JP2010034245A - フォトダイオードの駆動方法及び光検出装置 - Google Patents

フォトダイオードの駆動方法及び光検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】吸収効率の良く、フィルタ無しで紫外線のみを検出できるワイドバンドギャップ半導体である酸化亜鉛(ZnO)などの半導体などで、p型、n型の双方が形成でき難い半導体であっても高感度に被測定光量が高感度で高精度であり、しかも再現性良く安定で、S/N比が大きい光検出装置を提供するための駆動方法とその光検出装置を提供する。
【解決手段】フォトダイオードに所定の順方向電圧と所定の時間印加した後、紫外線などの受光によるフォトダイオードの短絡光電流もしくはほぼ短絡光電流と見做せるような微小逆方向電圧を印加して光電流を計測するようにして、これらの短絡光電流から紫外線などの受光の量を計測する駆動方法で、順方向印加駆動回路と短絡電流の検出回路を有する光検出装置で、紫外線などの受光による短絡電流を計測する。
【選択図】図2

Description

本発明は、紫外線などの光の量を精度良く計測するためのフォトダイオードの駆動方法及び光検出装置に関するものである。
紫外線センサは、火災報知器やバーナの燃焼監視装置などの火炎センサとして、また、野外の紫外線照射量を測定するための簡易な装置としても用いられており、紫外線の吸収効率の良く、可視光線には透明であるために感度がほとんどないワイドバンドギャップ半導体である酸化チタン(特許文献1)やダイヤモンド半導体(特許文献2)を用いた紫外線センサが提案され、また、ダイヤモンド半導体やSiC半導体を用いたものも開発されて既に商品化されている。しかしながら、これらのダイヤモンド半導体、酸化チタン半導体やSiC半導体を用いた紫外線センサは、材料の加工が容易ではなく、高価であり、pn接合の形成が困難であるために、光伝導型センサやショットキ接合ダイオードセンサを利用しており、光伝導型センサでは暗電流が大きく、S/N比が悪いという問題があり、更に、ショットキ接合ダイオードセンサでは、界面準位による光電流の不安定性が問題になっていた。
最近、酸化亜鉛(ZnO)もそのバンドギャップエネルギーEgが3.2eVと大きく可視光線に対して透明で、紫外線以上のエネルギーの光しか吸収しないこと、また、p型のZnOが作成が困難であることから、n型ZnO層とp型(Ni,Zn)O層からなるpnヘテロ接合の紫外線センサが提案されている(特許文献3)。しかしながら、ZnOがNiOに固溶してなるp型の酸化物半導体(Ni,Zn)O層は焼結体からなるものであって、NiとZnとの混成割合の微妙な差異が特性に大きく影響するものであり、画一的なセンサを作成することが困難であった。また、逆方向のバイアス電圧を1Vも印加していることから暗電流が大きく、S/N比が悪いという問題もあった。
また、従来、良質のpn接合ダイオードではなく、ヘテロ接合やショットキ接合ダイオードには、多量の界面準位が存在し、紫外線などを受光したときに光励起されたキャリアがこれらの界面準位に捕獲(トラップ)されて、界面準位のエネルギー位置や捕獲断面積などにより異なるが、秒、分、場合によっては何時間や何日と言うゆっくりとした時定数で緩和されることが知られている。これは、室温のエネルギーは約25meVであるのに対して、100meV以上の深い準位からの室温によるキャリアの熱励起は、極めて僅かであり、深くなればなるほど深い準位にトラップされているキャリアはゆっくりと充放電される。深い準位にトラップされた電荷により半導体のエネルギーバンドの曲がりが異なるので、紫外線受光で光励起されたキャリアによる光電流もゆっくりとしかも履歴現象を有する形で変化する。このために、高速の紫外線などの光計測や高精度な計測が困難であった。
