JP2010019115A - ディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】セタン価等の燃料(軽油)のアンチノック性を表す指標値の検出の機会を十分に確保できるディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置を提供すること。
【解決手段】セタン価検出制御(CE検出制御)は、通常制御実行中において燃料噴射量qfinが減少しながら所定量q1に達した時点(t2)から通常制御に代えて開始・実行される。CE検出制御中(t2〜t3)では、燃料噴射時期CAinjが前記時点(t2)にて設定されていた時期から徐々に遅角されていくとともにqfinがq1に固定される。CAinjが遅角されていくことでCE検出制御中において失火が発生する時期が必ず到来する。この失火発生時期は、燃料のセタン価に依存する。失火発生と判定された時点(t3)におけるCAinjが特定され、この特定されたCAinjと、予め作製された「失火発生時期に対応する燃料噴射時期とセタン価との関係」とを利用して、燃料のセタン価が検出される。
【選択図】図5
【解決手段】セタン価検出制御(CE検出制御)は、通常制御実行中において燃料噴射量qfinが減少しながら所定量q1に達した時点(t2)から通常制御に代えて開始・実行される。CE検出制御中(t2〜t3)では、燃料噴射時期CAinjが前記時点(t2)にて設定されていた時期から徐々に遅角されていくとともにqfinがq1に固定される。CAinjが遅角されていくことでCE検出制御中において失火が発生する時期が必ず到来する。この失火発生時期は、燃料のセタン価に依存する。失火発生と判定された時点(t3)におけるCAinjが特定され、この特定されたCAinjと、予め作製された「失火発生時期に対応する燃料噴射時期とセタン価との関係」とを利用して、燃料のセタン価が検出される。
【選択図】図5
Description
本発明は、ディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置に関する。
ディーゼル機関の燃料として軽油が使用される。一般に、ディーゼル機関内での軽油のアンチノック性(ディーゼルノックの起こり難さ、耐ノック性)を表す指標値としてセタン価が使用される。セタン価が高いほど、ディーゼルノックが起こり難く、自己着火し易く、且つ失火が発生し難い。セタン価は、ディーゼル機関内での燃焼に大きく影響を与える因子となるから、ディーゼル機関の制御パラメータ(例えば、燃料噴射時期等)が、セタン価に応じて変化するように決定される場合が多い。
ディーゼル機関に使用される軽油(即ち、燃料タンク内の軽油)のセタン価は、給油が行われる毎に変動し得る。従って、ディーゼル機関の制御パラメータを精度良く決定するためには、現在使用中の軽油のセタン価を精度良く検出する必要がある。
従来より、セタン価を検出する種々の装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の装置では、ディーゼル機関がフューエルカット制御中において規定量の燃料が噴射され、規定時期から噴射された燃料が着火する時期までの期間に基づいてセタン価が検出されるようになっている。
特開2005−344557号公報
しかしながら、上記文献に記載の装置では、フューエルカット制御が実行される場合にのみセタン価が検出され得る。従って、ディーゼル機関の運転状態によっては、セタン価検出の機会が十分に確保され得ないという問題がある。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、セタン価等の燃料(軽油)のアンチノック性を表す指標値の検出の機会を十分に確保できるディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置を提供することにある。
本発明に係るアンチノック性指標値検出装置は、通常値決定手段と、通常制御手段と、特定制御手段と、判定手段と、検出手段とを備えている。以下、係る手段について順に説明していく。
通常値決定手段は、ディーゼル機関の運転状態に基づいて、前記ディーゼル機関の燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁に対する燃料噴射時期及び燃料噴射量の通常値である通常噴射時期及び通常噴射量を決定する。通常噴射時期及び通常噴射量は、例えば、ディーゼル機関の運転速度、運転速度の加速度合いを調整するアクセル操作部材の操作量、及び燃料のアンチノック性を表す指標値(以下、単に「指標値」とも称呼する。)等に基づいて、予め作製されたテーブル等を使用して決定される。
「指標値」としては、例えば、燃料のセタン価、燃料の密度、粘度等が使用される。通常噴射時期及び通常噴射量は、ディーゼル機関の通常運転中のみならず、ディーゼル機関の始動時、ディーゼル機関のイグニッションオフ時等にも適用されるものである。
通常制御手段は、通常制御を実行する。通常制御では、前記燃料噴射時期及び前記燃料噴射量が前記通常噴射時期及び前記通常噴射量に設定されて前記燃料噴射弁に対して噴射指示が行われる。即ち、通常制御では、通常噴射時期に通常噴射量の燃料が噴射される。
特定制御手段は、特定制御を実行する。特定制御は、通常制御実行中における通常噴射量の減少中において通常制御に代えて開始・実行される。特定制御では、前記燃料噴射時期が徐々に遅角されていくとともに前記燃料噴射量が前記通常噴射量よりも大きい量に設定されて前記燃料噴射弁に対して噴射指示が行われる。即ち、特定制御では、燃料噴射時期が徐々に遅角されていき且つ通常噴射量よりも大きい量の燃料が噴射される。
ここにおいて、前記通常制御実行中において減少していく前記通常噴射量が所定量に達した時点である到達時点から前記通常制御に代えて前記特定制御が開始・実行され、前記特定制御では、前記燃料噴射時期が前記到達時点にて設定されていた通常噴射時期から徐々に遅角されていくとともに前記燃料噴射量が前記所定量に固定されることが好適である。前記所定量は、ディーゼル機関の運転速度をアイドル運転速度に調整するための値に対して大きくても小さくてもよい。
