JP2010023427A - 液体供給装置及び液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】供給ポンプとその上流と下流に一方向弁を備えた液体供給装置において、第1部材と第2部材とを可撓性部材を間に介在させた状態に組み立てる組立作業が比較的簡単に済むうえ、可撓性部材が過度に押し潰されることを回避できる液体供給装置及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インク供給システムは、インク供給針25が複数本上面に突設されたカバー70、ダイアフラム形成部材80、流路形成板90、フィルム120及び保護板130と備える。カバー70の底面から延出する複数本の係止フック66が、ダイアフラム形成部材80及び流路形成板90の各挿通孔89a,94aに挿通されて、金属板からなる保護板130に形成された被係止部132,133に係合することで、各部材70,80,90,120,130は積層状態に係止固定される。フィルム120は流路形成板90の裏面に溶着されて流路形成板90の裏面に流路を形成している。
【選択図】図5
【解決手段】インク供給システムは、インク供給針25が複数本上面に突設されたカバー70、ダイアフラム形成部材80、流路形成板90、フィルム120及び保護板130と備える。カバー70の底面から延出する複数本の係止フック66が、ダイアフラム形成部材80及び流路形成板90の各挿通孔89a,94aに挿通されて、金属板からなる保護板130に形成された被係止部132,133に係合することで、各部材70,80,90,120,130は積層状態に係止固定される。フィルム120は流路形成板90の裏面に溶着されて流路形成板90の裏面に流路を形成している。
【選択図】図5
Description
本発明は、液体供給流路の途中に設けられた供給ポンプと、該供給ポンプの上流に設けられた第1の一方向弁と、該供給ポンプの下流に設けられた第2の一方向弁とを有する液体供給装置及び液体噴射装置に関する。
従来、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタでは、記録ヘッドから液体としてのインク滴をターゲット(用紙等)に吐出することで、文字や画像等の記録を行うようになっている。また、この種のプリンタでは記録ヘッドへインクを供給するインク供給源としてインクカートリッジ(液体収容体)が装着される。インクカートリッジから記録ヘッドへインクを供給するインク供給方式には、インクカートリッジのインク液面と記録ヘッドのノズルとの高さの違いに基づく水頭差を利用する方式や、ポンプを用いてインクを供給する方式が知られている。
また、ポンプを用いたインク供給装置(液体供給装置)には、加圧ポンプで加圧した空気をインクカートリッジ内に供給してその内部に収容されたインクパックを加圧してインクを供給する加圧供給方式(例えば特許文献1)や、インク流路上に設けたポンプが駆動されることでポンプがその上流側に位置するインクカートリッジから吸引したインクを下流側へ吐出することでインクを供給する方式(例えば特許文献2)などが知られている。
この特許文献2に開示されたインク供給装置は、例えばダイアフラム式ポンプ等の脈動型のポンプと、このポンプの上流側(入力側)と下流側(出力側)にそれぞれ設けられた一対の一方向弁(逆止弁)とを備えている。上流側の一方向弁(第1の一方向弁)は、ポンプの吸引駆動時のインクの減圧で開弁するが、ポンプの吐出駆動時のインクの加圧では閉弁状態に維持される。一方、下流側の一方向弁(第2の一方向弁)は、ポンプの吸引駆動時には閉弁状態に維持され、ポンプの吐出駆動時のインクの増圧で開弁するように構成されている。
特開2002−192751号公報(図2等)
特開2006−272661号公報(図2、図4、図6、図8、図10等)
特許文献2のインク供給装置では、上ケースと下ケースとの間に可撓性部材(ダイアフラム形成部材)を介在させることで、ポンプ、第1の一方向弁と第2の一方向弁とがそれぞれ形成されていた。このとき、可撓性部材はその一部がポンプのダイアフラムとして機能し、他の一部が一方向弁の弁体として機能するようになっていた。
また、可撓性部材のうちポンプ及び弁の周囲の部分はシール部として機能するため、上ケースと下ケースとを可撓性部材を圧縮状態に加圧する状態で接合する必要がある。この接合方法として、従来は、ネジやボルト等の締結部材を用いた締結により行っていた。
ところで、ネジ等の締め付け力のばらつきにより例えば締め付け力が強過ぎた場合、可撓性部材が過度に押し潰される。この場合、可撓性部材のうちポンプ及び弁の周囲のシール部分が仮に過度に押し潰されたとしてもシールの機能は損なわれない。
しかし、過度に押し潰されたゴム等の一部がポンプ室や弁室の内側に押し出され、ダイアフラムや弁体が弛む場合があった。例えば弁体が弛むと、一方向弁の開閉タイミングが設計値どおりとならず、開閉タイミングのばらつきをもたらす。このような開閉タイミングのばらつきは、例えば上流側の第1の一方向弁(吸引弁)及び下流側の第2の一方向弁(吐出弁)の閉弁タイミングの遅れや、閉弁の不完全さをもたらす。この場合、吸引駆動開始時に吐出弁の閉弁の遅れが発生したり閉弁が不完全であると、下流域のインクが減圧されて必要なインク加圧値を確保できなくなったり、吐出駆動開始時に吸入弁の閉弁の遅れが発生したり閉弁が不完全であると、吐出されるべきインクがインクカートリッジ側へ逆流する心配があった。特に吸入弁の閉弁が不完全であると、インクカートリッジ交換のため、インクカートリッジを取り外した際に、液体供給装置内の加圧インクが逆流してインク供給針からインクが漏れるという問題を招くことになる。また、ネジ等の締結部材を用いて接合する場合、複数本のネジ等の締結部材を締結する作業が非常に面倒であった。
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、供給ポンプとその上流と下流に一方向弁を備えた液体供給装置において、第1部材と第2部材とを可撓性部材を間に介在させた状態に組み立てる組立作業が比較的簡単に済むうえ、可撓性部材が過度に押し潰されることを回避できる液体供給装置及び液体噴射装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明では、液体供給流路の途中に設けられた供給ポンプと、該供給ポンプの上流に設けられた第1の一方向弁と、該供給ポンプの下流に設けられた第2の一方向弁とを有する液体供給装置において、第1部材と、第2部材と、可撓性部材とを備え、前記供給ポンプと前記第1及び第2の一方向弁は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記可撓性部材を介在させることで構成されており、前記第1部材と前記第2部材との間に前記可撓性部材を加圧して挟み込む状態に係止により保持する係止手段をさらに備えたことを要旨とする。
この発明によれば、係止手段による係止により、第1部材と第2部材との間に可撓性部材を加圧して挟み込む状態に保持される。例えばネジやボルト等の締結部材の締結による組み立て構造に比べ、液体供給装置を簡単に組み立てることができる。また、締結部材を用いて、第1部材と第2部材が可撓性部材を加圧して挟み込む状態に保持される構成であると、締結部材の締め付け力のばらつきにより過度に強く締め付けられた場合に可撓性部材が過度に押し潰されてしまう。可撓性部材が過度に押し潰されると、例えば一方向弁の開閉タイミングが設計値どおりとならないなど種々の不具合が発生する。しかし、係止手段による係止により、第1部材と第2部材とを可撓性部材を加圧して挟み込む構成なので、係止手段の係止位置に応じて第1部材と第2部材の間隔がほぼ一定に決まり、締結部材を用いた際に問題となる過度の締め付け力に起因して第1部材と第2部材の間隔が狭くなり過ぎる心配がない。この結果、可撓性部材が過度に押し潰されることがなくなるので、可撓性部材が過度に押し潰されたことに起因する不具合を回避できる。例えば可撓性部材の一部により一方向弁の弁部が構成される場合、可撓性部材が弁部の周囲で過度に押し潰されると、押し潰された部分が弁室の内側に入り込んで弁部に弛みをもたらし、これが原因で一方向弁の開閉タイミングのばらつきや、閉弁の不完全さをもたらすことが危惧される。しかし、可撓性部材の押し潰しを回避できる本発明によれば、その種の開閉タイミングのばらつきが発生せず、一方向弁を閉弁させるべきときに確実に閉弁させることができる。
また、本発明の液体供給装置では、前記係止手段は、前記第1部材と前記第2部材を含む複数の部材を係止により保持しており、前記複数の部材のうち外側に配置された一の部材に設けられた係止部と、前記一の部材と反対側の外側に配置された他の一の部材に設けられるとともに前記係止部と係合可能な被係止部とを備えていることが好ましい。
この発明によれば、第1部材と第2部材を含む複数の部材のうち一の部材に設けられた係止部と、他の一の部材に設けられた被係止部とが係合されることで、第1部材と第2部材とが可撓性部材を加圧して挟み込む状態に保持される。すなわち、係止手段が、液体供給装置を構成する複数の部材の一部として設けられているので、部品点数が少なく済むうえ、各部材を組み立てれば係止部と被係止部とが係合して組み立て状態に保持されるので、その組立作業も簡単になる。
また、本発明の液体供給装置では、前記第1及び第2部材のうち少なくとも一方の前記可撓性部材と反対側の面側には、前記複数の部材のうちの一部材として金属板が配置されており、前記係止部は、前記金属板に形成された被係止部に係止されていることが好ましい。
この発明によれば、第1及び第2部材が例えばプラスチック製であっても、第1及び第2部材のうち少なくとも一方の可撓性部材と反対側の面側には、複数の部材のうちの一部材として金属板が配置されている。そして、係止部が、金属板に形成された被係止部と係合することで、第1部材と第2部材は可撓性部材を加圧して挟み込む状態に保持される。よって、第1及び第2部材が係止箇所で他の箇所より強く押圧されて力の分布が生じても、金属板の剛性により、第1及び第2部材は例えば波打ち形状に変形することなどなく、その平坦性が担保される。その結果、第1部材及び第2部材と可撓性部材との間のシール性を確保できる。
さらに本発明の液体供給装置では、前記被係止部は、弾性変形が可能な板バネ部を有しており、前記係止部と係合する被係合部は前記板バネ部に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、係止手段の係止状態では、板バネ部の弾性がクッションとなるので、係止部の被係止部との係合が外れにくい。例えば係止部と被係止部との係合が、可撓性部材の強い圧縮反力を受けて外れることを回避できる。
また、本発明の液体供給装置では、前記係止手段は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記可撓性部材を介在させることで構成される本体の周縁部に沿った複数箇所で係止する第1係止手段と、前記第1係止手段の係止箇所よりも前記本体の内側に位置する係止箇所で係止する第2係止手段とを備えていることが好ましい。
この発明によれば、第1係止手段により本体の周縁部に沿った複数箇所で係止されるだけでなく、第2係止手段により本体の内側の箇所でも係止されるので、本体の内側部分でも第1部材に対して第2部材が可撓性部材から受ける圧縮反力で浮き上がることなく、可撓性部材の面全体をしっかり加圧することができる。従って、供給ポンプ及び各一方向弁のシール性を確実に確保できる。
また、本発明の液体供給装置では、前記第2係止手段が板バネ部を有していることが好ましい。
この発明によれば、本体の内側の箇所で係止される第2係止手段は板バネ部を有しているので、本体の周縁部に比べ内側の箇所で可撓性部材がシール部で相対的に強く加圧されても、板バネ部のバネ弾性がクッションとなって、シール部におけるシール性を確保しつつ可撓性部材が過度に押し潰されることを回避できる。そして、第2係止手段により、本体の内側部分でも第1部材に対して第2部材が可撓性部材から受ける圧縮反力により浮き上がることなく、可撓性部材の面全体をしっかり加圧することができる。従って、供給ポンプ及び各一方向弁のシール性を確実に確保できる。
この発明によれば、本体の内側の箇所で係止される第2係止手段は板バネ部を有しているので、本体の周縁部に比べ内側の箇所で可撓性部材がシール部で相対的に強く加圧されても、板バネ部のバネ弾性がクッションとなって、シール部におけるシール性を確保しつつ可撓性部材が過度に押し潰されることを回避できる。そして、第2係止手段により、本体の内側部分でも第1部材に対して第2部材が可撓性部材から受ける圧縮反力により浮き上がることなく、可撓性部材の面全体をしっかり加圧することができる。従って、供給ポンプ及び各一方向弁のシール性を確実に確保できる。
本発明の液体供給装置では、前記供給ポンプと前記第1及び第2の一方向弁とを備えた液体供給部が複数設けられ、当該複数の液体供給部を構成する複数組の前記供給ポンプと前記第1及び第2の一方向弁とが略同一平面上に配置されており、前記第1部材と前記第2部材のうち少なくとも一方には、前記供給ポンプと前記各一方向弁の各室の一部を形成するための凹部が設けられており、前記第2係止手段は、前記凹部の配置されていない隙間領域を係止箇所としていることが好ましい。
この発明によれば、第2係止手段は、複数組の供給ポンプ及び各一方向弁を構成する各凹部の配置されていない隙間領域を係止箇所として係止している。このため、供給ポンプ及び各一方向弁の周囲の部分で可撓性部材を第1部材と第2部材との間に必要な加圧力でしっかり挟み込むことができるので、複数組すべての供給ポンプ及び各一方向弁のシール性を確実に確保できる。
さらに本発明の液体供給装置では、前記第1及び第2部材のうち少なくとも一方は、前記可撓性部材と反対側の面に溝を有し、該溝が形成された面に閉塞部材がシール状態で固定されることで、前記溝と前記閉塞部材とで囲み形成された空間域により前記液体供給流路の一部が、前記第1部材と第2部材の少なくとも一方の前記供給ポンプ側の面と反対側となる面に形成されており、前記係止手段は、前記液体供給流路の一部が配置されていない隙間領域に係止箇所が設定されていることが好ましい。
この発明によれば、第1及び第2流路形成部材のうち少なくとも一方の可撓性部材側(供給ポンプ側)の面と反対側の面に閉塞部材がシール状態で固定されることで、溝と閉塞部材とに囲み形成された空間域により液体供給流路の一部が形成されているので、液体供給装置をコンパクトに構成できる。そして、この一部の液体供給流路の隙間領域に係止箇所が設定されているので、液体供給流路の一部が供給ポンプ側の面と反対側となる面側に設けられた部材に対する係止が可能となる。
本発明は液体噴射装置であって、上記発明の液体供給装置と、前記液体供給装置から供給された液体を噴射する液体噴射手段とを備えたことを要旨とする。
この発明によれば、液体噴射装置は、液体噴射手段に液体を供給するために上記発明の液体供給装置を備えるので、上記発明の液体供給装置と同様の効果を得ることができる。
