JP2010019835A - 農薬散布液の均一付着性の評価方法 - Google Patents

農薬散布液の均一付着性の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
農薬散布液が作物へ均一に散布かつ付着していることを適切に評価する方法を提供することにある。
【解決手段】
農薬散布液の作物表面への均一な付着性を評価する方法であって、蛍光剤を添加した農薬散布液を作物に散布する工程(a)、紫外線照射することで付着蛍光剤を検出する工程(b)、及び蛍光発色分布を計測する工程(c)、からなる農薬散布液の均一付着性を評価する方法。散布農薬液が対象作物に適切に散布されているかを評価できる方法であるとともに、対象作物に適切に散布され得る最適な農薬散布液の選抜評価に使用できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、作物表面への均一な付着性を指標とする農薬製剤の評価方法に関し、特に蛍光剤を添加した農薬散布液を散布することで簡便に作物への農薬製剤の付着性、付着分布を評価する方法である。また農薬散布液において、展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤の最適な組成を選抜するための評価方法に関するものである。
農薬散布において、農薬有効成分を作物表面に均一に付着させることは、適正な使用量においてその農薬効果を確実に発揮させるために重要である。非特許文献1には農薬製剤の付着均一性と害虫防除効果とに相関が見られることが報告されている。したがって農薬の適正な使用において、農薬製剤の種類、散布濃度、散布量等の散布条件のみならず、作物への均一付着性が農薬組成物における重要性能因子として注目されてきている。この場合、調製した農薬散布液が作物に均一に散布され、付着していることを確認する評価方法が求められている。
農薬散布液の散布特性改善のために界面活性剤、高分子基材、及び有機溶剤を含む様々な展着剤が用いられているが、農薬液の付着均一性機能を満たすものは少なく、新たな機能性展着剤の開発が要求されている。新たな付着均一機能性展着剤の開発のためには、その適切な性能評価方法が必須である。一般的な農薬散布液における農薬組成物の作物への付着性等の評価方法としては、様々な手法が知られている。
その1つとして感水紙による付着性評価が知られている。感水紙は水滴の付着した部分が紺色に発色し、50マイクロメートルの粒子径の水滴まで観測ができる試験紙であり、手法が簡便であり、作物への薬剤の付着性やドリフト等の測定に広く普及している。しかしながら、散布水滴が触れることですぐに反応する点では優れるが、作物表面の表皮細胞等による散布水滴のはじきや流亡、更には水滴の広がり等に関してはほとんど観察ができず、実場面での適用には欠点が多いのが現状である。そのため感水紙を用いて適切な作物への付着性を評価することは極めて難しい。
また農薬散布液を作物へ散布し、適応作物の一部もしくは全体から薬剤を抽出回収し、薬剤の付着量を高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等で分析を行う方法が知られている。しかしながらこの方法は分析サンプル調製が煩雑で、多くの分析検体を評価することは困難である。さらに薬剤の付着分布の状況は把握できず、作物表面への農薬成分の均一付着性等の評価を全体的にみることは困難であった。
更には、農薬散布液を作物へ散布し、適応害虫防除率等の薬効で評価する手法も知られている。しかしながら評価結果を得るまでに長時間を要し、結果は試験条件に大きく影響を受け、客観的な評価方法とは言えない。また前記の付着量分析と同様に作物表面での付着の状況は把握できず、展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤による作物表面への付着性の評価を全体的にみることは困難であった。
このような様々な手法の中、蛍光顔料を散布する手法による作物への付着に関する評価方法が、非特許文献2の「蛍光検出装置による農薬付着性分布測定」で詳しく述べられている。蛍光顔料に水溶性で安全性が高く、また作物へ薬害のないシンロイヒSW−11(商品名、シンロイヒ(株)社製、蛍光顔料)を用いて、イネ、大豆、柑橘、メロンに蛍光顔料散布を行い、365nmの近紫外光を発するブラックライト蛍光ランプを用いて散布蛍光顔料を検出し、微弱蛍光表面光計を用いて蛍光出力を分析し、蛍光顔料付着量を求めている。
また同技術に関連したものとして、非特許文献3では少量散布による薬液付着特性の評価として、甜菜に蛍光剤を散布し、少量散布時の上位、中位葉の各部分の甜菜葉での付着状況を目視考察している。非特許文献1にもドリフト低減ノズルと慣行ノズルによる付着性の違いを、キャベツや大根を対象作物として蛍光顔料を葉へ散布した後に、一部の葉をとり、ブラックライト蛍光ランプで目視考察を行い、ノズル間の散布性能の差を評価している。
このように蛍光顔料を用いた手法にて、散布ノズルや散布方法による付着性状況の影響を調査しているが、これらの手法は農薬散布における散布機器の評価に関する報告であり、機械的な散布技術の範疇に応用が留まっている。すなわち報告されている方法は、大量検体評価に適さず、数値データとして客観的評価結果を得る方法ではなかった。従って展着剤、農薬基材、農薬製剤等の組成等と付着性の評価を行い、更にはそれらの最適な農薬製剤または農薬散布液組成を決定することのできるものではなかった。
社団法人 日本植物防疫協会 平成17年度農薬飛散影響防止対策事業 付着と効果に関する基礎調査結果、平成18年2月 P11−47 生物系特定産業技術研究推進機構 農業機械化研究所、平成2年度研究報告会資料、蛍光検出装置による農薬付着分布測定、平成3年2月26日、P29−43 社団法人 日本植物防疫協会、シンポジウム散布技術を考える講演要旨、水稲・畑作の少量散布技術の展開、平成19年1月17日発行、P31−38
従来の農薬散布液の作物への付着性の評価方法は、作物表面の状況を再現していない感水紙方法、作物検体の薬剤含量分析や薬効調査の反復試験等によるものであり、その評価は農薬散布液の濡れ性特性の範疇に留まる評価方法であり、薬剤の均一付着性に関する情報が得られる評価方法は知られていない。本発明の目的は、農薬散布液が作物へ均一に散布かつ付着していることを適切に評価する方法を提供することにある。この方法を用いることにより最適な農薬散布を達成でき、高い農薬活性体有効利用率が期待される農薬製剤または農薬組成物を見出すことができる。さらに農薬組成物の最適化に関連し、作物に均一に散布され且つ付着性を付与する新たな機能性展着剤の開発に繋げることができる。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、蛍光剤を添加した農薬散布液を作物に散布し、散布された蛍光剤が発する蛍光を指標とし、視覚的にまた統計的に作物表面への農薬散布液の均一付着性を評価する方法を見出した。その具体的な方法としては、蛍光剤を含む散布液を作物に散布し、紫外線を照射し作物表面に付着した蛍光剤を検出し、付着分布を評価することを特徴とする農薬散布液の評価方法を見出した。
即ち、本発明は、
(1)作物表面への均一な付着性を示す農薬散布液組成物の評価方法であって、蛍光剤を添加した農薬散布液を作物に散布する工程(a)、紫外線照射することで付着蛍光剤を検出する工程(b)、及び蛍光発色分布を計測する工程(c)、からなる農薬散布液の均一付着性を評価する方法。
(2)農薬散布液組成物が農薬製剤、農薬基材、展着剤からなる群から選択されるいずれか1種以上を含むものであり、且つ蛍光剤を2.5〜40g/10Lの範囲で含有する(1)に記載の評価方法。
(3)励起波長が300nm〜400nmの近紫外光である蛍光剤を用いる(1)または(2)に記載の評価方法。
(4)前記工程(c)が写真撮影による画像処理により蛍光剤付着分布を数値化する方法である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の評価方法。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の評価方法により組成が決められた農薬散布液組成物。
(6)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の評価方法により組成が決められた展着剤、農薬基材又は農薬製剤。
(7)(4)記載の写真撮影の画像を用いて作物への均一付着性を評価した面積率が8%以上であることを特長とする農薬散布液組成物、展着剤、農薬基材又は農薬製剤。
に、関する。
本発明の作物表面への農薬散布液の均一な付着性の評価方法は、農薬散布液の作物表面への均一な散布状況及び付着性を視覚的に及び/または数値的に解析することができる。この評価方法は評価検体が作物画像であり、作物の種類または葉、果実、花などの作物部位を問わず且つ迅速に多量の検体の処理を可能とする。得られた処理データは写真撮影等による簡便で汎用的な方法により保存が可能で、定性的な比較評価及び/または数値解析による定量的データによる比較評価を可能とする。これにより作物表面特性と均一付着性の相関性が良好な農薬組成物を見出すことができ、且つ均一付着機能を付与し得る機能性展着剤を見出すための評価方法に用いることができる。
試験例1:キャベツに対する均一付着性評価試験における、本願実施例1の評価用写真(写真A)である。左上下段;展着剤組成物5の実施例1(ドリフト軽減ノズル散布)評価。中央上下段;展着剤組成物1の実施例1(ドリフト軽減ノズル散布)評価。右;展着剤組成物4の実施例1(下段;ドリフト軽減ノズル散布、上段;慣行ノズル散布)評価。 試験例4:大豆に対する均一付着性評価試験において、展着剤組成物1の散布における本願実施例1の評価用写真(写真B)である。 試験例4:大豆に対する均一付着性評価試験において、展着剤組成物4の散布における本願実施例1の評価用写真(写真C)である。 試験例5:温州ミカンに対する均一付着性評価試験において、展着剤組成物1の散布における本願実施例1の評価用写真(写真D)である。 試験例5:温州ミカンに対する均一付着性評価試験において、展着剤組成物4の散布における本願実施例1の評価用写真(写真E)である。
