JP2010049207A - 半透過型液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

半透過型液晶表示装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】室内外で使用することが多い携帯機器に用いて最良な半透過型液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に従った半完成状態の半透過型液晶表示装置10は、液晶層3内に光重合性モノマー6が含有され、更に、カラーフィルター4内に散乱粒子7が分散されている。このような半完成状態の半透過型液晶表示装置10に紫外線15を照射すると、散乱粒子7によって紫外線が散乱され、反射電極20下の領域にも十分な紫外線が供給される。それにより、反射電極20を含めた全基板界面にポリマー化層を形成できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関し、特に、反射及び透過の両モードでの表示が可能な半透過型の液晶表示装置及びその製造方法に関する。
液晶表示装置は、液晶自体が発光しないため、表示装置として用いるためには、何らかの光源を用意する必要がある。この光源をどのように構成するかによって、主として2つのタイプがある。1つは、周囲の明るさを光源として利用する反射型液晶表示装置であり、他は、液晶表示装置の背面に光源(バックライトという)を配置してこの光源の透過光を利用する透過型液晶表示装置である。
反射型液晶表示装置では、光源として外部の明るさを利用するため、その視認性は周囲の明るさによって大きく左右され、当然、暗いところでは表示装置として用いることができないという課題を有している。
また、透過型液晶表示装置では、バックライトを光源として使用するため、暗いところでの視認性は良いが、反射型液晶表示装置では不要であったバックライト用の電力が必要となり、表示装置としての消費電力が高くなる。また、反射型液晶表示装置とは逆に、極めて明るいところ、例えば、屋外では視認性が著しく低下するという課題を有している。
上記の両タイプ液晶表示装置の欠点を補う技術として、液晶表示装置の画素毎に、光を透過する透明電極領域と、光を反射する反射電極領域とを形成した半透過型液晶表示装置が提案されている。
図5は、このような半透過型液晶表示装置の一例を断面で示した概略図であり、垂直配向方式(VA方式)の半透過型液晶表示装置の一画素分を示している。図5において、50はこの半透過型液晶表示装置の全体構成を示している。この半透過型液晶表示装置50は、図示されていないが表面にTFTが形成されるガラス等より成る透明基板51と、表面にカラーフィルター54が形成されたガラス等より成る透明基板52と、これら透明基板51と透明基板52との間に封入された液晶層53を有している。
透明基板51は、2つの領域に分けられており、第1の領域にはITO等から成る透明電極31と上記透明電極31上に形成された反射電極40が設けられている。また、他方の領域である第2の領域には、ITO等よりなる透明電極32と上記透明電極32の上に形成された配向膜42が設けられている。反射電極40が形成された前記第1の領域は、半透過型液晶表示装置50の反射領域56として反射モードで機能し、その他の領域である第2の領域は、透過領域57として透過モードで機能する。なお、55は液晶分子を示しており、配向方向がわかり易くなるように模式的に表わしたものである。
上記の半透過型液晶表示装置50の場合、図示していないが、図5の上方の部分にバックライトが設けられており、透過領域57では、バックライトからの光が液晶層53によって調整され、図5の下に向けて透過する。一方、反射領域55では、図5の下方から液晶表示装置に入射された外部光が液晶層53を通過した後、反射電極40によって反射されて再度液晶層53を通過して下方に向かう。この外部からの光は、液晶層53を通過する際にその強度が調整されることになる。観察者は、図5の下から上方向を見ることになる。
図5に示すような半透過型液晶表示装置においては、透過領域57では光が液晶層53を一回通過するのに対して反射領域56では2回液晶層53を通過することとなる。仮に、透過領域57における液晶層の厚さと反射領域56における液晶層の厚さを等しく設定したとして、反射領域又は透過領域のどちらか一方領域で良好な表示が得られるように液晶層53の厚さを設定すると、他方領域では明度やコントラストが低下してしまう。そこで、図5の例では、上記2つの領域の厚さを異ならせて上記の問題を解決している。なお、この点については、デュアルギャップ方式として既に公知であるので、原理等の詳細な説明は省略する。
