JP2010016087A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】抵抗の低いコンタクトを有する磁気抵抗効果素子を提供する。
【解決手段】コンタクト層5は基板1上に設けられている。固着層6は、コンタクト層5上に設けられ、固定された磁化方向を有する。トンネル絶縁層7は固着層6上に設けられている。自由層8は、トンネル絶縁層7上に設けられ、外部印加磁界により変化する磁化方向を有する。コンタクトプラグ15は、コンタクト層5のみと接する底面を有する。
【選択図】図1
【解決手段】コンタクト層5は基板1上に設けられている。固着層6は、コンタクト層5上に設けられ、固定された磁化方向を有する。トンネル絶縁層7は固着層6上に設けられている。自由層8は、トンネル絶縁層7上に設けられ、外部印加磁界により変化する磁化方向を有する。コンタクトプラグ15は、コンタクト層5のみと接する底面を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は磁気抵抗効果素子に関し、特に、コンタクトプラグを有する磁気抵抗効果素子に関するものである。
近年、従来の巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto-Resistance)効果に比べてより大きな抵抗変化率が得られるトンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magneto-Resistance)効果素子(TMR素子)を用いた磁気センサの利用が検討されている。
TMR素子においては、2つの強磁性層の間に絶縁層を挟む構成、すなわち、強磁性/絶縁層/強磁性で構成される3層膜構造が用いられる。この2つの強磁性層の各々のスピンは、外部磁界により、互いに平行な状態または反平行な状態とされる。TMR素子は、この平行な状態と反平行な状態とで絶縁層を介して膜面垂直方向に流れるトンネル電流の大きさが変化する作用を利用する。
このTMR素子において、特許文献1(特開2006−253562号公報)や特許文献2(特許第2786601号公報)に示されるように、スピンバルブ型磁気抵抗効果素子が検討されている。スピンバルブ型磁気抵抗素子においては、一方の強磁性層が反強磁性層と交換結合させられる。これよりこの強磁性層は、外部からの印加磁界にかかわらず固定された磁化を有する固着層として用いられる。一方、他方の強磁性層は、外部磁界に応じて自由に回転する磁化を有する自由層として利用される。
特許文献2には、ディスクのデータを読み取る磁気ヘッドへ適用されるスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造が示されている。この素子においては、固着層および自由層の各々の磁化方向は互いに直交するように設定される。固着層においては、非磁性層がスペーサ層として強磁性層の間に挿入されることで、これらの強磁性層に反強磁性交換結合が生じるので、これらの強磁性層の磁化が反平行方向に設定される。この固着層の反平行磁界により、固着層からの漏洩磁界が相殺されるので、自由層に対する漏洩磁化の影響が低減される。
スピンバルブ型TMR素子においては、反強磁性膜の結晶配向性を向上させるために、一般に、基板側(下部電極側)に反強磁性膜が形成される。この反強磁性膜の膜厚は、一般に10nm以上とされている。反強磁性膜の膜厚が大きいと、反強磁性膜表面の粗さ(凹凸)が増大し、平坦度が低下する。これに応じて、その上に形成されるトンネル絶縁層と固着層との界面の粗さが増大し、トンネル絶縁層の膜厚の均一性が低下する。これにより、局所的に、自由層と固着層との磁気的な結合(静磁結合)が生じる。また、この固着層表面の粗さは、トンネル絶縁層の不均質性を引き起こすため、素子抵抗および抵抗変化率を減少させる。
このような磁気応答特性の変化を補正する方法として、特許文献2において示されるように、固着層の磁化を制御することにより、固着層と自由層との静磁結合を低減する方法がある。この方法では、固着層を強磁性層/非磁性層/強磁性層からなる3層構造として、これらの強磁性層を互いに反平行方向に磁化して反強磁性結合を実現する。この場合、固着層において2つの強磁性層の磁化方向が反平行方向であり、それぞれの発生する磁界が相殺され、自由層に対する静磁結合の影響が低減することが図られている。
以上のように、TMR素子においては、10nm以下の薄膜を積層化することにより、その性能ともいえる大きなMR比を得ることが可能となる。そのため、膜厚を安定して制御する必要がある。
一方、センサ素子製造においては、安価な製造方法が必要である。このためには、安価な製造装置を用いることで、製造装置のコストを抑制することが望ましい。安価な製造装置が用いられる場合、微細なパターンの形成は困難であるため、パターンの寸法はなるべく大きくされることが好ましく、10μm程度の寸法とされることも多い。
TMR素子がセンサに応用される際には、この膜厚とパターン寸法との間に3桁程度の差異があり、この差異に適切に対処する必要がある。
また、多数のTMR素子が連結および分散されるなどして、磁界検知精度の向上が図られる場合がある。この場合、多数のTMR素子が配線により結合される必要があり、そのためのコンタクト形成に対する要求が厳しくなってきている。具体的には、コンタクト抵抗の低減・熱的な安定性・バラつきの抑制など多くの要求項目が挙げられる。
