JP2010025710A - 磁気センサおよび漏洩磁束探傷装置 - Google Patents

磁気センサおよび漏洩磁束探傷装置 Download PDF

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Abstract

【課題】検査対象の漏洩磁束を発生させる欠陥位置を、少ないセンサで簡単に推定できるようにする。
【解決手段】円環の第1コイルと第2コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置した第1センサと、円環の第3コイルと第4コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置し、第1センサと各々の中心を合わせかつ前記中心を回転中心にして同一平面で90度回転した状態で重ねて配置した第2センサを含む磁気センサを使用する。各センサからの出力を検出して円周上の磁場のフーリエ係数(正弦関数、余弦関数の重みをつけて積分した値)を、荷重和の計算をすることなく、磁気センサから直接得られる。
【選択図】図7

Description

本発明は、例えば、対象物強磁性材料等の検査対象から漏洩する磁束を検出し、傷等の欠陥の有無および位置を検出する場合に適用して好適な、磁束検出用の磁気センサおよび漏洩磁束探傷装置に関する。
表面に傷のある強磁性材料に外部から磁場をかけると、傷部位から磁束が漏洩する。この磁束を検出し、傷の有無および位置を検出するのが漏洩磁束探傷法である。この漏洩磁束探傷法は、薄板鋼板、石油や天然ガス等のパイプライン(導管)の検査などに用いられている。
ここで、図1を参照して漏洩磁束探傷法について説明する。図1に示すように、鋼板1がxz平面上にあり、鋼板1の長さ方向(z軸方向)に励磁するものとする。板幅方向(x軸方向)向きの例えば直線状の傷2により発生し鋼板1外部に漏れ出した磁束Bの漏洩磁束Bを検査の対象とする。この例では、傷2は原点Oを通りx軸に沿って形成されている。このような傷2はクラックなどとも呼ばれる。以降では、検査対象の表面の傷や溝、穴などの他、表面近傍の内部に存在する空洞や介在物などを「傷等」と称す。
xz平面上の漏洩磁束Bの水平成分(z成分)Bを示したものが図2である。x座標およびz座標がともに原点O(0,0)付近、すなわち傷位置の真上で漏洩磁束の振幅が突出し最大となることがわかる。そこで、コイルやホール素子、磁気抵抗素子などの磁気センサをxz平面上でスキャンし、この漏洩磁束の振幅が最大となる点を探せば、その直下に欠陥が存在することがわかる。
従来の漏洩磁束の検出方法では、例えば非特許文献1に記載されたような技術が用いられていた。以下、非特許文献1に記載された技術を、図3〜図4を参照して説明する。
図3に示すように鋼板1の板幅方向(x軸方向)にセンサを多数並べた磁気センサアレイ11を利用する。この磁気センサアレイ11と磁化器12をセットとし、固定した上で、励磁電源13から磁化器12に励磁電流を供給しながら鋼板1全体を板の長さ方向(z軸方向)に移動させ、等価的に2次元のスキャン(漏洩磁束探傷走査)を行う。そして、信号処理装置14で磁気センサアレイ11から得られる信号を解析し、その結果を欠陥検知情報として出力する。用いられるセンサ数は例えば100〜500個程度である。z軸方向への鋼板1の移動機構には、図4に示すような中空ロール式やエアー浮上式などがある。
図4Aは中空ロール式の移動機構の例であり、鋼板1を上下から中空ロール21,22で挟み込む構造である。励磁側の中空ロール21内には、磁極24を励磁する励磁コイル23があり、磁極24内部を固定軸25がx軸方向に沿って設けられている。また、センサ側の中空ロール22内には、センサ26をガイドするセンサガイド27が設けられている。図4Bはエアー浮上式の移動機構の例であり、鋼板1の下側に磁化器32を備えた中空ロール31が配置され、上側にエアー浮上機構が配置された構造である。エアー浮上機構は、気体34を所定の給気孔から給気し、センサコイル33を鋼板1からコンマ数ミリメートル浮上させるものである。そして、センサコイル33を浮上させながら漏洩磁束探傷走査をして、鋼板1内に存在する非金属介在物1aにより発生する漏洩磁束Bを検出する。
