JP2010020248A - 定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】停電時において、定着ベルトが熱によって破損してしまうことを防止する。
【解決手段】定着装置1は、定着ベルト2と、加圧ローラ4と、定着ベルト2内に設けられた支持体5と、定着ベルト2内に設けられたハロゲンランプ6と、定着ベルト2内において支持体5をハロゲンランプ6から遮蔽すると共に支持体5との間が断熱された遮蔽板7とを備えている。遮蔽板7は、定着ベルト2の軸方向に直交する断面形状がハロゲンランプ6側に凸状に形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】定着装置1は、定着ベルト2と、加圧ローラ4と、定着ベルト2内に設けられた支持体5と、定着ベルト2内に設けられたハロゲンランプ6と、定着ベルト2内において支持体5をハロゲンランプ6から遮蔽すると共に支持体5との間が断熱された遮蔽板7とを備えている。遮蔽板7は、定着ベルト2の軸方向に直交する断面形状がハロゲンランプ6側に凸状に形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、被記録材上のトナー像を定着する定着装置に関するものである。
従来より、電子写真装置等に設けられて、被記録材上のトナー像を定着する定着装置が知られている。この定着装置は、近年、省電力化やウォームアップ時間の短縮の要求が高まっていると共に、画像のカラー化への適合も望まれており、様々な形態の定着装置が提案、実用化されている。
例えば、特許文献1に係る定着装置は、定着ベルトと、定着ベルトに外周側から押し付けられて該定着ベルトとの間に定着ニップを形成する加圧ローラと、加圧ローラの加圧力を定着ベルトの内周側から受け止めて該定着ベルトを支持する支持体と、定着ベルトを内周側から加熱する加熱源と、加熱源から支持体を遮蔽する遮蔽体とを備えている。
この定着装置は、起動すると、加圧ローラの回転駆動を開始する。加圧ローラが回転駆動されると、定着ベルトは加圧ローラとの摩擦力によって従動回転する。それと同時に、加熱源を作動させる。加熱源の作動により、定着ベルトが内周面側から加熱される。このとき、支持体は遮蔽体で遮蔽されているため、加熱源からの熱線が支持体に吸収されることがなく、定着ベルトの温度を早期に所定の温度まで上昇させることができる。定着ベルトの温度が所定温度に達すると、被記録材としての記録用紙が定着ニップへ搬送され、定着ニップを通過する。その際に、記録用紙上のトナー像は、加熱されると共に加圧されて、記録用紙上に定着される。
特開2008−9015号公報
前記の構成の場合、定着ベルトは、通常運転時において加熱源により加熱される一方、定着ニップにおいて加圧ローラと共に被記録材を挟持して該被記録材を加熱する。つまり、定着ベルトは、回転することによって、加熱源による加熱と、定着ニップにおける被記録材へ放熱とを繰り返している。それに加えて、定着ベルトの温度は、通常、加熱源の作動を制御(例えば、ON/OFF制御)することによって定着に必要な所定の温度に制御されている。そのため、通常の運転時においては、定着ベルトの温度が過剰に上昇することはない。
ところで、定着装置の運転中に停電が起きて電源が切れた場合には、加圧ローラの回転が停止し、それに伴って定着ベルトの回転も停止する。同時に、加熱源の作動も停止する。しかし、加熱源は、その作動を停止しても、余熱を有している。この余熱によって、定着ベルトは加熱され続ける。そして、定着ベルトは回転が停止しているため、常に同じ部分(即ち、定着ニップを形成していない部分)が加熱源の余熱により加熱され続ける。この加熱された部分は、通常運転時のように定着ニップの位置まで回転移動して放熱することがない。その結果、停電時においては、定着ベルトのうち、加熱源からの熱線が照射される部分が過剰に加熱されることになる。定着ベルトは、熱容量が小さいため、すぐに昇温し、熱によって破損してしまう虞がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、停電時において、定着ベルトが熱によって破損してしまうことを防止することにある。
本発明は、前記支持体を遮蔽する遮蔽体を加熱源側に凸状に形成するようにしたものである。
具体的には、本発明は、被記録材上のトナー像を定着する定着装置が対象である。そして、所定の軸方向に延びる筒状に形成され、回転可能に支持された定着ベルトと、前記定着ベルトに対して外周側から当接し且つ加圧して、該定着ベルトとの間に定着ニップを形成すると共に、その状態で回転駆動される加圧ローラと、前記定着ベルト内に設けられ、前記加圧ローラの加圧力を前記定着ベルトの内周側から受け止めて該定着ベルトを支持する支持体と、前記定着ベルト内に設けられ、該定着ベルトを内周側から加熱する加熱源と、前記定着ベルト内において前記軸方向に延びて設けられ、前記支持体を前記加熱源から遮蔽すると共に該支持体との間が断熱された遮蔽体とを備え、前記遮蔽体は、前記定着ベルトの軸方向に直交する断面形状が前記加熱源側に凸状に形成されているものとする。
本発明によれば、遮蔽体の、定着ベルトの軸方向に直交する断面形状を、加熱源側に凸状に形成することによって、遮蔽体よりも前記支持体側において、遮蔽体と定着ベルトとの間に支持体を収容するのに必要な空間を確保しつつ、定着ベルトの内周面のうち遮蔽体に遮蔽されず、加熱源からの熱線が照射される部分の面積を拡大することができる。その結果、定着ベルトの内周面のうち前記加熱源の熱線が照射される部分において、単位面積当たりに受ける加熱源からの熱量を低減することができるため、停電時において、定着ベルトが熱によって破損してしまうことを防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る定着装置1の横断面図であり、図2は、定着装置1の分解斜視図である。以下、本明細書において、横断面とは、長手方向に直交する断面を意味し、縦断面とは、長手方向に沿った断面を意味する。
図1は、本発明の実施形態1に係る定着装置1の横断面図であり、図2は、定着装置1の分解斜視図である。以下、本明細書において、横断面とは、長手方向に直交する断面を意味し、縦断面とは、長手方向に沿った断面を意味する。
定着装置1は、図1,2に示すように、所定の軸方向に延びる筒状に形成された可撓性を有する定着ベルト2と、該定着ベルト2が所定の回転経路に沿って回転するように該定着ベルト2をその両端部において支持する経路形成部材3と、該定着ベルト2の外周面に押し当てられて該定着ベルト2との間で定着ニップNを形成し且つ該定着ニップNを通過する被記録材19を加圧する加圧ローラ4と、定着ベルト2の内部に配設されて、加圧ローラ4に加圧される定着ベルト2を内側から支持する支持体5と、定着ベルト2の内部に配設されて該定着ベルト2を内周面から加熱するハロゲンランプ6と、ハロゲンランプ6から支持体5を遮蔽する遮蔽板7とを備えている。
この定着装置1においては、加圧ローラ4を支持体5に対応する位置において定着ベルト2の外周面に押し当てることによって、定着ベルト2が加圧ローラ4と支持体5とで挟持された状態となり、定着ベルト2と加圧ローラ4との間の定着ニップNが形成される。この状態で加圧ローラ4が回転駆動されると、定着ベルト2は加圧ローラ4との摩擦力によって従動回転する。このとき、定着ベルト2は、経路形成部材3によって規制されて、所定の回転経路に沿って回転する。また、定着ベルト2は、ハロゲンランプ6からの輻射により内周側から加熱されている。このとき、支持体5は、遮蔽板7によって遮蔽されているため、ハロゲンランプ6からの熱線によって加熱されることはない。こうして、定着装置1は、定着ニップNに搬送されてくる被記録材19を、定着ベルト2によって加熱すると共に加圧ローラ4によって加圧して、該被記録材19上に形成されたトナー像を定着する。尚、本実施形態に係る定着装置1は、定着できる最大幅がA3サイズの用紙の幅に設定されている。
以下、定着装置1の各構成について詳しく説明する。
(定着ベルト)
図3は、定着ベルト2の断面構造を示す図である。
図3は、定着ベルト2の断面構造を示す図である。
前記定着ベルト2は、無端ベルトであって、内側から順に基材2a、弾性層2bおよび離型層2cの3層構造となっている。
前記基材2aは、厚さが90μmのフィルム状の部材であって、耐熱性のポリイミド樹脂からなる。尚、この基材2aの厚さは、40μm〜150μm程度の範囲とすることが好ましく、上記ポリイミド樹脂の他、フッ素樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アラミド樹脂等の耐熱性を有する材料を用いることができる。
ここで、ハロゲンランプ6からの熱線の吸収を良くするためには、基材2aは、熱放射率が0.9以上あるものが好ましく、ポリイミド樹脂にカーボンブラック、グラファイト、酸化鉄等を分散させて着色すると有効である。
尚、基材2aとしては、必ずしも耐熱性樹脂を用いる必要はなく、30〜50μm程度の厚みからなるステンレスやニッケルの金属チューブを用いてもよい。ただし、金属表面は、熱放射率が小さく、熱線の吸収が悪いので、内周面に熱線の吸収性と耐磨耗性とを兼ね備えた薄い耐熱性の樹脂層を設けることが好ましい。例えば、ポリイミド樹脂にフィラーを含有させたものを10〜50μm設けるとよい。
前記弾性層2bは、柔軟性のある厚さ150μmのシリコーンゴムからなる。この弾性層2bは、特にトナー付着量の多いカラー画像を定着する場合に、定着ベルト2表面が未定着画像の表面の凹凸に倣い易くするためのものである。この弾性層2bを設けることによって、定着されたカラー画像のグロスの均一化を図ることができる。尚、モノクロ画像を形成するために用いられる定着装置においては、弾性層2bは必ずしも必要ではない。
弾性層2bの材料としては、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの耐熱性を有する弾性材料が好ましく、基材2aと同様に、カーボンブラック等を混ぜ合わせて黒色に着色すると、熱線の吸収性が良く、有効である。その厚さは、必要に応じて適宜調整してよいが、好ましくは50μm〜300μmである。
前記離型層2cは、溶融したトナーとの分離性を良くするために、厚さが30μmのPFAで形成されている。
離型層2cの材料としては、離型性及び耐久性の良好な材料が好ましく、一般にはフッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、PFA、PTFE、FEPなどが用いられる。離型層2cの厚さは、トナー像への倣いやすさと耐久性の観点から適宜決められるが、好ましくは5μm〜40μm程度である。尚、この離型層2cも、用いるトナーやその他の条件により必要としない場合もある。
このように構成された定着ベルト2は、内径を34mmとし、全長(即ち、軸方向の長さ)をA3サイズの用紙の定着を可能とすべく340mmとした。また、その内面には、摺動摩擦を低減し且つ耐久性を確保するために、耐熱性のグリースを付与している。