上述のように、特定制御中では、通常噴射量よりも大きい量の燃料が噴射される。この観点では、特定制御中では、特定制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合に比してディーゼル機関の出力トルク(及び運転速度)が大きくなる傾向がある。他方、特定制御中では、燃料噴射時期が(通常噴射時期から)徐々に遅角されていく。一般に、燃料噴射時期が(通常噴射時期から)遅角されていくと、ディーゼル機関の出力トルクが小さくなっていく。従って、この観点では、特定制御中では、特定制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合に比してディーゼル機関の出力トルク(及び運転速度)が小さくなる傾向がある。
このように、係る2つの傾向は互いに逆の傾向となるから、係る2つの傾向が互いに他方の傾向を打ち消しあう。以上より、通常制御に代えて特定制御を実行しても、ディーゼル機関の出力トルク(及び運転速度)を、特定制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合に比して大きく乖離させることなく推移させることができる。
更には、上述のように、特定制御は、燃料噴射量(=通常噴射量)の減少中において開始・実行される。換言すれば、特定制御は、燃料が噴射されている状態にあるディーゼル機関の運転速度の減速中(以下、単に「ディーゼル機関の減速中」とも称呼する。)に開始・実行される。ここで、「ディーゼル機関の減速中」では、ディーゼル機関の出力トルクの変動があっても、ディーゼル機関が搭載された車両の運転者(搭乗者)がその変動に気付き難い傾向がある。以上のことから、上記のように、「ディーゼル機関の減速中」において特定制御が開始・実行されることで、運転者(搭乗者)に特定制御の開始・実行を気付かせることなく特定制御が開始・実行され得る。
加えて、「ディーゼル機関の減速中」の状態は比較的頻繁に発生し得る。例えば、前記通常値決定手段が、前記アクセル操作部材の操作量がゼロより大きい値からゼロに変更された時点(第1時点)以降、前記通常噴射量を、前記第1時点の直前にて決定されていた値からゼロに向けて徐々に減少させていくように構成されている場合、前記第1時点以降において「ディーゼル機関の減速中」の状態が得られ、前記第1時点以降において前記特定制御が開始・実行され得る。
また、前記通常値決定手段が、前記ディーゼル機関を始動する際、前記ディーゼル機関の運転速度がピークに達した時点(第2時点)以降、前記通常噴射量を、前記第2時点にて決定されていた値から前記運転速度をアイドル運転速度に調整するための値に向けて徐々に減少させていくように構成されている場合、前記第2時点以降において「ディーゼル機関の減速中」の状態が得られ、前記第2時点以降において前記特定制御が開始・実行され得る。
また、前記通常値決定手段が、前記ディーゼル機関のイグニッションがオン状態からオフ状態に変更された時点(第3時点)以降、前記通常噴射量を、前記第3時点の直前にて決定されていた値からゼロに向けて徐々に減少させていくように構成されている場合、前記第3時点以降において「ディーゼル機関の減速中」の状態が得られ、前記第3時点以降において前記特定制御が開始・実行され得る。
以上のように、「ディーゼル機関の減速中」の状態は比較的頻繁に発生し得る。従って、上記のように、「ディーゼル機関の減速中」において特定制御が開始・実行されることで、特定制御の実行の機会が比較的頻繁に確保され得る。
そして、上述のように、特定制御中では、燃料噴射時期が徐々に遅角されていく。従って、特定制御中において失火が発生する時期が必ず到来する。上記失火の発生時期は前記「指標値」が大きいほど遅れる。
判定手段は、前記特定制御実行中において上記失火が発生したか否かを判定する。この判定は、例えば、前記ディーゼル機関の運転速度の変動に基づいて周知の手法の1つを用いて実行され得る。
検出手段は、前記失火が発生したと判定された時点での前記燃料噴射時期に基づいて、「指標値」を検出する。この検出は、例えば、失火の発生開始時期に対応する燃料噴射時期と、「失火の発生開始時期に対応する燃料噴射時期及び「指標値」の予め定められた関係」と、に基づいて実行され得る。
上述のように、上記失火の発生開始時期に対応する燃料噴射時期は「指標値」が大きいほど遅れる。換言すれば、上記「失火の発生開始時期に対応する燃料噴射時期と「指標値」との関係」は、実験等を通して予め取得され得る。従って、上記失火の発生開始時期に対応する燃料噴射時期を取得することで、「指標値」を検出することができる。上記構成は係る知見に基づく。
以上より、上記本発明に係るアンチノック性指標値検出装置によれば、「ディーゼル機関の減速中」において上記特定制御が開始・実行されることで、比較的頻繁に、且つ、運転者(搭乗者)に特定制御の開始・実行を気付かせることなく、「指標値」を検出することができる。
上記本発明に係るアンチノック性指標値検出装置においては、前記特定制御手段は、前記ディーゼル機関を冷却するための冷却液の温度、前記ディーゼル機関の吸気通路内の吸気の圧力、及び前記ディーゼル機関のEGR率の1又は2以上がそれぞれ対応する所定範囲内にある場合にのみ前記特定制御を実行するように構成されることが好適である。
上述した「失火の発生開始時期に対応する燃料噴射時期と「指標値」との関係」は、前記冷却液の温度、前記吸気の圧力、前記EGR率等がそれぞれ対応する所定範囲内にある状態において実験等を通して取得される。従って、上記構成によれば、実際の上記「関係」が実験等を通して予め取得された上記「関係」に比較的近い場合にのみ「指標値」が検出されることが保証される。従って、安定して精度良く「指標値」を検出することができる。
以下、本発明によるディーゼル機関のアンチノック性指標値検出装置(セタン価検出装置)の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るディーゼル機関のセタン価検出装置を、4気筒ディーゼル機関10に適用したシステム全体の概略構成を示している。このシステムは、燃料供給系統を含むエンジン本体20、エンジン本体20の各気筒の燃焼室(筒内)にガスを導入するための吸気系統30、エンジン本体20からの排ガスを放出するための排気系統40、排気還流を行うためのEGR装置50、及び電気制御装置60を含んでいる。
エンジン本体20の各気筒の上部には燃料噴射弁(噴射弁、インジェクタ)21が配設されている。各燃料噴射弁21は、図示しない燃料タンクと接続された燃料噴射用ポンプ22に燃料配管23を介して接続されている。燃料噴射用ポンプ22は、電気制御装置60と電気的に接続されていて、電気制御装置60からの駆動信号により各燃料噴射弁21から噴射される燃料の圧力(噴射圧力)を調整できるようになっている。
