(第1実施形態)
(全体構成)
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が無い限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものではない。
図1は、電子写真方式の複写機2の概略構成を示す断面図である。一例としてフルカラープリンタに関して説明する。図1(a)に示されるように、『画像形成装置』である複写機2は、一定の間隔をおいて略水平な一直線上に配置された『画像形成部』であるプロセスカートリッジ10を備える。プロセスカートリッジ10には、イエロー用のプロセスカートリッジ10Y、マジェンダ用のプロセスカートリッジ10M、シアン用のプロセスカートリッジ10C、ブラック用のプロセスカートリッジ10Kがある。各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kの説明にあたっては、10の符号を用いて以下に説明する。
各プロセスカートリッジ10は、複写機本体2aに着脱自在に構成される。また、各プロセスカートリッジ10は、前述のように複写機本体2aの内部の中間転写ベルト12aに沿って各色毎に配備されていて、『像担持体』であるドラム型の電子写真感光体(以下、単に『感光体ドラム』という)18を略中央に備える。感光体ドラム18は中間転写ベルト12aと接触するように配置される。感光体ドラム18の周囲には、『一次帯電手段』である一次帯電器19、『現像手段』である現像剤担持体としての現像ローラ203、『クリーニング手段』であるドラムクリーナ装置31が配置される。 一次帯電器19は、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって感光体ドラム18の表面を負極性の所定電位に均一に帯電する。現像ローラ203は、それぞれ各感光体ドラム18上に形成される各静電潜像に各色の現像剤を付着させて現像剤像として現像(可視像化)する。ドラムクリーナ装置31は、感光体ドラム18上で一次転写時の残留した転写残現像剤を感光体ドラム18から除去するためのクリーニングブレード等を有している。
感光体ドラム18に対向する位置には一次転写手段としての転写ローラ20が配置され、一次帯電器19と現像ローラ203との間の下方には露光装置11が設置されている。転写ローラ20は、インライン型の『中間転写手段』である中間転写ベルト12aを有する転写ベルトユニット12内に配設され、感光体ドラム18に対向して付勢されるよう配置されている。露光装置11は、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザー発光手段、ポリゴンレンズ、反射ミラー等で構成される。そして、各感光体ドラム18に露光を行うことによって、各一次帯電器19で帯電された各感光体ドラム18の表面に画像情報に応じた各色の静電潜像を形成する。
転写ベルトユニット12は、二次転写対向ローラを兼ねる駆動ローラ71を備えており、駆動ローラ71は、二次転写ローラ32と対向するよう配置されている。また、二次転写ローラ32のシートPの搬送方向下流側には、定着ローラ41と加圧ローラ40を有する定着装置45が縦パス構成で設置されている。
給送カセット3にセットされたシートPは給送ローラ4によって一枚ずつ分離給送され、レジストローラ対5によって二次転写ローラ32と駆動ローラ71のニップに搬送されて現像剤像を転写される。そして、加圧ローラ40および定着ローラ41からなる定着装置45によって画像を定着され、排出ローラ43によって排出トレイ44へと排出される。
なお、プロセスカートリッジ10及び転写ベルトユニット12は、その性質上、寿命が複写機2に比較して短いため、本体寿命を全うする為には交換を必要とする。そこで、図1(b)に示すように、プロセスカートリッジ10及び転写ベルトユニット12を容易に交換可能とするため、排出トレイ44及び転写ベルトユニット12を備えたユニットを上扉ユニット50として複写機本体2aに対し開閉自在に構成している。
この構成により、上扉ユニット50を複写機本体2a上方(図1(b)中、矢印A方向)に向けて開くことにより、プロセスカートリッジ10及び転写ベルトユニット12の双方を自在に脱着可能とし、メンテナンス性を向上させている。すなわち、プロセスカートリッジ10は感光体ドラム18の軸線に対し、垂直な方向に複写機本体2aからの脱着される。
(プロセスカートリッジに適用したUV接着剤によるシール)
次に、プロセスカートリッジ10に適用されたUV接着剤によるシールに関して図2乃至図15を参照して説明する。図2は、プロセスカートリッジ10の斜視図であり、図3は、プロセスカートリッジ10の正面図である。図2及び図3では、現像ローラ203、現像ブレード207、現像ブレード207をカートリッジ容器210([図4]参照)に固定するブレード固定台208、薄層化用ギャップ211等を見れるように、所定の部材が取外された状態が示される。例えば、感光体ドラム18、シャッター、カバーリングが取外された状態が示されている。
図2及び図3に示されるように、現像ブレード207は、ネジ205、ネジ206及びウェブワッシャ付き段ビス209でブレード固定台208に固定される。プロセスカートリッジ10には、現像剤を搬送する現像剤搬送スクリュー201が設けられる。さらに、プロセスカートリッジ10の内部には、隔壁材200が装着されている。隔壁材200は、使用時に内部に装着されたままの『金属部材』である現像剤通過枠202及び『シール部材』である封止シール部材204を備える。封止シール部材204における外部に飛び出た部分は、使用時にユーザが封止シール部材204を引き出すために引っ張る引き抜き部204cとなっている。
(シール部材のUV接着)
図4は、本発明の第1実施形態に係るシール構造を示し、図3のB−B線に沿う断面図である。図4に示されるように、プロセスカートリッジ10は、『ハウジング(収容容器)』である『現像ハウジング容器』としてのカートリッジ容器210を備える。カートリッジ容器210は、容器本体210a及び容器蓋体210bとを備え、『シール材』であるホットメルトシールなどによって、当接合致するように合わせられ重ねられてカートリッジ容器210の全体のケーシングを形成している。カートリッジ容器210は、黒色又は暗色系で形成される。