また、磁場の成分として、水平成分(磁化方向と同じz成分)でなく、法線成分(y成分)を検出する手法も用いられる。この場合、磁束Bそのものではなく、磁束Bのz軸方向の微分∂が傷の真上で最大となる。そこで、z軸方向にずらして2個のセンサ出力の差分をとることで近似的に∂を計測する。
コイルの場合には、逆向きのコイルをz軸方向にずらして結線したいわゆる8の字コイルの出力を解析することになる。こうして磁場の法線成分を用いる場合でも、板面上でセンサ出力が最大となる位置を検出するので、x軸方向にセンサを多数並べ、z軸方向には鋼板を移動させる点では何ら変わらない(例えば、特許文献1を参照)。
上記8の字コイルの応用については様々な研究がなされており、その一つとして本願の発明者による研究内容が論文に発表されている(例えば、非特許文献2を参照)。
村山章、「鋼管・鋼板等のET,MT,MLFTによる品質保証」、非破壊検査、44(3)、139−143 T.Nara, H.Onoda, J.Yamane, S.Ando: Dipole Estimation from the Magnetic Field Gradient for RFID Tag Localization, T-SICE Vol.E-S-1 No.1 16-20 2006
上記のとおり、従来は磁気センサアレイが用いられていたが、結果として下記の問題点があった。
(1) 多数のセンサを並べるため装置が大きくなり、それだけコストもかかる
(2) センサからの配線が多数となり、処理時間がかかるため高速化に不向きである
(3) すべてのセンサの特性を揃える必要があり、推定精度に影響が出る
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、検査対象の漏洩磁束を発生させる欠陥位置を、少ないセンサで簡単に推定できるようにするものである。
本発明の第1の側面の磁気センサは、円環の第1コイルと第2コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置した第1センサと、円環の第3コイルと第4コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置し、第1センサと各々の中心を合わせかつ前記中心を回転中心にして同一平面で90度回転した状態で重ねて配置した第2センサとを備える。
特に、第1センサの第1コイルと第2コイルで挟まれた領域の面素が余弦関数で変化し、第2センサの第3コイルと第4コイルで挟まれた領域の面素が正弦関数で変化するように構成することが好ましい。
本発明の第1の側面の漏洩磁束探傷装置は、円環状の第1コイルと第2コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置され、第1センサの第1コイルと第2コイルで挟まれた領域の面素が余弦関数で変化する第1センサと、円環状の第3コイルと第4コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置し、第1センサと各々の中心を合わせかつ前記中心を回転中心にして同一平面で90度回転した状態で重ねて配置され、第2センサの第3コイルと第4コイルで挟まれた領域の面素が正弦関数で変化する第2センサとを含み、検査対象からの漏洩磁束を検出する磁気センサを備える。さらに、前記第1センサの出力を基に余弦荷重された1次フーリエ係数を算出する第1フーリエ係数算出部と、前記第2センサの出力を基に正弦荷重された1次フーリエ係数を算出する第2フーリエ係数算出部と、前記第1フーリエ係数算出部から出力された1次フーリエ係数と、前記第2フーリエ係数算出部から出力された1次フーリエ係数との比を計算するフーリエ係数比算出部と、前記フーリエ係数算出部で算出された1次フーリエ係数の比に基づいて、前記磁気センサから前記検査対象上の漏洩磁束発生箇所の位置を特定する位置算出部と、を備える。
本発明の第1の側面においては、第1センサと第2センサから構成される磁気センサにより、各センサからの出力を検出して円周上の磁場のフーリエ係数(余弦関数、正弦関数の重みをつけて積分した値)を、荷重和の計算をすることなく、磁気センサから直接得られる。
以上のように、本発明によれば、検査対象の漏洩磁束を発生させる欠陥位置を、2つという少ないセンサで簡単に推定することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記項目に従って順に行うとする。
1.欠陥位置の定位手法
