JP2010029745A - ホモバルブ及びそれを用いたホモジナイザ - Google Patents

ホモバルブ及びそれを用いたホモジナイザ Download PDF

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Abstract

【課題】ランニングコストが低く、分散力が大きい(均質化能力が高い)、セラミックスラリー組成物の分散手段(均質化手段)を提供すること。
【解決手段】バルブロッド12の外径がバルブシート11の外径より小さく、バルブシート11のテーパー状の面と、バルブロッド12の角部と、によって間隙15を形成しているホモバルブ10の提供による。
【選択図】図1

Description

本発明は、スラリー状の組成物の成分を分散させ、組成物を均質化するのに好適な構造を有するホモバルブと、それを用いたホモジナイザに関する。
積層圧電素子や積層セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品は、多くの場合、セラミック粉末に、分散媒、分散剤、バインダ、可塑剤等を、所定の割合で配合した原料を、分散装置を用いて混合し、セラミックスラリー組成物を得て、そのセラミックスラリー組成物を、ドクターブレード法等の手段によって、所定の厚さのセラミックグリーンシートに成形し、そのセラミックグリーンシートに導電材料で電極を形成し、その電極を形成したセラミックグリーンシートを積層し、グリーンシート積層成形体を得て、そのグリーンシート積層成形体を熱処理し、焼結させる、といった過程を経て、製造される。
このようなセラミック電子部品の製造において、最終製品の寸法精度や形状精度を向上させ、形状欠陥等を回避するためには、グリーンシート積層成形体を焼成する際の焼成収縮の割合を安定化させることが大切である。そして、グリーンシート積層成形体の焼成収縮の割合を安定化させるためには、セラミックスラリー組成物を均質化(同質化、ホモジナイズ)することが重要であり、中でもバインダ成分を均質化することが最も重要である、と考えられる。
一般に、このようなセラミックスラリー組成物を均質化する手段としては、ホモバルブを具備するホモジナイザ(均質化装置、均質機)が利用されている。図8は、従来のホモジナイザの一例を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブの断面図である。
図8に示されるホモバルブ80は、バルブシート81と、バルブロッド82(弁体)と、ブレーカーリング83と、を具備する。バルブシート81は、筒状を呈し、スラリー状組成物(被処理液)が通る空間を有する。バルブシート81とバルブロッド82の外径は概ね同じであり、バルブロッド82は、筒状のバルブシート81の端面に、バルブシート81と間隙85を開けて備わる。図8において、左側がスラリー状組成物の入口84であり、右側が出口86である。ブレーカーリング83は、バルブシート81及びバルブロッド82の外側に備わる。
このようなホモバルブ80において、スラリー状組成物は、入口84から入り、例えば、プランジャ式ポンプによって、高圧で押圧され、狭い間隙85から高速で吐出される。このとき、間隙85を通過することによるせん断効果、及び間隙85から高速で吐出されることによるキャビテーション効果が生じ、スラリー状組成物は分散される。次いで、間隙85から出たスラリー状組成物はブレーカーリング83に当たる。このとき、衝突効果が生じるので、スラリー状組成物は、更に、分散される。そして、分散処理されたものとして、出口86から排出される。
尚、先行技術文献として、特許文献1を挙げることが出来る。例えば、特許文献1には高圧型均質機が開示されている(第7図を参照)。又、他に、関連する先行技術文献として、特許文献2〜6を挙げることが出来る。
特公昭64−9045号公報 特許第3538706号公報 特許第3403828号公報 特開2000−354749号公報 特開2006−179539号公報 特開2001−29776号公報
しかしながら、特許文献1に開示された高圧型均質機や、特許文献2〜6に記載された均質機ないしは分散装置は、何れも高圧で処理する機器である。特許文献1には圧力が明示されていないものの、例えば特許文献2〜4には、圧力に関し、概ね10MPa(100kg/cm)以上、あるいは概ね10〜500MPa(100〜5000kg/cm)とするとの記載がある。このような高圧処理では、強い分散効果が期待出来るものの、電気使用量は多くなり、治具磨耗によるメンテナンス頻度は増加するので、ランニングコストの点で不利である。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、ランニングコストが低く、分散力が大きい(均質化能力が高い)、セラミックスラリー組成物の分散手段(均質化手段)を提供することにある。研究が重ねられた結果、ホモバルブの形状を工夫することによって、分散効果を高め、低圧で処理することが可能になり、上記の課題が解決されることが見出された。
