JP2010016625A - 変調装置、復調装置、情報伝達システム、変調方法および復調方法 - Google Patents

変調装置、復調装置、情報伝達システム、変調方法および復調方法 Download PDF

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Abstract

【課題】データフレーム同期信号を重畳しても、軽い演算処理で聴感の悪化を抑えつつ、圧縮コーデック耐性が高い変調装置、復調装置、情報伝達システム、変調方法および復調方法を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態に係る情報伝達システムは、変調装置1において、巡回符号を用いて生成したPN信号の低周波数帯域の成分を除去して変調オーディオ信号Seに重畳した変調オーディオ信号Szをスピーカから放音させることができる。一方、復調装置においては、変調オーディオ信号Szに重畳されているPN信号に基づいて、データフレームを同期させて変調オーディオ信号Szを復調することができる。これにより、聴感の悪化を抑えることができ、軽い演算処理でデータフレーム同期を取ることができる。さらに、変調オーディオ信号Seの未使用の周波数帯域にPN信号が重畳されることにより、圧縮コーデック耐性が高くできる。
【選択図】図2

Description

本発明は、オーディオ信号に符号情報を重畳して伝達する際の同期技術に関する。
符号情報を無線で伝達する通信方法としては、電波を用いた通信の他、楽音などの音波に変調を施すことにより符号化情報を重畳する技術が検討されている。このように音波に変調を施すことにより符号化情報を重畳する場合、一般的なスピーカ、マイクロフォンを用いて通信するためには可聴域の音波を用いる必要があるが、符号化情報を重畳するための変調により、もともとの楽音に対して不快な雑音が混ざることを防ぐために様々な検討がなされている(例えば、特許文献1)。
特開2007−104598号公報
特許文献1によれば、データフレーム同期のためのデータフレーム同期信号として、PN(Pseudo Noise:擬似ノイズ)信号を低周波数帯域へ、可聴帯域しきい値以下のレベルで重畳しているが、聴覚マスキングしきい値を算出する必要があり演算負荷が重い。また、MP3などの圧縮コーデックを適用した場合、PN信号より優勢な元のオーディオ信号の周波数マスキングによって、PN信号が破壊される可能性が高い。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、データフレーム同期信号を重畳しても、軽い演算処理で聴感の悪化を抑えつつ、圧縮コーデック耐性が高い変調装置、復調装置、情報伝達システム、変調方法および復調方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明は、オーディオ信号が入力される入力手段と、予め設定された周期の巡回符号を用いてPN信号を発生する信号発生手段と、符号化された符号化情報を取得する取得手段と、前記入力手段に入力されたオーディオ信号に対して、前記信号発生手段によって発生されるPN信号の周期に同期させて、前記取得手段によって取得された符号化情報に応じた変調をして出力する変調手段と、前記信号発生手段によって発生されたPN信号について、予め設定された周波数以上の周波数帯域の成分を抽出して出力する抽出手段と、前記抽出手段によって出力されたPN信号を、前記変調手段によって出力されたオーディオ信号に重畳する重畳手段とを具備することを特徴とする変調装置を提供する。
また、別の好ましい態様において、前記変調手段は、出力するオーディオ信号の少なくとも一部の周波数帯域が未使用になるように、前記入力手段に入力されたオーディオ信号に対して変調し、前記抽出手段に設定された周波数は、前記未使用の周波数帯域の上限周波数未満の周波数であることを特徴とする。
また、別の好ましい態様において、前記変調手段は、出力するオーディオ信号の少なくとも一部の周波数帯域が未使用になるように、前記入力手段に入力されたオーディオ信号に対して変調し、前記抽出手段に設定された周波数は、前記未使用の周波数帯域の下限周波数以上の周波数であることを特徴とする。
また、別の好ましい態様において、前記重畳手段は、前記PN信号の利得を調整する調整手段を有することを特徴とする。
また、本発明は、オーディオ信号が入力される入力手段と、前記入力手段に入力されたオーディオ信号の予め設定された周波数以上の周波数帯域の成分を抽出して出力する抽出手段と、予め設定された周期の巡回符号を用いてPN信号を発生する信号発生手段と、前記抽出手段によって出力されたオーディオ信号と、前記信号発生手段によって発生されたPN信号とを比較して波形の相関を演算することにより、当該PN信号の一周期内の特定のタイミングに対応する当該オーディオ信号のタイミングを検出する検出手段と、前記検出手段によって検出されたタイミングを基準として、前記入力手段に入力されたオーディオ信号を復調して符号化情報を生成する復調手段とを具備することを特徴とする復調装置を提供する。
また、本発明は、上記記載の変調装置と、上記記載の復調装置と、前記変調装置の重畳手段によって重畳されたオーディオ信号を放音する放音手段と、前記放音手段によって放音されたオーディオ信号を収音する収音手段とを具備し、前記復調装置の入力手段は、前記収音手段によって収音したオーディオ信号が入力され、前記変調装置の信号発生手段と、前記復調装置の信号発生手段とは、同じ巡回符号を用いていることを特徴とする情報伝達システムを提供する。
また、本発明は、オーディオ信号が入力される入力過程と、予め設定された周期の巡回符号を用いてPN信号を発生する信号発生過程と、符号化された符号化情報を取得する取得過程と、前記入力過程において入力されたオーディオ信号に対して、前記信号発生過程において発生されるPN信号の周期に同期させて、前記取得過程において取得された符号化情報に応じた変調をして出力する変調過程と、前記信号発生過程において発生されたPN信号について、予め設定された周波数以上の周波数帯域の成分を抽出して出力する抽出過程と、前記抽出過程において出力されたPN信号を、前記変調過程において出力されたオーディオ信号に重畳する重畳過程とを備えることを特徴とする変調方法を提供する。
また、本発明は、オーディオ信号が入力される入力過程と、前記入力過程において入力されたオーディオ信号の予め設定された周波数以上の周波数帯域の成分を抽出して出力する抽出過程と、予め設定された周期の巡回符号を用いてPN信号を発生する信号発生過程と、前記抽出過程において出力されたオーディオ信号と、前記信号発生過程において発生されたPN信号とを比較して波形の相関を演算することにより、当該PN信号の一周期内の特定のタイミングに対応する当該オーディオ信号のタイミングを検出する検出過程と、前記検出過程において検出されたタイミングを基準として、前記入力過程において入力されたオーディオ信号を復調して符号化情報を生成する復調過程とを備えることを特徴とする復調方法を提供する。
本発明によれば、データフレーム同期信号を重畳しても、軽い演算処理で聴感の悪化を抑えつつ、圧縮コーデック耐性が高い変調装置、復調装置、情報伝達システム、変調方法および復調方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る情報伝達システム10は、図1に示すように、外部の装置、回路などから送信すべき伝送情報が入力されるとともに、オーディオ信号(以下、オーディオ信号Saという)が入力され、オーディオ信号Saを伝送情報に応じて変調した信号(以下、変調オーディオ信号Szという)を出力する変調装置1、変調装置1から出力される変調オーディオ信号Szを放音するスピーカ2、スピーカ2によって放音された変調オーディオ信号Szを収音するマイクロフォン3、マイクロフォン3によって収音された変調オーディオ信号Szを復調することにより伝送情報を受信する復調装置4を有する。以下、変調装置1、復調装置4の構成について順に説明する。
まず、変調装置1の構成について、図2を用いて説明する。以下に説明する構成については、ハードウエアにより実現してもよいし、図示しないコンピュータのCPU(Central Processing Unit)が制御プログラムを実行して、以下に説明する機能の一部または全部を実現するようにしてもよい。
変調器11は、オーディオ信号Saおよび伝送情報が入力され、伝送情報を符号化して、符号化した情報(以下、符号化情報という)に応じてオーディオ信号Saを変調し、変調したオーディオ信号(以下、変調オーディオ信号Seという)を出力する。また、変調器11は、後述するPN信号発生器12から予め設定された周期でタイミング信号が入力され、このタイミング信号にデータフレームが同期するように、オーディオ信号Saの変調が行われる。例えば、タイミング信号が入力された時点を、データフレームの開始タイミングに対応するようにすればよいが、この対応関係は任意に設定しておけばよく、後述する復調装置4において、この対応関係が設定されていればよい。
ここで、変調器11から出力される変調オーディオ信号Seは、ナイキスト周波数まで占有せず、高周波数帯域に数kHz程度の未使用の周波数帯域が存在するようになっている。オーディオ信号Saが、このような未使用の周波数帯域の成分を有している場合には、予め変調器11においてその成分が除去されるようになっている。未使用の周波数帯域とは、その周波数帯域の成分が無い、または非常に少ないレベル(所定値以下のレベル)である周波数帯域をいう。なお、変調オーディオ信号Seは、必ずしも未使用の周波数帯域が存在しないものであってもよいが、存在することが望ましい。これは、後述するように、この未使用の周波数帯域にPN信号を重畳することができれば、復調装置4における伝送ビットのエラー率の低減、データフレーム同期の容易化が可能なためである。
PN信号発生器12は、M系列などの予め設定された周期の巡回符号を用いて、「−1」または「1」の2値をとるPN信号を発生させるとともに、巡回符号の周期、例えば、PN信号の一周期内の特定のタイミングごとにタイミング信号を変調器11に出力する。このように発生されたPN信号は、擬似白色雑音であり、図3に示すような広帯域の周波数分布を有する。
巡回符号の周期は、変調器11におけるデータフレームの周期に応じて決定されてもよいし、巡回符号の周期に応じて変調器11におけるデータフレームの周期が決定されてもよい。例えば、巡回符号の周期は、データフレームの周期の整数倍になるようにすればよい。なお、上述のように、タイミング信号に応じてデータフレームの開始点が決まるようになっていればよいから、巡回符号の周期とデータフレームの周期とは必ずしも対応していなくてもよい。巡回符号の1周期の時間は、短いとSNが悪化する一方、長くしてもデータフレームの同期を取ることは可能であるから、数十ミリ秒から数百ミリ秒程度とすることが望ましい。
