JP2010044605A - 鋼板製造実績データベース検索装置,鋼板製造実績データベース検索プログラム - Google Patents

鋼板製造実績データベース検索装置,鋼板製造実績データベース検索プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】鋼板の製造実績のデータベースを検索することにより,要求性能を満足する鋼板を製造できる製造条件の候補を適切に設定することができること。
【解決手段】要求仕様と同じ性能試験条件のデータに基づいて製造条件の候補を設定できなかった板厚区分範囲(要求板厚範囲の一部の範囲)ごとに,鋼板製造実績データベースから,性能試験条件についての検索条件を要求仕様に対して緩和した検索条件に適合する実績データを検索し(S11),その検索結果における製造条件の実績値が共通するデータ群ごとに,性能試験条件の内容の相違に応じた鋼板性能値の補正処理及び板厚値に応じた鋼板性能値の内挿もしくは外挿の処理を通じて鋼板性能を比較することにより,要求性のを満足する製造条件の候補を設定する(S15〜S17)。
【選択図】図1

Description

本発明は,製造予定の鋼板に関して指定される板厚の要求仕様の情報に基づいて,製造実績のある鋼板に関する製造実績データのデータベースから,製造予定の鋼板への適用候補とする製造条件の実績値を検索する鋼板製造実績データベース検索装置及びそのプログラムに関するものである。
鋼板の製造業においては,客先からの鋼板(受注品)の要求仕様に基づいて鋼板の製造条件を決定する設計業務が行われている。一般に,鋼板の要求仕様には,鋼板の板厚の範囲の情報と鋼板の性能試験の情報とが含まれる。また,鋼板の性能試験の情報には,製造された鋼板からの試験片の採取方法やその試験片に対する熱処理方法等に関する性能試験条件の情報と,その性能試験条件の下で得られる鋼板性能(強度やじん性等)の情報とが含まれる。
また,鋼板の発注者は,まずは比較的広い範囲で板厚の要求範囲を指定し,その後,その板厚の要求範囲内でより具体的な板厚を指示して鋼材を発注する。これに対し,鋼板の製造者(受注者)は,広い前記板厚の要求範囲が指定された段階で,その範囲内のいずれの板厚がその後に指示されても,その板厚及びその他の要求仕様を満たす鋼板を製造できる製造条件を計画する必要がある。
また,企業には,多数の過去の鋼板の製造事例の情報が蓄積されている。そのため,新たに受注する鋼板の製造は,多くの場合,複数の過去の製造事例における製造条件又はその組合せにより対応できる。
従って,過去の鋼板の製造事例における鋼板の製造条件の実績値とその鋼板の性能試験の実績情報とが対応付けられた鋼板製造実績データベースを検索するシステムは,有効な設計業務の支援ツールとなる。
一方,特許文献1には,鉄鋼製品に関する製造条件のデータと性能(品質)のデータとが対応付けられたデータベースに基づいて,製造条件をパラメータとするベクトルPと,性能をパラメータとするベクトルQとの関係を表す線形回帰式の統計モデルを作成し,その統計モデルを用いて,指定された鋼板の性能(品質)を実現する製造条件の値を推定する技術について示されている。
また,特許文献2には,鋼材の素材成分,操業条件及び性能(材質)の実績値が対応付けられたデータベースに基づく重回帰分析により,入力される鋼材の素材成分及び操業条件の指示値から性能(材質)を推定する技術について示されている。
これらの従来技術を応用すれば,前記鋼板製造実績データベースに基づく統計処理(線形回帰処理等)により,ある製造条件の実績値からその製造条件で製造される鋼板の性能(鋼板性能の推定値)が,所望の性能を満たすか否かを判別することが可能となる。従って,前記鋼板製造実績データベースから,鋼板性能が要求性能を満たすと判別される製造条件の実績値を検索し,その検索結果を製造予定の鋼材についての製造条件の候補とすることが考えられる。
特開2007−58806号公報 特開2004−277835号公報
ところで,鋼板の性能(性能試験の結果)は,製造条件の内容の他,板厚や性能試験条件の内容にも大きく依存する。そのため,鋼板の製造実績のデータに基づいて,ある製造条件の下で製造された鋼材が所望の性能を満たすか否かを判別する処理を行う場合,その判別に用いるデータは,板厚や性能試験条件の内容が要求仕様で指定される内容と同じデータであることが望ましい。板厚や性能試験条件が全く異なる実績データが混在するデータ群においては,鋼板の製造条件と鋼板性能との間の一定の相関関係が崩れるため,製造条件に応じた鋼材性能の判別処理において誤った判別結果が得られ,その結果,不適切な製造条件の候補が設定される可能性が高いからである。
しかしながら,鋼板の製造実績のデータにおいて,板厚及び性能試験条件の内容が要求仕様で指定される内容と同じデータが存在しない場合や,同データの件数が統計処理に十分なデータ件数に満たない場合がある。これに対し,特許文献1や特許文献2には,指定される要求仕様の内容に応じて,製造実績のデータの中から回帰処理等に用いるのに適したデータをいかに抽出するかについて示されていない。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,鋼板の製造実績のデータベースから,鋼板の製造条件と鋼板性能との相関関係が崩れない範囲で必要数の実績データ群を抽出し,その実績データ群に基づいて,各製造条件の下で得られる鋼板が要求性能を満たすか否かを判別することにより,要求性能を満足する鋼板を製造できる製造条件の候補を適切に設定することができる鋼板製造実績データベース検索装置及びそのプログラムを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,製造予定の鋼板に関して指定される板厚の要求範囲と性能試験条件の要求値及びその性能試験条件下での鋼板性能の要求値とに基づいて,鋼板製造実績データベースから,前記製造予定の鋼板への適用候補とする製造条件の実績値を検索する鋼板製造実績データベース検索装置の発明であり,次の(1)〜(6)に示される各構成要素を備えている。なお,前記鋼板製造実績データベースは,製造実績のある鋼板に関する板厚の実績値と,前記性能試験条件の実績値及びその性能試験条件下での鋼板性能の実績値と,製造条件の実績値とが対応付けられてなる複数の製造実績データが記憶手段に記憶されたデータベースである。
(1)前記板厚の要求範囲の全体を網羅する板厚範囲が区分された複数の板厚区分範囲を設定する板厚区分範囲設定手段。
(2)前記板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースから,前記板厚の実績値が当該板厚区分範囲に属するとともに,前記性能試験条件の実績値が前記性能試験条件の要求値と一致するという基準検索条件に適合する前記製造実績データを検索する第1のDB検索手段。
(3)前記板厚区分範囲ごとの前記第1のDB検索手段の検索結果における前記製造条件の実績値が共通する第1のデータ群ごとに,その第1のデータ群における前記鋼板性能の実績値と前記鋼板性能の要求値との比較に基づいて,当該製造条件の実績値に従って製造される当該板厚区分範囲内の板厚の鋼板が,前記鋼板性能の要求値を満足するか否かを判別し,前記鋼板性能の要求値を満足するとの判別結果が得られた前記製造条件の実績値を当該板厚区分範囲における製造条件の候補に設定する第1の製造条件候補設定手段。
(4)前記第1の製造条件候補設定手段により前記製造条件の候補を設定できなかった前記板厚区分範囲(以下,残余板厚区分範囲という)ごとに,前記鋼板製造実績データベースから,前記基準検索条件よりも前記板厚及び前記性能試験条件の一方又は両方の条件が緩和された緩和検索条件に適合する前記製造実績データを検索する第2のDB検索手段。
