JP2010037279A - フルオレン化合物及びこれを用いた有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄膜を形成した時の成膜性が良好で、かつ広いバンドギャップを有するフルオレン化合物、及び発光効率が良好で耐久性に優れる有機EL素子を提供する。
【解決手段】陽極と陰極と、該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物層と、から構成され、該有機化合物層に下記一般式(1)に示されるフルオレン化合物が含まれることを特徴とする、有機EL素子。
Figure 2010037279

(式(1)において、R1乃至R34は、それぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基を示す。該アルキル基は枝分かれ構造を有する置換基であってもよいし、さらに別の置換基を有してもよい。nは、1乃至10の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、フルオレン化合物及びこれを用いた有機EL素子に関するものである。
有機EL素子は、発光効率、発光色の色純度の改善、高耐久化等の諸性能を向上するために、様々な材料技術開発や素子技術開発が活発に行われている。
これまでに電荷輸送材料又は発光材料として、数多くの芳香族化合物が開発されてきた。それらの中でも、フルオレン構造を有する化合物は、電子や正孔の輸送能が高く、比較的蛍光の量子収率が高いという理由から数多くの材料開発が行われている。またこのフルオレン構造が有する特性を生かすべく、フルオレン構造を複数有する化合物を発光材料等として使用した有機EL素子が報告されている。特許文献1には、フルオレン構造が複数結合したオリゴフルオレン化合物が開示されている。特許文献2及び特許文献3にはフルオレン構造と縮合多環芳香族とが結合した化合物が開示されている。特許文献4及び特許文献5には、フルオレン構造とフェニレン構造とを組み合せて得られる化合物が開示されている。
上記の特許文献1乃至5にて開示されているフルオレン構造を有する化合物の中には優れた電荷輸送特性や発光特性を示すものもある。しかし乾式法で成膜するときにその成膜性に優れていること、低電圧での駆動が可能であること、発光効率に優れていること、耐久使用時でも発光特性に劣化の無いこと等、全ての点で万能な特性を有する化合物は得られていない。
特開2003−55275号公報 特開2004−42485号公報 特開2004−43349号公報 特開2006−1842号公報 特開2006−124373号公報
本発明の目的は、薄膜を形成した時の成膜性が良好で、かつ広いバンドギャップを有するフルオレン化合物を提供することである。また本発明の他の目的は、発光効率が良好で耐久性に優れる有機EL素子を提供することである。
本発明のフルオレン化合物は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする。
Figure 2010037279
(式(1)において、R1乃至R34は、それぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基を示す。該アルキル基は枝分かれ構造を有してもよいし、さらに別の置換基を有してもよい。nは、1乃至10の整数である。)
本発明によれば、薄膜を形成した時の成膜性が良好で、かつ広いバンドギャップを有するフルオレン化合物を提供することができる。また、本発明によれば、発光効率が良好で、耐久性に優れる有機EL素子を提供することができる。
まず、本発明のフルオレン化合物について説明する。本発明のフルオレン化合物は、下記一般式(1)で示される。
Figure 2010037279
式(1)において、R1乃至R34は、それぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基を示す。好ましくは、水素原子又は炭素数8以下のアルキル基である。また置換基がアルキル基である場合は、アルキル基の種類及びその置換位置は、本発明のフルオレン化合物の成膜性、溶解性、HOMO及びLUMOのエネルギーレベルを考慮した上で最適のものを選択することができる。
1乃至R34で表される炭素数1乃至10のアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
またR1乃至R34で表されるアルキル基は枝分かれ構造を有する置換基であってもよい。枝分かれ構造を有する置換基として、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、が挙げられる。
1乃至R34で表される炭素数1乃至10のアルキル基は、置換基としてフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子を有してもよい。ハロゲン原子の中でも、化合物の安定性、溶解性の制御、並びにHOMO及びLUMOレベルの調整の観点から、好ましくは、フッ素原子である。
式(1)において、nは、フルオレン構造とフェニレン構造とを組み合わせた構造の繰り返し単位を表し、具体的には1乃至10の整数である。本発明のフルオレン化合物を真空蒸着法で成膜する場合は、その化合物が昇華性を有する必要があるため、好ましくは、nは1乃至3の整数である。一方、本発明のフルオレン化合物を塗布法で成膜する際には、化合物の溶解性と結晶性を制御するために、好ましくは、nは2乃至7の整数である。
さらに、本発明のフルオレン化合物において、溶解性と成膜性等をよりよく制御するためには、上述したnの値、並びに置換基の種類及びその置換位置を総合的に考慮した上で好ましい構造を選択するべきである。