HPF13は、PN信号発生器12からPN信号が入力され、そのPN信号に対して、予め設定されたカットオフ周波数以下の成分を減衰させることにより、低周波数帯域の成分を除去し、高周波数帯域の成分だけを通過させて出力する。このカットオフ周波数は、変調器11から出力される変調オーディオ信号Seの上限周波数として設定される。このようにHPF13から出力されるPN信号は、例えば、図4に示すような周波数分布となる。なお、変調オーディオ信号Seに未使用の周波数帯域が存在しない場合は、聴感上の観点から、カットオフ周波数が10kHz以上に設定することが望ましい。
利得調整器14は、HPF13から出力される低周波数帯域の成分が除去されたPN信号の予め設定された設定値に応じて利得を調整し、後述する加算器15において変調オーディオ信号Seに重畳される際の混合比率を調整する。この利得を大きくすることにより、復調装置4におけるデータフレームの同期が取りやすくなる一方、聴感への影響が出る場合があるから、利得調整器14に設定される設定値は、試聴テストなどにより、聴感上気にならない程度に大きな利得に調整するものとすればよい。
加算器15は、変調器11から出力される変調オーディオ信号Seと、利得調整器14から出力されるPN信号とを加算することにより重畳した変調オーディオ信号Szを出力する。ここで、重畳のときには、変調オーディオ信号Seの処理経路と、PN信号の処理経路との処理時間差がある場合には、PN信号の特定のタイミングとデータフレームの開始タイミングとの対応関係が上述したような対応関係になるように、変調オーディオ信号SeまたはPN信号のいずれかに遅延処理を施してもよい。例えば、変調器11がタイミング信号の入力を受け付けてから、そのタイミング信号に対応するデータフレーム開始タイミング部分の変調オーディオ信号Seが加算器15に入力されるまでの処理時間がt1であり、タイミング信号に対応するPN信号が発生されてから加算器15に入力されるまでの処理時間がt1より少ないt2である場合には、処理時間が短いPN信号に対して差分の時間t1−t2の遅延処理を施せばよい。
このようにして加算器15から出力された変調オーディオ信号Szは、必要に応じてD/A変換、増幅処理などが施されスピーカ2に出力される。そして、スピーカ2から変調オーディオ信号Szが放音される。以上が、変調装置1の構成についての説明である。
次に、復調装置4の構成について、図5を用いて説明する。以下に説明する構成については、ハードウエアにより実現してもよいし、図示しないコンピュータのCPUが制御プログラムを実行して、以下に説明する機能の一部または全部を実現するようにしてもよい。
HPF42は、マイクロフォン3において収音された変調オーディオ信号Szが入力され、その変調オーディオ信号Szに対して、予め設定されたカットオフ周波数以下の成分を減衰させることにより、低周波数帯域の成分を除去し、高周波数帯域の成分だけを通過させたオーディオ信号を出力する高域通過フィルタである。カットオフ周波数は、この例においては、変調装置1におけるHPF13のカットオフ周波数と同じものとして設定されているが、変調オーディオ信号Szのうち、変調装置1において重畳されたPN信号に対応する周波数帯域の成分を抽出することができれば、より低いカットオフ周波数が設定されていてもよいし、BPF(帯域通過フィルタ)を用いてもよい。
PN信号発生器43は、変調装置1におけるPN信号発生器12と同様な構成によりPN信号を発生させる。すなわち、PN信号発生器43は、PN信号発生器12と同じ周期の巡回符号を用い、PN信号発生器12と同じPN信号を発生させるようになっている。
相関演算器44は、HPF42から低周波数帯域の成分が除去された変調オーディオ信号Szと、PN信号発生器43からPN信号が入力され、それぞれの相互相関を算出して、算出結果を出力する。まず、それぞれの信号について、使用しているPN信号周期分の畳み込み演算を行って結果を出力する。次に、1クロック分(1データビット時間分)PN信号をずらして、同様に畳み込み演算を行う。これをPN信号の1周期に渡って逐次実行する。
このようにして得られる算出結果は、図6に示すような、ピークが得られるものとなる。このピークが検出されるタイミングが最も相関が高い状態であり、PN信号の一周期内の特定のタイミングを示すものであるから、そのタイミングが変調オーディオ信号Szに係るデータフレームの開始点に対応するものとして、復調装置4側で認識することができる。
ピーク検出器45は、相関演算器44から出力される算出結果からピークを検出し、検出したタイミングを示す検出タイミング信号を復調器41に出力する。
復調器41は、マイクロフォン3によって収音した変調オーディオ信号Szと、ピーク検出器45から検出タイミング信号とが入力され、検出タイミング信号から、変調オーディオ信号Szに係るデータフレームの開始点を認識して、変調オーディオ信号Szの復調を行う。例えば、相関演算器44から出力される算出結果と変調オーディオ信号Szの復調開始との関係は、例えば図7に示すようになる。すなわち、復調器41は、入力された変調オーディオ信号Szの先頭から順に復調を開始するのではなく、データフレームの開始点が、変調オーディオ信号Szのどのタイミングであるかを認識して、そのタイミングを基準として復調を開始する。以上が、復調装置4の構成についての説明である。
このように、本発明の第1実施形態に係る情報伝達システム10は、変調装置1において、巡回符号を用いて生成したPN信号の低周波数帯域の成分を除去して変調オーディオ信号Seに重畳した変調オーディオ信号Szをスピーカ2から放音させることができる。一方、復調装置4においては、変調オーディオ信号Szに重畳されているPN信号に基づいて、データフレームを同期させて変調オーディオ信号Szを復調することができる。このとき、変調装置1において、PN信号は低周波数帯域の成分を除去して変調オーディオ信号Seに重畳しているから、聴感の悪化を抑えることができるとともに、聴感の悪化を抑えるために聴覚マスキングしきい値を用いる重畳を行っていないから、軽い演算処理でデータフレーム同期を取ることができる。
さらに、変調オーディオ信号Seの周波数帯域のうち、未使用の周波数帯域にPN信号が重畳されることにより、MP3等の圧縮コーデックを適用しても、PN信号の周波数帯域により優勢なオーディオ信号が存在せず、周波数マスキングの影響を受けにくいから、圧縮コーデック耐性が高いものとすることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態における情報伝達システム10は、第1実施形態における変調装置1の変調器11(以下、変調器11aという)および復調装置4の復調器41(以下、復調器41aという)について、具体的な構成の一例を適用したものである。従って、変調器11aおよび復調器41a以外の構成については、第1実施形態と同様であるから、説明を省略する。以下、変調器11aおよび復調器41aについて順に説明する。
まず、変調器11aは、図8に示すような構成であり、それぞれの構成について説明する。
LPF110aは、オーディオ信号Saが入力され、予め設定されたカットオフ周波数以上の高周波数帯域を減衰させることにより、高周波数帯域の成分を除去して出力する低域通過フィルタである。この高周波数帯域の一部が、後述するように、変調した信号が重畳される周波数帯域となるものであり、この例においては、カットオフ周波数は10kHzに設定されている。以下、第2実施形態において、LPF110aから出力される高周波数帯域の成分が除去されたオーディオ信号をオーディオ信号Sbという。
HPF120aは、LPF110aからオーディオ信号Sbが入力され、予め設定されたカットオフ周波数以下の低周波数帯域を減衰させて出力する高域通過フィルタである。この例においては、カットオフ周波数は6kHzに設定されている。したがって、HPF120aから出力されるオーディオ信号(以下、第2実施形態において、オーディオ信号Scという)は、オーディオ信号Saの周波数帯域のうち、概ね6kHzから10kHzの周波数帯域の成分を有するオーディオ信号として抽出されたものである。
符号化器130aは、伝送情報が入力され、この伝送情報を符号化した符号化情報を切替器150aに出力する。この例においては、符号化情報は、伝送情報を「0」、「1」の1ビット2値のシンボルに符号化した情報である。なお、この符号化においては、インターリーブ、誤り訂正符号の付加などの処理を行なってもよい。ここで、1ビットあたりの時間は予め設定された時間であり、すなわち予め定められたビットレートの符号化情報が生成される。このとき、この符号化情報についてのデータフレームの開始タイミングは、PN信号発生器12から出力されるタイミング信号に対応して決定される。
キャリア周波数発生部140aは、キャリア周波数発生器A141aとキャリア周波数発生器B142aとを有し、それぞれ、テーブル、関数演算などを行うことにより、予め設定された異なる周波数の正弦波のキャリア信号fa、fbを生成し、切替器150aに出力する。そして、切替器150aは、符号化器130aから出力される符号化情報を取得し、その符号化情報に応じて、入力されるキャリア信号fa、fbのいずれかを選択し、切り替えて出力する。この例においては、符号化情報が示すシンボルが「0」である場合には、キャリア信号faを出力し、シンボルが「1」である場合には、キャリア信号fbを出力する。
ここで、キャリア信号faとキャリア信号fbとが切り替わるときの切替器150aからの出力波形の不連続点が発生しないように、切り替え時点において切り替え前後のキャリア信号fa、fb双方の位相が一致するように周波数を設定してもよい。ここで、符号化情報の伝送符号1ビットあたりの時間は決まっているから、切り替わるタイミングはその時間の整数倍の時間に固定されている。例えば、サンプリングレートが44.1kHzであるときに、1ビットあたりの時間が88サンプルとして設定されているものとする。
このとき、キャリア信号faの1周期を11サンプル(周波数は概ね4kHz、以下、省略して4kHzとする)とし、キャリア信号fbの1周期を8サンプル(周波数は概ね5.5kHz、以下、省略して5.5kHzとする)とすると、1ビットあたりキャリア信号faはちょうど8周期、キャリア信号fbはちょうど11周期となり、切り替わるときには位相が一致するため、波形の連続性を保つことができる。このように設定されたキャリア信号fa、fbを、符号化情報「010101」により88サンプルごとに切り替えた場合の切替器150aからの出力信号を図9に示す。
キャリア周波数発生器A141a、キャリア周波数発生器B142aに、上述のようにして決定される周波数を設定しておくことにより、切替器150aにおける切替時の波形の連続性を保つことができるから、後述するように出力される変調オーディオ信号Seについて、切替器150aにおけるキャリア信号fa、fbの切替時にノイズが発生する可能性を抑えることができ、聴感上望ましい。この例においては、キャリア周波数発生器A141aには、周波数として4kHzが設定され、キャリア周波数発生器B142aには、周波数として5.5kHzが設定されているものとする。したがって、キャリア信号faの周波数は4kHz、キャリア信号fbの周波数は5.5kHzとなっている。
