JP2010025073A - 内燃機関の制御装置及び制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】噴射した燃料の成分を着火前に低級化するよう改質可能にした内燃機関の制御装置を新たに提供する。
【解決手段】燃料噴射弁から気筒内へ直接燃料を噴射する筒内直噴式の内燃機関に適用され、排気行程から吸気行程にかけての所定期間に、吸気バルブ及び排気バルブをともに閉弁制御してアンダーラップ期間Mを作り出すアンダーラップ制御手段と、1燃焼サイクル当たりに噴射させる燃料の一部を前記アンダーラップ期間M中にプレ噴射させるよう燃料噴射弁を制御するプレ噴射制御手段と、プレ噴射された燃料の改質量に応じて変化する物理量を検出する改質量検出手段とを備える。そして、改質量検出手段による検出結果に応じて内燃機関の作動を制御する。これによれば、アンダーラップ期間Mにおいて燃焼室に排気を閉じ込めることで高温環境を作り出し、その高温環境下にプレ噴射燃料をさらして改質することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、燃料噴射弁から気筒内へ直接燃料を噴射する筒内直噴式の内燃機関に適用された、内燃機関の制御装置及び制御システムに関する。
従来より、内燃機関の運転領域が高回転高負荷領域では混合気を理論空燃比で燃焼させる一方、運転領域が低回転低負荷である場合には、燃焼が不安定にならない程度の限界まで空燃比をリーンにしてポンピングロス低減を図ることが知られている(特許文献1参照)。
また、排気の一部を吸気に還流させるEGR機能を備えた内燃機関において、内燃機関の運転領域が高回転高負荷領域では排気還流量(EGR量)を減少させる一方、運転領域が低回転低負荷である場合には、燃焼が不安定にならない程度の限界までEGR量を増大させて排気エミッション低減を図ることが知られている(特許文献2参照)。
また、内燃機関の冷間始動時において、排気を浄化する触媒の暖機を図るべく、燃焼が不安定にならない程度の限界まで点火時期を遅角させることで、排気温度を上昇させて触媒暖機を促進させ、排気エミッション低減を図ることが知られている(特許文献3参照)。
特開2002−061531号公報 特開平11−125126号公報 特開2007−321590号公報
ところで、内燃機関の燃焼に用いられる燃料の成分は、C8H18(イソオクタン)といった炭素原子数が4以上である高級HC成分であることが一般的である。このことは、低級HC成分の場合には揮発性及び着火性が高すぎるため、燃料タンクへの燃料供給時の取り扱いが困難であること等に起因する。
これに対し本発明者らは、燃料を噴射してから着火するまでの間に噴射した燃料の成分を低級HCに改質することができれば、燃費向上や排気エミッション低減を図るに有利となる場合があることに着目した。
例えば、上記特許文献1記載のリーン制御において改質により着火性を高めることができれば、その改質により燃焼の安定性が向上するため、空燃比をより一層リーンにしてポンピングロス低減による燃費向上を促進できる。
また、上記特許文献2記載のEGR制御において改質により着火性を高めることができれば、その改質により燃焼の安定性を向上できるため、EGR量をより一層増大させて排気エミッション低減を促進できる。
また、上記特許文献3記載の触媒暖機制御において改質により着火性を高めることができれば、その改質により燃焼の安定性を向上できるため、点火時期をより一層遅角させて触媒暖機を促進でき、ひいては排気エミッション低減を促進できる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、噴射した燃料の成分を着火前に低級化するよう改質可能にした内燃機関の制御装置及び制御システムを新たに提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、燃料噴射弁から気筒内へ直接燃料を噴射する筒内直噴式の内燃機関に適用され、排気行程から吸気行程にかけての所定期間に、吸気バルブ及び排気バルブをともに閉弁制御してアンダーラップ期間を作り出すアンダーラップ制御手段と、1燃焼サイクル当たりに噴射させる燃料の一部を前記アンダーラップ期間中にプレ噴射させるよう前記燃料噴射弁を制御するプレ噴射制御手段と、前記プレ噴射された燃料の改質量に応じて変化する物理量を検出する改質量検出手段と、を備え、前記改質量検出手段による検出結果に応じて前記内燃機関の作動を制御することを特徴とする。
これによれば、アンダーラップ期間では、排気行程から吸気行程にかけての所定期間に吸気バルブ及び排気バルブをともに閉弁させるので、排気が燃焼室に閉じ込められた状態で圧縮されることとなる。よって、アンダーラップ期間では筒内温度を高温状態にすることができる。そして、このように高温となったアンダーラップ期間中にプレ噴射された燃料は、高温環境下にさらされる。その結果、プレ噴射された燃料の高級HC成分は熱分解して、炭素原子数が3以下である低級HC成分(例えばCH4(メタン)、C2H6(エタン)、C2H4(エチレン)、C3H6(プロピレン)等)に改質されることとなる。したがって、噴射した燃料の成分を着火前に低級化するよう改質することができる。
さらに本発明では、改質量検出手段を備え、その検出結果に応じて前記内燃機関の作動を制御するので、燃費向上や排気エミッション低減を図るに有利となるように内燃機関の作動を制御することを容易に実現できる。
ところで、本発明者らは、プレ噴射された燃料が改質された量(改質量)に応じて、アンダーラップ期間に気筒内で発生したイオンの量や、アンダーラップ期間での気筒内圧力が変化するとの知見を得た。この知見に基づき請求項2記載の発明では、前記改質量検出手段は、前記アンダーラップ期間に気筒内で発生したイオンの量を検出するイオン検出手段、或いは前記アンダーラップ期間での気筒内圧力を検出する筒内圧検出手段であることを特徴とする。これによれば、プレ噴射された燃料のうち改質された量を容易に検出することができる。
ここで、実際の改質量(低級HCの分子の数)は、検出されたイオン電流値(又は筒内圧検出値)の大きさと、アンダーラップ期間での筒内EGR(筒内に残留した排気の一部)の量により決まる。つまり、イオン電流値又は筒内圧検出値は改質濃度に応じて変化し、改質濃度にアンダーラップ期間中の筒内EGR量を乗じた値が改質量となる。したがって、前記アンダーラップ期間の長さが長いほど前記改質量検出手段による検出結果を増量するよう補正する改質量補正手段を備えることを特徴とする請求項3記載の発明によれば、改質量を精度良く取得できる。
請求項4記載の発明では、前記改質量検出手段による検出結果が、前記改質量が多いとの結果であるほど、前記閉弁制御及び前記プレ噴射を実行している時の目標空燃比をリーンにすることを特徴とする。
これによれば、改質により燃料の着火性が高まることに起因して燃焼の安定性が向上するため、空燃比をより一層リーンにすることができ、ポンピングロス低減による燃費向上を促進できる。そして、プレ噴射された燃料のうち改質された低級HCの量(改質量)が多いほど目標空燃比をリーンにするので、燃焼が不安定にならない程度の限界まで空燃比をリーンにすることを、精度よく制御できる。
請求項5記載の発明では、前記内燃機関は、排気の一部を吸気に還流させるEGRモードでの運転が可能となるよう構成されており、前記改質量検出手段による検出結果が、前記改質量が多いとの結果であるほど、前記閉弁制御及び前記プレ噴射を実行している時の排気還流量を増大させることを特徴とする。
これによれば、EGRモード運転中において、改質により燃料の着火性が高まることに起因して燃焼の安定性が向上するため、排気還流量(EGR量)をより一層増大させることができ、排気エミッション低減を促進できる。そして、プレ噴射された燃料のうち改質された低級HCの量が多いほどEGR量を増大させるので、燃焼が不安定にならない程度の限界までEGR量を増大させることを、精度よく制御できる。