図5において、58は、三角形状のリベットであり、図5に示した例では、反射領域56及び透過領域57に夫々1個配置されている。このリベット58により液晶層53の液晶材料が所謂ドミノ配向されることになる。即ち、図5に示すように、垂直方向に配列された液晶分子が僅かに傾斜されることとなる。このように配向された液晶表示装置は、応答速度の改善されたVA方式で動作する。
しかしながら、上記図5に示した半透過型液晶表示装置50の場合、液晶層53の全ての領域を均質にドミノ配向させることは難しく、例えば、図5に領域59で示したように上手くドミノ配向されていない領域が生ずる。この領域59は応答速度が遅く、従って、このような領域59が存在する半透過型液晶表示装置は、全体としても応答速度の遅いものとなってしまうという課題がある。また、リベット58を設けておく必要があるため、透過領域57での開口率ダウン、反射領域56での反射率ダウンなどの課題をも有する。
特許文献1には、上記のリベットを用いることなく液晶を配向させる技術が開示されている。
図6(a)、図6(b)、図6(c)は、リベットを用いることなく液晶を配向させる技術を用いた半透過型液晶表示装置の基本原理とその基本原理を実現するための構成を説明するための図である。図6(a)は、反射領域と透過領域の厚さを異ならせることなく2つの領域での特性を同一にした半透過型液晶表示装置の基本原理を示す図であり、図6(b)、図6(c)は、その基本原理を実現するための基本的な構成を説明するための図である。
図6(a)において、60は反射領域Rと透過領域Tの厚さをほぼ同一にした半透過型液晶表示装置の全体を示しており、この半透過型液晶表示装置60は、共通電極66が設けられたガラス基板61と、透明電極67が設けられたガラス基板62と、これら2枚のガラス基板61、62の間に封入された液晶層63を有する。透明電極67が設けられたガラス基板62の上で、ほぼ半分の領域には更に反射電極69が設けられている。
反射電極69が設けられた領域は反射モードで機能する反射領域Rとなり、反射電極69が設けられていない領域では透過モードで機能する透過領域Tとなる。反射領域Rと透過領域Tとでは、基本的に液晶層63の厚さはほぼ同じであるが、配向制御能力を異ならせている。これにより、反射領域Rと透過領域Tの実質的なリターデーションとをほぼ一致させ、両領域での十分な明度やコントラスト比を得ている。そのための条件が、図6(a)中のボックス内に記載されている。なお、65は液晶分子を示しており、配向状況が分る様に模式的に示したものである。また、71、72は、偏光子である。
図6(b)、図6(c)は、前述のとおり、図6(a)の構成を実現するための基本的な考え方を説明するための図である。図6(b)、図6(c)において、図6(a)に示した部材と同一の部材には同一の番号を付与しているのでこれらの部材の詳細な説明は省略する。図6(b)、図6(c)では、特に反射領域、透過領域の区別は成されていないが、2つの領域A、領域Bで配向制御能力を異ならせるための基本的な考え方が記載されている。
図6(b)を参照して、配向制御能力を異ならせた液晶表示装置の製法を説明する。図6(b)において、透明電極66、67が形成されたガラス基板61、62上に配向膜75、75を塗布し、次いで、これらガラス基板61、62を図示していないスペーサーを介して張り合わせ、光重合性成分である光重合性モノマー66が混入された液晶を充填し、封止する。次に、部分的に遮光パターンの形成された遮光マスク73を介して、液晶63に光として紫外線(UV)74を照射する。紫外線74が照射された領域では光重合性モノマー66が重合して基板界面に紫外線硬化物76(図6(c)参照)が形成される。
図6(c)は、紫外線照射により基板界面に紫外線硬化物76が形成された後の様子を示している。図6(c)において、領域Aは、遮光マスク73が形成されていた領域であり、この箇所の液晶部分には紫外線は照射されなかったため、この部分の基板界面には紫外線硬化物は形成されない。領域Bは、紫外線が照射された領域であり、紫外線照射を受けた液晶中に存在するモノマーが重合して基板界面に紫外線硬化物76が形成されている。紫外線硬化物76は液晶63の配向を制御する機能を有するため、領域Aと領域Bとの印加電圧に対するスイッチング特性を変えることができる。即ち、上記の技術によれば、紫外線硬化物により液晶の配向を制御できる。