(5)前記残余板厚区分範囲ごとの前記第2のDB検索手段の検索結果における前記製造条件の実績値が共通する第2のデータ群ごとに,その第2のデータ群における前記鋼板性能の実績値と前記鋼板性能の要求値とを,前記性能試験条件の実績値と前記性能試験条件の要求値との相違に応じた鋼板性能値の補正処理及び板厚値に応じた鋼板性能値の内挿もしくは外挿の処理の一方又は両方を通じて比較することにより,当該製造条件の実績値に従って製造された当該残余板厚区分範囲の板厚の鋼板が,前記性能試験条件の要求値の下での前記鋼板性能の要求値を満足するか否かを判別し,前記鋼板性能の要求値を満足するとの判別結果が得られた前記製造条件の実績値を当該残余板厚区分範囲における製造条件の候補に設定する第2の製造条件候補設定手段。
(6)前記板厚区分範囲ごとに前記第1の製造条件候補設定手段又は前記第2の製造条件候補設定手段により設定された製造条件の候補を出力する製造条件候補出力手段。
本発明においては,板厚に関する要求仕様である前記要求板厚範囲が細分化された複数の前記板厚区分範囲ごとに,要求性能を満たすと考えられる製造条件の候補が設定される。
また,本発明において,前記第1のデータ群は,板厚の実績値が前記要求板厚範囲におけるごく一部の範囲(前記板厚区分範囲)に属し,かつ,前記性能試験条件の実績値が前記性能試験条件の要求値と同じである前記製造実績データの集合である。そのため,前記第1のデータ群において,そのデータ件数が十分であれば,鋼板の製造条件及び鋼板性能の各データが,板厚及び性能試験条件のばらつき(要求仕様との相違)に起因する外乱要因の少ない一定の相関関係を示す。
そして,前記第1の製造条件候補設定手段は,前記第1のデータ群を用いて,前記製造条件の実績値ごとに,その製造条件に従って製造された鋼材が前記鋼板性能の要求値を満たすか否かを判別する。その判別結果は,前記外乱要因の影響の少ない適切な判別結果となる。従って,前記第1のデータ群に,要求性能を満足する鋼板が製造された製造条件のデータ(実績)が多数含まれていれば,要求性能を満たす鋼板を製造できる製造条件の候補が適切に設定される。
一方,要求性能を満足する鋼板が製造された製造条件の実績データが,前記第1のデータ群に必要件数以上存在しない場合には,前記第1の製造条件候補設定手段によっては前記製造条件の候補を設定できない前記板厚区分範囲である前記残余板厚区分範囲が発生してしまう。
そして,前記残余板厚区分範囲の製造条件の候補の設定は,前記第2のデータ群に基づいて行われる。
前記第2のデータ群は,前記鋼板製造実績データベースから前記第1のデータ群を得るための検索条件(前記基準検索条件)よりも,前記板厚及び前記性能試験条件の一方又は両方の条件が緩和された前記緩和検索条件を用いて得られた前記製造実績データの集合である。従って,前記緩和検索条件の緩和の程度に応じて,より多くのデータ数の前記第2のデータ群を確保できる。しかしながら,前記第2のデータ群における鋼板の製造条件及び鋼板性能の各データの関係には,板厚及び性能試験条件のばらつき(要求仕様との相違)に起因する外乱要因が含まれている。
これに対し,前記第2の製造条件候補設定手段は,前記第2のデータ群を用いて,前記製造条件の実績値ごとに,その製造条件に従って製造された鋼材が前記鋼板性能の要求値を満たすか否かを判別する。また,その判別は,性能試験条件の内容に応じた鋼板性能値の補正処理や,板厚値に応じた鋼板性能値の内挿・外挿処理を通じて,鋼板性能の実績値と要求値とを比較することにより行われる。
ここで,前記補正処理は,前記性能試験条件に関する要求値と実績値との相違に起因する前記外乱要因を除去する処理である。また,前記内挿・外挿処理は,前記板厚に関する要求値と実績値との相違に起因する前記外乱要因を除去する処理である。そのため,前記第2の製造条件候補設定手段による鋼板性能の判別結果は,前記外乱要因の影響の少ない適切な判別結果となる。
以上より,本発明によれば,前記要求板厚範囲の全体を網羅する複数の前記板厚区分範囲ごとに,要求性能を満足する鋼板を製造できる製造条件の候補を適切に設定することができる。また,特定の前記板厚区分範囲について,前記性能試験条件の実績値がその要求値と一致する前記製造実績データが不足する場合でも,他のデータに基づいて適切な製造条件の候補を設定できる。
なお,前記第2の製造条件候補設定手段によっても,製造条件の候補を設定できない前記板厚区分範囲(前記残余板厚区分範囲)が残ることはあり得る。
また,前記緩和検索条件に,次に示される第1の緩和検索条件と第2の緩和検索条件とが含まれることが考えられる。
前記第1の緩和検索条件は,前記板厚の実績値が前記残余板厚区分範囲に属するとともに前記性能試験条件の実績値が前記性能試験条件の要求値に対して所定の対応関係の範囲内にあるという検索条件である。
また,前記第2の緩和検索条件は,前記板厚の実績値が前記残余板厚区分範囲を所定幅拡張した範囲に属するとともに前記性能試験条件の前記実績値が前記性能試験条件の要求値に対して所定の対応関係の範囲内にあるという検索条件である。
さらにこの場合,前記第2のDB検索手段が,前記残余板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースから前記第1の緩和検索条件に適合する前記製造実績データを検索し,その検索結果における前記製造条件の実績値が共通するデータ群のデータ件数が所定の目標件数に満たない場合に,前記鋼板製造実績データベースから前記第2の緩和検索条件に適合する前記製造実績データを検索することが考えられる。
鋼板の板厚は,鋼板性能への影響が特に大きい。そのため,上記の処理は,前記性能試験条件に関する検索条件の緩和を優先し,それでも十分な件数のデータが得られない場合にのみ,板厚に関する検索条件を緩和するものである。
また,本発明に係る鋼板製造実績データベース検索装置が,さらに,次の(7)に示される構成要素を備えることが考えられる。
(7)前記第1の製造条件候補設定手段又は前記第2の製造条件候補設定手段により複数の前記製造条件の候補が設定された前記板厚区分範囲が1つ以上存在する場合に,その板厚区分範囲について,所定の優先規則に基づく優先度に従って複数の前記製造条件の候補の中から最優先の1つを特定する最優先製造条件候補特定手段。
この場合,前記所定の優先規則が,前記板厚の要求範囲の全体を網羅する全ての前記板厚区分範囲に設定される前記製造条件の候補の種類がより少なくなる場合の優先度を高める規則を含むことが考えられる。前記製造条件の候補の種類が少ないほど,鋼板の製造効率が向上するメリットがあるからである。
また,前記所定の優先規則が,以下に示される規則のうちの1つ又は複数をさらに含むことも考えられる。
・前記製造条件の候補の値の一部である鋼材の成分(鋼種)が,予め定められた複数の標準の鋼材成分のいずれかに対してより近似する場合の優先度を高める規則。前記標準の鋼材成分(標準の鋼種)は,品質やコスト等の様々な観点から望ましいとされるものだからである。
・前記製造条件の候補が前記第2のDB検索手段の検索処理を通じて得られたものである場合に,その検索処理で採用された前記緩和検索条件の前記基準検索条件に対する差異がより小さい場合の優先度を高める規則。前記緩和検索条件の前記基準検索条件に対する差異がより小さいほど,前記第2のデータ群における鋼板の製造条件及び鋼板性能の各データの関係に含まれる前記外乱要因が少なく,前記補正処理や前記外挿・内挿処理において生じ得る誤差も小さくできるからである。
・前記製造条件の候補に対応する前記製造実績データに含まれる製造実施日の情報がより新しい実施日を表す場合の優先度を高める規則。極力,古い(陳腐化した)製造条件の実績値が製造条件の候補として設定されることを防止するためである。