特開2004−172166号公報 特開2007−139424号公報 特開2007−294639号公報
本発明は、上述の問題点を解消するためになされたもので、吸収効率の良く、フィルタ無しで紫外線のみを検出できるワイドバンドギャップ半導体である酸化亜鉛(ZnO)などの半導体を用いた場合で、p型、n型の双方が形成でき難い半導体であっても高感度に被測定光量が高感度で高精度であり、しかも再現性良く、S/N比が大きい光検出装置を提供するための駆動方法とその光検出装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係わるフォトダイオードの駆動方法は、被測定光を照射して、受光の量を計測するためのフォトダイオードの駆動方法において、このフォトダイオードに所定の順方向電圧を所定の時間印加した後、受光によるこのフォトダイオードの短絡光電流もしくは暗電流が無視できる程度の所定の微小逆方向電圧印加時における光電流を計測するようにして、この短絡光電流もしくはこの所定の微小逆方向電圧印加時における光電流の大きさから受光の量を計測するようにしたことを特徴とするものである。
可視光線では透明である酸化亜鉛(ZnO)などのワイドバンドギャップ半導体では、上述のように、p型またはn型のどちらかの伝導型の半導体しか作成が困難な場合が多い。したがって、ホモ接合のpn接合ダイオードの製作が困難で、どうしてもショットキ接合型やヘテロ接合型のダイオードを形成しなければならないことが多い。また、可視光線には感度がなくて、フィルタの不必要で、紫外線以上のエネルギーの光のみ受光するには、このようなワイドバンドギャップの半導体のダイオードが好適である。しかしながら、上述のように、ヘテロ接合やショットキ接合ダイオードには、多量の界面準位が存在し、紫外線を受光したときに光励起されたキャリアがこれらの界面準位に捕獲(トラップ)されたり、界面準位からゆっくり放出したりして、高速の紫外線計測や再現性のある高精度な計測が困難であった。
本発明のフォトダイオードの駆動方法では、フォトダイオードとしてショットキ接合型やヘテロ接合型のダイオードを形成して、界面にこのような多量の界面準位が存在していても、所定の順方向電圧を大きく印加することにより順方向電流を多く流して、これらの界面準位をキャリアで充満させて、その後直ちに、フォトダイオードのダイオードを短絡させるか、もしくは、所定の0.1V以下程度(例えば、20mV程度)の僅かな逆方向バイアスを印加するかして、ほぼ短絡光電流とみなせる光電流を計測する。紫外線などの光を照射しながらダイオードの順方向印加電圧をオフにして、ダイオードを短絡すると、ダイオードに光起電力が発生しており、これに基づく短絡光電流が流れる。この短絡光電流は、順方向電流とは逆方向に流れるので、検出回路上、容易に短絡光電流のみを計測することができる。ただ、ショットキ接合ダイオードなどのダイオードでは、強制的に順方向電圧を印加しない状態での紫外線などの光照射により、いわば太陽電池のように光起電力により順方向バイアスされている。そこで受光による光起電力を多少でも打ち消すように、例えば、20mV程度の微小な逆方向バイアスを印加して、光励起されたキャリアを引き抜くようにする方が、光電流(逆方向バイアスが極めて僅かなので、ほぼ短絡光電流とみなせる)は、安定な再現性の良い結果が得られやすいことが実験的に判明した。また、逆方向バイアスを例えば、1V程度と大きくすると、リーク電流などの暗電流が増えて問題となるので、暗電流が無視できる程度の逆方向電圧印加とすることが大切である。もちろん、完全に短絡光電流が計測できるようにすると電気回路が単純であり、安価な装置が提供できる。
