JP2010030368A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の電動モータを有する電動アクチュエータによって転舵機構を駆動することにより、1つの電動モータに異常が発生しても運転者の所望とする転舵量を確保することができる車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】車両の操舵を行う操舵機構7と、該操舵機構7とは切り離されて転舵輪3RL,3RRを転舵する転舵機構8とを備え、前記転舵機構8は、左右の転舵輪3RL,3RRに対して転舵力を付与する転舵部21と、該転舵部21を転舵動作させる減速機及び複数の電動モータ52A,52Bで構成される電動アクチュエータ22A,22Bとで構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】車両の操舵を行う操舵機構7と、該操舵機構7とは切り離されて転舵輪3RL,3RRを転舵する転舵機構8とを備え、前記転舵機構8は、左右の転舵輪3RL,3RRに対して転舵力を付与する転舵部21と、該転舵部21を転舵動作させる減速機及び複数の電動モータ52A,52Bで構成される電動アクチュエータ22A,22Bとで構成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両の操舵を行う操舵機構と、該操舵機構とは切り離されて転舵輪を転舵する転舵機構とを備えた所謂ステアバイワイヤ構成を有する車両用操舵装置に関する。
この種の車両用操舵装置、特にフォークリフトに使用する操舵装置としては、ハンドルの回転角度を検出する角度センサと、向きが変わる駆動輪を兼ねる操舵輪と、操舵輪の向きを変える旋回機構と角度センサ及び旋回機構に接続された電子制御部とを備えて、ハンドルと操舵輪とが切り離された構成を有するリーチ式フォークリフトが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ステアリングシャフトを固定されたステアリングホイールと、このステアリングホイールの回転方向及び回転角度を検出する回転検出装置と、車体に揺動自在に支持されるとともに両側に後輪を回転自在に支持し、且つ内部空間を有するアクスルセンタ部材と、このアクスルセンタ部材の内部空間に収容固定され、回転検出装置からの信号により正逆に回転駆動される電気モータと、電気モータの回転運動をステアリングロッドの直線運動に変換する機構とを有するフォークリフトにおける全電気式パワーステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−263392号公報(第1頁、図1)
実開昭61−5894号公報(第1頁、第1図)
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の従来例にあっては、共にハンドルやステアリングホイールで構成される操舵機構と、操舵輪又は左右後輪を転舵する転舵機構とが切り離されているので、ハンドル又はステアリングホイールを軽く操舵することができるものであるが、転舵を行うためのアクチュエータとして1つの電動モータが配設されているだけのステアバイワイヤ方式の構成を有するので、電動モータに異常が発生した場合に、ステアリングホイールの操舵量に相当する操舵量を電動モータで発生させることができなくなり、ステアリングホイール等の操舵機構と転舵機構とが切り離されているので、運転者の所望とする転舵量を確保できない状態となるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、複数の電動モータを有する電動アクチュエータによって転舵機構を駆動することにより、1つの電動モータに異常が発生しても運転者の所望とする転舵量を確保することができる車両用操舵装置を提供することを目的としている。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、複数の電動モータを有する電動アクチュエータによって転舵機構を駆動することにより、1つの電動モータに異常が発生しても運転者の所望とする転舵量を確保することができる車両用操舵装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る車両用操舵装置は、車両の操舵を行う操舵機構と、該操舵機構とは切り離されて転舵輪を転舵する転舵機構とを備え、前記転舵機構は、左右の転舵輪に対して転舵力を付与する転舵部と、該転舵部を転舵動作させる減速機及び複数の電動モータで構成される電動アクチュエータとで構成されていることを特徴としている。
また、請求項2に係る車両用操舵装置は、請求項1に係る発明において、前記転舵部は左右方向に摺動可能な摺動ロッドと、該摺動ロッドの両端に連結されたタイロッドとで構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る車両用操舵装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記電動アクチュエータは、1つの減速機に複数の電動モータが装着されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る車両用操舵装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記電動アクチュエータは、1つの減速機に複数の電動モータが装着されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る車両用操舵装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記電動アクチュエータは複数の減速機と該複数の減速機に個別に連結された複数の電動モータとで構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る車両用操舵装置は、請求項4に係る発明において、前記摺動ロッドに、前記複数の減速機の出力側が連結されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る車両用操舵装置は、請求項4に係る発明において、前記摺動ロッドに、前記複数の減速機の出力側が連結されていることを特徴としている。
