JP2010040448A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機エレクトロルミネッセンス素子の光透過性電極に、光の反射・屈折角を乱れさせる領域、光透過性の基板が順次積層して設けられる場合の光取り出し効率を、発光源と光反射性電極の表面との間の寸法を広い範囲のなかで設定することで、向上する。
【解決手段】光透過性電極3と光反射性電極2との間に有機発光層4が設けられ、前記光透過性電極3の有機発光層4とは反対側にこの光透過性電極3の屈折率と同等以上の屈折率を有する光透過性の高屈折率基板7が積層した構造を有すると共に有機発光層4の厚みを異ならせた複数の試験用素子1を作製する。各試験用素子1について、高屈折率基板7の表面に光取出し手段8を取り付けた状態で出射光の成分の量を計測する。前記計測結果から導出された前記出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係に基づいて、有機発光層4の厚みを設計する。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射・屈折角を乱れさせる領域を設けて光取り出し効率を向上する場合に、有機エレクトロルミネッセンス素子から出射される光の成分の量が所望の程度になるように有機エレクトロルミネッセンス素子の有機発光層の厚みを設計する有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法に関する。
図7は基板6上に光透過性電極3、ホール輸送層14、発光層10、電子輸送層13、光反射性電極2が順次形成された有機エレクトロルミネッセンス素子Aを示す。図中の矢印は、光の進路を模式的に示したものである。この図7により従来の有機エレクトロルミネッセンス素子Aの設計方法を説明する。
特許文献1では、光反射性電極2と、これに隣接する有機層11(ここでは電子輸送層13)の界面で光が反射する際には、外面反射であるので反射前後で位相シフトπが生じることを前提とし、発光層10から基板6側へ向かう光と、発光層10から光反射性電極2へ向かった後にこの電極2の表面で反射されてから基板6側に向かう光とが干渉して強め合うようにするために、発光層10における発光源15と光反射性電極2の表面との間の膜厚dに屈折率を乗じて導出される光学膜厚Dを光の波長λの1/4の奇数倍と略等しくなるようにし、これにより基板6から正面方向に外部に出射する光の成分の量が極大値となるようにすることができることが開示されている。
しかし、上記特許文献1に記載の方法では、光反射性電極2での反射の際の位相シフトが正確に考慮されておらず、この方法に従って発光源15から光反射性電極2の表面までの寸法を設計しても、基板6から正面方向に外部へ出射する光の成分の量を極大値とすることができないという問題がある。特許文献2で説明されているように、光反射性電極2の表面で生じる位相シフトはπではなく、有機層11(電子輸送層13)の屈折率n1と消衰係数k1、並びに光反射性電極2の屈折率n2と消衰係数k2に基づき、次の式(1)で表される位相シフトφである。
Figure 2010040448
特許文献2ではこの位相シフトφを考慮して、基板6から外部へ出射する光の成分の量が極大値となるようにするために、発光源15から電極2の表面までの光学膜厚Dが次の式(2)〜(4)を満たすようにすることが記載されている。
2π/9≦φ≦15π/18 …(2)
F=φ×λ/4π …(3)
0.73F≦D≦1.15F …(4)
ただし、上記特許文献1,2に記載された設計方法は、基板6から正面方向に外部へ出射する光の成分の量が極大値となるように発光源15から光反射性電極2の表面までの光学膜厚Dを決定する設計方法である。
ここで、図7において有機エレクトロルミネッセンス素子Aの発光層10の発光源15から斜めに発光した光の伝搬について説明する。実際には光反射性電極2への光も存在するが、ここでは省略する。
屈折率の高い媒質から屈折率の低い媒質へ光が伝搬する場合、その界面では媒質間の屈折率により、スネルの法則から臨界角が決定され、その臨界角以上の光は界面で全反射し、屈折率の高い媒質に閉じ込められ、導波光として失われる。ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子Aに使用される基板6は、優れた透明性、強度、低コスト、ガスバリア性、耐薬品性、耐熱性等の観点から、専らガラスが用いられ、一般的なソーダライムガラス等の屈折率は1.52程度である。光透過性電極3には酸化インジウムに酸化錫をドープした酸化インジウム錫(ITO)や酸化インジウム酸化亜鉛(IZO)が、その優れた透明性と電気伝導性から広く用いられている。ITOやIZOの屈折率は、その組成、成膜方法、結晶構造等により変化するが、ITOはおよそ1.7〜2.3、IZOはおよそ1.9〜2.4であり、非常に高屈折率な材料である。また、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの発光層10やその他の有機層11を構成する発光材料、電子輸送性材料、ホール輸送性材料等の屈折率は、一般的にベンゼン環をその分子構造内に多く含んだπ共役結合系の材料であるため、屈折率はおよそ1.6〜2.0程度のものが多く、一般的な有機材料に比べて屈折率が高い。
従って、一般的な有機エレクトロルミネッセンス素子Aにおいては、各層の屈折率の大小関係は、(大気)<(基板)<(有機発光層)<(光透過性電極)となり、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの発光層10の発光源15から斜めに広角度に出射した光は、基板6と大気14の界面及び光透過性電極2と基板6の界面で全反射する。
つまり、図7において、有機発光層4(ホール輸送層12、発光層10、電子輸送層13)の屈折率を1.7、光透過性電極3の屈折率を1.9、基板6の屈折率を1.52、大気14の屈折率を1とすると、発光層10の発光源15から斜めに出射した光は有機発光層4より光透過性電極3の屈折率の方が高いため全反射が起こらず、光は全て光透過性電極3に到達する。一方、光透過性電極3の屈折率は基板6の屈折率よりも高いため臨界角が存在し、その臨界角は41°となる。この臨界角以上の入射角で入射する光は光透過性電極3と基板6との界面で全反射して光透過性電極3内に閉じ込められる。また、大気14の屈折率は基板6の屈折率よりも高いため臨界角が存在し、その臨界角は53°となる。この臨界角以上の入射角で入射する光は基板6と大気との界面で全反射して基板6内に閉じ込められる。
このように素子内に閉じ込められる導波光を外部へ取り出すための手法として、例えば光透過性電極2の有機発光層4とは反対側に光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を設けることが挙げられる。例えば図4に示される有機エレクトロルミネッセンス素子Aでは基板6の外面側に光の反射・屈折角を乱れさせる領域が設けられ、図5に示される有機エレクトロルミネッセンス素子Aでは光透過性電極3と基板6との間に光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を介在させている。この場合、光の反射・屈折角を乱れさせる領域5ではスネルの法則が崩され、本来光透過性電極3や基板6を導波して失われる光が外部に出射されるようになる。このような光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を形成する手法としては、例えば透光性基体上に単粒子層を並べた拡散部材による光拡散層を形成する方法(特許文献3)が挙げられる。
しかし、特許文献2に記載の方法では基板6や光透過性電極3を導波して失われる光の成分は考慮されておらず、このため光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を設けて本来失われる光を取り出すようにした場合には、光取出し効率が必ずしも最も高くなるとはいえないという問題がある。