先ず、本発明によれば、筒状のバルブシート、及び、その筒状のバルブシートの一の開口の側でバルブシートの端部と間隙を開けて配設される柱状のバルブロッド、を有し、そのバルブロッドの外径がバルブシートの外径より小さく、バルブシート及びバルブロッドが、角部と面、又は、角部と角部、によって間隙を形成しているホモバルブが提供される。
即ち、本発明に係るホモバルブは、従来のホモバルブ(図8を参照)と同様に、筒状のバルブシート、及び、その筒状のバルブシートの一の開口の側でバルブシートの端部と間隙を開けて配設される柱状のバルブロッド、を有するものである。但し、従来のホモバルブは、バルブロッドとバルブシートの外径が概ね同等であるのに対し、本発明に係るホモバルブは、バルブロッドの外径がバルブシートの外径より小さい。
本発明に係るホモバルブにおいて、角部と角部によって間隙を形成している態様では、当然に、バルブシートの角部とバルブロッドの角部が間隙を形成することになるが、角部と面によって間隙を形成している態様では、バルブシートの角部とバルブロッドの面が間隙を形成するか、又は、バルブシートの面とバルブロッドの角部が間隙を形成する。好ましくは後者である。本発明に係るホモバルブでは、バルブシート及びバルブロッドが、角部と面、又は、角部と角部、によって間隙を形成するから、空間部分である間隙を形成する実体部分の何れかは角部であり、角部で形成される間隙は、(最も狭い部分としては)その長さが極短い。換言すれば、本発明に係るホモバルブでは、従来のホモバルブのように、平行な面と面とで間隙を形成しない。
本発明に係るホモバルブにおいては、筒状のバルブシートが、一の開口の側にテーパー状の面を有し、そのバルブシートのテーパー状の面と、柱状のバルブロッドの角部と、によって間隙を形成していることが好ましい。
筒状のバルブシートの一の開口の側のテーパー状の面と、柱状のバルブロッドの角部と、によって間隙が形成される場合、バルブロッドの外径はバルブシートの外径より小さいから、柱状のバルブロッドの角部に対向してテーパー状の面が現れるように、その一の開口の側のテーパー状の面は、筒状のバルブシートの周面の側から中心軸の側に向けて、他の開口の側に傾斜する態様となる。即ち、筒状のバルブシートの一の開口の端面を水平面とするならば、そこがすり鉢状に低くなる態様となる。
本発明に係るホモバルブにおいては、間隙よりバルブシートの側に、筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°の間で形成されている空間を有することが好ましい。
本発明に係るホモバルブにおいては、間隙よりバルブロッドの側に、筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°の間で形成されている空間を有することが好ましい。
筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°の間で形成されている空間とは、0〜45°の間に限定されて形成されている空間という意味である。又、間隙よりバルブシートの側は、本発明に係るホモバルブをスラリー状組成物(被処理液)の分散処理に使用したときの、スラリー状組成物の入口側に相当する。間隙よりバルブロッドの側は、本発明に係るホモバルブをスラリー状組成物(被処理液)の分散処理に使用したときの、スラリー状組成物の出口側に相当する。
バルブシートのテーパー状の面とバルブロッドの角部とによって間隙が形成される場合に、筒状のバルブシートの中心軸方向に対して、そのバルブシートのテーパー状の面が45°の角度をなし、バルブシートのテーパー状の面の中間にバルブロッドの角部が位置すれば、間隙よりバルブシートの側に筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°で空間が形成されることになり、且つ、間隙よりバルブロッドの側に筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°で空間が形成されることになる。
本発明に係るホモバルブにおいては、筒状のバルブシートの内部が、間隙に至るまでに狭窄していることが好ましい。
間隙に至るまで、であるから、筒状のバルブシートの内部は、間隙の直前で狭窄していてもよく、狭窄してから再度広がって間隙に至る態様であってもよい。
次に、本発明によれば、上記した何れかのホモバルブと、そのホモバルブの一の開口とは反対側の他の開口から圧力を加え得る加圧手段と、を具備するホモジナイザが提供される。
圧力を加える対象は、ホモバルブ(ホモジナイザ)によって、分散させ、均質化しようとするスラリー状組成物(被処理液)である。加圧手段としては、各種のポンプや、空気又は油を圧力伝達媒体とするシリンダ等を挙げることが出来る。