また、請求項6に係る車両用操舵装置は、請求項1乃至5の何れか1つに係る発明において前記転舵部は左右の後輪を転舵するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る車両用操舵装置は、請求項1乃至6の何れか1つに係る発明において、前記操舵機構の操舵量を検出する操舵量検出部と、該操舵量検出部で検出した操舵量に基づいて前記電動アクチュエータの電動モータを制御するモータ制御部とを備えていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る車両用操舵装置は、請求項1乃至6の何れか1つに係る発明において、前記操舵機構の操舵量を検出する操舵量検出部と、該操舵量検出部で検出した操舵量に基づいて前記電動アクチュエータの電動モータを制御するモータ制御部とを備えていることを特徴としている。
さらにまた、請求項8に係る車両用操舵装置は、請求項7に係る発明において、前記モータ制御部は前記複数の電動モータに対して個別に駆動信号を出力するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項9に係る車両用操舵装置は、請求項7又は8に係る発明において、前記モータ制御部と前記複数の電動モータとの間の信号伝達経路に個別に信号遮断部が介挿されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項9に係る車両用操舵装置は、請求項7又は8に係る発明において、前記モータ制御部と前記複数の電動モータとの間の信号伝達経路に個別に信号遮断部が介挿されていることを特徴としている。
また、請求項10に係る車両用操舵装置は、請求項7乃至9の何れか1つに係る発明において、前記操舵機構は、操舵反力を発生する操舵反力部を有し、前記操舵量検出部は、前記該操舵反力部に配設されていることを特徴としている。
さらに、請求項11に係る車両用操舵装置は、請求項7乃至10の何れか1つに係る発明において、前記転舵輪の実転舵角を検出する転舵角センサを有し、前記モータ制御部は、前記操舵量検出部で検出した操舵量と前記転舵角センサで検出した実転舵角との差分に基づいて前記電動モータを駆動制御するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項12に係る車両用操舵装置は、請求項1乃至11の何れか1つに係る発明において、前記車両はカウンタタイプのフォークリフトであることを特徴としている。
さらに、請求項11に係る車両用操舵装置は、請求項7乃至10の何れか1つに係る発明において、前記転舵輪の実転舵角を検出する転舵角センサを有し、前記モータ制御部は、前記操舵量検出部で検出した操舵量と前記転舵角センサで検出した実転舵角との差分に基づいて前記電動モータを駆動制御するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項12に係る車両用操舵装置は、請求項1乃至11の何れか1つに係る発明において、前記車両はカウンタタイプのフォークリフトであることを特徴としている。
本発明によれば、操舵機構とは切り離されて転舵輪を転舵する転舵機構の転舵輪に対して転舵力を付与する転舵部を転舵動作させる電動アクチュエータを、複数の電動モータで構成するようにしたので、少なくとも1つの電動モータが異常となった場合でも残りの電動モータによって操舵状態を継続することができるという効果を有する。
ここで、少なくとも1つの電動モータが異常となった場合に、残りの電動モータで転舵部を駆動するために、異常となった電動モータの信号伝達経路に信号遮断部を介挿することにより、異常となって電動モータの駆動を停止させることができ、セルフステアの発生等の異常動作を確実に防止することができる。
ここで、少なくとも1つの電動モータが異常となった場合に、残りの電動モータで転舵部を駆動するために、異常となった電動モータの信号伝達経路に信号遮断部を介挿することにより、異常となって電動モータの駆動を停止させることができ、セルフステアの発生等の異常動作を確実に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明をステアバイワイヤ式のカウンターバランスタイプのフォークリフトに適用した場合の第1の実施形態を示す概略構成図である。
図中、1はカウンターバランスタイプのフォークリフトであって、このフォークリフト1は車体2に前輪3FL,3FR及び転舵輪としての後輪3RL,3RRが配設されていると共に、前端部にフォーク4を上下に案内するマスト5が配設されている。
図1は、本発明をステアバイワイヤ式のカウンターバランスタイプのフォークリフトに適用した場合の第1の実施形態を示す概略構成図である。
図中、1はカウンターバランスタイプのフォークリフトであって、このフォークリフト1は車体2に前輪3FL,3FR及び転舵輪としての後輪3RL,3RRが配設されていると共に、前端部にフォーク4を上下に案内するマスト5が配設されている。
また、車体2の前方側には運転席6の前方に操舵機構7が配設され、車体2の後方側には後輪3RL,3RRを転舵する転舵機構8が配設され、さらにバッテリ9からの電力が電源スイッチPSを介して供給されて転舵機構8の後述する電動モータを駆動制御するモータ制御部10が配設されている。
操舵機構7は、図2と共に参照して明らかなように、ステアリングホイール11を上端に装着したステアリングシャフト12と、このステアリングシャフト12の下端側に装着された操舵反力を発生する操舵反力発生部13とを備えている。また、操舵機構7は、ステアリングシャフト12の操舵角θを検出するが操舵角センサ14を備えている。
操舵機構7は、図2と共に参照して明らかなように、ステアリングホイール11を上端に装着したステアリングシャフト12と、このステアリングシャフト12の下端側に装着された操舵反力を発生する操舵反力発生部13とを備えている。また、操舵機構7は、ステアリングシャフト12の操舵角θを検出するが操舵角センサ14を備えている。
また、転舵機構8は、図2〜図7に示すように、転舵輪としての後輪3RL及び3RRに対して転舵力を付与する転舵部21と、この転舵部21を転舵動作させる左右一対の電動アクチュエータ22A及び22Bとで構成されている。
転舵部21は、車体2に取付ブラケット23a,23bによって固定された円筒状のラックハウジング23内に左右に摺動自在に配設された図7に示す左右両端部側に夫々ラック歯24a及び24bを有するラック軸24を有する。また、転舵部21は、図2〜図4に示すように、ラック軸24の両端に、図示しないボールジョイントを介して連結された左右のタイロッド25A,25Bを有し、これらタイロッド25A,25Bの他端が転舵輪としての後輪3RL,3RRのナックルアーム(図示せず)に連結されている。そして、ラック軸24を左右に移動させることにより、後輪3RL,3RRを転舵することができる。この転舵部21には、図2に示すように、ラック軸24の移動量を検出して転舵輪としての後輪3RL,3RRの転舵角δを検出する転舵角センサ26が配設されている。