そこで、特許文献4及び特許文献5では、光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が形成される場合に、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの発光量を向上するための設計方法が提案されている。この設計方法では、基板6から大気14へ出射される発光の正面輝度値と50〜70°方向の輝度値が次の式(5)の関係を満たすようにし、或いは更に発光源15と光反射性電極2の表面との間の寸法をd、発光層10に用いている発光材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ、発光層10と光反射性電極2との間の有機層11の屈折率をnとした場合に次の式(6)の関係を満たすようにするものである。
(正面輝度値)<(50〜70°方向の輝度値) …(5)
(0.3/n)λ<d<(0.5/n)λ …(6)
この設計方法では、正面方向の光は干渉により弱め合うものの、通常は導波光として素子内に閉じ込められる広角度成分の光が強めあい、この光が光の反射・屈折角を乱れさせる領域5によって外部に出射することによって、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの全体的な光の取り出し効率が向上するものである。
しかし、この特許文献4及び特許文献5に記載の方法では、光の反射・屈折角を乱れさせる領域5によって光の取出し効率を向上するにあたり、干渉効果によって変化する光の成分の量の一つの極大値しか利用されない。このため、発光源15と光反射性電極2の表面との間の寸法を前記極大値とすることができない場合、例えば発光層10を複数層設ける場合のように発光源15と光反射性電極2の表面との間の寸法が前記極大値を取り得る寸法を超えざるを得ないような場合にまでは対応することができないという問題がある。
このように、従来は有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光の成分の量が所望の程度になるように素子設計を行うことは困難なものであった。
特開2000−243573号公報 特開2004−165154号公報 特開2001−356207号公報 特開2004−296423号公報 特開2004−296429号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、有機エレクトロルミネッセンス素子の光透過性電極に、光の反射・屈折角を乱れさせる領域、光透過性の基板が順次積層して設けられることで本来基板を導波する光を外部に取り出して光取り出し効率を向上するにあたり、発光源と光反射性電極の表面との間の寸法を広い範囲のなかで設定することで、外部に出射する光の成分の量を向上することができる有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法を提供することを目的とする。
本発明では、光透過性電極3と光反射性電極2との間に有機発光層4が設けられ、前記光透過性電極3の有機発光層4とは反対側に光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子Aの設計を行う。
第一の発明では、光透過性電極3と光反射性電極2との間に有機発光層4が設けられ、前記光透過性電極3の有機発光層4とは反対側にこの光透過性電極3の屈折率と同等以上の屈折率を有する光透過性の高屈折率基板7が積層した構造を有すると共に有機発光層4の厚みを異ならせた複数の試験用素子1を作製する。各試験用素子1について、高屈折率基板7の表面に有機発光層4から高屈折率基板7内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段8を取り付けた状態で試験用素子1を発光させた場合に前記光取出し手段8から出射する光の成分の量を計測する。前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係を導出し、この相関関係に基づいて、有機発光層4の厚みを設計する。
尚、屈折率が同等とは、屈折率差が±0.1以内であることをいう。
第一の発明によれば、試験用素子1において光取出し手段8が使用されると、光透過性電極3に到達した光の殆どが、外部に出射されることとになり、このため、光取出し手段8を介して出射する光の成分の量は、設計対象である有機エレクトロルミネッセンス素子Aのように反射・屈折角を乱れさせる領域5を設ける場合に出射する光の成分の量とほぼ一致する。このため、光取出し手段8から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係に基づいて、この光の成分の量が所望の適宜の値となるように有機発光層4の厚みが決定されれば、出射光の光の成分の量が所望の程度であるような有機エレクトロルミネッセンス素子Aが設計される。
第二の発明では、光透過性電極3と光反射性電極2との間に有機発光層4が設けられ、前記光透過性電極3の有機発光層4とは反対側に高屈折率基板7が積層した構造を有すると共に有機発光層4の厚みを異ならせた複数の第一の試験用素子1aを作製する。光透過性電極3と光反射性電極2との間に有機発光層4が設けられ、前記光透過性電極3の有機発光層4とは反対側にこの光透過性電極3の屈折率よりも小さい屈折率を有する光透過性の低屈折率基板9が積層した構造を有すると共に有機発光層4の厚みを異ならせた複数の第二の試験用素子1bを作製する。各第一の試験用素子1aについて、高屈折率基板7の表面に有機発光層4から高屈折率基板7内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段8を取り付けた状態で第一の試験用素子1aを発光させた場合に前記光取出し手段8から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係を導出する。各第二の試験用素子1bについて、この第二の試験用素子1bを発光させた場合に前記低屈折率基板9から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と、有機発光層4の厚みとの間の相関関係を導出する。前記二種類の相関関係に基づいて、有機発光層4の厚みを設計する。
第二の発明によれば、第一の試験用素子1aにおいて光取出し手段8が使用されると、光透過性電極3に到達した光の殆どが、外部に出射されることとになる。一方、第二の試験用素子1bについて計測される光の成分の量は、第一の試験用素子1aについて計測された光の成分の量よりも、低屈折率基板9内の導波光及び光透過性電極3内の導波光の分だけ低減する。このため、第一の試験用素子1aと第二の試験用素子1bについてそれぞれ計測される光の成分の量の差は、第二の試験用素子1bにおける低屈折率基板9内の導波光及び光透過性電極3内の導波光の光の成分の量の和と一致し、この値は光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられる場合に出射する光の成分の量を反映する。このため、前記二種の相関関係に基づいて、前記光の成分の量の差の値が所望の適宜の値となるように有機発光層4の厚みが決定されれば、出射光の光の成分の量が所望の程度であるような有機エレクトロルミネッセンス素子Aが設計される。
第三の発明では、光透過性電極3と光反射性電極2との間に有機発光層4が設けられ、前記光透過性電極3の有機発光層4とは反対側に高屈折率基板7が積層した構造を有すると共に有機発光層4の厚みを異ならせた複数の第一の試験用素子1aを作製する。光透過性電極3と光反射性電極2との間に有機発光層4が設けられ、前記光透過性電極3の有機発光層4とは反対側に低屈折率基板9が積層した構造を有すると共に有機発光層4の厚みを異ならせた複数の第二の試験用素子1bを作製する。各第一の試験用素子1aについて、高屈折率基板7の表面に有機発光層4から高屈折率基板7内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段8を取り付けた状態で第一の試験用素子1aを発光させた場合に前記光取出し手段8から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係を導出する。各第二の試験用素子1bについて、低屈折率基板9の表面に有機発光層4から低屈折率基板9内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段8を取り付けた状態で第二の試験用素子1bを発光させた場合に前記光取出し手段8から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と、有機発光層4の厚みとの間の相関関係を導出する。前記二種類の相関関係に基づいて、有機発光層4の厚みを設計する。
