JP2010016352A - 面発光型半導体レーザー、面発光型レーザーアレイ素子、光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

面発光型半導体レーザー、面発光型レーザーアレイ素子、光走査装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】偏光方向が安定した面発光型半導体レーザーを提供する。
【解決手段】半導体基板の表面上に、下部反射鏡と、活性層と、選択酸化層と、上部反射鏡と、活性層と選択酸化層と上部反射鏡においてメサ構造が形成されており、上部電極と下部電極の間に電流を流すことにより、半導体基板面に対し垂直にレーザー光を発する面発光型半導体レーザーにおいて、半導体基板は、(100)面を傾斜させた面を表面とするものであって、活性層は、基板に対し圧縮歪みを有する量子井戸層と、スペーサ層により構成されており、スペーサ層は、InPに、Al、Ga、Asのうち1又は2以上の材料を加えた材料により構成されるものであって、半導体基板に対し圧縮歪みを有することを特徴とする面発光型半導体レーザーを提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、面発光型半導体レーザー、面発光型レーザーアレイ素子、光走査装置及び画像形成装置に関する。
面発光型半導体レーザー(VCSEL)は、形成される基板に対し垂直方向に光を出射する半導体レーザーであり、端面発光型半導体レーザーに比べて低コストで、高性能であるため、光インターコネクション等の光通信の光源、光ピックアップ用の光源、レーザープリンター等の画像形成装置の光源等の用途に用いられている。具体的には、非特許文献1において、AlGaAs系材料を用いたVCSELであって、シングルモード出力が3mW以上の特性を有するものが開示されている。
このような用途に用いられる面発光型半導体レーザーの特性としては、活性層の利得が大きく低閾値・高出力であって、信頼性に優れ、偏光方向が制御されたものが要求されている。
通常、面発光型半導体レーザーは、GaAs基板上に半導体膜を積層することにより形成される。具体的には、GaAsからなる量子井戸活性層の両側にAlGaAsからなるクラッド層、更には、AlGaAsとAlAsからなる膜を交互に積層することにより形成される半導体多層膜からなる反射鏡(DBR)から構成されており、光が出射される方向のクラッド層と反射鏡の間に電流狭窄層を形成することにより高性能化を図っている。
しかしながら、このような構造の面発光型半導体レーザーは、端面発光型半導体レーザーと比べて、偏光制御が困難であり、製造上のプロセスの偶発的な変動に依存する場合や、同一基板上においても異なる場合が多く、一定の偏光方向を有するものを安定的に得ることは困難である。即ち、面発光レーザーは、端面発光型レーザーと比べて、空洞長は短く、光放射ための開口部は比較的大きいことから、偏光の安定性は困難となるのである。
また、レーザープリンター等の画像形成装置における画像形成用の光源として、面発光型半導体レーザーを使用する場合には、偏光方向が異なることにより光走査を行うためのポリゴンミラーにおける反射率が異なり、光利用効率の低下や、安定した画像の書き込みができなくなるといった問題点を有している。このため面発光型半導体レーザーにおいては、偏光方向を安定させるための検討がなされている。このような、面発光型半導体レーザーとしては、以下の技術内容が開示されている。
非特許文献2では、VCSELにおける偏光方向を制御する方法として基板等の異方性を利用する方法が開示されている。具体的には、(311)B傾斜基板を用いて偏光方向を(−233)方向に制御する方法が開示されている。
また、特許文献1では、VCSELを構成するメサ形状に異方性を持たせることによる偏光制御を行う方法が開示されている。
また、特許文献2では、配線の引き出し方向によって偏光制御を行う方法が開示されている。
また、特許文献3では、VCSEL内部に局所的に酸化領域を持たせることで、活性層に応力を加え偏光制御を行う方法が開示されている。
一方、レーザープリンター等の画像形成装置の光源等に用いる場合には、高速化が要求されるため、特許文献4、特許文献5においては、一つのチップに複数の発光光源を有するマルチビーム半導体レーザーが開示されている。
また、特許文献6には基板上に格子定数の異なる活性層を積層する際に、活性層と基板の間に、両者の中間の格子定数を有する緩和層を設けることにより、高品質な活性層を積層する方法が開示されている。
また、特許文献7には基板上にDBRを積層する際、AlInP/GaInPを用いて徐々に格子定数が変化する組成とすることにより、高品質な活性層を積層する方法が開示されている。
しかしながら、非特許文献2に記載されている方法では、25〔°〕傾斜した基板を用いているが、基板の傾斜が増加するにともない、酸化狭窄層を形成する際において等方的に酸化され難くなる傾向にあり、製造上の困難さが増大し、また、このような基板は特殊な基板であるため非常に高価なものである。よって、低コストでVCSELを製造することは困難である。
また、特許文献1に記載されている方法では、電流狭窄領域にもメサ形状の異方性が反映されるが、この場合、電流注入の均一性が損なわれる場合や、製造されたレーザーのスポット形状が、所望の形状とは異なり変形してしまう場合がある。
また、特許文献2に記載されている方法では、VCSELを高密度で一つのチップ内に集積する場合、各々の素子の間隔が狭くなり自由に配線を形成することが困難となり、配線を引き回すために各々の素子間の間隔を広げると、一つのチップの面積が大きくなり,製造コストを上昇させてしまう。
