JP2010037148A - 圧電磁器組成物、圧電素子、及び発振子 - Google Patents

圧電磁器組成物、圧電素子、及び発振子 Download PDF

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英明 曽根
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Abstract

【課題】1200℃より低い温度で焼成した場合であっても、従来の圧電素子に比べて高密度の圧電素子を得ることができ、且つ圧電素子の発振特性を従来の圧電素子に比べて安定させることができる圧電磁器組成物を提供すること。
【解決手段】チタン酸鉛とMn元素とを含有する複合酸化物と、Mo元素と、を含み、MoOに換算したMo元素の含有量が、複合酸化物100質量部に対して0.8〜1.6質量部である、圧電磁器組成物。
【選択図】図3

Description

本発明は、圧電磁器組成物、圧電素子、及び発振子に関する。
圧電磁器組成物は、外部から圧力を受けることによって電気分極を起こす圧電効果と、外部から電界を印加されることにより歪みを生じる逆圧電効果とを有するため、電気エネルギーと機械エネルギーとの相互変換を行うための材料として用いられる。このような圧電磁器組成物は、例えば、レゾネータ(発振子)、フィルタ、センサ、アクチュエータ、着火素子あるいは超音波モーター等の多種多様な製品で使用されている。
圧電磁器組成物としては、例えば、PbTiO又はPbTiO−PbZrO等のチタン酸鉛系の組成物に対して、Pb(Mn1/3Nb2/3)O等を添加して、Ti又はZrサイトをMn、Nbで置換した組成物が挙げられる。このように、Pb(Mn1/3Nb2/3)O等の添加物によって、圧電磁器組成物に所望の特性を付与することができる。例えば下記特許文献1には、{Pb(1−3x/2)±(0〜0.20)}TiO(ただし、0.01≦x≦0.40、MはLa,Nd,Pr,Ce,Smのうち少なくとも一種以上)を主成分とし、副成分としてNbとMnO2を含有したことを特徴とする圧電磁器組成物が開示されている。
特開2000−1367号公報
上述した従来の圧電磁器組成物は、焼結に最適な焼成温度が高い。したがって、十分な密度を有する圧電素子を得るためには、圧電磁器組成物を1200℃以上もの高温で焼成して焼結させなければならない。ここで、内部電極を有する圧電素子を作製する場合には、圧電磁器組成物と内部電極とを一体焼成する必要があるが、圧電磁器組成物と内部電極とを1200℃以上の高温で焼成するためには、そのような高温でも融解しない金属、すなわち融点の高い金属を内部電極の材料として用いなければならない。このような理由から、従来、内部電極の材料はPt等の貴金属に限られている。そのため、圧電素子の製造コストが高くなってしまうことが問題となる。製造コストを削減するためには、Pt等より比較的安価なPd電極やAg−Pd電極を使用する必要があるが、Pd電極やAg−Pd電極は、Ptに比べて融点が低いため、1200℃以上の高温で融解する恐れがある。したがって、Pd電極やAg−Pd電極と共に1200℃より低い温度(Pd又はAg−Pd合金の融点未満の温度)で焼成した場合であっても焼結可能であり、十分な密度を有する圧電素子を得ることが可能な圧電磁器組成物を開発することが求められている。
また、従来の圧電磁器組成物を1200℃より低い温度で焼成した場合、得られた圧電素子の発振が不安定となる(発振周波数が安定しない)ことが問題であった。
そこで、本発明は、1200℃より低い温度(以下、「低温」と記す。)で焼成した場合であっても、従来の圧電磁器組成物を低温で焼成して得た圧電素子(以下、「従来の圧電素子」と記す。)に比べて高密度の圧電素子を得ることができ、且つ当該圧電素子の発振特性を従来の圧電素子に比べて安定させることができる圧電磁器組成物、当該圧電磁器組成物からなる圧電素子、及び圧電素子を使用した発振子を提供することを目的とする。
本発明の圧電磁器組成物は、チタン酸鉛とMn元素とを含有する複合酸化物と、Mo元素と、を含み、MoOに換算したMo元素の含有量が、複合酸化物100質量部に対して0.8〜1.6質量部である。
本発明の圧電素子は、上記本発明の圧電磁器組成物からなる。
