JP2010032022A - トルクリミッタ - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂製ハウジングを用いたばね式のトルクリミッタにおいて、鉄系金属製の内輪やコイルばねの酸化を防止し、安定したトルクとその制限機能を発揮できるトルクリミッタとすることである。
【解決手段】外環部材1と、その内部に挿入され一端のボス部において相対回転可能に支持された内輪2と、この内輪2の外径面に所要の締め代をもって装着されたコイルばね4と、外環部材1の他端部においてその内径面に嵌合固定され内輪外径面との間を閉塞する蓋部材3とからなり、コイルばね4の一端部を外環部材1に、他端部を蓋部材3に係合させ、内輪2と外環部材1とが相対回転する際にコイルばね4に生じる拡径作用により所定のトルクを発生させるようにしたトルクリミッタにおいて、外環部材1が、40℃、相対湿度95%、48時間の環境下で1kg当たりの有機酸発生量が2.5mg以下の安定化ポリアセタール樹脂などの合成樹脂で形成されたトルクリミッタとする。
【選択図】図1

Description

この発明は、プリンタ、複写機などに用いられるばね式のトルクリミッタに関するものである。
一般に、事務機器などに用いられるトルクリミッタの代表的な構造について、図1、2を利用して説明すると(但し、これらの図に示す実施形態と同一番号で説明する従来例の部品について素材が相違する場合がある。)、外環部材1と、その内部に挿入され一端のボス部において相対回転可能に支持された内輪2と、この内輪2の外径面に所要の締め代をもって装着されたコイルばね4と、外環部材1の他端部においてその内径面に嵌合固定され内輪外径面との間を閉塞する蓋部材3とからなっており、コイルばね4の一端部を外環部材1に、他端部を蓋部材3に係合させ、内輪2と外環部材1とが相対回転する際にコイルばね4に生じる拡径作用により所定のトルクを発生させるようにしている(特許文献1、特許文献2)。
すなわち、内輪2はコイルばね4に対して摺接しながら回転し、その回転によってコイルばね4との間の摩擦力と内輪2の半径とにより定まる一定のトルクを発生させる。
このように例示のトルクリミッタは、内輪2の左右いずれの方向に対しても一定のトルクを発生させるので2方向トルクリミッタとして利用できるものである。
一般的なトルクリミッタは、内輪2が鉄系焼結金属などの金属製であり、外環部材(ハウジング)1は合成樹脂で形成されている。
また、電気・電子機器部品などの成形材料として汎用のポリアセタール樹脂は、剛性、耐熱性、機械的強度に優れるものである(特許文献3)。
特開2006−010060号公報 特開2006−170307号公報 特開2005−264102号公報
しかし、上記した従来の技術におけるトルクリミッタの外環部材(ハウジング)1の成形材料として、ポリアセタール樹脂などを使用した場合、プリンタや複写機の発熱部分の近くで長時間使用されるなど、被加熱の使用状態で樹脂からガス状の有機物が遊離することがあり、それが酸化して有機酸となると、金属製の内輪2やコイルばね4などの金属部分は酸化されやすくなり、これらが互いに摺接する面に錆が発生すると、トルクの伝達が不安定になり、腐食したコイルばね4のばね力が低下すると、発生トルクの安定性またはトルク制限機能を充分に発揮できなくなるという問題点がある。
このような問題点をさらに詳細に検討すれば、トルクリミッタの外環部材がポリアセタール樹脂などのように、構成分子の末端にヘミアセタール基またはホルミル基を有するものからなる場合において、高温高湿度環境下において放出されるホルムアルデヒドやその他の揮発性有機化合物から有機酸が発生し、例えばホルムアルデヒドが酸化した場合に生じる蟻酸などにより、鉄系焼結金属などの金属製の内輪が酸化し、また腐食したコイルばね4によって安定したトルクが発生しないという状態になる。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、樹脂製ハウジングを用いたばね式のトルクリミッタにおいて、鉄系金属製の内輪やコイルばねの酸化を防止し、安定したトルクとその制限機能を発揮できるトルクリミッタとすることである。
上記の課題を解決するために、この発明では、外環部材と、その内部に挿入され一端のボス部において相対回転可能に支持された内輪と、この内輪の外径面に所要の締め代をもって装着されたコイルばねと、前記外環部材の他端部においてその内径面に嵌合固定され内輪外径面との間を閉塞する蓋部材とからなり、前記コイルばねの一端部を前記外環部材に、他端部を前記蓋部材に係合させ、前記内輪と外環部材とが相対回転する際に前記コイルばねに生じる拡径作用により所定のトルクを発生させるようにしたトルクリミッタにおいて、前記外環部材が、40℃、相対湿度95%、48時間の環境下で1kg当たりの有機酸発生量が2.5mg以下の合成樹脂で形成されたものであることを特徴とするトルクリミッタとしたのである。