本発明に係るホモバルブは、従来のホモバルブ(図8を参照)と同様に、筒状のバルブシート、及び、その筒状のバルブシートの一の開口の側でバルブシートの端部と間隙を開けて配設される柱状のバルブロッド、を有するものであり、スラリー状組成物(被処理液)が、他の開口の側(入口)から入り、例えば、プランジャ式ポンプによって、高圧で押圧され、狭い間隙から高速で吐出されることによって、その分散、均質化が図られるものである。但し、従来のホモバルブが、間隙を通過することによるせん断効果、間隙から高速で吐出されることによるキャビテーション効果、及び、間隙から出たスラリー状組成物をブレーカーリングに当てることによる衝突効果、の3つを、全て積極的に利用するものであるのに対し、本発明に係るホモバルブは、主に間隙から高速で吐出されることによるキャビテーション効果を利用する点で異なる。
即ち、本発明に係るホモバルブは、バルブシート及びバルブロッドが、角部と面、又は、角部と角部、によって間隙を形成しているので、間隙の長さは極短く(間隙が狭く)、せん断面積が小さい。そのため、従来のホモバルブのように、平行な面と面とで間隙が形成される場合に比すれば、せん断効果は小さいが、圧力損失が少なく、スラリー状組成物の流速は低下し難いので、キャビテーション効果は、従来のホモバルブに比して格段に大きく、分散(均質化)能力に優れている。従って、例えば、5MPa以上、10MPa未満といった低圧であっても、スラリー状組成物(セラミックスラリー組成物を含む、被処理液)を十分に分散(均質化)することが可能である。よって、電気使用量は少なくなり、且つ、治具磨耗も進行し難くなるのでメンテナンス頻度も減少するから、ランニングコストは低減される。
本発明に係るホモバルブにおいては、筒状のバルブシートの径は、圧力損失を考慮しつつ、なるべく小さい方が好ましい。バルブシートの径を小径にすることによって、小径のバルブロッドを適用することが出来る。そして、その結果として、スラリー状組成物(被処理液)が同一の流量であれば、次の式に示されるように、間隙から出るスラリー状組成物(処理液)の流速が速くなり、キャビテーション効果が増すからである。尚、次の式において、スラリー状組成物の流量Qが同一(一定)のとき、バルブロッドの半径rが小となれば、流速vは増加する(速くなる)。
2・π・r・h・v=Q
h:間隙
r:バルブロッドの半径
v:流速
Q:流量(体積)
本発明に係るホモバルブでは、間隙から出たスラリー状組成物をブレーカーリングに当てることによる衝突効果についても、それを主に期待するものではなく、ブレーカーリングは、主に間隙から吐出したスラリー状組成物をホモバルブの出口へ導く役割を担うものとして位置づけられる。但し、衝突効果を全く排除するものではなく、本明細書において、名称は、従来のホモバルブと同じく、ブレーカーリングとしている。
本発明に係るホモバルブは、その好ましい態様において、筒状のバルブシートのテーパー状の面と柱状のバルブロッドの角部とによって間隙を形成しており、更に好ましくは、間隙よりバルブシートの側(スラリー状組成物の入口の側)に、筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°の間で形成されている空間を有し、尚更に好ましくは、間隙よりバルブロッドの側(スラリー状組成物の出口の側)に、筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°の間で形成されている空間を有するので、そうでない態様に比して、圧力損失が少なく、スラリー状組成物の流速が低下し難く、キャビテーション効果が高い。これは、間隙よりバルブシートの側に、筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°の間で空間が形成されていることによって、スラリー状組成物(被処理液)が、流路である筒状のバルブシートの中心軸方向に対して、0〜45°の方向へ滑らかに流れるからである。従来のホモバルブ(図8を参照)では、流路である筒状のバルブシートの中心軸方向に対して、急に、直角(90°)に向きを変えて間隙に入るため、粘性抵抗による圧力損失が大きくなり易いが、本発明によれば、このような問題は生じない。本発明に係るホモバルブは、従来のホモバルブに比して、間隙よりバルブロッドの側(スラリー状組成物の出口の側)の空間を大きく確保することが出来る。そのため、そこで急激に常圧に戻って泡が消滅するので、この点からも、大きなキャビテーション効果を得ることが出来る。従来のホモバルブ(図8を参照)では、ブレーカーリングが間隙に近接しているため、圧力が高く、急激な泡の収縮が抑制され、キャビテーション効果は小さくなり易い。ブレーカーリングの目的である衝突効果からすれば、従来のホモバルブのようなブレーカーリングが間隙に近接する態様がよいともいえるが、キャビテーション効果と背反すると考えられ、本発明に係るホモバルブでは、キャビテーション効果を最大限に得ることを優先させている。