第三の発明によれば、第一の試験用素子1aにおいて光取出し手段8が使用されると、光透過性電極3に到達した光の殆どが、外部に出射されることとになる。一方、第二の試験用素子1bについて計測される光の成分の量は、第一の試験用素子1aについて計測された光の成分の量よりも、光透過性電極3内の導波光の分だけ低減する。このため、第一の試験用素子1aと第二の試験用素子1bについてそれぞれ計測される光の成分の量の差は、第二の試験用素子1bにおける光透過性電極3内の導波光の光の成分の量の和と一致し、この値は有機エレクトロルミネッセンス素子Aに光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられる場合に出射する光の成分の量を反映する。このため、前記二種の相関関係に基づいて、前記光の成分の量の差の値が所望の適宜の値となるように有機発光層4の厚みが決定されれば、出射光の光の成分の量が所望の程度であるような有機エレクトロルミネッセンス素子Aが設計される。
第四の発明では、光透過性電極3と光反射性電極2との間に有機発光層4が設けられ、前記光透過性電極3の有機発光層4とは反対側に低屈折率基板9が積層した構造を有すると共に有機発光層4の厚みを異ならせた複数の試験用素子1を作製する。各試験用素子1について、低屈折率基板9の表面に有機発光層4から低屈折率基板9内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段8を取り付けた状態で試験用素子1を発光させた場合に前記光取出し手段8から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と、有機発光層4の厚みとの間の相関関係を導出する。この相関関係に基づいて、有機発光層4の厚みを設計する。
第四の発明によれば、試験用素子1において光取出し手段8が使用されると、光取出し手段8から出射する光の成分の量は、光取出し手段8が使用されない場合に試験用素子1から出射される光の成分の量と、試験用素子1から出射せずに低屈折率基板9内を導波する光の成分の量とを併せたものと近似し、すなわち設計対象である有機エレクトロルミネッセンス素子Aのように反射・屈折角を乱れさせる領域5を設ける場合に出射する光の成分の量と近似する。このため、光取出し手段8から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係に基づいて、この光の成分の量が所望の適宜の値となるように有機発光層4の厚みが決定されれば、出射光の光の成分の量が所望の程度であるような有機エレクトロルミネッセンス素子Aが設計される。
第四の発明では、光透過性電極3と光反射性電極2との間に有機発光層2が設けられ、前記光透過性電極3の有機発光層2とは反対側に低屈折率基板9が積層した構造を有すると共に有機発光層2の厚みを異ならせた複数の試験用素子1を作製する。各試験用素子1について、この試験用素子1を発光させた場合に前記低屈折率基板9から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と、有機発光層2の厚みとの間の相関関係を導出する。各試験用素子1について、低屈折率基板9の表面に有機発光層2から低屈折率基板9内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段8を取り付けた状態で試験用素子1を発光させた場合に前記光取出し手段8から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と、有機発光層2の厚みとの間の相関関係を導出する。前記二種類の相関関係に基づいて、有機発光層2の厚みを設計する。
第四の発明によれば、試験用素子1について光取出し手段8が用いられてない場合に計測される光の成分の量は、光透過性電極3に到達した光が全て外部に出射される場合の光の成分の量よりも、低屈折率基板9内の導波光及び光透過性電極3内の導波光の分だけ低減する。一方、試験用素子1について光取出し手段8が用いられた場合に計測される光の成分の量は、光透過性電極3に到達した光が全て外部に出射される場合の光の成分の量よりも、光透過性電極3内の導波光の分だけ低減する。このため前記計測される光の成分の量の差は、低屈折率基板9内の導波光の光の成分の量と一致し、この値は有機エレクトロルミネッセンス素子Aに光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられる場合に出射する光の成分の量を反映する。このため、前記二種の相関関係に基づいて、前記光の成分の量の差の値が所望の適宜の値となるように有機発光層4の厚みが決定されれば、出射光の光の成分の量が所望の程度であるような有機エレクトロルミネッセンス素子Aが設計される。
これらの発明においては、前記光取出し手段が、この光取出し手段が取り付けられる基板の屈折率と同等の屈折率を有する半球レンズであることが好ましい。
この場合、前記基板に到達した光の殆どを、半球レンズを介して外部に取り出すことができる。
上記の通り、本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板に反射・屈折角を乱れさせる領域を設けた場合の出射光の光の成分の量が所望の程度になるようにすることができるものであり、またこのとき有機発光層の広い厚み範囲に亘った相関関係を導出しておけば、広い厚み範囲に亘って有機発光層の厚みを設計することができるものである。
以下、本発明の実施をするための最良の形態について説明する。
[有機エレクトロルミネッセンス素子Aの構成]
図4及び図5に、本発明によって設計される有機エレクトロルミネッセンス素子Aの構成の例を示す。
この有機エレクトロルミネッセンス素子Aは、透明な基板6の一面側に、光透過性電極3、有機発光層4、光反射性電極2が、この順に順次積層成形されている。前記有機発光層4は、発光材料を含む発光層10を備え、また必要に応じて電子注入層、電子輸送層13、正孔注入層、ホール輸送層14等の適宜の有機層11を備える積層構造を有する。図示の例では、光反射性電極2と発光層10との間に電子輸送層13が介在し、光透過性電極3と発光層10との間にホール輸送層14が介在している。これらの各層の材質は、有機エレクトロルミネッセンス素子Aに適用されている適宜のものが採用され、特に制限されない。
また、光透過性電極3の有機発光層4とは反対側には、光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられている。
光の反射・屈折角を乱れさせる領域5は、全反射角以上の角度にある光の伝送角が効率良く全反射角以下の伝送角に乱され、素子内部の導波光をより多く外部に出射できるように形成されたものであれば、特に制限されず、従来提案されているものがそのまま適用される。例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等の透明材料と、この透明材料中に分散分布すると共にこの透明材料中とは異なる屈折率を有するシリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、プラスチック粒子、液晶粒子等の粒子や気泡などにより、光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が形成される。
また、透明な基板6は、適宜のガラス基板6や樹脂基板6等で形成される。この基板6は、通常は光透過性電極3よりも低い屈折率を有する材質で形成される。
図4に示す例では、光透過性電極3の有機発光層4とは反対側には、光透過性の基板6と光の反射・屈折角を乱れさせる領域5とが、順次積層して設けられている。