上記したように構成されるこの発明のトルクリミッタは、使用状態で想定される所定条件において、外環部材からの有機酸発生量が2.5mg以下という極少量または非発生であるため、周囲の金属を酸化させず、腐食しない金属製内輪およびコイルばねによって、常に安定したトルクとその制限機能を発揮する。
上記のように使用状態で想定される所定条件において、外環部材からの有機酸発生量が2.5mg以下とするためには、外環部材が、熱不安定性末端基の熱分解された安定化ポリアセタール樹脂で形成された外環部材を採用することができる。
このように安定化ポリアセタール樹脂は、比較的高温で多湿な環境で使用されてもホルムアルデヒドの発生量が少なく、したがってそれがさらに酸化されても蟻酸の発生量は少ないものである。そのため、周囲の金属を酸化させず、金属製内輪やコイルばねは、酸化せず、すなわち発錆によって腐食せずに常に安定したトルクとその制限機能を発揮する。
また、外環部材を形成する樹脂が、安定化ポリアセタール樹脂以外の場合において、例えば外環部材を形成している合成樹脂の熱不安定性末端基が、ヘミアセタール基またはホルミル基である場合には、これらの基を分解して安定化させることによって合成樹脂製の外環部材を構成すればよい。
前記のポリアセタール樹脂は、ポリアセタール樹脂ホモポリマーであるものを採用できる他に、ポリアセタール樹脂コポリマーを採用することもできる。
また、この発明に用いる上記構成のトルクリミッタは、コイルばねを複数個用いて構成されているトルクリミッタであってもよく、内輪の材質が、鉄系焼結金属であるその場合にも腐食しない金属製コイルばねによって常に安定したトルクとその制限機能を発揮する。
外環部材を構成するポリアセタール樹脂に対する熱不安定性末端基を熱分解する処理は、ポリアセタール樹脂の融点以上で20秒から20分加熱する処理によって行なうことができ、そのような加熱処理は、アニーリング処理または成型温度を調整する加熱処理によって行なうことができる。
この発明は、内輪と外環部材とが相対回転する際にコイルばねに生じる拡径作用により所定のトルクを発生させるようにしたトルクリミッタにおいて、前記外環部材を、所定環境下で有機酸発生量が所定量以下の合成樹脂で形成したので、金属製内輪やコイルばねは、酸化せず、すなわち発錆によって腐食せずに常に安定したトルクとその制限機能を発揮するという利点がある。
外環部材を構成する樹脂が、安定化ポリアセタール樹脂であるポリアセタール樹脂ホモポリマーまたは末端基が安定化した安定化ポリアセタール樹脂コポリマーである場合に上記の効果は確実に奏される。
また、上記の効果は、トルクリミッタがコイルばねを複数個用いて構成されているトルクリミッタであっても奏されるほか、内輪の材質が、鉄系焼結金属である場合にも奏される。また、上記の効果は、ポリアセタール樹脂の融点以上で所定時間の加熱処理によって行なうことができ、そのような加熱処理は、アニーリング処理または成型温度を調整する加熱処理によって行なうことができる。
この発明の実施形態を以下に、添付図面に基づいて説明する。
図1、2に示すように、実施形態のトルクリミッタ10は、背景技術で説明した場合と同様に、外環部材1、内輪2、環状の蓋部材3及びコイルばね4とからなる。外環部材1は一端部にボス部5が設けられ、そのボス部5から他端の開放端に至る間にコイルばね4より大径の内径面6が形成される。ボス部5の中心部に軸挿通穴7が設けられ、その軸挿通穴7より内側においてこれより大径の内輪支持部8が設けられる。その内輪支持部8と内径面6との段差部を形成するボス部内端面11の一部に外環部材突部12が設けられる。また、内径面6の開放端に近い部分に周方向の係合溝13が設けられる。なお、ボス部5側端部の外面にローラ等に対する係合突起14が設けられる。
内輪2は軸挿通穴7と同一径かつ同芯の内径面を有し、外径面にコイルばね4が所要の締め代で装着される。このように内輪2の一端部がボス部5の内輪支持部8に回転自在に嵌合支持され、他端部は外環部材1より外方に突き出され、その突き出した端部の外径面に蓋部材3が嵌合される。内輪2が蓋部材3から突き出した端部に軸(図示省略)に立てたピンとの係合凹部15が設けられる。