カートリッジ容器210の内部には、カートリッジ容器210に装着された軸受け(不図示)に軸支されて回転する現像剤搬送スクリュー201、現像剤供給スクリュー213が配備されている。また、カートリッジ容器210の内部には、カートリッジ容器210に装着された軸受け(不図示)に軸支されて回転可能で、磁極配列を施した現像ローラ203が配備されている。即ち、カートリッジ容器210は、現像ローラ203を収納する収納容器である。さらに、カートリッジ容器210の内部には、カートリッジ容器210に装着された軸受け(不図示)に軸支されて回転する感光体ドラム18が配備されている。複写機本体2aの内部の駆動部からの駆動伝達力を受けて、現像剤搬送スクリュー201、現像剤供給スクリュー213、現像ローラ203、及び、感光体ドラム18はそれぞれに接続されたギヤトレインのギヤ比に応じて回転する。現像ローラ203に送り込まれた現像剤は、現像ブレード207を通過して感光体ドラム18の表面に送られる。
この現像ローラ203及び現像剤供給スクリュー213の間には隔壁材200が配備され、カートリッジ容器210の内部を仕切って隔て、二分している。現像剤搬送スクリュー201及び現像剤供給スクリュー213が配備されて現像剤の搬送方向の上流側に区画される現像剤貯蔵部200pには、予め現像剤とデベロッパーを一定の比率で混ぜたスタータ剤といわれる現像剤が充填されている。複写機本体2aの内部の駆動部からの駆動力が伝達されると、現像剤搬送スクリュー201は回転し、現像剤は搬送及び攪拌されることになる。
隔壁材200は、工場でスタータ剤が充填されてから、装置にセットして使用状態になるまでの間、隔壁によって現像ローラ203や、感光体ドラム18側に現像剤が漏れ出すことを防止する働きがある。更に、物流で様々な振動や衝撃、熱も加わり、その悪環境の中で、従来はウレタンフォームの反発弾性力のみでシール性の維持を行う必要があるため、品質維持に不安要素があったが、これをUV接着剤によって解消しようとするものである。
図5(a)は、隔壁材200の構成を示す正面図である。図5(a)に示されるように、隔壁材200は、現像剤を通過させる枠である現像剤通過枠202、及び、現像剤をシール状態で封止する封止シール部材204を備える。『金属部材』である現像剤通過枠202の略中央には『開口部』である開口202aが形成される。現像剤は、開口202aを通過することで、現像剤貯蔵部200pから現像ローラ203に向けて移動する。現像剤通過枠202は例えばステンレスといった金属で成形されれば良い。現像剤通過枠202は、非磁性のステンレスの板をプレス加工することで形成されれば良い。現像剤通過枠202の裏面には封止シール部材204が超音波溶接や熱シール等の簡易的密閉手段により接着される。こうして開口202aは封止される。封止シール部材204は例えばフィルムで成形される。図5(a)では、図の上半分に現像剤通過枠202が記載され、図5(a)の上端から下端にかけて封止シール部材204が記載される。封止シール部材204の大きさは、現像剤通過枠202の大きさの2倍以上の大きさに設定される。このときに、現像剤通過枠202の開口202aは封止シール部材204で完全に覆われる。
図5(b)は、隔壁材200の構成を示す側面図である。図5(b)に示されるように、現像剤通過枠202の裏面には封止シール部材204が接着され、現像剤通過枠202の表面には補助シール229及び補助シール230が設けられる。封止シール部材204は、折り曲げ部204aにて折り曲げられ、封止シール部材204を引っ張るための引き抜き部204cの近傍位置Qが補助シール229に接触する位置まで矢印Rで示す方向に折り返される。つまり、封止シール部材204を折り曲げ部204aで折り曲げた場合に、封止シール部材204のうちで余る部分が引き抜き部204cとなる。
封止シール部材204のシール引き抜き部204cはカートリッジ容器210の外側に出され、ユーザがシール引き抜き部204cを引き抜き可能となっている。隔壁材200がカートリッジ容器210の内部に配置される場合には、補助シール229及び補助シール230にてカートリッジ容器210の長手方向の両端はシールされる。
このような構成の隔壁材200が図4に示されるようにカートリッジ容器210に取り付けられると、隔壁材200一側部200aは、カートリッジ容器210の溝300aに塗布される熱可塑性ポリアミド系樹脂でホットメルトによってシールされる。隔壁材200の他側部200bは、カートリッジ容器210の溝300bに塗布されるUV接着剤223が紫外線硬化されることによってシールされる。こうして、隔壁材200が現像剤供給スクリュー213及び現像ローラ203の間に固定されることで、隔壁材200は現像剤供給スクリュー213及び現像ローラ203の間を仕切って遮断する。なお、隔壁材200の現像剤通過枠202がカートリッジ容器210にUV接着剤223で接着される。前述の封止シール部材204は、この現像剤通過枠202の開口202aを封止することとなる。
また、隔壁材200は、プロセスカートリッジ10の使用前には、折り曲げ部204aにて折り曲げられ、図2に示されるように、引き抜き部204cがカートリッジ容器210の外側に出るようにして引き抜き可能に収納される。
そして、プロセスカートリッジ10の使用直前には、図2に示される封止シール部材204の引き抜き部204cをユーザが引っ張り、封止シール部材204が引き抜かれる。そうすると、現像剤通過枠202の開口202aが現像剤供給スクリュー213及び現像ローラ203の間で連通し、現像剤は開口202aを通過して移動できるようになる。