本発明は、ショットキ接合ダイオードなどの界面準位があっても、時定数の長い界面準位へのキャリアの出入りに基づく不安定な履歴現象を、所定の高い順方向電圧に基づく大電流を接合に流し、界面準位へのキャリアトラップで、一定強度の被測定光量に対して短絡光電流の初期値を揃えることを意図したもので、ここを基準としているから安定に紫外線などの光量に応じた短絡光電流を高精度で高速に計測することができる。
本発明の請求項2に係わるフォトダイオードの駆動方法は、フォトダイオードに所定の順方向電圧印加とその後の短絡光電流もしくは所定の微小逆方向電圧印加時における光電流の計測を繰り返し行うようにした場合である。
順方向電圧印加に基づく順方向電流からのキャリアの界面準位への捕獲(トラップ)は、非常に早く行われるが、熱励起などでの界面準位からの放出は上述のように秒以上のゆっくりとした現象である。したがって、例えば、1ミリ秒以下程度の高速の繰り返し順方向印加電圧と、これに引き続く短絡光電流の計測により、被測定光量に比例した短絡光電流を計測することができる。順方向電圧印加の大きさは、n型ZnOと白金(Pt)とのショットキ接合ダイオードにおいては、4V程度が良いことも実験的に判明している。
本発明の請求項3に係わる光検出装置は、被測定光を照射して、受光の量を計測するためのフォトダイオードを用いた光検出装置において、順方向印加駆動回路と短絡光電流もしくは所定の微小逆方向電圧印加時における光電流の検出回路を具備し、このフォトダイオードに所定の順方向電圧を所定の時間印加した後、受光によるフォトダイオードの短絡光電流もしくは暗電流が無視できる程度の所定の微小逆方向電圧印加時における電流から受光の量を計測するようにしたことを特徴とするものである。
本発明の光検出装置は、上述の本発明のフォトダイオードの駆動方法を適用した光検出装置で、本発明の動作のために不可欠な順方向印加駆動回路と短絡光電流もしくは所定の微小逆方向電圧印加時における光電流の検出回路を搭載した装置である。
本発明の請求項4に係わる光検出装置は、フォトダイオードに酸化亜鉛を用いた場合である。酸化亜鉛(ZnO)の半導体はn型が作成しやすく、これに白金(Pt)を紫外線などの光に対して半透明になる程度の薄くスパッタリング堆積させて、簡単なショットキ接合ダイオードを作成して光検出装置のセンサとして用いることができる。ZnOの酸素(O)面よりは亜鉛(Zn)面にショットキ障壁を形成した方が安定な特性が得られることが実験的に判明している。
本発明の請求項5に係わる光検出装置は、フォトダイオードとして、pn接合、ヘテロ接合もしくはショットキ接合ダイオードを用いた場合である。pn接合ダイオードでも、接合面に界面準位が存在したり、又は深い準位が接合付近に存在した場合には、上述のように、これらの深い準位を順方向電流に基づくキャリアで埋めて、このエネルギー状態を基準として短絡光電流を計測すると再現性が良く、安定で、高速、高精度な紫外線などの光計測が得られる。
本発明のフォトダイオードの駆動方法を用いることにより、所定の順方向電圧印加に基づく順方向電流により界面準位や深い準位が同一条件で埋められるなど、接合のエネルギー状態をリセットして初期化できるので、多少の界面準位や深い準位が存在していても、短絡光電流の揺らぎが最小限に抑えられること及びS/N比が大きく取れるため、紫外線などの光の量を精度良く、しかも高速に計測ができるという利点がある。
本発明のフォトダイオードの駆動方法によれば、例えば1キロヘルツ(kHz)程度の高速で所定の順方向電圧を繰り返し印加して順方向電流を流し、短絡光電流の計測における初期状態を同一条件に設定できるので、秒以上の長い時定数をもつ変化を無視できると共に安定で履歴現象(ヒステリシス現象)を持たない高精度な短絡光電流または微小逆方向バイアス電圧印加時のほぼ短絡電流の計測ができる。