転舵部21は、車体2に取付ブラケット23a,23bによって固定された円筒状のラックハウジング23内に左右に摺動自在に配設された図7に示す左右両端部側に夫々ラック歯24a及び24bを有するラック軸24を有する。また、転舵部21は、図2〜図4に示すように、ラック軸24の両端に、図示しないボールジョイントを介して連結された左右のタイロッド25A,25Bを有し、これらタイロッド25A,25Bの他端が転舵輪としての後輪3RL,3RRのナックルアーム(図示せず)に連結されている。そして、ラック軸24を左右に移動させることにより、後輪3RL,3RRを転舵することができる。この転舵部21には、図2に示すように、ラック軸24の移動量を検出して転舵輪としての後輪3RL,3RRの転舵角δを検出する転舵角センサ26が配設されている。
また、電動アクチュエータ22A及び22Bは、ラックハウジング23の左右両端部に一体に配設されたアクチュエータハウジング31A及び31Bを有する。アクチュエータハウジング31Aには、図5に示すように、ラック軸24のラック歯24aに個別に噛合するピニオン32を形成したピニオン軸33が軸受34及び35によって回転自在に支持されている。ピニオン軸33の軸受34から突出する上端には、ウォームホイール36が配設されている。また、ピニオン軸33の軸受35から突出する雄ねじ部37に軸受35の内輪を固定する内輪固定ナット38が螺合され、アクチュエータハウジング31Aの下端には雌ねじ部39が形成され、この雌ねじ部39に軸受35の外輪を固定する外輪固定ナット40が螺合されている。
また、アクチュエータハウジング31Aのラック軸24の背面側にラックガイド41が摺動自在に配設され、このラックガイド41が予圧ばね42を介してアクチュエータハウジング31Aに螺合された有底円筒状の予圧ボルト43によって押圧されている。そして、予圧ボルト43が予圧ばね42を介してラック軸24を所定の予圧力で予圧している状態で、ロックナット44によって固定されている。
さらに、アクチュエータハウジング31Aの上端には、図6に示すように、ウォームホイール36の接線方向に延長するウォーム収納部51が形成されている。このウォーム収納部51には、その一端部に電動モータ52Aを装着するモータ装着部51mが形成されている。電動モータ52Aには、その出力にウォーム53を形成したウォーム軸54がセレーションなどの連結部を介して結合されている。そして、電動モータ52Aがそのウォーム軸54をウォーム収納部51内に挿通し、ウォーム53をウォームホイール36に噛合させ且つウォーム軸54を軸受55及び56によって回転自在に支持した状態でモータ装着部51mに装着されている。
したがって、電動モータ52Aを正逆転駆動することにより、ウォーム53及びウォームホイール36で構成される減速機を介してピニオン軸33が回転され、そのピニオン32にラック歯24aが噛合しているので、ラック軸24が左右に摺動され、これに応じて転舵輪としての後輪3RL,3RRが転舵される。
また、アクチュエータハウジング22Bもアクチュエータハウジング22Aと面対称に形成され、電動モータ52Aが電動モータ52Bに変更されていることを除いては同一構成を有し、その詳細説明はこれを省略する。
また、アクチュエータハウジング22Bもアクチュエータハウジング22Aと面対称に形成され、電動モータ52Aが電動モータ52Bに変更されていることを除いては同一構成を有し、その詳細説明はこれを省略する。
また、モータ制御部10は、図8に示すように、例えばマイクロコンピュータで構成されるパルス幅変調指令値Vt及び回転方向信号RSを演算する演算処理回路61と、この演算処理回路61から出力される電圧指令値Vt及び回転方向信号RSに基づいてパルス幅変調信号を発生するパルス幅変調信号形成回路62と、このパルス幅変調信号形成回路62から出力されるパルス幅変調信号に基づいて電動モータ52A及び52Bを駆動するモータ駆動回路63A及び63Bと、モータ駆動回路63A及び63Bと電動モータ52A及び52Bとの間に介挿されたモータリレー64A及び64Bと、電動モータ52A及び52Bを流れるモータ電流を検出するモータ電流センサ65A及び65Bとを備えている。また、演算処理回路61はステアリングシステムの異常時に、異常を通知するステアリングシステム異常信号ASをメータパネルなどの制御を行なう車両側コントローラ66に出力する。
演算処理回路61は、操舵角センサ14で検出した操舵角θと転舵角センサ26で検出した転舵角δとが入力され、これら操舵角θ及び転舵角δに基づいて図9に示す操舵制御処理を実行して、パルス幅変調信号形成回路62に対するパルス幅変調指令値Vt及び回転方向信号RSを生成して出力する。
ここで、操舵制御処理は、バッテリ9からの電源投入時に実行開始され、先ず、ステップS1で、モータリレー54A及び54Bに対する制御信号MRa及びMRbをオン状態として、モータリレー54A及び54Bを付勢状態とする初期化処理を行ってからステップS2に移行する。
ここで、操舵制御処理は、バッテリ9からの電源投入時に実行開始され、先ず、ステップS1で、モータリレー54A及び54Bに対する制御信号MRa及びMRbをオン状態として、モータリレー54A及び54Bを付勢状態とする初期化処理を行ってからステップS2に移行する。
このステップS2では、操舵角センサ14で検出した操舵角θ及び転舵角センサ26で検出した転舵角δを読込み、次いでステップS3に移行して、操舵角θから転舵角δを減算して、舵角偏差Δφを算出してからステップS4に移行する。
このステップS4では、算出した舵角偏差Δφが予め設定した異常閾値Δφs以上であるか否かを判定し、Δφ<Δφsであるときには、操舵制御系が正常であると判断してステップS5に移行し、舵角偏差Δφの絶対値|Δφ|に基づいて図10に示すモータ電流指令値算出マップを参照して舵角偏差Δφを解消するモータ電流指令値Imtを算出してからステップS6に移行する。ここで、モータ電流算出マップは、図10に示すように、舵角偏差Δφの絶対値|Δφ|が“0”であるときにモータ電流指令値Imtも“0”となり、舵角偏差Δφの絶対値|Δφ|が“0”から増加するに比例してモータ電流指令値Imtも増加するように設定されている。なお、舵角偏差Δφの絶対値|Δφ|が“0”近傍の所定値未満であるときにはモータ電流指令値Imtを“0”に維持する不感帯を設けるようにしてもよい。
このステップS4では、算出した舵角偏差Δφが予め設定した異常閾値Δφs以上であるか否かを判定し、Δφ<Δφsであるときには、操舵制御系が正常であると判断してステップS5に移行し、舵角偏差Δφの絶対値|Δφ|に基づいて図10に示すモータ電流指令値算出マップを参照して舵角偏差Δφを解消するモータ電流指令値Imtを算出してからステップS6に移行する。ここで、モータ電流算出マップは、図10に示すように、舵角偏差Δφの絶対値|Δφ|が“0”であるときにモータ電流指令値Imtも“0”となり、舵角偏差Δφの絶対値|Δφ|が“0”から増加するに比例してモータ電流指令値Imtも増加するように設定されている。なお、舵角偏差Δφの絶対値|Δφ|が“0”近傍の所定値未満であるときにはモータ電流指令値Imtを“0”に維持する不感帯を設けるようにしてもよい。