上記本発明の圧電磁器組成物は、上記組成を有するため、低温で焼成した場合であっても十分に焼結することができる。そのため、上記本発明の圧電磁器組成物によれば、低温で焼成した場合であっても、従来の圧電素子に比べて高密度の圧電素子を得ることが可能となる。また、上記組成を有する本発明の圧電磁器組成物によれば、低温で焼成した場合であっても、従来の圧電素子に比べて安定した発振特性を有する圧電素子(発振周波数が変動し難い圧電素子)を得ることができる。
なお、本発明において、圧電素子の発振特性は、下記数式(A)に示すq値で表される。
q=20log10(R/Z)・・・(A)
式(A)中、Rは共振周波数での圧電素子のインピーダンスであり、Zは反共振周波数での圧電素子のインピーダンスである。
q値が大きい圧電素子は、その発振特性が温度の変動等の外的要因に影響され難く、長時間にわたって一定の周波数で発振することが可能であり、また低電圧下においても一定の周波数で発振することができる。すなわち、q値が大きいほど、圧電素子の発振特性は安定し、q値が小さいほど圧電素子の発振特性は不安定となる。上記本発明の圧電磁器組成物によれば、従来の圧電素子に比べてq値の大きい圧電素子を得ることが可能となる。
本発明の発振子は、対向する一対の電極と、一対の電極の間に挟まれた上記本発明の圧電素子と、を備える。
上記本発明の発振子では、圧電素子が上記組成を有する圧電磁器組成物からなるため、従来の圧電素子を備える発振子に比べて、発振特性(発振周波数)が安定する。
上記本発明の圧電磁器組成物では、複合酸化物が、
(Pbαβ)(Ti1−(x+y+z)ZrMnNb)O
[式中、MはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びSrからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。]
で表される組成を有し、0.84≦α<1.00、0<β≦0.10、0≦x<0.40、
0.02≦y<0.05、及び0≦z≦0.1を満たすことが好ましい。
これにより本発明による効果が特に顕著に奏される。
本発明によれば、低温で焼成した場合であっても、従来の圧電素子に比べて高密度の圧電素子を得ることができ、且つ当該圧電素子の発振特性を従来の圧電素子に比べて安定させることができる圧電磁器組成物、当該圧電磁器組成物からなる圧電素子、及び圧電素子を使用した発振子が提供される。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の圧電磁器組成物を使用した発振子について、好適な実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は発振子の一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。図1及び図2に示す発振子1は、対向する一対の振動電極3と、振動電極3の間に挟まれた直方体状の圧電素子2と、から構成される。圧電素子2の上面の中央に1つの振動電極3が形成され、圧電素子2の下面の中央に別の振動電極3が形成されている。圧電素子2は本実施形態の圧電磁器組成物を焼結させ、さらに分極処理することによって形成される。振動電極3はAg等の導電材から構成されている。
圧電素子2の寸法は、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、例えば縦1.0〜4.0mm×横0.5〜4.0mm×厚さ50〜300μm程度である。また、振動電極3の形状は通常円形であり、その寸法は、例えば直径0.5〜3.0mm、厚み0.5〜5μm程度である。
上記圧電磁器組成物は、チタン酸鉛及びMn元素を含有するペロブスカイト構造型の複合酸化物を主成分として含む。また、上記圧電磁器組成物は副成分としてMo元素を含有する。上記圧電磁器組成物では、MoOに換算したMo元素の含有量が、複合酸化物100質量部に対して0.8〜1.6質量部である。すなわち、MoOに換算したMo元素の含有量を複合酸化物100質量部に対してm質量部とするとき、0.8≦m≦1.6である。
本実施形態では、圧電磁器組成物が上記組成を有するため、圧電磁器組成物からなる圧電素子2の密度が従来の圧電素子に比べて高くなると共に、圧電素子2のq値が従来の圧電素子に比べて大きくなる。また、従来の圧電素子に比べて大きなq値を有する圧電素子2を備える発振子1は、従来の圧電素子を備える発振子に比べて、安定した周波数で発振することができる。
mが0.8未満である場合、又はmが1.6より大きい場合、圧電磁器組成物を低温で焼成して得た圧電素子2の密度が低下したり、圧電素子2のq値が低下して発振子1の発振周波数が不安定になったりする傾向がある。本実施形態では、0.8≦m≦1.6とすることにより、これらの傾向を抑制できる。