本発明の光検出装置によれば、酸化亜鉛(ZnO)のように、必ずしもp型とn型の双方が得られない、又は得られ難いワイドバンドギャップの半導体であってもフォトダイオードとしてのショットキ接合ダイオードが形成できるので、安価で簡便なフォトダイオードが提供できると言う利点がある。
本発明の光検出装置によれば、ほぼ暗電流が少ない短絡光電流を計測できるので、単純な回路で高精度な光検出装置が提供できる。
フォトダイオードとして、n型酸化亜鉛(ZnO)基板の亜鉛面に3nm厚み程度の薄い白金(Pt)薄膜をショットキメタルとして形成し、ショットキ接合ダイオードを形成する。なお、この表面のショットキメタルであるPtの一部を第1電極とし、n型酸化亜鉛(ZnO)基板の裏面にオーム性電極を形成して、これを第2電極として利用する。被測定光を照射しながら第1電極に所定の電圧としてプラスの矩形波電圧3.8Vの一定値を、所定の時間としての0.5msec(ミリ秒)間第2電極(アース)に対して順方向印加駆動回路を用いて印加すると、順方向電流が流れ、このときのキャリアである電子が、フォトダイオードであるショットキ接合ダイオードの界面準位を埋めることになる。その後、短絡して0Vとなるようにして、短絡光電流を増幅回路により増幅しながら計測する。短絡光電流は、順方向電流とは逆方向に流れるので、短絡光電流の検出回路で順方向電流とは区別して短絡光電流のみを計測できる。この短絡光電流を電圧に変換して出力電圧として出力できるようにしておき、被測定光量との校正値との関係から被測定光量を求める。
図1は、本発明のフォトダイオード10をn型酸化亜鉛(ZnO)の基板1を用いて、白金Ptをショットキメタル2としてショットキ接合ダイオードを作成したときの一実施例のショットキ接合ダイオードの構造を示す概略図である。図1(a)はショットキ接合ダイオードの平面概略図、図1(b)はその断面概略図である。
実際に作成したショットキ接合ダイオードの概要を述べると次のようである。チップサイズは、1mm角で、厚み0.3mmのn型ZnO基板1であり、型ZnO基板の亜鉛(Zn)面にショットキメタル2として3nm厚程度にPtをスパッタリング堆積させた後、裏面の酸素(O)面にn型ZnOにZnを含む金属などでオーム性電極3を形成し、更にショットキメタル2の上にメタルマスクを通して、第1電極5としての銅(Cu)をスパッタリング堆積させる。また、オーム性電極3は第2電極6としても利用する。これを実際にはそれぞれの端子7をTO−5パッケージに取り付けて完成となる。
図2は、本発明の図1に示したフォトダイオード10を有する紫外線用の光検出装置の駆動測定回路の一実施例である。フォトダイオードの駆動原理を説明すると次のようである。
被測定光(ここでは紫外線)を紫外線センサとしてのフォトダイオード10に照射しながら、順方向印加駆動回路101を通して、発信器で形成した入力電圧波形11としての1kHzの所定の順方向電圧としての矩形波順方向電圧3.8Vをフォトダイオード10に、所定の時間として0.5ミリ秒(msec)間印加し、フォトダイオード10のショットキ接合ダイオードの界面準位をそのときに流れる電流のキャリアである電子で埋め、次の矩形波順方向電圧サイクルのうちのゼロボルト(0V)の印加電圧によりフォトダイオード10の短絡光電流を計測する。図2に示す実施例の回路では、スイッチ40を用いて、OPアンプ15の帰還抵抗R(例えば100kΩ)側をオン状態(導通状態)にすると短絡光電流が増幅されるようにしてあり、スイッチ40を入力電圧波形11としての1kHzの矩形波順方向電圧3.8Vの立上がりに同期してノイズ吸収用のコンデンサCがある側に倒すとフォトダイオード10のショットキ接合ダイオードに発振器100で形成した入力電圧波形11の矩形波順方向電圧3.8Vが印加されるようになっている。