JP2010024870A - ディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置 - Google Patents

ディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】着火時期を検出することなくセタン価を安定して精度良く検出できるディーゼル機関の燃料のセタン価検出装置を提供すること。
【解決手段】噴射無、且つ、機関と変速機とが「非接続状態」にある場合、特定気筒に対して検出用噴射時期に所定量の燃料を噴射する検出用噴射が、異なる燃焼サイクルに対して検出用噴射時期を変更しながら複数回実行される。この結果から「検出用噴射時期とトルク相当増大量ΔTとの関係」(4つの白丸)が複数取得される。この結果から「検出用噴射時期に対するΔTの変化特性」を近似する3次曲線Cが求められ、この3次曲線Cの変曲点Xに対応するクランク角度CAxが求められる。このCAxが燃料のセタン価を安定して精度良く表す指標となり得ることを利用して、この求められたCAxと、予め取得されている「CAxとセタン価との関係」と、に基づいて現在の燃料のセタン価が検出される。
【選択図】図9

Description

本発明は、ディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置に関する。
ディーゼル機関の燃料として軽油が使用される。一般に、ディーゼル機関内での軽油のアンチノック性(ディーゼルノックの起こり難さ、耐ノック性)を表す指標値としてセタン価が使用される。セタン価が高いほど、ディーゼルノックが起こり難く、自己着火し易く、且つ失火が発生し難い。セタン価は、ディーゼル機関内での燃焼に大きく影響を与える因子となるから、ディーゼル機関の制御パラメータ(例えば、燃料噴射時期等)が、セタン価に応じて変化するように決定される場合が多い。
ディーゼル機関に使用される軽油(即ち、燃料タンク内の軽油)のセタン価は、給油が行われる毎に変動し得る。従って、ディーゼル機関の制御パラメータを精度良く決定するためには、現在使用中の軽油のセタン価を精度良く検出する必要がある。
従来より、セタン価を検出する種々の装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の装置では、ディーゼル機関がフューエルカット制御中において規定量の燃料が噴射され、噴射された燃料の着火時期が筒内圧力センサの検出結果に基づいて決定される。そして、規定時期から前記着火時期までの期間に基づいてセタン価が検出されるようになっている。
特開2005−344557号公報
しかしながら、上記文献に記載の装置のセタン価検出方法では、セタン価の検出に着火時期の検出が必要となり、その着火時期の検出に比較的高価な筒内圧力センサが必須となる。また、筒内圧力センサを使用することなく着火時期を推定することも可能であるが、この場合、着火時期を安定して精度良く推定することは非常に困難である。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、着火時期を検出することなくアンチノック性を表す指標値を安定して精度良く検出できるディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置を提供することにある。
本発明に係るアンチノック性指標値検出装置は、通常値決定手段と、通常制御手段と、特定制御手段と、増大量取得手段と、検出手段とを備えている。以下、係る手段について順に説明していく。
通常値決定手段は、ディーゼル機関の運転状態に基づいて、前記ディーゼル機関の燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁に対する燃料噴射時期及び燃料噴射量の通常値である通常噴射時期及び通常噴射量を決定する。通常噴射時期及び通常噴射量は、例えば、ディーゼル機関の運転速度、運転速度の加速度合いを調整するアクセル操作部材の操作量、及び燃料(軽油)のアンチノック性を表す指標値(セタン価)等に基づいて、予め作製されたテーブル等を使用して決定される。
通常制御手段は、通常制御を実行する。通常制御では、前記燃料噴射時期及び前記燃料噴射量を前記通常噴射時期及び前記通常噴射量に設定する噴射指示が前記燃料噴射弁に対して行われる。即ち、通常制御では、通常噴射時期に通常噴射量の燃料が噴射される。
特定制御手段は、特定制御を実行する。特定制御は、前記通常制御実行中における前記通常噴射量がゼロの場合に通常制御に代えて実行される。特定制御では、燃料噴射時期及び燃料噴射量を特定噴射時期及び特定噴射量に設定する噴射指示が異なる燃焼サイクルに対して特定噴射時期を変更しながら燃料噴射弁に対して複数回行われる。即ち、特定制御では、1燃焼サイクルに対して特定噴射時期に特定噴射量の燃料が(1回)噴射される制御が、異なる燃焼サイクルに対して特定噴射時期を変更しながら複数回実行される。