本発明に係るホモバルブは、その好ましい態様において、筒状のバルブシートの内部が、間隙に至るまでに狭窄しているので、その結果として、バルブロッドの径を小径にすることが出来、既述のように、スラリー状組成物(被処理液)が同一の流量であれば、流速が速くなり、キャビテーション効果が大きくなる。一方で、狭窄していない部分のバルブシートの径を大きくすることによって、圧力損失を低下させることが出来る。又、狭窄する部分においても、テーパー状に徐々に狭窄させることによって、圧力損失の増加を抑制することが出来るので、この態様を採ることが好ましい。極端に段差をつけた狭窄の態様は、圧力損失を大きくするので、好ましくない。
本発明に係るホモバルブでは、柱状のバルブロッドは、筒状のバルブシートと間隙を形成しつつ対向する側が、凸形状であることが好ましい。スラリー状組成物(被処理液)の流れを乱し難くなり、圧力損失を抑制することが出来るからである。このような態様では、柱状のバルブロッドの凸形状部分に角部を設けて、バルブシートの面とバルブロッドの角部とによって間隙を形成することも出来るし、バルブシートに角部を設け且つ柱状のバルブロッドの凸形状部分に面(テーパー状の面)を設けて、バルブシートの角部とバルブロッドの面とによって間隙を形成することも可能である。
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明に係る要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明に係る実施形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
先ず、本発明に係るホモバルブ及びそれを用いたホモジナイザについて説明する。本発明に係るホモジナイザ(均質化装置、同質化装置)は、スラリー状組成物(被処理液)に対して、低圧で分散処理を行うことが出来る分散装置、ということが出来る。
図1は、ホモジナイザの一の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。図1に示されるホモバルブ10は、円筒状のバルブシート11及び円柱状のバルブロッド12を備え、更に、バルブシート11及びバルブロッド12の外側に、円筒状のブレーカーリング13を備える。
ホモバルブ10の、円筒状を呈するバルブシート11及びブレーカーリング13は、それぞれ、内部が、例えば、セラミックスラリーを構成するバインダ溶液(スラリー状組成物、被処理液)が通る空間になっている。図1に示されるホモバルブ10において、矢印は、バインダ溶液の流れを現しており、図1における左側がバインダ溶液の入口14であり、右側が出口16である。円柱状で、バルブシート11より外径の小さいバルブロッド12は、筒状のバルブシート11の端部と、間隙15を開けて配設される。ホモジナイザは、ホモバルブ10の他に、少なくとも、加圧手段として、例えばプランジャ式ポンプを備え、そのプランジャ式ポンプによって、入口14の側からバインダ溶液は加圧される。
ホモバルブ10では、円筒状のバルブシート11の内部は、間隙15に至るまでに狭窄せず、真直であるが、バルブシート11の出口16の側(一の開口の側)には、テーパー状の面を有する。そのバルブシート11のテーパー状の面は、円筒状のバルブシート11の周面の側から中心軸の側に向けて、入口14の側(他の開口の側)に傾斜した面になっており、ホモバルブ10では、そのテーパー状の面の最も出口16の側の部分(バルブシート11の端面に位置する部分)と、円柱状のバルブロッド12の角部(端面と外周面との境界部分)と、によって間隙15が形成されている。
バルブシート11のテーパー状の面は、バルブシート11の中心軸方向に対して45°の角度をなしており(図1においてθ1=45°)、その結果、ホモバルブ10では、間隙15より入口14の側(バルブシート11の側)に、バルブシート11の中心軸方向に対して0〜45°の間に(限定して)空間が形成されている。一方、既述のように、テーパー状の面の最も出口16の側の部分と、バルブロッド12の角部と、によって間隙15が形成されているため、間隙15より出口16の側(バルブロッド12の側)には、バルブシート11の中心軸方向に対して0〜45°の間に(限定して)空間は形成されていない。図1に示されるように、空間は、バルブシート11の中心軸方向に対して0〜90°の間に形成されている。
バルブシート11の内径Aは、時間当たりに処理すべきバインダ溶液の量(流量)によって決定されるが、例えば、3〜10mm程度に設定することが出来る。バルブシート11の外径B及び長さCは、内径Aとの関係等に基づいて、適宜、決定される。例えば、バルブシート11の外径Bを5〜20mm程度、長さCを20〜50mm程度に設定することが出来る。