なお、このように、液晶中に混入した光重合性モノマーに紫外線を照射して基板界面に配向膜を形成して液晶の配向方向を制御する技術は、PSA(Polymer Sustained Alignment)技術として知られている。光重合性モノマーの具体例については、上記引用文献1に記載されているので、ここでは詳細な記載を省略する。
このようなPSA技術によれば、領域ごとに配向特性を異ならせることができ、例えば、特に、液晶層の厚さを変えないままの構造で半透過型液晶表示装置が実現できる。
特開2005−338472号公報(公開日:平成17年12月8日)
上記特許文献1に記載の技術によれば、PSA技術を利用することにより、領域毎に液晶分子の配向特性を制御することが可能ではあるが、実際に、所望の特性に制御することは簡単ではない。また、特許文献1には、反射電極が設けられた領域に対して紫外線を十分に行き渡らせてPSA化を促進させることの必要性は示されておらず、従って、そのための解決策も示されていない。
PSA技術によって液晶の配向を行う場合、液晶層に紫外線を照射することが必要となるが、半透過型の液晶表示装置では、一方の基板上には部分的に形成された反射電極があり、また、他方の基板上にはカラーフィルターが形成されており、必要な箇所に必要な紫外線を照射することは容易ではない。そして、後で、図4(a)、図4(b)を参照して詳述するとおり、十分な紫外線照射ができなかった箇所では、光重合性モノマーのポリマー化(PSA化)が不十分となり、基板界面上でのアンカリング強度が不十分となる。そのため、このような半透過型液晶表示装置を用いてタッチパネルを構成した場合、ペン又は指先の押圧残像が残るという課題が生ずる。
本発明は、上述の従来技術の課題、及び半透過型液晶表示装置の製造にPSA技術を適用した場合に生ずる課題に鑑みて成されたものであり、反射領域と透過領域を有する半透過型液晶表示装置において、反射領域におけるPSA化を十分に促進し、この部分での基板界面上のアンカリング強度を十分なものとした半透過型液晶表示装置を提供することを目的とし、更に、タッチパネル構造としたときの押圧残像の少ない半透過型液晶表示装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明に係る半透過型液晶表示装置では、1画素領域の一部領域に反射電極が形成され、残りの領域に透明電極が形成された第1の透明基板と、スペーサーを介して上記第1の透明基板に対抗配置され、表面に透明電極とカラーフィルターの積層構造を有する第2の透明基板と、上記第1の透明基板と上記第2の透明基板間に封入された液晶とを有する半透過型の液晶表示装置であって、上記カラーフィルター内には光散乱粒子が混入されており、上記液晶は上記第1の透明基板側からの光照射によるPSA技術により配向制御されたものであることを特徴としている。
これによれば、カラーフィルター内に混入された光散乱粒子によって反射された光が、反射電極の光照射された側とは反対の裏側部分にも十分に回り込んで、この部分でのPSA化を促進しているので、従来構造よりも面配向のアンカリング強度が向上された半透過型液晶表示装置とすることができる。このため、タッチパネル構造とした場合の指先などの押圧残像現象を大幅に軽減することができる。
上述の課題を解決するために、本発明に係る別の半透過型液晶表示装置では、カラーフィルター内に混入された上記散乱粒子は、カラーフィルターの表面部分に多く分散されていることを特徴としている。
これによれば、多くの紫外線はカラーフィルターによって吸収される前に散乱粒子により反射されるため、効果的に紫外線を反射でき、反射電極下等でのPSA化の促進に有効である。
上述の課題を解決するために、本発明に係る別の半透過型液晶表示装置では、上記反射電極部分に対応したカラーフィルター内に上記散乱粒子が多く分散されていることを特徴としている。
これによれば、表示画像のコントラストの低下を少なくしつつ効果的に紫外線を反射でき、反射電極下等でのPSA化の促進に有効である。≪請求項2、3を追加したことに伴う補正です。効果の記載の良否をご検討・ご指示下さい。≫
