JP2010038940A - 表示体及びラベル付き物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】より高い偽造防止効果を達成可能とする。
【解決手段】本発明の表示体10は、二次元的に配列した複数の画素PXを備え、前記複数の画素PXの2つ以上は、500nm以下の中心間距離で配列した複数の凹部又は凸部からなり、第1方向から白色光で照明した場合に回折光を第2方向に射出する構造DS1を含み、前記2つ以上の画素PXは、前記第1方向から前記回折光と波長が等しい単色光で照明して前記第2方向から観察した場合に階調画像を表示し、前記階調画像を表示する前記2つ以上の画素PXは、前記第1方向から前記単色光で照明した場合に、それらの一部の画素と他の一部の画素とが前記第2方向に前記回折光を異なる強度で射出するように構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば偽造防止効果を提供する表示技術に関する。
一般に、商品券及び小切手などの有価証券類、クレジットカード、キャッシュカード及びIDカードなどのカード類、並びにパスポート及び免許証などの証明書類には、それらの偽造を防止するために、通常の印刷物とは異なる視覚効果を有する表示体が貼り付けられている。また、近年、これら以外の物品についても、偽造品の流通が社会問題化している。そのため、そのような物品に対しても、同様の偽造防止技術を適用する機会が増えてきている。
通常の印刷物とは異なる視覚効果を有している表示体としては、複数の溝を並べてなる回折格子を含んだ表示体が知られている。この表示体には、例えば、観察条件に応じて変化する像を表示させることや、立体像を表示させることができる。また、回折格子が表現する虹色に輝く分光色は、通常の印刷技術では表現することができない。そのため、回折格子を含んだ表示体は、偽造防止対策が必要な物品に広く用いられている。
この表示体では、複数の溝を形成してなるレリーフ型の回折格子を使用することが一般的である。レリーフ型回折格子は、通常、フォトリソグラフィを利用して製造した原版から複製することにより得られる。例えば、特許文献1及び2には、回折格子を形成するために、一方の主面に感光性レジストを塗布した平板状の基板をXYステージ上に載置し、コンピュータ制御のもとでステージを移動させながら感光性レジストに電子ビームを照射することにより、感光性レジストをパターン露光することが記載されている。また、非特許文献1には、二光束干渉を利用して回折格子を形成することが記載されている。
レリーフ型回折格子の製造では、通常、このようにして得られた原版を用い、電鋳等の方法により金属製のスタンパを作製する。
次いで、この金属製スタンパを母型として用いて、レリーフ型の回折格子を複製する。即ち、まず、例えば、ポリカーボネート又はポリエステルからなる透明基材上に、熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を塗布する。次に、塗膜に金属製スタンパを密着させ、この状態で樹脂層に熱又は光を与える。樹脂が硬化した後、硬化した樹脂から金属製スタンパを剥離することにより、レリーフ型回折格子を得る。
一般に、このレリーフ型回折格子は透明である。従って、通常、レリーフ構造を設けた樹脂層上には、蒸着法を用いてアルミニウムなどの金属又は誘電体を単層又は多層に堆積させることにより反射層を形成する。
その後、このようにして得られた表示体を、例えば紙又はプラスチックフィルムからなる基材上に接着層又は粘着層を介して貼り付ける。以上のようにして、偽造防止対策を施した印刷物を得る。
先の説明から明らかなように、レリーフ型回折格子を含んだ表示体の製造に使用する原版は、それ自体の製造が困難である。また、金属製スタンパから樹脂層へのレリーフ構造の転写は、高い精度で行わなければならない。即ち、レリーフ型回折格子を含んだ表示体の製造には高い技術が要求される。
しかしながら、偽造防止対策が必要な物品の多くでレリーフ型回折格子を含んだ表示体が用いられるようになった結果、この技術が広く認知され、これに伴い、偽造品の発生も増加する傾向にある。そのため、回折光によって虹色の光を呈することのみを特徴とした表示体を用いて十分な偽造防止効果を達成することが難しくなってきている。
特開平2−72320号公報 米国特許第5058992号明細書 辻内順平著、「ホログラフィー」、丸善株式会社
本発明の目的は、より高い偽造防止効果を達成可能とすることにある。
本発明の第1側面によると、二次元的に配列した複数の画素を備えた表示体であって、前記複数の画素の2つ以上は、500nm以下の第1中心間距離で配列した複数の凹部又は凸部からなり、第1方向から白色光で照明した場合に第1回折光を第2方向に射出する第1構造を含み、前記2つ以上の画素は、前記第1方向から前記第1回折光と波長が等しい第1単色光で照明して前記第2方向から観察した場合に第1階調画像を表示し、前記第1階調画像を表示する前記2つ以上の画素は、前記第1方向から前記第1単色光で照明した場合に、それらの一部の画素と他の一部の画素とが前記第2方向に前記第1回折光を異なる強度で射出するように構成されていることを特徴とする表示体が提供される。
本発明の第2側面によると、第1側面に係る表示体と、これを支持した物品とを具備したことを特徴とするラベル付き物品が提供される。
本発明によると、より高い偽造防止効果を達成することが可能となる。
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係る表示体を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す表示体の一部を拡大して示す平面図である。図3は、図2に示す表示体のIII−III線に沿った断面図である。
