JP2010024254A - 植物系バイオマス原料から一酸化炭素、水素を含有するガスの製造方法。 - Google Patents

植物系バイオマス原料から一酸化炭素、水素を含有するガスの製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】
植物系バイオマスを、移送や貯留が容易な液体状エネルギー源に変換するために、一酸化炭素・水素系ガスを製造し、ガス組成の調整、副生物の処理あるいは利用を可能にするための方法を提供する。
【解決手段】
木質などの植物系バイオマスの水分を10〜45%にして、固定床型ガス化炉に、酸素ガスと炭酸ガスの混合ガスとともに供給して、炉内温度を720〜850℃の範囲に調整してガス化する。生成したガスから水分、あるいは炭酸ガスを分離して、システム内で循環使用する。また、メタン発酵装置と組み合わせて、副生する水分の利用、メタンガスを利用して、生成ガスの水素含有量の調整範囲拡大が可能になる。
【選択図】図3

Description

本発明は、木質原料などの植物系バイオマス原料をエネルギー変換するにあたって、タールの発生などを抑制しながら安定したガス化を行い、各種の一酸化炭素、水素を含有するガスを製造するための方法に関する。
大気中の炭酸ガス濃度上昇による地球温暖化を抑制する方法の1つとして、化石燃料に代わる植物系バイオマスのエネルギー源として利用を拡大することは重要な課題になっている。植物系バイオマスとしては樹木、竹、草などがあるが、これらは大気中の炭酸ガスを用いて植物が光合成によって形成した炭素と水素を主体とする有機物である。これらは燃焼してエネルギーとして利用するときに炭酸ガスを発生するが、それはもともと大気中の炭酸ガスを用いて生成されたものであり、また再び植物の光合成に利用されるので、カーボンニュートラルと定義されている。この植物系バイオマスをエネルギー源として有効利用する場合の課題としては、エネルギー源としては分散して存在しているので、それを収集、運搬に要するエネルギーおよびコストをいかに下げるか、また、化石燃料に比べてエネルギー源としての濃縮度が低いので、人間が利用できるエネルギー形態にいかにして効率的に変換するかが重要な課題である。
大型ボイラーなどのエネルギー源あるいはその1部として、木質などのバイオマスを直接燃焼する方法は、発生熱が有効に利用できる条件の下では有効であるが、たとえば大型発電所などでは、多量の発生余熱が有効利用できないので海水を無駄に温めている場合が多い。そこで、バイオマスの特色を発揮するためには、地域分散型、すなわち中小規模で効率よく、発電と発生余熱を有効利用するために、バイオマスを一旦、ガス化してそれを燃焼する方法が用いられることが多い(特許文献1など)。しかし、電力や余熱の需要は、一般に昼夜などの時間帯、曜日、季節によって変動し、一方、電気や熱を貯留することは経済的には容易に行えないという問題があり、設置場所の制約が大きい。この問題を解決するために、製造されたエネルギーを移送、貯留が容易なものにする方法として、ガス合成してメタノール化(特許文献2など)、ジメチルエーテル化(特許文献4など)など液体として扱えるようにする方法が考えられる。しかし、これを効率的に行うためには、一酸化炭素、水素などのガス組成の調整法、副生物の処理あるいは有効利用法などに課題がある。一酸化炭素、水素などのガス組成の調整については、特許文献3において、転炉や溶融還元炉で生成した高温(1300℃以上)のCOを主成分とするガスに水蒸気を加えてCOとHを含むガスに調整する方法が示されている。しかし、これは溶鉄などを製造する副生物として得られるもので、もとのガス温度がバイオマスのガス化炉で採用可能な温度にくらべてはるかに高い条件である。
