JP2010045751A - 画像処理装置、画像処理方法、及び、プログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、及び、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】入力画像の枚数によらず、画像の、柔軟な高解像度化を図る。
【解決手段】拡大部12は、入力画像を、周辺の画素値を用いた補間によって拡大し、位置合わせ部13は、入力画像を拡大した拡大画像と、直前に得られた出力画像との位置合わせを行う。一方、分離部14は、直前に得られた出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離する。混合加算部15は、拡大画像に対して、分離部14で得られた低周波数成分を混合し、さらに、分離部14で得られた高周波数成分を加算する混合加算を行うことで、新たな出力画像を生成する。本発明は、折り返し成分を含む入力画像から、折り返し成分が低減され、かつ、高周波数成分を復元した高解像度の出力画像を生成する、例えば、TV等に適用できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及び、プログラムに関し、特に、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができるようにする画像処理装置、画像処理方法、及び、プログラムに関する。
例えば、近年のディジタルカメラでは、撮像素子(例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージャ等)の性能や、画像処理の能力の向上が進んでいる。例えば、連続で高速撮影された複数の画像(入力画像)を合成することで、高画質の画像を生成するディジタルカメラがある。高画質の画像としては、例えば、手ぶれ補正を行った画像や、ノイズを除去した画像(S/N(Signal to Noise ratio)を向上させた画像)、画素数を増加させた高解像度の画像等が生成される。
例えば、1枚の画像(以下、1フレームの画像ともいう)からの、その画素数を増加させた画像の生成は、例えば、ナイキスト周波数以下を通過領域とする、sinc関数(sin(x)/x)を用いた補間ローパスフィルタや、スプライン関数等による補間によって行うことができる。
但し、上述の補間では、画素数を増加させることはできるが、解像度を向上させることはできない。
また、ディジタルカメラの撮像素子は、ベイヤ(Bayer)配列になっている場合がある。この場合、R(Red),G(Green),B(Blue)成分のうちの、例えば、R成分については、撮像素子において、R成分以外の画素を間引いた状態で、R成分のサンプリングが行われる。他のG成分、及びB成分についても、同様である。したがって、ベイヤ配列の撮像素子で撮影される画像は、色成分ごとには、一部の画素が間引かれた画像になっている。
さらに、例えば、TV(テレビジョン受像機)では、インタレース方式の画像が扱われることがある。インタレース方式の画像(以下、インタレース画像ともいう)は、画素が1ラインおきに間引かれた画像ということができる。
上述のような、画素が間引かれた画像の画素値には、いわゆる信号成分の他に、いわゆる折り返し成分が含まれている。折り返し成分を含む画像を対象として、上述の補間を行うと、その補間の結果得られる画像は、折り返し成分が目立つ画像となる。
そこで、複数のフレームを合成して、画素数を増加させ、かつ、高解像度化した1フレームの画像を生成する高解像度化技術がある(例えば、特許文献1,2,3,4を参照)。
従来の高解像度化技術では、動き検出処理、広帯域補間処理、及び、加重和処理の3つの処理により、画像の高解像度化が行われる。
動き検出処理では、入力された複数フレームの画像(入力画像)を用いて、各画像のサンプリングの位置(位相)(標本化位置)(撮像素子の画素が受光する光の空間的な位置)の差が、画像の動きを検出することにより推定される。
ここで、動き検出処理は、例えば、勾配法や、ブロックマッチング法、その他の各種の方法によって行うことができる。
広帯域補間処理では、折り返し成分を含む、画像の高周波数成分をすべて透過させる通過帯域の広いローパスフィルタを用いて、画素(サンプリング点)を補間することで増加させ、いわば高密度化された画像が生成される。
ここで、広帯域補間処理は、ナイキスト周波数の2倍の通過帯域を有する一般的な広帯域LPF(Low Pass Filter)を用いて行うことができる(例えば、特許文献1及び2を参照)。
加重和処理では、高密度化された複数フレームの画像のサンプリングの位相に応じた重みに従って、複数フレームの画像の混合(重み付け加算)を行うことで、画像のサンプリングの際に生じた折り返し成分が打ち消されて除去されるとともに、画像の高周波数成分が復元される。
なお、特許文献1には、2次元に折返しがある画像の9フレームを合成して、高解像画像を生成する技術等が記載されており、特許文献2には、1次元に折返しがある画像の3フレームを合成して、高解像画像を生成する技術等が記載されており、特許文献3及び4には、ヒルベルト変換を行った2フレームの画像を合成して、高解像度の画像を生成する、インタレース画像からプログレッシブの画像への変換を行うIP(Interlace Progressive)変換の技術等が記載されている。
図1を参照して、従来の高解像度化技術について、さらに説明する。
図1Aは、1次元(ある1方向の空間方向)の周波数領域で、サンプリングの位相が異なる、高速撮像された連続する3フレームの画像(以下、フレーム#1,#2,#3ともいう)の周波数スペクトルを示している。
図1Aでは、周波数の軸からの距離が信号強度を表し、周波数の軸を中心とした回転角が位相を表す。
フレーム#1ないし#3が、信号成分の他、折り返し成分を含む場合、フレーム#i(ここでは、i=1,2,3)を対象とした広帯域補間処理を行うと、すなわち、ナイキスト周波数fs/2の2倍の帯域-fsないしfs(図1Aでは、0ないしfsの帯域のみを図示してある)を透過する広帯域LPFによって画素の補間をすると、図1Aに示すように、ナイキスト周波数fs/2の2倍の帯域-fsないしfsに亘って、信号成分と、サンプリングの位相に応じた折り返し成分とを含む画像が得られる。
広帯域補間処理によって得られる画像は、元の画像よりも画素数が増加した画像となる。
図1Bは、広帯域補間処理によって得られる3フレーム#1ないし#3の信号成分の位相を示しており、図1Cは、広帯域補間処理によって得られる3フレーム#1ないし#3の折り返し成分の位相を示している。
なお、図1B及び図1Cにおいて、横軸は虚軸を表し、縦軸は実軸を表す。
広帯域補間処理によって得られる3フレーム#1ないし#3の信号成分の位相は一致し、折り返し成分の位相は、例えば、フレーム#1の折り返し成分の位相を基準とすれば、フレーム#1とのサンプリングの位相の差に応じて回転する。
上述したように、広帯域補間処理によって得られる3フレーム#1ないし#3の折り返し成分の位相は、フレーム#1とのサンプリングの位相の差に応じて回転している。したがって、広帯域補間処理によって得られる3フレーム#1ないし#3の折り返し成分は、その3フレーム#1ないし#3の重み付け加算を、フレーム#1とのサンプリングの位相の差に応じた重みに従って行うことで除去することができる。
そこで、従来の高解像度化技術では、広帯域補間処理によって得られる3フレーム#1ないし#3のサンプリングの位相(の差)に応じた重み(重み付け加算によって、折り返し成分が0となる重み)に従って、その3フレーム#1ないし#3の画像を重み付け加算する加重和処理が行われ、折り返し成分が除去される。これにより、帯域-fsないしfsに亘って信号成分を含む、折り返し成分が除去された画像、すなわち、高解像度の画像が得られる。
以上のように、従来の高解像度化技術では、元の画像(入力画像)を、ナイキスト周波数fs/2の帯域-fs/2ないしfs/2の帯域を通過するLPFではなく、ナイキスト周波数の2倍の帯域を透過する広帯域LPFで処理することで得られる画像を用いて、ナイキスト周波数fs/2を超える信号成分を復元することができる。
なお、従来の高解像度化技術では、折り返し成分が0となる重み付け加算の重みを求めるために、重み付け加算に用いるフレーム数が、あらかじめ決まっている必要がある。
ここで、高解像度化技術の対象とする画像を、以下、適宜、入力画像ともいう。
特開平09- 69755号公報 特開平08-336046号広報 特開2007-324789号公報 特開2000-216682号公報
例えば、ディジタルテレビジョン放送の画像や、光ディスクに記録された画像に、高解像度化技術を適用する場合には、そのような画像は、S/Nが良いので、2フレームや3フレーム等の少ないフレームを入力画像としても、高画質の画像を得ることができる。
しかしながら、家庭向けのディジタルスチルカメラや、ディジタルビデオカメラで撮影された画像に、高解像度化技術を適用する場合には、ノイズが目立つ画像が得られることがある。
すなわち、家庭向けのディジタルスチルカメラ等で得られる画像は、照度不足等で、S/Nが悪いことがある。そのようなS/Nの悪い画像を、少ないフレーム数だけ入力画像とすると、却って、ノイズが目立つ画像が得られる。
したがって、家庭向けのディジタルスチルカメラ等で得られる画像に、高解像度化技術を適用する場合には、多くのフレームを入力画像とすることが望ましい。
しかしながら、入力画像とすることができるフレーム数(枚数)は、例えば、ディジタルスチルカメラの性能や、被写体の明るさ等により決められる露出時間その他の撮影の条件等によって増減することがある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、入力画像の枚数によらず、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができるようにするものである。
本発明の一側面の画像処理装置、又は、プログラムは、入力画像を、周辺の画素値を用いた補間によって拡大する拡大手段と、前記入力画像を拡大した拡大画像と、直前に得られた出力画像との位置合わせを行う位置合わせ手段と、前記出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離する分離手段と、前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、新たな出力画像を生成する混合加算手段とを備える画像処理装置、又は、画像処理装置として、コンピュータを機能させるためのプログラムである。
本発明の一側面の画像処理方法は、画像処理装置が、入力画像を、周辺の画素値を用いた補間によって拡大する拡大ステップと、前記入力画像を拡大した拡大画像と、直前に得られた出力画像との位置合わせを行う位置合わせステップと、前記出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離する分離ステップと、前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、新たな出力画像を生成する混合加算ステップとを含む画像処理方法である。
以上のような一側面においては、入力画像が、周辺の画素値を用いた補間によって拡大され、前記入力画像を拡大した拡大画像と、直前に得られた出力画像との位置合わせが行われる。また、前記出力画像が、低周波数成分と高周波数成分とに分離され、前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、新たな出力画像が生成される。
なお、画像処理装置は、独立した装置であっても良いし、1つの装置を構成している内部ブロックであっても良い。
また、プログラムは、伝送媒体を介して伝送することにより、又は、記録媒体に記録して、提供することができる。
本発明の一側面によれば、画像を高画質化することができ、特に、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができる。
図2は、本発明を適用した画像処理装置の概要を説明するブロック図である。
図2において、画像処理装置には、連続して撮影(例えば、高速撮影)された1フレーム(枚)以上の画像(入力画像)が、外部から供給される。そして、画像処理装置は、そこに供給される1フレーム以上の入力画像を用いて、高解像度の画像としての出力画像を生成して出力する高解像度化処理としての画像処理を行う。
すなわち、図2の画像処理装置は、記憶部11、拡大部12、位置合わせ部13、分離部14、混合加算部15、及び、記憶部16から構成される。
記憶部11には、1フレーム以上の入力画像が供給される。記憶部11は、そこに供給される1フレーム以上の入力画像を一時記憶する。
拡大部12は、記憶部11に記憶された入力画像を、周辺の画素値を用いた補間(0値を挿入する0値補間以外の補間)によって拡大して、すなわち、画素数を入力画像よりも増加させた拡大画像を生成して、出力する。
位置合わせ部13は、拡大画像と、後述する混合加算部15で直前に得られた出力画像との位置合わせを行う。
分離部14は、出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離し、混合加算部15に供給する。
混合加算部15は、拡大画像に対して、分離部14からの低周波数成分を混合し、さらに、分離部14からの高周波数成分を加算することで、新たな出力画像を生成し、記憶部16に供給する。
記憶部16は、混合加算部15からの出力画像を記憶し、必要に応じて、外部に出力する。
図3は、図2の画像処理装置で行われる画像処理(高解像度化処理)を説明するフローチャートである。
記憶部11は、連続して撮影される1フレーム以上の入力画像のうちの、1フレームの入力画像が供給されるのを待って、ステップS11において、そこに供給される入力画像を記憶して、処理は、ステップS12に進む。
ステップS12では、拡大部12は、記憶部11に記憶された入力画像を、周辺の画素値を用いた補間によって拡大することにより、拡大画像を生成して出力し、処理は、ステップS13に進む。
ステップS13では、位置合わせ部13が、拡大部12で生成された拡大画像と、混合加算部15で直前に得られた出力画像との位置合わせを行い、処理は、ステップS14に進む。
ステップS14では、分離部14は、混合加算部15で直前に得られた出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離し、混合加算部15に供給して、処理は、ステップS15に進む。
ステップS15では、混合加算部15が、拡大画像に対して、分離部14からの低周波数成分を混合し、さらに、分離部14からの高周波数成分を加算することで、新たな出力画像を生成し、記憶部16に供給して、処理は、ステップS16に進む。
ステップS16では、記憶部16が、混合加算部15からの(新たな)出力画像を記憶して、処理は、ステップS17に進む。
ここで、混合加算部15において、まだ、出力画像が得られていない場合(例えば、拡大画像が、1フレーム目の入力画像の拡大画像である場合等)には、ステップS13ないしS15の処理は、スキップされる。そして、ステップS16では、拡大部12で得られた拡大画像が、そのまま、新たな出力画像として、記憶部16に記憶される。
ステップS17では、記憶部11が、連続して撮影された入力画像が、まだあるかどうかが判定される。
ステップS17において、連続して撮影された入力画像が、まだあると判定された場合、すなわち、連続して撮影された1フレーム以上の入力画像のうちの、1フレームの入力画像が、記憶部11に、新たに供給された場合、処理は、ステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
したがって、画像処理装置に対して、連続して撮影された複数フレームの入力画像が供給される場合には、画像処理装置では、その複数フレームの入力画像について、拡大部12が、入力画像を拡大し、位置合わせ部13が、拡大画像と出力画像との位置合わせを行い、分離部14が、出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離し、混合加算部15が、拡大画像に対して、低周波数成分を混合し、高周波数成分を加算することで、新たな出力画像を生成する、ことが繰り返される
一方、ステップS17において、入力画像がないと判定された場合、すなわち、連続して撮影された1フレーム以上の入力画像を用いて、ステップS11ないしS16の処理が行われた場合、記憶部16は、そこに記憶している最新の出力画像を、連続して撮影された1フレーム以上の入力画像を高解像度化した画像として、外部に出力して、画像処理は終了する。
なお、記憶部16に記憶された出力画像の出力は、ステップS17において、入力画像がないと判定された場合に行う他、ステップS16において、新たな出力画像が記憶されるたびに行うことが可能である。
次に、図2の画像処理装置のより具体的な実施の形態を説明するが、その前に、入力画像を拡大して、拡大画像を生成する拡大処理と、拡大画像の高解像度化とについて説明する。
図4は、折り返し成分(エイリアス)を含まない入力画像の垂直方向等のある1方向の画素数を、元の2倍の数にする拡大処理を説明する図である。
サンプリング定理(標本化定理)によれば、信号が、周波数帯域-fないしfの範囲内のみの周波数成分を有する信号である場合には、その信号を、2f以上のサンプリング周波数fsでサンプリングすれば、LPFで高周波数成分を除去することによって、元の信号を、完全に復元することができる。
いま、入力画像の、例えば、垂直方向等のある1方向のサンプリング周波数が、周波数fsであるとすると、折り返し成分を含まない入力画像では、その1方向については、周波数帯域-fs/2ないしfs/2(以下、周波数fs/2以下ともいう)の範囲内にのみ、信号成分が存在する。
図4Aは、折り返し成分を含まない入力画像の周波数特性(周波数成分)を示している。
なお、図4Aにおいて、横軸は、周波数を表し、縦軸は、各周波数成分の振幅を表している。以降の周波数特性の図でも、同様である。
いま、折り返し成分を含まない入力画像の、1方向(例えば、垂直方向)に連続に並んだ4画素のうちの、i番目の画素の画素値をy(i)として、その4画素の画素値を、(y(0),y(1),y(2),y(3))と表すこととする。
入力画像の垂直方向の画素数を2倍にする場合には、まず、垂直方向に隣接する画素どうしの中間の位置に、画素値を0とする新たな画素(サンプリング点)を挿入する0値補間が行われる。
ここで、0値補間では、その0値補間後に、画素値の平均値が変化しないように、元の画素値が調整される。いまの場合、画素数が2倍にされるので、0値補間では、元の画素値が2倍され、その結果、4画素の画素値の並び(y(0),y(1),y(2),y(3))は、7画素の画素値の並び(2y(0),0,2y(1),0,2y(2),0,2y(3))となる。
上述の0値補間は、入力画像のサンプリング周波数を、元のサンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsにすることに相当する。0値補間の前後で、入力画像の信号成分は変化しないが、0値補間後、すなわち、元のサンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsを、新たなサンプリング周波数とすると、その新たなサンプリング周波数2fsに対応する周波数帯域(サンプリング周波数2fsのサンプリングで再現可能な周波数帯域)-fsないしfsでは、折り返し成分が発生しているように見える。
図4Bは、0値補間後の入力画像の周波数特性を示している。
図4Bにおいて、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表す。
折り返し成分を含まない入力画像を0値補間した画像(以下、0値補間画像ともいう)では、図4Bに示すように、(絶対値が)ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2に、信号成分が存在する。さらに、ナイキスト周波数fs/2を超える周波数帯域-fs/2ないし-fs、及びfs/2ないしfsに、折り返し成分が存在する。
折り返し成分を含まない拡大画像を得るには、信号成分を取り出すこと(折り返し成分を除去すること)が必要である。したがって、0値補間画像に対して、入力画像のナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで、折り返し成分を含まない拡大画像を得ることができる。
図4Cは、0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで得られる拡大画像の周波数特性を示している。
なお、ナイキスト周波数fs/2の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFは、理想的には、sinc関数を用いたフィルタ(sinc関数の関数値をフィルタ係数とするフィルタ)であるが、その理想的なフィルタでは、タップ長(タップ数)が無限長となる。そこで、実際には、sinc関数に窓関数をかけてタップ数を制限したLPFが用いられる。
いま、説明を簡単にするため、LPFとして、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFを採用することとする。
ここで、フィルタ係数が{a,b,c}のフィルタとは、例えば、3画素の画素値の並び(y(t-1),y(t),y(t+1))の、位置tの画素のフィルタリング結果が、式a×y(t-1) + b×y(t)+ c×y(t+1)で表されるフィルタ(FIR(Finite Impulse Response)フィルタ)を意味する。
0値補間画像としての7画素の画素値の並び(2y(0),0,2y(1),0,2y(2),0,2y(3))については、画素値2y(1)の位置の、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のフィルタによるフィルタリング後の画素値は、1/4×0+1/2×2y(1)+1/4×0=y(1)となる。
また、画素値2y(1)と2y(2)との間のゼロ点(画素値が0の画素)のフィルタリング後の画素値は、1/4×2y(1)+1/2×0+1/4×2y(2)=(y(1)+y(2))/2 となる。
以下、同様にして、7画素の画素値の並び(2y(0),0,2y(1),0,2y(2),0,2y(3))のフィルタリング後の画素値の並びは、(y(0),(y(0)+y(1))/2,y(1),(y(1)+y(2))/2,y(2),(y(2)+y(3))/2,y(3))となる。
フィルタリング後の画素値の並び(y(0),(y(0)+y(1))/2,y(1),(y(1)+y(2))/2,y(2),(y(2)+y(3))/2,y(3))は、入力画像の画素値の並び(y(0),y(1),y(2),y(3))に対して、線形補間と呼ばれる補間がされたものに等しい。したがって、フィルタリング後の画素値、すなわち、拡大画像では、入力画像の信号成分が再現されていることが分かる。
以上のように、折り返し成分を含まない入力画像については、隣接する画素どうしの中間の位置に、画素値を0とする新たな画素を1個挿入する0値補間を行い、その結果得られる0値補間画像に、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかける拡大処理を行うことで、入力画像を2倍に拡大した(画素数を、入力画像の2倍にした)、折り返し成分を含まず、かつ、入力画像の信号成分を再現した拡大画像を得ることができる。
但し、折り返し成分を含まない入力画像に拡大処理を施しても、解像度を向上させること(ナイキスト周波数fs/2を超える信号成分を含む拡大画像を得ること)はできない。
ここで、図4Dは、0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2を超える広帯域の周波数帯域-fsないしfsを通過帯域とするLPF(広帯域LPF(WLPF))をかけることで得られる拡大画像の周波数特性を示している。
折り返し成分を含まない入力画像の0値補間画像に対して、広帯域LPFをかけた場合、折り返し成分が除去されず、拡大画像(図4D)は、0値補間画像(図4B)、すなわち、隣接する画素どうしの間に挿入された1個のゼロ点の影響によって、黒の縞模様が存在する、(見た目の)画質の劣化した画像となる。
次に、折り返し成分を含まない入力画像の垂直方向等のある1方向の画素数を、元の、例えば、4倍の数にする拡大処理について説明する。
折り返し成分を含まない入力画像の垂直方向等のある1方向の画素数を、元の4倍の数にする拡大処理も、図4で説明した2倍の拡大処理と同様に行うことができる。
すなわち、図5は、折り返し成分を含まない入力画像の垂直方向等のある1方向の画素数を、元の4倍の数にする拡大処理を説明する図である。
いま、入力画像の、例えば、垂直方向等のある1方向のサンプリング周波数が、周波数fsであるとすると、折り返し成分を含まない入力画像では、その1方向については、周波数帯域-fs/2ないしfs/2の範囲内にのみ、信号成分が存在する。
図5Aは、折り返し成分を含まない入力画像の周波数特性を示しており、図4Aの場合と同様に、周波数帯域-fs/2ないしfs/2の範囲内にのみ、信号成分が存在する。
いま、図4の場合と同様に、連続に並んだ4画素の画素値を、(y(0),y(1),y(2),y(3))と表すと、入力画像の画素数を4倍にする場合には、隣接する画素どうしの間に、画素値を0とする新たな画素(ゼロ点)を、3個挿入する0値補間が行われる。
なお、上述したように、0値補間では、その0値補間後に、画素値の平均値が変化しないように、元の画素値が調整される。いまの場合、画素数が4倍にされるので、0値補間では、元の画素値が4倍され、その結果、4画素の画素値の並び(y(0),y(1),y(2),y(3))は、13画素の画素値の並び(4y(0),0,0,0,4y(1),0,0,0,4y(2),0,0,0,4y(3))となる。
隣接する画素どうしの間に、3個のゼロ点を挿入する0値補間は、入力画像のサンプリング周波数を、元のサンプリング周波数fsの4倍の周波数4fsにすることに相当する。0値補間の前後で、入力画像の信号成分は変化しないが、0値補間後、すなわち、元のサンプリング周波数fsの4倍の周波数4fsを、新たなサンプリング周波数とすると、その新たなサンプリング周波数4fsに対応する周波数帯域-2fsないし2fsでは、折り返し成分が発生しているように見える。
図5Bは、0値補間後の入力画像の周波数特性を示している。
図5Bにおいて、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表す。
折り返し成分を含まない入力画像を0値補間した0値補間画像では、図5Bに示すように、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2に、信号成分が存在する。さらに、ナイキスト周波数fs/2を超える周波数帯域-fs/2ないし-2fs、及びfs/2ないし2fsに、折り返し成分が存在する。
図5Bの0値補間画像については、図4の場合と同様に、0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで、折り返し成分を含まない拡大画像を得ることができる。
図5Cは、0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで得られる拡大画像の周波数特性を示している。
以上のように、折り返し成分を含まない入力画像について、隣接する画素どうしの間に、3個のゼロ点を挿入する0値補間を行い、その結果得られる0値補間画像に、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかける拡大処理を行うことで、入力画像を4倍に拡大した、折り返し成分を含まず、かつ、入力画像の信号成分を再現した拡大画像を得ることができる。
但し、折り返し成分を含まない入力画像に拡大処理を施しても、図4の場合と同様に、解像度を向上させることはできない。
ここで、図5Dは、0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2を超える広帯域の周波数帯域-fsないしfsを通過帯域とする広帯域LPFをかけることで得られる拡大画像の周波数特性を示している。
折り返し成分を含まない入力画像の0値補間画像に対して、広帯域LPFをかけた場合、折り返し成分が除去されず、拡大画像(図5D)は、やはり、図4の場合と同様に、画質の劣化した画像となる。