また、定着ベルト2は、ハロゲンランプ6により加熱されると熱膨張する。このように熱膨張すると、定着ベルト2の寸法が変化することになるため、熱膨張は小さい方が好ましい。定着ベルト2の熱膨張率を小さくするためには、例えば、定着ベルト2の基材2aにポリイミド樹脂を用いた場合、そのポリイミド樹脂に金属や繊維系樹脂などの熱膨張防止剤を分散させることができる。こうして、熱膨張率が小さい材料であるほうが、後述する経路形成部材3の座繰り部36の座繰り量が少なくてすむ点、即ち、逃げ空間37の寸法が小さくてすむ点でも好ましい。
(経路形成部材)
図4は、支持体5、ハロゲンランプ6及び遮蔽板7と経路形成部材3との関係を模式的に示す経路形成部材3の正面図であり、図5は、経路形成部材3の斜視図であり、図6は、図1に示した定着装置のVI−VI線における縦断面図であり、図7は、定着ベルト2の回転経路の形状を模式的に示した横断面図である。
図4は、支持体5、ハロゲンランプ6及び遮蔽板7と経路形成部材3との関係を模式的に示す経路形成部材3の正面図であり、図5は、経路形成部材3の斜視図であり、図6は、図1に示した定着装置のVI−VI線における縦断面図であり、図7は、定着ベルト2の回転経路の形状を模式的に示した横断面図である。
前記経路形成部材3は、図4,5に示すように、定着ベルト2内に嵌め込まれる経路形成部31と、該経路形成部31に対して鍔状に接合されて定着ベルト2の軸方向端部からはみ出して該定着ベルト2の軸方向端面と対向するフランジ部33とを有している。このフランジ部33が対向部材を構成する。
経路形成部材3は、図2,6に示すように、定着ベルト2の両端部に設けられており、経路形成部31が定着ベルト2の端部に緩く嵌め込まれると共に、定着ベルト2の端部からはみ出したフランジ部33が定着装置1のフレーム11(一部のみ図示)に取り付けられる。こうして、定着ベルト2は、経路形成部材3を介してフレーム11に対して回転自在に取り付けられる。すなわち、経路形成部材3は、定着ベルト2の回転経路を形成する機能だけでなく、定着ベルト2を回転自在に支持する機能も有している。
前記経路形成部31は、概略筒状に湾曲させた板状の部材で形成されていて、その外周面に経路形成面32が形成されている。
経路形成面32は、曲率半径が相対的に大きな大径部32aと、曲率半径が相対的に小さな小径部32bと、平面又は曲面で形成され、これら大径部32aと小径部32bとを滑らかに接続する接続部32cとを有している。さらに詳しくは、小径部32bに対向する位置に大径部32aが設けられている。こうして、経路形成面32の横断面(即ち、定着ベルト2の軸方向に直交する断面)は、小径部32bよりも大径部32a側に膨らんでいる。換言すれば、経路形成面32の横断面は、非円形であって、鶏卵状に形成されている。ここで、小径部32bよりも大径部32a側に膨らんでいるとは、小径部32bの曲率半径を有する円(即ち、小径部32bによって円周の一部が構成される円)よりも、大径部32aが外側に位置する形状を意味する。
本実施形態では、大径部32aの(経路形成面32の)曲率半径を約16mmとし、小径部32bの(経路形成面32の)曲率半径を約9mmとしている。
また、経路形成部31には切欠部31aが形成されていて、経路形成部31は、筒の一部を軸方向の全長に亘って切り取った形状をしている。詳しくは、切欠部31aを挟んで、経路形成面32の大径部32aと小径部32bとが配置されている。つまり、切欠部31aによって形成される経路形成部31の一端部には大径部32aが位置し、経路形成部31の他端部には小径部32bが位置する。また、経路形成部材3が定着装置1に組み込まれた際には、切欠部31aの位置は定着ニップNが形成される位置に相当し、定着ニップNの入口側に大径部32aが位置する一方、定着ニップNの出口側に小径部32bが位置する。
前記フランジ部33は、概略筒状に形成された経路形成部31の軸方向の一端部において、鍔状に拡がるように設けられた平板状の部材である。フランジ部33は、経路形成部31のような切欠部を有さず、切欠部31aに相当する部分にも設けられている。このフランジ部33は、取り付け穴33a,33a,…を介してネジ(図示省略)によりフレーム11に固定されている。フランジ部33における、経路形成部31が立設された面が、フレーム11に取り付けられる取付面33bとなる。
また、フランジ部33には(詳しくは、経路形成部31とフランジ部33との隅部には)、経路形成部31の外周を覆って環状に形成され、該経路形成部31と同じ方向に突出する環状突出部34が設けられている。この環状突出部34は、経路形成部31の切欠部31a近傍の片寄り規制部35と、該片寄り規制部35よりもフランジ部33側に陥没した座繰り部36とで構成されている。本実施形態では、片寄り規制部35と座繰り部36との軸方向距離(即ち、段差)を1mmとしている。この片寄り規制部35が規制部材を構成する。
本実施形態において、片寄り規制部35は、ハロゲンランプ6からの熱線が遮蔽板7に遮られる陰領域K(即ち、遮蔽板7の陰となる領域)に設けられている。換言すれば、片寄り規制部35は、ハロゲンランプ6からの熱線が遮蔽板7に遮られずに照射される照射領域Lには設けられていない。
このように構成された経路形成部材3によってフレーム11に対して回転自在に支持された定着ベルト2は、その内周面が経路形成面32に摺接しながら回転するため、全周に亘って経路形成面32と略同様の形状の経路に沿って回転する。その結果、定着ベルト2の回転経路は、図7に示すように、経路形成面32と同様に非円形であって、詳しくは、曲率半径が相対的に大きな大径部と曲率半径が相対的に小さな小径部とを有した鶏卵状となる。
尚、前述の如く、定着ニップNに相当する部分には経路形成面32が存在しないため、定着ベルト2のうち定着ニップNが形成される部分の経路は経路形成部31によって規制されない。すなわち、経路形成部31は、定着ベルト2のうち定着ニップN以外の部分の回転経路を形成する。詳しくは後述するが、定着ベルト2のうち定着ニップNが形成される部分の経路は、加圧ローラ4及び支持体5の形状、並びに、加圧ローラ4の加圧力等に起因して形成される。
このように定着ベルト2の回転経路が経路形成面32によって形成された結果、定着ベルト2のうち、定着ニップNの出口近傍の部分は、経路形成面32の小径部32bに沿って、曲率半径が小さくなっている。こうすることで、被記録材19が定着ニップNを通過して出て行くときに、被記録材19はそれ自身の復元力(こしの強さ)によって定着ベルト2から分離する。被記録材19が分離できるかどうかは、使用するトナーの種類や付着量、被記録材19の厚みやこわさ、定着ベルト2の表層の付着力の大小など様々な条件で決まる。本実施形態では、実験の結果(実験条件としては、薄紙(64g/m2紙)を用いてカラー3色重ね全面べた画像を定着した場合の結果)、出口側の曲率半径が約10mm以下であれば確実に分離できることがわかった。
一方、定着ベルト2のうち、遮蔽板7を挟んで、定着ニップNの出口部分と反対側の部分の回転経路は、経路形成面32の大径部32aに沿って曲率半径が大きくなっていて、該定着ニップNの出口部分よりも膨らんだ形状となっている。こうすることで、定着ベルト2にできるだけ曲げのストレスを与えることなく、摺動負荷を低減することができる。また、詳しくは後述するが、定着ニップNの入口近傍に大径部32aを設けることによって、定着ベルト2内において、遮蔽板7を挟んで、定着ニップNの出口部分と対向する部分にハロゲンランプ6を配置するための広い空間を確保することができる。ここで、定着ニップNの出口部分の反対側の部分が定着ニップNの出口部分よりも膨らんだ形状とは、定着ニップNの出口部分の曲率半径を有する円(即ち、定着ニップNの出口部分によって円周の一部が構成される円)よりも、該定着ニップNの出口部分の反対側の部分が外側に位置する形状を意味する。
また、経路形成部31は、定着ベルト2に対して内周側から当接しているため、定着ベルト2は内側への変形が規制される。そのため、定着ベルト2は、ハロゲンランプ6との距離が確保され、ハロゲンランプ6に近接し過ぎて破損してしまうことが防止される。
また、定着ベルト2の軸方向両端部が経路形成部材3,3によって支持された状態において、定着ベルト2の各軸方向端面は、図6に示すように、該経路形成部材3の環状突出部34と対向している。定着ベルト2の両端部に設けられた片寄り規制部35,35間の軸方向の距離は、定着ベルト2の全長よりも長くなっている。詳しくは、定着ベルト2の端面は、片寄り規制部35と所定の第1間隔を有して対向している。この第1間隔は、定着装置1の運転中において、定着ベルト2の熱膨張を考慮しつつ、定着ベルト2の軸方向への移動が許容される距離に設定されている。つまり、回転する定着ベルト2は、片寄り規制部35,35によって軸方向への移動が所定の許容範囲内に規制される。
このとき、定着ベルト2の端面は、座繰り部36とも対向しており、座繰り部36との間の間隔は所定の第2間隔となっている。第2間隔は、第1間隔に片寄り規制部35と座繰り部36との段差を加えた距離である。この第2間隔は、停電時などで定着ベルト2の回転が停止した際に、定着ベルト2がハロゲンランプ6の余熱によって熱膨張したとしても、定着ベルト2の軸方向端面が座繰り部36に当接しないだけの距離に設定されている。すなわち、第2間隔は、異常昇温時に熱膨張により定着ベルト2が伸びる余地を最低限確保できる距離に設定されている。こうして、定着ベルト2の端面の外方には、フランジ部33(詳しくは、座繰り部36)との間に逃げ空間37が形成されている。
つまり、定着ベルト2のうち陰領域Kに位置する部分は、ハロゲンランプ6からの熱線を受け難いので、停電などで定着ベルト2の回転が停止したときでも、ハロゲンランプ6の余熱による熱膨張をほとんど起こさない。逆に、定着ベルト2のうち照射領域Lに位置する部分は、ハロゲンランプ6の余熱によって熱膨張を起こす。そこで、通常運転中の定着ベルト2の軸方向移動を規制する片寄り規制部35を陰領域Kだけに設ける一方、停電時等に定着ベルト2が熱膨張する可能性がある照射領域Lには片寄り規制部35が設けられていない逃げ空間37を形成している。
尚、前記片寄り規制部35は、経路形成部31とフランジ部33との隅部に設けられているが、定着ベルト2の軸方向端面と対向するように位置する限りにおいては、任意の場所に設けることができる。例えば、片寄り規制部35を、経路形成部31の外周面との間に間隔を開けた状態でフランジ部33に設けてもよく、又はフランジ部33との間に間隔を開けた状態で経路形成部31の外周面のうち定着ベルト2から外側に出ている部分に設けてもよい。