以下に、本発明の農薬散布液の作物表面への均一付着性の評価方法についてより詳しく説明する。
本発明の農薬散布液の作物表面への均一付着性の評価方法とは、農薬散布液が葉、果実、花等の農薬作用部位へ適正な量及び分布をもって付着性を持たせることを目的とした農薬散布液組成設計に於いて、その散布液が作物目的部位表面に均一に散布され且つ付着していることを指標として、様々な組成による農薬散布液の散布状況を比較評価でき、付着均一性において最適な農薬散布液組成物設計に利用できる評価方法である。農薬散布液の均一付着性とは、対象作物表面部位に対する散布液の濡れ性と付着性の両方の物性を併せた物性を示し、具体的には農薬散布液が対象農作物に散布された際、散布部位表面で散布液のはじきや流亡、偏りがなく散布表面部位全面に均一濃度で広がり、それが流れ落ちることなくその部位に留まっている散布液性能を示すものである。
その作物表面への均一付着性を指標とする具体的な方法としては、蛍光剤を添加した農薬散布液を、対象とする作物に散布した後、紫外線を照射し作物に付着している蛍光剤を検出することで、作物表面への農薬散布液の均一付着性の評価する方法である。
更に具体的には、
(1)所定の濃度になるように調製した蛍光剤を希釈水に添加し、
(2)次いで各種展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤を所定の濃度になるように添加した散布液を
(3)背負式動力噴霧機、ブームスプレーヤ、動力噴霧機、スピードスプレーヤ等を用いて、
(4)慣行ノズル、ドリフト低減ノズル、少量散布ノズル等のノズルを使用し、
(5)各作物の適切な散布水量(25−1000L/10アール)で、
(6)キャベツ、大豆、キュウリ、温州ミカン、小麦、茶、イネ等の作物等の作物に散布し、
(7)蛍光剤の作物表面への付着を検出することにより、作物表面への農薬散布液の均一付着性を確認し、これに含まれる展着剤の機能を評価する方法である。
散布された状況は、適応作物の全体像をみることで全体的な蛍光剤の付着状況を調査比較し、また部分的には葉や穂等を取り除き、分解等することで、細かな付着性について蛍光剤の付着状況で評価することができる。
このため、展着剤及び/又は農薬基材の各種成分(界面活性剤、水溶性高分子、増粘剤、鉱物質等)を種々おりまぜて散布することで、最適な組成物や混合比率を見出すことも容易になった優れた評価方法でもある。またこれまで展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤の付着性性能に関しては、薬効や水滴の付着性に頼ってきた面があったが、展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤の植物表面での挙動に関する詳細な評価ができることが可能になった点で、優れた評価方法であるといえる。
本発明で蛍光剤としては、耐光性に優れ、希釈液に均一に分散や溶解ができる蛍光剤が好ましく、その中でも耐光性に優れる蛍光顔料が好ましい。蛍光を得るための励起波長は300nm〜400nmの近紫外光を用いることが励起光の浸透度が高く、他の阻害要因が少なく、また既存の蛍光検出用機器が使用可能であり望ましい。蛍光剤としては発光波長が作物葉発光波長と重ならず、耐光性に優れたものであれば特に限定されない。発光蛍光色は赤色光を発するものが評価工程の画像解析感度が高く望ましい。具体的には以下のものが挙げられるがこれに限定されるものではない。
蛍光顔料としては、シンロイヒSW−11(商品名、シンロイヒ社製、赤オレンジ色)、シンロイヒSW−16(商品名、シンロイヒ社製、赤黄色)、シンロイヒSW−17(商品名、シンロイヒ社製、ピンク)、SF−5013(商品名、シンロイヒ社製、赤色)、SF−5014(商品名、シンロイヒ社製、オレンジ)等が挙げられる。また蛍光染料としては、カヤフェクト Yellow G Liquid(商品名、日本化薬社製、肌色)、カヤセット Flavine FN(商品名、日本化薬社製、薄水色)、カヤセット Flavine FG(商品名、日本化薬社製、薄黄色)等が挙げられる。この中でもシンロイヒSW−11、SW−16等が作物表面の付着性を判断する際の発光が良好であり好ましい。
これら蛍光剤は所望の濃度で使用することができるが、作物表面での発色を十分させる観点から水10Lあたり2.5〜40g程度使用することが望ましく、更に水10Lあたり5〜20g程度使用することがより望ましい。
本発明の均一付着性の評価に使用が可能な農薬製剤の農薬有効成分は、農薬登録されているもの、もしくは開発中のものであれば使用することができる。限定されるものではないが、例えば「社団法人 日本植物防疫協会 農薬要覧2006 平成18年10月19日発行」に記載されているものが使用することができ、1種もしくは2種以上の組み合わせで農薬登録の範疇での使用方法とともに使用することができる。それら農薬製剤の有効成分としては、殺虫剤では、アクリナトリン、アセキノシル、アセタミプリド、アセフェート、アミトラズ、アラニカルブ、アレスリン、イソキサチオン、イミダクロプリド、インドキサカルブMP、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチプロール、エチルチオメトン、エトキサゾール、エトフェンプロックス、エマメクチン安息香酸塩、塩酸レバミゾール、オキサミル、カズサホス、カルタップ塩酸塩、カルボスルファン、クロチアニジン、クロフェンテジン、クロマフェノジド、クロルピリホス、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、シクロプロトリン、ジノテフラン、シフルトリン、ジメトエート、スピノサド、ダイアジノン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオシクラムシュウ酸塩、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルトリン、テフルベンズロン、トラロメトリン、トルフェンピラド、ノバルロン、ハルフェンプロックス、ビフェナゼート、ビフェントリン、ピメトロジン、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダベン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ピリミジフェン、ピリミホスメチル、ピレトリン、フィプロニル、フェニソブロモエート、フェノチオカルブ、フルアクリピリム、フルシトリネート、フルバリネート、フルフェノクスロン、プロパホス、プロフェノホス、ヘキシチアゾクス、ペルメトリン、ベンスルタップ、ベンゾエピン、ベンフラカルブ、ボーベリア・バシアーナ、ボーベリア・ブロンニアティ、ホサロン、マシン油、マラソン、メスルフェンホス、メソミル、メトキシフェノジド、ルフェヌロン、BPMC、BT(バチルス・チューリンゲンシス菌)、メチダチオン、フェニトロチオン、イソプロカルブ、フェンチオン、NAC等が挙げられ、作物や害虫に併せて適切に選択することができる。また殺菌剤との組み合わせ使用も可能である。
殺菌剤としては、アシベンゾランSメチル、アゾキシストロビン、アンバム、硫黄、イソプロチオラン、イプコナゾール、イプロジオン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、イミベンコナゾール、エクロメゾール、オキサジキシル、オキシテトラサイクリン、オキスポコナゾールフマル酸塩、オキソリニック酸、カスガマイシン、カルプロパミド、キノメチオナート、キャプタン、クレソキシムメチル、クロロネブ、シアゾファミド、ジエトフェンカルブ、ジクロシメット、ジクロメジン、ジチアノン、ジネブ、ジフェノコナゾール、シフルフェナミド、ジフルメトリム、シプロコナゾール、シプロジニル、シメコナゾール、ジメトモルフ、シモキサニル、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナスCAB−02、ジラム、水和硫黄、ストレプトマイシン、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、チアジアジン、チアジニル、チアベンダゾール、チウラム、チオファネートメチル、チフルザミド、テクロフタラム、テトラコナゾール、テブコナゾール、銅、トリアジメホン、トリアジン、トリコデルマ・アトロビリデ、トリシクラゾール、トリフルミゾール、トリフロキシストロビン、トリホリン、トルクルホスメチル、バチルスズブチリス、バリダマイシン、ビテルタノール、ヒドロキシイソキサゾール、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、ファモキサドン、フェナリモル、フェノキサニル、フェリムゾン、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フサライド、フラメトピル、フルアジナム、フルオルイミド、フルジオキソニル、フルスルファミド、フルトラニル、プロシミドン、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、プロピネブ、プロベナゾール、ヘキサコナゾール、ベノミル、ペフラゾエート、ペンシクロン、ボスカリド、ホセチル、ポリカーバメート、マンゼブ、マンネブ、ミクロブタニル、ミルディオマイシン、メタスルホカルブ、メトミノストロビン、メパニピリム、有機銅、硫酸亜鉛、硫酸銅、エジフェンホス、イプロベンホス、クロロタロニル等が挙げられ、作物や害虫に併せて適切に選択することができる。また殺虫剤との組み合わせ使用も可能である。