上記圧電磁器組成物に含まれる複合酸化物は、下記化学式(1)で表される組成を有することが好ましい。
(Pbαβ)(Ti1−(x+y+z)ZrMnNb)O ・・・式(1)
式(1)中、MはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びSrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。元素Mとしては、これらの元素の中でも、本発明の効果を得易いという理由から、La又はSrが好ましい。また、元素MとしてLa及びSrを組み合わせて用いても良い。
上記複合酸化物は、0.84≦α<1.00を満たすことが好ましい。αが0.84未満又は1.00以上である場合、q値が低下する傾向がある。また、αが0.84未満では、圧電磁器組成物の抵抗率が低下し易くなるため、圧電素子2の製造時において圧電磁器組成物へ圧電性を付与するための分極処理がし難くなる傾向がある。また、αが1.00以上では、圧電磁器組成物からなる焼結体(圧電素子)の機械的強度が低下する傾向がある。αを上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。同様の観点から、0.84≦α≦0.96であることが好ましい。
上記複合酸化物は、0<β≦0.10を満たすことが好ましい。また、圧電磁器組成物を構成する複合酸化物が0<β≦0.08の範囲内でMを含有することによって、Qmaxが向上する。なお、Qmaxとは、位相角の最大値をθmax(単位:deg)としたときのtanθmaxであり、換言すれば、Xをリアクタンス、Rをレジスタンスとしたときの共振周波数と反共振周波数との間におけるQ(=|X|/R)の最大値である。圧電素子2を備える発振子1を発振回路に用いた場合、発振特性を保証するために圧電素子2のQmaxが大きいことが要求される。
βが0である場合、又はβが0.10より大きい場合、q値が低下する傾向がある。また、βが0では圧電素子2の焼結性が悪くなる傾向があり、適切に圧電特性が得られなくなる場合がある。また、βが0.10を越えると、キュリー温度が低下し、圧電素子2が加熱された際に脱分極し易くなる傾向がある。βを上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。同様の観点から、0.04≦β≦0.09であることが好ましい。
上記複合酸化物は、0≦x<0.40を満たすことが好ましい。xが0.40以上では、q値が小さくなる傾向がある。また、xが0.40以上では、キュリー温度が低下し、圧電素子2が加熱された際に脱分極し易くなる傾向があり、またQmaxが小さくなる傾向がある。xを上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。同様の観点から、0≦x≦0.20であることが好ましい。
上記複合酸化物は、0.02≦y<0.05を満たすことが好ましい。yが0.020未満又は0.05以上である場合、q値が小さくなる傾向がある。また、yが0.020未満ではQmaxが小さくなる傾向がある。また、yが0.05以上では、圧電磁器組成物の抵抗率が低下し易くなるため、圧電素子2の製造時において圧電磁器組成物へ圧電性を付与するための分極処理がし難くなる傾向がある。yを上記範囲内とすることによってこれらの傾向を抑制できる。同様の観点から、0.02≦y≦0.04であることが好ましい。
上記複合酸化物は、0≦z≦0.1を満たすことが好ましい。zが0.1を超える場合、q値が小さくなる傾向がある。また、zが0.1を超えると、キュリー温度が低下し、圧電素子2が加熱された際に脱分極し易くなる傾向がある。zを上記範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。同様の観点から、0≦z≦0.09であることが好ましい。
圧電磁器組成物は、上記化学式(1)で表される組成を有する複合酸化物以外の化合物を、不純物または微量添加物として含有していてもよい。係る化合物としては、例えば、Na、Al、Si、P、K、Ca、Fe、Cu、Zn、Hf、Ta又はWの酸化物がある。なお、上記圧電磁器組成物がこれらの酸化物等を含有する場合、圧電磁器組成物における各酸化物の含有率の合計値は、各元素の酸化物換算で、圧電磁器組成物全体の0.3重量%以下であることが好ましい。言い換えると、圧電磁器組成物のうち99.7重量%以上は式(1)で表される酸化物であることが好ましい。この場合、実質的に、圧電磁器組成物自体が式(1)で表される組成を有する。
