JP2010007541A - 張力付与機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】張力付与のためのアクチュエータからの押圧力が十分に得られていない状況であってもチェーンの張力調整を適正に行うことが可能な張力付与機構を提供する。
【解決手段】チェーンガイド機構6のガイドプレート61におけるチェーン走行方向上流側端部にチェーン44との間での摩擦抵抗が大きくなる第2摺動材66bを設ける。これにより、タイミングチェーン44に当接するチェーンガイド機構6のガイドプレート61に対して張力調整のための油圧が発生していない状況であっても、ガイドプレート61の第2摺動材66bとタイミングチェーン44との間の摩擦力を有効に利用して、このガイドプレート61の姿勢変化を行って、タイミングチェーン44に張力を付与できるようにする。
【選択図】図3
【解決手段】チェーンガイド機構6のガイドプレート61におけるチェーン走行方向上流側端部にチェーン44との間での摩擦抵抗が大きくなる第2摺動材66bを設ける。これにより、タイミングチェーン44に当接するチェーンガイド機構6のガイドプレート61に対して張力調整のための油圧が発生していない状況であっても、ガイドプレート61の第2摺動材66bとタイミングチェーン44との間の摩擦力を有効に利用して、このガイドプレート61の姿勢変化を行って、タイミングチェーン44に張力を付与できるようにする。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えば自動車用エンジンのタイミングチェーン等の無端状伝達体に所定の張力(テンション)を付与するための張力付与機構に関する。特に、本発明は、油圧等の圧力を利用して上記張力を付与する機構の改良に関する。
一般的に、自動車用エンジン等に搭載されるカムシャフト駆動機構は、クランクシャフトの一端に回転一体に取り付けられたクランクスプロケットと、吸気カムシャフトの一端に回転一体に取り付けられた吸気カムスプロケットと、排気カムシャフトの一端に回転一体に取り付けられた排気カムスプロケットとを備え、これらスプロケットに亘ってタイミングチェーン(以下、単にチェーンと呼ぶ場合もある)を巻き掛けた構成となっている。これにより、クランクスプロケットの回転動力を、タイミングチェーンを介して吸気カムスプロケットおよび排気カムスプロケットにそれぞれ伝達して、動弁系を駆動(各カムシャフトを回転させることによって吸気バルブおよび排気バルブを開閉駆動)するようになっている。
また、上記タイミングチェーンに所定の張力を付与するために、タイミングチェーンにおいてクランクスプロケットとその回転方向下流側に配置される一方のカムスプロケットとの間の弛み側領域にチェーンテンショナが設けられている(例えば、特許文献1を参照)。
また、タイミングチェーンにおいてクランクスプロケットとその回転方向上流側に配置される他方のカムスプロケットとの間の張り側領域に、タイミングチェーンを外側からガイドするチェーンガイドが設けられている(例えば、特許文献2を参照)。
具体的に、タイミングチェーンの弛み側領域に設けられた上記チェーンテンショナは、タイミングチェーンの外側面に当接可能で且つ一端が回動自在に支持された可動ガイドと、この可動ガイドに対してタイミングチェーンの外側面に向かう方向への押圧力を与える油圧アクチュエータとを備えている。つまり、この油圧アクチュエータに油圧が供給されることで発生する押圧力を、上記可動ガイドを介してタイミングチェーンに付与することで、このタイミングチェーンの弛みを取って張力を調整する構成となっている。
一方、タイミングチェーンの張り側領域に設けられたチェーンガイドとしては、タイミングチェーンの走行位置を規制するために固定(例えばシリンダブロックに固定)されているものに限らず、上記チェーンテンショナと同様に、油圧アクチュエータを備えさせ、この油圧アクチュエータで発生する押圧力を、ガイドプレートを介してタイミングチェーンに付与することで、このタイミングチェーンの張り側領域においても張力を調整できるようにしたものも知られている。
特開平5−71604号公報
特開2006−207779号公報