・前記製造条件の候補が前記第2の製造条件候補設定手段により前記内挿もしくは外挿の処理を通じて設定されたものである場合に,外挿の処理を通じて設定された前記製造条件の候補の優先度よりも内挿の処理を通じて設定された前記製造条件の候補の優先度を高める規則。一般に,内挿処理の方が,外挿処理よりも信頼性の高い処理結果が得られるからである。
また,本発明は,以上に示した本発明に係る鋼板製造実績データベース検索装置が備える各構成要素が実行する処理をコンピュータに実行させるための鋼板製造実績データベース検索プログラムとして捉えることもできる。
本発明によれば,鋼板の製造実績のデータベースから,鋼板の製造条件と鋼板性能との相関関係が崩れない範囲で必要数の実績データ群を抽出し,その実績データ群に基づいて,各製造条件の下で得られる鋼板が要求性能を満たすか否かを判別することにより,要求性能を満足する鋼板を製造できる製造条件の候補を適切に設定することができる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る鋼板製造実績データベース検索装置の一例である検索サーバXを含む鋼板製造支援システムAの概略構成図,図2は検索サーバXの概略構成を表すブロック図,図3は検索サーバXによる鋼板の製造事例検索処理の手順を表すフローチャート,図4は検索サーバXの検索対象である鋼板製造実績データベースのデータ構成図,図5は検索サーバXが端末から取得するデータを入力する画面の一例を表す図,図6は鋼板のP値と鋼板性能との関係を表す散布図,図7は鋼板の板厚と鋼板性能との関係を表す散布図,図8は検索サーバXの検索結果を表示する端末の画面の一例を表す図である。
まず,図1,図2及び図4を参照しつつ,本発明の実施形態に係る鋼板製造実績データベース検索装置の一例である検索サーバX及びそれを含む鋼板製造支援システムAの概略構成について説明する。
図1に示されるように,前記鋼板製造支援システムAは,前記検索サーバXと端末2とを有し,それらがイントラネットやインターネット等のネットワーク1を通じて相互に通信可能に構成されている。
前記検索サーバXは,1又は複数の前記端末2から前記ネットワーク1を通じてデータ検索のサービス要求を受信し,そのサービス要求に応じた検索結果の情報を前記ネットワーク1を通じてそのサービス要求を行った前記端末2に送信する計算機である。
図4は,前記検索サーバXの検索対象となる鋼板製造実績データベースd0のデータ構成図である。
図4に示されるように,前記鋼板製造実績データベースd0は,過去の鋼板の受注事案ごとに,製造実績のある鋼板に関する板厚の実績値d20と,性能試験条件の実績値d30と,その性能試験条件下での鋼板性能の実績値d40と,製造条件の実績値d5とが対応付けられた複数の製造実績データ(レコードデータ)が,記憶部14に記憶されデータベースである。
前記性能試験条件の実績値d30には,例えば,製造された鋼板からの試験片の形状の実績値d31や,同試験片の採取位置の実績値d32,同試験片に対する熱処理条件の実績値d33等が含まれている。
また,前記鋼板性能の実績値d40(性能試験の結果)には,例えば,強度の実績値d41やじん性の実績値d42等が含まれている。強度やじん性等の前記鋼板性能は,前記性能試験条件の内容によって異なる。そのため,前記鋼板性能の実績値d40は,その結果を得るための前記性能試験条件の内容が異なれば,単純に比較するだけでは優劣を判断できない。
なお,本実施形態において,「強度」は,引っ張り試験による強度のことを意味し,「じん性」は,シャルピー試験での吸収エネルギーのことを意味する。また,前記鋼板性能の実績値d40や前記鋼板性能の要求値d400(例えば,後述する強度の要求値d410やじん性の要求値d420等)には,性能試験の結果の許容範囲(下限値及び上限値),下限値のみ,又は上限値のみが設定される。
また,前記製造条件の実績値d5には,鋼材の成分を表す鋼種の実績値d51や,鋼板に対する熱処理条件の実績値d52等が含まれている。
また,前記鋼板製造実績データベースd0における各製造実績データ(レコードデータ)には,その鋼板の受注事案を識別する情報である事例No.(d11)や製造実施日d12のデータ等からなる付属データd1も含まれている。
前記鋼板製造実績データベースd0において,前記製造実績データ(レコードデータ)は,複数のフィールド項目に区分されており,そのフィールド項目ごとにデータ内容(値)が設定されてレコードデータを構成している。
そして,前記検索サーバXは,製造予定の鋼板に関して指定(入力)される客先要求仕様のデータに基づいて,前記鋼板製造実績データベースd0から,製造予定の鋼板への適用候補とする前記製造条件の実績値d5を検索し,その検索結果を前記端末2に対して出力する。後述するように,前記客先要求仕様のデータには,板厚の要求範囲,性能試験条件の要求値及びその性能試験条件下での鋼板性能の要求値の各データが含まれる。
一方,前記端末2は,前記ネットワーク1を介して前記検索サーバXに対して前記客先要求仕様のデータを送信するとともに,その送信に応じて返信される鋼板の製造条件の候補(前記製造条件の実績値d5)の情報を受信してディスプレイに表示するパーソナルコンピュータ等の計算機である。
前記検索サーバXは,前記鋼板製造実績データベースd0の検索に用いる前記客先要求仕様のデータを,前記端末2から前記ネットワーク1を通じて取得する。
図2に示されるように,前記検索サーバXは,演算部11,操作表示部12,通信制御部13及び記憶部14等を備えている。
前記演算部11は,CPU,ROM,RAM等からなる演算手段であり,後述する各種プログラムを並列的に実行するものである。
前記操作表示部12は,不図示の液晶ディスプレイ等の表示デバイスと,キーボードやマウス等の入力デバイスを備え,当該検索サーバXにおける各種情報の入力処理及び表示処理を行うマンマシンインターフェースである。
前記通信制御部13は,前記ネットワーク1を介して,前記端末2との間で所定の通信プロトコル(TCP/IP等)に準拠した通信制御を行う通信インターフェースである。
前記記憶部14は,ハードディスク等の記憶装置であり,前記演算部11により実行される各種プログラム及びそのプログラムの実行の際に参照或いは記録される各種データが記憶されている。
本実施形態では,前記演算部11により実行されるプログラムとして,製造事例検索プログラムp1及びウェブサーバプログラムp2が予め前記記憶部14に記憶されている。また,前記製造事例検索プログラムp1の実行の際に参照される前記鋼板製造実績データベースd0も予め前記記憶部14に記憶されている。
一方,前記端末2は,一般的なパーソナルコンピュータ等の計算機である。具体的には,前記端末2は,図示されていない構成要素として,表示デバイス及び入力デバイスを含むマンマシンインターフェースと,MPU,主メモリ,及びその周辺機器から構成される演算部と,ハードディスクや不揮発性RAM等のデータ記憶部と,前記ネットワーク1介したデータ通信を行う通信制御部とを備えている。
また,前記端末2には,ウェブブラウザのプログラムがインストールされている。前記表示デバイスにデータ入力画面を表示させつつ前記検索サーバXへ送信するデータを入力する処理や,前記検索サーバXから受信した検索結果を表示デバイスに表示する処理は,ウェブブラウザを通じて実行される。
具体的には,前記検索サーバXにおける前記演算部11は,前記ウェブサーバプログラムp2を実行することにより,データ入力用の画面データやデータ表示用の画面データを生成して前記端末2に送信する。また,前記演算部11は,前記データ入力用の画面データの送信に応じて返信されてくる入力データを受信する。各画面データは,例えば,HTMLやJavaScript(サン・マイクロシステムズ・インコーポレーテッドの登録商標,以下同じ)等によって記述されたデータである。
