JP2010038052A - 燃料性状検出システムの異常診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】診断精度向上を図った燃料性状検出システムの異常診断装置を提供する。
【解決手段】燃料の温度を検出する燃温センサ及び燃料の燃料性状(例えばアルコール濃度や、重質及び軽質のいずれであるか等)を検出する燃料性状検出センサを備えた燃料性状検出システムに対して、異常発生の有無を診断する異常診断装置であって、燃料性状検出センサによる検出値に対する上限閾値Thu1及び下限閾値Thd1の少なくとも一方を設定する閾値設定手段S40と、燃料性状検出センサによる検出値が前記閾値Thu1,Thd1を越えた場合に前記異常発生が有ると判定するシステム異常判定手段S50と、を備え、前記閾値設定手段S40は、燃温センサにより検出された燃料温度に応じて前記閾値Thu1,Thd1を異なる値に設定することを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】燃料の温度を検出する燃温センサ及び燃料の燃料性状(例えばアルコール濃度や、重質及び軽質のいずれであるか等)を検出する燃料性状検出センサを備えた燃料性状検出システムに対して、異常発生の有無を診断する異常診断装置であって、燃料性状検出センサによる検出値に対する上限閾値Thu1及び下限閾値Thd1の少なくとも一方を設定する閾値設定手段S40と、燃料性状検出センサによる検出値が前記閾値Thu1,Thd1を越えた場合に前記異常発生が有ると判定するシステム異常判定手段S50と、を備え、前記閾値設定手段S40は、燃温センサにより検出された燃料温度に応じて前記閾値Thu1,Thd1を異なる値に設定することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、燃料の燃料性状(例えばアルコール濃度や、重質及び軽質のいずれであるか等)を検出する燃料性状検出センサを備えた燃料性状検出システムに対して、異常発生の有無を診断する異常診断装置に関する。
近年、内燃機関の代替燃料として、メタノールやエタノール等のアルコールをガソリンに混合したアルコール混合燃料や、アルコール100%のアルコール燃料(以下、これらの燃料を単にアルコール混合燃料と記載)が提案されている。
かかるアルコール混合燃料を用いた場合、アルコール濃度(燃料性状)に応じて理論空燃比が変化するため、アルコール濃度に基づいて燃料供給量制御や点火時期制御等を行う必要がある。そこで従来では、燃料タンクから燃料噴射弁に至るまでの燃料供給経路上に、アルコール濃度を検出する濃度センサ(特許文献1参照)を設置し、濃度センサの検出値に基づき上記各種制御を行っている。
しかし、濃度センサに断線や短絡等の異常が発生して検出値が異常な値となっている場合、その異常検出値に基づき上記各種制御を行ってしまうと排気エミッション悪化等の不具合が懸念される。そこで従来では、濃度センサによる検出値が上限値を超えて大きい場合、或いは下限値を超えて小さい場合に短絡又は断線の異常が発生していると診断する異常診断装置を設けている。
なお、ガソリンの重質度を検出するセンサとアルコール濃度を検出するセンサとでは基本的に同じ構造であり(以下、これらのセンサをまとめて燃料性状検出センサと記載する)、例えば、燃料の比誘電率の違いを検出することでアルコール濃度又は重質度を検出する静電容量式のセンサ(特許文献1参照)や、燃料の屈折率の違いを検出することでアルコール濃度又は重質度を検出する光学式のセンサ等が知られている。
特開平4−155252号公報
しかしながら、同じアルコール濃度又は重質度であっても燃料の温度が変われば燃料性状検出センサの検出値は異なる値となる。例えば、静電容量式のセンサの場合には燃料温度に応じて比誘電率は異なってくる。また、光学式のセンサにおいても燃料温度に応じて屈折率は異なってくる。
図3中の実線L1,L2,L3の各々は、アルコール濃度100%、50%及び0%の場合における静電容量式センサの検出値(比誘電率)と燃料温度との関係を示しており、正常な燃料性状検出センサが取り得る検出値の範囲(正常範囲A)は、実線L1とL3で挟まれる領域であると言える。そして、燃料性状検出センサの検出値が一定の値に設定された上限値を超えると異常発生と診断する従来装置では、前述の正常範囲Aに対して上限値THu0を大きめに設定せざるを得ず(図3(a)参照)、その結果、診断精度の低下を招く。
特に、燃料性状検出センサのセンシング部分に異物が付着していたり、混合燃料のうち濃度センサにより検出される部分に異物が多く含まれていたりする等、正常範囲Aから僅かに外れた検出値となる状態での異常が発生している場合(例えば図3(a)中のP点)には、上述の如く上限値THu0を大きく設定すると、このような異常の発生は検出することができない。つまり、断線/短絡に起因した異常診断に比べて上記異物等に起因した異常を診断する場合には高い診断精度を要するため、診断精度の低下といった前記課題が顕著となる。
ちなみに、図3(a)に例示される静電容量式センサの場合には、アルコール濃度0%の燃料に対する検出値は燃料温度の影響を受けず一定となっているが、センサの種類によってはアルコール濃度が0%であっても燃料温度の影響を受ける。つまり、下限値THd0に対しても正常範囲に対して大きめに設定せざるを得ない場合があり、この場合にも上限値THu0の場合と同様にして診断精度の低下を招くこととなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、診断精度向上を図った燃料性状検出システムの異常診断装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、燃料の温度を検出する燃温センサ及び燃料の性状(例えばアルコール濃度又は重質度合い)を検出する燃料性状検出センサを備えた燃料性状検出システムに対して、異常発生の有無を診断する異常診断装置であって、前記燃料性状検出センサによる検出値に対する上限閾値及び下限閾値の少なくとも一方を設定する閾値設定手段と、前記燃料性状検出センサによる検出値が前記閾値を越えた場合に前記異常発生が有ると判定するシステム異常判定手段と、を備え、前記閾値設定手段は、前記燃温センサにより検出された燃料温度に応じて前記閾値を異なる値に設定することを特徴とする。