なお、図1乃至図3において、X1方向及びY1方向は、表示体10の表示面に平行であり且つ互いに交差する方向である。また、Y1方向は、X1方向及びY1方向に対して垂直な方向である。ここでは、一例として、X1方向とY1方向とは、互いに直交しているとする。
この表示体10は、図3に示すように、光透過層11と反射層13との積層体を含んでいる。ここでは、光透過層11側を前面側とし、反射層13側を背面側としている。
光透過層11と反射層13との界面には、レリーフ構造、即ち、凸構造及び/又は凹構造が設けられている。このレリーフ構造は、後で説明する構造DS1乃至DS3を構成している。なお、図2及び図3において、参照符号BAは、光透過層11と反射層13との界面のうち構造DS1乃至DS3が設けられていない領域を表している。
光透過層11の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を使用することができる。このような樹脂を使用すると、原版を用いた転写により、一方の主面に凸構造及び/又は凹構造が設けられた光透過層11を形成することができる。
光透過層11は、光透過性基材111と光透過性樹脂層112とを含んでいる。光透過性基材111と光透過性樹脂層112とは、積層体を形成している。光透過層11は、単層構造を有していてもよい。或いは、光透過層11は、3層以上の多層構造を有していてもよい。
光透過性基材111は、それ自体を単独で取り扱うことが可能なフィルム又はシートである。光透過性基材111の材料としては、例えば、ポリカーボネート及びポリエステルなどの光透過性を有する樹脂を使用することができる。
光透過性樹脂層112は、光透過性基材111上に形成された層である。光透過層11は、例えば、光透過性基材111上に熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を塗布し、この塗膜に原版を押し当てながら樹脂を硬化させることにより得られる。光透過性基材111は、省略することができる。
反射層13としては、例えば、アルミニウム、銀、金、及びそれらの合金などの金属材料からなる金属層を使用することができる。或いは、反射層13として、光透過層11とは屈折率が異なる誘電体層を使用してもよい。或いは、反射層13として、隣り合うもの同士の屈折率が異なる誘電体層の積層体、即ち、誘電体多層膜を使用してもよい。なお、誘電体多層膜が含む誘電体層のうち光透過層11と接触しているものの屈折率は、光透過層11の屈折率とは異なっていることが望ましい。反射層13は、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法などの気相堆積法により形成することができる。
光透過層11及び反射層13の一方は、省略することができる。但し、表示体10が光透過層11及び反射層13の双方を含んでいる場合、それらの一方のみを含んでいる場合と比較して、先の界面の損傷を生じ難く、表示体10に視認性がより優れた像を表示させることができる。
この表示体10は、接着層、粘着層及び樹脂層などの他の層を更に含むことができる。接着層又は粘着層は、例えば、反射層13を被覆するように設ける。表示体10が光透過層11及び反射層13の双方を含んでいる場合、通常、反射層13の表面の形状は、光透過層11と反射層13との界面の形状とほぼ等しい。接着層又は粘着層を設けると、反射層13の表面が露出するのを防止できるため、先の界面の凸構造及び/又は凹構造の偽造を目的とした複製を困難とすることができる。
光透過層11側を背面側とし、反射層13側を前面側とする場合、接着層又は粘着層は、光透過層11上に形成する。この場合、光透過層11と反射層13との界面に設けられたレリーフ構造ではなく、反射層13と外界との界面に設けられたレリーフ構造が構造DS1乃至DS3を構成する。
樹脂層は、光透過層11及び反射層13の積層体に対して前面側に設ける。例えば、光透過層11側を背面側とし、反射層13側を前面側とする場合、反射層13を樹脂層によって被覆すると、反射層13の損傷を抑制できるのに加え、その表面の凸構造及び/又は凹構造の偽造を目的とした複製を困難とすることができる。
この表示体10は、図2及び図3に示すように、複数の画素PXを含んでいる。画素PXは、2次元的に配列している。具体的には、画素PXは、図2に示すように、各々が四角形状を有しており、X1方向とY1方向とに配列している。
画素PXの各々は、小さな寸法を有しており、肉眼で互いから識別することが不可能であるか又は困難である。各画素PXの最大寸法は、例えば、3μm乃至300μmの範囲内にある。典型的には、画素PXは、各辺の長さが3μm乃至300μmの範囲内にある略四角形状を有している。
画素PXの各々は、第1乃至第3サブ画素を含んでいる。典型的には、各画素PXにおける第1乃至第3サブ画素の相対的な位置は、画素PX間で互いに等しい。第1乃至第3サブ画素は、面積が互いに等しくてもよく、異なっていてもよい。
第1サブ画素において、光透過層11と反射層13との界面は、構造DS1及び領域BAの少なくとも一方からなる。第2サブ画素において、光透過層11と反射層13との界面は、構造DS2及び領域BAの少なくとも一方からなる。第3サブ画素において、光透過層11と反射層13との界面は、構造DS3及び領域BAの少なくとも一方からなる。
構造DS1乃至DS3の各々は、短い中心間距離で配列した複数の凸部又は凹部からなる。構造DS1乃至DS3の各々は、回折格子の如く回折光を射出する機能を有している。そして、構造DS1乃至DS3の各々は、領域BAと比較して反射率が遥かに小さい。
構造DS1乃至DS3について、更に詳しく説明する。
図4は、図1乃至図3に示す表示体が含んでいる構造を概略的に示す斜視図である。なお、図4には、光透過層11側から見た構造DS1乃至DS3を描いている。また、図4において、X2及びY2方向は互いに直交し且つZ1方向に対して垂直な方向であり、Z2方向はZ1方向に対して平行な方向である。