本発明のフルオレン化合物は、2位及び7位を結合手とするフルオレン構造と、1位及び4位の位置を結合手とするフェニレン構造と、からなる。これらフルオレン構造とフェニレン構造は必ず交互に存在し、かつ化合物の両末端は必ずフルオレン構造である。
本発明者等は鋭意検討した結果、本発明のフルオレン化合物が、優れた成膜性、溶解性等を示しつつ広いバンドギャップを有するため、有機EL素子の構成材料として優れた電子や正孔の輸送性、発光特性を示す化合物であることを見出した。即ち、本発明のフルオレン化合物は、フルオレン構造とフェニレン構造とを交互に結合させ、かつ分子の両末端にフルオレン構造を配する構造を取っている。このため本発明のフルオレン化合物は、所望の広いバンドギャップを達成しつつ、優れた電荷輸送性、成膜性を示すことを見出した。
目的の効果を得ることができるメカニズムは明確になっていない。分子構造の面から考えると、フルオレン構造とフェニレン構造とが交互に存在することにより、フルオレン構造を含む平面とフェニレン構造を含む平面とに適度な捻れが発生している。このため分子内の共役長が適度に調整されるためと考えられる。この結果、所望のワイドバンドギャップが達成されると考えられる。また、分子内に適度な捻れが生じていることと、両末端にフルオレン構造が位置することにより、分子間の過度なスタック性が抑制され、成膜後の結晶化などが抑制されると考えられる。このため、成膜時及び成膜後に、薄膜の白化、成分の結晶化、面アレ等が抑制され、良好な寿命特性が得られるものと考えられる。
次に、本発明のフルオレン化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010037279
Figure 2010037279
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Figure 2010037279
Figure 2010037279
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本発明のフルオレン化合物は、一般的に知られている方法で合成できる。例えば、パラジウム触媒を用いたSuzuki Coupling法(例えば、Chem.Rev.,95,2457,1995)により合成することができる。またニッケル触媒を用いたYamamoto法(例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.51,2091,1978)によっても合成することができる。
次に本発明の有機EL素子について詳細に説明する。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極と、該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物層と、から構成される。ここで図面を参照しながら本発明の有機EL素子を以下に説明する。
図1は、本発明の有機EL素子における第一の実施形態を示す断面図である。図1の有機EL素子10は、基板1上に陽極2、発光層3及び陰極4を順次設けている。この有機発光素子10は、発光層3が、正孔輸送能、電子輸送能及び発光性の性能を全て有する有機化合物で構成されている場合に有用である。また、正孔輸送能、電子輸送能及び発光性の性能のいずれかの特性を有する有機化合物を混合して構成される場合にも有用である。
図2は、本発明の有機EL素子における第二の実施形態を示す断面図である。図2の有機発光素子20は、基板1上に、陽極2、正孔輸送層5、電子輸送層6及び陰極4が順次設けられている。この有機発光素子20は、正孔輸送性及び電子輸送性のいずれかを備える発光性の有機化合物と電子輸送性のみ又は正孔輸送性のみを備える有機化合物とを組み合わせて使用する場合に有用である。即ち、有機発光素子20は、正孔輸送層5又は電子輸送層6が発光層を兼ねている。
図3は、本発明の有機EL素子における第三の実施形態を示す断面図である。図3の有機発光素子30は、図2の有機発光素子20において、正孔輸送層5と電子輸送層6との間に発光層3を挿入したものである。この有機発光素子30は、キャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、正孔輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した有機化合物を適宜組み合わせて使用することができる。このため、極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の有機化合物が使用できるので、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3にキャリアあるいは励起子(エキシトン)を有効に閉じこめて有機発光素子30の発光効率の向上を図ることも可能になる。
図4は、本発明の有機EL素子における第四の実施形態を示す断面図である。図4の有機発光素子40は、図3の有機発光素子30において、電子輸送層6と陰極4との間に電子注入層8を設けたものである。この有機発光素子40は、電子注入層8を設けたことにより、陰極4と電子輸送層6との間の密着性又は電子の注入性が改善されるので低電圧化に効果的である。
図5は、本発明の有機EL素子における第五の実施形態を示す断面図である。図5の有機発光素子50は、図3の有機発光素子30において、正孔又は励起子(エキシトン)を陰極4側に抜けることを阻害する層(正孔/エキシトンブロッキング層9)を、発光層3と電子輸送層6との間に挿入したものである。イオン化ポテンシャルの非常に大きい(HOMOレベルの深い)有機化合物を正孔/エキシトンブロッキング層8として使用することにより、有機発光素子50の発光効率が向上する。
図6は、本発明の有機EL素子における第六の実施形態を示す断面図である。図6の有機発光素子60は、図4の有機発光素子40において、正孔注入層7を陽極2と正孔輸送層5との間に挿入したものである。この有機発光素子60は、正孔注入層7を設けたことにより、陽極2と正孔輸送層5との間の密着性又は正孔の注入性が改善されるので更なる低電圧化に効果的である。