前記特定噴射量は毎回同じであることが好ましい。また、ディーゼル機関が複数気筒を有する場合、特定制御(具体的には、1燃焼サイクルに対して特定噴射時期に特定噴射量の燃料が(1回)噴射される制御)は、全ての気筒に対して実行されてもよいし、或る特定の(1つの)気筒に対してのみ実行されてもよい。ここで、特定噴射量の燃料の燃焼に起因するディーゼル機関の出力トルクの増大(或いは、運転速度の増大)にディーゼル機関が搭載された車両の運転者(搭乗者)が気付かない程度に、特定噴射量が小さいことが好適である。また、互いに異なる複数の特定噴射時期は、失火が発生しない範囲内で、後述する「特定噴射時期に対するディーゼル機関の出力トルク相当量の変化量の変化特性」を得るために適した範囲に設定されることが好ましい。
増大量取得手段は、前記特定制御中に行われた前記複数回の噴射指示により噴射されたそれぞれの燃料の燃焼に起因する前記ディーゼル機関の出力トルク相当量の変化量(増大量、減少量)を前記特定噴射時期に対応させてそれぞれ取得する。増大量取得手段は、例えば、前記特定制御中における前記ディーゼル機関の運転速度の推移を記憶するとともに、前記記憶された運転速度の推移に基づいて、前記出力トルク相当量の変化量を前記特定噴射時期に対応させてそれぞれ取得するように構成され得る。
ディーゼル機関の出力トルクの変化は、ディーゼル機関の運転速度の変化として安定して精度良く現れ得る。従って、前記記憶された運転速度の推移を利用すれば、前記出力トルク相当量の変化量(増大量、減少量)を前記特定噴射時期に対応させて安定して精度良く取得することができる。
特定制御により特定噴射量の燃料が噴射される場合、通常制御が継続されたと仮定した場合(従って、燃料が噴射されない場合)に比して、特定噴射量の燃料の燃焼に起因してディーゼル機関の出力トルクが増大する。以下、このような出力トルクの増大量を単に「出力トルク増大量」と称呼する。一般に、この出力トルク増大量は、特定噴射量の燃料の噴射時期(=特定噴射時期)が圧縮上死点近傍から遅角されていくほど小さくなる傾向がある。増大量取得手段の取得結果により、係る「特定噴射時期に対する出力トルク増大量の変化特性」を安定して精度良く得ることができる。
検出手段は、前記増大量取得手段の取得結果から得られる前記特定噴射時期に対する前記出力トルク相当量の変化量の変化特性と、前記特定噴射量の燃料の燃焼に起因する前記出力トルク相当量の変化量の噴射時期に対する変化特性と燃料のアンチノック性を表す指標値との予め取得された関係と、に基づいて前記燃料のアンチノック性を表す指標値を検出する。
「噴射時期に対する出力トルク増大量の変化特性」は、燃料のアンチノック性を表す指標値(例えば、セタン価)に大きく依存し、アンチノック性を表す指標値が大きいほど、噴射時期の遅角に対する出力トルク増大量の減少度合いが小さくなる。これは、アンチノック性を表す指標値が大きいほど燃料の着火遅れ時間(燃料の噴射から着火までの時間)が短くなることに基づく。即ち、「特定噴射量の燃料の燃焼に起因する出力トルク増大量の噴射時期に対する変化特性と燃料のアンチノック性を表す指標値との関係」は、実験等を通して予め取得され得る。
従って、このように予め取得され得る「関係」と、上述のように増大量取得手段の取得結果から得られる「特定噴射時期に対する出力トルク増大量の変化特性」と、に基づいて、燃料のアンチノック性を表す指標値を検出することができる。検出手段は、係る原理に基づいて燃料のアンチノック性を表す指標値を検出する。
以上、本発明に係るアンチノック性指標値検出装置によれば、上述の特定制御を実行することで、着火時期を検出することなくアンチノック性を表す指標値(例えば、セタン価)を安定して精度良く検出できる。また、特定噴射時期及び特定噴射量を適切に設定することで、失火を発生させることなく、且つ、特定制御の実行をディーゼル機関が搭載された車両の運転者(搭乗者)が気付かせることなくアンチノック性を表す指標値を検出することができる。
ところで、上述した「特定噴射量の燃料の燃焼に起因する出力トルク増大量の噴射時期に対する変化特性」は、3次曲線で近似することができる。この3次曲線における変曲点に対応する噴射時期は、燃料のアンチノック性を表す指標値(セタン価)と強い相関関係がある。即ち、この変曲点に対応する噴射時期は、燃料のその他の特性(密度等)が変化しても変化し難い一方で、燃料のアンチノック性を表す指標値が変化すると大きく変化する。従って、この変曲点は、燃料のアンチノック性を表す指標値を精度良く表す好適な指標となり得る。
以上のことから、前記検出手段は、上記増大量取得手段の取得結果から得られる「特定噴射時期に対する出力トルク増大量の変化特性」を3次曲線で近似した場合における前記3次曲線の変曲点と、予め取得される「特定噴射量の燃料の燃焼に起因する出力トルク増大量の噴射時期に対する変化特性」を3次曲線で近似した場合における前記3次曲線の変曲点と燃料のアンチノック性を表す指標値との予め取得された関係と、に基づいて前記燃料のアンチノック性を表す指標値を検出するように構成され得る。これによれば、燃料のその他の特性(密度等)が変化しても、燃料のアンチノック性を表す指標値を安定して精度良く検出することができる。
また、本発明に係るアンチノック性指標値検出装置においては、前記特定制御手段は、前記ディーゼル機関の出力軸から取り出される動力が、前記出力軸から前記動力を受ける変速機に伝達されない状態にある場合に前記特定制御を実行するように構成されることが好適である。係る状態として、例えば、前記変速機が自動変速機(AT)の場合には、シフト位置がニュートラルの状態、或いは、所謂ロックアップ機構が作動していない状態が挙げられる。一方、前記変速機が手動変速機(MT)の場合には、シフト位置がニュートラルの状態、或いは、ディーゼル機関と変速機の間に介装されたクラッチが開放(遮断)された状態が挙げられる。