除草剤としては、アイオキシニル、アジムスルフロン、アシュラム、アトラジン、アニロホス、アラクロール、イソウロン、イソキサベン、イマザキン、イマザピル、イマゾスルフロン、インダノファン、エスプロカルブ、エトキシスルホン、エトベンザニド、塩素酸塩、オキサジアゾン、オキサジアルギル、オキサジクロメホン、オルソベンカーブ、オリザリン、カフェンストロール、カルフェントラゾンエチル、カルブチレート、キザロホップメチル、クミルロン、グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートカリウム塩、グリホサートトリメシウム塩、グルホシネート、クレトジム、クロメプロップ、クロルフタリム、シアナジン、シアン酸塩、シクロスルファムロン、ジクワット、ジチオピル、シデュロン、シノスルフロン、シハロホップブチル、ジフルフェニカン、ジメタメトリン、ジナテナミド、シメトリン、シンメトリン、セトキシジム、ダイムロン、ダゾメット、チフェンスルフロンメチル、デスメディファム、テトラピオン、テニルクロール、テプラロキシジム、トリアジフラム、トリクロピル、トリフルラリン、トリフロキシスルフロンナトリウム塩、ナプロパミド、ニコスルフロン、パラコート、ハロスルフロンメチル、ビアラホス、ビスピリバックナトリウム塩、ビフェノックス、ピラゾキシフェン、ピラゾスルフロンメチル、ピラゾエート、ピラフルフェンチオン、ピリフタリド、ピリブチカルブ、ピリミノバックメチル、フェノチオール、フェントラザミド、フェンメディファム、ブタクロール、ブタミホス、フラザスルフロン、フルアジホップ、フルチアセットメチル、フルミオキサジン、プレチラクロール、プロジアミン、プロピサミド、ブロマシル、プロメトリン、ブロモブチド、フロラスラム、ベスロジン、ベンスルフロンメチル、ベンゾフェナップ、ベンゾビシクロン、ベンタゾンナトリウム塩、ベンチオカーブ、ペンディメタリン、ペントキサゾン、ベンフレセート、メタミトロン、メトスルフロンメチル、メトラクロール、メトリブジン、メフェナセット、モリネート、リニュロン、リムスルフロン、レナシル、ACN,シマジン、ジクロベニル、クロルチアミド、ジウロン、プロパニル、MCP,MCPイソプロピルアミン塩、MCPB,MCPP,MDBA、MDBAイソプロピルアミン塩、PAC、SAP、2,4PA等が挙げられる。
本発明で説明される展着剤とは農薬散布時に、タンクミックスで使用されるものであり、一般的に展着剤、機能性展着剤、タンクミックス用のアジュバントといわれるものである。また、農薬基材とは、農薬活性成分を含有しない農薬製剤であり、界面活性剤、水溶性ポリマー、鉱物質等で構成されたものである。但し、物理防除等の物理的な防除方法に使用ができる組成物も農薬基材として定義する。更に農薬製剤とは農薬活性成分を含有する製剤のことをいう。
具体的には展着剤、農薬基材及び農薬製剤で使用が可能な組成物としては、作物への均一な付着性の指標に該当するものであれば使用することができ、この機能を有する界面活性剤、水溶性ポリマー、溶剤、鉱物質等が挙げられる。具体的には以下の組成物を含有するものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン等のノニオン系イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフエート、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの陰イオン性界面活性剤、アルキル4級アンモニウム塩、脂肪族アルキルアミド塩等の陽イオン系界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は通常0〜100質量%程度の範囲で自由に混合することも可能である。また水溶性ポリマーとしては、水へ分散させた際にポリマーのネットワークをつくるものであれば使用することができ、ポリビニルアルコール、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。溶剤としては、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒、灯油、重油等の石油系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。また鉱物質としては、ホワイトカーボン、クレー、タルク、珪藻土等が挙げられる。
農薬散布液を散布する方法は特に限定されないが、背負式動力噴霧機、ブームスプレーヤ、動力噴霧機、スピードスプレーヤ等を用いて、慣行ノズル、ドリフト低減ノズル、少量散布ノズル等のノズルを使用し、各作物の適切な散布水量(25−1000L/10a)で、キャベツ、大豆、キュウリ、温州ミカン、小麦、茶、イネ等の作物等の作物に散布する方法で散布できる。しかしながら農薬散布液の散布特性を評価する目的であることから、実際の散布方法に準じた方法を用いることで適正な評価結果を得ることができる。
蛍光剤を添加した農薬散布液を適用作物へ散布後に、蛍光剤の検出により農薬散布液の作物表面への均一付着性の試験結果を得る方法としては、300〜400nmの近紫外光を発するライトを検体作物に照射し、近紫外光で発光した作物表面の蛍光剤を検出し、その状況を暗室等でアナログカメラやデジタルカメラを使用して撮影し、試験結果データとして保存する方法が挙げられる。
300〜400nmの近紫外光を発するライトは使用蛍光剤の励起波長光を発光するライトであれば特に限定されないが、具体的には365nmの紫外光を発するブラックライトランプの使用が望ましい。評価検体は植付け作物のままでも良く、また必要に応じ不用な葉を除去処理した作物を用いることができる。また場合によっては具体的な葉、果実、花及び/またはその一部分を採取し、作物部位のより詳細な部位に関する検体を用いることもできる。蛍光剤の蛍光発光による検出は暗室にて確認することにより、背景、共雑光等による分析感度の低減を抑制することができる。
試験結果は、検出された蛍光剤の発光状況をアナログカメラやデジタルカメラを使用して撮影し、試験結果データとして保存することが望ましい。ここで使用するアナログカメラやデジタルカメラは市販品をそのまま使用することができるが、被写体の詳細な撮影を行い、一部分にフォーカスを当てるなどの場合には一眼レフのカメラが好ましい。これらのなかでも一眼レフのデジタルカメラが画像処理等の利便性からより好ましい。
分析結果を比較評価するためには、上記の近紫外光ライトの種類、照射位置、検体の種類、使用暗室、写真撮影の距離、撮影機器条件、等これら条件を揃えて試験を行うことが望ましい。
得られた検体写真は試験結果として農薬散布液の均一付着性の評価に用いられる。評価方法は、目視により写真を比較する定性的比較試験、及び/または検体写真を画像処理することで蛍光剤付着分布率を算出し数値化データを得ることで、農薬散布液の均一付着性を評価することができる。
本発明の写真撮影の画像を用いて作物への均一付着性を数値化する方法とは、特にアナログカメラやデジタルカメラで蛍光剤添加農薬散布液を散布した検体を撮影した映像をパーソナルコンピューター等に取り込み、被写体から発する蛍光強度の度合いから、付着量を解析する方法である。
その具体的な画像処理方法を以下に挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、写真撮影にて得られた蛍光剤添加農薬散布液が散布された作物を、アナログカメラであれば撮影写真をスキャナーでデジタル情報としてパーソナルコンピューターに取り込む。デジタル写真であればそのファイルを利用する。次いで画像処理ソフト、例えばWinRoof ver5.5.0(商品名、三谷商事社製)にて画像処理を行う。ここで取り込まれた画像は、カラー分離コマンドにて、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3成分に分離し、この中でR(レッド)画像を解析に使用する。G(グリーン)、B(ブルー)は経験的に対象作物等のコントラストによる阻害があるため、R(レッド)画像が好ましい。次いでモード法による2値化処理を行い、2値画像の明部の面積率を計算することにより、作物表面上の均一性を数値化する。
同手法を用いることで、蛍光剤が散布された状況を付着強度と付着分布の両面から数値化できることから、展着剤及び/又は農薬基材の最適な組み合わせを明確に示すことができ、最適な組成の組み合わせ等をより早く、確実に見出すことが可能である。
一般的に農薬散布液は作物への散布性能改善を目的に展着剤が使用されている。しかしながらその散布性能は、展着剤に含まれる界面活性剤、流動点降下成分の種類、組成比率により大きく影響される。本発明による農薬散布液の散布性能評価方法を用いることにより、様々な組成の展着剤及びそれを含む農薬組成物の散布性能評価を、多数のサンプル及び試験作物に対し、迅速に試験評価を行うことができ、様々な性能を有する展着剤を見出す方法に用いることができる。
本発明の評価方法を用いて見出された展着剤は、これまでの従来手法では見いだせなかった作物表面の均一な付着性を指標とするものであり、作物表面との相関性も考慮された新しい概念の展着剤である。また同様に本発明の評価方法を用いて見出された農薬基材や農薬製剤も同様に新規な指標により見出されたものである。
また、既に市販されている農薬製剤に適した展着剤等を見出す目的等にもこの作物表面の均一な付着性を指標とする評価方法は応用ができ、幅広い用途の拡大も期待される。
本発明の作物表面の均一な付着性を指標とする評価方法は、様々な作物や展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤を使用する対象植物に適応が可能であり、具体的には、各種農薬製剤(殺菌剤、殺虫剤、除草剤等)が登録を取得している作物へ適応することができる。
例えば、稲、麦等の穀類、キャベツ、じゃがいも、キュウリ、ナス等の野菜類、茶、リンゴ、柑橘等の果樹類等に使用できる。また、ゴルフ場の芝等にも適応が可能である。