次に、折り返し成分を含む入力画像の垂直方向等のある1方向の画素数を、元の2倍の数にする拡大処理について説明する。
折り返し成分を含む入力画像としては、例えば、テレビジョン放送のインタレース画像等があり、例えば、折り返し成分を含まない画像のライン(水平ライン)を1ラインおきに間引くことで生成することができる。
図6は、折り返し成分を含む入力画像の垂直方向等のある1方向の画素数を、元の2倍の数にする拡大処理を説明する図である。
いま、入力画像の、例えば、垂直方向等のある1方向のサンプリング周波数が、周波数fsであるとすると、折り返し成分を含む入力画像では、その1方向については、周波数帯域-fs/2ないしfs/2の信号成分は、そのまま存在し、(絶対値が)その周波数帯域-fs/2ないしfs/2を超える信号成分は、周波数帯域-fs/2ないしfs/2に、折り返し成分として存在する。
図6Aは、折り返し成分を含む入力画像の周波数特性を示している。
例えば、周波数帯域-fsないしfsの範囲にのみ信号成分を有する画像を、サンプリング周波数fsでサンプリングすることにより、図6Aの周波数特性を有する入力画像を得ることができる。
図6Aの入力画像では、周波数帯域-fs/2ないしfs/2の信号成分(実線部分)は、そのまま存在し、周波数帯域-fs/2ないしfs、及びfs/2ないしfsの信号成分は、周波数帯域-fs/2ないしfs/2に、折り返し成分(点線部分)として存在する。
したがって、折り返し成分を含む入力画像では、周波数帯域-fs/2ないしfs/2に、信号成分と折り返し成分とが混在する。
折り返し成分を含む入力画像の、1方向(例えば、垂直方向)に連続に並んだの画素値を、図4の場合と同様に、(y(0),y(1),y(2),y(3))と表すと、入力画像の垂直方向の画素数を2倍にする場合には、やはり、図4の場合と同様に、隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間が行われる。
なお、上述したように、0値補間では、その0値補間後に、画素値の平均値が変化しないように、元の画素値が調整される。いまの場合、画素数が2倍にされるので、0値補間では、元の画素値が2倍され、その結果、4画素の画素値の並び(y(0),y(1),y(2),y(3))は、7画素の画素値の並び(2y(0),0,2y(1),0,2y(2),0,2y(3))となる。
隣接する画素どうしの間に1個のゼロ点を挿入する0値補間は、入力画像のサンプリング周波数を、元のサンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsにすることに相当する。0値補間後の画像(0値補間画像)では、周波数帯域-fsないしfsの全体に亘る信号成分が再現されるが、折り返し成分も再現される。すなわち、周波数帯域-fsないしfsに、信号成分と折り返し成分とが混在する。
図6Bは、0値補間後の入力画像(0値補間画像)の周波数特性を示している。
図6Bにおいて、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表す。
図4の場合と同様に、0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで、折り返し成分を低減した(減衰させた)拡大画像を得ることができる。
図6Cは、0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで得られる拡大画像の周波数特性を示している。
0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで、高域-fs/2ないし-fs、及び、fs/2ないしfsの折り返し成分を減衰させることができる。しかしながら、この場合、高域-fs/2ないし-fs、及び、fs/2ないしfsの信号成分も減衰する。
以上のように、折り返し成分を含む入力画像の0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかける拡大処理を行っても、信号成分のうちの高周波数成分(高域-fs/2ないし-fs、及び、fs/2ないしfsの信号成分)を再現することはできない。また、(低域-fs/2ないしfs/2の)折り返し成分を除去する(減衰させる)こともできない。
ここで、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFとして、例えば、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFを採用することとすると、そのLPFによる0値補間画像のフィルタリングの結果得られる拡大画像は、図4で説明したように、入力画像を線形補間して得られる画像に等しい。
折り返し成分があるインタレース画像を線形補間すると、斜め線にジャギーが発生するが、これは、折り返し成分に起因する。折り返し成分があるインタレース画像を線形補間することで得られる線形補間画像については、複数の線形補間画像を、重みを調整して重み付け加算することで、折り返し成分を除去することができる。
したがって、LPFによる0値補間画像のフィルタリングの結果得られる拡大画像についても、複数の拡大画像(複数の入力画像から得られた複数の拡大画像)を重み付け加算することで、拡大画像に含まれる折り返し成分を除去することができる。
しかしながら、高域の信号成分は、LPFによる0値補間画像のフィルタリングによって除去されているため、再現することはできない。
そこで、折り返し成分を含む入力画像の拡大処理では、0値補間画像のフィルタリングに、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFではなく、より広帯域を通過帯域とする広帯域LPFが用いられる。
図6Dは、0値補間画像に対して、広帯域LPFをかけることで得られる拡大画像の周波数特性を示している。
広帯域LPFは、ナイキスト周波数fs/2の2倍の周波数帯域-fsないしfsを通過させるLPFであり、理想的には、sinc関数を用いたフィルタである。
サンプリング周波数が2fsの0値補間画像に対して、周波数帯域-fsないしfsを通過させるフィルタは、その0値補間画像の全周波数成分を通過させる全域通過フィルタとなる。
したがって、0値補間画像に対して、広帯域LPFをかけることで得られる拡大画像は、0値補間画像であり、0値補間画像を、そのまま採用することができる。なお、この場合、0値補間画像である拡大画像は、隣接する画素どうしの間に挿入された1個のゼロ点の影響によって、黒の縞模様が存在する、画質の劣化した画像となる。
広帯域LPFをかけることで得られる拡大画像は、図6Dに示したように、折り返し成分を含むが、高域の信号成分も含む。
したがって、複数の拡大画像を重み付け加算することで、拡大画像に含まれる折り返し成分を除去することにより、低域の信号成分の他、高域の信号成分も再現された高解像度の画像を得ること、すなわち、入力画像の高解像度化を行うことができる。
折り返し成分を含む入力画像の垂直方向等のある1方向の画素数を、元の、例えば、4倍の数にする拡大処理も、図6で説明した場合と同様に行うことができる。
すなわち、図7は、折り返し成分を含む入力画像の垂直方向等のある1方向の画素数を、元の4倍の数にする拡大処理を説明する図である。
入力画像の、例えば、垂直方向等のある1方向のサンプリング周波数が、周波数fsであるとすると、折り返し成分を含む入力画像では、その1方向については、周波数帯域-fs/2ないしfs/2の信号成分は、そのまま存在し、その周波数帯域-fs/2ないしfs/2を超える信号成分は、周波数帯域-fs/2ないしfs/2に、折り返し成分として存在する。
図7Aは、折り返し成分を含む入力画像の周波数特性を示しており、図6Aの場合と同様に、周波数帯域-fs/2ないしfs/2に、信号成分(実線部分)と折り返し成分(点線部分)とが混在する。
折り返し成分を含む入力画像の、1方向(例えば、垂直方向)に連続に並んだの画素値を、図4の場合と同様に、(y(0),y(1),y(2),y(3))と表すと、入力画像の垂直方向の画素数を4倍にする場合には、やはり、図5の場合と同様に、隣接する画素どうしの間に、3個のゼロ点を挿入する0値補間が行われる。
なお、上述したように、0値補間では、その0値補間後に、画素値の平均値が変化しないように、元の画素値が4倍され、その結果、4画素の画素値の並び(y(0),y(1),y(2),y(3))は、13画素の画素値の並び(4y(0),0,0,0,4y(1),0,0,0,4y(2),0,0,0,4y(3))となる。
隣接する画素どうしの間に3個のゼロ点を挿入する0値補間は、入力画像のサンプリング周波数を、元のサンプリング周波数fsの4倍の周波数4fsにすることに相当する。そして、0値補間後の画像(0値補間画像)では、周波数帯域-2fsないし2fsの全体に亘って、信号成分が再現されるが、折り返し成分も再現される。すなわち、周波数帯域-2fsないし2fsに、信号成分と折り返し成分とが混在する。
図7Bは、0値補間後の入力画像(0値補間画像)の周波数特性を示している。
図7Bにおいて、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表す。
0値補間画像に対しては、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで、折り返し成分を減衰させた拡大画像を得ることができる。
図7Cは、0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで得られる拡大画像の周波数特性を示している。
0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFをかけることで、高域-fs/2ないし-2fs、及び、fs/2ないし2fsの折り返し成分を減衰させることができる。しかしながら、この場合、高域-fs/2ないし-fs、及び、fs/2ないしfsの信号成分も減衰する。
そこで、折り返し成分を含む入力画像の拡大処理では、図6で説明したように、0値補間画像のフィルタリングに、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFではなく、広帯域LPFが用いられる。
図7Dは、0値補間画像に対して、広帯域LPFをかけることで得られる拡大画像の周波数特性を示している。
広帯域LPFは、図6で説明したように、理想的には、sinc関数を用いたフィルタであるが、説明を簡単にするために、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFを採用することとすると、13画素の画素値の並び(4y(0),0,0,0,4y(1),0,0,0,4y(2),0,0,0,4y(3))のフィルタリング後の画素値の並びは、(2y(0),y(0),0,y(1),2y(1),y(1),0,y(2),2y(2),y(2),0,y(3),2y(3))となる。
したがって、0値補間画像に対して、広帯域LPFをかけることで得られる拡大画像は、0値補間によって挿入されたゼロ点の影響によって、黒の縞模様が存在する、画質の劣化した画像となる。
広帯域LPFをかけることで得られる拡大画像は、図7Dに示したように、折り返し成分を含むが、高域の信号成分も含む。
したがって、複数の拡大画像を重み付け加算することで、拡大画像に含まれる折り返し成分を除去することにより、低域の信号成分の他、高域の信号成分も再現された高解像度の画像を得ること、すなわち、入力画像の高解像度化を行うことができる。
以上のように、折り返し成分を含む入力画像の高解像度化は、入力画像に対して、ゼロ点を挿入する0値補間を行い、その結果得られる0値補間画像に広帯域LPFを適用する(0値補間画像を広帯域LPFでフィルタリングする)拡大処理を利用して行うことができる。前述の特許文献1等に記載の従来の高解像度化技術は、この拡大処理を利用している。
しかしながら、0値補間画像に広帯域LPFを適用して得られる拡大画像は、上述したように、黒の縞模様が存在する、画質の劣化した画像となっている。
すなわち、折り返し成分を含む入力画像が、例えば、垂直方向の1方向に折り返し成分がある画像である場合には、垂直方向に隣接する画素どうしの間に、ゼロ点を挿入する0値補間が行われることによって、0値補間画像に広帯域LPFを適用することで得られる拡大画像は、黒の横縞(水平方向の縞模様)がある画像となる。
また、折り返し成分を含む入力画像が、例えば、ベイヤ配列の赤色の画素だけでなる画像のように、垂直方向と水平方向の2方向に折り返し成分がある画像である場合には、垂直方向に隣接する画素どうしの間と、水平方向に隣接する画素どうしの間に、ゼロ点を挿入する0値補間が行われることによって、0値補間画像に広帯域LPFを適用することで得られる拡大画像は、水平方向と垂直方向の両方に、黒い縞模様がある画像となる。
高速撮影された連続する入力画像として、ある程度多くの枚数(フレーム数)の画像がある場合には、従来の高解像度化技術によって、折り返し成分を減衰させた高解像度の画像を得ることができる。
しかしながら、入力画像として、少ない枚数の画像しかない場合、すなわち、極端には、1枚の画像しかない場合、従来の高解像度化技術によって得られる画像は、0値補間画像に広帯域LPFを適用して得られる拡大画像そのもの、つまり、黒の縞模様が存在する、画質の劣化した画像となり、そのような、黒の縞模様が存在する画像を、ユーザに提供することは望ましくない。
そこで、拡大処理として、線形補間や、最近傍補間(さらには、入力画像の周辺の画素を用いたその他の補間)を行い、拡大画像として、黒の縞模様がない画像を生成する方法がある。
しかしながら、拡大処理として、線形補間を行うことは、図4で説明したように、0値補間画像に対して、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域-fs/2ないしfs/2を通過帯域とするLPFを適用することに等しい。そして、この場合、図6Cで説明したように、0値補間画像に対してLPFを適用することにより、高域の信号成分が減衰するため、そのような高域の信号成分が減衰した拡大画像を、何枚用いて重み付け加算を行っても、高域の信号成分を復元することはできない。
これは、拡大処理として、最近傍補間、その他の、入力画像の周辺の画素を用いた補間を行う場合でも同様である。
すなわち、例えば、最近傍補間では、画素値を補間しようとする位置の画素の画素値として、その位置から最も近い位置にある画素の画素値が補間される。
具体的には、例えば、いま、折り返し成分を含む入力画像の、1方向(例えば、垂直方向)に連続に並んだ4画素の画素値の並びが、(y(0),y(1),y(2),y(3))であるとすると、画素数を2倍にする最近傍補間では、この4画素の画素値の並び(y(0),y(1),y(2),y(3))が、8個の画素値の並び(y(0),y(0),y(1),y(1),y(2),y(2),y(3),y(3))とされる。
この最近傍補間は、図4及び図5で説明したのと同様の拡大処理、すなわち、0値補間とLPFによるフィルタリングとによって行うことができる。
すなわち、入力画像の垂直方向の画素数を2倍にする場合には、まず、垂直方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間が行われる。
0値補間では、その0値補間後に、画素値の平均値が変化しないように、元の画素値が2倍される。したがって、0値補間によって、4画素の画素値の並び(y(0),y(1),y(2),y(3))は、7画素の画素値の並び(2y(0),0,2y(1),0,2y(2),0,2y(3))となる。
拡大処理として、最近傍補間を行う場合には、0値補間によって得られる0値補間画像、すなわち、7画素の画素値の並び(2y(0),0,2y(1),0,2y(2),0,2y(3))に対して、フィルタ係数が{1/2,1/2,0}のLPFが適用される。7画素の画素値の並び(2y(0),0,2y(1),0,2y(2),0,2y(3))に、フィルタ係数が{1/2,1/2,0}のLPFをかけると、7画素の画素値の並び(y(0),y(0),y(1),y(1),y(2),y(2),y(3),y(3))が得られる。
フィルタ係数が{1/2,1/2,0}のLPFは、元の画像の画素の位置を、半画素分(隣接する画素どうしの距離の1/2)だけずらずフィルタである。このフィルタは、2fsのサンプリング周波数に対応する周波数帯域-fsないしfsに対し、周波数が0のときのゲインが1で、最大周波数fs及び-fsのときのゲインが0になる特性を有する。
このため、0値補間画像に対して、フィルタ係数が{1/2,1/2,0}のLPFを適用することにより得られる拡大画像においては、高域の信号成分、特に、周波数がfs及び-fs付近の高周波数成分が減衰する。
したがって、拡大処理として、最近傍補間を行う場合、従来の高解像度化技術では、高域の信号成分が減衰した拡大画像の重み付け加算が行われる。
拡大処理として、2倍を超える倍率の最近傍補間を行う場合も、2倍の最近傍補間を行う場合と同様である。
例えば、拡大処理として、4倍の最近傍補間を行うことは、隣接する画素どうしの間に3個のゼロ点を挿入する0値補間を行い、その結果得られる0値補間画像に、フィルタ係数が{1/4,1/4,1/4,1/4,0}のLPFを適用することに等しい。
フィルタ係数が{1/4,1/4,1/4,1/4,0}のLPFは、4fsのサンプリング周波数に対応する周波数帯域-2fsないし2fsに対し、周波数が0のときのゲインが1で、最大周波数2fs及び-2fs、並びに中間周波数fs及び-fsのときのゲインが0になる特性を有する。
このため、0値補間画像に対して、フィルタ係数が{1/4,1/4,1/4,1/4,0}のLPFを適用することにより得られる拡大画像においては、高域の信号成分、特に、周波数がfs及び-fs付近の高周波数成分が減衰する。
したがって、0値補間画像に対して、フィルタ係数が{1/4,1/4,1/4,1/4,0}のLPFを適用することにより得られる拡大画像から、ナイキスト周波数fs/2の2倍の周波数fsに対応する周波数帯域-fsないしfsを取り出すために、その周波数帯域-fsないしfsを通過帯域とする広帯域LPFによって、拡大画像をフィルタリングしても、そのフィルタリングの結果得られる拡大画像では、高域の信号成分(周波数がfs及び-fs付近の高周波数成分)は減衰したままである。
したがって、拡大処理として、4倍の最近傍補間を行う場合も、従来の高解像度化技術では、高域の信号成分が減衰した拡大画像の重み付け加算が行われることになる。
ここで、図8に、拡大処理として、最近傍補間を行う場合のフィルタの特性(周波数特性)を示す。
すなわち、図8Aは、2倍の最近傍補間を行うための、フィルタ係数が{1/2,1/2,0}のLPF(最近傍補間フィルタ)の特性を示しており、図8Bは、4倍の最近傍補間を行うための、フィルタ係数が{1/4,1/4,1/4,1/4,0}のLPFの特性を示している。
なお、図8Aには、2倍の線形補間を行うための、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPF(線形補間フィルタ)の特性も示してある。また、図8Bには、4倍の線形補間を行うための、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}のLPFの特性も示してある。
以上のように、従来の高解像度化技術では、0値補間画像に広帯域LPFを適用する拡大処理を行うので、入力画像の枚数が少ない(例えば、1枚である)と、黒の縞模様が存在する、画質の劣化した画像が得られる。
また、拡大処理として、線形補間や最近傍補間を採用する場合には、入力画像が何枚あっても、重み付け加算では、信号成分の高域が(十分に)復元されず、(十分な)高解像度化を図ることができない。
そこで、図2の画像処理装置では、入力画像の枚数によらず、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができる高解像度化処理が行われる。
すなわち、図2の画像処理装置の高解像度化処理によれば、入力画像の枚数が少ない(例えば、1枚である)場合には、高解像度ではないが、黒の縞模様が存在しない、ある程度画質を維持した画像が生成され、入力画像の枚数が多くなるほど、高解像度で画質が良い画像が生成される。
以下、図2の画像処理装置の具体的な実施の形態について説明する。
[第1実施の形態]
図9は、本発明を適用した画像処理装置の第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図9の画像処理装置は、例えば、1方向に折り返し成分(1次元の折り返し成分)を含む画像を入力画像として、1フレーム以上の入力画像を2倍に拡大した拡大画像を用いる高解像度化処理を行う。
なお、1方向に折り返し成分を含む入力画像としては、例えば、折り返し成分を含まない画像のラインを1ラインおきに間引いて得られるインタレース画像がある。
また、第1実施の形態では、入力画像が静止画で、そこには、動きが(ほとんど)ない被写体のみが映っていることとし、さらに、画像処理装置には、そのような入力画像の1枚(フレーム)以上が高速撮影されて供給されることとする。
図9において、画像処理装置は、記憶部21、動き検出部22、拡大部23、位置合わせ部24、混合部25、加算部26、分離部27、及び、記憶部28から構成される。
記憶部21は、図2の記憶部11に対応する。記憶部11には、高速撮影された1フレーム以上の入力画像が供給される。記憶部11は、そこに供給される1フレーム以上の入力画像を一時記憶する。
動き検出部22は、記憶部21に記憶される1フレーム以上の入力画像の、ある1フレームの入力画像を(位置合わせの)基準として、その基準に対する入力画像の動きベクトルを検出し、位置合わせ部24に供給する。
ここで、基準の入力画像としては、記憶部21に記憶される1フレーム以上の入力画像のうちの、例えば、最初のフレームの入力画像を採用することもできるし、時間的に中央付近のフレームの入力画像を採用することもできる。
図9の画像処理装置(以下説明する画像処理装置も同様)では、高速撮影された複数フレームの入力画像を混合加算する(後述する混合と加算)ことによって、画像が高解像度にされる。従来の高解像度技術もそうであるが、図9の画像処理装置による画像の高解像度化は、入力画像の画素でサンプリングされている位置(被写体の位置)が、手ぶれ等によって、フレームごとに、微少にずれていることを前提とする。
例えば、ディジタルスチルカメラにおいて、高速撮影された複数フレームの入力画像を合成して、1枚の写真としての、高解像度の画像を生成する場合、その1枚の写真の生成のために高速撮影することができる入力画像は、例えば、8フレーム程度である。
そして、8フレームの入力画像を高速撮影する間の手ぶれは、等速直線運動とみなすことができる。この場合、8フレームの入力画像のうちの、時間的に中央付近の4フレーム目や5フレーム目の入力画像を基準とし、その基準の入力画像に対して、他の入力画像の位置合わせを行って、8フレームの入力画像の合成を行うことにより、1フレーム目の入力画像を基準とするときに比較して、合成に用いることができる画素の数が、基準の入力画像の中心部分で多くなる。その結果、中心部分が、周辺部分に比較してより高解像度になった画像を得ることができる。
なお、以下では、記憶部21に記憶される1フレーム以上の入力画像のうちの、例えば、最初のフレームの入力画像を、基準の入力画像とすることとする。
拡大部23は、図2の拡大部12に対応する。拡大部23は、記憶部11に記憶された1フレーム以上の入力画像を、順次、注目画像とし、その注目画像となった入力画像を、周辺の画素値を用いた補間(0値補間以外の補間)によって拡大する拡大処理を行う。そして、拡大部23は、拡大処理の結果得られる拡大画像を、位置合わせ部24に供給する。
ここで、図9では、拡大部23は、入力画像を、折り返し成分がある垂直方向に、2倍に拡大する拡大処理を行う。拡大処理としては、例えば、図4で説明したような、線形補間、すなわち、0値補間を行い、その結果得られる0値補間画像に、LPFを適用する処理が行われる。但し、LPFとしては、ナイキスト周波数fs/2を超える高周波数成分を、多少通過させるLPFが用いられる。
なお、以下では、記憶部21に記憶された1フレーム以上の入力画像のうちの、nフレーム目の入力画像を、入力画像Anともいい、その入力画像Anの拡大画像を、拡大画像Bnともいう。
位置合わせ部24は、図2の位置合わせ部13に対応する。位置合わせ部24は、拡大部23から供給される拡大画像Bnの位置を、後述する記憶部28に記憶された、直前に得られた出力画像Sn-1の位置に合わせる位置合わせを、動き検出部22から供給される動きベクトルに従って行う。そして、位置合わせ部24は、位置合わせ後の拡大画像Bnである位置合わせ画像Cnを、混合部25に供給する。
混合部25には、位置合わせ部24から、位置合わせ画像Cnが供給される他、分離部27から、記憶部28に記憶された、直前に得られた出力画像Sn-1の低周波数成分Lnが供給される。
混合部25は、位置合わせ部24からの位置合わせ画像Cn(位置合わせ後の拡大画像Bn)に対して、分離部27からの低周波数成分Lnを混合し、その混合によって得られる混合画像Dnを、加算部26に供給する。
ここで、位置合わせ画像Cnに対する、低周波数成分Lnの混合とは、位置合わせ画像Cnと低周波数成分Lnとの重み付け加算を意味する。
加算部26には、混合部25から、混合画像Dnが供給される他、分離部27から、記憶部28に記憶された、直前に得られた出力画像Sn-1の高周波数成分Hnが供給される。
加算部26は、混合部25からの混合画像Dnに対して、分離部27からの高周波数成分Hnを加算し、その加算の結果得られる画像を、新たな出力画像Sn(入力画像Anを用いて生成された画像)として出力する。
ここで、混合画像Dnに対する、高周波数成分Hnの加算とは、混合画像Dnと高周波数成分Hnとの単純加算を意味する。
また、図9において、混合部25と加算部26が、図2の混合加算部15に対応する。
以下、上述の混合と加算とを、まとめて、混合加算ともいう。
分離部27は、図2の分離部14に対応する。分離部27は、記憶部28に記憶された、直前に得られた出力画像Sn-1を、次の出力画像Snを生成するために、低周波数成分Lnと高周波数成分Hnとに分離し、混合部25と加算部26に供給する。すなわち、低周波数成分Lnは、混合部25に供給され、高周波数成分Hnは、加算部26に供給される。
記憶部28は、図2の記憶部16に対応する。記憶部28は、加算部26が出力する出力画像Snを記憶し、必要に応じて、外部に出力する。また、記憶部28は、前回記憶した出力画像Sn-1、すなわち、直前に得られた出力画像Sn-1を、分離部27に供給する。
以上のように構成される図9の画像処理装置では、例えば、記憶部21に、高速撮影された、垂直方向の折り返し成分を含む1フレーム以上のNフレームの入力画像が供給されて記憶される。
拡大部23は、記憶部11に記憶されたNフレームの入力画像を、1フレーム目の入力画像から、順次、注目画像とし、その注目画像となった入力画像Anを、周辺の画素値を用いた補間によって拡大する拡大処理を行う。そして、拡大部23は、拡大処理の結果得られる拡大画像Bnを、位置合わせ部24に供給する。
一方、動き検出部22は、記憶部21に記憶されたNフレームの入力画像のうちの1フレーム目の入力画像A1を基準として、その基準に対する入力画像Anの動きベクトルを検出し、位置合わせ部24に供給する。
位置合わせ部24は、拡大部23からの拡大画像Bnの位置を、記憶部28に記憶された、直前に得られた出力画像Sn-1の位置に合わせる位置合わせを、動き検出部22から供給される動きベクトルに従って行う。そして、位置合わせ部24は、位置合わせ後の拡大画像Bnである位置合わせ画像Cnを、混合部25に供給する。
ここで、拡大部23から位置合わせ部24に供給される拡大画像Bnが、(位置合わせの)基準となる1フレーム目の入力画像A1の拡大画像B1である場合(注目画像が1フレーム目の入力画像A1である場合)には、位置合わせ部24は、拡大部23からの拡大画像B1を、そのまま、位置合わせ画像C1として、混合部25に供給する。
一方、分離部27では、記憶部28に記憶された、直前に得られた出力画像Sn-1が、低周波数成分Lnと高周波数成分Hnとに分離され、低周波数成分Lnは、混合部25に供給され、高周波数成分Hnは、加算部26に供給される。
混合部25は、位置合わせ部24からの位置合わせ画像Cn(位置合わせ後の拡大画像Bn)に対して、分離部27からの低周波数成分Lnを混合(重み付け加算)し、その混合によって得られる混合画像Dnを、加算部26に供給する。