乗算器160aは、HPF120aから出力されるオーディオ信号Scと切替器150aから出力されるキャリア信号faまたはキャリア信号fbと乗算する。これにより、乗算器160aは、オーディオ信号Scの周波数帯域の成分を、乗算されるキャリア信号の周波数だけ上側の周波数帯域にシフトさせるとともに、下側の周波数帯域にもシフトさせる。具体的には、キャリア信号faと乗算された場合には、キャリア信号faの周波数は4kHzであるから、オーディオ信号Scの周波数帯域の成分は、6kHz〜10kHzの周波数帯域から、2kHz〜6kHzの周波数帯域および10kHzから14kHzの周波数帯域の2つの周波数帯域にシフトする。一方、キャリア信号fbと乗算された場合には、キャリア信号faの周波数は5.5kHzであるから、オーディオ信号Scの周波数帯域の成分は、6kHz〜10kHzの周波数帯域から、0.5kHz〜4.5kHzの周波数帯域および11.5kHzから15.5kHzの周波数帯域の2つの周波数帯域にシフトする。ここで、上側にシフトされる周波数帯域については、LPF110aにおいて成分が除去される周波数帯域になるように、LPF110aに設定されるカットオフ周波数、キャリア周波数発生器A141aおよびキャリア周波数発生器B142aに設定される周波数が、それぞれ定められている。
HPF170aは、乗算器160aによって周波数帯域がシフトされたオーディオ信号に対して、下側の周波数帯域の成分を除去し、上側の周波数帯域の成分だけを通過させる高域通過フィルタである。このように、下側の周波数帯域の成分だけを除去できればよいから、カットオフ周波数は、6kHzから10kHzの間、例えば8kHzとしておけばよい。このようにして下側の周波数帯域の成分が除去され、上側にシフトした周波数帯域の成分だけを有するオーディオ信号(以下、第2実施形態において、オーディオ信号Sdという)を出力する。
遅延回路180aは、LPF110aから出力されるオーディオ信号Sbに対して、予め設定された遅延時間の遅延処理を行って出力する。この遅延時間は、HPF120a、乗算器160aおよびHPF170aにおける処理時間と同じ時間として設定されている。このように遅延させることにより、オーディオ信号Sbに対して上記の周波数をシフトさせる処理が行われてオーディオ信号Sdが出力されるまでの処理時間のずれを調整して、オーディオ信号Sbとオーディオ信号Sdとの時間的なずれが無いものとすることができる。
加算器190aは、遅延回路180aにおいて遅延されたオーディオ信号Sbと、HPF170aから出力されたオーディオ信号Sdとを加算することによって重畳したオーディオ信号Seを出力する。なお、重畳の際にオーディオ信号Sdの出力レベルを低下させる調整を行って、変調オーディオ信号Seが含まれる変調オーディオ信号Szを放音する際の聴感上の違和感をより少なくしてもよい。以上が変調器11aの構成についての説明である。
次に、変調器11aの動作について、入力されるオーディオ信号Saが変調オーディオ信号Seとして出力されるまでの周波数分布の変化を示す図10を用いて説明する。
オーディオ信号Saは、図10(a)に示す周波数分布であるとする。このオーディオ信号Saは、LPF110aによって、10kHz以上の周波数帯域の成分が除去されるから、LPF110aから出力されるオーディオ信号Sbは、図10(b)に示すような周波数分布となる。次に、オーディオ信号Sbは、HPF120aによって、6kHz以下の周波数帯域の成分が除去されるから、HPF120aから出力されるオーディオ信号Scは、図10(c)に示すような6kHzから10kHzの周波数帯域の成分を有する周波数分布となる。
そして、入力される伝送情報は符号化器130aによって符号化された符号化情報として出力され、その内容に応じてキャリア信号faまたはキャリア信号fbが切り替えられながら乗算器160aに出力される。これにより、乗算器160aにおいて、オーディオ信号Scの6kHzから10kHzの周波数帯域の成分が上下側にシフトされ、HPF170aにおいて、下側にシフトされた周波数帯域の成分が除去される。このようにしてHPF170aから出力されるオーディオ信号Sdは図10(d)に示すような周波数分布となる。ここで、オーディオ信号Sd(0)、Sd(1)とは、それぞれキャリア信号fa、fbにより周波数帯域の成分がシフトされたオーディオ信号Sdを示し、破線で示した周波数分布については、HPF170aにおいて除去された周波数帯域の成分を示している。
このようにしてHPF170aから出力されたオーディオ信号Sdは、遅延回路180aにおいて遅延処理されたオーディオ信号Sbと加算器190aにおいて加算されるから、加算器190aから出力される変調オーディオ信号Seは、図10(e)に示すような周波数分布となる。ここで、変調オーディオ信号Se(0)、Se(1)とは、それぞれオーディオ信号Sd(0)、Sd(1)とオーディオ信号Sbとを加算した変調オーディオ信号Seを示している。このようにして、入力されたオーディオ信号Saは、符号化器130aによって出力される符号化情報の「0」、「1」に対応して、変調オーディオ信号Se(0)、Se(1)に変調されることになる。すなわち、オーディオ信号Saの6kHzから10kHzの周波数帯域の成分を、符号化情報の「0」「1」に応じたシフト量で高周波数帯域へシフトさせて、重畳する変調を行う。以上が変調器11aの動作についての説明である。
ここで、この例においては、変調オーディオ信号Seは、最大15.5kHzまで使用され、それ以上の周波数帯域は未使用であるから、変調装置1のHPF13に設定されるカットオフ周波数は、15.5kHz以上に設定することが望ましい。なお、キャリア信号fa、fbの周波数が例えば2kHzずつ大きい場合には、変調オーディオ信号Seの10kHzから12kHzの周波数帯域が未使用となるから、その周波数帯域にPN信号が重畳されるようにしてもよい。この場合には、HPF13に設定されるカットオフ周波数は、未使用の周波数帯域の下限周波数以上、上限周波数未満、例えば10kHzとすればよい。このように、未使用の周波数帯域とPN信号の周波数帯域が重複するようにしてもよい。
また、HPF13ではなく、BPF(帯域通過フィルタ)を用いて、変調オーディオ信号Seが使用している12kHz以上の周波数帯域成分についても除去されるようにして、変調オーディオ信号Seが使用している周波数帯域とPN信号が使用している周波数帯域が重ならないように、すなわちPN信号の周波数帯域が未使用の周波数帯域内に含まれるようにし、例えば、PN信号の10kHzから12kHzの周波数帯域の成分を抽出するようにしてもよい。
次に、復調器41aの構成について説明する。復調器41aは、図11に示すような構成である。
再変調器410aは、マイクロフォン3において収音された変調オーディオ信号Szが入力される。以下、第2実施形態において、変調オーディオ信号Se(0)が含まれる変調オーディオ信号Szは変調オーディオ信号Sz(0)と、変調オーディオ信号Se(1)が含まれる変調オーディオ信号Szは変調オーディオ信号Sz(1)という。再変調器410aは、図12に示すような構成であり、以下、その構成について説明する。
再変調器410aは、BPF411a、412a、413aおよび加算器414a、415aを有する。BPF411a、412a、413aは、それぞれ異なる中心周波数が予め設定された帯域通過フィルタである。そして、BPF411a、412a、413aは、変調オーディオ信号Szが入力され、変調オーディオ信号Szの周波数帯域のうち、それぞれに設定された中心周波数近傍の周波数帯域以外の周波数帯域を除去した信号を出力する。
BPF411aは、変調器11aに係るオーディオ信号Scの周波数帯域(6kHzから10kHz)のいずれかの周波数(この例においては、6.5kH)が中心周波数として設定される。BPF412aは、BPF411aに設定される中心周波数に変調器11aに係るキャリア信号faの周波数を加算した周波数、すなわち、この例においては、10.5kHzが中心周波数として設定される。また、BPF413aは、BPF411aに設定される中心周波数に変調器11aに係るキャリア信号fbの周波数を加算してシフトさせた周波数、すなわち、この例においては、12kHzが中心周波数として設定される。なお、BPF411a、412a、413aそれぞれのバンド幅は適宜設定すればよいが、すべて同じバンド幅であることが望ましい。
加算器414aは、BPF411a、412aから出力された信号を加算し、加算した出力信号Sf1を出力する。これにより、双方の信号の相関関係を検出することができる。すなわち、BPF411a、412aに設定された中心周波数は、キャリア信号faの周波数の4kHzずれた関係にある。ここで、変調オーディオ信号Szのうち、符号化情報「0」に対応する変調オーディオ信号Sz(0)については、上述したように、その6kHzから10kHzの周波数帯域の成分が4kHz上側にシフトさせた10kHzから14kHzの周波数帯域に重畳されている。したがって、変調オーディオ信号Sz(0)が再変調器410aに入力されている間は、変調オーディオ信号Sz(0)のうち6.5kHz近傍の周波数帯域の信号と、さらに4kHz上側の10.5kHz近傍の周波数帯域の信号とは、周波数帯域がシフトされただけの関係であり強い相関関係をもつから、これらの信号を加算した出力信号Sf1は、4kHzの強い振幅のうねりを持った信号となる。
一方、変調オーディオ信号Szのうち、符号化情報「1」に対応する変調オーディオ信号Sz(1)については、上述したように、その6kHzから10kHzの周波数帯域の成分が5.5kHz上側にシフトさせた11.5kHzから15.5kHzの周波数帯域に重畳されている。したがって、変調オーディオ信号Sz(1)が再変調器410aに入力されている間は、変調オーディオ信号Sz(1)のうち6.5kHz近傍の周波数帯域の信号と、さらに4kHz上側の10.5kHz近傍の周波数帯域の信号とは、周波数帯域がシフトされた関係ではなく(5.5kHzではない)、強い相関を持たないから、これらの信号を加算した出力信号Sf1は、強い振幅のうねりを持たない信号となる。
加算器415aは、BPF411a、413aから出力された信号を加算し、加算した出力信号Sf2を出力する。BPF411a、413aに設定された中心周波数は、キャリア信号fbの周波数の5.5kHzずれた関係にある。したがって、上述の理由と同様に、変調オーディオ信号Sz(0)が再変調器410aに入力されている間は、出力信号Sf2は、強い振幅のうねりを持たない信号となる一方、変調オーディオ信号Sz(1)が再変調器410aに入力されている間は、出力信号Sf2は、5.5kHzの強い振幅のうねりを持った信号となる。