蓋部材3の外径面に係合リブ16が形成され、その係合リブ16が係合溝13に嵌入される。この蓋部材3により外環部材1の内径面と内輪2の外径面との間が閉塞される。蓋部材3は外環部材1に対して強固に嵌合されるが、その強さは蓋部材3の外面に設けた一対の穴17に所要の工具を差し込んで回転させた場合、外環部材1に対して回転できる程度である。また、蓋部材3の内面に蓋部材突部18が設けられる。
コイルばね4は、鋼線(図示の場合は角線であるが、丸線であってもよい。)を単一径となるように所要回数巻いたものであり(図示の場合は右巻きであるが、左巻きでもよい。)、その両端面21、22は長さ方向に対し直角に形成され、各端面21、22を含むコイルばね4の端部はラジアル方向にもアキシャル方向にも屈曲されておらず、ストレートな端部を形成している。
外環部材1及び内輪2を固定して蓋部材3の穴17に所要の工具を差し込んでコイルばね4の巻き方向に回転させると、その回転途中において蓋部材突部18がコイルばね4の一方の端面21の側面に係合し、コイルばね4を矢印a方向(図2)に回転させる。
コイルばね4が回転するとその他方の端面22が外環部材突部12の側面に係合する。これにより、コイルばね4の両端面21、22がそれぞれ外環部材突部12、蓋部材突部18に対しすき間なく係合される。
なお、図面上ではコイルばね4は、コイル部分の線相互に密着する、いわゆる密着巻きタイプを示しているが、線相互間にすき間があるもの、いわゆるピッチ巻きタイプでもよい。密着巻きタイプは、内径精度を出し易い利点があるが、軸方向長さの精度を確保しないと端面21,22が蓋部材突部18及び外環部材突部12から外れてしまう可能性がある。ピッチ巻きでは、逆に内径精度は左程良くないが、軸方向長さの寸法精度はそれほど厳しくしなくとも蓋部材突部18及び外環部材突部12との係合は確保できる。製作精度に応じていずれかのタイプを選択する。
そして、外環部材1は、熱不安定性末端基の熱分解された安定化ポリアセタール樹脂のように、40℃、相対湿度95%、48時間の環境下で1kg当たりの有機酸発生量が2.5mg以下の合成樹脂で形成している。
熱不安定性末端基の熱分解された合成樹脂として、安定化ポリアセタール樹脂以外に利用可能な樹脂としては、例えばホルミル基を有する変性フェノール樹脂、ホルミルポリスチレン樹脂などが挙げられる。
ここで、ポリアセタール樹脂にはホモポリマーとコポリマーがあり、前者はホルムアルデヒドまたはその環状多量体を原料として触媒の存在下で重合して製造され、後者はホルムアルデヒドまたはその環状多量体を主モノマーとして環状エーテルもしくは環状ホルマールまたは両者をコモノマーとし、触媒の存在下で重合して製造される。
具体的なコモノマーとしては、ホルムアルデヒド、又はその環状三量体であるトリオキサン等の環状アセタールを重合して得られるオキシメチレンユニットを主たる構成単位としてエチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、オキセタン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3,5−トリオキセパン、1,3−ジオキサン等のコモノマー成分を含むコポリマー、また、1〜4個のグリシジル基を有する化合物(エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、グリセリンモノ〜トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノ〜トリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールモノ〜テトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールモノ〜ヘキサグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールジグリシジルエーテルなど)等を含む多成分系モノマーを共重合して得られる多元共重合体や、分岐・架橋構造を有する多元共重合体(特にターポリマー)、ブロック成分を導入したもの等、従来公知の全てのポリアセタール樹脂が包含されるが、好ましくはコポリマー又はターポリマーである。
上記したような原料からポリアセタール樹脂を製造する場合の重合触媒としては、ルイス酸、プロトン酸、及びその金属塩、エステル又は無水物等のカチオン活性重合触媒等が挙げられる。
これらの重合触媒の使用量はトリオキサンと環状エーテルの合計量に対し好ましくは1×10-6〜1×10-1モル%、さらに好ましくは5×10-6〜1×10-2モル%である。
重合方法としては、特に制限はなく、バッチ式、連続式のいずれであってもよく、また、塊状重合が好ましい。また、その分子量、或いは溶融粘度は、溶融成形可能なものであれば、何ら限定されるものではない。