加算部26は、混合部25からの混合画像Dnに対して、分離部27からの高周波数成分Hnを加算し、その加算の結果得られる画像を、新たな出力画像Snとして出力する。
加算部26が出力した出力画像Snは、記憶部28に供給されて記憶される。
以下、記憶部21に記憶されたNフレームの入力画像のうちの、Nフレーム目が注目画像とされ、その注目画像としてのNフレーム目の入力画像に対する出力画像SNが記憶部28に記憶されるまで、同様の処理が繰り返される。
なお、注目画像が1フレーム目の入力画像である場合には、記憶部28には、直前に得られた出力画像が記憶されていないので、分離部27では、処理は(実質的に)行われない。さらに、混合部25及び加算部26でも、処理は行われない。
この場合、位置合わせ部24で得られた位置合わせ画像C1(上述したように、拡大画像B1に等しい)は、そのまま、出力画像S1として、記憶部28に記憶される。
次に、図10を参照して、図9の動き検出部22について説明する。
動き検出部22で検出された動きベクトルは、図9で説明したように、位置合わせ部24において、拡大画像Bnと、出力画像Sn-1との位置合わせに用いられる。
ここで、拡大画像Bnと、出力画像Sn-1との位置合わせを行うには、拡大画像Bnと、出力画像Sn-1との位置ずれを表す位置ずれ情報が必要である。
位置ずれ情報としては、例えば、出力画像Sn-1に対する、拡大画像Bnの動きベクトルを採用することができる。
但し、拡大画像は(出力画像も同様)、入力画像の画素数を増加させた画像であるため、画素数が多く、そのような、画素数が多い画像を対象として、動きベクトルの検出を行うのでは、演算量が大になる。
そこで、図9の動き検出部22では、拡大部23で拡大する前の入力画像An、すなわち、画素数が少ない画像を対象として、動きベクトルの検出を行い、これにより、拡大画像Bnを対象とする場合に比較して、演算量を削減するようになっている。
図10は、図9の動き検出部22の構成例を示している。
ここで、動きベクトルの検出の方法としては、ブロックマッチング法や、勾配法、その他の任意の方法を採用することができる。
図10の動き検出部22では、動きベクトルの検出の方法として、例えば、ブロックマッチング法が採用されている。
図10において、動き検出部22は、水平LPF41及び42、垂直LPF43及び44、ブロックマッチング部45、並びに、統計処理部46から構成される。
水平LPF41には、基準となる入力画像A1が、記憶部21(図9)から供給される。また、水平LPF42には、注目画像、すなわち、基準となる入力画像A1に対する動きベクトルを検出する対象の入力画像Anが、記憶部21から供給される。
水平LPF41は、入力画像A1を、水平方向にフィルタリングし、そのフィルタリング後の入力画像A1を、垂直LPF43に供給する。
垂直LPF43は、水平LPF41からの入力画像A1を、垂直方向にフィルタリングし、そのフィルタリング後の入力画像A1を、動きベクトルを検出する基準となる基準画像M1として、ブロックマッチング部45に供給する。
ここで、水平LPF41及び垂直LPF43は、入力画像A1に含まれる折り返し成分やノイズ等の信号成分以外を除去(低減)するためにかけるLPFであり、例えば、フィルタ係数が{68/1024, 89/1024, 107/1024, 120/1024, 128/1024, 128/1024, 120/1024, 107/1024, 89/1024, 68/1024}のフィルタである。
水平LPF42及び垂直LPF44も同様である。
すなわち、水平LPF42は、注目画像としての入力画像Anを、水平方向にフィルタリングし、垂直LPF44に供給する。垂直LPF44は、水平LPF41からの入力画像Anを、垂直方向にフィルタリングし、動きベクトルを検出する対象となる比較画像Mnとして、ブロックマッチング部45に供給する。
ブロックマッチング部45は、垂直LPF43からの基準画像M1を、複数の小ブロックに分割する。いま、この、基準画像M1の小ブロックを、基準ブロックということとすると、ブロックマッチング部45は、垂直LPF44からの比較画像Mnから、基準ブロックに最も類似するブロックを検索するブロックマッチングを行うことで、各基準ブロックについて、動きベクトルを検出する。
そして、ブロックマッチング部45は、基準画像M1のすべての基準ブロックについて、動きベクトルを検出すると、その動きベクトルを、統計処理部46に供給する。
統計処理部46は、ブロックマッチング部45は、基準画像M1のすべての基準ブロックの動きベクトルから、基準画像M1に対する比較画像Mnの全体の動きを表すグローバル動きベクトルを、例えば、統計的な処理によって求める。
すなわち、統計処理部46は、例えば、基準画像M1のすべての基準ブロックの動きベクトルの長さ(ベクトル長)を求め、そのベクトル長の平均値μと標準偏差σを求める。さらに、統計処理部46は、基準画像M1のすべての基準ブロックの動きベクトルの中で、ベクトル長が、μ±σの範囲にない動きベクトルを除外し、その除外によって残った動きベクトルの平均値を、グローバル動きベクトルとして求める。
このように、ベクトル長が、μ±σの範囲にない動きベクトルを除外することで、誤っている可能性が高い動きベクトルを用いずに、基準画像M1に対する比較画像Mnの全体の動きを、精度良く表すグローバル動きベクトルを求めることができる。
図9の位置合わせ部24では、以上のようなグローバル動きベクトルを用いて、拡大画像Bnの位置合わせが行われる。
ここで、図9では、拡大部23において、入力画像の垂直方向のみの画素数を2倍にした拡大画像が求められる。この場合、拡大画像のスケールは、垂直方向については、入力画像を用いて求められる動きベクトル(グローバル動きベクトル)のスケールの2倍になっている。
このため、動き検出部22は、統計処理部46で得られたグローバル動きベクトルを、拡大画像のスケールに調整して、すなわち、いまの場合、統計処理部46で得られたグローバル動きベクトルの垂直方向の成分(y成分)を2倍にして、位置合わせ部24に供給する。
そして、位置合わせ部24では、動き検出部22からのグローバル動きベクトルに基づき、拡大画像の位置を移動する位置合わせが行われ、これにより、出力画像に対して拡大画像の位置合わせを行った位置合わせ画像が生成される。
次に、図11を参照して、図10のブロックマッチング部45での動きベクトルの検出について、さらに説明する。
図11Aは、基準画像M1を示しており、図11Bは、比較画像Mnを示している。
ブロックマッチング部45は、基準画像M1を、例えば、横×縦が32画素×32画素の複数の基準ブロックに分割し、この基準ブロックについて、ブロックマッチングを行う。すなわち、ブロックマッチング部45は、基準ブロックが、比較画像Mnの、どの位置にずれているかをサーチ(探索)し、その位置ずれ量を、基準ブロックについての動きベクトルとして検出する。
比較画像Mnにおいて、基準ブロックをサーチするサーチ範囲には、その基準ブロックの位置を基準とする、例えば、横×縦が96画素×96画素の範囲が設定される。
ブロックマッチング部45は、比較画像Mnのサーチ範囲内において、基準ブロックと同一サイズの32画素×32画素の参照ブロックを、画素単位でずらしながら、基準ブロックに最も類似する参照ブロックの位置の探索を行う。
すなわち、ブロックマッチング部45は、基準ブロックと参照ブロックとの相関値を、基準ブロックと参照ブロックとの類似の度合いを評価する評価値として用い、サーチ範囲内の各位置の参照ブロックについて、相関値を求める。
ここで、サーチ範囲が、96画素×96画素の範囲であり、参照ブロックが、32画素×32画素のブロックである場合、基準ブロックに対する参照ブロックの相対的な座標 (vx,vy)は、式-32≦vx≦+32、及び、式-32 ≦ vy≦+32の範囲内の整数値vx及びvyで表される。したがって、この場合、65×65の位置の参照ブロックについて、相関値が求められる。
相関値としては、例えば、基準ブロックの画素の輝度値と、参照ブロックの同一の位置の画素の輝度値との差分の絶対値の、基準ブロック及び参照ブロック内の全画素についての総和(差分絶対値総和)SAD(Sum of Absolute Difference)を用いることができる。
いま、基準ブロックの左上の画素の座標を、(x0, y0)と表すとともに、基準ブロックからの相対的な座標が (vx,vy)の参照ブロックについての相関値を、SAD(vx, vy)と表すこととすると、相関値SAD(vx, vy)は、次式で求めることができる。
SAD(vx, vy) = ΣxΣy|M1(x0+x,y0+y)-Mn(x0+vx+x,y0+vy+y)|
・・・(1)
なお、式(1)において、M1(x0+x,y0+y)は、基準画像M1の、位置(座標)(x0+x,y0+y)の画素の画素値(例えば、輝度値)を表し、Mn(x0+vx+x,y0+vy+y)は、基準画像Mnの、位置(x0+vx+x,y0+vy+y)の画素の画素値を表す。
また、式(1)において、Σxは、xを、0ないし31の範囲の整数値に変えての総和を表し、Σyは、yを、0から31までの整数値に変えての総和を表す。
ブロックマッチング部45では、式(1)の相関値SAD(vx, vy)を最小にする座標(相対座標)(vx, vy)が、基準ブロックの動きベクトルとして検出される。
次に、図12を参照して、図9の拡大部23について説明する。
拡大部23は、記憶部21(図9)に記憶された入力画像Anの垂直方向の画素数を2倍にした拡大画像Bnを生成する拡大処理を行う。
従来の高解像度化技術では、折り返し成分を含む入力画像の拡大処理として、図6や図7で説明したように、0値補間と、その0値補間によって得られる0値補間画像の、広帯域LPFでのフィルタリングとが採用される。この場合、拡大画像は、0値補間画像等に等しく、黒の縞模様がある画像となる。
一方、拡大部23では、折り返し成分を含む入力画像の拡大処理として、従来、折り返し成分を含まない入力画像の拡大に用いられる、0値補間と、その0値補間によって得られる0値補間画像の、ナイキスト周波数fs/2を超える周波数成分を減衰させるが、多少は残すLPFによるフィルタリングとが採用される。
このような拡大部23の拡大処理としては、入力画像の周辺の画素値を用いる各種の補間、すなわち、例えば、線形補間(linear interpolation)や、最近傍補間(ニアレストネイバー法、nearest neighbor)、キュービック補間(cubic convolution)等がある。
拡大部23の拡大処理として採用する補間は、入力画像の周辺の画素値を用いる補間であれば、どのような補間であっても良いが、入力画像の高域の周波数成分(周波数fs付近の周波数成分)が、ある程度残る補間であることが望ましい。
図12Aは、図9の拡大部23の構成例を示している。
図12Aの拡大部23では、入力画像が、例えば、線形補間によって、垂直方向の画素数が2倍になった拡大画像に拡大される。
すなわち、図12Aにおいて、拡大部23は、補間部61と垂直LPF62から構成される。
補間部61には、記憶部21(図9)から、入力画像が供給される。補間部61は、記憶部21からの入力画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間を行い、その結果得られる0値補間画像を、垂直LPF62に供給する。
なお、0値補間では、図4ないし図7で説明したように、0値補間後に、画素値の平均値が変化しないように、元の画素値が調整されるが、以下では、この画素値の調整の説明は、適宜省略する。
垂直LPF62は、例えば、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFであり、補間部61からの0値補間画像を垂直方向にフィルタリングし、これにより、入力画像の垂直方向の画素数を、線形補間によって2倍にした拡大画像を生成して、位置合わせ部24(図9)に供給する。
図12Bは、拡大部23での拡大処理の対象とされる入力画像の垂直方向の周波数特性を示している。
第1実施の形態においては、入力画像は、上述したように、垂直方向に折り返し成分を含む。図12Bでは、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表している。
図12Cは、補間部61で得られる、入力画像の0値補間後の0値補間画像の垂直方向の周波数特性を示している。
図6で説明したように、折り返し成分を含む入力画像(例えば、周波数成分の最大の周波数が周波数fsの、折り返し成分のない画像のラインを1ラインおきに間引くことで生成される入力画像)について、0値補間を行って得られる0値補間画像では、周波数帯域-fsないしfsの全体に亘る信号成分(図12Cの実線部分)が再現されるが、折り返し成分(図12Cの点線部分)も再現される。
図12Dは、図12Cの0値補間画像を、垂直LPF62でフィルタリングして得られる画像、すなわち、入力画像の線形補間を行うことで得られる拡大画像の周波数特性を示している。
0値補間画像(図12C)を、垂直LPF62でフィルタリングすることにより得られる拡大画像では、高域fs/2ないしfsの折り返し成分を減衰させることができるが、高域fs/2ないしfsの信号成分も減衰する。逆に言えば、拡大画像では、高域fs/2ないしfsの折り返し成分が多少残るが、高域fs/2ないしfsの信号成分も多少残る。
図12Eは、垂直LPF62のフィルタ特性(フィルタの周波数特性)を示している。
0値補間画像(図12C)は、図12Eのフィルタ特性の垂直LPF62でフィルタリングされることにより、高域fs/2ないしfsの周波数成分が減衰した拡大画像(図12D)となる。
なお、図12では、補間部61で0値補間を行い、その結果得られる0値補間画像を、垂直LPF62でフィルタリングすることにより、入力画像を線形補間によって拡大した拡大画像を生成するようにしたが、実際の実装では、拡大画像は、入力画像に対して、単に、線形補間の補間値を挿入することで生成することができる。この場合、0値補間、及びフィルタリングを行う場合に比較して、拡大画像の生成に要する演算量を低減することができる。
次に、図13を参照して、図9の位置合わせ部24について説明する。
図13Aは、図9の位置合わせ部24の構成例を示している。
図13Aにおいて、位置合わせ部24は、水平多タップAPF(All Pass Filter)71、及び、垂直多タップAPF72から構成される。
水平多タップAPF71には、位置合わせ部24(図9)から、拡大画像Bnが供給されるとともに、動き検出部22(図9)から、拡大画像Bnに対応する入力画像Anを用いて求められたグローバル動きベクトルが、拡大画像Bnについての動きベクトルとして供給される。
水平多タップAPF71は、動き検出部22からの、拡大画像Bnについての動きベクトルの水平方向の成分(x成分)に基づいて、位置合わせ部24からの拡大画像Bnをフィルタリングすることにより、拡大画像Bn(の画素の位置)を、その拡大画像Bnについての動きベクトルのx成分に対応する分だけ移動し、垂直多タップAPF72に供給する。
垂直多タップAPF72は、動き検出部22からの、拡大画像Bnについての動きベクトルの垂直方向の成分(y成分)に基づいて、水平多タップAPF71からの拡大画像Bnをフィルタリングすることにより、拡大画像Bn(の画素の位置)を、その拡大画像Bnについての動きベクトルのy成分に対応する分だけ移動し、その結果得られる拡大画像Bnを、記憶部28に記憶された出力画像(1フレーム前の出力画像)Sn-1に位置合わせを行った位置合わせ画像Cn(位置合わせ後の拡大画像Bn)として、混合部25(図9)に供給する。
以上のように構成される位置合わせ部24では、水平多タップAPF71、及び、垂直多タップAPF72において、動き検出部22からの、拡大画像Bnについての動きベクトルに基づいて、拡大画像Bnがフィルタリングされることにより、拡大画像Bnの各画素を、記憶部28に記憶された出力画像Sn-1の対応する画素(同一の被写体が映った画素)の位置に一致させた位置合わせ画像Cnが生成される。
すなわち、いま、動き検出部22からの、拡大画像Bnについての動きベクトルVが、V=(-Vx,-Vy)であるとすると、位置合わせ部24は、拡大画像Bn(の画素)を、動きベクトルVに基づいて、その動きベクトルVに対応するベクトル(Vx,Vy)だけずらして、出力画像Sn-1の位置とを合わせる。
具体的には、いま、水平方向及び垂直方向のうちの、水平方向に注目すると、動きベクトルVのx成分-Vxが整数である場合には、水平多タップAPF71は、拡大画像Bnを、水平方向に、Vxだけ移動し、拡大画像Bnとの比較で、画質の劣化がない位置合わせ画像Cnを生成する。
動きベクトルVのx成分-Vxが整数でない場合には、水平多タップAPF71は、拡大画像Bnを、水平方向に、整数int(Vx)(int(x)は、x以下の最大の整数を表す)だけ移動する。さらに、水平多タップAPF72は、その移動後の拡大画像Bnの各画素の、小数Vx-int(Vx)だけ、水平方向にずれた位置に、画素を補間するフィルタリングを行うことで、その補間により得られた画素からなる画像を、位置合わせ画像Cnとして生成する。
なお、高解像度の出力画像、すなわち、ナイキスト周波数以上の信号成分を含む出力画像を生成するには、水平多タップAPF71での補間によって、拡大画像Bnの高周波数成分を劣化させないことが望ましい。
したがって、水平多タップAPF71での補間のためのフィルタリングのフィルタ係数としては、sinc関数をそのまま用いることが望ましいが、それでは、タップ長が無限長となる。このため、水平多タップAPF71としては、実際には、sinc関数に窓関数をかけてタップ数を制限したLPFが用いられる。なお、水平多タップAPF71は、拡大画像Bnに含まれる周波数成分すべてをなるべく通過させるために、拡大画像Bnに含まれる周波数成分の最大の周波数以下の周波数で、周波数特性がなるべくフラットになり、かつ、ロールオフがなるべく急峻になるように、可能な範囲で、多くのタップ(多タップ)で構成される。
ここで、水平多タップAPF71において、例えば、小数点以下が8ビットの精度(拡大画像Bnの水平方向に隣接する画素どうしの間を、28個に等分する位置の精度)で、画素の補間を行うこととすると、水平多タップAPF71の1個のタップのフィルタ係数は、256(=28)通りの値をとり得る。
さらに、水平多タップAPF71のタップ数が、例えば、8タップであるとすると、フィルタの対称性から、8タップのフィルタ係数が取り得る値のパターンは、256×8/2通りとなる。
したがって、256×8/2パターンのフィルタ係数を、sinc関数から求め、水平多タップAPF71に、小数Vx-int(Vx)を表す8ビットを引数とする配列として記憶させておけば、水平多タップAPF71では、補間を行うフィルタリングのたびに、フィルタ係数を演算する必要がなくなって、演算量を低減することができる。
この場合、水平多タップAPF71では、動き検出部22(図9)からの動きベクトルから、小数Vx-int(Vx)が求められる。さらに、水平多タップAPF71では、その小数Vx-int(Vx)を表す8ビットを引数として、フィルタ係数が決定され、フィルタリングが行われる。
垂直多タップAPF72でも、水平多タップAPF71と同様にして、拡大画像Bnの垂直方向の位置合わせを行うフィルタリングが行われる。
なお、図9で説明したように、1フレーム目の入力画像A1の拡大画像B1は、そのまま、記憶28に記憶されて、出力画像S1となる。したがって、図9の位置合わせ部24での、拡大画像Bnの、出力画像Sn-1に対する位置合わせは、拡大画像Bnを、拡大画像B1の位置に合わせることに等しい。
図13Bは、位置合わせ部24での位置合わせの対象とされる拡大画像Bnの水平方向の周波数特性を示している。
拡大画像Bnは、水平方向の折り返し成分を含んでおらず、したがって、信号成分のみが、ナイキスト周波数fs/2以下に存在する。
図13Cは、位置合わせ部24において、拡大画像Bnの位置合わせを行うことで得られる位置合わせ画像Cnの水平方向の周波数特性を示している。
水平多タップAPF71は、拡大画像Bnに含まれる水平方向の周波数成分すべてをなるべく通過させるために、拡大画像Bnに含まれる水平方向の周波数成分の最大の周波数fs/2以下の周波数で、周波数特性がなるべくフラットになるように、可能な範囲で、多タップで構成される。したがって、位置合わせ画像Cnの水平方向の周波数特性は、(理想的には、)拡大画像Bnの水平方向の周波数特性と同様となる。
図13Dは、水平多タップAPF71のフィルタ特性を示している。
水平多タップAPF71は、(理想的には、)拡大画像Bnに含まれる水平方向の周波数成分すべて、すなわち、水平方向の折り返し成分がない拡大画像Bnについては、周波数fs/2以下の周波数成分を通過させるAPFになっている。
なお、水平多タップAPF71のフィルタ特性は、フィルタリングにより補間を行う画素の水平方向の位置(小数Vx-int(Vx))により多少異なる。すなわち、有限のタップ数の水平多タップAPF71のフィルタ特性は、小数Vx-int(Vx)が大であるほど、周波数fs/2付近のゲインが小となる。
図13Eは、位置合わせ部24での位置合わせの対象とされる拡大画像Bnの垂直方向の周波数特性を示している。
図13Eは、図12Dと同一の図であり、拡大画像Bnは、高域fs/2ないしfsの周波数成分(信号成分及び折り返し成分)が減衰した画像になっている。なお、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表している。
図13Fは、位置合わせ部24において、拡大画像Bnの位置合わせを行うことで得られる位置合わせ画像Cnの垂直方向の周波数特性を示している。
垂直多タップAPF72は、拡大画像Bnに含まれる垂直方向の周波数成分すべてをなるべく通過させるために、拡大画像Bnに含まれる垂直方向の周波数成分の最大の周波数fs以下の周波数で、周波数特性がなるべくフラットになるように、可能な範囲で、多タップで構成される。したがって、位置合わせ画像Cnの垂直方向の周波数特性は、(理想的には、)拡大画像Bnの垂直方向の周波数特性(図13E)と同様となる。
図13Gは、垂直多タップAPF72のフィルタ特性を示している。
垂直多タップAPF72は、(理想的には、)拡大画像Bnに含まれる垂直方向の周波数成分すべて、すなわち、垂直方向の折り返し成分を含む拡大画像Bnについては、周波数fs以下の周波数成分を通過させるAPFになっている。
なお、垂直多タップAPF72のフィルタ特性は、水平多タップAPF71と同様に、フィルタリングにより補間を行う画素の垂直方向の位置(小数Vy-int(Vy))により多少異なる。すなわち、有限のタップ数の垂直多タップAPF72のフィルタ特性は、小数Vy-int(Vy)が大であるほど、周波数fs付近のゲインが小となる。
次に、図14を参照して、図9の分離部27について説明する。
図14Aは、図9の分離部27の構成例を示している。
図14Aにおいて、分離部27は、垂直LPF81と演算部82とから構成され、上述したように、記憶部28に記憶された出力画像Sn-1を、低周波数成分Lnと高周波数成分Hnとに分離する。
すなわち、垂直LPF81には、記憶部28に記憶された出力画像Sn-1が供給される。
垂直LPF81は、記憶部28からの出力画像Sn-1を垂直方向にフィルタリングすることにより、出力画像Sn-1の低周波数成分Lnを抽出し、演算部82と、混合部25に供給する。
演算部82には、垂直LPF81から、低周波数成分Lnが供給される他、記憶部28に記憶された出力画像Sn-1が供給される。
演算部82は、記憶部28からの出力画像Sn-1から、垂直LPF81からの低周波数成分Lnを減算することにより、出力画像Sn-1から、その高周波数成分Hnを抽出し、加算部26に供給する。
図14Bは、垂直LPF81のフィルタ特性を示している。
分離部27のフィルタである垂直LPF81は、入力画像に含まれる折り返し成分の方向である垂直方向のフィルタ特性として、拡大部23のフィルタである垂直LPF62(図12)と、位置合わせ部24のフィルタである垂直多タップAPF72(図13)とを縦続接続したフィルタと同一の特性を有する。
なお、図9の画像処理装置では、位置合わせ部24の垂直多タップAPF72(図13)は、拡大画像Bnに含まれる垂直方向の周波数成分すべてを通過させる、多タップのAPFであるため、垂直LPF81のフィルタ特性は、結局、拡大部23の垂直LPF62のフィルタ特性(図12E)と同一となる。
図9の画像処理装置では、拡大部23の垂直LPF62は、図12で説明したように、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFであり、したがって、垂直LPF81としては、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFが採用される。
図14Cは、加算部26で得られる出力画像Snの垂直方向の周波数特性の変化を示している。
なお、図14Cにおいて、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表す。
上述したように、記憶部21(図9)に記憶されたNフレームの入力画像のうちの、1フレーム目が注目画像とされた場合には、その1フレーム目の入力画像A1の拡大画像B1が、そのまま、出力画像S1として、記憶部28に記憶される。
そして、以降は、混合部25において、位置合わせ部24からの位置合わせ画像Cnと、出力画像Sn-1の低周波数成分Lnとが混合されることにより、混合画像Dnが生成され、加算部26において、混合画像Dnと、出力画像Sn-1の高周波数成分Hnとが加算されることにより、新たな出力画像Snが生成される混合加算が、記憶部21(図9)に記憶されたNフレームの入力画像を、順次、注目画像として、繰り返される。
その結果、図14Cに示すように、1フレーム目の入力画像A1を注目画像として行われた混合加算によって得られる出力画像S1は、入力画像A1の解像度で、折り返し成分を含む画像であるが、混合加算が進行するにつれ、すなわち、注目画像とされる入力画像Anが多くなっていくにつれ、混合加算によって得られる出力画像Snは、高解像度で(高域fs/2ないしfsの信号成分が復元され)、かつ、折り返し成分が減衰した高画質の画像になっていく。
以上のように、分離部27のフィルタである垂直LPF81として、拡大部23のフィルタである垂直LPF62(図12)と、位置合わせ部24のフィルタである垂直多タップAPF72(図13)とを縦続接続したフィルタと同一の特性を有するフィルタを採用し、かつ、低周波成分Lnを混合(重み付け加算)し、高周波数成分Hnを加算する混合加算を行うことにより、混合加算が進行していくにつれて、出力画像Snの高域fs/2ないしfsの信号成分が復元され、かつ、折り返し成分が減衰するのは、以下の原理(以下、高解像度化原理ともいう)による。
すなわち、分離部27では、垂直LPF81が、記憶部28からの出力画像Sn-1を垂直方向にフィルタリングすることにより、出力画像Sn-1の低周波数成分Lnを抽出し、演算部82と、混合部25に供給する。
いま、出力画像Sn-1の位置tの画素の画素値を、s'(t)と、出力画像Sn-1の低周波数成分Lnのうちの、位置tの画素の画素値の低周波数成分を、l(t)と、出力画像Sn-1の高周波数成分Hnのうちの、位置tの画素の画素値の高周波数成分を、h(t)と、それぞれ表すこととすると、演算部82は、次式の演算を、出力画像Sn-1のすべての画素について行うことで、出力画像Sn-1の高周波数成分Hnを求め、加算部26に供給する。
h(t) = s'(t)-l(t)
・・・(2)
一方、混合部25では、位置合わせ部24(図9)からの位置合わせ画像Cnと、分離部27からの低周波数成分Lnを混合し、その結果得られる混合画像Dnを、加算部26に供給する。
すなわち、混合画像Dnの位置tの画素の画素値を、d(t)と、位置合わせ画像Cnの位置tの画素の画素値を、c(t)と、それぞれ表すこととすると、混合部25は、次式の演算(重み付け加算)を、混合画像Dnのすべての画素について行うことで、混合画像Dnを求め、加算部26に供給する。
d(t) = α×c(t)+(1-α)×l(t)
・・・(3)
ここで、混合比αは、混合である重み付け加算に用いる重みであり、0<α<1の範囲の実数値である。
混合比αとしては、例えば、0.3等の固定値を採用することができる。
また、後述するように、式(3)の混合比αは、位置tの画素の動きの程度に応じて、混合比α'(0<α<1)に調整し、その調整後の混合比α'を、混合比αに代えて用いることができる。
さらに、混合比αは、例えば、後述するような、混合加算に用いられる位置合わせ画像Cnが何フレーム目の入力画像Anに対応する画像であるかに応じた可変の値とすることができる。