ところで、上述したようなタイミングチェーンの張力を適正に調整する機構(上記チェーンテンショナや、油圧アクチュエータを備えたチェーンガイド)を備えたカムシャフト駆動機構にあっては、エンジンが停止すると、上記張力調整のための油圧を発生していたオイルポンプも停止することになり、油圧アクチュエータにオイルが供給されなくなる。この際、オイルが自重によって、油圧アクチュエータ内から流れ出ることになり、長期間に亘ってエンジン停止状態が継続されると、油圧アクチュエータ内にオイルが殆ど存在しなくなってしまう。
そして、このような状態からエンジンが始動すると、オイルポンプが駆動することにはなるが、このオイルポンプから吐出されたオイルがオイル通路を通って油圧アクチュエータに到達し、その油圧室にオイルが満たされるまでの期間、タイミングチェーンに対する押圧力(張力調整のための押圧力)が得られない状態が生じる。
このような状態では、タイミングチェーンの張力を適切に調整することができず、その結果、タイミングチェーンに振動が発生して、例えばタイミングチェーンが上記ガイドプレートに対して離間する状態と接触する状態とが繰り返されるなどして異音(打音)が発生して、乗員に違和感を与えてしまう可能性がある。
このような不具合を解消するための手段として、オイルポンプが停止しても、油圧アクチュエータ内の油圧室にオイルを保持できるようなオイル保持機構を備えさせ、エンジンの始動と略同時に油圧アクチュエータ内に油圧が発生するようにした構成を採用することが考えられる。
しかしながら、これでは、構成が複雑化したり部品点数が増加してしまって、組み立て作業の煩雑化や、製造コストの高騰を招いてしまうため好ましくない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アクチュエータ(押圧力付与手段)からの押圧力が十分に得られていない状況であってもチェーン(無端状伝達体)の張力調整を適正に行うことが可能な張力付与機構を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、無端状伝達体に接触している当接部材に対して張力調整のための所定の押圧力が発生していない状況であっても、当接部材と無端状伝達体との間の摩擦力を有効に利用して、この当接部材の姿勢変化を行って、無端状伝達体に張力を付与できるようにしている。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、無端状伝達体に接触している当接部材に対して張力調整のための所定の押圧力が発生していない状況であっても、当接部材と無端状伝達体との間の摩擦力を有効に利用して、この当接部材の姿勢変化を行って、無端状伝達体に張力を付与できるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、駆動側回転体と従動側回転体とに亘って掛け渡された無端状伝達体に当接可能な当接面を有する当接部材と、この当接部材に対して無端状伝達体に向かう方向への押圧力を与えることで無端状伝達体に張力を付与する押圧力付与手段とを備えた張力付与機構を前提とする。この張力付与機構に対し、上記当接部材の当接面における無端状伝達体の走行方向上流側の端部に、当接面のその他の領域に比べて無端状伝達体との間での摩擦抵抗が大きく設定された高摩擦手段を設ける。これにより、上記押圧力付与手段から所定の押圧力が得られていない場合に、この高摩擦手段が無端状伝達体に接触し、この高摩擦手段と無端状伝達体との間の摩擦抵抗によって生じる当接部材の移動力によって当接部材が無端状伝達体に対して張力を高める方向へ姿勢変化する構成としている。
具体的に、本発明は、駆動側回転体と従動側回転体とに亘って掛け渡された無端状伝達体に当接可能な当接面を有する当接部材と、この当接部材に対して無端状伝達体に向かう方向への押圧力を与えることで無端状伝達体に張力を付与する押圧力付与手段とを備えた張力付与機構を前提とする。この張力付与機構に対し、上記当接部材の当接面における無端状伝達体の走行方向上流側の端部に、当接面のその他の領域に比べて無端状伝達体との間での摩擦抵抗が大きく設定された高摩擦手段を設ける。これにより、上記押圧力付与手段から所定の押圧力が得られていない場合に、この高摩擦手段が無端状伝達体に接触し、この高摩擦手段と無端状伝達体との間の摩擦抵抗によって生じる当接部材の移動力によって当接部材が無端状伝達体に対して張力を高める方向へ姿勢変化する構成としている。