これによれば、システム異常判定手段の判定に用いられる閾値を、燃料温度に応じて異なる値に設定するので、正常な燃料性状検出センサが取り得る検出値の範囲(正常範囲A)に対して、上限閾値及び下限閾値の少なくとも一方を大きめに設定することを抑制できる。例えば、図3(b)に示される静電容量式濃度センサの場合においては、本発明による上限閾値Thu1を、先述した従来の上限閾値THu0に比べて正常範囲Aに近づけるようにできる。よって、燃料性状検出システムに対する異常発生有無の診断精度を向上できる。
請求項2記載の発明では、前記閾値設定手段は、前記燃料性状検出センサにより検出された燃料性状に応じて前記閾値を可変設定することを特徴とする。そして、図3を用いて先述した通り、燃料性状検出センサによる検出値と燃料温度との関係は燃料性状に応じて変化するため、燃料性状に応じて閾値を可変設定する上記請求項2記載の発明によれば、上下限閾値Thu2,THd2(図3(c)参照)の範囲を小さく設定でき、より一層の診断精度向上を図ることができる。
例えば、図3(b)に例示される如く燃料温度に応じて上下限閾値Thu1,THd1を設定する場合には、アルコール濃度(燃料性状)が0%〜100%のいずれであっても燃料性状検出システムに対する異常発生有無の診断が可能となるよう、上限閾値Thu1についてはアルコール濃度100%を想定して設定し、下限閾値THd1についてはアルコール濃度0%を想定して設定することを要する。これに対し、図3(c)に例示される如くアルコール濃度に応じて上下限閾値Thu2,THd2を設定する請求項2記載の発明によれば、上下限閾値Thu2,THd2の範囲をより一層小さくできるので、燃料性状検出システムに対する異常発生有無の診断精度をより一層向上できる。
請求項3記載の発明では、燃料タンクへ燃料が供給されたことを検出する燃料供給検出手段を備え、前記閾値設定手段は、前記燃料性状に応じて前記閾値を可変設定するにあたり、前記燃料供給が検出された後に検出された燃料性状を次回の燃料供給が検出されるまで有効とすることを特徴とする。
燃料タンクに燃料を供給するにあたり、燃料タンクに残存する燃料(以下、残存燃料と記載)の燃料性状と、供給しようとする燃料(以下、供給燃料と記載)の燃料性状とが異なることに起因して、燃料タンク内の燃料の燃料性状は変化する。換言すれば、燃料供給時以外の時には燃料性状は変化しない。この点に着目してなされた上記請求項3記載の発明では、燃料性状に応じて閾値を可変設定するにあたり、燃料供給が検出された後に検出された燃料性状を次回の燃料供給が検出されるまで有効とするので、閾値を可変設定する処理を必要最小限にでき、閾値設定に要する処理負荷を軽減できる。
請求項4記載の発明では、燃料タンクへ燃料が供給されたことを検出する燃料供給検出手段を備え、前記燃料供給が検出された後、前記燃料性状検出センサによる燃料性状検出がなされるまでの間、前記システム異常判定手段による異常発生有無の診断を禁止することを特徴とする。
燃料タンクに燃料を供給した直後は、残存燃料と供給燃料とが十分に混合されておらず、燃料性状が均一になっていないことが懸念される。そのため、正確な燃料性状を検出するためには、燃料を供給してから一定時間が経過した後に濃度を検出することが望ましい。この点に着目してなされた上記請求項4記載の発明では、燃料供給が検出されてから燃料性状検出がなされるまでの間は、システム異常判定手段による異常発生有無の診断を禁止するので、正確な燃料性状に基づき閾値を設定することができ、ひいては異常発生有無の診断精度を向上できる。
請求項5記載の発明では、前記システム異常判定手段により前記異常発生が有ると判定された場合には、その異常発生箇所は、前記燃料性状検出センサ及び前記燃温センサのいずれかであると判定することを特徴とする。
燃料性状検出センサに異常が発生している場合に燃料性状検出センサの検出値が閾値を超えることは勿論であるが、閾値を燃温センサの検出値に基づき設定している以上、燃料性状検出センサが正常であっても燃温センサに異常が発生していれば、閾値が正常値に設定できなくなるため燃料性状検出センサの検出値が閾値を超えることが想定される。この点に着目してなされた上記請求項5記載の発明では、システム異常判定手段により異常発生が有ると判定された場合に、その異常発生箇所が燃料性状検出センサ及び燃温センサのいずれかであると判定するので、燃料性状検出センサが正常であり燃温センサが異常である場合において、「燃料性状検出センサが異常である」と誤診断してしまうことを回避できる。
請求項6記載の発明では、前記燃温センサの異常発生を判定する燃温センサ異常判定手段を備え、
前記燃温センサ異常判定手段により異常発生が有ると判定されると同時に、前記システム異常判定手段により前記異常発生が有ると判定された場合には、そのシステム異常判定手段により判定された異常の発生箇所は前記燃料性状検出センサであると判定することを特徴とする。
前記燃温センサ異常判定手段により異常発生が有ると判定されると同時に、前記システム異常判定手段により前記異常発生が有ると判定された場合には、そのシステム異常判定手段により判定された異常の発生箇所は前記燃料性状検出センサであると判定することを特徴とする。
