JP2010022559A - 液体容器、及びこれを備えた吸入装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】密閉状態に収容した液体を吐出させる過程で生じる負圧の増加を、その吐出性能に影響を与えないように抑制し得る液体容器、及びこれを備えた吸入装置を提供する。
【解決手段】液体容器1が、収容された液体5を排出するための排出口7を形成することが可能な栓2と、液体容器1の内部と外部との所定の圧力差を緩和するための可動栓4とを備える。また、可動栓4が、所定の圧力差を緩和するように移動するメイン摺動部4b(又は、メイン摺動部10b〜70b)と、所定の圧力差未満の圧力差を緩和するメンブレン4a(又は、メンブレン10a〜70a)と、を有する。これにより、液体容器1の内部と外部とに生じる圧力差を、比較的小さく維持することができるようにする。
【選択図】図1
【解決手段】液体容器1が、収容された液体5を排出するための排出口7を形成することが可能な栓2と、液体容器1の内部と外部との所定の圧力差を緩和するための可動栓4とを備える。また、可動栓4が、所定の圧力差を緩和するように移動するメイン摺動部4b(又は、メイン摺動部10b〜70b)と、所定の圧力差未満の圧力差を緩和するメンブレン4a(又は、メンブレン10a〜70a)と、を有する。これにより、液体容器1の内部と外部とに生じる圧力差を、比較的小さく維持することができるようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、薬液などの液体を収容する液体容器及びこれを備えた吸入装置に関するものである。
マウスピースを介して吸入される空気が流れる気流路中に、インクジェット方式の吐出原理を利用して薬液の微小液滴を吐出させて利用者に吸入させる吸入装置が開発されている(特許文献1、2参照)。このような吸入装置は、所定量の薬液を均一化した粒径によって精密に噴霧することができるという利点を有している。
このような薬液吐出装置(液滴吐出装置)の基本的な構成として、発熱素子などの吐出エネルギー発生素子が配された吐出ヘッドと、その吐出ヘッドに供給する薬液を収容する薬液タンクがある。薬液タンクが単なる密閉容器では、薬液が吐出され薬液タンク内の薬液が減少するにつれて、タンク内に負圧が発生し、吐出性能が落ちてしまう。そこで、薬液タンクに対しては以下のような対応を取る必要があった。
まず、吐出を開始する直前に薬液タンクを大気連通する構成にすることが挙げられる。これは、公知のインクジェットプリンタに採用されている。ただし、薬液タンクの中に複数回吸入する分の薬液を保存しておく態様では、1回使用された後の薬液の濃度変化や変性を防止する必要から、大気連通する構成はとることができず、薬液タンクには高いガスバリア性、密閉性が要求される。空気との接触が好ましくない薬液の場合でも同様である。
このような条件に対しては、例えば、薬液タンク本体をガラス容器とし、その一端を栓(例えば、ゴム栓)で塞いで、吐出に伴って栓を移動自在とし、薬液タンクの容積を減らせるような構成にして対応することが考えられる。具体的には、図21に示すような、一方の開口が栓202によって密閉されると共にその内部に液体205が収容されたガラス製の液体容器201に対し、他方の開口からゴム製の可動栓209で液体205を密封するように配置した構成となる。この液体容器201では、液体205の吐出に伴って液体容器201の内部に生じる負圧が所定値を超えた際に、その負圧を緩和するように可動栓209が液体容器201の内部に向かって移動し得る。なお、同図における符号203は、本体をなす容器(例えばガラス製)である。また、栓202の対向する位置には、連通針208を有した吐出ヘッド206が配置され、吐出ヘッド206は液体205を吐出する吐出口207を有している。
ところで、上記例示したような密閉性の高い薬液タンク等の液体容器を用いた場合、薬液の吐出を続けるにつれて薬液タンクの内部と外部との圧力差(気圧差)が増大する。このようにして薬液タンク内の負圧が増大しても、ガラス容器に対してゴム栓(可動栓)が負圧を緩和するように移動するまでには相当の力(圧力差)が必要となる。すなわち、薬液タンク内の負圧によって可動栓に加わる力が、ガラス容器と可動栓との間の最大静止摩擦力を超えたときに可動栓の移動が始まる。しかし、密閉性を高く保たせるために、ガラス容器に対して可動栓がきつく押圧する状態に取り付ければ、それに応じた大きさの負圧でなければ可動栓が移動しないこととなる。
一方、薬液タンク内の負圧が増大するほど、吐出ヘッドからの吐出性能は落ちることが明らかとなっている。例えば、ノズル径が3μmの吐出ヘッドで吐出した場合には、薬液タンクの内圧が−5kPa付近まで吐出量は減少しないが、それを超えると少しずつ減少していき、−20kPa程度になると吐出ヘッドから逆に空気を引き込んで吐出不能となった。そのため、薬液の吐出を安定して行わせるには、吐出中における薬液タンク内の負圧をできる限り所定の値(上記の例では−5kPa)以下に保たせることが好ましい。
しかし、上記例示したものを含む従来の密閉性の高い液体容器においては、薬液タンク内の負圧を上記した所定の値以下に保たせることが難しく、その吐出性能が落ち、場合によっては吐出不能となるおそれがあった。
そこで本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、密閉状態に収容した液体を吐出させる過程で生じる負圧の増加を、その吐出性能に影響を与えないように抑制し得る液体容器、及びこれを備えた吸入装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、液体を収容する液体容器であって、前記液体容器に収容された前記液体を排出するための排出口を形成することが可能な排出口形成部と、前記液体容器の内部と外部との所定の圧力差を緩和するための圧力差緩和部材と、を備え、前記圧力差緩和部材が、前記所定の圧力差を緩和するように移動する第1部材と、前記所定の圧力差未満の圧力差を緩和する第2部材と、を有する、ことを特徴とするものである。
本発明によれば、液体容器が、その内部と外部との所定の圧力差未満の圧力差を緩和する第2部材を有するので、密閉状態に収容した液体を吐出させる過程で生じる負圧の増加を、その吐出性能に影響を与えないように抑制することができる。
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態における液体容器1について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は、第1の実施の形態における液体容器1の概念的な構成を表すもので、(a)は吐出ヘッド6を接続する前の概念図、(b)は吐出ヘッド6接続後の第1状態を示す概念図、(c)は吐出ヘッド6接続後の第2状態を示す概念図である。また、図2は、液体の吐出に伴う液体容器内の圧力変化を経時的に示したもので、(a)は液体容器1を用いた場合のグラフ、(b)は従来の液体容器を用いた場合のグラフである。
以下、本発明に係る第1の実施の形態における液体容器1について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は、第1の実施の形態における液体容器1の概念的な構成を表すもので、(a)は吐出ヘッド6を接続する前の概念図、(b)は吐出ヘッド6接続後の第1状態を示す概念図、(c)は吐出ヘッド6接続後の第2状態を示す概念図である。また、図2は、液体の吐出に伴う液体容器内の圧力変化を経時的に示したもので、(a)は液体容器1を用いた場合のグラフ、(b)は従来の液体容器を用いた場合のグラフである。
すなわち、図1(a)〜(c)に示すように、液体容器1は、本体をなす容器3と、栓(排出口形成部)2と、可動栓(圧力差緩和部材)4とを有している。容器3は、筒状で且つ剛性を有した材質(例えば、ガラス)で形成されている。栓2は、筒状の容器3における長手方向の一端を密閉するように配置され、可動栓4は、上記長手方向の他端で栓2と共に液体5を密閉するように配置されている。この可動栓4は、図1(a)の符号4aで示した本発明の特徴をなすメンブレン(第2部材)と、このメンブレン4aを支持しつつ一体的に形成されたメイン摺動部(第1部材)4bとを有している。このような液体容器1には、容器3、栓2、及び可動栓4によって液体5が収容される。