また、特許文献3に記載されている方法では、このような構成のVCSELを製造するためには、新たな工程が必要となり、工程の複雑化、製造時間の長期化等により製造コストを上昇させてしまう。また、電流狭窄層はAlAsを酸化させたAlOxにより構成されており、周囲に歪みを発生させる。この結果、通電することにより転位が発生し、信頼性を低下させる可能性があるため、このような構成の電流狭窄層を複数設けることは好ましくない。
また、特許文献4、特許文献5に記載されている方法では、これら文献に記載されているマルチビーム半導体レーザーは、端面発光型半導体レーザーであり、一次元の配列によるアレイ化を行う場合、互いの素子の熱干渉や構造上数μm以下の狭ピッチ化が困難である。
また、特許文献6に記載されている構成は、基板と格子定数の大きく異なる活性層を積層するものであるため、基板と活性層の間に中間の格子定数を有する材料からなる緩和層を設けているが、活性層に近い位置に大きな歪みを有する層が存在するため、活性層に応力が加わり高品質化が困難である。
また、特許文献7に記載されている構成は、基板と格子定数の大きく異なる活性層を積層するため、基板と活性層の間に存在するDBRの格子定数を徐々に変化させている。よって、活性層近傍のDBRの格子定数と活性層の格子定数との差は特許文献6に記載されているものに比べて小さい。しかしながら、DBRの厚さは通常数μmであるため活性層に加わる応力としては大きくなり、特許文献6の場合と同様に高品質な活性層を得ることは困難である。
以上より、上述したレーザー光源では、レーザープリンター等の画像形成装置の高速化に十分に対応することができない。
本発明は、このような問題に対しなされたものであり、特定方向に偏光制御を行うことが可能な面発光型半導体レーザー、及びこの面発光型半導体レーザーを用いた面発光型レーザーアレイ素子、光走査装置及び画像形成装置を提供するものである。
本発明は、半導体基板の表面上に、異なる屈折率の半導体膜を交互に積層することにより形成される下部反射鏡と、前記下部反射鏡上において、半導体材料により構成される活性層と、前記活性層上において、半導体材料の一部の領域を酸化することにより電流狭窄構造が形成される選択酸化層と、前記選択酸化層上において、異なる屈折率の半導体膜を交互に積層することにより形成される上部反射鏡と、前記半導体基板上における少なくとも前記活性層と前記選択酸化層と前記上部反射鏡においてメサ構造が形成されており、前記半導体基板には下部電極が、前記上部反射鏡には上部電極が接続され、前記上部電極と前記下部電極の間に電流を流すことにより、前記半導体基板面に対し垂直にレーザー光を発する面発光型半導体レーザーにおいて、前記半導体基板は、(100)面を傾斜させた面を表面とするものであって、前記活性層は、基板に対し圧縮歪みを有する量子井戸層と、スペーサ層により構成されており、前記スペーサ層は、InPに、Al、Ga、Asのうち1又は2以上の材料を加えた材料により構成されるものであって、前記半導体基板に対し圧縮歪みを有することを特徴とする。
また、本発明は、前記半導体基板は、(010)面、(001)面を傾斜させた面を表面とするものであることを特徴とする。
また、本発明は、前記半導体基板における傾斜させた面は、(111)面方向に傾斜させた面であることを特徴とする。
また、本発明は、前記半導体基板の傾斜角は20〔°〕以下であることを特徴とする。
また、本発明は、前記量子井戸層は、単一の量子井戸層、又は、複数の量子井戸層と障壁層から構成される多重量子井戸層であることを特徴とする。
また、本発明は、前記スペーサ層内部には、偏光制御層を有しており、前記偏光制御層は、スペーサ層における格子歪みea、スペーサ層の膜厚を積算した膜厚ta、偏光制御層における格子歪みeb、偏光制御層の膜厚を積算した膜厚tbとした場合に、
(ea×ta+eb×tb)/(ta+tb)>0・・・・・・・・(1)
であることを特徴とする。
また、本発明は、前記偏光制御層は、InPに、Al、Ga、Asのうち1又は2以上の材料を加えた材料により構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記記載の面発光型半導体レーザーが、同一半導体基板上に複数配列されていることを特徴とする。
また、本発明は、光束によって被走査面上を走査する光走査装置であって、前記記載の面発光型レーザーアレイ素子を有する光源ユニットと、前記光源ユニットからの光束を偏向する偏向手段と、前記偏光手段により偏向された光束を被走査面上に集光する走査光学系と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、少なくとも一つの像担持体と、前記少なくとも一つの像担持体に対して、画像情報が含まれる光束を走査する少なくとも一つの前記記載の光走査装置と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、特定方向に偏光制御のされた面発光型半導体レーザー、この面発光型半導体レーザーを用いた面発光型半導体レーザーアレイ素子、光走査装置及び画像形成装置を提供することができる。
傾斜基板の説明図 第1の実施の形態における面発光型半導体レーザーの断面図 スペーサ層における半導体基板に対する歪みと偏光角の相関図 第2の実施の形態における面発光型半導体レーザーの活性層の断面図 第2の実施の形態における別の面発光型半導体レーザーの活性層の断面図 図5に示す構成の活性層におけるバンド構造図 第3の実施の形態における面発光型レーザーアレイ素子の概要図 第4の実施の形態における光走査装置の概要図 第5の実施の形態における画像形成装置の構成図 第5の実施の形態におけるカラー印刷が可能な画像形成装置の構成図 実施例1に示す面発光型半導体レーザーの活性層におけるバンド構造図 本発明における面発光型半導体レーザーの上面図 実施例2に示す面発光型半導体レーザーの活性層におけるバンド構造図 実施例3に示す面発光型半導体レーザーの活性層におけるバンド構造図
