JP2010038242A - 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 組立て効率のよい位置制御での圧入が可能で、しかも、リンク厚みのばらつきの影響を受けにくい動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供する。
【解決手段】 チェーン幅方向に隣り合うリンクL1,L2,L3間の配列に関し、所定のリンクL1の前または後半部を介して両側からリンクL2,L3が対向している第1の配列Pと、所定のリンクL2,L3の前または後半部に片側だけからリンクL1が対向している第2の配列Qとが存在している。第1の配列Pにおける所定のリンクL1とその両側のリンクL2,L3との隙間をA、第2の配列Qにおける所定のリンクL2,L3とその片側のリンクL1との隙間をBとして、A<Bとされている。
【選択図】 図4

Description

この発明は、動力伝達チェーン、さらに詳しくは、自動車等の車両の無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンおよび動力伝達装置に関する。
無段変速機用動力伝達チェーンとしては、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものが知られている(特許文献1)。
特開2005−233275号公報
この種の動力伝達チェーンは、例えば、必要な数のピンを垂直状に保持した後、リンクを1つずつあるいは数枚まとめて圧入していくことにより製造されるが、この際、チェーン幅方向に並ぶリンクの隣り合うもの同士の間に微小な隙間が存在するように、位置制御でリンクを規定の寸法位置まで圧入するようになっている。隙間の大きさについては、チェーンの弦振動が発生した場合の抑止力となる摩擦力を確保する点では、小さくすることが好ましいが、隙間を小さくすると、リンク間の摩擦抵抗が増加してチェーンの回転トルクが大きくなりすぎる可能性がある。
上記の位置制御での組立ては、効率がよいという利点を有しているが、リンクの厚みには、圧延時に生じるばらつきがあるので、隙間をある値に設定した上で、リンクの位置を制御すると、リンクの厚みのばらつきによって隙間がばらつくことになる。
この発明の目的は、組立て効率のよい位置制御での圧入が可能で、しかも、リンク厚みのばらつきの影響を受けにくい動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供することにある。
この発明による動力伝達チェーンは、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているとともに、リンクが所定位置で各ピンに固定されている動力伝達チェーンにおいて、チェーン幅方向に隣り合うリンク間の隙間に関し、少なくとも2種類の大きさの隙間が設定されていることを特徴とするものである。
「隙間」は、リンクの厚みにばらつきがないとした場合の設計時の隙間をいうものとする。リンク間の隙間は、ピンにリンクを固定(圧入)する際のリンク位置を所定位置とすること(位置制御)で設定される。
従来の動力伝達チェーンでは、隙間の大きさが1種類でどこでも同じとされていたのに対し、この発明による動力伝達チェーンでは、隙間の大きさが2種類以上とされる。この結果、隙間が小さい箇所においては、リンク間の摩擦力による振動減衰効果が確実に得られ、隙間が大きい箇所においては、リンク厚みがばらついた場合であっても、リンク間の摩擦抵抗が大きくなりすぎることが防止される。
チェーンは、例えば、幅方向同位相の複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向(前後方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列からなるリンクユニットを進行方向に複数連結して形成される。そして、幅方向に並ぶリンクの枚数は、全て同じにするのではなく、各リンク列のリンク枚数について多い少ないを作り、例えば、リンク枚数が2m(m:自然数)枚(1例として8枚)のリンク列2つとリンク枚数が2m+1枚(1例として9枚)のリンク列1つとが1つのリンクユニットとされることがある。この場合、1本のピンに対応するチェーン幅方向で考えると、2m+1枚のリンク列の各リンクについては、その両側において、所定の隙間を介してリンクが対向し、2m枚のリンク列の各リンクについては、その一方の片側において、所定の隙間を介してリンクが対向し、他方の片側において、リンクの厚み+所定の隙間をおいてリンクが対向する配列とされる。このように、チェーン幅方向に隣り合うリンク間の配列に関し、所定のリンクの前または後半部を介して両側からリンクが対向している第1の配列と、所定のリンクの前または後半部に片側だけからリンクが対向している第2の配列とが存在している場合、その両側において所定の隙間を介してリンクが対向している第1の配列のリンク間の隙間Aを小さくして、その片側においてのみ所定の隙間を介してリンクが対向している第2の配列のリンク間の隙間Bを大きく(A<B)することにより、上記効果をより効果的なものにすることができる。