(1)磁気双極子推定法
(2)本発明による探傷手法の概要
2.センサの構造(フーリエ係数計測用コイル)
3.漏洩磁束探傷装置の構成および動作
4.実験
5.その他
[1. 欠陥位置の定位手法]
以下に述べる本発明の一実施の形態では、2つのセンサ(磁気センサ)だけで、検査対象の板幅方向の傷位置を推定する手法を提案する。
漏洩磁束探傷方法は、図5に示すように、センサ40の位置を原点Oとして固定し、検査対象である鋼板1上の傷2が存在する位置の座標を(x,y,z)とし、z軸方向に磁化するものとする。センサ40は本明細書で提案する新しい形態のセンサ(磁気センサ)であり、2つのセンサで構成されるが詳細は後述する。
鋼板1の板面(表面)からセンサ40までの高さyはリフトオフ距離と呼ばれ、センサ40と板面が接触しない程度(=センサの半径程度、例えば10mm〜20mm)の測定に適切な距離で固定される。傷2のz軸方向の位置zは従来どおり、鋼板1をz軸方向でスキャンさせて同定する。以下、2つのセンサの中心を原点Oに固定し、これをx軸方向にはスキャンすることなく、鋼板1上の傷2のx軸方向の位置xを推定する手法を検討する。
(1)磁気双極子推定法
漏洩磁束は、傷部位に生じた磁気双極子による磁場としてモデル化できることがよく知られている。磁化方向(励磁方向)に向いた磁気双極子pのベクトルを(0,0,p)とすると、センサ40の位置において発生する磁場のz軸成分(水平成分)は式(1)で表される。
ここで、μは真空の透磁率である。
以下では、まず磁気双極子推定法として本願の発明者がこれまで提案してきた手法を述べ、次に今回提案する手法を述べる。
センサ40が任意の位置(x,y,z)にある場合、磁気双極子pから受ける磁場の水平成分Bのx軸方向の空間微分とy軸方向の空間微分を観測すると、それぞれ式(2)、式(3)で表される。
本実施の形態ではセンサ40の位置が原点O(0,0,0)であるから、センサ位置(原点)において、磁場の水平成分Bのx軸方向の空間微分、y軸方向の空間微分はそれぞれ式(4)、式(5)となる。
上記式(4)および式(5)において、位置座標(x,y)以外の因子は共通であることに注目する。x微分、y微分を観測した場合、その比(勾配の比)をとれば
となることがわかる。
すなわち、勾配の比により傷位置をxy平面に射影した位置の、xy平面上における偏角θがわかる。換言すれば、x微分、y微分の2チャンネル出力のリサージュ図形を観測するだけでxy平面射影位置の偏角がわかる。また、yは固定されたリフトオフ距離であるから、これによりxが求まる。
この手法で必要なのは、磁場の水平成分Bのx微分およびy微分である。磁場の空間微分は、8の字コイル(またはグラディオメータ)と呼ばれる、右巻きと左巻きコイルをならべて結線したコイルで近似的に計測できる。2つの8の字コイルを直交して配置することで、磁場の水平成分Bのx微分およびy微分を計測し、磁気双極子pの位置を推定する、というのが非特許文献2などにおいてこれまでに提案されている磁気双極子推定法である。ただし、応用は漏洩磁束による探傷ではなく、RFIDタグの定位である。
(2)本発明による探傷手法の概要
上述した磁気双極子推定法においては、磁場の勾配はいわゆる8の字コイル(グラディオメータ)で計測するのが通常であるが、差分による微分の近似であり、センサ40が傷等(磁気双極子)に近いほど、近似誤差が大きくなるという不都合があった。また円形のコイルにより磁束が空間的に平滑化されて計測されるという不都合があった。
そこで、本明細書では、センサ40の位置(原点O)を中心とし、半径εの円周(図6)を考える。円周上の偏角θの位置における磁場B(εcosθ,εsinθ,0)に対し、cosθおよびsinθの重みをかけ、それぞれ円周上で積分した量
は、円周上の磁場の1次フーリエ係数と呼ばれる。
このとき式(7)と式(8)の比を計算すると、式(9)のようになる。
つまり、磁場のx微分、y微分でなく、1次フーリエ係数の比をとることによっても、傷のx方向の位置xを求めることができるようになる。
ここで、上記の式(9)について検証する。
一般に、xy平面上に存在する半径εの円周上関数fにおける周回積分に関して次式が成り立つ。
上記式(10)を実部と虚部に分けると、
となる。
ここで、f(x,y)=B(x,y,0)とおき、xy平面上に半径εの円周をとれば、1次フーリエ係数と勾配の関係式は、
と表される。