このようにして再変調器410aから出力される出力信号Sf1、Sf2について図13に示す。この図13においては、再変調器410aに入力される変調オーディオ信号Szは、符号化情報が「01010101」に対応したもの、すなわち変調オーディオ信号Sz(0)、Sz(1)が交互に入力されているものとしている。また、図13(a)は出力信号Sf1を示し、図13(b)は出力信号Sf2を示している。以上が、再変調器410aの構成の説明である。
キャリア成分検出器420aは、出力信号Sf1、Sf2が入力される。キャリア成分検出器420aは、入力される出力信号Sf1、Sf2の振幅のうねりから、キャリア周波数成分を検波するものであり、図14に示すような構成である。以下、その構成について説明する。
キャリア成分検出器420aは、整流器421a、422a、BPF423a、424aを有している。整流器421a、422aは、それぞれ出力信号Sf1、Sf2が入力され、絶対値処理、二乗演算などにより整流を行って、BPF423a、424aに出力する。
BPF423a、424aは、帯域通過フィルタであり、中心周波数は、それぞれキャリア信号faの周波数4kHz、キャリア周波数fbの周波数5.5kHzとして予め設定されている。したがって、BPF423a、424aから出力される出力信号Sg1、Sg2は、出力信号Sf1、Sf2のキャリア周波数成分(Sf1に対しては4kHz、Sf2に対しては5.5kHz)を抽出した信号となる。このようにして、キャリア成分検出器420aは、再変調器410aから入力される出力信号Sf1,Sf2からキャリア周波数成分を抽出した出力信号Sg1、Sg2を出力する。
図15は、図13に示すような出力信号Sf1、Sf2がキャリア成分検出器420aに入力され、キャリア成分検出器420aから出力される出力信号Sg1、Sg2を示している。ここで、図15(a)は出力信号Sg1、図15(b)は出力信号Sg2を示している。以上が、キャリア成分検出器420aの構成の説明である。
レベル検出器430aは、出力信号Sg1、Sg2が入力される。レベル検出器430aは、入力される出力信号Sg1、Sg2のエンベロープを検出し、レベル値として出力するものであり、図16に示すような構成である。以下、その構成について説明する。
レベル検出器430aは、整流器431a、432a、LPF433a、434aを有している。整流器431a、432aは、それぞれ出力信号Sg1、Sg2が入力され、絶対値処理、二乗演算などにより整流を行って、LPF433a、434aに出力する。LPF433a、434aは、予めカットオフ周波数が設定された低域通過フィルタであり、それぞれ整流器431a、432aから入力される信号を平滑化して、レベル値を示す出力信号Sh1、Sh2を出力する。予め設定されたカットオフ周波数は、平滑化を目的としているから、伝送符号1ビットあたりの時間に応じて符号化された伝送情報が消失しない程度に設定すればよい。なお、レベル検出器430aは、交流信号からレベル値を算出できる方法であれば、これ以外の構成、例えばピーク検出とディケイ演算による構成などを用いてもよい。
図17は、図15に示すような出力信号Sg1、Sg2がレベル検出器430aに入力され、レベル検出器430aから出力される出力信号Sh1、Sh2を示している。ここで、実線は出力信号Sh1、破線は出力信号Sh2を示している。以上が、レベル検出器430aの構成の説明である。
加算器440aは、出力信号Sh1、Sh2が入力され、出力信号Sh1と出力信号Sh2との差分を示す出力信号Siを出力する。図18は、図17に示すような出力信号Sh1、Sh2が加算器440aに入力され、加算器440aから出力される出力信号Si(破線)を示している。
移動平均算出器450aは、出力信号Siが入力され、出力信号Siの移動平均を算出する。移動平均算出器450aは、例えばFIR(Finite impulse response)フィルタで構成され、フィルタのタップ長は伝送符号1ビットあたりの時間に相当するようにし、中心から前後方向に平均をとるように構成される。これによって、キャリア周波数成分のレベル値の差分である出力信号Siは、伝送符号1ビットあたりの時間で平均化されて出力される。
DCカットフィルタ460aは、移動平均算出器450aにおいて平均化された出力信号Siが入力され、直流成分、またはそれに近い不要な低域変動成分を除去した出力信号Sj(図18参照:一点鎖線)を出力する。これは、例えば、高域通過フィルタによって構成され、カットオフ周波数は、伝送符号1ビットあたりの時間などに応じて、符号化された伝送情報が消失しないように設定されればよい。
正負符号判定器470aは、出力信号Sjが入力され、出力信号Sjが正の場合には「+1」、負の場合には「−1」に対応するレベルの出力信号Sk(図18参照:実線)を出力する。
復号化器480aは、出力信号Skと、ピーク検出器45から検出タイミング信号とが入力される。そして、検出タイミング信号からデータフレームの開始タイミングを認識する。これは、上述したように、PN信号の一周期内の特定のタイミングとデータフレームの開始タイミングとの対応関係が予め設定され、また、変調オーディオ信号Szが入力されてから、ピーク検出器45から検出タイミング信号が出力されるまでの処理時間と、復調器41において出力信号Skを得るまでの処理時間との差分の時間を設定しておくことにより可能となる。
そして、復号化器480aは、認識されたタイミングを基準として、伝送符号1ビットあたりの時間で累積加算して、その時間毎に正負を判定する。そして、その結果が正であれば、変調オーディオ信号Szに対応する符号が「0」すなわち変調オーディオ信号Sz(0)を受信したものとして認識し、負であれば、変調オーディオ信号Szに対応する符号が「1」すなわち変調オーディオ信号Sz(1)を受信したものとして認識する。すなわち、再変調器410aにおける信号の相関関係の検出結果に応じて、オーディオ信号Scの周波数帯域の成分の周波数帯域のシフト量が4kHzであったか5.5kHzであったかを認識して、いずれかを選択することができる。このようにしてシフト量を選択した結果、変調装置1から送信された伝送情報に係る符号化情報は、図19に示すような「01010101」を示す符号化情報として復調される。
そして、復号化器480aは、復調された符号化情報を復号化した受信情報を出力する。なお、変調装置1の変調器11aにおいて、インターリーブ、誤り訂正などの処理がなされているときには、その処理に応じた復号化を行なえばよい。以上が、復調器41aの構成についての説明である。
このように、本発明の第2実施形態に係る情報伝達システム10は、変調装置1の変調器11aにおいて、入力されるオーディオ信号Saの高周波数帯域の成分を除去し、除去した周波数帯域に、残存する周波数帯域の一部の周波数帯域の成分を伝送情報に係る符号化情報に応じたシフト量で周波数シフトして重畳することにより変調した変調オーディオ信号Szをスピーカ2から放音させることができる。一方、復調装置4の復調器41aにおいては、収音した変調オーディオ信号Szから周波数のシフト量を認識して符号化情報に復調することができる。また、巡回符号を用いて発生させたPN信号の低周波数成分を除去したものを重畳しておくことによりデータフレームの同期を取ることもできる。
そのため、情報の伝達の際に放音される変調オーディオ信号Szを聞いたとしても、変調に係る聴感上の違和感を低減することができる。また、入力されるオーディオ信号Saがもともと高周波数帯域の成分を含まないものであれば、変調による帯域拡張処理で、周波数特性が高周波数帯域へも広がったような聴感改善効果も得られる。さらに、キャリア信号fa、fbの切替時に位相を一致させることにより、切替時における雑音の発生を抑えることもできる。
<第3実施形態>
第3実施形態における情報伝達システム10は、第1実施形態における変調装置1の変調器11(以下、変調器11bという)および復調装置4の復調器41(以下、復調器41bという)について、第2実施形態とは別の具体的な構成の一例を適用したものである。従って、変調器11bおよび復調器41b以外の構成については、第1実施形態と同様であるから、説明を省略する。以下、変調器11bおよび復調器41bについて順に説明する。
まず、変調器11bは、図20に示すような構成であり、それぞれの構成について説明する。
LPF110bは、オーディオ信号Saが入力され、予め設定されたカットオフ周波数以上の高周波数帯域を減衰させることにより、高周波数帯域の成分を除去して出力する低域通過フィルタである。この高周波数帯域の一部が、後述するように、変調した信号が重畳される周波数帯域となるものであり、この例においては、カットオフ周波数は10kHzに設定されている。以下、第3実施形態において、LPF110bから出力される高周波数帯域の成分が除去されたオーディオ信号をオーディオ信号Sbという。なお、オーディオ信号Saの周波数帯域のうち、変調した信号が重畳される周波数帯域の成分が無い場合はLPF110bを用いなくてもよい。
BPF120bは、オーディオ信号Sbが入力され、このオーディオ信号Sbの周波数帯域、すなわち、LPF110bにおけるカットオフ周波数以未満の周波数帯域のうち、予め設定された中心周波数とバンド幅に応じた周波数帯域を通過させて抽出し、その周波数帯域の成分を有するオーディオ信号(以下、第3実施形態において、オーディオ信号Scという)を出力する帯域通過フィルタである。この例においては、通過させる周波数帯域は、2kHzから3kHzである。
なお、通過させる周波数帯域を9kHzから10kHzにするなど、上限周波数をLPF110bにおけるカットオフ周波数と同じにする場合には、このBPF120bは、カットオフ周波数が9kHzであるHPF(高域通過フィルタ)により代用することも可能であるが、通過させる周波数帯域は、後述するエンベロープ検波を容易に行うために、通過させる周波数帯域の上限周波数は、LPF110bにおけるカットオフ周波数とは、一定の周波数以上離れたものとしておくことが望ましい。
符号化器130bは、復調装置4に対して伝送すべき伝送情報が入力され、この伝送情報を符号化した符号化情報を位相制御回路140bに出力する。この例においては、符号化情報は、伝送情報を「0」、「1」の1ビット2値のシンボルに符号化した情報である。この符号化においては、インターリーブ、誤り訂正符号の付加などの処理を行なってもよい。ここで、シンボルレート、すなわち1ビットあたりの時間は予め設定された時間であり、すなわち予め定められたビットレートの符号化情報が生成される。このとき、この符号化情報についてのデータフレームの開始タイミングは、PN信号発生器12から出力されるタイミング信号に対応して決定される。
位相制御回路140bは、オーディオ信号Scが入力され、このオーディオ信号Scの位相を、符号化器130bから入力される符号化情報「0」「1」に応じて調整することにより変調(BPSK:Binary Phase Shift Keying)し、直流オフセットを与えたオーディオ信号(以下、第3実施形態において、オーディオ信号Sc’という)を出力する。ここで、位相制御回路140bの構成の一例について、図21を用いて説明する。