空間部分である間隙15は、それを形成する一方の実体部分がバルブロッド12の角部であるため、その長さは極短い。バルブロッド12の角部の角に仕上げによるが、間隙15の長さは、1mm以下であることが好ましい。より好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。
間隙15を形成するバルブロッド12の外径Dは、バルブシート11の外径B及びテーパー状の面との関係等に基づいて、適宜、決定される。例えば、バルブロッド12の外径Dを2〜19mm程度に設定することが出来る。バルブシート11の外径B、及びテーパー状の面を変えずに、バルブロッド12の外径Dを小さくすると、次の図2及び図3に示される態様になる。
図2及び図3は、それぞれ、ホモジナイザの他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。図1に示されるホモバルブ10と同様に、図2に示されるホモバルブ20は、円筒状のバルブシート21及び円柱状のバルブロッド22を備え、更に、それらの外側に、円筒状のブレーカーリング23を備え、図3に示されるホモバルブ30は、円筒状のバルブシート31及び円柱状のバルブロッド32を備え、更に、それらの外側に、円筒状のブレーカーリング33を備える。
既述のように、ホモバルブ20,30は、ホモバルブ10を基にして、バルブシートの外径、及びテーパー状の面を変えずに、バルブロッドの外径を小さくしたものである。
ホモバルブ20では、バルブシート21のテーパー状の面の中間部分と、円柱状のバルブロッド22の角部と、によって間隙25が形成され、バルブシート21のテーパー状の面は、バルブシート21の中心軸方向に対して45°の角度をなしている。そして、その結果、ホモバルブ20では、間隙25より入口24の側に、バルブシート21の中心軸方向に対して0〜45°の間に(限定して)空間が形成され、且つ、間隙15より出口26の側に、バルブシート21の中心軸方向に対して0〜45°の間に(限定して)空間が形成されている。
ホモバルブ30では、そのテーパー状の面の最も入口34の側の部分(バルブシート31の端面から最も遠い部分)と、円柱状のバルブロッド32の角部と、によって間隙35が形成され、バルブシート31のテーパー状の面は、バルブシート31の中心軸方向に対して45°の角度をなしている。そして、その結果、ホモバルブ30では、間隙35より出口36の側に、バルブシート31の中心軸方向に対して0〜45°の間に(限定して)空間が形成されている。一方、間隙35より入口34の側には、バルブシート31の中心軸方向に対して0〜45°の間に(限定して)空間は形成されていない。図3に示されるように、空間は、バルブシート31の中心軸方向に対して0〜90°の間に形成されている。
ホモバルブ20,30は、以上説明した点を除き、ホモバルブ10に準じるものであるから、寸法等を含め、その他は記載を省略する。
図4は、ホモジナイザの更に他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。図1に示されるホモバルブ10と同様に、図4に示されるホモバルブ40は、円筒状のバルブシート41及び円柱状のバルブロッド42を備え、更に、それらの外側に、円筒状のブレーカーリング43を備える。図4に示されるホモバルブ40において、矢印は、バインダ溶液の流れを現しており、図4における左側がバインダ溶液の入口44であり、右側が出口46である。
ホモバルブ40では、バルブシート41に、テーパー状の面が存在せず、円筒状のバルブシート41の角部(端面と内周面との境界部分)と、円柱状のバルブロッド42の角部と、によって間隙45が形成されている。換言すれば、ホモバルブ40は、従来のホモバルブ80を基にして、円筒状のバルブシートの角部と、円柱状のバルブロッドの角部と、によって間隙が形成されるように、バルブロッドの外径をバルブシートの外径より小さくしたもの、ということが出来る。ホモバルブ40は、以上説明した点を除き、ホモバルブ10に準じるものであるから、寸法等を含め、その他は記載を省略する。
図5は、ホモジナイザの更に他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。図1に示されるホモバルブ10と同様に、図5に示されるホモバルブ50は、円筒状のバルブシート51及び円柱状のバルブロッド52を備え、更に、それらの外側に、円筒状のブレーカーリング53を備える。図5に示されるホモバルブ50において、矢印は、バインダ溶液の流れを現しており、図5における左側がバインダ溶液の入口54であり、右側が出口56である。