次に、本発明を実施するための形態について、以下に説明する。
〔第1の実施の形態〕
本発明に係る第1の実施の形態は、面発光型半導体レーザー(VCSEL)の構造に関するものであり、電流狭窄構造を有するものである。
最初に、図1に基づき本実施の形態において用いられる半導体基板について説明する。本実施の形態において用いられる半導体基板は、n−GaAs基板である。図1(a)に傾斜させていないn−GaAs基板10の上面図を示し、図1(b)では、図1(a)の波線A1−A2において切断した断面図を示す。図1(a)、(b)に示すように、傾斜させていない(100)面を主面とするn−GaAs基板10の表面は(100)面となる。
図1(c)は、(100)面より角度αだけ(011)方向に傾斜させたn−GaAsからなる半導体基板11の断面である。角度αは、一般的には、2〜20〔°〕であるが、本実施の形態では、(100)面より(011)方向に、即ち(111)面方向に、15〔°〕傾斜させた傾斜基板を用いている。このように、傾斜基板を用いることにより、傾斜方向とそれに直交する方向とで活性層に利得差が生じ、偏光方向を一定方向に制御しやすくなるからである。
次に、図2に基づき本実施の形態における面発光型半導体レーザーの構造について説明する。
本実施の形態における面発光型半導体レーザーは、n−GaAsからなる半導体基板11上に、高屈折率の半導体膜と低屈折率の半導体膜とを交互に積層形成することにより構成される下部反射鏡12を形成し、その上に下部スペーサ層13を形成し、その上に多重量子井戸層14を形成し、その上に上部スペーサ層15を形成し、その上に選択酸化層16を形成し、その上に、高屈折率の半導体膜と低屈折率の半導体膜とを交互に積層形成することにより構成される上部反射鏡17を形成し、更にその上に、コンタクト層18を積層形成したものである。尚、本実施の形態では、下部スペーサ層13、多重量子井戸層14、上部スペーサ層15により、活性層31が形成される。また、多重量子井戸層14では、半導体基板11に対し、圧縮歪みとなる歪みを有している。
このように積層形成した後、下部スペーサ層13、多重量子井戸層14、上部スペーサ層15、選択酸化層16、上部反射鏡17、コンタクト層18においてメサ構造を形成し、その後、選択酸化層16を選択的に酸化することにより周辺部の酸化された領域(酸化領域)32と、中心部分の酸化されていない領域(電流狭窄領域)33とを形成する。酸化領域32ではAlxOyとなる絶縁物が形成され、素子に電流を流した場合には、電流狭窄領域33に電流が集中して流れる電流狭窄構造が形成される。
この後、更にメサ構造を覆うように保護膜19を形成し、コンタクト層18に接続する上部電極20及び半導体基板11の裏面に下部電極21を形成した構成のものである。
このような構成の面発光型半導体レーザーにおいては、上部電極20と下部電極21の間に電流を流すことにより、活性層31に電流が注入され反転分布状態が形成され発光する。この活性層31において発光した光は、下部反射鏡12及び上部反射鏡17において増幅され、半導体基板11に対し垂直方向に光が出射されるものである。
この出射されたレーザー光の偏光方向は、前述のとおり製造プロセスのバラツキ等により、偏光方向が容易に変化してしまうが、発明者は、主面を傾斜させた半導体基板11を用い、半導体基板11に対して圧縮歪みを有する多重量子井戸層14を形成し、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15において、特定の歪みを設けることにより、偏光方向が安定化することを見出した。
即ち、上部スペーサ層13及び下部スペーサ層15は、少なくともInとPを含むAlGaInPAs系の材料、即ち、InPに、Al、Ga、Asのうち1又は2以上の材料を加えた材料により構成される場合であって、図3に示すように、上部スペーサ層13及び下部スペーサ層15において、半導体基板11に対し圧縮歪みを有している場合、即ち、Strain of a space layerの値が正である場合には、偏光角が90〔°〕となり、圧縮歪みの歪み量に依存することなく一定の偏光方向で安定となることを見出したのである。尚、ここで歪みとは、半導体基板に格子定数に対する各々の膜を構成する材料の格子定数の比率を意味するものである。半導体基板における格子定数よりも、大きな格子定数を有する膜は圧縮歪みを有し、図3におけるStrain of a space layerの値が正となる。また、半導体基板における格子定数よりも、小さな格子定数を有する膜は引張歪みを有し、図3におけるStrain of a space layerの値が負となるものである。尚、本実施の形態では、多重量子井戸層14は、+0.7〔%〕の圧縮歪みを有している。
また、本実施の形態では、(100)面を傾斜させた半導体基板11を用いたが、(010)面、(001)面を傾斜させた半導体基板であっても同様の効果を得ることが可能である。本実施の形態では、多重量子井戸層14の場合について説明したが、単一の量子井戸層から構成される場合も同様である。