特開2008−81636号公報 特開2005−132739号公報 特開2002−161303号公報 特開平10−182531号公報 したがって、これまで植物系バイオマスをガス化して、そのガスを有効利用して、移送、貯留が容易なエネルギー源に変換するという方法は実用化に至っていないのが現状である。
本発明は、樹木、竹、草などの未利用系、木材の廃棄物、茸類の栽培に用いた廃菌床などの廃棄物系の植物系バイオマスを、移送や貯留が容易な液体状のエネルギー源に変換するために中間物として一酸化炭素と水素を含むガスを製造し、ガス組成の調整、副生物の処理あるいは利用を可能にするための方法に関する。
本発明の課題を解決するための具体的手段の第1は、固定床型炉に、水分を10〜45%含有する木質などの植物系バイオマス原料と、酸素ガスと炭酸ガスの混合ガスを供給して炉内温度を720〜850℃に調整してガス化を行い、得られたガスを冷却して水分を除くことである。
具体的手段の第2は、0004において、固定床型炉に、水分を10〜45%含有する植物系バイオマス原料と、酸素ガスと炭酸ガスの混合ガスを供給して炉内温度を720〜850℃を調整してガス化を行い、得られたガスを冷却して水分を除いた後、炭酸ガスの分離を行い、得られた炭酸ガスをガス化を行うための炭酸ガス源として使用することである。
具体的手段の第3は、0004あるいは0005において、固定床型炉に加えるガスとして酸素ガスと炭酸ガスのほかに、分離して得られた水分を加熱して得られた水蒸気を用いることである。
具体的手段の第4は、0004,0005において、固定床型炉に、水分を10〜45%含有する植物系バイオマス原料と、酸素ガスと炭酸ガスの混合ガスを供給して炉内温度を720〜850℃にしてガス化を行い、得られたガスを冷却して水分を除き、その分離された水分をメタン発酵槽に加えて処理することである。
具体的手段の第5は、0004.0005あるいは0007において、固定床型炉に、水分を10〜45%含有する植物系バイオマス原料をガス化するに際して、酸素ガス、炭酸ガス、メタンガスの混合ガスを供給して炉内温度を720〜850℃に調整することである。
0004の方法によって、植物系バイオマス原料から、タール発生を抑制しつつ窒素含有量の低い一酸化炭素・水素系ガスを製造できる。0005によって、生成した一酸化炭素・水素系ガスの炭酸ガス含有率を下げるとともに、分離された炭酸ガスを有効利用できるようになる。0006によって、生成した一酸化炭素・水素系ガスの水素含有量の調整、発生した有機物を含む水の処理の省略が可能になる。0007により、とくにメタン発酵装置が近接して存在する場合に、発生した有機物を含む水分をエネルギー的に効率的に処理することが可能になる。また0008により、同じくメタン発酵装置が近接して存在する場合に、その生成ガスの1部を有効利用して、一酸化炭素、水素の組成比の調整幅を広げることができる。0004〜0008を合わせて液体して移送や貯留が容易になるメタノールやジメチルエーテルなどの各種のエネルギー源を合成するのに適した一酸化炭素・水素系ガスを、植物系バイオマスから、効率的に製造することが可能になる。
本発明で製造しようとする一酸化炭素、水素を含有するガスとは、ガス合成によって炭素、水素、酸素を含有する有機化合物を製造するために用いるものである。その有機化合物としては、例えばメタノールやジメチルエーテル(DME)のように容易に液化して運搬、貯蔵が容易なエネルギー源が挙げられる。その合成のためには、水素ガスと一酸化炭素の容積比が1〜3の範囲の任意の値に調整できること、また、メタンは数%含んでいてもよいが、反応効率の点から窒素ガス濃度が10%以下であることが必要である。また、水蒸気、二酸化炭素の濃度は低いことが望ましい。