このように、燃温センサに異常発生が有ると判定されると同時に燃料性状検出システムに異常発生が有ると判定された場合には、その異常発生箇所は燃料性状検出センサである可能性が高いので、システム異常判定手段とは別に燃温センサ異常判定手段を備える構成によれば、システム異常判定手段により異常発生が有ると判定された場合におけるその異常発生箇所を特定することができる。
請求項7記載の発明では、前記燃温センサの異常発生を検出する燃温センサ異常検出手段を備え、前記燃温センサの異常発生が検出された場合には、前記システム異常判定手段による異常発生有無の診断を禁止することを特徴とする。
このように燃温センサに異常が発生している場合には、その燃温センサにより検出された燃料温度に基づき設定される閾値は正常値に設定できなくなるので、このような場合にシステム異常判定手段による異常発生有無の診断を禁止する上記請求項7記載の発明によれば、システム異常判定手段が誤診断することを回避できる。
請求項8記載の発明では、前記燃温センサ異常検出手段は、吸気温度センサ、外気温度センサ、エンジン冷却水温度センサ、エンジン潤滑油温度センサ、及び油圧アクチュエータ用作動油温度センサのいずれかによる検出値と、前記燃温センサによる検出値との偏差が所定値以上である場合に、前記燃温センサの異常発生が有ると判定することを特徴とする。
これらの吸気温度、外気温度、冷却水温度、潤滑油温度、及び作動油温度は、燃料温度と相関があり、これらの各種温度と燃料温度との偏差は、燃温センサが正常であれば所定値以上に大きくなる可能性は低い。この点に着目してなされた上記請求項8記載の発明では、前記各種センサの検出値と燃温センサの検出値との偏差が所定値以上である場合に燃温センサの異常発生が有ると判定するので、燃温センサの異常発生有無を容易に判定でき、好適である。
請求項9記載の発明では、前記燃料性状検出センサは、一対の電極間に位置する燃料の静電容量の変化に基づき燃料性状を検出する静電容量式のセンサであることを特徴とする。このような静電容量式の燃料性状検出センサによる検出値は、先述した光学式の燃料性状検出センサ等の検出値に比べて燃料温度により変化する度合いが大きい。よって、燃料温度に応じて閾値を異なる値に設定するといった上記請求項1記載の発明による効果は、静電容量式の燃料性状検出センサを採用した場合において好適に発揮される。
なお、システム異常判定手段により異常発生が有ると判定された場合には、その旨を内燃機関の運転者に報知(例えば警告表示点灯、警告音発生)する報知手段を備えることが望ましい。
また、前記異常発生が有ると判定された場合には、内燃機関をフェイルセーフ運転(例えば内燃機関の出力を制限するよう燃料噴射量を制限)するフェイルセーフ手段を備えることが望ましい。
また、前記異常発生が有ると判定された場合には、その旨を記憶する記憶手段を備えることが望ましい。これによれば、ディーラー等により内燃機関を整備するにあたり、記憶手段に記憶された異常発生のダイアグデータを取得することができるので、適切な整備の一助となり好適である。
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、内燃機関である車載多気筒エンジンを主体としてエンジンシステムを構築するものとしている。本実施形態のエンジンは点火式エンジンであり、アルコール(例えばエタノールやメタノールなど)をガソリンに混合したアルコール混合燃料や、ガソリン(アルコール濃度0%)或いはアルコール(アルコール濃度100%)を燃料として使用できるよう設計されている。エンジンシステムでは、電子制御ユニット(以下、ECUという)により同システムの各部が制御される。このエンジンシステムの全体概略構成図を図1に示す。なお、図1においては、説明の便宜上、1つの気筒のみを図示している。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、内燃機関である車載多気筒エンジンを主体としてエンジンシステムを構築するものとしている。本実施形態のエンジンは点火式エンジンであり、アルコール(例えばエタノールやメタノールなど)をガソリンに混合したアルコール混合燃料や、ガソリン(アルコール濃度0%)或いはアルコール(アルコール濃度100%)を燃料として使用できるよう設計されている。エンジンシステムでは、電子制御ユニット(以下、ECUという)により同システムの各部が制御される。このエンジンシステムの全体概略構成図を図1に示す。なお、図1においては、説明の便宜上、1つの気筒のみを図示している。
図1に示すエンジン10において、吸気管11の吸気ポート近傍には、吸気管11内に燃料を噴射するインジェクタ12(燃料噴射弁)が設けられている。インジェクタ12は電磁駆動式であり、図示しない電源装置(例えば、バッテリやエンジン10に駆動されるオルタネータ)により給電され、ECU30により燃料噴射のタイミング及び噴射時間が制御可能とされている。
インジェクタ12には、燃料タンク13内に貯留された燃料が供給されるようになっている。詳しくは、燃料タンク13内にはインタンク式の燃料ポンプモジュール14が設けられている。そして、燃料タンク13内に貯留された燃料が燃料ポンプモジュール14によって燃料供給パイプ15経由でデリバリパイプ16内へ圧送され、そのデリバリパイプ16内の燃料がインジェクタ12に供給される。
燃料ポンプモジュール14は、ポンプ本体14a及びプレッシャレギュレータ14bを含んで構成されている。ポンプ本体14aは、インジェクタ12へ燃料を圧送する電動式のポンプであり、図示しない電源装置により給電され、ECU30により燃料の圧送量が制御可能とされている。プレッシャレギュレータ14bは、インジェクタ12への燃料供給圧が所定の調整圧以上になると開弁する機械式の減圧弁である。これにより、過剰な燃料が燃料供給パイプ15内からリターンパイプ14c経由で燃料タンク13内へ戻されるようになっている。