上記構成によれば、特定制御中において「出力トルク増大量」が取得される際、変速機側からの出力トルク(運転速度)への影響が排除され得る。従って、特定噴射量の燃料の燃焼のみに起因する純粋な(正味の)「出力トルク増大量」を得ることができる。
また、上記本発明に係るアンチノック性指標値検出装置においては、前記特定制御手段は、前記燃料噴射弁から噴射される燃料の圧力(噴射圧力)が所定範囲内にある場合に(のみ)前記特定制御を実行するように構成されることが好適である。また、前記ディーゼル機関を冷却するための冷却液の温度、前記ディーゼル機関の吸気通路内の吸気の圧力、及び前記ディーゼル機関のEGR率の1又は2以上がそれぞれ対応する所定範囲内にある場合にのみ前記特定制御を実行するように構成されることが好適である。
上述した予め取得され得る「特定噴射量の燃料の燃焼に起因する出力トルク増大量の噴射時期に対する変化特性と燃料のアンチノック性を表す指標値との関係」は、前記噴射圧力、前記冷却液の温度、前記吸気の圧力、前記EGR率等がそれぞれ対応する所定範囲内にある状態において実験等を通して取得される。従って、上記構成によれば、実際の上記「関係」が実験等を通して予め取得された上記「関係」に比較的近い場合にのみアンチノック性を表す指標値が検出されることが保証される。従って、より一層安定して精度良くアンチノック性を表す指標値を検出することができる。
以下、本発明によるディーゼル機関のセタン価検出装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るセタン価検出装置を含む車両の制御装置(以下、「本装置」とも呼ぶ。)を搭載した車両の概略構成を示している。本装置は、車両の駆動源であるエンジンEGと、変速機TMと、ブレーキアクチュエータBRKと、電子制御ユニットECUとを備えている。
変速機TMは、複数の変速段を有する多段変速機であり、周知の構成の一つから構成されている。変速機TMは、所謂自動変速機ATであっても、所謂手動変速機MTであってもよい。ブレーキアクチュエータBRKは、複数の電磁弁、液圧ポンプ、モータ等を備えていて、周知の構成の一つから構成されている。
エンジンEGは、多気筒(4気筒)ディーゼル機関である。図2に示すように、エンジンEGは、燃料供給系統を含むエンジン本体20、エンジン本体20の各気筒の燃焼室(筒内)にガスを導入するための吸気系統30、エンジン本体20からの排ガスを放出するための排気系統40、排気還流を行うためのEGR装置50を含んでいる。
エンジン本体20の各気筒の上部には燃料噴射弁(噴射弁、インジェクタ)21が配設されている。各燃料噴射弁21は、図示しない燃料タンクと接続された燃料噴射用ポンプ22に燃料配管23を介して接続されている。燃料噴射用ポンプ22は、ECUと電気的に接続されていて、ECUからの駆動信号により各燃料噴射弁21から噴射される燃料の圧力(噴射圧力)を調整できるようになっている。また、各燃料噴射弁21は、ECUと電気的に接続されていて、ECUからの駆動信号により各燃料噴射弁21から噴射される燃料の量(燃料噴射量)を調整できるようになっている。
吸気系統30は、エンジン本体20の各気筒の燃焼室にそれぞれ接続された吸気マニホールド31、吸気マニホールド31の上流側集合部に接続され同吸気マニホールド31とともに吸気通路を構成する吸気管32、吸気管32内に回動可能に保持されたスロットル弁33、ECUからの駆動信号に応答してスロットル弁33を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ33a、スロットル弁33の上流において吸気管32に順に介装されたインタクーラー34と過給機35のコンプレッサ35a、及び吸気管32の先端部に配設されたエアクリーナ36とを含んでいる。
排気系統40は、エンジン本体20の各気筒にそれぞれ接続された排気マニホールド41、排気マニホールド41の下流側集合部に接続された排気管42、排気管42に配設された過給機35のタービン35b、及び排気管42に介装されたディーゼルパティキュレートフィルタ(DPNR)43を含んでいる。排気マニホールド41及び排気管42は排気通路を構成している。
EGR装置50は、排気ガスを還流させる通路(EGR通路)を構成する排気還流管51と、排気還流管51に介装されたEGR制御弁52と、EGRクーラー53とを備えている。排気還流管51はタービン35bの上流側排気通路(排気マニホールド41)とスロットル弁33の下流側吸気通路(吸気マニホールド31)を連通している。EGR制御弁52はECUからの駆動信号に応答し、再循環される排気ガス量(排気還流量、EGRガス流量、EGR率)を変更し得るようになっている。なお、EGR率とは、本例では、燃焼室に流入する全ガス流量(新気流量+EGRガス流量)に対するEGRガス流量の割合をいう。
一方、本装置は、車輪WHの車輪速度を検出する車輪速度センサWS、ホイールシリンダWC内の制動圧力を検出する制動圧力センサPW、アクセルペダルAPの操作量Accpを検出する加速操作量センサAS、ブレーキペダルBPの操作量を検出する制動操作量センサBS、及び、シフトレバーSFの位置を検出するシフト位置センサHSを備えている。