構造DS1は、表示面に平行な方向、即ち、Z2方向に対して垂直な方向に隣り合っている。構造DS1は、X2方向とY2方向とに小さな中心間距離d1で配列した凸部PR1によって構成されている。構造DS2は、X2方向とY2方向とに小さな中心間距離d2で配列した凸部PR2によって構成されている。そして、構造DS3は、X2方向とY2方向とに小さな中心間距離d3で配列した凸部PR3によって構成されている。これら構造DS1乃至DS3は、それらを或る方向から白色光で照明した場合に、同一の方向に異なる波長の回折光を射出するように設計されている。
中心間距離d1は、500nm以下であり、典型的には450nm以下であり、一例によると400nm以下である。中心間距離d2は、中心間距離d1と比較してより短い。中心間距離d3は、中心間距離d2と比較してより短い。中心間距離d1乃至d3は、例えば200nm以上である。構造DS1、DS2及びDS3にそれぞれ赤、緑及び青色の回折光を射出させる場合、中心間距離d1は例えば370nm乃至390nmの範囲内とし、中心間距離d2は例えば320nm乃至340nmの範囲内とし、中心間距離d3は例えば280nm乃至300nmの範囲内とする。
凸部PR1のY2方向についての中心間距離は、凸部PR1のX2方向についての中心間距離d1と等しくてもよく、異なっていてもよい。Y2方向に対して垂直な方向から観察することを想定すると、後者の場合、凸部PR1のX2方向についての中心間距離d1が上記の範囲内にあれば、凸部PR1のY2方向についての中心間距離は、上記の範囲内になくてもよい。例えば、凸部PR1のY2方向についての中心間距離は、先の上限値と比較してより大きくてもよく、先の下限値と比較してより小さくてもよい。
凸部PR2のY2方向についての中心間距離は、凸部PR2のX2方向についての中心間距離d2と等しくてもよく、異なっていてもよい。Y2方向に対して垂直な方向から観察することを想定すると、後者の場合、凸部PR2のX2方向についての中心間距離d2が上記の範囲内にあれば、凸部PR2のY2方向についての中心間距離は、上記の範囲内になくてもよい。例えば、凸部PR2のY2方向についての中心間距離は、先の上限値と比較してより大きくてもよく、先の下限値と比較してより小さくてもよい。
凸部PR3のY2方向についての中心間距離は、凸部PR3のX2方向についての中心間距離d3と等しくてもよく、異なっていてもよい。Y2方向に対して垂直な方向から観察することを想定すると、後者の場合、凸部PR3のX2方向についての中心間距離d3が上記の範囲内にあれば、凸部PR3のY2方向についての中心間距離は、上記の範囲内になくてもよい。例えば、凸部PR3のY2方向についての中心間距離は、先の上限値と比較してより大きくてもよく、先の下限値と比較してより小さくてもよい。
凸部PR1は、斜めに交差する2方向に格子状に配列していてもよい。凸部PR2は、斜めに交差する2方向に格子状に配列していてもよい。そして、凸部PR3は、斜めに交差する2方向に格子状に配列していてもよい。また、この例では、凸部PR1乃至PR3を配置しているが、その代わりにテーパ形状の凹部を配置してもよい。
凸部PR1乃至PR3の各々は、テーパ形状、即ち先細り形状を有している。テーパ形状は、例えば、半紡錘形状、円錐及び角錐などの錐体形状、又は切頭円錐及び切頭角錐などの切頭錐体形状である。
凸部PR1乃至PR3をテーパ形状とすると、凸部PR1乃至PR3を柱状とした場合と比較して、構造DS1乃至DS3の反射率を小さくすることができる。この効果は、テーパ形状の凸部PR1乃至PR3の代わりにテーパ形状の凹部を設けた場合にも得ることができる。
凸部PR1乃至PR3の各々の側面は、傾斜面のみで構成されていてもよく、階段状であってもよい。テーパ形状は、構造DS1乃至DS3の光反射率を小さくするのに役立つ。加えて、テーパ形状は、原版からの光透過層11の取り外しを容易にし、生産性の向上に寄与する。それら凸部PR1乃至PR3の一部は、テーパ形状を有していなくてもよい。凸部PR1乃至PR3は、相似した形状を有していてもよく、相似した形状を有していなくてもよい。
構造DS1は、凸部PR1の配置に対応して溝(即ち、格子線)を格子状に配置してなる回折格子とほぼ同様に機能する。構造DS2は、凸部PR2の配置に対応して溝(又は、格子線)を格子状に配置してなる回折格子とほぼ同様に機能する。そして、構造DS3は、凸部PR3の配置に対応して溝(又は、格子線)を格子状に配置してなる回折格子とほぼ同様に機能する。但し、構造DS1乃至DS3が射出する視感度の高い回折光は、以下に説明するように、特殊な条件のもとでしか観察することができない。
上記の通り、構造DS1乃至DS3の各々は、回折格子として機能する。回折格子を照明すると、回折格子は、入射光である照明光の進行方向に対して特定の方向に強い回折光を射出する。
m次回折光(m=0、±1、±2、・・・)の射出角βは、回折格子の格子線に垂直な面内で光が進行する場合、下記等式から算出することができる。
d=mλ/(sinα−sinβ)
この等式において、dは回折格子の格子定数を表し、mは回折次数を表し、λは入射光及び回折光の波長を表している。また、αは、0次回折光、即ち、透過光又は正反射光の射出角を表している。換言すれば、αの絶対値は照明光の入射角と等しく、反射型回折格子の場合には、照明光の入射方向と正反射光の射出方向とは、回折格子が設けられた界面の法線に関して対称である。
なお、回折格子が反射型である場合、角度αは、0°以上であり且つ90°未満である。また、回折格子が設けられた界面に対して斜め方向から照明光を照射し、法線方向の角度、即ち0°を境界値とする2つの角度範囲を考えると、角度βは、回折光の射出方向と正反射光の射出方向とが同じ角度範囲内にあるときには正の値であり、回折光の射出方向と照明光の入射方向とが同じ角度範囲内にあるときには負の値である。以下、正反射光の射出方向を含む角度範囲を「正の角度範囲」と呼び、照明光の入射方向を含む角度範囲を「負の角度範囲」と呼ぶ。