ポリアセタール樹脂の不安定末端基とは、ヘミアセタール末端基(=ヘミホルマール基
(-O-CH2OH))、ホルミル末端基(=ホルミルオキシ基(-OCHO))である。
なお、安定末端基とはメトキシ基(−OCH3)等のアルコキシ基、ヒドロキシエチル基(-CH2CH2OH)、ヒドロキシブチル基(-CH2CH2CH2CH2OH)等の炭素数2以上のヒドロキシアルキル基である。
上記したポリアセタール樹脂のうち、市販のコポリマーとしては、ポリプラスチックス社製:ジュラコン、旭化成ケミカルズ社製:テナックCが挙げられる。また市販のホモポリマーとしては、旭化成ケミカルズ社製:テナック、デュポン社製:デルリン、三菱エンジニアリングプラスチックス社製:ユピタールなどが挙げられる。
不安定末端基を分解処理する方法は、重合後触媒中和などの必要な処理を行った上で、必要に応じて分解処理剤を添加して加熱分解処理を、ポリアセタール樹脂の溶融成形の際に行うことができる他、成型後のアニーリング処理によって行なうことができる。
ポリアセタール樹脂を成形時の熱処理する方法は、例えばスクリュー押出機等により樹脂を溶融し、ポリアセタール樹脂の融点〜260℃、好ましくはポリアセタール樹脂の融点〜250℃で、樹脂滞留時間5秒〜30分、好ましくは20秒〜20分で処理すればよい。
この発明において採用するアニーリングによって不安定末端基を分解処理するには、例えば100〜150℃で1〜24時間程度の加熱を行なうことによって所期した効果が得られる。
溶融状態で分解処理する際には、必要に応じて、酸化防止剤(ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類など)、分解促進剤(水;メタノール;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モノ〜トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンなどのアミン類;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属化合物;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化コリン、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムまたはそれらのプロトン酸塩(炭酸塩、重炭酸塩、塩酸塩等の無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ポリアクリル酸塩等の有機カルボン酸塩;フェノール化合物塩;酸性アミド化合物塩;βジケトン化合物塩等)などの第四級アンモニウム化合物等)及び色相安定剤(オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸金属塩など)から選ばれた1種又は2種以上を、樹脂100重量部に対して各々0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜2重量部添加してもよい。
溶融状態で不安定な末端部が分解除去されたポリアセタール樹脂は、分解して生じたホルムアルデヒド、未反応モノマー、オリゴマー、分解処理剤等を押出機のベント部より減圧下で除去し、冷却後、ストランドカット又はダイフェイスカットによりペレット化し、その後は通常の射出成形、押し出し成形、プレス成形などによって外環部材を成形すればよい。
実施形態のトルクリミッタ10は以上のような部品および材料から構成され、次にその作用について説明する。
前記のように組み立てられた状態で内輪2がコイルばね4の巻き方向に回転すると、コイルばね4が回転方向へ引きずられ、一方の端面21が蓋部材突部18から離れ、他方の端面22は外環部材突部12に押し付けられる。
その結果、コイルばね4に拡径作用が生じ、内輪2はコイルばね4に対して摺接しながら回転し、その回転によってコイルばね4との間の摩擦力と内輪2の半径とにより定まる一定のトルクを発生させる。また、内輪2が前記と反対方向に回転すると、前記とは逆方向にコイルばね4が引きずられ、端面22が外環部材突部12から離れる一方、他方の端面21が蓋部材突部18に押し付けられるため、コイルばね4に拡径作用が生じ内輪2に対し一定のトルクを発生させる。
上記のように、このトルクリミッタは内輪2の左右いずれの方向の回転に対しても一定のトルクを発生させるので、2方向トルクリミッタとして利用することができる。
[コポリマー製の外環部材を用いた例]
