する3つのヘッド、及び面位置計測システム180を構成する複数のZヘッドのうちスケールに対向する2つのZヘッドを用いてウエハステージWSTの位置が計測され、その計測情報に従ってウエハステージWSTが駆動制御される。ここで、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置に応じて使用するエンコーダヘッドを切り換える際に、新規にスケールに対向する別のヘッドを用いてウエハステージWSTの位置を計測し、3つのヘッドの計測情報を用いて別のヘッドの計測情報を予測し、その予測値からの実測値のずれ、すなわち位相オフセットφ0、を較正データとして収集する。
そして、主制御装置20により、所定のタイミングで、収集した較正データを用いて別のエンコーダヘッドについて設定されている位相オフセットが更新される。これにより、別のヘッドの設置位置と3つのヘッドの設置位置との関係が、別のヘッドに対する位相オフセットに取り込まれる。従って、ヘッドの設置位置を直接計測することなく、設置位置のずれに伴う計測誤差の発生を回避することが可能となる。主制御装置20により、同様の処理が、エンコーダシステム150が備えるすべてのヘッドについて行われる。このようにしてエンコーダヘッドの設置位置情報が更新されたエンコーダシステム150の計測結果に従って、ウエハステージWSTが駆動制御される。
また、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置に応じて使用するZヘッドを切り換える際に、新規にスケールに対向する別のZヘッドを用いてウエハステージWSTの位置を計測し、2つのZヘッドの計測情報を用いて別のZヘッドの計測情報を予測し、その予測値からの実測値のずれ、すなわちオフセットO、を較正データとして収集する。
そして、主制御装置20により、所定のタイミングで、収集した較正データを用いて別のZヘッドについて設定されているオフセットが更新される。これにより、別のヘッドの設置位置と2つのヘッドの設置位置との関係が、別のヘッドに対するオフセットに取り込まれる。従って、Zヘッドの設置位置を直接計測することなく、設置位置のずれに伴う計測誤差の発生を回避することが可能となる。同様の処理が、面位置計測システム180が備えるすべてのZヘッドについて行われる。このようにしてZヘッドの設置位置情報が更新された面位置計測システム180の計測結果に従って、ウエハステージWSTが駆動制御される。
さらに、主制御装置20は、エンコーダヘッドの較正データの収集を、露光装置の稼働中、すなわち露光、及び/又はアライメント計測等と並行して実行するとともに、露光、及び/又はフォーカスマッピング(及びフォーカスキャリブレーション)と並行して、実行する。これにより、露光装置の稼働率を低下させることなく高精度且つ安定なウエハステージWSTの駆動制御行うことが可能となる。
なお、これまでの説明では、特に断らずに「ヘッドの設置位置」を較正すると記述されている。しかし、較正方法の原理より、ヘッドの設置位置のみでなく、ヘッドの傾斜に伴う計測誤差も較正される。従って、ヘッドの設置位置は、ヘッドの傾斜も含む、広義の意味において使用している。
なお、上記実施形態で説明したエンコーダシステムなどの各計測装置の構成は一例に過ぎず、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えば、上記実施形態では、ウエハテーブル(ウエハステージ)上に格子部(Yスケール、Xスケール)を設け、これに対向してXヘッド、Yヘッドをウエハステージの外部に配置する構成のエンコーダシステムを採用した場合について例示したが、これに限らず、例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハステージにエンコーダヘッドを設け、これに対向してウエハステージの外部に格子部(例えば2次元格子又は2次元に配置された1次元の格子部)を配置する構成のエンコーダシステムを採用しても良い。この場合において、Zヘッドもウエハステージに設け、その格子部の面を、Zヘッドの計測ビームが照射される反射面としても良い。
また、上記実施形態では、例えばヘッドユニット62A,62Cの内部にエンコーダヘッドとZヘッドとが、別々に設けられている場合について説明したが、エンコーダヘッドとZヘッドとの機能を備えた単一のヘッドを、エンコーダヘッドとZヘッドの組に代えて用いても良い。
なお、上記実施形態では、本発明が、投影光学系とウエハとの間に照明光の光路を含む液浸空間を形成し、投影光学系及び液浸空間の液体を介して照明光でウエハを露光する露光装置に適用された場合について説明したが、非液浸タイプの露光装置にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置を上記実施形態と同様に、エンコーダを用いて計測することができるので、同様の効果を得ることができる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、又はミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明は適用することができる。また、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを備えたマルチステージ型の露光装置にも本発明を適用できる。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。また、前述の照明領域及び露光領域はその形状が矩形であるものとしたが、これに限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