このときの順方向印加駆動回路101の出力V30は、スイッチ40の内部抵抗がゼロの理想的な場合にはゼロであるが、実際には内部抵抗が存在するので、反転増幅回路であるOPアンプ15の帰還抵抗としてのスイッチ40の内部抵抗を通して電圧が反転されて負の電圧が発生する。このときの負の電圧である出力V30は、フォトダイオード10のショットキ接合ダイオードの界面準位を埋めるために流した大きな順方向電流に基づく発生電圧であるから、この順方向電流に基づく発生電圧は短絡光電流ではないから短絡光電流の出力としては除去する必要がある。このために純粋の短絡光電流のみを検出するために次段の短絡光電流の検出回路102を用いる。この短絡光電流の検出回路102は、OPアンプ16の出力端にダイオード26を持ち、順方向印加駆動回路101の出力V30が正のときだけその出力V31が得られるようにした整流回路であり、フォトダイオード10への発振器100で形成した入力電圧波形11のうちの印加電圧がゼロとなるサイクルでは、フォトダイオード10が、紫外線などの受光による光起電力のために順方向バイアスされるが光電池となるので、順方向電流とは逆方向に流れるこの短絡光電流が反転増幅回路であるOPアンプ15の帰還抵抗Rを通して増幅されて正の値となり、この短絡光電流成分のみ出力抵抗Rを通して出力電圧V31として出力される。結局、図2に示した回路により、フォトダイオード10に被測定光を照射していながらフォトダイオード10のショットキ接合ダイオードの界面準位を1kHzの周期でキャリアである電子で同一初期状態になるように埋めてリセットされ、このエネルギー状態を基準としてフォトダイオード10を短絡させたときの短絡光電流のみを短絡光電流の検出回路102の出力端子から出力電圧V31として出力されることになる。
上述では短絡光電流の検出回路102は、フォトダイオード10のショットキ接合ダイオードの界面準位を埋めるための順方向電流に基づく出力を除去する回路としてあるが、順方向印加駆動回路101のスイッチ40で、これを帰還抵抗R側に倒す動作が短絡光電流の検出回路の一部とみなすこともできる。このように便宜上、上述の実施例では、最も主な役割を演じる回路に名称をつけたに過ぎない。回路構成によっては、種々の変形があり、短絡光電流を検出する回路を有することが必要である。
図3(a)には、フォトダイオード10に印加する発振器100で形成した入力電圧波形11からの1kHzの所定の順方向電圧である矩形波順方向電圧3.8Vの波形を示す。また、図3(b)には、図3(a)に示した印加電圧に対応してフォトダイオード10に流れる電流の波形を示す。上述の図2に示した測定回路を用いると、矩形波順方向電圧3.8Vでは、フォトダイオード10に順方向電流が流れるが、矩形波順方向電圧が0Vでは、フォトダイオード10のショットキ接合ダイオードには、短絡光電流が流れ、これは順方向電流とは逆方向に流れる電流で照射された紫外線などの光量にほぼ比例して流れる。この電流の大きさから校正により照射された被測定光量を求めることができる。
上述では、入力電圧波形11からの1kHzの3.8Vの矩形波順方向電圧印加時間とゼロ電圧(フォトダイオード10の短絡)の時間は0.5ミリ秒(msec)と0.5ミリ秒(msec)の値であり、デューティ比は1:1であったが、例えば、これらを0.9msecと0.1msecとして9:1のようにするなど種々変更することができる。実験によると、3.8Vの矩形波順方向電圧を所定の印加時間として長く印加した方が安定な短絡光電流の特性が得られる傾向にあった。もちろん、入力電圧波形11からの1kHzではなく、10Hzにしても良いし、順方向印加電圧も3.8Vではなく、使用するフォトダイオード10としてのダイオードの特性に応じて、最適な値を選択すると良い。