図4に示されるように、カートリッジ容器210の内部には、現像剤搬送スクリュー201の側から順に、現像剤供給スクリュー213、現像ローラ203、感光体ドラム18が配置される。カートリッジ容器210の内部で現像剤通過枠202で隔てられた2つの区画のうち、現像剤搬送スクリュー201の側の区画を現像剤貯蔵部200pと呼ぶ。もう一方の現像ローラ203の側の区画を空間部200qと呼ぶ。プロセスカートリッジ10が複写機本体2aの外部である場合には、現像剤は現像剤貯蔵部200pの内部にのみ確保される。プロセスカートリッジ10が複写機本体2aの内部に組み込む場合には、その組み込み前に、ユーザは、シール引き抜き部204cを引っ張る。封止シール部材204は、図5(A)に示す現像剤通過枠202の上端側から順に剥離され、封止シール部材204を外部へと引き出される。こうして現像剤通過枠202の開口202aは開放される。現像剤は、現像剤搬送スクリュー201、現像剤供給スクリュー213、現像ローラ203、感光体ドラム18へと流動可能となり、画像形成可能に準備は完了する。
隔壁材200の他側部200bをカートリッジ容器210の溝300bに接着するにあたって、UV接着剤223が用いられる理由には以下のものがある。一般的に、カートリッジ容器210は樹脂で成形され、現像剤通過枠202は金属で成形される。この場合には、カートリッジ容器210の線膨張係数は、現像剤通過枠202の線膨張係数よりも大きく設定されることになる。複写機本体2aの内部には、熱を発生する定着装置45や電装品が取り付けられ、複写機2が稼動すると複写機本体2aの内部は昇温していく。このときに、プロセスカートリッジ10は、周囲からの昇温及び自らの昇温によって、膨張又は収縮して曲がりやソリが引き起こされるはずである。しかし、UV接着剤223によって隔壁材200の他側部200bがカートリッジ容器210の溝300bに接着されると、隔壁材200及びカートリッジ容器210が熱膨張又は熱収縮した場合に、UV接着剤223が弾性的に膨張又は収縮する。UV接着剤223は、隔壁材200(現像剤通過枠202及び封止シール部材204)並びにカートリッジ容器210の熱膨張差に基づく熱応力を吸収する。これにより、隔壁材200(現像剤通過枠202及び封止シール部材204)及びカートリッジ容器210の曲がりやソリは抑制される。
また、図4の現像剤通過枠202の第1面には、開口202aを覆う封止シール部材204が取り付けられ、現像剤通過枠202の第2面の他側部200bの側には、カートリッジ容器210に現像剤通過枠202を接着するUV接着剤223が塗布されても良い。ここでいう『第1面』は、現像ローラ203側の面を指し、『第2面』は、現像剤供給スクリュー213側の面を指す。こうする場合には、封止シール部材204は溝300bにUV接着剤223で接着されないことから、ユーザは封止シール部材204を取り外し易い。また、取り外し後に封止シール部材204がカートリッジ容器210に残存し難いこととなる。
(ブレード板固定台のUV接着)
また、図4に示されるように、カートリッジ容器210の内部には、前述のように現像ローラ203が回転自在に配置されるが、現像ローラ203は、内部の任意の位置にマグネットを有し、現像剤を磁力で引き付ける。現像ローラ203は複写機本体2aの内部の駆動源(不図示)から駆動力を得て回転する。この現像ローラ203の曲面に対向して現像ブレード207が配置される。現像ブレード207は所定の接圧で現像ローラ203に接触する。現像ブレード207及び現像ローラ203の間には僅かな隙間として薄層化用ギャップ211(『スリーブ・ブレード・ギャップ』ともいう)が設けられる。現像ブレード207(『デベロッパーブレード』ともいう)は、現像ローラ203の磁力による現像剤の量を一定量になるように規制するブレードである。こうした現像ローラ203、現像ブレード207及び薄層化用ギャップ211により、感光体ドラム18に対して一定の量の現像剤の供給が達成され、顕像が形成されるようになる。この薄層化用ギャップ211は、数十ミクロンの高精度の隙間であり、一般的にプロセスカートリッジ10を組み立てる際に微調整され、適切な位置で固定される。
現像ブレード207の固定にあたって、まず、カートリッジ容器210にブレード固定台208がUV接着剤222及びUV接着剤221で接着され、このブレード固定台208に現像ブレード207がネジ206(図2及び図3参照)で調整されながら固定される。ブレード固定台208の一側部208a及び他側部208bがカートリッジ容器210に接着されるにあたって、UV接着剤222及びUV接着剤221が用いられる理由には以下のものがある。一般的に、カートリッジ容器210は樹脂で成形され、ブレード固定台208及び現像ブレード207は金属で成形される。ブレード固定台208及び現像ブレード207には非磁性が要求されることから、ステンレスで成形されれば良い。この場合には、カートリッジ容器210の線膨張係数は、ブレード固定台208や現像ブレード207の線膨張係数よりも大きく設定されることになる。複写機本体2aの内部には、熱を発生する定着装置45や電装品が取り付けられ、複写機2が稼動すると複写機本体2aの内部は昇温していく。
従来では、プロセスカートリッジ10は、周囲からの昇温及び自らの昇温によって、膨張又は収縮して曲がりやソリが引き起こされていた。ブレード固定台208の両端部がカートリッジ容器210に完全にビス止めされることで、ブレード固定台208では曲がりやソリが生じた。また、ブレード固定台208及びカートリッジ容器210の間の隙間から現像剤の漏れを防止するためにウレタンフォームを挟んでブレード固定台208の両端部がビス止めされる。こうすることで、ウレタンフォームの反発力がブレード固定台208及び現像ブレード207に加わり、ブレード固定台208では曲がりやソリを生じた。現像ブレード207の反りによって、現像ローラ203と僅かに真直性がズレ、薄層化用ギャップ211が変形して狂いを生じてしまう。これにより、現像剤の量に悪影響が生じ、画像品質の低下が生じるといったデメリットがあった。
しかし、本実施形態では、UV接着剤222及びUV接着剤221によってブレード固定台208がカートリッジ容器210に接着される。こうすると、ブレード固定台208及びカートリッジ容器210が熱膨張又は熱収縮した場合に、UV接着剤222及びUV接着剤221が弾性的に膨張又は収縮する。UV接着剤は、ブレード固定台208及びカートリッジ容器210の熱膨張差に基づく熱応力を吸収する。これにより、ブレード固定台208及びカートリッジ容器210の曲がりやソリは抑制される。なお、図4中では、符号220はドラムシャッタ、符号214はDSギャップ、216はクリーニングブレード、217はクリーニングスクリュー、218は一次帯電ローラ、209はウェブワッシャ付き段ビスである。