本発明で使用の対象とする植物系バイオマス原料とは、樹木、竹、草などの未利用系、木材の廃棄物、茸類の栽培に用いた廃菌床などの廃棄物系などである。これらは通常、水分を30〜70%含んでいる。本発明では、ガス化炉に入る前に、チップ化あるいはブリケット化して、サイズを例えば長さが70mm以下、幅が70mm以下、厚さを10mm以下に加工する。その加工の前あるいは後で、加熱、乾燥して水分含有量を調整する。バイオマス原料に含まれてガス化炉に持ち込まれる水分は、ガス化炉の温度を下方に調製する作用をするとともに、水素ガス濃度を上げる作用をするので、本発明では、ガス化炉温度および得られるガスの水素ガス、一酸化炭素含有量の調整手段の1つになり、乾燥の程度によって10〜45%の範囲内の値に調整される。その調整のための、加熱、乾燥のための熱源としては、系内の余熱、たとえば生成ガスを水で間接的に冷却することによって得られた温水、あるいは発熱型であるガス合成反応の温度調整に用いられた余熱(水蒸気や高温ガス)などを用いることができる。なお、バイオマス原料の加熱、乾燥は、チップは加工後、一方、ブリケットは加工前に行なわれる。
一般に木質などのバイオマス原料をガス化するためには、固定床型、循環床型、噴流型あるいは内熱および外熱ロータリーキルン型などがある。そのなかで本発明で用いるのは
固定床型が適している。固定床型はロータリーキルン型に比べて装置の動き部分が少ないこと、循環床型、噴流型に比べて、原料サイズの幅が広くとれて操業しやすいためである。固定床型ガス化炉は、筒状の槽の中に、バイオマス原料と酸化性ガスを供給して、バイオマス原料(炭素、水素および酸素を含有する)に対して
2C(固体中) + O = 2CO (1)
2CO +O = 2CO (2)
O + C = CO + H (3)
2H(固体中) = H (4)
2H + O= 2HO (5)
(固体中)+ O
= C(液体あるいはガス) + CO + H (6)
などによるガス化反応を行い、CO,H、CO、HO,CHなどのガスを発生させ、(6)式のpは3以上、qが5以上のタール(液体)となる炭化水素の発生をできるだけ抑制することが求められる機能である。通常行われているのは空気を予熱して吹き込んで部分燃焼する。その場合には、空気に含まれていた窒素が残留し、冷却して水分を除いた後では、たとえば、CO=22±2%、H2=20±2%、CO2=8% CH4=1〜4%、N2=46%が得られる。本発明のためにそのガス組成では問題となること窒素濃度が高すぎて、目的とする有機化合物のガス合成の工程の効率を低下させることが問題である。
それに対応するために本発明の特徴の1つは、ガス化用の酸素源としては、空気でなく、空気からあらかじ窒素ガスを分離した酸素ガスを用いることである。この酸素ガスとしては、空気から深冷分離で得られたものであっても、あるいは、膜分離などで空気から窒素分を分離したものであってもよい。なお、本発明においては、その窒素ガスが20%以下残留していても、生成したガスから目的とする有機化合物のガス合成する工程の効率低下に及ぼす影響は小さく、許容できる。
酸素ガスを単独でガス化炉に吹き込む方法では、局所的な温度が上がりすぎる操業を不安定にするので、本発明においては炭酸ガスを混合する。酸素ガスとともに炭酸ガスをガス化炉に吹き込むと、炭素、水素と反応して一酸化炭素を作り(吸熱反応)や、顕熱効果と合わせて局部温度の上昇を防止する。
C + CO = 2CO (7)
+ CO= CO + HO (8)
なお、固定床型ガス化炉では、ガス化のための酸化性ガス(ここでは、酸素ガスと炭酸ガスの混合ガス)の供給口と、生成したガスの排出口に位置関係が重要である。通常法は、アップドラフト型といってガス化槽の底から酸化性ガスを吹き込む方法と、ダウンドラフト型と言って、ガス化槽の底から生成ガスを抜きだす方法があるが、前者は、操業しやすいが、生成ガスの中に上記(6)式によって生じる常温では液体になる炭化水素(タールと呼ばれる)が多いという欠点があり、後者は、装入するバイオマス原料の状況の影響をうけやすいという欠点がある。そこで本発明ではフィンランドのプーダスエネルギア社の方式、すなわち、ガス化槽の底を酸化性ガスの吹き込み口、あるいは生成ガスの取りだし口にしないで、酸化性ガスの吹き込み口と、生成ガスの取り出し口の高さをいずれもガス化層の高さの中央部におき、その高さの差が、層の高さの20%以内にする方式を採用することによって、上記の欠点を解消することができる。