しかしながら、前述したようにコンタクト径に対して非常に薄い薄膜でのエッチング停止制御性が必要なことから、エッチングプロセスのマージンは高いとはいえない。また、TMR構造体部は素子性能を直接左右するので、TMR構造体部の形成のためには比較的高価なプロセスが選択される。これに比して、素子間の絶縁のために用いられる層間絶縁膜の形成のためには、通常、コストダウンのために、できるだけ安価なプロセスが選択される。すなわち層間絶縁膜の形成プロセスにおいては、膜厚の均一性や被覆性などといったプロセス性能が高い装置は使用しにくい。そのため、層間絶縁膜エッチング時に、比較的大きな量のオーバーエッチングが行なわれる必要がある。しかしながらこのオーバーエッチング時にエッチング停止面が形成される膜の膜厚が不足することが多く、コンタクト抵抗が考慮されたプロセスの確立が困難な状況である。
このような状況から、コンタクトホールを形成した後に、コンタクト抵抗を低減する手法が検討されることになる。たとえば特許文献3(特開平8−107148号公報)によれば、半導体素子製造において、コンタクト面をエッチングするような方法により異なる材料で形成されるコンタクト面を露出させる方法などで、抵抗の低減や安定化が図られている。
特開2006−253562号公報
特許第2786601号公報
特開平8−107148号公報
しかしながら上記の特許文献3の方法がTMR素子に適用されると、コンタクト形成時の下部の露出面によっては、検出磁界への影響が生じたり、下部電極層の金属膜が例えば50nm程度まで厚くされるような場合にはラフネスの増加による特性劣化が生じたりするという問題があった。
すなわち、TMR素子をはじめとする磁気抵抗効果素子の素子間を結合する配線の形成において、安定かつ低いコンタクト抵抗を得るのが困難であるという問題があった。
それゆえ、本発明の目的は、抵抗の低いコンタクトを有する磁気抵抗効果素子を提供することである。
本発明の磁気抵抗効果素子は、基板と、コンタクト層と、固着層と、トンネル絶縁層と、自由層と、少なくとも1つのコンタクトプラグとを有する。コンタクト層は基板上に設けられている。固着層は、コンタクト層上に設けられ、固定された磁化方向を有する。トンネル絶縁層は固着層上に設けられている。自由層は、トンネル絶縁層上に設けられ、外部印加磁界により変化する磁化方向を有する。コンタクトプラグは、コンタクト層のみと接する底面を有する。
本発明の磁気抵抗効果素子によれば、コンタクトプラグの底面は、コンタクト層のみ、すなわち均一な一の層と接するので、コンタクトプラグによる電気的接続を安定化することができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
はじめに本実施の形態の磁気抵抗効果素子の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗効果素子の構成を概略的に示す部分断面図である。また図2は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗効果素子の平面レイアウトを説明するための図である。また図3は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗効果素子のTMR構造体の構成を概略的に示す断面図である。
(実施の形態1)
はじめに本実施の形態の磁気抵抗効果素子の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗効果素子の構成を概略的に示す部分断面図である。また図2は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗効果素子の平面レイアウトを説明するための図である。また図3は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗効果素子のTMR構造体の構成を概略的に示す断面図である。
図1〜図3を参照して、本実施の形態の磁気抵抗効果素子は、基板1と、絶縁下地層2と、TMR構造体101と、第1マスク層11と、第2マスク層12と、層間絶縁膜13と、金属配線層14と、コンタクトプラグ15および25とを有する。TMR構造体101は、下層配線層102と、固着層6と、トンネル絶縁層7と、自由層8と、上部電極層9とを有する。
基板1はシリコン基板である。絶縁下地層2は、基板1上に設けられている。絶縁下地層2は厚さ500nmのシリコン酸化膜層である。
下層配線層102は絶縁下地層2上に設けられており、パターン形状を有している。下層配線層102は、下部金属層3および下地層4(導電層)と、反強磁性層5(コンタクト層)とを有する。
下部金属層3は絶縁下地層2上に設けられている。下部金属層3は、厚さ5nmのタンタル(Ta)層である。
下地層4は下部金属層3上に設けられている。下地層4は、厚さ2nmのニッケル−鉄合金(NiFe)層である。
反強磁性層5は下地層4上に設けられている。反強磁性層5の厚さは、10〜20nmが好ましい。具体的には反強磁性層5は、たとえば厚さ10nmのイリジウム−マンガン合金(IrMn)層である。
固着層6は下層配線層102上に設けられており、下層配線層102の一部を覆い、一部を露出している。固着層6は、下層強磁性層6aと、非磁性層6bと、上層強磁性層6cとを有する。下層強磁性層6a、非磁性層6b、および上層強磁性層6cは、反強磁性層5上に順に設けられている。この構成により、固着層6は固定された磁化方向を有する。下層強磁性層6aおよび上層強磁性層6cの各々の厚さは、概ね0.6〜5nmである。非磁性層6bの厚さは、概ね2nm以下である。より具体的には、たとえば、下層強磁性層6aおよび上層強磁性層6cの各々は、厚さ3nmのコバルト−鉄合金(CoFe)層であり、非磁性層6bは、厚さ0.8nmのルテニウム(Ru)層である。
トンネル絶縁層7は、厚さが概ね2nm以下の絶縁層である。具体的にはトンネル絶縁層7は、たとえば厚さ1nmの酸化アルミニウム(AlOx)層である。