上述した本実施形態の発振子1の製造方法は、主として、圧電素子2の原料粉末を造粒する工程と、この原料粉末をプレス成形して成形体を形成する工程と、成形体を焼成して焼結体を形成する工程と、焼結体を分極処理して圧電素子2を形成する工程と、圧電素子2に対して振動電極3を形成する工程とを備える。以下、発振子1の製造方法について具体的に説明する。
まず、圧電磁器組成物を調製するための出発原料を準備する。出発原料としては、上記化学式(1)で表されるペロブスカイト構造の複合酸化物を構成する各元素の酸化物および/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物(炭酸塩、水酸化物、シュウ酸塩、硝酸塩等)を使用できる。具体的な出発原料としては、PbO、ランタノイド元素の化合物(例えば、La,La(OH)等)、TiO,ZrO、MnOまたはMnCO、Nb等を使用すればよい。これらの各出発原料を、焼成後において上記化学式(1)で表される組成の複合酸化物が形成されるような重量比で配合する。さらに、配合された出発原料に、副成分であるMoの化合物(例えば、MoO等)を添加する。Moの化合物の添加量は、焼成後に得られる圧電磁器組成物において、MoOに換算したMo元素の含有量mが、複合酸化物100質量部に対して0.8〜1.6質量部となるように調整する。
次に、配合された出発原料をボールミル等により湿式混合する。この湿式混合された出発原料を仮成形して仮成形体を形成し、この仮成形体を仮焼成する。この仮焼成によって、上述した本実施形態の圧電磁器組成物を含有する仮焼成体が得られる。仮焼成温度は、700〜1050℃であることが好ましく、仮焼成時間は1〜3時間程度であることが好ましい。仮焼成温度が低過ぎると、仮成形体において化学反応が十分に進行しない傾向があり、仮焼成温度が高過ぎると、仮成形体が焼結し始めるため、その後の粉砕が困難となる傾向がある。また、仮焼成は、大気中で行ってもよく、また大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気または純酸素雰囲気で行ってもよい。また、湿式混合された出発原料を、仮成形することなくそのまま仮焼成してもよい。
得られた仮焼成体はスラリー化してボールミル等で微粉砕(湿式粉砕)した後、これを乾燥することにより微粉末を得る。得られた微粉末に必要に応じてバインダーを添加して、原料粉末を造粒する。なお、仮焼成体をスラリー化するための溶媒としては、水、エタノールなどのアルコール、または水とエタノールとの混合溶媒等を用いることが好ましい。また、微粉末に添加するバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールに分散剤を添加したもの、エチルセルロースなど、一般的に用いられる有機バインダーを挙げることができる。
次に、原料粉末をプレス成形することにより成形体を形成する。プレス成形する際の加重は、例えば100〜400MPaとすればよい。
得られた成形体には脱バインダー処理が施される。脱バインダー処理は、300〜700℃の温度で0.5〜5時間程度行うことが好ましい。また、脱バインダー処理は、大気中で行ってもよく、また大気よりも酸素分圧が高い雰囲気または純酸素雰囲気で行ってもよい。
脱バインダー処理後、成形体を焼成することによって、圧電磁器組成物からなる焼結体を得る。焼成温度は1050〜1250℃程度とすればよく、焼成時間は1〜8時間程度とすればよい。なお、成形体の脱バインダー処理と焼成とは連続して行ってもよく、別々に行ってもよい。なお、本実施形態では、1200℃より低い温度で成形体を焼成した場合であっても、従来の圧電磁器組成物からなる成形体を1200℃より低い温度で焼成して得た焼結体に比べて高密度の焼結体を得ることができる。
次に、焼結体を薄板状に切断し、これをラップ研磨して表面加工する。焼結体の切断に際しては、カッター、スライサーまたはダイシングソー等の切断機を用いて行うことができる。表面加工後、薄板状の焼結体の両面に、分極処理用の仮電極を形成する。仮電極を構成する導電材としては、塩化第二鉄溶液によるエッチング処理によって容易に除去できることから、Cuが好ましい。仮電極の形成には、真空蒸着法やスパッタリングを用いることが好ましい。