尚、本実施の形態では、図3に示すように、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15が圧縮歪みを有する場合には、偏光角が90〔°〕となるが、多重量子井戸層14における圧縮歪みが大きい場合等においては、偏光角が180〔°〕となる場合が存在する。これは、圧縮歪みが大きくなることにより、半導体基板11における格子定数と多重量子井戸層14における格子定数との差が大きくなるため、格子整合の状態が異なるためと推察される。この場合であっても、多重量子井戸層14が、半導体基板11に対し圧縮歪みを有し、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15が、InPに、Al、Ga、Asのうち1又は2以上の材料を加えた材料により構成されるものであって、半導体基板11に対し圧縮歪みを有するものであれば、偏光角が180〔°〕となる場合はあるものの、偏光角は安定化したものとなる。
また、本実施の形態における半導体基板の傾斜角は15〔°〕であるが、本実施の形態においては、偏光方向の制御は、基板の傾斜角のみではなく、スペーサ層及び多重量子井戸層の歪み量の組み合わせによって行っているため、非特許文献2に示されるように、より傾斜角が高い場合よりプロセス時の困難さが低減される。また、15〔°〕傾斜基板はDVDに用いるレーザーダイオード用の基板として広く用いられているため、比較的安価である。
尚、15〔°〕より低い傾斜角の基板を用いる場合においては、スペーサ層及び多重量子井戸層の歪みを上記の値よりも高く設定することにより、同等の効果を得ることができる。逆に、何らかの方法により、VCSELの製造プロセスが改善され、15〔°〕以上の傾斜基板を使用することが可能となった場合、より高い角度の傾斜基板を用いることで、極めて高い偏光安定性を得ることが可能である。
また、特許文献1に記載されているメサ形状の異方性による偏光制御方法に対して、本実施の形態において用いる基板の傾斜角、スペーサ・量子井戸歪みを併用する方法も同時に併用できるため、本実施の形態においては、それぞれの手法に起因する弊害を緩和し、本実施の形態における効果を得ることができる。
また、特許文献6においては、基板と量子井戸との間に歪み緩和層を設けているが、基板と量子井戸との格子定数差が大きいため高品質な活性層を得ることは困難である。しかしながら、本実施の形態では、基板とスペーサ層との格子定数差は僅かであることから、活性層に大きな歪みが加わることなく、高品質な活性層を積層することが可能である。
また、特許文献7においては、基板と活性層の間のDBRを徐々に格子定数を変化させている。よって、活性層と活性層に隣接する層との格子定数差は僅かであるが、歪みを有する層が数μmとなるため、活性層には大きな応力が加わり高品質な活性層を得ることは困難である。しかしながら、本実施の形態においては基板とスペーサ層との格子定数は僅かで、かつ、スペーサ層の膜厚は数百nmであることから、活性層に大きな歪みが加わることなく、高品質な活性層を積層することが可能である。
また、本実施の形態はVCSELであることから、二次元配列が可能であり、素子間隔は任意に設定することができ、端面発光型半導体レーザーよりも1つのチップに集積することが可能な発光素子数を増やすことが可能である。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、偏光制御層を有する構成の面発光型半導体レーザーである。本実施の形態における面発光型半導体レーザーの構成を図2及び図4に基づき説明する。
本実施の形態における面発光型半導体レーザーは、図2に示す構成のものであって、図4に示す活性層31の構成を有するものである。具体的には、主面を傾斜させた半導体基板11と、半導体基板11に対して圧縮歪みを有する多重量子井戸層14を用い、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15の内部において、各々偏光制御層41を設けた構成のものである。また、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15における格子歪みをea、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15の膜厚を積算した膜厚ta、偏光制御層41における格子歪みをeb、各々の偏光制御層41の膜厚を積算した膜厚tbとした場合に、
(ea×ta+eb×tb)/(ta+tb)>0・・・・・・・・(1)
となるものである。尚、E=(ea×ta+eb×tb)/(ta+tb)とし、後述する際には、単にEとのみ表記する。
上記(1)の式を満たす場合においては、図3に示す場合と同様に、偏光角は、半導体基板の(0-11)面に対し、90〔°〕前後で安定し,一定の偏光角を有する面発光型半導体レーザーとなるのである。尚、図4においては、偏光制御層41は、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15の各々に設けられているが、上記(1)の式を満たすものであれば、図5に示すように、いずれか一方のみの偏光制御層41を形成した構造であっても良い。
また、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15は、GaInPAsにより構成されているが、偏光制御層41は少なくともInとPを有するAlGaInP系材料、即ち、InPに、Al、Ga、Asのうち1又は2以上の材料を加えた材料により構成することにより、偏光制御層41におけるバンドギャップを高くすることができ、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15が低いバンドギャップの材料により形成される場合において、電子の閉じこめ効率を高めることが可能となる。