図7は、本発明の有機EL素子における第七の実施形態を示す断面図である。図7の有機発光素子70は、図5の有機発光素子50において、電子輸送層6と陰極4との間に電子注入層8を設けたものである。
ただし、図1乃至図7で示される素子構成は、基本的な素子の層構成を示した図であり、本発明の有機EL素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機化合物層との界面に絶縁性層、接着層又は干渉層を設ける、正孔注入層又は正孔輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる2層から構成される等多様な層構成をとることができる。
本発明のフルオレン化合物は有機化合物層に含まれる。ここでいう有機化合物層とは、具体的には、図1乃至図7で示される発光層3、正孔輸送層5、電子輸送層6、正孔注入層7、電子注入層8及び正孔/エキシトンブロッキング層9のいずれかである。尚、本発明のフルオレン化合物は、上記有機化合物層のうち一層のみ含まれていてもよいし複数の層に含まれていてもよい。
本発明の有機EL素子の好ましい形態について説明する。本発明の有機EL素子において、第一の好ましい形態は、本発明のフルオレン化合物が発光層の陰極側において発光層と直接接する層に含まれる形態である。
ここで発光層の陰極側において発光層と直接接する層とは、有機EL素子の実施形態によって異なるが、具体的には、電子輸送層6又は正孔ブロッキング層(正孔/エキシトンブロッキング層9)である。
本発明のフルオレン化合物は、従来の化合物と比べてHOMO−LUMOのバンドギャップが広く、電子及び正孔の輸送能が高い化合物である。また、バンドギャップが広いことにより、発光層3等から電子又は正孔及びエキシトン等の漏れを防ぐブロックッキング性にも優れる。
特に、電子輸送層6又は正孔/エキシトンブロッキング層9として使用する場合、LUMOレベルを電子輸送性が良好になるように調整し、HOMOレベルを深く調整することで発光層のHOMOレベルとの間に障壁を設けることができる。その場合、本発明のフルオレン化合物は、正孔ブロックッキング性に優れることから、本発明のフルオレン化合物を発光層の陰極側において発光層と直接接する層に含ませることが好ましい。こうすることで、発光層3から陰極4側への正孔のモレを防止することができる。また、本発明のフルオレン化合物は、陰極4側から電子を発光層3へ滞りなく輸送する特性を有する。このため、発光層3のキャリアバランスが調整され、発光効率及び耐久特性が向上する。
本発明のフルオレン化合物を、発光層の陰極側において発光層と直接接する層の構成材料として使用する場合は、陰極4側に電子輸送性をさらに向上させる働きを有する電子輸送性化合物を含有した層を形成するのがより好ましい。陰極4からの電子の輸送を最適にするためである。具体的には、電子輸送層6又は電子注入層8を設けることがより好ましい。
電子輸送層6又は電子注入層8に含まれる電子輸送性を有する化合物としては、公知の電子輸送性化合物なら如何なる化合物を使用してもよい。具体的には、フェナントロリン化合物、オキサジアゾール化合物、キノン化合物等が挙げられる。
本発明の有機EL素子において、第二の好ましい形態は、本発明のフルオレン化合物が発光層3に含まれる形態である。
本発明のフルオレン化合物は広いバンドギャップを有し、発光層3の構成材料としての特性も優れている。このため、発光層3のホスト又はゲストとして使用することも有用である。また同様に、燐光発光素子の構成材料となる電荷輸送材料やホストとして使用することも有用である。本発明のフルオレン化合物を発光層3のホストとして使用する場合、ゲストとして公知の如何なる蛍光材料及び燐光材料を使用してもよい。燐光材料として、好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、Re錯体、Cu錯体、Eu錯体又はRh錯体である。より好ましくは、燐光量子収率の高いIr錯体である。
本発明の有機EL素子は、陽極2と陰極4との間に、本発明のフルオレン化合物を含む層を真空蒸着法や溶液塗布法により形成する。本発明のフルオレン化合物を含む層の膜厚は、有機EL素子における層の機能や成膜の目的にもよるが、10μmより薄く、好ましくは、0.5μm以下であり、より好ましくは、5nm乃至500nmである。
また、本発明のフルオレン化合物を含まないその他の有機化合物層も真空蒸着法や塗布法により成膜される。本発明の有機EL素子において、有機化合物層の全体の膜厚は5μmより薄く、好ましくは、1μm以下、より好ましくは、0.5nm以上500nm以下である。
本発明の有機EL素子は、公知な正孔輸送性化合物、発光性化合物あるいは電子輸送性化合物などと一緒に使用することもできる。
本発明のフルオレン化合物を、発光層の陰極側において発光層と直接接する層の構成材料として使用する場合は、本発明のフルオレン化合物を単独で使用してもよいし、他の化合物と混合して使用してもよい。他の化合物と混合して使用する場合、本発明のフルオレン化合物の含有率は、任意に設定することができる。
本発明のフルオレン化合物を発光層3のゲストとして使用する場合、その含有量は、発光層3の全体量に対して、好ましくは、0.1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは、0.5質量%以上30質量%以下である。
また、本発明のフルオレン化合物を発光層3のホストとして使用する場合、その含有量は、発光層3の全体量に対して、好ましくは、50質量%以上99.9質量%以下であり、より好ましくは、70質量%以上99.5質量%以下である。