燃料ポンプモジュール14からインジェクタ12への燃料供給経路(燃料供給パイプ15やデリバリパイプ16)には、燃料のアルコール濃度を検出する濃度センサ17(燃料性状検出センサ)、及びインジェクタ12へ圧送される燃料の圧力を検出する燃圧センサ18が設けられている。本実施形態では、濃度センサ17及び燃圧センサ18は燃料供給パイプ15に設けられている。燃料タンク13の給油口13a付近には、給油キャップ19による当該給油口13aの開閉を検出する給油口開閉センサ20が設けられている。
本実施形態にかかる濃度センサ17には、以下に説明する静電容量式のセンサが採用されている。すなわち、濃度センサ17は、ハウジング17a内に一対の電極17b,17cを備えて構成されており、一対の電極17b,17c間は、燃料供給パイプ15からハウジング17a内へ流入した燃料で満たされる。そして、燃料のアルコール濃度に応じて電極17b,17c間の比誘電率は変化するため(図3参照)、この比誘電率を検出することでアルコール濃度を算出して取得することができる。
また、濃度センサ17には燃温センサ17dが一体に組み付けられており、具体的には、ハウジング17a内に、燃料の温度を検出する燃温センサ17dを備えている。したがって濃度センサ17は、電極17b,17cにより検出されるアルコール濃度の検出値(濃度検出値)と、燃温センサ17dにより検出される燃料温度の検出値(燃温検出値)との両検出値をECU30に出力している。なお、このように燃温センサ17dを備えた濃度センサ17は、「燃料性状検出システム」に相当する。そして、同じアルコール濃度でも燃料温度に応じて濃度検出値は異なる値となるため(図3参照)、ECU30は、濃度検出値に基づき算出したアルコール濃度を燃温検出値に基づき補正することで、温度補償を行っている。
エンジン10の吸気ポート及び排気ポートには、それぞれ吸気バルブ21及び排気バルブ22が設けられている。吸気バルブ21の開動作により空気と燃料との混合気が燃焼室23内に導入され、排気バルブ22の開動作により燃焼後の排ガスが排気管24に排出される。排気管24には、排出ガスを検出対象として混合気の空燃比(酸素濃度)を検出するための酸素濃度センサ25が設けられている。
ECU30は、CPUや、ROM、RAM、EEPROM等を備えた周知のマイクロコンピュータを主体として構成された電子ユニットである。ECU30には、上記濃度センサ17、燃圧センサ18、給油口開閉センサ20及び酸素濃度センサ25の他、エンジン10の回転に伴い所定クランク角毎に(例えば30°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力するクランク角センサ26や吸気管11内の吸気圧力を検出する吸気圧センサ27が接続されている。ECU30は、メモリに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、エンジンシステムの各部を制御する。
例えば、ECU30は、インジェクタ12による燃料噴射量を調整する制御(燃料噴射量制御)を実施する。詳しくは、ECU30は、酸素濃度センサ25の出力信号に基づいて実際の空燃比を算出し、算出した実空燃比が目標値(例えば理論空燃比)となるように、インジェクタ12による燃料噴射量を制御する。この空燃比フィードバック制御により、エミッションの改善が図られている。ちなみに、理論空燃比は、アルコール混合燃料のアルコール濃度に応じて異なる値となる。そのため、濃度センサ17にて検出されたアルコール濃度に応じて前記目標値を可変設定している。
また、ECU30は、インジェクタ12へ圧送される燃料の圧力(燃料供給圧)を予め設定された目標圧に調整する制御(燃圧制御)を実施する。詳しくは、ECU30は、燃圧センサ18の出力信号に基づいてインジェクタ12への燃料供給圧を算出する。そして、ECU30は、算出された燃料供給圧に応じてポンプ本体14aによる燃料の圧送量を制御する。
さらにECU30は、濃度センサ17等に配線の断線/短絡等の異常(以下、断線/短絡異常と記載)が発生していないか否かを診断する、燃料性状検出システムの異常診断装置として機能する。前記配線の具体例としては、電極17b,17cからECU30に至るまでの信号通信線や、濃度センサ17のハウジング17a内部での配線等が挙げられ、また、電極17b,17cに異物が付着していたり、電極17b,17c間に位置する混合燃料に異物が多く含まれていたりする場合には、濃度検出値は異常な値となるが、このような異常(以下、精度低下異常と記載)の発生有無をもECU30は診断する。
そして、燃料性状検出システムに異常がある旨が検出された場合には、ECU30は所定の異常処理を実行する。異常処理としては、例えば、燃料噴射量の制限などの退避走行処理が実行される。その他、故障警告灯(MIL)の点灯や、故障診断データ(ダイアグデータ)のEEPROM等のバックアップメモリへの記憶などが行われる。
次に、ECU30のマイコンが実施する、燃料性状検出システムに対する上記異常診断の処理手順を、図2のフローチャートに基づき説明する。当該図2の処理は、イグニッションスイッチがオン操作されたことをトリガとして起動した後、所定周期(例えばマイコンが有するCPUが行う演算周期)毎又は所定のクランク角度毎に繰り返し実行される。
先ず、ステップS10において、異常診断の実行条件が成立しているか否かを判定する。この実行条件の具体例としては、バッテリ電圧が所定値以上であることや、燃料タンク13に貯留される燃料が所定量以上であることが挙げられる。バッテリ電圧が所定値より小さければ濃度センサ17から正常な濃度検出値を出力できないからである。また、貯留燃料が所定量より少なければ電極17b,17c間に燃料が十分に満たされない状態となり、正常な濃度検出値を出力できないからである。
