JP2010043932A - 歯科用測色器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 測定対象物の狭い範囲に対して高い光度の光を照射することによって測定対象物から高い光度の反射光を得ることができ、これによって正確な測色を行うことができる歯科用測色器を提供する。
【解決手段】 測定対象物に対して光を照射する複数の光源と、各光源から測定対象物に向けて照射された光の反射光を受光する受光部と、各光源及び受光部に被せられるキャップ体とを備えた歯科用測色器において、光源として所定の放射角度の範囲で照射された光の光度が1800以上に維持されるものを使用し、円錐状の中空部を有するキャップ体の中空部内面に沿って各光源を等間隔に配置し、各光源から等距離に位置する中空部の軸線上に受光部を配置し、各光源から放射角度0°で照射された光を前記軸線上にて交差すると共に、各光源から所定の放射角度の範囲で中空部内面と平行に照射された光を前記軸線上にて交差する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、歯科用測色器に関するものである。
周知の通り、歯科医療においては、虫歯などによって部分的に歯が欠けてしまったり、無くなった場合にその欠損した部分を補綴物で補う治療が行われるが、このとき、補綴物で補われた患者の歯から違和感が生じないように補綴物の色を慎重に選定する必要がある。
従来においては、歯科医師が患者の残存する歯の色とシェードガイドに例示された色見本とを見比べながら補綴物の色を目視によって選定していたため、照明の影響によって正確な選定ができないことがあった。
そこで、近年においては、シェードガイドの代わって補綴物の色の選定を定量的に行うことができる測色器が開発され、歯科医療現場で使用されている。
例えば、後出特許文献1には、一組のダイオードと、一組のダイオードから照射される光を測定対象物へ誘導する王冠状の発光サイトと、発光サイトに取り囲まれるように配置された光センサと、測定対象物からの反射光を光センサへ誘導する光ファイバとを備えたデンタルシェード測定装置が開示されている。
また、後出特許文献2には、底部に円形の開口部を有する外筒と、外筒の上方において同心円上に設置された複数のLEDと、遮光筒内に設けられたフォトダイオードとからなる測定ヘッドを備えた測色装置が開示されている。
さらに、後出特許文献3には、同心円上に配置された複数の発光素子と、各発光素子が配置された円の中央に位置付けられる受光素子と、被測定物である固有歯に直接密着して接触する先端が開口しており、先端部の光の漏れを防ぐ円錐状の光漏れ防止カバーとを備える歯科用色彩測定装置が開示されている。
特表2007−524484号公報 特許第3815903号公報 特公平3−44531号公報
ところが、前記特許文献1に開示されたデンタルシェード測定装置においては、一組のダイオードから照射された光が発光サイトに誘導されて測定対象物の広い範囲に照射されることから、光センサに対して十分な反射光を誘導するために光ファイバーを設置する必要があり、この光ファイバーを設置することによって干渉光までもが光センサへ誘導され、正確な測色を実施することが困難であるという問題点があった。一方、光ファイバーに対して干渉光が入り込まないように遮蔽材を取り付けると、遮蔽材が邪魔になって測定し難くなるという問題もあった。
また、前記特許文献2に開示された測色装置においては、LEDから照射される光は放射状に広がることから、各LEDから照射された光が測定対象物の広い範囲に照射されるため、測定対象物の広い範囲から反射される反射光が混ざり合った状態でフォトダイオードに受光されることになり、正確な測色を実施することが困難であるという問題点があった。
さらに、前記特許文献3に開示された歯科用色彩測定装置においては、砲弾型の発光素子において最も高い光度の光が照射される放射角度0°の向きが光漏れ防止カバーの先端側に向けられておらず、各発光素子から放射角度0°付近で照射された光度の高い光が光漏れ防止カバー内で乱反射してしまうため、測定対象物に対して高い光度の光が照射されず、これにより、測定対象物から高い光度の反射光を得ることができなくなり、正確な測色が困難であるという問題点があった。
そこで、本発明は、測定対象物の狭い範囲に対して高い光度の光を照射することによって測定対象物から高い光度の反射光を得ることができ、これによって正確な測色を行うことができる歯科用測色器を提供することを技術的課題として、その具現化をはかるべく、試作・実験を繰り返した結果、測定対象物に対して光を照射する複数の光源と、各光源から測定対象物に向けて照射された光の反射光を受光する受光部と、各光源及び受光部に被せられるキャップ体とを備えた歯科用測色器において、光源として所定の放射角度の範囲で照射された光の光度が1800mcd以上に維持されるものを使用し、円錐状の中空部を有するキャップ体の中空部内面に沿って各光源を等間隔に配置し、各光源から等距離に位置する中空部の軸線上に受光部を配置し、各光源から放射角度0°で照射された光を前記軸線上にて交差すると共に、各光源から所定の放射角度の範囲で中空部内面と平行に照射された光を前記軸線上にて交差すれば、測定対象物の狭い範囲に対して高い光度の光を照射することができるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