陽極2の構成材料は、できるだけ仕事関数が大きなものがよい。例えば、金、銀、白金、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム等の金属単体または、これらの合金が挙げられる。また、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化スズインジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の導電性金属酸化物を使用することもできる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いてもよく、複数併用することもできる。
一方、陰極4の構成材料は、仕事関数の小さなものがよい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体あるいはこれらの複数の合金、これらの塩等を用いることができる。また、酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
本発明の有機EL素子に使用される基板としては特に限定するものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、合成ポリマーシート等の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜などを用いて発色光をコントロールする事も可能である。
尚、作製した素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等の高分子膜または光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。
次に、本発明の有機EL素子の製造方法について説明する。本発明のフルオレン化合物が含まれる層及び他の有機化合物が含まれる層は、真空蒸着法等の乾式法又は塗布法等の湿式法により成膜する。
真空蒸着法を採用する場合は、公知の種々の真空蒸着法を利用することができる。
塗布法を採用する場合は、適当な溶剤に成膜する材料を溶解させて塗布液を調製し、この塗布液を目的部位に塗布することで薄膜を形成する。塗布方法としては、具体的には、スピンコート法、スリットコーター法、印刷法、インクジェット法、デイスペンス法、スプレー法等が挙げられる。
特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することも可能である。
上記結着樹脂としては広範囲な結着性樹脂より選択できる。たとえばポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合してもよい。
ところで、本発明のフルオレン化合物を含む層を塗布法により成膜する際には、以下に述べる塗料組成物を調製するのが好ましい。
ここでいう塗料組成物とは、本発明のフルオレン化合物が少なくとも一種含まれる溶液状の組成物である。この塗料組成物を使用することで、有機EL素子を構成する有機化合物層、特に、電荷注入層又は電荷輸送層を塗布法により作製することが可能となり、比較的安価で大面積の有機EL素子を容易に作製することができる。
この塗料組成物で使用される溶媒として、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、n−ドデシルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族基炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン類、モノクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
またこの塗料組成物は、本発明のフルオレン化合物以外の他の化合物が含まれていてもよい。含まれていてもよい化合物としては、例えば、上述の公知な正孔輸送性化合物、発光性化合物、電子輸送性化合物等が挙げられる。ここで塗料組成物全体における本発明のフルオレン化合物の含有量は、好ましくは、0.05質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは、0.1質量%以上5質量%である。
本発明の有機発光素子を適宜組み合わせることにより、ディスプレイ等の表示装置を構成することができる。即ち、本発明の表示装置は、本発明の有機発光素子と、該有機発光素子の駆動回路と、を複数備えるものであり、パッシブマトリックス方式又はアクティブマトリックス方式で駆動される。以下、図面を参照しながら、本発明の有機発光素子を、アクティブマトリクス方式に組み合わせた表示装置について説明する。
図8は、本発明の表示装置の一部分を示す断面模式図である。図8で示される表示装置80は、基板81上に設けられている有機発光素子部82と、有機発光素子部82の外部に配置されている回路部83と、回路部83に隣接して設けられているデータ配線84と、から構成される。ここで回路部83には、ドライブトランジスタ(TFT1)851と、スイッチングトランジスタ(TFT2)852と、保持容量(Ch)86と、が設けられている。
図8において、有機発光素子は1個のみ図示されているが、実際に表示装置を構築する場合は、有機発光素子は二次元状に複数配置されている。尚、有機発光素子が二次元状に配置されている表示装置の具体例は後述する。また本実施形態において、有機発光素子部82は、下部電極87と、有機化合物層88と、上部電極89とがこの順に積層されているものである。この有機発光素子部82において、有機化合物層88は、少なくとも上記の正孔注入層及び発光層が含まれる。
図9は、図8の表示装置の回路部における回路の構成の詳細を示す図である。図9で示される回路は、電流プログラミング方式と呼ばれる代表的な回路構成である。尚、本発明の表示装置で採用できる回路はこれに限るものではない。図9で示される回路90は、ドライブトランジスタ(TFT1)851、スイッチングトランジスタ(TFT2)852、保持容量(Ch)86、有機発光素子91から構成されている。尚、周知な回路構成であるため動作の詳細については説明を省略する。