この発明によれば、液体噴射装置は、液体噴射手段に液体を供給するために上記発明の液体供給装置を備えるので、上記発明の液体供給装置と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」と言う。)に具体化した一実施形態を図1〜図16を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ11は、ターゲット(例えば用紙等の記録媒体)(図示略)に対してインク(液体)を噴射する液体噴射手段としての記録ヘッドユニット12と、この記録ヘッドユニット12に液体収容体(液体供給源)としてのインクカートリッジ13に収容されているインクを供給するインク供給装置14(液体供給部)とを備えている。インク供給装置14には、インクカートリッジ13に上流端が接続されるとともに、記録ヘッドユニット12に下流端が接続された状態で、インクカートリッジ13側となる上流側から記録ヘッドユニット12側となる下流側に向けてインクを供給するインク流路15の一部が設けられている。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ11は、ターゲット(例えば用紙等の記録媒体)(図示略)に対してインク(液体)を噴射する液体噴射手段としての記録ヘッドユニット12と、この記録ヘッドユニット12に液体収容体(液体供給源)としてのインクカートリッジ13に収容されているインクを供給するインク供給装置14(液体供給部)とを備えている。インク供給装置14には、インクカートリッジ13に上流端が接続されるとともに、記録ヘッドユニット12に下流端が接続された状態で、インクカートリッジ13側となる上流側から記録ヘッドユニット12側となる下流側に向けてインクを供給するインク流路15の一部が設けられている。
本実施形態のプリンタ11は、インクジェット式のシリアルプリンタ又はラインプリンタであり、インクカートリッジ13がプリンタ本体側に装着される所謂オフキャリッジタイプのものである。図1に示すように、インク供給装置14とインク供給チューブ15eを通じて接続される記録ヘッドユニット12は、ヘッドユニット本体56と記録ヘッド57とを有している。例えばシリアルプリンタの場合、ヘッドユニット本体56は、電動モータ(キャリッジモータ)の動力により案内機構(いずれも図示せず)により案内されつつ主走査方向(図1では左右方向)に往復移動するキャリッジにより構成される。一方、ラインプリンタの場合、ヘッドユニット本体56は用紙搬送方向と直交する幅方向に延びた状態に固定され、記録ヘッド57は各色のノズルが所定のノズルピッチで最大用紙幅全域に亘って配列されるように構成される。もちろん、シリアルプリンタの場合、インクカートリッジがキャリッジに搭載される所謂オンキャリッジタイプにおいてインク供給装置14を採用することもできる。
なお、本実施形態のプリンタ11には、そのプリンタ11で使用するインクの色数(種類)に対応して複数のインク供給装置14が設けられている。但し、それらの構成は同じであるため、図1にはいずれか一色のインクを供給する一つのインク供給装置14を記録ヘッドユニット12及び一つのインクカートリッジ13と共に図示している。そして、以下においては、この図1に示す一つのインク供給装置14がインクカートリッジ13から汲み取ったインクを記録ヘッドユニット12に向けて供給する場合を例にして説明することにする。また、図1におけるインク供給装置14は、そのインク供給機構の原理を説明するために流路や弁などの構成を模式断面で示したものであり、流路や弁のレイアウト等を含む好ましい形態については別途図面を用いて後述する。
図1に示すように、記録ヘッド57には、インク供給装置14の設置数と対応する複数(本実施形態では6つ)のノズル16がプラテン(図示略)と対向するノズル形成面12aに開口形成されている。そして、各インク供給装置14からインク流路15を通じて記録ヘッドユニット12内のインク流路12dに供給されたインクは、インク流路12d上に設けられたバルブユニット17及び脱泡装置58を経由してノズル16へ供給されるようになっている。すなわち、バルブユニット17には、インク流路15から流入したインクを一時貯留する圧力室17aがノズル16と連通するように設けられ、その圧力室17a内には、ノズル16からインクを噴射した場合に、そのインク噴射により消費したインク量に相当する分量のインクが、流路弁17dの開閉動作に基づきインク流路15から適宜に流入するようになっている。このバルブユニット17及び脱泡装置58の構成は後述する。なお、6つのノズル16は、図1における紙面直交方向に一定のノズルピッチで複数個ずつ配置されてそれぞれノズル列を形成している。このノズル列の方向(図1の紙面直交方向)は、シリアルプリンタでは用紙搬送方向に一致し、ラインプリンタでは用紙幅方向に一致する。
また、プリンタ11には記録ヘッド57のノズル16の目詰まり等を解消するべく記録ヘッド57のクリーニングを行うメンテナンスユニット18が設けられている。このメンテナンスユニット18は、記録ヘッド57のノズル形成面12aにノズル16を囲うように当接可能なキャップ19と、このキャップ19内からインクを吸引する際に駆動される吸引ポンプ20と、この吸引ポンプ20の駆動に伴いキャップ19内から吸引されたインクが廃インクとして排出される廃液タンク21とを備えている。そして、クリーニング時には、図1に示す状態からキャップ19を移動させて記録ヘッド57のノズル形成面12aに当接させた状態で吸引ポンプ20を駆動し、キャップ19の内部空間に負圧を発生させることにより記録ヘッド57内から増粘したインクや気泡混じりのインクを廃液タンク21に向けて吸引排出するようにしている。なお、メンテナンスユニット18は、シリアルプリンタでは記録ヘッドユニット12が非印刷時に位置するホームポジションに対応する位置に配置され、ラインプリンタでは記録ヘッド57の直下に配置されることになる。
一方、インクカートリッジ13は、内部がインクを収容するインク室22aとされた略箱体形状のケース22を備えている。ケース22の下壁からはインク室22a内に連通する筒部23が下方に向けて突出して形成され、筒部23の先端にはインクを導出可能なインク供給口24が形成されている。そして、インクカートリッジ13をインク供給装置14に接続する際には、このインク供給口24に対してインク供給装置14からインク流路15の上流端を構成するべく突設されたインク供給針25が挿入されるようになっている。また、ケース22の上壁には、インクが収容されたインク室22a内を大気に連通させる大気連通孔26が貫通して形成され、インク室22a内に収容されたインクの液面に対して大気圧を作用させるようになっている。
次に、インク供給装置14の構成について詳細に説明する。
図1に示すように、インク供給装置14は、基台となる樹脂製の第1流路形成部材27と、この第1流路形成部材27上に積層状態に組み付けられる同じく樹脂製の第2流路形成部材28と、その組み付け時に両流路形成部材27,28の間に挟み込まれるゴム板等からなる可撓性部材29とを備えている。また、第1流路形成部材27の可撓性部材29と反対側の面(裏面)にはフィルム120が溶着されている。さらにフィルム120の下面には保護板130と受け皿140が積層されている。ここで、第1流路形成部材27の上面における複数箇所(本実施形態では3箇所)には、平面視円形状をなす凹部30,31,32が形成されている。すなわち、図1において、右側から左側へ、凹部30、凹部31、凹部32の順に、各凹部30〜32は横並び配置となるように形成されている。
図1に示すように、インク供給装置14は、基台となる樹脂製の第1流路形成部材27と、この第1流路形成部材27上に積層状態に組み付けられる同じく樹脂製の第2流路形成部材28と、その組み付け時に両流路形成部材27,28の間に挟み込まれるゴム板等からなる可撓性部材29とを備えている。また、第1流路形成部材27の可撓性部材29と反対側の面(裏面)にはフィルム120が溶着されている。さらにフィルム120の下面には保護板130と受け皿140が積層されている。ここで、第1流路形成部材27の上面における複数箇所(本実施形態では3箇所)には、平面視円形状をなす凹部30,31,32が形成されている。すなわち、図1において、右側から左側へ、凹部30、凹部31、凹部32の順に、各凹部30〜32は横並び配置となるように形成されている。
一方、この第1流路形成部材27上に積層される第2流路形成部材28の下面における複数箇所(本実施形態では3箇所)には、第1流路形成部材27の上面に形成された各凹部30,31,32と上下方向で互いに対向する平面視円形状の凹部33,34,35が形成されている。すなわち、図1において、右側から左側へ、凹部33、凹部34、凹部35の順に、各凹部33〜35は横並び配置となるように形成されている。なお、第2流路形成部材28における図1において最も左側に形成された凹部35の底部には、大気に連通する大気連通孔35aが形成されている。
そして、可撓性部材29は、第1流路形成部材27と第2流路形成部材28との間に、その可撓性部材29における複数箇所(本実施形態では3箇所)が第1流路形成部材27の各凹部30〜32と第2流路形成部材28の各凹部33〜35との間を上下に仕切って介在するように挟み込まれている。その結果、可撓性部材29において第1流路形成部材27の凹部30と第2流路形成部材28の凹部33との間に介在する部分は、両凹部30,33の間で弾性変形することにより変位可能な吸引側弁体(バルブ本体)36として機能するようになっている。
同様に、可撓性部材29において第1流路形成部材27の凹部31と第2流路形成部材28の凹部34との間に介在する部分は、両凹部31,34の間で弾性変形することにより変位可能なダイアフラム37として機能するようになっている。また同様に、可撓性部材29において第1流路形成部材27の凹部32と第2流路形成部材28の凹部35との間に介在する部分は、両凹部32,35の間で弾性変形することにより変位可能な吐出側弁体(バルブ本体)38として機能するようになっている。
そして、図1に示すように、第1流路形成部材27と第2流路形成部材28には、第2流路形成部材28の上面から突設されたインク供給針25と第1流路形成部材27の凹部30との間を連通する第1流路15aが、インク供給装置14におけるインク流路15の一部を構成するべく形成されている。同様に、第1流路形成部材27と第2流路形成部材28及び可撓性部材29には、第2流路形成部材28の凹部33と第1流路形成部材27の凹部31との間を連通する第2流路15bが、インク供給装置14におけるインク流路15の一部を構成するべく形成されている。また同様に、第1流路形成部材27には、第1流路形成部材27の凹部31と凹部32との間を連通する第3流路15cが、インク供給装置14におけるインク流路15の一部を構成するべく形成されている。
さらに、第1流路形成部材27と第2流路形成部材28及び可撓性部材29には、第1流路形成部材27の凹部32と第2流路形成部材28の上面側との間を連通する第4流路15dが、インク供給装置14におけるインク流路15の一部を構成するべく形成されている。そして、この第4流路15dにおける可撓性部材29の上面に開口する流路開口端であるインク排出口64は、インク供給装置14の端部に取着される配管接続具59を介してインク流路15の一部を構成するインク供給チューブ15eの一端(上流端)と接続されている。そして、このインク供給チューブ15eの他端(下流端)が記録ヘッドユニット12側のバルブユニット17に接続されている。なお、本実施形態では、第1〜第4流路15a〜15dにより、液体供給流路が構成されている。
図1に示すように、各流路15a,15b,15c,15dは、第1流路形成部材27の裏面側を経由する経路で形成されている。そのため、第1流路形成部材27には、第1流路15aを構成する貫通孔90a,30bと両者を連通する溝、第2流路15bを構成する貫通孔90b,31aと両者を連通する溝、第3流路15cを構成する貫通孔31b,32bと両者を連通する溝、第4流路15dを構成する貫通孔32c,91aと両者を連通する溝がそれぞれ形成されている。そして、流路形成部材27の裏面に溶着されたフィルム120と各溝とにより流路15a,15b,15c,15dの一部が囲み形成されている。
また、図1に示すように、インク供給装置14において可撓性部材29の吸引側弁体36となる部分は、その中心に貫通孔36aが形成されるとともに、上側の凹部33内に配設されたコイルスプリング40(付勢手段)の付勢力により下側の凹部30の内底面に向けて付勢されている。そして、本実施形態では、これらの凹部30,33と吸引側弁体36及びコイルスプリング40により、インク流路15の途中にインク流路15を開閉可能に設けられた第1の一方向弁としての吸引側バルブ41(吸引側逆止弁)が構成されている。この吸引側バルブ41は、第1流路15aの下流端開口(インク吸入口)と連通する弁室41aと、第2流路15bの上流端開口(インク排出口)と連通する弁室41bとを有している。弁室41aは、吸引側弁体36の中央部が凹部30の底面中央部の弁座30aに当接した閉弁状態の吸引側弁体36と凹部30とで囲み形成された環状の空間域として形成される。このため、吸引側バルブ41が開閉する過程で各弁室41a,41bのインク圧は、各流路15a,15bの開口面積よりも十分広い面積で吸引側弁体36に作用し、各弁室41a,41b間の比較的な小さな差圧でも吸引側バルブ41を感度よく開閉させることが可能となっている。つまり、吸引側弁体36をコイルスプリング40で閉弁方向へ付勢する構造の吸引側バルブ41を採用した割に、吸引側バルブ41を感度よく開閉させることが可能となっている。
同様に、インク供給装置14において可撓性部材29のダイアフラム37となる部分は、上側の凹部34内に配設されたコイルスプリング42(付勢手段)の付勢力により下側の凹部31の内底面に向けて付勢されている。そして、本実施形態では、これらの凹部31,34とダイアフラム37及びコイルスプリング42により脈動型のポンプ43が構成され、ダイアフラム37と下側の凹部31とで囲み形成される容積可変の空間域がポンプ43におけるポンプ室43aとして機能するようになっている。