また、各燃料噴射弁21は、電気制御装置60と電気的に接続されていて、電気制御装置60からの駆動信号により各燃料噴射弁21から噴射される燃料の量(燃料噴射量)を調整できるようになっている。
吸気系統30は、エンジン本体20の各気筒の燃焼室にそれぞれ接続された吸気マニホールド31、吸気マニホールド31の上流側集合部に接続され同吸気マニホールド31とともに吸気通路を構成する吸気管32、吸気管32内に回動可能に保持されたスロットル弁33、電気制御装置60からの駆動信号に応答してスロットル弁33を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ33a、スロットル弁33の上流において吸気管32に順に介装されたインタクーラー34と過給機35のコンプレッサ35a、及び吸気管32の先端部に配設されたエアクリーナ36とを含んでいる。
排気系統40は、エンジン本体20の各気筒にそれぞれ接続された排気マニホールド41、排気マニホールド41の下流側集合部に接続された排気管42、排気管42に配設された過給機35のタービン35b、及び排気管42に介装されたディーゼルパティキュレートフィルタ(DPNR)43を含んでいる。排気マニホールド41及び排気管42は排気通路を構成している。
EGR装置50は、排気ガスを還流させる通路(EGR通路)を構成する排気還流管51と、排気還流管51に介装されたEGR制御弁52と、EGRクーラー53とを備えている。排気還流管51はタービン35bの上流側排気通路(排気マニホールド41)とスロットル弁33の下流側吸気通路(吸気マニホールド31)を連通している。EGR制御弁52は電気制御装置60からの駆動信号に応答し、再循環される排気ガス量(排気還流量、EGRガス流量、EGR率)を変更し得るようになっている。なお、EGR率とは、本例では、燃焼室に流入する全ガス流量(新気流量+EGRガス流量)に対するEGRガス流量の割合をいう。
電気制御装置60は、互いにバスで接続されたCPU61、CPU61が実行するプログラム、テーブル(マップ)、及び定数等を予め記憶したROM62、RAM63、バックアップRAM64、並びにADコンバータを含むインターフェース65等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース65は、熱線式エアフローメータ71、スロットル弁開度センサ72、吸気管圧力センサ73、クランクポジションセンサ74、アクセル開度センサ75、EGR制御弁開度センサ76、及び水温センサ77と接続されていて、これらのセンサからの信号をCPU61に供給するようになっている。
また、インターフェース65は、燃料噴射弁21、燃料噴射用ポンプ22、スロットル弁アクチュエータ33a、及びEGR制御弁52と接続されていて、CPU61の指示に応じてこれらに駆動信号を送出するようになっている。
熱線式エアフローメータ71は、吸気通路内を通過する吸入空気の質量流量(単位時間当りの吸入空気(新気)量)を計測するようになっている。スロットル弁開度センサ72は、スロットル弁33の開度を検出するようになっている。吸気管圧力センサ73は、エンジン10の燃焼室に吸入されるガスの圧力(吸気管圧力Pm)を検出するようになっている。
クランクポジションセンサ74は、実クランク角度とともにエンジン10の回転速度であるエンジン回転速度NEを検出するようになっている。アクセル開度センサ75は、アクセルペダルAPの操作量(アクセルペダル操作量Accp)を検出するようになっている。EGR制御弁開度センサ76は、EGR制御弁52の開度を検出するようになっている。水温センサ77は、冷却水の温度(冷却水温THW)を検出するようになっている。
(燃料噴射制御、及びセタン価の検出)
上記のように構成されたセタン価検出装置(以下、「本装置」という。)では、燃料噴射制御として、通常運転中(セタン価検出制御が非実行中)に実行される通常制御と、燃料のセタン価検出のために実行されるセタン価検出制御とが選択的に実行される。以下、係る燃料噴射制御、及びセタン価の検出に係わる具体的な処理について、図2、図3にフローチャートにより示したルーチン、図4にグラフにより示したテーブル、及び図5に示したタイムチャートを参照しながら説明する。
上記のように構成されたセタン価検出装置(以下、「本装置」という。)では、燃料噴射制御として、通常運転中(セタン価検出制御が非実行中)に実行される通常制御と、燃料のセタン価検出のために実行されるセタン価検出制御とが選択的に実行される。以下、係る燃料噴射制御、及びセタン価の検出に係わる具体的な処理について、図2、図3にフローチャートにより示したルーチン、図4にグラフにより示したテーブル、及び図5に示したタイムチャートを参照しながら説明する。
図5は、IGスイッチがON状態に維持されている場合おいて、時刻t1にてアクセルペダル操作量Accpが「0」よりも大きい或る値から「0」にステップ的に変化した場合における、燃料噴射量qfin、燃料噴射時期CAinj、及びディーゼル機関10の出力トルクの変化の一例を示している。なお、説明の便宜上、図5のCAinjの変化を示すグラフでは、通常制御にて決定される通常噴射時期CAbase(後述)が一定とされている。
CPU61は、図2に示したルーチンを、所定のタイミング(例えば、圧縮行程下死点)が到来する毎に、繰り返し実行するようになっている。従って、或る気筒(任意の気筒)について前記所定のタイミングが到来すると、CPU61はステップ200から処理を開始し、ステップ205に進んで、フラグXが「0」であるか否かを判定する。ここで、フラグXは、その値が「1」のときセタン価検出制御(以下、「CE検出制御」という。)が実行中であることを示し、その値が「0」のときCE検出制御が非実行中(即ち、通常制御が実行中)であることを示す。
いま、図5の時刻t1以前(Accp>0,qfin>0)であって通常制御が実行されているものとする。この場合、CPU61はステップ205にて「Yes」と判定してステップ210に進み、センサ74,75にてそれぞれ検出された現在のエンジン回転速度NE、及びアクセルペダル操作量Accp、並びに、後述するルーチンにて検出(更新)されバックアップRAM64に記憶されている現在の(最新の)セタン価CEと、「NE,Accp,CEを引数とする通常噴射量qbaseを求めるための図示しないテーブル」と、に基づいて、通常制御中での燃料噴射量である通常噴射量qbaseを決定する。