液体容器1の外部で栓2を臨む位置からは、連通針8を有した吐出ヘッド6が、上記連通針8を栓2に挿し込むようにして液体容器1と接続可能となっている。この吐出ヘッド6は、液体容器1に接続された状態で、液体容器1の中に収容されている液体5を、吐出口7から吐出することが可能となる。つまり、栓2は、液体容器1から液体5を吐出するための上記した吐出口7を形成し得るものとなっている。
吐出ヘッド6は、吐出口7の近傍に、液体5を吐出するためのエネルギーを発生させる不図示の吐出エネルギー発生素子を有している。この吐出エネルギー発生素子が、連通針8を通ってきた液体に吐出エネルギーを付与することにより、吐出口7から液体が吐出される。なお、吐出エネルギー発生素子の態様は特に限定されないが、液体に熱エネルギーを付与する電気熱変換素子、又は機械エネルギーを付与する電気機械変換素子等を例示することができる。従って、液体の吐出方法としては、電気熱変換素子を用いて液体に熱エネルギーを付与して吐出させる方法(サーマルジェット方式)を例示することができる。更には、液体に機械エネルギーを付与する電気機械変換素子(例えば圧電素子)の振動圧を用いて液体を吐出する方法(ピエゾジェット方式)を例示することができる。また、この液体の吐出方法については、吐出させる液体の種類などに応じたものが選択可能である。
上記したサーマルジェット方式を用いた場合には、個々の吐出ヘッドについて、吐出口の口径、吐出に利用される熱パルスの熱量、電気熱変換素子としてのマイクロ・ヒーター等のサイズ精度、再現性を高くすることが可能である。このため、狭い液滴径分布を達成することが可能である。また、ヘッドの製作コストが低く、ヘッドを頻繁に交換する必要がある小型の装置への適用性も高い。従って、本発明の液体容器を携帯性や利便性が求められる吸入装置などに適用する場合には、特に、サーマルジェット式の吐出原理を採用することが好ましい。
ところで、液体容器1に吐出ヘッド6が接続された場合にあって、液体5は、吐出口7以外では外気から遮断されている。従って、吐出口7から液体が吐出され、液体容器1に収容されている液体5が減少すると、液体容器1の内部と外部とに圧力差が生じることになる。この圧力差が所定の値(詳細は図2にて後述)に達した場合、可動栓4は、その圧力差を緩和するように、液体容器1の内部に向かって(図1の正面視左方に)移動可能となっており、可動栓4が移動した場合には液体容器1内の容積が減少する。上記した所定の圧力差は、容器3の内壁と可動栓4とが接触する箇所の最大静止摩擦力とに対応した値となる。そして、液体容器1の内部と外部とに圧力差が生じた際であっても、この圧力差が可動栓4の移動する所定の値未満であった場合には、図1(c)に示すように、メンブレン4aがその圧力差を緩和するように撓むように変形する。
続いて、前述した液体容器1の吐出動作について、図2(a),(b)を参照して説明する。なお、図2(a),(b)に示す各グラフの横座標は時間を示し、縦座標は圧力を示している。圧力は、外気に対する容器内の圧力差を示している。
液体容器1にて吐出動作を行った際の各動作単位は、図2(a)の上部に示した(a−1),(a−2),(a−3),(a−4)のような時間的な領域に分けて考えることができる。以下では、これらの領域(a−1)〜(a−4)に沿って説明を行う。
吐出動作前の液体容器1の内圧は、吐出に適した圧力であることが好ましく、具体的には、約−1k〜−3kPaが好ましい。これは、液体容器1の内圧が正圧になってしまうと、液体容器1から液体が漏れ出してしまい、また、負圧に傾きすぎている場合には十分に液体を吐出することができないからである。ここでは、吐出動作直前の液体容器1の内圧を−1kPaとして定めた。その後、吐出を開始すると液体容器1内の液体量が減るため、液体容器1の内圧は負圧方向に変化する(領域(a−1)参照)。後述の図3に示す変形例1を用いた液体容器で実験を行ったところ、約50μLを吐出した段階で内圧は−3kPaとなった。
液体容器1の内圧が、−3kPaを下回ると、メンブレン4aが撓み始める。そのまま吐出を続けるとメンブレン4aの撓みは次第に大きくなるが、その間は液体容器1の内圧は−3kPa付近で維持される(領域(a−2)参照)。しかし、さらに吐出を繰り返すと、液体容器1の内部と外部との圧力差を緩和するメンブレン4aは、その変形限界に至る(領域(a−2)と領域(a−3)との境界)。
圧力差を緩和するメンブレン4aの変形限界を超えると、液体容器1の内圧は再び領域(a−1)と同じ傾きで減少を続ける(領域(a−3)参照)。可動栓4が移動を開始する際の閾値となる圧力差(本例では−10kPa)を、液体容器1の内圧が超えた場合には、可動栓4が移動を開始する。そして、可動栓4が移動を開始して次に静止するまで、液体容器1の内部と外部との圧力差は緩和されることとなる(領域(a−4)参照)。このとき、可動栓4は、液体容器1内に生じている負圧によって可動栓4に加わっている力が、液体容器1と可動栓4との動摩擦力よりも小さくなった場合に、その移動を停止する。
続いて、本発明と対比される従来の液体容器201(図21参照)のグラフについて説明する。この従来の液体容器201にて吐出動作を行った際の各動作単位は、図2(b)の上部に示すような(b−1),(b−2)の時間的な領域に分けて考えることができる。
液体容器201における可動栓209は、本発明の特徴となるメンブレン4aのような部位を有さない。これにより、可動栓209が移動を開始する際の圧力差(図2(a)と同様の−10kPa)になるまで、図2(a)の例えば領域(b−1)に示すようなグラフの傾きで液体容器201内の圧力差が大きくなっていく。
可動栓209が移動を開始する際の圧力差を、液体容器201の内圧が超えた場合には、可動栓209が移動を開始する。そして、可動栓209が移動を開始して次に静止するまで、液体容器201の内部と外部との圧力差は緩和されることとなる(領域(b−2)参照)。このとき、可動栓209は、液体容器201内に生じている負圧によって可動栓209に加わっている力が、液体容器201と可動栓209との動摩擦力よりも小さくなった場合に、その移動を停止する。
ここで、上述した図2(a)と図2(b)との比較を行う。領域(a−2)においては、液体容器1の内圧は比較的低い状態で維持される(本例においては、例えば約−3kPa)。領域(a−2)に対応する領域(b−1)では、液体容器201の内圧が−3kPaよりも徐々に小さくなっていき、最終的には−10kPaまで下がる。つまり、本実施の形態の液体容器1にあっては、吐出性能が低下しない内圧のレベルで領域(a−1),(a−2)の期間だけ維持することができるが、液体容器201においては、領域(b−1)の期間内で吐出性能が低下するレベルへと達してしまう。
従って、例えば、吸入時の1回の投薬量を領域(a−2)の期間をかけて吐出させるような仕様としたい場合には、領域(a−2)の間だけ内圧を−3kPa程度以内に保つことができる本実施の形態の液体容器1が好適なものとなる。そして、次回の吸入までの間に、可動栓4を原点復帰させることができれば、液体容器1の内圧を毎回同じものとすることができる。ここで、上記した原点復帰とは、可動栓4を加圧手段などによって液体容器1の内側方向(図1の正面視左方)へ強制的にスライドさせて、内圧を初期段階の−1kPa付近に近づけると共に、メンブレン4aの撓みをなくす操作をいう。
なお、上述した例では、メンブレン4aが変形する(撓む)ことにより圧力差が緩和される第1の閾値を−3kPaとし、可動栓4全体が移動することにより圧力差が緩和される第2の閾値を−10kPaとして説明した。しかし、これらの値は、それぞれ他の任意の値に設定してもよく、特に限定されるものではない。上記第1の閾値の値は、メンブレン4aの厚さや材質等を適宜に調節することによって変えることができ、上記第2の閾値は可動栓4のサイズや材質等を適宜に調節することによって変えることができる。
また、液体5の種類については特に限定されないが、本発明の液体容器1が例えば吸入装置に用いられる場合には、液体5として治療目的の薬液等が用いられ得る。ここで、上記した薬液とは、薬理的、生理的な作用を示す医薬用化合物の薬液のみならず、医薬用化合物に加えて、更に嬌味嬌臭目的の成分、染料、顔料なども含まれる概念である。また、これらには任意の添加剤等が含まれていてもよい。