図5に示す構成の活性層31におけるバンド構造を図6に示す。具体的には、多重量子井戸層14は、歪み+0.7〔%〕のGa0.7In0.30.5As0.5からなる量子井戸層と、歪み0〔%〕のGa0.516In0.484Pからなる障壁層により形成し、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15は、歪み0〔%〕の(Al0.1Ga0.90.516In0.484Pにより形成し、偏光制御層41は、歪み+0.04〔%〕の(Al0.5Ga0.50.51In0.49Pにより形成したものである。この際、上記(1)の式の左辺の値は、+0.03〔%〕となり正である。この際形成される偏光制御層41は、バンドギャップの広い(Al0.5Ga0.50.51In0.49Pによって形成されるため、光と電子の閉じこめ効率を高めることが可能となる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、本実施の形態における面発光型半導体レーザーをアレイ化した、面発光型レーザーアレイ素子である。
図7に基づき、本実施の形態における面発光型レーザーアレイ素子について説明する。本実施の形態における面発光型レーザーアレイ素子は、第1の基線及び第2の基線に沿って、面発光型半導体レーザー50が二次元的に配列された構成のものである。第2の基線に沿って、面発光型半導体レーザー50は第1の基線に垂直方向に間隔dで配列されている。これら面発光型半導体レーザー50の位置を第1の基線上に投影した場合、間隔hとなる。
この面発光型レーザーアレイ素子をレーザープリンター等の画像形成装置に用いる場合には、第1の基線に垂直に光が出射されるため、より緻密な画像形成が可能となる。
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態は、第3の実施の形態における面発光型レーザーアレイ素子を用いた光走査装置である。図8に基づき光走査装置100について説明する。
この光走査装置100は、光源ユニット121、コリメータレンズ122、ポリゴンミラー125、fθレンズ126等を備えている。尚、図7において、紙面の左右方向が主走査方向であり、紙面に垂直方向が副走査方向である。
光源ユニット121は、第1の実施の形態における面発光型半導体レーザーが複数形成されている面発光型レーザーアレイ素子を備えている。
コリメータレンズ122は、光源ユニット121から出射された光束を略平行光にするためのものである。
コリメータレンズ122からの光束は、回転するポリゴンミラー125により反射され、fθレンズ126によって、感光体ドラム101の表面上において、光スポットとして集光される。
尚、ポリゴンミラー125は、不図示のモータによって、一定速度で回転しており、この回転に伴って、光束は等角速度的に偏向され、感光体ドラム101の表面上における光スポットは、主走査方向に等速移動する。
本実施の形態では、光源ユニット121における面発光型レーザーアレイ素子を構成する各々の面発光型半導体レーザーの偏光角が一定に揃っているため、ポリゴンミラー125における反射率も一定となり、本実施の形態における光走査装置を画像形成装置に組み込んだ場合、微細な画像であっても画像形成を行うことが可能となる。
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態は、第4の実施の形態における光走査装置を有する画像形成装置である。
図9に基づき本実施の形態における画像形成装置について説明する。本実施の形態は、本発明に係る面発光型レーザーアレイ素子を光源として用いた画像形成装置である。
本実施の形態に係る画像形成装置であるレーザープリンターは、光走査装置100、感光体ドラム101、帯電ユニット102、現像ユニット103、トナーカートリッジ104、クリーニングユニット105、転写ユニット111及び除電ユニット114等を備えている。
感光体ドラム101の表面には、感光層が形成されている。ここでは、感光体ドラム101は、図に示すように、時計回りで回転するように構成されている。帯電ユニット102は、感光体ドラム101の表面を均一に帯電させる機能を有するものである。
光走査装置100は、帯電ユニット102により帯電された感光体ドラム101の表面に光を照射する。この光の照射により感光体ドラム101の表面には、画像情報に応じた潜像が形成される。感光体ドラム101の表面において潜像の形成された領域は、感光体ドラム101が回転することにより、現像ユニット103の設けられている方向に移動する。
トナーカートリッジ104には、トナーが格納されており、このトナーは現像ユニット103に供給される。現像ユニット103は、感光体ドラム101の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ104から供給されたトナーを付着させて、感光体ドラム101の表面において画像情報を顕像化させる。この後、感光体ドラム101が回転することにより、感光体ドラム101の表面の潜像にトナーが付着している領域は、転写ユニット111の設けられている方向に移動する。
転写ユニット111には、感光体ドラム101の表面上のトナーを電気的に記録紙113に引きつけるため、感光体101の表面上のトナーとは逆極性の電荷が印加されている。この電荷により感光体ドラム101の表面上のトナーは、記録紙113に転写され、即ち、トナーにより形成される画像が記録紙113に転写される。
除電ユニット114は、感光体ドラム101の表面を除電する。クリーニングユニット105は、感光体ドラム101の表面に残存するトナー(残留トナー)を除去する。除去された残留トナーは、再利用可能な構成となっている。残留トナーが除去された感光体ドラム101の表面は、再び帯電ユニット102の設けられている方向に移動する。
(カラー画像形成装置)
次に、本実施の形態における別の構成として、図10に基づきカラー画像を形成するための画像形成装置について説明する。