ところで本発明の有機発光素子は、1つの発光点として利用して、ディスプレイ等の表示装置や照明装置や電子写真方式の画像形成装置の露光光源に使用することができる。
本発明の有機発光素子をディスプレイに利用した場合について以下に説明する。
図10は、図8及び図9で示される有機発光素子部及び回路部を1画素としてマトリックス状に配置した表示装置を示す模式図である。
図10の表示装置100において、画素101は、配線を介してゲートドライバ102と、ソースドライバ103とに接続され、各ドライバから供給される駆動パルスにより、発光状態あるいは非発光状態となる。
このように本発明の有機発光素子が、画素として同一面内に面内方向に複数配置されている領域が本発明の表示装置の表示領域である。即ち、本発明の有機発光素子は本発明の表示装置の表示領域として使用することができる。
本発明の表示装置は、例えば、テレビやPC用の表示装置、あるいは画像を表示する部分を有する機器であれば如何なる実施形態も問わない。例えば、本発明の表示装置が搭載される携帯型表示装置であってもよい。あるいはデジタルカメラ等の電子撮像装置や携帯電話の表示部に本発明の表示装置を使用することができる。
図11は、図10の表示装置をパネルモジュール化した構成例を示す模式図である。図11のパネルモジュール110は、図10に示される表示装置100に加え、インターフェースドライバ111と、ゲートドライバ102と、ソースドライバ103と、を筐体112で一体化したものである。尚、図11のパネルモジュール110において、図示はしていないが、接続端子等の外部機器との接続に必要な部品(インターフェース)が筐体112に内蔵されている。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]例示化合物No.2の合成
Figure 2010037279
100ml三ツ口フラスコ中にアルゴンガスを流入しフラスコ内をアルゴン雰囲気にした後、当該フラスコ中に以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
2,7−ジヨード−9,9−ジメチルフルオレン[1]:1.2g(2.69mmol)
ピナコールボラン体[2]:2.35g(5.92mmol)
トルエン:20ml
エタノ−ル:10mlを投入した。
次に、反応溶液をアルゴン気流下において室温で攪拌しながら、炭酸ナトリウム1.0gと水9.0mlとを混合して調製した水溶液を滴下し、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.62g(0.54mmol)を添加した。次に、反応溶液を室温で30分攪拌した後、約80℃に昇温してこの温度で5時間攪拌した。反応終了後、反応溶液中にクロロホルムを加えて希釈したときに、溶解せずに残った白色結晶をろ過した。続いて、この白色結晶にクロロホルム150mlを加えて、還流条件下で熱洗浄を行った後、析出した結晶を濾取した。この熱洗浄工程を2回繰り返した。次に、この白色結晶を昇華精製することにより、例示化合物No.2の精製結晶を0.6g(収率31%)得た。
[実施例2]例示化合物No.15の合成
Figure 2010037279
200ml三ツ口フラスコ中にアルゴンガスを流入しフラスコ内をアルゴン雰囲気にした後、当該フラスコ中に以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
2,7−ジブロモ−9,9−ジエチルフルオレン[3]:0.75g(1.98mmol)
ピナコールボラン体[4]:1.72g(4.35mmol)
トルエン:50ml
エタノ−ル:25ml
次に、反応溶液をアルゴン気流下において室温で攪拌しながら、炭酸ナトリウム2.5gと水23mlとを混合して調製した水溶液を滴下し、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.46g(0.40mmol)を添加した。次に、反応溶液を室温で30分攪拌した後、約80℃に昇温してこの温度で5.5時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム400mlを加えて抽出操作を行い、有機層を分液した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで脱水した後、溶媒をエバポレーターで除去することで粗生成物を得た。得られた粗生成物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン混合溶媒)を用いて目的化合物を単離した。次に、トルエン/ヘプタン混合溶媒を用いて再結晶を行った。次に、再結晶により得られた結晶を濾取し、減圧条件下加熱して乾燥した。以上により、例示化合物No.15の精製結晶を1.1g(収率73%)得た。
[実施例3]例示化合物No.21の合成
Figure 2010037279
300ml三ツ口フラスコ中にアルゴンガスを流入しフラスコ内をアルゴン雰囲気にした後、当該フラスコ中に以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
ジブロモフルオレン誘導体(化合物[5]):1.0g(2.46mmol)
ピナコール体(化合物[6]):2.3g(5.41mmol)
トルエン:90ml
エタノ−ル:30ml