次に実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
実施例1 目視評価方法
(1:試料調製)10Lのポリバケツに水道水10Lを入れ、次いでシンロイヒSW−11(商品名、シンロイヒ社製、蛍光顔料)を10g入れ、撹拌を行い、蛍光顔料が均一に分散・溶解等したことを確認した。次いで、下記表1−2に示した各展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤の組成物を加え十分に撹拌し、散布液を得た。
(2:使用機器)噴霧粒子ドリフト・粒径・付着測定装置(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術支援センター 生産システム研究部 生育管理システム研究 所有)
散布装置風洞内の大きさ:全長4m、幅2m、高さ2m
ノズルの高さ:対象作物の頂点から約45cm
使用ノズル:ドリフト低減ノズル:キリナシESチップ(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が10%以下(1.0−2.0MP))又は慣行ノズル:新広角噴板(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が60%以上(1.0−2.0MP))
移動速度:0.56m/秒(ドリフト低減ノズル)、0.88m/秒(慣行ノズル)
散布圧力:1.5MP
散布水量:100L/10アール相当(ノズル1個当たりの有効散布幅:0.3m)
(3:散布条件)
ノズル移動箇所の中心部に1.5m×1.5m四方の発泡スチロールを置き、対象作物を中心に置き、30cm離れた周囲8カ所に造花を置いた。
(4:蛍光顔料散布方法)
上記(1)で調整した蛍光染料+供試アジュバント組成物の希釈液を(2)及び(3)の条件で散布した。
(5:蛍光染料付着状況調査方法)
蛍光染料+供試アジュバント組成物の散布液の散布後、散布液が乾燥した後に、暗所で365nmの近紫外線を近紫外線ランプで照射し、照射した状態をデジタルカメラ(本体:Canon EOS kiss Digital X(商品名、キャノン株式会社製)、レンズ:EF-S18-55mm F3.5-5.6II USM(商品名、キャノン株式会社製))で撮影した。
実施例2 画像解析方法
(1:試料調製)10Lのポリバケツに水道水10Lを入れ、次いでシンロイヒSW−11(商品名、シンロイヒ社製、蛍光顔料)を10g入れ、撹拌を行い、蛍光顔料が均一に分散・溶解等したことを確認した。次いで、次いで、下記表1−2に示した各展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤の組成物を加え十分に撹拌し、散布液を得た。
(2:使用機器)モーター動噴GS60M(商品名、丸山製作所)
ノズルの高さ:対象作物の頂点から約45cm
使用ノズル:ドリフト低減ノズル:キリナシESチップ(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が10%以下(1.0−2.0MP))又は慣行ノズル:新広角噴板(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が60%以上(1.0−2.0MP))
移動速度:0.56m/秒(ドリフト低減ノズル)、0.88m/秒(慣行ノズル)
散布圧力:1.5MP
散布水量:100L/10アール相当(ノズル1個当たりの有効散布幅:0.3m)
(3:散布条件)
ノズル移動箇所の中心部に対象作物を中心に置き、30cm離れた周囲8カ所に造花を置いた。
(4:蛍光顔料散布方法)
上記(1)で調整した蛍光染料+供試アジュバント組成物の希釈液を(2)及び(3)の条件で散布した。
(5:蛍光染料付着状況調査方法)
蛍光染料+供試アジュバント組成物の散布液の散布後、散布液が乾燥した後に、暗所で365nmの近紫外線を近紫外線ランプで照射し、照射した状態をデジタルカメラ(本体:Canon EOS kiss Digital X(商品名、キャノン株式会社製)、レンズ:EF-S18-55mm F3.5-5.6II USM(商品名、キャノン株式会社製))で撮影した。
(6:画像解析)
写真撮影にて得られた蛍光顔料及び/又は蛍光染料が散布された作物を、パーソナルコンピューターに取り入れ、画像処理ソフトWinRoof ver5.5.0(商品名、三谷商事社製)にて画像処理を行った。ここで取り込まれた画像は、カラー分離コマンドにて、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3成分に分離し、R(レッド)画像を解析に使用した。次いでモード法による2値化処理を行い、モード条件50−255にて2値画像の明部の面積率を計算することにより、作物表面上の均一性を数値化した。
実施例3 ネギでの目視評価方法
実施例1の散布条件のうち、以下の部分をネギの散布用に変更した。
(1:散布水量)
散布水量:200L/10アール相当(ノズル1個当たりの有効散布幅:0.3m)
(2:散布条件)
ノズル移動箇所の中心部に1.5m×1.5m四方の発泡スチロールを置き、次いで収穫前の深谷ネギ(高さ約80cm)を中心にブームスプレーヤの水平移動方向にネギとネギの間隔を約15cm程度とり重ならないように置いた。その他条件等は実施例1に同じ。
比較例1 感水紙による評価方法
(1:試料調製)100mlの三角フラスコに、下記表1−2に示す展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤を適当量入れ十分に撹拌した。
(2:使用機器)噴霧粒子ドリフト・粒径・付着測定装置(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術支援センター 生産システム研究部 生育管理システム研究 所有)
散布装置風洞内の大きさ:全長4m、幅2m、高さ2m
ノズルの高さ:対象作物の頂点から約45cm
使用ノズル:ドリフト低減ノズル:キリナシESチップ(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が10%以下(1.0−2.0MP))
移動速度:0.56m/秒(ドリフト低減ノズル)
散布圧力:1.5MP
散布水量:100L/10アール相当(ノズル1個当たりの有効散布幅:0.3m)
(3:散布条件)
ノズル移動箇所の中心部に1.5m×1.5m四方の発泡スチロールを置き、対象作物を中心に置き、30cm離れた周囲8カ所に造花を置き、対象作物の表面及び裏面に感水紙20301−1N(スプレーイングシステムジャパン社製)をクリップで留めて設置した。
(4:散布方法)
上記(1)で調整した散布液を(2)及び(3)の条件で散布した。
(5:評価方法)
散布直後に、感水紙をとり、水滴の付着状況を確認した。
比較例2 付着水滴の目視評価方法
(1:試料調製)10Lのポリバケツに水道水10Lを入れ、次いで、下記表1−2に示す展着剤及び/又は農薬基材及び/又は農薬製剤を適当量入れ十分に撹拌し、散布液を得た。
(2:使用機器)噴霧粒子ドリフト・粒径・付着測定装置(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術支援センター 生産システム研究部 生育管理システム研究 所有)
散布装置風洞内の大きさ:全長4m、幅2m、高さ2m
ノズルの高さ:対象作物の頂点から約45cm
使用ノズル:ドリフト低減ノズル:キリナシESチップ(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が10%以下(1.0−2.0MP))又は慣行ノズル:新広角噴板(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が60%以上(1.0−2.0MP))
移動速度:0.56m/秒(ドリフト低減ノズル)、0.88m/秒(慣行ノズル)
散布圧力:1.5MP
散布水量:100L/10アール相当(ノズル1個当たりの有効散布幅:0.3m)
(3:散布条件)
ノズル移動箇所の中心部に1.5m×1.5m四方の発泡スチロールを置き、対象作物を中心に置き、30cm離れた周囲8カ所に造花を置いた。
(4:散布方法)
上記(1)で調整した散布液を(2)及び(3)の条件で散布した。
(5:目視調査方法及びカメラ撮影)
散布液の散布直後に、対象作物への水滴の付着状況を目視調査した。またデジタルカメラ(本体:Canon EOS kiss Digital X(商品名、キャノン株式会社製)、レンズ:EF-S18-55mm F3.5-5.6II USM(商品名、キャノン株式会社製))で撮影した。
比較例3 HPLC法による薬剤付着量分析
(1:試料調整)10Lのポリバケツに水道水10Lを入れ、次いで、下記表1−2に示す展着剤及び農薬製剤を適当量入れ十分に撹拌し、散布液を得た。
(2:散布機器と散布条件)
使用散布機:モーター動噴GS60M(商品名、丸山製作所製)
ノズルの高さ:対象作物の頂点から約45cm
使用ノズル:慣行ノズル:新広角噴板(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が60%以上(散布圧力:1.0−2.0MP))又はドリフト低減ノズル:キリナシESチップ(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が10%以下(散布圧力:1.0−2.0MP))
散布圧力:1.5MP(手元圧力)
散布速度:0.88m/秒(慣行ノズル)、0.56m/秒(ドリフト低減ノズル)
散布水量:100L/10アール相当(ノズル1個当たりの有効散布幅:0.3m)
(3:散布液の散布方法)
ノズル移動箇所に30cm間隔で種まき後2ヶ月を経たキャベツ(12−15葉期)3株を置き、(1)で調整した農薬散布液を(2)の条件で散布した。
(4:分析用キャベツ葉の採取方法)
散布後12時間を経過したキャベツの葉を下表1−1に示した分類を行い採取した。