請求項6記載の発明では、前記内燃機関は、当該内燃機関の負荷及び機関回転速度に基づき混合気への点火時期を制御する通常点火モードと、排気を浄化する触媒を暖機させるべく前記点火時期を前記通常点火モードよりも遅角させる触媒暖機モードとを切り替えて運転するよう制御され、前記改質量検出手段による検出結果が、前記改質量が多いとの結果であるほど、前記閉弁制御及び前記プレ噴射を実行している時の前記点火時期を遅角させることを特徴とする。
これによれば、触媒暖機モード運転中において、改質により燃料の着火性が高まることに起因して燃焼の安定性が向上するため、点火時期をより一層遅角させることができ、排気温度を上昇させて触媒暖機を促進でき、ひいては排気エミッション低減を促進できる。そして、プレ噴射された燃料のうち改質された低級HCの量が多いほど点火時期の遅角量を増大させるので、燃焼が不安定にならない程度の限界まで点火時期遅角量を増大させることを、精度よく制御できる。
請求項7記載の発明は、上記内燃機関の燃料性状検出装置と、前記吸気バルブ又は前記排気バルブの開閉弁時期を調整可能なバルブタイミング調整装置、及び気筒内へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁の少なくとも一方と、を備えることを特徴とする内燃機関の制御システムである。この制御システムによれば、上述の各種効果を同様に発揮することができる。
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本実施形態は、車両に搭載される筒内直噴射式の多気筒4サイクルガソリンエンジンを制御対象とし、当該エンジンにおける各種アクチュエータの電子制御を実施するものとしている。まず、図1によりエンジン制御システムの全体概略構成を説明する。
図1に示す筒内直噴射式エンジン(以下、エンジン10という)において、吸気管11の上流部には吸入空気量を検出するためのエアフロメータ12が設けられている。エアフロメータ12の下流側には、DCモータ等のスロットルアクチュエータ13によって開度調節されるスロットルバルブ14が設けられており、該スロットルバルブ14の開度(スロットル開度)はスロットルアクチュエータ13に内蔵されたスロットル開度センサにより検出される。スロットルバルブ14の下流側にはサージタンク16が設けられ、このサージタンク16には吸気管圧力を検出するための吸気管圧力センサ17が設けられている。サージタンク16には、エンジン10の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド18が接続されており、吸気マニホールド18において各気筒の吸気ポート近傍にはスワール流やタンブル流を発生させる気流制御弁19が設けられている。
シリンダブロック20には電磁駆動式のインジェクタ21(燃料噴射弁)が設けられており、該インジェクタ21により燃焼室22内(気筒内)へ燃料が直接噴射される。インジェクタ21に対しては、図示しない高圧ポンプと燃料配管(デリバリパイプ)とを通じて高圧燃料が供給されるようになっている。なお、高圧ポンプは、例えば10〜20MPa程度に燃料圧を高圧化する。
また、エンジン10の吸気ポート及び排気ポートにはそれぞれ吸気バルブ31及び排気バルブ32が設けられており、吸気バルブ31の開動作により吸入空気が燃焼室22内に導入され、排気バルブ32の開動作により燃焼後の排気が排気管35に排出される。吸気バルブ31及び排気バルブ32には、それら各バルブの開閉時期(バルブタイミング)とを可変とする可変バルブ装置33,34(アンダーラップ制御手段)が設けられている。本実施形態で採用されている可変バルブ装置33,34は、クランク軸からカム軸への動力伝達経路に配置されており、クランク軸の回転角度に対するカム軸の回転角度の相対位置(位相)を可変とする構造である。
エンジン10のシリンダヘッドには各気筒に点火プラグ36が取り付けられており、点火プラグ36には、図示しない点火コイル等を通じて、所望とする点火時期において高電圧が印加される。この高電圧の印加により、各点火プラグ36の対向電極間に火花放電が発生し、燃焼室22内において燃料が着火されて燃焼に供される。
排気管35には、排気を浄化するための触媒37,38が設けられている。上流側の触媒37は、排気中のCO,HC,NOxを浄化する三元触媒であり、下流側の触媒38は、排気中のNOxを浄化するNOx触媒(NOx吸蔵還元型触媒)である。また、排気管35において三元触媒37の上流側には空燃比センサ39が設けられ、三元触媒37の下流側には空燃比センサ40と排気温センサ41とが設けられている。空燃比センサ39,40は、いずれも排気を検出対象として混合気の空燃比を検出するものであり、例えば、上流側の空燃比センサ39としては、空燃比を広域に検出することが可能なA/Fセンサが用いられ、下流側の空燃比センサ40としては、リッチ/リーンに応じて二値の起電力信号を出力するO2センサが用いられる(ただし、A/Fセンサ、O2センサの組み合わせは任意である)。
その他に、シリンダブロック20には、シリンダブロック20の振動を検出することでノッキングの発生を検出するノックセンサ42、エンジンの所定クランク角毎に(例えば30°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力するクランク角度センサ43、エンジン冷却水温を検出する冷却水温センサ(図示せず)等が取り付けられている。
サージタンク16と排気管35とはEGR配管45を介して接続されており、このEGR配管45の途中に電磁駆動式のEGRバルブ46が設けられている。なお、EGR配管45の排気側接続部位は三元触媒37の下流側であってもよい。EGRバルブ46の開度(EGR開度)を調節することにより、排気管35から吸気通路側に再循環される排気の量(EGR量)が制御されるようになっている。図1中の符号47は、車両ドライバによるアクセル操作量を検出するためのアクセルセンサである。
上述した各種センサの出力は、エンジン制御を司る電子制御ユニット(以下、ECU50という)に入力される。ECU50は、CPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じてインジェクタ21の燃料噴射量や燃料噴射時期、点火プラグ36の点火時期等を制御するとともに、吸気側及び排気側の可変バルブ装置33,34を駆動させて吸気バルブ31及び排気バルブ32の開閉時期を適宜制御する。
ECU50は、エンジン回転速度と負荷(要求トルク)とに応じて成層燃焼モード(リーンモード)と均質燃焼モード(ストイキモード)との切替を実施する。成層燃焼モードの運転領域は、均質燃焼モードの運転領域よりも低回転・低負荷側に設定されており、成層燃焼モードでは、比較的少量の燃料を圧縮行程で筒内に直接噴射して点火プラグ36の近傍に成層混合気を形成して成層燃焼させる。これにより、ポンピングロスが低減され燃費の向上が図られる。一方、均質燃焼モードでは、燃料噴射量を増量して吸気行程で筒内に燃料を直接噴射して均質混合気を形成して均質燃焼させる。これにより、エンジン出力が高められる。要するに、成層燃焼モードでは圧縮行程噴射が行われ、均質燃焼モードでは吸気行程噴射が行われる。
ここで、車載燃料タンク(図示せず)に供給されて貯蔵されているガソリン燃料の成分は、C8H18(イソオクタン)といった炭素原子数が4以上である高級HC成分である。そして、図2に示すように、炭素原子数が少ない低級HC成分であるほど、着火に必要な最小点火エネルギは小さくなることは、例えば「燃焼現象の基礎(オーム社出版)」等の文献に記載されているように明らかとなっている。つまり、燃料成分が低級であるほど着火性が高い。
この点に着目した本実施形態では、図3を用いて以下に説明する閉弁制御及び改質プレ噴射(特許請求の範囲に記載のプレ噴射に相当)を実行することで、燃料を噴射してから着火するまでの間に、噴射した燃料の成分を燃焼室22内で低級HCに改質することを図っている。図3の縦軸は吸気バルブ31及び排気バルブ32のリフト量を示し、横軸は時間経過を示す。