炭酸ガスの供給方法の第1の場合として、図1には外部で作られた二酸化炭素を炭酸ガス源としてものを使用する場合のプロセスを示している。炭酸ガスは大気中に放散されると地球温暖化を促進することから、外部の各種プロセの排出ガスから炭酸ガス(二酸化炭素)の分離が行われ、深海や土中深く吹き込んだり、固体化したり、さまざまなことが試みられているが、本発明ではそれをバイオマスのガス化というエネルギー変換を行うのに有効に利用することができる。第1図の方法でガス化の反応を安定して行うためには、生成しようとする水素ガス/一酸化炭素の比に応じて、植物系バイオマス原料の乾燥度による水分含有量、酸素ガスに混合する炭酸ガスの比率、これらのガスの予熱の程度などを調整して、ガス化炉内の温度を720~850℃の範囲内で調整して制御する。この温度が720℃未満だと、操業を不安定にする。また、850℃超では、バイオマスのガス化によって分離した固着などが起こって、操業をしにくくする。また、ガス化炉への熱負荷が増し、また、放散熱が増えて、熱効率の低下が起こるので好ましくない。これらの調整のために加えられる炭酸ガスの量は、炭酸ガス/酸素ガス(容積比)は0.2〜0.8の範囲内である。得られたガスは、一旦100℃以下に冷却すると、HOが除去できる。同時に、微量のタール、有機酸が水とともに分離される。これによって得られたガスは、炭酸ガスを伴っていてもよい場合の一酸化炭素、水素ガス含有ガスとして使用される。なお、分離された灰は土壌への添加材として有効することが可能である。
炭酸ガス供給方法の第2の場合は、図2に示すように、冷却して水分を除いた後の生成ガスを膜分離などの方法によって炭酸ガスの除去を行い、その分離された炭酸ガスを酸素ガスとともにガス化炉に供給することである。これによって、炭酸ガスを含まない一酸化炭素・水素系のガスが製造できるとともに、本プロセスから炭酸ガスが外部に排出されないようにすることができる。この場合にもガス炉の操業制御方法は、0014と同様である。
0014で述べたように本発明のガス化で得られたガスを冷却すると水が液体として分離する。この液体には、1%程度のタール、有機酸などが含有されているので、CODの規制などによりそのままは排水することができない。図1で示したシステムでは、この水を排水するためには活性汚泥などで処理されてCODを下げるが、それとは別に、そのタールや有機酸を含んだ水を有効利用する第1の方法は、図3に示すように、これを加熱して水蒸気にしてガス炉の中に吹き込むことである。これによって水蒸気は炉内で、バイオマス原料に含まれていた水分と同様に、炉内温度(下げる側)調整と水素ガス生成の働きをする。また、水に伴われていたタール、有機酸は、ガス化炉の中で分解する。ただし、
これによって持ち込まれる水分の量の増加に対応して、バイオマス原料から持ち込まれる水分の量を減らすように原料の乾燥を強化することが必要になるが、図3の方法によって、発生する水分や炭酸ガスをシステム内で有効に循環使用して、外部に放出しないという効果がある。
タールや有機酸を含んだ水を有効利用する第2の方法は、バイオマス資源のうち、汚泥や家畜糞尿、食品残渣などの含水量が多いもの(例えば70%)をエネルギー化するためのメタン発酵設備が併置されている場合に取りうるものであるが、図4に示すようにこの水分をメタン発酵の原料の1部に加えることである。湿式メタン発酵処理は、水分を90%前後に調整して行われるが、全液体分のうち、本発明のガス化時に得られた液体量が25%以内であればメタン発酵に悪影響を及ぼさない。