このような構成を有する有機エレクトロルミネッセンス素子Aでは、基板6に到達した光の殆どは全反射せず光の反射・屈折角を乱れさせる領域5で拡散し、この光の殆どは光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を介して外部に出射する。従って、本来基板6内を導波する光が外部に出射して、発光量が増大する。
また、図5に示す例では、光透過性電極3の有機発光層4とは反対側には、光の反射・屈折角を乱れさせる領域5と、光透過性の基板6が、順次積層して設けられている。光透過性電極3と光の反射・屈折角を乱れさせる領域5とは、直接接触していても良いが、光透過性電極3と光の反射・屈折角を乱れさせる領域5との間に、光透過性電極3の屈折率と同等以上の屈折率を有する透明な基板が介在していても良い。このような高屈折率の基板は、光透過性電極3の有する屈折率に応じて適宜の材質から形成されるが、例えば高屈折率の光学ガラスから形成される。高屈折率の光学ガラスとしては、例えばSiO2を1〜6重量%、B23を16〜25重量%、CaOを13〜20重量%、ZrO2を1〜8重量%、La23を20〜29重量%、TiO2を13〜16重量%、Nb25を10〜20重量%、SnOを0.01〜1重量%、Sb23を0.01〜1重量%の範囲で含有するものが挙げられる。また、前記成分に加えて、更にBaOとK2Oのうち少なくとも一方を含有すると共に、BaOとK2Oの含有量が共に2重量%以下であるような高屈折率の光学ガラスも挙げられる。
このような構成を有する有機エレクトロルミネッセンス素子Aでは、光透過性電極3に到達した光の殆どは全反射せず光の反射・屈折角を乱れさせる領域5で拡散し、この光の殆どは光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を介して基板6に到達し、更に外部に出射する。従って、本来光透過性電極3内を導波する光が外部に出射して、発光量が増大する。
尚、図1〜5に示される矢印は、光の進路を模式的に示したものである。
[第一の実施形態]
有機エレクトロルミネッセンス素子Aの設計にあたっては、図1に示されるように、光反射性電極2、有機発光層4、光透過性電極3、高屈折率基板7がこの順に積層した構造を有する複数の試験用素子1が作製される。光反射性電極2、有機発光層4、光透過性電極3としては、設計対象である有機エレクトロルミネッセンス素子Aと同じ材質を有するものが形成される。但し、有機発光層4の厚み寸法は、複数の各試験用素子1ごとに異なる。
また、高屈折率基板7は、光透過性電極3の屈折率と同等以上の屈折率を有する透明な基板6である。この高屈折率基板7は、光透過性電極3の有する屈折率に応じて適宜の材質から形成されるが、例えば高屈折率の光学ガラスから形成される。高屈折率の光学ガラスとしては、例えばSiO2を1〜6重量%、B23を16〜25重量%、CaOを13〜20重量%、ZrO2を1〜8重量%、La23を20〜29重量%、TiO2を13〜16重量%、Nb25を10〜20重量%、SnOを0.01〜1重量%、Sb23を0.01〜1重量%の範囲で含有するものが挙げられる。また、前記成分に加えて、更にBaOとK2Oのうち少なくとも一方を含有すると共に、BaOとK2Oの含有量が共に2重量%以下であるような高屈折率の光学ガラスも挙げられる。
ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光の成分の量には、発光層10内の発光源15から基板6側に向けて出射される光と、この発光源15から光反射性電極2へ向けて出射された後、この電極表面で基板6側に向けて反射する光による多重干渉が大きく影響を及ぼす。
そこで、互いに厚みの異なる有機発光層4を備える複数の試験用素子1としては、発光層10よりも光反射性電極2側に設けられている有機層11の厚みが異なるなど、有機発光層4中の発光源15と光反射性電極2との間の寸法が異なる複数の試験用素子1が作製されることが好ましい。例えば図2に示す構成の有機発光層4における電子輸送層13の厚みが異なる複数の試験用素子1が作製される。
このように作製された各試験用素子1について、図1に示すように有機発光層4から高屈折率基板7の内部に到達する光を取り出すための光取出し手段8が、高屈折率基板7の表面に取り付けられ、この状態で電極1,2間に電圧が印加され、試験用素子1を発光させる。このとき光取出し手段8から出射する光の成分の量が計測される。
光取出し手段8としては、有機発光層4から高屈折率基板7の内部に到達した光の略全部を取り出す機能を有するものが使用される。このとき、好ましくは高屈折率基板7の内部に到達した光の80%以上を取り出すことが可能な光取出し手段8が使用される。
上記光取出し手段8としては適宜のものが挙げられるが、例えば高屈折率基板7の屈折率と同等の屈折率を有する半球レンズ8aが用いられる。例えば高屈折率基板7と同一の材質で形成された半球レンズ8aが用いられる。この半球レンズ8aは一面側が平面に形成され、他面側が球面に形成されている。この半球レンズ8aは、一般には球面側から入射した光を集光するレンズとして用いられるが、本実施形態では半球レンズ8aの平面側が高屈折率基板7の表面と密接するように取り付けられ、この平面側から入射した光を球面側から出射させる。半球レンズ8aが取り付けられていない場合には、例えば高屈折率基板7の屈折率が1.5とすると本来はスネルの法則により高屈折率基板7から大気14側へ出射する光の臨界角は約42°となり、入射角θが臨界角よりも小さい光が大気14側に出射されると共に、入射角θが臨界角よりも大きい光は高屈折率基板7と大気14との界面で全反射して高屈折率基板7内を導波して失われる。これに対して、前記半球レンズ8aが取り付けられていると、本来全反射するはずの光も半球レンズ8aへ入射される。また半球レンズ8aへ入射した光は球面側から出射するため、半球レンズ8aから大気14への入射角が小さくなり、半球レンズ8aへ入射した光の殆どが球面側から大気14に出射される。
この半球レンズ8aは、高屈折率基板7の端面側から出射する入射角の大きい光の成分が半球レンズ8a内に入射するために、十分な寸法を有することが好ましい。例えば、高屈折率基板7の厚みが0.7mm、一辺の長さがLである場合、高屈折率基板7の端部から半球レンズ8aへ入射角89°の光までもが入射するためには、半球レンズ8aが2×0.7×tan89°+L=80+L(mm)又はそれよりも大きい直径を有することが好ましい。
半球レンズ8aの取り付け時には、高屈折率基板7の表面に直接半球レンズ8aが配置されても良いが、半球レンズ8aと高屈折率基板7との間に高屈折率基板7の屈折率と同一又は近似する屈折率を有する適宜のマッチングオイルが介在しても良い。マッチングオイルが使用されると、半球レンズ8aと高屈折率基板7との間の空気が介在が抑制され、空気の介在による半球レンズ8aへの入射光が減少が抑制される。マッチングオイルとしては例えば脂肪族炭化水素系溶剤等が使用される。このマッチングオイルの屈折率は、高屈折率基板7の屈折率に対して±0.05の範囲であることが好ましく、また±0.01の範囲であれば更に好ましい。
半球レンズ8aから出射される光の成分の量は、例えば積分球を用い、輝度計やPMA等により計測される。光の成分の量としては、必要に応じて光のエネルギー(放射束)、光束、光子数等から適宜選択されたものが計測される。各種の光の成分の量を計測するにあたっては、エネルギー(放射束)を直接的に計測し、このエネルギーをchν(c:光速、h:プランク定数、ν:波長の逆数)で除した結果を光子数として導出することもでき、またこのエネルギーからCIE標準比視感度と最大視感度とに基づいて光束を導出することもできる。
また、光取出し手段8としては上記半球レンズ8aのほか、適宜のものが使用される得る。例えば基板6と同一又は近似する屈折率を有するマッチングオイルの浴中に試験用素子1と光の成分の量を計測する装置(例えば輝度計やPMA等)を浸すことでこのマッチングオイルを光取出し手段8として用い、この状態で試験用素子1を発光させて、その発光を計測しても良い。また、光取出し手段8として、高屈折率基板7の表面に半球レンズ8aに代えて高屈折率基板7の屈折率と同等の屈折率を有するプリズムが取り付けられても良い。