また同様に、インク供給装置14において可撓性部材29の吐出側弁体38となる部分は、上側の凹部35内に配設されたコイルスプリング44(付勢手段)の付勢力により下側の凹部32の内底面に向けて付勢されている。そして、本実施形態では、これらの凹部32,35と吐出側弁体38及びコイルスプリング44により、ポンプ43よりもインク流路15における下流側にインク流路15を開閉可能に設けられた第2の一方向弁としての吐出側バルブ45(吐出側逆止弁)が構成されている。この吐出側バルブ45は、第3流路15cの下流端開口(インク流入口)と連通する弁室45a(インク室)と、大気連通孔35aを通じて大気開放されている弁室45b(空気室)とを有している。弁室45aは、吐出側弁体38の中央部が凹部32の底面中央部の弁座32aに当接した閉弁状態の吐出側弁体38と凹部32とで囲み形成された環状の空間域として形成される。このため、吐出側バルブ45が開閉する過程で弁室45aのインク圧は、第3流路15cの開口面積よりも十分広い面積で吐出側弁体38に作用し、弁室45aの比較的小さなインク圧の変化でも吐出側バルブ45を感度よく開閉させることが可能となっている。つまり、吐出側弁体38をコイルスプリング44で閉弁方向へ付勢する構造の吐出側バルブ45を採用した割に、吐出側バルブ45を感度よく開閉させることが可能となっている。
さらに、図1に示すように、第2流路形成部材28の凹部34には、二股状に分岐した空気流路46を介して吸引ポンプ等からなる負圧発生装置47と大気開放機構48が接続されている。負圧発生装置47は、正逆回転可能な駆動モータ49が正転駆動した場合に図示しないワンウェイクラッチを介して伝達される駆動力により駆動して負圧を発生し、空気流路46を介して接続された第2流路形成部材28の凹部34内にも同様に負圧を発生させ得るように構成されている。この点で、第2流路形成部材28の凹部34とダイアフラム37とで囲み形成される容積可変の空間域は、負圧発生装置47の駆動に伴い負圧状態となる負圧室43bとして機能するようになっている。
一方、大気開放機構48は、大気開放孔50が形成されたボックス51内にシール部材52を大気開放孔50側に付設してなる大気開放弁53が収容され、その大気開放弁53が常にはコイルスプリング54の付勢力により大気開放孔50を封止する閉弁方向に付勢された構成をしている。そして、大気開放機構48は、駆動モータ49が逆転駆動した場合に、図示しないワンウェイクラッチを介して伝達される駆動力に基づき作動するカム機構55が作動し、そのカム機構55の作動により大気開放弁53がコイルスプリング54の付勢力に抗して開弁方向に変位するように構成されている。すなわち、大気開放機構48は、空気流路46を介して接続された負圧室43bが負圧状態になっている場合には、大気開放弁53が開弁動作することにより、その負圧室43b内を大気に開放して負圧状態を解消するようになっている。
なお、負圧発生装置47、大気開放機構48、及びこれらを駆動させる駆動モータ49はそれぞれ1つずつ設けられ、複数のインク供給装置14に共有される構成となっている。すなわち、負圧発生装置47と大気開放機構48とインク供給装置14とを接続する空気流路46を構成する空気流路用配管46aは、インク供給装置14内に形成された空気流路46bと接続されている。空気流路46bは途中で分岐し、各分岐流路の先端が各インク供給装置14のポンプ43の負圧室43bに接続されている。この構成により、複数のインク供給装置14に対して負圧発生装置47、大気開放機構48、駆動モータ49を1つ設けるだけで、各色のインク供給装置14を駆動することができ、プリンタ11の小型化を図ることが可能となっている。そして、各ポンプ43の負圧室43bと接続された空気流路46bは第1流路形成部材27の裏面を経由しつつ可撓性部材29の上面に開口し、負圧導出口65を形成している。この負圧導出口65は配管接続具59を介して空気供給チューブ46cの一端(上流端)と接続されている。そして、この空気供給チューブ46cの他端(下流端)が記録ヘッドユニット12に接続され、脱泡装置58への負圧の導入が可能となっている。
ここで、記録ヘッドユニット12に内蔵されるバルブユニット17及び脱泡装置58の構成及び機能について説明する。図1に示すように、記録ヘッドユニット12内には、大気連通孔12bを通じて大気と連通する大気室12cが設けられている。バルブユニット17は、記録ヘッドユニット12内のインク流路12dに流入したインクを一時貯留する圧力室17aと、圧力室17aと大気室12cとを隔てる隔壁部17bと、バネ17cにより閉弁方向に付勢されて隔壁部17bに当接する流路弁17dとを有する。隔壁部17bは可撓性材料(例えば合成樹脂やゴム等)よりなるフィルム(又はシート)により構成されており、例えばフィルムと共に変位可能な片持ちの金属片(例えば櫛歯状金属片の一片)(図示省略)を流路弁17dの当接箇所に配置している。また、圧力室17aからノズル16へ至るインク流路12dの途中にはインクを一時貯留するインク貯留室12eが設けられている。
ノズル16からインクが噴射されてインクが消費されると、圧力室17aの室圧がインクの減量により減圧し、その減圧した圧力室17aと大気室12cとの差圧に基づき隔壁部17bが圧力室17a側へ撓み変形することで流路弁17dがバネ17cの付勢力に抗して開弁位置に移動してインクが圧力室17a側へ流入する。圧力室17aへインクが流入してその室圧が高まると、やがてバネ17cの付勢力が打ち勝って流路弁17dが再び閉弁位置に移動する。このようにインクの消費に連れてバルブユニット17の流路弁17dが開閉動作することでインク供給チューブ15eから記録ヘッドユニット12内へインクが適宜に流入するようになっている。
一方、脱泡装置58は、記録ヘッドユニット12内の負圧流路12fを通じて空気供給チューブ46cと連通する減圧室58aと、減圧室58aと大気室12cとを隔てる隔壁部58bと、バネ58cに付勢されて隔壁部58bに当接する流路弁58dと、流路弁58dの開弁時に減圧室58aと連通する負圧室58eとを有している。なお、2つの隔壁部17b,58bは共通のフィルム(又はシート)で構成されており、隔壁部58bにおいても、流路弁58dの当接箇所にフィルムとともに変位可能な片持ちの金属片(図示省略)を配置している。
また、負圧室58eとインク貯留室12eとはガス透過性を有する合成樹脂材料よりなる隔壁部58fを介して隔てられている。ポンプ43の吸引駆動時に空気供給チューブ46c及び負圧流路12fを通じて減圧室58aに負圧が導入されると、減圧室58aと大気室12cとの差圧に基づき隔壁部58bが減圧室58a側に撓み変形し、流路弁58dがバネ58cの付勢力に抗して開弁位置に移動することで減圧室58aの負圧が負圧室58eに導入される。一方、ポンプ43の吐出駆動時には、空気供給チューブ46c及び負圧流路12fを通じて減圧室58aが大気に開放されるものの、このときバネ58cの付勢力により流路弁58dが閉弁位置に維持されるため、負圧室58eは負圧状態に保持される。つまり、プリンタ11の起動後、ポンプ43が少なくとも1回吸引駆動された後は、負圧室58eがある程度以上の負圧状態に保持され、インク貯留室12eに貯留されたインク中の気泡や溶解空気が隔壁部58fをガス透過することで負圧室58e側へ回収され、これにより脱泡装置58によるインクの脱泡が行われる。
そこで次に、以上のように構成されたプリンタ11における作用について、特にインク供給装置14の作用に着目して以下説明する。図2(a)は吸引駆動時のインク供給装置の断面を示し、図2(b)は吐出駆動時のインク供給装置の断面を示す。
まず、前提として、図1に示す状態は、新旧インクカートリッジの交換直後であって、吸引側バルブ41の吸引側弁体36、ポンプ43のダイアフラム37、及び、吐出側バルブ45の吐出側弁体38は、いずれもコイルスプリング40,42,44の付勢力で下側の各凹部30,31,32の内底面に押し付けられた状態にあるものとする。そして、大気開放機構48は大気開放弁53が大気開放孔50を封止した閉弁状態にあるものとする。
さて、このような図1に示す状態から、インク供給装置14がインクカートリッジ13側から記録ヘッドユニット12側へインクを供給する場合、まず、ポンプ43をポンプ駆動させるために、駆動モータ49が正転駆動される。すると、負圧発生装置47が負圧を発生し、この負圧発生装置47と空気流路46を介して接続されたインク供給装置14の負圧室43bが負圧状態になる。そのため、ポンプ43のダイアフラム37がコイルスプリング42の付勢力に抗して負圧室43b側に弾性変形(変位)し、負圧室43bの容積を減少させる(図2(a)参照)。すると、この負圧室43bの容積減少に伴い、ダイアフラム37を介して負圧室43bと区画されたポンプ室43aは逆に容積が増加する。
すなわち、ポンプ43がダイアフラム37をポンプ室43aの容積が増加する方向に変位させて吸引駆動することになる。具体的には、ダイアフラム37が図1に示す下死点位置から図2(a)に示す上死点位置に変位する。そのため、ポンプ室43a内が負圧状態になり、その負圧が第2流路15bを介して吸引側バルブ41の上側の弁室41bに作用し、下側の弁室41aのインク圧力との圧力差に基づき吸引側弁体36をコイルスプリング40の付勢力に抗して上方(すなわち、開弁方向)へ弾性変形(変位)させる。その結果、第1流路15aと第2流路15bが吸引側弁体36の貫通孔36aを介して連通状態となり、インクカートリッジ13内からインクが、第1流路15a、弁室41a、貫通孔36a、弁室41b、第2流路15bを経由して、ポンプ室43a内に吸引される。
一方、このポンプ43の吸引駆動時には、ポンプ室43aの負圧が第3流路15cを介してポンプ室43aよりもインク流路15の下流側、すなわち第3流路15cにも作用する。しかし、第3流路15cの下流側が連通する吐出側バルブ45の下側の弁室45aは、吐出側弁体38がコイルスプリング44により閉弁方向に付勢された状態にあり、その閉弁状態は吐出側弁体38に対して第3流路15cの上流側からポンプ43の吐出駆動によって所定の正圧(例えば、13kPa以上の圧力)のインク吐出圧が作用しない限り開弁状態に移行しないように設定されている。したがって、この場合、吐出側バルブ45の吐出側弁体38は、負圧が作用しているため、その閉弁状態が維持される。
そして次には、図2(a)に示す状態において、駆動モータ49が逆転駆動される。すると、大気開放機構48のカム機構55の作動により大気開放弁53がコイルスプリング54の付勢力に抗して開弁動作し、負圧状態にある負圧室43bを大気開放する。そのため、ポンプ43のダイアフラム37がコイルスプリング42の付勢力により下方(すなわち、ポンプ室43aの内底面側)へ弾性変形(変位)し、負圧室43bの容積を増加させる(図2(b)参照)。すると、この負圧室43bの容積増加に伴い、ダイアフラム37を介して負圧室43bと区画されたポンプ43のポンプ室43aは逆に容積が減少する。
すなわち、ポンプ43がダイアフラム37をポンプ室43aの容積を減少させる方向に変位させて吐出駆動することになる。具体的には、図2(b)に示すように、ダイアフラム37が上死点位置から下死点位置の方向に変位して、ポンプ室43a内に吸引されていたインクを所定の圧力(例えば、30kPa程度の圧力)で加圧する。そのため、ポンプ室43a内からはインクが吐出され、その吐出圧がポンプ室43aよりも上流側では第2流路15bを介して吸引側バルブ41の上側の弁室41bに作用し、吸引側弁体36をコイルスプリング40の付勢力と協働して下方(すなわち、閉弁方向)へ弾性変形(変位)させる。その結果、第1流路15aと第2流路15bが吸引側弁体36の閉弁動作により非連通状態となり、インクカートリッジ13からポンプ室43aへの吸引側バルブ41を経由したインクの吸入が停止されるとともに、ポンプ43の吐出駆動に伴いポンプ室43aから吐出されたインクが吸引側バルブ41を経由してインクカートリッジ13側に逆流することが規制される。
一方、このポンプ43の吐出駆動時には、ポンプ室43aから吐出されたインクの圧力(例えば、30kPa程度の圧力)が第3流路15cを介してインク流路15の下流側にも作用する。そのため、このポンプ43の吐出圧が閉弁状態にある吐出側弁体38を開弁動作させ、吐出側バルブ45における下側の弁室45aを介して第3流路15cと第4流路15dが連通する。その結果、ポンプ室43a内からインクが、第3流路15c、弁室45a、第4流路15d、インク供給チューブ15eを経由して、バルブユニット17に加圧状態で供給される。ちなみに、吐出側バルブ45におけるコイルスプリング44の付勢力は、吐出側バルブ45の弁室45aにインクがポンプ43の吐出駆動に伴い流入してきた場合には、そのインクの吐出圧力により吐出側弁体38が上方へ弾性変形できるように、例えば13kPa程度に設定されている。
そして、以後は、ダイアフラム37に加圧されてポンプ室43aから吐出されるインクの吐出圧がインク流路15における吸引側バルブ41の弁室41bを含むその下流側の各流路域(ポンプ室43a及び吐出側バルブ45の弁室45aを含む)に均衡する状態が維持される。その後において、記録ヘッド57からインクがターゲット(図示略)に向けて噴射されると、そのインク噴射に伴うインクの消費量に相当する分量のインクがバルブユニット17の開弁に伴いインク流路15内から記録ヘッドユニット12側に供給される。そのため、この下流側(記録ヘッドユニット12側)でのインク消費に伴い、その消費量に対応するインク量のインクが、コイルスプリング42の付勢力でポンプ室43aの容積が減少する方向へ付勢されたダイアフラム37の押圧力に基づき記録ヘッドユニット12側(下流側)へ加圧状態で供給される。
その結果、ポンプ室43a内の容積及び吐出側バルブ45の弁室45aの容積が次第に減少し、遂にはダイアフラム37が下死点位置付近まで変位するとともに、吐出側弁体38が第4流路15dを閉塞する閉弁位置付近まで変位するようになる。ちなみに、本実施形態では、この時点でダイアフラム37に押圧されてポンプ室43aから吐出されるインクの吐出圧は13kPa程度となる。
すると、駆動モータ49が再び正転駆動され、大気開放機構48では大気開放弁53が大気開放孔50を閉塞する閉弁位置に変位するとともに、負圧発生装置47が負圧を発生して負圧室43bが負圧状態となり、ダイアフラム37がコイルスプリング42の付勢力に抗して、負圧室43b側に弾性変形(変位)する。すなわち、再び、ポンプ43が吸引駆動を開始する。その結果、ダイアフラム37がポンプ室43aの容積を増加させるべく上死点位置に変位し、ポンプ室43a内が負圧状態になるため、その負圧の作用で吸引側弁体36が開弁方向へ弾性変形(変位)する。したがって、第1流路15aと第2流路15bが吸引側弁体36の貫通孔36aを介して連通状態となり、インクカートリッジ13内からインクが再びポンプ室43a内に吸引される。以後、上記と同様のポンプ43の吐出駆動が実行されて、ポンプ室43a内からインクが下流側のインク流路域を経由して記録ヘッドユニット12へと加圧供給される。
次に上記のように構成された複数のインク供給装置14を一ユニット化したインク供給システムの例を図3〜図16に基づいて説明する。
図3は複数個のインクカートリッジが装着されたインク供給システムの斜視図、図4はインクカートリッジが装着されていない状態のインク供給システムの斜視図を示す。なお、以下の説明において、インク供給針25の配列方向と平行な方向をX方向、その配列方向と直交する方向をY方向とし、XY平面と直交しインク供給針25の突出方向である上方向をZ方向とする。