この場合、上記押圧力付与手段としては、上記駆動側回転体を回転させるための駆動源の駆動力を受けて作動するオイルポンプからの油圧を受ける油圧アクチュエータが挙げられる。
これら特定事項により、例えば、油圧アクチュエータ(押圧力付与手段)内に殆どオイルが存在していない状態から上記駆動源の駆動に伴ってオイルポンプが作動しても、所定期間は油圧アクチュエータ内に油圧が発生しない状況となる。このような状況である期間中、本解決手段の構成によれば、無端状伝達体との間での摩擦抵抗が大きく設定された上記高摩擦手段が無端状伝達体に接触し、この高摩擦手段と無端状伝達体との間の摩擦抵抗によって生じる当接部材の移動力によって当接部材が姿勢変化する。例えば、この当接部材における無端状伝達体の走行方向上流側の端部が、無端状伝達体の走行位置を内側へ移行させるように引き込まれることになる。これにより無端状伝達体は走行位置の変化(走行位置が内側へ変化)に伴って張力が高められる。つまり、上記油圧アクチュエータに油圧が発生しない期間中であっても、当接部材の姿勢変化によって所定の張力が付与された状態となる。その後、油圧アクチュエータに所定の油圧が作用すると、この油圧による押圧力が当接部材を介して無端状伝達体に付与され、所定の張力が維持されることになる。このような動作が行われるため、本解決手段によれば、常に無端状伝達体の張力を適切に調整することができ、無端状伝達体の振動に伴う異音の発生を解消することができる。
上記当接部材を姿勢変化させるための具体的な構成としては以下のものが挙げられる。つまり、上記高摩擦手段が、上記押圧力付与手段から所定の押圧力が得られている場合には、無端状伝達体に接触せず、押圧力付与手段から所定の押圧力が得られていない場合にのみ無端状伝達体に接触して当接部材を姿勢変化させるものとしている。
これにより、押圧力付与手段から所定の押圧力が得られている場合、例えば上記油圧アクチュエータに所定の油圧が作用している状態では、高摩擦手段は無端状伝達体に接触せず、当接部材の当接面におけるその他の領域、つまり無端状伝達体との間での摩擦抵抗が小さく設定されている領域が無端状伝達体に当接して所定の押圧力を付与している。このため、当接部材と無端状伝達体との間での摩擦抵抗による動力伝達ロスを大幅に削減することができる。一方、押圧力付与手段から所定の押圧力が得られていない場合、例えば上記油圧アクチュエータに所定の油圧が作用していない状態では、上述した如く高摩擦手段が無端状伝達体に接触することで、当接部材に姿勢変化を行わせて無端状伝達体に所定の張力を付与させるようにしている。
より具体的な構成として、自動車用内燃機関に適用される張力付与機構として構成した場合、上記駆動側回転体はクランクシャフトに回転一体に取り付けられたクランクスプロケットであり、上記従動側回転体はカムシャフトに回転一体に取り付けられたカムスプロケットであり、上記無端状伝達体は上記クランクスプロケットおよびカムスプロケットに亘って掛け渡されたタイミングチェーンである。そして、上記押圧力付与手段が、タイミングチェーンの走行方向においてクランクスプロケットの上流側の領域である張り側領域に押圧力を付与する構成としている。
本発明では、無端状伝達体に当接可能な当接部材に対して張力調整のための所定の押圧力が発生していない状況であっても、当接部材と無端状伝達体との間の摩擦抵抗によって生じる力を有効に利用して、この当接部材の姿勢変化を行って、無端状伝達体に張力を付与できるようにしている。このため、常に無端状伝達体の張力を適切に調整することが可能になり、無端状伝達体の振動に伴う異音の発生を解消することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車用エンジンのタイミングチェーンに張力を付与するためのチェーンガイド機構に本発明を適用した場合について説明する。
図1は本実施形態に係るDOHC型の直列型エンジンの前面側を示し、シリンダブロック1の上部にシリンダヘッド2が固定されているとともに、下部にオイルパン3が取り付けられている。
シリンダヘッド2には、吸気カムシャフト21と排気カムシャフト22とが配置されている。また、シリンダブロック1の下部には、クランクシャフト11が配置されている。そして、後述するカムシャフト駆動機構4によって、クランクシャフト11の回転力が各カムシャフト21,22に伝達され、動弁系を駆動するようになっている。以下、このカムシャフト駆動機構4について説明する。