ここで電流ソースがない場所においては、ラプラス方程式
が成り立つ。
したがって、観測位置の磁場のz成分はラプラス方程式
を満たす。ゆえに、
と書ける。
式(16)の関係を、1次フーリエ係数と勾配の関係を示した式(13)に適用すると、
となり、式(17)−2が得られる。
よって、1次フーリエ係数と勾配の関係に関し、実部および虚部について次式が得られる。
式(18)および式(19)右辺の第一項の比に関しては、式(6)が成り立つ。
さらに第二項の比に関しても後述する式(24)が成り立つ。なぜならば
式(2)および式(3)をそれぞれ
とおき、磁場Bのz軸方向の空間微分を2回実行すると
となる。
よって、式(22)と式(23)の比、すなわち第2項の比は確かに
を満たす。
第三項以降の比に関しても同様に y/xとなるため、式(9)が成立する。
[2.センサの構造(フーリエ係数計測用コイル)]
次に、上述した1次フーリエ係数を計測するセンサを考える。
円周上の磁場のフーリエ係数を求める考えられる標準的な方法は、微小ループコイル(センサ)をアレイ上に(この例の場合、円周上に)並べ、センサ出力の重みつき和から、離散フーリエ係数を回路上、もしくはコンピュータに取り込んだ後、信号処理により求めるものである。しかしながら、これではセンサのチャンネル数が増加する。
そこで、本発明は、
(1)コイルで計測される磁束(の時間変化)=磁場の面積分(の時間変化)=磁場に、面素による重みをつけた積分(の時間変化)
(2)円周上磁場のフーリエ係数=磁場にcosθ、sinθで重みをつけた積分
であることに注目し、円周上で面素がcosθで変化するコイル、および、sinθで変化するコイルの2つのコイルを作成することにより、これらだけで、磁場のフーリエ係数を出力するセンサを実現する。
図7Aにcosθに比例した幅を備えたセンサ41(第1センサ)、図7Bにsinθに比例した幅を備えたセンサ42(第2センサ)を示す。センサ41は、式(7)を計測するためのものであり、センサ42は、式(8)を計測するためのものである。このセンサ41とセンサ42の2つのコイルから、本発明の一実施の形態に係るセンサ40(図5参照)が構成される。センサ40は2チャンネルセンサである。
図7A( 図7B)において、導線を矢印の順序で円環状(円形)に巻くことにより、左巻きセンサ41A(42A)と右巻きセンサ41B(42B)の中心間距離を、同一平面で所定距離Δだけずらして配置することでセンサ41(42)が構成される。換言すれば、円環の重ならない領域である右巻きの三日月形コイルと、左巻きの三日月形コイルを結線したもの、とも言える。
図8は、図7Aに示したセンサ41を例にして導線の巻き方を詳細に説明するための図である。
図8に示すように、センサ41Aの終点とセンサ41Bの始点が同一であり、センサ41Aの始点からセンサ41Aの終点およびセンサ41Bの始点を経由してセンサ41Bの終点まで1つの導線で構成されている。すなわち、端子41aに接続された導線を、センサ41Aの始点41a1から円環状に形成して一周して始点41a1と繋がる直前で折り返す。折り返し点が円環のセンサ41Aの終点41a2であり、かつ円環のセンサ41Bの始点41b1でもある。そして、当該導線をセンサ41Bの始点41b1から円環状に形成して一周して始点41b1と繋がる直前で端子41bに接続する。このように、センサ41を構成する導線は、同一平面内で引き回されいわゆる一筆書きのようにして、一方が端子41aに接続して中心が所定距離Δだけずれた2つの円環状センサ41A,41Bを形成して端子41bに接続している。端子41a,端子41bからセンサ41A,41Bに発生した誘導起電圧を後述する傷位置検出装置へ出力する。
図7Aにおいて、偏角θ=0のときの2本の線間(センサ41A,41Bの間)の距離をΔとするとき、偏角θにおける線幅はΔcosθで減少していく。θ=π/2のとき、線幅は零であり、重みが零となる。さらにθ=π/2のときセンサ41A,41Bの2本の線を交差させることで、θが第二象限にあるときcosθの負の重みも実現できる。極座標位置(ε,θ)における微小面素41SはΔcosθ・εdθであり、この微小面素41Sを貫く磁束はΔBcosθεdθと書けるから、コイルを貫く全磁束はこれを一周にわたり積分したものとなり、次式で表すことができる。
つまり、式(25)は、式(7)と等価である。