上述の課題を解決するために、本発明に係る別の半透過型液晶表示装置では、上記反射電極が形成された領域における液晶層の厚さが上記他の領域の液晶層の厚さよりも厚く構成されていることを特徴としている。
これによれば、反射領域と透過領域の液晶層の厚さを変えたデュアルギャップ方式の半透過型液晶表示装置において、反射領域での液晶材料に対するアンカリング強度を向上することができる。
上述の課題を解決するために、本発明に係る別の半透過型液晶表示装置では、更に、上記第1の透明基板上に形成された反射電極と透明電極間との間に間隙が設けられていることを特徴としている。
これによれば、反射電極と透明電極間との間に間隙が設けられているため、液晶の配向規制力を更に向上させることができる。
上述の課題を解決するために、本発明に係る更に別の半透過型液晶表示装置では、更に、上記第1の透明基板上の透明電極及び上記第2の透明基板上の透明電極の上に、配向膜が設けられていることを特徴としている。
これによれば、配向膜が設けられることにより、液晶の配向規制力を更に向上させることができる。
上述の課題を解決するために、本発明に係る半透過型液晶表示装置の製造方法では、1画素領域の一部領域に反射電極が形成され、残りの領域に透明電極が形成された第1の透明基板と、表面に透明電極と光散乱粒子が混入されたカラーフィルターの積層構造を有する第2の透明基板とをスペーサーを介して貼着する第1の工程と、上記第1の透明基板と上記第2の透明基板との間に、光重合性モノマーが混入された液晶を封入する第2の工程と、上記第2の工程で作られた半完成の液晶表示装置の第1の透明基板側から光を照射して液晶中に混入されている光重合性モノマーをポリマー化させて液晶を配向制御する第3の工程とを有することを特徴としている。
これによれば、カラーフィルター内に混入された光散乱粒子によって反射された光が、反射電極の光照射された側とは反対の裏側部分にも十分に回り込み、この部分でのPSA化を促進し、従来構造よりも面配向のアンカリング強度を向上させることができる。このため、タッチパネル構造としたときの指先等の押圧残像現象の少ない半透過型液晶表示装置を製造することができる。
上述の課題を解決するために、本発明に係る別の半透過型液晶表示装置の製造方法では、
上記反射電極が形成された領域における液晶層の厚さが上記他の領域の液晶層の厚さよりも厚く構成されていることを特徴としている。
これによれば、反射領域での液晶材料に対するアンカリング強度を向上させたデュアルギャップ方式の半透過型液晶表示装置を製造することができる。
上述の課題を解決するために、本発明に係る別の半透過型液晶表示装置の製造方法では、特に、上記第1の透明基板上の反射電極と透明電極間には、間隙が設けられていることを特徴としている。
これによれば、液晶の配向規制力を更に向上させた半透過型液晶表示装置を製造することができる。
上述の課題を解決するために、本発明に係る更に別の半透過型液晶表示装置の製造方法では、更に、上記第1の透明基板上の透明電極及び上記第2の透明基板上の透明電極の上に、配向膜が設けられていることを特徴としている。
これによれば、液晶の配向規制力を更に向上させた半透過型液晶表示装置を製造することができる。
以上に述べたとおり、本願の発明では、半透過型液晶表示装置において、1画素領域の一部領域に反射電極が形成され、残りの領域に透明電極が形成された第1の透明基板と、スペーサーを介して上記第1の透明基板に対抗配置され、表面に透明電極とカラーフィルターの積層構造を有する第2の透明基板と、上記第1の透明基板と上記第2の透明基板間に封入された液晶とを有する半透過型の液晶表示装置であって、上記カラーフィルター内には光散乱粒子が混入されており、上記液晶は上記第1の透明基板側からの光照射によるPSA技術により配向制御されたものであることを特徴としている。
また、本願の別の発明では、半透過型液晶表示装置の製造方法において、1画素領域の一部領域に反射電極が形成され、残りの領域に透明電極が形成された第1の透明基板と、表面に透明電極と光散乱粒子が混入されたカラーフィルターの積層構造を有する第2の透明基板とをスペーサーを介して貼着する第1の工程と、上記第1の透明基板と上記第2の透明基板との間に、光重合性モノマーが混入された液晶を封入する第2の工程と、上記第2の工程で作られた半完成の液晶表示装置の第1の透明基板側から光を照射して液晶中に混入されている光重合性モノマーをポリマー化させて液晶を配向制御する第3の工程とを有することを特徴としている。