このような手法により複数の試験用素子1ごとに、光取出し手段8から出射する光の成分の量が計測されることで、この光取出し手段8から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係が導出される。この相関関係に基づいて、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの設計が為される。
ここで、試験用素子1において光取出し手段8が使用されると、有機発光層4から光透過性電極3に到達した光は、高屈折率基板7との界面で全反射することなく高屈折率基板7内に到達し、更に高屈折率基板7内に到達した光の殆どが光取出し手段8を介して外部に出射する。すなわち、光透過性電極3に到達した光の殆どが、外部に出射されることとになる。このため、光取出し手段8を介して出射する光の成分の量は、設計対象である有機エレクトロルミネッセンス素子Aのように反射・屈折角を乱れさせる領域5を設ける場合に出射する光の成分の量を反映する。
このため、光取出し手段8から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係に基づいて、この光の成分の量が所望の適宜の値となるように有機発光層4の厚みが決定されれば、出射光の光の成分の量が所望の程度であるような有機エレクトロルミネッセンス素子Aが設計される。
[第二の実施形態]
本実施形態では、図1に示される複数の第一の試験用素子1aと、図2に示される複数の第二の試験用素子1bとが作製される。複数の第一の試験用素子1aは、第一の実施形態における試験用素子1と同一である。
複数の第二の試験用素子1bは、光反射性電極2、有機発光層4、光透過性電極3、低屈折率基板9がこの順に積層した構造を有する。光反射性電極2、有機発光層4、及び光透過性電極3としては、設計対象である有機エレクトロルミネッセンス素子Aと同じ材質を有するものが形成される。但し、有機発光層4の厚み寸法は、複数の各第二の試験用素子1bごとに異なる。
また、低屈折率基板9は、光透過性電極3の屈折率よりも小さい屈折率を有する透明な基板6である。この低屈折率基板9は、光透過性電極3の有する屈折率に応じて適宜の材質から形成されるが、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子Aの基板6として通常使用されるガラス基板6や樹脂基板6が挙げられる。
第二の試験用素子1bについても、第一の試験用素子1aと同様に、発光層10よりも光反射性電極2側に設けられている有機層11の厚みが異なるなど、有機発光層4中の発光源15と光反射性電極2との間の寸法が異なる複数の第二の試験用素子1bが作製されることが好ましい。例えば図2に示す構成の有機発光層4における電子輸送層13の厚みが異なる複数の第二の試験用素子1bが作製される。
第一の試験用素子1aについては、第一の実施形態における試験用素子1の場合と同様にして、光取出し手段8が使用される場合での、光取出し手段8から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係が導出される。
第二の試験用素子1bについては、光取出し手段8が使用されないこと以外は第一の実施形態における試験用素子1の場合と同様にして、低屈折率基板9から出射する光の成分の量が計測され、前記計測結果に基づき、低屈折率基板9から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係が導出される。
上記各相関関係に基づき、第一の試験用素子1aと第二の試験用素子1bについてそれぞれ計測される光の成分の量の差の値と、有機発光層4の厚みとの間の相関関係が導出される。
第二の試験素子では、光透過性電極3と低屈折率基板9との界面で広角度成分の光の全反射が生じ、且つ低屈折率基板9と大気14との界面でも広角度成分の光の全反射が生じる。このため、第二の試験用素子1bについて計測される光の成分の量は、第一の試験用素子1aについて計測された光の成分の量よりも、低屈折率基板9内の導波光及び光透過性電極3内の導波光の分だけ低減する。このため、第一の試験用素子1aと第二の試験用素子1bについてそれぞれ計測される光の成分の量の差は、第二の試験用素子1bにおける低屈折率基板9内の導波光及び光透過性電極3内の導波光の光の成分の量の和と一致する。すなわちこの差の値は、設計対象の有機エレクトロルミネッセンス素子Aにおいて光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられない場合の、素子内部に閉じ込められる光の成分の量と近似する。
光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられない場合に素子内を導波して失われる光の成分の量は、素子から出射される光の成分の量よりも多いため、上記のようにして導出される第一の試験用素子1aと第二の試験用素子1bについてそれぞれ計測される光の成分の量の差は、光取出し手段8が設けられない場合に有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射する光の成分の量よりも、光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられる場合に出射する光の成分の量を反映している。
従って、第一の試験用素子1aと第二の試験用素子1bについてそれぞれ計測される光の成分の量の差の値と、有機発光層4の厚みとの間の相関関係に基づいて、この差の値が所望の適宜の値となるように有機発光層4の厚みが決定されれば、出射光の光の成分の量が所望の程度であるような有機エレクトロルミネッセンス素子Aが設計される。
[第三の実施形態]
本実施形態では、図1に示される複数の第一の試験用素子1aと、図3に示される複数の第二の試験用素子1bとが作製される。複数の第一の試験用素子1aは、第一の実施形態における試験用素子1並びに第二の実施形態における第一の試験用素子1aと同一の構成を有し、複数の第二の試験用素子1bは、第二の実施形態における第二の試験用素子1bと同一の構成を有する。
第一の試験用素子1aについては、第一の実施形態における試験用素子1の場合と同様にして、光取出し手段8が使用される場合での、光取出し手段8から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係が導出される。
第二の試験用素子1bについても、第一の試験用素子1aと同様に光取出し手段8が使用される場合での、光取出し手段8から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの間の相関関係が導出される。
第二の試験用素子1bについては、光取出し手段8は有機発光層4から低屈折率基板9の内部に到達する光を取り出すために使用される。光取出し手段8としては、有機発光層4から低屈折率基板9の内部に到達した光の略全部を取り出す機能を有するものが使用される。好ましくは低屈折率基板9の内部に到達した光の80%以上を取り出すことが可能な光取出し手段8が使用される。この光取出し手段8としては、第一の試験用素子1aの場合と同様に、半球レンズ8a、マッチングオイルの浴、プリズム等の適宜のものが使用される。但し、第二の試験用素子1bに対しては、低屈折率基板9の屈折率と同等の屈折率を有する半球レンズ8a等が使用される。
上記各相関関係に基づき、第一の試験用素子1aと第二の試験用素子1bについてそれぞれ計測される光の成分の量の差の値と、有機発光層4の厚みとの間の相関関係が導出される。
第二の試験素子では、光取出し手段8が用いられる場合、光透過性電極3と低屈折率基板9との界面で広角度成分の光の全反射が生じるが、低屈折率基板9に到達した光の殆どは光取出し手段8を介して外部に出射する。このため、第二の試験用素子1bについて計測される光の成分の量は、第一の試験用素子1aについて計測された光の成分の量よりも、光透過性電極3内の導波光の分だけ低減する。このため、第一の試験用素子1aと第二の試験用素子1bについてそれぞれ計測される光の成分の量の差は、第二の試験用素子1bにおける光透過性電極3内の導波光の光の成分の量とほぼ一致する。この差の値は、有機エレクトロルミネッセンス素子Aに光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられる場合に出射する光の成分の量をよく反映している。