法線方向から回折格子を観察する場合、表示に寄与する回折光は射出角βが0°の回折光のみである。従って、この場合、格子定数dが波長λと比較してより大きければ、上記等式を満足する波長λ及び入射角αが存在する。即ち、この場合、観察者は、上記等式を満足する波長λを有する回折光を観察することができる。
これに対し、格子定数dが波長λと比較してより小さい場合、上記等式を満足する入射角αは存在しない。従って、この場合、観察者は、回折光を観察することができない。
この説明から明らかなように、通常の回折格子とは異なり、構造DS1乃至DS3の各々は法線方向に回折光を射出しないか、又は、構造DS1乃至DS3の各々が法線方向に射出する回折光は視感度の低いもののみである。
構造DS1乃至DS3の各々は、通常の回折格子とは、以下の点で更に相違している。
図5は、或る回折格子が1次回折光を射出する様子を概略的に示す図である。図6は、他の回折格子が1次回折光を射出する様子を概略的に示す図である。
図5及び図6において、IFは回折格子が形成された界面を示し、NLは界面IFの法線を示している。また、ILは複数の波長の光から構成される白色照明光を示し、RLは正反射光又は0次回折光を示し、DLr、DLg及びDLbは白色照明光ILが分光することにより得られる赤、緑及び青色の1次回折光を示している。
図5において、界面IFには、格子定数が可視光の最短波長、例えば約400nmよりも大きい回折格子が設けられている。他方、図6において、界面IFには、格子定数が可視光の最短波長よりも小さい回折格子が設けられている。
上記等式から明らかなように、回折格子の格子定数dが可視光の最短波長と比較してより大きい場合、界面IFに対して斜め方向から照明光ILを照射すると、図5に示すように、回折格子は、1次回折光DLr、DLg及びDLbをそれぞれ正の角度範囲内の射出角βr、βg及びβbで射出する。なお、図示していないが、このとき、回折格子は、他の波長の光についても同様に1次回折光を射出する。
これに対し、回折格子の格子定数dが可視光の最短波長の1/2より大きく且つこの最短波長未満である場合、界面IFに対して斜め方向から照明光ILを照射すると、図6に示すように、回折格子は、1次回折光DLr、DLg及びDLbをそれぞれ負の角度範囲内の射出角βr、βg及びβbで射出する。例えば、角度αが50°であり、格子定数dが330nmである場合を考えると、回折格子は、白色照明光ILのうち波長λが540nm(緑)の光を回折させ、1次回折光DLgを約−60°の射出角βgで射出する。
この説明から明らかなように、構造DS1乃至DS3の各々は、正の角度範囲内に回折光を射出せずに、負の角度範囲内のみに回折光を射出する。或いは、構造DS1乃至DS3の各々は、正の角度範囲内に視感度が低い回折光のみを射出し、負の角度範囲内に視感度が高い回折光を射出する。即ち、構造DS1乃至DS3の各々は、通常の回折格子とは異なり、視感度が高い回折光を負の角度範囲内のみに射出する。
また、この表示体10では、凸部PR1乃至PR3はテーパ形状を有している。このような構造を採用した場合、中心間距離d1乃至d3が十分に短ければ、構造DS1乃至DS3が設けられた各界面部及びその近傍の領域は、Z1方向又はZ2方向に連続的に変化した屈折率を有していると見なすことができる。そのため、どの角度から観察しても、構造DS1乃至DS3の正反射光についての反射率は小さい。そして、上記の通り、構造DS1乃至DS3は、実質的に、法線方向に回折光を射出しない。
従って、この表示体10は、以下に説明するように、観察条件に応じて異なる像を表示する。
図7は、図1乃至図3に示す表示体を或る条件のもとで観察している様子を概略的に示す図である。図8は、図1乃至図3に示す表示体を他の条件のもとで観察している様子を概略的に示す図である。
図7には、表示体10の前面を負の角度範囲内の方向から照明し、この表示体10を正の角度範囲内の方向から観察している様子を描いている。図8には、表示体10の前面を負の角度範囲内の方向から照明し、この表示体10を負の角度範囲内の方向から観察している様子を描いている。ここでは、一例として、表示体10の前面を負の角度範囲内の第1方向から照明した場合、構造DS1乃至DS3は、それぞれ、赤、緑及び青色の回折光を負の角度範囲内の第2方向に射出するとする。
上記の通り、構造DS1乃至DS3は、視感度が高い回折光を正の角度範囲内に射出しない。そして、構造DS1乃至DS3は、正反射光についての反射率が小さい。従って、図7に示す観察条件のもとでは、構造DS1乃至DS3は、視感度が高い光を観察者OBに向けて射出しない。そして、領域BAは、回折光を射出しない。それゆえ、正面から観察した場合、画素PXは、領域BAからの正反射光を観察可能なときには白色乃至黒色を表示し、領域BAからの正反射光を殆ど観察できないときには暗灰色乃至黒色を表示する。
これから明らかなように、正面から顕微鏡で観察した場合であって、領域BAからの正反射光を観察可能なときには、領域BAの面積比が大きな画素PXは明るく見え、領域BAの面積比が小さな画素PXは暗く見える。従って、この表示体10のうち、単位面積に占める領域BAの面積比が大きい部分は明るく見え、この面積比が小さい部分は暗く見える。即ち、この場合、画素PXの配列は、通常、明部と暗部とを含んだ白色乃至黒色の単色画像を表示する。
また、上記の通り、正面から観察した場合であって、領域BAからの正反射光を観察不可能なときには、画素PXに対する領域BAの面積比に拘らず、画素PXは暗く見える。従って、この場合、画素PXの配列は、全体に亘って明るさがほぼ均一な暗灰色乃至黒色の単色画像を表示する。