図3は複数個のインクカートリッジが装着されたインク供給システムの斜視図、図4はインクカートリッジが装着されていない状態のインク供給システムの斜視図を示す。なお、以下の説明において、インク供給針25の配列方向と平行な方向をX方向、その配列方向と直交する方向をY方向とし、XY平面と直交しインク供給針25の突出方向である上方向をZ方向とする。
図3及び図4に示す液体供給装置としてのインク供給システム61は、プリンタ11内の所定箇所に配置され、インクカートリッジ13が装着されるカートリッジホルダとして機能する。インク供給システム61は略四角板形状の積層体構造を有しており、その上面には複数本(本例では6本)のインク供給針25(図4参照)がX方向に1列に並んだ状態でその上面から垂直(Z方向)に突設されている。複数個(本例では6個)のインクカートリッジ13は、各インク供給針25が各々の筒部23のインク供給口24(図1参照)に挿入されることで、インク供給システム61の上側にX方向に隣同士がほぼ隣接する1列に配列された状態で装着される。
本例のインク供給システム61では、6個のインクカートリッジ13に収容された例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトイエロー、黒など6色のインクを個別に供給可能な6つのインク供給装置14が一ユニット化された構造をとる。つまり、インク供給システム61は、6つのインク供給装置14を構成する6つのポンプ43(供給ポンプ)、6つの吸引側バルブ41(第1の一方向弁)及び6つの吐出側バルブ45(第2の一方向弁)をそれぞれ同一平面上に配置することで、複数の板状の構成部材を積層した積層構造の採用を可能としている。そして、複数の構成部材のうち少なくとも一つを単一(共通)の流路形成部材とし、その単一の流路形成部材上に他の構成部材(必ずしも単一である必要はなく例えばインク供給装置毎の構成部材であってもよい)を積層することで、インク供給システム61の一部品化(一ユニット化)を実現している。但し、本実施形態では、後述するように、インク供給システム61を構成するために積層される複数の構成部材のすべてが、6つのインク供給装置14に共通の単一の構成部材としてそれぞれ構成されている。なお、インク供給システム61として一ユニット化されるインク供給装置14の個数は6個に限らず、例えば2〜10個の範囲内のその他の複数個、さらには10個を超える複数個に適宜変更してよいし、必ずしもプリンタ11の色数(インクカートリッジ数)に合わせる必要もない。例えばプリンタ11に、3個のインク供給装置14を一ユニット化したインク供給システムを2個搭載するなど、1台のプリンタ11に複数個のインク供給システムを搭載する構成も採用できる。
図3及び図4に示すように、インク供給システム61は、ポンプ43と吸引側バルブ41と吐出側バルブ45とを色数に応じた複数個(例えば6個)ずつ有する四角板状の本体62と、本体62の一端側部から水平に延出する板状の配管接続部63とを有している。
図4に示すように、本体62には、その上面から垂直(Z方向)に突出してX方向に1列に配置された6本のインク供給針25と、X方向に沿って3個ずつ2列で配置された6つのポンプ43と、X方向に沿って1列に配置された6つの吸引側バルブ41と、X方向に沿って1列に配置された6つの吐出側バルブ45とが内蔵されている。
また、図3及び図4に示すように、配管接続部63の上面には、6つのインク排出口64と1つの負圧導出口65が開口している。6つのインク排出口64は、各ポンプ43が各インクカートリッジ13から吸引したインクを所定の吐出圧で外部へ加圧供給するための排出口となる。1つの負圧導出口65は、脈動型のポンプ43を吸引駆動させるために負圧発生装置47(図1参照)からインク供給システム61内に導入された負圧を他の用途(本例では脱泡装置58)のために導出するための導出口となる。
配管接続部63には、記録ヘッドユニット12に繋がる6本のインク供給チューブ15eと1本の空気供給チューブ46c(いずれも図1参照)をフレキシブル板上に束ねて構成されるフレキシブル配管板の一端部に固定された配管接続具59(図1参照)が接続される。各インク排出口64から排出された各インクは各インク供給チューブ15eを通じて記録ヘッドユニット12内の各バルブユニット17に加圧供給され、一方、ポンプ43の吸引駆動時に負圧導出口65から導出される負圧は空気供給チューブ46c(図1参照)を通じて記録ヘッドユニット12内の脱泡装置58に供給されるようになっている。なお、本例のインク供給システム61では、空気流路用配管46a(図1参照)と接続される接続用の管部106(図16参照)が裏面に突設されており、インク供給システム61内に形成されている空気流路46bは、その管部106から各ポンプ43の負圧室43bを経由しつつ負圧導出口65に至る経路で内部を通っている。
インク供給システム61は6枚の部材70,80,90,120,130,140を積層した積層構造にて構成されている。インク供給システム61を構成する上側5枚の各部材70,80,90,120,130は、複数箇所(本例では19箇所)で係止されることで所定の力で積層方向に加圧された状態で固定されている。そして、5枚の部材70,80,90,120,130が積層状態に係止固定されてなる積層体の下側には、受け皿140が、2本のネジ68を下側から積層方向に通して締結することで最下層に固定されている。
以下、インク供給システム61の詳細な構成を説明する。図5は、インク供給システム61を上側から見た分解斜視図を示す。また、図6は、インク供給システム61を下側から見た分解斜視図を示す。なお、図5、図6では、保護板130は省略している。図5及び図6に示すように、インク供給システム61は、上から順に、第2流路形成部材28に相当する四角板状のカバー70、可撓性部材29に相当するダイアフラム形成部材80、第1流路形成部材27に相当する流路形成板90、フィルム120、保護板130、受け皿140から構成される。フィルム120は、組み立て前に予め流路形成板90の裏面に溶着される。組み立て時には、ダイアフラム形成部材80に一体成形された吸引側弁体36、ダイアフラム37及び吐出側弁体38の上側にそれぞれ対応するコイルスプリング40,42,44をセットする。そして、カバー70の裏面の複数箇所から垂直に延出する複数本(本例では19個)の係止フック66を、積層配置した各部材80,90,120,130に挿通して、その最下層の保護板130に形成された複数の被係止部132,133に係止することで、上側5枚の四角板状の各部材70,80,90,120,130は、図5及び図6の上下方向(積層方向)に所定の力で加圧された状態で固定される。こうしてカバー70とダイアフラム形成部材80間に各コイルスプリング40,42,44が圧縮状態に収容された状態で、カバー70、ダイアフラム形成部材80、流路形成板90、フィルム120及び保護板130が積層状態に固定されてなる積層体が組み立てられる。そして、各部材70,80,90,120,130が固定されてなる積層体の底面側に受け皿140(図3、図4を参照)を配置し、2本のネジ68を下側から締結して受け皿140を最下層に固定することで、図4に示すインク供給システム61は組み立てられている。
ここで、カバー70、流路形成板90及び受け皿140は、それぞれプラスチック製であり、合成樹脂材料を用いた例えば金型成形(射出成形等)により四角板状の所定形状に成形されている。ダイアフラム形成部材80はエラストマ又はゴムを材料とし、例えば金型成形(射出成形等)により四角板状の所定形状に成形されている。フィルム120は、流路形成板90の合成樹脂材料と溶着可能な合成樹脂材料を表面層に有するラミネートフィルムよりなり、略四角状の所定形状に裁断されている。保護板130は金属製であり、複数の被係止部132,132及び孔134と共に四角板状の所定形状に打ち抜かれている。
カバー70とダイアフラム形成部材80と流路形成板90は、各コイルスプリング40,42,44を間に収容した状態で積層することにより、ポンプ43、吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45を同一平面上に6つずつ配置した状態に形成するための構成部材である。このうちカバー70はインク供給針25を設ける基板を兼ねている。
流路形成板90の裏面には第1〜第4流路15a,15b,15c,15d及び空気流路46b(図1、図2を参照)を形成するための複数の溝101〜105(図15、図16参照)が形成されている。流路形成板90の裏面にフィルム120を溶着することで、インク供給針25、吸引側バルブ41、ポンプ43及び吐出側バルブ45の各間をそれぞれ接続する各流路15a,15b,15c,15d及び空気流路46bを流路形成板90の裏面側に形成するようにしている。
また、吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45にコイルスプリング40,44を使用するのは、逆止弁(一方向弁)の閉弁を確実なものとするためである。例えば吐出側バルブ45の閉弁が不完全でインク漏れが発生すると、色毎のインク流路でインクの送り量がばらついてしまう。また、吸引側バルブ41の閉弁が不完全でインクが漏れると、例えばインクカートリッジ13を外した際に逆流したインクがインク供給針25から無駄に漏れ出てしまう。このように無駄にインクが消費されると、色毎のインク消費量に差が生じてしまう。そのため、吸引側弁体36及び吐出側弁体38の逆止弁は極力漏れのない構造が必要で、本実施形態では、ダイアフラム式の弁体36,弁体38に加え付勢用のコイルスプリング40,44も設けている。もちろん、このような構成を採用すると、コイルスプリング40,44の付勢力に打ち勝って開弁できるように弁体36,38のダイアフラム面積を広くする必要があり、バルブ41,45に広い配置面積が必要になる。
本実施形態では、そのような広い配置面積が必要となる逆止弁構造を信頼性確保の点からあえて採用するが、他の工夫により省スペース化を実現している。例えば、インク供給システム61に装着された全インクカートリッジ13の投影範囲内にポンプ43及びバルブ41,45をほぼ全て配置し、その投影面積とほぼ等しい平面サイズにインク供給システム61を構成している。
本実施形態のインク供給システム61では、相対的に大径のポンプ43を互いにほぼ接するような配置で6個を2列に配列し、その隣接エリアにポンプ43のおよそ半分程度の比較的小径の吸引側バルブ41と吐出側バルブ45とをそれぞれ互いにほぼ接するような配置で6個を1列ずつ配列することで、所定の四角エリア内にポンプ43及び各バルブ41,45を周密に配列している。そして、ポンプ43の列間にできる隙間を利用してインク供給針25を配列している。このようなレイアウトを採用することで、インク供給システム61を厚みだけでなく平面サイズも小型に構成することができる。しかし、このように周密なレイアウトを採用すると、インク供給針25と吸引側バルブ41、吸引側バルブ41とポンプ43、ポンプ43と吐出側バルブ45が、それぞれ比較的離れて位置することになり、第1〜第4流路15a,15b,15c,15d及び空気流路46bの流路長が比較的長くなってしまう。そこで、第1〜第4流路15a,15b,15c,15d及び空気流路46bを流路形成板90の裏面に配置することで、ポンプ43及びバルブ41,45の周密なレイアウト(つまり平面サイズの小型化)を犠牲にすることなく、長くなった流路15a,15b,15c,15d,46bを効率よくレイアウトできるようにしている。
次にインク供給システム61を構成する各部材の構成を説明する。
図7はカバー、ダイアフラム形成部材及び流路形成板の表面(上面)側を示す分解斜視図、図8はカバー及びダイアフラム形成部材の裏面(下面)側を示す分解斜視図、図9は流路形成板及びフィルムを裏面側から見た分解斜視図である。
図7はカバー、ダイアフラム形成部材及び流路形成板の表面(上面)側を示す分解斜視図、図8はカバー及びダイアフラム形成部材の裏面(下面)側を示す分解斜視図、図9は流路形成板及びフィルムを裏面側から見た分解斜視図である。
図7に示すように、カバー70は、複数本のインク供給針25が上面(表面)に突設された四角板状の基板部71を有する。基板部71の上面のうちインク供給針25の列設位置寄りのおよそ2/3の領域内には、上側(Z方向)へ略円錐台状に膨出する6個のポンプハウジング部72が、X方向に一定の間隔で3個ずつ並べた2列配置の状態で形成されている。
そして、6本のインク供給針25は、2列のポンプハウジング部72の列間に相当する隙間領域に、X方向に一定のピッチ(インクカートリッジ13のX方向の幅より若干広いピッチ)で配置されている。このとき、6本のインク供給針25は、Y方向に並んで対をなす3組のポンプハウジング部72の組毎の中心点間を結ぶ線分を挟む両側に位置している。
また、基板部71の上面のうち残りおよそ1/3の領域内には、ポンプハウジング部72より小径の略円錐台状に膨出する6個の吸引バルブハウジング部73と、これとほぼ同径の略円錐台状に膨出する6個の吐出バルブハウジング部74とが、それぞれX方向にほぼ隣接する1列配置の状態で形成されている。6個の吸引バルブハウジング部73は、2列のポンプハウジング部72の隣の列に配列され、6個の吐出バルブハウジング部74は、吸引バルブハウジング部73の列の隣に配列されている。また、6個の吸引バルブハウジング部73と6個の吐出バルブハウジング部74は、Y方向にもほぼ隣接して位置している。また、カバー70の表面にはその周囲を囲むように所定高さの延出部71aがほぼ全周に亘って形成されている。なお、基板部71においてネジ68(図3及び図4参照)の締結箇所となる各位置には、ネジ挿通孔76aが設けられている。
図8に示すように、カバー70の裏面には、各ポンプハウジング部72に対応する各位置に負圧室43bを構成する6個の凹部34が凹設されている。また、カバー70の裏面には、各吸引バルブハウジング部73に対応する各位置に6個の凹部33が凹設され、さらに各吐出バルブハウジング部74に対応する各位置に6個の凹部35が凹設されている。各凹部33、34,35は、略円錐台状に凹む内周面に形成されており、各凹部33、35が凹部34の径のおよそ半分の小径となっている。
また、凹部34の底部にはコイルスプリング42(図1、図5、図7を参照)の上端部が外挿される円柱状の凸部34aが突設されている。また、略円錐台状の凹部33,35の底部内径はコイルスプリング40,44の外径より若干広く形成され、コイルスプリング40,44は上端部を凹部33,35の底面に当接させることで凹部33,35のほぼ中央部に位置決めされる。
また、カバー70の裏面には、各インク供給針25と対応する位置に各インク供給針25と連通する6個の貫通孔25aがX方向に一定のピッチで形成されている。
また、カバー70の裏面には、Y方向で隣り合う2個の凹部34を相互に連通する溝77が形成されている。この溝77は、その長手方向両側に位置する2個の凹部34内(つまり負圧室43b)に負圧を導入するための空気流路46bの一部を形成するためのものである。さらに、カバー70の裏面には、各凹部33からその径方向外側へ向かって所定距離だけ延びる溝33aが形成されている。この溝33aは、吸引側バルブ41内のインクを、ポンプ室43aへ供給するための第2流路15bの一部を形成するものである。