別の言葉で説明すると、図8に示したセンサ41の左右の三日月形コイル(斜線部)を通過する磁束の差を計測しているとも言える。
一方、図7Bに示すセンサ42についても同様に、コイルを貫く全磁束はこれを一周にわたり積分したものとなり、次式で表すことができる。
つまり、式(26)は、式(8)と等価である。
なお、式(8)計測用のセンサ42は、式(7)計測用のセンサ41と同一のコイルを作成し、これを90度回転させればよい。これにより、sinθの面素の重み付けが可能となる。
図9は、実際に試作した第1センサ用のコイル(センサ51)と、第2センサ用のコイル(センサ52)を示すものである。
センサ51,52は別個にアクリル55等の基板の面内に形成し、この2つのセンサの各々の中心O1,O2を重ね合わせて1つのセンサ50(図11参照)を1つの平面内に構成する。センサ51,52は相対的に90度回転していればよい。センサ50は実際の試作品であって、磁束を検出する原理はセンサ40と同じである。
なお、図9の例では、センサ51,52を構成するコイルの半径ε=20mm、Δ=5mmとし、巻き数は5ターンであるが、この例に限られるものではない。
[3.漏洩磁束探傷装置の構成および動作]
次に、上記構成のセンサを用いた漏洩磁束探傷装置について説明する。
図10は、本発明の一実施の形態の漏洩磁束探傷装置の全体構成を示す図である。
漏洩磁束探傷装置は、大きくわけて磁化器60(電磁石)、増幅器61、ファンクションジェネレータ62(信号発生器)、センサ50、増幅器63A,63B、傷位置検出装置64を備える。
傷位置検出装置64は、主な機能として、重みcosθ1次フーリエ係数算出部65A(第1フーリエ係数算出部)、重みsinθ1次フーリエ係数算出部65B(第2フーリエ係数算出部)、1次フーリエ係数比算出部66、x算出部とを備える。さらに傷位置検出装置64内の各機能ブロックを制御する制御部68を備える。
この傷位置検出装置64は、例えばコンピュータから構成される。例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置がROM(Read Only Memory)等に記録されている探傷処理のためのプログラムをRAM(Random Access Memory)に読み出して実行することによって実現する機能ブロック図を示している。なお、同図に示す各機能ブロックはそれぞれ個別のプログラムによって実現してもよいし、複数の機能ブロックを1つのプログラムによって実現するようにしてもよい。また、同図に示す機能ブロックをハードウェアによって実現してもよい。
重みcosθ1次フーリエ係数算出部65Aは、既述したセンサ50のセンサ51からの出力を、参照信号を用いて直交検波することにより、円周上磁場のフーリエ係数(=磁場にcosθで重みをつけた積分値)を計算し、その結果を出力する。
重みsinθ1次フーリエ係数算出部65Bは、既述したセンサ50のセンサ52からの出力を、参照信号を用いて直交検波することにより、円周上磁場のフーリエ係数(=磁場にsinθで重みをつけた積分値)を計算し、その結果を出力する。
1次フーリエ係数比算出部66は、重みcosθ1次フーリエ係数算出部65A、および、重みsinθ1次フーリエ係数算出部65Bにより計算された各々の1次フーリエ係数(磁場に各々の重みづけがなされた積分値)を取得し、1次フーリエ係数比を計算して結果を出力する。
算出部67は、位置算出部の一例であり、1次フーリエ係数比算出部66から出力された1次フーリエ係数比を基に、前記センサ50を基点とした漏洩磁束の発生源である傷2に対する偏角を算出する。さらに、算出した偏角から前記鋼板1上の傷2の位置座標、つまりx軸方向の位置xを計算し、結果を外部へ出力する。
次に、このように構成された漏洩磁束探傷装置の動作を説明する。
図10において、ファンクションジェネレータ62より印加信号を出力し、増幅器61により適宜増幅された後、磁化器60に巻回されたコイルに電流を印加することで磁場を発生させる。そして、検査対象の鋼板1を発生させた磁場により磁化することにより、スキャン方向と同一のz方向に磁束を発生させる。鋼板1のスキャン(移動)はz方向(この例では鋼板1の長手方向)に1回実施すればよい。
鋼板1を移動してセンサ50がスキャンする間、センサ50のセンサ51,52(図9参照)で検出された誘導起電圧が、それぞれ第1センサ出力、第2センサ出力として増幅器63A,63Bに出力される。増幅器63A,63Bはそれぞれ入力されたセンサ出力を適宜増幅して、それぞれ出力V1,V2として傷位置検出装置64に出力する。