このステップS6では、算出されたモータ電流指令値Imtに基づいてパルス幅変調信号の目標デューティ比を指示する電圧値でなるパルス幅変調指令値Vtを算出し、次いでステップS7に移行して、舵角偏差Δφに基づいて電動モータ52A,52Bの回転方向を判定して回転方向信号RSを形成し、次いでステップS8に移行して、パルス幅変調指令値Vt及び回転方向信号RSをパルス幅変調(PWM)信号形成回路に出力してからステップS9に移行する。
このステップS9では、電動モータ52A及び52Bの駆動電流を検出する電流センサ65A及び65Bから入力されるモータ電流検出値Ima及びImbを読込み、次いでステップS10に移行して、前記ステップS5で算出したモータ電流指令値Imtからモータ電流指令値Ima及びImbを減算した電流偏差ΔIa及びΔIbを算出してからステップS11に移行する。
このステップS11では、電流偏差ΔIaが予め設定した異常判定閾値ΔIs以上であるか否かを判定し、ΔIa<ΔIsであるときには電動モータ52Aの駆動電流が正常であると判断してステップS14に移行し、ΔIa≧ΔIsであるときには電動モータ52Aの駆動電流が異常であると判断してステップS12に移行し、モータリレー64Aに対する制御信号MRaをオフ状態に制御し、次いでステップS13に移行して、モータ異常を表すステアリングシステム異常信号ASを車両用コントローラ66へ出力してからステップS14に移行する。
ステップS14では、電流偏差ΔIbが予め設定した異常判定閾値ΔIs以上であるか否かを判定し、ΔIb<ΔIsであるときに電動モータ52Bの駆動電流が正常であると判断して前記ステップS2に戻り、ΔIb≧ΔIsであるときには電動モータ52Bの駆動電流が異常であると判断してステップS15に移行し、モータリレー64Bに対する制御信号MRbをオフ状態に制御し、次いでステップS16に移行してモータ異常を表すステアリングシステム異常信号ASを車両用コントローラ66へ出力してから前記ステップS2に戻る。
一方、前記ステップS4の判定結果が、Δφ>Δφsであるときには操舵制御系が異常であると判定してステップS17に移行し、モータリレー64A及び64Bに対する制御信号MRA及びMRBを夫々オフ状態に制御し、次いでステップS18に移行して、車両用コントローラ66に対して操舵制御系が異常であることを表すステアリングシステム異常信号ASを車両用コントローラ66へ出力してから処理を終了する。
また、パルス幅変調信号形成回路62では、演算処理回路61から入力されるパルス幅変調指令値Vtに基づいてパルス幅変調信号PWMa及びPWMbのデューティ比を設定すると共に、回転方向信号RSに基づいてパルス幅変調信号PWMa及び制御信号CSaを出力するかパルス幅変調信号PWMb及び制御信号CSbを出力するかを選択し、選択したパルス幅変調信号PWMi及び制御信号CSiをモータ駆動回路63A及び63Bへ出力する。
さらに、モータ駆動回路63A及び63Bの夫々は、図11に示すように、4つのパイポーラトランジスタ、MOSFET等で構成される4つのスイッチング素子Q1〜Q4を有するHブリッジ回路構成を有する。このHブリッジ回路は、スイッチング素子Q1及びQ2を直列に接続したスイッチングアームSA1と、同様にスイッチング素子Q3及びQ4を直列に接続したスイッチングアームSA2とを並列に接続し、スイッチング素子Q1及びQ3の接続点を正の電源端子Vpに接続し、スイッチング素子Q2及びQ4の接続点を接地し、さらにスイッチング素子Q1及びQ2の接続点とスイッチング素子Q3及びQ4の接続点とをモータリレー64A又は64Bを介して電動モータ52A又は52Bに接続した構成を有する。スイッチング素子Q1及びQ3のベースにパルス幅変調信号PWMa及びPWMbが供給され、スイッチング素子Q2及びQ4のベースに制御信号CSb及びCSaが供給される。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、ステアリングホイール11が中立位置にあって、転舵機構8のラック軸24も中立位置にあって、転舵輪としての後輪3RL及び3RRが直進走行状態にあるものとする。
この状態で、電源スイッチPSがオフ状態にあり、バッテリ9からの電力がモータ制御部10に供給されていないものとする。この状態では、モータ制御部10の演算処理回路61で図9に示す操舵制御処理は実行されず、電動モータ52A及び52Bは停止状態にある。
今、ステアリングホイール11が中立位置にあって、転舵機構8のラック軸24も中立位置にあって、転舵輪としての後輪3RL及び3RRが直進走行状態にあるものとする。
この状態で、電源スイッチPSがオフ状態にあり、バッテリ9からの電力がモータ制御部10に供給されていないものとする。この状態では、モータ制御部10の演算処理回路61で図9に示す操舵制御処理は実行されず、電動モータ52A及び52Bは停止状態にある。
この状態で、電源スイッチPSをオン状態とすることにより、図示しない後輪駆動機構による後輪駆動制御が可能な状態となると共に、モータ制御部10にバッテリ9からの電力が供給される。
このため、演算処理回路61で、図9に示す操舵制御処理が実行開始され、先ず、ステップS1の初期化処理で、モータリレー64A及び64Bに対する制御信号MRa及びMRbがオン状態に制御されて、モータリレー64A及び64Bが付勢状態となって、モータ駆動回路63A及び63Bから出力されるモータ駆動電流Ima及びImbが電動モータ52A及び52Bへ供給可能な状態となる。
このため、演算処理回路61で、図9に示す操舵制御処理が実行開始され、先ず、ステップS1の初期化処理で、モータリレー64A及び64Bに対する制御信号MRa及びMRbがオン状態に制御されて、モータリレー64A及び64Bが付勢状態となって、モータ駆動回路63A及び63Bから出力されるモータ駆動電流Ima及びImbが電動モータ52A及び52Bへ供給可能な状態となる。
このとき、ステアリングホイール11を操舵していない状態では、ステアリングホイール11が中立位置を維持すると共に、ラック軸24が中立位置を維持することから、操舵角センサ14で中立位置を表す操舵角θが検出されると共に、転舵角センサ26で中立位置を表す転舵角δが検出される。