また、液体容器1の本体となる容器3の材質としては、ガラス以外にも、例えば、ポリカーボネイト、ABS樹脂、シクロオレフィン樹脂、メタクリル樹脂をあげることができる。また、複合樹脂では、ポリエチレン/(エチレンビニルアルコール共重合体)、ポリプロピレン/(エチレンビニルアルコール共重合体)等を用いることが好ましい。
また、可動栓4及びメンブレン4aの材質としては、ブチルゴム、イソプレンゴム等を挙げることができ、液体5の液体安定性や溶出性を考慮して最適なものを選択することが好ましい。
次いで、前述した液体容器1における可動栓4の他の変形例について、図3(a)〜(c)を参照して説明する。なお、図3は、可動栓における他の変形例1を示すもので、(a)は可動栓10の通常状態の断面図、(b)は可動栓10の第1の変形状態の断面図、(c)は可動栓10の第2の変形状態の断面図である。なお、本変形例1では、可動栓10以外の構成は前述した図1の液体容器1を援用するものとし、図3における図示を便宜上省略する。
ここで、本変形例の構成のうち、容器3はガラス製のものとし、その内径を6mm、長さを長尺方向に45mmとした。また、可動栓10は、材質がゴム硬度40度のブチルゴムとし、その外径を6.1mm、長さを5mm(例えば図3(a)の正面視左右幅)とした。また、可動栓10におけるメンブレン(第2部材)10aの厚みは0.5mmとし、液体5は精製水を使用した。更に、吐出条件は、駆動電圧12V、駆動周波数25kHzとした。そして、上述した条件で液体容器1から液体5を吐出させたところ、本発明の特徴となる図2(a)のグラフに示すような圧力差の緩和を示す動作を実現した。
液体容器1から液体5がまだ吐出されていないか、もしくは吐出され始めた当初の段階にあっては、液体容器1の内部と外部との圧力差は無く(略々同圧)、可動栓10の断面は図3(a)に示すような状態にある。ここでは、液体容器1の内部と外部との圧力がつりあっているので、可動栓10が動き始める圧力差未満の圧力差を緩和するメンブレン10aは、膨らみもへこみもしないフラットな状態となる。
また、液体容器1から液体5が吐出されることにより、液体容器1の外部に比してその内部が負圧となった際には、メンブレン10aは、液体容器1の外側(図3(b)の正面視右方)から見て、容器3の内方側(同図の正面視左方側)にへこんだ状態となる。これは、先に説明した図2(a)の領域(a−2)に示す期間で取り得る形状状態である。そして、さらに吐出が進んでいくと、メンブレン10aは限界までへこむが、この限界以上には変形し得ないので液体容器1内の圧力が再び減少していく。
一方、例えば保管時に液体容器1の内部が陽圧となった場合などには、図3(c)に示すような、メンブレン10aが、液体容器1の外側(図3(c)の正面視右方)から見て手前側(同図の正面視右方側)に膨らんだ状態となる。メンブレン10aがこのような状態となる卑近な例としては、国際線の旅客機における離陸時の圧力変化等があげられる。これは、例えば、旅客機での離陸前の圧力が1000HPaで、離陸してから約20分かけて790HPaとなった場合に、その圧力差は210HPa=21kPaとなる。このような、液体容器1の内部に比して液体容器1の外部が負圧になった場合には、収容された液体5に溶存しているガスが気化して泡になることが多く、この泡の体積変化に起因した可動栓10の移動による圧力差の緩和が顕著になる。
なお、メンブレン10aが、図3(b)や図3(c)に示したような形状に変化する際に影響され得るパラメータとしては、メンブレン10a自身の厚みが主要な因子となる。すなわち、メンブレン10aの厚みが薄ければ薄いほどメンブレン10aの変化量は大きくなり得るが、これと同時にガス透過性や水蒸気透過性が大きくなるため、液体容器1の用途に応じてメンブレン10aの厚みを勘案する必要が生じる。
次いで、前述した可動栓4の他の変形例2について、図4(a)〜(d)を参照して説明する。なお、図4は、可動栓4に係る他の変形例2を示すもので、(a)は可動栓20の通常状態の断面図、(b)は可動栓20の第1の変形状態の断面図、(c)は可動栓20の第2の変形状態の断面図、(d)は(a)の右方から可動栓20を見た状態を示す図である。なお、本変形例2では、可動栓20以外の構成は前述した図1の液体容器1を援用するものとし、図4における図示を便宜上省略する。
すなわち、図4(a)〜(d)に示す可動栓20は、圧力差緩和部分であるメンブレン(第2部材)20aの変化し得る量を大きくすることにより、圧力差緩和量(毎秒の吐出量であれば時間、毎回の吐出量であれば回数)を改善する一例である。同図に示す可動栓20は前述した可動栓4と比較して、その特徴部分であるメンブレン4aとメンブレン20aとの形状が異なっている。メンブレン20aは、主に図4(a)及び図4(d)に示すように、その中心部から規則性のある波紋形状の凹凸部位が形成されている。図4(b)は、液体容器1の外部(同図の正面視右側)に比してその内部(同図の正面視左側)が負圧となった際の変形形状を示したものである。また、図4(c)は、液体容器1の内部(同図の正面視左側)が外部(同図の正面視右側)に比して陽圧となった際の変形形状を示したものである。
上記したように、メンブレン20aが変形する場合には、前述したひだ状に折り畳まれていた凹凸部位が伸縮するように動作するので、メンブレン4aに比して変形し得る量が大きくなり、緩和させる圧力差の許容量が大きくなる。これにより、通常時におけるメンブレン20aを折り畳んだ形状とし、液体容器1の内外に圧力差が生じた際にメンブレン20aがメンブレン4aに比して大きく伸び得るようにすることで、その変化量改善、ひいては圧力差緩和量を改善することができる。このように、図4(a)の形態であれば、メンブレン20aの厚さを保持しつつ、圧力差緩和量を改善することができるようになる。
なお、前述した図3(a)に示した変形例1や図4(a)に示した変形2では、可動栓10,20のメイン摺動部(第1部材)10b,20b部分が中空の筒状となっている。このように、メイン摺動部10b,20b部分を中空とすることにより、液体容器1の内部と外部との圧力変化に対する可動栓10,20の移動の応答性を向上させることができるようになる。
次に、前述した可動栓4の他の変形例3について、図5(a)〜(c)を参照して説明する。なお、図5は、可動栓4に係る他の変形例3を示すもので、(a)はメイン摺動部30bの中空部分にスペーサ31を挿入した可動栓30の断面図、(b)は(a)の正面視右方から見た状態の側面図、(c)は(a)の他の例を示した断面図である。なお、本変形例3では、可動栓30以外の構成は前述した図1の液体容器1を援用するものとし、図5における図示を便宜上省略する。
可動栓30は、図5(a)に示すように、メイン摺動部(第1部材)30bの中空部分にスペーサ31が形成されている。このスペーサ31は、図5(a)の正面視右方から見て円形(図5(b)参照)で、その奥行き方向に厚みを有した円盤形状となっている。このスペーサ31は、メイン摺動部30b部の内周面に対して均等に力がかかるような円形形状であることが望ましい。スペーサ31は、メイン摺動部30bの内周面に接して配置され、メイン摺動部30bの内周面に向って適宜な押圧力を加えるので、メイン摺動部30bを内方側から支持する。このように、メイン摺動部30bの中空部分、及びスペーサ31は、図5(a)の正面視右方から見てそれぞれ円形となっているので、上記押圧力はスペーサ31からメイン摺動部30bに略々均等な状態で、バランスよく加わるものとなる。
ここで、仮に、スペーサ31が空気を通さない材質でできている場合には、可動栓30とスペーサ31とで囲まれた空間35内に存在する空気の体積がその温度に応じて変わることによって、可動栓30の移動のし易さに影響が出る。このような、空間35内の空気の状態による可動栓30への影響を防ぐためには、スペーサ31に図5(a),(c)に示すような通気孔33を形成することが望ましい。例えば、通気孔33を形成せずに空間35内の空気が膨張した場合には、可動栓30のメイン摺動部30bに対する押圧力が高まるので、可動栓30が移動しにくくなる。しかし、図5(a),(c)に示すような通気孔33を形成することにより、空間35内に存在する空気が膨張したとしてもこの増えた分の空気を逃がすことができるようになるので、可動栓30の移動を阻害しないようにすることができる。