従って、第一の試験用素子1aと第二の試験用素子1bについてそれぞれ計測される光の成分の量の差の値と、有機発光層4の厚みとの間の相関関係に基づいて、この差の値が所望の適宜の値となるように有機発光層4の厚みが決定されれば、出射光の光の成分の量が所望の程度であるような有機エレクトロルミネッセンス素子Aが設計される。
[第四の実施形態]
本実施形態では、図3に示される複数の試験用素子1が作製される。この複数の試験用素子1は、第二及び第三の実施形態における第二の試験用素子1bと同一である。
この試験用素子1について、第二の実施形態における第二の試験用素子1bの場合と同様にして、低屈折率基板9から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの相関関係が導出される。
また、この試験用素子に1について、第三の実施形態における第二の試験用素子1bの場合と同様にして、光取出し手段8から出射する光の成分の量と有機発光層4の厚みとの相関関係が導出される。
上記試験素子では、光取出し手段8が使用されない場合、光透過性電極3と低屈折率基板9との界面で広角度成分の光の全反射が生じ、且つ低屈折率基板9と大気14との界面でも広角度成分の光の全反射が生じる。このため、計測される光の成分の量は、光透過性電極3に到達した光が全て外部に出射される場合の光の成分の量よりも、低屈折率基板9内の導波光及び光透過性電極3内の導波光の分だけ低減する。一方、試験用素子1に対して光取出し手段8が使用された場合では、光透過性電極3と低屈折率基板9との界面で広角度成分の光の全反射が生じるが、低屈折率基板9に到達した光の殆どは光取出し手段8を介して外部に出射する。このため、計測される光の成分の量は、光透過性電極3に到達した光が全て外部に出射される場合の光の成分の量よりも、光透過性電極3内の導波光の分だけ低減する。
このため、光取出し手段8が使用される場合と使用されない場合でそれぞれ計測される光の成分の量の差は、光取出し手段8が使用されない場合での試験用素子1における低屈折率基板9内の導波光の光の成分の量とほぼ一致する。この差の値は、有機エレクトロルミネッセンス素子Aに光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられる場合に出射する光の成分の量をよく反映している。
従って、試験用素子1につき、光取出し手段8が使用される場合と使用されない場合でそれぞれ計測される光の成分の量の差の値と、有機発光層4の厚みとの間の相関関係に基づいて、この差の値が所望の適宜の値となるように有機発光層4の厚みが決定されれば、出射光の光の成分の量が所望の程度であるような有機エレクトロルミネッセンス素子Aが設計される。
以上の各実施形態では、各相関関係が有機発光層4の広い厚み範囲において導出されていれば、各相関関係における極大値として第一の極大値だけでなく、第二の極大値或いは第三以降の極大値といった複数の極大値と、有機発光層4の厚みとの関係も導出される。このため、複数の極大値のうちのいずれかの値又はその近傍の値をとるように、有機発光層4の厚みが設計されることで、有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光の成分の量が向上する。
また、上記のように各相関関係において極大値又はその近傍をとるようにするだけでなく、この値が適宜の値をとるように有機発光層4の厚みを設計することもできる。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの構成によっては有機発光層4の厚みが制限される場合がある。その具体的な例としては、有機エレクトロルミネッセンス素子Aが複数の発光層10を含むことで、この有機エレクトロルミネッセンス素子Aの各発光層10から光反射性電極2までの寸法の範囲が一定の範囲に制限される場合が挙げられる。このような場合であっても、上記各実施形態では有機発光層4の厚み設計が広い範囲でなされるので、各発光層10ごとに、光反射性電極2までの寸法の制限範囲内で、各相関関係において極大値又はその近傍をとるように、或いはこのような値でなくても前記制限範囲内で最も高い値をとるなどのように充分に大きい値をとるように、有機発光層4の厚みの設計を行うことができる。
ここで、複数の発光層10から発せられる光の成分のうち、全ての発光層10からの発光について、各相関関係において極大値をとるように厚み設計をすると、光の取り出し効率を非常に高くすることができるが、少なくとも一つの発光層10からの発光について極大値をとるようにすれば、光の取り出し効率の向上に寄与することができる。また、いずれの発光層10からの発光についても極大値をとることができない場合でも、上述のように有機エレクトロルミネッセンスから出射される光の成分の量が所望の量となるように有機発光層4の厚みを設計することができる。
以下に、実施例として、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの設計方法の具体例を示す。
[試験用素子1の作製]
第一の試験用素子1aとして、膜厚0.7mmの高屈折率ガラス製の高屈折率基板7上に、ITOからなる光透過性電極3、α−NPDからなるホール輸送層14、ルブレン(Rubrene)を6重量%ドープしたAlq3からなる発光層10、下記[化1]に示されるTmPyPhBからなる電子輸送層13、Alからなる光反射性電極2を積層した複数の素子を作製した。
各第一の試験用素子1aは、光透過性電極3の厚みが膜厚150nm、ホール輸送層14の厚みが40nm、発光層10の厚みが30nm、光反射性電極2の厚みが80nmであり、電子輸送層13の厚みは10〜500nmの範囲で10nm刻みで変化させた。
Figure 2010040448
第二の試験用素子1bとして、高屈折率基板7に代えて低屈折率基板9を用いた以外は第一の試験用素子1aと同一の構成の複数の素子を作製した。
[光束の計測]
第一の試験用素子1aの高屈折率基板7の表面に、脂肪族炭化水素系溶剤からなるマッチングオイルを介して半球レンズ8aを取り付けた。この状態で第一の試験用素子1aを発光させ、半球レンズ8aから出射される光の光束を計測した。
また、第二の試験素子を半球レンズ8aを取り付けることなく発光させ、低屈折率基板9から出射される光の光束を計測した。
また、第二の試験用素子1bの低屈折率基板9の表面に、脂肪族炭化水素系溶剤からなるマッチングオイルを介して半球レンズ8aを取り付けた。この状態で第二の試験用素子1bを発光させ、半球レンズ8aから出射される光の光束を計測した。
その結果を図6に示す。図中の「▲」は第一の試験用素子1aについての計測結果を、「■」は半球レンズ8aが使用されない場合での第二の試験用素子1bについての計測結果を、「△」は半球レンズ8aが使用される場合での第二の試験素子についての計測結果を、それぞれ示す。また、図6の横軸は、電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚を示している。
[実施例1]
第一の試験用素子1aについての計測結果によれば、電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚が100nmの場合に光束の第一の極大値が現れ、前記膜厚が280nmの場合に光束の第二の極大値が現れ、前記膜厚が450nmの場合に光束の第三の極大値が現れる。
第一の試験用素子1aでは、高屈折率基板7に到達した光の殆どが半球レンズ8aから出射されるため、この計測結果に基づいて、光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を有する有機エレクトロルミネッセンス素子Aの有機発光層4の膜厚を、第一の試験用素子1aについての光束の計測値が極大値となる膜厚に設計すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光束を増大させることができる。