なお、本例では、アクセルペダル操作量Accpが「0」より大きい値から「0」に変更された時点(後述する図5の時刻t1を参照)以降、通常噴射量qbaseが、その時点の直前にて決定されていた値から「0」に向けて徐々に減少していくように設定される。
次に、CPU61はステップ215に進んで、ステップ210と同様、現在のNE及びAccp、並びに最新のCEと、「NE,Accp,CEを引数とする通常噴射時期CAbaseを求めるための図示しないテーブル」と、に基づいて、通常制御中での燃料噴射時期である通常噴射時期CAbaseを決定する。これらのステップ210,215にて使用されるテーブルは、通常制御中においてNE,Accp,CEの組み合わせに対して最適な燃焼状態を得るために要求される燃料噴射量(=通常噴射量qbase)及び燃料噴射時期(=通常噴射時期CAbase)をそれぞれ適合する実験等を通して予め作製されている。
次いで、CPU61はステップ220に進み、センサ77にて検出された現在の冷却水温THWが所定範囲内にあるか否かを判定し、「Yes」と判定する場合、続くステップ225に進んで、センサ73にて検出された現在の吸気管圧力Pmが所定範囲内にあるか否かを判定し、「Yes」と判定する場合、続くステップ230に進んで、現在のEGR率Regrが所定範囲内にあるか否かを判定する。Regrは、例えば、センサ72にて検出された現在のスロットル弁33の開度と、センサ76にて検出された現在のEGR制御弁52の開度等に基づいて周知の手法の1つを用いて算出され得る。
また、ステップ230にて「Yes」と判定する場合、CPU61は、続くステップ235に進んで、ステップ235内に記載の条件が成立しているか否かを判定する。ここで、qbase1は、前回の本ルーチン実行時において後述するステップ245にて更新されている通常噴射量の前回値である。q1は、所定量である(図5を参照)。q1は、アイドリング状態での燃料噴射量(アイドル噴射量qidl)より大きくても小さくてもよいが、本例では、q1>qidlである。ステップ235に記載の条件は、「アクセルペダル操作量Accp=0であり、且つ、通常噴射量qbaseが減少しながら所定量q1に達した(q1を跨いだ)」場合に成立する(後述する図5の時刻t2を参照)。
上述のステップ220,225,230,235の全ての条件が成立している場合、CPU61はステップ250に進むが、少なくとも1つの条件が不成立の場合、ステップ240に進む。現時点は、図5の時刻t1以前であり、Accp>0である。従って、少なくともステップ235の条件が不成立である。従って、CPU61はステップ240に進んで、通常制御を実行する。
通常制御では、燃料噴射時期CAinj及び燃料噴射量qfinが、上述のように決定された通常噴射時期CAbase及び通常噴射量qbaseにそれぞれ設定されて、燃料噴射弁21に対して噴射指示が行われる。この結果、通常制御では、通常噴射時期CAbaseに通常噴射量qbaseの燃料が噴射される。
続いて、CPU61はステップ245に進み、通常噴射量の前回値qbase1を、現在の通常噴射量qbaseと等しい値に設定してqbase1を更新する。そして、CPU61は、本ルーチンを一旦終了する。この通常制御は、上述のステップ220,225,230,235の全ての条件が成立するまでの間、繰り返し実行される。
図5の時刻t1になると、アクセルペダル操作量Accpが「0」より大きい或る値から「0」にステップ的に変更される。しかしながら、上述のように、時刻t1以降、通常噴射量qbaseが、直ちに「0」とされず、時刻t1の直前にて決定されていた値から「0」に向けて徐々に減少していく。この結果、減少していく燃料噴射量qfin(=qbase)が所定量q1に達する時刻t2までの間、少なくともステップ235の条件が不成立であるから、通常制御が継続される。
時刻t2になると、燃料噴射量qfin(=qbase)が所定量q1に達するから、ステップ235の条件が成立する。また、ステップ220,225,230の条件は共に成立しているものとする。この場合、上述のステップ220,225,230,235の全ての条件が成立することになる。従って、時刻t2になると、CPU61はステップ250に進む。
ステップ250に進むと、CPU61はフラグXを「0」から「1」に変更し、続くステップ255にて通常噴射量の前回値qbase1を「0」に設定し、続くステップ260にてCE検出用噴射時期CA1を現在の通常噴射時期CAbaseに設定する。CA1は、後述するように、CE検出制御中において徐々に遅角されていく燃料噴射時期である。次いで、CPU61はステップ265に進み、CA1を現在値(現時点では、CA1=CAbase、ステップ260を参照)から微小値ΔCAだけ遅角する。
次に、CPU61はステップ270に進んで、CE検出制御(前記「特定制御」に対応)を実行する。CE検出制御では、燃料噴射時期CAinj及び燃料噴射量qfinが、CE検出用噴射時期CA1(可変)及び所定量q1(一定)にそれぞれ設定されて、燃料噴射弁21に対して噴射指示が行われる。この結果、CE検出制御では、CE検出用噴射時期CA1に所定量q1(一定)の燃料が噴射される。
そして、CPU61は、本ルーチンを一旦終了する。以降、フラグX=1となっている。従って、CPU61は、ステップ205に進んだとき「No」と判定してステップ265に直ちに進むようになり、ステップ265にてCA1を現在値(現時点では、CA1=CAbaseからΔCAだけ遅角)から微小値ΔCAだけ再び遅角した後、ステップ270にて上述したCE検出制御を実行する。このような処理は、フラグX=1である限りにおいて繰り返し実行される。この結果、ステップ265が実行される毎に、燃料噴射時期CAinj(=CA1)が、ΔCAだけ遅角されていく。
このように、CE検出制御は、通常制御実行中において減少していく通常噴射量qbaseが所定量q1(>0)に達した時点(時刻t2)から通常制御に代えて開始・実行される。CE検出制御中では、図5に実線にて示すように、燃料噴射時期CAinjが時刻t2にて設定されていた通常噴射時期CAbaseから徐々に(ΔCAずつ)遅角されていくとともに燃料噴射量qfinが所定量q1に固定される。時刻t2以降も、通常噴射量qbaseは所定量q1から減少していく(図5の破線を参照)。従って、CE検出制御中では、所定量q1は通常噴射量qbaseよりも大きい量となる。