加算部26では、混合部25からの位置合わせ画像Dnと、分離部27からの出力画像Sn-1の高周波数成分Hnとを加算することで、新たな出力画像Snを生成する。
すなわち、出力画像Snの位置tの画素の画素値を、s(t)と表すこととすると、加算部26は、次式の演算(加算)を、出力画像Snのすべての画素について行うことで、出力画像Snを求める。
s(t)= d(t) + h(t)
・・・(4)
ここで、拡大部23(図9)では、図12で説明したように、高域fs/2ないしfsの周波数成分(垂直方向の周波数成分)が減衰した拡大画像Bnが生成される。したがって、そのような拡大画像Bnから生成される位置合わせ画像Cnと、出力画像Sn-1とを単に加算していくだけでは、その加算によって得られる出力画像Snは、やはり、高域fs/2ないしfsの周波数成分が減衰した画像となる。
これに対して、混合加算では、出力画像Sn-1の低周波数成分Lnは、位置合わせ画像Cnと混合され、高周波数成分Hnは、位置合わせ画像Cnと加算される。かかる混合加算が、十分なフレーム数の位置合わせ画像Cn(ひいては、入力画像An)を用いて行われることで、高域fs/2ないしfsの周波数成分も再現された出力画像Snが生成される。
すなわち、拡大部23の補間部61において、垂直方向の折り返し成分を含む入力画像Anの0値補間を行って得られる0値補間画像は、高速撮像された連続する入力画像A1ないしANのすべてに共通の信号成分Aと、nフレーム目の入力画像Anに固有の折り返し成分Znを含んでいる。したがって、入力画像Anの0値補間画像は、式A+Znで表すことができる。
いま、拡大部23の、折り返し成分の方向である垂直方向にフィルタリングを行うフィルタである垂直LPF62(図12)と、位置合わせ部24の、折り返し成分の方向である垂直方向にフィルタリングを行うフィルタである垂直多タップAPF72とを縦続接続したフィルタの特性を、Fと表すと、混合加算に用いられる位置あわせ画像Cnは、式(5)で表される。
Cn = F×(A+Zn) = F×A + F×Zn
・・・(5)
高速撮像された連続する入力画像A1ないしANが、例えば、手ぶれ等によって、サンプリングの位置(被写体の位置)が異なった画像になっている場合には、図1に示したように、信号成分Aは一致する(共通する)が、折り返し成分Znについては、位相が異なる。
ここで、位置合わせ画像Cnと、出力画像Sn-1とを重み付け加算する場合、すなわち、例えば、n枚の位置合わせ画像C1ないしCnの平均値を、出力画像Snとする場合には、式(6)で表される出力画像Snが得られる。
Sn = Σk(Ck/n) = F×A + F×(Σk(Zk))/n
・・・(6)
なお、式(6)において、Σkは、kを1からnまでの整数値に変えての総和を表す。
式(6)において、折り返し成分Zkの総和Σk(Zk)は、折り返し成分Zkどうしが、ある程度打ち消し合って、それほど大きな値にならない。そして、重み付け加算を行う位置合わせ画像Cnのフレーム数nが大になるほど、式(6)の右辺の第2項F×(Σk(Zk))/nは、小さくなる。
重み付け加算を行う位置合わせ画像Cnのフレーム数nが十分に大である場合、式(6)の右辺の第2項F×(Σk(Zk))/nは、0とみなすことができ、この場合、式(6)の出力画像Snは、式(7)で表すことができる。
Sn = F×A
・・・(7)
以上のように、位置合わせ画像Cnと、出力画像Sn-1とを重み付け加算する場合には、十分なフレーム数nの位置合わせ画像Cnを用いることで、折り返し成分Znを除去することができる。
しかしながら、重み付け加算のみによって得られる式(7)の出力画像Snは、信号成分Aを、フィルタ特性FのLPFでフィルタリングした画像であり、高域の信号成分は復元されない。
一方、混合加算では、混合(重み付け加算)の他に、加算が行われることで、折り返し成分の除去に加えて、高域の信号成分の復元も行われる。
すなわち、分離部27の、折り返し成分の方向である垂直方向にフィルタリングを行うフィルタである垂直LPF81(図14)は、拡大部23の垂直LPF62(図12)と、位置合わせ部24の垂直多タップAPF72とを縦続接続したフィルタの特性Fと同一の特性を有するから、そのような垂直LPF81で得られる、出力画像Sn-1の低周波数成分Lnは、次式で表すことができる。
Ln=F×Sn-1
・・・(8)
また、分離部27の演算部82で得られる、出力画像Sn-1の高周波数成分Hnは、次式で表すことができる。
Hn=(1-F)×Sn-1
・・・(9)
さらに、混合部25(図9)での混合(重み付け加算)の結果得られる混合画像Dnは、次式で表すことができる。
Dn = α×Cn + (1-α)×Ln
・・・(10)
また、加算部26(図9)での加算の結果得られる新たな出力画像Snは、次式で表すことができる。
Sn = Dn + Hn
・・・(11)
式(11)は、式(8)ないし式(10)から、式(12)に変形することができる。
Sn = α×Cn + (1-α)×F×Sn-1 + (1-F)×Sn-1
・・・(12)
さらに、式(12)は、式(5)を代入して、Cnを消去すると、式(13)になる。
Sn = (1-αF)×Sn-1 + α×F×A + α×F×Zn
・・・(13)
式(13)によれば、混合加算で得られる新たな出力画像Snは、1フレーム前の出力画像(直前に得られた出力画像)Sn-1を用いて表すことができる。
ここで、混合加算では、高域の周波数成分が加算されるので、式(6)及び式(7)で説明した場合と同様に、混合加算を行う位置合わせ画像Cnのフレーム数nが十分に大である場合には、折り返し成分Znのうちの高域の成分は0になる(除去される)。
また、混合加算では、低域の周波数成分が、混合比αを重みとする重み付け加算によって、やはり加算されるので(各フレームの位置合わせ画像Cnの低周波数成分が均等ではない割合で加算されるので)、混合加算を行う位置合わせ画像Cnのフレーム数nが十分に大である場合には、折り返し成分Znのうちの低域の成分は0になる。
さらに、混合加算では、低域と高域との間の中域の周波数成分が、上述の低域や高域の周波数成分と同様に加算されるので、やはり、混合加算を行う位置合わせ画像Cnのフレーム数nが十分に大である場合には、折り返し成分Znのうちの中域の成分は0になる。
したがって、混合加算を行う位置合わせ画像Cnのフレーム数nが十分に大である場合には、式(13)の折り返し成分Znは0となり、出力画像Snは、次式で表すことができる。
Sn = (1-αF)×Sn-1 + α×F×A
・・・(13)
式(13)を漸化式として解くと、式(14)が得られる。
Sn = A + (1-αF)n-1 ×(S1-A)
・・・(14)
フィルタ特性FのLPFが、例えば、上述した、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のフィルタである場合、このフィルタは、直流成分(周波数が0)のゲインが最大値1となり、高域の周波数成分のゲインが最小値0となる、ゲインが、全帯域(ここでは、fs以下の周波数帯域)で0ないし1の範囲のLPFである。
したがって、式(14)の1-αFは、最小値(最小ゲイン)が、1-αとなり、最大値(最大ゲイン)が1となる、全帯域で1以下の値となる。
よって、(1-αF)n-1は、混合加算を行う位置合わせ画像Cnのフレーム数nが大であるほど、0に近づき、フレーム数nが十分大となると、0になる。
したがって、出力画像Snは、最初(位置合わせ画像C1の混合加算が行われたとき)は、初期値S1、すなわち、位置合わせ画像C1になるが、混合加算が繰り返されると、徐々に、信号成分Aに近づく。つまり、折り返し成分が除去され、かつ、高域の信号成分が復元された出力画像Sn=Aを得ることができる。
なお、混合加算では、以上のように、折り返し成分が除去され、かつ、高域の信号成分
が復元されるが、一般的な強調処理(エンハンス、enhance)のように、特定の周波数成分を強調することはしない。
すなわち、一般的な強調処理を繰り返すと、特定の周波数成分が強調されすぎることがあるが、混合加算が繰り返されることにより、出力画像Snは、入力画像A1ないしAnに含まれる信号成分Aに近づく。
以上のように、混合加算を行う図9の画像処理装置によれば、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができる。
すなわち、入力画像の枚数(フレーム数)が多いほど(混合加算を行う画像の数が多いほど)、折り返し成分が低減された、高解像度の出力画像(高域の周波数成分が復元された出力画像)を得ることができる。
さらに、混合加算は、拡大部23において、線形補間等の、入力画像の周辺の画素を用いた補間によって生成された拡大画像を用いて行われるので、何らかの理由で、入力画像として、少ない枚数の画像しかない場合であっても、すなわち、極端には、1枚の画像しかない場合であっても、従来の高解像度化技術のように、黒の縞模様が存在する画像が、ユーザに提供されることを防止することができる。すなわち、例えば、入力画像が、1枚の画像しかない最悪の場合であっても、ユーザに提供される出力画像の画質としては、実用的に耐え得る画質、すなわち、線形補間等によって得られる画像の画質が保証される。
なお、図12では、拡大部23のフィルタとして、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}の、線形補間を行う垂直LPF62を採用したが、拡大部23のフィルタとしては、その他、例えば、フィルタ係数が{1/2,1/2,0}等の、最近傍補間を行うフィルタや、フィルタ係数が{-1/16,0,9/16,1,9/16,0,-1/16}等の、キュービック補間を行うフィルタ等を、垂直LPF62に代えて採用することができる。
拡大部23のフィルタとして、上述のような最近傍補間を行うフィルタや、キュービック補間を行うフィルタを採用する場合、分離部27(図14)でも、垂直LPF81に代えて、拡大部23のフィルタと同一のフィルタ特性のフィルタが採用される。
また、上述の場合には、分離部27のフィルタ(垂直LPF81(図14))として、拡大部23のフィルタ(垂直LPF62(図12))と、位置合わせ部24のフィルタ(垂直多タップAPF72(図13))とを縦続接続したフィルタ(以下、縦続接続フィルタともいう)と同一のフィルタ特性を有するフィルタを採用したが、分離部27のフィルタは、縦続接続フィルタのフィルタ特性と類似する特性のフィルタであっても良い。
さらに、上述の場合には、Znが、入力画像Anに含まれる折り返し成分を表すこととしたが、Znは、入力画像Anに含まれる、ノイズ成分(折り返し成分を含んでいてもよい)を表すこととすることができる。ノイズ成分がガウス分布に従うとすれば、ノイズ成分は、加算(重み付け加算)により打ち消し合うので、混合加算によれば、ノイズ成分を除去した出力画像を得ることができる。
また、図10では、動き検出部22において、動きベクトルを検出し、位置合わせ部24では、その動きベクトルに基づいて、拡大画像と出力画像との位置合わせを行うようにしたが、その他、動き検出部22では、例えば、拡大画像と出力画像との位置を一致させるアフィン(Affine)変換の係数を、例えば、最小自乗法等によって求め、位置合わせ部24では、そのアフィン変換の係数に基づくフィルタリングを行って、拡大画像と出力画像との位置合わせを行うことができる。
すなわち、この場合、位置合わせ部24は、拡大画像を、出力画像の位置に位置合わせしたときの、拡大画像の各画素の座標(以下、位置合わせ座標という)を、動き検出部22で求められた係数によるアフィン変換によって算出する。そして、位置合わせ部24は、拡大画像の位置合わせ座標が表す位置の画素の画素値を用いた補間を行うフィルタによって、出力画像の画素の位置の、位置合わせ画像の画素の画素値を求める。
動きベクトルに基づく、拡大画像と出力画像との位置合わせでは、平行移動のみによって、位置合わせが行われるが、アフィン変換の係数に基づくフィルタリングによる、拡大画像と出力画像との位置合わせでは、平行移動の他、拡大縮小や、回転をも行って、位置合わせが行われる。したがって、位置合わせの精度を向上させることができる。
[第2実施の形態]
図15は、本発明を適用した画像処理装置の第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の画像処理装置の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図15において、画像処理装置は、図9の場合と同様に、記憶部21、動き検出部22、拡大部23、位置合わせ部24、混合部25、加算部26、分離部27、及び、記憶部28から構成される。
但し、図9の画像処理装置では、記憶部28からの出力画像の外部への出力が、記憶部21に記憶された入力画像A1ないしAN(から生成される拡大画像B1ないしBNの位置合わせによって得られる位置合わせ画像C1ないしCN(位置合わせ後の拡大画像B1ないしB))すべての混合加算が行われた後に行われるが、図15の画像処理装置では、記憶部28からの出力画像の外部への出力が、1フレームの入力画像Anの混合加算のたびに行われるようになっている。
そのため、図9の画像処理装置では、位置合わせ部24での拡大画像と出力画像との位置合わせが、拡大画像を、出力画像の位置(図9では、基準となる入力画像A1の拡大画像B1の位置)に合わせることで行われるようになっているが、図15の画像処理装置では、位置合わせ部24での拡大画像と出力画像との位置合わせが、出力画像を、混合加算の対象となっている拡大画像の位置に合わせることで行われるようになっている。
すなわち、図15では、拡大部23で生成された拡大画像が、位置合わせ部24をバイパスして、混合部25に供給される。さらに、混合部25及び加算部26において、拡大部23からの拡大画像を用いて、混合加算が行われ、その混合加算により得られる新たな出力画像が、記憶部28に供給されて記憶される。そして、その新たな出力画像は、記憶部28から、外部に出力される。
また、記憶部28に記憶された新たな出力画像は、拡大部23において、次のフレームの拡大画像が生成されるときに、直前に得られた出力画像(1フレーム前の出力画像)として、位置合わせ部24に供給される。位置合わせ部24では、記憶部28からの出力画像を、拡大部23で生成される拡大画像の位置に合わせる位置合わせが行われ、その位置合わせ後の出力画像が、分離部27に供給される。
分離部27は、位置合わせ部24からの、位置合わせ後の出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離し、低周波数成分を、混合部25に供給し、高周波数成分を、加算部26に供給する。
混合部25では、分離部27からの、位置合わせ後の出力画像の低周波数成分と、拡大部23からの拡大画像との混合が行われ、その混合によって得られる混合画像が、加算部26に供給される。
加算部26では、分離部27からの、位置合わせ後の出力画像の低周波数成分と、混合部25からの混合画像との加算が行われ、その結果得られる出力画像を、記憶部28に供給する。
上述の図9の画像処理装置では、Nフレームの入力画像A1ないしANのうちのいずれの入力画像Anが混合加算されるときも、1フレーム目の入力画像A1に被写体が映っている位置に、その被写体が映った出力画像が生成される。
これに対して、図15の画像処理装置では、入力画像Anが混合加算されるときは、その入力画像Anに被写体が映っている位置に、その被写体が映った出力画像が生成される。
ここで、Nフレームの入力画像A1ないしANのうちのいずれの入力画像Anが混合加算されるときも、1フレーム目の入力画像A1に被写体が映っている位置に、その被写体が映った出力画像を生成する混合加算は、例えば、入力画像Anが静止画である場合(この場合、出力画像も静止画である)に便利であり、以下、適宜、静止画用混合加算という。
また、入力画像Anが混合加算されるときに、その入力画像Anに被写体が映っている位置に、その被写体が映った出力画像を生成する混合加算は、例えば、入力画像Anが動画である場合(この場合、出力画像も動画である)に便利であり、以下、適宜、動画用混合加算という。
上述したように、動画用混合加算が行われる図15の画像処理装置では、記憶部28からの出力画像の外部への出力が、1フレームの入力画像Anの混合加算のたびに行われるので、記憶部28からの出力画像の外部への出力が、記憶部21に記憶された入力画像A1ないしANすべての混合加算が行われた後に行われる、静止画用混合加算が行われる図9の画像処理装置に比較して、1フレームの出力画像を得るための演算量が低減する。
なお、静止画用混合加算では、第1実施の形態で説明したように、動き検出部22(図10)において、1フレーム目の入力画像A1を基準画像とするとともに、混合加算の対象の入力画像Anを比較画像として、動きベクトル(グローバル動きベクトル)が求められる。
そして、位置合わせ部24において、動きベクトル検出部22で求められた動きベクトルに基づき、混合加算の対象の拡大画像Bnを、直前に求められた出力画像Sn-1の位置(これは、1フレーム目の入力画像A1の拡大画像B1の位置に等しい)に合わせる位置合わせが行われる。
一方、動画用混合加算では、動き検出部22(図10)において、混合加算の対象の入力画像Anを、基準画像とするとともに、その直前(1フレーム前)の入力画像An-1を比較画像として、動きベクトル(グローバル動きベクトル)が求められる。
すなわち、動き検出部22では、混合加算の対象の入力画像Anの拡大画像Bnに対する、直前の入力画像An-1の拡大画像Bn-1の位置ずれ量(これは、直前に得られた出力画像Sn-1の位置ずれ量に等しい)が求められる。
そして、位置合わせ部24では、動き検出部22で求められた位置ずれ量に基づき、直前に得られた出力画像Sn-1を、混合加算の対象の拡大画像Bnの位置に合わせる位置合わせが行われる。
[第3実施の形態]
図16は、本発明を適用した画像処理装置の第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の画像処理装置の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図16の画像処理装置は、記憶部21、動き検出部22、拡大部23、位置合わせ部24、混合部25、加算部26、分離部27、及び、記憶部28を有する点で、図9の画像処理装置と一致する。
但し、図16の画像処理装置は、選択部101,102、及び、103をさらに有する点で、図9の画像処理装置と相違する。
そして、図16の画像処理装置では、静止画用混合加算と、動画用混合加算とを、選択的に行うことができるようになっている。図16の画像処理装置において、静止画用混合加算、及び動画用混合加算のうちのいずれを行うかは、例えば、ユーザの操作に応じて選択される。
図16において、選択部101の端子aには、拡大部23から、拡大画像が供給され、端子bには、記憶部28から、1フレーム前の出力画像(直前に得られた出力画像)が供給される。
選択部101は、端子aに供給される拡大画像、又は、端子bに供給される直前に得られた出力画像を選択し、位置合わせの対象として、位置合わせ部24に供給する。
選択部102の端子aには、位置合わせ部24から、位置合わせ後の画像(拡大画像、又は、出力画像)が供給され、端子bには、拡大部23から、拡大画像が供給される。
選択部102は、端子aに供給される位置合わせ後の画像、又は、端子bに供給される拡大画像を選択し、混合部25に供給する。
選択部103の端子aには、記憶部28から、1フレーム前の出力画像(直前に得られた出力画像)が供給され、端子bには、位置合わせ部24から、位置合わせ後の画像(拡大画像、又は、出力画像)が供給される。
選択部103は、端子aに供給される直前に得られた出力画像、又は、端子bに供給される位置合わせ後の画像を選択し、分離部27に供給する。
以上のように構成される画像処理装置では、静止画用混合加算を行う場合には、後述する第1の処理が行われ、動画用混合加算を行う場合には、後述する第2の処理が行われる。
すなわち、第1の処理では、選択部101ないし103のすべてが、端子a及びbのうちの、端子aを選択する。
その結果、選択部101は、拡大部23から端子aに供給される拡大画像を選択し、位置合わせ部24に供給する。
位置合わせ部24では、選択部101からの拡大画像を、記憶部28に記憶されている直前に得られた出力画像の位置に合わせる位置合わせを行い、位置合わせ後の拡大画像を、選択部102の端子aに供給する。
選択部102は、位置合わせ部24から端子aに供給される位置合わせ後の拡大画像を選択し、混合部25に供給する。
一方、選択部103は、記憶部28から端子aに供給される直前に得られた出力画像を選択し、分離部27に供給する。
これにより、図16の画像処理装置を構成する記憶部21ないし記憶部28は、図9の画像処理装置の記憶部21ないし28と同一の接続状態となって、混合部25、加算部26、及び、分離部27において、静止画用混合加算が行われる。
すなわち、分離部27は、選択部103から供給される、直前に得られた出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離し、低周波数成分を、混合部25に供給するとともに、高周波数成分を、加算部26に供給する。
混合部25は、選択部102から供給される、位置合わせ後の拡大画像(位置合わせ画像)に対して、分離部27からの低周波数成分を混合し、その結果得られる混合画像を、加算部26に供給する。
加算部26は、混合部25からの混合画像に対して、分離部27からの高周波数成分を加算することにより、新たな出力画像を生成し、記憶部28に供給して記憶させる。
一方、第2の処理では、選択部101ないし103のすべてが、端子a及びbのうちの、端子bを選択する。
その結果、選択部101は、記憶部28から端子bに供給される、直前に得られた出力画像を選択し、位置合わせ部24に供給する。
位置合わせ部24では、選択部101からの出力画像を、拡大部23で生成された拡大画像の位置に合わせる位置合わせを行い、位置合わせ後の出力画像を、選択部103の端子bに供給する。
また、選択部102は、拡大部23から端子bに供給される拡大画像を選択し、混合部25に供給する。
選択部103は、位置合わせ部24から端子bに供給される、位置合わせ後の出力画像を選択し、分離部27に供給する。
これにより、図16の画像処理装置を構成する記憶部21ないし記憶部28は、図15の画像処理装置の記憶部21ないし28と同一の接続状態となって、混合部25、加算部26、及び、分離部27において、動画用混合加算が行われる。
すなわち、分離部27は、選択部103から供給される、位置合わせ後の出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離し、低周波数成分を、混合部25に供給するとともに、高周波数成分を、加算部26に供給する。
混合部25は、選択部102から供給される拡大画像に対して、分離部27からの低周波数成分を混合し、その結果得られる混合画像を、加算部26に供給する。
加算部26は、混合部25からの混合画像に対して、分離部27からの高周波数成分を加算することにより、新たな出力画像を生成し、記憶部28に供給して記憶させる。
[第4実施の形態]
図17は、本発明を適用した画像処理装置の第4実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図17の画像処理装置は、記憶部21、動き検出部22、混合部25、加算部26、及び、記憶部28を有する点で、図9の画像処理装置と一致する。
但し、図17の画像処理装置は、拡大部23に代えて拡大部111が、位置合わせ部24に代えて位置合わせ部112が、分離部27に代えて分離部113が、それぞれ設けられている点で、図9の画像処理装置と相違する。
ここで、図9の画像処理装置では、拡大部23において、入力画像を、折り返し成分を含む垂直方向に、2倍に拡大した拡大画像を生成し、その拡大画像の高周波数成分を劣化させないために、位置合わせ部24のフィルタ(水平多タップAPF71及び垂直多タップAPF72(図13))を、多タップのAPFで構成するようにしたが、多タップのAPFでは、装置の規模、及び、演算量が大となる。
一方、位置合わせ部24のフィルタを、例えば、線形補間やキュービック補間を行う少ないタップ数のフィルタとすることにより、装置の規模、及び、演算量を低減することができる。
しかしながら、位置合わせ部24のフィルタを、少ないタップ数のフィルタとすると、拡大画像を、出力画像の位置に合わせるときの移動量(動き検出部22で得られるグローバル動きベクトル)によって、位置合わせ部24のフィルタの、特に、高域のフィルタ特性が変化する。その結果、位置合わせによって、拡大画像の高周波数成分を劣化させることとなり、ひいては、出力画像の画質を劣化させることになる。
そこで、図17の画像処理装置では、位置合わせのフィルタとして、少ないタップ数のフィルタを採用しても、拡大画像の高周波数成分(信号成分及び折り返し成分)を劣化させないように、拡大部111において、入力画像を拡大する拡大処理が行われるようになっている。
図18及び図19を参照して、図17の拡大部111が行う拡大処理について説明する。
なお、ここでは、拡大部111が、入力画像(の画素数)を、水平方向に2倍に拡大し、かつ、垂直方向に4倍に拡大する場合について説明するが、拡大部111では、より倍率の大きい拡大を行ってもよい。
また、第4実施の形態でも、第1実施の形態と同様に、高速撮影された連続する入力画像A1ないしANは、垂直方向に折り返し成分を含むが、水平方向には、折り返し成分を(ほとんど)含まないこととする。
図18Aは、入力画像Anを示している。
図中、丸印で示す部分が、入力画像Anの画素を表す。
入力画像Anは、水平方向の周波数成分が、周波数帯域-fh/2ないしfh/2に存在し、かつ、垂直方向の周波数成分が、周波数帯域-fsないしfsに存在する信号を、水平方向にサンプリング周波数fhでサンプリングし、かつ、垂直方向にサンプリング周波数fsでサンプリングした画像であるとする。
図18Bは、入力画像Anの周波数特性を示している。
なお、図18Bにおいて、横軸は、水平方向の周波数(水平周波数)を表し、縦軸は、垂直方向の周波数(垂直周波数)を表す。
入力画像Anでは、水平方向については、周波数帯域-fh/2ないしfh/2に、信号成分だけが存在し、垂直方向については、周波数帯域-fs/2ないしfs/2に、元の信号の周波数fs/2以下の信号成分と、元の信号の周波数fs/2を超える信号成分が折り返した折り返し成分とが存在する。
ここで、図18Bにおいて、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表す。
上述したように、拡大部111(図17)は、入力画像Anを、水平方向に2倍に拡大し、かつ、垂直方向に4倍に拡大して、全体の画素数が入力画像Anの8倍の拡大画像Bnを生成する。
すなわち、拡大部111は、まず、入力画像Anを、水平方向に2倍に拡大する。
入力画像Anの水平方向には、折り返し成分がないので、入力画像Anを水平方向に2倍に拡大した画像(以下、水平拡大画像ともいう)の生成は、図4や図5で説明した拡大処理(以下、通常の拡大処理ともいう)によって行われる。
すなわち、入力画像Anの水平拡大画像の生成は、入力画像Anの水平方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間と、その0値補間によって得られる0値補間画像のLPFによるフィルタリングとによって行われる。
図18Cは、図18Aの入力画像Anの水平方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間によって得られる0値補間画像を示している。
図18Cにおいて、白丸印は、入力画像Anの画素(元の画素)を表し、黒丸印は、ゼロ点としての画素(画素値が0の画素)を表す。
図18Dは、図18Cの0値補間画像の周波数特性を示している。
0値補間画像では、水平方向にゼロ点を挿入する0値補間によって、水平方向に、折り返し成分が生じる。
拡大部111(図17)では、この折り返し成分を除去するために、周波数帯域-fh/2ないしfh/2を通過帯域とするLPFによる水平方向のフィルタリングが行われる。このLPFとしては、理想的には、sinc関数をフィルタ係数とするLPFを用いるのが望ましいが、タップ長が無限長になる。したがって、LPFのフィルタ係数は、sinc関数に窓関数をかけて決定される。
図18Eは、0値補間画像をLPFでフィルタリングして得られる水平拡大画像を示しており、図18Fは、その水平拡大画像の周波数特性を示している。