上記閉弁制御とは、排気行程から吸気行程にかけての所定期間に、吸気バルブ31及び排気バルブ32をともに閉弁させるアンダーラップ期間M(図3(c)参照)を作り出すよう可変バルブ装置33,34を制御することである。アンダーラップ期間Mは、吸気上死点(吸気TDC)を含むように設定されており、換言すれば、排気バルブ32の閉弁時期は吸気TDCよりも前に、吸気バルブ31の開弁時期は吸気TDCよりも後になるよう設定されている。より詳細には、アンダーラップ期間Mの略中央が吸気TDCとなるよう設定されている。
上記改質プレ噴射とは、図3(c)に示すように、1燃焼サイクル当たりに噴射させる燃料の一部をアンダーラップ期間Mに噴射することである。より詳細には、改質プレ噴射の開始時点は吸気TDCより前であり、アンダーラップ期間Mの開始と略同時であることが望ましい。一方、1燃焼サイクル当たりに噴射させる燃料の大部分については、先述したように、均質燃焼モードでは吸気行程で噴射(以下、メイン噴射という)され、成層燃焼モードでは圧縮行程で噴射(メイン噴射)される。
アンダーラップ期間Mでの燃焼室22内は、排気(内部EGRガス)が閉じ込められた状態となっているため高温環境となる。しかも、閉じ込められた内部EGRガスは、アンダーラップ期間M開始から吸気TDCにかけて圧縮されるため、エンジン10の運転状態(例えば高負荷高回転状態)によっては、例えば約600℃以上の高温環境となる。したがって、アンダーラップ期間Mに改質プレ噴射された燃料中に含まれる高級HC成分は、高温環境にさらされることとなるため、熱分解して低級HC成分に改質される。
以上により、閉弁制御を実行してアンダーラップ期間Mを作り出し、そのアンダーラップ期間Mに改質プレ噴射を実行することで、燃料を噴射してから着火するまでの間に燃焼室22内で低級HCに改質することができ、その後の燃焼行程では改質した低級HC成分の燃料(つまり着火性が向上された燃料)を燃焼させることができる。但し、エンジン10の運転状態によっては、改質により着火性を高くすることが望ましい場合と望ましくない場合とがある。
本実施形態では、成層燃焼モード(リーンモード)運転の場合に改質を実行して着火性が高めさせている。ここで、空気過剰率を大きくするほど(つまりリーンにするほど)燃焼が不安定になる。よって、リーンモードでの空燃比は、燃焼が不安定にならない程度の限界まで空燃比をリーンにすることでポンピングロス低減を図っている。したがって、このようなリーンモード時に改質により着火性を高めさせれば、空燃比をより一層リーンにすることができる(つまりリーン限界を拡大することができる)。よって、ポンピングロス低減による燃費向上を促進できる。
以下、ECU50により実行される閉弁制御及び改質プレ噴射に関する制御プラグラムの詳細を、図4,5,7〜10のフローチャートを参照しながら説明する。図4はエンジン制御のメインルーチンを示すフローチャートであり、本ルーチンは、イグニッションスイッチのオン後においてECU50により例えば所定周期で繰り返し実行される。
図4において、まずステップS10では、成層燃焼モードによるリーン燃焼の実行を許可するための条件(リーン燃焼条件)が満たされているか否かを判定する処理を行う。リーン燃焼条件の具体例としては、以下の条件(1)〜(3)の全て、或いは少なくとも1つを満たしていることが挙げられる。そして、リーン燃焼条件を満たしている場合にはフラグex_leanをオンに設定し、満たしていない場合にはフラグex_leanをオフに設定する。
(1)エンジン回転速度が所定値以下である。
(2)エンジン負荷が所定値以下である。
(3)エンジン冷却水温が所定値以上である。
ここで、先述した閉弁制御及び改質プレ噴射を実行したとしても、閉弁制御により閉じ込められた内部EGRガスが改質させるに十分な高温(例えば約600℃)にならなければ、改質プレ噴射された燃料を十分に改質させることができない。そこで、続くステップS20(筒内温度推定手段)では、アンダーラップ期間Mでの気筒内の温度が所定値(例えば約600℃)以上となるか否かを推定する。具体的には、以下の高温条件(4)〜(7)の全て、或いは少なくとも1つを満たしていることをもって、筒内温度が所定値以上になるとの推定に替えている。
(4)エンジン回転速度が所定値(上記条件(1)で用いる所定値よりも大きい値)以上である。
(5)エンジン負荷が所定値(上記条件(2)で用いる所定値よりも大きい値)以上である。
(6)エンジン10を始動させてから所定時間以上が経過している。
(7)エンジン冷却水の温度が所定値(上記条件(3)で用いる所定値よりも大きい値)以上である。
さらにステップS20では、上記高温条件(4)〜(7)の他に、閉弁制御が実行可能であるとの条件(8)、及びリーンモードでの運転中であるとの条件(9)を全て満たした場合に、改質可能条件を満たしていると判定してフラグex_reformをオンに設定し、これらの条件(4)〜(9)を満たしていない場合にはフラグex_reformをオフに設定する。
なお、上記条件(8)についての具体例としては、可変バルブ装置33,34が作動可能な状態であることが挙げられ、上記条件(9)についての具体例としては、ステップS10にてフラグex_leanがオンに設定されていることが挙げられる。
続くステップS30では、吸気バルブ31に設けられた可変バルブ装置33による前記相対位置(位相)の目標値(目標位相角evttrg_in)を算出するとともに、排気バルブ32に設けられた可変バルブ装置34による前記相対位置(位相)の目標値(目標位相角evttrg_out)を算出する。これらの目標値はエンジン冷却水の温度等に応じて補正するようにしてもよい。
図5は、ステップS30のサブルーチン処理を示すフローチャートであり、先ずステップS301において、ステップS10にて設定したフラグex_leanがオンになっているか否かを判定する。フラグex_leanがオンである場合(S301:YES)には、続くステップS302において、両バルブ装置33,34各々の目標位相角evttrgと実際の位相角との差が所定値以下であり、かつ、ステップS20にて設定したフラグex_reformがオンになっているか否かを判定する。
|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンと判定された場合(S302:YES)には、ステップS303(アンダーラップ制御手段)において、リーンモードかつ改質プレ噴射時用の吸気用マップEVTMAP1及び排気用マップEVTEXMAP1に基づき、目標位相角evttrg_in,evttrg_outを算出する。これらのマップEVTMAP1,EVTEXMAP1は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じた位相角が記憶されたものであり、その位相角は、予め試験等により最適化されたものである。そして、これらのリーン改質用マップEVTMAP1,EVTEXMAP1に記憶された位相角は、排気バルブ32が吸気TDCより前に閉弁し、吸気バルブ31が吸気TDCより後に開弁するよう設定されている。
一方、|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンでないと判定された場合(S302:NO)には、ステップS304において、通常リーンモード用の吸気用マップEVTMAP2及び排気用マップEVTEXMAP2に基づき、目標位相角evttrg_in,evttrg_outを算出する。また、フラグex_leanがオフである場合(S301:NO)には、ステップS305において、ストイキモード用の吸気用マップEVTMAP3及び排気用マップEVTEXMAP3に基づき、目標位相角evttrg_in,evttrg_outを算出する。