なお、スペーサ31が空気を通す材質でできている場合には、上記したような通気孔33を形成しなくともよい。この空気を通す材質の一例としては、三次元網目構造のスポンジフィルターが挙げられる。
また、メイン摺動部30bの中空部分に上記したようなスペーサ31を配置するとして説明したが、このようなスペーサを形成する際の厚み(図5(a)の正面視の左右幅)については、上記スペーサ31のような厚みに拘らず特に限定されるものではない。例えば、図5(c)に示したように、メンブレン(第2部材)30aの膨らみ(図5(c)の正面視右方に向う膨らみ)を干渉しない範囲の、図中のスペーサ32のような厚みとすることが可能である。
また、メイン摺動部30bに要する剛性を確保するためには、例えば、図5(a)に示したスペーサ31を、メイン摺動部30bの中空部分に複数具備させるようにしてもよい(不図示)。
また、上述した変形例1〜3のように、メイン摺動部10b〜30b部分を中空としたものでは、例えば、図6(a)に示す可動栓40のように、メイン摺動部(第1部材)40bに要する剛性を確保するためにメイン摺動部40bを肉厚構造にしてもよい。このとき、メンブレン(第2部材)40aによる圧力差緩和量を高く保たせるため、メンブレン40aの厚みは適宜な薄さに保たせた方がよい。また、上記した厚みとともに、メンブレン40aの伸縮し得る可動面Pは、図6(a)に示すようなメイン摺動部40bとメンブレン40aとの接続部に切り欠きを入れるように形成することで広く確保するとよい。
また、図6(b)の可動栓45に示すように、メイン摺動部45bの端部45cを、山形形状として肉厚構造とすることも可能である。また、上記したような端部45cの断面形状(つまり図6(b)の正面視形状)については、矩形や台形などであってもよく、更に、それらの角部をR形状などにすることにより、可動栓45が移動し得る圧力を調節することができる。
次に、前述した可動栓4の他の変形例4について、図7(a)〜(d)を参照して説明する。なお、図7は、可動栓4に係る他の変形例4を示すもので、(a)は可動栓50の通常状態の断面図、(b)は可動栓50の第1の変形状態の断面図、(c)は可動栓50の第2の変形状態の断面図、(d)は(a)の右方から可動栓50を見た状態を示す図である。なお、本変形例4では、可動栓50以外の構成は前述した図1の液体容器1を援用するものとし、図7における図示を便宜上省略する。
図7(a)〜(d)に示す可動栓50は、圧力差を緩和するメンブレン(第2部材)50aと、可動栓50のメイン摺動部(第1部材)50bとが、連結体55と連結体支持部56とにより連結され、一体的に形成されている。メンブレン50aは、図7(a)の左方(又は右方)から視認した状態が円形の部材で、略々円盤形状となっている。メイン摺動部50bは、図7(a)の左方(又は右方)から視認した状態が円形で、かつ全体が略々円柱形状となっており、その内部には中空の空間57が形成されている。
メイン摺動部50bの前端(図7(a)の正面視左方向の端)の壁部の中心には、貫通孔52が形成されると共に、その後方の壁部となる連結体支持部56には貫通孔51が形成されている。前述した連結体55は、この貫通孔52を通してメンブレン50aと、メイン摺動部50b部に形成された連結体支持部56とを連結した態様となっている。上記貫通孔51は、メイン摺動部50b内部に形成された空間57と、メイン摺動部50b外部とを通気し得る通気孔となっている。
図7(a)は、可動栓50が、容器3に挿し込まれた際の通常状態(容器3の内外部に気圧差が生じていない状態)を示したものである。そして、図7(b)では、(図中左方に配置された)吐出口7から液体の吐出が進み、容器3の外部と比べて容器3の内部が負圧となった際に、メンブレン50aが最も容器内側(正面視左方)へと移動した状態を示したものである。ここで、メンブレン50aにおける、圧力を緩和する際の幅(移動量、移動時間、移動回数等)は、連結体55の太さや硬度で調節することができる。すなわち、細くて柔らければ伸び量が大きく、太くて硬ければ伸び量が小さくなるようにすることができる。また、メンブレン50aが可動する際の圧力値は、容器3と摺動する面積、容器3にセットするときの圧縮度、メンブレン50a自身の部材(弾性体)の硬度等で調節することが可能である。そして、このメンブレン50aが移動し得なくなった状態で、更に容器3の内部の負圧が増加した場合に、メイン摺動部50bを含む可動栓50全体が、メンブレン50aに引かれるようにして移動を開始することとなる。
図7(c)は、液体容器1の保管時等であって、容器3の外部と比べて容器3の内部が陽圧となった場合に、保持した液体5にメンブレン50aが押圧された状態(容器3の外部から見て最も膨らんだときの状態)が示されている。なお、連結体55は、縮むあるいは曲がった状態となるので、当初から連結体55は曲がりやすいように曲げをつけた態様で形成するなどしてもよい。また、メンブレン50aとメイン摺動部50bとの間の空間(間隙)59が、これらにより密閉された状態になっている場合には、そこに密閉された例えば空気が、体積膨張・収縮を生じ、可動栓50の動きに影響を与えるおそれがある。従って、連結体支持部56に前述した貫通孔51を設けておくことは肝要となる。
ところで、前述した変形例1ないし3においては、圧力差を緩和する部分(メンブレン10a,20a,30a)が、各可動栓(可動栓10,20,30)に内包されていたため製作・設計の際の自由度が限られる場合があった。しかし、本変形例4にあっては、メンブレン50aとメイン摺動部50bとの各々の材質、形状、硬度等を独立して設計することができるようになる。また、メンブレン50aと連結体55とは、一体で作る方が安価に製造できるが、別体で作って組み合わせることも可能である。また、連結体支持部56は、連結体55と簡易な構造で一体化できることが望ましく、例えば、連結体55の一端をフック形状(あるいは釣り針の返し形状)とし、連結体支持部56側を上記フックがかけられるような構造とすることもできる。また、メイン摺動部50bと連結体支持部56との固定方法の一例としては、メイン摺動部50bの内側に円周方向に一周する溝部を設け、メイン摺動部50bの内径よりも溝部の深さ分だけ大きい直径の連結体支持部56をはめ込む方法等を挙げることができる。
なお、上述したメンブレン50a、連結体55、連結体支持部56の構成としては、以下の2通りを考えることができる。第1としては、前述したメンブレン50aと連結体55とを一体構造として連結体支持部56に引っ掛ける構成である。また、第2としては、連結体55と連結体支持部66とを一体構造としてメンブレン50aに引っ掛ける構成である。
次に、前述した可動栓4の他の変形例5について、図8(a)〜(c)を参照して説明する。なお、図8は、可動栓4に係る他の変形例5を示すもので、(a)は可動栓60の通常状態の断面図、(b)は可動栓60の第1の変形状態の断面図、(c)は可動栓60の第2の変形状態の断面図である。なお、本変形例5では、可動栓60以外の構成は前述した図1の液体容器1を援用するものとし、図8における図示を便宜上省略する。
図8(a)〜(c)に示す可動栓60は、圧力差を緩和するメンブレン(第2部材)60aと、可動栓60のメイン摺動部(第1部材)60bとが、連結体65により連結され、一体的に形成されている。本実施例における連結体65は、ベローズ状に形成されている。メンブレン60a及びメイン摺動部60bは、図8(a)〜(c)の左方(又は右方)から視認した態様が円形となっており、断面が円形の容器3の内壁に偏り無く接するように挿入されている。例えば図8(a)の正面視上部には、連結体65とメイン摺動部60bとの間に、貫通孔(通気孔)61が形成されている。この貫通孔61は、メンブレン60aとメイン摺動部60bとの間に形成された空間(間隙)62と、メイン摺動部60b外部とを通気し得る通気孔となっている。
図8(a)は、可動栓60が、容器3に挿し込まれた際の通常状態(容器3の内外部に気圧差が生じていない状態)を示したものである。そして、図8(b)では、(図中左方に配置された)吐出口7から液体の吐出が進み、容器3の外部と比べて容器3の内部が負圧となった際に、メンブレン60aが最も容器内側(正面視左方)へと移動した状態を示したものである。ここで、メンブレン60aにおける、圧力を緩和する際の幅(移動量、移動時間、移動回数等)は、例えば図7(a)に示した連結体55と同様、連結体65の太さや硬度で調節することができる。