位相制御回路140bは、図21に示すように、切替器141b、定数乗算器142b、加算器143bおよびバイアス付与部144bを有する。切替器141bは、符号化器130bから入力される符号化情報が「1」であるときは、入力されるオーディオ信号Scをそのまま出力する。一方、切替器141bは、符号化器130bから入力される符号化情報が「0」であるときは、定数乗算器142bから入力されるオーディオ信号Scを出力する。ここで、定数乗算器142bは、入力されるオーディオ信号Scに「−1」を乗算、すなわちオーディオ信号Scの位相を反転させて切替器141bに出力する。
したがって、切替器141bから出力されるオーディオ信号Scは、符号化器130bから入力される符号化情報が「0」か「1」かによって、位相がπずれたものとなる。例えば、位相制御回路140bに入力されるオーディオ信号Scが正弦波であり、符号化器130bから入力される符号化情報が「0」「1」「0」と変化した場合には、図22に示すような出力信号となる。
加算器143bは、切替器141bから出力されるオーディオ信号Scとバイアス付与部144bから出力される直流オフセット用の信号とを加算したオーディオ信号Sc’を出力する。バイアス付与部144bから出力される直流オフセット用の信号は、予め設定された出力値の直流信号である。この出力値を大きく設定すると、変調が深くなり、後述する復調時のエンベロープ検波が行いやすくなる一方、変調信号、すなわち変調オーディオ信号Szを放音したときの聴感を悪化させる場合がある。したがって、この出力値は、聴感と復調時の伝送ビットエラー率とのバランスから適切な値が選択されて設定される。以上が、位相制御回路140bの構成の説明である。
図20に戻って説明を続ける。キャリア信号発生器150bは、予め設定された周波数のキャリア信号faを出力する。このキャリア信号faの周波数は、オーディオ信号Sbの周波数帯域をLPF110bにおいて除去された周波数帯域へシフトさせる際のシフト量に相当する周波数である。この例においては、オーディオ信号Sbの周波数帯域は2kHzから3kHzであり、これを10kHz以上へシフトさせることになるから、8kHz(10kHz−2kHz)以上の周波数とすればよく、この例においては、キャリア信号faの周波数は12kHzであるものとする。
振幅変調回路160bは、オーディオ信号Sc’とキャリア信号faが入力され、オーディオ信号Sc’の周波数帯域の成分を、キャリア信号faの周波数分、高周波数帯域にシフトさせたオーディオ信号(以下、第3実施形態において、オーディオ信号Sdという)を出力する。ここで、振幅変調回路160bの構成の一例について、図23、図24を用いて説明する。
振幅変調回路160bは、図23に示すように、ヒルベルト変換器161b、162b、乗算器163b、164b、加算器165bを有する。ヒルベルト変換器161bは、図24に示すように遅延回路1611bおよびFIR(Finite impulse response)フィルタ1612bを有し、入力されるオーディオ信号Sc’の実部と虚部とで構成される解析信号を出力する。
FIRフィルタ1612bは、図25に示すような周波数特性(図25(a)参照)、位相特性(図25(b)参照)、インパルス応答(図25(c)参照)を持ち、入力されるオーディオ信号Sc’の位相をπ/2回転させる。遅延回路1611bは、FIRフィルタで発生する遅延量とFIRを通さないオーディオ信号Sc’との時間整合をとるため、FIRフィルタのタップ数の半分の遅延量で、入力されるオーディオ信号Sc’を遅延させる。このような構成により、オーディオ信号Sc’から、遅延回路1611bの出力を実部、FIRフィルタ1612bの出力を虚部とする解析信号に変換することができる。ここで、ヒルベルト変換器162bは、ヒルベルト変換器161bと同様な構成であって、入力される信号がキャリア信号faであることが異なるだけであり、キャリア信号faの実部と虚部とで構成される解析信号を出力する。
乗算器163bは、ヒルベルト変換器161bから出力されるオーディオ信号Sc’の解析信号の実部と、ヒルベルト変換器162bから出力されるキャリア信号faの解析信号の実部とを乗算して出力する。乗算器164bは、ヒルベルト変換器161bから出力されるオーディオ信号Sc’の解析信号の虚部と、ヒルベルト変換器162bから出力されるキャリア信号faの解析信号の虚部とを乗算して出力する。加算器165bは、乗算器163bからの出力信号と、乗算器164bからの出力信号に「−1」を乗算した信号とを加算したオーディオ信号Sdを出力する。このように、各解析信号の乗算結果の実部を得ることによって、オーディオ信号Sc’の周波数帯域の成分を、キャリア信号faの周波数分高い周波数帯域にシフトさせるから、オーディオ信号Sdは、14kHz(2kHz+12kHz)から15kHz(3kHz+12kHz)の周波数帯域の成分を有することになる。以上が、振幅変調回路160bの構成の説明である。
なお、振幅変調回路160bにおいてヒルベルト変換器を用いない場合には、キャリア信号faとオーディオ信号Sc’との乗算後、HPF(高域通過フィルタ)を使って上側波帯のみ取り出すような構成としてもよい。また、位相制御回路140bにおいて位相変調をする際、解析信号を生成して位相変調をする場合には、振幅変調回路160bにおけるヒルベルト変換器を省略することができる。
遅延回路170bは、LPF110bから出力されるオーディオ信号Sbに対して、予め設定された遅延時間の遅延処理を行って出力する。この遅延時間は、BPF120b、位相制御回路140b、振幅変調回路160bにおける処理時間の合計として設定されている。このように遅延させることにより、後述する加算器180bに入力されるオーディオ信号Sbとオーディオ信号Sdについて、オーディオ信号SbがBPF120bに入力されて振幅変調回路160bからオーディオ信号Sdとして出力されるまでの処理時間のずれを調整して、時間的なずれが無いものとすることができる。
加算器180bは、遅延回路170bにおいて遅延されたオーディオ信号Sbと、振幅変調回路160bから出力されたオーディオ信号Sdとを加算することによって重畳したオーディオ信号Seを出力する。なお、重畳の際にオーディオ信号Sdの出力レベルを低下させる調整を行って、変調オーディオ信号Seが含まれる変調オーディオ信号Szを放音する際の聴感上の違和感をより少なくしてもよい。以上が変調器11bの構成についての説明である。
次に、変調器11bの動作について、入力されるオーディオ信号Saが変調オーディオ信号Seとして出力されるまでの周波数分布の変化を示す図26を用いて説明する。
オーディオ信号Saは、図26(a)に示す周波数分布であるとする。このオーディオ信号Saは、LPF110bによって、10kHz以上の周波数帯域の成分が除去されるから、LPF110bから出力されるオーディオ信号Sbは、図26(b)に示すような周波数分布となる。次に、オーディオ信号Sbは、BPF120bによって、2kHzから3kHzの周波数帯域が抽出されるから、BPF120bから出力されるオーディオ信号Scは、図26(c)に示すような2kHzから3kHzの周波数帯域の成分を有する周波数分布となる。
そして、入力される伝送情報は符号化器130bによって符号化された符号化情報として出力され、その内容に応じて、位相制御回路140bによってオーディオ信号Scの位相が調整される。位相変調後、振幅変調回路160bによって、キャリア信号faの周波数分(この例においては12kHz)、高周波数帯域にシフトされ、オーディオ信号Sdは、図26(d)に示すように、14kHzから15kHzの周波数帯域の成分を有するような周波数分布となる。
そして、振幅変調回路160bから出力されたオーディオ信号Sdは、遅延回路170bにおいて遅延処理されたオーディオ信号Sbと加算器180bにおいて加算されるから、加算器180bから出力される変調オーディオ信号Seは、図26(e)に示すような周波数分布となる。
このようにして、入力されたオーディオ信号Saは、符号化器130bによって出力される符号化情報の「0」、「1」に対応して、高周波数帯域部分の位相が調整された変調オーディオ信号Seに変調されることになる。すなわち、オーディオ信号Saの2kHzから3kHzの周波数帯域の成分を、符号化情報の「0」「1」に応じて位相を調整し、高周波数帯域にシフトして、高周波帯域が除去されたオーディオ信号Sbに重畳する変調を行う。以上が変調器11bの動作についての説明である。
ここで、この例においては、変調オーディオ信号Seは、最大15kHzまで使用されるようになっているから、変調装置1のHPF13に設定されるカットオフ周波数は、15kHz以上に設定することが望ましい。なお、変調オーディオ信号Seは、10kHzから14kHzの周波数帯域は未使用となるから、その周波数帯域にPN信号が重畳されるようにしてもよい。この場合には、HPF13に設定されるカットオフ周波数は、未使用の周波数帯域の下限周波数以上、上限周波数未満、例えば10kHzとすればよい。このように、未使用の周波数帯域とPN信号の周波数帯域が重複するようにしてもよい。
また、HPF13ではなく、BPF(帯域通過フィルタ)を用いて、変調オーディオ信号Seが使用している14kHz以上の周波数帯域成分についても除去されるようにして、変調オーディオ信号Seが使用している周波数帯域とPN信号が使用している周波数帯域が重ならないように、すなわちPN信号の周波数帯域が未使用の周波数帯域内に含まれるようにし、例えば、PN信号の10kHzから14kHzの周波数帯域の成分を抽出するようにしてもよい。
次に、復調器41bの構成について説明する。復調器41bは、図27に示すような構成である。
HPF410bは、マイクロフォン3において収音された変調オーディオ信号Szが入力され、その変調オーディオ信号Szに対して、予め設定されたカットオフ周波数以下の成分を減衰させることにより、低周波数帯域の成分を除去し、高周波数帯域の成分だけを通過させたオーディオ信号(以下、第3実施形態において、オーディオ信号Sfという)を出力する高域通過フィルタである。
カットオフ周波数は、この例においては、変調器11bにおけるLPF110bのカットオフ周波数と同じものとして設定されているが、変調オーディオ信号Szのうち、オーディオ信号Sdに対応する周波数帯域成分を抽出することができれば、より高いカットオフ周波数が設定されていてもよく、また、PN信号の成分を除去するために、BPF(帯域通過フィルタ)を用いてもよい。
検波回路420bは、オーディオ信号Sfが入力され、エンベロープ検波によって、変調されたオーディオ信号(オーディオ信号Scに相当)を検出し、検出したオーディオ信号(以下、第3実施形態において、オーディオ信号Sgという)を出力する。ここで、検波回路420bの構成の一例について、図28を用いて説明する。