実施例1では、図3に示したように所定の電圧として順方向印加電圧を1kHzの矩形波電圧3.8Vと0V(短絡)の場合であったが、図4(a)は、順方向印加電圧を1kHzの印加電圧のサイクルでは矩形波電圧3.8Vをそのままとし、次のサイクルでは、0V(短絡)ではなく、例えば、0.02V(20mV)程度逆方向バイアス電圧を印加するようにした場合の例を示している。図4(b)には、このときのフォトダイオード10に流れる電流を示してあり、光起電力による逆方向光電流の波形も示してある、このときの印加逆方向電圧は0.02V(20mV)と極めて少ないことからほぼ短絡光電流と見做すことができる。上述したように、この20mVの微小印加電圧であっても、フォトダイオード10としてのダイオードが僅かに光起電力を打ち消すので、リーク電流などの暗電流が極めて少なくなり、再現性の良い逆方向光電流が観測される。
被測定光を照射中に、上述のような0.02V(20mV)程度の逆方向バイアス電圧をフォトダイオード10に印加するには、図2に示す発振器100からの入力電圧波形11を図4(a)に示すような波形とすればよい。
上述の実施例では、順方向印加電圧の波形を矩形波にしたが、正弦波形でもよく、パルス波形でも良い。
図5には、フォトダイオード10としてのn型酸化亜鉛(ZnO)と白金(Pt)とのショットキ接合ダイオードのエネルギーバンド図の概略図を示したもので、図5(a)は、熱平衡状態の開放状態でのエネルギーバンド図である。界面準位50,51がPtのショットキメタルとn型ZnOの界面で、n型ZnO側に存在しており、界面準位50は空の状態であり、界面準位51は、電子で詰まっている状態を示している。図5(b)は、紫外線を照射しながらショットキ接合ダイオードに順方向電圧Vを印加したサイクルで、順方向電流が流れて界面準位50に電子が捕獲されて詰まっている状態を示している。界面準位50は深い準位なので室温では、容易に捕獲された電子を放出しない(秒以上の長い時定数を有する)。紫外線照射でエネルギーバンドギャップEgを越えて電子・正孔対が生成されている様子も示しているが、順方向電流が大きいので、電子・正孔対による効果はほとんど見えない。図5(c)は、紫外線を照射しながらショットキ接合ダイオードを短絡した状態(印加電圧が0V)のサイクルのときのエネルギーバンド図を示したもので、光起電力Vとしての順方向バイアスが僅かに印加されている様子も示してある。このときは紫外線照射でエネルギーバンドギャップEgを越えて電子・正孔対が生成され、n型ZnOの伝導帯に光励起された電子は、ショットキ障壁の電界により界面から離れるように流れ、n型ZnO側を負に帯電させ、逆に価電子帯に生成された正孔はショットキメタル側に流れてショットキメタル側が正に帯電する。これが光起電力Vであり、フォトダイオード10のショットキ接合ダイオードを短絡することにより外部回路に短絡光電流が流れる。この短絡光電流の方向は、順方向電流とは逆であることが大切である。この流れの方向の違いを利用して、上述の図2に示す短絡光電流の検出回路102で、短絡光電流のみ計測することができる。
本発明のフォトダイオードの駆動方法と光検出装置は、本実施例に限定されることはなく、本発明の主旨、作用および効果が同一でありながら、当然、種々の変形がありうる。
本発明によるフォトダイオードの駆動方法と光検出装置は、例えば、可視光線で透明なワイドバンドギャップ半導体である酸化亜鉛(ZnO)単結晶半導体を基板として使用できるので、紫外線しか応答しないために、フィルタが不必要であり、また、ワイドバンドギャップ半導体に多く見られるp型、n型のどちらかの伝導型しか得られない半導体でも、ショットキ接合型ダイオードとすれば、暗電流の少ない光起電力型として使用できると共に、非常に簡便な紫外線センサになる。また、フォトダイオードに多少の界面準位があっても、所定の順方向印加電圧(例えば、3.8V)による順方向電流のキャリア(電子)を界面準位が捕獲(トラップ)し、ダイオードのエネルギーバンドを再現性よい初期状態にするので、ダイオードを短絡すると被測定光量に応じた再現性の良い短絡光電流を観測できる。この短絡光電流の測定回路も単純なもので済むから小型で安価であり、しかも簡便な光検出装置として、火災報知器、バーナの燃焼監視装置などの火炎センサや野外の紫外線照射量測定装置などに好適である。もちろん、紫外線ばかりでなく、可視光線や赤外線を吸収する半導体を用いたショットキ接合やヘテロ接合のフォトダイオードで界面準位が多い光センサにも好適である。