この画像形成装置は、カラーレーザープリンタであり、カラー画像に対し複数の感光体ドラムを備えたダンデムカラー機である。
このカラーレーザープリンタは、ブラック(K)用の感光体ドラムK1、帯電器K2、現像器K4、クリーニング手段K5、及び転写用帯電手段K6と、シアン(C)用の感光体ドラムC1、帯電器C2、現像器C4、クリーニング手段C5、及び転写用帯電手段C6と、マゼンタ(M)用の感光体ドラムM1、帯電器M2、現像器M4、クリーニング手段M5、及び転写用帯電手段M6と、イエロー(Y)用の感光体ドラムY1、帯電器Y2、現像器Y4、クリーニング手段Y5、及び転写用帯電手段Y6と、光走査装置100、転写ベルト201、定着手段202等を備えている。
このカラーレーザープリンタでは、光走査装置100において、ブラック用の半導体レーザー、シアン用の半導体レーザー、マゼンタ用の半導体レーザー、イエロー用の半導体レーザーを有しており、各々の半導体レーザーは、本発明に係る面発光型半導体レーザーにより構成されている。ブラック用の半導体レーザーからの光束はブラック用の感光体ドラムK1に照射され、シアン用の半導体レーザーからの光束はシアン用の感光体ドラムC1に照射され、マゼンタ用の半導体レーザーからの光束はマゼンタ用の感光体ドラムM1に照射され、イエロー用の半導体レーザーからの光束はイエロー用の感光体ドラムY1に照射される。
各々の感光体ドラムK1、C1、M1、Y1は、矢印の方向に回転し、回転方向の順に、各々の帯電器K2、C2、M2、Y2、現像器K4、C4、M4、Y4、転写用帯電手段K6、C6、M6、Y6、クリーニング手段K5、C5、M5、Y5が配置されている。各々の帯電器K2、C2、M2、Y2は、対応する感光体ドラムK1、C1、M1、Y1の表面を均一に帯電する。帯電された感光体ドラムK1、C1、M1、Y1の表面に、光走査装置100から光束が照射され、感光体ドラムK1、C1、M1、Y1の表面に静電潜像が形成される構成となっている。この後、各々の現像器K4、C4、M4、Y4によって、感光体ドラムK1、C1、M1、Y1の表面にトナー像が形成され、各々に対応する転写用帯電手段K6、C6、M6、Y6により、記録紙に各々の色のトナー像が転写され、定着手段202により、記録紙に画像が定着される。尚、クリーニング手段K5、C5、M5、Y5は、各々に対応した感光体ドラムK1、C1、M1、Y1の表面に残存する残留トナーを除去するものである。
尚、本実施の形態では、像担持体として感光体ドラムについて説明したが、像担持体としては、銀塩フィルムを用いた画像形成装置であってもよい。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同様の処理により可視化させることができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼き付け処理と同様の処理により印画紙に転写することが可能である。このような画像形成装置は、光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施することが可能である。
また、像担持体としてビームスポットの熱エネルギーにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)を用いた画像形成装置であってもよい。この場合においては、光走査により可視画像を直接像担持体に形成することが可能である。
以下、本発明における実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例における面発光型半導体レーザーは、発光波長が780〔nm〕のものである。本実施例について、図2、図11に基づき説明する。尚、図11は、本実施例における活性層31のバンド構造を示す図である。
図2に示すように、半導体基板11である(111)面方向に15〔°〕傾斜したn−GaAs基板上に、n−Al0.9Ga0.1As膜とn−Al0.3Ga0.7As膜を交互に50ペア積層することにより形成されるDBRからなる下部反射鏡12を形成し、その上に、(Al0.1Ga0.90.516In0.484Pからなる下部スペーサ層13を形成し、その上に、多重量子井戸層14を形成し、その上に、(Al0.1Ga0.90.516In0.484Pからなる上部スペーサ層15を形成し、その上に、AlAsからなる選択酸化層16を形成し、その上に、p−Al0.9Ga0.1As膜とn−Al0.3Ga0.7As膜を交互に30ペア積層することにより形成されるDBRからなる上部反射鏡17を形成し、その上に、p−GaAsからなるコンタクト層18が形成されている。尚、各々の層の膜厚は、発光波長が780〔nm〕となるように所定の膜厚により形成されている。また、半導体基板11の傾斜角度については、2〜20〔°〕のいずれの角度であっても構わないが、本実施例においては15〔°〕の基板を用いた。
このように積層形成されたものについて、メサ構造を形成し、その後、選択酸化層16の一部を水蒸気雰囲気中で酸化することにより酸化領域32と電流狭窄領域33を形成し、その後、メサ構造を覆うように保護膜19を形成する。この後、コンタクト層18に接続するAu/AuZnからなる上部電極20及び、半導体基板11の裏面にAu/Ni/AuGeからなる下部電極21を形成した構成ものである。
上部スペーサ層15内部には、(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pからなる偏光制御層41が、厚さ20〔nm〕形成されており、この偏光制御層41は、半導体基板11に対し、+0.12〔%〕の歪みを有している。