ホモバルブ50では、円筒状のバルブシート51の内部が、バルブロッド52の側(出口56の側)において、バルブシート51の実体部分が迫り出すことにより(厚くなることにより)、バインダ溶液の流路にあたるバルブシート51の内部空間は、間隙55に至るまでに、狭窄している。間隙55は、入口54の側に比して厚肉となった円筒状のバルブシート51の角部(端面と内周面との境界部分)と、円柱状のバルブロッド52の角部と、によって形成されている。そして、そうなるように、ホモバルブ40の態様と比べて、バルブロッド52の外径は、バルブシート51の外径より小さくなっている。ホモバルブ50は、以上説明した点を除き、ホモバルブ40(又はホモバルブ10)に準じるものであるから、寸法等を含め、その他は記載を省略する。
図6は、ホモジナイザの更に他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。図1に示されるホモバルブ10と同様に、図6に示されるホモバルブ60は、円筒状のバルブシート61及び円柱状のバルブロッド62を備え、更に、それらの外側に、円筒状のブレーカーリング63を備える。図6に示されるホモバルブ60において、矢印は、バインダ溶液の流れを現しており、図6における左側がバインダ溶液の入口64であり、右側が出口66である。
ホモバルブ60では、ホモバルブ50と同様に、円筒状のバルブシート61の内部が、バルブロッド62の側(出口66の側)において、バルブシート61の実体部分が迫り出すことにより(厚くなることにより)、バインダ溶液の流路にあたるバルブシート61の内部空間は、間隙65に至るまでに、狭窄している。加えて、ホモバルブ60は、バルブシート61の出口66の側にテーパー状の面を有し、ホモバルブ60では、そのバルブシート61のテーパー状の面の中間部分と、円柱状のバルブロッド62の角部と、によって間隙65が形成されている。即ち、ホモバルブ60は、既述のホモバルブ20とホモバルブ50の両方の特徴を備えたもの、ということが出来る。ホモバルブ60は、以上説明した点を除き、ホモバルブ20又はホモバルブ50(又はホモバルブ10)に準じるものであるから、寸法等を含め、その他は記載を省略する。
図7は、ホモジナイザの更に他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。図1に示されるホモバルブ10と同様に、図7に示されるホモバルブ70は、円筒状のバルブシート71及び円柱状のバルブロッド72を備え、更に、それらの外側に、円筒状のブレーカーリング73を備える。図7に示されるホモバルブ70において、矢印は、バインダ溶液の流れを現しており、図7における左側がバインダ溶液の入口74であり、右側が出口76である。
ホモバルブ70は、円柱状のバルブロッド72の、円筒状のバルブシート71と間隙75を形成しつつ対向する側が、凸形状である点において、ホモバルブ60と異なる。図6に示されるホモバルブ60では、円柱状のバルブロッド62は平らな端面を有するものであるため、間隙65より入口64の側に形成される空間は、45°超の角度を有するものとなる(θ2>45°、図6を参照)が、ホモバルブ70では、円柱状のバルブロッド72を凸形状とすることによって、間隙75より入口74の側に形成される空間を、45°以下の角度を有するものとしている(θ2≦45°、図7を参照)。ホモバルブ70のこの態様は、間隙より入口の側に、バルブシートの中心軸方向に対して0〜45°の間に(限定して)空間が形成される態様(既述のホモバルブ10,20)と同様に、低い圧力損失と高いキャビテーション効果を導く。ホモバルブ70は、以上説明した点を除き、ホモバルブ60(又はホモバルブ10)に準じるものであるから、寸法等を含め、その他は記載を省略する。
次いで、本発明に係るホモバルブ及びそれを用いたホモジナイザを製造する方法について説明する。ホモバルブは、その構成部材であるバルブシート、バルブロッド、及びブレーカーリングを得て、それらを、溶接、ねじ止め等の公知の固定手段によって位置決めしつつ固定し、組み立てて、製造することが可能である。バルブシート、バルブロッド、及びブレーカーリングは、市販の円筒形、円柱形の部材を機械加工したり、鋳造、鍛造、押出成形等の公知の成形手段を用いることによって、得ることが出来る。バルブシート、バルブロッド、及びブレーカーリングに用いる材料は、金属、セラミックス等である。
そして、加圧手段として例えば市販のプランジャ式ポンプと、バインダ溶液(スラリー状組成物、被処理液)のための原液タンクや処理液タンク等の付帯設備と、を用意し、それらを配管や弁でホモバルブと接続する配管系を構築し、更に、設備を駆動し制御する電気制御系を構築することによって、ホモジナイザを得ることが出来る。
次に、本発明に係るホモバルブ及びそれを用いたホモジナイザを使用する方法について、上記したホモバルブ10を有するホモジナイザを用いた場合を例にとって、説明する。この使用方法は、バインダ溶液(スラリー状組成物、被処理液)を分散する処理を行う方法に相当する。