このように、CE検出制御中では、通常噴射量qbaseよりも大きい量q1の燃料が噴射される。この観点では、CE検出制御中では、CE検出制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合(図5の破線を参照)に比してディーゼル機関10の出力トルクが大きくなる傾向があるといえる。他方、CE検出制御中では、燃料噴射時期CAinjが通常噴射時期CAbaseから徐々に遅角されていく。これにより、出力トルクが小さくなっていく。従って、この観点では、CE検出制御中では、CE検出制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合(図5の破線を参照)に比して出力トルクが小さくなる傾向があるといえる。
係る2つの傾向は互いに逆の傾向となり、この結果、係る2つの傾向が互いに他方の傾向を打ち消しあう。以上より、通常制御に代えてCE検出制御を実行しても、出力トルク(図5の実線を参照)が、CE検出制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合(図5の破線を参照)に対して大きく乖離することなく推移する。
更には、上述のように、CE検出制御は、燃料噴射量qfin(=通常噴射量qbase)の減少中において開始・実行される。換言すれば、CE検出制御は、燃料が噴射されている状態にあるディーゼル機関10のエンジン回転速度NEの減少中(以下、単に「ディーゼル機関の減速中」とも称呼する。)に開始・実行される。ここで、「ディーゼル機関の減速中」では、ディーゼル機関10の出力トルクの変動があっても、ディーゼル機関10が搭載された車両の運転者(搭乗者)がその変動に気付き難い傾向がある。以上の2つのことから、「ディーゼル機関の減速中」においてCE検出制御が開始・実行されることで、運転者(搭乗者)にCE検出制御の開始・実行を気付かせることなくCE検出制御が開始・実行され得る。
そして、上述のように、CE検出制御中では、燃料噴射時期CAinjが通常噴射時期CAbaseから徐々に遅角されていく。燃料噴射時期CAinjが通常噴射時期CAbaseから徐々に遅角されていくと、或る時期にて失火が必ず発生する。
次に、係る失火の発生時期を利用したセタン価の検出について説明する。CPU61は、図3に示したルーチンを、所定のタイミング(例えば、圧縮行程下死点)が到来する毎に、繰り返し実行するようになっている。従って、或る気筒(任意の気筒)について前記所定のタイミングが到来すると、CPU61はステップ300から処理を開始し、ステップ305に進んで、フラグXが「1」であるか否かを判定し、「No」と判定する場合、ステップ395に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
いま、時刻t2にて上述のステップ250の実行によりフラグXが「0」から「1」に変更された直後であるものとすると、CPU61はステップ305にて「Yes」と判定するようになり、ステップ310に進んで、失火が発生しているか否かの判定を開始する。この判定(失火判定)は、例えば、現在までのエンジン回転速度NEの変動に基づいて周知の手法の1つを用いて実行され得る。CPU61は、ステップ310にて「No」と判定する場合、ステップ395に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。このような処理は、ステップ310にて「Yes」と判定されるまで繰り返し実行される。
このように、失火判定は、CE検出制御が開始された時刻t2以降において実行される。この失火判定は、CE検出制御実行中において、燃料噴射時期CAinjが徐々に遅角されていくことに起因して失火が発生開始するまで継続される。
時刻t3にて、ステップ310にて失火が発生していると判定されたものとする。この場合、CPU61は、ステップ310からステップ315に進むようになり、セタン価CEを検出する。セタン価CEは、現在のCA1(=現在の燃料噴射時期CAinj)及びエンジン回転速度NEと、図4に示した「失火の発生開始時期に対応する噴射時期及びNEとセタン価CEとの関係を規定するテーブル」と、に基づいて検出される。
図4に示したテーブルは、CE,NEの組み合わせに対して、燃料噴射時期を徐々に遅角していく過程にて失火が発生開始する時期に対応する燃料噴射時期を取得する実験を通して予め取得され得る。図4に示すように、失火の発生開始時期に対応する噴射時期は、セタン価CEが大きいほど、エンジン回転速度NEが小さいほど遅れる傾向がある。
そして、CPU61はステップ320に進み、ステップ315にて検出したセタン価CEの値(最新値)をバックアップRAM64の所定の記憶領域に記憶し、続くステップ325にてフラグXを「1」から「0」に変更する。以降、フラグX=0となっている。従って、CPU61は、図2のステップ205に進んだとき再び「Yes」と判定してステップ210以降に進むようになり、ステップ220,225,230,235の条件が共に成立するまでの間、通常制御が再び実行・継続される。
時刻t3以降(即ち、失火の発生によりセタン価CEが検出された後)では、通常噴射量qbaseが「0」に維持されているから、少なくともステップ235の条件が不成立となる。従って、時刻t3以降、通常制御が再び開始・実行される。この場合、時刻t3以降において、燃料噴射量qfin(=qbase)も「0」となり、フューエルカットが実行されることになる。
以上、IGスイッチがON状態に維持されている場合(具体的には、完全暖機状態が想定される)における、本装置による燃料噴射制御、及びセタン価の検出について説明した。本装置は、ディーゼル機関10の始動時においても、上述の図2のルーチンに代えて図6にフローチャートにより示したルーチン(及び、図3に示したルーチン)を所定のタイミング(例えば、圧縮行程下死点)が到来する毎に繰り返し実行することで、燃料噴射制御(通常制御とCE検出制御とが選択的に実行される制御)、及びセタン価の検出を行う。以下、この場合の具体的な処理について、図6に示したルーチン、及び図7に示したタイムチャートを参照しながら説明する。
図7は、IGスイッチがOFF状態からON状態に変更されてディーゼル機関10が始動されてからアイドリング状態に移行するまでの過程における、上述した図5に対応するタイムチャートである。図7の時刻t1、t2、t3はそれぞれ、図5の時刻t1、t2、t3に対応している。図7では、出力トルクの変化に代えてエンジン回転速度NEの変化が示されている。