また、カバー70の裏面には、Y方向で隣り合う2個の凹部34を相互に連通する溝77が形成されている。この溝77は、その長手方向両側に位置する2個の凹部34内(つまり負圧室43b)に負圧を導入するための空気流路46bの一部を形成するためのものである。さらに、カバー70の裏面には、各凹部33からその径方向外側へ向かって所定距離だけ延びる溝33aが形成されている。この溝33aは、吸引側バルブ41内のインクを、ポンプ室43aへ供給するための第2流路15bの一部を形成するものである。
さらにカバー70の裏面には、Y方向で隣り合う2個の凹部34と両凹部34を相互に連通する溝77との周囲に沿ってほぼ一定幅の帯状に延びる略8の字形状のシール部78aが形成されている。また、凹部33と溝33aとの周囲に沿ってほぼ一定幅の帯状に延びる略円環状のシール部78bと、凹部35の外周に沿ってほぼ一定幅の帯状に延びる円環状のシール部78cとがそれぞれ形成されている。また、図8において1列目左端に位置する凹部34の左側位置には長楕円の領域を囲む環状のシール部78dがシール部78aに連接するように形成されている。さらに貫通孔25aの周囲にも環状のシール部78eが形成されている。なお、各シール部78a〜78eは、カバー70の底面(裏面)からおよそ数10〜数100μmの範囲内の高さで凸設されている。
また、カバー70の裏面には、1列目の凹部34をX方向に挟む両側の位置に、一対の位置決め用のピン79が突設されている。これらのピン79は、流路形成板90に対してカバー70を位置決めするために用いられる。また、カバー70の裏面には、ネジ68を挿通するためのネジ挿通孔76aを有する一対のボス部76が突設されている。
次にダイアフラム形成部材80の構成を説明する。
図7及び図8に示すダイアフラム形成部材80は、ゴム弾性を有するゴム又はエラストマからなり、平面視においてカバー70とほぼ同じ大きさの略四角形状を有するシート本体81と、シート本体81の一端部(図7における左下端部)から延出して配管接続部63のシール部を構成する略四角形状の延出部82とを有している。シート本体81には、カバー70側の各凹部34と対応する位置に配置された6つの円板状のダイアフラム37と、各凹部33と対応する位置に配置された6つの吸引側弁体36と、各凹部35と対応する位置に配置された6つの吐出側弁体38とがそれぞれ形成されている。ダイアフラム37は凹部34に対応して大径に形成され、吸引側弁体36及び吐出側弁体38はそれぞれ凹部33,35と対応してダイアフラム37のおよそ半分の小径に形成されている。図7に示すように、ダイアフラム37はその上面中央部に偏平な円柱状の凸部37aを有し、この凸部37aはコイルスプリング42の一端部(下端部)が外挿されてその位置決めに用いられる。
図7及び図8に示すダイアフラム形成部材80は、ゴム弾性を有するゴム又はエラストマからなり、平面視においてカバー70とほぼ同じ大きさの略四角形状を有するシート本体81と、シート本体81の一端部(図7における左下端部)から延出して配管接続部63のシール部を構成する略四角形状の延出部82とを有している。シート本体81には、カバー70側の各凹部34と対応する位置に配置された6つの円板状のダイアフラム37と、各凹部33と対応する位置に配置された6つの吸引側弁体36と、各凹部35と対応する位置に配置された6つの吐出側弁体38とがそれぞれ形成されている。ダイアフラム37は凹部34に対応して大径に形成され、吸引側弁体36及び吐出側弁体38はそれぞれ凹部33,35と対応してダイアフラム37のおよそ半分の小径に形成されている。図7に示すように、ダイアフラム37はその上面中央部に偏平な円柱状の凸部37aを有し、この凸部37aはコイルスプリング42の一端部(下端部)が外挿されてその位置決めに用いられる。
また、図7及び図8に示すように、ダイアフラム形成部材80において2列のダイアフラム37の列間となる隙間領域には、カバー70側のインク供給針25の貫通孔25aと対応する各位置に6個の貫通孔81aが形成されている。さらにX方向に貫通孔81aの間となる位置であって、かつY方向に並ぶ3組のダイアフラム37の組毎の中心点を結ぶ線上に相当する各位置には3個の貫通孔81bがそれぞれ形成されている。これら3個の貫通孔81bは、カバー70側の溝77と共に、負圧室43bへ負圧を導入するための空気流路46bの一部を構成するものである。
また、図7及び図8に示すように、ダイアフラム形成部材80には各吸引側弁体36の近傍に位置する6個の貫通孔81cがそれぞれ形成されている。これらの貫通孔81cは、吸引側バルブ41とポンプ43とを連通する第2流路15bの一部を構成するもので、カバー70の裏面に形成された溝33a(図8参照)の先端部に連通するようになっている。
また、図7に示すように、吸引側弁体36はその上面側が貫通孔36a(図1参照)を有する筒状に突出しており、その筒内に吸引側弁体36を下方へ付勢するコイルスプリング40の下端部が内挿されるようになっている。さらに吐出側弁体38はその上面側が有底筒状に突出しており、その筒内に吐出側弁体38を下方へ付勢するコイルスプリング44の下端部が内挿されるようになっている。
図7に示すように、ダイアフラム形成部材80の表面(上面)には、Y方向に並ぶ2個のダイアフラム37と貫通孔81bとの周囲をシールするための略8の字形状のシール部83aと、各吸引側弁体36と貫通孔81cとの周囲をシールするための略環状のシール部84aと、各吐出側弁体38の周囲をシールする円環状のシール部85aとがそれぞれ形成されている。また、図8に示すように、ダイアフラム形成部材80の裏面(下面)にも、Y方向に並ぶ2個のダイアフラム37と貫通孔81bとの周囲をシールするための略8の字形状のシール部83bと、各吸引側弁体36と貫通孔81cとの周囲をシールするための略環状のシール部84bと、各吐出側弁体38の周囲をシールするための円環状のシール部85bとがそれぞれ形成されている。
さらに、図7及び図8に示すように、ダイアフラム形成部材80の上面及び下面には貫通孔81aの周囲に円環状のシール部86a,86bがそれぞれ形成されている。また、ダイアフラム形成部材80の上面及び下面には、カバー70側のシール部78dと対応する位置にシール部87a,87bが形成されている。なお、各シール部83a〜87a,83b〜87bは底面から例えば数10〜数100μm程度の高さの凸条に形成されており、カバー70側の対応するシール部よりも細く、かつカバー70側の対応するシール部の幅方向ほぼ中央位置に対応して位置するように設けられている。また、ダイアフラム形成部材80の表面側の各シール部83a〜87aと、その裏面側の各シール部83b〜87bは、それぞれ面対称となる形状に形成されている。
また、ダイアフラム形成部材80の延出部82には、インク排出口64となる6個の貫通孔82aと、負圧導出口65となる1個の貫通孔82bとが形成されている。なお、ダイアフラム形成部材80には、係止フック66,67を挿通するための複数の挿通孔89a及びネジ68を挿通するための一対の凹部89bがそれぞれ形成されている。また、1列目のダイアフラム37の周辺には、複数のピン孔89cが形成されている。
次に流路形成板90の構成を図7、図9〜図11に基づいて説明する。図9は流路形成板の上面を示す平面図、図10は流路形成板の裏面(底面)を示す底面図、図11は流路形成板とフィルムを示す分解斜視図である。なお、図10では、溝に対応する流路の符号を括弧内に付している。
図7、図9〜図11に示す流路形成板90は、ダイアフラム形成部材80の延出部82と対応する位置に延出部91が形成され、ダイアフラム形成部材80と平面視でほぼ同じ四角板形状を有している。本実施形態の流路形成板90はプラスチック製であり、例えばポリプロピレン(PP)よりなる。ポリプロピレンを使用する理由は、プラスチック材料の中では比較的ガスバリア性能が高く(つまりガス透過性が低く)かつフィルム120を溶着しやすい材料(熱可塑性プラスチック材料)だからである。
図7、図9に示すように、流路形成板90の上面には、6個の凹部31が各ダイアフラム37と対応する位置に凹設され、6個の凹部30が各吸引側弁体36と対応する位置に凹設され、さらに6個の凹部32が各吐出側弁体38に対応する位置に凹設されている。また、流路形成板90には、インク供給針25と対応する位置に貫通孔90aが形成されている。6個の貫通孔90aは、2列の凹部31の列間の隙間領域に、X方向に一定ピッチで一列に並んで位置している。貫通孔90aは、第1流路15aの一部を構成し、インク供給針25から供給されたインクはこの貫通孔90aを通って流路形成板90の裏面側へ送られる。
また、図7、図9に示すように、凹部30においてその中央部に突設された弁座30aの外側となる偏心位置には、貫通孔30bが形成されている。貫通孔30bは、第1流路15a(図1、図2参照)の一部を構成し、流路形成板90の裏面側から吸引側バルブ41内(弁室41a)へ流入するインクの流入路となる。また、各凹部30の外側近傍位置には貫通孔90bが形成されている。貫通孔90bは、第2流路15b(図1、図2参照)の一部を構成し、吸引側バルブ41の弁室41bを出て流路形成板90の裏面側へ流れるインクの流出路となる。
また、図7、図9に示すように、ポンプ室43aを構成する凹部31には、一対の貫通孔31a,31bが形成されている。一方の貫通孔31aは、第2流路15b(図1、図2参照)の一部を構成し、ポンプ室43aへ吸引されるインクの流入路となる。一方、他方の貫通孔31bは、第3流路15c(図1、図2参照)の一部を構成し、ポンプ室43aから吐出されるインクの流出路となる。また、凹部32にはその底面中央部に位置する円板状の弁座32aよりも外周側となる位置に貫通孔32bが形成され、弁座32aの中心部に貫通孔32cが形成されている。貫通孔32bは、第3流路15c(図1、図2参照)の一部を構成し、ポンプ43から吐出されたインクの吐出側バルブ45内への流入路となる。一方、貫通孔32cは、第4流路15d(図1、図2参照)の一部を構成し、吐出側バルブ45から流出するインクの流出路となる。
また、図7、図9に示すように、延出部91には、6個の貫通孔91a(インク排出孔)と1個の負圧導出孔91bとが形成されている。6個の貫通孔91aは第4流路15d(図1、図2参照)の一部となり、1個の負圧導出孔91bは空気流路46b(図1、図2参照)の一部となる。
また、流路形成板90の図9における右上端部には、1列目の凹部31の右側近傍位置に、一対の貫通孔90e,90fと、両貫通孔90e,90fを連通する溝90gとが形成されている。これら貫通孔90e,90f及び溝90gは、負圧室43bに負圧を導入するための空気流路46b(図1参照)の一部となる。
さらに、2列の凹部31の列間の隙間領域には、Y方向に組をなす3組の凹部31の組毎の中心点間を結ぶ線分のほぼ中点に相当する各位置に3つの貫通孔92がそれぞれ形成されている。この貫通孔92は、空気流路46bの一部を構成し、負圧の導入路となり、導入された負圧は、ダイアフラム形成部材80の貫通孔81bを通ってカバー70の裏面の溝77に至り、この溝77を経由してそのY方向両側に位置する一対の負圧室43bに導入されるようになっている。
図7及び図9に示すように、凹部30,31,32の周囲には、カバー70のシール部78a,78b,78c,78d,78eとほぼ面対称となる形状で帯状に延びるシール部93a,93b,93c,93d,93eが、例えば0.5〜2mm幅で数10〜数100μm程度の高さで突設されている。各シール部93a,93b,93c,93d,93eは、ダイアフラム形成部材80の裏面側のシール部83b,84b,85b,86b,87bと対応して位置する。インク供給システム61が組み立てられた際は、ダイアフラム形成部材80のゴム弾性を有するシール部が、カバー70のシール部と、流路形成板90のシール部との間に挟まれて圧接され、凹部30,31,32のシール性が確保される。
また、図7及び図9に示すように、流路形成板90において係止フック66,67と対応する箇所には、挿通孔94aを有するボス部94が突設されている。さらに流路形成板90においてダイアフラム形成部材80のピン孔89cと対応する位置には、ピン孔89cの内径より若干小さな外径を有する円柱状のピン96が突設されている。また。流路形成板90においてカバー70の各ピン79と対応する位置には、ピン79の外径より若干大きな内径を有する位置決め孔97が設けられている。
複数(本例では19個)のボス部94がダイアフラム形成部材80の挿通孔89aに挿通され、かつピン96がピン孔89cに挿通されることで、ダイアフラム形成部材80は流路形成板90に対して、吸引側弁体36、ダイアフラム37及び吐出側弁体38がそれぞれ凹部30,31,32と対向して位置する状態に位置決めされる。そして、位置決め孔97にカバー70側のピン79が挿入されることで、カバー70が、流路形成板90及び流路形成板90上に位置決めされたダイアフラム形成部材80に対して位置決めされる。
ここで、流路形成板90のボス部94とカバー70のボス部76(図8参照)の突出高さは、ボス部94の上端面がカバー70の裏面に当接すること、及びボス部76の上端面が流路形成板90の上面に当接することで、流路形成板90とカバー70との間隔を所定値に規定するように設定されている。すなわち、カバー70と流路形成板90の間隔が、係止フック66,67を被係止部132,133(図6参照)に係合させることが可能な値より狭くなってからボス部76,94はそれぞれ反対側の部材の面に当接し、かつこの当接位置ではダイアフラム形成部材80のシール部が圧縮されるようになっている。そして、係止フック66,67を被係止部132,133(図6参照)に係合させた係止状態では、カバー70及び流路形成板90の各シール部の間にダイアフラム形成部材80のシール部83a,83b,84a,84b,85a,85b,86a,86b,87a,87bがシールに適した加圧力で挟まれて圧接されるようになっている。
次に流路形成板90の裏面(底面)側の構成を説明する。図10及び図11に示すように、流路形成板90の裏面には、流路15a〜15d,46b(図1、図2参照)の側壁をなす隔壁100が所定の流路経路に沿って延びるように形成されている。この隔壁100は流路15a〜15d,46bごとに袋小路状に閉じており、この隔壁100の内側にその間隔(隣り合って略平行に延びる部分の間隔)を溝幅とする複数の溝(以下、「第1〜第5溝101〜105」という)がそれぞれ形成されている。本実施形態では、図11に示すように、流路形成板90の流路形成面(底面)にフィルム120を溶着することで、第1〜第5溝101〜105とフィルム120とで囲み形成された空間域が、流路形成板90の裏面を経由する流路111〜115となる。このとき、4種類の第1〜第4溝101〜104は、それぞれ第1〜第4インク流路111〜114となり、6つのインク供給装置14の個々に設けられている。また、他の1種類の第5溝105は、空気流路115となり、6つのインク供給装置14の各負圧室43b近くを経由する経路で1つ設けられている。