(現像ブレード板のネジ固定)
図6は、図3のA−A線に沿う断面図である。図6に示されるように、カートリッジ容器210に対するブレード固定台208の固定にあたって、ブレード固定台208の一端部側では位置決め孔(不図示)及びネジ205(図2及び図3参照)により位置決め固定される。また、ブレード固定台208の他端部側ではブレード固定台208に長孔(不図示)及びウェブワッシャ付き段ビス209が用いられる。長孔の長手方向の長さは、寸法公差だけでなく、線膨張係数の差分も加味して大きめに設定される。
通常、プロセスカートリッジ10は、常温(使用環境温度)から55℃程度まで温度上昇することが知られている。そうした温度上昇の間に、現像ブレード207及びブレード固定台208の熱膨張の差は、ブレード固定台208の長孔とウェブワッシャ付き段ビス209の段付き部の間の嵌め合い寸法の中間バメ状態(f8−H8程度)を維持しながら延伸及び収縮を繰り返す。こうすることで、異なる材質の間に生じる反りを防止することができる。
また、ブレード固定台208には、現像ブレード207が薄層化用ギャップ211を保持するように調整して複数のネジ206によって固定されている。より安定した画像を維持するために、ウエブワッシャ付き段ビス209の付勢力によってカートリッジ容器210に密着するように成されているので、現像ブレード207がガタ付く事がなくなり、現像剤は安定して搬送及び供給されるようになる。
このようにカートリッジ容器210にはブレード固定台208(図2、図3及び図6参照)の両端部がネジ、ウエブワッシャ付き段ビス209で保持固定される。更にステンレス製の現像ブレード207がビス止めされ、現像ローラ203及び現像ブレード207の間には、現像剤の搬送量を規制するための薄層化用ギャップ211が設けられ、高精度に調整されて組み立てられている。現像ローラ203上の現像剤は感光体ドラム18の周面に像露光によって形成された静電気による潜像は、薄層化用ギャップ211間に回転して至り、現像ローラ203上の現像剤がジャンピングして顕像の現像剤画像となる。これらの現像剤の搬送の流れは均一であることが望ましく、現像剤搬送スクリュー201及び現像剤供給スクリュー213により攪拌された後に、現像剤通過枠202に至り、更に現像ローラ203に至る。
図7は、UV接着剤の商品番号TB3081Gに関して、せん断モードでの応力−歪(S−S)曲線を示すグラフである。計算及び実測による検証にあたって、UV接着硬化時の積算光量は30kJ/m2とし、引張り速度は50mm/minとした。材料の線膨張係数は、SUS304CSPは17.3×10−6/℃、PC+ASを28.9×10−6/℃とする。
例えば、ブレード固定台208はSUS304CSPであるところのステンレスで成形される。また、カートリッジ容器210はPC+AS雲母入り材料で成形される。この場合に、ブレード固定台208及びカートリッジ容器210の寸法差は、−40℃乃至+23℃の温度範囲であるところのΔ55degの範囲において、長手寸法L1=340mmでは、0.27mm乃至0.35mm(max)であった。また、使用される環境温度の最高温度55℃、プロセスカートリッジの長手方向L2=314.2mmでUV接着剤の厚みをTb=1.5mmとした場合の線膨張による長手方向の最大長さDは0.35mmであり、最大歪み量は323%である。
図7に示されるように、これに掛かる長手方向の応力は約10MPaであるので、この範囲で使用される最適値を求めることとなる。よって、Δ55degにおけるステンレスとPC+AS材を吸収するのに足りる必要な厚みTa=(L1/L2)×Tb=0.32mm
以上となる。
また、縦方向の歪量が横方向の撓み量になる荷重Wtを計算すると、δ=10MPaであるので、Wt=(Ta/L2)tan−1×δ=0.54(Mpa)となる。
つまり、約50gが反り方向に掛かる荷重である。本実施のプロセスカートリッジの場合、横方向の荷重1kgに対して0.2mmのクリーナブレード侵入量の許容値であるので、線膨張係数による横方向の歪み約50gが及ぼす影響は窮めて少ないということになる。また、感光ドラムと現像スリーブの相互の寸法精度や、Dブレードと現像スリーブとの関係は、両端部を支持し軸支している、感光ドラムと現像スリーブとに与える影響は無い。また、Dブレードに関しては、Dブレード台による補強と、Dブレードの2点保持により、受ける影響は少なかった。
SUS板と接着している封止板であること、ホットメルト接着剤の微少反力であること、等を勘案するとカートリッジ容器210の変形には影響ないものとなった。
プロセスカートリッジの画像に影響を与えない許容値である歪み量0.2mm(max)の規格に対して、係る荷重Wmaxが1kg(max)である。
これによって、高精度なプロセスカートリッジに用いられるUV接着剤の接着層の厚みの許容されるレンジTLは、δ=11.2Mpa(max)で、歪み323%、Tmax=0.35mmとなり、最少厚みTminはせん断強度λ=4.5Mpaに支配される。このため、
Tmin=(Tmax×δmin)/δmax=0.1575(mm)となる。
つまり、プロセスカートリッジに適用されるUV接着剤の商品番号TB3081Gを使用する場合、UV接着剤の厚みは約0.15mm乃至0.35mmの範囲で確実な接着強度を得られながら、プロセスカートリッジの必要な精度を保証することができる事となる。
同様の考え方で、他の弾性を有するUV接着剤を用いて、精度と接着強度を必要とする異種材料のUV接着に関する範囲にも利用可能である。
更に、この裏付けとして、UV接着剤使用での振動・落下試験など物流試験を行い、機械的精度だけでなく、実使用における画像確認等の結果からも影響が無く、むしろ振動吸収や補強になる等の好結果を得ることができ安全率が高まるという効果が得られた。つまり、接着であるが故に、振動や外部からのストレスに強くなり、剛性のアップを図ることができ、より一層の現像剤の漏れを確実に防止できる事となった。