また、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15は、半導体基板11に対し、歪みは0〔%〕である。
また、多重量子井戸層14は、厚さ5.5〔nm〕、半導体基板11に対する歪みが、+0.71〔%〕のGa0.7In0.30.41As0.59からなる量子井戸層と、厚さ8〔nm〕、半導体基板11に対する歪みが、−0.6〔%〕のGa0.6In0.4Pからなる障壁層を交互に積層形成したものの両側を、厚さ8〔nm〕、半導体基板11に対する歪みが0のGa0.516In0.484Pからなる層により挟んだ構成となっている。
このような構成の面発光型半導体レーザーにおいては、Eの値は、+0.023であるため、Eは0以上の値である。従って、図12に示すように、本実施例における面発光型半導体レーザー50より出射される光は、半導体基板11における(0-11)面方向に対し、90〔°〕となる偏光方向で安定したものとなる。
(実施例2)
本実施例における面発光型半導体レーザーは、発光波長が780〔nm〕のものである。本実施例について、図2及び図13に基づき説明する。尚、図13は、本実施例における活性層31のバンド構造を示す図である。
図2に示すように、半導体基板11である(111)面方向に15〔°〕傾斜したn−GaAs基板上に、n−Al0.9Ga0.1As膜とn−Al0.3Ga0.7As膜を交互に50ペア積層することにより形成されるDBRからなる下部反射鏡12を形成し、その上に、(Al0.5Ga0.50.51In0.49Pからなる下部スペーサ層13を形成し、その上に、多重量子井戸層14を形成し、その上に、(Al0.5Ga0.50.51In0.49Pからなる上部スペーサ層15を形成し、その上に、AlAsからなる選択酸化層16を形成し、その上に、p−Al0.9Ga0.1As膜とn−Al0.3Ga0.7As膜を交互に30ペア積層することにより形成されるDBRからなる上部反射鏡17を形成し、その上に、p−GaAsからなるコンタクト層18が形成されている。尚、各々の層の膜厚は、発光波長が780〔nm〕となるように所定の膜厚により形成されている。また、半導体基板11の傾斜角度については、2〜20〔°〕のいずれの角度であっても構わないが、本実施例においては15〔°〕の基板を用いた。
このように積層形成されたものについて、メサ構造を形成し、その後、選択酸化層16の一部を水蒸気雰囲気中で酸化することにより酸化領域32と電流狭窄領域33を形成し、その後、メサ構造を覆うように保護膜19を形成する。この後、コンタクト層18に接続するAu/AuZnからなる上部電極20及び、半導体基板11の裏面にAu/Ni/AuGeからなる下部電極21を形成した構成ものである。
尚、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15は、半導体基板11に対し、歪みは、+0.04〔%〕である。
多重量子井戸層14は、厚さ5.5〔nm〕、半導体基板11に対する歪みが、+0.71〔%〕のGa0.7In0.30.41As0.59からなる量子井戸層と、厚さ8〔nm〕、半導体基板11に対する歪みが、−0.6〔%〕のGa0.6In0.4Pからなる障壁層を交互に積層形成したものの両側を、厚さ8〔nm〕、半導体基板11に対する歪みが0のGa0.516In0.484Pからなる層により挟んだ構成となっている。
このような構成の面発光型半導体レーザーにおいては、偏光制御層が存在しないため、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15における半導体基板11に対する歪みは、上述のとおり、+0.04であり0以上である。従って、図12に示すように、本実施例における面発光型半導体レーザー50より出射される光は、半導体基板11における(0-11)面方向に対し、90〔°〕となる偏光方向で安定したものとなる。
(実施例3)
本実施例における面発光型半導体レーザーは、発光波長が780〔nm〕のものである。本実施例について、図2及び図14に基づき説明する。尚、図14は、本実施例における活性層31のバンド構造を示す図である。
図2に示すように、半導体基板11である(111)面方向に15〔°〕傾斜したn−GaAs基板上に、n−Al0.9Ga0.1As膜とn−Al0.3Ga0.7As膜を交互に50ペア積層することにより形成されるDBRからなる下部反射鏡12を形成し、その上に、(Al0.5Ga0.50.48In0.52Pからなる下部スペーサ層13を形成し、その上に、多重量子井戸層14を形成し、その上に、(Al0.5Ga0.590.48In0.52Pからなる上部スペーサ層15を形成し、その上に、AlAsからなる選択酸化層16を形成し、その上に、p−Al0.9Ga0.1As膜とn−Al0.3Ga0.7As膜を交互に30ペア積層することにより形成されるDBRからなる上部反射鏡17を形成し、その上に、p−GaAsからなるコンタクト層18が形成されている。尚、各々の層の膜厚は、発光波長が780〔nm〕となるように所定の膜厚により形成されている。また、半導体基板11の傾斜角度については、2〜20〔°〕のいずれの角度であっても構わないが、本実施例においては15〔°〕の基板を用いた。
このように積層形成されたものについて、メサ構造を形成し、その後、選択酸化層16の一部を水蒸気雰囲気中で酸化することにより酸化領域32と電流狭窄領域33を形成し、その後、メサ構造を覆うように保護膜19を形成する。この後、コンタクト層18に接続するAu/AuZnからなる上部電極20及び、半導体基板11の裏面にAu/Ni/AuGeからなる下部電極21を形成した構成ものである。
尚、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15は、半導体基板11に対し、歪みは、+0.27〔%〕である。