自由層8、上部電極層9、および第1マスク層11は、トンネル絶縁層7上に順に設けられている。自由層8は、外部磁化により変化する磁化方向を有する。自由層8は、厚さ5nmのニッケル-鉄合金(NiFe)層である。上部電極層9は、厚さ20nmのTa層である。第1マスク層11は、厚さ100nmのSiN層である。
第2マスク層12はTMR構造体101および第1マスク層11を覆っている。第2マスク層12は、厚さ100nmのSiN層である。
層間絶縁膜13は、絶縁下地層2およびTMR構造体101を覆っている。層間絶縁膜13は、たとえば厚さ400nmのSiN膜である。
金属配線層14およびコンタクトプラグ15は、層間絶縁膜13上に設けられている。金属配線層14は、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム−シリコン合金からなる厚さ500nmの層である。コンタクトプラグ15は、金属配線層14と反強磁性層5とを物理的かつ電気的に接続している。コンタクトプラグ15は、反強磁性層5のみと接する底面を有する。コンタクトプラグ25は、金属配線層14と上部電極層9とを物理的かつ電気的に接続している。
なお、絶縁下地層2は、基板1と下層配線層102との絶縁のために形成されているため、平坦性が確保され十分な絶縁性が得られれば、シリコン酸化膜層以外の層を用いることもできる。たとえば窒化シリコン(SiN)層を用いることができる。
下部金属層3および下地層4は、その上に形成される反強磁性層5の結晶性を向上させるために平坦性が必要である。このため両者の合計膜厚は30nm以下であることが望ましく、さらには合計膜厚10nm以下であることがより望ましい。両者とも金属導電性が必要であり、下地層4においては反強磁性層5との結晶的整合性(格子定数の整合性など)が必要である。
反強磁性層5としては、IrMn層のほかに、白金-マンガン合金(PtMn)層、Ni−Mn層などを用いることができる。反強磁性層5の膜厚は、結晶配向性の観点からは大きい方が望ましい。しかし膜厚が大きすぎるとと、表面の粗さ(凹凸)の増大により平坦度が低下し、トンネル絶縁層7の膜厚の均一性の低下や不均質性を引き起こし、素子抵抗および抵抗変化率の低下を引き起こす。このため、反強磁性層5の膜厚は10〜20nmが望ましい。
固着層6中の非磁性層6bについては、強固な反平行結合を実現するために、3d遷移金属膜であることが好ましい。すなわち非磁性層6bはルテニウム膜に限定されない。また、その膜厚についても反平行結合を維持することのできる膜厚であればよく、0.8nmに限定されない。また下層強磁性層6aおよび上層強磁性層6cの材質については、Cu−Ni合金、Cu−Fe−Ni合金、およびFe−Ni合金などの、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、および鉄(Fe)のいずれかを主成分として含む金属、またはNiMnSb、Co2MnGeなどの合金膜材料が用いられてもよい。また、これらの金属膜および合金膜が積層構造に形成されて強磁性層が形成されてもよい。
トンネル絶縁層7の材質としては、AlOx以外に、Ta2O5(酸化タンタル)、SiO2(酸化シリコン)、MgO(酸化マンガン)などの酸化膜、窒化膜またはフッ化膜が用いられてもよい。
自由層8は強磁性材料である必要がある。すなわち下層強磁性層6aおよび上層強磁性層6cと同様に、Co・Ni・Feを含んだ磁性合金であればよく、NiFeに限定されるものではない。
上部電極層9の材質としては、自由層8との間に拡散が生じる材質(たとえばAl)などは好ましくない。このため、TaやRuであることが望ましい。ただしこれらの材質からなる拡散防止層を介して自由層8上に上部電極層9が設けられる場合は、上部電極層9の材質としてAlなどを用いることができる。また上部電極層9の膜厚は10nm以上30nm以下であることが望ましい。膜厚がたとえば5nm以下のように薄い場合は、プロセス時にダメージが生じる懸念がある。また膜厚が大きすぎると、段差の増加など、プロセスに対する要求が高くなってしまう。
なお、上述した各種薄膜が同一の膜厚で形成された場合、そのシート抵抗の大小関係は、以下の式(1)で示される。
Ta=IrMn>CoFe>NiFe>Ru>Al ・・・(1)
次に本実施の形態の磁気抵抗効果素子の製造方法について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗効果素子の製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
次に本実施の形態の磁気抵抗効果素子の製造方法について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗効果素子の製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
主に図4を参照して、まず基板1の上に、絶縁下地層2、下部金属層3、下地層4、反強磁性層5、下層強磁性層6a、非磁性層6b、上層強磁性層6c、トンネル絶縁層7、自由層8、上部電極層9が順に形成される。
各層の製造方法としては一般的にスパッタリング法が用いられているが、真空蒸着法など別の方法を用いても良い。しかしながら、トンネル絶縁層7と接する部分以外においては、それぞれの層間界面における界面制御が重要なことから、高真空(低酸素)状態での連続した成膜が望ましい。
トンネル絶縁層7の形成方法としては、AlOxターゲットを用いたスパッタリング法を用いることができる。あるいは酸素雰囲気中でのAlスパッタリングや、Al金属を成膜した後に酸素雰囲気や酸素ラジカルに曝すことによって酸化を行うなどの方法が可能である。なお、これらの酸素を窒素に置き換えることで窒化膜からなるトンネル絶縁層7を形成することも可能である。