また、本装置は、吸気通路内を通過する吸入空気の質量流量(単位時間当りの吸入空気(新気)量)を計測する熱線式エアフローメータ71、スロットル弁33の開度を検出するスロットル弁開度センサ72、エンジンEGの燃焼室に吸入されるガスの圧力(吸気管圧力Pm)を検出する吸気管圧力センサ73、実クランク角度とともにエンジン10の回転速度であるエンジン回転速度NEを検出するクランク角度センサ74、EGR制御弁52の開度を検出するEGR制御弁開度センサ76、及び冷却水の温度(冷却水温THW)を検出する水温センサ77を備えている。
電子制御ユニットECUは、CPU、各種プログラム、テーブル等を記憶するROM、RAM等を含むマイクロコンピュータであり、上述の各種アクチュエータ、上述の各種センサ、エンジンEG、自動変速機TM、及びブレーキアクチュエータBRKと電気的に接続され、又はネットワークで通信可能となっている。電子制御ユニットECUは、互いに通信バスCBで接続された複数の制御ユニット(ECU1〜ECU3)から構成される。
ECU1は、ブレーキアクチュエータBRKを制御する車輪ブレーキ制御ユニットであり、車輪速度センサWS等からの信号に基づいて、周知のアンチスキッド制御(ABS制御)等を実行するようになっている。ECU2は、エンジンEGを制御するエンジン制御ユニットであり、加速操作量センサAS、及びクランク角度センサ74等からの信号に基づいて、スロットル弁開度、燃料噴射量、燃料噴射時期、EGR弁開度等を制御するようになっている。ECU3は、変速機TMを制御する変速機制御ユニットであり、例えば、変速機TMが自動変速機ATの場合、シフト位置センサHS等からの信号に基づいて、減速比(変速段)を制御するようになっている。
(セタン価検出の原理)
以下、上記のように構成されたセタン価検出装置によるセタン価の検出の原理について説明する。先ず、燃料噴射が行われない場合(噴射無の場合)であって、且つ、エンジンEGと変速機TMとが「非接続状態」にある場合を考える。「非接続状態」とは、変速機TMが自動変速機ATの場合には、シフト位置がニュートラルの状態、或いは、所謂ロックアップ機構が作動していない状態である。一方、変速機TMが手動変速機MTの場合には、シフト位置がニュートラルの状態、或いは、エンジンEGと変速機TMの間に介装されたクラッチ(図示せず)が開放(遮断)された状態である。
図3の実線は、このように噴射無+「非接続状態」におけるエンジン回転速度NEのクランク角度CAに対する推移を示している。本例では、エンジンEGは4気筒であるから、エンジン回転速度NEは、180°CAを周期として変動しながら徐々に減少していく。なお、例えば、8気筒の場合、変動周期が90°CAとなる。
具体的には、例えば、点A、点Cがそれぞれ上死点TDC、下死点BDCに対応するものとし、点A〜点Cの180°CAの範囲内に着目すると、点Aから90°CAだけ遅角側の点B(ATDC90°)近傍にてエンジン回転速度NEはピークとなる。ここで、点A(TDC)での瞬時回転速度NEをωa、噴射無の場合での点B(ATDC90°)での瞬時回転速度NEをωbとしたとき、エンジンEGの噴射無でのトルク相当量T0を下記(1)式で定義する。
TO=(ωb)−(ωa) …(1)
一方、噴射無+「非接続状態」において、点Aにて圧縮上死点となる気筒(特定気筒)に対して点A近傍にて所定量の燃料が1回噴射された場合(噴射有の場合)を考える。この場合、図3に破線で示すように、所定量の燃料の燃焼に起因して、特に点A〜点Bの90°CAの期間内においてエンジンEGのトルクが増大する。この結果、エンジン回転速度NEは、点A〜点Bの期間内において急激に増大し(点B近傍でピークとなる)、その後は、噴射無の場合(実線を参照)と同程度の減少勾配を持って変動しながら徐々に減少していく。
上記「非接続状態」では、変速機TM側からのエンジン回転速度NE(エンジンEGの出力トルク)への影響が排除され得る。従って、点A〜点Bの期間内での噴射無の場合に対するエンジン回転速度NEの増大分は、前記所定量の燃料の燃焼のみに起因するエンジンEGの純粋な(正味の)出力トルクの増大量を表す。
即ち、噴射有の場合での点B(ATDC90°)での瞬時回転速度NEをωcとし、エンジンEGの噴射有でのトルク相当量T1を下記(2)式で定義し、トルク相当増大量ΔTを下記(3)式で定義するものとすると、トルク相当増大量ΔTは、前記所定量の燃料の燃焼のみに起因するエンジンEGの純粋な(正味の)出力トルクの増大量を安定して精度良く表し得る。
T1=(ωc)−(ωa) …(2)
ΔT=T1−T0 …(3)
以下、上述のように、噴射無+「非接続状態」において実行される前記所定量の燃料の(1回)の噴射を「検出用噴射」と称呼し、検出用噴射の噴射時期及び噴射量をそれぞれ、「検出用噴射時期」及び「検出用噴射量」と称呼する。なお、検出用噴射量としては、検出用噴射量の燃料の燃焼に起因するエンジンEGの出力トルクの増大(或いは、エンジン回転速度NEの増大)にエンジンEGが搭載された車両の運転者(搭乗者)が気付かない程度に小さい微小量が想定されている。以下、検出用噴射量は、或る微小量で一定であるものとする。ここにおいて、上記検出用噴射を後述のように複数回行う制御が前記「特定制御」に対応し、検出用噴射時期及び検出用噴射量がそれぞれ、前記「特定噴射時期」及び前記「特定噴射量」に対応する。