また、半球レンズ8aから出射される光束の極大値の近傍においても、この光束は充分に大きな値を有しているため、この極大値を中心とした範囲で有機発光層4の厚みを設計しても、有機エレクトロルミネッセンスから出射される光束を充分に大きくすることができる。
例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子Aにおける電子輸送層13と発光層10の厚みを合計した膜厚を、前記計測値が第一の極大値をとる100nmの値に設定することができる。
これに対して、例えば従来行われていたように半球レンズ8aが使用されない場合での第二の試験用素子1bについての計測結果のみに基づいて有機エレクトロルミネッセンス素子Aの設計が行われる場合には、電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚が70nmの場合に光束の第一の極大値が現れる。このように膜厚が70nmと設計される場合に有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光束に対して、本実施例によって膜厚が100nmに設計される場合に出射される光束は、第一の試験用素子1aについての光束の計測値に基づけば約1.11倍も大きくなる。このことから、本実施例では有機エレクトロルミネッセンスから出射する光束がより増大することが確認できる。
[実施例2]
第一の試験用素子1aについての光束の計測結果と、半球レンズ8aが使用されない場合の第二の試験用素子1bについての光束の計測結果との差を、図6中に「×」で示す。この差の値は、設計対象の有機エレクトロルミネッセンス素子Aにおいて光の反射・屈折角を乱れさせる領域5が設けられない場合の、素子内部に閉じ込められる光の成分の量と近似する。この差の値に基づいて、例えば光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を有する有機エレクトロルミネッセンス素子Aの有機発光層4の膜厚を、前記差の値が極大値、あるいはその近傍の値となる膜厚に設計すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光束を増大させることができる。
例えば、前記差の値の第一の極大値は、電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚が110nmの場合に現れる。この結果に基づいて、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚を110nmに設計することができる。
これに対して、例えば従来行われていたように半球レンズ8aが使用されない場合での第二の試験用素子1bについての計測結果のみに基づいて有機エレクトロルミネッセンス素子Aの設計が行われる場合には、電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚が70nmの場合に光束の第一の極大値が現れる。このように膜厚が70nmと設計される場合に有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光束に対して、本実施例によって膜厚が110nmに設計される場合に出射される光束は、第一の試験用素子1aについての光束の計測値に基づけば約1.08倍も大きくなる。このことから、本実施例では有機エレクトロルミネッセンスから出射する光束がより増大することが確認できる。
[実施例3]
第一の試験用素子1aについての光束の計測結果と、半球レンズ8aが使用される場合の第二の試験用素子1bについての光束の計測結果との差を、図6中に「○」で示す。この差の値は、第二の試験用素子1bにおける光透過性電極3内の導波光の光の成分の量と一致する。この差の値に基づいて、例えば光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を有する有機エレクトロルミネッセンス素子Aの有機発光層4の膜厚を、前記差の値が極大値、或いはその近傍の値となる膜厚に設計すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光束を増大させることができる。
例えば、前記差の値の第二の極大値は、電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚が460nmの場合に現れる。この結果に基づいて、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚を460nmに設計することができる。
これに対して、例えば従来行われていたように半球レンズ8aが使用されない場合での第二の試験用素子1bについての計測結果のみに基づいて有機エレクトロルミネッセンス素子Aの設計が行われる場合には、電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚が430nmの場合に光束の第三の極大値が現れる。このように膜厚が430nmと設計される場合に有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光束に対して、本実施例によって膜厚が460nmに設計される場合に出射される光束は、第一の試験用素子1aについての光束の計測値に基づけば約1.02倍大きくなる。このことから、本実施例では有機エレクトロルミネッセンスから出射する光束がより増大することが確認できる。
[実施例4]
半球レンズ8aが使用される場合の第二の試験用素子1bについての光束の計測結果(△)と、半球レンズ8aが使用されない場合の第二の試験用素子1bについての光束の計測結果(■)との差を、図6中に「●」で示す。この差の値は、第二の試験用素子1bにおける低屈折基板9内を導波する光の成分の量と一致する。この差の値に基づいて、例えば光の反射・屈折角を乱れさせる領域5を有する有機エレクトロルミネッセンス素子Aの有機発光層4の膜厚を、前記差の値が極大値、或いはその近傍の値となる膜厚に設計すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光束を増大させることができる。
例えば、前記差の値の第一の極大値は、電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚が110nmの場合に現れる。この結果に基づいて、有機エレクトロルミネッセンス素子Aの電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚を110nmに設計することができる。
これに対して、例えば従来行われていたように半球レンズ8aが使用されない場合での第二の試験用素子1bについての計測結果のみに基づいて有機エレクトロルミネッセンス素子Aの設計が行われる場合には、電子輸送層13と発光層10の厚みとを合計した膜厚が70nmの場合に光束の第一の極大値が現れる。このように膜厚が70nmと設計される場合に有機エレクトロルミネッセンス素子Aから出射される光束に対して、本実施例によって膜厚が110nmに設計される場合に出射される光束は、第一の試験用素子1aについての光束の計測値に基づけば1.08倍も大きくなる。このことから、本実施例では有機エレクトロルミネッセンスから出射する光束がより増大することが確認できる。
本発明の第一の実施形態で使用される試験用素子、並びに本発明の第二及び第三の実施形態で使用される第一の試験用素子の一例を示す概略の断面図である。 本発明の第二の実施形態で使用される第二の試験用素子の一例を示す概略の断面図である。 本発明の第三の実施形態で使用される第二の試験用素子、及び本発明の第四の実施形態で使用される試験用素子の一例を示す概略の断面図である。 本発明の各実施形態によって設計される有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す概略の断面図である。 本発明の各実施形態によって設計される有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の他例を示す概略の断面図である。 有機発光層の厚みを異ならせた場合の、試験用素子から出射される光束の計測結果を示すグラフである。 光の反射・屈折角を乱れさせる領域が設けられていない有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す概略の断面図である。