また、経路形成面32は、この形状に限定されるものではない。ただし、定着ニップNの出口側の曲率半径を10mm以下となるように設定することが好ましい。さらには、その曲率部分を90度以上確保した上で、その他の部分をできるだけ大きく膨らませた形状にすることが好ましい。このように、定着ニップNの出口側の曲率半径を10mm以下とし、さらには、その曲率部分を90度以上確保することによって、被記録材19の分離がより確実となる。また、定着ニップNの出口側以外の部分を大きく膨らませることによって、ハロゲンランプ6を配置するための広い空間を確保することができる。
また、経路形成面32は、必ずしも全面が連続した形状である必要はなく、経路形成面32は部分的に切り欠かれた形状であってもよいことは言うまでもない。
さらに、片寄り規制部35は、前述の如く陰領域Kの全域に設けられていてもよいし、陰領域Kの一部だけに設けられていてもよい。また、片寄り規制部35は、停電などで定着ベルト2の回転が停止したときに、定着ベルト2がハロゲンランプ6の余熱により熱膨張をほとんど起こさない範囲であれば、陰領域Kから照射領域Lにはみ出して設けられていてもよい。
さらにまた、本実施形態では、環状突出部34が、片寄り規制部35と座繰り部36との2段構成になっているが、座繰り部36がフランジ部33と面一に形成される、即ち、フランジ部33に片寄り規制部35だけが設けられる構成であっても構わない。
尚、本実施形態に係る経路形成部材3は、経路形成部31とフランジ部33とを有しているが、これに限られるものではない。例えば、経路形成部材3は、図8,9に示すように、前記経路形成面32を有すると共に前記定着ベルト2の端部に嵌め込まれる経路形成部31を有し、フランジ部を有さない構成であってもよい。経路形成部31の軸方向端面にはネジ孔が形成されており、経路形成部材3は、フレーム11に対してネジによって取り付けられる。かかる構成の場合、片寄り規制部35は、図8に示すように、フレーム11に設けられていてもよく、あるいは、図9に示すように、経路形成部31のうち定着ベルト2の軸方向端部から外側に出ている部分に設けられていてもよい。ただし、そのような場合であっても、片寄り規制部35は、定着ベルト2のうち陰領域Kに位置する部分の軸方向端面に対向する位置にのみ設けられている。そして、逃げ空間37は、定着ベルト2のうち照射領域Lに位置する部分の軸方向端面とフレーム11との間に形成される。つまり、かかる構成ではフレーム11が対向部材を構成する。
また、経路形成部材3の表面には、熱放射率の低い金属膜が形成されている。この金属膜は、経路形成面32とフランジ部33の取付面33bとを電気的に導通させる導電性被膜として機能すると共に、経路形成部31の内周面(経路形成面32と反対側の面)において、ハロゲンランプ6からの熱線を反射する機能を有する。
すなわち、経路形成部材3の表面に金属膜を形成することに加えて、定着ベルト2の基材2aに導電性を持たせ且つフレーム11を金属製とすることによって、定着ベルト2を経路形成部材3を介してフレーム11と導通させることができるため、定着ベルト2が帯電することを防止することができる。こうすることで、定着ベルト2が経路形成面32と摺擦したときに該定着ベルト2が帯電し、それが原因で定着ニップNの入口側で被記録材19上の潜像を乱すということを防止することができる。また、経路形成部31の内周面に金属膜を形成することによって、ハロゲンランプ6の輻射によって経路形成部材3が経路形成部31の内周面側から加熱されることを防止することができる。
本実施形態では、経路形成部材3全体を、一般的な無電解ニッケルめっき層の中に入れることで、経路形成部材3のほぼ全面にニッケルめっきを施した。こうすることで、めっきする際に手間のかかるマスキングなどの工程を省くことができる。尚、金属膜としては、無電解ニッケルめっき以外に、薄肉のアルミ箔などで形成してもよい。
尚、本実施形態では、取付面33bに金属膜を形成しているが、これに限られるものではなく、経路形成面32とフレーム11とを電気的に導通させる構成であれば任意の構成を採用することができる。例えば、取付面33bに金属膜を形成せず、フランジ部33の経路形成部31が取り付けられている側の面及び経路形成面32に金属膜を連続的に設け、フランジ部33を金属製のネジでフレーム11に取り付けることによって、経路形成面32からフレーム11まで、フランジ部33の経路形成部31が取り付けられている側の面及びネジを介して電気的に導通させる構成であってもよい。図8,9に示す、フランジ部を有さない経路形成部材3の場合には、フレーム11に当接する経路形成部31の軸方向端面と、経路形成面32とに金属膜を連続的に形成すればよい。
(加圧ローラ)
加圧ローラ4は、直径18mmのSUS製の芯金4aと、該芯金4aの外周面上に形成されたシリコーンゴム4bと、シリコーンゴム4bの外周面に形成された厚さ50μmのPFA層(図示省略)とを有している。加圧ローラ4全体としての外径は、24mmである。シリコーンゴム4bは、厚みを約3mm、硬度を10度(JIS−A)、熱伝導率を0.4W/m・Kとしている。加圧ローラ4の全長(即ち、外形24mm部分の軸方向の長さ)は、定着ベルト2よりも若干短い332mmとした。
加圧ローラ4は、直径18mmのSUS製の芯金4aと、該芯金4aの外周面上に形成されたシリコーンゴム4bと、シリコーンゴム4bの外周面に形成された厚さ50μmのPFA層(図示省略)とを有している。加圧ローラ4全体としての外径は、24mmである。シリコーンゴム4bは、厚みを約3mm、硬度を10度(JIS−A)、熱伝導率を0.4W/m・Kとしている。加圧ローラ4の全長(即ち、外形24mm部分の軸方向の長さ)は、定着ベルト2よりも若干短い332mmとした。
この加圧ローラ4は、その軸心が定着ベルト2の軸方向と平行となった状態で、該定着ベルト2に対して外周側から当接し且つ押し付けられている。詳しくは、加圧ローラ4の両端には、図2,6に示すように、芯金4aを小径化した軸4cが延び出ており、この軸4cはベアリング41を介して保持レバー42に回動自在に取り付けられている。この保持レバー42は、図示を省略するが、定着ベルト2の方向へ移動可能な状態でフレーム11に対して取り付けられ、保持レバー42がバネ(図示省略)で定着ベルト2側へ付勢されている。こうして、加圧ローラ4は、フレーム11に対して回転自在に支持されると共に、定着ベルト2側に押し付けられる。定着ベルト2の内周側には、詳しくは後述する支持体5が設けられており、加圧ローラ4の押圧力(即ち、加圧力)は該支持体5によって受け止められる。その結果、定着ベルト2の一部は、加圧ローラ4と支持体5とに挟持された状態となり、定着ベルト2と加圧ローラ4の間に定着ニップNが形成される。
本実施形態では、加圧ローラ4全体の加圧力を294N(30kgf)に設定した。このとき、定着ニップNの幅は約8mmとなった。
また、加圧ローラ4は、図示を省略するが、軸に取り付けられたギアやプーリを介して駆動装置によって回転駆動される。すなわち、加圧ローラ4は、定着ベルト2との間に定着ニップNを形成した状態で回転駆動される。
尚、定着ニップNに加圧ローラ4の全長(軸方向の最大長さ)よりも短い幅の被記録材を連続して通過させた場合、加圧ローラ4における、被記録材の幅よりも外側の領域では、被記録材に熱を吸収されないため、温度が上昇する。そこで、シリコーンゴム4bとして、熱伝導性の良い材料を用いることによって、この被記録材の外側の領域の温度上昇を効果的に防止できる。
(支持体)
図10は、支持体5の斜視図である。
図10は、支持体5の斜視図である。
前記支持体5は、図1,10に示すように、断面形状がT字形状をし、定着ベルト2の軸方向に延びる棒状の部材である。支持体5は、平板状の平板部51aと平板部51aの幅方向中央に立設されたリブ部51bとで構成された断面T字形状の支持体本体51と、該支持体本体51の平板部51aの、リブ部51bとは反対側に設けられた耐熱性樹脂製の断熱部材52と、定着ニップNを形成しやすくするために、断熱部材52よりも弾性のある耐熱性ゴムからなるニップ形成部材53とを有している。支持体本体51は、定着ベルト2及び経路形成部材3の外側まで延びており、経路形成部材3の外側でフレーム11に固定されている(図示省略)。
支持体本体51の材料としては、鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、またこれらの金属の合金等を用いることができる。
断熱部材52の材料としては、PPS、液晶ポリマー、PEEK等を用いることができ、好ましくは熱伝導率が低く、支持体5と定着ベルト2の間を断熱するものがよい。
ニップ形成部材53の材料としては、シリコーンゴムや、フッ素ゴム等を用いることができる。
本実施形態においては、断熱部材52としてPPSを用い、ニップ形成部材53として硬度50度のシリコーンゴム、厚さ1.5mmのものを使用している。
また、ニップ形成部材53のうち加圧ローラ4と対向する部分にはニップ形成面53aが形成されている。このニップ形成面53aには、低摩擦係数の摺動シート54が設けられている。こうして、ニップ形成部材53は、摺動シート54を介して定着ベルト2の内周面に当接している。尚、この摺動シート54は必ずしも必要ではなく、ニップ形成部材53のニップ形成面53aにフッ素樹脂等の低摩擦材をコーティングしたものを用いてもよい。この摺動シート54としては、薄くて摩擦係数が小さく、耐摩耗性の高い材料を用いることが好ましい。
このように構成された支持体5は、定着ベルト2内において、定着ベルト2に対して外周側から加圧する加圧ローラ4の加圧力を受け止めて、定着ベルト2と加圧ローラ4との間に定着ニップNを形成させる。このとき、定着ベルト2が可撓性を有すると共に、加圧ローラ4及び支持体5のニップ形成部材53はそれぞれ弾性を有しているため、これらの材質及び加圧力に応じて、適宜変形し、定着ベルト2と加圧ローラ4との間に所定の幅(被記録部材通過方向への寸法であって、以下、ニップ幅ともいう)を有する定着ニップNが形成される。
さらに、本実施形態では、定着ベルト2の定着ニップNの入口側と出口側とに変形防止リブ8a,8bを軸方向に複数設けている。この変形防止リブ8a,8bは、通常時においては定着ベルト2に接触していない。しかし、定着ベルト2が何らかの原因で内方に変形した場合には、定着ベルト2の内周面に当接して、定着ベルト2が所定の回転経路を逸脱することがないよう、定着ベルト2の全長に亘ってその回転経路を一定の形状に規制するものである。
尚、支持体本体51は加圧ローラ4からの強い加圧力を受け止めるため、支持体5の軸方向中央部は、加圧ローラ4から逃げる方向にたわみを生じる。たわみが大きいと、ニップ幅が軸方向の端部と中央で大きく異なり、定着の不均一や被記録材19の走行不安定を引き起こす。そのため、支持体5は、軸の曲げ方向へのたわみに対する剛性が高いことが好ましい。そのため、支持体本体51の材料としてはヤング率の大きなステンレスや鉄材を用いるのが好ましい。また、軸の曲げ方向へのたわみに対する剛性を高めるべく、許容できる範囲で加圧ローラ4の加圧力が作用する方向への寸法を大きくした形状であることが好ましい。さらには、支持体本体51を予め、たわみ曲線に応じて加圧ローラ4側に凸状に湾曲させた形状として、加圧ローラ4からの加圧力を受けることによって、平坦に変形するように構成してもよい。例えば、支持体本体51を鉄製とし、加圧ローラ4の加圧力を294N(30kgf)とした場合、中央部で約0.7mmのたわみを発生するので、そのたわみ曲線に沿って中央部を凸の形状とすればよい。こうすることで、軸方向の全域に亘って均一なニップ幅と加圧力を確保することができる。尚、必ずしも支持体本体51を中央部凸形状に形成する必要はなく、断熱部材52やニップ形成部材53等を中央部凸形状としてもよい。すなわち、支持体5として中央部凸形状となっていれば、同様の効果を得られることは言うまでもない。