次に、反応溶液をアルゴン気流下、室温で攪拌しながら、炭酸ナトリウム5.0gと水25mlとを混合して調製した水溶液を加え、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.14g(0.12mmol)を添加した。次に、反応溶液を還流させながら8時間攪拌した。反応終了後、有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次に、この有機層を濾過して減圧濃縮した後、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン混合溶媒)で精製した。次に、アセトンで還流しながら分散洗浄した後、得られた結晶を濾取することにより、例示化合物No.21を白色結晶として1.0g(収率48%)得た。
[実施例4]例示化合物No.32の合成
Figure 2010037279
300ml三ツ口フラスコ中にアルゴンガスを流入しフラスコ内をアルゴン雰囲気にした後、当該フラスコ中に以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
ジピナコール体(化合物[7]):1.0g(1.67mmol)
モノブロモ体(化合物[8]):2.8g(3.68mmol)
トルエン:160ml
エタノ−ル:40ml
次に、反応溶液をアルゴン気流中、室温で攪拌しながら、炭酸ナトリウム4.0gと水20mlとを混合して調製した水溶液を加え、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.10g(0.08mmol)を添加した。次に、反応溶液を還流させながら8時間攪拌した。反応終了後、有機層をクロロホルムで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ液を減圧濃縮した後、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン混合溶媒)で精製した。次に、アセトンで還流しながら分散洗浄した後、得られた結晶を濾取することにより、例示化合物No.32を白色結晶として1.1g(収率40%)得た。
上記以外の化合物も同様に合成することができる。
[実施例5]
図7に示される有機発光素子を以下に示す方法により作製した。
まずガラス基板(基板1)上に、スパッタ法により酸化錫インジウム(ITO)を成膜し陽極2を形成した。このとき陽極2の膜厚を120nmとした。次に、陽極2が形成されているガラス基板をアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄した。居城の方法により処理した基板を透明導電性支持基板として使用した。
次に、透明導電性支持基板上に、スピンコート法により、下記に示されるアリールアミン化合物の0.2重量%クロロホルム溶液を塗布・成膜することにより正孔輸送層5を形成した。このとき正孔輸送層5の膜厚を15nmとした。
Figure 2010037279
次に、正孔輸送層5上に、真空蒸着法により下記に示す蛍光性化合物を成膜し発光層3を形成した。このとき発光層3の膜厚を30nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を0.2nm/sec乃至0.3nm/secとした。
Figure 2010037279
次に、発光層3上に、真空蒸着法により、例示化合物No.2を成膜して正孔/エキシトンブロッキング層9を形成した。このとき正孔/エキシトンブロッキング層9の膜厚を20nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を0.2nm/sec乃至0.3nm/secとした。
次に、正孔/エキシトンブロッキング層9上に、真空蒸着法により、バソフェナントロリンを成膜し電子輸送層6を形成した。このとき電子輸送層6の膜厚を10nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を0.2nm/sec乃至0.3nm/secとした。
次に、電子輸送層6上に、真空蒸着法により、カルシウムを成膜し電子注入層8となる金属層膜を形成した。このとき電子注入層8の膜厚を1nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を0.1nm/secとした。
次に、電子注入層8上に、真空蒸着法により、アルミニウムを成膜し陰極4を形成した。このとき陰極4の膜厚を150nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を1.0nm/sec乃至1.2nm/secとした。
次に、窒素雰囲気下で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。以上により有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子について、ITO電極(陽極2)を正極、Al電極(陰極4)を負極にして、6.5Vの直流電圧を印加すると素子に電流が流れた。このとき素子に流れる電流の電流密度は40mA/cm2であり、輝度1105cd/m2の青色の発光が観測された。
さらに、電流密度を20.0mA/cm2に設定して100時間連続して電圧を印加することで定電流耐久試験を行った。その結果、初期輝度が550cd/m2に対して100時間後の輝度が480cd/m2であったため輝度劣化は小さかった。
[実施例6乃至実施例11]
実施例5において、正孔/エキシトンブロッキング層9の構成材料を例示化合物No.2に代えて、例示化合物No.6,8,12,15,17,21をそれぞれ使用した他は実施例5と同様の方法により有機EL素子を作製した。また得られた有機EL素子について実施例5と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1及び比較例2]
実施例5において、正孔/エキシトンブロッキング層9の構成材料を例示化合物No.2に代えて、下記に示される比較化合物No.1及び比較化合物No.2をそれぞれ使用した他は実施例5と同様の方法により有機EL素子を作製した。また得られた有機EL素子について実施例5と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2010037279