符号の説明
A 有機エレクトロルミネッセンス素子
1 試験用素子
1a 第一の試験用素子
1b 第二の試験用素子
2 光反射性電極
3 光透過性電極
4 有機発光層
5 光の反射・屈折角を乱れさせる領域
6 基板
7 高屈折率基板
8 光取出し手段
8a 半球レンズ
9 低屈折率基板

Claims (5)

  1. 光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、光透過性電極の有機発光層とは反対側に光の反射・屈折角を乱れさせる領域が設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法であって、
    光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、前記光透過性電極の有機発光層とは反対側にこの光透過性電極の屈折率と同等以上の屈折率を有する光透過性の高屈折率基板が積層した構造を有すると共に有機発光層の厚みを異ならせた複数の試験用素子を作製し、
    各試験用素子について、高屈折率基板の表面に有機発光層から高屈折率基板内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段を取り付けた状態で試験用素子を発光させた場合に前記光取出し手段から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と有機発光層の厚みとの間の相関関係を導出し、
    この相関関係に基づいて、有機発光層の厚みを設計することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法。
  2. 光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、光透過性電極の有機発光層とは反対側に光の反射・屈折角を乱れさせる領域が設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法であって、
    光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、前記光透過性電極の有機発光層とは反対側にこの光透過性電極の屈折率と同等以上の屈折率を有する光透過性の高屈折率基板が積層した構造を有すると共に有機発光層の厚みを異ならせた複数の第一の試験用素子を作製し、
    光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、前記光透過性電極の有機発光層とは反対側にこの光透過性電極の屈折率よりも小さい屈折率を有する光透過性の低屈折率基板が積層した構造を有すると共に有機発光層の厚みを異ならせた複数の第二の試験用素子を作製し、
    各第一の試験用素子について、高屈折率基板の表面に有機発光層から高屈折率基板内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段を取り付けた状態で第一の試験用素子を発光させた場合に前記光取出し手段から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と有機発光層の厚みとの間の相関関係を導出し、
    各第二の試験用素子について、この第二の試験用素子を発光させた場合に前記低屈折率基板から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と、有機発光層の厚みとの間の相関関係を導出し、
    前記二種類の相関関係に基づいて、有機発光層の厚みを設計することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法。
  3. 光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、光透過性電極の有機発光層とは反対側に光の反射・屈折角を乱れさせる領域が設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法であって、
    光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、前記光透過性電極の有機発光層とは反対側にこの光透過性電極の屈折率と同等以上の屈折率を有する光透過性の高屈折率基板が積層した構造を有すると共に有機発光層の厚みを異ならせた複数の第一の試験用素子を作製し、
    光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、前記光透過性電極の有機発光層とは反対側にこの光透過性電極の屈折率よりも小さい屈折率を有する光透過性の低屈折率基板が積層した構造を有すると共に有機発光層の厚みを異ならせた複数の第二の試験用素子を作製し、
    各第一の試験用素子について、高屈折率基板の表面に有機発光層から高屈折率基板内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段を取り付けた状態で第一の試験用素子を発光させた場合に前記光取出し手段から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と有機発光層の厚みとの間の相関関係を導出し、
    各第二の試験用素子について、低屈折率基板の表面に有機発光層から低屈折率基板内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段を取り付けた状態で第二の試験用素子を発光させた場合に前記光取出し手段から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と、有機発光層の厚みとの間の相関関係を導出し、
    前記二種類の相関関係に基づいて、有機発光層の厚みを設計することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法。
  4. 光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、光透過性電極の有機発光層とは反対側に光の反射・屈折角を乱れさせる領域が設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法であって、
    光透過性電極と光反射性電極との間に有機発光層が設けられ、前記光透過性電極の有機発光層とは反対側にこの光透過性電極の屈折率よりも小さい屈折率を有する光透過性の低屈折率基板が積層した構造を有すると共に有機発光層の厚みを異ならせた複数の試験用素子を作製し、
    各試験用素子について、この試験用素子を発光させた場合に前記低屈折率基板から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と、有機発光層の厚みとの間の相関関係を導出し、
    各試験用素子について、低屈折率基板の表面に有機発光層から低屈折率基板内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段を取り付けた状態で試験用素子を発光させた場合に前記光取出し手段から出射する光の成分の量を計測し、前記計測結果から、前記出射する光の成分の量と、有機発光層の厚みとの間の相関関係を導出し、
    前記二種類の相関関係に基づいて、有機発光層の厚みを設計することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法。
  5. 前記光取出し手段が、この光取出し手段が取り付けられる基板の屈折率と同等の屈折率を有する半球レンズであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法。
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