このようにして形成されたTMR構造体101上に、第1マスク層11が形成される。第1マスク層11上にTMR領域のエッチングパターンに対応したフォトレジストパターンが形成される。このフォトレジストパターンを用いて第1マスク層11がパターニングされる。その後フォトレジストパターンが除去され、パターニングされた第1マスク層11をハードマスクとして用いたエッチングによって、上部電極層9、自由層8、トンネル絶縁層7、および固着層6が順にパターニングされる。これにより反強磁性層5の一部が露出される。
次に、第2マスク層12(図1)が形成される。第2マスク層12上に、下層配線層102の配線パターンを形成するためのフォトレジストパターンが形成される。このフォトレジストパターンを用いて第2マスク層12がパターニングされる。その後フォトレジストパターンが除去され、パターニングされた第2マスク層12をハードマスクとして用いたエッチングによって、下層配線層102がパターニングされる。これにより絶縁下地層2の一部が露出される。
次に層間絶縁膜13が形成される。コンタクトプラグ15、25に対応するコンタクトホールを形成するためのフォトレジストパターンが層間絶縁膜13上に形成される。このフォトレジストパターンを用いてコンタクトホールが形成される。すなわち、TMR構造体101の上部電極層9上と、反強磁性層5上とに、同時にコンタクトホールが形成される。
コンタクトプラグ15に対応するコンタクトホールを形成するためのエッチングは、図1に示すように反強磁性層5が露出されるまで行なわれる。この際に反強磁性層5の一部がオーバーエッチングされる。このエッチングにより、コンタクトホールの底面上には、反強磁性層5のみが露出される。
次にフォトレジストパターンが除去される。次にアルミニウムまたはアルミニウム−シリコン合金の成膜が行なわれる。これにより、コンタクトプラグ15、25と、金属配線層14となる層とが形成される。
なおこの成膜の直前に、コンタクトホールの底面上の自然酸化膜が除去されることが好ましい。これは約1nm程度の深さのスパッタにより行なうことができる。
次に金属配線層14のパターニングに用いられるマスクとして、厚さ100nmのハードマスク(図示せず)が形成される。このハードマスクは、たとえば厚さ100nmのSiN層がフォトレジストパターンを用いてパターニングされることにより形成される。このハードマスクを用いたエッチングにより、金属配線層14のパターニングが行なわれる。
この際、レジスト除去や金属配線層14のエッチングにはウェットプロセスを用いることが望ましい。その理由としては、プラズマを用いたエッチングではプラズマ中の電子もしくはイオンによるチャージによってTMR構造体101のトンネル絶縁層7の破壊が生じる可能性があるためである。
以上により、本実施の形態の磁気抵抗効果素子(図1)が得られる。
なお、上記のそれぞれのエッチングにおいて、第1マスク層11および第2マスク層12を用いずにフォトレジストパターンでのエッチングを行なうことも可能である。しかし、レジスト除去工程における側壁の酸化などを排除するためには、フォトレジストパターンで第1および第2マスク層11および12のそれぞれがエッチングされた後に、この絶縁マスク11および12をマスクとしてTMR構造体がエッチングされる方が望ましい。
なお、上記のそれぞれのエッチングにおいて、第1マスク層11および第2マスク層12を用いずにフォトレジストパターンでのエッチングを行なうことも可能である。しかし、レジスト除去工程における側壁の酸化などを排除するためには、フォトレジストパターンで第1および第2マスク層11および12のそれぞれがエッチングされた後に、この絶縁マスク11および12をマスクとしてTMR構造体がエッチングされる方が望ましい。
また図1および図4における縦横比は実際のものとは大きく異なる。すなわち図1および図4では、横方向の寸法が縦方向の寸法に比して縮小されている。実際には、たとえばコンタクトプラグ15、25の各々の直径が5μmとされた場合に、金属配線層14の膜厚が0.5μm程度である。
次に比較例における磁気抵抗効果素子の構成について説明する。図5は、比較例における磁気抵抗効果素子の構成を概略的に示す部分断面図である。
図5を参照して、本比較例においては、TMR構造体101のパターニングが固着層6上まで行なわれている。また上記の本実施の形態のコンタクトプラグ15の代わりにコンタクトプラグ15Zを有している。
コンタクトプラグ15Zは、金属配線層14と固着層6とを物理的かつ電気的に接続している。すなわちコンタクトプラグ15Zは、固着層6と接する底面を有している。より具体的には、この底面は、固着層6をなす複数種類の層、すなわち上層強磁性層6c、非磁性層6b、および下層強磁性層6aと接している。
このようにコンタクトプラグ15Zの底面(コンタクト界面)が複数の層にまたがる場合には、コンタクト界面の密着性に分布が生じるため、昇温時に応力による剥離などが生じやすくなる。また底面においてコンタクトプラグ15Zが複数の異なる金属材料からなる層と接するため、異種金属間の接続部における接続抵抗率が異なる部分が生じる。このためコンタクト界面の一部に電流が集中することで、コンタクトプラグ15Zの断線が生じることがある。
次に比較例における磁気抵抗効果素子の製造方法について説明する。図6および図7のそれぞれは、比較例における磁気抵抗効果素子の製造方法の第1および第2工程を概略的に示す部分断面図である。
図6を参照して、パターニングされた第1マスク層11をハードマスクとして用いたエッチングによって、上部電極層9、自由層8、トンネル絶縁層7が順にパターニングされる。これにより固着層6の一部が露出される。
図7を参照して、第2マスク層12が形成される。第2マスク層12上に、固着層6および下層配線層102の配線パターンを形成するためのフォトレジストパターンが形成される。このフォトレジストパターンを用いて第2マスク層12がパターニングされる。パターニングされた第2マスク層12をハードマスクとして用いたエッチングによって、固着層6および下層配線層102がパターニングされる。これにより絶縁下地層2の一部が露出される。その後フォトレジストパターンが除去される。