これにより、反射電極が形成された反射領域でのPSA化を促進させ、この領域での面配向のアンカリング強度が向上された半透過型液晶表示装置を提供することができる。このため、この半透過型液晶表示装置をタッチパネル構造とした場合の指先などの押圧残像現象を大幅に軽減することができる。
本発明の実施の形態を説明する前に、まず、図4(a)、図4(b)を用いて、デュアルギャップ方式の半透過型液晶表示装置においてPSA技術を利用した場合の課題について説明する。
図4(a)、図4(b)は、いずれも、デュアルギャップ方式の半透過型液晶表示装置を示しており、特に、反射電極が形成された反射領域部分を拡大して表示している。図4(a)は、後で詳細に説明する本発明に従ってPSA技術により液晶を配向させた場合を模式的に示しており、図4(b)は、従来の半透過型液晶表示装置に対してPSA技術を使用して液晶を配向させた場合を模式的に示している。
図4(a)、図4(b)において、同一の部材には同一の番号を付与しているので、夫々の図面について個別の詳細な説明は省略する。図4(a)、図4(b)において、1は表面にTFTが形成されるTFT側透明基板であり、2は表面にカラーフィルター4が形成されているカラーフィルター側透明基板である。
透明基板1の表面には、透明電極11、12、13が設けられており、透明電極12の上には、反射電極20が形成されている。この反射電極20が形成された領域は反射モードで動作する反射領域となる。透明電極11、13の上には、配向膜21、23が形成されている。
透明基板2側のカラーフィルター4上には、更に、透明電極14、配向膜24が形成される。透明基板1及び透明基板2の間には、液晶が封入されおり、液晶層3が形成されている。図4(a)、図4(b)からも明らかなように、ここに示した例では、この反射領域の液晶層3の厚さは、反射電極が形成されていない透過領域の液晶層の厚さより薄く構成されている。
次に、図4(a)、図4(b)に示す半透過型液晶表示装置に対するPSA技術の適用を説明する。図4(a)、図4(b)に示す半透過型液晶表示装置において、透明基板1及び透明基板2の間に形成された液晶層3中の液晶には、光重合性モノマーが混入されている。従って、この液晶に紫外線を照射すると、光重合性モノマーが重合反応して、透明基板1及び透明基板2の基板界面に紫外線硬化物(ポリマー化層)が形成される。紫外線は、カラーフィルター4が形成されていない側、即ち、反射電極20側から照射される。
図4(a)、図4(b)は、反射電極が形成された側、即ち図面の上方向から紫外線を照射して、透明基板1の反射電極20上、及び、透明基板2の配向膜24上にポリマー化層32、及びポリマー化層34を形成した状況を示している。この、ポリマー化層32、34は、液晶層32を特定方向に配向させる機能を有しており、従って、液晶層32は図示のごとくに配向されることになる。
図4(a)を参照すると、カラーフィルター4内には散乱粒子7が分散されているが、図4(b)を参照すると、カラーフィルター4には散乱粒子が分散されていない。
図4(b)に示すカラーフィルター4内に散乱粒子7が分散されていない液晶表示装置では、反射電極20の存在によりこの領域に対して紫外線が十分に照射されないため、ポリマー化層32,34の形成が必ずしも十分ではないと予想される。そのため、基板界面上での液晶分子に対するアンカリング強度が十分強くなく、結果として、図4(b)に模式的に示すとおり、液晶分子の配向が不十分になっているものと考えられる。
図4(a)に示すカラーフィルター4内に散乱粒子7が分散された場合は、後で詳細に説明するとおり、紫外線が散乱粒子7によって散乱され、反射電極20の下の領域にも十分に行き渡った結果、液晶中の光重合性モノマーのポリマー化が十分に促進され、液晶分子に対する面配向のアンカリング強度が十分強くなっており、結果として、図4(a)に模式的に示すとおり、液晶分子の配向が十分になされていると考えられる。
本発明者等の実験によれば、図4(b)に示された構造の半透過型液晶表示装置を用いてタッチパネルを構成した場合に、透過モードでの使用の際には指先等の押圧残像が発生しないが、反射モードでの使用の際には押圧残像が多発する傾向にあった。しかしながら、図4(a)に示す半透過型液晶表示装置を用いてタッチパネルを構成した場合では、反射モードでの使用時でも指先等の押圧残像の発生を大幅に減少させることができた。