また、断熱部材52とニップ形成部材53とは、本実施形態では、別々に構成しているが、図11に示すように、ニップ形成部材53を耐熱性樹脂で形成することによって、両者を一体に構成してもよい。断熱部材52及びニップ形成部材53を耐熱性樹脂で一体に構成すれば、部品点数も少なくでき、コスト削減が容易となることは言うまでもない。さらには、支持体本体51を耐熱性樹脂等の断熱部材で形成することで、支持体5を全体として一体に構成してもよい。
さらに、摺動シート54は、図12に示すように、それ自体の周方向における両端を、支持体本体51及び断熱部材52で確実に固定してもよい。これにより、被記録材19が詰まって、その処理のために定着ベルト2を通常と逆回転させても、摺動シート54が正常な位置からずれることがない。尚、定着ベルト2を逆回転しても摺動シート54が正常な位置からずれなければ、必ずしも、かかる構成でなくてもよい。
さらにまた、図13に示すように、断熱部材52の一部を切り欠き、そこにサーミスタ12を配設してもよい。サーミスタ12は、定着ニップNの入口側近傍に配置されて、定着前の定着ベルト2の内周面の温度を検出している。このサーミスタ12の検出結果に基づいて、定着ベルト2の温度が一定に保たれるように、ハロゲンランプ6がON/OFF制御される。尚、サーミスタ12は、定着ベルト2の軸方向に複数配置することが好ましい。こうすることで、より細かな温度制御を行うことができる。
サーミスタ12のリード線13は、遮蔽板7と支持体5との間の空間を通って、定着装置1の外側へ導かれ、図示しない温度制御装置と接続される。サーミスタ12及びそのリード線13は、遮蔽板7によりハロゲンランプ6の光が直接照射されることがなく、また、遮蔽板7とは空間を設けて配置されているため、過剰に加熱されて破損することがない。さらに、遮蔽板7と支持体5と間に断熱部材55を配設することによって、サーミスタ12及びリード線13の加熱による破損をより確実に防止することができる。断熱部材55としては、例えばヒュームドシリカ(5〜30nm)の形成体であるPorextherm WDS(黒崎播磨株式会社製。200℃における熱伝導率0.021W/m・K)などが有効である。このサーミスタ12が温度検出手段を構成し、リード線13が配線を構成する。
また、定着ベルト2の温度を測定するためのサーミスタ12を、断熱部材52に配設しているが、これに限られるものではない。サーミスタ12は、定着ベルト2の温度を測定できる限りにおいては、任意の場所に配置することができる。
(ハロゲンランプ)
前記ハロゲンランプ6は、定着装置1の加熱源であって、円筒状のガラス管内にタングステンフィラメント63が配置されて構成されている。ハロゲンランプ6は、点灯される、フィラメント63から定着ベルト2へ向かって熱線が照射される。こうして、ハロゲンランプ6は、輻射によって定着ベルト2を非接触で加熱する。このハロゲンランプ6が加熱源を構成する。
前記ハロゲンランプ6は、定着装置1の加熱源であって、円筒状のガラス管内にタングステンフィラメント63が配置されて構成されている。ハロゲンランプ6は、点灯される、フィラメント63から定着ベルト2へ向かって熱線が照射される。こうして、ハロゲンランプ6は、輻射によって定着ベルト2を非接触で加熱する。このハロゲンランプ6が加熱源を構成する。
本実施形態に係るハロゲンランプ6は、100V用で約900Wの出力が可能となっている。このハロゲンランプ6の出力は、用いるトナーや被記録材19、定着の速度、要求されるウォームアップ時間などによって適宜選択される。このハロゲンランプ6は、定着ベルト2内において、その軸心が定着ベルト2の軸方向と平行となるように配設され、その端部が定着ベルト2及び経路形成部材3の外側まで延びており、経路形成部材3の外側でフレーム11に固定されている(図示省略)。
ハロゲンランプ6は、図1に示すように、定着ベルト2の内部空間において、加圧ローラ4と定着ニップNの中心を結んだZ線よりも定着ニップNの入口側の広い空間、即ち、図7に示すように、断面形状が大径部と小径部とを有する鶏卵状をした定着ベルト2の内部空間において、大径部に相当する位置に配置されている。この大径部は、定着ベルト2が大きく膨らんで、内周面が拡大された部分である。また、定着ベルト2の内周面のうち、遮蔽板7よりもハロゲンランプ6側の空間に位置する部分の方が、遮蔽板7よりも支持体5側の空間に位置する部分よりも広くなっている。こうすることによって、定着ベルト2の断面形状を円形に形成する場合と比較して、ハロゲンランプ6からの熱線を定着ベルト2の内周面における広い範囲で吸収している。
本実施形態では、定着ベルト2とハロゲンランプ6との距離を6.5mm以上確保している。ハロゲンランプ6が配置されている場所は、定着ベルト2が大きく膨らんだ部分であるため、定着ベルト2とハロゲンランプ6との距離を容易に確保することができる。尚、定着ベルト2とハロゲンランプ6との最低距離は、使用する熱源の種類や、定着ベルトの材質や厚さなどによって適宜選択する必要がある。
また、ハロゲンランプ6は、フィラメントコイル63が略均一に巻かれた、両端部以外の大部分を占める発熱部61と、両端部に設けられた、ほとんど発熱しない非発熱部62とを有している。発熱部61においては、フィラメントコイル63が、定着装置1が想定している被記録材19の最大幅(本実施形態の場合、A3サイズの約300mm)内でほぼ均一に巻かれており、最大幅内ではできるだけ均一な発光分布が得られるようにしている。尚、定着ベルト2の厚みが極めて薄いため、一般のヒートローラ定着器で用いられるように両端部での発光量を多くして両端部の温度低下を防ぐ必要が無く、発光部の端部もほぼ均一な光量分布としている。一方、非発熱部62においては、発熱部61においてコイル状に巻かれたフィラメント63の端部を解いた状態でハロゲンランプ6の端部に設けられたコネクタ64まで延ばしている。こうすることで、非発熱部62は、ハロゲンランプ6を点灯しても、ほとんど発熱しないか、又は、発熱部61に比べて発熱量が著しく抑えられている。
本実施形態では、ハロゲンランプ6の発熱部61を320mmとし、両端の経路形成部材3,3の間(詳しくは、経路形成部31,31,の先端間)の距離(330mm)より短くなるように設定した。こうすることで、ハロゲンランプ6の端部は経路形成部材3の外側まで延びているが、経路形成部材3と重なる部分ではハロゲンランプ6が発熱しないようにして、経路形成部材3を積極的に加熱することを防止している。
尚、本実施形態では加熱源としてハロゲンランプ6を用いたが、加熱源としてはハロゲンランプに限定されるものではなく、立ち上がりが早く且つ赤外線を効率よく発光するものであれば任意の加熱源を採用することができる。たとえば、石英ガラス管内に発熱源として炭素系発熱材料を用いたカーボンランプヒーターは赤外線を効率よく発光し、立ち上がりも比較的早いので好適である。
また、ハロゲンランプ6が局所的に加熱することがないように、ハロゲンランプ6の周方向全体に熱線を放射する、指向性を有さない特性を持ったハロゲンランプ6を使用している。このように、指向性を有さないハロゲンランプ6を用いることが好ましい。ただし、指向性を有するハロゲンランプ6を用いてもよい。指向性を有するハロゲンランプにおいても、定着ベルト2を局所的に加熱しないという観点からは、照射範囲Lが可及的に広いことが好ましい。例えば、図14に示すように、ハロゲンランプ6の一部に反射膜65を設けることで遮蔽板7に対して熱線を照射しないような指向性を持ったハロゲンランプ6であれば、反射膜65の有無によって照射領域Lの範囲は変わらず、照射範囲Lを可及的に広くすることができるので好ましい。
(遮蔽板)
遮蔽板7は、ハロゲンランプ6に対して支持体5を遮蔽して、ハロゲンランプ6からの熱線が支持体5に直接吸収されることがないようにするものであって、定着ベルト2のみを効率よく加熱するためのものである。この遮蔽板7が遮蔽体を構成する。
遮蔽板7は、ハロゲンランプ6に対して支持体5を遮蔽して、ハロゲンランプ6からの熱線が支持体5に直接吸収されることがないようにするものであって、定着ベルト2のみを効率よく加熱するためのものである。この遮蔽板7が遮蔽体を構成する。
この遮蔽板7は、図1に示すように、定着ベルト2の内部においてハロゲンランプ6と支持体5との間で、定着ベルト2の軸方向に延びて設けられている。こうすることで、定着ベルト2の内周面は、その周方向において、ハロゲンランプ6からの熱線が照射される部分(照射領域Lに位置する部分。以下、照射部分ともいう。)と、遮蔽板7の陰となってハロゲンランプ6からの熱線が照射されない部分(陰領域Kに位置する部分。以下、非照射部分ともいう)とに分割される。
遮蔽板7は、断面山型の板状の部材であって、定着ベルト2の軸方向に直交する断面形状がハロゲンランプ6側に凸状に形成されている。遮蔽板7の材料としては熱放射率が0.1以下のものがよく、銅、アルミニウム、ステンレス等の表面光沢のある金属材料が好ましい。このように、遮蔽板7は、ハロゲンランプ6からの熱線をできる限り吸収しないように、少なくともハロゲンランプ6側の表面が光を反射するように形成されている。
この遮蔽板7は、その一部に接続部(図示省略)を設けて、該接続部を介して断熱部材52に固定している。そして、遮蔽板7と支持体5との間には断熱空間が形成されている。こうして、遮蔽板7は、支持体5との間が断熱されており、遮蔽板7が熱線を吸収して加熱されたとしても、その熱が支持体5に伝導しないように構成されている。
さらに、遮蔽板7の端部は、経路形成部材3の外側まで延びている。こうすることによって、ハロゲンランプ6から熱を受けたとしても、その熱を定着ベルト2外へ放熱することができ、遮蔽板7が変形したり、変色したりすることを防止することができる。尚、遮蔽板7の材料として銅やアルミニウムなど熱伝導性の良い金属を用いることによって、遮蔽板7の熱をより効率良く放熱することができる。遮蔽板7の熱をさらに効率良く放熱させるために、例えば、遮蔽板7のうち、経路形成部材3より外側の部分の面積を広くする構成にしたり、遮蔽板7の端部をフレーム11に接触させたりしてもよい。