それゆえ、正面から観察した場合、画素PXの配列は、暗灰色又は黒色印刷層の如く見える。また、観察方向が法線方向に対して平行である場合も、画素PXの配列は、暗灰色又は黒色印刷層の如く見える。
このように、図7に示す条件のもとでは、画素PXの配列は、暗灰色又は黒色印刷層の如く見えるか、又は、明部と暗部とを含んだ白色乃至黒色の単色画像を表示する。なお、ここで、「暗灰色」は、例えば、画素PXの配列又はその一部に法線方向から光を照射し、正反射光の強度を測定したときに、波長が400nm乃至700nmの範囲内にある全ての光成分について反射率が約25%以下であることを意味する。また、「黒色」は、例えば、画素PXの配列又はその一部に法線方向から光を照射し、正反射光の強度を測定したときに、波長が400nm乃至700nmの範囲内にある全ての光成分について反射率が10%以下であることを意味する。
図8に示す条件のもとでは、構造DS1が射出する回折光DLrと、構造DS2が射出する回折光DLgと、構造DS3が射出する回折光DLbとは、観察者OBに向けて進行する。例えば、照明光ILの入射角を50°とし、中心間距離d1、d2及びd3をそれぞれ417nm、330nm及び245nmとした場合、構造DS1、DS2及びDS3は、それぞれ、波長が680nm、540nm及び400nmの回折光を60°の回折角で射出する。
領域BAからの正反射光が観察者OBによって知覚されない場合、各画素PXの表示色は、回折光DLr回折光DLgと回折光DLbとの加法混色によって得られる色である。具体的には、各画素PXの色相は、構造DS1と構造DS2と構造DS3との面積比に依存し、その明度は、構造DS1乃至DS3の各々がその画素PXに占める面積比に依存する。従って、これら面積比を適宜設定することにより、画素PXの配列に、多色の階調画像を表示させることができる。
ところで、一般に、物品を観察する場合、特には光反射能及び光散乱能が小さい光吸収性の物品を観察する場合、正反射光を知覚できるように物品と光源とを観察者の目に対して相対的に位置合わせする。そのため、構造DS1乃至DS3が設けられていることを知らない観察者は、図7を参照しながら説明した条件のもとでこの表示体10を観察する可能性が高い。上記の通り、この観察条件のもとでは、構造DS1乃至DS3は観察者OBに向けて視感度が高い回折光を射出せず、それゆえ、画素PXの配列は、暗灰色又は黒色印刷層の如く見える。従って、この表示体10は、回折光を射出し得る構造DS1乃至DS3が設けられていることを悟られ難い。
また、正の角度範囲内の方向又は略法線方向から観察した場合に暗灰色又は黒色印刷層の如く見え、負の角度範囲内の方向から観察した場合に回折光に由来する多色の階調画像を表示するという特徴を、他の構成によって再現することは不可能である。即ち、この表示体10が上記の特殊な光学特性を有していることを悟られたとしても、この表示体10とは構造が異なる模造品によって先の光学特性を再現することは不可能である。
そして、この表示体10が表示する多色の階調画像は、正面方向からは観察することはできず、特殊な条件のもとでのみ観察可能である。加えて、この表示体10の製造、特には構造DS1乃至DS3の形成には、高い技術力が必要である。即ち、この表示体10が表示する多色の階調画像は不正に機械読み取りされ難く、例え、機械読み取りできたとしても、この表示体10と同一の構造を有する偽造品を製造することは極めて困難である。
従って、この表示体10を使用すると、高い偽造防止効果を達成することができる。
この表示体10において、中心間距離d1乃至d3の各々を一定としたまま凸部PR1乃至PR3を高くするか又は凹部を深くすると、構造DS1乃至DS3の反射率が小さくなる。その結果、表示体10は、色純度がより高い黒色を表示可能となる。他方、中心間距離d1乃至d3の各々を一定としたまま凸部PR1乃至PR3を低くするか又は凹部を深くすると、構造DS1乃至DS3の反射率が大きくなる。その結果、表示体10が表示可能な最低階調は、黒色から暗灰色へと変化する。凸部PR1乃至PR3の高さ又は凹部の深さは、例えば、それぞれ中心間距離d1乃至d3の1/2以上とする。
なお、中心間距離に対する凸部PR1乃至PR3の高さ又は凹部の深さの比を大きくすると、表示体10に色純度が高い黒色を表示させることができるのに加え、より高精度な製造技術が必要となる。即ち、より高い偽造防止効果を達成できる。
上記の通り、表示体10は、これを斜め方向から観察した場合にのみ多色の階調画像を表示する。その結果、この階調画像は、縦方向の寸法が縮んで見える。
図9は、図1乃至図3に示す表示体に記録することが可能な潜像の一例を概略的に示す平面図である。図10は、図9に示す潜像を可視化してなる可視像を概略的に示す斜視図である。図11は、図1乃至図3に示す表示体に記録することが可能な潜像の他の例を概略的に示す平面図である。図12は、図11に示す潜像を可視化してなる可視像を概略的に示す斜視図である。図13は、図1乃至図3に示す表示体に記録することが可能な潜像の更に他の例を概略的に示す平面図である。図14は、図13に示す潜像を可視化してなる可視像を概略的に示す斜視図である。なお、図9、図11及び図13では、潜像を破線で示している。
図9に示す潜像は、表示させるべき画像と同じ縦横の寸法比を有している。このように潜像を記録すると、この潜像を可視化してなる可視像は、図10に示すように縦方向に縮んで見える。
図11に示す潜像は、表示させるべき画像を縦方向に引き伸ばした形状を有している。このように潜像を記録すると、図12に示すように、この潜像を可視化してなる可視像が縦方向に縮んで見えるのを防止できる。しかしながら、この場合、奥側は、手前側と比較して縮んで見える。