なお、図18Fにおいて、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表す。
LPFによるフィルタリングによって得られる水平拡大画像は、水平方向について、サンプリング周波数2fhに対し、低周波数の帯域-fh/2ないしfh/2にのみ、信号成分が存在し、高周波数の帯域fh/2ないしfh、及び、-fhないし-fh/2には、周波数成分が存在しない画像となる。
次に、拡大部111(図17)は、水平拡大画像を、垂直方向を4倍に拡大した拡大画像(入力画像Anを、水平方向に2倍に拡大し、かつ、垂直方向に4倍に拡大した拡大画像)Bnを生成する。
入力画像An、さらには、その入力画像の水平拡大画像には、垂直方向に、折り返し成分があるので、水平拡大画像を垂直方向に4倍に拡大した拡大画像の生成は、図9の拡大部23と同様に、例えば、線形補間等の、多少の高周波数成分を残す拡大処理によって行われる。
すなわち、拡大画像の生成は、水平拡大画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、3個のゼロ点を挿入する0値補間と、その0値補間によって得られる0値補間画像の、多少の高周波数成分を残すフィルタ特性のLPFによるフィルタリングとによって行われる。
図18Gは、図18Eの水平拡大画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、3個のゼロ点を挿入する0値補間によって得られる0値補間画像を示している。
図18Gにおいて、白丸印は、0値補間画像の画素を表し、黒丸印は、ゼロ点としての画素を表す。
図18Hは、図18Gの0値補間画像の周波数特性を示している。
0値補間画像では、垂直方向にゼロ点を挿入する0値補間によって、垂直方向の信号成分が復元され、さらに、高次の折り返し成分が生じる。
拡大部111(図17)は、図18Hの0値補間画像を、垂直方向の多少の高周波数成分を残すLPFによってフィルタリングすることで、拡大画像を生成する。
このLPFとしては、例えば、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFを採用することができる。
図19は、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFのフィルタ特性を示している。
なお、図19においては、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}のフィルタのフィルタ特性の他、フィルタ係数が{1/4,1/4,1/4,1/4,0}のフィルタのフィルタ特性も示してある。
フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFのフィルタ特性は、サンプリング周波数4fsに対し、周波数0はゲイン1で、周波数fsでゲインが0となる緩やかな特性になっている。さらに、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFのフィルタ特性は、周波数fsから1.5fsにかけてゲインが増加し、周波数2fsで再びゲインが0となる、周波数1.5fs付近の周波数成分を幾らか通す特性になっている。
図18Hの0値補間画像を、図19の垂直LPFでフィルタリングして得られる拡大画像においては、周波数1.5fs付近(周波数fsないし2fs)の折り返し成分が幾らか残る。
この、周波数1.5fs付近の折り返し成分を完全に除去するには、拡大画像を、さらに、周波数帯域-fsないしfsを通過領域とする広帯域LPFでフィルタリングする必要がある。
以上のようにして得られる拡大画像は、垂直方向について、サンプリング周波数4fsに対して、低周波数の帯域-fsないしfsに、信号成分と折り返し成分とが混在し、高周波数の帯域fsないし2fs、及び、-2fsないし-fsに、周波数成分が存在しない画像となる。
以上のように、拡大部111で得られる拡大画像は、水平方向の低周波数側の半分の帯域-fh/2ないしfh/2と、垂直方向の低周波数側の半分の帯域-fsないしfsにのみ、周波数成分が存在し、他の帯域(高周波数側の帯域)には、周波数成分が存在しない。
したがって、図17の画像処理装置では、位置合わせ部112のフィルタのフィルタ特性は、上述の低周波数側の半分の帯域を通過することができるフィルタ特性であれば、残りの高域の帯域のフィルタ特性はどのようなフィルタ特性でも良い。
すなわち、例えば、第1実施の形態の図9の画像処理装置では、位置合わせ部24のフィルタとしては、動き検出部22で得られるグローバル動きベクトルによって変化する、位置合わせ部24のフィルタの高域のフィルタ特性の変化を抑制するために、多タップのAPFを必要である。
これに対して、図17の位置合わせ部112のフィルタは、垂直方向、及び、水平方向のいずれも、(0値補間画像のナイキスト周波数以下の帯域のうちの)低周波数側の半分の帯域のゲインが1であればよく、例えば、キュービック補間を行う4タップのフィルタ(キュービック補間フィルタ)等の、いわば高域側の特性が悪い、少ないタップ数のフィルタで構成することができる。
また、位置合わせ部112の位置合わせによって得られる位置合わせ画像も、拡大部111で生成される拡大画像と同様に、水平方向の低周波数側の半分の帯域-fh/2ないしfh/2と、垂直方向の低周波数側の半分の帯域-fsないしfsにのみ、周波数成分が存在し、残りの高周波数側の帯域には、周波数成分が存在しない画像となる。
さらに、位置合わせ画像は、第1実施の形態と同様に、水平方向には折り返し成分がなく、垂直方向にのみ、折り返し成分がある画像である。したがって、高域の信号成分の復元は、垂直方向のみを考えればよい。
また、図17の画像処理装置において、位置合わせ画像を用いた混合加算によって得られる出力画像は、やはり、水平方向の低周波数側の半分の帯域-fh/2ないしfh/2と、垂直方向の低周波数側の半分の帯域-fsないしfsにのみ、周波数成分が存在し、残りの高周波数側の帯域には、周波数成分が存在しない画像となる。
したがって、図17の分離部113は、そのような周波数成分が存在する周波数帯域だけを考慮して構成すればよい。
すなわち、上述の高解像度化原理に基づいて、高解像度の出力画像を生成する図17の画像処理装置では、分離部113は、高域の信号成分を復元する垂直方向に、出力画像の低周波数成分を抽出する垂直LPFで構成され、その垂直LPFとしては、拡大部111のフィルタと、位置合わせ部112のフィルタとを縦続接続した縦続接続フィルタと同一のフィルタ特性のフィルタが採用される。
但し、分離部113の垂直LPFには、出力画像の、上述した周波数成分が存在する周波数帯域だけを考慮すればよく、その周波数帯域において、縦続接続フィルタと同一のフィルタ特性のフィルタを採用することができる。したがって、分離部113の垂直LPFとしては、例えば、拡大部111において垂直方向のフィルタリングを行うフィルタ、すなわち、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}のフィルタを採用することができる。
図17の画像処理装置によれば、図9の画像処理装置と同様に、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができる。さらに、図17の画像処理装置では、位置合わせ部112のフィルタを、少ないタップ数のフィルタで構成することができ、装置の規模、及び、演算量を低減することができる。
なお、図17の画像処理装置で得られる出力画像は、上述したように、水平方向の低周波数側の半分の帯域-fh/2ないしfh/2と、垂直方向の低周波数側の半分の帯域-fsないしfsにのみ、周波数成分が存在し、残りの高周波数側の帯域には、周波数成分が存在しない画像となる。したがって、出力画像は、その水平方向や垂直方向の画素数を、1/2に縮小することができる。
図20は、図17の拡大部111と位置合わせ部112の構成例を示している。
拡大部111は、補間部131、水平多タップLPF132、補間部133、垂直LPF134、及び、広帯域LPF135から構成される。
補間部131には、記憶部21(図17)から入力画像が供給される。補間部131は、記憶部21からの入力画像の水平方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間を行うことで、水平方向の画素数が入力画像の2倍になった0値補間画像を生成して、水平多タップLPF132に供給する。
水平多タップLPF132は、例えば、フィルタ係数が、sinc関数に窓関数をかけて決定された、周波数fs/2以下を通過帯域とする多タップのLPFである。水平多タップLPF132は、補間部131からの0値補間画像を、水平方向にフィルタリングすることにより、水平拡大画像を生成し、補間部133に供給する。
補間部133は、水平多タップLPF132からの水平拡大画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、3個のゼロ点を挿入する0値補間を行うことで、水平方向の画素数が入力画像の2倍で、垂直方向の画素数が入力画像の4倍になった0値補間画像を生成し、垂直LPF134に供給する。
垂直LPF134は、例えば、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFであり、補間部133からの0値補間画像をフィルタリングすることにより、水平方向の画素数が入力画像の2倍で、垂直方向の画素数が入力画像の4倍になった拡大画像を生成し、広帯域LPF135に供給する。
なお、補間部133による0値補間、及び、垂直LPF134での、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFによるフィルタリングは、線形補間により、垂直方向の画素数を4倍にする拡大に相当する。
広帯域LPF135は、周波数帯域-fsないしfsを通過領域とする広帯域LPFであり、垂直LPF134からの拡大画像を垂直方向にフィルタリングして、位置合わせ部112に供給する。
位置合わせ部112は、水平キュービック補間フィルタ141、及び、垂直キュービック補間フィルタ142から構成される。
水平キュービック補間フィルタ141には、拡大部111から、拡大画像が供給されるとともに、動き検出部22(図17)から動きベクトル(グローバル動きベクトル)が供給される。
水平キュービック補間フィルタ141は、図13の水平多タップAPF71と同様に、動き検出部22からの動きベクトルに基づいて、拡大画像を水平方向にフィルタリングすることにより、出力画像の画素の位置に、画素を補間することで、拡大画像を、出力画像の水平方向の位置に合わせ、垂直キュービック補間フィルタ142に供給する。
垂直キュービック補間フィルタ142は、図13の垂直多タップAPF72と同様に、動き検出部22からの動きベクトルに基づいて、拡大画像を垂直方向にフィルタリングすることにより、出力画像の画素の位置に、画素を補間することで、拡大画像を、出力画像の垂直方向の位置に合わせ、これにより、水平方向及び垂直方向のいずれも、出力画像の位置に合った位置合わせ画像を生成し、混合部25(図17)に供給する。
なお、水平キュービック補間フィルタ141、及び、垂直キュービック補間フィルタ142では、フィルタリングによって、キュービック補間が行われる。また、水平キュービック補間フィルタ141、及び、垂直キュービック補間フィルタ142は、例えば、4タップ等の少ないタップ数で構成することができる。
次に、図21を参照して、図20の拡大部111において、水平方向に関して行われる処理について説明する。
図21Aは、拡大部111を構成する補間部131ないし広帯域LPF135のうちの、水平方向に関する処理を行うブロックを示している。
拡大部111では、図21Aに示すように、補間部131及び水平多タップLPF132が、水平方向に関する処理を行う。
図21Bは、補間部131に供給される入力画像の水平方向の周波数特性を示している。
上述したように、入力画像は、水平方向については、周波数fh/2以下に、信号成分のみを含む画像になっている。
図21Cは、補間部131で得られる、入力画像の水平方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間により得られる0値補間画像の水平方向の周波数特性を示している。
0値補間画像では、水平方向にゼロ点を挿入する0値補間によって、水平方向の周波数fh/2を超える周波数帯域に、折り返し成分が生じる。
図21Dは、図21Cの0値補間画像を、水平多タップLPF132でフィルタリングして得られる水平拡大画像の周波数特性を示している。
水平多タップLPF132によるフィルタリングによって得られる水平拡大画像は、水平方向について、周波数fh/2以下にのみ、信号成分が存在し、周波数fh/2を超える周波数には、周波数成分が存在しない画像となる。
図21Dは、水平多タップLPF132のフィルタ特性を示している。
水平多タップLPF132は、周波数fh/2以下を通過帯域とするLPFであり、周波数fh/2で急峻にゲインが落ちるように(急峻なロールオフとなるように)、多タップで構成される。
次に、図22を参照して、図20の位置合わせ部112において、水平方向に関して行われる処理について説明する。
図22Aは、位置合わせ部112を構成する水平キュービック補間フィルタ141、及び、垂直キュービック補間フィルタ142のうちの、水平方向に関する処理を行うブロックを示している。
位置合わせ部112では、図22Aに示すように、水平キュービック補間フィルタ141が、水平方向に関する処理を行う。
図22Bは、拡大部111(図20)から水平キュービック補間フィルタ141に供給される水平拡大画像の周波数特性を示しており、図21Dと同一の図である。
図22Cは、水平キュービック補間フィルタ141で、図22Bの水平拡大画像をフィルタリングして得られる、その水平拡大画像の、水平方向の位置を、出力画像の位置に合わせた位置合わせ画像の周波数特性を示している。
また、図22Dは、水平キュービック補間フィルタ141のフィルタ特性を示している。
水平キュービック補間フィルタ141は、動き検出部22から供給される動きベクトルに基づいて、水平方向にキュービック補間を行うフィルタリングを行う、例えば、4タップのフィルタである。水平キュービック補間フィルタ141のフィルタ特性は、図22Dに示すように、高域(周波数fh/2を超える周波数)側が、動き検出部22から供給される動きベクトルによって変化するが、低域(周波数fh/2以下の周波数)側では、ゲインが(ほぼ)1になっている。
このため、図22Dのフィルタ特性の水平キュービック補間フィルタ141において、図22Bの、周波数fh/2以下の周波数成分のみを有する拡大画像をフィルタリングすることにより得られる位置合わせ画像では、図22Cに示すように、図22Bの拡大画像と周波数特性が、そのまま維持される。
次に、図23を参照して、図20の拡大部111において、垂直方向に関して行われる処理について説明する。
図23Aは、拡大部111を構成する補間部131ないし広帯域LPF135のうちの、垂直方向に関する処理を行うブロックを示している。
拡大部111では、図23Aに示すように、補間部133、垂直LPF134、及び、広帯域LPF135が、垂直方向に関する処理を行う。
図23Bは、補間部133に供給される入力画像(水平拡大画像)の垂直方向の周波数特性を示している。
上述したように、入力画像は、垂直方向については、周波数fs/2以下に、信号成分と折り返し成分を含む画像になっている。
図23Cは、補間部133で得られる、図23Bの入力画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、3個のゼロ点を挿入する0値補間により得られる0値補間画像の垂直方向の周波数特性を示している。
0値補間画像では、垂直方向にゼロ点を挿入する0値補間によって、垂直方向の周波数fs/2を超える周波数帯域の信号成分が復元されるが、折り返し成分も復元される。
図23Dは、図23Cの0値補間画像を、垂直LPF134でフィルタリングして得られる拡大画像の垂直方向の周波数特性を示している。
図23Eは、図23Dの拡大画像を、広帯域LPF135でフィルタリングして得られる拡大画像の垂直方向の周波数特性を示している。
図23Fは、垂直LPF134のフィルタ特性を示している。また、図23Gは、広帯域LPF135の周波数特性を示している。
垂直LPF134は、図20で説明したように、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFであり、図23Fに示すように、周波数0はゲイン1で、周波数fsでゲインが0となる緩やかなフィルタ特性を有する。さらに、垂直LPF134は、周波数fsから1.5fsにかけてゲインが増加し、周波数2fsで再びゲインが0となる、周波数1.5fs付近の周波数成分を幾らか通すフィルタ特性を有する。
このため、図23Cの0値補間画像を、垂直LPF134でフィルタリングして得られる拡大画像は、図23Dに示すように、図23Cの周波数fs/2以下の周波数成分(信号成分及び折り返し成分)がほぼ残り、さらに、図23Cの周波数fs/2ないしfsの周波数成分(信号成分及び折り返し成分)が多少残り、かつ、図23Cの周波数fs以上の周波数成分が幾らか残った画像となる。
広帯域LPF135は、図23Gに示すように、周波数fs以下を通過帯域とするLPFであり、周波数fsで急峻にゲインが落ちるフィルタ特性を有する。
図23Dの拡大画像が、図23Gに示すフィルタ特性の広帯域LPF135でフィルタリングされることにより、周波数fs以上に幾らか残っていた周波数成分が除去され、これにより、拡大画像は、図23Eに示すように、周波数fs以上の周波数成分がない画像となる。
次に、図24を参照して、図20の位置合わせ部112において、垂直方向に関して行われる処理について説明する。
図24Aは、位置合わせ部112を構成する垂直キュービック補間フィルタ141、及び、垂直キュービック補間フィルタ142のうちの、垂直方向に関する処理を行うブロックを示している。
位置合わせ部112では、図24Aに示すように、垂直キュービック補間フィルタ142が、垂直方向に関する処理を行う。
図24Bは、水平キュービック補間フィルタ141(図20)から垂直キュービック補間フィルタ142に供給される拡大画像の垂直方向の周波数特性を示しており、図23Eと同一の図である。
図24Cは、垂直キュービック補間フィルタ142で、図24Bの拡大画像をフィルタリングして得られる、その拡大画像の、垂直方向の位置を、出力画像の位置に合わせた位置合わせ画像の垂直方向の周波数特性を示している。
また、図24Dは、垂直キュービック補間フィルタ142のフィルタ特性を示している。
垂直キュービック補間フィルタ142は、動き検出部22から供給される動きベクトルに基づいて、垂直方向にキュービック補間を行うフィルタリングを行う、例えば、4タップのフィルタである。垂直キュービック補間フィルタ142のフィルタ特性は、図24Dに示すように、高域(周波数fsを超える周波数)側が、動き検出部22から供給される動きベクトルによって変化するが、低域(周波数fs以下の周波数)側では、ゲインが1になっている。
このため、図24Dのフィルタ特性の垂直キュービック補間フィルタ142において、図24Bの、周波数fs/2以下の周波数成分のみを有する拡大画像をフィルタリングすることにより得られる位置合わせ画像では、図24Cに示すように、図24Bの拡大画像と周波数特性が、そのまま維持される。
すなわち、垂直キュービック補間フィルタ142のフィルタリングの結果得られる位置合わせ画像は、周波数fs以下において、垂直方向の信号成分と折り返し成分を含む画像となる。
図25は、垂直キュービック補間フィルタ142の、より詳細な周波数特性を示している。
垂直キュービック補間フィルタ142のフィルタ特性は、周波数fsを超える周波数側が、動き検出部22から供給される動きベクトルによって変化するが、周波数fs以下の周波数側では、ゲインが(ほぼ)1になっている。
次に、図26を参照して、図17の分離部113について説明する。
図26Aは、図17の分離部113の構成例を示している。
なお、図中、図14Aの分離部27と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図26Aの分離部113は、演算部82を有する点で、図14Aの分離部27と一致し、垂直LPF81に代えて、垂直LPF151を有する点で、図14Aの分離部27と相違する。
垂直LPF151は、記憶部28に記憶された出力画像Sn-1を垂直方向にフィルタリングすることにより、出力画像Sn-1の低周波数成分Lnを抽出し、演算部82と、混合部25に供給する。
図26Bは、垂直LPF151のフィルタ特性を示している。
分離部113のフィルタである垂直LPF151は、入力画像に含まれる折り返し成分の方向である垂直方向のフィルタ特性として、拡大部111のフィルタである垂直LPF133及び広帯域LPF135(図20)と、位置合わせ部112のフィルタである垂直キュービック補間フィルタ142(図20)とを縦続接続した縦続接続フィルタと同一の特性を有する。
図26Cは、図17の画像処理装置で得られる出力画像Snの垂直方向の周波数特性の変化を示している。
なお、図26Cにおいて、実線部分が信号成分を表し、点線部分が折り返し成分を表す。
記憶部21(図17)に記憶されたNフレームの入力画像のうちの、1フレーム目が注目画像とされた場合には、その1フレーム目の入力画像A1の拡大画像B1が、そのまま、出力画像S1として、記憶部28に記憶される。
そして、以降は、混合部25において、位置合わせ部112からの位置合わせ画像Cnと、出力画像Sn-1の低周波数成分Lnとが混合されることにより、混合画像Dnが生成され、加算部26において、混合画像Dnと、出力画像Sn-1の高周波数成分Hnとが加算されることにより、新たな出力画像Snが生成される混合加算が、記憶部21(図17)に記憶されたNフレームの入力画像を、順次、注目画像として、繰り返される。
以上の混合加算が繰り返されると、上述した高解像度化原理により、1フレーム目の入力画像A1を注目画像として行われた混合加算によって得られる出力画像S1は、入力画像A1の解像度で、折り返し成分を含む画像であるが、混合加算が進行するにつれ、すなわち、注目画像とされる入力画像Anが多くなっていくにつれ、混合加算によって得られる出力画像Snは、図26Cに示すように、高解像度で(高域fs/2ないしfsの信号成分が復元され)、かつ、折り返し成分が減衰した高画質の画像になっていく。
次に、図27を参照して、図26の分離部113のフィルタである垂直LPF151のフィルタ特性について、さらに説明する。
図27Aは、図20の拡大部111の垂直LPF134、及び、広帯域LPF135、並びに、位置合わせ部112の垂直キュービック補間フィルタ142のフィルタ特性を示している。
図27Bは、図20の拡大部111の垂直LPF134、及び、広帯域LPF135、並びに、位置合わせ部112の垂直キュービック補間フィルタ142を縦続接続した縦続接続フィルタのフィルタ特性を示している。
縦続接続フィルタは、図27Bに示すように、周波数fs以下のゲインが、図27Aの垂直LPF134と同様で、かつ、周波数fs以上のゲインが0のフィルタとなる。
ここで、縦続接続フィルタの周波数fs以上のゲインが0になるのは、図27Aの広帯域LPF135の影響による。
分離部113の垂直LPF151(図26)としては、理想的には、図27Bに示した、周波数fs以上のゲインが0となるフィルタ特性のLPFを採用すべきである。
但し、拡大部111の垂直LPF134(図20)は、図23Fで説明したように、周波数fs以上については、周波数1.5fs付近の周波数成分を幾らか通すだけのフィルタであり、したがって、周波数fs以上のゲインは、ほぼ0に近い。
したがって、拡大部111の垂直LPF134は、図27Bの縦続接続フィルタのフィルタ特性と類似している。分離部113の垂直LPF151(図26)としては、縦続接続フィルタと同一のフィルタ特性のフィルタの他、そのフィルタ特性と類似するフィルタ特性を有する垂直LPF134と同一のフィルタを採用することができる。
すなわち、図20において、垂直LPF134は、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFであるから、図26の分離部113の垂直LPF151としても、フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFを採用することができる。
図28は、図17の画像処理装置で得られる出力画像の垂直方向の周波数特性を示している。
上述したように、図17の画像処理装置で得られる出力画像は、垂直方向については、周波数fs以下の帯域にのみ、周波数成分が存在し、それ以上の、周波数帯域fsないし2fsを含む高周波数側の帯域には、周波数成分が存在しない。したがって、0値補間によって垂直方向のサンプリング周波数が周波数4fsになっている出力画像は、その垂直方向の画素数を、1/2に縮小することができる。
なお、図20では、補間部133において0値補間を行い、さらに、垂直LPF134においてフィルタリングを行うことで、垂直方向の画素数を4倍にしたが、実際の実装では、単に、線形補間を行うことで、垂直方向の画素数を4倍にすることができる。
また、図20では、垂直LPF134と広帯域LPF135とを、別々に設けるようにしたが、垂直LPF134と広帯域LPF135とは、1個のフィルタで構成することが可能である。
さらに、上述したように、拡大部111の垂直LPF134(図20)は、周波数fs以上のゲインが、0に近いので(図23F)、拡大部111は、周波数fs以上の周波数成分を除去するための広帯域LPF135を設けずに構成することができる。
また、図20では、拡大部111のフィルタとして、線形補間を行う垂直LPF134を採用したが、拡大部111のフィルタとしては、その他、例えば、最近傍補間を行うフィルタや、キュービック補間を行うフィルタ等を、垂直LPF134に代えて採用することができる。
さらに、図17の画像処理装置では、図9等の画像処理装置と同様に、折り返し成分を除去した出力画像の他、ノイズ成分を除去した出力画像を得ることも可能である。
[第5実施の形態]
図29は、本発明を適用した画像処理装置の第5実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図29の画像処理装置は、記憶部21、拡大部23、位置合わせ部24、混合部25、加算部26、分離部27、及び、記憶部28を有する点で、図9の画像処理装置と一致する。
但し、図29の画像処理装置は、動き検出部22に代えて動き検出部171が設けられ、かつ、動体混合部172が新たに設けられている点で、図9の画像処理装置と相違する。
なお、図9の画像処理装置ではなく、例えば、上述した図17の画像処理装置等の静止画用混合加算を行う画像処理装置を、図29に示すように構成することも可能である。
図9の画像処理装置では、入力画像Anに、動きが(ほとんど)ない被写体のみが映っていることを前提としたが、入力画像Anには、動いている被写体(以下、動体ともいう)が映っていることがある。
入力画像Anに、動体が映っている場合、図9の画像処理装置では、Nフレームの入力画像A1ないしANに映っている、異なる位置にある動体が、混合加算によって、出力画像に現れ、これにより、出力画像は、長い露出時間で撮影した写真のような、いわゆる動きぼけがある画像となる。
図29の画像処理装置では、入力画像Anに動体が映っていても、動きぼけがない出力画像を生成することができるようになっている。
すなわち、図29において、動き検出部171は、図9の動き検出部22(図10)と同様に、動きベクトルを検出し、位置合わせ部24に供給する。さらに、動き検出部171は、記憶部21に記憶された、基準となる入力画像A1と、混合加算の対象となる入力画像Anとを用い、位置合わせ後の拡大画像Bn(位置合わせ画像Cn)について、各画素の、拡大画像B1(ひいては、直前に得られた出力画像Sn-1)に対する動きの程度を判定し、その動きの程度を表す動き情報を、動体混合部172に供給する。
なお、動き検出部171において、拡大画像Bnの各画素の動きの程度は、入力画像A1及びAnではなく、拡大画像B1及びBnを用いて判定することも可能である。但し、入力画像A1及びAnは、拡大画像B1及びBnに比較して、画素数が少ないので、拡大画像B1及びBnを用いるよりも、入力画像A1及びAnを用いた方が、演算量を低減することができる。
動体混合部172は、混合部25及び加算部26とともに、図2の混合加算部15に対応する。