これは、光重合性モノマーのポリマー化が十分に促進されていない領域では基板界面上の液晶分子に対するアンカリング強度が十分ではないのに対して、光重合性モノマーのポリマー化が十分に促進された領域では、液晶分子に対するアンカリング強度が十分であり、従って、指先等で押された液晶の元の状態への戻りが早くなることによると考えられる。
半透過型液晶表示装置は、屋外、屋内での快適な使用が必須条件であるモバイル機器の表示装置として最適なものである。一方、モバイル機器としては、あらゆる場所での快適な操作性が求められており、キーボードによる操作ばかりでなく、タッチパネルによる操作も強く求められるところである。従って、上記の押圧残像に関する課題を解決することは、半透過型液晶表示装置において極めて重要な技術的な課題である。
〔実施の形態〕
以下に、本発明に従った実施の形態を説明する。尚、以下の説明では、本発明を実施するために好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲は以下の実施の形態及び図面に限定されるものではない。
図1、図2、図3は、本発明に従った半透過型液晶表示装置を製造する工程と、この工程に従って製造された半透過型液晶表示装置の構造を示す図であり、特に、本発明を反射領域における液晶層の厚さと透過領域における液晶層の厚さを異ならせたデュアルギャップ方式の半透過型液晶表示装置に実施した例を示す図である。なお、図1、図2、図3において、同一の部材には同一の番号を付与しているので、各図の説明において、同一の部材についての重複した説明は省略する。また、図4(a)、図4(b)においても、図1、図2、図3と同一の部材には同一の番号を付与している。
図1は、本発明に従ってPSA化を行う前の半完成品としての半透過型液晶表示装置の構成を示す図である。図1において、10は、半完成品としての半透過型液晶表示装置の全体を示している。また、1はガラス等より成る透明基板であり、図示されていないがその表面にTFTが形成される。2は同じくガラス等よりなる透明基板であり、その表面にカラーフィルター4が形成されている。上記の透明基板1の表面には、3つの領域に分けられた透明電極11、12、13が形成されており、更に、透明電極11、13上に配向膜21、23が夫々形成されている。また、上記透明電極12上には反射電極20が形成されている。透明電極としては、例えば、ITO等公知の透明金属膜が利用できる。反射電極としては、Al等可視光に対する反射率の高い導電性金属が用いられ、図1に示した例では、反射電極の表面に微細な凹凸形状を形成したMRS(Micro Reflective Structure)構造とされている。
上記透明基板2上には、カラーフィルター4が設けられ、更に、カラーフィルター4上に透明電極14、更にその上に配向膜24が設けられる。上記カラーフィルター4は、図面から明らかなように、反射電極20に対応した箇所でその厚みが大とされている。これにより、所謂、デュアルギャップ方式の半透過型液晶表示装置が構成される。更に、カラーフィルター4には、散乱粒子7が分散されている。
散乱粒子7は、紫外線を散乱させるための粒子である。この散乱粒子7としては、例えば、紫外線を散乱する特性を有し、光学的に等方性の物が好ましい。即ち、偏光板を用いる液晶表示装置においては、所謂偏光くずれ、光漏れ、偏光解消等を生じない偏光保持特性を有する等方性であることが望まれ、例えば、屈折率が高い透明な無機酸化物(酸化チタン、酸化タンタル等)が用いられる。また、散乱粒子の径は、紫外線波長よりも大きいほど好ましいが、逆に、カラーフィルターとしての性能に悪影響を与えないようなもので無ければならない。発明者等の実験によれば、0.1μm〜1.0μm程度の径の粒子を用いた場合に好結果が得られた。特に、0.4μm以上の径の散乱粒子を用いた場合、紫外線の反射という点で、更に、好ましい結果が得られた。
図1に示すとおり、表面に電極等が形成された上記透明基板1、上記透明基板2は、図示しないスペーサーを介して所定の間隔で対抗配置され、貼着される。上記透明基板1、上記透明基板2の間には、液晶が封入され、液晶層3が構成される。液晶層3には、光重合性モノマー6が混入されている。この光重合性モノマー6としては、例えば、上記の特許文献1に記載されたような光重合性モノマーを利用できる。