図13に示す潜像は、表示させるべき画像を縦方向に引き伸ばすと共に、奥側を横方向に引き伸ばした形状を有している。このように潜像を記録すると、図14に示すように、この潜像を可視化してなる可視像が縦方向に縮んで見えるのを防止できると共に、奥側が手前側と比較して縮んで見えるのを防止できる。
多色の階調画像を観察するために表示体10をX1方向に対して垂直な面内で傾ける場合、画素PXには、以下に説明する構成を採用してもよい。
図15は、図1乃至図3に示す表示体の一変形例を概略的に示す平面図である。
この表示体10は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図8を参照しながら説明した表示体10と同様である。即ち、図15に示す表示体10では、図2に示す表示体10と比較して、各画素PXはY1方向に細長い。そして、図15に示す表示体10では、各画素PXにおいて、構造DS1乃至DS3をX1方向に配列させる代わりに、Y1方向に配列させている。
各画素PXをY1方向に細長くすると、図11乃至図14を参照しながら説明した構成を採用した場合に、例えば、縦方向と横方向とで解像度をほぼ等しくすることができる。なお、この効果は、各画素PXにおいて構造DS1乃至DS3をX1方向に配列させた場合にも得ることができる。
上述した表示体10では、領域BAは平坦面である。それゆえ、領域BAからの正反射光を観察可能な条件のもとで表示体10を正面から観察した場合、表示体10は、通常、明部と暗部とを含んだ白色乃至黒色の単色画像を表示する。具体的には、表示体10は、上述した多色の階調画像を白黒画像に変換し、この白黒画像を白黒反転することにより得られる単色画像又はこれとほぼ等しい画像を表示する。
この単色画像と多色の階調画像との間の変化は、極めて特殊である。従って、この単色画像は、高い偽造防止効果を達成するうえで有利に作用し得る。但し、このような単色画像は、多色の階調画像の存在を悟られ易くする可能性がある。
表示体10を正面から見たときに上述した単色画像が表示されるのを防止するために、例えば、領域BAに、構造DS1乃至DS3と同様の構造を設けてもよい。そのような構造を領域BAに設けると、領域BAの反射率が小さくなる。従って、表示体10を正面から観察した場合に上記の単色画像が表示されるのを防止できる。
なお、この場合、領域BAに設ける凸部又は凹部の中心間距離は、中心間距離d1乃至d3とは異ならしめる。例えば、領域BAに設ける凸部又は凹部の中心間距離は、中心間距離d1乃至d3よりも小さな値とする。これにより、構造DS1乃至DS3からの回折光を観察可能な条件のもとで、領域BAに設ける構造からの回折光が観察されるのを防止する。
また、この場合、領域BAの全体に先の構造を設けてもよく、領域BAの一部にのみ先の構造を設けてもよい。後者の場合、この構造が各画素PXにおいて占める面積は、画素PX間で等しくてもよく、異なっていてもよい。
領域BAの全体又は一部に、上述した凸部又は凹部からなる構造を設ける場合、領域BAに設ける構造と構造DS1乃至DS3との間で、凸部又は凹部の配列方向を異ならしめてもよい。例えば、構造DS1乃至DS3間で凸部又は凹部の配列方向を互いに等しくし、領域BAに設ける構造では、凸部又は凹部の配列方向を、構造DS1乃至DS3における凸部又は凹部の配列方向に対してZ1方向に平行な軸の周りで45°回転させた方向としてもよい。
このような構造を採用した場合、領域BAに設ける構造と構造DS1乃至DS3の1つとで凸部又は凹部の中心間距離が等しいとしても、領域BAに設ける構造は、構造DS1乃至DS3とは異なる方向に回折光を射出する。従って、領域BAに設けられる構造からの回折光が構造DS1乃至DS3からの回折光と同時に観察されるのを防止することができる。なお、この場合、領域BAに設けられる構造からの回折光が構造DS1乃至DS3からの回折光と同時に観察されるのを防止できれば、領域BAに設ける構造における凸部又は凹部の中心間距離は、構造DS1乃至DS3における凸部又は凹部の中心間距離とは異なっていてもよく、それらの何れか1つと同一であってもよい。
表示体10を正面から見たときに上述した単色画像が表示されるのを防止するために、以下の構成を採用してもよい。即ち、上記の表示体10から、反射層13を省略する。そして、光透過層11の背面と向き合うように光吸収層を設置する。
例えば、光透過層11のレリーフ構造が設けられた面を背面とした場合、このレリーフ構造が設けられた面を光透過層11とは屈折率が異なる第2の光透過層で被覆し、更に、この第2の光透過層を間に挟んで光透過層11と向き合うように光吸収層を設ける。或いは、光透過層11のレリーフ構造が設けられた面を前面とした場合、その背面と向き合うように光吸収層を設ける。光吸収層としては、例えば、暗灰色又は黒色層を使用する。
このような構成を採用すると、領域BAの反射率が小さくなる。そして、領域BAを透過した入射光の殆どは光吸収層によって吸収される。従って、表示体10を正面から観察した場合に上記の単色画像が表示されるのを防止できる。
なお、反射層13を省略すると、構造DS1乃至DS3の回折効率が低下する。従って、この構成を採用すると、反射層13を省略しない場合と比較して、多色の階調画像のコントラスト比が低下する可能性がある。
上述した表示体10では、これに多色の階調画像を表示させるべく、画素PX間で構造DS1乃至DS3の面積を異ならしめている。その代わりに、画素PX間で凸部PR1乃至PR3の高さ又は凹部の深さを異ならしめてもよい。
例えば、或る構造DS1において凸部PR1を低くすると、その構造DS1の回折効率が低下する。すなわち、この構造DS1が射出する回折光の強度が小さくなる。従って、例えば、画素PX間で構造DS1乃至DS3の面積を同一とした場合であっても、表示体10に多色の階調画像を表示させることができる。