表1に示す材料のように、ポリアセタール樹脂コポリマー(ポリプラスチックス社製:ジュラコン)で図1、2に示す形態の外環部材を射出成型し、その後にアニーリング処理(130℃、13時間)を施して外環部材を形成し、コイルばねを鋼製とし、内輪を鉄系焼結金属で形成し、その他の部品については実施形態に説明の手段により、図1、2に示す形態のトルクリミッタを作製した。
得られた実施例1のトルクリミッタを40℃、相対湿度95%(RH)の環境下で所定時間放置する評価試験を行ない、内輪の端部に錆の有無についての評価結果を表1中に示した。
Figure 2010032022
表1に示す材料のように、ポリアセタール樹脂ホモポリマー(デュポン社製:デルリン)で図1、2に示す形態の外環部材を射出成型し、その後にアニーリング処理せずに外環部材を形成し、コイルばねを鋼製とし、内輪を鉄系焼結金属で形成し、その他の部品については実施形態に説明の手段により、図1、2に示す形態のトルクリミッタを作製した。
得られた実施例2のトルクリミッタを40℃、相対湿度95%(RH)の環境下で所定時間放置する評価試験を行ない、内輪の端部に錆の有無についての評価結果を表1中に併記した。
[比較例1]
実施例1において、外環部材にアニーリング処理を行なわなかったこと以外は、全く同様にして外環部材を形成し、コイルばねを鋼製とし、内輪を鉄系焼結金属で形成し、その他の部品については実施形態に説明の手段により、図1、2に示す形態のトルクリミッタを作製した。
得られた比較例1のトルクリミッタを40℃、相対湿度95%(RH)の環境下で所定時間放置する評価試験を行ない、内輪の端部に錆の有無についての評価結果を表1中に併記した。
表1の結果からも明らかなように、前記外環部材を、40℃、相対湿度95%、48時間の環境下で1kg当たりの有機酸発生量が2.5mg以下の合成樹脂で形成された実施例1、2は、金属製内輪に錆が発生せず、常に安定したトルクとその制限機能を発揮するトルクリミッタであることがわかる。
一方、比較例1は、実施例1と同じ材料で外環部材を作製したものであるにも拘わらず、熱処理を行なわなかったため、40℃、相対湿度95%、48時間の環境下で1kg当たりの有機酸発生量が5.6mgという有機酸発生量の多いものとなり、その結果、金属製内輪に錆が発生しており、これでは安定したトルクや制限機能を発揮することは困難であることがわかる。
実施形態の断面図 図1の分解斜視図
符号の説明
1 外環部材
2 内輪
3 蓋部材
4 コイルばね
5 ボス部
6 内径面
7 軸挿通穴
8 内輪支持部
10 トルクリミッタ
11 ボス部内端面
12 外環部材突部
13 係合溝
14 係合突起
15 係合凹部
16 係合リブ
17 穴
18 蓋部材突部
21 端面
22 端面

Claims (9)

  1. 外環部材と、その内部に挿入され一端のボス部において相対回転可能に支持された内輪と、この内輪の外径面に所要の締め代をもって装着されたコイルばねと、前記外環部材の他端部においてその内径面に嵌合固定され内輪外径面との間を閉塞する蓋部材とからなり、前記コイルばねの一端部を前記外環部材に、他端部を前記蓋部材に係合させ、前記内輪と外環部材とが相対回転する際に前記コイルばねに生じる拡径作用により所定のトルクを発生させるようにしたトルクリミッタにおいて、
    前記外環部材が、40℃、相対湿度95%、48時間の環境下で1kg当たりの有機酸発生量が2.5mg以下の合成樹脂で形成されたものであることを特徴とするトルクリミッタ。
  2. 外環部材が、熱不安定性末端基の熱分解された安定化ポリアセタール樹脂で形成された外環部材である請求項1に記載のトルクリミッタ。
  3. 外環部材を形成している合成樹脂の熱不安定性末端基が、ヘミアセタール基またはホルミル基である請求項1または2に記載のトルクリミッタ。
  4. ポリアセタール樹脂が、ポリアセタール樹脂ホモポリマーである請求項2に記載のトルクリミッタ。
  5. ポリアセタール樹脂が、ポリアセタール樹脂コポリマーである請求項2に記載のトルクリミッタ。
  6. 熱不安定性末端基が熱分解される処理が、ポリアセタール樹脂の融点以上で20秒から20分加熱する処理である請求項2に記載のトルクリミッタ。
  7. 加熱処理が、アニーリング処理または成型温度を調整する加熱処理である請求項6に記載のトルクリミッタ。
  8. コイルばねを複数個用いて構成されている請求項1〜7のいずれかに記載のトルクリミッタ。
  9. 内輪の材質が、鉄系焼結金属である請求項1〜7のいずれかに記載のトルクリミッタ。
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