前記技術的課題は、次の通りの発明によって解決できる。
すなわち、本発明における歯科用測色器は、測定対象物に対して光を照射する複数の光源と、各光源から測定対象物に向けて照射された光の反射光を受光する受光部と、各光源及び受光部に被せられるキャップ体とを備えており、光源は所定の放射角度の範囲で照射された光の光度が1800mcd以上に維持されるものであり、キャップ体が円錐状の中空部を有しており、中空部内面に沿って各光源が等間隔に配置されており、各光源から等距離に位置する中空部の軸線上に受光部が配置されており、各光源から放射角度0°で照射された光が前記軸線上にて交差していると共に、各光源から所定の放射角度の範囲で中空部内面と平行に照射された光が前記軸線上にて交差しているものである。
また、本発明は、前記歯科用測色器において、キャップ体の中空部内面の軸線に対する傾斜角度が30°〜35°のものである。
また、本発明における他の実施の形態としては、前記いずれかの歯科用測色器において、前記歯科用測色器において、光源は放射角度±20°の範囲で照射された光の光度が1800mcd以上に維持されるものである。
本発明によれば、キャップ体として円錐状の中空部を有するものを採用すると共に、光源として所定の放射角度の範囲で照射された光の光度が1800mcd以上に維持されるものを採用し、さらに、各光源から放射角度0°で照射された光を各光源と等距離にある中空部の軸線上にて交差させると共に、各光源から所定の放射角度の範囲で中空部内面と平行に照射された光を前記軸線上にて交差させる構成としたので、各光源から所定の放射角度の範囲で照射される高い光度を維持した光がキャップ体の中空内に反射してキャップ体の測定口付近に集光するため、測定対象物に対してピンポイントで高い光度の光を照射することができ、これにより、測定対象物から高い光度の反射光を得ることができるため、測定対象物を正確に測色することができる。
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係る歯科用測色器を示した一部断面図である。図2は図1に示す歯科用測色器のキャップ体を取り外した状態を示した正面図である。図3は図1に示す歯科用測色器の各光源から照射される光の進路を示した断面図である。図4は図1に示す歯科用測色器の電子回路を示したブロック図である。これらの図において、1は、測定対象物2に接触させるヘッド部3と、ヘッド部3を測定対象物2に接触させる際の持ち手となるグリップ部4とから構成される歯科用測色器である。
ヘッド部3は、複数の光源5及び一つの受光部6が設置される台座7と、台座7に設置された複数の光源5及び一つの受光部6に被せられるキャップ体8とから構成されている。キャップ体8は、円錐状の中空部9を有しており、中空部9の頂点には外方へ通じる測色口10が形成されている。また、キャップ体8はなるべく光を反射しないように黒色の部材によって形成されている。測色口10には、測定対象物2とキャップ体8とが直接接触しないように保護キャップ11が着脱可能に取り付けられている。なお、測色口10の直径は、測定対象物2の狭い範囲に光を照射させるために3〜5mm、より好ましくは3〜4mmとすればよい。
光源5としては、高光度で白色に発光するLEDを使用すればよい。具体的には、所定の放射角度の範囲で光度1800mcd以上を維持して発光するLEDを使用すればよく、所定の放射角度の範囲とは、放射角度±20°の範囲、好ましくは放射角度±10°の範囲である。そして、各光源5は、キャップ体8の中空部9内面に沿うように等間隔に並んで台座7に設置されている。また、図3に示すように、各光源5から放射角度0°で照射された光が各光源5から等距離にある中空部9の軸線11上において交差し、かつ、各光源5から所定の放射角度の範囲で中空部9内面と平行に照射された光が前記軸線11上において交差するように傾斜させて各光源5が設置されている。本実施の形態においては、各光源5が中空部9内面と同じ角度で傾斜しているため、放射角度0°で照射された光と所定の放射角度の範囲で中空部9内面と平行に照射された光とが同じ進路で進行している。なお、中空部9内面は、各光源5から照射される光を測色口10に集光させるように傾斜しており、具体的には、軸線11に対して25°〜35°で傾斜していることが好ましい。
受光部6は、中空部9の軸線11上に位置するように台座7に埋め込まれる遮光筒12と、遮光筒12の底側に固定される受光素子13とから構成されている。従って、測色口10からキャップ体8の中空部9内へ入射した測定対象物2の反射光が遮光筒12を通って受光素子13へ到達するようになっている。遮光筒12は、各光源5の先端と同じ高さ位置まで台座7から突出しており、各光源5から照射された光が直接受光素子13に到達しないように遮光している。また、遮光筒12はなるべく光を反射しないように黒色の部材によって形成されている。