次に,図3に示すフローチャートを参照しつつ,前記検索サーバXによる鋼板の製造事例検索処理の手順について説明する。
前記検索サーバXにおいて,前記演算部11は,前記製造事例検索プログラムp1を実行することにより以下の処理を行う。なお,以下に示されるS1,S2,…は,前記演算部11が前記製造事例検索プログラムp1を実行して行う処理手順(ステップ)の識別符号を表す。
まず,前記演算部11は,前記端末2からのデータ検索のサービス要求の受信有無を監視する(S1)。
そして,データ検索のサービス要求が受信されると,前記演算部11は,サービス要求の送信元である前記端末2に対し,前記客先要求仕様のデータを入力するための画面データを送信するとともに,その端末2で入力された前記客先要求仕様のデータを受信する(S2)。
図5は,ステップS2において前記検索サーバXが前記端末2から取得する前記客先要求仕様のデータの入力画面の一例である。この入力画面は,ステップS2において前記検索サーバXから前記端末2に送信される画面データに基づいて,前記端末2のウェブブラウザによって表示デバイスに表示される画面である。
前記入力画面は,設計者による前記端末2の操作に応じて次の3種類のデータが入力される画面である。
その入力データの1つは,製造予定の鋼板に関する板厚の範囲(以下,要求板厚範囲d200という)である。図5に示されるように,前記要求板厚範囲d200は,板厚の下限値と上限値とを指定するデータである。
入力データの2つ目は,製造予定の鋼板の性能値を得るための性能試験条件の内容を指定するデータ(以下,性能試験条件要求値d300という)である。この性能試験条件要求値d300には,製造される鋼板からの試験片の形状の要求値d310や,同試験片の採取位置の要求値d320,同試験片に対する熱処理条件の要求値d330等が含まれている。これらのデータd310,d320,d330は,前記鋼板製造実績データベースd0における前記性能試験条件の実績値d30(d31〜d33)に対応するものである。
入力データの3つ目は,前記性能試験条件要求値d300により定まる性能試験条件の下での鋼板性能の要求値d400である。この鋼板性能の要求値d400には,強度の要求値d410やじん性の要求値d420等が含まれている。以下,それらを強度要求値d410及びじん性要求値d420という。これらのデータd410,420は,前記鋼板製造実績データベースd0における前記鋼板性能の実績値d40(d41,d42)に対応するものである。
ステップS2において,前記端末2から前記客先要求仕様のデータが受信されると,前記検索サーバXにおける前記演算部11は,前記客先要求仕様データにおける前記要求板厚範囲d200の全体を網羅する板厚範囲が区分された複数の板厚区分範囲を設定する(S3:板厚区分範囲設定処理)。
前述したように,鋼材の板厚は,鋼材性能に対して大きく影響する。そのため,標準的な鋼板の製造条件は,製造可能な鋼板の板厚の全範囲が細分化された比較的狭い複数の板厚範囲(以下,標準板厚区分範囲という)ごとに定められる。そして,ステップS3において,前記演算部11は,複数の前記標準板厚区分範囲の一部又は全部を前記要求板厚範囲d200の全体を網羅するように選択することにより,複数の前記板厚区分範囲を設定する。
例えば,前記標準板厚区分範囲が,"10mm以上20mm未満","20mm以上30mm未満","30mm以上40mm未満","40mm以上50mm未満"…と定められており,前記要求板厚範囲d200が"10mm以上40mm未満"である場合,"10mm以上20mm未満","20mm以上30mm未満",及び"30mm以上40mm未満"の3つを前記板厚区分範囲として設定する。即ち,複数の前記板厚区分範囲は,その全体が前記要求板厚範囲d200の全体を含むように設定される。
次に,前記演算部11は,前記板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースd0の検索条件を表す以下のような基準検索キーを設定する(S4:基準検索キー設定処理)。
ここで,前記基準検索キーは,前記板厚区分範囲ごとに,前記板厚の実績値d20が当該板厚区分範囲に属し(当該板厚区分範囲内に含まれる),かつ,前記性能試験条件の実績値d40が前記性能試験条件要求値d300と一致するという検索条件を表す。さらに,前記基準検索キーには,前記製造実施日d12(実績データ)が予め設定された基準日以降であるという条件も含められる。
続いて,前記演算部11は,前記板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースd0から,前記基準検索キーに適合する前記製造実績データを検索し,検索結果を前記記憶部14に記録する(S5:第1DB検索処理)。
次に,前記演算部11は,前記板厚区分範囲ごとに得られる前記第1DB検索処理(S5)の検索結果(前記製造実績データの集合)を,前記製造条件の実績値d5が共通するデータ群(以下,第1のデータ群という)ごとにグループ化(分類)する(S6:第1グループ化処理)。即ち,前記第1のデータ群は,前記板厚の実績値d20が同じ前記板厚区分範囲に属し,かつ,前記製造条件の実績値d5が共通する前記製造実績データの集合である。
さらに,前記演算部11は,前記第1グループ化処理(S6)によりグループ化された前記第1のデータ群ごとに,当該製造条件の実績値d5に従って製造される当該板厚区分範囲内の板厚の鋼板(以下,第1の製造仮想鋼板という)が,前記鋼板性能の要求値d400を満足するか否かを判別する(S7:第1の性能判別処理)。
そして,前記演算部11は,前記板厚区分範囲ごとに,前記第1の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満足するとの判別結果が得られた前記第1のデータ群における前記製造条件の実績値d5を,当該板厚区分範囲における製造条件の候補として設定し,設定結果を前記記憶部14に記録する(S8:第1の製造条件候補設定処理)。
ステップS7において,前記演算部11は,前記第1のデータ群ごとに,当該第1のデータ群における前記鋼板性能の実績値d40と前記鋼板性能の要求値d400とを比較することにより,前記第1の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満足するか否かを判別する。
例えば,前記演算部11は,前記第1のデータ群に含まれる複数の前記製造実績データの中で,前記鋼板性能の実績値d40が前記鋼板性能の要求値d400を満足していることを示すデータの占める比率が,予め設定された下限比率(例えば,90%)以上である場合に,前記第1の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満足すると判別する。但し,前記演算部11は,前記第1のデータ群に含まれる前記製造実績データの件数が,予め設定された必要件数(下限件数)未満である場合,その第1のデータ群を,前記第1の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満足するか否かの判別が不能なデータ群として取り扱う。このこと(判別不能)は,前記第1の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満足しないと判別することと等価である。
なお,前記鋼板性能の実績値d40が前記鋼板性能の要求値d400を満足しているということは,数値が高いほど高性能であることを意味する鋼板性能については,前記鋼板性能の実績値d40が前記鋼板性能の要求値d400以上であることをいう。同様に,数値が低いほど高性能であることを意味する鋼板性能については,前記鋼板性能の実績値d40が前記鋼板性能の要求値d400以下であることが,前記鋼板性能の実績値d40が前記鋼板性能の要求値d400を満足していることを意味する。