図6に示したルーチンは、ステップ605が追加・挿入された点、ステップ235、270がステップ610、615にそれぞれ置き換えられた点においてのみ、図2に示したルーチンと異なる。以下、係る相違点についてのみ説明する。
ステップ605では、始動中であるか否かが判定される。「始動中」とは、IGスイッチがOFF状態からON状態に変更された時点からアイドリング状態(qfin=qidl,NE=NEidl)に移行するまでの期間をいう。qidl,NEidlはそれぞれ、アイドリング状態での燃料噴射量(アイドル噴射量)及びエンジン回転速度(アイドル回転速度)である。従って、図7に示されている期間では「始動中」であると判定されて、ステップ205以降の処理(即ち、燃料噴射制御)が実行される。
なお、「始動中」においては、エンジン回転速度NEがピークに達した時点(図7の時刻t1を参照)以降、図6のステップ210にて、通常噴射量qbaseが、その時点にて決定されていた値からアイドル噴射量qidlに向けて徐々に減少していくように設定されるようになっている。
ステップ610、615は、所定量q1(図5を参照)が所定量q2(図7を参照)に置き換えられた点においてのみステップ235、270とそれぞれ異なる。q2は、qidlよりも大きい。従って、「始動中」では、CE検出制御は、通常制御実行中における図7の時刻t1以降において減少していく通常噴射量qbaseが、所定量q1に代えて所定量q2(>0)に達した時点(図7の時刻t2)から通常制御に代えて開始・実行される。換言すれば、この場合も、上述した「ディーゼル機関の減速中」においてCE検出制御が開始・実行されることになる。
そして、CE検出制御は、図7の時刻t3(即ち、失火の発生によりセタン価CEが検出される時点)まで継続され、時刻t3以降、再び、通常制御が開始・実行される。この結果、時刻t3以降、燃料噴射量qfin(=qbase)がアイドル噴射量qidlに近づいていき、この結果、エンジン回転速度NEがアイドル回転速度NEidlに近づいていく。
図7に示す場合も、図5に示す場合と同様、CE検出制御中では、通常噴射量qbaseよりも大きい量q2の燃料が噴射される観点において、CE検出制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合(図7の破線を参照)に比して出力トルク(従って、エンジン回転速度NE)が大きくなる傾向があるといえる。他方、CE検出制御中では、燃料噴射時期CAinjが通常噴射時期CAbaseから徐々に遅角されていく観点において、CE検出制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合(図7の破線を参照)に比して出力トルク(従って、エンジン回転速度NE)が小さくなる傾向があるといえる。
即ち、図7に示す場合も、図5に示す場合と同様、係る2つの傾向が互いに他方の傾向を打ち消しあう。この結果、「始動中」の途中において通常制御に代えてCE検出制御を実行しても、エンジン回転速度NE(図7の実線を参照)が、CE検出制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合(図7の破線を参照)に対して大きく乖離することなく推移する。従って、この場合も、運転者(搭乗者)にCE検出制御の開始・実行を気付かせることなくCE検出制御が開始・実行され得る。
以上、ディーゼル機関10の始動時における、本装置による燃料噴射制御、及びセタン価の検出について説明した。本装置は、ディーゼル機関10のIGOFF時においても、上述の図2のルーチンに代えて図8にフローチャートにより示したルーチン(及び、図3に示したルーチン)を所定のタイミング(例えば、圧縮行程下死点)が到来する毎に繰り返し実行することで、燃料噴射制御(通常制御とCE検出制御とが選択的に実行される制御)、及びセタン価の検出を行う。以下、この場合の具体的な処理について、図8に示したルーチン、及び図9に示したタイムチャートを参照しながら説明する。
図9は、アイドリング状態にある時刻t1にてIGスイッチがON状態からOFF状態に変更されてディーゼル機関10が運転が終了するまでの過程における、上述した図5に対応するタイムチャートである。図9の時刻t1、t2、t3はそれぞれ、図5の時刻t1、t2、t3に対応している。
図8に示したルーチンは、ステップ805が追加・挿入された点、ステップ235、270がステップ810、815にそれぞれ置き換えられた点においてのみ、図2に示したルーチンと異なる。以下、係る相違点についてのみ説明する。
ステップ805では、IGOFF制御中であるか否かが判定される。「IGOFF制御中」とは、IGスイッチがON状態からOFF状態に変更された時点から機関の運転が終了するまでの期間をいう。従って、図9に示されている期間では「IGOFF制御中」であると判定されて、ステップ805以降の処理(即ち、燃料噴射制御)が実行される。
なお、「IGOFF制御中」においては、IGスイッチがON状態からOFF状態に変更された時点(図9の時刻t1を参照)以降、図8のステップ210にて、通常噴射量qbaseが、その時点の直前にて決定されていた値から「0」に向けて徐々に減少していくように設定されるようになっている。
ステップ810、815は、所定量q1(図5を参照)が所定量q3(図9を参照)に置き換えられた点においてのみステップ235、270とそれぞれ異なる。q3は、qidlよりも小さい。従って、「IGOFF制御中」では、CE検出制御は、通常制御実行中における図9の時刻t1以降において減少していく通常噴射量qbaseが、所定量q1に代えて所定量q3(>0)に達した時点(図9の時刻t2)から通常制御に代えて開始・実行される。換言すれば、この場合も、上述した「ディーゼル機関の減速中」においてCE検出制御が開始・実行されることになる。
そして、CE検出制御は、図9の時刻t3(即ち、失火の発生によりセタン価CEが検出される時点)まで継続される。そして、時刻t3にて検出されたセタン価CEの値(最新値)がバックアップRAM64の所定の記憶領域に記憶された後、ディーゼル機関10の運転が終了する。