(カムシャフト駆動機構4)
上記カムシャフト駆動機構4は、クランクシャフト11の一端に回転一体に取り付けられたクランクスプロケット(駆動側回転体)41と、吸気カムシャフト21の一端に回転一体に取り付けられた吸気カムスプロケット(従動側回転体)42と、排気カムシャフト22の一端に回転一体に取り付けられた排気カムスプロケット(従動側回転体)43と、クランクスプロケット41および各カムスプロケット42,43に巻き掛けられ、クランクスプロケット41の駆動回転により各カムスプロケット42,43を従動回転させるタイミングチェーン(無端状伝達体)44とを備えている。このようなカムシャフト駆動機構4は、図示しないが、シリンダブロック1およびシリンダヘッド2の前面に取り付けられたカバーによって外方から覆われている。
上記カムシャフト駆動機構4は、クランクシャフト11の一端に回転一体に取り付けられたクランクスプロケット(駆動側回転体)41と、吸気カムシャフト21の一端に回転一体に取り付けられた吸気カムスプロケット(従動側回転体)42と、排気カムシャフト22の一端に回転一体に取り付けられた排気カムスプロケット(従動側回転体)43と、クランクスプロケット41および各カムスプロケット42,43に巻き掛けられ、クランクスプロケット41の駆動回転により各カムスプロケット42,43を従動回転させるタイミングチェーン(無端状伝達体)44とを備えている。このようなカムシャフト駆動機構4は、図示しないが、シリンダブロック1およびシリンダヘッド2の前面に取り付けられたカバーによって外方から覆われている。
ここで、例えばクランクスプロケット41が図1の矢印Aで示す方向(反時計回り)に回転する場合には、タイミングチェーン44は矢印Bで示す方向に走行することになる。従って、タイミングチェーン44の走行開始位置をクランクスプロケット41とすると、クランクスプロケット41と吸気カムスプロケット42との間の張架部分44aが回転方向下流側となり、排気カムスプロケット43とクランクスプロケット41との間の張架部分44bが回転方向上流側となる。そして、タイミングチェーン44は、回転方向下流側となる張架部分44aが最も弛みを生じる弛み側とされ、回転方向上流側となる張架部分44bが最も張りを生じる張り側とされている。
また、タイミングチェーン44には、タイミングチェーン44における回転方向下流側の張架部分44a(弛み側)において張力を調整するチェーンテンショナ装置5が設けられているとともに、タイミングチェーン44における回転方向上流側の張架部分44b(張り側)においてタイミングチェーン44(張架部分44b)をガイドするチェーンガイド機構(張力付与機構)6が設けられている。
上記チェーンテンショナ装置5は、可動ガイド51と、油圧アクチュエータ52とを備えている。
可動ガイド51は、そのクランクスプロケット41側の端部(図1では下側の端部)がシリンダブロック1に回転自在に支持されており、これによって自由端となる吸気カムスプロケット42側の端部(図1では上側の端部)をタイミングチェーン44の張架部分44aに対し外方から押し付けてガイドするようになっている。また、この可動ガイド51におけるタイミングチェーン44に当接する当接面には、タイミングチェーン44との間での摺動抵抗を小さくするための摺動材54が接着などの手段によって取り付けられている。
また、上記油圧アクチュエータ52は、可動ガイド51の吸気カムスプロケット42側の端部外方(図1では上端部右方)に設けられている。そして、油圧アクチュエータ52は、図示しないオイルポンプからの油圧を受けることで出没するプランジャ53を具備し、可動ガイド51の吸気カムスプロケット42側の端部をプランジャ53によりタイミングチェーン44の張架部分44aに対し押し付けて張力を調整するようになされている。つまり、このチェーンテンショナ装置5は、クランクスプロケット41と吸気カムスプロケット42との間の領域であるタイミングチェーン44の弛み側領域において張力を調整するように構成されている。
一方、チェーンガイド機構6も上述したチェーンテンショナ装置5と略同様の構成となっている。つまり、このチェーンガイド機構6は、ガイドプレート(当接部材)61と、油圧アクチュエータ(押圧力付与手段)62とを備えている。