次に,前記演算部11は,前記板厚区分範囲ごとに,ステップS8,S9の処理によって1つ以上の前記製造条件の候補を設定できたか否かを判別する(S9)。前記演算部11は,1つ以上の前記製造条件の候補を設定できなかった場合に,処理を次のステップS10〜S17へ移行させ,1つ以上の前記製造条件の候補を設定できた場合には,処理を後述するステップS18へ移行させる。
以下,ステップS8,S9の処理によって1つ以上の前記製造条件の候補を設定できなかった前記板厚区分範囲のことを残余板厚区分範囲という。
ステップS10において,前記演算部11は,前記残余板厚区分範囲ごとに,ステップS4で設定された前記基準検索キーよりも前記板厚,前記性能試験条件及び前記製造実施日のうちの1つ以上についての検索条件が緩和された検索キー(以下,緩和検索キーという)を設定する(S10:検索条件緩和処理)。その際,前記演算部11は,前記緩和検索キーを用いたデータ検索により,後述する要件を満たすデータが予め設定された必要件数以上得られるまで,検索条件が少しずつ緩和された前記緩和検索キーを順次設定する(S10)。
例えば,前記演算部11は,以下の順序で検索条件を順次緩和した前記緩和検索キーを設定する(S10)。
第1段階目の検索条件の緩和は,前記性能試験条件の実績値d30についての検索条件の緩和である。具体的には,前記性能試験条件の実績値d30が,その性能試験条件要求値d300との間で予め対応関係が設定された性能試験条件の内容(値)と一致するという検索条件へ緩和される。なお,前記対応関係に設定される性能試験条件の内容(値)は,前記性能試験条件要求値d300も含まれる。
これにより,前記板厚の実績値d20が,前記残余板厚区分範囲に属し,かつ,前記性能試験条件の実績値d30が前記性能試験条件要求値d300に対して前記対応関係の範囲内にあり,かつ,前記製造実施日d12が前記基準日以降であるという条件(第1の緩和条件の一例)を表す第1段階目の前記緩和検索キーが設定される。
例えば,前記試験片の採取位置の要求値d320が"位置A"であり,試験片の採取位置について,"位置A"に対し,"位置B"及び"位置C"が条件緩和の対象となる形状として予め対応付けられている(前記対応関係に相当)とする。また,"位置A"との関係において,"位置B","位置C"の順序で,条件緩和の順序が予め設定されているものとする。この場合,前記演算部11は,まず,試験片の採取位置(性能試験条件の一例)に関する前記緩和検索キーとして,前記試験片の採取位置の実績値d32が"位置A"又は"位置B"であるという検索キーを設定する。そして,その緩和検索キーを用いたデータ検索により,後述する要件を満たすデータが予め設定された必要件数以上得られなかった場合には,前記演算部11は,試験片の採取位置(性能試験条件の一例)に関する前記緩和検索キーとして,前記試験片の採取位置の実績値d32が"位置A"又は"位置B"又は"位置C"であるという検索キーを設定する。
また,前記試験片に対する熱処理条件の要求値d330としていわゆるP値又はそのP値の範囲が設定されている場合,前記演算部11が,前記試験片に対する熱処理条件の要求値d330に設定されているP値又はそのP値の範囲を上下に拡張した範囲を,前記緩和検索キーに設定することも考えられる。
なお,前記P値は,熱処理における加熱温度(加熱状態での保持温度)をその加熱の時間で積分した値に相当するスカラー値(Hollomon-Jaffeの熱処理パラメータ)である。このP値は,加熱処理の温度をT,加熱時間をtとした場合,T・log(20+logt)×10-3の計算式により算出される。
その他,前記試験片の形状の実績値d31についての検索条件を除外するといった条件緩和も考えられる。
第2段階目の検索条件の緩和は,前記製造実施日d12についての検索条件の緩和である。具体的には,前記製造実施日d12についての前記基準日が,ステップS4で前記標準検索キーに設定された日よりも所定期間過去の日へ変更される。これにより,前記緩和検索キーに,前記製造実施日d12が変更後の前記基準日以降であるという検索条件が含められる。
第3段階目の検索条件の緩和は,前記板厚の実績値d20についての検索条件の緩和である。具体的には,前記板厚の実績値d20が,前記残余板厚区分範囲を予め設定された幅だけ拡張した範囲に属するという検索条件へ緩和される。
これにより,前記板厚の実績値d20が,前記残余板厚区分範囲を所定幅拡張した範囲に属し,かつ,前記性能試験条件の実績値d30が前記性能試験条件の要求値d400に対して前記対応関係の範囲内にあり,かつ,前記製造実施日d12が変更後の前記基準日以降であるという条件(第2の緩和条件の一例)を表す第3段階目の前記緩和検索キーが設定される。
例えば,前記残余板厚区分範囲が30mm以上40mm未満である場合に,板厚についての前記緩和検索キーが,その範囲を大小両側に5mmずつ拡張した25mm以上45mm未満の範囲に前記板厚の実績値d20が属するという検索条件を表す検索キーへ緩和される。或いは,前記緩和検索キーにおける板厚の範囲を,前記残余板厚区分範囲を基準にして,それより大きい側又は小さい側の一方へ所定幅(例えば,10mm)拡張した範囲に設定することも考えられる。
前記緩和検索キーの設定(S10)が行われた後,前記演算部11は,前記残余板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースd0から,前記緩和検索キーに適合する前記製造実績データを検索し,検索結果を前記記憶部14に記録する(S11:第2DB検索処理)。
次に,前記演算部11は,前記残余板厚区分範囲ごとに得られる前記第2DB検索処理(S11)の検索結果(前記製造実績データの集合)を,前記製造条件の実績値d5が共通するデータ群(以下,第2のデータ群という)ごとにグループ化(分類)する(S12:第2グループ化処理)。
さらに,前記演算部11は,前記残余板厚区分範囲ごとに,1つ以上の前記第2のデータ群について,その第2のデータ群に含まれる前記製造実績データの件数が,予め設定された必要件数(下限件数)以上であるか否かを判別する(S13)。ここで,前記演算部11は,前記必要件数(下限件数)以上のデータを含む前記第2のデータ群が存在しないと判別された前記残余板厚区分範囲については,処理を前述したステップS10に戻す。これにより,前述した順序で検索条件が順次緩和された前記緩和検索キーが設定され(S10),その新たな緩和検索キーに基づいて,前述したステップS11〜S13の処理が実行される。
但し,前記演算部11は,処理を前述したステップS10に戻す際に,その時点の前記緩和検索キーについて,予め定められた検索条件の緩和規則の範囲内で全ての条件緩和がなされた検索キーであるか否かを判別し(S14),それ以上の条件緩和ができない検索キーである場合には,処理を後述するステップS18へ移行させる。
以上に示したように,前記演算部11は,ステップS10〜S14において,前記残余板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースd0から,前記第1段階目の検索条件の緩和により設定された前記緩和検索キーに適合する前記製造実績データを検索し,その検索結果における前記製造条件の実績値が共通する前記第2のデータ群のデータ件数が前記下限件数(目標件数の一例)に満たない場合に,前記鋼板製造実績データベースd0から前記第2段階目の検索条件の緩和により設定された前記緩和検索キーに適合する前記製造実績データを検索する。さらに,前記演算部11は,前記第2段階目の検索条件の緩和により設定された前記緩和検索キーに適合する前記製造実績データの検索結果についても,前記第2のデータ群のデータ件数が前記下限件数に満たない場合に,前記鋼板製造実績データベースd0から前記第3段階目の検索条件の緩和により設定された前記緩和検索キーに適合する前記製造実績データを検索する。