ステップS10にて実行条件が成立したと判定されれば(S10:YES)、続くステップS20,S30において、濃度センサ17から出力される濃度検出値、及び燃温センサ17dから出力される燃温検出値を取得する。
続くステップS40(閾値設定手段)では、ステップS30で取得した燃温検出値に基づき、図3(b)に示す上限閾値Thu1及び下限閾値THd1を設定する。この設定手法について図3(b)を用いて詳細に説明すると、図3(b)中の実線L1,L2,L3の各々は、アルコール濃度100%、50%及び0%の場合における静電容量式濃度センサの濃度検出値(比誘電率)と燃料温度との関係を示しており、正常な濃度センサ17が取り得る濃度検出値の範囲(正常範囲A)は、実線L1とL3で挟まれる領域であると言える。そして、上限閾値Thu1は実線L1より僅かに大きい値となるよう平行移動させた値に設定され、下限閾値THd1は実線L3より僅かに小さい値となるよう平行移動させた値に設定されている。
つまり、図3(b)中の一点鎖線に示すように上下限閾値Thu1,THd1と燃料温度との関係を特定するためのマップ又は算出式が、予めECU30のROM等に記憶されている。そして、このマップ又は算出式に、ステップS30で取得した燃料温度を代入することで、上下限閾値Thu1,THd1を算出して設定する。
なお、本実施形態に係る濃度センサ17は、アルコール濃度が0%の場合には図3(b)に示す如く燃料温度に拘わらず比誘電率は一定の値となる。よって、下限閾値THd1については上記マップ又は算出式による算出を廃止して、下限閾値THd1を燃料温度に拘わらず予め設定した値(図3(b)の例ではゼロ又はゼロ近傍の値)に固定するようにしてもよい。
続くステップS50(システム異常判定手段)では、ステップS20で取得した濃度検出値が、ステップS40で設定した上下限閾値Thu1,THd1の範囲内であるか否かを判定する。THd1<濃度検出値<Thu1であると判定(S50:YES)されれば、続くステップS60において、燃料性状検出システムは異常発生していない正常状態であると仮判定し、その仮正常判定の状態が所定時間継続したと判定されれば(S62:YES)、続くステップS64にて燃料性状検出システムが正常状態であると本判定する。
一方、THd1<濃度検出値<Thu1でないと判定(S50:NO)されれば、続くステップS70において、燃料性状検出システムには異常が発生していると仮判定し、その仮異常判定の状態が所定時間継続したと判定されれば(S72:YES)、続くステップS74にて燃料性状検出システムが異常状態であると本判定する。そして、ステップS74で異常判定された場合には、先述した退避走行処理や故障警告灯の点灯等の異常処理を実行する。
また、ステップS64,S74による判定結果は、故障診断データ(ダイアグデータ)としてECU30のバックアップメモリへ記憶される。車両ディーラーにて車両を整備する作業者は、ECU30に外部ツールを接続することで、ECU30に記憶された故障診断データを取得することができる。なお、異常発生の旨を故障診断データにて記憶させるにあたり、その異常発生箇所を濃度センサ17に特定することなく、濃度センサ17及び燃温センサ17dのいずれかで異常が発生している旨を故障診断データにて記憶させる。また、ステップS74での異常発生判定は、先述した断線/短絡異常及び精度低下異常のいずれの異常をも含むものである。
以上により、本実施形態によれば、ステップS50でのシステム異常判定に用いられる上下限閾値Thu1,THd1を、ステップS40において燃料温度に応じて異なる値に設定するので、正常な濃度センサ17が取り得る濃度検出値の範囲、つまりアルコール濃度0%〜100%の場合に取り得る正常範囲Aに対して、図3(a)に示す如く上限閾値Thu0を大きめに設定することを回避して、上限閾値Thu1が正常範囲Aに近づくよう設定できる。特に、燃料温度が高い領域において、上限閾値Thu1を正常範囲Aに近づけるよう小さい値に設定できる。よって、燃料性状検出システムに対する異常発生有無の診断精度を向上できる。
また、ステップS50にて異常の有無が判定されてもこの判定結果を仮判定とし、ステップS62,S72にて仮正常判定及び仮異常判定の状態が所定時間以上継続したことを条件として、本判定とするので、濃度検出値や燃温検出値がノイズ等の影響を受けて、上下限閾値Thu1,THd1及び濃度検出値が一時的に異常な値になっていることによる誤診断を回避できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、上下限閾値Thu1,THd1を燃料の温度に応じて異なる値に設定するにあたり、アルコール濃度が0%〜100%の場合に取り得る正常範囲Aに対して、僅かに大きい閾値範囲となるよう設定している。これに対し、図3(c)に示す本実施形態では、上下限閾値Thu2,THd2を設定するにあたり、燃料温度に加えアルコール濃度応じて異なる閾値に可変設定しており、例えば濃度センサ17により検出された濃度検出値が50%の場合には、アルコール濃度が50%の場合に想定される濃度検出値(つまり、図3(c)中の実線L2に示す値)に対して僅かに大きい閾値範囲となるよう設定している。なお、本実施形態におけるエンジンシステムのハード構成は、図1に示す上記第1実施形態と同じである。
上記第1実施形態では、上下限閾値Thu1,THd1を燃料の温度に応じて異なる値に設定するにあたり、アルコール濃度が0%〜100%の場合に取り得る正常範囲Aに対して、僅かに大きい閾値範囲となるよう設定している。これに対し、図3(c)に示す本実施形態では、上下限閾値Thu2,THd2を設定するにあたり、燃料温度に加えアルコール濃度応じて異なる閾値に可変設定しており、例えば濃度センサ17により検出された濃度検出値が50%の場合には、アルコール濃度が50%の場合に想定される濃度検出値(つまり、図3(c)中の実線L2に示す値)に対して僅かに大きい閾値範囲となるよう設定している。なお、本実施形態におけるエンジンシステムのハード構成は、図1に示す上記第1実施形態と同じである。