本発明のフォトダイオード10としてのショットキ接合ダイオードの構造を示す一実施例の平面概略図(a)とその断面概略図(b)である。(実施例1) 本発明の図1に示したフォトダイオード10を有する光検出装置の駆動測定回路の一実施例である。(実施例1) 本発明の光検出装置に用いる矩形波の順方向電圧の一実施例の波形(a)と、そのときフォトダイオード10に流れる電流の波形(b)を示す。(実施例1) 本発明の光検出装置に用いるフォトダイオード10への入力電圧波形の他の一実施例 (a)と、矩形波の0.02V(20mV)程度逆方向バイアス電圧から順方向電圧の印加電圧までの波形(a)と、このときのフォトダイオード10に流れる電流の波形(b)を示す。(実施例2) 本発明のフォトダイオード10としてのショットキ接合ダイオードのエネルギーバンド図の熱平衡状態の概略図(a)、紫外線照射時で順方向電圧印加状態でのエネルギーバンド概略図(b)および紫外線照射時でショットキ接合ダイオードを短絡したときのエネルギーバンド概略図(c)を示したものである。(実施例1)
符号の説明
1 基板
2 ショットキメタル
3 オーム性電極
5 第1電極
6 第2電極
7 端子
10 フォトダイオード
11 入力電圧波形
15、16 OPアンプ
20、21 抵抗
25 コンデンサ
26 ダイオード
30、31 出力
40 スイッチ
50、51 界面準位
100 発振器
101 順方向印加駆動回路
102 短絡光電流の検出回路

Claims (5)

  1. 被測定光を照射して、受光の量を計測するためのフォトダイオードの駆動方法において、該フォトダイオードに所定の順方向電圧を所定の時間印加した後、受光による該フォトダイオードの短絡光電流もしくは暗電流が無視できる程度の所定の微小逆方向電圧印加時における電流を計測するようにして、該短絡光電流もしくは該所定の微小逆方向電圧印加時における光電流の大きさから受光の量を計測するようにしたことを特徴とするフォトダイオードの駆動方法。
  2. フォトダイオードに所定の順方向電圧印加とその後の短絡光電流もしくは所定の微小逆方向電圧印加時における光電流の計測を繰り返し行うようにした請求項1記載のフォトダイオードの駆動方法。
  3. 被測定光を照射して、受光の量を計測するためのフォトダイオードを用いた光検出装置において、順方向印加駆動回路と短絡光電流もしくは所定の微小逆方向電圧印加時における光電流の検出回路を具備し、該フォトダイオードに所定の順方向電圧を所定の時間印加した後、受光による該フォトダイオードの短絡光電流もしくは暗電流が無視できる程度の所定の微小逆方向電圧印加時における電流から受光の量を計測するようにしたことを特徴とする光検出装置。
  4. フォトダイオードに酸化亜鉛を用いた請求項3記載の光検出装置。
  5. フォトダイオードとして、pn接合、ヘテロ接合もしくはショットキ接合ダイオードを用いた請求項3乃至4のいずれかに記載の光検出装置。
JP2008194283A 2008-07-29 2008-07-29 フォトダイオードの駆動方法及び光検出装置 Expired - Fee Related JP5348961B2 (ja)

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