また、遮蔽板7をハロゲンランプ6側に凸状に形成することによって、遮蔽板7を平坦な部材で形成する構成と比較して、定着ベルト2の内周面のうち照射部分の面積(換言すれば、横断面上の周長)を拡大することができる。すなわち、同じ構成の支持体5を遮蔽する場合、遮蔽板7を平板で構成すると、定着ベルト2内における遮蔽板7よりも支持体5側の空間の横断面は、略半円状又は略弓形状になる。それに対し、遮蔽板7をハロゲンランプ6側に凸状に形成すると、定着ベルト2内における遮蔽板7よりも支持体5側の空間の横断面は、中心角が180°未満の略扇形状となり、定着ベルト2の内周面のうち支持体5側の空間に位置する部分を可及的に低減することができる。その結果、定着ベルト2の照射部分の面積を可及的に拡大することができる。
別の見方をすると、仮に、定着ベルト2の内周面のうち、遮蔽板7に覆われた部分の面積を同じとすると、遮蔽板7を平板で構成する場合、支持体5を収容する空間が略半円状又は略弓形状となるのに対し、遮蔽板7をハロゲンランプ6側に凸状に形成する場合、支持体5を収容する空間が略扇形状となり、前述の略半円状又は略弓形状よりも拡大することができる。
さらに、仮に遮蔽板7を支持体5側に凸状に形成すると、遮蔽板7はハロゲンランプ6から見て凹面となり、ハロゲンランプ6から放射されて遮蔽板7で反射する熱線が、定着ベルト2の内周面の所定の箇所に集中する可能性がある。それに対し、遮蔽板7をハロゲンランプ6側に凸状に形成することによって、ハロゲンランプ6から照射されて遮蔽板7で反射する熱線は、様々な方向に散乱し、定着ベルト2の内周面の所定の箇所に集中することを防止することができる。
本実施形態では、図1に示すように、遮蔽板7を板金曲げにて加工して、遮蔽板7の支持体5側に、ハロゲンランプ6側に凸状の空間を形成し、該凸状の空間内に支持体本体51のリブ部51bが位置するようにしている。
尚、遮蔽板7は、その一部に接続部を設け、該接続部を介して断熱部材52に固定しているが、より完全に断熱するには他の断熱部材を介して固定してもよいことはいうまでも無い。
さらに、本実施形態では、遮蔽体として遮蔽板7を採用しているが、これに限られるものではない。例えば、図15に示すように、ハロゲンランプ6側に凸状であれば、耐熱性樹脂製の部材の表面にメッキ加工をしたブロック状の遮蔽体71であったり、アルミなどの金属を引抜き加工で形成したものであってもよい。
また、本実施形態においては遮蔽板7と支持体5との間に一定の空間を設け、遮蔽板7と支持体5とを断熱したが、この空間に積極的に断熱部材を配置して遮蔽板7の熱を伝えないようにすることも有効である(図13参照)。例えば、定着装置1が、図1と上下逆になるように配設された場合には、遮蔽板7と支持体5との間に断熱部材を配置して空気の対流を抑えることが特に効果的である。断熱部材としては、例えばヒュームドシリカ(5〜30nm)の形成体であるPorextherm WDS(黒崎播磨株式会社製。200℃における熱伝導率0.021W/m・K)などが有効である。さらには、断熱部材は図13に示すような配置に限られず、断熱部材が遮蔽板7と支持体5との間に充填される構成であってもよい。
さらに、ハロゲンランプ6と遮蔽板7の位置関係は図示したものに限定されるものではない。また、ハロゲンランプ6と遮蔽板7の位置関係や形状により陰領域Kの位置や範囲が変わり、それに伴い、前記経路形成部材3の片寄り規制部35の位置や寸法も変わることは言うまでもない。
また、図16,17に示すように、経路形成部材3の経路形成部31の先端面と対向する位置に端部遮蔽板9を設けてもよい。この端部遮蔽板9は、ハロゲンランプ6(特に発熱部61)から経路形成部31を遮蔽すると共に、ハロゲンランプ6からの熱線を反射して、熱線が経路形成部材3に直接吸収されることがないようにするものである。この端部遮蔽板9を設けることによって、定着ベルト2のみを効率よく加熱することができる。端部遮蔽板9の材料としては、熱放射率が0.1以下のものがよく、銅やアルミニウム、ステンレスなどの表面光沢のある金属材料が好ましい。
端部遮蔽板9の、経路形成部31の先端面と対向する端部とは反対側の端部91は、経路形成部材3の外側まで延びている。こうすることによって、ハロゲンランプ6からの輻射熱を定着ベルト2外へ放熱することができ、その結果、端部遮蔽板9が変形したり、変色したりすることを防止することができる。端部遮蔽板9を銅やアルミニウム等の熱伝導性の高い金属を使うと、ハロゲンランプ6より受けた熱を効率良く放熱することができる。尚、端部遮蔽板9のうち、経路形成部材3より外側の部分の面積を広くしたり、フレーム11に接触させたりすることによって、端部遮蔽板9の熱をさらに効率良く放熱することができる。
(動作説明)
このように構成された定着装置1の動作を詳しく説明する。
このように構成された定着装置1の動作を詳しく説明する。
前記加圧ローラ4が、支持体5に対応する位置において、定着ベルト2の外周面に所定の加圧力で押し付けられると、定着ベルト2が加圧ローラ4と支持体5とで挟み込まれた状態となり、定着ベルト2と加圧ローラ4との当接部に定着ニップNが形成される。この状態で、駆動手段(図示省略)により加圧ローラ4が回転駆動されると、定着ベルト2は、加圧ローラ4との摩擦力により従動回転する。尚、定着ベルト2の内周面は摺動シート54を介して支持体5と接触しているため、定着ベルト2と支持体5との間の摩擦力は小さく、定着ベルト2は摺動シート54に対して滑りながら移動していく。このとき、定着ベルト2は、その両端部に経路形成部材3の経路形成部31が嵌め込まれているため、経路形成面32に沿った形状をほぼ保ったまま回転する。このとき、定着ベルト2は、その両端部の経路形成部31のフランジ部33に設けられた片寄り規制部35によって、軸方向への移動が所定の範囲内に規制されている。
定着ベルト2が従動回転し始めると、ほぼ同時にハロゲンランプ6が点灯されて、定着ベルト2の内面を照射する。このとき、定着ベルト2は回転しており、定着ベルト2の内周面のうち、遮蔽板7に覆われていない照射領域Lに位置する部分が、ハロゲンランプ6からの熱線を順次吸収していく。こうして、定着ベルト2は急速に昇温する。尚、このときハロゲンランプ6から出て遮蔽板7に当たった熱線もほとんどが反射されて、照射領域Lに位置する定着ベルト2に吸収される。
定着ベルト2がやがて所定の温度に達すると、トナー像を担持した被記録材19が定着ニップNに搬送されてくる。被記録材19上のトナー像は、定着ニップNにおいて、高温となった定着ベルト2によって加熱溶融されると共に、加圧ローラ4によって加圧されて、被記録材19上に順次定着される。尚、定着ベルト2の温度は、サーミスタで検知され、温度制御装置によりハロゲンランプ6が適宜ON、OFFされることで、定着に必要な一定の温度に制御される。
トナー像が定着された被記録材19は、定着ニップNから排出される。定着ニップNの出口側では、定着ベルト2の曲率半径が小さくなっているため、被記録材19はそれ自身の復元力によって定着ベルト2から順次分離していく。被記録材19の後端が定着ニップNを通過することで、定着装置1の定着処理が終了する。
ここで、停電により定着装置1が停止した場合には、加圧ローラ4の回転駆動が停止すると共に、ハロゲンランプ6の発光も停止する。ハロゲンランプ6は、消灯しても、余熱を有している。すなわち、ハロゲンランプ6が消灯しても、定着ベルト2はハロゲンランプ6の余熱によりしばらくの間、加熱され続ける。このとき、定着ベルト2が回転していれば、定着ベルト2は、照射領域Lにおいて加熱されても、その後、定着ニップNまで回転移動して該定着ニップNにおいて被記録材19又は加圧ローラ4に放熱することになる。しかし、停電時は加圧ローラ4の停止により定着ベルト2の回転が停止するため、定着ベルト2のうち、照射領域Lに位置する部分は照射領域Lに位置し続け、ハロゲンランプ6の余熱によりずっと加熱され続ける。こうして、定着ベルト2のうち、該照射領域Lに位置する部分は、通常運転時以上の温度となる。
それに対し、本実施形態では、遮蔽板7をハロゲンランプ6側に凸状に形成することによって、遮蔽板7を平坦な部材で形成する構成と比較して、定着ベルト2の内周面のうち照射部分の面積を拡大している。こうして、定着ベルト2のより広い部分で停電時のハロゲンランプ6の余熱を吸収している。
したがって、本実施形態によれば、遮蔽板7をハロゲンランプ6側に凸状に形成することによって、定着ベルト2の内周面のうち照射部分の面積を拡大して、定着ベルト2の照射部分が受ける、単位面積あたりの熱量を低減することができる。その結果、停電時において、定着ベルト2の温度がその耐熱温度を超えることを防止して、定着ベルト2の破損を防止することができる。このとき、定着ベルト2の内周面のうち遮蔽板7で覆っている部分を小さくすべく遮蔽板7の大きさを単に小さくするのではなく、遮蔽板7をハロゲンランプ6側に凸状に形成することによって、遮蔽板7と定着ベルト2との間に支持体5を収容するスペースを確保することができる。
また、遮蔽板7と支持体5との間を断熱空間又は断熱部材を介して断熱することによって、ハロゲンランプ6からの輻射により遮蔽板7が加熱された場合であっても遮蔽板7の熱が支持体5に伝導することを防止し、ウォームアップ時間が長くすることを防止することができる。かかる構成の場合、遮蔽板7と支持体5との間に断熱空間又は断熱部材を介設させるために、遮蔽板7よりも支持体5側の空間が大きくなってしまい、平坦な形状の遮蔽板7では、定着ベルト2の内周面のうち、遮蔽板7に遮蔽された非照射部分の面積が大きくなってしまう。それに対して、本実施形態では、前述の如く、遮蔽板7をハロゲンランプ6側に凸状に形成することによって、遮蔽板7と定着ベルト2との間に支持体5を遮蔽板7と断熱した状態で収容するスペースを確保しつつ、定着ベルト2の内周面のうち照射部分の面積を拡大することができる。
さらに、遮蔽板7の支持体5側には、ハロゲンランプ6側の凸状の空間を形成し、該凸状の空間に支持体5のリブ部51bを収容することによって、遮蔽板7と定着ベルト2との間に形成される支持体5を収容するための空間をコンパクトに形成することができ、定着ベルト2の内周面のうち照射部分をさらに拡大することができる。
また、定着ベルト2の内周面のうち、ハロゲンランプ6からの熱線が照射される部分の面積は、遮蔽板7に遮蔽されてハロゲンランプ6からの熱線が照射されない部分の面積よりも広くなっている。こうすることによって、定着ベルト2の内周面のうち照射部分の面積を拡大する構成であっても、非照射部分の面積が拡大されることを防止し、定着ベルト2の小型化、ひいては、定着装置1の小型化を図ることができる。
さらに、遮蔽板7の端部を定着ベルト2の外側に位置させることによって、ハロゲンランプ6からの輻射により遮蔽板7が加熱された場合であっても、その熱を定着ベルト2の外側へ放熱することができ、遮蔽板7が変形したり、変色したりすることを防止することができる。
また、遮蔽板7のハロゲンランプ6側の面を反射面に形成することによって、ハロゲンランプ6から熱線を遮蔽板7が吸収することを防止することができる。