図8(c)は、容器3の外部と比べて容器3の内部が陽圧となった場合に、保持した液体5にメンブレン60aが押圧された状態(容器3の外部から見て最も膨らんだときの状態)が示されている。なお、メンブレン60aとメイン摺動部60bとの間の空間62が、これらにより密閉された状態になっている場合には、そこに密閉された例えば空気が、体積膨張・収縮を生じ、可動栓60の動きに影響を与えるおそれがある。従って、前述した貫通孔51のような貫通孔61を設けて通気し得るようにしておくことは肝要となる。なお、本実施例における可動栓60は、全体に同一材料で構成されることから、容器3との摺動面積を加減するように調整することで、メンブレン60aが移動する際の圧力の設定をすることができる。
次に、前述した可動栓4の他の変形例6について、図9(a)〜(d)を参照して説明する。なお、図9は、可動栓4に係る他の変形例6を示すもので、(a)は可動栓70の通常状態の断面図、(b)は可動栓70の第1の変形状態の断面図、(c)は可動栓70の第2の変形状態の断面図、(d)は(a)の右方から可動栓70を見た状態を示す図である。なお、本変形例6では、可動栓70以外の構成は前述した図1の液体容器1を援用するものとし、図9における図示を便宜上省略する。
図9(a)〜(d)に示す可動栓70は、圧力差を緩和するメンブレン(第2部材)70aと、可動栓70のメイン摺動部(第1部材)70bとが、連結体75により連結され、一体的に形成されている。本実施例における連結体75は、らせん状に形成されており、また、メンブレン70a及びメイン摺動部70bは、例えば図9(a)の正面視でその角部(容器3との接触部における端部)が、R形状に加工されている。また、メンブレン70a及びメイン摺動部70bは、図9(a)〜(c)の左方(又は右方)から視認した態様が円形となっており、断面が円形の容器3の内壁に偏り無く接するように挿入されている。例えば図9(a)の正面視上部には、連結体75とメイン摺動部70bとの間に、貫通孔(通気孔)71が形成されている。この貫通孔71は、メンブレン70aとメイン摺動部70bとの間に形成された空間(間隙)72と、メイン摺動部70b外部とを通気し得る通気孔となっている。
図9(a)は、可動栓70が、容器3に挿し込まれた際の通常状態(容器3の内外部に気圧差が生じていない状態)を示したものである。そして、図9(b)は、(図中左方に配置された)吐出口7から液体の吐出が進み、容器3の外部と比べて容器3の内部が負圧となった際に、メンブレン70aが最も容器内側(正面視左方)へと移動した状態を示したものである。このメンブレン70aの左方への移動は、らせん状に収容された連結部75が引き出されることによって実現する。ここで、メンブレン70aにおける、圧力を緩和する際の幅(移動量、移動時間、移動回数等)は、連結体75の太さや硬度、あるいはらせんの巻きの強さ等で調節することができる。
図9(c)は、容器3の外部と比べて容器3の内部が陽圧となった場合に、保持した液体5にメンブレン70aが押圧された状態(容器3の外部から見て最も膨らんだときの状態)が示されている。なお、メンブレン70aとメイン摺動部70bとの間の空間72が、これらにより密閉された状態になっている場合には、そこに密閉された例えば空気が、体積膨張・収縮を生じ、可動栓70の動きに影響を与えるおそれがある。従って、図に示すような貫通孔71を設けて通気し得るようにしておくことは肝要となる。なお、本実施例における可動栓70は、全体に同一材料で構成されることから、容器3との摺動面積を加減するように調整することで、メンブレン70aが移動する際の圧力の設定をすることができる。
次に、前述した可動栓4の他の変形例7について、図10(a)〜(d)を参照して説明する。なお、図10は、変形例6に基づく変形例7を示すもので、(a)は可動栓70の通常状態の断面図、(b)は可動栓70の第1の変形状態の断面図、(c)は可動栓70の第2の変形状態の断面図、(d)は(a)の右方から可動栓70を見た状態を示す図である。なお、本変形例7では、空気流出入調節器77以外の構成は、前述の図9(a)〜(d)に示した可動栓70と同様であるので、可動栓70についての説明は省略する。また、本可動栓70以外の構成は前述した図1の液体容器1を援用するものとし、図10における図示を便宜上省略する。
図10(a)〜(d)に示す可動栓70には、メイン摺動部70bの後端部分(例えば図10(a)の正面視右端)で貫通孔71の開口部分に、空気流出入調節器77が配置されている。この空気流入調節器77は、通常、スピードコントローラと呼ばれているもので、空圧作動機器に用いられて部品の作動スピードを緩めるように制御する。これにより、本変形例では、メンブレン70aが動き始める作動圧力に対してブレーキをかけることができ、作動圧力を高めるように微調整をすることが可能となる。従って、図10(a)〜(d)に示す可動栓70では、空気流出入調節器77を用いることによって、メンブレン70a及びメイン摺動部70bの作動圧力を高め、両者の作動スピードを制御し得るものとなっている。
次に、本実施の形態の液体容器1を具体的に用いる例を、図11,12を参照して説明する。なお、図11は、本発明の液体容器1を薬液吐出装置に供した一例で、利用者に薬液を吸入させる吸入装置100の外観を示す斜視図である。また、図12は、図11の吸入装置100においてアクセスカバー118を開けた状態を示した斜視図である。
図11,12に示すように、吸入装置100は、ハウジングケース117とアクセスカバー118とで本体外装が形成されている。これらは、使用中にアクセスカバー118が開かないように、フック部119とフック引っ掛け軸とが係止し合う構成とされ、バネによって付勢されたロック解除ボタン140と一体になって作動する。アクセスカバー118は、これを開ける際には、解除ボタン140を押すことでフックの掛かりが外れ、開く方向に付勢している不図示のバネの力によってアクセスカバー118が開く。
ハウジングケース117には、気流路106が形成された吸入口(吸い口部)120と、アクセスカバー118のロックを解除するロック解除ボタン140とが設けられている。アクセスカバー118には、投与量、時刻、エラー表示等を行うための表示ユニット115と、利用者が設定を行うためのメニュ切替えボタン111、アップボタン112、ダウンボタン113、決定ボタン114が設けられている。なお、上記吸入口120は一般にマウスピースともいう。
図12は、吸入装置100のアクセスカバー118が開いた状態を図示したものであり、アクセスカバー118が開くと、装置本体に対して着脱可能となっている薬液吐出部としての吐出ヘッド部101と薬液収容部としての薬液タンク142とが視認できる。吐出ヘッド部101は、薬液を気流路106へ向かって吐出するもので、利用者は吸入口120から息を吸い込むことで、気流路106内に吐出された薬液を吸入することができる。本実施の形態の吸入装置100では、吸入口120と気流路106とが一体となっている。
上記した吸入口120は、吸入時毎に使い捨てるか、または、吸入の後に洗浄して再使用する。吐出ヘッド部101と薬液タンク142とは、薬液タンク142内の薬液量が1回の吸入で投与すべき薬液の量より少なくなった場合に交換する。この交換時期にあっては、例えば、装置本体内に吐出量をカウントする機能があり、この吐出量カウント機能により残量を算出できるので、交換時期を告知して利用者に交換を促すか、または、交換が完了するまで吐出を不許可にすることなどが可能である。これら吐出ヘッド部101と薬液タンク142とは、装着後、薬液タンク142を結合レバー110によって吐出ヘッド部101側に移動させることにより連結、接続され、薬液タンク142内の薬液が吐出ヘッド部101内に流れ込む薬液流路が形成される。
また、アクセスカバー118の裏面(図12参照)には、結合レバーロック穴131が形成されている。これにより、アクセスカバー118を閉めた際に、結合レバー110のツマミ132が結合レバーロック穴131と勘合するので、アクセスカバー118を開けない限り、吐出ヘッド部101と薬液タンク142との連結を解除できないようになっている。よって、吐出ヘッド部101と薬液タンク142とを連結した後、カバン等に入れて持ち運びしている際の抜けが防止されるものとなる。