このため、図9に示す操舵制御処理では、操舵角θから転舵角δを減算した舵角偏差δφが“0”となることから、図10のモータ電流指令値算出マップを参照して算出するモータ電流指令値Imtが“0”となり、これに応じてパルス幅変調指令値Vtもデューティ比を“0”とする“0”に設定され、これがパルス幅変調信号形成回路62に出力されるので、このパルス幅変調信号形成回路62から出力されるパルス幅変調信号PWMa及びPWMbがオフ状態となると共に、制御信号CSa及びCSbもオフ状態となる。
このため、図9に示す操舵制御処理では、操舵角θから転舵角δを減算した舵角偏差δφが“0”となることから、図10のモータ電流指令値算出マップを参照して算出するモータ電流指令値Imtが“0”となり、これに応じてパルス幅変調指令値Vtもデューティ比を“0”とする“0”に設定され、これがパルス幅変調信号形成回路62に出力されるので、このパルス幅変調信号形成回路62から出力されるパルス幅変調信号PWMa及びPWMbがオフ状態となると共に、制御信号CSa及びCSbもオフ状態となる。
このため、モータ駆動回路63A及び63Bの各スイッチング素子Q1〜Q4がオフ状態を維持することから、モータ駆動電流Ima及びImbが“0”となって、電動モータ52A及び52Bは停止状態を維持する。
この状態から、ステアリングホイール11を例えば左切り(又は右切り)すると、これに応じて操舵角センサ14で検出される操舵角θが中立角θ0から増加する(又は減少)することになる。このため、舵角偏差Δφが“0”から正方向に増加(又は負方向に減少)することになり、これに応じてモータ電流指令値算出マップを参照して算出されるモータ電流指令値Imtが舵角偏差Δφに応じて増加し、これに応じてパルス幅変調指令値Vtも“0”から増加する。
この状態から、ステアリングホイール11を例えば左切り(又は右切り)すると、これに応じて操舵角センサ14で検出される操舵角θが中立角θ0から増加する(又は減少)することになる。このため、舵角偏差Δφが“0”から正方向に増加(又は負方向に減少)することになり、これに応じてモータ電流指令値算出マップを参照して算出されるモータ電流指令値Imtが舵角偏差Δφに応じて増加し、これに応じてパルス幅変調指令値Vtも“0”から増加する。
一方、舵角偏差Δφに基づいて回転方向信号RSが左操舵を表すオン状態(又は右操舵を表すオフ状態)に設定され、パルス幅変調信号指令値Vt及び回転方向信号RSがパルス幅変調信号形成回路62に出力される。
このため、パルス幅変調信号形成回路62から舵角偏差Δφに応じたデューティ比のパルス幅変調信号PWMa(又はPWMb)及びオン状態の制御信号CSa(又はCSb)がモータ駆動回路63Aに出力され、パルス幅変調信号PWMb(又はPWMa)及びオン状態の制御信号CSb(又はCSa)がモータ駆動回路63Bに出力される。
このため、パルス幅変調信号形成回路62から舵角偏差Δφに応じたデューティ比のパルス幅変調信号PWMa(又はPWMb)及びオン状態の制御信号CSa(又はCSb)がモータ駆動回路63Aに出力され、パルス幅変調信号PWMb(又はPWMa)及びオン状態の制御信号CSb(又はCSa)がモータ駆動回路63Bに出力される。
したがって、モータ駆動回路63Aによって電動モータ52Aが例えば正転駆動(又は逆転駆動)され、モータ駆動回路63Bによって電動モータ52Bが逆転駆動(又は正転駆動)される。
このため、電動アクチュエータ22A及び22Bのウォームホイール36が正転(又は逆転)駆動されて、ラック軸24が右動(又は左動)されて、タイロッド25A及び25Bを介して後輪3RL及び3RRを右切り(又は左切り)して、車体2を左旋回(又は右旋回)させる。このとき、操舵機構7の操舵反力発生部13が図示しない操舵反力制御装置によって所定の操舵反力を発生するように制御される。
このため、電動アクチュエータ22A及び22Bのウォームホイール36が正転(又は逆転)駆動されて、ラック軸24が右動(又は左動)されて、タイロッド25A及び25Bを介して後輪3RL及び3RRを右切り(又は左切り)して、車体2を左旋回(又は右旋回)させる。このとき、操舵機構7の操舵反力発生部13が図示しない操舵反力制御装置によって所定の操舵反力を発生するように制御される。
このようにステアリングホイール11を操舵することにより、モータ制御部10によって電動モータ52A及び52Bが駆動制御されてラック軸24が摺動され、これに応じて後輪3RL及び3RRがステアリングホイール11の操舵方向と逆方向に転舵されて操舵制御が行われるものである。この操舵制御状態で、モータ制御部10及び電動モータ52A及び52Bが正常である状態では、ステアリングホイール11の操舵に応じて後輪3RL及び3RRが転舵されることにより、操舵角センサ14で検出される操舵角θと転舵角センサ26で検出される転舵角δとの舵角偏差Δφが異常判定閾値Δφs以上となることはないと共に、モータ電流センサ65A及び65Bで検出される電動モータ52A及び52のモータ駆動電流Ima及びImbと演算処理回路61の操舵制御処理で算出されるモータ電流指令値Imtとの電流偏差ΔIa及びΔIbが異常判定閾値ΔIs以上となることはなく、モータリレー64A及び64Bが付勢状態を継続し、車両用コントローラ66で警報が発生されることはない。
ところが、電動モータ52A及び52Bの何れか一方を含むモータ駆動系に異常が発生して、電流センサ65A(又は65B)で検出されるモータ駆動電流Ima(又はImb)がモータ電流指令値Imtと異なる値となって、電流偏差ΔIa(又はΔIb)が異常判定閾値ΔIs以上となると、モータリレー64A(又は64B)に対する制御信号MRa(又はMRb)をオフ状態としてモータリレー64A(又は64B)を非付勢状態として、電動モータ52A(又は52B)へのモータ駆動電流Ima(又はImb)の供給を遮断する。これと同時に車両用コントローラ66に対して電動モータのモータ駆動系の異常を表すステアリングシステム異常信号ASを出力して、この車両用コントローラ66で音又は表示でモータ駆動系の異常状態を報知する。この電動モータ52A及び52Bの何れか一方のモータ駆動系に異常が発生した場合には、異常が発生したモータ駆動系の電動モータ52A(又は52B)が駆動停止されるが、他方の電動モータ52B(又は52A)についてはモータ駆動電流Imb(又はIma)の供給が継続される。このため、後輪3RL,3RRを転舵するためのラック推力は通常状態(2つのモータが正常に動作している状態)と比較して半減するが、転舵機構8の転舵状態を制御することが継続されて、後輪3RL及び3RRの操舵は継続することができ、フェイルセーフ機能を発揮することができる。