これらのマップEVTMAP2,EVTEXMAP2,EVTMAP3,EVTEXMAP3は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じた位相角が記憶されたものであり、その位相角は、予め試験等により最適化されたものである。なお、続くステップS306では、上記ステップS303,S304,S305のいずれかで算出された目標位相角を、evttrg_in,evttrg_outに格納して更新する。
ところで、本実施形態では、図1中の符号51に示す如く、燃焼室22で発生したイオンの量を検出するイオン電流検出回路51(改質量検出手段(イオン検出手段))を備えている。このイオン電流検出回路51は、気筒内での燃焼発生に伴い点火プラグ36の中心電極及び接地電極間に流れるイオン電流を検出する回路である。
ここで、本発明者らが行った図6に示す試験結果によれば、改質プレ噴射された燃料が改質されることに伴い燃焼室22でイオンが発生し、そのイオン発生量は改質された量(改質量)が多いほど多くなることが分かった。当該試験では、上記イオン電流検出回路51を用いて改質に伴い発生したイオンを検出しており、アンダーラップ期間M(図6の例ではクランク角度が約340℃A〜380℃Aの期間)においては、図6中の実線、破線、一点鎖線に示すグラフの順に改質量は増大しており、この増大に応じてイオン電流の値が増大していることが分かる。
なお、図6中の点線に示すグラフは改質プレ噴射を実施しなかった時のイオン電流を示しており、この場合には、アンダーラップ期間Mでのイオン電流は検出されなかった。ちなみに、改質量と、その改質による燃料が燃焼した時の排気に含まれる酸素量とは相関があることが分かっている。そのため当該試験では、排気中の酸素量を計測することで実際の改質量を把握している。
この図6に示す試験結果に基づき本実施形態では、イオン電流検出回路51によりアンダーラップ期間Mにイオン電流を検出し、検出したイオン電流の値に基づき改質量を推定する。そして、推定した改質量に基づき、後述するS40で算出する目標空燃比を補正する。つまり、推定した改質量が多ければ、改質によるリーン限界の拡大が大きいはずであるため目標空燃比をリーン側に補正する。一方、推定した改質量が少なければ、改質によるリーン限界の拡大が小さいはずであるため目標空燃比をリッチ側に補正する。
以上の点を鑑み、図4のステップS35では、イオン電流検出回路51を用いて、アンダーラップ期間Mに点火プラグ36の電極を流れたイオン電流の値を検出する。具体的には、アンダーラップ期間Mにおいて刻一刻と変化するイオン電流値を積算した積分値を算出する。つまり、図6の点線で囲まれた部分におけるイオン電流波形の面積を前記積分値として算出する。
図7は、ステップS35のサブルーチン処理を示すフローチャートであり、1燃焼サイクル毎に繰り返し実行される。先ずステップS351では、前回の燃焼サイクルにおいて後述するステップS351により算出されたイオン電流値eion_aveの値を、前回値eion_preに格納する(eion_pre=eion_ave)。
続くステップS352において、ステップS10にて設定したフラグex_leanがオンになっているか否かを判定する。フラグex_leanがオンである場合(S352:YES)には、続くステップS353において、両バルブ装置33,34各々の目標位相角evttrgと実際の位相角との差が所定値以下であり、かつ、ステップS20にて設定したフラグex_reformがオンになっているか否かを判定する。
|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンと判定された場合(S353:YES)には、ステップS354において、1回前の燃焼サイクルでのアンダーラップ期間Mに検出したイオン電流波形の面積(積分値)を、イオン電流値eion_valとして算出する。続くステップS356では、ステップS354で算出したイオン電流値eion_valになまし処理を施してeion_aveに格納する。
具体的には、ステップS354で算出したイオン電流値eion_valとステップS351で格納したeion_preとの偏差(eion_val−eion_pre)を算出し、その偏差に定数k(0<k<1)を乗算して得られた値をeion_preに加算する。つまり、eion_ave=eion_pre+k(eion_val−eion_pre)との算出式によりイオン電流値eion_aveを算出する。
一方、|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンでないと判定された場合(S353:NO)、或いはフラグex_leanがオフである場合(S352:NO)には、ステップS355において、イオン電流値eion_aveをリセットしてゼロにする。以上により、アンダーラップ期間Mに点火プラグ36の電極を流れたイオン電流値eion_aveを算出する。
図4の説明に戻り、ステップS36では、後のステップS40で算出する目標空燃比etrgAFを補正するための目標A/F補正量を算出する。
図8は、ステップS36のサブルーチン処理を示すフローチャートであり、先ずステップS361では、ステップS30で算出した目標位相角evttrg_in,evttrg_outに基づきアンダーラップ期間Mの長さ(アンダーラップ量evt_ul)を算出する。そして、このアンダーラップ量evt_ul及びステップS356で算出したイオン電流値eion_aveに基づき、改質量ereformを算出する。
具体的には、アンダーラップ量evt_ul及びイオン電流値eion_aveに応じた改質量の最適値を予め試験等により取得しておき、その最適化された改質量ereformの値をマップEREFORMMAP(図8参照)に記憶させておく。なお、先述した通りイオン電流値eion_aveが大きいほど改質量は多くなる。また、アンダーラップ量evt_ulが大きいほど、燃焼室22内に閉じ込められる排気(内部EGR)の量が多くなるためより高温となり、改質量も多くなる。したがって、イオン電流値eion_ave及びアンダーラップ量evt_ulが大きいほど改質量が多くなるよう、マップEREFORMMAP中の改質量ereformは設定されている。
続くステップS362では、ステップS361で算出した改質量、エンジン回転速度及びエンジン負荷に基づき目標A/F補正量を算出する。具体的には、改質量、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じた目標A/F補正量の最適値を予め試験等により取得しておき、その最適化された目標A/F補正量の値をマップ(図示せず)に記憶させておく。改質量が多いほど目標A/Fをリーン側に大きく補正するよう、マップ中の目標A/F補正量は設定されている。
図4の説明に戻り、ステップS40では目標空燃比etrgAF(目標A/F)を算出する。図9は、ステップS40のサブルーチン処理を示すフローチャートであり、先ずステップS401において、ステップS10にて設定したフラグex_leanがオンになっているか否かを判定する。フラグex_leanがオンである場合(S401:YES)には、続くステップS402において、両バルブ装置33,34各々の目標位相角evttrgと実際の位相角との差が所定値以下であり、かつ、ステップS20にて設定したフラグex_reformがオンになっているか否かを判定する。
|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンと判定された場合(S402:YES)には、ステップS403において、リーンモードかつ改質プレ噴射時用のマップEAFMAP1に基づき、目標空燃比etrgAFを算出する。このマップEAFMAP1は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じた空燃比が記憶されたものであり、その空燃比は、予め試験等により最適化されたものである。