次に層間絶縁膜13(図5)が形成される。コンタクトプラグ15Z、25に対応するコンタクトホールを形成するためのフォトレジストパターンが層間絶縁膜13上に形成される。このフォトレジストパターンを用いてコンタクトホールが形成される。すなわち、TMR構造体101の上部電極層9上と、固着層6上とに、同時にコンタクトホールが形成される。
コンタクトプラグ15Zに対応するコンタクトホールを形成するためのエッチングは、図5に示すように固着層6が露出されるまで行なわれる。この際に固着層6の一部がオーバーエッチングされる。このエッチングにより、コンタクトホールの底面上には、固着層6をなす複数種類の層、すなわち上層強磁性層6c、非磁性層6b、および下層強磁性層6aの各々が露出される。
上記のようにコンタクトホールの底面上において、単一の層ではなく、複数の層が露出されてしまうのは、上層強磁性層6c、非磁性層6b、および下層強磁性層6aの各層の膜厚が小さいためである。たとえば上層強磁性層6cの膜厚は3nmしかないため、エッチング特性のばらつきなどにより、コンタクトホール底面の一部が非磁性層6b上、さらには上層強磁性層6c上にも形成されてしまう。
この後、前述した本実施の形態と同様の工程が行なわれることにより、比較例の磁気抵抗効果素子(図5)が得られる。
本実施の形態によれば、コンタクトプラグ15の底面は、反強磁性層5(コンタクト層)のみ、すなわち均一な一の層と接するので、コンタクトプラグ15による電気的接続を安定化することができる。これにより磁気抵抗効果素子の耐久性を向上させることができる。
より具体的には、第1に、コンタクトプラグ15の底面(コンタクト界面)が単一の層とのみ接するので、コンタクト界面に密着性の分布が均一となる。このため、昇温時においても応力による剥離などが生じにくい。第2に、底面においてコンタクトプラグ15が単一の金属材料からなる層と接するため、コンタクト界面全体に渡って、異種金属間の接続部における接続抵抗率は均一となる。このためコンタクト界面の一部に電流が集中することが避けられるので、電流の集中に起因するコンタクトプラグ15の断線を防止することができる。
また、コンタクトプラグ15の底面が接するのは、反強磁性層5、すなわち固着層6を構成する下層強磁性層6aと、非磁性層6bと、上層強磁性層6cとの各々に比して大きな膜厚を有する層である。よってコンタクトプラグ15の底面が一の層内に収まるようにコンタクトホールを形成する工程を、容易に行なうことができる。このため製造歩留りを向上させることができる。
また基板1と反強磁性層5(コンタクト層)との間に、反強磁性層5と接する導電層として、下部金属層3と下地層4とからなる層が設けられている。これによりコンタクトプラグ15のコンタクト抵抗を低減することができる。このため磁気抵抗効果素子のエネルギー消費量を削減することができる。
また上記の導電層は、反強磁性層5と直接接しない下部金属層3を有している。よって下部金属層3の材質を、反強磁性層5との整合性とは関わりなく選択することができる。よって、シート抵抗の小さい材質を選択することができるので、導電層のパターンの段差を小さくすることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、下地層4の材質として、実施の形態1におけるNiFeの代わりに、より抵抗の小さいRuが用いられる。
本実施の形態においては、下地層4の材質として、実施の形態1におけるNiFeの代わりに、より抵抗の小さいRuが用いられる。
また本実施の形態の第1の変形例においては、さらに下部金属層3の材質としてもRuが用いられる。すなわち下部金属層3および下地層4が、Ruからなる単層構造を有している。
次に本実施の形態の第2の変形例について説明する。図10は、本発明の実施の形態2の第2の変形例における磁気抵抗効果素子のTMR構造体の構成を概略的に示す断面図である。
図10を参照して、本変形例のTMR構造体101v2においては、上部電極層9の代わりに上部電極層9vが設けられている。上部電極層9vの材質は下地層4と同一物質であるRuが使用される。これによりTMR構造体101v2の構成膜種は、たとえばTaが用いられなくなることで5種に低減される。すなわちTMR構造体101v2の構成膜種が少なくなる。これにより、成膜装置のターゲット数を削減でき、メンテナンス時間の短縮などの効果が得られる。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
次に、実施の形態1、実施の形態2、および実施の形態2の第1の変形例の各々における磁気抵抗素子において、下層配線層102に対するコンタクトプラグ15のコンタクト抵抗について調べた結果を説明する。
なおTMR構造体101のトンネル抵抗の影響が出ないように、以下においては、下層配線層102に対するコンタクト抵抗について説明する。つまり、磁気抵抗効果素子のうち、TMR構造体101のパターニングのエッチング停止面(実施の形態1においては反強磁性層5からなる面)より上方の部分については、説明を簡単にするために省略して考えることとする。
ただしコンタクトプラグ25のコンタクト面は、自由層8の磁性体に対して影響を与えない範囲で上部電極層9中に形成される必要があることは言うまでもない。さらに、上部電極層9が積層構造とされる場合においては、単一層中に停止面が形成される方が好ましいといえる。
図2を参照して、下層配線層102に接触しているコンタクトプラグ15は、幅dと、接続面のコンタクト面積Sとを有する。またコンタクト形状は正方形状を有する。よって面積S=d2である。