以上説明したように、本第1の実施の形態にかかる液体容器1は、収容された液体5を排出するための排出口7を形成することが可能な栓2と、液体容器1の内部と外部との所定の圧力差を緩和するための可動栓4とを備える。また、可動栓4が、所定の圧力差を緩和するように移動するメイン摺動部4b(又は、メイン摺動部10b〜70b)と、所定の圧力差未満の圧力差を緩和するメンブレン4a(又は、メンブレン10a〜70a)と、を有する。これにより、液体容器1の内部と外部とに生じる圧力差を、比較的小さく維持することができるようになる。従って、液体容器1における吐出性能の低下を従来のものよりも抑えることができるようになる。
また、メンブレン4a(又は、メンブレン10a〜40a)及びメイン摺動部4b(又は、メイン摺動部10b〜40b)は、一体的に形成されて所定の圧力差(−10kPa)を緩和する際に共に移動する。そして、メンブレン4a(又は、メンブレン10a〜40a)は、上記所定の圧力差未満の圧力差を、自身が変形することによって緩和する。これにより、可動栓4を、比較的安価で且つ簡易な構造で形成できると共に、可動栓4が一体であることから部材管理をも容易にすることができる。
また、メンブレン50a(又は、メンブレン60a,70a)及びメイン摺動部50b(又は、メイン摺動部60b,70b)は、伸縮し得る連結体55(又は、連結体65,75)で連結されて所定の圧力差(−10kPa)を緩和する際に共に移動する。そして、メンブレン50a(又は、メンブレン60a,70a)は、上記所定の圧力差未満の圧力差をメイン摺動部50b(又は、メイン摺動部60b,70b)との距離を変えることで緩和する。これにより、例えばメンブレン50aが、液体容器1内を移動し得るので、所定の圧力差を緩和し得る時間や量の範囲を比較的大きく設計することができるようになる。
また、例えば、メイン摺動部50bは、メンブレン50a及びメイン摺動部50bの間隙と液体容器1の外部との間で通気し得る通気孔51が形成される。これにより、メンブレン50a及びメイン摺動部50bの間の空間59に生じる気圧を、液体容器1の外部と合わせることができ、メンブレン50a及びメイン摺動部50bの移動を円滑にすることができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明に係る第2の実施の形態における液体容器150について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は、第2の実施の形態における液体容器150の概念的な構成を表すもので、(a)は吐出ヘッド156を接続する前の概念図、(b)は吐出ヘッド156接続後の第1状態を示す概念図である。また、図13(c)は、吐出ヘッド156接続後の第2状態を示す概念図である。また、図14は、液体の吐出に伴う液体容器150内の圧力変化を経時的に示したグラフである。
以下、本発明に係る第2の実施の形態における液体容器150について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は、第2の実施の形態における液体容器150の概念的な構成を表すもので、(a)は吐出ヘッド156を接続する前の概念図、(b)は吐出ヘッド156接続後の第1状態を示す概念図である。また、図13(c)は、吐出ヘッド156接続後の第2状態を示す概念図である。また、図14は、液体の吐出に伴う液体容器150内の圧力変化を経時的に示したグラフである。
すなわち、液体容器150は、図13(a)に示すように、液体155を収容する第1容器153及び第2容器159と、栓(排出口形成部)152と、第1可動栓(第1部材)154a及び第2可動栓(第2部材)154bとを有する。第1容器153及び第2容器159は夫々、筒状で且つ剛性を有した材質(例えば、ガラス)で形成されている。栓152は、筒状の第1容器153における長手方向の一端を密閉するように配置され、第1可動栓154aは、上記長手方向の他端を密閉するように配置されている。また、第1容器153から分岐された第2容器159には、第2可動栓154bが液体155を密閉して配置されている。
液体容器150の外部で栓152を臨む位置からは、連通針158を有した吐出ヘッド156が、上記連通針158を栓152に挿し込むようにして液体容器150と接続可能となっている。この吐出ヘッド156は、液体容器150に接続された状態で、液体容器150の中に収容されている液体155を、吐出口157から吐出することが可能となる。つまり、栓152は、液体容器150から液体155を吐出するための上記した吐出口157を形成し得るものである。なお、吐出ヘッド156については、前述した第1の実施の形態における吐出ヘッド6と構成が同様となっている。従って、本実施の形態では、吐出ヘッド6を吐出ヘッド156に、吐出口7を吐出口157に、連通針8を連通針158に夫々読み替えることによってその説明を援用し省略する。
このような液体容器150の第1の実施の形態とは異なる特徴は、第1可動栓154aが移動する圧力差未満の圧力差を緩和する第2可動栓154bを、第1可動栓154aとは別体で有する点である。そして、第2可動栓154bの内径及び第2容器159の内径は、第1可動栓154aの内径及び第1容器153の内径よりも太く形成されている。これにより、第1可動栓154a及び第2可動栓154bの夫々の内径方向に切断した断面積は、第2可動栓154bの方が第1可動栓154aより大きくなる。従って、第1容器153及び第2容器159内に生じた負圧によって加わる力は、第2可動栓154bのほうが大きくなるので、より小さい圧力差が生じた段階で第2可動栓154bが移動することとなる。
ここで、上記した液体容器150の構成のうち、第1容器153はガラス製のものとし、その内径を6mm、長さを長尺方向に45mmとした。また、第1可動栓154aは、材質がゴム硬度40度のブチルゴムとし、その外径を6.1mm、長さを5mmとした。また、第2容器159はガラス製のものとし、その内径を12mm、長さを長尺方向に10mmとした。また、第2可動栓154bは、材質がゴム硬度40度のブチルゴムとし、その外径を12.1mm、長さを5mmとした。また、液体155は精製水を使用した。
そして、例えば、上記した第1可動栓154a及び第2可動栓154bが、例えば国際線の旅客機における着陸時の圧力変化でどのような挙動を示すかを調べた。このような旅客機の着陸時においては、通常、約26分間かけて770HPaの気圧から1020HPaの気圧へと変化し、その圧力差(気圧差)は250HPa=25kPaとなる。その結果、液体容器150では、図14のグラフに示すような圧力差の緩和を示した。
図14に示す液体容器150の各動作単位は、その上部に示した(c−1),(c−2),(c−3),(c−4)のような時間的な領域に分けて考えることができる。以下では、これらの領域(c−1)〜(c−4)に沿って説明を行う。
すなわち、図14に示すように、密封状態の液体容器150の外部の圧力は、約1kPa/分の勾配で増大する。そして、3分後には、液体容器150の内部と外部との圧力差が、−3kPaとなる(領域(c−1)参照)。
内圧が−3kPaになったことにより、第1可動栓154aが動き始める圧力差未満の圧力差を緩和する第2可動栓154bが移動し始め、その圧力差が保持される(領域(c−2)参照)。そして、液体容器150の内部の圧力が更に減少すると、圧力差を緩和する第2可動栓154bがその移動限界に至る。第2可動栓154bが、移動限界を超えると,容器の内圧は再び領域(c−1)と同じ傾きで減少を続ける(領域(c−3)参照)。
液体容器150の内部の圧力が更に減少し、第1可動栓154aが動き始める圧力差よりも容器の内圧が小さくなった場合には、第1可動栓154aが動き始める。このとき、容器の外部と内部との圧力差は第1可動栓154aが静止するまで緩和されることとなる(領域(c−4)参照)。第1可動栓154aが静止するのは、第1可動栓154aの動摩擦力が圧力差よりも大きくなった場合である。
上述の図13に示した液体容器150では、低圧での圧力を緩和する工程(つまり、第1可動栓154aが動き始める圧力差未満の圧力差を緩和する動作)が1回発現し、それ以降では上記した低圧での圧力を緩和する工程が発現しなかった。そこで、後述の図15では、上記した点を改良して、低圧での圧力を緩和する工程が繰り返し発現されるようなものとした。