また、多重量子井戸層14は厚さ5.5〔nm〕、半導体基板11に対する歪みが、+0.71〔%〕のGa0.7In0.30.41As0.59からなる量子井戸層と、厚さ8〔nm〕、半導体基板11に対する歪みが、−0.6〔%〕のGa0.6In0.4Pからなる障壁層を交互に積層形成したものの両側を、厚さ8〔nm〕、半導体基板11に対する歪みが0のGa0.516In0.484Pからなる層により挟んだ構成となっている。
このような構成の面発光型半導体レーザーにおいては、偏光制御層が存在しないため、下部スペーサ層13及び上部スペーサ層15における半導体基板11に対する歪みは、上述のとおり+0.27であり0以上である。従って、図12に示すように、本実施例における面発光型半導体レーザー50より出射される光は、半導体基板11における(0-11)面方向に対し、90〔°〕となる偏光方向で安定したものとなる。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
11 n−GaAs基板
12 下部反射鏡
13 下部スペーサ層
14 多重量子井戸層
15 上部スペーサ層
16 選択酸化層
17 上部反射鏡
18 コンタクト層
19 保護膜
20 上部電極
21 下部電極
31 活性層
32 酸化領域
33 電流狭窄領域
41 偏光制御層
特開2008−28424号公報 特許第3791193号明細書 特開2008−16824号公報 特開平11−340570号公報 特開平11−354888号公報 特開2002−217492号公報 特開2003−347582号公報
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Claims (10)

  1. 半導体基板の表面上に、異なる屈折率の半導体膜を交互に積層することにより形成される下部反射鏡と、
    前記下部反射鏡上において、半導体材料により構成される活性層と、
    前記活性層上において、半導体材料の一部の領域を酸化することにより電流狭窄構造が形成される選択酸化層と、
    前記選択酸化層上において、異なる屈折率の半導体膜を交互に積層することにより形成される上部反射鏡と、
    前記半導体基板上における少なくとも前記活性層と前記選択酸化層と前記上部反射鏡においてメサ構造が形成されており、
    前記半導体基板には下部電極が、前記上部反射鏡には上部電極が接続され、前記上部電極と前記下部電極の間に電流を流すことにより、前記半導体基板面に対し垂直にレーザー光を発する面発光型半導体レーザーにおいて、
    前記半導体基板は、(100)面を傾斜させた面を表面とするものであって、
    前記活性層は、基板に対し圧縮歪みを有する量子井戸層と、スペーサ層により構成されており、
    前記スペーサ層は、InPに、Al、Ga、Asのうち1又は2以上の材料を加えた材料により構成されるものであって、前記半導体基板に対し圧縮歪みを有することを特徴とする面発光型半導体レーザー。
  2. 前記半導体基板は、(010)面、(001)面を傾斜させた面を表面とするものであることを特徴とする請求項1に記載の面発光型半導体レーザー。
  3. 前記半導体基板における傾斜させた面は、(111)面方向に傾斜させた面であることを特徴とする請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザー。
  4. 前記半導体基板の傾斜角は20〔°〕以下であることを特徴とする請求項3に記載の面発光型半導体レーザー。
  5. 前記量子井戸層は、単一の量子井戸層、又は、複数の量子井戸層と障壁層から構成される多重量子井戸層であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の面発光型半導体レーザー。
  6. 前記スペーサ層内部には、偏光制御層を有しており、
    前記偏光制御層は、スペーサ層における格子歪みea、スペーサ層の膜厚を積算した膜厚ta、偏光制御層における格子歪みeb、偏光制御層の膜厚を積算した膜厚tbとした場合に、
    (ea×ta+eb×tb)/(ta+tb)>0・・・・・・・・(1)
    であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の面発光型半導体レーザー。
  7. 前記偏光制御層は、InPに、Al、Ga、Asのうち1又は2以上の材料を加えた材料により構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の面発光型半導体レーザー。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の面発光型半導体レーザーが、同一半導体基板上に複数配列されていることを特徴とする面発光型レーザーアレイ素子。
  9. 光束によって被走査面上を走査する光走査装置であって、
    請求項8に記載の面発光型レーザーアレイ素子を有する光源ユニットと、
    前記光源ユニットからの光束を偏向する偏向手段と、
    前記偏光手段により偏向された光束を被走査面上に集光する走査光学系と、
    を備えたことを特徴とする光走査装置。
  10. 少なくとも一つの像担持体と、
    前記少なくとも一つの像担持体に対して、画像情報が含まれる光束を走査する少なくとも一つの請求項9に記載の光走査装置と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
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