検波回路420bは、図28(a)に示すように、整流回路421b、LPF422bおよび直流成分除去フィルタ423bを有する。整流回路421bは、入力されるオーディオ信号Sfを半波整流などによって整流し、LPF422bに出力する。LPF422bは、予めカットオフ周波数が設定された低域通過フィルタであり、整流回路421bから入力される信号を平滑化して、直流成分除去フィルタ423bに出力する。予め設定されたカットオフ周波数は、変調に用いた周波数帯域の上限を元に決定した値とすればよい。直流成分除去フィルタ423bは、LPF422bから入力される信号の直流成分を除去し、直流成分を除去したオーディオ信号(以下、第3実施形態において、オーディオ信号Sgという)を出力する。このオーディオ信号Sgは、オーディオ信号Scに相当する信号であり、変調器11bの位相制御回路140bにおいて調整された位相の情報が保存されている。
なお、検波回路420bは、エンベロープを検出できればどのような構成であってもよい。例えば、図28(b)に示すような構成とすればよい。すなわち、検波回路420bは、比較器424b、加算器425b、遅延器(Z−1)426bおよびLPF427bを有する。比較器424bは、オーディオ信号Sfと遅延器426bからの出力信号とが入力され、出力レベルが大きい信号を出力する。加算器425bは、比較器424bからの出力信号から定数を減算して出力する。遅延器426bは、加算器425bからの出力信号を1サンプル遅延させて比較器424bに出力する。LPF427bは、加算器425bからの出力信号を平滑化して出力する。この出力信号は、エンベロープ検波されたものとなり、上述のオーディオ信号Sgに相当する。このように、ピーク値を検出するような構成であってもよい。以上が、検波回路420bの説明である。
図27に戻って説明を続ける。BPF430bは、変調オーディオ信号Szが入力され、予め設定された中心周波数とバンド幅に応じた周波数帯域を通過させて抽出し、その周波数帯域の成分を有するオーディオ信号(以下、第3実施形態において、オーディオ信号Shという)を出力する帯域通過フィルタである。この例においては、通過させる周波数帯域は、2kHzから3kHzであり、変調器11bのBPF110bにおいて通過させる周波数帯域と同じ周波数帯域になっている。
遅延回路440bは、BPF430bから出力されるオーディオ信号Shに対して、予め設定された遅延時間の遅延処理を行って出力する。この遅延時間は、HPF410b、検波回路420bにおける処理時間の合計からBPF430bにおける処理時間の合計を引いた時間として設定されている。このように遅延させることにより、変調オーディオ信号Szが入力されてから、オーディオ信号Sgが後述するヒルベルト変換器451bに出力されるまでの処理時間と、オーディオ信号Shが後述するヒルベルト変換器452bに出力されるまでの処理時間とのずれを調整して、オーディオ信号Sgとオーディオ信号Shとの時間的なずれが無いものとすることができる。
ヒルベルト変換器451b、452bは、それぞれオーディオ信号Sg、Shが入力され、実部と虚部とで構成される解析信号をそれぞれ出力する。ヒルベルト変換器451b、452bの構成については、上述した変調器11bのヒルベルト変換器161b、162bと同じであるので、説明を省略する。
位相角算出器461bは、ヒルベルト変換器451bから出力された複素数で表現される解析信号から、位相角を算出する。実部をRe、虚部をImとした場合、この位相角θは、θ=arctan(Re/Im)で算出される。これは、変調器11bにおける位相変調後のオーディオ信号Scに相当するオーディオ信号Sgの位相角を算出するものであり、以下、この位相角θについては位相角Paという。
また、位相角算出器462bは、ヒルベルト変換器452bから出力された解析信号から、上述同様に位相角θを算出する。これは、変調器11bにおける位相変調前のオーディオ信号Scに相当するオーディオ信号Shの位相角θを算出するものであり、以下、この位相角θについては位相角Pbという。なお、位相角θの算出は、直交座標から極座標に変換できれば、これ以外の手法を用いてもよい。
したがって、位相角Paは、変調器11bにおける符号化情報が「1」であるときには、位相角Pbと概ね一致し、符号化情報が「0」であるときには、位相角Pbとは位相が異なる(πずれる)ことになる。
加算器470bは、位相角算出器461b、462bにおいて算出された変調器11bにおける符号化情報に応じた変動のある位相角Paと、基準となる位相角Pbの差分(Pa−Pb)を示す差分信号Pcを出力する。
符号判定器480bは、差分信号Pcから位相差を判定し、各タイミングにおいて、変調器11bにおける変調が、符号化情報の「0」、「1」のうち、どちらに対応して行われたかを判定し、判定した符号化情報Dsを出力する。符号判定器480bは、図29に示すようにシンボルレート平均算出部481bと位相差判定部482bを有する。シンボルレート平均算出部481bは、差分信号Pcと、ピーク検出器45から検出タイミング信号とが入力される。そして、検出タイミング信号からデータフレームの開始タイミングを認識する。これは、上述したように、PN信号の一周期内の特定のタイミングとデータフレームの開始タイミングとの対応関係が予め設定され、また、変調オーディオ信号Szが入力されてから、ピーク検出器45から検出タイミング信号が出力されるまでの処理時間と、復調器41bにおいて差分信号Pcを得るまでの処理時間との差分の時間を設定しておくことにより可能となる。
そして、シンボルレート平均算出部481bは、認識されたタイミングを基準として、伝送符号1ビットあたりの時間を1期間とした移動平均値を算出する。
位相差判定部482は、算出された各期間の移動平均値について、適宜しきい値を設定(例えば、0とπとの中間値であるπ/2)して、移動平均値がしきい値より大きい場合は、位相角Paと位相角Pbとの位相角のずれがπとして判定する一方、小さい場合には位相角のずれがないものとして判定する。そして、各期間において、位相角のずれがπと判定したときは、符号化情報Dsを「0」として出力し、位相角のずれがないと判定した場合には、符号化情報Dsを「1」として出力する。
図27に戻って説明を続ける。復号化器490bは、符号化情報Dsが入力され、符号化情報Dsを復号化した受信情報を出力する。なお、変調器11bにおいて、インターリーブ、誤り訂正などの処理がなされているときには、その処理に応じた復号化を行なえばよい。以上が、復調器41bの構成についての説明である。
次に、復調器41bの動作について、入力される変調オーディオ信号Szが位相角の比較対照であるオーディオ信号Sg、Shに処理されるまでの周波数分布の変化を示す図30を用いて説明する。図30においては、説明の簡略化のため、PN信号の成分については省略している。また、位相角算出器461b、462bから出力される位相角Pa、Pbについても図31を用いて説明する。
マイクロフォン3によって収音される変調オーディオ信号Szは、PN信号の成分を除くと、図30(a)に示すような周波数分布であり、上述した図26(e)と同様な周波数分布である。この変調オーディオ信号Szは、HPF410bによって、10kHz以下の周波数帯域の成分が除去されるから、HPF410bから出力されるオーディオ信号Sfは、図30(b)に示すような周波数分布となる。
そして、オーディオ信号Sfは、検波回路420bにおいてエンベロープ検波され、変調器11bにおいて位相変調された周波数帯域成分が抽出されるから、出力されるオーディオ信号Sgは、図30(c)に示すような周波数分布となる。一方、変調オーディオ信号Szは、BPF430bにおいて、変調器11bにおいて位相変調される元となる周波数帯域成分が抽出されるから、出力されるオーディオ信号Shは、図30(d)に示すような周波数分布となる。
このように、オーディオ信号Shとオーディオ信号Sgとの関係は、同じ周波数帯域の成分を有し、変調器11bにおける位相変調元に相当する信号と位相変調後に相当する信号との関係である。したがって、オーディオ信号Shとオーディオ信号Sgとの位相差が概ね「0」である場合には、変調装置1から伝送された符号化情報は「1」である一方、双方の位相差が概ね「π」である場合には、伝送された符号化情報は「0」であることになる。
オーディオ信号Sg、Shの位相角Pa、Pbは、それぞれ位相角算出器461b、462bにおいて算出される。伝送された符号化情報が「1」から「0」に変化した場合における位相角Pa、Pbは、図31に示すような変化となる。このように、位相角Pbは、変調器11bにおいて位相変調されない信号の位相角であるから、同じ周期で変化し続ける。一方、位相角Paは、変調器11bにおける位相変調の影響を受けた信号の位相角であるから、伝送される符号化情報が変化すると、位相角の変化の態様も変化する。ここで、図31に示されているように、位相角Paは、伝送される符号化情報が変化すると、すぐπずれるのではなく、検波回路420bにおけるエンベロープ検波の影響などによりある程度(この例においては数ミリ秒)の時定数をもって位相がπずれるようになっている。したがって、符号化情報のシンボルレートに係る時間は、この時定数よりも長くしておくことが望ましい。
このようにして、マイクロフォン3において収音された変調オーディオ信号Szは、変調器11bにおける位相変調元の信号に対応する低周波数帯域の成分と、位相変調後の信号に対応する高周波数帯域の成分とが抽出され、双方の位相角から位相差が検出されることによって復調される。以上が復調器41bの動作についての説明である。
このように、本発明の第3実施形態に係る情報伝達システム10は、変調装置1の変調器11bにおいて、入力されるオーディオ信号Saの高周波数帯域の成分を除去し、残存する周波数帯域の一部の周波数帯域の成分を伝送情報に係る符号化情報に応じて位相を調整し、除去した周波数帯域にシフトして重畳することにより、変調した変調オーディオ信号Szをスピーカ2から放音させることができる。一方、復調装置4の復調器41bにおいては、位相角の基準となるパイロット信号などが別途重畳されていなくても、収音した変調オーディオ信号Szから、位相変調元の信号として用いられる低周波数帯域の成分と、位相変調後の信号として高周波数帯域に重畳された成分とを抽出して、双方の位相差を検出して符号化情報に復調することができる。また、巡回符号を用いて発生させたPN信号の低周波数成分を除去したものを重畳しておくことによりデータフレームの同期を取ることもできる。
そのため、第2実施形態同様、情報の伝達の際に放音される変調オーディオ信号Szを聞いたとしても、元のオーディオ信号Saの一部を変調して高周波数帯域に重畳しているだけであるから、変調に係る聴感上の違和感を低減することができる。また、入力されるオーディオ信号Saがもともと高周波数帯域の成分を含まないものであれば、変調による帯域拡張処理で、周波数特性が高周波数帯域へも広がったような聴感改善効果も得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
<変形例1>