表1−1 キャベツ分析部位分類
採取部位 地面からの角度
上 60−90° (若く、角度のある葉が多く付着しにくい)
中 30−60°
下 0−30° (古い葉が多く付着しやすい)

(5:分析条件(HPLC))
カラム:Inertsil ODS-3(商品名、GLサイエンス株式会社製) φ4.5μm L=150mm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル/水=70/30(v/v)
流速:1.5mL/min
波長:254nm
リテンションタイム: クロルフェナピル=6.73min
注入量:20μL
(6:分析操作)
散布後のキャベツから上葉、中葉、下葉の箇所からキャベツの葉を採取し、200mLの三角フラスコに入れ、次いでアセトニトリル20mLを添加し、1−2分間手振りを行い、表面に付着した農薬有効成分を抽出した。抽出液はそのままHPLCに注入し、キャベツ葉1g当たりの農薬有効成分の付着量を測定した。
表1−2 供試展着剤または農薬基材の処方一覧
(1)供試展着剤組成物1の組成
・ラピゾールRTMA90(ジアルキルスルホコハク酸N、日本油脂社製) 20重量部
・ペグノールRTMST−9(ポリオキシエチレンアルキル(C12〜14)エーテル100%含有、ポリオキシエチレン重合度9、東邦化学社製) 60重量部
・プロピレングリコール(関東化学社製) 10重量部
・水道水 10重量部
(2)供試展着剤組成物2の組成
・ラピゾールRTMA90(ジアルキルスルホコハク酸N、日本油脂社製) 20重量部
・ペグノールRTMST−3(ポリオキシエチレンアルキル(C12〜14)エーテル100%含有、ポリオキシエチレン重合度3、東邦化学社製) 60重量部
・プロピレングリコール(関東化学社製) 10重量部
・水道水 10重量部
(3)供試展着剤組成物3の組成
・ニューカルゲンRTMEP−70G(ジアルキルスルホコハク酸N、日本油脂社製) 20重量部
・ペグノールRTMST−5(ポリオキシエチレンアルキル(C12〜14)エーテル100%含有、ポリオキシエチレン重合度5、東邦化学社製) 60重量部
・プロピレングリコール(関東化学社製) 10重量部
・水道水 10重量部
(4)供試展着剤組成物4
・新グラミンRTM(ポリオキシエチレンドデシルエーテル10%、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル10%、リグニンスルホン酸カルシウム12%、三共アグロ株式会社製) 100重量部
(5)供試展着剤組成物5
・ニーズRTM(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル 44%、ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム 18%、花王株式会社製) 100質量部
(6)供試展着剤組成物6
・新リノーRTM(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル10%、リグニンスルホン酸カルシウム20%、日本農薬株式会社製) 100質量部
(7)供試展着剤組成物7
・ニューカルゲン4000G(アルコキシグルコシド 100%、竹本油脂株式会社製) 100質量部
(8)供試農薬基材1の組成物
・ソルベッソRTM150(石油系溶剤) 90重量部
・ソルポールRTM3880L(スチレン化フェノール系ノニオン界面活性剤及びアルキルベンゼンスルホン酸Nの混合、東邦化学工業株式会社製) 10重量部
(9)供試農薬基材2の組成物
・クレー(セイコー産業株式会社製) 75重量部
・SipernatRTM22S(シリカ、Deggusa社製) 15重量部
・ソルポールRTM5050(アルキルスルホサクシネート及びシリカの混合 東邦化学工業株式会社製) 4.5重量部
・ソルポールRTM5264(ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート及びシリカの混合 東邦化学工業株式会社製) 5.5重量部
(10)供試農薬基材3の組成物
・ニューカルゲンRTMFS−22(ジアルキルスルホコハク酸N、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレングリコールの混合 竹本油脂株式会社製) 7重量部
・キサンタンガム 0.2重量部
・クニピアF(クニミネ工業株式会社製) 0.5重量部
・プロピレングリコール(関東化学社製) 5重量部
・水道水 87.3重量部
製造方法:
(1)展着剤組成物、農薬基材1は、三角フラスコに原材料を入れ、混合し作製した。
(2)農薬基材2は、原材料をポリ袋にて混合し、コーヒーミルにて十分粉砕し、再度ポリ袋で混合し、調整した。
(3)農薬基材3は、原材料をフラスコで混合し、ヒスコトロンにて2000rpmで混合して作製した。
試験例1:均一付着性評価試験(キャベツ)
上記の実施例1(目視評価方法)ならびに比較例1(感水紙評価方法)、比較例2(付着水滴の目視評価方法)で示した評価方法について、表1−2に示した展着剤及び農薬基材により調製した農薬散布液を散布し、作物表面の均一付着性を指標とした比較試験を行った。キャベツは種まき後10−20葉期のものを使用した。また展着剤組成物の添加量は水10Lあたり、3.3mLを実施した。尚、展着剤組成物5に関しては水10Lあたり、10mLを実施した。結果を表2−1に示した。表2−2には均一付着性の評価基準を示した。
表2−1 均一な付着性評価結果(実施例1、比較例1、及び2の比較)
(1)展着剤組成物1
[対照作物、全体:キャベツ葉]
・実施例1(目視及び写真) ++++ (全体的に蛍光顔料の付着がみられる。また、比較的にワックスが強い若い葉への付着性は良好である。図1;写真Aの中央上下段参照)
・比較例1(感水紙) ++++〜+++++(垂直面への水滴反応は弱かったが、全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ±〜++++ (キャベツ葉の中心部分の水滴はほとんど観察されないが、水平面の葉への水滴の付着状況は観察できた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) +++ (部分的な付着であるが、細かく見ると微小な蛍光顔料の粒子の付着が観察される。尚、垂直葉への付着性は比較的優れる。)
・比較例1(感水紙) ++++(垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ±〜+ (散布液が殆どはじかれているため、殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) +++++ (ほぼ全面に均一に蛍光顔料が付着している。均一性も良好。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) +++++(ほぼ全面に均一に蛍光顔料が付着している:特に表面ワックスのはがれた下部の古葉表面に付着及び拡展が顕著にみられる。)
・比較例1(感水紙) +++++(ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) +++++(約8割ほど水滴に覆われていた。)

(2)展着剤組成物2
[対照作物、全体:キャベツ葉]
・実施例1(目視及び写真) ++++ (全体的に蛍光顔料の付着がみられる。また、比較的にワックスが強い若い葉への付着性は良好である。)
・比較例1(感水紙) ++++〜+++++(垂直面への水滴反応は弱かったが、全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ±〜++++ (キャベツ葉の中心部分の水滴はほとんど観察されないが、水平面の葉への水滴の付着状況は観察できた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) +++ (部分的な付着であるが、細かく見ると微小な蛍光顔料の粒子の付着が観察される。)
・比較例1(感水紙) ++++ (垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ±〜+ (散布液が殆どはじかれているため、殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) +++〜++++(ほぼ全面に均一に蛍光顔料が付着している。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++ (部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) +++++(ほぼ全面に均一に蛍光顔料が付着している:特に表面ワックスのはがれた下部の古葉表面に付着及び拡展が顕著にみられる。)
・比較例1(感水紙) +++++(ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) +++++(約8割ほど水滴に覆われていた。)

(3)展着剤組成物3
[対照作物、全体:キャベツ葉]
・実施例1(目視及び写真) ++++ (全体的に蛍光顔料の付着がみられる。また、比較的にワックスが強い若い葉への付着性は良好である。)
・比較例1(感水紙) ++++〜+++++(垂直面への水滴反応は弱かったが、全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ±〜++++ (キャベツ葉の中心部分の水滴はほとんど観察されないが、水平面の葉への水滴の付着状況は観察できた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) +++ (部分的な付着であるが、細かく見ると微小な蛍光顔料の粒子の付着が観察される。)
・比較例1(感水紙) ++++(垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ±〜+ (散布液が殆どはじかれているため、殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++++〜+++++(ほぼ全面に均一に蛍光顔料が付着している。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++ (部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) +++++(ほぼ全面に均一に蛍光顔料が付着している:特に表面ワックスのはがれた下部の古葉表面に付着及び拡展が顕著にみられる。)
・比較例1(感水紙) +++++(ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) +++++(約8割ほど水滴に覆われていた。)