動体混合部172には、動き検出部171から動き情報が供給される他、加算部26から、新たな出力画像Snが供給されるとともに、記憶部28から、直前に得られた出力画像Sn-1が供給される。
動体混合部172は、動き検出部171から供給される動き情報に基づき、動きがある画素については、直前に得られた出力画像Sn-1の重みが大となり、動きがない画素については、新たな出力画像Snの重みが大となる重みに従って、直前に得られた出力画像Sn-1と、新たな出力画像Snとを混合する動体混合を行うことで、新たな出力画像Snを修正し、記憶部28に供給する。
ここで、動き検出部171から動体混合部172に供給される動き情報を、βと表し、動き情報は、0ないし1の範囲の実数値をとることとする。なお、動き情報βは、値が0である場合に、静止(動きがないこと)を表し、値が大きいほど、動きが大であることを表すこととする。
また、動き情報βのうちの、位置合わせ後の拡大画像Bnの位置tの画素の動きの程度を表す動き情報を、β(t)と、新たな出力画像Snの位置tの画素の画素値を、s(t)と、直前に得られた出力画像Sn-1の位置tの画素の画素値を、s'(t)と、それぞれ表すこととする。
動体混合部172は、直前に得られた出力画像Sn-1の各画素(新たな出力画像Snの各画素でもある)について、式(15)に従って動体混合を行うことで、新たな出力画像Snを修正する。
s(t) = β(t)×s'(t) + (1-β(t))×s(t)
・・・(15)
いま、説明を簡単にするために、動き情報βが、0又は1であるとすると、式(15)によれば、動き情報βが0である画素、すなわち、動きがない画素については、新たな出力画像Snの画素値が、そのまま、修正後の新たな出力画像Snの画素値として採用され、動き情報βが1である画素、すなわち、動きがある画素については、直前に得られた出力画像Snの画素値が、修正後の新たな出力画像Snの画素値として採用される。
この場合、入力画像A1ないしANにおいて動体が映っている部分に対応する出力画像の部分には、入力画像A1が現れ、出力画像の他の部分には、混合加算によって、画質が向上した画像が現れる。
図29の画像処理装置によれば、図9の画像処理装置と同様に、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができる。
また、図29の画像処理装置では、動体混合が行われることで、動体の部分の混合加算の結果が、出力画像に現れないので、入力画像Anに、動体が映っている場合に、出力画像に、動体に起因する動きぼけが生じることを防止することができる。なお、動体の部分以外の部分(静止している被写体の部分)については、混合加算によって、折り返し成分が除去され、かつ、高解像度化される(ナイキスト周波数以上の信号成分が復元される)。
図29の画像処理装置は、例えば、動画の連続する複数フレームから高画質の静止画を生成して、外部のメモリその他の記憶(記録)媒体に保存する機能等を備えた、インタレース方式の画像を扱う家庭用ビデオカメラ等に適用することができる。
なお、前述した動き検出処理、広帯域補間処理、及び、加重和処理を行う従来の高解像度化技術では、動体が映っている部分かどうかによって、加重和処理で混合(重み付け加算)を行うフレーム数(画像の枚数)を変えることは、困難である。
図30は、図29の動き検出部171の構成例を示している。
なお、図中、図10の動き検出部22と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図30の動き検出部171は、水平LPF41ないし統計処理部46が設けられている点で、図10の動き検出部22と一致し、動き判定部181が新たに設けられている点で、図10の動き検出部22と相違する。
動き判定部181には、垂直LPF43から基準画像M1が供給されるとともに、比較画像Mnが供給される。さらに、動き判定部181には、統計処理部46から動きベクトル(グローバル動きベクトル)が供給される。
動き判定部181は、統計処理部46からの動きベクトルに基づき、垂直LPF44からの比較画像Mnを、垂直LPF43からの基準画像M1の位置に合わせる位置合わせをし、位置合わせ後の比較画像Mnの画素を、順次、注目画素とする。
さらに、動き判定部181は、位置合わせ後の比較画像Mnの注目画素と、基準画像M1の対応する画素(注目画素と同一位置の画素)との画素値の差分絶対値sを求める。
そして、動き判定部181は、差分絶対値sと所定の閾値との大小関係を判定し、その大小関係に基づき、注目画素の動きの程度を判定することで、注目画素の動きの程度を表す動き情報βを求める。
すなわち、動き判定部181は、式Th1<Th2を満たす2つの閾値Th1及びTh2を用い、例えば、差分絶対値sが、式s<Th1を満たす場合には、動き情報βをβ=0.0とし、差分絶対値sが、式Th1≦s≦Th2を満たす場合には、動き情報βを、β=(s-Th1)/(Th2-Th1)とする。
また、動き判定部181は、差分絶対値sが、式s>Th2を満たす場合には、動き情報βを1.0とする。
ここで、基準画像M1及び比較画像Mnの画素値が、例えば、10ビットで表現される場合には、閾値Th1及びTh2としては、例えば、Th1=8.0,Th2=16.0を採用することができる。
なお、上述の場合には、画素単位で求められた差分絶対値sに基づいて、動き情報βを求めたが、その他、例えば、複数の画素からなるブロック単位で、ブロックを構成する画素の画素値の差分絶対値の総和s'を求め、その総和s'を、差分絶対値sと同様に用いて、動き情報βを求めることが可能である。この場合、ブロックを構成する画素の動き情報βは、すべて同一となる。
また、比較画像Mnの各画素について得られた動き情報βには、動き部分の取りこぼしを防止するため、さらに、ダイレーション(dilation)処理を施すことができる。
ここで、図29では、拡大部23において、入力画像の垂直方向のみの画素数を2倍にした拡大画像が求められるため、位置合わせ後の拡大画像Bnの垂直方向の画素数は、位置合わせ後の比較画像Mnの垂直方向の画素数の2倍になっている。
このため、動き検出部171は、位置合わせ後の比較画像Mnの各画素の動き情報βを用いた線形補間等によって、位置合わせ後の拡大画像Bnの各画素の動き情報βを求め、動体混合部172に供給する。
さらに、上述の場合には、動き検出部171は、位置合わせ後の拡大画像Bn、すなわち、位置合わせ画像Cnの各画素の動き情報βを求めたが、動き検出部171では、必要に応じて、位置合わせ後の拡大画像Bn(位置合わせ画像Cn)に代えて、位置合わせ前の拡大画像Bnの各画素の動き情報βを求めることができる。
すなわち、図29の画像処理装置では、静止画用混合加算が行われるが、静止画用混合加算が行われる場合には、動き検出部171では、位置合わせ後の拡大画像Bnの各画素の動き情報βが求められる。
また、動画用混合加算が行われる、後述する画像処理装置においては、動き検出部171では、混合加算の対象の入力画像Anを、基準画像とするとともに、その1フレーム前の入力画像An-1を比較画像として、動きベクトル(グローバル動きベクトル)が求められる。さらに、動き検出部171では、その動きベクトルに基づいて、1フレーム前の入力画像An-1を、入力画像Anの位置に合わせる位置合わせが行われる。そして、動き検出部171では、入力画像Anの各画素について、位置合わせ後の入力画像An-1との差分絶対値sが求められ、この差分絶対値sに基づき、位置合わせ前の拡大画像Bnの各画素の動き情報βが、上述したように求められる。
[第6実施の形態]
図31は、本発明を適用した画像処理装置の第6実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図29の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図31の画像処理装置は、記憶部21、拡大部23、位置合わせ部24、加算部26、分離部27、記憶部28、及び、動き検出部171を有する点で、図29の画像処理装置と一致する。
但し、図31の画像処理装置は、混合部25に代えて混合部191が設けられており、動体混合を行う動体混合部172が設けられていない点で、図29の画像処理装置と相違する。
混合部191では、混合部25で行われる混合と、動体混合部172で行われる動体混合とが、同時に行われるようになっている。
すなわち、上述の式(3)で説明したように、混合部25で得られる混合画像Dnの位置tの画素の画素値を、d(t)と、位置合わせ部24で得られる位置合わせ画像Cnの位置tの画素の画素値を、c(t)と、分離部27で得られる出力画像Sn-1の低周波数成分Lnのうちの、位置tの画素の画素値の低周波数成分を、l(t)と、それぞれ表すこととすると、混合部25は、混合比αを用いた式(3)の演算、すなわち、式d(t) = α×c(t)+(1-α)×l(t)の演算を行うことで、混合画像Dnを求め、加算部26に供給する。
一方、混合部191には、位置合わせ部24から位置合わせ画像Cnが供給されるとともに、分離部27から出力画像Sn-1の低周波数成分Lnが供給される他、動き検出部171から、動き情報βが供給されるようになっている。
混合部191は、式(3)の混合比αを、動き検出部171からの動き情報βに応じて、混合比α'(0<α<1)に調整し、その調整後の混合比α'を、混合比αに代えて用いることで、混合部25で行われる混合と、動体混合部172で行われる動体混合とを同時に行う。
具体的には、混合部191は、式(16)に従って、混合比αを、混合比α'に調整し、その調整後の混合比α'を用いた式(17)を演算することにより、混合画像Dnを求め、加算部26に供給する。
α’= α×(1-β(t))
・・・(16)
d(t) = α'×c(t)+(1-α')×l(t)
・・・(17)
ここで、β(t)は、位置tの画素の動き情報βを表す。
動きがある画素、すなわち、例えば、動き情報βが1の画素については、修正後の混合比α'は0となり、直前に得られた出力画像Sn-1(ひいては、入力画像A1の拡大画像B1)(の低周波成分l(t))が現れる。一方、動きがない画素(静止している画素)、すなわち、例えば、動き情報βが0の画素については、修正後の混合比α'は、元の混合比αとなり、位置合わせ画像Cn(c(t))と、出力画像Sn-1の低周波数成分Ln(l(t))との、混合比αを重みとする混合(重み付け加算)が行われる。
以上のように、図31の画像処理装置では、混合部191において、図29の画像処理装置における混合部25で行われる混合と、動体混合部172で行われる動体混合とが、同時に行われるので、演算量を削減することができる。
なお、混合比αは、混合加算に用いられる位置合わせ画像Cnが、何フレーム目の入力画像Anに対応する画像であるかに応じた可変の値とすることができる。
すなわち、位置合わせ画像Cnの混合加算がされるときには、混合比αは、例えば、1/nとすることができる。この場合、混合加算において、位置合わせ画像C1ないしCNの低周波数成分それぞれは、均一の割合で混合される。
[第7実施の形態]
図32は、本発明を適用した画像処理装置の第7実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図15、又は、図29の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図32の画像処理装置は、記憶部21、拡大部23、位置合わせ部24、混合部25、加算部26、分離部27、及び、記憶部28を有する点で、図15の画像処理装置と一致する。
但し、図32の画像処理装置は、動き検出部22に代えて図29の動き検出部171が設けられており、図29の動体混合部172が新たに設けられている点で、図15の画像処理装置と相違する。
図32の画像処理装置では、入力画像Anが動画であり、動画用混合加算が行われる。
したがって、動き検出部171では、図15で説明したように、混合加算の対象の入力画像Anを、基準画像とするとともに、その直前(1フレーム前)の入力画像An-1を比較画像として、動きベクトル(グローバル動きベクトル)が求められる。
さらに、動き検出部171では、図30で説明したように、位置合わせ前の拡大画像Bnの各画素の、1フレーム前の拡大画像Bn-1に対する動きの程度を表す動き情報βが求められ、動体混合部172に供給される。
また、動画用混合加算が行われる図32の画像処理装置では、動体混合部172には、図29の場合と異なり、記憶部28からの出力画像Sn-1に代えて、拡大部23からの拡大画像Bnが供給されるようになっている。
そして、動き検出部171から動体混合部172に供給される動き情報βのうちの、位置合わせ前の拡大画像Bnの位置tの画素の動きの程度を表す動き情報βを、β(t)と、加算部26から動体混合部172に供給される新たな出力画像Snの位置tの画素の画素値を、s(t)と、拡大部23から動体混合部172に供給される拡大画像(位置合わせ前の拡大画像)Bnの位置tの画素の画素値を、b(t)と、それぞれ表すこととすると、動体混合部172は、拡大画像Bnの各画素(新たな出力画像Snの各画素でもある)について、式(18)に従って動体混合を行うことで、新たな出力画像Snを修正する。
s(t) = β(t)×b(t) + (1-β(t))×s(t)
・・・(18)
式(18)によれば、動体混合部172では、動きがある画素については、拡大画像Bnの重みが大となり、動きがない画素については、新たな出力画像Snの重みが大となる重みに従って、拡大画像Bnと、新たな出力画像Snとを混合する動体混合が行われる。
すなわち、いま、説明を簡単にするために、動き情報βが、0又は1であるとすると、式(18)によれば、動き情報βが0である画素、すなわち、動きがない画素については、新たな出力画像Snの画素値が、そのまま、修正後の新たな出力画像Snの画素値として採用され、動き情報βが1である画素、すなわち、動きがある画素については、拡大画像Bnの画素値が、修正後の新たな出力画像Snの画素値として採用される。
この場合、拡大画像Bnにおいて動体が映っている部分に対応する出力画像の部分には、拡大画像Bnが現れ、出力画像の他の部分には、混合加算によって、画質が向上した画像が現れる。
図32の画像処理装置によれば、図9の画像処理装置と同様に、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができる。
また、図32の画像処理装置では、動画用混合加算、及び、動体混合が行われることで、1フレームの入力画像Anに対して、1フレームの出力画像Snを出力することができ、動画の入力画像Anについて、静止している被写体の部分の高画質化を図ることができる。
なお、図32の画像処理装置によれば、例えば、動画のIP変換を行うことができ、IP変換を行うTV等に適用することができる。
[第8実施の形態]
図33は、本発明を適用した画像処理装置の第8実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16、又は、図32の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図33の画像処理装置は、記憶部21、拡大部23、位置合わせ部24、混合部25、加算部26、分離部27、記憶部28、及び、選択部101ないし103を有する点で、図16の画像処理装置と一致する。
但し、図33の画像処理装置は、動き検出部22に代えて図32の動き検出部171が設けられており、さらに、図32の動体混合部172が新たに設けられているとともに、選択部104が新たに設けられている点で、図16の画像処理装置と相違する。
図33の画像処理装置では、静止画用混合加算と、動画用混合加算とを、選択的に行うことができるようになっている。図33の画像処理装置において、静止画用混合加算、及び動画用混合加算のうちのいずれを行うかは、例えば、記憶部21に供給される入力画像に応じて選択される。
すなわち、図33の画像処理装置では、例えば、記憶部21に供給される入力画像が、静止画及び動画のうちのいずれであるかが判定され、入力画像が静止画である場合には、静止画用混合加算が行われ、入力画像が動画である場合には、動画用混合加算が行われる。
その他、図33の画像処理装置では、例えば、静止画の撮影を行うか、又は、動画の撮影を行うか等のユーザの操作に応じて、静止画用混合加算、又は動画用混合加算を行うことを選択することができる。
図33において、選択部104の端子aには、拡大部23から、拡大画像が供給され、端子bには、記憶部28から、1フレーム前の出力画像(直前に得られた出力画像)が供給される。
選択部104は、端子aに供給される拡大画像、又は、端子bに供給される直前に得られた出力画像を選択し、動体混合の対象として、動体混合部172に供給する。
図33の画像処理装置において、静止画用混合加算が行われる場合には、図16で説明したように、第1の処理として、選択部101ないし103のすべてが、端子a及びbのうちの、端子aを選択するが、さらに、選択部104も、端子a及びbのうちの、端子aを選択する。
その結果、選択部104は、記憶部28から端子aに供給される、直前に得られた出力画像を選択し、動体混合部172に供給する。
これにより、図33の画像処理装置では、記憶部21、拡大部23ないし記憶部28、動き検出部171、及び、動体混合部172が、図29の画像処理装置の記憶部21、拡大部23ないし記憶部28、動き検出部171、及び、動体混合部172と同一の接続状態となって、図29の場合と同様の処理が行われる。
したがって、図33において、動体混合部172では、上述の式(15)の演算が行われることで、動き検出部171から供給される動き情報に基づき、動きがある画素については、記憶部28からの直前に得られた出力画像Sn-1の重みが大となり、動きがない画素については、加算部26からの新たな出力画像Snの重みが大となる重みに従って、直前に得られた出力画像Sn-1と、新たな出力画像Snとを混合する動体混合が行われる。
その結果、例えば、静止画である入力画像に、動体が映っている場合に、出力画像に、動体に起因する動きぼけが生じることを防止することができる。
一方、図33の画像処理装置において、動画用混合加算が行われる場合には、図16で説明したように、第2の処理として、選択部101ないし103のすべてが、端子a及びbのうちの、端子bを選択するが、さらに、選択部104も、端子a及びbのうちの、端子bを選択する。
その結果、選択部104は、拡大部23から端子bに供給される拡大画像(位置合わせ前の拡大画像)を選択し、動体混合部172に供給する。
これにより、図33の画像処理装置では、記憶部21、拡大部23ないし記憶部28、動き検出部171、及び、動体混合部172が、図32の画像処理装置の記憶部21、拡大部23ないし記憶部28、動き検出部171、及び、動体混合部172と同一の接続状態となって、図32の場合と同様の処理が行われる。
したがって、図33において、動体混合部172では、上述の式(18)の演算が行われることで、動き検出部171から供給される動き情報に基づき、動きがある画素については、拡大部23からの拡大画像Bnの重みが大となり、動きがない画素については、加算部26からの新たな出力画像Snの重みが大となる重みに従って、拡大画像Bnと、新たな出力画像Snとを混合する動体混合が行われる。
その結果、動画の入力画像に対して、(静止している被写体の部分の)画質が向上した動画としての出力画像を出力することができる。
以上のように、図33の画像処理装置では、図29又は図32の画像処理装置に、スイッチ101ないし104を追加するという、装置の規模(画像処理装置を、コンピュータにプログラムを実行させることで実現する場合の、そのプログラムのコードの量を含む)の僅かな増加だけで、図29の画像処理装置が行う処理(静止画用混合加算)、及び、図32の画像処理装置が行う処理(動画用混合加算)の両方を行うことができる。
[第9実施の形態]
図34は、本発明を適用した画像処理装置の第9実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図34の画像処理装置は、記憶部21、動き検出部22、位置合わせ部24、混合部25、加算部26、及び、記憶部28を有する点で、図9の画像処理装置と一致する。
但し、図34の画像処理装置は、拡大部23に代えて拡大部201が設けられ、分離部27に代えて、分離部202が設けられている点で、図9の画像処理装置と相違する。
図9の画像処理装置では、1方向である垂直方向の折り返し成分が含まれる入力画像を対象としたが、図34の画像処理装置では、2方向である水平方向及び垂直方向の折り返し成分が含まれる入力画像を対象として、折り返し成分が除去され、かつ、高解像度化された出力画像が生成される。
ここで、水平方向及び垂直方向の折り返し成分が含まれる入力画像としては、例えば、いわゆるモノクロの撮像素子や、単板式のディジタルカメラの撮像素子で撮影されて出力される画像がある。
撮像素子が出力する画像は、各種の特性のレンズや、センサとしての撮像素子での積分(電荷の積分)等に相当する光学フィルタで、折り返し成分がない画像をフィルタリングし、そのフィルタリング結果を、撮像素子の画素でサンプリングしたものと考えることができる。光学フィルタを、理想的なフィルタ(撮像素子の画素でのサンプリングのサンプリング周波数の1/2以下を通過帯域とするフィルタ)とすることは困難であるため、撮像素子が出力する画像には、光学フィルタによるフィルタリング後の信号の高周波数成分が、折り返し成分として含まれる。
なお、以下、2次元の画素の集合、及び、2次元フィルタを、以下のように表す。
すなわち、例えば、横×縦が、3×3画素の集合を、((A,B,C),(D,E,F),(G,H,I))と表す。ここで、3×3画素の集合((A,B,C),(D,E,F),(G,H,I))においては、1行目に、左から、画素(画素値)A,B,Cが、その順で並び、2行目に、左から、画素D,E,Fが、その順で並び、さらに、3行目に、左から、画素G,H,Iが、その順で並んでいる。
また、例えば、横×縦が3×3タップの2次元フィルタ(FIRフィルタ)のフィルタ係数を、{{a,b,c},{d,e,f},{g,h,i}}と表す。
上述した3×3画素の集合((A,B,C),(D,E,F),(G,H,I))のうちの、中心の画素Eに対する、フィルタ係数が{{a,b,c},{d,e,f},{g,h,i}}の2次元フィルタのフィルタリング結果は、例えば、式aA+bB+cC+dD+eE+fF+gG+hH+iIで表される。
図35を参照して、図34の拡大部201の処理について説明する。
図35Aは、図34の画像処理装置で処理の対象となる入力画像を示している。
図34の画像処理装置で処理の対象となる入力画像は、例えば、水平方向と垂直方向の折り返し成分を含むモノクロ(白黒)の静止画の画像である。
拡大部201(図34)は、入力画像の水平方向と垂直方向のそれぞれの画素数を2倍にした拡大画像を生成する。
すなわち、拡大部201は、入力画像の水平方向と垂直方向のうちの、例えば、水平方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入し、さらに、その結果得られる画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入することで、入力画像の水平方向と垂直方向のそれぞれの画素数を2倍にした0値補間画像を生成する。
図35Bは、図35Aの入力画像から生成された0値補間画像を示している。
図中、白丸印が、入力画像の画素(元の画素)を表し、黒丸印が、ゼロ点を表す。
いま、入力画像の水平方向及び垂直方向のサンプリング周波数を、周波数fsとすると、上述のように、水平方向と垂直方向のそれぞれにゼロ点を挿入して得られる0値補間画像のサンプリング周波数は、入力画像のサンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsとなる。
図35Cは、図35Bの0値補間画像の周波数特性を示している。
図35Cにおいて、横軸は、水平方向の周波数(水平周波数)を表し、縦軸は、垂直方向の周波数(垂直周波数)を表す。
また、図35Cにおいて、実線部分は、信号成分を表し、点線部分は、折り返し成分を表す。
0値補間画像では、入力画像の信号成分の高周波数成分が復元されているが、折り返し成分も発生しており、信号成分と折り返し成分とが混在している。
拡大部201では、0値補間後に、画素値の平均値が変化しないように、元の画素値が調整される。すなわち、拡大部201は、0値補間画像の画素のうちの、入力画像の画素の画素値を、4倍にする。
その後、拡大部201は、0値補間画像を、例えば、フィルタ係数が{{1/16,1/8,1/16},{1/8,1/4,1/8},{1/16,1/8,1/16}}の2次元フィルタでフィルタリングすることで、拡大画像を生成する。
図35Dは、図35Bの0値補間画像から生成された拡大画像を示している。
図35Dにおいて、画素A,B,C,D,E,Fは、入力画像の画素であり、他の画素が、ゼロ点が挿入された位置の画素である。
図35Dにおいて、画素AとDとの間の画素A1の画素値は、画素AとDの画素値の平均値((A+D)/2)となる。また、画素AとBとの間の画素A2の画素値は、画素AとBの画素値の平均値((A+B)/2)となる。さらに、画素A,B,D、及びEの中心の位置の画素A3の画素値は、画素AないしDの画素値の平均値((A+B+D+E)/4)となる。
したがって、拡大部201では、実質的に、入力画像の2次元の線形補間が行われることによって、入力画像の水平方向と垂直方向のそれぞれの画素数を2倍にした拡大画像が生成される。
ここで、図34の画像処理装置において、分離部202のフィルタは、図9の画像処理装置の場合と同様に、拡大部201のフィルタである、上述したフィルタ係数が{{1/16,1/8,1/16},{1/8,1/4,1/8},{1/16,1/8,1/16}}の2次元フィルタと、位置合わせ部24のフィルタである水平多タップAPF71及び垂直多タップAPF72(図13)とを縦続接続した縦続接続フィルタと同一の特性を有する。
したがって、図34の画像処理装置によれば、上述した高解像度化原理に基づき、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができ、入力画像の水平方向及び垂直方向の折り返し成分が除去され、かつ、高解像度化された出力画像が生成される。
なお、位置合わせ部24の水平多タップAPF71及び垂直多タップAPF72(図13)は、上述したように、拡大画像に含まれる周波数成分すべてを通過させる、多タップのAPFであるため、分離部202のフィルタのフィルタ特性は、結局、拡大部201のフィルタ、すなわち、フィルタ係数が{{1/16,1/8,1/16},{1/8,1/4,1/8},{1/16,1/8,1/16}}の2次元フィルタと同一となる。
図36は、図34の拡大部201の構成例を示している。
図36において、拡大部201は、補間部211及び212、並びに、2次元LPF213から構成される。
補間部211には、記憶部21に記憶された入力画像が供給される。補間部211は、記憶部21からの入力画像の水平方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間を行い、その結果得られる画像を、補間部212に供給する。
補間部212は、補間部211からの画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間を行い、その結果得られる、入力画像の水平方向と垂直方向のそれぞれの画素数を2倍にした0値補間画像を、2次元LPF213に供給する。
2次元LPF213は、例えば、上述したフィルタ係数が{{1/16,1/8,1/16},{1/8,1/4,1/8},{1/16,1/8,1/16}}の2次元フィルタであり、補間部212からの0値補間画像を、水平方向及び垂直方向にフィルタリングし、その結果得られる拡大画像を、位置合わせ部24(図34)に供給する。
次に、図37を参照して、図34の拡大部201の他の構成例について説明する。
図37Aは、図34の拡大部201の他の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図36の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図37Aの拡大部201は、補間部211及び212が設けられている点で、図36の場合と一致する。
但し、図37Aの拡大部201は、2次元LPF213が設けられておらず、水平LPF221及び垂直LPF222が新たに設けられている点で、図36の場合と相違する。