[比較例3]
実施例5において、正孔/エキシトンブロッキング層9を設けず、電子輸送層6の膜厚を30nmとした他は実施例5と同様の方法により有機EL素子を作製した。また得られた有機EL素子について実施例5と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2010037279
[実施例12]
図4に示される有機発光素子を以下に示す方法により作製した。
まず実施例5と同様の方法により透明導電性支持基板を作製し洗浄処理を行った。次に、この基板上に、スピンコート法により、バイトロンP Al−4083(スタルク社製)を成膜し正孔注入層7を形成した。このとき正孔注入層7の膜厚を50nmとした。
次に、下記に示される赤色発光特性を有するIr錯体と例示化合物No.15との混合物をトルエンに溶解して発光層用塗布液を調製した。このときIr錯体と例示化合物No.15との混合比を2:98(重量比)とし、発光層用塗布液中の当該混合物の濃度を1重量%となるようにした。
Figure 2010037279
次に、正孔注入層7上に、スピンコート法により、先程調製した発光層用塗布液を塗布・成膜することにより発光層3を形成した。このとき発光層3の膜厚は60nmであった。
次に、発光層3上に、真空蒸着法により、バソフェナントロリンを成膜し電子輸送層6を形成した。このとき電子輸送層6の膜厚を40nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を0.2nm/sec乃至0.3nm/secとした。
次に、電子輸送層6上に、真空蒸着法により、フッ化リチウムを成膜し電子注入層8を形成した。このとき電子注入層8の膜厚を1nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を0.1nm/secとした。
次に、電子注入層8上に、真空蒸着法により、アルミニウムを成膜し陰極4を形成した。このとき陰極4の膜厚を150nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を1.0nm/sec乃至1.2nm/secとした。
次に、窒素雰囲気下で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。以上により有機EL素子を得た。
得られた素子について、ITO電極(陽極2)を正極、Al電極(陰極4)を負極にして、6.5Vの直流電圧を印加すると素子に電流が流れた。このとき素子に流れる電流の電流密度は30mA/cm2であり、輝度1550cd/m2の赤色の発光が観測された。
さらに、電流密度を20.0mA/cm2に設定して100時間連続して電圧を印加することで定電流耐久試験を行った。その結果、初期輝度が1170cd/m2に対して100時間後の輝度が965cd/m2であったため輝度劣化は小さかった。
[実施例13乃至実施例18]
実施例13において、発光層3のホストを例示化合物No.15に代えて、例示化合物No.17,18,21,25,28,32をそれぞれ使用した他は実施例12と同様の方法により有機EL素子を作製した。また得られた有機EL素子について実施例12と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例12において、発光層3のホストを例示化合物No.15に代えて、下記に示される比較化合物No.3を使用した他は実施例12と同様の方法により有機EL素子を作製した。また得られた有機EL素子について実施例12と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2010037279
Figure 2010037279
[実施例19]
図3に示される有機発光素子を以下に示す方法により作製した。
まず実施例5と同様の方法により透明導電性支持基板を作製し洗浄処理を行った。次に、この基板上に、スピンコート法により、下記に示されるアリールアミン化合物の0.1重量%クロロホルム溶液を塗布成膜することで正孔輸送層5を形成した。このとき正孔輸送層5の膜厚は11nmであった。
Figure 2010037279
次に、正孔輸送層5上に、例示化合物No.2と、実施例12で使用したIr錯体と、を蒸着レート比が[例示化合物No.2]:[Ir錯体]=5nm/sec:0.1nm/secとなるように共蒸着して発光層3を形成した。このとき発光層3の膜厚を50nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとした。
次に、発光層3上に、真空蒸着法により、バソフェナントロリンを成膜し電子輸送層6を形成した。このとき電子輸送層6の膜厚を30nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を0.2nm/sec乃至0.3nm/secとした。
次に、電子輸送層6上に、真空蒸着法により、陰極4として、アルミニウムとリチウムとからなる蒸着材料(当該材料中のリチウムの濃度は1原子%である。)を成膜し金属膜を形成した。このとき金属膜の膜厚を50nmとした。次に、この金属膜上に、真空蒸着法により、アルミニウムを成膜しアルミニウム層を形成した。このときアルミニウム層の膜厚を150nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を1.0nm/sec乃至1.2nm/secとした。
次に、窒素雰囲気下で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。以上により有機EL素子を得た。