(4)展着剤組成物4
[対照作物、全体:キャベツ葉]
・実施例1(目視及び写真) +〜++ (部分的にしか蛍光顔料の付着がみられない。また、比較的にワックスが強い若い葉への付着性は極めて悪い。図1;写真Aの右下段;ドリフト低減ノズル使用散布、右上段;慣行ノズル使用散布、を参照。)
・比較例1(感水紙) ++++〜+++++(垂直面への水滴反応は弱かったが、全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ±〜+ (散布液が殆どはじかれているため、殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) + (ほとんど蛍光顔料粒子の付着は観察されず、付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) ++++(垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ± (殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++ (蛍光顔料が点在し、付着していた。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++ (蛍光顔料が点在し付着していた。表面ワックスのはがれた部分のみ良好な付着。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)

(5)展着剤組成物5
[対照作物、全体:キャベツ葉]
・実施例1(目視及び写真) +〜++ (部分的にしか蛍光顔料の付着がみられない。また、比較的にワックスが強い若い葉への付着性は極めて悪い。図1;写真Aの左上下段を参照。)
・比較例1(感水紙) ++++〜+++++(垂直面への水滴反応は弱かったが、全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ±〜+ (散布液が殆どはじかれているため、殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) + (ほとんど蛍光顔料粒子の付着は観察されず、付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) ++++(垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ± (殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++ (蛍光顔料が点在し、付着していた。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) +++ (5割前後の葉の面積に部分的に蛍光顔料が付着。表面ワックスのはがれた部分では良好な付着。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)

(6)展着剤組成物6
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) + (ほとんど蛍光顔料粒子の付着は観察されず、付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) ++++(垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ± (殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++ (蛍光顔料が点在し、付着していた。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++ (蛍光顔料が点在し付着していた。表面ワックスのはがれた部分のみ良好な付着。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)

(7)展着剤組成物7
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) ±〜+ (ほとんど蛍光顔料粒子の付着は観察されず、付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) ++++(垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ± (殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) + (ほとんど蛍光顔料粒子の付着は観察されず、付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++ (蛍光顔料が点在し付着していた。表面ワックスのはがれた部分のみ良好な付着。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)

(8)農薬基材1
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) +〜++(部分的に蛍光顔料粒子の付着がみられたが、全般的に付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) ++++(垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ± (殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) +〜++ (部分的に蛍光顔料粒子の付着がみられたが、全般的に付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++ (蛍光顔料が点在し付着していた。表面ワックスのはがれた部分のみ良好な付着。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)

(9)農薬基材2
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) ±〜+ (ほとんど蛍光顔料粒子の付着は観察されず、付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) ++++(垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ± (殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) + (ほとんど蛍光顔料粒子の付着は観察されず、付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++ (蛍光顔料が点在し付着していた。表面ワックスのはがれた部分のみ良好な付着。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)

(10)農薬基材3
[対照作物、部位:キャベツ葉、垂直葉、若葉]
・実施例1(目視及び写真) ±〜+ (ほとんど蛍光顔料粒子の付着は観察されず、付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) ++++(垂直面は弱いが殆ど全面で水滴付着による反応が見られた。)
・比較例2(目視及び写真) ± (殆ど水滴の状況は観察されなかった。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、中位葉]
・実施例1(目視及び写真) +〜++ (部分的に蛍光顔料粒子の付着がみられたが、全般的に付着性は不良。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)
[対照作物、部位:キャベツ葉、下位葉]
・実施例1(目視及び写真) ++ (蛍光顔料が点在し付着していた。表面ワックスのはがれた部分のみ良好な付着。)
・比較例1(感水紙) +++++ (ほとんど全面で水滴付着による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++〜+++(部分部分に水滴が付着していた。)
付着性評価基準を表2−2に示した。
実施例1:デジタルカメラの写真画像より目視判断

比較例1:感水紙の反応面積を目視判断
比較例2:作物表面の目視判断
表2−2 評価基準の説明
± ほとんど付着/感水紙反応/キャベツ表面への水滴付着無
+ 全体の1割程度に付着/感水紙反応/キャベツ表面への水滴付着あり
++ 全体の1−5割程度に付着/感水紙反応/キャベツ表面への水滴付着あり
+++ 全体の5−8割程度に付着/感水紙反応/キャベツ表面への水滴付着あり
++++ 全体の8割以上に付着/感水紙反応/キャベツ表面への水滴付着あり
+++++ ほぼ全体に付着/感水紙反応/キャベツ表面への水滴付着あり
表2−1より実施例1による蛍光剤の蛍光検出による目視評価方法と、比較例1(感水紙)、比較例2(付着水滴の目視評価方法)の評価方法は異なる評価結果を与えた。すなわち比較例1の感水紙では、展着剤組成物及び農薬基材の特性は評価できず、散布条件が同一であればほとんど変わらない付着性の試験結果を示した。これは散布された散布液が感水紙と反応するところのみを示し、作物表面特有のはじきや流亡、拡展性等に関しての情報は全く得られず、そのため、展着剤組成物及び農薬基材の付着性の違いを検出できない。結果として農薬散布液の作物表面の均一付着性を指標とする評価方法とはならなかった。また比較例2の、散布液の付着水滴を目視観察する作物表面への散布状況評価方法では、展着剤組成物1〜3と展着剤組成物4〜7では、水滴の伸びの面で差は見受けられたが、垂直面や若い葉のようなワックス性の高い部分では、付着性の差に関しては非常に観察が難しかった。また水滴が乾燥する前に、すぐに付着状況を観察する必要があり、分析検体が経時的に変化してしまう問題があり、正確性に欠ける方法であるといえる。
それに対し実施例1では、作物表面で蛍光顔料の微細な様子を観察することができ、各展着剤組成物の作物表面への付着性に対する細かな特性を評価できている。例えば、評価の難しい垂直面や若い葉のようなワックス性の高い部分では、作物表面でのはじきや流亡が観察されるがことが一般的であるが、この中で展着剤組成物1〜3は良好な付着性示し、葉の表面の多くの部分に微細な蛍光顔料が付着していた。この様な微細な付着状況は比較例1、2では観察できなかった。一方、ワックス性の低い比較的古い下部の葉は、ワックスのはがれた箇所に蛍光顔料が集まり、更に拡展が生じた結果として、微細な粒子ではなく、固まりとして存在している様子が観察された。この様子は比較例2の作物表面目視調査でも観察されており、比較例2の評価方法はワックス性の低い葉において適用できる評価方法と言える。
また同手法はこれまでは困難であった各展着剤組成物の細かな付着性の差を見出すことができている。例えば展着剤組成物1、2及び3との比較では、比較例1、2では全く同一の付着性と判断されるが、実施例1では、
展着剤組成物1>展着剤組成物3>展着剤組成物2
の順で均一付着性に差が見られた。この評価結果から、展着剤組成物のペグノールSTのポリオキシエチレンアルキル(C12〜14)エーテル中のポリオキシエチレン重合度の違いと付着性とを関連付ける情報が得られ、均一付着性を付与できる機能性展着剤の開発に繋げる事が可能となった。特に垂直葉への付着性及び中葉での均一付着性の差が、展着剤組成物1と展着剤組成物2及び3との比較で見い出せている。これは各展着剤組成物の最適化検討を行うに当たり、優れた評価方法であることを示している。
また農薬基材間でも展着剤組成物と同様な傾向がみられている。比較例1、2の評価方法では、農薬基材1〜3での付着性に関する違いは検出されていないが、実施例1では各農薬基材間の付着性の違いを見出している。すなわち垂直葉や若葉において、溶剤等を使用している農薬基材1は農薬基材2及び3より若干であるが優れた付着性を示している。また中葉では、農薬基材1、3≧農薬基材2の付着性評価結果であり、作物表面への均一付着性を指標とした最適な農薬基材を見出すための評価方法あるといえる。
試験例2:均一付着性評価試験(キャベツ)
上記の実施例2による画像解析評価方法、及び比較例2の付着水滴の目視評価方法について以下の表3−1に示した展着剤組成物1、展着剤組成物4を用いて、作物表面の均一性を指標とした比較試験を行った。キャベツは種まき後10−20葉期のものを使用した。散布液は、各展着剤組成物を3.3mLを水10Lに添加し良く混合し調製した。農薬散布液の散布方法及び評価方法は実施例2、比較例2に従い実施した。評価結果を表3−2に示した。
表3−1:試験例2の供試展着剤の処方一覧
(1)供試展着剤組成物1の組成
・ラピゾールRTMA90(ジアルキルスルホコハク酸Na、日本油脂社製) 20重量部
・ペグノールRTMST−9(ポリオキシエチレンアルキル(C12〜14)エーテル100%含有、ポリオキシエチレン重合度9、東邦化学社製) 60重量部
・プロピレングリコール(関東化学社製) 10重量部
・水道水 10重量部
(2)供試展着剤組成物4
・新グラミンRTM(ポリオキシエチレンドデシルエーテル10%、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル10%、リグニンスルホン酸カルシウム12%、三共アグロ株式会社製) 100重量部
表3−2 試験例2の結果(実施例2、比較例2の評価結果比較)
[展着剤組成物1 慣行ノズル散布]
・実施例2 画像解析値(面積率):87.1%
R画像目視 作物表面の全面に蛍光顔料の高濃度の付着が観察される。
・比較例2 目視評価 細かな散布粒子がキャベツ全体に付着していた。