具体的には、上記第1実施形態では、図2のステップS40において、燃料温度に拘わらず予め設定した値(図3(b)の例ではゼロ又はゼロ近傍の値)に下限閾値THd1を固定して設定しているのに対し、本実施形態では、下限閾値THd2についても上限閾値Thu2と同様にして、上記マップ又は算出式による算出により燃料温度に応じた値に設定する。また、第1実施形態での閾値設定に用いるマップ又は算出式は、上下限閾値Thu1,THd1と燃料温度との関係を特定するものであるのに対し、本実施形態での閾値設定に用いるマップ又は算出式は、上下限閾値Thu2,THd2と、燃料温度及びアルコール濃度との関係を特定するものである。
以上により、本実施形態によれば、上下限閾値Thu2,THd2(図3(c)参照)の範囲を、第1実施形態で設定した上下限閾値Thu1,THd1(図3(b)参照)の範囲よりも小さく設定できるので、ステップS50における判定精度を向上でき、ひいてはシステム異常判定の診断精度の向上を図ることができる。なお、本実施形態におけるエンジンシステムのハード構成は、図1に示す上記第1実施形態と同じである。
(第3実施形態)
上記第1及び第2実施形態では、ステップS74での異常発生判定は、先述した断線/短絡異常及び精度低下異常のいずれの異常をも含むものであり、いずれの異常であるかの異常種別の情報を故障診断データに含ませることができない。これに対し図4に示す本実施形態では、精度低下異常の判定(S74)と断線/短絡異常の判定(S24)とを、各々異なる閾値を用いて別々に行っている。なお、本実施形態におけるエンジンシステムのハード構成は、図1に示す上記第1実施形態と同じである。
上記第1及び第2実施形態では、ステップS74での異常発生判定は、先述した断線/短絡異常及び精度低下異常のいずれの異常をも含むものであり、いずれの異常であるかの異常種別の情報を故障診断データに含ませることができない。これに対し図4に示す本実施形態では、精度低下異常の判定(S74)と断線/短絡異常の判定(S24)とを、各々異なる閾値を用いて別々に行っている。なお、本実施形態におけるエンジンシステムのハード構成は、図1に示す上記第1実施形態と同じである。
先ず、ステップS10,S20では、異常診断の実行条件が成立しているか否かの判定、及び濃度検出値の取得を、図2と同様に実施する。続くステップS22では断線/短絡異常の判定を行う。すなわち、ステップS20で取得した濃度検出値が、予め設定された上下限閾値Thu0,THd0の範囲内であるか否かを判定する。
ここで、断線/短絡異常が発生すると、濃度検出値は正常値から大きく外れた値となる。これに対し、精度低下異常発生の場合には濃度検出値は正常値から僅かに外れた値となる。この点に着目し、ステップS22での断線/短絡異常判定で用いる上下限閾値Thu0,THd0は、図3(a)に示すように燃料温度に依存しない一定の値に設定されている。そして、上下限閾値Thu0,THd0の範囲は、ステップS50での精度低下異常の判定で用いる上下限閾値Thu2,THd2に比べて、大きい範囲となるよう設定されている。すなわち、上限閾値Thu0はThu2より大きい値に、下限閾値THd0はTHd2より小さい値に設定されている。
THd0<濃度検出値<Thu0でないと判定(S22:NO)されれば、続くステップS24にて燃料性状検出システムが断線/短絡異常状態であると本判定し、先述した退避走行処理や故障警告灯の点灯等の異常処理を実行する。
一方、THd0<濃度検出値<Thu0であると判定(S22:YES)されれば、続くステップS30で燃温検出値を取得し、続くS40において、ステップS30で取得した燃温検出値に基づき、図3(c)に示す上限閾値Thu2及び下限閾値THd2を設定する。これらの上下限閾値Thu2,THd2の設定手法は上記第2実施形態と同様である。
続くステップS50では精度低下異常の判定を行う。すなわち、ステップS20で取得した濃度検出値が、ステップS40で設定された上下限閾値Thu2,THd2の範囲内であるか否かを判定する。THd2<濃度検出値<Thu2であると判定(S50:YES)されれば、続くステップS60において、燃料性状検出システムは精度低下異常及び断線/短絡異常のいずれの異常も発生していない正常状態であると仮判定し、その仮正常判定の状態が所定時間継続したと判定されれば(S62:YES)、続くステップS64にて燃料性状検出システムが正常状態であると本判定する。
一方、THd2<濃度検出値<Thu2でないと判定(S50:NO)されれば、続くステップS70において、燃料性状検出システムには精度低下異常が発生していると仮判定し、その仮異常判定の状態が所定時間継続したと判定されれば(S72:YES)、続くステップS74にて燃料性状検出システムが精度低下異常状態であると本判定する。そして、ステップS74で異常判定された場合には、先述した退避走行処理や故障警告灯の点灯等の異常処理を実行する。
また、ステップS64,S74,S24による判定結果は、故障診断データ(ダイアグデータ)としてECU30のバックアップメモリへ記憶される。この故障診断データには、ステップS24での断線/短絡異常状態、及びステップS74での精度低下異常状態のいずれが要因で故障しているかの情報が含まれる。
以上により、本実施形態によれば、精度低下異常の判定(S74)と断線/短絡異常の判定(S24)とを、各々異なる閾値を用いて別々に行っているので、濃度検出値が異常な値である場合にその異常要因が、断線/短絡異常及び精度低下異常のいずれであるかを特定できる。よって、車両ディーラーにて車両を整備する作業者は、ECU30に外部ツールを接続することで、その異常要因を情報として取得できるので、適切な整備の一助となり好適である。