さらに、操舵角センサ14で検出した操舵角θと転舵角センサ26で検出した転舵角δとの舵角偏差Δφが異常判定閾値Δφs以上となったときには、モータ制御部10が異常状態であると判断して、モータリレー64A及び64Bに対する制御信号MRa及びMRbをオフ状態として、モータリレー64A及び64Bを非付勢状態として電動モータ52A及び52Bへのモータ駆動電流Ima及びImbの供給を遮断する。これと同時に、車両用コントローラ66に対してモータ制御部10の異常を表すステアリングシステム異常信号ASを出力して、この車両用コントローラ66でモータ制御部10の異常を表す音又は表示による警報を発する。このため、ステアリングホイール11を操舵していないのに電動モータ52A及び52Bが駆動されるセルフステアが発生した場合には、確実に操舵制御を中止することができる他、ステアリングホイール11の操舵変化量に対して転舵機構8の転舵変化量が大きく異なる場合にも操舵制御を中止することができる。
このように、上記第1の実施形態によると、ラック軸24に対して2つの電動アクチュエータ22A及び22Bが設けられ、これら電動アクチュエータ22A及び22Bを構成する電動モータ52A及び52Bがモータ駆動回路63A及び63Bによって個別に駆動制御されるので、一方の電動モータ52A又は52Bのモータ駆動系に異常が発生したときに、異常が発生した電動モータ52A又は52Bの駆動を停止し、残りの電動モータの駆動は継続するので、転舵機構8の転舵動作を継続することができ、フェイルセーフ機能を発揮することができる。
しかも、後輪3RL及び3RRを転舵する転舵機構8とステアリングホイール11を有する操舵機構7とが機械的に切り離されているので、車体2の後輪側の構成が簡素化されてメンテナンスも容易となる。
なお、上記第1の実施形態においては、ラック軸24の両端部側にラック歯24a及び24bを形成し、これらに対応させて電動アクチュエータ22A及び22Bをラックハウジング23の両端側に設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図12に示すように、ラック軸24の中央部に左右共通のラック歯24cを形成し、このラック歯24cにピニオン32が2ヶ所で噛合するように、図13に示すように、電動アクチュエータ22A及び22Bをラックハウジング23の中央部に近接させて配置するようにしても上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記第1の実施形態においては、ラック軸24の両端部側にラック歯24a及び24bを形成し、これらに対応させて電動アクチュエータ22A及び22Bをラックハウジング23の両端側に設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図12に示すように、ラック軸24の中央部に左右共通のラック歯24cを形成し、このラック歯24cにピニオン32が2ヶ所で噛合するように、図13に示すように、電動アクチュエータ22A及び22Bをラックハウジング23の中央部に近接させて配置するようにしても上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記第1の実施形態においては、電動アクチュエータ22A及び22Bを左右対称に形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動アクチュエータ22A及び22Bをウォーム収納部51の配置位置を同一とするか又はウォームホイール36及びウォーム53の接触角を互いに逆向きとした場合には、電動モータ52A及び52Bの駆動方向を同一方向とすることができ、1つのモータ駆動回路で駆動することができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図14について説明する。
この第2の実施形態では、転舵機構8を1つの減速機と2つの電動アクチュエータとで構成するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態においては、図14に示すように、前述した図12に示すラック軸24をラックハウジング23内に摺動可能に支持し、このラック軸24のラック歯24cに噛合するようにラックハウジング23の軸方向中央位置に第1の実施形態におけるアクチュエータハウジング22A及び22Bと同様の構成を有する1つのアクチュエータハウジング22を配置する。そして、アクチュエータハウジング22のウォームホイール収納部71の左右位置にウォーム収納部72A及び72Bを設け、これらウォーム収納部72A及び72Bに電動モータ52A及び52Bを装着する構成とされている。このため、アクチュエータハウジング22に内装されるウォームホイール36に電動モータ52A及び52Bにセレーションなどの連結部により結合されたウォーム軸54のウォーム53が同時に噛合されている。ここで、アクチュエータハウジング22は、内装するピニオン軸33の軸方向をラックハウジング23の軸方向と直交する方向に設けているが、これに限定されるものではなくラックハウジング23の軸方向と直交する方向に対して傾斜する方向に設けるようにしてもよい。
この第2の実施形態では、転舵機構8を1つの減速機と2つの電動アクチュエータとで構成するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態においては、図14に示すように、前述した図12に示すラック軸24をラックハウジング23内に摺動可能に支持し、このラック軸24のラック歯24cに噛合するようにラックハウジング23の軸方向中央位置に第1の実施形態におけるアクチュエータハウジング22A及び22Bと同様の構成を有する1つのアクチュエータハウジング22を配置する。そして、アクチュエータハウジング22のウォームホイール収納部71の左右位置にウォーム収納部72A及び72Bを設け、これらウォーム収納部72A及び72Bに電動モータ52A及び52Bを装着する構成とされている。このため、アクチュエータハウジング22に内装されるウォームホイール36に電動モータ52A及び52Bにセレーションなどの連結部により結合されたウォーム軸54のウォーム53が同時に噛合されている。ここで、アクチュエータハウジング22は、内装するピニオン軸33の軸方向をラックハウジング23の軸方向と直交する方向に設けているが、これに限定されるものではなくラックハウジング23の軸方向と直交する方向に対して傾斜する方向に設けるようにしてもよい。
この第2実施形態によると、アクチュエータハウジング22に内装されるウォームホイール36に電動モータ52A及び52Bに形成したウォーム軸54のウォーム53を噛合させた構成とされているので、電動モータ52A及び52Bをモータ制御部10のモータ駆動回路63A及び63Bで互いに逆方向に回転駆動することにより、ウォームホイール36を正逆転駆動することができ、これに応じてラック軸24を左右方向に摺動させてタイロッド25A及び25Bを介して後輪3RL及び3RRを転舵させることができる。