図4に示すように、検出用噴射に起因する上述のトルク相当増大量ΔT((3)式を参照)は、検出用噴射時期に大きく依存する。即ち、一般に、トルク相当増大量ΔTは、検出用噴射時期が圧縮上死点TDC近傍の場合には略一定となり、検出用噴射時期がTDCから遅角されていくほど小さくなる傾向がある。TDCよりも遅角側の領域における「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTの変化特性」は、3次曲線を用いて精度良く近似することができる。図4中の点Xは、この3次曲線の変曲点(上に凸の部分と下に凸の部分の境界点)である。
図5に示すように、「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTの変化特性」は、燃料のセタン価に大きく依存し、セタン価が大きいほど噴射時期の遅角側(図5において右側)にシフトしていく。これは、燃料のセタン価が大きいほど、燃料の着火遅れ時間(燃料の噴射から着火までの時間)が短くなることに基づくと考えられる。これに伴い、上記変曲点Xに対応する噴射時期(以下、「変曲点クランク角度CAx」と称呼する。)は、セタン価が変化すると大きくシフトし、セタン価が大きいほどより遅角側となる。なお、前記変化特性上の点のうちで変曲点Xは、セタン価の変化に対するシフト量が最も大きくなる点となる。
一方、図6に示すように、「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTの変化特性」は、セタン価以外の燃料の特性(例えば、燃料の密度、粘度等)にも依存する。しかしながら、セタン価以外の燃料の特性が変化しても、「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTの変化特性」は、ΔTの変化方向(図6において上下方向)にシフトするのみであり、噴射時期の変化方向(図6において左右方向)には(殆ど)シフトしない。これに伴い、セタン価以外の燃料の特性が変化してもセタン価が一定であれば、上記「変曲点クランク角度CAx」は変化しない。以上より、この「変曲点クランク角度CAx」は、セタン価以外の燃料の特性に依存することなく燃料のセタン価を安定して精度良く表す好適な指標となり得る。
図7は、「変曲点クランク角度CAx」とセタン価との関係を表す。この関係は、以下のようにして予め取得することができる。先ず、既知のセタン価を有する燃料について、噴射無+「非接続状態」において、検出用噴射を異なる燃焼サイクルに対して検出用噴射時期を変更しながら複数回実行する。これらの複数回の検出用噴射は、或る1つの気筒に対してのみ実行してもよいし、複数の気筒に対して実行してもよい。この結果から、「検出用噴射時期とトルク相当増大量ΔTとの関係」(図4のグラフ上の点に相当する)を複数取得する。この結果から、「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTの変化特性」を近似する3次曲線(を表す関数、クランク角度CAについてのΔTの関数ΔT(CA))を求める。この3次曲線(を表す関数)から、この燃料についての「変曲点クランク角度CAx」を求める。以上の「一連の処理」を、燃料のセタン価(既知)を変更しながら複数回実行する。これにより、図7に示す「変曲点クランク角度CAx」とセタン価との関係を取得できる。
そして、図7に示す関係を予め取得できれば、現在の燃料(セタン価は未知)について上記と同様の一連の処理を行って現在の燃料についての「変曲点クランク角度CAx」を求め、この結果と、図7に示す予め取得された関係とから、現在の燃料のセタン価を検出することができる。
(具体的なセタン価検出のための処理)
以下、このようにしてセタン価を検出する処理について、図8に示したフローチャートを参照しながらより具体的に説明する。なお、このフローチャートに対応するルーチンは、
具体的には、エンジン制御ユニットECU2のCPUにより実行される。
本例では、通常、エンジン回転速度NE、アクセルペダル操作量Accp、及び検出されている(最新の)セタン価に基づいて、燃料噴射時期(=前記「通常噴射時期」)及び燃料噴射量(=前記「通常噴射量」)が決定され、通常噴射時期に通常噴射量の燃料が噴射される。これにより、前記「通常制御」が実行されるようになっている。この図8に示したフローチャートに対応するルーチンは、係る通常制御実行中において所定のタイミングが到来する毎に実行される。
先ず、ステップ10では、フューエルカット制御中(FC制御中)であるか否かが判定される。FC制御中とは、通常噴射量=「0」の場合、即ち、通常制御中において燃料噴射が行われない場合(噴射無の場合)を指す。ステップ10にて「No」と判定される場合、本ルーチンが終了する。
ステップ10にて「Yes」と判定される場合、ステップ20にて、エンジンEGと変速機TMとが上記「非接続状態」にあるか否かが判定される。ステップ20にて「No」と判定される場合、本ルーチンが終了する。ステップ20にて「Yes」と判定される場合(FC制御中+「非接続状態」)としては、例えば、アクセルペダルAPを開放した後のエンジンEGの減速中の状態が想定される。
ステップ20にて「Yes」と判定される場合、ステップ30にて、セタン価の検出条件が成立しているか否かが判定される。この条件は、例えば、燃料噴射弁21から噴射される燃料の「噴射圧力」が所定範囲内にある場合に成立する。ステップ30にて「No」と判定される場合、本ルーチンが終了する。