使用に際しては、バインダ溶液を、ホモバルブ10の入口14から入れ、(例えば)プランジャ式ポンプによって、(例えば)5MPa以上、10MPa未満の低圧で押圧すればよい。こうすると、バインダ溶液は、間隙15を通過し、このときに、せん断効果が生じ、分散され、均質化する。そして、バインダ溶液は、間隙15から吐出され、このときに、キャビテーション効果が生じ、バインダ溶液(バインダ)は、更に、分散され、均質化する。
バインダ溶液を押圧する圧力は、好ましくは、7MPa以上、10MPa未満、より好ましくは、8MPa以上、10MPa未満である。この圧力は、例えば、プランジャ式ポンプによって押圧されることによって生じる圧力である。
スラリー状組成物(被処理液)の一例であるバインダ溶液は、バインダを溶媒に溶解したものであるが、バインダとしては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることが出来る。溶媒は、用いるバインダによって選択することが出来るが、例えば、水、トルエン、キシレン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等を挙げることが可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)ポリビニルブチラール(バインダ)20質量部を、トルエン/IPA=50/50混合溶媒(溶剤)100質量部に溶解して、バインダ溶液を得た。分散処理前の、そのバインダ溶液の粘度を測定したところ、2.74Pa・sであった。
次いで、得られたバインダ溶液に対し、ホモジナイザを用いて、10MPaの圧力で、分散処理を行った。使用したホモジナイザは、既述の、ホモバルブ10(図1を参照)を具備するホモジナイザであり、加圧手段は、プランジャ式ポンプ(モーター周波数100Hz)である。分散処理後のバインダ溶液の粘度を測定したところ、2.00Pa・s(粘度低下率27.0%)であった。
尚、使用したホモバルブ10の寸法は、バルブシート11については、内径Aが3mmであり、外径Bは8mmであり(バルブシート11の肉厚は2.5mm)、長さCは30mmである。バルブロッド12の外径Dは6mmであり、バルブシート11とブレーカーリング13との間隔Eは、1mmである。
(実施例2)分散処理前のバインダ溶液の粘度を測定したところ、2.65Pa・sであった。使用したホモジナイザは、既述の、ホモバルブ20(図2を参照)を具備するホモジナイザであり、加圧手段は、プランジャ式ポンプ(モーター周波数100Hz)である。これら以外の条件は、実施例1と同様である。分散処理後のバインダ溶液の粘度を測定したところ、1.94Pa・s(粘度低下率27.0%)であった。
尚、使用したホモバルブ20の寸法は、バルブシート21については、内径Aが6mmであり、外径Bは12mmであり(バルブシート21の肉厚は3mm)、長さCは30mmである。バルブロッド22の外径Dは8mmであり、バルブシート21とブレーカーリング23との間隔Eは、1mmである。
(実施例3)分散処理前のバインダ溶液の粘度を測定したところ、2.74Pa・sであった。使用したホモジナイザは、既述の、ホモバルブ30(図3を参照)を具備するホモジナイザであり、加圧手段は、プランジャ式ポンプ(モーター周波数100Hz)である。これら以外の条件は、実施例1と同様である。分散処理後のバインダ溶液の粘度を測定したところ、1.92Pa・s(粘度低下率30.0%)であった。
尚、使用したホモバルブ30の寸法は、バルブシート31については、内径Aが6mmであり、外径Bは12mmであり(バルブシート31の肉厚は3mm)、長さCは30mmである。バルブロッド32の外径Dは6mmであり、バルブシート31とブレーカーリング33との間隔Eは、1mmである。
(比較例1)分散処理前のバインダ溶液の粘度を測定したところ、2.70Pa・sであった。使用したホモジナイザは、既述の、従来のホモバルブ80(図8を参照)を具備するホモジナイザであり、加圧手段は、プランジャ式ポンプ(モーター周波数100Hz)である。これら以外の条件は、実施例1と同様である。分散処理後のバインダ溶液の粘度を測定したところ、2.35Pa・s(粘度低下率13.0%)であった。
尚、使用したホモバルブ80の寸法は、バルブシート81については、内径Aが4mmであり、外径Bは8mmであり(バルブシート81の肉厚は2mm)、長さCは30mmである。バルブロッド82の外径Dは(外径Bと同じ)8mmであり、バルブシート81とブレーカーリング83との間隔Eは、1mmである。
(比較例2)分散処理前のバインダ溶液の粘度を測定したところ、2.70Pa・sであった。使用したホモジナイザは、既述の、従来のホモバルブ80(図8を参照)であるが(同形態であるが)比較例1とは寸法を変更したものを具備するホモジナイザであり、加圧手段は、プランジャ式ポンプ(モーター周波数100Hz)である。これら以外の条件は、実施例1と同様である。分散処理後のバインダ溶液の粘度を測定したところ、2.20Pa・s(粘度低下率18.5%)であった。