受光素子13は、図2に示すように、互いに異なる波長を通す三つのフィルタ14,15,16をフォトダイオード17の受光面に貼り付けた構成となっている。なお、三つの素子の受光面にそれぞれの異なるフィルタを貼り付けて構成することもできるが、一つの素子の受光面を三つに区分けして各区分にそれぞれ異なるフィルタを貼り付けて構成する方が取り扱い易く好ましい。フィルタは、青色の光を通すフィルタ14、緑色の光を通すフィルタ15、赤色の光を通すフィルタ16を使用することによって受光素子13から各色の色情報を得ることができる。具体的には、青色の光を通すフィルタ14として波長400〜540nmの光を通すもの、緑色の光を通すフィルタ15として波長480〜600nmの光を通すもの、赤色の光を通すフィルタ16として波長580〜700nmの光を通すものを使用すればよいが、各色の光を通すフィルタは前記各波長に限定されるものではない。
グリップ部4は、把持し易い形状に形成された筒体に演算装置18、メモリ19及び電源20を内蔵した構造となっており、演算装置18に接続される測色スイッチ21と演算装置18から送信される情報が表示される表示装置22とが設けられている。なお、表示装置22に表示される情報は、演算装置18に接続される表示切替スイッチ23によって変更できるようになっている。
演算装置18は、図4に示すように、各光源5の発光タイミングを調整し、また、受光素子13で受光した信号を分析して表示装置22に送信する演算回路24と、受光素子13で受光した信号を増幅させる増幅回路25,26,27と、増幅回路25,26,27によって増幅された信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換器28とを備えている。なお、A/D変換器28としては、8bitでアナログ信号からデジタル信号に変換するものが好ましい。メモリ19には、シェードガイドに例示された各色見本を前記受光素子13を構成する三つのフィルタ14,15,16が通す波長に分光して得られる色情報が格納されている。
電源20は、装置1全体に電力を供給できるものであればよく、例えば、乾電池や充電式電池を使用すればよい。なお、測定者が扱い易いように装置1全体を軽量化するため、なるべく小型の電池を使用することが好ましい。
表示装置22は、測定対象物2の色情報と最も近似するシェードガイドに例示される色見本を表示する役割を果たしており、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LED等によって構成すればよい。LEDを使用する場合には、補綴治療における測色の際に実用されているシェードガイドに例示される色見本数と同数の16個のLEDを設置して測定対象物2の色情報と最も近似する色見本に対応したLEDを点灯するようにすればよい。さらに、ホワイトニング治療における測色の際に使用されるホワイトニングシードガイドに例示される色見本数と同数の3個のLEDを前記16個のLEDに加えて設置すればより汎用性が高まる。また、0〜9の数字を表示できるように7個以上のLEDを集積したLEDモジュールを2個用意して測定対象物の色情報と近似する色見本に対応した数字を点灯するようにしてもよい。なお、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを使用する場合には、前記いずれの表示方法も採用することができ、表示切替スイッチ23によって表示方法を切り替えられるようにもできる。また、表示切替スイッチ23によって表示内容を変更して電池残量や操作方法等を表示させてもよい。
次に、本実施の形態に係る歯科用測色器1の動作について説明する。
先ず、電源スイッチ(図示せず)を入れた直後は装置1が不安定であるため、校正板(400〜700nmの可視光領域における分光反射率がフラットであり、かつ、90%以上である白色板)を測色して校正を行うことによって測色精度を向上させる。次に、測定対象物2となる歯の表面にヘッド部3に取り付けられた保護キャップ11を押し当てて測色スイッチ21を押すと、演算装置18は、所定時間経過後に各光源5を点灯させる。これは、測色スイッチ21を押した直後はグリップ部4を把持する手が手ブレしていることが多いことから手ブレが解消される時間を考慮したものであり、測色スイッチ21が押されてから1秒以上経過後に各光源5を点灯させることが望ましい。そして、演算装置18は、各光源5から照射された光が測定対象物2に反射し、その反射光を受光素子13が受光すると直ちに各光源5を消灯させる。これは、測色時間が長くなると手ブレによって誤差が生じ易くなることから測定時間を短縮させることが目的であり、各光源5を点灯させてから消灯させるまでの時間は0.01〜0.1秒とすることが好ましい。