なお、構造DS1乃至DS3の面積は高精度に制御できるのに対し、凸部PR1乃至PR3の高さ又は凹部の深さは高精度に制御することが難しい。従って、そのような表示体10と同一の構造を有する偽造品を製造することは極めて困難である。
また、ここでは、表示体10に多色の階調画像を表示させるべく、3種の構造DS1乃至DS3を利用したが、構造DS1乃至DS3の1つは省略してもよい。或いは、表示体10に多色の階調画像を表示させるために、4種以上の構造を利用してもよい。
また、ここでは、表示体10に多色の階調画像を表示させることを説明したが、その代わりに、表示体10には単色の階調画像を表示させてもよい。即ち、構造DS1乃至DS3の2つは省略してもよい。
上述した表示体10は、例えば、偽造防止用ラベルとして粘着剤等を介して印刷物や物品に貼り付けて使用することができる。上記の通り、表示体10は偽造及び模造が不可能又は困難である。従って、このラベルを物品に支持させてなるラベル付き物品も、偽造及び模造が不可能又は困難である。
図16は、ラベル付き物品の一例を概略的に示す平面図である。図17は、図16に示すラベル付き物品のXVII−XVII線に沿った断面図である。
図16及び図17には、ラベル付き物品の一例として、印刷物100を描いている。この印刷物100は、IC(integrated circuit)カードであって、基材20を含んでいる。基材20は、例えば、プラスチックからなる。基材20の一方の主面には凹部が設けられており、この凹部にICチップ30が嵌め込まれている。ICチップ30の表面には電極が設けられており、これら電極を介してICへの情報の書き込み及び/又はICに記録された情報の読出しが可能である。基材20上には、印刷層40が形成されている。基材20の印刷層40が形成された面には、上述した表示体10が例えば粘着層50を介して固定されている。表示体10は、例えば、粘着ステッカとして又は転写箔として準備しておき、これを印刷層40に貼りつけることにより、基材20に固定する。
この印刷物100は、上述した表示体10を含んでいる。それゆえ、この印刷物100の偽造及び模造は不可能又は困難である。しかも、この印刷物100は、表示体10に加えて、ICチップ30及び印刷層40を更に含んでいるため、それらを利用した偽造防止対策を採用することができる。
なお、図16及び図17には、表示体10を含んだ印刷物としてICカードを例示しているが、表示体10を含んだ印刷物は、これに限られない。例えば、表示体10を含んだ印刷物は、磁気カード、無線カード及びID(identification)カードなどの他のカードであってもよい。或いは、表示体10を含んだ印刷物は、商品券及び株券などの有価証券であってもよい。或いは、表示体10を含んだ印刷物は、真正品であることが確認されるべき物品に取り付けられるべきタグであってもよい。或いは、表示体10を含んだ印刷物は、真正品であることが確認されるべき物品を収容する包装体又はその一部であってもよい。
また、図16及び図17に示す印刷物100では、表示体10を基材20に貼り付けているが、表示体10は、他の方法で基材に支持させることができる。例えば、基材として紙を使用した場合、表示体10を紙に漉き込み、表示体10に対応した位置で紙を開口させてもよい。或いは、基材として光透過性の材料を使用する場合、その内部に表示体10を埋め込んでもよく、基材の裏面、即ち表示面とは反対側の面に表示体10を固定してもよい。
また、ラベル付き物品は、印刷物でなくてもよい。即ち、印刷層を含んでいない物品に表示体10を支持させてもよい。例えば、表示体10は、美術品などの高級品に支持させてもよい。
表示体10は、偽造防止以外の目的で使用してもよい。例えば、表示体10は、玩具、学習教材又は装飾品等としても利用することができる。
本発明の一態様に係る表示体を概略的に示す平面図。 図1に示す表示体の一部を拡大して示す平面図。 図2に示す表示体のIII−III線に沿った断面図。 図1乃至図3に示す表示体が含んでいる構造を概略的に示す斜視図。 或る回折格子が1次回折光を射出する様子を概略的に示す図。 他の回折格子が1次回折光を射出する様子を概略的に示す図。 図1乃至図3に示す表示体を或る条件のもとで観察している様子を概略的に示す図。 図1乃至図3に示す表示体を他の条件のもとで観察している様子を概略的に示す図。 図1乃至図3に示す表示体に記録することが可能な潜像の一例を概略的に示す平面図。 図9に示す潜像を可視化してなる可視像を概略的に示す斜視図。 図1乃至図3に示す表示体に記録することが可能な潜像の他の例を概略的に示す平面図。 図11に示す潜像を可視化してなる可視像を概略的に示す斜視図。 図1乃至図3に示す表示体に記録することが可能な潜像の更に他の例を概略的に示す平面図。 図13に示す潜像を可視化してなる可視像を概略的に示す斜視図。 図1乃至図3に示す表示体の一変形例を概略的に示す平面図。 ラベル付き物品の一例を概略的に示す平面図。 図16に示すラベル付き物品のXVII−XVII線に沿った断面図。
符号の説明
10…表示体、11…光透過層、13…反射層、20…基材、30…ICチップ、40…印刷層、50…粘着層、100…印刷物、111…光透過性基材、112…光透過性樹脂層、BA…領域、DLb…回折光、DLg…回折光、DLr…回折光、DS1…構造、DS2…構造、DS3…構造、IF…界面部、IL…照明光、LS…光源、NL…法線、OB…観察者、PR…凸部、PX…画素、RL…正反射光。

Claims (12)

  1. 二次元的に配列した複数の画素を備えた表示体であって、
    前記複数の画素の2つ以上は、500nm以下の第1中心間距離で配列した複数の凹部又は凸部からなり、第1方向から白色光で照明した場合に第1回折光を第2方向に射出する第1構造を含み、
    前記2つ以上の画素は、前記第1方向から前記第1回折光と波長が等しい第1単色光で照明して前記第2方向から観察した場合に第1階調画像を表示し、