このとき、前述した第1の実施形態と同様に、一方の電動モータ52A又は52Bのモータ駆動系に異常が発生した場合には、異常か発生した電動モータを停止させ、残りの電動モータの駆動を継続することにより、ラック軸24の摺動を確保することができ、フェいるセーフ機能を発揮することができる。
しかも、1つの減速機に2つの電動モータ52A及び52Bを連結するので、部品点数を第1の実施形態に比較して減少させることができると共に必要な設置スペースも減少させることができる。
しかも、1つの減速機に2つの電動モータ52A及び52Bを連結するので、部品点数を第1の実施形態に比較して減少させることができると共に必要な設置スペースも減少させることができる。
次に、本発明の第3の実施形態を図15〜図17について説明する。
この第3の実施形態では、転舵部8をラックアンドピニオン機構に代えてボールねじ機構を適用するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、図15に示すように、前述した第1の実施形態の構成における転舵部21のラックハウジング23に、ラック軸24に代えて図16に示すボールねじ81が軸方向には摺動可能で回転方向には拘束されて配設されている。このボールねじ81は、図16に示すように、左右両端部に左ねじ部81aと右ねじ部81bとが形成されている。
この第3の実施形態では、転舵部8をラックアンドピニオン機構に代えてボールねじ機構を適用するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、図15に示すように、前述した第1の実施形態の構成における転舵部21のラックハウジング23に、ラック軸24に代えて図16に示すボールねじ81が軸方向には摺動可能で回転方向には拘束されて配設されている。このボールねじ81は、図16に示すように、左右両端部に左ねじ部81aと右ねじ部81bとが形成されている。
そして、ラックハウジング23の左右両端部に電動アクチュエータ82A及び82Bが左右対称に配設されている。電動アクチュエータ82Aは、図17に示すように、ギヤハウジング83を有し、このギヤハウジング83内にボールねじ81の左ねじ部81aに螺合するボールナット82aが軸方向に位置決めされて配設されている。このボールナット82aにはその円板状のフランジ部82bの外周面に歯数の大きい平歯車84が一体に形成され、この平歯車84に車両前方側で歯数が小さい平歯車85が噛合されている。この平歯車85は、ギヤハウジング83にラックハウジング23と平行に且つ内方に向けて装着された電動モータ86Aの出力軸に連結されている。
同様に、電動アクチュエータ82Bも上述した電動アクチュエータ82Aと左右対称形に形成されていることを除いては同一構成を有し、ギヤハウジング83内にボールねじ81の右ねじ部81bに螺合するボールナット82aが軸方向に位置決めされて配設され、このボールナット82aの円板状フランジ部82bの外周面に平歯車84が一体に形成され、この平歯車84に小歯数の平歯車85が噛合され、この平歯車85が電動モータ86Bの出力軸に連結された構成を有する。
この第3の実施形態でも、前述した第1の実施形態におけるモータ駆動回路63A及び63Bによって電動モータ86Aを例えば逆転駆動し、電動モータ86Bを正転駆動させるか又はその逆に駆動することにより、ボールねじ81を左右方向に移動させて、後輪3RL及び3RRを転舵させることができる。
このようにボールねじ機構を適用することにより、電動モータ86A及び86Bをラックハウジング23に沿う方向に配置することが可能となり、ラックハウジング23と直交する方向への電動モータの突出長さを短くすることができ、全体をコンパクト化することができる。
なお、上記第3の実施形態においては、減速機構として平歯車84及び85を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、プーリ間にベルトを張架した減速機構を適用したり、その他の任意の減速機構を適用したりすることができる。
このようにボールねじ機構を適用することにより、電動モータ86A及び86Bをラックハウジング23に沿う方向に配置することが可能となり、ラックハウジング23と直交する方向への電動モータの突出長さを短くすることができ、全体をコンパクト化することができる。
なお、上記第3の実施形態においては、減速機構として平歯車84及び85を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、プーリ間にベルトを張架した減速機構を適用したり、その他の任意の減速機構を適用したりすることができる。
また、上記第3の実施形態においては、ラックハウジング23の左右両端側に電動アクチュエータ82A及び82Bを設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ボールねじ81を図18に示すように、中央部に共通の左ねじ部81cを形成すると共に、図19に示すように、左ねじ部81cに対向する位置に電動アクチュエータ82A及び82Bをボールねじ81の中心線の中心点で点対称に配置し、これら電動アクチュエータ82A及び82Bの電動モータ86A及び86Bを前述した第1の実施形態におけるモータ駆動回路63A及び63Bで回転駆動するようにしても上記第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、第4の実施形態としては、図示しないが、前述した第2の実施形態に対応させて、ボールねじ81を図18に示すように、1ヶ所のみにねじ部81cを形成し、このねじ部81cに螺合するボールナット82を1個のみとし、そのボールナット82の両端にそれぞれ上記第3の実施形態3で示した平歯車84及び85等で構成される減速機を介して2つの電動モータ86A,86Bを接続する構成とすることができる。すなわち、第2の実施形態と同様に2つの電動モータ86A.86Bで1つの動力伝達部材を駆動することで、一方の電動モータ86A又は86Bのモータ駆動系に異常が発生した場合には、異常が発生した電動モータを停止させ、残りの電動モータの駆動を継続することにより、ボールねじ81の摺動を確保することができ、フェイルセーフ機能を発揮することができる。また、部品点数の減少や接地スペースの減少も合わせて実現できる。
また、上記第1及び第3の実施形態においては、減速機及び電動アクチュエータを2組設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、減速機及び電動アクチュエータを3組以上配設するようにしてもよい。