一方、|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンでないと判定された場合(S402:NO)には、ステップS404において、通常リーンモード用のマップEAFMAP2に基づき目標空燃比etrgAFを算出する。また、フラグex_leanがオフである場合(S401:NO)には、ステップS405において、ストイキモード用のマップEAFMAP3に基づき目標空燃比etrgAFを算出する。
これらのマップEAFMAP2,EAFMAP3は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じた空燃比が記憶されたものであり、その空燃比は、予め試験等により最適化されたものである。なお、続くステップS406では、上記ステップS403,S404,S405のいずれかで算出された目標空燃比を、etrgAFに格納して更新する。この格納値はエンジン冷却水の温度等に応じて補正するようにしてもよい。
そして、ステップS403で用いられるリーン改質用マップEAFMAP1とステップS404で用いられる通常リーンマップEAFMAP2とを比較すると、同じマップ位置(同じエンジン回転速度及びエンジン負荷)における空燃比は、リーン改質用マップEAFMAP1の方が通常リーンマップEAFMAP2よりもリーンとなるよう、又はマップ位置によっては同じ値となるよう設定されている。
図4の説明に戻り、ステップS50では、1燃焼サイクルあたりに噴射する目標噴射量を算出する。具体的には、エアフロメータ12により検出された吸気量やアクセルセンサ47により検出されたアクセル操作量等のエンジン負荷に関連する値と、エンジン回転速度とに基づきマップ等を用いて目標噴射量を算出する。この目標噴射量はエンジン冷却水の温度等に応じて補正するようにしてもよい。また、ステップS40にて算出した目標空燃比etrgAFと、空燃比センサ39により検出された実際の空燃比との偏差が小さくなるよう、前記偏差に応じて目標噴射量を補正して、フィードバック制御する。
続くステップS60では、燃料の噴射時期を算出する。図10は、ステップS60のサブルーチン処理を示すフローチャートであり、先ずステップS601において、ステップS10にて設定したフラグex_leanがオンになっているか否かを判定する。フラグex_leanがオンである場合(S601:YES)には、続くステップS602において、両バルブ装置33,34各々の目標位相角evttrgと実際の位相角との差が所定値以下であり、かつ、ステップS20にて設定したフラグex_reformがオンになっているか否かを判定する。
|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンと判定された場合(S602:YES)には、ステップS603(プレ噴射制御手段)において、リーンモードかつ改質プレ噴射時用のマップEINJTIMMAP1に基づき、噴射時期einjtimを算出する。このマップEINJTIMMAP1は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じた噴射時期のパターンが記憶されたものであり、その噴射時期パターンは、予め試験等により最適化されたものである。
一方、|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンでないと判定された場合(S602:NO)には、ステップS604において、通常リーンモード用のマップEINJTIMMAP2に基づき噴射時期einjtimを算出する。また、フラグex_leanがオフである場合(S601:NO)には、ステップS605において、ストイキモード用のマップEINJTIMMAP3に基づき噴射時期einjtimを算出する。
これらのマップEINJTIMMAP2,EINJTIMMAP3は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じた空燃比が記憶されたものであり、その空燃比は、予め試験等により最適化されたものである。なお、続くステップS606では、上記ステップS603,S604,S605のいずれかで算出された噴射時期を、einjtimに格納して更新する。この格納値はエンジン冷却水の温度等に応じて補正するようにしてもよい。
そして、ステップS603で用いられるリーン改質用マップEINJTIMMAP1では、ステップS50で算出した量の燃料を、改質プレ噴射とメイン噴射とに分割して噴射するよう設定されている。つまり、排気行程から吸気行程にかけての吸気TDCを含むアンダーラップ期間Mのうち、少なくとも排気行程期間(吸気TDCよりも前の期間)で改質プレ噴射するよう設定される。また、改質プレ噴射の後に実施するメイン噴射については、リーンモード運転に適した時期、つまり少なくとも圧縮行程期間に噴射するか、エンジン運転状態に応じて圧縮行程と吸気行程とに分割して噴射するよう設定される。
ステップS604で用いられるマップEINJTIMMAP2では、改質プレ噴射を実行しないよう設定されており、ステップS50で算出した量の燃料をメイン噴射により噴射するよう設定されている。なお、当該マップEINJTIMMAP2でのメイン噴射は、リーンモード運転に適した時期、つまり圧縮行程期間に1回噴射する場合、圧縮行程期間に2回以上に分割して噴射する場合、吸気行程期間と圧縮行程期間とに分割して噴射する場合、等に設定されている。要するに、少なくとも圧縮行程期間に1回は噴射するよう設定されている。
ステップS605で用いられるマップEINJTIMMAP3では、改質プレ噴射を実行しないよう設定されており、ステップS50で算出した量の燃料をメイン噴射により噴射するよう設定されている。なお、当該マップEINJTIMMAP2でのメイン噴射は、ストイキモード運転に適した時期、つまり吸気行程期間に1回噴射する場合、吸気行程期間に2回以上に分割して噴射する場合、吸気行程期間と圧縮行程期間とに分割して噴射する場合、圧縮行程期間に1回噴射する場合、等に設定されている。
図4の説明に戻り、ステップS70では、エンジン負荷及びエンジン回転速度等に基づき、点火プラグ36による点火時期、スロットルバルブ14の開度、及びEGRバルブ46の開度等を算出する。具体的には、エンジン負荷及びエンジン回転速度に対する適合値を予め試験し、その試験により取得した適合値をマップに記憶させ、そのマップを用いて点火時期、スロットルバルブ開度、EGRバルブ開度等を算出することが一例として挙げられる。これらのマップは、高負荷高回転であるほど点火時期を進角させ、スロットルバルブ開度を大きくし、EGRバルブ開度を小さくする傾向となるよう設定されている。なお、アンダーラップ期間Mでは点火させないことは勿論である。
そして、続くステップS100では、ステップS40で算出した目標A/Fを、ステップS36で算出した目標A/F補正量で補正して得られた値に基づき、インジェクタ21の駆動を制御する。また、ステップS50,S60,S70で算出した各種値に基づき、可変バルブ装置33,34、点火プラグ36、スロットルバルブ14、EGRバルブ46等の各アクチュエータの駆動を制御する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)排気行程から吸気行程にかけての所定期間に、可変バルブ装置33,34により吸気バルブ31及び排気バルブ32をともに閉弁させるアンダーラップ期間Mを作り出し、そのアンダーラップ期間Mに、1燃焼サイクル当たりに噴射させる燃料の一部を噴射(改質プレ噴射)させる。そのため、アンダーラップ期間Mにおいて燃焼室22内を高温環境にすることができ、その高温環境下に改質プレ噴射した燃料をさらして低級HC成分に改質することができる。よって、噴射した燃料の成分を着火前に低級化するよう改質することができる。
以下、上記(1)の効果を、図11を用いてさらに詳細に説明する。図11は、本発明者らが行った試験結果を示すグラフであり、改質プレ噴射により噴射された燃料の、改質反応前と後におけるHC成分の濃度を検出した結果である。本実施形態による閉弁制御及び改質プレ噴射によれば、高級HC成分であるC8H18(イソオクタン)の濃度が改質により減少することが確認された(図11(a)参照)。また、低級HC成分であるC2H4(エチレン)、C3H6(プロピレン)、CH4(メタン)、C2H6(エタン)の濃度が改質により増加することが確認された(図11(b)参照)。