一般的にコンタクト抵抗は、互いに接続される金属間の固有の接続抵抗率に依存するほかに、上記の面積Sに反比例する(1/Sに比例する)と考えられていた。本発明者らは、このコンタクト抵抗と面積Sとの関係について検討を行なった。具体的には、表1に示される下地層4および下部金属層3の組み合わせを有する磁気抵抗効果素子(試料A〜D)の各々について、コンタクト抵抗の1/S依存性を調べた。
試料AおよびBは、実施の形態1に対応するものであり、各々が別個に作製されたものである。試料が2つ準備されたのは、実験の再現性を確認するためである。また試料CおよびDのそれぞれは、実施の形態2およびその第1の変形例に対応する。
なお上記の試料A〜Dの各々に共通して、コンタクト面は、厚さ10nmのIrMn層からなる反強磁性層5内に設けられた。また上記の試料A〜Dの各々に共通して、下部金属層3の厚さは5nm、下地層4の厚さは2nmとされた。
図8は、本発明の実施の形態2における磁気抵抗効果素子のコンタクト抵抗と接続面のコンタクト面積の逆数との関係を示すグラフである。
図8を参照して、コンタクト抵抗は、コンタクト面積の増加(1/Sの減少)にともない低減した。しかし図8に示す結果は、一般的に考えられていたようなコンタクト抵抗と1/Sとの比例関係からはズレがあった。
また、下地層4の材質がNiFeの場合に比して、より低抵抗のRuの場合の方がコンタクト抵抗が小さかった。いずれの試料においてもコンタクトプラグ15に接続される面は共通してIrMn層からなるので、接続される金属間固有の接触抵抗率については下部金属層3および下地層4の影響はない。そのため、下地層4や下部金属層3を変更したことにより、金属間の接触抵抗率で単純に説明することができる要因以外の要因がコンタクト抵抗に影響したと考えられる。
そこで本発明者らは、様々な実験結果を網羅した結果、下地層4や下部金属層3を変更することによって、下層配線層102(下部金属層3、下地層4、および残存する反強磁性層5の積層構造)のシート抵抗が変化し、そのシート抵抗の変化がコンタクト抵抗に影響する、との結論を得た。すなわち、下部金属層3および下地層4からなる層のシート抵抗が小さくされると、下層配線層102自体の抵抗が小さくなるだけではなく、下層配線層102とコンタクトプラグ15との界面におけるコンタクト抵抗も小さくなる、との結論を得た。
図9は、本発明の実施の形態2における磁気抵抗効果素子のコンタクト抵抗と下層配線層のシート抵抗との関係を示すグラフである。
図9を参照して、前述した試料A〜Dのそれぞれは、グラフ中の矢印で示すように、約139Ω/sq、約125Ω/sq、約93Ω/sq、および約68Ω/sqのシート抵抗を有していた。この試料A〜Dの各々について、コンタクトプラグ15の幅d(図2)が1μm、2μm、3μm、5μm、および10μmとされた場合について、コンタクト抵抗の測定を行なった。
本実施の形態に対応する試料Cと、実施の形態1に対応する試料A(またはB)との比較から、下層配線層102のシート抵抗を低減することで、コンタクト抵抗を低減することができることがわかった。つまり、実施の形態1における下地層4の材質であるNiFeを、本実施の形態の下地層4の材質であるRuに変更することによって、コンタクト抵抗を低減できることを見出した。
試料Cに対応する本実施の形態では、下地層4と下部金属層3とを合わせた積層構造は、反強磁性層5よりも薄いにもかかわらず、下層配線層102のシート抵抗を小さくすることができる。
シート抵抗を小さくする方法としては、反強磁性層5、下地層4、および下部金属層3の少なくともいずれかの膜厚を大きくする方法がある。しかしながら膜厚が大きくなるとエッチング段差が大きくなるため、プロセスのトラブルが発生する可能性が高くなる。そのため膜厚を大きくすることなくシート抵抗を小さくすることが好ましい。すなわち本実施の形態に示すように、膜厚が維持されたままシート抵抗を小さくすることが好ましい。
また、膜厚が大きくされることでシート抵抗が小さくされる場合においても、IrMn層を厚くするよりは、Ru層を厚くする方が、シート抵抗の低減効果が大きい。すなわち、より少ない膜厚の追加で、シート抵抗をより小さくすることができる。よって積層構造において、高抵抗層の膜厚を大きくするよりは、低抵抗層の膜厚を大きくする方が好ましい。
また本実施の形態の第1の変形例に対応する試料Dは、試料A〜Cの各々のシート抵抗よりも小さいシート抵抗を有し、それにより試料A〜Cの各々のコンタクト抵抗よりも小さいコンタクト抵抗を有することが確認された。この第1の変形例においては、下部金属層3および下地層4を単一膜で形成することで、TMR構造体101の界面部分が減るため、膜特性のバラつきが低減するとともに、成膜時における真空引きやプリスパッタなどに必要な時間の短縮が可能となる。
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3における磁気抵抗効果素子のTMR構造体の構成を概略的に示す断面図である。
図11は、本発明の実施の形態3における磁気抵抗効果素子のTMR構造体の構成を概略的に示す断面図である。
図11を参照して、本実施の形態のTMR構造体101v3においては、実施の形態2の構造と異なり、下地層4と下部金属層3との間に、低抵抗層16が設けられている。挿入される低抵抗層の抵抗率は、下地層4および下部金属層3の各々の抵抗率よりも低ければよい。低抵抗層16の材質は、たとえばAuである。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