2種類の隙間を設定するに際しては、上記のものに限られることなく、例えば、チェーン幅方向に並ぶリンクを外側部分と中央側部分とに分けて、いずれか一方を隙間小に、他方を隙間大とするなどしてもよい。
小さい方の隙間Aは、0であってもよい。また、大きい方の隙間Bは、リンクの厚みがばらついた場合でも、負隙間にならないように、αをリンクの厚みのばらつきとして、B−A=3×αとされていることが好ましい。隙間Aは、0.01mm以下とされていることが好ましい。
この動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。リンクは、前後挿通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク)とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫通孔(柱無しリンク)とされていてもよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定されていることが好ましく、前後挿通部へのピンの固定は、例えば、機械的圧入による挿通部内縁とピン外周面との嵌合固定とされるが、これに代えて、焼き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。1つの挿通部には、第1ピンと第2ピンとがチェーンの長さ方向に対向するように嵌め合わせられ、このうちのいずれか一方がリンクの挿通部の周面に嵌合固定される。嵌合固定は、挿通部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが好ましい。この嵌合固定の後、予張力付与工程において予張力が付与されることにより、リンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ適正な残留圧縮応力が高精度に付与される。
第1ピンおよび第2ピンは、例えば、いずれか一方の転がり接触面が平坦面とされ、他方の転がり接触面が相対的に転がり接触移動可能なように所要の曲面に形成される。また、第1ピンおよび第2ピンは、それぞれの転がり接触面が所要の曲面に形成されるようにしてもよい。いずれの場合でも、各ピンの転がり接触面形状がそれぞれ2種類(例えば相対的に曲率が大のものと相対的に曲率が小のもの)形成されることで、転がり接触移動の軌跡が相違するピンの組が2種類存在するようにしてもよい。第1ピンと第2ピンとの接触位置の軌跡は、例えば、インボリュート曲線とされる。
なお、この明細書において、リンクの長さ方向の一端側を前、同他端側を後としているが、この前後は便宜的なものであり、リンクの長さ方向が前後方向と常に一致することを意味するものではない。
上記の動力伝達チェーンは、いずれか一方のピン(インターピース)が他方のピン(ピン)よりも短くされ、長い方のピンの端面が無段変速機のプーリの円錐状シーブ面に接触し、この接触による摩擦力により動力を伝達するものであることが好ましい。各プーリは、円錐状のシーブ面を有する固定シーブと、固定シーブのシーブ面に対向する円錐状のシーブ面を有する可動シーブとからなり、両シーブのシーブ面間にチェーンを挟持し、可動シーブを油圧アクチュエータによって移動させることにより、無段変速機のシーブ面間距離したがってチェーンの巻き掛け半径が変化し、スムーズな動きで無段の変速を行うことができる。
この発明による動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備えたもので、動力伝達チェーンが上記に記載のものとされる。
この動力伝達装置は、自動車等の無段変速機としての使用に好適なものとなる。
この発明の動力伝達チェーンおよび動力伝達装置によると、隙間の大きさを2種類とすることで、隙間が小さい箇所においては、十分なリンク間の摩擦力を得ることができるとともに、隙間が大きい箇所においては、リンクの厚みがばらついた場合であっても、そのばらつきが吸収されて、所定量以上の隙間が確保される。この結果、リンク間の摩擦抵抗が適正な値となり、動力伝達チェーンの弦振動の減衰効果が確実に得られるとともに、過負隙間に起因する回転ムラが起こりにくいものとなる。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図2の上下をいうものとする。
図1および図2は、この発明による動力伝達チェーンの基本構成を示しており、動力伝達チェーン(1)は、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えている。インターピース(15)は、ピン(14)よりも短くなされ、両者は、インターピース(15)が前側に、ピン(14)が後側に配置された状態で対向させられている。