図37Aでは、補間部211において生成された、入力画像の水平方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間を行って得られる0値補間画像が、水平LPF221に供給される。
水平LPF221は、例えば、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFであり、補間部211からの0値補間画像を、水平方向にフィルタリングし、その結果得られる画像を、補間部212に供給する。
補間部212では、水平LPF221からの画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間が行われ、その結果得られる0値補間画像が、垂直LPF222に供給される。
垂直LPF222は、例えば、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFであり、補間部212からの0値補間画像を、垂直方向にフィルタリングし、その結果得られる拡大画像を、位置合わせ部24(図34)に供給する。
図37Bは、水平LPF221及び垂直LPF222である、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFのフィルタ特性を示している。
図37Cは、フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFでの水平方向のフィルタリングと、垂直方向のフィルタリングとを同時に行う2次元フィルタのフィルタ係数を示している。
フィルタ係数が{1/4,1/2,1/4}のLPFでの水平方向のフィルタリングと、垂直方向のフィルタリングとを同時に行う2次元フィルタのフィルタ係数は、{{1/16,1/8,1/16},{1/8,1/4,1/8},{1/16,1/8,1/16}}であり、したがって、水平LPF221による水平方向のフィルタリングと、垂直LPF222による垂直方向のフィルタリングとによって、図36の2次元LPF213と同様のフィルタリングが行われる。
すなわち、図36の拡大部201のフィルタである2次元LPF213と、図37Aの拡大部201のフィルタである水平LPF221及び垂直LPF222の組み合わせとは、同一のフィルタである。
図38は、図34の分離部202の構成例を示している。
なお、図中、図14の分離部27と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図34の分離部202は、演算部82が設けられている点で、図14の分離部27と一致し、垂直LPF81に代えて2次元LPF241が設けられている点で、図14の分離部27と相違する。
上述した高解像度化原理に基づき、入力画像の折り返し成分が除去され、かつ、高解像度化された出力画像を生成するには、分離部202のフィルタは、拡大部201のフィルタである2次元LPF213(図36)と、位置合わせ部24のフィルタである水平多タップAPF71及び垂直多タップAPF72(図13)とを縦続接続した縦続接続フィルタと同一(又は類似)の特性を有するフィルタである必要がある。
そこで、分離部202の2次元LPF241は、そのような縦続接続フィルタと同一の特性を有するフィルタとなっている。
なお、位置合わせ部24の水平多タップAPF71及び垂直多タップAPF72(図13)は、上述したように、拡大画像に含まれる周波数成分すべてを通過させる、多タップのAPFであるため、分離部202の2次元LPF241は、結局、拡大部201の2次元フィルタ213と同一の、フィルタ係数が{{1/16,1/8,1/16},{1/8,1/4,1/8},{1/16,1/8,1/16}}の2次元フィルタとなっている。
ここで、図34の画像処理装置における入力画像、0値補間画像、拡大画像、位置合わせ画像、及び、出力画像の水平方向と垂直方向それぞれの周波数特性は、第1実施の形態(図9ないし図14)における入力画像、0値補間画像、拡大画像、位置合わせ画像、及び、出力画像の垂直方向の周波数特性と同一であるため、その説明は、省略する。
図34の画像処理装置によれば、水平方向と垂直方向の折り返し成分を含む入力画像について、図9の画像処理装置の場合と同様に、柔軟な高解像度化を図ることができる。
なお、図34の画像処理装置でも、第4実施の形態(図17ないし図28)と同様に、拡大部201での入力画像の水平方向及び垂直方向の拡大率を、2倍ではなく、4倍以上とし、拡大画像と出力画像の位置合わせを行うためのフィルタ(位置合わせ部24のフィルタ)を、少ないタップ数のフィルタで構成することが可能である。
この場合、図34の画像処理装置では、図17の画像処理装置で垂直方向に行われる処理が、水平方向と垂直方向のそれぞれに対して行われる。
また、図34の画像処理装置のように、水平方向と垂直方向の折り返し成分を含む入力画像を対象とした処理は、例えば、図29や、図32、図33等の画像処理装置でも、2次元フィルタを採用することで行うことが可能である。
図34の画像処理装置は、例えば、高画質の静止画と動画が撮影可能な3板式のディジタルスチルカメラ等に適用することができる。
[第10実施の形態]
図39は、本発明を適用した画像処理装置の第10実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図9の画像処理装置は、記憶部21、動き検出部22、位置合わせ部24、混合部25、加算部26、及び、記憶部28を有する点で、図9の画像処理装置と一致する。
但し、図34の画像処理装置は、拡大部23に代えて拡大部261が設けられ、分離部27に代えて、分離部262が設けられている点で、図9の画像処理装置と相違する。
例えば、カラーの画像を出力する単板式のディジタルカメラでは、撮像素子で得られる画像は、1画素が、1つの色成分を画素値として有する、例えば、ベイヤ配列の画像になっている。
ベイヤ配列の画像では、1ライン目に、G成分の画素とB成分の画素とが交互に配置され、2ライン目に、R成分の画素とG成分の画素とが交互に配置され、以下、1ライン目と2ライン目の画素の配置が繰り返される。なお、ベイヤ配列の画像では、人の視覚の特性に基づき、G成分の画素が、R成分の画素やB成分の画素の2倍の数だけある。
折り返し成分のないベイヤ配列の画像の、ある1つの色成分に注目すると、その注目色成分の画素は、飛び飛びに配置されており、注目色成分の画素から構成される画像は、多くの折り返し成分を含む。
図39の画像処理装置では、ベイヤ配列の画像から得られる、G成分の画素だけからなる画像(以下、G画像ともいう)、B成分の画素だけからなる画像(以下、B画像ともいう)、及び、R成分の画素だけからなる画像(以下、R画像ともいう)のそれぞれが、別個に処理され、これにより、折り返し成分が除去され、かつ、高解像度化されたG画像、B画像、及び、R画像が生成される。
すなわち、図39の画像処理装置では、記憶部21に対して、ベイヤ配列の画像が、入力画像として供給されて記憶される。
そして、動き検出部22では、記憶部21に記憶された入力画像の画素のうちの、例えば、最も画素数が多いG成分の画素を用いて、位置合わせのための動きベクトル(グローバル動きベクトル)が求められる。
すなわち、動き検出部22は、入力画像の画素のうちの、G成分の画素以外の画素(B成分の画素、及び、R成分の画素)をゼロ点に置換する。この置換後の入力画像は、多くの折り返し成分を含むため、動き検出部22は、置換後の入力画像をフィルタリングすることで、折り返し成分を含まない、直流に近い周波数成分だけからなる画像を生成し、その画像を、図10で説明した基準画像及び比較画像として用いて、動きベクトルを求める。
この動きベクトルは、G画像、B画像、及び、R画像の位置合わせに共通して用いられる。
図39の画像処理装置では、以下、拡大部261、位置合わせ部24ないし加算部26、分離部262、及び、記憶部28において、図9の拡大部23ないし記憶部28と同様の処理が、G画像、B画像、及び、R画像のそれぞれについて行われる。
まず、B画像の処理について説明する。
なお、B画像とR画像とは、画素の位置が平行移動により一致する画像、すなわち、画素の配置のパターンが同一の画像である。したがって、R画像の処理は、以下説明するB画像の処理と同様であるので、R画像の処理については、説明を省略する。
図40は、図39の拡大部261がB画像について行う処理を説明する図である。
図40Aは、ベイヤ配列の画像を示している。
ベイヤ配列の画像では、1ライン目に、G成分の画素とB成分の画素とが交互に配置され、2ライン目に、R成分の画素とG成分の画素とが交互に配置され、以下、1ライン目と2ライン目の画素の配置が繰り返される。
図40Bは、図40Aのベイヤ配列の画像のうちの、B成分の画素の配置を示している。
B成分の画素は、ベイヤ配列の画像において、水平方向と垂直方向のいずれの方向にも1画素おきに配置されており、このようなB成分の画素からなるB画像には、水平方向と垂直方向の多くの(強い)折り返し成分が含まれる。
なお、図40Bにおいて、白丸印が、B成分の画素を表し、黒丸印が、他の色成分の画素を表す。
拡大部261(図39)は、B画像の水平方向に隣接する画素どうしの間に1個のゼロ点を挿入する0値補間を行い、さらに、その0値補間後のB画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に1個のゼロ点を挿入する0値補間を行う。
すなわち、拡大部261は、図40Bにおいて黒丸印で示す、B成分以外の色成分の画素の位置にゼロ点を挿入する0値補間によって、水平方向と垂直方向の画素数が、それぞれ元のB画像の2倍になった0値補間画像を生成する。
なお、拡大部261では、0値補間後に、画素値の平均値が変化しないように、元の画素値が調整される。すなわち、拡大部261は、0値補間画像の画素のうちの、B画像の元の画素の画素値を、4倍にする。
拡大部261で得られるB画像の0値補間画像は、B画像の水平方向と垂直方向の画素数が、それぞれ2倍になるから、元のベイヤ配列の画像と同一のサイズ(画素数)となる。いま、B画像の水平方向及び垂直方向のサンプリング周波数(B成分の画素のサンプリング周波数)を、周波数fsとすると、そのB画像の0値補間画像のサンプリング周波数は、水平方向及び垂直方向のいずれも、元のB画像のサンプリング周波数fsの2倍の周波数2fsとなる。
図40Cは、B画像の0値補間画像の周波数特性を示している。
図40Cにおいて、横軸は、水平方向の周波数(水平周波数)を表し、縦軸は、垂直方向の周波数(垂直周波数)を表す。
また、図40Cにおいて、実線部分は、信号成分を表し、点線部分は、折り返し成分を表す。
0値補間画像では、B画像の信号成分の高周波数成分が復元されているが、折り返し成分も発生しており、信号成分と折り返し成分とが混在している。
その後、拡大部261は、0値補間画像を、例えば、フィルタ係数が{{1/4,1/4,0},{1/4,1/4,0},{0,0,0}}の2次元フィルタでフィルタリングすることで、B画像の拡大画像を生成する。
図40Dは、B画像の0値補間画像から生成された拡大画像を示している。
図40Dにおいて、画素A,B,C,D,E,Fは、元のB画像の画素であり、他の画素が、ゼロ点が挿入された位置の画素である。
図40Dにおいて、画素Aの下に隣接する画素a1、右に隣接する画素a2、及び、右斜め下に隣接する画素a3の画素値は、すべて、画素Aの画素値と同一になる。同様に、アルファベットの小文字で表す画素の画素値は、同一のアルファベットの大文字で表す画素の画素値と同一になる。
したがって、拡大部261では、実質的に、B画像の2次元の最近傍補間が行われることによって、B画像の水平方向と垂直方向のそれぞれの画素数を2倍にした拡大画像が生成される。
以上のような、水平方向と垂直方向のそれぞれの画素数を2倍にする最近傍補間では、その最近傍補間によって生成される画素(図40Dの画素ai等の、アルファベットの小文字で表される画素)は、元のB画像の水平方向、垂直方向、又は、水平方向と垂直方向の両方に、半画素分(水平(垂直)方向に隣接する画素どうしの距離の1/2)だけずれた位置に生成される。
したがって、拡大画像の画素は、図40Eに小さい白丸印で示すように、元のB画像の画素を中心として、その画素から、水平方向と垂直方向の両方に、半画素分だけずれた4カ所の位置にあると考えることができる。
なお、図40Eにおいて、画素A,B,C,D,E,Fは、元のB画像の画素である。また、図40Eにおいて、画素Aから左上方向に半画素分だけずれた位置の画素a1、右上方向に半画素分だけずれた位置の画素a2、左下方向に半画素分だけずれた位置の画素a3、及び、右下方向に半画素分だけずれた位置の画素a4の、4個の画素の画素値は、すべて、画素Aの画素値と同一である。同様に、図40Eにおいて、アルファベットの小文字で表す画素の画素値は、同一のアルファベットの大文字で表す画素の画素値と同一である。
ここで、図39の画像処理装置において、上述した高解像度化原理に基づき、入力画像(B画像)の水平方向及び垂直方向の折り返し成分が除去され、かつ、高解像度化された出力画像を生成するには、分離部262のフィルタは、拡大部261のフィルタと、位置合わせ部24のフィルタである水平多タップAPF71及び垂直多タップAPF72(図13)とを縦続接続した縦続接続フィルタと同一又は類似の特性を有する必要がある。
そして、位置合わせ部24の水平多タップAPF71及び垂直多タップAPF72(図13)は、上述したように、拡大画像に含まれる周波数成分すべてを通過させる、多タップのAPFであるため、分離部262のフィルタは、結局、拡大部261のフィルタと同一又は類似の特性を有する必要がある。
一方、拡大部261において、最近傍補間を行う、フィルタ係数が{{1/4,1/4,0},{1/4,1/4,0},{0,0,0}}の2次元フィルタによるフィルタリングによって生成される、B画像の拡大画像の画素は、図40Eで説明したように、元のB画像の画素を中心として、その画素から、水平方向と垂直方向の両方に、半画素分だけずれた位置にある(と考えることができる)。
図40Eの拡大画像を生成するための最近傍補間は、例えば、フィルタ係数が{1/2,1/2}のフィルタによる、水平方向のフィルタリングと、垂直方向のフィルタリングによって行うことができる。
すなわち、拡大部261において、図40Eに示した、元のB画像の画素を中心として、その画素から、水平方向と垂直方向の両方に、半画素分だけずれた位置に画素がある拡大画像が生成されることとすると、拡大部261のフィルタは、フィルタ係数が{1/2,1/2}の水平LPF、及び、フィルタ係数が{1/2,1/2}の垂直LPFのセットになる。
フィルタ係数が{1/2,1/2}の、2タップのフィルタで画像をフィルタリングした場合、そのフィルタリングの結果得られる画像の画素は、元の画像(フィルタリング前の画像)の画素の位置から、半画素分だけずれる。
したがって、分離部262のフィルタとして、拡大部261のフィルタと同一の、フィルタ係数が{1/2,1/2}の水平LPF、及び、フィルタ係数が{1/2,1/2}の垂直LPFのセットを採用すると、分離部262のフィルタが出力画像をフィルタリングすることにより得られる画像(出力画像の低周波数成分)の画素の位置が、水平方向と垂直方向の両方に、半画素分だけずれるので、混合加算にあたって、再度、位置合わせをする必要が生じる。
そこで、図39の画像処理装置では、分離部262のフィルタとして、フィルタ係数が{1/2,1/2}のフィルタではなく、そのフィルタと類似するフィルタ特性のフィルタであり、かつ、フィルタリングの結果得られる画像の画素の位置を、フィルタリング前の画像のままずらさないフィルタが用いられる。
ここで、フィルタ係数が{1/2,1/2}のフィルタと類似するフィルタ特性のフィルタで、画素の位置をずらさないフィルタとしては、例えば、フィルタ係数が{-2/128,23/128,86/128,23/128,-2/128}の5タップのフィルタがある。
図39の画像処理装置では、分離部262のフィルタとして、フィルタ係数が{-2/128,23/128,86/128,23/128,-2/128}の水平LPF及び垂直LPFのセットが採用されており、これにより、上述の高解像度化原理に基づき、B画像の水平方向及び垂直方向の折り返し成分が除去され、かつ、高解像度化された出力画像が生成される。
すなわち、図39の画像処理装置でも、図9の画像処理装置と同様に、B画像の、柔軟な高解像度化を図ることができる。
なお、図39の画像処理装置では、拡大部261において最近傍補間によって拡大画像を生成することとしたが、拡大画像の生成は、図9の場合と同様に、最近傍補間以外の、例えば、線形補間等によって行うことが可能である。
図41は、図39の拡大部261の構成例を示している。
図41において、拡大部261は、補間部271及び272、並びに、2次元LPF273から構成される。
補間部271には、記憶部21に記憶された入力画像のうちの、B成分の画素だけで構成されるB画像が供給される。補間部271は、記憶部21からのB画像の水平方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間を行い、その結果得られる画像を、補間部272に供給する。
補間部272は、補間部271からの画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間を行い、その結果得られる、B画像の水平方向と垂直方向のそれぞれの画素数を2倍にした0値補間画像を、2次元LPF273に供給する。
2次元LPF273は、例えば、上述したフィルタ係数が{{1/4,1/4,0},{1/4,1/4,0},{0,0,0}}の2次元フィルタであり、補間部272からの0値補間画像を、水平方向及び垂直方向にフィルタリングし、その結果得られる拡大画像を、位置合わせ部24(図39)に供給する。
次に、図42を参照して、図39の拡大部261の他の構成例について説明する。
図42Aは、図39の拡大部261の他の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図41の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図42Aの拡大部261は、補間部271及び272が設けられている点で、図41の場合と一致する。
但し、図42Aの拡大部261は、2次元LPF273が設けられておらず、水平LPF281及び垂直LPF282が新たに設けられている点で、図41の場合と相違する。
図42Aでは、補間部271において生成された、B画像の水平方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間を行って得られる0値補間画像が、水平LPF281に供給される。
水平LPF281は、例えば、フィルタ係数が{1/2,1/2,0}のLPFであり、補間部271からの0値補間画像を、水平方向にフィルタリングし、その結果得られる画像を、補間部272に供給する。
補間部272では、水平LPF281からの画像の垂直方向に隣接する画素どうしの間に、1個のゼロ点を挿入する0値補間が行われ、その結果得られる0値補間画像が、垂直LPF282に供給される。
垂直LPF282は、例えば、フィルタ係数が{1/2,1/2,0}のLPFであり、補間部272からの0値補間画像を、垂直方向にフィルタリングし、その結果得られる拡大画像を、位置合わせ部24(図39)に供給する。
図42Bは、フィルタ係数が{1/2,1/2,0}のLPFでの水平方向のフィルタリングと、垂直方向のフィルタリングとを同時に行う2次元フィルタのフィルタ係数を示している。
フィルタ係数が{1/2,1/2,0}のLPFでの水平方向のフィルタリングと、垂直方向のフィルタリングとを同時に行う2次元フィルタのフィルタ係数は、{{1/4,1/4,0},{1/4,1/4,0},{0,0,0}}であり、したがって、水平LPF281による水平方向のフィルタリングと、垂直LPF282による垂直方向のフィルタリングとによって、図41の2次元LPF273と同様のフィルタリングが行われる。
すなわち、図41の拡大部261のフィルタである2次元LPF273と、図42Aの拡大部261のフィルタである水平LPF281及び垂直LPF282の組み合わせとは、同一のフィルタである。
次に、図43を参照して、図39の分離部262の処理について説明する。
図43Aは、図39の分離部262の構成例を示している。
なお、図中、図14の分離部27と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図39の分離部262は、演算部82が設けられている点で、図14の分離部27と一致し、垂直LPF81に代えてLPF部301が設けられている点で、図14の分離部27と相違する。
上述した高解像度化原理に基づき、入力画像の折り返し成分が除去され、かつ、高解像度化された出力画像を生成するには、分離部262のフィルタであるLPF部301は、拡大部261のフィルタである2次元LPF213(図41)と、位置合わせ部24のフィルタである水平多タップAPF71及び垂直多タップAPF72(図13)とを縦続接続した縦続接続フィルタと同一又は類似の特性を有するフィルタである必要がある。
ここで、位置合わせ部24の水平多タップAPF71及び垂直多タップAPF72(図13)は、上述したように、拡大画像に含まれる周波数成分すべてを通過させる、多タップのAPFであるため、分離部262のLPF部301は、結局、拡大部261のフィルタと同一又は類似のフィルタ特性のフィルタであればよい。
但し、拡大部261において、図40Eに示した、元のB画像の画素を中心として、その画素から、水平方向と垂直方向の両方に、半画素分だけずれた位置に画素がある拡大画像が生成されると考えると、拡大部261のフィルタは、図40で説明したように、フィルタ係数が{1/2,1/2}の水平LPF、及び、フィルタ係数が{1/2,1/2}の垂直LPFのセットになる。
分離部262のフィルタであるLPF部301として、拡大部261のフィルタである、フィルタ係数が{1/2,1/2}の水平LPF、及び、フィルタ係数が{1/2,1/2}の垂直LPFのセットと同一のフィルタ特性のフィルタを採用する場合、図40で説明したように、LPF部301でのフィルタリングの結果得られる画像の画素は、元の画像(フィルタリング前の画像)の画素の位置から、半画素分だけずれる。
この場合、LPF部301でのフィルタリングの結果得られる画像の画素の位置ずれを直す位置合わせが必要となる。
そこで、図43Aでは、分離部262のフィルタであるLPF部301として、拡大部261のフィルタである、フィルタ係数が{1/2,1/2}の水平LPF、及び、フィルタ係数が{1/2,1/2}の垂直LPFのセットと同一のフィルタ特性のフィルタであり、かつ、フィルタリングの結果得られる画像の画素の位置を、フィルタリング前の画像のままずらさないフィルタが採用されている。
すなわち、LPF部301は、水平LPF311及び垂直LPF312から構成される。
水平LPF311は、フィルタ係数が{1/2,1/2}のフィルタと類似するフィルタ特性のフィルタで、画素の位置をずらさない、例えば、フィルタ係数が{-2/128,23/128,86/128,23/128,-2/128}の5タップのフィルタである。水平LPF311は、記憶部28から供給される出力画像Sn-1を水平方向にフィルタリングし、そのフィルタリングの結果られる画像を、垂直LPF312に供給する。
垂直LPF312は、水平LPF311と同様に、フィルタ係数が{-2/128,23/128,86/128,23/128,-2/128}の5タップのフィルタであり、水平LPF311からの画像を、垂直方向にフィルタリングし、その結果得られる出力画像Sn-1の低周波数成分Lnを、演算部82と、混合部25に供給する。
図43Bは、水平LPF311及び垂直LPF312である、フィルタ係数が{-2/128,23/128,86/128,23/128,-2/128}のフィルタのフィルタ特性を示している。
ここで、図43Bには、フィルタ係数が{1/2,1/2}のフィルタのフィルタ特性も併せて示してある。
フィルタ係数が{-2/128,23/128,86/128,23/128,-2/128}のフィルタと、フィルタ係数が{1/2,1/2}のフィルタとは、高域の特性が多少異なるものの、低域及び中域の特性がほぼ一致しており、したがって、全体として、類似する。
なお、図43Aでは、LPF部301を、いずれも、フィルタ係数が{-2/128,23/128,86/128,23/128,-2/128}の5タップのフィルタである水平LPF311及び垂直LPF312で構成することとしたが、LPF部301は、水平LPF311による水平方向のフィルタリングと、垂直LPF312による垂直方向のフィルタリングとを同時に行う2次元LPFで構成することが可能である。
但し、LPF部301を、水平LPF311及び垂直LPF312のセットと同一のフィルタリングを行う2次元LPFで構成する場合には、その2次元LPFは、25タップのフィルタとなる。したがって、LPF部301を、2次元LPFで構成する場合、LPF部301を、水平LPF311及び垂直LPF312で構成する場合に比較して、フィルタリングによる演算量が増加する。
次に、図44を参照して、図39の画像処理装置が行う、B画像に対する処理について、さらに説明する。
なお、図44は、画像及びフィルタの水平方向の周波数特性を示すが、垂直方向の周波数特性も、水平方向の周波数特性と同様である。
図44Aは、入力画像のうちの、B成分の画素だけから構成されるB画像の周波数特性を示している。
B画像では、ナイキスト周波数fs/2以下に、信号成分と折り返し成分とが混在する。
図44Bは、図44AのB画像に対し、拡大部261(図39)で0値補間を行うことにより得られる0値補間画像の周波数特性を示している。
0値補間によって、高域fs/2ないしfsの信号成分が復元されるが、高域fs/2ないしfsの折り返し成分も発生する。
図44Cは、拡大部261のフィルタである2次元LPF273(図41)のフィルタ特性を示しており、図44Dは、拡大部261で得られる拡大画像の周波数特性を示している。
図44Bの0値補間画像は、拡大部261において、図44Cのフィルタ特性の2次元LPF273でフィルタリングされることにより、高域fs/2ないしfsの周波数成分(信号成分、及び、折り返し成分)が減衰した、図44Dに示す周波数特性の拡大画像となる。
図44Eは、位置合わせ部24(図39)のフィルタである水平多タップAPF71(図13)のフィルタ特性を示しており、図44Fは、位置合わせ部24で得られる位置合わせ画像の周波数特性を示している。
図13で説明したように、位置合わせ部24の水平多タップAPF71は、拡大画像に含まれる水平方向の周波数成分すべてをなるべく通過させる、周波数特性がなるべくフラットなフィルタになっている。
したがって、位置合わせ部24において、図44Dの拡大画像の位置合わせとしての、水平多タップAPF71でのフィルタリングによって得られる位置合わせ画像は、(理想的には、)図44Dの拡大画像と同一の周波数特性の画像となる。
図44Gは、分離部262(図39)のフィルタである水平LPF311(図43)のフィルタ特性を示している。
水平LPF311のフィルタ特性は、図44Cの拡大部261のフィルタ特性(図44Gにおいて点線で示す)に類似する特性になっている。
図44Hは、加算部26(図39)で得られる出力画像の周波数特性を示している。
混合部25及び加算部26(図39)において、B画像を対象とした混合加算が繰り返し行われることにより、上述の高解像度化原理に基づき、B画像の高域fs/2ないしfsの信号成分が復元され、かつ、折り返し成分が除去された出力画像が生成される。
次に、図39の画像処理装置が、ベイヤ配列の画像から得られるG画像に対して行う処理について説明する。
図45Aは、ベイヤ配列の画像(図40A)のうちの、G成分の画素の配置を示している。
G成分の画素は、ベイヤ配列の画像において、斜め方向に、1ラインおきに配置されており、このようなG成分の画素からなるG画像には、水平方向と垂直方向の多くの(強い)折り返し成分が含まれる。
なお、図45Aにおいて、白丸印が、G成分の画素を表し、黒丸印が、他の色成分の画素を表す。
G画像を、左(又は右)に45度だけ回転させると、G成分の画素は、格子状に並んでいるとみなすことができる。
45度だけ回転した状態のG画像の水平方向に隣接する画素どうしの間隔(及び垂直方向に隣接する画素どうしの間隔)は、G画像の水平方向及び垂直方向のサンプリング周波数fsに対応する。
拡大部261(図39)は、図45Aに示した、G成分の画素以外の画素(B成分の画素と、R成分の画素)の位置に、ゼロ点を挿入する0値補間を行い、G画像の2倍の画素数の0値補間画像を生成する。