ここで、前述した液体容器150の他の変形例1について、図15(a)〜(c)及び図16を参照して説明する。なお、図15は、液体容器150の他の変形例1を示すもので、(a)は液体容器150の通常状態の断面図、(b)は第2容器159の第1状態の断面図、(c)は第2容器159の第2状態の断面図である。また、図16は、液体の吐出に伴う液体容器150内の圧力変化を経時的に示したグラフである。また、本変形例1では、後述する規制部品161,162及び原点復帰機構163以外の構成は、前述した図13の液体容器150と同様であり、その説明を援用して省略する。
本液体容器150には、図15(a)〜(c)に示すように、剛性を有する第2容器159内に、第2可動栓154bの可動限界を規制する規制部品(規制部材)161,162が配置されている。また、第2容器159内には、その上部と第2可動栓154bとを連結し、第2可動栓154bを原点に復帰させる原点復帰機構(回復手段)163が設けられている。なお、ここでいう原点とは、規制部品161と規制部品162との上下方向における中間位置をいう。上記した原点復帰機構163の一般的な例としては、ばねを挙げることができる。本変形例の原点復帰機構163はばねを採用するものとし、第2可動栓154bを、その初期状態において原点復帰機構163が伸びも縮みもしない自然長となる原点に位置するように配置する。
このような液体容器150に対し、液体吐出ヘッド156を接続して連通針158を通じて吐出口157から液体155を吐出させた。詳細には、液体吐出ヘッド156には微小な吐出口が20000個あり、液体155を周波数30kHzで且つ1回の吐出量が30μL/秒で1秒間液滴として吐出させた。このように、液体155を吐出させることにより、液体容器150に収容されている液体155が減少すると、液体容器150の内部に負圧が生じるため、その内部と外部とに圧力差が生じることとなる。上記した1回の吐出にて、液体容器150の容器内圧力を圧力計(不図示)で測定すると1kPa減少していた。
ここで、本変形例の液体容器150にて、30秒間の吐出を行い、その際の容器内圧力の推移を測定すると図16のようになった。
吐出を開始すると液体容器150内の液体量が減るため、液体容器150の内圧は負圧方向に変化して−3kPaとなる。内圧が−3kPaを下回ると、第2可動栓154bが移動(図15(a)の正面視下方側)し、移動し得る間は液体容器150の内圧は−3kPa付近で維持される。しかし、さらに吐出を繰り返すと、第2可動栓154bは可動限界の下限位置に至り、規制部品162に当接する。第2可動栓154bが規制部品162に当接すると、図7(b)に示すように、原点復帰機構163が一番伸びた状態となる。
図7(b)に示したように、第2可動栓154bが規制部品162に当接すると、液体容器1の内圧は再び減少を続け、−10kPaを超えた際には第1可動栓154aが移動を開始する。第1可動栓154aが移動を開始して次に静止するまで、液体容器150の内部と外部との圧力差は緩和される。そして、上記圧力差が緩和されるに伴い、第1容器153から第2容器159に流入する液体155の力と、原点復帰機構163の付勢力とによって、第2可動栓154bは第2容器159内の原点の位置に復帰する。なお、図7cは、第2可動栓154bが可動限界の上限位置に達し、規制部品161に当接して、原点復帰機構163が一番縮んだ状態を示している。
上記したように、液体容器150内に負圧が生じ、第1可動栓154aが移動して圧力緩和される際に、原点復帰機構163が、図7(b)に示した可動限界の下限位置から図7(a)に示した原点位置に第2可動栓154bを復帰させることが確認された。そして、これに伴い、第2可動栓154bによる低圧での圧力を緩和する工程(第1可動栓154aが動き始める圧力差未満の圧力差を緩和する動作)が繰り返し発現したことが確認された。
次に、前述した液体容器150の他の変形例2について、図17(a)〜(c)を参照して説明する。なお、図17は、液体容器150の他の変形例2を示すもので、(a)は液体容器150の通常状態の断面図、(b)は第2容器159の第1状態の断面図、(c)は第2容器159の第2状態の断面図である。また、本変形例2では、後述する吸着部材165及び電磁石166a以外の構成は、前述した図15の液体容器150と同様であり、その説明を援用して省略する。
本変形例の液体容器150は、図17(a)〜(c)に示すように、第2容器159近傍に吸着部材(回復手段)165と電磁石(回復手段)166aとを有している。前述した変形例1では、第2可動栓154bを原点に復帰させる機構としてばねの原点復帰機構163を例示したが、該機構はこれに限らず、本例で示すような吸着部材165及び電磁石166aによる態様をも取り得る。
吸着部材165は、磁石等の磁気により吸着される部材で、図17(a)に示すように、第2可動栓154b内の中心部に配置されている。電磁石166aは、通電することで磁気を帯びるコイル部材で、第2容器159の上下方向における中央部、つまり第2可動栓154bの原点と同じ高さとなるように配置されている。
そして、本変形例の液体容器150において、液体吐出ヘッド156を接続して液体155を吐出させると、液体容器150内に生じる負圧に応じ、第2可動栓154bが低圧での圧力を緩和する段階で下方へと移動する。第2可動栓154bが可動限界の下限位置に至り、規制部品162に当接すると、図17(b)に示すような状態となる。ここで、電磁石166aに通電して磁気を発生させることにより、図17(c)に示すような、第2可動栓154bを原点の位置に戻すことができる。本変形例において、前述した変形例1と同じ条件で液体155を30秒間吐出させ、その際の液体容器150内の圧力推移を測定すると結果は図16の場合と同様となった。
次に、前述した液体容器150の他の変形例3について、図18(a)〜(c)及び図19を参照して説明する。なお、図18は、液体容器150の他の変形例3を示すもので、(a)は液体容器150の通常状態の断面図、(b)は第2容器159の第1状態の断面図、(c)は第2容器159の第2状態の断面図である。また、図19は、液体の吐出に伴う液体容器150内の圧力変化を経時的に示したグラフである。また、本変形例3では、後述する電磁石166b,166c及び圧力センサ167以外の構成は、前述した図17の液体容器150と同様(電磁石166aを除く)であり、その説明を援用して省略する。
本変形例では、第2可動栓154bを制御して動かすことにより、第1可動栓154aの圧力緩和を助長する構成を示す。図18(a)〜(c)に示すように、本液体容器150は、第2容器159の外側近傍に電磁石(回復手段)166b,166cを有している。電磁石166b,166cは、夫々通電することで磁気を帯びるコイル部材で、第2容器159の上下方向における上部及び下部、つまり規制部品161,162と同じ高さに配置されている。また、本例の吐出ヘッド156には、取り付けられた際に液体容器150内の圧力を検知する圧力センサ167が具備されている。この圧力センサ167からの出力信号を受けた制御回路(不図示)により、電磁石166b,166cに対するON・OFF信号が出力制御される。
そして、本変形例の液体容器150において、液体吐出ヘッド156を接続して液体155を吐出させると、液体容器150内に生じる負圧に応じ、第1可動栓154a及び第2可動栓154bが移動する。ここで、液体吐出ヘッド156から液体155が吐出する前にあっては、第2可動栓154bは、図18(a)に示すような原点に位置した状態にある。液体155の吐出が進むと、第2可動栓154bは、図18(b)に示すような可動限界の下限位置に下がり、電磁石166bがON状態にされると、第2可動栓154bは、可動限界の上限位置へと上がる。本変形例において、前述した変形例2と同じ条件で液体155を30秒間吐出させ、その際の液体容器150内の圧力推移を測定すると結果は図19のようになった。
なお、上述したような、電磁石166bをON状態にするタイミングは、以下のように規定することが可能である。例えば、第2可動栓154bの可動限界の下限位置から上限位置への移動により変わる容器内圧差を、圧力センサ167を用いて測定し、その測定値をP1とする。次いで、第1可動栓154aが移動を開始する圧力差、例えば本実施の形態では10kPaから、上記した測定値のP1を減算する。このようにして算出した容器内圧差(例えば、10−P1)になった時点で、電磁石166bをON状態にすることにより、液体吐出ヘッド156からの吐出が不安定となる時間帯を減少させることができるようになる。また、電磁石166bをON状態にすることにより、第2可動栓154bを強制的に移動させている間は、液体吐出ヘッド156からの液体155の吐出を止めておくことも可能である。また、本変形例では、吐出ヘッド156に圧力センサ167を具備するとして説明したが、圧力スイッチ等を用いてもよい。