(UV接着シールに用いた紫外線硬化性樹脂)
図8乃至図13を参照して、本発明の接着シールで適用した新開発の紫外線硬化性樹脂について以下に説明する。本発明に使用した(登録商標)スリーボンド社の品番TB3081Gは、高粘度の状態がいわゆる普通の状態で、これを攪拌したりするとその間だけサラサラ、トロトロ状態になるゲル状で高流動性の物性である。チクソ性付加剤によって変化の時間及び粘度の差は色々あるが、一般的には攪拌などを止めると「徐々に」というより「見る見る間に」粘度が上がる性質であるところのチクソ性を有している。UV光線が照射されると、硬化が始まり、概ね20秒以内にゴム状の弾性を有した状態に変化し、安定化する。
また、このUV接着剤は白色又は明色系で形成される。前述したように、カートリッジ容器210が黒色又は暗色系で形成されることから、UV接着剤がカートリッジ容器210の内部で使用されると、UV接着剤の塗布面及び非塗布面の明暗差が大きく設定されることになる。
また、200〜450nmの波長を有する紫外線照射により短時間で硬化し、柔軟で弾性のある可撓性硬化物を形成する。この特長を生かし、シール・緩衝・防塵などのゴム弾性を要する用途に使用することが可能である。
特長として、数秒〜数十秒の紫外線照射で硬化する。塗布時の垂れが少ない。硬化物が柔軟である。一液無溶剤タイプのため、溶剤揮散による作業環境の汚染がない。このように優れた特性を有している。
性状として詳しくは、外観は乳白色である。粘度は50p・s、構造粘度比は4.0である。但し粘度と構造粘度はBH型粘度計による、測定回転数の条件は粘度は、20rpm(0.333rps)及び、構造粘度比は2rpm/20rpm(0.033rps/0.333rps)。また、比重は1.15(25℃)となっている。
図8は、UV接着剤の粘度及びせん断速度の関係を示すグラフである。図8に示すように、UV接着剤の流動性に関しては、粘度及びせん断速度は反比例の相関関係の特性がある。
図9は、UV接着剤の粘度及び温度の関係を示すグラフである。図9に示されるように、UV接着剤の反発弾性に関しては、低温度では硬化して弾性力が低減する。複写機2を通常使用する範囲である10乃至50℃において、その変化が少ないことが示されている。
図10は、UV接着剤の一般特性を示す表である。図10に示される特性を効果的に実用化するために、熱を発生しない『発光照射装置』であるLED式紫外線装置が新たに開発された。前述したオムロン社のUV−LED照射器(形ZUV−C10シリーズ)を使用すると、紫外線量は、4000乃至12000W/m2あるので、硬化に必要とされる時間は7.5乃至2.5秒となる。このように極めて短時間で必要なUV接着剤を硬化させるエネルギーを付与できる。
図11は、UV接着剤の引張せん断接着強さに関する物性を示す表である。図11に示されるように、材料間の接着後の引っ張りせん断接着強さは、弱く、柔軟性に優れているので、試験材質に悪影響を及ぼす事が少ない。また、更には、温度変化による熱応力に対しても柔軟に対応することが示されている。
図12は、UV接着剤の粘弾特性に関する物性を示す表である。図12に示されるように、25℃においての貯蔵弾性率を見ると、紫外線硬化後も十分な弾性力であるところの柔軟性を示していることがわかる。
図13は、UV接着剤の線膨張率及びガラス転移温度を示す表である。図13に示されるように、線膨張係数が極めて小さい数値であり、このために、他の被接着材料に対して影響が少なく、接着部の紫外線硬化樹脂そのものが相手材料に対して変形を及ぼしにくい。
以上の図8乃至図13のグラフ及び表から、本発明で用いられる『紫外線硬化樹脂』であるUV接着剤は、塗布時点では極めて低粘度で塗布し易く、紫外線照射による硬化時間は短時間で済む。また、使用状態では温度変化に対して柔軟性を維持すると共に、線膨張においても他の被接着材料にストレスを与え難い。そういった優れた接着剤である。
(シール構造生成装置)
図14は、シール構造生成装置400の概略構成を示す概念高製図である。UV接着剤221、223がはみ出したり、波打つと、現像剤の流れにムラが生じ画像の濃度変化など画質に影響が出る。従って平滑均一なシール状態の形態を成すことが望ましい。
シール構造生成装置400は、『紫外線照射手段』である紫外線発光LED(新開発のUV−LED照射器)401(図15参照)、『自動制御可能な定量吐出手段』であるUV接着剤発射ノズル231とを備える(図14参照)。また、シール構造生成装置400は、『移動手段』であるロボットハンド402と、現像剤搬送スクリュー201及び現像剤供給スクリュー213等に回転力を付与する駆動手段403と、これらを制御する『自動制御手段』である制御部404とを備える。なお、新開発の紫外線硬化性樹脂を接着剤として用いた。
紫外線発光LED401は、波長が200nm乃至400nmの波長の紫外線を照射する。UV接着剤発射ノズル231は、UV接着剤の供給を受け、シールする目標のシール目標位置に向かってUV接着剤を塗布する。制御部404は、UV接着剤発射ノズル231からUV接着剤が発射された後に紫外線発光LEDでUV接着剤に向かって紫外線を照射するように制御する。
なお、波長が200nm乃至450nmの波長の紫外線を照射する理由は以下のものによる。従来では、単にLED方式ではない照射ランプを用いて紫外線を照射する方式が採られていたが、紫外線以外の可視光線又は赤外線も同時に照射されていた。特に赤外線が照射されると照射された部材の温度が上昇する。その上昇が部材間の熱応力の上昇となって現れ、部材の変形や撓みとなって生じていた。こうした部材の変形や撓みを抑制するために、波長が200nm乃至450nmの波長の紫外線を照射するのである。特に、360nmの波長に調整された紫外線が好適である。こうした波長が360nm近傍の紫外線が照射されると、被照射物には可視光線や赤外線において生じる熱の影響は及ばなくなる。従来のハロゲンランプの場合、光線を受ける部品は使用範囲を超える領域まで発熱し、この状態で接着剤が硬化してしまうと、結果的に残留内部応力を生じ、反り等の変形が生じてしまうのであった。