(2)リーンモード運転中であることを条件として閉弁制御及び改質プレ噴射を実行する。よって、燃焼が不安定にならない程度の限界まで空燃比をリーンに設定するにあたり、改質により着火性を高めて燃焼安定性を向上させるので、空燃比をより一層リーンにすることができる(つまりリーン限界を拡大することができる)。よって、ポンピングロス低減による燃費向上を促進できる。
以下、上記(2)の効果を、図11を用いてさらに詳細に説明する。図11は、本発明者らが行った試験結果を示すグラフであり、図3(a)(b)(c)の各々のケース(詳細は後述)について、空燃比A/Fを変化させて燃焼安定指数COV(Coefficient Of Variation)の値を検出した結果である。燃焼安定指数COVとは、最も安定性の悪い失火から最も安定性の良い完全燃焼までの度合を示す指数であり、その値が小さいほど燃焼の安定性が高いことを示している。
図3(a)は、アンダーラップ期間Mを設けることなく吸気バルブ31及び排気バルブ32を同時に開弁させるオーバーラップ期間を設けるよう、ステップS305のストイキ用マップEVTMAP3に基づき可変バルブ装置33,34を制御させ、かつ、ステップS605のストイキ用マップEINJTIMMAP3に基づき改質プレ噴射を実施しないよう噴射制御したケースである。
図3(b)は、アンダーラップ期間Mを設けるようステップS304の通常リーン用マップEVTMAP2に基づき可変バルブ装置33,34を制御させ、かつ、改質プレ噴射を実施しないようステップS604の通常リーン用マップEINJTIMMAP2に基づき噴射制御したケースである。
図3(c)は、アンダーラップ期間Mを設けるようステップS303のリーン改質用マップEVTMAP1に基づき可変バルブ装置33,34を制御させ、かつ、改質プレ噴射を実施するようステップS603のリーン改質用マップEINJTIMMAP1に基づき噴射制御したケースである。
図3(a)での試験結果は図11中の丸印に、図3(b)での試験結果は図11中の点線に、図3(c)での試験結果は図11中の実線に示す。これにより、改質プレ噴射を実施する図3(c)のケースによれば、COVの値が低下することが確認された。そして、燃焼が不安定になるCOVの限界値として閾値THを設定した場合に、改質プレ噴射を実施する図3(c)のケースによれば、改質プレ噴射を実施しない図3(b)のケースに比べ、閾値THに達するまでの空燃比を約15.5から17.5までに拡大できることが確認された。
(3)ステップS36において、改質プレ噴射された燃料の改質量が多いほど空燃比をリーンにするので、燃焼が不安定にならない程度の限界まで空燃比をリーンにすることを、精度よく制御できる。つまり、リーン限界を精度良く拡大することができる。
(4)ステップS20において、アンダーラップ期間Mでの気筒内の温度が所定値(例えば約600℃)以上となるか否かを推定し、所定値以上となると判定したことを条件(高温条件(4)〜(7))として、アンダーラップ期間Mを作り出す閉弁制御、及び改質プレ噴射を実行する。そのため、十分な高温環境下にさらすことができない状況での閉弁制御及び改質プレ噴射を回避できる。
(5)ステップS20において、高温条件(4)〜(7)に加え、閉弁制御が実行可能(例えば可変バルブ装置33,34に異常が生じていない作動可能な状態)であるとの条件(8)を満たしている場合に、閉弁制御及び改質プレ噴射を実行する。よって、アンダーラップ期間Mを作り出すことができない状況下で改質プレ噴射を実行してしまうことを回避できる。
(6)閉弁制御させるべく可変バルブ装置33,34の駆動を制御するにあたり、目標位相角evttrgが実際の位相角から大きく離れている時には、即座にアンダーラップ期間Mを作り出すことができないため、アンダーラップ期間Mが所望長さに達していない状況下で改質プレ噴射を実行してしまうことが懸念される。このような懸念に対しステップS302,S402,S602では、|目標位相角Evttrg−実位相角|<所定値であることを条件として閉弁制御及び改質プレ噴射を実行するので、上記懸念を解消できる。
(7)改質プレ噴射の開始時期を、アンダーラップ期間Mのうち排気行程期間に設定しているので、改質プレ噴射された燃料が高温環境下にさらされる時間を十分に長くできる。よって、改質の確実性を向上できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、リーンモード運転が可能なエンジンに改質プレ噴射を適用させることで、リーン限界の拡大を図っている。これに対し本実施形態では、排気の一部を吸気に還流させるEGRモード運転が可能なエンジンに改質プレ噴射を適用させることで、以下に説明する耐EGR限界の拡大を図っている。
本実施形態では、EGRバルブ46の開度を制御することでEGR量を制御するにあたり、エンジン10の運転領域が高回転高負荷領域ではEGR量を減少させてエンジン10の出力トルク確保を図る一方、低回転低負荷領域では、燃焼が不安定にならない程度の限界までEGR量を増大させて排気エミッション低減を図っている。ここで、低回転低負荷領域においてEGR量を増大させるほど燃焼が不安定になる。よって、低回転低負荷領域でのEGR量は、燃焼が不安定にならない程度の限界まで増大させることで排気エミッション低減を図っている。したがって、このような低回転低負荷領域での運転時に改質により着火性を高めさせれば、EGR量をより一層増大させることができる(つまり耐EGR限界を拡大することができる)。よって、排気エミッション低減を促進できる。
以下、本実施形態において、ECU50により実行される閉弁制御及び改質プレ噴射に関する制御プラグラムの詳細を、図13〜図16のフローチャートを参照しながら説明する。図13はエンジン制御のメインルーチンを示すフローチャートであり、本ルーチンは、イグニッションスイッチのオン後においてECU50により例えば所定周期で繰り返し実行される。
なお、以下の記載は、図4,5,7〜10との違いを主に説明するものであり、第1実施形態及び本実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。また、本実施形態におけるエンジン制御システムのハード構成は、図1に示す上記第1実施形態と同じである。
図13において、図4のステップS20,S30,S35,S36,S50,S60と同様の処理を実行した後、後述するステップS75,S80を実行し、その後図4のステップS100と同様の処理を実行する。図13に示す本実施形態では、図4のステップS10におけるリーン燃焼条件の判定処理を廃止している。この廃止に伴い、ステップS30のサブルーチン処理である図14のフローチャートでは、図5のステップS301,S305を廃止している。また、ステップS60のサブルーチン処理である図15のフローチャートでは、図10のステップS601,S605を廃止している。
図13のステップS75では、エンジン負荷及びエンジン回転速度等に基づき、点火プラグ36による点火時期、及びスロットルバルブ14の開度を、図4のステップS70と同様に算出する。そして、EGRバルブ46の開度算出については、次のステップS80にて別途算出している。
図16は、ステップS80のサブルーチン処理を示すフローチャートであり、先ずステップS801において、両バルブ装置33,34各々の目標位相角evttrgと実際の位相角との差が所定値以下であり、かつ、ステップS20にて設定したフラグex_reformがオンになっているか否かを判定する。