[展着剤組成物1 ドリフト低減ノズル散布]
・実施例2 画像解析値(面積率):15.5%
R画像目視 作物表面の全面に蛍光顔料の付着が観察される。
・比較例2 目視評価 キャベツ中心部分を除き、中葉や下部葉は概ね水滴が広がり
濡れていた。

[展着剤組成物4 慣行ノズル散布]
・実施例2 画像解析値(面積率):11.4%
R画像目視 作物表面の全面に蛍光顔料の付着が観察される。
・比較例2 目視評価 細かな散布粒子がキャベツ全体に付着していた。

[展着剤組成物4 ドリフト低減ノズル散布]
・実施例2 画像解析値(面積率): 0.8%
R画像目視 全体の約5%未満に蛍光顔料が点在している。キャベツの中
心部分はほとんど付着していない。
・比較例2 目視評価 全体的な付着が弱く、下部や中葉で水滴の付着が点在して観
察された。
表3−2より実施例2の付着性の数値化では、ノズルの違いによる散布の差、及び展着剤組成物の組成の差が明確に示された。すなわち慣行ノズルとドリフト低減ノズルの散布ノズルの違いにより均一付着性で5〜14倍の違いがあることが明示され、また展着剤組成物1と4で7〜19倍の均一付着性に違いがあることが明示された。展着剤の違いは、作物表面への均一付着性における界面活性剤の影響を明確に示しており、農薬散布液の付着状況を客観的数値データで把握できる有効な評価方法であるといえる。また散布機器等の散布条件と展着剤組成物の作物表面への均一付着性の評価もでき、展着剤組成物1及び4でのノズル別の差が数値でよく表されている。特に均一な散布能力が高い慣行ノズルで散布を行った展着剤組成物4と、散布粒子径が大きく付着性に劣るドリフト低減ノズルでの展着剤組成物1では付着性の数値がほぼ同等か勝るため、展着剤組成物1の均一付着性に関する有効性を示す好例である。
試験例3:均一付着性試験(ネギ)
上記の実施例3のネギでの目視評価方法、及び比較例2の付着水滴の目視評価方法について表1−2に示した展着剤組成物1〜5を用いて、作物表面の付着均一性を指標とした比較試験を行った。散布液は各展着剤組成物3.3mLを水10Lに添加し、良く混合し調製した。尚、展着剤組成物5に関しては水10L当り、10mLを添加し調製した。散布方法及び評価方法は実施例3、比較例2に記載の方法に従って実施した。試験結果を表4−1に、またネギでの均一付着性の評価基準を表4−2に示した。
表4−1 試験例3の結果
供試組成物 実施例3 比較例2
展着剤組成物1 +++〜++++ 肉眼では付着状況の判断は困難
展着剤組成物2 +++ 肉眼では付着状況の判断は困難
展着剤組成物3 +++ 肉眼では付着状況の判断は困難
展着剤組成物4 + 肉眼では付着状況の判断は困難
展着剤組成物5 ++〜+++ 肉眼では付着状況の判断は困難