また、精度低下異常の判定(S74)での判定では、仮正常判定及び仮異常判定の状態が所定時間以上継続したことを条件として本判定とすることで診断精度向上を図っている。これに対し、断線/短絡異常の判定(S24)では、先述した通り断線/短絡異常発生時には濃度検出値は正常値から大きく外れた値となるため、仮判定状態が所定時間以上継続したことを条件として本判定とすることを廃止して、異常診断処理負荷の軽減を図っている。
ここで、ステップS24にて断線/短絡異常が発生していると判定された場合には、精度低下異常が発生しているか否かの判定は不要となる。この点に着目した本実施形態では、断線/短絡異常の判定(S22)においてTHd0<濃度検出値<Thu0でないと判定(S22:NO)された場合には、精度低下異常の判定(S74)に要するステップS30〜S74の実行を行わない。これにより、異常診断処理負荷の軽減を図ることができる。
(第4実施形態)
ところで、燃料タンク13に燃料を供給する時に、供給しようとする燃料(供給燃料)と燃料タンク13の残存燃料とが混合することに起因して、燃料タンク13内の燃料のアルコール濃度は変化する。換言すれば、燃料供給時以外の時にはアルコール濃度は変化しない。
ところで、燃料タンク13に燃料を供給する時に、供給しようとする燃料(供給燃料)と燃料タンク13の残存燃料とが混合することに起因して、燃料タンク13内の燃料のアルコール濃度は変化する。換言すれば、燃料供給時以外の時にはアルコール濃度は変化しない。
そこで本実施形態では、アルコール濃度に応じて閾値Thu1,Thu2,THd1,THd2を可変設定するにあたり、図1に示す給油口開閉センサ20(燃料供給検出手段)により燃料供給が検出される毎に図2又は図4による異常診断を実行する。つまり、上記第1及び第3実施形態では、図2及び図4による処理を所定周期で繰り返し実行しているのに対し、本実施形態では給油口開閉センサ20により燃料供給が検出される毎に、図2及び図4による処理を実行し、ステップS64,S74,S24による判定結果が為された時点でその処理を終了する。そして、給油口開閉センサ20により次回の燃料供給が検出されるまで、ステップS64,S74,S24による判定結果を継続して有効とする。
また、燃料タンク13に燃料を供給した直後は、残存燃料と供給燃料とが十分に混合されておらず、アルコール濃度が均一になっていないことが懸念される。そのため、濃度センサ17により正確なアルコール濃度を検出するためには、燃料を供給してから一定時間が経過した後に濃度を検出することが望ましい。そこで本実施形態では、給油口開閉センサ20により燃料供給が検出されてから一定時間が経過して正確なアルコール濃度が検出がされるまでの間は、図2及び図4による処理の実行を禁止している。
以上により、本実施形態によれば、燃料供給が検出される毎に異常診断を実行し、診断結果が得られた時点でその異常診断を中止して診断結果を継続して有効とするので、閾値Thu1,Thu2,THd1,THd2を可変設定する処理を必要最小限にでき、閾値設定に要するマイコンの処理負荷を軽減できる。
また、燃料供給が検出されてから一定時間が経過して正確なアルコール濃度が検出がされるまでの間は、図2及び図4による処理の実行を禁止するので、正確なアルコール濃度に基づき閾値Thu1,Thu2,THd1,THd2を設定することができ、ひいては異常発生有無の診断精度を向上できる。
(第5実施形態)
上記第1及び第2実施形態では、ステップS74,S24の判定による異常発生の旨を故障診断データにて記憶させるにあたり、その異常発生箇所を濃度センサ17に特定することなく、濃度センサ17及び燃温センサ17dのいずれかで異常が発生している旨を故障診断データにて記憶させている。これに対し本実施形態では、燃温センサ17dの異常発生を以下の手法により判定し、ステップS74,S24にて異常発生判定が為された時に燃温センサ17dにて異常発生有りと判定されていれば、ステップS74,S24にかかる異常発生箇所を濃度センサ17に特定し、その旨(つまり両センサ17,17dで異常が発生している旨)を故障診断データにて記憶させる。
上記第1及び第2実施形態では、ステップS74,S24の判定による異常発生の旨を故障診断データにて記憶させるにあたり、その異常発生箇所を濃度センサ17に特定することなく、濃度センサ17及び燃温センサ17dのいずれかで異常が発生している旨を故障診断データにて記憶させている。これに対し本実施形態では、燃温センサ17dの異常発生を以下の手法により判定し、ステップS74,S24にて異常発生判定が為された時に燃温センサ17dにて異常発生有りと判定されていれば、ステップS74,S24にかかる異常発生箇所を濃度センサ17に特定し、その旨(つまり両センサ17,17dで異常が発生している旨)を故障診断データにて記憶させる。
或いは、燃温センサ17dにて異常発生有りと判定された場合には、図2及び図4による処理の実行を禁止する。異常状態の燃温センサ17dにより検出された燃料温度に基づき設定される閾値Thu1,Thu2,THd1,THd2は正常値に設定できなくなるので、このような場合に図2及び図4による異常診断を禁止することで、ステップS50,S22によるシステム異常判定において誤診断することを回避できる。
以下に、上述した燃温センサ17dの異常発生判定手法の具体例を説明する。