なお、上記実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を露光光とし、オール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置にも本発明を好適に適用することができる。この他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
また、上記実施形態では、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
また、例えば干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
本発明の露光方法及び露光装置は、物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、半導体素子又は液晶表示素子などの電子デバイスを製造するのに適している。
8…局所液浸装置、20…主制御装置、39X1,39X2…Xスケール、39Y1,39Y2…Yスケール、50…ステージ装置、62A〜62F…ヘッドユニット、64,65…Yヘッド、66…Xヘッド、67,68…Yヘッド、70A,70C…Yエンコーダ、70B,70D…Xエンコーダ、72a〜72d,74,76…Zヘッド、100…露光装置、124…ステージ駆動系、150…エンコーダシステム、180…面位置計測システム、200…計測システム、PL…投影光学系、PU…投影ユニット,W…ウエハ、WST…ウエハステージ、WTB…ウエハテーブル。
Claims (30)
- 物体上にパターンを形成する露光方法であって、
所定平面内を移動する移動体と該移動体の外部との一方に設けられた複数のヘッドのうち、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に対向する複数の第1ヘッドを用いて、前記移動体の位置情報を計測し、前記複数の第1ヘッドの計測情報と前記複数の第1ヘッドのそれぞれに対して設定されているオフセットとから前記移動体の位置情報を求め、該位置情報に従って前記移動体を駆動する工程と;
前記移動体に保持される前記物体上にパターンを形成する工程と;
前記物体に付与されたマークを検出する工程と;
前記形成する工程と前記検出する工程との少なくとも一方と並行して、前記複数のヘッドのうち、前記計測面に対向する前記複数の第1ヘッドとは異なる少なくとも1つの第2ヘッドを用いて、前記移動体の位置情報を計測し、前記駆動する工程において求められた前記位置情報から前記第2ヘッドの計測情報を予測し、該計測情報からの前記第2ヘッドの計測情報のずれを収集する工程と;
前記収集する工程において収集された前記ずれを用いて、前記第2ヘッドに対するオフセットを設定する工程と;を含む露光方法。 - 前記収集する工程では、前記形成する工程と並行して前記ずれを収集するに際し、前記パターンを形成する際の前記移動体の移動方向に前記移動体が等速度で駆動される際に、前記ずれを収集する請求項1に記載の露光方法。
- 前記収集する工程では、前記ずれの収集を、前記第2ヘッドが前記計測面に対向し、前記複数の第1ヘッドと前記第2ヘッドとのうちの1つが前記計測面から外れるまでの間の少なくとも一部の期間において実行する請求項1又は2に記載の露光方法。
- 前記収集する工程では、前記ずれの収集を、前記移動体が停止している際に、実行する請求項1〜3のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記収集する工程では、前記ずれの収集を、前記移動体の加速度と速度との少なくとも一方が許容範囲を超えた際に、中断する請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記収集する工程では、前記ずれの収集を、前記形成する工程中に前記移動体が移動する領域内に前記移動体が位置する際に、実行する請求項1〜5のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記収集する工程では、前記ずれの収集を、前記検出する工程中に前記移動体が移動する領域内に前記移動体が位置する際に、実行する請求項1〜6のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記設定する工程では、収集された前記ずれのうちの少なくとも一部について平均を求め、該平均を前記オフセットとして設定する請求項1〜7のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記設定する工程では、収集された前記ずれのうち、収集されてから一定時間内の前記ずれのみを用いて前記オフセットを設定する請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記設定する工程を、所定数の前記物体にパターンを形成する毎に、実行する請求項1〜9のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記設定する工程を、前記オフセットについて一定の精度が保証される場合にのみ実行する請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記物体が有する感応層にエネルギビームを照射して前記パターンを形成する請求項1〜11のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記エネルギビームを、光学系と、該光学系と前記物体の間に供給される液体と、を介して照射する請求項12に記載の露光方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の露光方法を用いて物体上にパターンを形成する工程と;