チェーン(1)は、チェーン進行方向同位相の(図1の上下方向に並ぶ)複数のリンクで構成されるリンク列(R1)(R2)(R3)を進行方向(図1の左右方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列(R1)(R2)(R3)からなるリンクユニットを進行方向(図1の左右方向)に複数連結して形成されている。この実施形態では、リンク枚数が9枚のリンク列(R1)とリンク枚数が8枚のリンク列2つ(R2)(R3)とが1つのリンクユニットとされている。各リンク列(R1)(R2)(R3)のリンク(11)は、チェーン幅方向中心(図1の上下の中央において左右にのびる線)を中心として対称となるように配置されている。
図2に示すように、各リンク(11)の前挿通部(12)は、ピン(14)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(16)およびインターピース(15)が固定されるインターピース固定部(17)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)が固定されるピン固定部(18)およびインターピース(15)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(19)からなる。
各ピン(14)は、インターピース(15)に比べて前後方向の幅が広くなされており、インターピース(15)の上下縁部には、各ピン(14)側にのびる突出縁部(15a)(15b)が設けられている。
図2において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線部分においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチである。
チェーン幅方向に並ぶリンク(11)を連結するに際しては、一のリンク(11)の前挿通部(12)と他のリンク(11)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に固定されかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
リンク(11)のピン固定部(18)とインターピース可動部(19)との境界部分には、インターピース可動部(19)の上下の凹円弧状案内部(19a)(19b)にそれぞれ連なりピン固定部(18)に固定されているピン(14)を保持する上下の凸円弧状保持部(18a)(18b)が設けられている。同様に、インターピース固定部(17)とピン可動部(16)との境界部分には、ピン可動部(16)の上下の凹円弧状案内部(16a)(16b)にそれぞれ連なりインターピース固定部(17)に固定されているインターピース(15)を保持する上下の凸円弧状保持部(17a)(17b)が設けられている。
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボリュートとされており、この実施形態では、ピン(14)の転がり接触面(14a)が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート形状を有し、インターピース(15)の転がり接触面(15c)が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)がチェーン(1)の直線部分から曲線部分へまたは曲線部分から直線部分へと移行する際、前挿通部(12)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその転がり接触面(14a)がインターピース(15)の転がり接触面(15c)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(16)内を移動し、後挿通部(13)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(19)内を固定状態のピン(14)に対してその転がり接触面(15c)がピン(14)の転がり接触面(14a)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動する。
この動力伝達チェーン(1)は、必要な数のピン(14)およびインターピース(15)を組立て治具上に垂直状に保持した後、リンク(11)を1つずつあるいは数枚まとめて圧入していくことにより製造される。この圧入は、ピン(14)およびインターピース(15)の上下縁部とピン固定部(18)およびインターピース固定部(17)の上下縁部との間において行われており、その圧入代は、例えば0.003mm〜0.05mmとされている。
図3は、この発明による動力伝達チェーンの製造方法に用いる圧入装置を示している。以下の説明において、上下は、図3の上下をいうものとする。
圧入装置(40)は、ピン(14)およびインターピース(15)の一端部を挿入可能な所要数のピン挿入孔(44)を有する円盤状の保持治具(43)と、各リンク(11)をピン(14)およびインターピース(15)の所定位置まで押し込む押圧治具(45)とを備えている。