図9に示す場合も、図5に示す場合と同様の理由により、「IGOFF制御中」の途中において通常制御に代えてCE検出制御を実行しても、出力トルク(図9の実線を参照)が、CE検出制御が開始されずに通常制御が継続したと仮定した場合(図9の破線を参照)に対して大きく乖離することなく推移する。従って、この場合も、運転者(搭乗者)にCE検出制御の開始・実行を気付かせることなくCE検出制御が開始・実行され得る。
以上、説明したように、本装置によれば、「ディーゼル機関の減速中」においてCE検出制御が開始・実行されることで、運転者(搭乗者)に特定制御の開始・実行を気付かせることなく、セタン価CEを検出することができる。
加えて、「ディーゼル機関の減速中」の状態は、上述した図5、図7、図9に示した時刻t2〜t3の期間(即ち、Accpが「0」よりも大きい値から「0」に変更された場合、機関が始動された場合、IGスイッチがON状態からOFF状態に変更された場合)のみならず、Accpが「0」よりも大きい範囲内で減少した場合等にも発生し得る。換言すれば、「ディーゼル機関の減速中」の状態は、比較的頻繁に発生し得る。この結果、「ディーゼル機関の減速中」においてCE検出制御が開始・実行される本装置によれば、比較的頻繁にセタン価CEを検出することができる。
更には、本装置では、CE検出制御は、冷却水温THW、吸気管圧力Pm、及びEGR率Regrがそれぞれ対応する所定範囲内にある場合にのみ実行される(図2、図6、図8のステップ220、225、230を参照)。ここで、上述した図4に示した「失火の発生開始時期に対応する噴射時期及びNEとセタン価CEとの関係」は、冷却水温THW、吸気管圧力Pm、及びEGR率Regrがそれぞれ対応する所定範囲内にある状態において上述した実験等を通して取得されている。従って、このステップ220,225、230の処理により、実際の上記「関係」が実験等を通して予め取得された上記「関係」に比較的近い場合にのみセタン価CEが検出されることが保証される。従って、安定して精度良くセタン価CEを検出することができる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、「燃料のアンチノック性を表す指標値」としてセタン価CEが検出されているが、燃料の密度、粘度等が検出されてもよい。
また、上記実施形態では、CE検出制御中において燃料噴射量qfinが、通常噴射量qbaseよりも大きい値で一定とされるが(図5のq1、図7のq2、図9のq3を参照)、通常噴射量qbaseよりも大きい限りにおいて変化する値であってもよい。
また、上記実施形態では、CE検出制御は、冷却水温THW、吸気管圧力Pm、及びEGR率Regrが全てそれぞれ対応する所定範囲内にある場合にのみ実行される(図2、図6、図8のステップ220、225、230を参照)が、ステップ220、225、230の何れかを省略してもよい。また、ステップ220、225、230の全てを省略してもよい。
また、上記実施形態では、図2のステップ235に示すように、「アクセルペダル操作量Accp=0であり、且つ、通常噴射量qbaseが減少しながら所定量q1に達した(q1を跨いだ)」という条件が成立した場合にCE検出制御が開始されるが、この条件から「アクセルペダル操作量Accp=0」を省略してもよい。即ち、Accp>0に維持されている状態であっても、通常噴射量qbaseが減少しながら所定量q1に達した(q1を跨いだ)場合にCE検出制御が開始されてもよい。
更には、(所定量q1との大小にかかわらず)通常噴射量qbaseが減少する状態が所定期間継続した場合にCE検出制御を開始してもよい。この場合、通常噴射量qbaseの減少勾配が所定値以上の状態が所定期間継続した場合にのみCE検出制御を開始するように構成してもよい。
また、上記実施形態において、CE検出制御実行中において、通常噴射量qbaseが減少から増大に転じた場合、CE検出制御を中止して通常制御に切り替えるように構成してもよい。
加えて、圧縮行程上死点近傍での燃料噴射(メイン噴射)に加えて、圧縮行程中においてメイン噴射の前に1回又は複数回の燃料噴射(パイロット噴射)が行われるディーゼル機関の場合、CE検出制御にて、少なくともメイン噴射される燃料の量が、メイン噴射される燃料についての通常噴射量よりも大きい値に設定される必要がある。この場合、パイロット噴射される燃料の量は、パイロット噴射される燃料についての通常噴射量よりも大きい値に設定されてもよいし、その通常噴射量と等しい値に設定されてもよい。
21…燃料噴射弁、60…電気制御装置、61…CPU、72…スロットル弁開度センサ、73…吸気管圧力センサ、74…クランクポジションセンサ、75…アクセル開度センサ、76…EGR制御弁開度センサ、77…水温センサ
Claims (9)
- ディーゼル機関の運転状態に基づいて、前記ディーゼル機関の燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁に対する燃料噴射時期及び燃料噴射量の通常値である通常噴射時期及び通常噴射量を決定する通常値決定手段と、
前記燃料噴射時期及び前記燃料噴射量を前記通常噴射時期及び前記通常噴射量に設定して前記燃料噴射弁に対して噴射指示を行う通常制御を実行する通常制御手段と、
前記通常制御実行中における前記通常噴射量の減少中において、前記通常制御に代えて、前記燃料噴射時期を徐々に遅角していくとともに前記燃料噴射量を前記通常噴射量よりも大きい量に設定して前記燃料噴射弁に対して噴射指示を行う特定制御を開始・実行する特定制御手段と、
前記特定制御実行中において前記ディーゼル機関に失火が発生したか否かを判定する判定手段と、
前記失火が発生したと判定された時点での前記燃料噴射時期に基づいて、燃料のアンチノック性を表す指標値を検出する検出手段と、
を備えたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。 - 請求項1に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
前記特定制御手段は、
前記通常制御実行中において減少していく前記通常噴射量が所定量に達した時点である到達時点から前記通常制御に代えて前記特定制御を開始・実行し、前記特定制御では、前記燃料噴射時期が前記到達時点にて設定されていた前記通常噴射時期から徐々に遅角されていくとともに前記燃料噴射量が前記所定量に固定される、ディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