なお、メタン発酵装置が併置されている場合には、このほかに、図4に示すように、生成したメタン発酵ガス(CH4;約60%、炭酸ガス;約40%)の1部をガス化炉に供給することによって特別の効果を得ることができる。すなわち、これによって炭酸ガスが供給されるとともに。メタンガス(CH)によって、
CH + CO = 2CO + 2H (9)
CH + HO = CO + 3H (10)
などの反応が起こり、特に水素ガスの量を増やすことができ、生成ガス成分の調整に有効に用いることができる。また、一酸化炭素、水素含有ガスの量を増やすことができる。なお、これらに要望がない条件では、メタン発酵ガスから炭酸ガスを、たとえば膜分離法で分けて発熱量を高め、必要によっては、本発明の目的のガスと合わせて、ガス合成に用いることもできる。なお、この場合に、分離された炭酸ガスはガス化炉に供給するガスとして利用することができる。
本発明で得られた一酸化炭素と水素を含有するガスを用いて、移送や貯蔵が行いやすいエネルギー源にする方法の一つは、
CO + 2H = CHOH (11)
の反応によりメタノールを製造することである。この反応を効率的に進めるには、水素/一酸化炭素の比率はほぼ2にすることが必要である。メタノールはそのまま人体に入ると有毒であるが、それさえ注意すれば、液体燃料として有効に用いることができる。(11)式の反応は発熱反応であるので、発生熱を除きながら、たとえば約250℃で、反応を進めるために触媒(たとえば銅、亜鉛を含み化合物)の存在下で数10気圧にする。1回の通過では未反応の一酸化炭素、水素が残る場合は、冷却して生成したメタノールを液体として分離したあと、ガスを循環して反応を進める。この反応の進行を促進することが装置をコンパクトにし、かつ循環を軽減して反応効率を高めるために重要である。そのために各種の触媒が開発されているが、それらの触媒とあわせて、ガス合成に関与する一酸化炭素、水素などの分子を活性化するために、ガスを、アルファー線を発生する物質、たとえばトリウムなどを含む物質と接触させることが効果的である。得られたメタノールは液体燃料として、輸送、貯蔵され、燃焼用の熱源などとして利用される。
本発明で得られた一酸化炭素と水素を含有するガスを用いて、移送や貯蔵が行いやすいエネルギー源にする別の方法は、
3CO + 3H = CHOCH+ CO(12)
の反応によってジメチルエーテル(DME)を製造することである。この反応を効率的に進めるには、水素/一酸化炭素の比率はほぼ1にすることが必要である。ジメチルエーテルは、常温で約6気圧以上に加圧すれば液化するので、プロパンガスと同じように扱うことができる。ジメチルエーテルはこれまで噴霧器ガスとして使われているように無害なガスであり、燃焼特性も液体燃料に比べると、同一容積で比較すると発熱量は60%くらいであるが、燃焼時に有害ガスを発生しにくいことから、各種の燃料として使用するが検討されており、これからの重要なエネルギー源の1つである。(12)式の反応も発熱反応であるので、発生熱を除きながら、たとえば約250℃で、反応を進めるために触媒(たとえば銅、亜鉛を含み化合物)の存在下で数10気圧にする。1回の通過では未反応の一酸化炭素、水素が残る場合は、冷却して生成したジメチルエーテルを液体として分離したあと、炭酸ガスを除いてから、水素、一酸化炭素を含むガスを循環使用して(12)式の反応を進める。0019で述べたように、この反応の進行を促進することが装置をコンパクトにし、かつ循環を軽減して反応効率を高めるために重要であり、そのために各種の触媒が開発されているが、それらの触媒とあわせて、ガス合成に関与する一酸化炭素、水素などの分子を活性化するために、ガスを、アルファー線を発生する物質、たとえばトリウムなどを含む物質と接触させることが効果的である。得られたジメチルエーテルは常温で6気圧以上に加圧されて液体燃料として輸送、貯蔵され、たとえば自家発電用のエネルギー源として、化石燃料系のものに置き換えて利用される。