保持治具(43)のピン挿入孔(44)は、有底のもので、その底面は、ピン(14)端面がインターピース(15)端面よりも突出するように、段付に形成されている。ピン挿入孔(44)の横断面形状は、リンク(11)の前後挿通部(12)(13)とほぼ同じ形状とされており、ピン(14)およびインターピース(15)の挿入および抜き出しが可能でかつ挿入されたピン(14)およびインターピース(15)が動かない程度の嵌め合いとされている。
押圧治具(45)は、リンク(11)を1枚ずつ圧入するためのもので、その大きさがリンク(11)よりも若干大きい略方形の板状とされている、押圧治具(45)には、これを貫通するピン挿通孔(46)が設けられている。ピン挿通孔(46)の横断面形状は、リンク(11)の前後挿通部(12)(13)とほぼ同じ形状とされており、押圧治具(45)を下方に移動させる際にピン(14)およびインターピース(15)に接触するが干渉はしない程度の嵌め合いとされている。
保持治具(43)は、垂直軸回りに回転可能とされており、まず、チェーン(1)で使用されるすべてのピン(14)およびインターピース(15)がそのピン挿入孔(44)に挿入される。次いで、リンク(11)がピン(14)およびインターピース(15)の上端部に配置されて、押圧治具(45)が下降させられる。
押圧治具(45)の下降量は、1層目のリンク(11)と2層目のリンク(11)とを密着させるのではなく、隣り合う層のリンク(11)間に所定量の隙間が形成されるように制御(位置制御)される。すなわち、リンク(11)間の距離がリンク(11)の厚み+隙間という間隔でリンク(11)が積層されるように、リンク(11)の圧入位置が設定される。ただし、リンク(11)の厚みにはばらつきがあることから、リンク(11)の実際の厚みが大きい場合には、その分、隙間が小さくなる。図1に示したチェーン(1)では、合計25枚のリンク(11)を重ねることになるので、リンク(11)の厚みのばらつき5μmとしても、最後に圧入される25層目のリンク(11)の位置は、設計位置から0.125mmずれることになる。位置制御による組立ては、組立て効率はよいが、リンク(11)の厚みのばらつきを考慮してのリンク(11)間の隙間の管理が難しいものとなっている。
リンク(11)の厚みのばらつきに対応するため、この発明による動力伝達チェーンでは、図4に示すように、リンク(11)間の隙間として、大きさが異なるAおよびBの2種類が設定されている。
図4は、リンク(11)の配列を拡大して模式化したものであり、図1の各リンク列(R1)(R2)(R3)の1層目から15層目までを示している。同図において、リンク枚数が9枚のリンク列(R1)のリンク(L1)は、(3×n+1)層(1,4,7,10,13,16,19,22および25層目)の位置に配置されている。そして、リンク枚数が8枚のリンク列の一方(R2)のリンク(L2)は、その後半部(図では左半部)によって9枚のリンク列(R1)のリンク(L1)の前半部(図では右半部)を両側から挟むように配置され、リンク枚数が8枚のリンク列の他方(R3)のリンク(L3)は、その前半部(図では右半部)によって9枚のリンク列(R1)のリンク(L1)の後半部(図では左半部)を両側から挟むように配置されている。この結果、チェーン幅方向に隣り合うリンク(L1)(L2)(L3)間の配列に関し、所定のリンク(L1)の前または後半部を介して両側からリンク(L2)(L3)が対向している第1の配列Pと、所定のリンク(L2)(L3)の前または後半部に片側だけからリンク(L1)が対向している第2の配列Qとが存在している。
この2つの配列PおよびQに着目して、第1の配列Pにおける所定のリンク(L1)とその両側のリンク(L2)(L3)との隙間Aが相対的に小さく、第2の配列Qにおける所定のリンク(L2)(L3)とその片側のリンク(L1)との隙間Bが相対的に大きくされている。
ここで、αをリンクの厚みのばらつきとして、B−A=3×αとされるとともに、小さい方の隙間Aが0を含んで、0.01mm以下とされている。
この動力伝達チェーン(1)によると、隙間の大きさが上記のように2種類設定されていることにより、9枚のリンク列(R1)のリンク(L1)とこれに隙間Aを介して隣り合うリンク(L2)(L3)間の摩擦力が抵抗力となって振動を減衰させることができる。そして、9枚のリンク列(R1)のリンク(L1)に隙間Aを介して隣り合うリンク(L2)(L3)のいずれか一方には、隙間Bを介して隣り合うリンク(L1)(L2)(L3)があることから、この隙間Bが緩衝ゾーンとなって、隙間Aを介して隣り合うリンク(L1)(L2)(L3)間に過負隙間(過大な接触圧)が発生することはなく、リンク(L1)(L2)(L3)の摩耗を抑えることができ、また、過負隙間に起因する回転ムラが起こりにくいものとなり、チェーン(1)の伝達効率の低下も防止される。