さらに、遮蔽板7と支持体5との間にサーミスタ12を配設すると共に、該遮蔽板7と支持体5との間の空間にサーミスタ12のリード線13を配設することによって、サーミスタ12及びリード線13の加熱による破損を防止しつつ、サーミスタ12を定着ベルト2の近傍に配設することができる。
さらにまた、遮蔽板7を板状の部材で形成することによって、遮蔽板7を容易に形成することができる。
また、本実施形態では、定着ベルト2の回転経路を経路形成部材3で非円形に形成することによって、定着ベルト2の回転経路を円形以外の所望の自由な形状に形成することができ、定着ベルト2の内周面のうち、照射部分の面積が拡大されるような回転経路を容易に形成することができる。具体的には、回転経路における、遮蔽板7を挟んで定着ニップNの出口部分と反対側の部分は、該出口部分よりも膨らんだ形状となっており、ハロゲンランプ6は、定着ベルト2内において、前記回転経路が膨らんだ部分に配設されている。こうすることによって、定着ベルト2の内周面のうち、定着ニップNの出口部分の面積を拡大することなく、照射部分の面積を拡大することができる。前述の如く、定着ベルト2の内周面のうち照射部分の面積が大きくなると、定着ベルト2のより広い部分で停電時のハロゲンランプ6の余熱を吸収することができる。つまり、かかる構成によっても、定着ベルト2の照射部分が受ける、単位面積あたりの熱量を低減することができる。その結果、定着ベルト2の温度がその耐熱温度を超えることを防止して、定着ベルト2の破損をより確実に防止することができる。
また、このように、定着ベルト2の回転経路を経路形成部材3で強制的に形成する構成において、経路形成面32を定着ベルト2の内周面に摺接させることで定着ベルト2の回転経路を規制することによって、定着ベルト2が内側へ変形し難くすることができる。その結果、定着ベルト2とハロゲンランプ6との間隔を維持することができ、定着ベルト2がハロゲンランプ6に近づき過ぎて損傷してしまうことを防止することができる。
さらに、定着ベルト2のうち定着ニップNの出口部分はハロゲンランプ6が配設された部分のように膨らんでいないため、定着ベルト2の照射部分の面積を拡大する構成であっても、定着ベルト2のうち定着ニップNの出口部分の曲率半径を小さいまま維持することができ、定着ニップNから排出される被記録材19を定着ベルト2から容易に分離させることができる。
また、経路形成部材3を定着ベルト2の軸方向両端に設けることによって、定着ベルト2の回転経路を前述のような所望の形状に、より確実に形成することができる。
さらに、本実施形態では、定着ベルト2のうち非照射部分の軸方向端面に対向する位置にのみ片寄り規制部35を設けて、定着ベルト2のうち照射部分の軸方向端面に対向する位置には片寄り規制部35を設けず、対向部材としてのフランジ部33やフレーム11との間に逃げ空間37を形成することによって、通常運転時の定着ベルト2の軸方向移動を規制しつつ、停電時において定着ベルト2がフランジ部33等と干渉して変形することを防止することができる。
すなわち、停電時には、定着ベルト2のうち、該照射領域Lに位置する部分は、通常運転時以上の温度となり、通常運転時に想定していた以上に熱膨張することになる。その結果、定着ベルト2の端部と経路形成部材3やフレーム11との干渉が問題となる。特に、本実施形態のように、定着ベルト2の一部を加圧ローラ4で加圧している構成においては、定着ベルト2の軸方向への移動が加圧ローラ4の加圧によって規制されるため、熱膨張を定着ベルト2の軸方向への移動で吸収することができない。つまり、定着ベルト2が回転中に軸方向の一方に移動してしまった場合には、定着ベルト2の他方の軸方向端部においてはフランジ部33やフレーム11との間に余裕がある。ここで、定着ベルト2が軸方向へ自由に移動できる構成であれば、定着ベルト2は、熱膨張する際に軸方向他方へ移動して、フランジ部33やフレーム11との干渉による変形を回避することができる可能性もある。しかしながら、定着ベルト2の軸方向移動が加圧ローラ4で規制されている構成においては、定着ベルト2が回転中に軸方向の一方に移動した状態のまま熱膨張し、定着ベルト2の一方側の軸方向端部はフランジ部33やフレーム11と干渉して変形する虞がある。
これに対し、本実施形態では、定着ベルト2の軸方向移動を規制する片寄り規制部35を、定着ベルト2のうち非照射部分の軸方向端面に対向する位置にのみ設けて、定着ベルト2のうち照射部分の軸方向端面に対向する位置には設けていない。そして、定着ベルト2のうち照射部分の軸方向端面とフランジ部33(図6等参照)又はフレーム11(図8,9参照)との間に逃げ空間37を形成している。定着ベルト2のうち照射部分の軸方向端面に対向する位置には、片寄り規制部35を設けず、フランジ部33との間に逃げ空間37を形成することによって、停電時において、ハロゲンランプ6の余熱によって熱膨張したとしても、定着ベルト2の端部がフランジ部33やフレーム11等と干渉することがなく、定着ベルト2の変形を防止することができる。一方、定着ベルト2のうち非照射部分は、停電時にハロゲンランプ6の余熱によって加熱されないため、ほとんど熱膨張を生じない。そこで、この定着ベルト2のうち非照射部分の軸方向端面に対向する位置に片寄り規制部35を設けることによって、通常運転時における定着ベルト2の軸方向への移動を規制することができる。そして、この部分は停電時であってもほとんど熱膨張しないため、停電時に定着ベルト2の端部が片寄り規制部35と干渉して変形することもない。
また、単に定着ベルト2の軸方向端面の全面に対向する位置に熱膨張用の空間を設けたのではなく、前述の如く、定着ベルト2の軸方向端面の一部には片寄り規制部35を設けて通常運転時における定着ベルト2の軸方向への移動を規制することによって、通常運転時においては片寄り規制部35,35間で定着ベルト2の軸方向への移動を所望の範囲に規制しつつ、定着ベルト2が一方の片寄り規制部35に当接又は近接したとしても、定着ベルト2の両端に常に所定の逃げ空間37を確保しておくことができる。その結果、停電しても、定着ベルト2の熱膨張を逃げ空間37で吸収して、熱膨張による定着ベルト2の変形を確実に防止することができる。つまり、片寄り規制部35は、通常運転時における定着ベルト2の軸方向移動を所望の範囲内に規制する機能だけでなく、通常運転時において一定の逃げ空間37を確保する機能を有する。
また、片寄り規制部35を定着ベルト2の両端部に設けることによって、定着ベルト2の軸方向移動を該軸方向の両側について確実に規制することができる。
さらに、片寄り規制部35をフランジ部33に設ける構成においては、片寄り規制部35を、定着ベルト2をフレーム11に支持するためのフランジ部33と一体に形成することによって、部品点数を削減することができると共に構成を簡略化することができる。それに加えて、経路形成部31も片寄り規制部35やフランジ部33と一体に形成することによって、部品点数をさらに削減することができると共に構成をさらに簡略化することができる。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係る定着装置201について説明する。
次に、本発明の実施形態2に係る定着装置201について説明する。
この実施形態2に係る定着装置201は、ニップ形成部材の構成が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる構成について中心に説明する。
図18は、実施形態2に係る定着装置201の横断面図である。
定着装置201は、支持体205のニップ形成部材253を、金属材料で形成している。このように、ニップ形成部材253を金属材料で形成することによって、定着ベルト2の温度を平滑化することができる。具体的には、ニップ形成部材253は、熱伝導性の良い銅やアルミニウムなどで形成されている。
つまり、定着ベルト2は、熱容量が小さいため、ハロゲンランプ6に軸方向の発熱ムラがあると、定着ベルト2にも軸方向に同様の温度ムラが発生しやすい。
また、定着ベルト2の温度ムラは、ハロゲンランプ6の発熱ムラ以外によっても発生する。詳しくは、定着ニップNのうち、被記録材19の通過領域よりも外側の領域、即ち、被記録材19を狭持していない領域では、定着ベルト2から被記録材19に熱が伝導しない。つまり、定着ベルト2のうち、被記録材19の通過領域外の部分は、放熱せず、その温度が過剰に上昇する傾向がある。その結果、定着ベルト2は、被記録材19の通過領域外の部分の温度が過剰に高く、そこから軸方向中央に向かって温度が徐々に低下していくような温度ムラを有することになる。この温度ムラは、想定している最大幅よりも小さな幅の被記録材19を連続的に通過させる場合に、特に問題となる。
そこで、本実施形態では、ニップ形成部材253を金属材料で形成することによって、定着ベルト2の温度分布の平滑化を図っている。すなわち、ハロゲンランプ6の熱は輻射によって定着ベルト2に伝わり、その熱は、定着ニップNにおいて定着ベルト2から被記録材19、ニップ形成部材253及び加圧ローラ4に伝導する。このとき、ニップ形成部材253は、定着ベルト2の内部に配設されているが、遮蔽板7によって遮蔽されているため、ハロゲンランプ6の輻射によって加熱されることはない。そのため、ニップ形成部材253は、定着ベルト2よりも低温となっており、定着ベルト2からニップ形成部材253へ熱が容易に伝導する。そして、定着ベルト2のうち高温部分からはより多くの熱がニップ形成部材253に伝導するため、定着ベルト2の温度分布と同様の分布でニップ形成部材253へ熱が伝導する。ところが、ニップ形成部材253は金属材料で形成されているため、ニップ形成部材253に伝導した熱はニップ形成部材253内を即座に伝導して、ニップ形成部材253の温度は迅速に平滑化される。つまり、定着ベルト2のうち被記録材19の通過領域外の部分からニップ形成部材253に伝導した熱は、より低温となっている、ニップ形成部材253の軸方向中央に向かって伝導していく。その結果、軸方向中央部などにおいては、被記録材19の通過領域内において、ニップ形成部材253の方が定着ベルト2よりも温度が高くなることもある。この場合には、ニップ形成部材253から定着ベルト2へ熱が伝導する。すなわち、ニップ形成部材253は、定着ベルト2のうち被記録材19の通過領域外の部分から吸熱するだけでなく、場合によっては、吸熱した熱を軸方向内方に伝導させて定着ベルト2へ再び伝導させる。こうして、ニップ形成部材253は、定着ベルト2の温度を平滑化する。そして、本実施形態では、ニップ形成部材253を金属材料の中でも熱伝導率の高い銅やアルミニウムで形成することによって、定着ベルト2の温度をより迅速に平滑化することができる。
したがって、本実施形態によれば、ニップ形成部材253を金属材料で形成することによって、定着ベルト2の温度分布を軸方向へ平滑にすることができる。その結果、定着ベルト2の端部が局所的に高温となって破損してしまうことを防止することができる。