分極処理用の仮電極を形成した薄板状の焼結体に対して分極電界を印加して分極処理を施す。分極処理の条件は、焼結体を構成する圧電磁器組成物の組成に応じて適宜決定すればよいが、通常、分極処理される焼結体の温度は150〜300℃、分極電界を印加する時間は1〜30分間、分極電界の大きさは焼結体の抗電界の0.9倍以上とすればよい。
分極処理後、焼結体からエッチング処理などにより仮電極を除去する。そして、焼結体を所望の素子形状となるように切断して圧電素子2を形成する。この圧電素子2に振動電極3を形成することによって、本実施形態の発振子1が完成する。振動電極3の形成には、真空蒸着法やスパッタリングを用いることが好ましい。
以上、本発明の圧電磁器組成物及び発振子の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の圧電磁器組成物は、発振子以外に、フィルタ、アクチュエータ、超音波洗浄機、超音波モーター、霧化器用振動子、魚群探知機、ショックセンサ、超音波診断装置、廃トナーセンサ、ジャイロセンサ、ブザー、トランス又はライター等に使用してもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
出発原料として、酸化鉛(PbO)、水酸化ランタン(La(OH))、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸マンガン(MnCO)、酸化ニオブ(Nb)及び酸化モリブデン(MoO)の各粉末原料を準備した。これら各粉末原料を、本焼成後の磁器試料(焼結体)を構成する圧電磁器組成物の主成分(複合酸化物)の組成が(Pb0.96La0.04)[Ti0.76Zr0.15(Mn1/3Nb2/30.09]Oとなり、また圧電磁器組成物において、MoO3に換算したMo元素の含有量(以下、「MoO3含有量」と記す。)mが表1の「実施例1」に示す値となるように、秤量して配合した。
次に、配合された粉末原料の混合物と純水とをZrボールと共にボールミルで10時間混合してスラリーを得た。このスラリーを、十分に乾燥させた後でプレス成形し、これを1000℃で仮焼成して仮焼成体を得た。次に、仮焼成体をらいかい機及びボールミルで微粉砕した後、これを乾燥したものに、バインダーであるPVA(ポリビニルアルコール)の溶液(PVA濃度:10質量%)を適量加えて造粒した。得られた造粒粉を縦20mm×横20mmの金型に約3g入れ、1軸プレス成型機を用いて245MPaの荷重で成形した。成形した試料を700℃で1時間熱処理してバインダーを除去した後、1180℃で2時間焼成して、圧電磁器組成物から構成される焼結体(実施例1の磁器試料)を得た。なお、バインダーを除去するための熱処理、及び焼成では、昇温速度及び降温速度を共に200℃/1時間とした。
次に、アルキメデス法を用いて、得られた磁器試料の密度ρ(単位:g/cm)を測定し、密度ρに基づいて、磁器試料の相対密度(単位:%)を求めた。結果を表1に示す。なお、磁器試料の相対密度とは、磁器試料の理論密度を8.01g/cmとするとき、理論密度に対する実測密度ρの比率(ρ/8.01)×100で表される値である。磁器試料の相対密度は、95%以上であることが好ましい。
次に、得られた磁器試料を、両面ラップ盤で0.4mmの厚みに平面加工した後、これをダイシングソーで縦16mm×横16mmの寸法に切断した。切断後の磁器試料の両端部にAgペーストを塗布することにより、15mm×15mmの寸法を有する分極処理用の仮電極を一対形成した。仮電極が形成された磁器試料に対して、温度120℃のシリコンオイル槽中で5.5kV/mmの電圧(分極電界)を20分間印加して、分極処理を行った。分極処理後、仮電極を除去した磁器試料を再度ラップ盤で約0.3mmの厚さまで研磨し、これをダイシングソーで7mm×4.5mmの圧電素子2に加工した。次に、真空蒸着装置を用いて圧電素子2の両面にCrを0.01μmの厚さになるまで蒸着し、Crの表面にAgを1.25μmの厚さになるまで蒸着することによって、Cr層及びAg層からなるφ0.8の振動電極3を形成した。これにより、図1、2と同様の構成を有する発振子1を得た。
次に、インピーダンスアナライザー(Agilent社製4294A)を使用して、30MHz付近において、厚み縦振動の三次高調波モードにおける発振子1の共振周波数でのインピーダンスR及び反共振周波数でのインピーダンスZをそれぞれ測定した。次に、下記数式(A)を用いて、R及びZからq値(単位:dB(デシベル))を算出した。結果を表1に示す。q値が大きいほど発振子1の発振特性が安定するため、q値は大きいほど好ましく、具体的にはq値は50以上であることが好ましい。