    前記第1階調画像を表示する前記2つ以上の画素は、前記第1方向から前記第1単色光で照明した場合に、それらの一部の画素と他の一部の画素とが前記第2方向に前記第1回折光を異なる強度で射出するように構成されていることを特徴とする表示体。
  2. 前記第1階調画像を表示する前記一部の画素と前記他の一部の画素とは、前記第1構造が占める面積が異なっていることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
  3. 前記第1構造が占める面積が異なっている前記一部の画素及び前記他の一部の画素のうち、少なくとも前記面積がより小さい画素は、前記第1構造と表示面に平行な方向に隣り合い、500nm以下の中心間距離で配列した複数の凹部又は凸部からなり、前記第1方向から前記白色光で照明した場合に回折光を前記第2方向に射出しない構造を更に含んでいることを特徴とする請求項2に記載の表示体。
  4. 一方の主面に前記第1構造が設けられた光透過層と、光透過層と向き合った光吸収層とを具備したことを特徴とする請求項2に記載の表示体。
  5. 前記第1階調画像を表示する前記一部の画素と前記他の一部の画素とは、前記第1構造を構成している前記複数の凹部の深さ又は前記複数の凸部の高さが異なっていることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
  6. 前記複数の画素の2つ以上は、500nm以下の第2中心間距離で配列した複数の凹部又は凸部からなり、前記第1方向から前記白色光で照明した場合に前記第1回折光とは波長が異なる第2回折光を前記第2方向に射出する第2構造を含み、
    各々が前記第2構造を含んだ前記2つ以上の画素は、前記第1方向から前記第2回折光と波長が等しい第2単色光で照明して前記第2方向から観察した場合に第2階調画像を表示し、
    前記第2階調画像を表示する前記2つ以上の画素は、前記第1方向から前記第2単色光で照明した場合に、それらの一部の画素と他の一部の画素とが前記第2方向に前記第2回折光を異なる強度で射出するように構成されており、
    前記複数の画素の2つ以上は、500nm以下の第3中心間距離で配列した複数の凹部又は凸部からなり、前記第1方向から前記白色光で照明した場合に前記第1及び第2回折光とは波長が異なる第3回折光を前記第2方向に射出する第3構造を含み、
    各々が前記第3構造を含んだ前記2つ以上の画素は、前記第1方向から前記第3回折光と波長が等しい第3単色光で照明して前記第2方向から観察した場合に第3階調画像を表示し、
    前記第3階調画像を表示する前記2つ以上の画素は、前記第1方向から前記第3単色光で照明した場合に、それらの一部の画素と他の一部の画素とが前記第2方向に前記第3回折光を異なる強度で射出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示体。
  7. 前記第1階調画像を表示する前記一部の画素と前記他の一部の画素とは、前記第1構造が占める面積が異なっており、
    前記第2階調画像を表示する前記一部の画素と前記他の一部の画素とは、前記第2構造が占める面積が異なっており、
    前記第3階調画像を表示する前記一部の画素と前記他の一部の画素とは、前記第3構造が占める面積が異なっていることを特徴とする請求項6に記載の表示体。
  8. 前記第1構造が占める面積が異なっている前記一部の画素及び前記他の一部の画素のうち、少なくとも前記面積がより小さい画素は、前記第1構造と表示面に平行な方向に隣り合い、500nm以下の第4中心間距離で配列した複数の凹部又は凸部からなり、前記第1方向から前記白色光で照明した場合に回折光を前記第2方向に射出しない構造を更に含み、
    前記第2構造が占める面積が異なっている前記一部の画素及び前記他の一部の画素のうち少なくとも前記面積がより小さい画素は、前記第2構造と表示面に平行な方向に隣り合い、500nm以下の第5中心間距離で配列した複数の凹部又は凸部からなり、前記第1方向から前記白色光で照明した場合に回折光を前記第2方向に射出しない構造を更に含み、
    前記第3構造が占める面積が異なっている前記一部の画素及び前記他の一部の画素のうち少なくとも前記面積がより小さい画素は、前記第3構造と表示面に平行な方向に隣り合い、500nm以下の第6中心間距離で配列した複数の凹部又は凸部からなり、前記第1方向から前記白色光で照明した場合に回折光を前記第2方向に射出しない構造を更に含んでいることを特徴とする請求項7に記載の表示体。
  9. 前記第4乃至第6中心間距離の各々は前記第1乃至第3中心間距離と比較してより短いことを特徴とする請求項8に記載の表示体。
  10. 一方の主面に前記複数の第1乃至第3構造が設けられた光透過層と、光透過層と向き合った光吸収層とを具備したことを特徴とする請求項7に記載の表示体。
  11. 前記第1階調画像を表示する前記一部の画素と前記他の一部の画素とは、前記第1構造を構成している前記複数の凹部の深さ又は前記複数の凸部の高さが異なっており、
    前記第2階調画像を表示する前記一部の画素と前記他の一部の画素とは、前記第2構造を構成している前記複数の凹部の深さ又は前記複数の凸部の高さが異なっており、
    前記第3階調画像を表示する前記一部の画素と前記他の一部の画素とは、前記第3構造を構成している前記複数の凹部の深さ又は前記複数の凸部の高さが異なっていることを特徴とする請求項6に記載の表示体。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示体と、これを支持した物品とを具備したことを特徴とするラベル付き物品。
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