図1に示す本発明に係る半完成品としての半透過型液晶表示装置10の製造・組立て工程は、カラーフィルター形成用材料中に予め散乱粒子7を混入しておくことが必要であることを除き、従来と同様であって良く、ここでは詳細な説明は省略する。
図2は、図1に示した半完成品としての半透過型液晶表示装置10に対して、PSA技術を適用する工程を説明するための図であり、紫外線を照射した際の状況を示している。図2において、15は紫外線であり、図示のとおり、半完成品としての半透過型液晶表示装置10の反射電極20が形成されている透明基板1の表面側(図面上部側)から、照射される。紫外線を反射電極20側から照射する理由は、カラーフィルター4側から紫外線を照射した場合、紫外線のかなりの部分が液晶層3に到達する前にカラーフィルター4に吸収されてしまうためであり、また、カラーフィルターの色によって吸収される量が異なり、均質な照射ができないためである。
図2中の矢印16及び矢印17に示すとおり、紫外線は、透明電極11、透明電極13、及び、配向膜21、配向膜23透過して液晶層3に到達し、液晶中に含まれていた光重合性モノマー6に作用し、光重合性モノマーをポリマー化する。一方、反射電極20が形成されている部分では、紫外線15は多くの部分が反射電極に遮られて液晶層3には到達しない。
矢印16、17で示した紫外線光は、液晶層3を透過してカラーフィルター4に至り、ここでカラーフィルター中に混入されている散乱粒子7により矢印18に示すとおりに散乱される。実際には、散乱光は種々の方向に散乱されるが、矢印18は模式的に示したものである。また、透明基板2の下面側(図2の最下部)に適当な反射部材を配置することでより効果的に散乱光を図面上方の液晶層3側に反射させることができる。
図2に模式的に示すとおり、散乱粒子7によって散乱された紫外線18は、反射電極20の下部の液晶層にも到達し、そこで液晶中に含有されている光重合性モノマーに作用する。その結果、反射電極20が設けられた領域においても光重合性モノマーのポリマー化が十分に行われることとなる。
図3は、図2を参照して説明した紫外線照射工程を終了した後の半透過型液晶表示装置30の構成を示している。図3に示すとおり、透明基板1上の配向膜21、配向膜23の上に夫々ポリマー化層31、ポリマー化層33が形成される外、反射電極20上にも十分なポリマー化層32が形成される。更に、透明基板2側についても、反射電極20に対向した領域を含めて十分なポリマー化層34が形成される。その結果、反射電極20が形成されている領域をも含めて、基板界面上の液晶材料に対するアンカリング強度が極めて強くなり、液晶材料が強く界面に引き寄せられて良好な面配向状態と成る。
なお、以上に述べた反射電極下の領域でのアンカリング強度を十分に強くした半透過型液晶表示装置においては、タッチパネル構成とした場合でも指先等の押圧残像がほとんど残らないことを確認している。
以上の説明では、特に、散乱粒子はカラーフィルター内に均一に分散している場合について述べたが、カラーフィルターによる紫外線の吸収効果を考慮すると、散乱粒子はできるだけカラーフィルターの表面に多く分散されていることが好ましい。この場合のカラーフィルターの表面とは、紫外線の入射方向に対する表面側を示しており、例えば、図2において、透明電極14側の面を示している。紫外線は、カラーフィルターによって幾らか吸収される。従って、カラーフィルターの表面部分に散乱粒子をより多く分散させておけば、紫外線はカラーフィルターによって吸収される前に反射されることとなる。
カラーフィルターは、印刷、或いはインクジェット等の方法により形成される。上記のようにカラーフィルター表面により多くの散乱粒子が含まれるようにするためには、散乱粒子の含有率を異ならせたカラーフィルター形成用材料を2種類以上用意しておき、カラーフィルターの形成を2回以上の工程で形成すれば良い。
また、カラーフィルター内に散乱粒子を分散させた場合、その量が多くなると表示画像のコントラストが悪くなる場合がある。散乱粒子による紫外線の散乱効果をできるだけ落とさずに、しかもコントラストの低下をも防ぐために、散乱粒子の量を反射電極部分に対応したカラーフィルター部分に多く分散させても良い。カラーフィルターは上述のとおり、印刷、或いはインクジェット等の方法により形成されるため、このような構成とすることは極めて容易に実現できる。本発明者等は、このような構成とすることにより、紫外線の反射効果を維持しつつ、コントラストに与える悪影響を少なくできることを確認している。