得られた素子について、ITO電極(陽極2)を正極、Al電極(陰極4)を負極にして、6.0Vの直流電圧を印加すると素子に電流が流れた。このとき素子に流れる電流の電流密度は30mA/cm2であり、輝度1740cd/m2の赤色の発光が観測された。
さらに、電流密度を20.0mA/cm2に設定して100時間連続して電圧を印加することで定電流耐久試験を行った。その結果、初期輝度が1310cd/m2に対して100時間後の輝度が1150cd/m2であったため輝度劣化は小さかった。
[実施例20]
実施例19において、発光層3のホストを例示化合物No.2に代えて例示化合物No.15とする以外は、実施例19と同様の方法により有機EL素子を作製した。また得られた有機EL素子について実施例19と同様に評価を行った。
具体的には、得られた素子について、ITO電極(陽極2)を正極、Al電極(陰極4)を負極にして、6.0Vの直流電圧を印加すると素子に電流が流れた。このとき素子に流れる電流の電流密度は30mA/cm2であり、輝度1760cd/m2の赤色の発光が観測された。
さらに、電流密度を20.0mA/cm2に設定して100時間連続して電圧を印加することで定電流耐久試験を行った。その結果、初期輝度が1330cd/m2に対して100時間後の輝度が1120cd/m2であったため輝度劣化は小さかった。
本発明によれば、新規なフルオレン化合物、及び高効率で、耐久性に優れ長寿命の有機EL素子を提供することができる。また、本発明の有機EL素子はディスプレイ、パネルモジュール又は携帯型表示装置への応用が可能である。
本発明における有機EL素子における第一の実施形態を示す断面図である。 本発明における有機EL素子における第二の実施形態を示す断面図である。 本発明における有機EL素子における第三の実施形態を示す断面図である。 本発明における有機EL素子における第四の実施形態を示す断面図である。 本発明における有機EL素子における第五の実施形態を示す断面図である。 本発明における有機EL素子における第六の実施形態を示す断面図である。 本発明における有機EL素子における第七の実施形態を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る有機発光素子とそれを駆動するための回路と配線を示す模式的断面図である。 図8の回路の詳細を示す図である。 図8及び図9で示した有機発光素子と回路を1画素としてマトリックス状に配置し、ディスプレイを構成した状態を示す模式図である。 図10で示したディスプレイをパネルモジュール化した構成を示す模式図である。
符号の説明
1,81 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
9 正孔/エキシトンブロッキング層
10,20,30,40,50,60,70,91 有機発光素子
80,100 表示装置
82 有機発光素子部
83 回路部
84 データ配線
851 ドライブトランジスタ(TFT1)
852 スイッチィングトランジスタ(TFT2)
86 保持容量(Ch)
87 下部電極
88 有機化合物層
89 上部電極
90 回路
101 画素
102 ケースドライバ
103 ソースドライバ
110 パネルモジュール
111 インターフェースドライバ
112 筐体

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で示されることを特徴とするフルオレン化合物。
    Figure 2010037279
    (式(1)において、R1乃至R34は、それぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基を示す。該アルキル基は枝分かれ構造を有する置換基であってもよいし、さらに別の置換基を有してもよい。nは、1乃至10の整数である。)
  2. 陽極と陰極と、
    該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物層と、から構成され、
    該有機化合物層に請求項1に記載のフルオレン化合物が含まれることを特徴とする、有機EL素子。
  3. 前記フルオレン化合物が発光層の陰極側において発光層と直接接する層に含まれることを特徴とする、請求項2に記載の有機EL素子。
  4. 前記フルオレン化合物が電子輸送層又は正孔ブロッキング層に含まれることを特徴とする、請求項2に記載の有機EL素子。
  5. 前記フルオレン化合物が発光層に含まれることを特徴とする、請求項2に記載の有機EL素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機EL素子と、該有機EL素子を駆動する駆動回路とを、それぞれ複数有することを特徴とする表示装置。
  7. 請求項6に記載の表示装置と、外部機器とのインターフェースと、を備えることを特徴とするパネルモジュール。
  8. 請求項6に記載の表示装置が搭載されることを特徴とする、テレビ。
  9. 請求項6に記載の表示装置が搭載されることを特徴とする、携帯型表示装置。
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WO2012133209A1 (ja) * 2011-03-30 2012-10-04 住友化学株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2016057353A (ja) * 2014-09-05 2016-04-21 キヤノン株式会社 電子写真感光体、電子写真装置およびプロセスカートリッジ
JP2019202997A (ja) * 2014-04-17 2019-11-28 ロモックス リミテッドLomox Limited フルオロアルキルフルオレン誘導体

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