傷位置検出装置64では、重みcosθ1次フーリエ係数算出部65A、重みsinθ1次フーリエ係数算出部65Bがそれぞれ出力V1,V2を取得し、各々の円周上磁場のフーリエ係数(=磁場にcosθまたはsinθで重みをつけた積分値)を計算し、その結果を1次フーリエ係数比算出部66に出力する。1次フーリエ係数比算出部66は、出力V1による円周上磁場のフーリエ係数(=磁場にcosθで重みをつけた積分値)と、出力V2による円周上磁場のフーリエ係数(=磁場にcosθで重みをつけた積分値)を基に、1次フーリエ係数の比を計算し、その結果をx算出部67へ出力する。x算出部67は、1次フーリエ係数の比とリフトオフ距離yから、センサ50から傷2までのx軸方向の距離xを算出する。そして、x算出部67または制御部68は、鋼板1における傷の位置(x,y,z)を外部モニタ等へ出力する。
傷位置検出装置64では、z軸方向の定位として、z軸方向に鋼板1をスキャンし、センサ50の出力から出力自乗和の極大値を検出する。また、xy面内の定位として、2チャンネルセンサであるセンサ50の出力比により定位することが可能である。
[4.実験]
図12〜図14は、図11に示す漏洩磁束探傷用の実験セットで測定して得られた結果を示すグラフである。
この実験において使用した鋼板1のサイズは、厚み0.3mm、幅30mm、長さ192mmである。また鋼板1に用意した傷2は、x軸方向に長さ5mm、z軸方向に幅1mm、厚み0.3mmである。
図12は、z=0の条件下でセンサ50から見た傷2の座標xを変化させた場合に、座標xを推定した結果と、傷2の重心位置との誤差を示したグラフである。定位誤差が10−30mmのレンジにおいて3mm程度に収まっており、比較的精度が高いと言える。
次に、図13は、センサ50から見た傷のz座標zを変化させたときでも、傷2の位置をxy平面上に射影したときの座標xが精度良く求められることを示したグラフである。たとえ傷2のz座標が、センサ50と同じ0でなくとも、定位精度2mm程度に収まっている。
また図14は、センサ50をz軸方向にスキャンしたときのセンサ50の出力自乗和(∂+(∂を示したグラフである。出力最大値を検出することで、傷2の座標zも1mm程度の精度で推定できることがわかる。
本実施の形態によれば、2つのセンサだけで、検査対象の板幅方向の傷位置を推定することができる。本実施の形態では、[発明が解決しようとする課題]の欄における問題点(1)に対し、平面上、円形の2つのセンサを中心を揃えて重ね合わせればよく、センサ部の省スペース化、低コスト化につながる。
また、上記問題点(2)に対し、配線も2出力分だけでよく、推定に必要な計算もセンサからの2出力の比をとるだけであり、きわめて高速な推定が行える。
さらに、問題点(3)に対し、対称性のよい2つのセンサを用意するだけでよく、キャリブレーションの手間も大幅に低減される。
以上に述べた実施の形態は、本発明を実施するための好適な形態の具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されている。ただし、本発明は、以上の実施の形態の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限られるものではない。したがって、例えば、以上の説明で挙げた使用材料とその使用量、処理時間、処理順序および各パラメータの数値的条件等は好適例に過ぎず、また、説明に用いた各図における寸法、形状および配置関係等も実施の形態の一例を示す概略的なものである。したがって、本発明は、上述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
漏洩磁束の説明に供する図である。 漏洩磁束の測定結果の例を示す図である。 従来システムの説明に供する図である。 Aは中空ロール式、Bはエアー浮上式の概要を示す図である。 漏洩磁束探傷方法の説明に供する図である。 本発明の一実施の形態に係る漏洩磁束探傷方法の説明に供する図である。 A,Bは、本発明の一実施の形態に係るセンサの説明に供する図である。 本発明の一実施の形態に係るセンサに用いるコイルの巻き方の説明に供する図である。 A,Bは、本発明の一実施の形態に係るセンサの試作品の例を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る漏洩磁束探傷装置の構成を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る漏洩磁束探傷のための実験装置の構成を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る測定結果の例を示すグラフである。 本発明の一実施の形態に係る測定結果の例を示すグラフである。 本発明の一実施の形態に係る測定結果の例を示すグラフである。