|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンと判定された場合(S801:YES)には、ステップS802において改質プレ噴射時用のマップEEGRMAP1に基づき目標EGR量を算出し、|Evttrg−実位相角|<所定値かつex_reformオンでないと判定された場合(S801:NO)には、ステップS803において通常時用のマップEEGRMAP2に基づき目標EGR量を算出する。
これらのマップEEGRMAP1,EEGRMAP2は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じたEGR量が記憶されたものであり、そのEGR量は、予め試験等により最適化されたものである。なお、続くステップS804では、上記ステップS802,S803のいずれかで算出された目標EGR量を、eegrtrgに格納して更新する。この格納値はエンジン冷却水の温度等に応じて補正するようにしてもよい。
そして、ステップS802で用いられる改質用マップEEGRMAP1とステップS803で用いられる通常時用マップEEGRMAP2とを比較すると、同じマップ位置(同じエンジン回転速度及びエンジン負荷)におけるEGR量は、改質用マップEEGRMAP1の方が通常時用マップEEGRMAP2よりも多くなるよう、又はマップ位置によっては同じ量となるよう設定されている。ちなみに、マップEEGRMAP1,EEGRMAP2中のEGR量がゼロとなっていない領域での運転がEGRモードでの運転に相当する。
以上詳述した本実施形態によれば、改質プレ噴射時用のマップEEGRMAP1に基づき目標EGR量を算出する際、燃焼が不安定にならない程度の限界までEGR量を多くするにあたり、改質により着火性を高めて燃焼安定性を向上させるので、EGR量をより一層増大させることができる(つまり耐EGR限界を拡大することができる)。よって、排気エミッション低減を促進できる。
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、リーンモード運転が可能なエンジンに改質プレ噴射を適用させることで、リーン限界の拡大を図っている。これに対し本実施形態では、点火時期を遅角させて触媒暖機を行うエンジンに改質プレ噴射を適用させることで、以下に説明する点火遅角限界の拡大を図っている。
触媒37,38は、所定温度以上にならないと排気浄化機能を十分に発揮できない。よって、エンジン10を冷間始動させる場合等、触媒37,38が所定温度に達しておらず低温状態になっている場合には、触媒37,38を暖機させて触媒温度を早期に上昇させることが要求される。そこで本実施形態では、通常時よりも点火時期を遅角させることで排ガス温度の上昇を図り、ひいては触媒温度の上昇促進を図る触媒暖機運転を実施する。但し、点火時期を過剰に遅角させると、燃焼室22内で最適な燃焼が行われないため、燃焼状態が不安定となりエンジン回転速度の変動が大きくなる等の不具合が生じる。そこで本実施形態では、触媒暖機運転を実施する際に改質により着火性を向上させることで、燃焼状態の安定化を図ることができ、ひいては点火時期をより一層遅角させて触媒暖機を促進できる(つまり点火遅角の限界を拡大することができる)。よって、排気エミッション低減を促進できる。
以下、本実施形態において、ECU50により実行される閉弁制御及び改質プレ噴射に関する制御プラグラムの詳細を、図17及び図18のフローチャートを参照しながら説明する。図17はエンジン制御のメインルーチンを示すフローチャートであり、本ルーチンは、イグニッションスイッチのオン後において、触媒37,38の暖機が完了していない時、つまり触媒温度が所定温度以上に達していない時に、ECU50により例えば所定周期で繰り返し実行される。このような暖機未完了時の運転が触媒暖機モードに相当する。
なお、以下の記載は、図13との違いを主に説明するものであり、第2実施形態及び本実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。また、本実施形態におけるエンジン制御システムのハード構成は、図1に示す上記第1実施形態と同じである。
触媒暖機が完了していない時に実行される図17の処理において、図13のステップS20,S30,S35,S36,S50,S60と同様の処理を実行した後、後述するステップS76,S90を実行し、その後図13のステップS100と同様の処理を実行する。図17のステップS76では、エンジン負荷及びエンジン回転速度等に基づき、スロットルバルブ14の開度、及びEGRバルブ46の開度を、図4のステップS70と同様に算出する。そして、点火プラグ36による点火時期の算出については、次のステップS90にて別途算出している。
図18は、ステップS90のサブルーチン処理を示すフローチャートであり、先ずステップS901において、ステップS20にて設定したフラグex_reformがオンになっているか否かを判定する。ex_reformオンと判定された場合(S901:YES)には、ステップS902において改質プレ噴射時用のマップESAMAP1に基づき目標点火時期を算出し、ex_reformオンでないと判定された場合(S901:NO)には、ステップS903において通常時用のマップESAMAP2に基づき目標点火時期を算出する。
これらのマップESAMAP1,ESAMAP2は、エンジン回転速度及びエンジン負荷に応じた点火時期が記憶されたものであり、その点火時期は、予め試験等により最適化されたものである。なお、続くステップS904では、上記ステップS902,S903のいずれかで算出された目標点火時期を、etrgsaに格納して更新する。この格納値はエンジン冷却水の温度等に応じて補正するようにしてもよい。
そして、ステップS902で用いられる改質用マップESAMAP1とステップS903で用いられる通常時用マップESAMAP2とを比較すると、同じマップ位置(同じエンジン回転速度及びエンジン負荷)における点火時期は、改質用マップESAMAP1の方が通常時用マップESAMAP2よりも遅くなるよう、又はマップ位置によっては同じ時期となるよう設定されている。
以上詳述した本実施形態によれば、改質プレ噴射時用のマップESAMAP1に基づき目標点火時期を算出する際、燃焼が不安定にならない程度の限界まで遅角するにあたり、改質により着火性を高めて燃焼安定性を向上させるので、遅角量をより一層増大させることができる(つまり点火遅角の限界を拡大することができる)。よって、触媒暖機を促進して排気エミッション低減を促進できる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。また、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第4実施形態では、改質プレ噴射された燃料が改質されることに伴い燃焼室22でイオンが発生し、そのイオン発生量は改質された量(改質量)が多いほど多くなることに着目したものである。一方で本発明者らは、高級HC成分が低級HC成分に改質されると分子数が増大するため、燃焼室22内の圧力(気筒内圧力)が上昇するとの知見を得た。つまり、アンダーラップ期間Mでの筒内圧が高いほど改質量が多くなる。この点に着目し、燃焼室22内の圧力を検出する筒内圧センサ48(改質量検出手段(筒内圧検出手段))を図1に示すように設け、アンダーラップ期間Mでの筒内圧センサによる検出値に基づき改質量を推定するようにしてもよい。
・図4のステップS35においてアンダーラップ期間Mでのイオン電流値を検出、算出するにあたり、上記第4実施形態ではイオン電流波形の面積(積分値)をイオン電流値として算出しているが、イオン電流波形のうちアンダーラップ期間Mでのピーク値をイオン電流値として算出するようにしてもよい。なお、筒内圧センサによる検出値に基づき改質量を推定する場合においても、筒内圧検出波形は、図6に示すイオン電流波形と同様の波形になるため、筒内圧検出波形の面積(積分値)或いはピーク値を筒内圧力値として算出することが望ましい。