また、カラーフィルターの表面部分に散乱粒子を多く分散させ、且つ、反射電極部分に散乱粒子を多く分散させても良い。
なお、以上の説明では、所謂デュアルギャップ方式の半透過型液晶表示装置を例に説明したが、これに限られることなく反射電極を有する種々のタイプ半透過型液晶表示装置に利用できることは明らかである。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。当業者は、請求項に示した範囲内において、本発明をいろいろと変更できる。すなわち、請求項に示した範囲内において、適宜変更された技術的手段を組み合わせれば、新たな実施形態が得られる。
本発明によれば、タッチパネルに用いて最良な半透過型液晶表示装置が得られる。タッチパネル構造とした半透過型液晶表示装置は、室内外で使用することの多い携帯用パソコン、PDA等に最適であり、この半透過型液晶表示装置の有用性は極めて高い。
本発明の実施の形態に従って製造された半完成状態の半透過型液晶表示装置の構成を示す図である。 半完成状態の半透過型液晶表示装置に紫外線を照射している状況を示す図である。 本発明の実施の形態に従って製造された半透過型液晶表示装置の構成を示す図である。 本発明を適用しない場合の半透過型液晶表示装置における課題を説明するための図である。 従来のデュアルギャップ方式の半透過型液晶表示装置を示す図である。 従来の半透過型液晶表示装置の構成及び該液晶表示装置の製造方法を示す図である。
符号の説明
1 TFT側透明基板
2 カラーフィルター側透明基板
3 液晶層
4 カラーフィルター層
5 液晶分子
6 光重合性モノマー
7 散乱粒子
10 半完成状態の半透過型液晶表示装置
11、12、13、14 透明電極
20 反射電極
21、23、24 配向膜
31,32,33,34 ポリマー化層

Claims (7)

  1. 1画素領域の一部領域に反射電極が形成され、他の領域に透明電極が形成された第1の透明基板と、
    スペーサーを介して上記第1の透明基板に対抗配置され、表面に透明電極とカラーフィルターとの積層構造を有する第2の透明基板と、
    上記第1の透明基板と上記第2の透明基板との間に封入された液晶とを有する半透過型の液晶表示装置であって、
    上記カラーフィルター内には、光を散乱する散乱粒子が混入されており、上記液晶は、上記第1の透明基板側からの光照射によるPSA技術により配向制御されたものであることを特徴とする半透過型液晶表示装置。
  2. カラーフィルター内に混入された上記散乱粒子は、カラーフィルターの表面部分に多く分散されていることを特徴とする請求項1に記載の半透過型液晶表示装置。
  3. 上記反射電極部分に対応したカラーフィルター内に上記散乱粒子が多く分散されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半透過型液晶表示装置。
  4. 上記反射電極が形成された領域における液晶層の厚さが、上記他の領域の液晶層の厚さよりも薄く形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半透過型液晶表示装置。
  5. 上記第1の透明基板上に形成された反射電極と透明電極間との間に間隙が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の半透過型液晶表示装置。
  6. 上記第1の透明基板上の透明電極及び上記第2の透明基板上の透明電極の上に、配向膜が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の半透過型液晶表示装置。
  7. 1画素領域の一部領域に反射電極が形成され、他の領域に透明電極が形成された第1の透明基板と、表面に透明電極と光を散乱する散乱粒子が混入されたカラーフィルターの積層構造を有する第2の透明基板とをスペーサーを介して貼着する第1の工程と、
    上記第1の透明基板と上記第2の透明基板との間に、光重合性モノマーが混入された液晶を封入する第2の工程と、
    上記第2の工程で作られた半完成の液晶表示装置の第1の透明基板側から光を照射して液晶中に混入されている光重合性モノマーをポリマー化させて液晶を配向制御する第3の工程とを有することを特徴とした半透過型液晶表示装置の製造方法。
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