ただし、ニップ形成部材253を金属材料で形成したとしても、ニップ形成部材253は、断熱部材52を介して熱容量の大きな支持体本体51と断熱されている。つまり、ニップ形成部材253を金属材料で構成すると、定着ベルト2の熱がニップ形成部材253へ伝導し易くなるが、ニップ形成部材253から支持体本体51への熱の流れは断たれているため、ウォームアップ時間が長期化することを防止することができる。つまり、ニップ形成部材253を金属材料で形成すると共に、ニップ形成部材253と支持体本体51との間に断熱部材52を介在させることによって、ウォームアップ時間をほとんど遅くすることなく、定着ベルト2の温度を平滑化することができる。
本実施形態では、ニップ形成部材253に、熱伝導率の良い銅板を厚さ1.5mmにして用いている。
また、図19に示すように、ニップ形成部材253は、想定される最大幅の被記録材が通過する領域(以下、最大通過領域ともいう)よりも外側に位置する部分253cの肉厚を薄く形成している。こうすることによって、定着ベルト2からニップ形成部材253に伝導した熱が、最大通過領域よりも外側へ伝導していくことを防止することができる。この定着ベルト2のうち、最大通過領域外の部分253cは、トナー像の定着に寄与しないため、加熱する必要がない。つまり、ニップ形成部材253のうち、最大通過領域外の部分253cの断面積を小さくすることによって、熱抵抗を大きくすることができる。それに加えて、本実施形態のように、最大通過領域外の部分253c全体の断面積を小さくすることによって、該最大通過領域外の部分253cの体積を減少させて熱容量を小さくすることができる。これらによって、該最大通過領域外の部分253cへ熱が伝導し難くすることができるため、ウォームアップ時間が長期化してしまうことを防止することができる。
ここで、ニップ形成部材253を最大通過領域だけでなく、定着ベルト2の全長に亘って設けると共に、ニップ形成部材253の最大通過領域外の部分253cの断面積を小さくすべく、ニップ形成部材253のうち断熱部材52側の部分を切削することによって、加圧ローラ4と対向するニップ形成面253aを、定着ベルト2の全長に亘って一様にすることができる。
すなわち、ニップ形成部材253の最大通過領域外の部分253cを設けない構成も考えられるが、ニップ形成部材253を最大通過領域だけに設けると、定着ベルト2は最大通過領域よりも長く形成されているため、ニップ形成部材253の軸方向端縁が定着ベルト2の内周面と摺接することになり、該定着ベルト2の内周面を傷つけてしまう虞がある。同様に、最大通過領域外の部分253cの断面積を小さくすべく、ニップ形成部材253のニップ形成面253a側を切削すると、該切削によってニップ形成面253aに端縁が形成され、この端縁で定着ベルト2の内周面を傷つけてしまう虞がある。それに対し、本実施形態では、定着ベルト2の内周面と摺接する、ニップ形成面253aを、定着ベルト2の全長に亘って一様に形成することができるため、ニップ形成部材253で定着ベルト2の内周面を傷つけることを防止することができる。つまり、ニップ形成面253aを軸方向において一様にしたままで、最大通過領域外の部分253cの断面積を小さくすることによって、定着ベルト2を傷つけることを防止しつつ、ウォームアップ時間の長期化を防止することができる。
尚、ニップ形成部材253のうち最大通過領域外の部分253cに、熱が伝導し難い構成であれば、任意の構成を採用することができる。例えば、図20に示すように、ニップ形成部材253のうち、最大通過領域外の部分253cの断面積を徐々に小さくする構成であってもよい。また、図21に示すように、ニップ形成部材253のうち、最大通過領域内の部分253bと最大通過領域外の部分253cとの間に切欠部253dを構成してもよい。このような構成であっても、定着ベルト2と摺接するニップ形成面253aは、軸方向において一様に形成することが好ましい。
《発明の実施形態3》
次に、本発明の実施形態3に係る定着装置301について説明する。
次に、本発明の実施形態3に係る定着装置301について説明する。
この実施形態3に係る定着装置301は、ニップ形成部材353の構成が実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる構成について中心に説明する。
図22は、実施形態3に係る定着装置301の横断面図である。
定着装置301に係る支持体305のニップ形成面353aは、加圧ローラ4が定着ベルト2を加圧する前の状態において、加圧ローラ4の外周面に沿うように、定着ベルト2の軸方向に直交する断面の形状が定着ベルト2の内方へ(即ち、加圧ローラ4とは反対側へ)凹むように湾曲している。定着ニップNは、被記録材19上のトナー像を適切に加熱及び加圧するために或る程度の幅が必要である。しかし、ニップ幅を拡大すべく、定着ベルト2の周長や加圧ローラ4の外径を大きくすると定着装置1の大型化を招いてしまい好ましくない。また、加圧ローラ4は円柱状であるため、定着ニップNが平坦である限り、ニップ幅を拡大するには限界がある。そこで、ニップ形成面53aを凹曲面とすることによって、定着ニップNを加圧ローラ4の外周面に沿って湾曲させて、定着ベルト2や加圧ローラ4の外径を大きくすることなく、ニップ幅を拡大している。
ここで、ニップ形成面353aの曲率半径は、図23の二点鎖線で示すように、加圧ローラ4が定着ベルト2を加圧する前の状態において、加圧ローラ4の外周面の半径よりも大きくなっている。こうすることによって、定着ニップNの入口側及び出口側において、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの幅方向縁部(以下、単に縁部ともいう)が定着ベルト2を介して加圧ローラ4の外周面に食い込んでしまうことを防止している。
すなわち、ニップ形成面353aを加圧ローラ4の外周面に沿うような凹曲面に形成することによって、定着ベルト2のうち定着ニップNの部分が、該定着ベルト2の内方に凹んだ形状となる一方で、定着ベルト2のうち定着ニップNの入口及び出口の部分は、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部によって、加圧ローラ4側に突出した稜状に形成される。この稜状の部分は、ニップ形成面が平面である場合でも形成されるが、ニップ形成面353aを凹曲面とすることによって、より尖鋭な形状となる。
ところで、加圧ローラ4は、定着ベルト2に対して設置される際に定着ベルト2側へ加圧されると、図23の実線で示すように、押し潰されるように変形し、変形した部分の曲率半径が大きくなる。
ここで、仮に、ニップ形成面353aの曲率半径と加圧ローラ4の外周面の半径とが同一であるとすると、加圧ローラ4が定着ベルト2を加圧する際に、加圧ローラ4が変形し、定着ニップNの出入口において、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が変形した加圧ローラ4の外周面に定着ベルト2を介して食い込むことになる。
それに対し、本実施形態では、ニップ形成面353aの曲率半径が加圧前の状態における加圧ローラ4の外周面の半径よりも大きくなっているため、加圧ローラ4とニップ形成部材353とで定着ベルト2を挟持しただけで、加圧力が作用していない状態では、定着ニップNの幅方向中央においては加圧ローラ4の外周面と定着ベルト2とニップ形成面353aとが互いに重なり合っているが、定着ニップNの縁部及びその近傍においては加圧ローラ4の外周面と定着ベルト2とニップ形成面353aとの間に互いに隙間が形成される(図23では、定着ベルト2と加圧ローラ4の外周面との間にのみ隙間が形成されている)。この隙間は、ニップ形成面353aの縁部に近付くほど広くなっている。つまり、この状態から、加圧ローラ4で定着ベルト2を加圧したとしても、図23に示すように、加圧ローラ4の変形を該隙間で吸収することができ、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面へ食い込むことを防止することができる。
尚、ニップ形成面353aの曲率半径は、加圧ローラ4の寸法、材質及び加圧力、定着ベルト2の材質、並びにニップ形成部材353の材質等に基づいて、加圧ローラ4が定着ベルト2を加圧する際に変形した場合であっても、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に食い込まない程度の値に設定されることが好ましい。こうすることで、加圧ローラ4の加圧時の変形に起因する、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部の加圧ローラ4への食い込みを防止することができる。
また、ニップ形成面353aの曲率半径を加圧前の状態における加圧ローラ4の外周面の半径よりも大きくすることによって、加圧ローラ4が定着ベルト2の外周面に当接する際に、加圧ローラ4の軸とニップ形成部材353の軸とがずれた場合においても、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に定着ベルト2を介して食い込むことを防止することができる。
つまり、ニップ形成面353aの曲率半径と加圧ローラ4の外周面の半径とが同一であれば、加圧ローラ4の軸とニップ形成部材353の軸とがずれた場合には、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面へ食い込んでしまう。
それに対して、本実施形態では、ニップ形成面353aの曲率半径が加圧前の状態における加圧ローラ4の外周面の半径よりも大きくなっている。そして、加圧ローラ4の形状は定着ベルト2を加圧しない限り変形しない。つまり、加圧ローラ4がニップ形成面353aに当接した状態においても、前述の如く、ニップ形成面353aの縁部及びその近傍において加圧ローラ4の外周面とニップ形成面353aとの間に隙間が形成される。その結果、加圧ローラ4を定着ベルト2に当接させる際に、加圧ローラ4の軸とニップ形成面353aの軸とがずれても、そのずれをニップ形成面353aの縁部及びその近傍の隙間で吸収することができ、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に食い込むことを防止することができる。
尚、ニップ形成面353aの曲率半径は、前述の、加圧ローラ4の寸法、材質及び加圧力、定着ベルト2の材質、並びにニップ形成部材353の材質等に加えて、加圧ローラ4の軸とニップ形成部材353の軸とのずれ量(例えば、組立公差)も考慮して、設定することが好ましい。つまり、ニップ形成面353aの曲率半径は、加圧ローラ4の軸とニップ形成部材353の軸とが想定される範囲内で最大限ずれると共に、加圧ローラ4が定着ベルト2を加圧する際に変形した場合であっても、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に食い込まない程度の値に設定されることが好ましい。こうすることで、加圧ローラ4の軸とニップ形成部材353の軸とのずれ及び加圧ローラ4の加圧時の変形に起因する、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部の加圧ローラ4への食い込みを防止することができる。