前記通常値決定手段は、
前記ディーゼル機関の運転速度の加速度合いを調整するアクセル操作部材の操作量がゼロより大きい値からゼロに変更された時点である第1時点以降、前記通常噴射量を、前記第1時点の直前にて決定されていた値からゼロに向けて徐々に減少させていくように構成されていて、
前記特定制御手段は、
前記第1時点以降の前記通常噴射量の減少中において前記特定制御を開始・実行するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
前記通常値決定手段は、
前記ディーゼル機関を始動する際、前記ディーゼル機関の運転速度がピークに達した時点である第2時点以降、前記通常噴射量を、前記第2時点にて決定されていた値から前記運転速度をアイドル運転速度に調整するための値に向けて徐々に減少させていくように構成されていて、
前記特定制御手段は、
前記第2時点以降の前記通常噴射量の減少中において前記特定制御を開始・実行するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
前記通常値決定手段は、
前記ディーゼル機関のイグニッションがオン状態からオフ状態に変更された時点である第3時点以降、前記通常噴射量を、前記第3時点の直前にて決定されていた値からゼロに向けて徐々に減少させていくように構成されていて、
前記特定制御手段は、
前記第3時点以降の前記通常噴射量の減少中において前記特定制御を開始・実行するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。 - 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
前記判定手段は、前記ディーゼル機関の運転速度の変動に基づいて前記失火が発生したか否かを判定するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。 - 請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
前記特定制御手段は、
前記ディーゼル機関を冷却するための冷却液の温度、前記ディーゼル機関の吸気通路内の吸気の圧力、及び前記ディーゼル機関のEGR率の1又は2以上がそれぞれ対応する所定範囲内にある場合にのみ前記特定制御を実行するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。 - 請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
前記検出手段は、前記失火が発生したと判定された時点での前記燃料噴射時期と、前記失火が発生したと判定された時点での前記燃料噴射時期及び前記アンチノック性を表す指標値の予め定められた関係と、に基づいて前記アンチノック性を表す指標値を検出するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。 - 請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
前記検出手段は、前記燃料のアンチノック性を表す指標値として、セタン価を検出するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008178699A JP2010019115A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | ディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008178699A JP2010019115A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | ディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010019115A true JP2010019115A (ja) | 2010-01-28 |
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ID=41704277
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JP2008178699A Pending JP2010019115A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | ディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010019115A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011111204A1 (ja) * | 2010-03-11 | 2011-09-15 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の燃焼制御装置 |
JP2015169121A (ja) * | 2014-03-07 | 2015-09-28 | 株式会社デンソー | 燃料性状検出装置 |
US10683822B2 (en) | 2013-02-22 | 2020-06-16 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Fuel-cetane-number estimation method and apparatus |
-
2008
- 2008-07-09 JP JP2008178699A patent/JP2010019115A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011111204A1 (ja) * | 2010-03-11 | 2011-09-15 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の燃焼制御装置 |
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JP2015169121A (ja) * | 2014-03-07 | 2015-09-28 | 株式会社デンソー | 燃料性状検出装置 |
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