前述したように,鋼板の板厚は,鋼板性能への影響が特に大きい。そのため,上記の処理は,前記性能試験条件に関する検索条件の緩和を優先し,それでも十分な件数のデータが得られない場合にのみ,板厚に関する検索条件を緩和するものである。
一方,前記演算部11は,前記必要件数(下限件数)以上のデータを含む前記第2のデータ群について,そのデータ群に含まれる前記鋼板性能の実績値d400を,前記性能試験条件の実績値d30と前記性能試験条件要求値d300との相違に応じて補正した補正値を算出し,その補正値を前記記憶部14に記録する(S15)。
例えば,前記試験片の採取位置の要求値d320が"位置A"であり,試験片の採取位置について,"位置A"に対し,"位置B"及び"位置C"それぞれについて補正係数kb,kcが予め設定されているとする。この場合,前記演算部11は,前記第2のデータ群に含まれる前記試験片の採取位置の実績値d32が"位置B"である場合,それに対応する前記鋼板性能の実績値d400に前記補正係数kbを乗算して補正値を算出する。同様に,前記演算部11は,前記第2のデータ群に含まれる前記試験片の採取位置の実績値d32が"位置C"である場合,それに対応する前記鋼板性能の実績値d400に前記補正係数kcを乗算して補正値を算出する。なお,この例の場合,前記試験片の採取位置の実績値d32が"位置A"であるときは,それに対応する前記鋼板性能の実績値d400の補正は行われない,或いは補正係数1を乗算した補正値が算出される。
次に,前記演算部11は,前記第2グループ化処理(S12)によりグループ化された前記第2のデータ群ごとに,当該製造条件の実績値d5に従って製造される当該残余板厚区分範囲内の板厚の鋼板(以下,第2の製造仮想鋼板という)が,前記鋼板性能の要求値d400を満足するか否かを判別する(S16:第2の性能判別処理)。
そして,前記演算部11は,前記残余板厚区分範囲ごとに,前記第2の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満足するとの判別結果が得られた前記第2のデータ群における前記製造条件の実績値d5を,当該残余板厚区分範囲における製造条件の候補として設定し,設定結果を前記記憶部14に記録する(S17:第2の製造条件候補設定処理)。
ステップS16において,前記演算部11は,前記第2のデータ群ごとに,当該第2のデータ群における前記鋼板性能の実績値d40の補正値(補正されていない場合にはその実績値d40)と前記鋼板性能の要求値d400とを比較することにより,前記第2の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満足するか否かを判別する。
以下,図6及び図7を参照しつつ,前記演算部11による前記第2の製造条件候補設定処理の一例について説明する。
図6は,鋼板のP値と鋼板性能の一例である強度(前記鋼板性能の実績値d40又はその補正値)との関係を表す散布図である。図6からわかるように,鋼板におけるP値と強度との間には,ばらつきはあるものの相関がある。
そこで,前記演算部11は,前記試験片に対する熱処理条件の要求値d330が指定されている場合,前記第2のデータ群に含まれるデータに基づいて,前記要求値d330から定まるP値と強度(実績値d41又はその補正値)との関係の近似式を導出し,さらに,その近似式を基準とする2σの範囲を導出する。
さらに,前記演算部11は,前記試験片に対する熱処理条件の要求値d330に設定されているP値又はP値の範囲Wo(試験条件の要求範囲)における,前記近似式を基準とする2σの範囲の強度の最小値F1minと最大値F1maxとを算出する。
そして,前記演算部11は,前記強度の最小値F1minから前記強度の最大値F2maxまでの値が,前記強度の要求値d410(要求性能値)を満足している場合に,前記第2の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満足すると判別する。
一方,図7は,鋼板の板厚(実績値)と鋼板性能の一例である強度(前記鋼板性能の実績値d40又はその補正値)との関係を表す散布図である。図7からわかるように,鋼板における板厚と強度との間には,ばらつきはあるものの相関がある。
そこで,前記演算部11は,前記試験片に対する熱処理条件の要求値d330が指定されていない場合,前記第2のデータ群に含まれるデータに基づいて,前記板厚の実績値d20と強度(実績値d41又はその補正値)との関係の近似式を導出し,さらに,その近似式を基準とする2σの範囲を導出する。
さらに,前記演算部11は,前記第2のデータ群に対応する前記残余板厚区分範囲における,前記近似式を基準とする2σの範囲の強度の最小値F2minと最大値F2maxとを算出する。
なお,図7に示される散布図は,そのデータ源である前記第2のデータ群に,前記残余板厚区分範囲を基準に大小両側へ拡張された板厚範囲に渡るデータが存在する場合の例である。
そして,前記演算部11は,前記強度の最小値F2minから前記強度の最大値F2maxまでの値が,前記強度の要求値d410(要求性能値)を満足している場合に,前記第2の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満足すると判別する。
ここで,前記第2のデータ群において,前記板厚の実績値d20が前記残余板厚区分範囲に属するデータの件数が少ない場合,その残余板厚区分範囲について算出された前記強度の最小値F2min及び前記強度の最大値F2maxは,板厚値に応じた鋼板性能値(強度)の内挿処理によって算出される値であるといえる。
また,ステップS10において,前記残余板厚区分範囲を基準にそれより大きい側又は小さい側の一方へ拡張された板厚範囲が前記緩和検索キーに設定された場合には,前記強度の最小値F2min及び前記強度の最大値F2maxは,板厚値に応じた鋼板性能値(強度)の外挿処理によって算出される値であるといえる。
以上に例示したように,前記演算部11は,前記第2のデータ群ごとに,その第2のデータ群における前記鋼板性能の実績値d40と前記鋼板性能の要求値d400とを,前記性能試験条件の実績値d30と前記性能試験条件要求値d300との相違に応じた鋼板性能値の補正処理や,板厚値に応じた鋼板性能値の内挿もしくは外挿の処理を通じて比較することにより,前記第2の性能判別処理(S16)を実行し,その判別結果に応じて,前記残余板厚区分範囲についての製造条件の候補を設定する(S17)。
また,前記演算部11は,ステップS18において,ステップS3で設定された全ての前記板厚区分範囲について,ステップS4〜S9の処理,又はそれに加えてステップS10〜S17の処理がなされるよう制御する(S18)。
次に,前記演算部11は,前記第1の製造条件候補設定処理(S8)又は前記第2の製造条件候補設定処理(S17)により,複数の前記製造条件の候補を設定した前記板厚区分範囲が1つ以上存在する場合に,その板厚区分範囲について,所定の優先規則に基づく優先度に従って,複数の前記製造条件の候補の中から最優先の1つを代表候補として特定し,特定結果を前記記憶部14に記録する(S19:最優先製造条件候補特定処理)。
例えば,前記優先規則には,次の(R1)〜(R5)に示される各優先規則 が含まれる。
(R1)前記要求板厚範囲d200の全体を網羅する全ての前記板厚区分範囲に設定される前記製造条件の候補の種類がより少なくなる場合の優先度を高める第1の優先規則。