上述した第2実施形態における変調器11aの変調処理、また復調器41aの復調処理については、別の態様の処理により行ってもよい。例えば、FFT(Fast Fourier transform)処理を用いればよい。この場合には、変調器11aは図32に示すような変調器11cの構成とし、復調器41aについては図33に示すような復調器41cの構成とすればよい。以下、それぞれの構成について順に説明する。
まず、本変形例に係る変調器11cについて図32を用いて説明する。FFT部1010cは、入力されるオーディオ信号SaについてFFT処理を施し、周波数領域のスペクトルSpに変換する。符号化器1020cについては、実施形態における符号化器130cと同様に、入力される伝送情報を符号化情報に変換する。このとき、この符号化情報についてのデータフレームの開始タイミングは、PN信号発生器12から出力されるタイミング信号に対応して決定される。
複製部1030cは、FFT部1010cから入力されるスペクトルSpの高周波数帯域の成分を除去し、残存する周波数帯域の一部の周波数帯域の成分を、符号化情報に応じたシフト量で周波数シフトさせて、除去した高周波数帯域に重畳する。例えば、10kHz以上の周波数帯域の成分を除去し、残存する周波数帯域の一部の周波数帯域である6kHzから10kHzの周波数帯域の成分を10kHz以上の周波数帯域に周波数シフトさせて重畳する。このときの周波数のシフト量は、入力される符号化情報が「0」である場合には+4kHz、「1」である場合には+5.5kHzとする。そして、このようにして処理されたスペクトルSqを出力する。
逆FFT部1040cは、複製部1030cから入力されるスペクトルSqに対して逆FFT処理を施すことにより、変調オーディオ信号Seに変換して出力する。このような構成によっても、第1実施形態と同様な変調オーディオ信号Seを出力することができる。以上が、本変形例における変調器11cの構成の説明である。
次に、本変形例に係る復調器41cについて図33を用いて説明する。FFT部4010cは、変調オーディオ信号Szが入力され、FFT処理を施して周波数領域のスペクトルSrに変換して出力する。
判定部4020cは、FFT部4010cから入力されるスペクトルSrのうち、6kHz〜10kHzの周波数帯域のスペクトル(以下、スペクトルAという)と、10kHz〜14kHzの周波数帯域のスペクトル(以下、スペクトルBという)または11.5kHz〜15.5kHzの周波数帯域のスペクトル(以下、スペクトルCという)とを比較して、スペクトルBとスペクトルCのどちらがスペクトルAに近いスペクトル形状であるかを判定する。この判定は、スペクトル形状の類似度などの相関関係から判定すればよい。そして、スペクトルBと判定された期間においては「+1」、スペクトルCと判定された期間においては「−1」に対応する出力信号Skを出力する。この出力信号Skは、実施形態における出力信号Skと同様な信号である。
復号化器4030cは、実施形態における復号化器480cと同様に、入力される出力信号Skから符号化情報に復調し、符号化情報を復号化した受信情報を出力する。このとき、ピーク検出器45から出力される検出タイミング信号からデータフレームの開始タイミングを認識し、そのタイミングを基準として復調を行う。以上が、本変形例における復調器41cの構成の説明である。
このように、変調器11cは、入力されるオーディオ信号Saの高周波数帯域の成分を除去し、除去した周波数帯域に、残存する周波数帯域の一部の周波数帯域の成分を伝送情報に係る符号化情報に応じたシフト量で周波数シフトして重畳することにより変調した変調オーディオ信号Seが含まれる変調オーディオ信号Szを放音することができれば、どのような構成であってもよい。また、復調器41cにおいては、収音した変調オーディオ信号Szから周波数のシフト量を認識して符号化情報に復調することができれば、どのような構成としてもよい。なお、変調器11と復調器41の双方が本変形例の構成として、情報伝達システム10を構成するだけでなく、変調器11または復調器41のいずれかが、本変形例の構成であり、他方が第2実施形態の構成として、情報伝達システム10を構成してもよい。
<変形例2>
上述した第2実施形態においては、高周波数帯域に重畳するための残存する周波数帯域の一部の周波数帯域は、LPF110aとHPF120aとの組み合わせにより、双方のカットオフ周波数の間の周波数帯域となっていた。したがって、その周波数帯域の上限周波数は、重畳のために除去される高周波数帯域の下限周波数と同じ周波数になっていたが、高周波数帯域に重畳するための残存する周波数帯域の一部の周波数帯域については、必ずしもこのような態様でなくてもよくてもよい。例えば、高周波数帯域に重畳するための残存する周波数帯域の一部の周波数帯域については、BPF(帯域通過フィルタ)などを用いて、6kHz〜9kHzの周波数帯域の成分を抽出するようにしてもよい。このように、残存する周波数帯域の一部であれば、どの周波数帯域を周波数シフトして、高周波数帯域に重畳するようにしてもよい。なお、周波数帯域の帯域幅についても、どのような帯域幅としてもよい。
また、入力されるオーディオ信号Saの周波数帯域のうち、重畳すべき周波数帯域の成分が無い場合はLPF110aを用いず、予め設定された周波数以上の周波数帯域の成分を除去しなくてもよい。この場合には、本変形例のようにしてBPFを用いて、予め設定された周波数以上の周波数帯域に重畳すべき成分を抽出するようにすればよい。
<変形例3>
上述した第2実施形態においては、キャリア周波数発生部140aについては、キャリア周波数が異なる2つのキャリア周波数発生器A141aとキャリア周波数発生器B142aとを有していたが、さらに多くのキャリア周波数発生器を有するようにしてもよい。そして、生成するキャリア信号の周波数がそれぞれ異なるようにし、それぞれの周波数を実施形態において説明したように、キャリア信号が切り替わるときの切替器150aからの出力波形について不連続点が発生しないように、切り替え時においてキャリア信号fa、fb双方の位相が一致するように設定してもよい。
このようにすると、符号化情報は、そのシンボルが「0」「1」だけでなく、さらに多値化することができ、キャリア周波数発生器が4つあれば、「00」「01」「10」「11」と、同時に2ビットずつ送信することができる。
この場合、復調器41aにおける各構成については、キャリア周波数発生器の数(この例においては4つ)に対応して、変更するようにすればよい。具体的には、再変調器410aは、BPF411aに設定された中心周波数に各キャリア信号の周波数を加算した周波数を中心周波数として設定したBPF41a、413a、414a、415a(図示略)を設け、それぞれの出力をBPF411aの出力と加算した出力信号Sf1、Sf2、Sf3、Sf4を出力するようにする。そして、キャリア成分検出器420a、レベル検出器430aにおいて各出力信号を実施形態と同様な処理を施し、出力信号Sh1、Sh2、Sh3、Sh4が出力される。
そして、実施形態における加算器440a、移動平均算出器450a、DCカットフィルタ460a、正負符号判定器470a、復号化器480aにおける処理に対応して、出力信号Sh1、Sh2、Sh3、Sh4のうち、最大のレベルの出力信号を検出すればよい。そして、検出した出力信号が出力信号Sh1であれば、変調器11aにおける周波数のシフト量が、BPF412aに設定された中心周波数の、BPF411aに設定された中心周波数に対するシフト量であるものとして選択することができる。したがって、その検出している期間は、符号化情報が、選択されたシフト量に対応するシンボル、例えば「00」であるものとすることができる。このようにすれば、符号化器130aから出力される符号化情報のビットレートを向上させることができる。
<変形例4>
上述した第3実施形態においては、変調器11bにおける符号化器130bから出力される符号化情報は、「0」または「1」であり、1シンボルレートで1ビット2値として変調(BPSK)していたが、より多くの値、例えば1シンボルレートで2ビット4値「00」、「01」、「10」、「11」としてもよい。この場合、位相制御回路140bは、ヒルベルト変換器を用いてオーディオ信号Scを解析信号に変換した後、実部と虚部との入れ替え、実部と虚部との符号入れ替えなどの操作によって、符号化情報の値に応じて、オーディオ信号Scの位相を0、π/2、π、3π/2ずらす(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)ようにすればよい。
そして、復調器41bにおける符号判定器480bの位相差判定部482bは、算出された移動平均値について、適宜しきい値を設けて、オーディオ信号Sgとオーディオ信号Shとの位相角のずれが、どのずれに対応するかを判定するようにすればよい。このようにすれば、伝送情報の伝送レートを向上させることができる。
<変形例5>
上述した第3実施形態において、変調オーディオ信号Szがスピーカ2から放音され、マイクロフォン3によって収音されるまでの間に、スピーカ2の位相特性などにより、変調オーディオ信号Szの位相が周波数帯域に応じて異なる変化をしてしまう場合がある。この場合には、変調器11bにおける位相変調以外の外部要因による位相の変化を予め予測して、変調器11bにおける位相の調整量、復調器41bにおける符号判定器480bの位相差判定部482bの位相角のずれの判定基準を、予測した変化に応じて設定しておけばよい。
また、予め予測するだけではなく、定期的に外部要因による位相の変化を取得して調整するようにしてもよい。例えば、変調器11bによって、符号化情報「1」に対応する、位相の調整が行われていない変調オーディオ信号Szをスピーカ2から放音させ、復調器41bにおいて実施形態と同様にして得られる差分信号Pcに基づいて、外部要因による位相の変化を取得してもよい。すなわち、理想的には差分信号Pcは「0」となるから、そのずれ分が外部要因による位相の変化とすることができる。このようにすることにより、より精度の高い情報の伝送を行うことができる。
<変形例6>
上述した各実施形態における変調処理、復調処理については、それぞれ独立したものに限られず、双方の変調処理、復調処理を組み合わせて使用してもよい。
<変形例7>
上述した各実施形態においては、変調装置1と復調装置4との間の伝送情報の通信は、変調オーディオ信号Szを空間中に放音することにより行っていたが、変調オーディオ信号Szを有線で伝送してもよい。
<変形例8>
上述した各実施形態においては、変調装置1と復調装置4との間の伝送情報の通信は、可聴域の周波数帯域の成分を有する変調オーディオ信号Szを空間中に放音することにより行っていたが、非可聴域の周波数帯域を用いてもよい。この場合には、スピーカ2の構成について、使用する非可聴域の周波数帯域まで放音可能なものとし、マイクロフォン3の構成について、使用する非可聴域の周波数帯域まで収音可能なものとすればよい。また、変調装置1、復調装置4の各構成においても、使用する非可聴域の周波数帯域まで処理可能な構成としておけばよい。
<変形例9>