また、図10及び図11に示すように、流路形成板90の裏面における一隅部(図10における左上隅部)には、1本の負圧導入用の管部106が裏面から垂直に突出している。管部106には負圧発生装置47と接続される空気流路用配管46a(図1参照)の一端部が接続され、この管部106がインク供給システム61への負圧の導入口となる。この管部106と連通する空気流路用の溝105は、3つの貫通孔92を途中で経由しつつ負圧導出孔91bに至る経路で延びている。
また、流路形成板90の裏面において図10における上側左右両端位置には、流路形成板90に対して保護板130を位置決めするための一対のピン107が突設されている。さらに流路形成板90の裏面周縁には隔壁100とほぼ同じ高さの延出部108がほぼ全周に亘って形成されている。
図11に示すように、フィルム120は流路形成板90とほぼ同じ外周形状を有する略四角形状に形成され、隔壁100と延出部108の各端面(図11では上端面)に溶着されるようになっている。フィルム120は、例えば金属箔を樹脂層で挟むラミネートフィルムよりなり、金属箔(例えばアルミ箔等)によりガスバリア性を高め、表面の樹脂層(例えばポリプロピレン等の熱可塑性樹脂)により流路形成板90との溶着性を確保している。なお、フィルム120は、流路形成板90側の延出部91に対応する延出部121と、流路形成板90側の管部106及びピン107を避けるための凹部120a,120bとをそれぞれ有している。
図12は、流路形成板の裏面におけるインク流路に係る部分を示す部分底面図である。また、図13は流路形成板の裏面における主に空気流路の部分を示す部分底面図である。なお、図12、図13では、流路(溝)以外の部分(ボス部等)は省略している。また、図12では、2つのインク供給装置14に対応する部分を示している。ここで、図12、図13には、図10と同様に溝に対応する流路の符号を付しており、以下の説明では、必要に応じて溝101をフィルム溶着後の流路とみなして説明する。
図10及び図12に示すように、インク流路用の第1〜第4溝101〜104は、流路形成板90の裏面に溶着されたフィルム120との間で囲み形成されることで、それぞれ第1インク流路111、第2インク流路112、第3インク流路113及び第4インク流路114となる。
6つのインク供給装置14を構成する6組のインク流路111〜114は、ポンプ43(凹部31)が1列目(図10における上列)にある3つのインク供給装置14と、ポンプ43(凹部31)が2列目(図10における下列)にある3つインク供給装置14とで、インク供給針25、ポンプ43、吸引側バルブ41、吐出側バルブ45の位置関係が少し異なることなどを理由に、その流路経路などがインク供給装置14ごとで多少異なる。しかし、経路が少し異なること以外は各組のインク流路111〜114は基本的に同じ構造となっている。そのため、図12では、配管接続部63(図3、図4参照)と反対側に位置する2つのインク供給装置14に着目して各インク流路について説明する。
図12において、上下に並ぶ2つの凹部31のうち上側の凹部31と、左右に並ぶ凹部30,32のうち左側の凹部30,32が1つのインク供給装置14に対応するもので、下側の凹部31と右側の凹部30,32が他の1つのインク供給装置14に対応するものである。
図12に示すように、第1インク流路111(第1溝101)は、インク供給針25と対応する貫通孔90aと、吸引側バルブ41(凹部30)の貫通孔30bとを連通する流路である。よって、ポンプ43の吸引駆動時には、インク供給針25から貫通孔90aを通って流路形成板90の裏面側へ流出したインクは、第1インク流路111を通って貫通孔30bまで流れ、貫通孔30bから吸引側バルブ41へ流入する。
また、第2インク流路112は、吸引側バルブ41(凹部30)の近傍の貫通孔90bと、ポンプ43(凹部31)の貫通孔31aとを連通する流路である。よって、ポンプ43の吸引駆動時には、その吸引駆動によるインク圧(負圧)で開弁した吸引側バルブ41を通って貫通孔90bから流路形成板90の裏面側へ流出したインクは、第2インク流路112を通って貫通孔31aまで流れ、貫通孔31aからポンプ室43aへ流入する。
さらに第3インク流路113は、ポンプ43(凹部31側)の貫通孔31bと、吐出側バルブ45(凹部32)の貫通孔32bとを連通する流路である。よって、ポンプ43の吐出駆動時には、ポンプ室43aから吐出されて流路形成板90の裏面側へ貫通孔31bから流出したインクは、第3インク流路113を通って貫通孔32bまで流れ、貫通孔32bから吐出側バルブ45へ流入する。
また、第4インク流路114は、吐出側バルブ45(凹部32)の貫通孔32cと、延出部91の貫通孔91aとを連通する流路である。よって、ポンプ43の吐出駆動時には、その吐出駆動により加圧されたインク圧で開弁した吐出側バルブ45を通って貫通孔32cから流路形成板90の裏面側へ流出したインクは、第4インク流路114を通って貫通孔91aまで流れ、貫通孔91aを通って配管接続部63のインク排出口64から流出する。
次に負圧が導入される空気流路について説明する。図13に示すように、負圧導入用の管部106から導入した負圧は流路形成板90の表面側の溝90g及び貫通孔90fを経由してその裏面側の空気流路115へ導入される。空気流路115は、貫通孔90fから1列目のポンプ43のポンプ室43a(凹部31)の裏面に相当する位置を順次経由しつつ負圧導出孔91bに至るまで延びている。そして、空気流路115は、各ポンプ室43a(凹部31)の裏面に相当する位置でそれぞれ分岐して図13における下側へ延びる3つの空気流路115aを有し、各分岐した3つの空気流路115aはそれぞれ対応する3つの貫通孔92に連通している。よって、ポンプ43の吸引駆動時にインク供給システム61の管部106を通って空気流路115に導入した負圧は、その途中で分岐した空気流路115aを通って貫通孔92から流路形成板90の表面側へ導出される。そして、その貫通孔92から導出した負圧は、ダイアフラム形成部材80の貫通孔81bを通ってカバー70の裏面の溝77のその長手方向中央部に至り、その溝77に沿ってその長手方向両側に位置する2つの負圧室43bにそれぞれ導入されるようになっている。
図14はカバーと保護板とを示す分解斜視図である。図5、図6及び図14に示す保護板130は、フィルム120とほぼ同じ外周形状を有する例えば金属板よりなる。保護板130は、配管接続部63に対応する延出部131と、係止フック66,67と対応する位置に複数の被係止部132,133とを有している。また、保護板130の流路形成板90側の管部106と対応する位置には管部106を挿通するための孔134が形成されている。
ここで、図8及び図14に示すように、カバー70は、インク供給システム61として組み立てられた状態において本体62の一部となる。このカバー70の底面(裏面)には、係止部として合計19本の係止フック66,67が垂直に延出している。係止フック66は、カバー70の裏面においてその周縁部に沿って所定の間隔をおいた各位置から延出し、合計12本設けられている。すなわち、カバー70の裏面四隅に4本の係止フック66が設けられ、これら4本の係止フック66の間にそれぞれ2本ずつの係止フック66が設けられている。
また、図8に示すように、係止フック67は、カバー70の裏面において12本の係止フック66の配置位置よりも内側に配置され、ポンプ43及び各バルブ41,45を構成する各凹部34,33,35の隙間領域となる各位置に合計7本延出している。詳しくは、7本の係止フック67は、4つのポンプ43(カバー70では凹部34)で囲まれた2つの隙間領域に2本設けられ、2つのポンプ43と2つの吸引側バルブ41(カバー70では凹部33)とで囲まれた2つの隙間領域に2本設けられ、さらに2つの吸引側バルブ41と2つの吐出側バルブ45(カバー70では凹部35)とで囲まれた5つの隙間領域のうち1つおきの3つ隙間領域に3本設けられている。2種類の係止フック66,67は、それぞれ本体62の周縁部に沿う位置で係止を行うか、本体62の内側寄りの位置であってポンプ43及びバルブ41,45の隙間に相当する位置で係止を行うかが違いだけで、その形状は同様である。係止フック66,67は、細長い所定長さの四角板状に延出しており、その内側には細長い四角形状の係止孔66a,67aが形成されている。なお、係止孔66a,67aに替え、係止凹部としてもよい。
図14に示すように、保護板130の周縁部には、12個の被係止部132が、12本の係止フック66と対応する各位置に設けられている。被係止部132は、保護板130の製造過程でその材料となる金属板を打ち抜いてその残した部分で所定形状に形成された係止爪からなる。また、保護板130の内側寄りの部分には、7個の被係止部133が、7本の係止フック67と対応する各位置に設けられている。なお、本実施形態では、係止フック66及び被係止部132により第1係止手段が構成され、係止フック67及び被係止部133により第2係止手段が構成される。そして、第1係止手段と第2係止手段とにより係止手段が構成されている。
図15は、被係止部133を示す模式平面図である。図14及び図15に示すように、被係止部133は、保護板130の製造過程でその材料となる金属板に孔130aを打ち抜いてその残した部分の形状により形成された板バネ部133aと、この板バネ部133aから突出する係止爪133bとからなる。板バネ部133aは、略コ字状を有し、その両端部2箇所で、金属板のうち被係止部を構成していない部分である金属基板部と接続された状態で金属基板板から延出している。そして、係止爪133bは、板バネ部133aの内縁部に突出している。係止爪133bは、係止フック67の係止孔67aの孔幅よりも若干狭い幅に形成されており、係止爪133bが、係止孔67aに挿通可能となっている。
また、図16は、係止フックと被係止部との係合状態における模式断面図を示す。図16に示すように、係止フック67の先端部(下端部)には、先端側ほど厚みが薄くなるような斜面となる案内面67bが形成されている。係止フック67はその先端部の案内面67bにて被係止部133の係止爪133bにまず当接し、その後、係止フック67が被係止部133に対して図16の下方へ相対移動すると、案内面67bに沿って係止爪133bが摺動することで、係止フック67が係止爪133bから離れる方向(図16では左方向)に押される。そして、係止フック67の係止孔67aが係止爪133bと対応する位置に達すると、係止爪133bが係止孔67aに挿入して、係止フック67と被係止部133とが係止状態に係合する。なお、係止フック66にも、その先端部には同様の斜面となる案内面が形成されている。
さて、インク供給システム61の組み立ては次のように行われる。各部材80,90,120,130を、流路形成板90の裏面にフィルム120を予め溶着してから積層し、その上からカバー70の係止フック66,67を各部材80,90の各挿通孔89a,94aに挿通しつつ、カバー70を、各係止フック66,67が保護板130の各被係止部132,133と係合するまで押し込む。その結果、各係止フック66,67が各被係止部132,133に係合し、カバー70と流路形成板90との間にダイアフラム形成部材80が加圧状態に挟み込まれた状態で、カバー70と保護板130とが係止により固定される。こうして各部材70、80,90間のシール性が確保された状態で、各部材70、80,90,120,130からなる積層体が組み立てられる。さらに、この積層体の底面側に受け皿140を積層状態に配置し、2本のネジ68をネジ挿通孔76aに差し込んで下側から締結することで、インク供給システム61が組み立てられる。
このとき、係止前に各部材70、80,90,120,130を積層した状態では、流路形成板90のボス部94及びピン96が、ダイアフラム形成部材80の挿通孔89a及びピン孔89cにそれぞれ挿通されることで、ダイアフラム形成部材80が流路形成板90に対して位置決めされ、吸引側弁体36、ダイアフラム37及び吐出側弁体38がそれぞれ凹部30,31,32と対向する状態に配置される。また、カバー70は各ピン79が位置決め孔97に差し込まれることで流路形成板90に対して位置決めされ、吸引側弁体36、ダイアフラム37及び吐出側弁体38がそれぞれ凹部33,34,35と対向する状態に配置される。
そして、各部材70、80,90,120,130が係止固定された状態では、カバー70の底面から係止フック66,67の係止位置(つまり係止孔66a,67aの開口内において被係止部132,133と係合するその先端位置)までの長さにより、カバー70と流路形成板90との間隔が規定される。そして、この間隔は、係止フック66,67の基端部から係止孔66a,67aの先端部までの長さにより決まるため、インク供給システム61間でこの間隔のばらつきが発生しにくい。このため、係止フック66,67が被係止部132,133と係止した状態では、ダイアフラム形成部材80のシール部は、流路形成板90とカバー70の各シール部間に加圧状態に挟まれて、シールに適した加圧力で圧縮される。その結果、ポンプ43及び各バルブ41,45等のシール性が確保される。
例えば、ネジやボルト等の締結部材を用いた場合は、締結力のばらつきにより過度に強く締結された場合にダイアフラム形成部材(可撓性部材)のシール部が過度に押し潰され、その過度に押し潰された部分のゴムが弁室の内側へ押し出され、吸引側弁体や吐出側弁体に弛みが発生する。その結果、弁体が弛んだバルブ(一方向弁)と、弁体が弛んでいないバルブとで、インク圧に対するバルブの開閉タイミングがずれてしまう。例えば吸引側バルブの開閉タイミングがずれたことによって、ポンプの負圧室が大気開放されて閉弁しているはずの吸引側バルブが完全には閉弁していない状況が発生すると、インクカートリッジを取り外した際に、加圧インクが逆流してインク供給針から漏れる心配がある。
しかし、本実施形態の構成では、ダイアフラム形成部材80のシール部84a,84bが過度に押し潰されることがないので、インク供給システム61間で、インク圧に対する吸引側バルブ41の開閉タイミングのばらつきが発生しにくく、負圧室43bが大気開放されたときには、吸引側バルブ41は確実に閉弁する。その結果、ユーザがインクカートリッジ13を取り外した際に、インク供給システム61内の加圧インクが逆流してインク供給針25から漏れる事態を極力回避できる。
また、吐出側バルブのインク圧に対する開閉タイミングのばらつきが原因で、閉弁すべきインク圧であるにも関わらず吐出側バルブの閉弁が不完全であると、インク色ごとのインク流路間でインク送り量のばらつきが発生する。しかし、本実施形態の構成では、ダイアフラム形成部材80のシール部85a,85bが過度に押し潰されず、吐出側弁体38が弛むことがないので、ポンプ43の吸引駆動時には吐出側バルブ45は確実に閉弁する。その結果、インク色ごとのインク流路間でインク送り量のばらつきが発生しにくい。