上記の動力伝達チェーンは、CVTで使用されるが、この際、図5に示すように、プーリ軸(2e)を有するプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)にインターピース(15)の端面が接触しない状態で、ピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。ピン(14)とインターピース(15)とは、上述のように、各可動部(16)(19)に案内されて転がり接触移動するので、プーリ(2)のシーブ面(2c)(2d)に対してピン(14)はほとんど回転しないことになり、摩擦損失が低減し、高い動力伝達率が確保される。そして、実線で示した位置にあるドライブプーリ(2)の可動シーブ(2b)を固定シーブ(2a)に対して接近・離隔させると、チェーン(1)の巻き掛け径は、同図に鎖線で示すように、接近時には大きく、離隔時には小さくなる。ドリブンプーリ(3)では、図示省略するが、その可動シーブがドライブプーリ(2)の可動シーブ(2b)とは逆向きに移動し、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が大きくなると、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が小さくなり、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が小さくなると、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が大きくなる。この結果、変速比が1:1の状態と、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が最小で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最大であるU/D状態と、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が最大で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最小のO/D状態とが得られる。
上記の動力伝達チェーン(1)では、ピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ、これが騒音の要因となるが、ピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動しかつピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡がインボリュート曲線とされていることにより、ピンおよびインターピースの転がり接触面がともに円弧面である場合などと比べて、振動を小さくすることができ、騒音を低減することができる。そして、CVTで使用された場合に、チェーン幅方向に隣り合うリンク(11)(L1)(L2)(L3)間に適正な隙間が存在していることで、弦振動が抑制され、より一層騒音を低減することができる。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの1実施形態の一部を示す平面図である。 図2は、図1の要部拡大側面図である。 図3は、この発明による動力伝達チェーンの製造方法で使用される圧入装置を示す垂直断面図である。 図4は、この発明による動力伝達チェーンのリンク間の隙間を模式的に示す図である。 図5は、動力伝達チェーンがプーリに取り付けられた状態を示す正面図である。
符号の説明
(1) 動力伝達チェーン
(2)(3) プーリ
(2c)(2d) 円錐状シーブ面
(11)(L1)(L2)(L3) リンク
(12) 前挿通部
(13) 後挿通部
(14) ピン(第1ピン)
(15) インターピース(第2ピン)

Claims (5)

  1. ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているとともに、リンクが所定位置で各ピンに固定されている動力伝達チェーンにおいて、
    チェーン幅方向に隣り合うリンク間の隙間に関し、少なくとも2種類の大きさの隙間が設定されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. チェーン幅方向に隣り合うリンク間の配列に関し、所定のリンクの前または後半部を介して両側からリンクが対向している第1の配列と、所定のリンクの前または後半部に片側だけからリンクが対向している第2の配列とが設けられており、第1の配列における所定のリンクとその両側のリンクとの隙間をA、第2の配列における所定のリンクとその片側のリンクとの隙間をBとして、A<Bとされていることを特徴とする請求項1の動力伝達チェーン。
  3. αをリンクの厚みのばらつきとして、B−A=3×αとされていることを特徴とする請求項2の動力伝達チェーン。
  4. 小さい方の隙間Aが0を含んで、0.01mm以下とされていることを特徴とする請求項2または3の動力伝達チェーン。
  5. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備え、動力伝達チェーンが請求項1から4までのいずれかに記載のものとされている動力伝達装置。
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