燃焼室23に吸入される空気の温度(吸気温度)、外気温度、エンジン冷却水の温度、エンジン10の摺動部に供給される潤滑油の温度、及び油圧アクチュエータ(例えば自動変速機やバルブ開閉タイミング調整装置等)に用いられる作動油の温度は、燃料温度と相関がある。つまり、これらの各種温度が上昇すれば燃料温度も上昇する傾向にある。そこで本実施形態では、これらの各種温度を吸気温度センサ、外気温度センサ、冷却水温度センサ、潤滑油温度センサ、及び作動油温度センサにより検出し、その検出値と燃温センサ17dによる燃温検出値との偏差を算出する。そして、この偏差が所定値以上となった場合に燃温センサ17dの異常発生が有ると判定する。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。また、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。また、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、濃度センサ17を燃料供給パイプ15に設けているが、デリバリパイプ16、燃料ポンプモジュール14、燃料タンク13、インジェクタ12等に配置してもよい。
・上記実施形態では、濃度センサ17のハウジング17a内に燃温センサ17dを配置して両センサ17,17aを一体に組み付けているが、これら両センサ17,17aを別体に構成してもよい。
・上記実施形態にかかる濃度センサ17には静電容量式のセンサが採用されているが、混合燃料の屈折率の違いを検出することでアルコール濃度を検出する光学式(屈折式)のセンサを採用してもよいし、混合燃料の透過光量の違いを検出することでアルコール濃度を検出する光学式(透過式)のセンサを採用してもよい。
・上記実施形態では、燃料性状検出センサとして、アルコール濃度を検出する濃度センサ17を採用しているが、ガソリンの重質度(燃料性状)を検出するセンサを採用してもよい。なお、ガソリンの重質度を検出するセンサとアルコール濃度を検出するセンサとでは基本的に同じ構造であり、ガソリン重質度検出センサの場合においても、先述した静電容量式センサ及び光学式センサのいずれを採用してもよい。
17…濃度センサ(燃料性状検出システム,燃料性状検出センサ)、17b,17c…一対の電極、17d…燃温センサ(燃料性状検出システム)、20…給油口開閉センサ(燃料供給検出手段)、30…ECU(異常診断装置,燃温センサ異常判定手段)、S40…閾値設定手段、S50…システム異常判定手段、Thu1,Thu2…上限閾値、THd1,THd2…下限閾値。
Claims (9)
- 燃料の温度を検出する燃温センサ及び燃料の性状を検出する燃料性状検出センサを備えた燃料性状検出システムに対して、異常発生の有無を診断する異常診断装置であって、
前記燃料性状検出センサによる検出値に対する上限閾値及び下限閾値の少なくとも一方を設定する閾値設定手段と、
前記燃料性状検出センサによる検出値が前記閾値を越えた場合に前記異常発生が有ると判定するシステム異常判定手段と、
を備え、
前記閾値設定手段は、前記燃温センサにより検出された燃料温度に応じて前記閾値を異なる値に設定することを特徴とする燃料性状検出システムの異常診断装置。 - 前記閾値設定手段は、前記燃料性状検出センサにより検出された燃料性状に応じて前記閾値を可変設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料性状検出システムの異常診断装置。
- 燃料タンクへ燃料が供給されたことを検出する燃料供給検出手段を備え、
前記閾値設定手段は、前記燃料性状に応じて前記閾値を可変設定するにあたり、前記燃料供給が検出された後に検出された燃料性状を次回の燃料供給が検出されるまで有効とすることを特徴とする請求項2に記載の燃料性状検出システムの異常診断装置。 - 燃料タンクへ燃料が供給されたことを検出する燃料供給検出手段を備え、
前記燃料供給が検出された後、前記燃料性状検出センサによる燃料性状検出がなされるまでの間、前記システム異常判定手段による異常発生有無の診断を禁止することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料性状検出システムの異常診断装置。 - 前記システム異常判定手段により前記異常発生が有ると判定された場合には、その異常発生箇所は、前記燃料性状検出センサ及び前記燃温センサのいずれかであると判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃料性状検出システムの異常診断装置。
- 前記燃温センサの異常発生を判定する燃温センサ異常判定手段を備え、
前記燃温センサ異常判定手段により異常発生が有ると判定されると同時に、前記システム異常判定手段により前記異常発生が有ると判定された場合には、そのシステム異常判定手段により判定された異常の発生箇所は前記燃料性状検出センサであると判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃料性状検出システムの異常診断装置。 - 前記燃温センサの異常発生を検出する燃温センサ異常検出手段を備え、
前記燃温センサの異常発生が検出された場合には、前記システム異常判定手段による異常発生有無の診断を禁止することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の燃料性状検出システムの異常診断装置。 - 前記燃温センサ異常検出手段は、吸気温度センサ、外気温度センサ、エンジン冷却水温度センサ、エンジン潤滑油温度センサ、及び油圧アクチュエータ用作動油温度センサのいずれかによる検出値と、前記燃温センサによる検出値との偏差が所定値以上である場合に、前記燃温センサの異常発生が有ると判定することを特徴とする請求項6又は7に記載の燃料性状検出システムの異常診断装置。
- 前記燃料性状検出センサは、一対の電極間に位置する燃料の静電容量の変化に基づき燃料性状を検出する静電容量式のセンサであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の燃料性状検出システムの異常診断装置。
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