(R2)前記製造条件の候補の値(即ち,前記製造条件の実績値d5)の一部である前記鋼種の実績値d51(鋼材の成分)が,予め定められた複数の標準の鋼種のいずれかに対してより近似する場合の優先度を高める第2の優先規則。
(R3)前記製造条件の候補が,前記第2DB検索処理(S11)を通じて得られたものである場合に,その検索処理で採用された前記緩和検索キーの前記基準検索キーに対する検索条件の差異がより小さい場合の優先度を高める第3の優先規則。
(R4)前記製造条件の候補に対応する前記製造実績データに含まれる前記製造実施日d12のデータが,より新しい実施日を表す場合の優先度を高める第4の優先規則。
(R5)前記製造条件の候補が,前記第2の性能判別処理(S16)及び前記第2の製造条件候補設定処理(S17)において,内挿もしくは外挿の処理を通じて設定されたものである場合に,外挿処理を通じて設定された前記製造条件の候補の優先度よりも内挿処理を通じて設定された前記製造条件の候補の優先度を高める第5の優先規則。
なお,以上に示された第2の優先規則乃至第5の優先規則のうちの1つ以上が省略された例も考えられる。
また,前記演算部11は,1つの前記板厚区分に対して複数存在する前記製造条件の候補それぞれについて,例えば以下の手順により最優先の前記製造条件の候補(代表候補)を特定する。
まず,前記演算部11は,予め定められた計算式により,複数の前記優先規則ごとの個別優先スコアを算出する。
次に,前記演算部11は,複数の前記個別優先スコアを加算や加重平均等により統合した総合優先スコアを算出する。
そして,前記演算部11は,複数の前記製造条件の候補が存在する前記板厚区分ごとに,前記総合優先スコアの最も大きな前記製造条件の候補を代表候補に特定する。
最後に,前記演算部11は,前記板厚区分範囲ごとに前記第1の製造条件候補設定処理(S8)又は前記第2の製造条件候補設定処理(S17)により設定された前記製造条件の候補のリストを前記端末2の画面に表示させる画面データを編成し,その画面データを前記端末2に送信する(S20:製造条件候補出力処理)。
なお,前記演算部11は,ステップS20の処理の終了後,前述したステップS1へ処理を戻す。
図8は,ステップS20の処理により送信された前記画面データに基づいて前記端末2で表示される前記製造条件の候補の出力画面の一例である。
図8に示されるように,前記出力画面においては,前記板厚区分範囲d210ごとに,前記製造条件の代表候補d501の内容及びその識別番号d6と,その製造条件の代表候補の内容に従って製造される当該板厚区分範囲d210の板厚の鋼板の性能の推定値d400’とが表示される。ここで表示される鋼板性能の推定値d400’は,例えば,図6及び図7に示した鋼板強度の最小値F1min又はF2min,及び最大値F1max又はF2maxのように,前記第1の性能判別処理(S7)や前記第2の性能判別処理(S16)において前記鋼板性能の要求値d400に対する比較対象となった性能値である。
さらに,前記出力画面においては,前記板厚区分範囲d210ごとに設定された代表候補以外の前記製造条件の候補d502,及びその候補に対応する前記鋼板の性能の推定値d400’も表示される。
なお,前記製造条件の候補を設定できなかった前記板厚区分範囲については,その旨が表示される。
前記検索サーバXによれば,客先要求仕様と同じ性能試験条件の前記製造実績データ(前記第1のデータ群)によっては前記製造条件の候補を設定できなかった前記板厚区分範囲(即ち,前記残余板厚区分範囲)については,前記第2のデータ群に基づいて前記製造条件の候補の設定が行われる(S15〜S17)。
前記緩和検索キーを用いたデータ検索により得られる前記第2のデータ群は,前記第1のデータ群より多くの前記製造実績データを確保できが,前記第2のデータ群における鋼板の製造条件及び鋼板性能の各データの相関関係には,板厚や性能試験条件のばらつき(要求仕様との相違)に起因する外乱要因が含まれている。
これに対し,前記第2の製造条件候補設定処理(S15〜S17)では,性能試験条件の内容に応じた鋼板性能値の補正処理や,板厚値に応じた鋼板性能値の内挿・外挿処理を通じて,鋼板性能の実績値と要求値とを比較することにより,前記第2の製造仮想鋼板が前記鋼板性能の要求値d400を満たすか否かの判別が行われる。即ち,前記補正処理や前記内挿・外挿処理により,前記外乱要因が除去される。
以上より,前記検索サーバXによれば,前記要求板厚範囲d200の全体を網羅する複数の前記板厚区分範囲ごとに,要求性能を満足する鋼板を製造できる製造条件の候補を適切に設定することができる。また,特定の前記板厚区分範囲について,前記性能試験条件の実績値d30がその要求値d300と一致する前記製造実績データが不足する場合でも,他のデータに基づいて適切な製造条件の候補を設定できる。
また,客先要求は多様であるため,前記鋼板製造実績データベースd0の中に,客先から指定される前記性能試験条件及び前記鋼板性能の要求値を満たすデータが含まれないことが多い。これに対し,前記検索サーバXにおいては,予め標準化された規則に従って前記性能試験条件に関する検索条件(検索キー)の緩和が行われ,その検索条件に基づき検索された前記製造実績データに基づいて製造条件の候補が設定される。その結果,設計者の誤った知識やミスによって不適切な前記製造実績データに基づいて製造条件が設定され,客先要求を満たさない鋼材が製造されてしまうことが防止される。
以上に示した実施形態は,前記鋼板製造実績データベースd0は,前記検索サーバXが備える前記記憶部14に記憶された例であるが,前記鋼板製造実績データベースd0が前記検索サーバXとは異なる計算機の記憶装置に記憶された例も考えられる。
また,複数の計算機により前記検索サーバXの機能を分担して実現された構成も考えられる。
本発明は,鋼板製造実績データベースを検索して製造条件の候補を設定する装置に利用可能である。
本発明の実施形態に係る鋼板製造実績データベース検索装置の一例である検索サーバXを含む鋼板製造支援システムAの概略構成図。 検索サーバXの概略構成を表すブロック図。 検索サーバXによる鋼板の製造事例検索処理の手順を表すフローチャート。 検索サーバXの検索対象である鋼板製造実績データベースのデータ構成図。 検索サーバXが端末から取得するデータを入力する画面の一例を表す図。 鋼板のP値と鋼板性能との関係を表す散布図。 鋼板の板厚と鋼板性能との関係を表す散布図。 検索サーバXの検索結果を表示する端末の画面の一例を表す図。
符号の説明
X :検索サーバ
1 :ネットワーク
2 :端末
11:演算部
12:操作表示部
13:通信制御部
14:記憶部
d0:鋼板製造実績データベース
S1,S2,…:処理手順(ステップ)

Claims (5)

  1. 製造予定の鋼板に関して指定される板厚の要求範囲と性能試験条件の要求値及びその性能試験条件下での鋼板性能の要求値とに基づいて,製造実績のある鋼板に関する板厚の実績値と,前記性能試験条件の実績値及びその性能試験条件下での鋼板性能の実績値と,製造条件の実績値とが対応付けられてなる複数の製造実績データが記憶手段に記憶された鋼板製造実績データベースから,前記製造予定の鋼板への適用候補とする前記製造条件の実績値を検索する鋼板製造実績データベース検索装置であって,
    前記板厚の要求範囲の全体を網羅する板厚範囲が区分された複数の板厚区分範囲を設定する板厚区分範囲設定手段と,
    前記板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースから,前記板厚の実績値が当該板厚区分範囲に属するとともに,前記性能試験条件の実績値が前記性能試験条件の要求値と一致するという基準検索条件に適合する前記製造実績データを検索する第1のDB検索手段と,