そして、受光素子13は、赤色の光を通すフィルタ16を通過した光を光度に応じた信号Rとして検出し、緑色の光を通すフィルタ15を通過した光を光度に応じた信号Gとして検出し、青色の光を通すフィルタ14を通過した光を光度に応じた信号Bとして検出し、これらの三つの信号は色情報(R、G、B)として演算装置18へ送信される。そして、演算装置18へ送信された色情報(R、G、B)は、増幅回路25,26,27によってそれぞれ増幅された後、A/D変換器28によってアナログ信号からデジタル信号に変換され、さらに、演算回路24によってCIE規格のカラーモデルの一つであるL表色系(以下、「L」、「a」、「b」をそれぞれ「L」、「a」、「b」と表記する)に変換されて色情報(L、a、b)を得る。この後、演算回路24によって得られた色情報(L、a、b)が予めメモリ19に記憶されたシェードガイドに例示された各色見本の色情報(L、a、b)、(L、a、b)・・・(L、a、b)(n=1,2,3・・・)と比較される。具体的には、数1に測定対象物2の色情報(L、a、b)と色見本の色情報(L、a、b)とを代入することによって両色情報の色差ΔEの値を算出し、色差ΔEの値が最も小さくなる色見本を割り出す。
Figure 2010043932
さらに、色情報(L、a、b)におけるa,bの値を数2に代入することによって色相角Hの値を算出すると共に、数3に代入することによって彩度cの値を算出する。
Figure 2010043932
Figure 2010043932
最後に、演算回路24によって算出された色相角Hの値が1.0以下、彩度cの値が4.5以下又は13以上のいずれかの条件を満たす場合には、表示装置にエラーを表示させ、いずれの条件も満たさない場合には、色差ΔEの値が最も小さくなる色見本に対応する情報を表示装置に表示させる。
実施の形態2.
本実施の形態は前記実施の形態1におけるヘッド部の変形例である。図5は本実施の形態に係る変形例を示した断面図である。図6は本実施の形態に係る他の変形例を示した断面図である。これらの図において、各光源5から放射角度0°で照射される光を点線、各光源5から所定の放射角度の範囲で中空部9内面と平行に照射される光を二点鎖線、軸線11を一点鎖線にて示している。
変形例1:本変形例に係るヘッド部は、図5に示すように、各光源5が軸線11に対して中空部9内面より小さな角度で傾斜しているため、放射角度0°で照射された光が所定の放射角度の範囲で中空部9内面と平行に照射された光よりも遠い位置で交差する進路で進行している。
本変形例においても、前記実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
変形例2:本変形例に係るヘッド部は、図6に示すように、各光源5が軸線11に対して中空部9内面より大きな角度で傾斜しているため、放射角度0°で照射された光が所定の放射角度の範囲で中空部9内面と平行に照射された光よりも近い位置で交差する進路で進行している。
本変形例においても、前記実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
実施の形態1に係る歯科用測色器を示した一部断面図である。 図1に示す歯科用測色器のキャップ体を取り外した状態を示した正面図である。 図1に示す歯科用測色器の各光源から照射される光の進路を示した断面図である。 図1に示す歯科用測色器の電子回路を示したブロック図である。 実施の形態2に係る一の変形例を示した断面図である。 実施の形態2に係る他の変形例を示した断面図である。
符号の説明
1 歯科用測色器
2 測定対象物
3 ヘッド部
4 グリップ部
5 光源
6 受光部
7 台座
8 キャップ体
9 中空部
10 測色口
11 軸線
12 遮光筒
13 受光素子
14,15,16 フィルタ
17 フォトダイオード
18 演算装置
19 メモリ
20 電源
21 測色スイッチ
22 表示装置
23 表示切替スイッチ
24 演算回路
25,26,27 増幅回路
28 A/D変換器

Claims (2)

  1. 測定対象物に対して光を照射する複数の光源と、各光源から測定対象物に向けて照射された光の反射光を受光する受光部と、各光源及び受光部に被せられるキャップ体とを備えており、光源は所定の放射角度の範囲で照射された光の光度が1800mcd以上に維持されるものであり、キャップ体が円錐状の中空部を有しており、中空部内面に沿って各光源が等間隔に配置されており、各光源から等距離に位置する中空部の軸線上に受光部が配置されており、各光源から放射角度0°で照射された光が前記軸線上にて交差していると共に、各光源から所定の放射角度の範囲で中空部内面と平行に照射された光が前記軸線上にて交差していることを特徴とする歯科用測色器。
  2. キャップ体の中空部内面の軸線に対する傾斜角度が25°〜35°である請求項1記載の歯科用測色器。
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