付着性評価基準:デジタルカメラの写真画像より目視判断
表4−2 ネギの付着均一性評価基準
評価基準 ネギ表面への付着
+ 部分的に付着
++ 半分程度以上付着
+++ ほぼ全面に付着
++++ 全面に均一付着
表4−1より比較例2の付着水滴の目視評価方法では観察が困難であったネギでの均一付着性状況が、本発明の実施例3では観察できた。実施例3の評価結果をまとめると、各展着剤組成物の均一付着性は以下の様に評価できた。
展着剤組成物1≧展着剤組成物2,3≧展着剤組成物5>展着剤組成物4
この傾向はキャベツでの付着性と似ているが、興味深いことに展着剤組成物5がネギではキャベツに比較して付着性が向上しており、キャベツでほぼ付着性が同等であった展着剤組成物4の付着性はネギでもあまりよくなかった。これは、作物によって付着性が異なる点を視覚的に観察できる非常に優れた評価方法であることが確認できた。
試験例4:均一付着性試験(大豆)
上記の実施例1の蛍光顔料の目視評価方法、及び比較例1及び2の評価方法について表5−1に示した展着剤組成物1及び4を用いて、作物表面の付着均一性を指標とした比較試験を行った。散布液は展着剤組成物1及び4は3.3mLを水10Lに添加し、良く混合し調製した。散布方法及び評価方法は実施例1、比較例2に記載の方法に従って実施した。尚、今回使用したノズルは、新広角噴板(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が60%以上(1.0−2.0MPa))を使用した。その他条件は実施例1と同様で行った。供試展着剤の処方一覧を表5−1に、試験結果を表5−2、判断基準を表5−3に示した。
表5−1:試験例4の供試展着剤の処方一覧
(1)供試展着剤組成物1の組成
・ラピゾールRTMA90(ジアルキルスルホコハク酸Na、日本油脂社製) 20重量部
・ペグノールRTMST−9(ポリオキシエチレンアルキル(C12〜14)エーテル100%含有、ポリオキシエチレン重合度9、東邦化学社製) 60重量部
・プロピレングリコール(関東化学社製) 10重量部
・水道水 10重量部
(2)供試展着剤組成物4
・新グラミンRTM(ポリオキシエチレンドデシルエーテル10%、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル10%、リグニンスルホン酸カルシウム12%、三共アグロ株式会社製) 100重量部
表5−2 試験例4の結果
(1)展着剤組成物1
・実施例1(目視及び写真) +++++ (大豆葉の全面に均一に蛍光顔料が付着、また茎の部分の散布方向部分にも付着している様子が観察できた。図2;写真B参照。)
・比較例1(感水紙) +++++ (感水紙のほぼ全面に水滴反応による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) ++++ (大豆葉の表面全体が濡れた状況、茎部分の水滴はほとんど観察されなかった)
(2)展着剤組成物4
・実施例1(目視及び写真) ++ (大豆葉の葉脈部分に集中し蛍光顔料が付着。その他部分には蛍光顔料はほとんど付着していない、茎部分の付着は微量であった。図3;写真C参照。)
・比較例1(感水紙) +++++ (感水紙のほぼ全面に水滴反応による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) +++ (大豆葉の全体の半分程度が濡れた状況、茎部分の水滴は観察されなかった)
付着性評価基準を表5−3に示した。
実施例1:デジタルカメラの写真画像より目視判断
比較例1:感水紙の反応面積を目視判断
比較例2:作物表面の目視判断
表5−3 評価基準の説明
± ほとんど付着/感水紙反応/大豆表面への水滴付着無
+ 全体の1割程度に付着/感水紙反応/大豆表面への水滴付着あり
++ 全体の1−5割程度に付着/感水紙反応/大豆表面への水滴付着あり
+++ 全体の5−8割程度に付着/感水紙反応/大豆表面への水滴付着あり
++++ 全体の8割以上に付着/感水紙反応/大豆表面への水滴付着あり
+++++ ほぼ全体に付着/感水紙反応/大豆表面への水滴付着あり
表5−2より本発明の実施例1では、比較例1の感水紙では、水滴の反応のみであるため、供試した展着剤組成物の付着性の差は全く観察されなかった。また比較例2では肉眼であるため、微細な水滴の観察は不可能であり、大粒の水滴の付着を概略視る程度であり、ある程度の展着剤組成物の濡れ性の差がみられたが、その他の観察はできなかった。しかしながら、蛍光顔料の付着性試験では、具体的な付着性が観察できるため、付着の状況が十分把握できた。特に、展着剤組成物4では、大豆葉への付着性が弱く、表面ではじかれ、葉脈部分に蛍光顔料が集まる傾向が強かった。これに対し、均一付着性に優れる展着剤組成物は、大豆葉表面全体に付着する傾向が強いことが明らかになった。これからも作物表面への付着性を評価する優れた評価方法であることが確認できた。
試験例5:均一付着性試験(温州ミカン)
上記の実施例1の蛍光顔料の目視評価方法、及び比較例1及び2の評価方法について表6−1に示した展着剤組成物1及び4を用いて、作物表面の付着均一性を指標とした比較試験を行った。散布液は展着剤組成物1及び4は1mLを水10Lに添加し、良く混合し調製した。散布方法及び評価方法は実施例1、比較例2に記載の方法に従って実施した。尚、今回使用したノズルは、新広角噴板(商品名、ヤマホ工業株式会社製、100μm以下の粒子の合計体積割合が60%以上(1.0−2.0MPa))を使用した。また散布水量は200L/10アール量で散布した。その他条件は実施例1と同様で行った。供試展着剤の処方一覧を表6−1に、試験結果を表6−2、判断基準を表6−3に示した。
表6−1:試験例5の供試展着剤の処方一覧
(1)供試展着剤組成物1の組成
・ラピゾールRTMA90(ジアルキルスルホコハク酸Na、日本油脂社製) 20重量部
・ペグノールRTMST−9(ポリオキシエチレンアルキル(C12〜14)エーテル100%含有、ポリオキシエチレン重合度9、東邦化学社製) 60重量部
・プロピレングリコール(関東化学社製) 10重量部
・水道水 10重量部
(2)供試展着剤組成物4
・新グラミンRTM(ポリオキシエチレンドデシルエーテル10%、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル10%、リグニンスルホン酸カルシウム12%、三共アグロ株式会社製) 100重量部
表6−2 試験例5の結果
(3)展着剤組成物1
・実施例1(目視及び写真) +++++ (葉及び枝の表面に均一に延びて付着した状況でほぼ全体に蛍光顔料が付着している様子が観察できた。図4;写真D参照。)
・比較例1(感水紙) ++++ (感水紙のほぼ全面に水滴反応による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) +++ (葉の表面が濡れた状況は観察されたが、枝部分の水滴による濡れはほとんど観察されなかった)
(4)展着剤組成物4
・実施例1(目視及び写真) +++ (蛍光顔料が葉及び枝にまばらに付着した状況であった。図5;写真E参照。)
・比較例1(感水紙) ++++ (感水紙のほぼ全面に水滴反応による反応がみられた。)
・比較例2(目視及び写真) +++ (葉の表面が濡れた状況は観察されたが、枝部分の水滴による濡れはほとんど観察されなかった)
付着性評価基準を表6−3に示した。
実施例1:デジタルカメラの写真画像より目視判断
比較例1:感水紙の反応面積を目視判断
比較例2:作物表面の目視判断
表6−3 評価基準の説明
± ほとんど付着/感水紙反応/葉及び枝表面への水滴付着無
+ 全体の1割程度に付着/感水紙反応/葉及び枝表面への水滴付着あり
++ 全体の1−5割程度に付着/感水紙反応/葉及び枝表面への水滴付着あり
+++ 全体の5−8割程度に付着/感水紙反応/葉及び枝表面への水滴付着あり
++++ 全体の8割以上に付着/感水紙反応/葉及び枝表面への水滴付着あり
+++++ ほぼ全体に付着/感水紙反応/葉及び枝表面への水滴付着あり
表6−2より本発明の実施例1では、比較例1の感水紙では、水滴の反応のみであるため、供試した展着剤組成物の付着性の差は全く観察されなかった。また比較例2では肉眼であるため、微細な水滴の観察は不可能であり、大粒の水滴の付着を概略視る程度であり、ある程度の展着剤組成物の濡れ性の差がみられたが、その他の観察はできなかった。しかしながら、蛍光顔料の付着性試験では、具体的な付着性が観察でき、状況が十分把握できた。特に、展着剤組成物4では、温州ミカンへの付着性は比較的弱く、表面ではじかれ、温州ミカンの葉及び枝に蛍光顔料がまばらに付着する傾向が強かった。これに対し、均一付着性に優れる展着剤組成物では、葉及び枝の全体に付着し、拡展している様子がみられた。これからも作物表面への付着性を評価する優れた評価方法であることが確認できた。
試験例6:キャベツ葉への農薬有効成分の付着量測定試験との比較
コテツフロアブル((商品名)日本曹達、有効成分;10%クロルフェナピル)を試験農薬として表1−2に示した展着剤組成物1、または4に添加し、表5−1に示した農薬散布液1、または2を調製した。キャベツを対象作物として、実施例1及び比較例3に従い農薬散布液を散布し、実施例1による均一付着性を指標とした評価試験と比較例3によるHPLC法による農薬付着量分析試験を実施し、試験結果を比較した。キャベツ葉の分析箇所は表1−1に従い上葉、中葉、下葉をそれぞれ分析した。
表7−1 供試農薬散布液組成
薬散布液 農薬製剤;コテツフロアブル 展着剤組成物(添加量) 希釈水
農薬散布液1 5mL(散布液濃度;50 ppm) 展着剤組成物1(3.3mL) 10L
農薬散布液2 5mL(散布液濃度;50 ppm) 展着剤組成物4(3.3mL) 10L
クロルフェナピルのキャベツ葉付着量(比較例3)とキャベツ葉均一付着性(実施例1)の評価結果を表7−2に示した。
表7−2 実施例1と比較例3の評価結果比較
比較例3 実施例1
農薬散布液 ノズルタイプ 供試展着 分析 付着量 付着性(目視)
剤組成物 箇所 (μg/g)
農薬散布液2 慣行 展着剤組成物4 上葉 2.18 +++
農薬散布液2 慣行 展着剤組成物4 中葉 1.99 ++++
農薬散布液2 慣行 展着剤組成物4 下葉 2.40 +++++
農薬散布液2 ドリフト低減 展着剤組成物4 上葉 0.10 +
農薬散布液2 ドリフト低減 展着剤組成物4 中葉 0.77 ++
農薬散布液2 ドリフト低減 展着剤組成物4 下葉 0.78 ++
農薬散布液1 ドリフト低減 展着剤組成物1 上葉 2.39 +++
農薬散布液1 ドリフト低減 展着剤組成物1 中葉 3.86 +++++
農薬散布液1 ドリフト低減 展着剤組成物1 下葉 1.32 +++++
本願の均一付着性評価方法に関する実施例3と農薬付着量分析方法である比較例3は、農薬散布液において異なる観点の評価方法である。表7−2より実施例1と比較例3では農薬散布液と散布ノズルの違いにおいて、均一付着性と農薬付着量でほぼ一致する結果の傾向が見られたが、検体の分析箇所(葉部位)において均一付着性と農薬付着量が相関しない点が見られた。すなわち、比較例3では作物表面にどのような分布をしているかは全くわからず、全体の葉から抽出した分析値であるのに対し、実施例1では農薬散布液の付着の分布や均一性に関する情報が得られる点で異なっており、農薬散布対象農作物に対し均一に分布し付着する性能を満たす農薬製剤及び/または農薬基材及び/または展着剤を含む農薬散布液を開発するための、有用な評価方法であると判断される。
以上、試験例1〜6をもって、本願に関する蛍光顔料検出による実施例1〜3の評価方法と、比較例1(感水紙法)、比較例2(付着水滴法)、比較例3(HPLC付着含量分析法)の既存散布評価方法の評価結果を比較した。その結果、実施例評価方法と比較例評価方法とは得られる結果は同一ではないことが示された。比較例1は主として散布機器の液拡散状況の評価方法であり、また比較例3は付着含量を評価するものであり、本願の評価方法とは評価観点が全く異なると言える。比較例2評価方法は、本願と評価観点を同じくした方法であるが、水滴検出が困難な検体または部位があり、また水滴の蒸発により評価検体が経時的に変化してしまう問題があり、評価検体に種類及び数量が限定され、かつ正確性に欠ける評価方法であった。本願に関する蛍光顔料検出による農薬散布液の均一付着性に関する評価方法は、農薬散布液の散布分布及びその付着状況を高感度で検出でき、対象農作物表面積当りに散布付着している農薬散布液を簡便に比較評価できる方法である。また画像処理方法を用いることにより、均一付着性を数値データとして表現することができる点で、従来評価方法に無い優れた評価方法であると言える。この方法は対象農作物に高い均一付着性を有する農薬散布液の組成最適化、または高い均一付着性を有する農薬製剤、農薬基材、展着剤のそれぞれの処方設計のための評価方法として有用である。

Claims (7)

  1. 作物表面への均一な付着性を示す農薬散布液組成物の評価方法であって、蛍光剤を添加した農薬散布液を作物に散布する工程(a)、紫外線照射することで付着蛍光剤を検出する工程(b)、及び蛍光発色分布を計測する工程(c)、からなる農薬散布液の均一付着性を評価する方法。
  2. 農薬散布液組成物が農薬製剤、農薬基材、展着剤からなる群から選択されるいずれか1種以上を含むものであり、且つ蛍光剤を2.5〜40g/10Lの範囲で含有する請求項1に記載の評価方法。
  3. 励起波長が300nm〜400nmの近紫外光である蛍光剤を用いる請求項1または2に記載の評価方法。
  4. 前記工程(c)が写真撮影による画像処理により蛍光剤付着分布を数値化する方法である請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の評価方法により組成が決められた農薬散布液組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の評価方法により組成が決められた展着剤、農薬基材又は農薬製剤。
  7. 請求項4記載の写真撮影の画像を用いて作物への均一付着性を評価した面積率が8%以上であることを特長とする農薬散布液組成物、展着剤、農薬基材又は農薬製剤。
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