次に、前述した液体容器150の他の変形例4について、図20を参照して説明する。なお、図20は、液体容器150の他の変形例4を示す断面図である。また、本変形例4では、後述する可撓性容器154c以外の構成は、前述した図13の液体容器150と同様(第2可動栓154bと第2容器159とを除く)であり、その説明を援用して省略する。
図20に示すように、本変形例の液体容器150は、図13に示した第2容器159に代わり、第1容器153から可撓性容器154cが分岐して配置された構成となっている。可撓性容器154cは、例えば図1に示したメンブレン4aと同質の材料で形成して可撓性を有したもので、可撓性容器154cの内部には液体155が密閉された状態で収容される。このような構成とすることにより、例えば図13に示した第2可動栓154bの代わりに、可撓性容器154cを収縮あるいは元の状態に復元させることで液体容器150の内部と外部との圧力差を緩和させることが可能となる。
本例の場合、可撓性容器154cが収縮しはじめる圧力値は、可撓性容器154cの厚みや形状等で調整することが可能である。このように、本変形例では、低圧での圧力を緩和する際に可撓性容器154cを用いるので、例えば図13に示した第2容器159と第2可動栓154bとを一つの部材にすることができ、安価に製造できると共に、部材管理も容易にすることができる。
以上説明したように、本第2の実施の形態にかかる液体容器150は、収容された液体155を排出するための排出口157を形成することが可能な栓152を備える。また、液体容器150の内部と外部との所定の圧力差を緩和するように移動する第1可動栓154aと、所定の圧力差未満の圧力差を緩和する第2可動栓154bと、を備える。これにより、液体容器150の内部と外部とに生じる圧力差を、比較的小さく維持することができるようになる。従って、液体容器150における吐出性能の低下を従来のものよりも抑えることができるようになる。
また、第2可動栓154bは、第1可動栓154aが移動したことによって液体容器150の内部と外部との所定の圧力差が緩和された際、第2可動栓154bを、所定の圧力差未満の圧力差を緩和させ得る状態に回復させる原点復帰機構163を有する。これにより、第1可動栓154aと第2可動栓154bとが一体的でないものであっても、第2可動栓154bによる所定の圧力差未満の圧力差を緩和する工程を繰り返し発現させることができるようになる。
また、液体容器150は、第2可動栓154bの可動範囲を規制する規制部品161,162を有する。これにより、第2可動栓154bの移動を繰り返し円滑に行うことができるようにすると共に、液体容器150の内部に外気が侵入することを防ぐことができる。
また、以上説明したように、第1及び第2の実施の形態によれば、吸入装置100が、液体容器1及び吐出ヘッド6、又は液体容器150及び吐出ヘッド156と、上記いずれかの吐出ヘッドから吐出された液体を利用者に吸入させる吸入口120とを有する。これにより、吐出性能の低下を従来のものよりも抑えた吸入装置100を利用者に提供することができるようになる。
なお、前述した第1の実施の形態の図11,12で説明した吸入装置100は、上記第2の実施の形態で説明した変形例1〜4の液体容器150に対しても好適に利用できるものである。
以上のように、本発明にかかる液体容器、及びこれを備えた吸入装置は、液体容器の内部と外部とに生じる圧力差を比較的小さく維持する必要があるものに有用であり、特に、薬剤を安定して吐出させるような液体容器、及びこれを備えた吸入装置に適している。
1 液体容器
2 排出口形成部(栓)
4 圧力差緩和部材(可動栓)
4a 第2部材(メンブレン)
4b 第1部材(メイン摺動部)
5 液体
6 吐出ヘッド
7 排出口
10a,20a,30a,40a,50a,60a,70a 第2部材(メンブレン)
10b,20b,30b,40b,50b,60b,70b 第1部材(メイン摺動部)
31,32 スペーサ
33,51 通気孔
61,71 貫通孔(通気孔)
55,65,75 連結体
59,62,72 間隙(空間)
77 空気流出入調整器
100 吸入装置
120 吸い口部(吸入口)
150 液体容器
155 液体
152 排出口形成部(栓)
154a 第1部材(第1可動栓)
154b 第2部材(第2可動栓)
154c 可撓性容器
156 吐出ヘッド
157 排出口
161,162 規制部材(規制部品)
163 回復手段(原点復帰機構)
165 回復手段(原点復帰機構)
166a,166b,166c 回復手段(原点復帰機構)
2 排出口形成部(栓)
4 圧力差緩和部材(可動栓)
4a 第2部材(メンブレン)
4b 第1部材(メイン摺動部)
5 液体
6 吐出ヘッド
7 排出口
10a,20a,30a,40a,50a,60a,70a 第2部材(メンブレン)
10b,20b,30b,40b,50b,60b,70b 第1部材(メイン摺動部)
31,32 スペーサ
33,51 通気孔
61,71 貫通孔(通気孔)
55,65,75 連結体
59,62,72 間隙(空間)
77 空気流出入調整器
100 吸入装置
120 吸い口部(吸入口)
150 液体容器
155 液体
152 排出口形成部(栓)
154a 第1部材(第1可動栓)
154b 第2部材(第2可動栓)
154c 可撓性容器
156 吐出ヘッド
157 排出口
161,162 規制部材(規制部品)
163 回復手段(原点復帰機構)
165 回復手段(原点復帰機構)
166a,166b,166c 回復手段(原点復帰機構)
Claims (7)
- 液体を収容する液体容器であって、
前記液体容器に収容された前記液体を排出するための排出口を形成することが可能な排出口形成部と、
前記液体容器の内部と外部との所定の圧力差を緩和するための圧力差緩和部材と、を備え、
前記圧力差緩和部材が、前記所定の圧力差を緩和するように移動する第1部材と、前記所定の圧力差未満の圧力差を緩和する第2部材と、を有する、
ことを特徴とする液体容器。 - 前記第1及び前記第2部材は、一体的に形成されて前記所定の圧力差を緩和する際に共に移動し、
前記第2部材は、前記所定の圧力差未満の圧力差を自身が変形することで緩和する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体容器。 - 前記第1及び前記第2部材は、伸縮し得る連結体で連結されて前記所定の圧力差を緩和する際に共に移動し、
前記第2部材は、前記所定の圧力差未満の圧力差を前記第1部材との距離を変えることで緩和する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体容器。 - 前記第1部材は、前記第1及び前記第2部材の間隙と前記液体容器の外部との間で通気し得る通気孔が形成された、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体容器。 - 前記圧力差緩和部材は、前記第1部材が移動したことによって前記所定の圧力差が緩和された際、前記第2部材を、前記所定の圧力差未満の圧力差を緩和させ得る状態に回復させる回復手段を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体容器。 - 前記圧力差緩和部材は、前記第1部材又は前記第2部材の可動範囲を規制する規制部材を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体容器。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の液体容器と、
前記液体容器の中に収容された液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドから吐出された液体を利用者に吸入させる吸い口部と、を備えた、
ことを特徴とする吸入装置。
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