このLED照射装置を用いたUV接着剤による接着工程を説明する。プロセスカートリッジ組立の途中工程で、プロセスカートリッジ10は、保持位置決めジグ(不図示)に対して規定の位置に位置決めされる。まず、注射針のような吐出口が形成されたUV接着剤発射ノズル231を有するヘッドが、現像剤供給スクリュー213の隙間から挿入される。UV接着剤がロボットにより自動で塗布される。塗布では、現像剤供給スクリュー213に駆動力が付与され、回転によるスクリューに移動速度と、UV接着剤発射ノズル231とをシンクロさせながら移動させる。そして、UV接着剤発射ノズル231から一定量の流量で吐出されるUV接着剤223が溝300bに一定速度で移動しながら送り込まれる。こうすることでディスペンサーDとUV接着剤発射ノズル231とロボットハンド402によって好適に塗布される。こうした塗布工程によって、現像剤通過枠202の開口202aよりカートリッジ容器210の下部に均一かつ平滑になるようにUV接着部を形成させることができた。
その後に、図15に示されるように、紫外線発光LED401によってUV接着剤223に対して波長が200乃至450nmの紫外線を照射して、UV接着剤223を硬化させる。こうした工程を経て、現像剤の搬送状態を阻害することなく、画質が安定して維持される。
なお、近年まで、紫外線ランプは発熱するものが一般的であったが、オムロン社(登録商標)で開発され販売されている発熱しないものがある。例えば、商品番号名UV−LED照射器(形ZUV−C10シリーズ)である。本装置によれば、365nm波調発光のLEDを用い、ピーク照度は400mW/平方センチメートル乃至1200mW/平方センチメートルと高エネルギーをもっている。
なお、ブレード固定台208付近はカートリッジ容器210はプラスチック材料を用いていること、形状的にも端部でも有り、寸法は変動しやすくビス締結強度も弱い。そこで、ステンレスなど非磁性の金属製のブレード固定台208を用いて、強度と精度を高めながら現像ブレード207の調整組み立てのためのビスの繰り返し締め付け緩めの繰り返しが可能なようにネジタップが施してある。
これによって高精度の位置精度を要求される薄層化用ギャップ211の確保ができる。このように異なる材質同士のビス締結の場合、線膨張係数が異なるので、一般の接着剤のような完全固形化するものでシールを行うと、線膨張の差でシール部にクラックが入ったり、高精度要求部分の接合部分から円弧状の反りが発生して変形してしまう虞が有る。従って、本実施例では、弾力性の有るUV接着剤221、222、223を用いたことで、これらの問題の心配がなくなった。
なお、現像剤に関しては、プロセスカートリッジの内部に充填されている現像剤の粒径は5μm乃至7μmの粉体であり、空中に浮遊しやすく、手などに付着すると汚れて洗浄しても落ちにくい。また、画像形成装置の内部には画像読取装置、露光装置などの他、用紙搬送部や用紙など、画像形成に影響する汚れを嫌う箇所が装備されている。したがって、プロセスカートリッジや、現像剤補給装置、廃現像剤ボトル或いは、これらを連結しているジョイント部などから現像剤が漏れてはならない。また、近年、プロセスカートリッジにおいては、サービスマンだけでなく、一般の使用者が交換するようなものが増えている。従って、手だけではなく、衣類などにも飛散現像剤が付着しないように、現像剤漏れに関しては細心の注意が要求されている。
(第2実施形態)
図16は、本発明の第2実施形態に係るシール構造を示すプロセスカートリッジの分解平面図である。図17は、図16の一部拡大分解平面図である。
第1実施形態において前述したように、カートリッジ容器210には現像ブレード207及びブレード固定台208が装着されている。第2実施形態では、ブレード固定台208が長手方向に安価に伸縮に耐えられるようにブレード固定台シール226が貼り付けられてシールされている。
図16及び図17に示されるように、ブレード固定台シール226及びカートリッジ容器210の間のシールにあたって、ブレード固定台シール226の長手方向の端部にはUV接着剤251、252が設けられる。
なお、仮に、ブレード固定台シール226の両端部をシールする場合に、ブレード固定台シール226と同様な薄いシート状に両面テープを重ねたテープで貼り付けようとする。この場合には、コーナー部ではテープは貼着し難く、隙間を埋める際に貼り付け面積が不安定となり、貼り付け後の弾性力によって経時変化で徐々に凹んだコーナー部分が剥離する虞がある。
ところが、UV接着剤251、252がシールに用いられると、複雑な形状の部位、貼り付けが困難な部位、他の接着手段を施すことが困難な部位であっても、接着できる。UV接着剤251、252は、長手方向の線膨張等の歪みにも弾性変形率が高いので、シールが破損することや、シールが剥がれることはなく、しっかりとシール状態を維持することが可能となった。
細部に渡ってUV接着剤251、252を自動機で充填塗布してシールできることから、シール性の向上、信頼性のアップ、手作業の省略、自動化によるコストの低減等の効果が得られる。
なお、従来より、現像剤通過枠202に貼り付けられている封止シール部材204は図5の如く開口202aの長手淵の部分に貼り付けられている。しかし、従来のウレタンフォームによるシールの場合では、ウレタンフォームの厚みに対して、封止シール板端部が付勢力により押し沈められ、周囲は反発弾性力によって膨らんでいた。
従って、ここに封止シール部材204が接近している場合、薄いプラスチックフィルムによって成されている封止シール部材204端部が引っ掛かって破れてしまい、完全に引き剥がし、除去できなくなる心配も有る。ウレタンフォームのシールと封止シールの端部との距離を広く取れば解決できるが、その際に、開口部の高さが変化し、現像剤の流れが阻害され、対流したり、攪拌が不十分隣、画像の濃度が薄くなってしまうという懸念もある。
然るに、できる限り開口202aは大きく開けながら現像剤通過枠202の確実な保持を確立し、更に、UV接着シール方式において上記問題点を解決する必要性が生じていた。