さらに、上記第1〜第4の実施形態においては、モータ制御部10を図8に示す構成とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動モータとしてブラシレスモータを適用した場合には、モータ駆動回路63A及び63Bを多相インバータで構成し、これに応じてパルス幅変調信号形成回路62から相数の2倍のパルス幅変調信号をモータ駆動回路63A及び63Bに出力するようにしてもよい。
さらに、上記第1〜第4の実施形態においては、モータ制御部10を図8に示す構成とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動モータとしてブラシレスモータを適用した場合には、モータ駆動回路63A及び63Bを多相インバータで構成し、これに応じてパルス幅変調信号形成回路62から相数の2倍のパルス幅変調信号をモータ駆動回路63A及び63Bに出力するようにしてもよい。
また、上記第1〜第4の実施形態においては、モータリレー64A及び64Bをモータ駆動回路63A及び63Bと電動モータ52A及び52Bとの間に介挿した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、モータ駆動回路63A及び63BのスイッチングトランジスタQ1及びQ3の接続点と直流電源端子Vpとの間にモータリレー64A及び64Bを介挿するようにしてもよい。
さらに、上記第1〜第4の実施形態においては、電動モータと減速機構とが別体である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、減速機を内装したギヤードモータを適用するようにしてもよい。
また、上記第1〜第4の実施形態においては、本発明をカウンターバランスタイプのフォークリフトに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、サイドフォークリフトなどの他のフォークリフトや他の産業車両や乗用車等の車両にも本発明を適用することができる。
また、後輪3RL,3RRを転舵制御する場合に代えて、前輪3FL,3FRを転舵制御するようにしてもよい。
また、上記第1〜第4の実施形態においては、本発明をカウンターバランスタイプのフォークリフトに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、サイドフォークリフトなどの他のフォークリフトや他の産業車両や乗用車等の車両にも本発明を適用することができる。
また、後輪3RL,3RRを転舵制御する場合に代えて、前輪3FL,3FRを転舵制御するようにしてもよい。
1…フォークリフト、2…車体、3FL,3FR…前輪、3RL,3RR…後輪(転舵輪)、4…フォーク、5…マスト、6…運転席、7…操舵機構、8…転舵機構、9…バッテリ、10…モータ制御部、11…ステアリングホイール、13…操舵反力発生部、14…操舵角センサ、21…転舵部、22A,22B…電動アクチュエータ、23…ラックハウジング、24…ラック軸、25A,25B…タイロッド、31A,31B…アクチュエータハウジング、33…ピニオン軸、36…ウォームホイール、51…ウォーム収納部、51m…モータ装着部、52A,52B…電動モータ、54…ウォーム軸、61…演算処理回路、62…パルス幅変調信号形成回路、63A,63B…モータ駆動回路、64A,64B…モータリレー、65A,65B…モータ電流センサ、66…車両用コントローラ、71…ウォームホイール収納部、72A,72B…ウォーム収納部、81…ボールねじ、82A,82B…電動アクチュエータ、83…ギヤハウジング、84,85…平歯車、86A,86B…電動モータ、
Claims (12)
- 車両の操舵を行う操舵機構と、該操舵機構とは切り離されて転舵輪を転舵する転舵機構とを備え、前記転舵機構は、左右の転舵輪に対して転舵力を付与する転舵部と、該転舵部を転舵動作させる減速機及び複数の電動モータで構成される電動アクチュエータとで構成されていることを特徴とする車両用操舵装置。
- 前記転舵部は左右方向に摺動可能な摺動ロッドと、該摺動ロッドの両端に連結されたタイロッドとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
- 前記電動アクチュエータは、1つの減速機に複数の電動モータが装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用操舵装置。
- 前記電動アクチュエータは複数の減速機と該複数の減速機に個別に連結された複数の電動モータとで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用操舵装置。
- 前記摺動ロッドに、前記複数の減速機の出力側が連結されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用操舵装置。
- 前記転舵部は左右の後輪を転舵するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
- 前記操舵機構の操舵量を検出する操舵量検出部と、該操舵量検出部で検出した操舵量に基づいて前記電動アクチュエータの電動モータを制御するモータ制御部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
- 前記モータ制御部は前記複数の電動モータに対して個別に駆動信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の車両用操舵装置。
- 前記モータ制御部と前記複数の電動モータとの間の信号伝達経路に個別に信号遮断部が介挿されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の車両用操舵装置。
- 前記操舵機構は、操舵反力を発生する操舵反力部を有し、前記操舵量検出部は、前記該操舵反力部に配設されていることを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
- 前記転舵輪の実転舵角を検出する転舵角センサを有し、前記モータ制御部は、前記操舵量検出部で検出した操舵量と前記転舵角センサで検出した実転舵角との差分に基づいて前記電動モータを駆動制御するように構成されていることを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
- 前記車両はカウンタタイプのフォークリフトであることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
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