ステップ30にて「Yes」と判定される場合、ステップ40にて、カウンタnが「0」に設定され、続くステップ50にて、カウンタnが「1」だけインクリメントされる。即ち、現時点では、カウンタn=1である。
次に、ステップ60では、4気筒のうちの特定の1つの気筒(特定気筒)に対して、予め定められた検出用噴射時期CA(n)(現時点では、CA(1))にて検出用噴射が実行される。上述したように、検出用噴射量は予め定められた微少量(一定)である。
次のステップ70では、この検出用噴射の前後の所定期間のエンジン回転速度NEの変化特性(図3における点Aの前後の時期の変化特性を参照)がECU2のRAMに記憶される。次に、ステップ80では、カウンタn=4となっているか否かが判定される。現時点ではn=1であるから、「No」と判定される。この結果、ステップ50に戻り、n=2となる。以降、n=2についてステップ60、70が実行される。これにより、前記特定気筒に対して、予め定められた検出用噴射時期CA(2)にて検出用噴射が実行される。
同様にして、n=3,4についてもステップ60、70が順に実行される。これにより、前記特定気筒に対して、予め定められた検出用噴射時期CA(3),CA(4)にて検出用噴射が順に実行される。ここで、図9に示すように、CA(1)〜CA(4)は全て互いに異なる時期である。CA(1)〜CA(4)は、TDCよりも後であって検出用噴射に対して失火が発生しない範囲内に設定され、例えば、ATDC5°〜10°の範囲内に設定される。また、CA(1)〜CA(4)のうち最も遅角側のものと最も進角側のものとの間(図9では、CA(1)とCA(4)との間)に「変曲点クランク角度CAx」が位置するように、CA(1)〜CA(4)が設定される。この4回の検出用噴射は、特定気筒に対して膨張行程が到来する毎に連続して実行されることが好適である。
n=4についてステップ60、70が実行されると、その後、ステップ80で「Yes」と判定されて、ステップ90にて、噴射時期CA(n) (n:1,2,3,4)のそれぞれについて、図3に示すωa(n),ωb(n),ωc(n) (n:1,2,3,4)が取得される。ここで、ωa,ωcは、図3の破線(噴射有)に示す点A,Bに対応する時期での瞬時回転速度NEを取得することで取得され得る。なお、検出用噴射時期は点Aの近傍にある。また、ωbは、図3の実線(噴射無)に示す点Aの前の時期での回転速度NEの推移から推定することができる。具体的には、例えば、点Aから180°CAだけ遅角側の時期での瞬時回転速度NEと点Aから90°CAだけ遅角側の時期での瞬時回転速度NEとの差をωaに加算することで推定され得る。
次に、ステップ100では、噴射時期CA(n)(n:1,2,3,4)のそれぞれについて、ステップ90にて取得されたωa(n),ωb(n),ωc(n) (n:1,2,3,4)と、上記(1)〜(3)式とに基づいて、トルク相当増大量ΔT(n) (n:1,2,3,4)が計算される。
次に、ステップ110では、図9に白丸にて示す4点(CA(n),ΔT(n)) (n:1,2,3,4))を通る「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTの変化特性」(特性線C)を近似する3次曲線(ΔT(CA))が数学的に求められ、この3次曲線から「変曲点クランク角度CAx」が数学的に算出される。
そして、ステップ120では、ステップ110にて算出された「変曲点クランク角度CAx」と、図7に示す予め取得されている「変曲点クランク角度CAxとセタン価との関係」と、に基づいて、現在の燃料のセタン価が検出される。
以上、説明したように、本装置によれば、FC制御実行中(燃料噴射が行われない場合)、且つ、エンジンEGと変速機TMとが上記「非接続状態」にある場合において、特定気筒に対して検出用噴射が、異なる燃焼サイクルに対して検出用噴射時期を変更しながら複数回実行される。この結果から、「検出用噴射時期とトルク相当増大量ΔTとの関係」(図9の4つの白丸を参照)が複数取得される。この結果から、「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTの変化特性」を近似する3次曲線(図9の曲線C)が求められ、この3次曲線から、3次曲線の変曲点Xに対応するクランク角度(変曲点クランク角度CAx)が求められる。この「変曲点クランク角度CAx」が、セタン価以外の燃料の特性に依存することなく燃料のセタン価を安定して精度良く表す好適な指標となり得ることを利用して、この求められたCAxと、予め取得されている「変曲点クランク角度CAxとセタン価との関係」(図7を参照)と、に基づいて現在の燃料のセタン価が検出される。
この結果、着火時期を検出することなくセタン価を安定して精度良く検出できる。また、検出用噴射に際し、検出用噴射量が、検出用噴射量の燃料の燃焼に起因するエンジンEGの出力トルクの増大(或いは、エンジン回転速度NEの増大)にエンジンEGが搭載された車両の運転者(搭乗者)が気付かない程度に小さい微小量に設定され、且つ、複数の検出用噴射時期が失火が発生しない範囲内に設定されることで、失火を発生させることなく、且つ、特定制御の実行をディーゼル機関が搭載された車両の運転者(搭乗者)が気付かせることなくセタン価を検出することができる。