符号の説明
1…鋼板、2…傷、40…センサ、41…コイル、41A,41B…コイル、41a,41b…端子、42…コイル、42A,42B…コイル、50…センサ、51…コイル、52…コイル、55…アクリル板、60…磁化器、61,63A,63B…増幅器、60A…磁化用電磁石、62…ファンクションジェネレータ、63A,63B…増幅器、64…傷位置検出装置,65A,65B…1次フーリエ係数算出部、66…1次フーリエ係数比算出部、67…x算出部

Claims (4)

  1. 円環の第1コイルと第2コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置した第1センサと、
    円環の第3コイルと第4コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置し、第1センサと各々の中心を合わせかつ前記中心を回転中心にして同一平面で90度回転した状態で重ねて配置した第2センサと、
    を含む磁気センサ。
  2. 第1センサの第1コイルと第2コイルで挟まれた領域の面素が余弦関数で変化し、
    第2センサの第3コイルと第4コイルで挟まれた領域の面素が正弦関数で変化する
    請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記第1センサおよび第2センサの各コイルを形成する導線は、誘導電流(誘導起電圧)を出力する第1端子および第2端子と接続しており、第1端子と接続した前記第1コイルの第1始点から円環に形成しつつ一周して第1始点と繋がる直前で折り返し、折り返し点を第1コイルの第1終点および第2コイルの第2始点とし、さらに第2コイルの第2始点から円環に形成しつつ一周して第2始点と繋がる直前で第2端子に接続している
    請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 円環状の第1コイルと第2コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置され、第1センサの第1コイルと第2コイルで挟まれた領域の面素が余弦関数で変化する第1センサと、
    円環状の第3コイルと第4コイルの各々の中心を所定距離ずらして同一平面で重ねて配置し、第1センサと各々の中心を合わせかつ前記中心を回転中心にして同一平面で90度回転した状態で重ねて配置され、第2センサの第3コイルと第4コイルで挟まれた領域の面素が正弦関数で変化する第2センサと、
    を含み、検査対象を一方向に移動させて漏洩磁束を検出する磁気センサと、
    前記第1センサの出力を基に余弦荷重された1次フーリエ係数を算出する第1フーリエ係数算出部と、
    前記第2センサの出力を基に正弦荷重された1次フーリエ係数を算出する第2フーリエ係数算出部と、
    前記第1フーリエ係数算出部から出力された1次フーリエ係数と、前記第2フーリエ係数算出部から出力された1次フーリエ係数との比を計算するフーリエ係数比算出部と、
    前記フーリエ係数算出部で算出された1次フーリエ係数の比に基づいて、前記磁気センサから前記検査対象上の漏洩磁束発生箇所の位置を特定する位置算出部と、
    を含む漏洩磁束探傷装置。
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CN107402233A (zh) * 2017-07-12 2017-11-28 温州职业技术学院 一种海底管道的光电检测报警装置
CN113740787A (zh) * 2020-05-29 2021-12-03 亚德诺半导体国际无限责任公司 监测磁性传感器的方法

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