尚、使用したホモバルブ80の寸法は、バルブシート81については、内径Aが7mmであり、外径Bは12mmであり(バルブシート81の肉厚は2.5mm)、長さCは30mmである。バルブロッド82の外径Dは(外径Bと同じ)12mmであり、バルブシート81とブレーカーリング83との間隔Eは、1mmである。
実施例1〜3及び比較例1、2の結果より、本発明に係るホモバルブ及びそれを用いたホモジナイザによれば、低圧であっても、1回の分散処理で、バインダ溶液の粘度を大きく低下させる(十分に分散させる)ことが可能であることがわかる。
尚、実施例における粘度は、粘度計(パーフィジカ社製 MC−1、せん断率(ShearRate) 100(1/s))で測定した。又、粘度低下率は、次の式で求めた。
粘度低下率=(分散処理前の粘度−分散処理後の粘度)/分散処理前の粘度
(せん断率(ShearRate)は100(1/s)とする)
本発明に係るホモバルブ及びそれを用いたホモジナイザは、あらゆるスラリー状の組成物の成分を分散させ、組成物を均質化する手段として利用される。特に、積層圧電素子、積層セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品の製造に用いられるセラミックスラリー組成物を均質化する手段として好適に利用される。
本発明に係るホモジナイザの一の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。 本発明に係るホモジナイザの他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。 本発明に係るホモジナイザの他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。 本発明に係るホモジナイザの更に他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。 本発明に係るホモジナイザの更に他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。 本発明に係るホモジナイザの更に他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。 本発明に係るホモジナイザの更に他の実施形態を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。 従来のホモジナイザの一例を示す図であり、ホモジナイザの一部であるホモバルブを正面から見た断面図である。
符号の説明
10,20,30,40,50,60,70:ホモバルブ、11,21,31,41,51,61,71:バルブシート、12,22,32,42,52,62,72:バルブロッド、13,23,33,43,53,63,73:ブレーカーリング、14,24,34,44,54,64,74:入口、15,25,35,45,55,65,75:間隙、16,26,36,46,56,66,76:出口、80:(従来の)ホモバルブ、81:バルブシート、82:バルブロッド、83:ブレーカーリング、84:入口、85:間隙、86:出口。

Claims (6)

  1. 筒状のバルブシート、及び、その筒状のバルブシートの一の開口の側でバルブシートの端部と間隙を開けて配設される柱状のバルブロッド、を有し、
    そのバルブロッドの外径が前記バルブシートの外径より小さく、
    前記バルブシート及びバルブロッドが、角部と面、又は、角部と角部、によって前記間隙を形成しているホモバルブ。
  2. 前記筒状のバルブシートが、前記一の開口の側にテーパー状の面を有し、
    そのバルブシートのテーパー状の面と、前記柱状のバルブロッドの角部と、によって前記間隙を形成している請求項1に記載のホモバルブ。
  3. 前記間隙より前記バルブシートの側に、前記筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°の間で形成されている空間を有する請求項1又は2に記載のホモバルブ。
  4. 前記間隙より前記バルブロッドの側に、前記筒状のバルブシートの中心軸方向に対して0〜45°の間で形成されている空間を有する請求項1〜3の何れか一項に記載のホモバルブ。
  5. 前記筒状のバルブシートの内部が、前記間隙に至るまでに狭窄している請求項1〜4の何れか一項に記載のホモバルブ。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載のホモバルブと、
    そのホモバルブの前記一の開口とは反対側の他の開口から圧力を加え得る加圧手段と、
    を具備するホモジナイザ。
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