    前記板厚区分範囲ごとの前記第1のDB検索手段の検索結果における前記製造条件の実績値が共通する第1のデータ群ごとに,該第1のデータ群における前記鋼板性能の実績値と前記鋼板性能の要求値との比較に基づいて,当該製造条件の実績値に従って製造される当該板厚区分範囲内の板厚の鋼板が,前記鋼板性能の要求値を満足するか否かを判別し,前記鋼板性能の要求値を満足するとの判別結果が得られた前記製造条件の実績値を当該板厚区分範囲における製造条件の候補に設定する第1の製造条件候補設定手段と,
    前記第1の製造条件候補設定手段により前記製造条件の候補を設定できなかった前記板厚区分範囲である残余板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースから,前記基準検索条件よりも前記板厚及び前記性能試験条件の一方又は両方の条件が緩和された緩和検索条件に適合する前記製造実績データを検索する第2のDB検索手段と,
    前記残余板厚区分範囲ごとの前記第2のDB検索手段の検索結果における前記製造条件の実績値が共通する第2のデータ群ごとに,該第2のデータ群における前記鋼板性能の実績値と前記鋼板性能の要求値とを,前記性能試験条件の実績値と前記性能試験条件の要求値との相違に応じた鋼板性能値の補正処理及び板厚値に応じた鋼板性能値の内挿もしくは外挿の処理の一方又は両方を通じて比較することにより,当該製造条件の実績値に従って製造された当該残余板厚区分範囲の板厚の鋼板が,前記性能試験条件の要求値の下での前記鋼板性能の要求値を満足するか否かを判別し,前記鋼板性能の要求値を満足するとの判別結果が得られた前記製造条件の実績値を当該残余板厚区分範囲における製造条件の候補に設定する第2の製造条件候補設定手段と,
    前記板厚区分範囲ごとに前記第1の製造条件候補設定手段又は前記第2の製造条件候補設定手段により設定された製造条件の候補を出力する製造条件候補出力手段と,
    を具備してなることを特徴とする鋼板製造実績データベース検索装置。
  2. 前記緩和検索条件に,前記板厚の実績値が前記残余板厚区分範囲に属するとともに前記性能試験条件の実績値が前記性能試験条件の要求値に対して所定の対応関係の範囲内にあるという第1の緩和検索条件と,前記板厚の実績値が前記残余板厚区分範囲を所定幅拡張した範囲に属するとともに前記性能試験条件の前記実績値が前記性能試験条件の要求値に対して所定の対応関係の範囲内にあるという第2の緩和検索条件とが含まれ,
    前記第2のDB検索手段が,
    前記残余板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースから前記第1の緩和検索条件に適合する前記製造実績データを検索し,その検索結果における前記製造条件の実績値が共通するデータ群のデータ件数が所定の目標件数に満たない場合に,前記鋼板製造実績データベースから前記第2の緩和検索条件に適合する前記製造実績データを検索してなる請求項1に記載の鋼板製造実績データベース検索装置。
  3. 前記第1の製造条件候補設定手段又は前記第2の製造条件候補設定手段により複数の前記製造条件の候補が設定された前記板厚区分範囲が1つ以上存在する場合に,該板厚区分範囲について,所定の優先規則に基づく優先度に従って複数の前記製造条件の候補の中から最優先の1つを特定する最優先製造条件候補特定手段を具備し,
    前記所定の優先規則が,前記板厚の要求範囲の全体を網羅する全ての前記板厚区分範囲に設定される前記製造条件の候補の種類がより少なくなる場合の優先度を高める規則を含んでなる請求項1又は2のいずれかに記載の鋼板製造実績データベース検索装置。
  4. 前記所定の優先規則が,
    前記製造条件の候補の値の一部である鋼材の成分が,予め定められた複数の標準の鋼材成分のいずれかに対してより近似する場合の優先度を高める規則,
    前記製造条件の候補が前記第2のDB検索手段の検索処理を通じて得られたものである場合に,その検索処理で採用された前記緩和検索条件の前記基準検索条件に対する差異がより小さい場合の優先度を高める規則,
    前記製造条件の候補に対応する前記製造実績データに含まれる製造実施日の情報がより新しい実施日を表す場合の優先度を高める規則,
    前記製造条件の候補が前記第2の製造条件候補設定手段により前記内挿もしくは外挿の処理を通じて設定されたものである場合に,外挿の処理を通じて設定された前記製造条件の候補の優先度よりも内挿の処理を通じて設定された前記製造条件の候補の優先度を高める規則,
    のうちの1つ又は複数をさらに含んでなる請求項3に記載の鋼板製造実績データベース検索装置。
  5. 製造予定の鋼板に関して指定される板厚の要求範囲と性能試験条件の要求値及びその性能試験条件下での鋼板性能の要求値とに基づいて,製造実績のある鋼板に関する板厚の実績値と,前記性能試験条件の実績値及びその性能試験条件下での鋼板性能の実績値と,製造条件の実績値とが対応付けられてなる複数の製造実績データが記憶手段に記憶された鋼板製造実績データベースから,前記製造予定の鋼板への適用候補とする前記製造条件の実績値を検索する処理をコンピュータに実行させるための鋼板製造実績データベース検索プログラムであって,
    前記板厚の要求範囲の全体を網羅する板厚範囲が区分された複数の板厚区分範囲を設定する板厚区分範囲設定処理と,
    前記板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースから,前記板厚の実績値が当該板厚区分範囲に属するとともに,前記性能試験条件の実績値が前記性能試験条件の要求値と一致するという基準検索条件に適合する前記製造実績データを検索する第1のDB検索処理と,
    前記板厚区分範囲ごとの前記第1のDB検索処理の検索結果における前記製造条件の実績値が共通する第1のデータ群ごとに,該第1のデータ群における前記鋼板性能の実績値と前記鋼板性能の要求値との比較に基づいて,当該製造条件の実績値に従って製造される当該板厚区分範囲内の板厚の鋼板が,前記鋼板性能の要求値を満足するか否かを判別し,前記鋼板性能の要求値を満足するとの判別結果が得られた前記製造条件の実績値を当該板厚区分範囲における製造条件の候補に設定する第1の製造条件候補設定処理と,
    前記第1の製造条件候補設定処理により前記製造条件の候補を設定できなかった前記板厚区分範囲である残余板厚区分範囲ごとに,前記鋼板製造実績データベースから,前記基準検索条件よりも前記板厚及び前記性能試験条件の一方又は両方の条件が緩和された緩和検索条件に適合する前記製造実績データを検索する第2のDB検索処理と,
    前記残余板厚区分範囲ごとの前記第2のDB検索処理の検索結果における前記製造条件の実績値が共通する第2のデータ群ごとに,該第2のデータ群における前記鋼板性能の実績値と前記鋼板性能の要求値とを,前記性能試験条件の実績値と前記性能試験条件の要求値との相違に応じた鋼板性能値の補正処理及び板厚値に応じた鋼板性能値の内挿もしくは外挿の処理の一方又は両方を通じて比較することにより,当該製造条件の実績値に従って製造された当該残余板厚区分範囲の板厚の鋼板が,前記性能試験条件の要求値の下での前記鋼板性能の要求値を満足するか否かを判別し,前記鋼板性能の要求値を満足するとの判別結果が得られた前記製造条件の実績値を当該残余板厚区分範囲における製造条件の候補に設定する第2の製造条件候補設定処理と,
    前記板厚区分範囲ごとに前記第1の製造条件候補設定処理又は前記第2の製造条件候補設定処理により設定された製造条件の候補を出力する製造条件候補出力処理と,
    をコンピュータに実行させるための鋼板製造実績データベース検索プログラム。
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