本実施の形態によれば、反強磁性層5の結晶配向性を向上させる役割がある下地層4と、基板1への密着力が必要となる下部金属層3との各々の材料について、最適材料を用いることができる。このように、それぞれの層に対して適切な材料を用いることによって、プロセスマージンが向上し、また、TMR構造体の素子特性への影響も低減できることから、自動車用のセンサに使用する場合などの高温環境下などでの使用に対しても効果的な構造を容易に作製できる利点がある。さらに低抵抗層16によってシート抵抗が低減されるので、コンタクト抵抗が低減される。
(実施の形態4)
実施の形態2において図8を用いて説明したように、コンタクト抵抗とコンタクト面積との関係は、厳密な反比例関係からはズレがある。上記の実施の形態1〜3のように、下層配線層102のシート抵抗が大きく、下層配線層102の膜厚に比べてコンタクト径が非常に大きい場合においては、コンタクト底部よりも接続部のエッジ部に電流が集中しやすくなることを本発明者らは見出した。そこで、コンタクト周囲長とコンタクト抵抗との関係について、確認を行なった。図12は、図8のグラフがコンタクト抵抗とコンタクト周囲長の逆数との関係にプロットしなおされたグラフである。
実施の形態2において図8を用いて説明したように、コンタクト抵抗とコンタクト面積との関係は、厳密な反比例関係からはズレがある。上記の実施の形態1〜3のように、下層配線層102のシート抵抗が大きく、下層配線層102の膜厚に比べてコンタクト径が非常に大きい場合においては、コンタクト底部よりも接続部のエッジ部に電流が集中しやすくなることを本発明者らは見出した。そこで、コンタクト周囲長とコンタクト抵抗との関係について、確認を行なった。図12は、図8のグラフがコンタクト抵抗とコンタクト周囲長の逆数との関係にプロットしなおされたグラフである。
図12を参照して、このグラフは、図8のグラフの横軸がコンタクト周囲長Lの逆数(1/L)とされて再プロットされたグラフである。図12のグラフから、コンタクト抵抗が1/Lに比例する傾向となっていることがわかる。
このことから、コンタクトホールが形成される際には、コンタクト面積Sが大きなコンタクトホールを形成するよりも、周囲長Lが長くなるように、小径のコンタクトホールを多数形成する方が望ましいことが想像される。
図13は、比較例における磁気抵抗効果素子のコンタクトプラグの平面レイアウトを説明するための概略的な図である。図13を参照して、本比較例においては、コンタクト形成可能領域201が幅X、奥行きYの矩形形状である場合において、X×Yの矩形コンタクトホール15Rを単数形成することでコンタクト面積Sが最大化されている。
図14は、本発明の実施の形態4における磁気抵抗効果素子のコンタクトプラグの平面レイアウトの一例を説明するための概略的な図である。図14を参照して、本実施の形態においては、コンタクトプラグ15vが複数設けられる。コンタクトホール15v群の周辺長の合計Lは、X×Yの矩形コンタクトの周囲長:2×(X+Y)より長くなっている。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1〜3の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
次に、比較例(図13)および本実施の形態(たとえば図14)におけるコンタクト抵抗の測定結果について説明する。測定条件は、以下の表2のようにまとめられる。
コンタクト形状は正方形であるため、図13に示す単一コンタクトホールについてはX=Y=dとなり、面積S=X×Y=d2となる。また、周囲長L=4×X=4×dである。
一方、図14に示す本実施の形態の複数コンタクトにおいては、コンタクトホールサイズdはいずれも2μmとなっており、コンタクトホール間の距離も2μmである。面積Sは、複数のコンタクトプラグ15vの各々の面積の総計により求められる。周囲長Lについても同様である。
図15は、磁気抵抗効果素子のコンタクトプラグの個数および大きさが変更された場合における、コンタクトプラグの周囲長の逆数と、コンタクト抵抗との関係を示すグラフである。また図16は、磁気抵抗効果素子のコンタクトプラグの個数および大きさが変更された場合における、コンタクトプラグの面積の逆数と、コンタクト抵抗との関係を示すグラフである。なお当評価では、得られたコンタクト抵抗は配線抵抗などを含んだものとなっている。
図15および図16を参照して、単一コンタクトホールの結果が白ヌキのシンボルで、複数コンタクトホールの結果が黒塗りのシンボルで示されている。また測定結果の信頼性を確認するために、同一ウエハ内における4箇所から得られたサンプル(チップa〜d)についてプロットがなされている。チップa〜d間での結果のバラつきは小さいので、測定結果の信頼性が高いことがわかる。
図15および16のグラフから、1/L依存性では単一及び複数コンタクトが同様のグラフに重なる傾向に対し、1/S依存性では、複数コンタクトホールの結果の方が低いコンタクト抵抗を示していることが明らかである。具体的に、d=7μmの単一コンタクトホールが設けられた場合と、d=2μmのコンタクトホールが2×2=4個設けられた場合とについて比較すると、後者の方がコンタクト形成領域(XxY)やコンタクト面積Sは小さいにもかかわらず、同等のコンタクト抵抗が得られていることがわかる。このことからも、小さいコンタクトホール15vを多数形成することによって、コンタクト抵抗を低減することが可能であることがわかった。
このような特徴を活用するためには、コンタクトホールの形状は矩形や丸に限らない。図17は、本発明の実施の形態4の変形例における磁気抵抗効果素子のコンタクトプラグの底面の平面レイアウトを概略的に示す図であり、コンタクトプラグが十字型の場合の図(a)、コンタクトプラグが瓢箪型の図(b)、およびコンタクトプラグが星型の場合(c)の図である。
図17を参照して、コンタクトプラグ15c、15g、15s1〜s3の底面の外周は、底面の内側に突出した部分を有する。これにより、コンタクトプラグ15c、15g、15s1〜s3の周囲長の総計を大きくすることができる。以下に、より具体的に説明する。