・上記各実施形態では、リーン限界拡大、EGR限界拡大、及び点火遅角限界拡大を図るべく、リーンモード運転時、EGRモード運転時、及び触媒暖機運転時に、閉弁制御及び改質プレ噴射を実行しているが、本発明による閉弁制御及び改質プレ噴射の実行時期はこれらの時に限定されるものではなく、これらの時以外でも着火性を向上させたい時に広く利用できる。例えば、エンジン10の加速運転時やエンジン10の始動時にも着火性を向上させると有利な場合があるため、そのような時に閉弁制御及び改質プレ噴射を実行してもよい。
・上記第4実施形態では、リーン限界を精度良く拡大することを図るべく、改質量に応じて目標A/Fを補正しているが、EGR限界及び点火遅角限界を精度良く拡大すべく、改質量に応じてEGR量及び点火遅角量を補正するようにしてもよい。具体的には、改質量が多いほどEGR量を増大するよう補正し、改質量が多いほど点火遅角量を増大するよう補正することが望ましい。
・また、改質量に応じて次回の改質プレ噴射量を補正するようにしてもよい。具体的には、改質量が多いほど次回の改質プレ噴射量を減少させることで、メイン噴射を過剰に減らすことなく着火性向上を図る。
・図5のステップS303において、リーンモードかつ改質プレ噴射時用のマップEVTMAP1,EVTEXMAP1に基づき、目標位相角evttrg_in,evttrg_outを算出してアンダーラップ期間Mの長さを決定するにあたり、エンジン回転速度が速いほどアンダーラップ期間Mを長くするようマップEVTMAP1,EVTEXMAP1を設定することが望ましい。
・また、エンジン負荷が大きいほどアンダーラップ期間Mを短くするようマップEVTMAP1,EVTEXMAP1を設定することが望ましい。これによれば、高負荷時において十分な吸気量を確保して高出力確保を図るとともに、内部EGR量が過多となることを回避して高出力確保を図ることができる。
・図1に示す実施形態では、上流側の触媒37を三元触媒とし、下流側の触媒38をNOx触媒としているが、両触媒37,38を三元触媒としたエンジン制御システムに本発明の制御装置を適用させてもよい。
・上記各実施形態では、吸気バルブ31及び排気バルブ32の開閉時期を調整可能なバルブタイミング調整装置として可変バルブ装置33,34を採用しているが、吸気バルブ31及び排気バルブ32のリフト量を調整する装置を採用し、リフト量を調整することで吸気バルブ31及び排気バルブ32の開閉時期を調整するようにしてもよい。ちなみに、リフト量を調整する装置の具体例として、吸気バルブ31及び排気バルブ32を電動アクチュエータによりクランク軸回転角度とは無関係に開閉駆動させる、電磁式の可変バルブ駆動機構が挙げられる。
・上記実施形態では、吸気バルブ31及び排気バルブ32の両方に可変バルブ装置33,34を設ける構成としたが、これを変更し、吸気バルブ31及び排気バルブ32のいずれか一方にのみ可変バルブ装置を設ける構成であってもよい。
本発明の第1実施形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図。 燃料に含まれるHC成分の炭素原子数と、着火に必要な最小点火エネルギとの関係を示す図。 第1実施形態において、閉弁制御によるアンダーラップ期間Mと、改質プレ噴射の実行時期を説明する図。 第1実施形態において、エンジン制御のメインルーチンを示すフローチャート。 目標位相を算出するための、図4のサブルーチン処理を示すフローチャート。 改質量に応じてイオン電流発生量が変化することを確認するための試験結果。 イオン電流値を算出するための、図4のサブルーチン処理を示すフローチャート。 目標A/F補正量を算出するための、図4のサブルーチン処理を示すフローチャート。 目標A/Fを算出するための、図4のサブルーチン処理を示すフローチャート。 噴射時期を算出するための、図4のサブルーチン処理を示すフローチャート。 図4の処理により改質が実際に為されていることを確認するための試験結果。 図4の処理によりリーン限界が実際に拡大されていることを確認するための試験結果。 本発明の第2実施形態において、エンジン制御のメインルーチンを示すフローチャート。 第2実施形態において、目標位相を算出するためのサブルーチン処理を示すフローチャート。 第2実施形態において、噴射時期を算出するためのサブルーチン処理を示すフローチャート。 第2実施形態において、EGR量を算出するためのサブルーチン処理を示すフローチャート。 本発明の第3実施形態において、エンジン制御のメインルーチンを示すフローチャート。 第3実施形態において、点火時期を算出するためのサブルーチン処理を示すフローチャート。
符号の説明
10…エンジン(筒内直噴式の内燃機関)、21…インジェクタ(燃料噴射弁)、31…吸気バルブ、32…排気バルブ、33,34…可変バルブ装置(アンダーラップ制御手段)、48…筒内圧センサ(改質量検出手段(筒内圧検出手段))、51…イオン電流検出回路(改質量検出手段(イオン検出手段))、S303…アンダーラップ制御手段、S603…プレ噴射制御手段。

Claims (7)

  1. 燃料噴射弁から気筒内へ直接燃料を噴射する筒内直噴式の内燃機関に適用され、
    排気行程から吸気行程にかけての所定期間に、吸気バルブ及び排気バルブをともに閉弁制御してアンダーラップ期間を作り出すアンダーラップ制御手段と、
    1燃焼サイクル当たりに噴射させる燃料の一部を前記アンダーラップ期間中にプレ噴射させるよう前記燃料噴射弁を制御するプレ噴射制御手段と、
    前記プレ噴射された燃料の改質量に応じて変化する物理量を検出する改質量検出手段と、
    を備え、
    前記改質量検出手段による検出結果に応じて前記内燃機関の作動を制御することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記改質量検出手段は、前記アンダーラップ期間に気筒内で発生したイオンの量を検出するイオン検出手段、或いは前記アンダーラップ期間での気筒内圧力を検出する筒内圧検出手段であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記アンダーラップ期間の長さが長いほど前記改質量検出手段による検出結果を増量するよう補正する改質量補正手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記改質量検出手段による検出結果が、前記改質量が多いとの結果であるほど、前記閉弁制御及び前記プレ噴射を実行している時の目標空燃比をリーンにすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記内燃機関は、排気の一部を吸気に還流させるEGRモードでの運転が可能となるよう構成されており、
    前記改質量検出手段による検出結果が、前記改質量が多いとの結果であるほど、前記閉弁制御及び前記プレ噴射を実行している時の排気還流量を増大させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記内燃機関は、当該内燃機関の負荷及び機関回転速度に基づき混合気への点火時期を制御する通常点火モードと、排気を浄化する触媒を暖機させるべく前記点火時期を前記通常点火モードよりも遅角させる触媒暖機モードとを切り替えて運転するよう制御され、
    前記改質量検出手段による検出結果が、前記改質量が多いとの結果であるほど、前記閉弁制御及び前記プレ噴射を実行している時の前記点火時期を遅角させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料性状検出装置と、
    前記吸気バルブ又は前記排気バルブの開閉弁時期を調整可能なバルブタイミング調整装置、及び気筒内へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁の少なくとも一方と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御システム。
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