加えて、上記検出用噴射は、「噴射圧力」が所定範囲内にある場合にのみ実行される(図8のステップ30を参照)。ここで、上述した図7に示した「変曲点クランク角度CAxセタン価との関係」は、「噴射圧力」が上記所定範囲内にある状態において上述した「一連の処理」を通して取得されている。従って、このステップ30の処理により、実際の上記「関係」が上記「一連の処理」を通して予め取得された上記「関係」に比較的近い場合にのみセタン価が検出されることが保証される。従って、より一層安定して精度良くセタン価を検出することができる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、「検出用噴射時期に対するトルク相当増大量ΔTの変化特性C」(図9を参照)を近似する3次曲線の変曲点Xに対応する「変曲点クランク角度CAx」を利用してセタン価が検出されているが、「変曲点クランク角度CAx」を利用することなく「検出用噴射時期に対するΔTの変化特性」を利用してセタン価を検出することもできる。以下、この場合のセタン価検出方法の一例について図10を参照しながら説明する。
この場合、図10(a)に示すように、検出用噴射時期として、TDCよりも後の前記CA(1)〜CA(4)(例えば、ATDC5°〜10°)に加えて、TDCよりも前のCAp(例えば、ATDC−4°)が設定される。即ち、CA(1)〜CA(4)が、検出用噴射時期の遅角側への移動に応じてΔTが減少していく領域内に設定されるのに対し、CApは、検出用噴射時期の変化に対してΔTが変化しない領域内に設定される。これにより、「検出用噴射時期とΔTとの関係」(図10(a)の5つの白丸を参照)が5つ取得される。なお、CApは、後述する正規化処理における縮小係数を決定するために設定される。
次いで、図10(b)に示すように、「検出用噴射時期とΔTとの関係」が正規化される。具体的には、CApに対するΔTの大きさが「1」になるように、CA(1)〜CA(4),CApのそれぞれに対するΔTに同じ縮小係数を乗じて、「検出用噴射時期と正規化トルク相当増大量との関係」(図10(b)の5つの白丸を参照)が5つ取得される。この正規化処理により、セタン価以外の燃料の特性(燃料の密度等)の影響が除外され得る(図6を参照)。
そして、図10(b)に示すように、CApを除いたCA(1)〜CA(4)に対する「検出用噴射時期と正規化トルク相当増大量との関係」(図10(b)の4つの白丸)から「検出用噴射時期に対する正規化トルク相当増大量の変化特性C’」が求められる。この変化特性C’が、「検出用噴射時期」−「正規化トルク相当増大量」の座標平面上における予め定められた位置に固定されたウインドウ(図10(b)では長方形)内におけるどの部分を通過するかを判定することにより、セタン価が検出される。
例えば、上記ウインドウ内を複数の領域に予め区分しておき、変化特性C’がどの領域を通過するかを判定することで、セタン価が検出され得る。なお、変化特性C’を3次曲線で近似し、その3次曲線の変曲点Xが前記複数の領域のうちのどの領域内に位置するかを判定することで、セタン価が検出されてもよい。また、変化特性C’を3次曲線以外の曲線で近似し、その曲線における特定の点が前記複数の領域のうちのどの領域内に位置するかを判定することで、セタン価が検出されてもよい。
以下、このようにウインドウを用いてセタン価を検出する方法に対して、上記実施形態のように「変曲点クランク角度CAx」を用いてセタン価を検出方法が優れる点について付言する。
第1に、ウインドウを用いる方法では、前記縮小係数を決定するために検出用噴射時期としてCAp(検出用噴射時期の変化に対してΔTが変化しない領域内のもの)が設定される必要があるが、CAxを用いる方法では、検出用噴射時期としてCApが設定される必要がない。従って、検出用噴射の回数を減らせる。
第2に、ウインドウを用いる方法では、セタン価以外の燃料の特性(燃料の密度等)の影響を除外するため前記正規化処理が必要となるが、CAxを用いる方法では、CAxそのものが既にセタン価以外の燃料の特性の影響が除外された値となっているため前記正規化処理が不要となる。
第3に、ウインドウを用いる方法では、「検出用噴射時期に対するΔTの変化特性」のうちで変曲点X以外の部分の特性がセタン価検出に影響を与えるが、CAxを用いる方法ではCAxのみがセタン価検出に影響し、前記変化特性のうちで変曲点X以外の部分の特性がセタン価検出に影響を与えない。ここで、上述のように、前記変化特性上の点のうちで変曲点Xは、セタン価の変化に対する(噴射時期の変化方向への)シフト量が最も大きくなる点となる。従って、CAxを用いる方法の方が、検出されるセタン価の解像度を高くすることができる。即ち、より精度良くセタン価を検出することができる。
また、上記実施形態においては、検出用噴射として、1燃焼サイクルに対して1回の燃料噴射が行われているが、検出用噴射として、1燃焼サイクルに対して複数回の燃料噴射(例えば、パイロット噴射とメイン噴射)が行われてもよい。
また、上記実施形態においては、トルク相当増大量ΔTが、エンジン回転速度NEの推移と上記(1)〜(3)式とに基づいて計算されているが、エンジンEGの出力トルクを直接検出できるトルクセンサの検出結果に基づいて、トルク相当増大量ΔTが計算されてもよい。