図17(a)に示すようにコンタクトプラグ15cが十字型であれば、単体のコンタクトホールについては周囲長は矩形の場合と同等であるが、配置を密集させることが可能となるため、全体の周囲長が長くなる効果がある。
図17(b)に示すようにコンタクトプラグ15gが瓢箪型であれば、その周囲長は単体コンタクトホールにおいても長くすることが可能である。
図17(c)に示すようにコンタクトプラグ15s1〜15s3が星型の場合も、その周囲長は単体コンタクトホールにおいても長くすることが可能である。またコンタクトプラグ15s1〜15s3の順に頂点の数が多くなっており、この順に周囲長が長くなっている。すなわち頂点の数を多くすることで、より周囲長が長くなるので、よりコンタクト抵抗を小さくすることができる。
なお上記の各実施の形態において、コンタクトプラグ15,15c,15s1〜15s3,15vの底面が接するコンタクト層として反強磁性層5が用いられたが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンタクト層は、コンタクトプラグ15,15c,15s1〜15s3,15vがコンタクト層のみと接するような工程が行なえるように十分な厚みを有するものであれば、反強磁性層5以外の層であってもよい。たとえば上記の各実施の形態の反強磁性層5と固着層6との間に別途コンタクト層が設けられてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示にすぎず、これに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示されるもので、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、コンタクトプラグを有する磁気抵抗効果素子に特に有利に適用され得る。
1 基板、2 絶縁下地層、3 下部金属層、4 下地層、5 反強磁性層(コンタクト層)、6 固着層、6a 下層強磁性層、6b 非磁性層、6c 上層強磁性層、7 トンネル絶縁層、8 自由層、9 上部電極層、11 第1マスク層、12 第2マスク層、13 層間絶縁膜、14 金属配線層、15,15c,15s1〜15s3,15v コンタクトプラグ、16 低抵抗層、101,101v2,101v3 TMR構造体、102 下層配線層。
Claims (12)
- 基板と、
前記基板上に設けられたコンタクト層と、
前記コンタクト層上に設けられ、固定された磁化方向を有する固着層と、
前記固着層上に設けられたトンネル絶縁層と、
前記トンネル絶縁層上に設けられ、外部印加磁界により変化する磁化方向を有する自由層と、
前記コンタクト層のみと接する底面を有する少なくとも1つのコンタクトプラグとを備えた、磁気抵抗効果素子。 - 前記コンタクト層は、前記固着層の磁化方向を固定するための反強磁性層である、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記コンタクト層と前記固着層との間に、前記固着層の磁化方向を固定するための反強磁性層をさらに備えた、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記基板と前記コンタクト層との間に、前記コンタクト層と接する導電層をさらに備えた、請求項1〜3のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記導電層は一の層からなる、請求項4に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記導電層は、前記コンタクト層の抵抗率よりも小さい抵抗率を有する、請求項4または5に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記自由層上に前記導電層の少なくとも一部の材質と同じ材質からなる上部電極層をさらに備えた、請求項4〜6のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記導電層は2以上の層数を有する、請求項4〜7のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記導電層は、前記基板側に位置する下部導電層と、前記コンタクト層側に位置する上部導電層と、前記下部導電層および前記上部導電層の間に設けられ、かつ前記下部導電層および前記上部導電層の各々の抵抗率よりも小さい抵抗率を有する中間導電層とを有する、請求項4〜8のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記少なくとも1つのコンタクトプラグは複数のコンタクトプラグである、請求項1〜9のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記少なくとも1つのコンタクトプラグの各々の底面の外周長の値の合計は、平面視において前記少なくとも1のコンタクトプラグ全体を包含する矩形の外周長の値よりも大きい、請求項1〜10のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記底面の外周は、前記底面の内側に突出した部分を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
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JP2008173281A JP2010016087A (ja) | 2008-07-02 | 2008-07-02 | 磁気抵抗効果素子 |
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