前記パターンが形成された前記物体に処理を施す工程と;を含むデバイス製造方法。 - 物体上にパターンを形成する露光装置であって、
前記物体を保持して所定平面内を移動する移動体と;
前記移動体と該移動体の外部との一方に設けられ、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に計測光を照射し、前記計測面からの光を受光する複数のヘッドを有し、前記複数のヘッドのうち、前記計測面に対向する複数の第1ヘッドと少なくとも1つの第2ヘッドとを用いて、前記移動体の位置情報を計測する位置計測系と;
前記物体上にパターンを形成するパターン生成装置と;
前記物体に付与されたマークを検出するマーク検出装置と;
前記複数の第1ヘッドの計測情報と前記複数の第1ヘッドのそれぞれに対して設定されているオフセットとから前記移動体の位置情報を求め、該位置情報に従って前記移動体を駆動するとともに、前記パターン生成装置による前記物体に対するパターン形成と、前記マーク検出装置による前記物体上のマークの検出と、の少なくとも一方と並行して、求められた前記位置情報から前記第2ヘッドの計測情報を予測し、該計測情報からの前記第2ヘッドの計測情報のずれを収集し、さらに、該ずれを用いて前記第2ヘッドに対するオフセットを設定する制御装置と;を備える露光装置。 - 前記制御装置は、前記パターンを形成する際の前記移動体の移動方向に前記移動体が等速度で駆動される際に、前記ずれを収集する請求項15に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記ずれの収集を、前記第2ヘッドが前記計測面に対向し、前記複数の第1ヘッドと前記第2ヘッドとのうちの1つが前記計測面から外れるまでの間の少なくとも一部の期間において実行する請求項15又は16に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記ずれの収集を、前記移動体が停止している際に、実行する請求項15〜17のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記ずれの収集を、前記移動体の加速度と速度との少なくとも一方が許容範囲を超えた際に中断する請求項15〜18のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記ずれの収集を、前記パターン生成装置を用いて前記移動体に保持される前記物体上にパターンを形成する際に前記移動体が移動する領域内に前記移動体が位置する際に実行する請求項15〜19のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記ずれの収集を、前記マーク検出装置による前記物体上のマークの検出の際に前記移動体が移動する領域内に前記移動体が位置する際に実行する請求項15〜20のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、収集した前記ずれのうちの少なくとも一部について平均を求め、該平均を前記オフセットとして設定する、請求項15〜21のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、収集した前記ずれのうち、収集してから一定時間内の前記ずれのみを用いて前記オフセットを設定する請求項15〜22のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記オフセットを、所定数の前記物体にパターンを形成する毎に、設定する請求項15〜23のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記制御装置は、前記オフセットを、該オフセットについて一定の精度が保証される場合にのみ設定する請求項15〜24のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記計測面は、前記所定平面内で互いに直交する第1及び第2方向をそれぞれ周期方向とする第1及び第2グレーティングを有し、
前記複数の第1ヘッドは、前記第1及び第2グレーティングの一方に計測光を照射するヘッドを少なくとも各1つ含む、請求項15〜25のいずれか一項に記載の露光装置。 - 前記複数のヘッドは、前記所定平面に垂直な方向を計測方向とする請求項15〜25のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記パターン生成装置は、前記物体が有する感応層にエネルギビームを照射することによってパターンを形成する請求項15〜27のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記パターン生成装置は、光学系を含み、
前記光学系と前記物体の間に、液体を供給する液体供給装置をさらに備える請求項28に記載の露光装置。 - 請求項15〜29のいずれか一項に記載の露光装置を用いて物体上にパターンを形成することと;
前記パターンが形成された前記物体に処理を施すことと;を含むデバイス製造方法。
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2008
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