更に、従来の例えばウレタンフォームなどのシールの場合、落下などで現像剤の重さに負けてカートリッジ容器が衝撃により変形膨らみを生じた際に引き起こされる隔壁材200とカートリッジ容器210の間でギャップができて現像剤が漏れることがなくなる。すなわち、弾力性や伸び変形に対する許容値の大きいUV接着剤であるので隙間ができることなく、現像剤の漏れを防止できる、封止性能を高める効果が得られた。
また、位置決め精度の保証ができ、封止シール部材204を引き抜く場合にも、ぐらつきやガタが生じないため、安定した引き抜き力を得ることができ、剛性マージンのアップになるという効果が得られた。
(剥離容易性)
更に、UV接着剤は硬化状態でゴム状なので貼り付け長手方向に引き伸ばすと剥がれやすいという特性を利用できる。リサイクルなど材料別の分別や分解性が向上し、リユースが出来るという従来にないUV接着技術を用いた優れたプロセスカートリッジ10を低コストで提供できる事と成った効果が得られた。
本発明は、コンピュータ等の情報出力装置、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置などの装置における用紙搬送ガイド部材や給紙ロ−ラ駆動や搬送ロ−ラ駆動や両面搬送駆動や、現像駆動・ドラム・中間転写体の高精度を要求される構造部品にも応用できる。また、ユニット等を始めとする機構のシール、或いは防震対策、ガタ取り、熱線膨張箇所の組み付け部品の締結部分にも応用可能である。
なお、従来は、UV接着剤はスリーボンド社(商標)[インターネット]http://www.threebond.co.jpの商品に紫外線硬化性樹脂の軟質タイプ(TB−3081F)がある。インターネットウエブサイト情報によれば、商品番号名TB−3081Fは、アクリル酸エステルを主成分とした無溶剤タイプの紫外線硬化性樹脂である。紫外線を照射することにより数秒〜数十秒で重合硬化し、耐熱性・耐薬品性を有したゴム状の軟質硬化物を形成する。柔軟性を必要とする各種ポッティング、表面コートや弾性シール剤の用途に適している。
特徴として、数秒〜数十秒の紫外線(波長:200〜400nm)照射で硬化する。また、硬化後は、広い温度範囲(−29〜120℃)にわたってゴム状弾性体を保つ。また、塗布後、硬化するまでの形状保持性に優れているというもので有る。
用途として、電気、電子部品等電装部材のポッティング、柔軟性を必要とする表面コート剤、耐熱性・耐薬品性を必要とする弾性シール剤等の利用がなされている。
本発明の第1実施形態のプロセスカートリッジ10によれば、隔壁材200及びカートリッジ容器210の間は、紫外線照射によって硬化するゴム状の樹脂である接着剤223でシールされる。この接着剤223は、隔壁材200及びカートリッジ容器210の熱膨張率の差に基づく熱応力を吸収する。その結果、隔壁材200及びカートリッジ容器210の変形は抑制される。そして、プロセスカートリッジ10の寸法保証は従来よりも向上し、複写機2に組み込まれた場合に、画質は従来よりも向上する。第2実施形態でも同様に、カートリッジ容器210及びブレード固定台シール226による熱応力が吸収されるといった効果が得られる。
発泡ウレタンフォームに両面テープを貼り付けたシール方式では、自動機で貼り付けるのは困難である。これに対してUV接着剤を硬化する方式では、自動機で貼り付けるのは容易である。その結果、ウレタンフォーム等の貼り物によるシールを無くすことができる。また、UV接着によって、カートリッジ容器210及び内部部品とがUV接着剤でストレス無く均等な接着強度で接着する。この作用によって全体の強度が高まり、CRGの高精度要求寸法が安定してくるため、曲げやソリが少なくできる。
こうした構成により、複写機2に用いられるプロセスカートリッジ10には、内部部品に変形や撓みに至る力の影響がなく、気密性が高く現像剤が漏れない自由な形にシールが可能である。また、接着に掛かる作業時間は短縮化され、成形後は線膨張係数が異なる材料間でもその差が吸収され、さらに、強度がアップし、変形が防止される。プロセスカートリッジ10のリサイクル又はリユースの場合には、容易に材料が取外される分解容易性をも達成できる低コストなシール材料が提供できる。
カートリッジ容器210にV字状の溝300aが形成されることから、UV接着剤223はハウジングのV字状の溝300aに沿って確実に塗布される。V字状の溝300aは面取りされても良い。また、UV接着剤223が確実に接着予定位置に塗布されることから、狭いスペースでも容易に接着が可能になる。なお、図4に示されるように、カートリッジ容器210の接着部は面取り上の斜面に形成されていて、ここにUV接着剤223が注入されて充填塗布される。この場合に、斜面をV字形状にしたことにより、接着面の上面であるところの現像剤が通過する面を平らにできたことに加えて、断面積を増やしたことで、線膨張係数における歪の差によるストレスを吸収できるようにした。更に、接着面積が広がったことから、接着強度に余裕ができる他、振動吸収防止や長手方向における強度アップも同時に達成することができる。
UV接着剤223が開口202aよりも内側にはみ出して塗布されると開口202aの大きさが狭くなり、現像剤が現像剤通過枠202を通過する現像剤通過量が減少する。こうした現像剤の通過量の減少を抑制することができる。
UV接着剤221〜223は半透明の乳白色又は黄白色であり、光が透過する。これに対して、感光体ドラム18等の光学系のフレア光や、乱反射によって感光体ドラム18やその潜像に影響が及ばないようにするために、カートリッジ容器210は、光の反射を抑制するような黒色に着色される。このような場合には、UV接着剤221〜223が塗布される個所は奥まった場所であり、また、光ファイバー等の紫外線発光LEDランプを用いたランプの場合、多量の紫外線を照射することが困難であった。紫外線硬化に必要なエネルギーは、光量と照射時間でエネルギーが定義付けられるので、自ずと光量不足の場合は照射時間を長くする必要性が生じる。しかしながらプロセスカートリッジ10の生産において、組立にかかる時間は費用コスト及び生産量等の面から限られていて、紫外線照射時間を掛ける事は無駄になる。本実施形態では、現像剤通過枠202のステンレス金属表面に光沢が付与されることから、この金属表面に副次的に照射される紫外線が効率的に利用される、その結果、反射された紫外線の光量エネルギー分だけUV接着剤221〜223は早く硬化することができる。