また、上記のシール部の過度の押し潰しを回避できても、吸引側弁体36及び吐出側弁体38の閉弁方向への付勢力が弱ければ、吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45を介してインク漏れが発生する心配がある。そのため、吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45が大型化するものの、閉弁を確実なものとすべく、吸引側弁体36及び吐出側弁体38を閉弁方向に付勢するコイルスプリング40,44(付勢手段)を備えた逆止弁構造を敢えて採用した。
そして、吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45が大型化しても、インク供給システム61の本体62に、6つのポンプ43、6つの吸引側バルブ41及び6つの吐出側バルブ45を同一平面上に比較的周密に配置することで、インク供給システム61をコンパクトに構成した。この場合、比較的大径のポンプ43を2列に配列しその列間の隙間領域に6本のインク供給針25を等間隔に1列で配列し、さらにポンプ列の隣の領域に6つの吸引側バルブ41と6つの吐出側バルブ45とをそれぞれポンプ列と平行な方向に沿ってほぼ隣接する1列に配列した。
このレイアウトはポンプ43及び各バルブ41,45を周密に配置できるものの、インク供給針25、ポンプ43、各バルブ41,45の位置が相対的に離れてしまい、流路15a,15b,15c,15dが相対的に長くなってしまう。しかし、本実施形態では、流路形成板90の裏面に複数の溝101〜104を設け、その裏面にフィルム120を溶着することで、溝101〜104とフィルム120とで囲み形成された流路15a,15b,15c,15dを、流路形成板90においてポンプ43及び各バルブ41,45が形成された側の面(表面)と反対側の裏面に配置した。そのため、ポンプ43及び各バルブ41,45の比較的周密なレイアウトを犠牲にすることなく、流路15a,15b,15c,15dを同じ一部品内に組み込むことができた。
そして、6個のインクカートリッジ13をインク供給システム61の各インク供給針25に装着した図3に示す状態では、6個のインクカートリッジ13の配置エリア(平面視において6個のインクカートリッジ13を含む最小矩形エリア)をインク供給システム61の上面へその積層方向に投影した投影範囲を「カートリッジ投影範囲」と呼ぶと、6つのポンプ43はそれぞれの中心の全てがカートリッジ投影範囲内に収まるように、6本のインク供給針25の各位置に対してレイアウトされている。また、1列に配列された6つの吸引側バルブ41はそれぞれの中心が全てカートリッジ投影範囲内に収まるように、6本のインク供給針25に対してレイアウトされている。さらに1列に配列された6つの吐出側バルブ45もそれぞれの中心が全てカートリッジ投影範囲内に収まるように、6本のインク供給針25に対してレイアウトされている。つまり、本実施形態では、6つのポンプ43、6つの吸引側バルブ41及び6つの吐出側バルブ45の各中心の全てが、6本のインク供給針25の各位置から決まるカートリッジ投影範囲内に収まるようにレイアウトされている。
そして、6本のインク供給針25、6つのポンプ43、6つずつの各バルブ41,45を比較的周密にレイアウトして比較的コンパクトなサイズに構成した本体62の上面に、カートリッジ投影範囲が収まっている。このため、プリンタ11内に、インク供給システム61(カートリッジホルダ)及び6個のインクカートリッジ13を配設するための配設スペースを比較的小さく抑えることができる。この結果、プリンタ11を比較的コンパクトに構成できる。
また、流路形成板90の裏面に設けた第1〜第4インク流路111〜114は、その経路のかなりの部分(図12の上下方向において貫通孔90aと凹部30の中心付近との間の領域)で隔壁100を隔てて隣接して延びている。例えば隔壁の外側が空気(大気)に面していると、空気が隔壁をガス透過して隔壁の内側を流れるインク中に空気が溶け込み、その溶け込んだ空気がインク中で気泡となる心配や、インク中の水分が隔壁を透過して蒸散する心配がある。しかし、本実施形態では隔壁100の外側を他のインク流路のインクが流れているので、隔壁が空気と面している構成に比べ、隔壁を透過してインク中に空気が溶け込んで気泡発生の原因を作り出したり、インク中の水分が隔壁を透過して蒸散する事態を回避できる。この結果、インク中に気泡が発生しにくくなり、気泡に起因するインク滴の吐出ミスを回避できる。また、水分の蒸散に起因してインクの増粘が起こりやすくなることで発生するノズル目詰まりに起因するインク滴の吐出ミスを回避しやすくなる。
また、フィルム120の下側に金属板よりなる保護板130を配置したので、係止フック66,67と被係止部132,133との係合状態において、プラスチック製(PP)の流路形成板90が係止箇所で相対的に強く押される力の分布により僅かながら波打ち状に変形することを回避できる。よって、係止状態においても、流路形成板90の平坦性が担保されるので、例えば流路形成板の波打ち変形に起因するシール性能の低下などを回避し、シール性を確保することができる。
また、インクカートリッジ13の着脱時にカバー70の上面に漏れたインクや、ダイアフラム形成部材80のシールの隙間から漏れたインクは、図示しない小孔を通じて最下層に配置された受け皿140に溜まるようになっている。そして、受け皿140には、その外周上の一箇所に排液路が設けられ、排液路に沿って外側へ排出されて例えば廃液タンク21に回収される。よって、プリンタ11内がインク供給システム61から漏れた廃インクによって汚れることを回避できる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)係止フック66,67と被係止部132,133との係合により、カバー70と保護板130とを、流路形成板90とカバー70との間にダイアフラム形成部材80を加圧状態に介在させた状態に係止固定する構成とした。よって、カバー70の係止フック66,67をダイアフラム形成部材80及び流路形成板90の各挿通孔89a,94aに挿通して、保護板130の被係止部132,133と係合するまで、カバー70を押し付ければ、各部材70,80,90,120,130を積層状態に組み立てることができる。従って、ネジやボルト等の締結部材を締結して各部材を積層状態に組み立てる構成に比べ、インク供給システム61を比較的簡単に組み立てることができる。
(1)係止フック66,67と被係止部132,133との係合により、カバー70と保護板130とを、流路形成板90とカバー70との間にダイアフラム形成部材80を加圧状態に介在させた状態に係止固定する構成とした。よって、カバー70の係止フック66,67をダイアフラム形成部材80及び流路形成板90の各挿通孔89a,94aに挿通して、保護板130の被係止部132,133と係合するまで、カバー70を押し付ければ、各部材70,80,90,120,130を積層状態に組み立てることができる。従って、ネジやボルト等の締結部材を締結して各部材を積層状態に組み立てる構成に比べ、インク供給システム61を比較的簡単に組み立てることができる。
(2)流路形成板90とカバー70の間隔は、係止フック66,67の係止位置までの長さから一義的にほぼ一定に決まるので、インク供給システム61間でこの間隔のばらつきが発生しにくい。よって、締結部材を用いて締結する構成を採用した場合に問題となる、締結力のばらつきにより過度に強い力で締結されたこと起因してダイアフラム形成部材が過度に押し潰されることを回避できる。従って、ダイアフラム形成部材80の過度の押し潰しに起因するバルブ41,45の開閉タイミングのばらつきが発生しにくく、各バルブ41,45は閉弁すべきときには確実に閉弁する。この結果、インクカートリッジ13を取り外した際にインク供給針25からインクが漏れることを防止でき、しかもインク供給システム61からのインク送り量がインク色間でばらつくことを防止できる。また、締結部材を用いて組み立てる従来構成においては、吸引駆動開始時に吐出側バルブの閉弁の遅れが発生したりその閉弁が不完全であると、下流域のインクが減圧されて必要なインク加圧値を確保できなくなったり、吐出駆動開始時に吸引側バルブの閉弁の遅れが発生したりその閉弁が不完全であると、吐出されるべきインクがインクカートリッジ側へ逆流する不具合が心配されたが、本実施形態のインク供給システム61によれば、このような不具合も防止できる。
(3)係止フック66,67による係止箇所を本体62の周縁部だけでなくその内側寄りの部分にも設定した。すなわち、本体62の周縁部に沿う全周に亘り配置された複数本(12本)の係止フック66と、本体62の内側寄りにおいてポンプ43及び各バルブ41,45の隙間領域に配置された複数本(7本)の係止フック67とを設けた。このため、本体62の周縁部における流路形成板90とカバー70の間隔を狭くして周縁部におけるシール性を確保でき、しかも、本体62の内側領域でも、流路形成板90とカバー70とのシール部における間隔を狭く保つことができる。よって、本体62の全面に亘ってポンプ43及び各バルブ41,45のシール性を確保できる。
例えば第2係止手段としての係止フック67及び被係止部133が無い構成を採用した場合、合成樹脂製の流路形成板90やカバー70がダイアフラム形成部材80の圧縮反力を受けて反るなどの変形をし、流路形成板90に対してカバー70がその中央部分で浮いた状態となる。この場合、本体62の中央部分でポンプ43及びバルブ41,45のシール性が確保されなくなる。しかし、本実施形態では、本体62の周縁部だけでなくその内側寄りの箇所でも、係止フック67と被係止部133の係合により係止する構成としているので、流路形成板90に対するカバー70の中央部分の浮き上がりを抑えることができる。よって、本実施形態のインク供給システム61によれば、本体62の全面に亘る全てのポンプ43及びバルブ41,45のシール性を確実に確保できる。
(4)本体62の内側寄りの箇所で係止する係止フック67と係合可能な保護板130側の被係止部133に、板バネ部133aを設け、板バネ部133aの先端側に係止爪133bを形成する構成を採用した。例えば平面視において本体62の内側寄りの部分では、ダイアフラム形成部材80にポンプ43及び各バルブ41,45のシール部が形成され、このシール部が流路形成板90とカバー70の各シール部間に挟まれて圧縮される量が、本体62の周縁部に比べ相対的に大きくなる。このため、係止フック67と被係止部133との係合部分には、係止フック66と被係止部132との係合部分に加わる力よりも相対的に大きな力が、係止が外れる方向に働く。例えばこの係止が外れる方向の力がある値を超えると、係止フックの係止孔から係止爪が外れ、本体の中央部分でシールが確保されなくなったり、場合によってはカバー70が外れたりすることも起こりうる。しかし、本実施形態では、被係止部133に設けた板バネ部133aがその弾性で図16に示すように係止フック67が外れる方向(図16における上方向)へ変形することで、これがクッションとなって係止が外れることが回避される。このとき、板バネ部133aには元の位置へ復帰する方向に力が加わっているので、それに見合った力でダイアフラム形成部材80のシール部が圧縮されるので、シール性は確保される。よって、係止フック67の係止の外れを回避してシール性を確保でき、しかもカバー70が外れることを防止することができる。
(5)ポンプ43、吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45を同一平面上に配置したので、インク供給システム61を積層構造とすることができる。そして、単一の流路形成部材としてのカバー70と流路形成板90とを含む複数の部材70,80,90,120,130を積層する積層構造を採用した。よって、ポンプ43、吸引側バルブ41、吐出側バルブ45及び流路15a,15b,15c,15dを備えた複数のインク供給装置14が一体化された比較的薄型の一部品としてインク供給システム61を提供できる。このため、配管作業は、空気流路用配管46aを管部106に接続する配管と、記録ヘッドユニット12から延びるフレキシブル配管板の先端部に設けられた配管接続具59を配管接続部63に取り付ける配管だけで済む。よって、例えばポンプと2つの一方向弁(逆止弁)とを接続する配管や、インク供給装置間でポンプへの作動流体を共有するためにインク供給装置14間を接続する配管などが不要なため、配管が煩雑にならずに済み、比較的簡単な配管作業で済ませられる。
(6)流路形成板90の裏面に流路用の溝101〜105を形成し、その裏面にフィルム120を溶着することで、ポンプ43、吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45を接続する流路を流路形成板90の裏面に配置した。よって、流路形成板90の表面側に設けられたポンプ43、吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45と、その裏面側に設けられたこれらを接続する流路111〜115とを積層方向(Z方向)に重複するように配置できるので、インク供給システム61の平面視のサイズをコンパクトに構成できる。また、流路形成板90の裏面の流路111〜115も同一面上に配置されるので、インク供給システム61が厚くならず、この点からもインク供給システム61の薄型化を実現できる。
(7)カートリッジ投影範囲内に全てのポンプ43の中心が収まるように、インク供給針25に対してポンプ43をレイアウトしたので、インクカートリッジ13を装着したインク供給システム61の配設スペースを比較的小さく済ませられる。さらに、カートリッジ投影範囲内に全てのバルブ41,45の中心も収まるように、インク供給針25に対して各バルブ41,45をレイアウトしたので、インクカートリッジ13を装着したインク供給システム61の配設スペースを一層小さく済ませられる。
(8)流路形成板90のフィルム120を溶着した裏面に保護板130を配置したので、係止フック66,67の係止箇所で他の部分よりも相対的に大きな力を受けることに起因する流路形成板90等の波打ち変形を防止することができる。よって、係止前後においてシール面の平坦性が保たれ、インク供給システム61のシール性を確保できる。また、保護板130が流路形成板90の裏面側に配置されているので、流路形成板90の裏面に流路を形成するために溶着されたフィルム120を保護できる。
(9)インク供給システム61では、吸引側バルブ41(吸引側逆止弁)及び吐出側バルブ45(吐出側逆止弁)の各弁室41a,45aの一部を構成する凹部30,33が、ポンプ室43aの一部を構成する凹部31が形成された下ケースである流路形成板90に凹設されている。これによってポンプ機構全体を薄く構成して、インク供給システム61をコンパクトに構成することができる。