さらに、ニップ形成面353aの曲率半径を、図23に示すように、加圧ローラ4が定着ベルト2を加圧した状態における該加圧ローラ4のうち定着ニップNを形成する部分の外周面の半径よりも大きくすることによって、加圧ローラ4が熱膨張した場合においても、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に定着ベルト2を介して食い込むことを防止することができる。
つまり、本実施形態の加圧ローラ4は、定着装置1の運転中においては、加熱された定着ベルト2の熱が伝導するため、熱膨張して外径が大きくなる。つまり、加圧した状態において、ニップ形成面353aの曲率半径と加圧ローラ4のうち定着ニップNを形成する部分の外周面の半径とが同一であれば、加圧ローラ4が熱膨張した際には、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面へ食い込むことになる。
それに対して、ニップ形成面353aの曲率半径を、加圧した状態における加圧ローラ4の、定着ニップNを形成する部分の外周面の半径よりも大きくすることによって、加圧した状態であっても、図23に示すように、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部及びその近傍においては加圧ローラ4の外周面とニップ形成面353aとの間に隙間が形成されているため、この隙間で、加圧ローラ4の熱膨張を吸収することができる。その結果、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に食い込むことを防止することができる。
尚、ニップ形成面353aの曲率半径は、前述の、加圧ローラ4の寸法、材質及び加圧力、定着ベルト2の材質、ニップ形成部材353の材質、並びに加圧ローラ4の軸とニップ形成部材353の軸とのずれ量等に加えて、加圧ローラ4の熱膨張も考慮して、設定することがより好ましい。つまり、ニップ形成面353aの曲率半径は、加圧ローラ4の軸とニップ形成部材353の軸とが想定される範囲内で最大限ずれ、加圧ローラ4が定着ベルト2側に加圧されて変形し、さらには、加圧ローラ4が熱膨張した場合であっても、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に食い込まない程度の値に設定されることが好ましい。こうすることで、加圧ローラ4の軸とニップ形成部材353の軸のずれ、加圧ローラ4の加圧時の変形、加圧ローラ4の熱膨張に起因する、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部の加圧ローラ4への食い込みを防止することができる。
本実施形態では、加圧ローラ4は、前述の如く、直径18mmのSUS製の芯金外周面上に、シリコーンゴムを形成し、表層には厚さ50μmのPFA層を設けて、加圧ローラ4全体としての外径を24mm(半径で12mm)とし、シリコーンゴムは厚み約3mm、硬度は10度(JIS−A)としている。それに対して、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの曲率半径を21mmとしている。
したがって、本実施形態によれば、ニップ形成面353aの曲率半径を当接及び加圧前の加圧ローラ4の外周面の半径よりも大きくすることによって、加圧ローラ4を定着ベルト2に当接させる際に加圧ローラ4の軸とニップ形成部材353の軸とがずれた場合であっても、又その当接後、加圧ローラ4が定着ベルト2を加圧する際に加圧ローラ4が変形しても、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に食い込むことを防止することができる。
さらに、ニップ形成面353aの曲率半径を加圧後における加圧ローラ4のうち定着ニップNの部分の外周面の半径よりも大きくすることによって、加圧ローラ4が熱膨張しても、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に食い込むことを防止することができる。
このように、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部が加圧ローラ4の外周面に食い込むことを防止することで、定着ニップNにおける圧力がニップ形成部材353のニップ形成面353aの縁部では強く、ニップ形成面353aの幅方向中央部では弱いというような、定着ニップNにおける圧力の不均一を防止することができる。その結果、定着ニップNにおける圧力分布を可及的に均一にすることができ、トナー像を安定して定着することができる。それに加えて、定着ベルト2の表面や加圧ローラ4の表面に傷が付くことを防止することができるため、定着ベルト2や加圧ローラ4等の寿命が短くなることを防止することができると共に、それらの傷による定着性の悪化も防止することができる。
尚、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの形状は、加圧ローラ4が熱膨張したり、ニップ形成部材353に対してずれた場合であっても加圧ローラ4の表面を傷つけない形状であれば、必ずしも前述の形状でなくてもよい。
また、支持体305は、図24に示すように、ニップ形成部材353を耐熱性樹脂で形成することによって、ニップ形成部材353と断熱部材52とを一体に構成してもよい。さらには、支持体305全てを一体に形成してもよい。このような場合であっても、加圧ローラ4と対向する対向面をニップ形成面として前述の形状に形成すればよい。
さらに、加圧ローラ4は、ニップ形成部材353へ押し付けられることによっても、変形して外径が大きくなるため、この点においても、ニップ形成部材353のニップ形成面353aの曲率半径を加圧ローラ4の半径よりも大きくすることは有効である。
尚、前述の実施形態1〜3は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、被記録材上のトナー像を定着する定着装置について有用である。
1,201,301 定着装置
11 フレーム(対向部材)
12 サーミスタ(温度検出手段)
13 リード線(配線)
19 被記録材
2 定着ベルト
3 経路形成部材
31 経路形成部
31a 大径部
31b 小径部
32 経路形成面
33 フランジ部(対向部材)
35 片寄り規制部(規制部材)
37 逃げ空間
4 加圧ローラ
5 支持体
6 ハロゲンランプ(加熱源)
7 遮蔽板(遮蔽体)
71 遮蔽体
N 定着ニップ
11 フレーム(対向部材)
12 サーミスタ(温度検出手段)
13 リード線(配線)
19 被記録材
2 定着ベルト
3 経路形成部材
31 経路形成部
31a 大径部
31b 小径部
32 経路形成面
33 フランジ部(対向部材)
35 片寄り規制部(規制部材)
37 逃げ空間
4 加圧ローラ
5 支持体
6 ハロゲンランプ(加熱源)
7 遮蔽板(遮蔽体)
71 遮蔽体
N 定着ニップ
Claims (7)
- 被記録材上のトナー像を定着する定着装置であって、
所定の軸方向に延びる筒状に形成され、回転可能に支持された定着ベルトと、
前記定着ベルトに対して外周側から当接し且つ加圧して、該定着ベルトとの間に定着ニップを形成すると共に、その状態で回転駆動される加圧ローラと、
前記定着ベルト内に設けられ、前記加圧ローラの加圧力を前記定着ベルトの内周側から受け止めて該定着ベルトを支持する支持体と、
前記定着ベルト内に設けられ、該定着ベルトを内周側から加熱する加熱源と、
前記定着ベルト内において前記軸方向に延びて設けられ、前記支持体を前記加熱源から遮蔽すると共に該支持体との間が断熱された遮蔽体とを備え、
前記遮蔽体は、前記定着ベルトの軸方向に直交する断面形状が前記加熱源側に凸状に形成されていることを特徴とする定着装置。 - 前記遮蔽体の前記支持体側には、前記加熱源側に凸状の空間が形成されており、
前記支持体の少なくとも一部は、該凸状の空間に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記定着ベルトの内周面のうち、前記加熱源からの熱線が照射される部分の面積が前記遮蔽体に遮蔽されて前記加熱源からの熱線が照射されない部分の面積よりも広いことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
- 前記遮蔽体よりも前記支持体側の空間には、前記定着ベルトの温度を検出する温度検出手段が設けられており、
前記温度検出手段の配線は、前記遮蔽体よりも前記支持体側の空間を前記定着ベルトの軸方向へ、該定着ベルトの外側まで延びていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の定着装置。 - 前記遮蔽体は、前記加熱源側の表面が光を反射するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の定着装置。
- 前記遮蔽体は、前記定着ベルトの外側まで延びていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の定着装置。
- 前記遮蔽体は、板状の部材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の定着装置。
Priority Applications (1)
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JP2008183064A JP2010020248A (ja) | 2008-07-14 | 2008-07-14 | 定着装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008183064A JP2010020248A (ja) | 2008-07-14 | 2008-07-14 | 定着装置 |
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Family Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2008
- 2008-07-14 JP JP2008183064A patent/JP2010020248A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8953994B2 (en) | 2012-01-13 | 2015-02-10 | Ricoh Company, Ltd. | Fixing device and image forming apparatus incorporating same |
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