従来では、接着剤には、汚れ等の観点から黒色のウレタンフォームや、黒色又は透明のホットメルト材料が用いられていた。これに対して、本発明では、乳白色又は黄白色となるため、黒色のカートリッジ容器210との明度差が大きく取られる。また、従来では、ホットメルトシール224を塗布した後には、目視で検査が行われていた。これに対して、本発明では、明度差を設けることができたので、センサや、カメラなどによって塗布充填状態を撮像し、コンピュータの画像処理によって接着状態の良否が判別されるようになった。つまり、画像処理の色認識による明度差部分である確認箇所であるエッジのゲインの差が鮮明になるので、読み取りや処理の過程で誤認識や誤判断が無くなり、状態を正しく検査できるようになる。したがって、自動検査装置を自動組立ラインの中に組込み、無人で確実なロボットで検査を行える。生産における、歩留まりの低下、直行率の向上、人件費の削減、信頼性の工場をも図る事ができ、かかるコストだけでなくユーザに対しても漏れない安全かつ確実なシールを施したプロセスカートリッジ10が提供できる。
本発明の現像手段は、上記問題点に鑑み、『ハウジング』であるカートリッジ容器210と、カートリッジ容器210内に収納された引き剥がしシールであるところの封止シール部材204を貼り付け保持している現像剤通過枠202とを有する。現像剤通過枠202の封止シール部材204貼付面の表面に対して、裏面にUV接着面であるところのUV接着剤223を配置するように成した。これにより、複写機2の使用時に使用者が行う行為であるところの、封止シール部材204の引き剥がし作業の際に、相反する表裏面に封止シール面と、UV接着面を配置した。この構成によって、従来に生じる懸念のあった、夫々の部品のばらつきや組立時のばらつきによって干渉することによる封止シール部材204の引き剥がしの際に引っ掛かって破断する等の不安要素に対する対応ができることとなった。
なお、シール構造は、第1及び第2実施形態のようなプロセスカートリッジ10の交換に基づいて現像剤を補充する形態に限定されなくても良い。現像ローラ203及び現像剤貯蔵部200pが複写機本体2aの内部に組み込まれている場合であって、現像剤補充ボトルに現像剤のみを補充する形態によるものに対して適用することもできる。この場合には、複写機本体2aが『ハウジング』ということになる。
なお、UV接着剤で接着する個所としては、他には、現像剤搬送スクリュー201や一次帯電ローラ218において、容器蓋体210b及び容器本体210aの間等もある。こうしたカートリッジ容器210を構成する部材間をUV接着剤で接着することもできる。
なお、以下に、従来のシールに関する課題を追加説明する。発泡体の場合、シール手段として、もっと一般的に多用されているものは、発泡ウレタンスポンジフォームを両面テープによって貼り付けたものである。発泡ウレタンスポンジはスポンジの発泡の度合いによって、反発力や復元力、通気性などの特性が異なる。
つまり、発泡のセルの密度や大きさの変化によって、単泡(独立気泡)と連泡(連続気泡)とに分けられ、一般的にはその比率によって(半独立半連続気泡)決まる。シール性を向上させるためには高反発弾性力であって、トナーがウレタンフォームの中を通過しない独立気泡が良い。しかし、プロセスカートリッジにように、内部に細長い部品や、薄くて細長い樹脂成型部などの場合、その相互の部品の間に反発弾性力が高いものをシールとして用いると相互に中央が膨らみ変形する。プロセスカートリッジはドクターブレード、クリーニングブレードなどは、装着後も安定した高精度の真直性が求められる。従ってこの変形を最小限度にするために低弾性反発力のものが求められるが、半独立半連続気泡を選択する事となり、その影響でトナーシール性が低下する問題点があった。
また、小さなスペースの場合で低圧かつ、摺擦稼動面のシールなどは、フェルトなどの不織布を隙間に入れたものが使用されている。フェルトは繊維が重なり合ったものであり、繊維と繊維の間には空間があり、ここにトナーが侵入していき、やがてはフェルト全体がトナーの色になり、不織布を通過したトナーは、外部に徐々に飛散していくという問題点があった。さらに強い圧力を掛けるとトナーで目詰まりし、接触圧が高くなって磨耗に拠ってシール性が低下いくという問題点もある。
一方、ホットメルトによりシールする方法が近年提供されている。熱可塑性ポリアミド系樹脂を使用した、低圧化成品であり、従来のプラスチック成型品に比べると、極めて低圧力で成形をおこなうため、デリケートな電子部品のインサート成形も行う事ができる。また、ポリアミド樹脂は接着剤としての性能も兼ね備えているため、母材によっては成形後の機密密閉機能をも併せ持つことができる。成形圧力が非常に低いために金型にアルミニウム材質を利用する事も可能である。
従って、成形品は振動、耐薬品性、広範囲の温度使用範囲、成形時間は数十秒(20〜120秒)で硬化し、加熱養生の必要もない。これらの利点を生かし、二色成形などによってプロセスカートリッジのケーシングの内側に成形し、これを開いてのケーシング部材と付き合わせる事でその柔軟性と反発力によりシールとし、機密性を保持するものである。しかしながら、ゴム状の反発力は、ケーシングに対する反力となり、ケーシングに対してストレスを掛ける事になり、そのケーシングの精度を補うためにケーシングの強度を強くする必要があり、無駄な補強を行う事が必要であった。また、金型に掛かる費用や成形時間はそのままコストアップとなるほか、成形できる形状になるように設計上の配慮が必要で有り、自由度が狭められるというような問題点が有った。
従来は、容器の内側にモルトプレンを貼り付け、そこに封止板を当接させ弾性力で封止板と容器とのシールしている周囲両端部からのトナーの漏れを防止するようにしていた。
しかしながら、落下衝撃など強い力が加わると、瞬間的に衝撃による隙間が生じて現像剤が漏れる心配があった。また、リサイクルなどの材料分別における分解作業においては、引張力に弱いウレタンフォームは両面テープの接着力に負けて、上手く剥がせないので分別分解作業が困難であった。