なお、拡大部261では、0値補間後に、画素値の平均値が変化しないように、元の画素値が調整される。すなわち、拡大部261は、0値補間画像の画素のうちの、G画像の元の画素の画素値を、2倍にする。
拡大部261で得られるG画像の0値補間画像は、上述のように、G画像の2倍の画素数を有し、元のベイヤ配列の画像と同一のサイズ(画素数)となる。そして、G画像の0値補間画像のサンプリング周波数は、水平方向及び垂直方向のいずれも、元のG画像のサンプリング周波数fsの√2倍の周波数(√2)fsとなる。
図45Bは、G画像の0値補間画像の周波数特性を示している。
図45Bにおいて、横軸は、水平方向の周波数(水平周波数)を表し、縦軸は、垂直方向の周波数(垂直周波数)を表す。
また、図45Bにおいて、実線部分は、信号成分を表し、点線部分は、折り返し成分を表す。
0値補間画像では、G画像の信号成分の高周波数成分が復元されているが、折り返し成分も発生しており、信号成分と折り返し成分とが混在している。
その後、拡大部261は、0値補間画像を、例えば、B画像を処理する場合と同一の、フィルタ係数が{{1/4,1/4,0},{1/4,1/4,0},{0,0,0}}の2次元フィルタでフィルタリングすることで、G画像の拡大画像を生成する。
フィルタ係数が{{1/4,1/4,0},{1/4,1/4,0},{0,0,0}}の2次元フィルタによる、G画像の0値補間画像のフィルタリングによれば、図45Aに黒丸印で示した、ゼロ点が挿入された位置、つまり、B成分の画素と、R成分の画素の位置に、画素値が線形補間される。すなわち、元のG画像の水平方向、又は、垂直方向に、半画素分(水平(垂直)方向に隣接する画素どうしの距離の1/2)だけずれた位置に、画素値が線形補間される。
したがって、G画像の拡大画像の画素は、図45Cに小さい白丸印で示すように、元のG画像の斜め方向に隣接する画素どうしの間の位置(G画像の画素の水平方向と垂直方向の両方に、半画素分だけずれた位置)にあると考えることができ、この場合、図40Eに示した、B画像(及びR画像)の拡大画像の画素の位置と一致する。
ここで、図45Cにおいて、画素A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lは、元のG画像の画素である。また、図45Cにおいて、例えば、画素Aと、斜め右下方向に隣接する画素Dとの間の拡大画像の画素#1の画素値は、画素AとDの画素値の平均値((A+D)/2)である。さらに、例えば、画素Bと、斜め左下方向に隣接する画素Dとの間の拡大画像の画素#2の画素値は、画素BとDの画素値の平均値((B+D)/2)である。拡大画像の他の画素の画素値も同様である。
図39の画像処理装置では、G画像を処理する場合に、拡大部261のフィルタ(2次元LPF273(図41))として、B画像(及びR画像)を処理する場合と同一の、フィルタ係数が{{1/4,1/4,0},{1/4,1/4,0},{0,0,0}}の2次元フィルタを用いることができるので、分離部262のフィルタ(水平LPF311及び垂直LPF312(図43))としても、B画像を処理する場合と同一の、フィルタ係数が{-2/128,23/128,86/128,23/128,-2/128}のフィルタを用いることができる。
そして、図39の画像処理装置では、上述の高解像度化原理に基づき、G画像の水平方向及び垂直方向の折り返し成分が除去され、かつ、高解像度化された出力画像が生成される。
すなわち、図39の画像処理装置でも、図9の画像処理装置と同様に、G画像の、柔軟な高解像度化を図ることができる。
なお、図39の画像処理装置では、ベイヤ配列の画像のR画像、G画像、及びB画像を処理して得られる、R成分の出力画像、G成分の出力画像、及び、B成分の出力画像のそれぞれの、同一の位置の画素の画素値としてのR成分、G成分、及び、B成分を集めることで、RGBの3つの色成分を画素値として有するカラー画像を生成して出力することができる。
すなわち、図39の画像処理装置では、デモザイク処理を行うことができる。
以上のように、図39の画像処理装置によれば、ベイヤ配列の画像である入力画像について、図9の画像処理装置の場合と同様に、柔軟な高解像度化を図ることができる。
なお、図39の画像処理装置のように、ベイヤ配列の画像を対象とした処理は、例えば、図29や、図32、図33等の画像処理装置でも、2次元フィルタ等を採用することで行うことが可能である。
図39のの画像処理装置は、例えば、高画質の静止画と動画が撮影可能な単板式のディジタルカメラ等に適用することができる。
以上のように、画像処理装置では、上述の高解像度化原理に基づく処理が行われるので、すなわち、入力画像を、周辺の画素値を用いた補間によって拡大し、入力画像を拡大した拡大画像と、直前に得られた出力画像との位置合わせを行う一方、直前に得られた出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離し、拡大画像に対して、低周波数成分を混合し、高周波数成分を加算する混合加算を行うことで、新たな出力画像を生成するので、画像の、柔軟な高解像度化を図ることができる。
すなわち、最近傍補間や線形補間で生成した拡大画像を、重み付け加算するだけでは、高域の信号成分を復元することはできない。
これに対して、高解像度化原理に基づく処理を行う画像処理装置では、低周波数成分を混合(重み付け加算)し、高周波数成分を加算するので、高解像度化原理に基づき、高解像度の出力画像を生成することができる。
例えば、入力画像が複数枚ある場合には、入力画像の枚数が多いほど、折り返し成分が低減され、かつ、ナイキスト周波数以上の高周波数成分が復元された高解像度の出力画像を得ることができる。すなわち、入力画像が少ない枚数しかない場合には、ある程度の画質の出力画像を生成することができ、入力画像が十分な枚数だけある場合には、折り返し成分が十分に低減され、かつ、ナイキスト周波数以上の高周波数成分が十分に復元された高解像度の出力画像を生成することができる。
また、1枚の入力画像しかない場合であっても、拡大画像が、線形補間等の、入力画像の周辺の画素を用いた補間によって生成されるので、ユーザに提供される出力画像の画質としては、実用的に耐え得る画質、すなわち、線形補間等によって得られる画像の画質が保証される。
なお、従来の高解像度技術では、入力画像として、1枚の画像しかない場合には、図6及び図7で説明したように、黒の縞模様が存在する画像が、ユーザに提供されることになる。
また、入力画像として、複数枚の画像がある場合でも、その複数枚の入力画像が、例えば、インタレース画像の連続する複数フィールドの画像であり、各フィールドの画像が、直前のフィールドの画像に対して、奇数のライン数だけ、垂直方向にずれた、いわば特殊な画像であるときには、画像を構成する画素でサンプリングされている被写体上の点は、各フィールドで同一となる。この場合、複数枚の入力画像があっても、その情報量は、1枚の入力画像と変わらないので、従来の高解像度化技術では、入力画像が1枚の画像しかない場合と同様に、黒の縞模様が存在する画像が、ユーザに提供される。
これに対して、高解像度化原理に基づく処理を行う画像処理装置では、複数枚の入力画像が、上述のような特殊な画像であっても、ユーザに提供される出力画像の画質としては、線形補間等によって得られる画像の画質が保証される。
ここで、複数枚の入力画像が、上述のような特殊な画像となるケースは、極めて稀なケースであるが、それでも、入力画像が、2枚や3枚等の少ない枚数である場合には、複数枚の入力画像が特殊な画像となる可能性が高くなる。
また、高解像度化原理に基づく画像処理装置では、1方向の折り返し成分を含む入力画像はもちろん、2方向の折り返し成分を含む入力画像についても、画像の高解像度化を図ることができる。
さらに、高解像度化原理に基づく画像処理装置では、例えば、ベイヤ配列の画像の高解像度化を行うことができ、入力画像が、静止画及び動画のうちのいずれであっても、入力画像の高解像度化を行うことができる。
すなわち、例えば、ディジタルカメラには、3原色(RGB)であるR,G,Bのそれぞれ用の撮像素子を有する3板式のディジタルカメラと、1つの撮像素子において、R,G,Bそれぞれの光を受光する画素を分ける単板式のディジタルカメラとがある。単板式のディジタルカメラでは、撮像素子の画素の配列として、ベイヤ配列が広く用いられている。ベイヤ配列の画像は、1画素がRGBの3つの色成分のうちのいずれか1つの色成分だけを画素値として有する画像であり、そのような画像については、RGBの3つの色成分を各画素の画素値として有する画像に変換するデモザイク処理を行う必要がある。高解像度化原理に基づく画像処理装置では、そのような、ベイヤ配列の画像のデモザイク処理を行うことができる。
また、近年のディジタルカメラの中には、静止画と動画の両方を撮影することができる製品がある。高解像度化原理に基づく画像処理装置では、入力画像が静止画である場合には、入力画像(拡大画像)を移動する位置合わせを行うことで、静止画の高解像度化を行うことができる。さらに、高解像度化原理に基づく画像処理装置では、入力画像が動画である場合には、出力画像を移動する位置合わせを行うことで、動画の高解像度化を行うこともできる。その他、高解像度化原理に基づく画像処理装置では、例えば、図33に示したように、いわば、拡大部23等のブロックを共有して、静止画と動画の高解像度化を、切り換えて(選択して)行うことができる。
ここで、入力画像が動画である場合には、高解像度化原理に基づく画像処理装置は、上述したように、出力画像を移動する位置合わせを行う。さらに、高解像度化原理に基づく画像処理装置は、その位置合わせ後の出力画像と、入力画像を拡大した拡大画像との混合加算(動画用混合加算)を行い、その混合加算の結果得られる新たな出力画像を、入力画像に対応する出力画像として出力する。したがって、入力画像に対応する出力画像の出力が、1回の混合加算ごとに行われる。
一方、入力画像が静止画である場合には、高解像度化原理に基づく画像処理装置は、上述したように、入力画像(拡大画像)を移動する位置合わせを行う。さらに、高解像度化原理に基づく画像処理装置は、その位置合わせ後の拡大画像と、出力画像との混合加算(静止画用混合加算)を行い、その混合加算の結果得られる新たな出力画像を得る。そして、高解像度化原理に基づく画像処理装置は、静止画用混合加算を、記憶部21に記憶された複数の入力画像すべてを対象として繰り返し行い、最終的に得られた新たな出力画像を、記憶部21に記憶された複数の入力画像に対応する出力画像として出力する。したがって、入力画像に対応する出力画像の出力が、記憶部21に記憶された複数の入力画像を対象とした複数回の混合加算後に行われる。
以上から、入力画像が動画である場合には、入力画像が静止画である場合に比較して、高解像度化原理に基づく画像処理装置が1枚の出力画像を出力するのに行われる演算の演算量が少ない。
なお、入力画像が、動画である場合(動体が映っている静止画である場合も同様)、高解像度化原理に基づく画像処理装置では、動きがある部分については、少ない枚数の入力画像(拡大画像)が混合加算され、動きがない部分については、多くの枚数の入力画像が混合加算される。したがって、動きがある部分については、線形補間等によって得られる画像の画質以上の画質の画像が得られ、動きがない部分については、折り返し成分が低減され、かつ、高周波数成分が復元された高解像度の画像が得られる。
一方、動き検出処理、広帯域補間処理、及び、加重和処理を行う従来の高解像度化技術では、加重和処理で混合(重み付け加算)を行うフレーム数があらかじめ決まっているので(決めておく必要があるので)、加重和処理で混合を行うフレーム数を、動きがある部分と動きがない部分とで変えることはできない。
以上のような、高解像度化原理に基づく画像処理装置は、例えば、TVや、ディジタルビデオカメラ、ディジタルスチルカメラ等に適用することができる。
次に、上述した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
そこで、図46は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク405やROM403に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体411に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体411は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体411からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部408で受信し、内蔵するハードディスク405にインストールすることができる。
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)402を内蔵している。CPU402には、バス401を介して、入出力インタフェース410が接続されており、CPU402は、入出力インタフェース410を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部407が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM(Read Only Memory)403に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU402は、ハードディスク405に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部408で受信されてハードディスク405にインストールされたプログラム、またはドライブ409に装着されたリムーバブル記録媒体411から読み出されてハードディスク405にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)404にロードして実行する。これにより、CPU402は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU402は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース410を介して、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される出力部406から出力、あるいは、通信部408から送信、さらには、ハードディスク405に記録等させる。
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
従来の高解像度化技術を説明する図である。 本発明を適用した画像処理装置の概要を示すブロック図である。 画像処理装置で行われる画像処理(高解像度化処理)を説明するフローチャートである。 折り返し成分を含まない入力画像の垂直方向の画素数を、元の2倍の数にする拡大処理を説明する図である。 折り返し成分を含まない入力画像の垂直方向の画素数を、元の4倍の数にする拡大処理を説明する図である。 折り返し成分を含む入力画像の垂直方向の画素数を、元の2倍の数にする拡大処理を説明する図である。 折り返し成分を含む入力画像の垂直方向の画素数を、元の4倍の数にする拡大処理を説明する図である。 最近傍補間を行うためのフィルタのフィルタ特性を示す図である。 本発明を適用した画像処理装置の第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。 動き検出部22の構成例を示すブロック図である。 ブロックマッチング部45の処理を説明する図である。 拡大部23の処理を説明する図である。 位置合わせ部23の処理を説明する図である。 分離部27の処理を説明する図である。 本発明を適用した画像処理装置の第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用した画像処理装置の第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用した画像処理装置の第4実施の形態の構成例を示すブロック図である。 拡大部111が行う処理を説明する図である。 フィルタ係数が{1/16,2/16,3/16,4/16,3/16,2/16,1/16}の垂直LPFのフィルタ特性を示す図である。 拡大部111、及び、位置合わせ部112の構成例を示すブロック図である。 拡大部111の、画像の水平方向に関して行われる処理を説明する図である。 位置合わせ部112の、画像の水平方向に関して行われる処理を説明する図である。 拡大部111の、画像の垂直方向に関して行われる処理を説明する図である。 位置合わせ部112の、画像の垂直方向に関して行われる処理を説明する図である。 垂直キュービック補間フィルタ142の、より詳細な周波数特性を示す図である。 分離部113の処理を説明する図である。 垂直LPF151のフィルタ特性を説明する図である。 出力画像の周波数特性を示す図である。 本発明を適用した画像処理装置の第5実施の形態の構成例を示すブロック図である。 動き検出部171の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用した画像処理装置の第6実施の形態の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用した画像処理装置の第7実施の形態の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用した画像処理装置の第8実施の形態の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用した画像処理装置の第9実施の形態の構成例を示すブロック図である。 拡大部201の処理を説明する図である。 拡大部201の構成例を示すブロック図である。 拡大部201の他の構成例を説明する図である。 分離部202の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用した画像処理装置の第10実施の形態の構成例を示すブロック図である。 拡大部261がB画像について行う処理を説明する図である。 拡大部261の構成例を示すブロック図である。 拡大部261の他の構成例を説明する図である。 分離部262の処理を説明する図である。 画像処理装置が行う、B画像(及びR画像)に対する処理を説明する図である。 画像処理装置が行う、G画像に対する処理を説明する図である。 本発明を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
符号の説明
11 記憶部, 12 拡大部, 13 位置合わせ部, 14 分離部, 15 混合加算部, 16 記憶部, 21 記憶部, 22 動き検出部, 23 拡大部, 24 位置合わせ部, 25 混合部, 26 加算部, 27 分離部, 28 記憶部, 41,42 水平LPF, 43,44 垂直LPF, 45 ブロックマッチング部, 46 統計処理部, 61 補間部, 62 垂直LPF, 71 水平多タップAPF, 72 垂直多タップAPF, 81 垂直LPF, 82 演算部, 101ないし104 選択部, 111 拡大部, 112 位置合わせ部, 113 分離部, 131 補間部, 132 水平多タップLPF, 133 補間部, 134 垂直LPF, 135 広帯域LPF, 141 水平キュービック補間フィルタ, 142 垂直キュービック補間フィルタ, 151 垂直LPF, 171 動き検出部, 172 動体混合部, 181 動き判定部, 191 混合部, 201 拡大部, 202 分離部, 211,212 補間部, 213 2次元LPF, 221 水平LPF, 222 垂直LPF, 241 2次元LPF, 261 拡大部, 262 分離部, 271,272 補間部, 273 2次元LPF, 281 水平LPF, 282 垂直LPF, 301 LPF部, 311 水平LPF, 312 垂直LPF, 401 バス, 402 CPU, 403 ROM, 404 RAM, 405 ハードディスク, 406 出力部, 407 入力部, 408 通信部, 409 ドライブ, 410 入出力インタフェース, 411 リムーバブル記録媒体

Claims (13)

  1. 入力画像を、周辺の画素値を用いた補間によって拡大する拡大手段と、
    前記入力画像を拡大した拡大画像と、直前に得られた出力画像との位置合わせを行う位置合わせ手段と、
    前記出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離する分離手段と、
    前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、新たな出力画像を生成する混合加算手段と
    を備える画像処理装置。
  2. 前記拡大手段、前記位置合わせ手段、及び、前記分離手段は、フィルタで構成され、
    前記分離手段のフィルタは、前記拡大手段のフィルタと、前記位置合わせ手段のフィルタとを縦続接続したフィルタと同一又は類似の特性を有する
    請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記位置合わせ手段は、前記拡大画像の位置を、前記出力画像の位置に合わせる位置合わせを行い、
    前記混合加算手段は、位置合わせ後の前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、前記新たな出力画像を生成する
    請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 位置合わせ後の前記拡大画像について、各画素の動きの程度を判定する動き判定手段をさらに備え、
    前記混合加算手段は、動きがある画素については、直前に得られた前記出力画像の重みが大となり、動きがない画素については、前記新たな出力画像の重みが大となる重みに従って、直前に得られた前記出力画像と、前記新たな出力画像とを混合する動体混合を、さらに行う
    請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記位置合わせ手段は、前記出力画像の位置を、前記拡大画像の位置に合わせる位置合わせを行い、
    前記分離手段は、位置合わせ後の前記出力画像を、前記低周波数成分と前記高周波数成分とに分離する
    請求項2に記載の画像処理装置。
  6. 前記拡大画像について、各画素の動きの程度を判定する動き判定手段をさらに備え、
    前記混合加算手段は、動きがある画素については、前記拡大画像の重みが大となり、動きがない画素については、前記新たな出力画像の重みが大となる重みに従って、前記拡大画像と、前記新たな出力画像とを混合する動体混合を、さらに行う
    請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 前記拡大画像、又は、直前に得られた前記出力画像を選択し、位置合わせの対象として、前記位置合わせ手段に供給する第1の選択手段と
    前記位置合わせ手段による位置合わせ後の画像、又は、前記拡大画像を選択し、前記混合加算手段に供給する第2の選択手段と、
    前記位置合わせ手段による位置合わせ後の画像、又は、直前に得られた前記出力画像を選択し、前記分離手段に供給する第3の選択手段と
    をさらに備え、
    前記第1の選択手段が、前記拡大画像を選択して、前記位置合わせ手段に供給し、
    前記位置合わせ手段が、前記第1の選択手段から供給される前記拡大画像の位置を、前記出力画像の位置に合わせる位置合わせを行い、位置合わせ後の前記拡大画像を、前記第2の選択手段に供給し、
    前記第2の選択手段が、前記位置合わせ手段から供給される、位置合わせ後の前記拡大画像を選択して、前記混合加算手段に供給し、
    前記第3の選択手段が、直前に得られた前記出力画像を選択して、前記分離手段に供給し、
    前記分離手段が、前記第3の選択手段から供給される、直前に得られた前記出力画像を、前記低周波数成分と前記高周波数成分とに分離し、
    前記混合加算手段が、前記第2の選択手段から供給される、位置合わせ後の前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、前記新たな出力画像を生成する
    第1の処理を行うか、又は、
    前記第1の選択手段が、直前に得られた前記出力画像を選択して、前記位置合わせ手段に供給し、
    前記位置合わせ手段が、前記第1の選択手段から供給される、直前に得られた前記出力画像の位置を、前記拡大画像の位置に合わせる位置合わせを行い、位置合わせ後の前記出力画像を、前記第3の選択手段に供給し、
    前記第2の選択手段が、前記拡大画像を選択して、前記混合加算手段に供給し、
    前記第3の選択手段が、前記位置合わせ手段による位置合わせ後の前記出力画像を選択して、前記分離手段に供給し、
    前記分離手段が、前記第3の選択手段から供給される、位置合わせ後の前記出力画像を、前記低周波数成分と前記高周波数成分とに分離し、
    前記混合加算手段が、前記第2の選択手段から供給される前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、前記新たな出力画像を生成する
    第2の処理を行う
    請求項2に記載の画像処理装置。
  8. 前記拡大画像について、各画素の動きの程度を判定する動き判定手段と、
    前記拡大画像、又は、直前に得られた前記出力画像を選択する第4の選択手段と
    をさらに備え、
    前記第1の処理では、さらに、
    前記第4の選択手段が、直前に得られた前記出力画像を選択し、
    前記混合加算手段が、動きがある画素については、直前に得られた前記出力画像の重みが大となり、動きがない画素については、前記新たな出力画像の重みが大となる重みに従って、前記第4の選択手段が選択した、直前に得られた前記出力画像と、前記新たな出力画像とを混合する動体混合を、さらに行い、
    前記第2の処理では、さらに、
    前記第4の選択手段が、前記拡大画像を選択し、
    前記混合加算手段が、動きがある画素については、前記拡大画像の重みが大となり、動きがない画素については、前記新たな出力画像の重みが大となる重みに従って、前記第4の選択手段が選択した前記拡大画像と、前記新たな出力画像とを混合する動体混合を、さらに行う
    請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 複数の前記入力画像について、
    前記拡大手段が、前記入力画像を拡大し、
    前記位置合わせ手段が、前記拡大画像と、前記出力画像との位置合わせを行い、
    前記分離手段が、前記出力画像を、前記低周波数成分と前記高周波数成分とに分離し、
    前記混合加算手段が、前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、前記新たな出力画像を生成する
    ことを繰り返す
    請求項2に記載の画像処理装置。
  10. 前記入力画像は、インタレース方式の画像である
    請求項2に記載の画像処理装置。
  11. 前記入力画像は、ベイヤ配列の画像である
    請求項2に記載の画像処理装置。
  12. 画像処理装置が、
    入力画像を、周辺の画素値を用いた補間によって拡大する拡大ステップと、
    前記入力画像を拡大した拡大画像と、直前に得られた出力画像との位置合わせを行う位置合わせステップと、
    前記出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離する分離ステップと、
    前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、新たな出力画像を生成する混合加算ステップと
    を含む画像処理方法。
  13. 入力画像を、周辺の画素値を用いた補間によって拡大する拡大手段と、
    前記入力画像を拡大した拡大画像と、直前に得られた出力画像との位置合わせを行う位置合わせ手段と、
    前記出力画像を、低周波数成分と高周波数成分とに分離する分離手段と、
    前記拡大画像に対して、前記低周波数成分を混合し、前記高周波数成分を加算することで、新たな出力画像を生成する混合加算手段と
    して、コンピュータを機能させるためのプログラム。
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