q=20log10(R/Z)・・・(A)
(実施例2〜5、比較例1〜7)
焼成後の磁器試料(焼結体)を構成する圧電磁器組成物におけるMoO含有量mが、表1に示す値となるようにしたこと以外は実施例1と同様の方法で、実施例2〜5、比較例1〜7の磁器試料及び発振子を作製した。また、実施例1と同様の方法で、実施例2〜5、比較例1〜7の相対密度及びq値を測定した。結果を表1に示す。また、実施例1〜5、比較例1〜7それぞれのMoO含有量mに対して相対密度をプロットしたグラフを図3に示す。また、実施例1〜5、比較例1〜7それぞれのMoO含有量mに対してq値をプロットしたグラフを図4に示す。
Figure 2010037148
表1、図3及び4に示すように、MoO含有量mが0.8〜1.6質量部の範囲内である実施例1〜5では、相対密度が95%以上であり、且つq値が50以上であることが確認された。一方、MoO含有量mが0.8〜1.6質量部の範囲外である比較例1〜7では、相対密度が95%未満であったり、又はq値が50未満であったりすることが確認された。
(実施例6〜16、比較例8〜15)
焼成後の磁器試料(焼結体)を構成する圧電磁器組成物の組成が表2に示すものなるようにしたこと以外は実施例1と同様の方法で、実施例6〜16、比較例8〜15の磁器試料及び発振子を作製した。また、実施例1と同様の方法で、実施例6〜16、比較例8〜15の相対密度及びq値を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2010037148
表2に示すように、MoO含有量mが0.8〜1.6質量部の範囲内であり、且つ0.84≦α<1.00、0<β≦0.10、0≦x<0.40、0.02≦y<0.05、及び0≦z≦0.1である実施例6〜16では、相対密度が95%以上であり、且つq値が50以上であることが確認された。
一方、MoO含有量mが0.8〜1.6質量部の範囲外であり、且つαが0.84≦α<1.00を満たさない比較例8、9、MoO含有量mが0.8〜1.6質量部の範囲外であり、且つβが0<β≦0.10を満たさない比較例10、14、MoO含有量mが0.8〜1.6質量部の範囲外であり、且つxが0≦x<0.40を満たさない比較例11、MoO含有量mが0.8〜1.6質量部の範囲外であり、且つyが0.02≦y<0.05を満たさない比較例12、15、MoO含有量mが0.8〜1.6質量部の範囲外であり、且つzが0≦z≦0.1を満たさない比較例13では、q値が50未満であることが確認された。また、比較例8、9、10、11、12、14では、相対密度が95%未満であることが確認された。
本発明の一実施形態に係る発振子を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。である。 実施例1〜5、比較例1〜7それぞれのMoO含有量mに対して相対密度をプロットしたグラフである。 実施例1〜5、比較例1〜7それぞれのMoO含有量mに対してq値をプロットしたグラフである。
符号の説明
1・・・発振子、2・・・圧電素子、3・・・振動電極。

Claims (4)

  1. チタン酸鉛とMn元素とを含有する複合酸化物と、Mo元素と、を含み、
    MoOに換算した前記Mo元素の含有量が、前記複合酸化物100質量部に対して0.8〜1.6質量部である、圧電磁器組成物。
  2. 前記複合酸化物が、
    (Pbαβ)(Ti1−(x+y+z)ZrMnNb)O
    [式中、MはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びSrからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。]
    で表される組成を有し、
    0.84≦α<1.00、
    0<β≦0.10、
    0≦x<0.40、
    0.02≦y<0.05、及び
    0≦z≦0.1
    を満たす、請求項1に記載の圧電磁器組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の圧電磁器組成物からなる圧電素子。
  4. 対向する一対の電極と、
    前記一対の電極の間に挟まれた請求項3に記載の圧電素子と、を備える発振子。
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