用いたガス化炉は、フィンランドのプーダスエネルギア社の1MW規模の固定床型である。植物系バイオマス原料は木質のチップである。この原料の乾燥、ガス化、ガス冷却による水分分離、膜を用いた炭酸ガス分離の、図3に示す工程により、ジメチルエーテル合成用の水素/一酸化炭素が約1のガスを製造した。原料のチップは、40〜50%の水分を含有していたが、これをシステム内の余熱を利用した120〜140℃の空気を用いて乾燥して水分含有量を10〜20%にした。このチップの約400kg/hでガス化炉に供給した。ガス化炉に供給するガスは、空気から膜分離で窒素ガスを分離した、窒素を約3%含む酸素ガスである。この酸素ガスに、後述する生成ガスから分離した炭酸ガスを加えて、酸素ガス/炭酸ガス=3にした混合ガスを、システム内の余熱を利用して約180℃に余熱してガス化炉に供給した。さらに、後述する生成ガスを冷却して分離された水を、システム内の余熱で水蒸気にしたものをガス化炉に吹き込んだ。ガス化炉内のガス温度を連続して測定し、その値が740〜760℃の範囲になるように、水蒸気の吹き込み量を調整した。ガス化のよって得られたガスは、ガス化炉の外で水により間接冷却されて80℃以下にした。これによって水分がガスから分離した。この水分には約1%の有機酸が含まれていた。この水分の処理方法は前述の通りである。この水分除去後のガスの成分は、一酸化炭素= 36±2%、水素= 37±2%、メタンガス= 1〜4%、炭酸ガス=16±2%、窒素= 8±2%であった。これを膜分離によって炭酸ガスの約9割を分離し、前述のようにガス化炉に循環使用した。なお、ガス化によって残留した灰分は、供給したバイオマス原料重量の約1.5〜2.0%得られたが、これは土壌改良剤として用いられた。-水分除去、炭酸ガス除去後のガスは、温度250℃、圧力 20気圧の槽に供給してジメチルエーテル生成を行った。ガス1回の反応率は約70%であり、ジメチルエーテルと、炭酸ガスを除去して循環使用した。製造されたジメチルエーテルは、7気圧に加圧して液体としてタンクに詰め、タンク車で搬送して自家発電用のエネルギーとして使用された。
0021で述べたのと同じガス化炉およびジメチルエーテルのガス合成装置に加えて、湿式のメタン発酵装置(主原料は家畜糞尿 70t/日)が同じ敷地に設置されている条件で以下の条件で操業を行った。特に異なる点は、ガス化のよって得られたガスを冷やしして、分離された水分が、メタン発酵の原料の1部に使用されたことである。これによって、メタン発酵処理には特に変化は認められなかった。ガス化の供給される原料のチップは、40〜50%の水分を含有していたが、これをシステム内の余熱を利用した120〜140℃の空気を用いて乾燥して水分含有量を15〜25%にした。ガス化炉の操業管理は、ガス化炉内のガス温度を連続して測定し、その値が740〜760℃の範囲になるように、酸素ガスの供給量を調整した。それ以外は、0021で述べたのとほぼ同じである。
0021で述べたのと同じガス化炉、0022で述べたのと同じメタン発酵装置に加えて、メタノールの合成装置からなる装置構成で、メタノール合成のためのガスの製造を図4のシステムで行った。0021と異なる点は、0022で述べたのと同じく、ガス化のよって得られたガスを冷やしして分離された水分が、メタン発酵の原料の1部に使用されたこと、および、メタン発酵装置で生成したガス(CH:約60%、CO2:約40%)の1部が、ガス化炉に供給されたことである。ガス化の供給される原料のチップは、40〜50%の水分を含有していたが、これをシステム内の余熱を利用した120〜140℃の空気を用いて乾燥して水分含有量を20〜30%にした。