また、上記実施形態においては、上記検出用噴射は、「噴射圧力」が所定範囲内にある場合に実行されるようになっているが(図8のステップ30を参照)、「噴射圧力」に加えて、水温センサ77により検出される冷却水温THW、吸気管圧力センサ73により検出される吸気管圧力Pm、及び、スロットル弁開度センサ72とEGR制御弁開度センサ76との検出結果から演算され得るEGR率Regrが、全てそれぞれ対応する所定範囲内にある場合に検出用噴射が実行されるように構成してもよい。
加えて、上記実施形態においては、「燃料のアンチノック性を表す指標値」としてセタン価が検出されているが、「燃料のアンチノック性を表す指標値」であれば、セタン価以外であってもよい。
本発明の実施形態に係るディーゼル機関の燃料のセタン価検出装置を含む車両の制御装置を搭載した車両の概略構成図である。 図1に示したエンジンの概略構成図である。 エンジン回転速度のクランク角度に対する推移を噴射の有無で比較しながら示したグラフである。 検出用噴射時期とトルク相当増大量との関係を示したグラフである。 図4に示した関係が燃料のセタン価に影響を受ける様子を示したグラフである。 図4に示した関係が燃料のセタン価以外の特性にも影響を受ける様子を示したグラフである。 変曲点クランク角度とセタン価との関係を示したグラフである。 図1に示したECUが実行するセタン価検出を行うためのルーチンを示したフローチャートである。 変曲点クランク角度を用いてセタン価を検出する過程を説明するための図である。 変曲点クランク角度を用いることなくセタン価を検出する過程を説明するための図である。
符号の説明
21…燃料噴射弁、74…クランク角度センサ、AS…加速操作量センサ、EG…エンジン、TM…変速機、ECU…電子制御ユニット

Claims (6)

  1. ディーゼル機関の運転状態に基づいて、前記ディーゼル機関の燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁に対する燃料噴射時期及び燃料噴射量の通常値である通常噴射時期及び通常噴射量を決定する通常値決定手段と、
    前記燃料噴射時期及び前記燃料噴射量を前記通常噴射時期及び前記通常噴射量に設定する噴射指示を前記燃料噴射弁に対して行う通常制御を実行する通常制御手段と、
    前記通常制御実行中における前記通常噴射量がゼロの場合において、前記通常制御に代えて、前記燃料噴射時期及び前記燃料噴射量を特定噴射時期及び特定噴射量に設定する噴射指示を異なる燃焼サイクルに対して前記特定噴射時期を変更しながら前記燃料噴射弁に対して複数回行う特定制御を実行する特定制御手段と、
    前記特定制御中に行われた前記複数回の噴射指示により噴射されたそれぞれの燃料の燃焼に起因する前記ディーゼル機関の出力トルク相当量の変化量を前記特定噴射時期に対応させてそれぞれ取得する増大量取得手段と、
    前記増大量取得手段による取得結果から得られる前記特定噴射時期に対する前記出力トルク相当量の変化量の変化特性と、前記特定噴射量の燃料の燃焼に起因する前記出力トルク相当量の変化量の噴射時期に対する変化特性と燃料のアンチノック性を表す指標値との予め取得された関係と、に基づいて前記燃料のアンチノック性を表す指標値を検出する検出手段と、
    を備えたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。
  2. 請求項1に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
    前記検出手段は、
    前記増大量取得手段による取得結果から得られる前記特定噴射時期に対する前記出力トルク相当量の変化量の変化特性を3次曲線で近似した場合における前記3次曲線の変曲点と、前記特定噴射量の燃料の燃焼に起因する前記出力トルク相当量の変化量の噴射時期に対する変化特性を3次曲線で近似した場合における前記3次曲線の変曲点と燃料のアンチノック性を表す指標値との予め取得された関係と、に基づいて前記燃料のアンチノック性を表す指標値を検出するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
    前記特定制御手段は、
    前記ディーゼル機関の出力軸から取り出される動力が、前記出力軸から前記動力を受ける変速機に伝達されない状態にある場合に前記特定制御を実行するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
    前記特定制御手段は、
    前記燃料噴射弁から噴射される燃料の圧力が所定範囲内にある場合に前記特定制御を実行するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
    前記増大量取得手段は、
    前記特定制御中における前記ディーゼル機関の運転速度の推移を記憶するとともに、前記記憶された運転速度の推移に基づいて前記出力トルク相当量の変化量を前記特定噴射時期に対応させてそれぞれ取得するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置において、
    前記検出手段は、前記燃料のアンチノック性を表す指標値として、セタン価を検出するように構成されたディーゼル機関の燃料のアンチノック性指標値検出装置。
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