例えばポンプ室43a及び弁室41a,弁室45aを流路形成板90(下ケース)に凹部を設けることなく構成する場合、カバー70(上ケース)側に弁室を設けるための凹部を比較的大きく設ける必要があり、流路形成板90のポンプ室43aの凹部31のために流路形成板90はそれ相当の厚さが必要である。このように下ケースと上ケースにばらばらに凹部が形成されていると、厚さが増すことになり、インク供給システムが厚くなる。しかし、本実施形態では、ポンプ室43aの凹部31が形成された流路形成板90に、吸引側バルブ41と吐出側バルブ45の各弁室41a,45aのための凹部30,32も設けたので、その分、カバー70側の弁室のための凹部を浅くでき、少なくともポンプ43以外の部分において薄型化が図りやすくなる。
(10)さらに本実施形態の逆止弁室の構成として、流路形成板90に形成された凹部30の底面に開口する貫通孔31bにより弁室41aへの流入口が形成されており、吸引側弁体36が閉弁時に流入口を塞がない構成となっている。このため、吸引側バルブ41側の弁室41aにおいては、ポンプ吸引駆動時のポンプ室43aからの負圧(インク圧)は吸引側弁体36の上側全面にかかり、そのとき吸引側弁体36の反対側の面(下面)でも環状の広い受圧面積でインクカートリッジ13のインク圧がかかるため、吸引側弁体36の両面での広い受圧面に基づく差圧により、比較的小さな圧力変化でも吸引側バルブ41を開閉でき、しかも圧力損失も小さくできる。このことは、吐出側バルブ45の弁室45aにおいても同様のことが言え、吐出側バルブ45を比較的小さな圧力変化で開閉できる。これに対して、例えばリード弁やフラップ弁のように、各弁室への流入口を弁体が塞ぐ弁構造であると、弁体が塞ぐ流入口の開口面積が弁体の受圧面積となるので、大きな負圧が作用しなければ確実な弁開放が難しい構成と言える。これは、吐出側バルブ45の弁室45aにおいても同様である。上記の通り、本実施形態では吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45の各逆止弁が小さな圧力変化でも確実に開閉動作を行なえる構造であるとともに、ポンプ機構を薄くすることが可能である。
(11)各構成部材70,80,90,120,130,140の全てが、6個のインク供給装置14に共通の部材なので、部品点数が少なく、インク供給システム61の組み立てが容易である。
前記実施形態は上記に限定されず、以下の態様に変更することもできる。
(変形例1)前記実施形態では、第2部材であるカバー70(第2流路形成部材28)側に係止部としての係止フック66,67を設け、第1部材である流路形成板90(第1流路形成部材27)側に被係止部を設けたが、係止部と被係止部を逆に設けてもよい。要するに、第1部材と第2部材のうち一方に係止部、他方にその係止部と対となる被係止部が設けられていればよい。この場合、複数の係止手段を有する構成では、係止部が設けられている部材と被係止部が設けられている部材が、係止手段間で異なっても構わない。
(変形例1)前記実施形態では、第2部材であるカバー70(第2流路形成部材28)側に係止部としての係止フック66,67を設け、第1部材である流路形成板90(第1流路形成部材27)側に被係止部を設けたが、係止部と被係止部を逆に設けてもよい。要するに、第1部材と第2部材のうち一方に係止部、他方にその係止部と対となる被係止部が設けられていればよい。この場合、複数の係止手段を有する構成では、係止部が設けられている部材と被係止部が設けられている部材が、係止手段間で異なっても構わない。
(変形例2)保護板130を廃止してもよい。この場合、カバー70(第2部材)と流路形成板90(第1部材)のうち一方に設けた係止部(係止フック)と、他方に設けた被係止部(係止爪)とを係合させる構成とすればよい。また、保護板130を廃止した場合、例えば係止手段の係止時に流路形成部材が波打ち形状の変形などしない程度の係止力を設定したり、係止手段の係止時に変形などしない程度の剛性の高い材料を流路形成部材に採用したりすればよい。
(変形例3)複数の係止手段を、板バネ部を備えた被係止部133だけで構成してもよい。また、複数の係止手段を、板バネ部を有しない被係止部132だけで構成してもよい。
(変形例4)インク供給システム61の本体62の周縁部に沿う位置だけに係止手段を設け、本体62の周縁部のみを係止箇所とする構成も採用できる。
(変形例5)受け皿140を廃止してもよい。フィルム120に高強度の材料を使用すれば、保護板がなくても破れなどの問題は回避できる。またシールが完全でインク漏れが発生しなければ受け皿140を廃止しても問題はない。
(変形例5)受け皿140を廃止してもよい。フィルム120に高強度の材料を使用すれば、保護板がなくても破れなどの問題は回避できる。またシールが完全でインク漏れが発生しなければ受け皿140を廃止しても問題はない。
(変形例6)さらにフィルムを用いない構成も採用できる。例えば流路形成板のダイアフラム形成部材80と対向する側の面上に流路用の溝を形成して、溝とダイアフラム形成部材80とで囲み形成された空間域により流路を形成する構成としたり、流路形成部材を積層方向と直交する方向に延びる孔により流路を形成したりしてもよい。さらに、前記実施形態において一枚であった流路形成板に替え、積層方向に重ねられる複数枚の流路形成部材で構成し、複数枚(例えば2枚)の流路形成部材の対向面の少なくとも一面に溝を形成し、これらを積層した際に前記溝とその対向面とにより流路が囲み形成される構成も採用できる。
(変形例7)液体供給装置は、複数のインク供給装置14を一ユニット化したインク供給システムに限定されない。ポンプ43、吸引側バルブ41及び吐出側バルブ45を1つずつ備えた1色分のインク供給装置14でもよい。
(変形例8)カバー70及びダイアフラム形成部材80のうち一方が単一部材であればよい。例えばカバーを複数部品としたり、ダイアフラム形成部材を複数部品としたり、カバーとダイアフラム形成部材の両方を同じ個数あるいは異なる個数の複数部品としてもよい。この場合、流路形成板90が単一部品であれば、インク供給システム61の一部品化は可能である。
(変形例9)インク供給システム61はカートリッジホルダでなくともよい。例えばインクタンク等のインク供給源あるいはインクカートリッジが装着されたカートリッジホルダから延びるチューブをインク供給システムの供給用管部に接続する構成でもよい。また、特許文献2のようにポンプと第1の一方向弁(吸引用一方向弁)及び第2の一方向弁(吐出用一方向弁)とを備えたインク供給装置が記録ヘッドユニットに搭載された構成も採用できる。すなわち、前記実施形態のインク供給システム61をキャリッジに搭載する。このような構成においても、積層構造のインク供給システム61の採用により、配管作業の低減及びインク供給装置の薄型化を実現できる。
(変形例10)上記実施形態では、インクジェット式のプリンタと、インクカートリッジが採用されているが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置と、その液体を収容した液体容器を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置および液体容器に本発明を適用することができる。
前記実施形態及び各変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(1)前記可撓性部材は前記供給ポンプのダイアフラム及び前記一方向弁の弁部を構成していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体供給装置。
(1)前記可撓性部材は前記供給ポンプのダイアフラム及び前記一方向弁の弁部を構成していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体供給装置。
(2)前記第1及び第2部材のうち少なくとも一方の外面には、液体収容体(13)の供給口を接続するための接続部(25)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体供給装置。この構成によれば、液体供給源の接続口を液体供給用接続部に直接接続できるので、液体供給源と液体供給用接続部との間にチューブ等の配管が必要なくなる。
(3)前記液体供給体は液体が収容された液体カートリッジであり、前記接続部は前記液体収容体の供給口に挿入される液体供給針であり、前記液体供給装置は、液体カートリッジの供給口に前記液体供給針が挿入することで、当該液体カートリッジが装着されるカートリッジホルダであることを特徴とする技術的思想(2)に記載の液体供給装置。この構成によれば、液体供給源(液体カートリッジ)が直接装着されるカートリッジホルダ内にポンプ及び各一方向弁が組み込まれて液体供給装置が構成されているので、液体供給源と液体供給装置間を接続するためのチューブ等の配管も不要にできる。
11…液体噴射装置としてのプリンタ、12…液体噴射手段としての記録ヘッドユニット、13…液体収容体としてのインクカートリッジ、14…液体供給部としてのインク供給装置、15…インク流路、15a…液体供給流路を構成する第1流路、15b…液体供給流路を構成する第2流路、15c…液体供給流路を構成する第3流路、15d…液体供給流路を構成する第4流路、16…ノズル、17…バルブユニット、18…メンテナンスユニット、19…キャップ、20…吸引ポンプ、21…廃液タンク、24…インク供給口、25…インク供給針、27…第1流路形成部材、28…第2流路形成部材、29…可撓性部材、30…凹部、30a…弁座、30b…貫通孔、31…凹部、31a,31b…貫通孔、32…凹部、32a…弁座、32b…貫通孔、32c…貫通孔、33…凹部、34…凹部、35…凹部、36…吸引側弁体、37…ダイアフラム、38…吐出側弁体、40…コイルスプリング、41…第1の一方向弁としての吸引側バルブ、41a,41b…弁室、42…コイルスプリング、43…供給ポンプとしてのポンプ、43a…ポンプ室、43b…負圧室、44…コイルスプリング、45…第2の一方向弁としての吐出側バルブ、45a…弁室、46…空気流路、46b…空気流路、47…負圧発生装置、48…大気開放機構、57…記録ヘッド、61…液体供給装置としてのインク供給システム、62…本体、63…配管接続部、64…インク排出口、65…負圧導出口、66…係止手段及び第1係止手段を構成する係止フック、66a…係止孔、67…係止手段及び第1係止手段を構成する係止フック、67a…係止孔、68…ネジ、70…第2部材としてのカバー、80…可撓性部材としてのダイアフラム形成部材、89a…挿通孔、90…第1部材としての流路形成板、94…ボス部、94a…挿通孔、100…隔壁、101…溝としての第1溝、102…溝としての第2溝、103…溝としての第3溝、104…溝としての第4溝、105…第5溝、106…負圧導入用の管部、111…液体供給流路の一部を構成する第1インク流路、112…液体供給流路の一部を構成する第2インク流路、113…液体供給流路の一部を構成する第3インク流路、114…液体供給流路の一部を構成する第4インク流路、115…空気流路、120…閉塞部材としてのフィルム、130…部材及び金属板としての保護板、130a…孔、132…係止手段及び第1係止手段を構成する被係止部、133…係止手段及び第2係止手段を構成する被係止部、133a…板バネ部、133b…係止爪、140…受け皿。
Claims (9)
- 液体供給流路の途中に設けられた供給ポンプと、該供給ポンプの上流に設けられた第1の一方向弁と、該供給ポンプの下流に設けられた第2の一方向弁とを有する液体供給装置において、
第1部材と、第2部材と、可撓性部材とを備え、
前記供給ポンプと前記第1及び第2の一方向弁は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記可撓性部材を介在させることで構成されており、前記第1部材と前記第2部材との間に前記可撓性部材を加圧して挟み込む状態に係止により保持する係止手段をさらに備えたことを特徴とする液体供給装置。 - 前記係止手段は、前記第1部材と前記第2部材を含む複数の部材を係止により保持しており、前記複数の部材のうち外側に配置された一の部材に設けられた係止部と、前記一の部材と反対側の外側に配置された他の一の部材に設けられるとともに前記係止部と係合可能な被係止部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
- 前記第1及び第2部材のうち少なくとも一方の前記可撓性部材と反対側の面側には、前記複数の部材のうちの一部材として金属板が配置されており、前記係止部は、前記金属板に形成された被係止部に係止されていることを特徴とする請求項2に記載の液体供給装置。
- 前記被係止部は、弾性変形が可能な板バネ部を有していることを特徴とする請求項2又は3に記載の液体供給装置。
- 前記係止手段は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記可撓性部材を介在させることで構成される本体の周縁部に沿った複数箇所で係止する第1係止手段と、前記第1係止手段の係止箇所よりも前記本体の内側に位置する係止箇所で係止する第2係止手段とを備えていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の液体供給装置。
- 前記第2係止手段が板バネ部を有していることを特徴とする請求項5に記載の液体供給装置。
- 前記供給ポンプと前記第1及び第2の一方向弁とを備えた液体供給部が複数設けられ、当該複数の液体供給部を構成する複数組の前記供給ポンプと前記第1及び第2の一方向弁とが略同一平面上に配置されており、
前記第1部材と前記第2部材のうち少なくとも一方には、前記供給ポンプと前記各一方向弁の各室の一部を形成するための凹部が設けられており、前記第2係止手段は、前記凹部の配置されていない隙間領域を係止箇所としていることを特徴とする請求項5又は6に記載の液体供給装置。 - 前記第1及び第2部材のうち少なくとも一方は、前記可撓性部材と反対側の面に溝を有し、該溝が形成された面に閉塞部材がシール状態で固定されることで、前記溝と前記閉塞部材とで囲み形成された空間域により前記液体供給流路の一部が、前記第1部材と第2部材の少なくとも一方の前記供給ポンプ側の面と反対側となる面に形成されており、前記係止手段は、前記液体供給流路の一部が配置されていない隙間領域に係止箇所が設定されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液体供給装置。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体供給装置と、前記液体供給装置から供給された液体を噴射する液体噴射手段とを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
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