ガス化炉の操業管理は、酸素ガスの供給量は一定にして、ガス化炉内のガス温度を連続して測定し、その値が740〜760℃の範囲になるように、メタン発酵ガスの供給量を調整した。これによって得られた水分除去後のガスの成分は、一酸化炭素= 25±2%、水素= 48±2%、メタンガス= 1〜4%、炭酸ガス=12±2%、窒素= 8±2%であった。これを炭酸ガスの分離処理を行わないでメタノール合成を行った。これ以外のことは0021に述べたのとほぼ同じである。水分除去後のガスは、温度270℃、圧力 30気圧の槽に供給してメタノール生成を行った。ガス1回の反応率は約75%であり、メタノールを分離した後循環使用した。製造されたメタノールは、タンク車で搬送して自家発電用のエネルギーとして使用された。
本発明の方法は、ガス化炉として固定床型以外のものに適用することも可能である。
本発明のシステム図の1つの例を示す。 システム内で発生した炭酸ガスを分離、循環使用する場合の本発明のシステム図を示す。 システム内で発生した有機物を含有する水分を循環使用する場合の本発明のシステム図を示す。 メタン発酵装置が近接して設置されている場合の本発明のシステム図を示す。

Claims (5)

  1. 固定床型炉に、水分を10〜45%含有する木質などの原料と、酸素ガスと炭酸ガスの混合ガスを供給して炉内温度を720〜850℃に調整してガス化を行い、得られたガスを冷却して水分を除くことを特徴とする植物系バイオマスから一酸化炭素、水素を含有するガスの製造方法。
  2. 請求項1において、固定床型炉に、水分を10〜45%含有する植物系バイオマス原料と、酸素ガスと炭酸ガスの混合ガスを供給して炉内温度を720〜850℃に調整してガス化を行い、得られたガスを冷却して水分を除いた後、炭酸ガスの分離を行い、得られた炭酸ガスをガス化用の炭酸ガス源として使用することを特徴とする植物系バイオマスから一酸化炭素、水素を含有するガスの製造方法。
  3. 請求項1あるいは2において、固定床型炉に加えるガスとして酸素ガスと炭酸ガスのほかに、分離して得られた水分を加熱して水蒸気として用いることを特徴とする植物系バイオマスから一酸化炭素、水素を含有するガスの製造方法。
  4. 請求項1あるいは2において、固定床型炉に、水分を10〜45%含有する植物系バイオマス原料と、酸素ガスと炭酸ガスの混合ガスを供給して炉内温度を720〜850℃に調整してガス化を行い、ガスを冷却して水分を除いた後、得られた水分をメタン発酵槽に加えて処理することを特徴とする植物系バイオマスから一酸化炭素、水素を含有するガスの製造方法。
  5. 請求項1、2あるいは4において、固定床型炉に、水分を10〜45%含有する植物系バイオマス原料をガス化するに際して、酸素ガス、炭酸ガス、メタンガスの混合ガスを供給して炉内温度を720〜850℃にすることを特徴とする植物系バイオマスから一酸化炭素、水素を含有するガスの製造方法。
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CN101900316A (zh) * 2010-08-12 2010-12-01 广州迪森热能技术股份有限公司 一种生物质锅炉控制系统
CN102732317A (zh) * 2012-06-13 2012-10-17 林冲 一种生物质制备合成气的工艺流程
CN115094093A (zh) * 2022-07-08 2022-09-23 滦南林海科技发展有限责任公司 一种树木枝叶进行气化和厌氧发酵综合利用零排放方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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