上述した各実施形態における変調装置1、復調装置4によって実行される制御プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。この場合には、これらの記録媒体を読み取る読み取り手段を設ければよい。また、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。
第1実施形態に係る情報伝達システムの構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る変調装置の構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係るPN信号の周波数分布の一例を示す図である。 第1実施形態に係るHPFから出力されるPN信号の一例を示す図である。 第1実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る相関演算器からの出力信号の一例を示す図である。 第1実施形態に係る相関演算器からの出力信号と復調開始タイミングの関係の一例を示す図である。 第2実施形態に係る変調器の構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る切替器から出力されるキャリア信号の一例を示す説明図である。 第2実施形態に係るオーディオ信号の周波数帯域の変化を示す説明図である。 第2実施形態に係る復調器の構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る再変調器の構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る再変調器からの出力信号の一例を示す説明図である。 第2実施形態に係るキャリア成分検出器の構成を示すブロック図である 第2実施形態に係るキャリア成分検出器からの出力信号の一例を示す説明図である。 第2実施形態に係るレベル検出器の構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係るレベル検出器からの出力信号の一例を示す説明図である。 第2実施形態に係る加算器、DCカットフィルタ、正負符号判定器からの出力信号の一例を示す説明図である。 第2実施形態に係る復号化器に係る符号化情報の一例を示す説明図である。 第3実施形態に係る変調器の構成を示すブロック図である。 第3実施形態に係る位相制御回路の構成を示すブロック図である。 第3実施形態に係る切替器から出力される信号の一例を示す図である。 第3実施形態に係る振幅変調回路の構成を示すブロック図である。 第3実施形態に係るヒルベルト変換器の構成を示すブロック図である。 第3実施形態に係るヒルベルト変換器のFIRフィルタに設定された各特性を示す説明図である。 第3実施形態に係る変調器におけるオーディオ信号の周波数分布の変化を示す説明図である。 第3実施形態に係る復調器の構成を示すブロック図である。 第3実施形態に係る検波回路の構成を示すブロック図である。 第3実施形態に係る符号化判定器の構成を示すブロック図である。 第3実施形態に係る復調器におけるオーディオ信号の周波数分布の変化を示す説明図である。 第3実施形態に係る位相角算出器において算出される位相角Paと位相角Pbとの一例を示す説明図である。 変形例1に係る変調器の構成を示すブロック図である。 変形例1に係る復調器の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1…変調装置、2…スピーカ、3…マイクロフォン、4…復調装置、10…情報伝達システム、11,11a,11b,11c…変調器、12…PN信号発生器、13…HPF、14…利得調整器、15…加算器、41,41a,41b,41c…復調器、42…HPF、43…PN信号発生器、44…相関演算器、45…ピーク検出器、110a…LPF、120a,170a…HPF、130a…符号化器、140a…キャリア周波数発生部、141a,142a…キャリア周波数発生器、150a…切替器、160a…乗算器、180a…遅延回路、190a…加算器、410a…再変調器、411a,412a,413a,423a,424a…BPF、414a,415a…加算器、420a…キャリア成分検出器、421a,422a,431a,432a…整流器、430a…レベル検出器、433a,434a…LPF、440a…加算器、450a…移動平均算出器、460a…DCカットフィルタ、470a…正負符号判定器、480a…復号化器、110b…LPF、120b…BPF、130b…符号化器、140b…位相制御回路、141b…切替器、142b…定数乗算器、143b…加算器、144b…バイアス付与部、150b…キャリア信号発生器、160b…振幅変調回路、161b,162b…ヒルベルト変換器、1611b…遅延回路、1612b…FIRフィルタ、163b,164b…乗算器、165b…加算器、170b…遅延回路、180b…加算器、410b…HPF、420b…検波回路、421b…整流回路、422b…LPF、423b…直流成分除去フィルタ、424b…比較器、425b…加算器、426b…遅延器、427b…LPF、430b…BPF、440b…遅延回路、451b,452b…ヒルベルト変換器、461b,462b…位相角算出器、470b…加算器、480b…符号判定器、481b…シンボルレート平均算出部、482b…位相差判定部、490b…復号化器、1010c,4010c…FFT部、1020c…符号化器、1030c…複製部、1040c…逆FFT部、4020c…判定部、4030c…復号化器

Claims (8)

  1. オーディオ信号が入力される入力手段と、
    予め設定された周期の巡回符号を用いてPN信号を発生する信号発生手段と、
    符号化された符号化情報を取得する取得手段と、
    前記入力手段に入力されたオーディオ信号に対して、前記信号発生手段によって発生されるPN信号の周期に同期させて、前記取得手段によって取得された符号化情報に応じた変調をして出力する変調手段と、
    前記信号発生手段によって発生されたPN信号について、予め設定された周波数以上の周波数帯域の成分を抽出して出力する抽出手段と、
    前記抽出手段によって出力されたPN信号を、前記変調手段によって出力されたオーディオ信号に重畳する重畳手段と
    を具備することを特徴とする変調装置。
  2. 前記変調手段は、出力するオーディオ信号の少なくとも一部の周波数帯域が未使用になるように、前記入力手段に入力されたオーディオ信号に対して変調し、
    前記抽出手段に設定された周波数は、前記未使用の周波数帯域の上限周波数未満の周波数である
    ことを特徴とする請求項1に記載の変調装置。
  3. 前記変調手段は、出力するオーディオ信号の少なくとも一部の周波数帯域が未使用になるように、前記入力手段に入力されたオーディオ信号に対して変調し、
    前記抽出手段に設定された周波数は、前記未使用の周波数帯域の下限周波数以上の周波数である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の変調装置。
  4. 前記重畳手段は、前記PN信号の利得を調整する調整手段を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の変調装置。
  5. オーディオ信号が入力される入力手段と、
    前記入力手段に入力されたオーディオ信号の予め設定された周波数以上の周波数帯域の成分を抽出して出力する抽出手段と、
    予め設定された周期の巡回符号を用いてPN信号を発生する信号発生手段と、
    前記抽出手段によって出力されたオーディオ信号と、前記信号発生手段によって発生されたPN信号とを比較して波形の相関を演算することにより、当該PN信号の一周期内の特定のタイミングに対応する当該オーディオ信号のタイミングを検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出されたタイミングを基準として、前記入力手段に入力されたオーディオ信号を復調して符号化情報を生成する復調手段と
    を具備することを特徴とする復調装置。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の変調装置と、
    請求項5に記載の復調装置と、
    前記変調装置の重畳手段によって重畳されたオーディオ信号を放音する放音手段と、
    前記放音手段によって放音されたオーディオ信号を収音する収音手段と
    を具備し、
    前記復調装置の入力手段は、前記収音手段によって収音したオーディオ信号が入力され、
    前記変調装置の信号発生手段と、前記復調装置の信号発生手段とは、同じ巡回符号を用いている
    ことを特徴とする情報伝達システム。
  7. オーディオ信号が入力される入力過程と、
    予め設定された周期の巡回符号を用いてPN信号を発生する信号発生過程と、
    符号化された符号化情報を取得する取得過程と、
    前記入力過程において入力されたオーディオ信号に対して、前記信号発生過程において発生されるPN信号の周期に同期させて、前記取得過程において取得された符号化情報に応じた変調をして出力する変調過程と、
    前記信号発生過程において発生されたPN信号について、予め設定された周波数以上の周波数帯域の成分を抽出して出力する抽出過程と、
    前記抽出過程において出力されたPN信号を、前記変調過程において出力されたオーディオ信号に重畳する重畳過程と
    を備えることを特徴とする変調方法。
  8. オーディオ信号が入力される入力過程と、
    前記入力過程において入力されたオーディオ信号の予め設定された周波数以上の周波数帯域の成分を抽出して出力する抽出過程と、
    予め設定された周期の巡回符号を用いてPN信号を発生する信号発生過程と、
    前記抽出過程において出力されたオーディオ信号と、前記信号発生過程において発生されたPN信号とを比較して波形の相関を演算することにより、当該PN信号の一周期内の特定のタイミングに対応する当該オーディオ信号のタイミングを検出する検出過程と、
    前記検出過程において検出されたタイミングを基準として、前記入力過程において入力されたオーディオ信号を復調して符号化情報を生成する復調過程と
    を備えることを特徴とする復調方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011215229A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Yamaha Corp 音響信号を用いたデータ伝送装置およびデータ伝送方法
JP2011247956A (ja) * 2010-05-24 2011-12-08 Yamaha Corp 音声信号に埋め込まれた電子透かし情報を除去する装置、および音声信号に電子透かし情報を埋め込む装置

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