ガイドプレート61は、そのクランクスプロケット41側の端部(図1では下側の端部)が、後述する支持機構64によって所定範囲内で移動自在に支持されている。この支持機構64の構成については後述する。そして、このガイドプレート61は、上記油圧アクチュエータ62の作動に伴って発生する押圧力を受けて、タイミングチェーン44の張架部分44bに対し外方から押し付けてガイドするようになっている。
また、油圧アクチュエータ62は、ガイドプレート61の長手方向の略中間部分に設けられている。そして、この油圧アクチュエータ62は、図示しないオイルポンプからの油圧を受けることで出没するプランジャ63を具備し、このプランジャ63によりタイミングチェーン44の張架部分44bに対して押圧力を作用させることにより張力を調整するようになされている。つまり、このチェーンガイド機構6は、クランクスプロケット41と排気カムスプロケット43との間の領域であるタイミングチェーン44の張り側領域において張力を調整するように構成されている。
そして、本実施形態の特徴とするところは、上記ガイドプレート61の構成、および、このガイドプレート61の支持構造にある。
先ず、ガイドプレート61の構成について説明する。このガイドプレート61は、図1に示すように、背面側に上記油圧アクチュエータ62のプランジャ63が接続されていると共に後述する支持機構64によって支持されるプレート本体65と、このプレート本体65の表面(タイミングチェーン44に対向する側の面)に設けられた摺動材66とを備えている。
上記プレート本体65は、例えば金属製であって、その長手方向(タイミングチェーン44の延長方向に沿う方向)の中央部に上記油圧アクチュエータ62のプランジャ63が接続されている。つまり、油圧アクチュエータ62に油圧が作用してプランジャ63が前進した場合、この接続部分が押圧力を受けることになる。尚、このプレート本体65は樹脂製であってもよい。
上記摺動材66は、上述した如くプレート本体65の表面に接着などの手段によって取り付けられている。そして、この摺動材66は、このプレート本体65の長手方向の中央部分およびこの中央部分よりも下側(クランクスプロケット41側)に亘る広範囲に設けられた第1摺動材66aと、プレート本体65の上端部分(排気カムスプロケット43側の端部)に設けられた第2摺動材(高摩擦手段)66bとにより構成されている。これら第1摺動材66aおよび第2摺動材66bにおけるタイミングチェーン44側の表面が、ガイドプレート61におけるタイミングチェーン44に対する当接面となっている。
より具体的には、上記プレート本体65は、湾曲した板材で形成されており、その長手方向の中央部分からその下側(クランクスプロケット41側)に亘る大部分の曲率半径よりも、上端部分(排気カムスプロケット43側)の曲率半径の方が小さく設定されている。このため、図1に示すようにプレート本体65が油圧アクチュエータ62からの押圧力を受けた状態では、ガイドプレート61の中央部分からその下側に亘る部分がタイミングチェーン44の外面に当接して、このタイミングチェーン44に押圧力を与え、ガイドプレート61の上端部分は、タイミングチェーン44の外面から後退して、タイミングチェーン44には当接しない状態となる。そして、上記第1摺動材66aは、この場合におけるタイミングチェーン44の外面に当接する領域に設けられている。一方、第2摺動材66bは、この場合におけるタイミングチェーン44の外面に当接しない領域に設けられている。
そして、上記第1摺動材66aは、タイミングチェーン44の表面との間での摺動抵抗が比較的低い材料が適用されている。一方、第2摺動材66bは、タイミングチェーン44の表面との間での摺動抵抗が上記第1摺動材66aに比べて高い材料が適用されている。
具体的に、上記第1摺動材66aとしては、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などが適用され、第2摺動材66bとしては、フェノール樹脂、より具体的にはベークライトが適用されている。これら材料は、これに限定されるものではなく、上記摩擦抵抗の条件を満たすものであれば任意の材料が適用可能である。
次に、上記ガイドプレート61の下端部を支持する支持機構64について説明する。図2は、図1におけるII−II線に沿った断面図であって、支持機構64を上側から見た図である。図1および図2に示すように、支持機構64は、ガイドプレート61の下端部を所定の範囲内で水平方向に移動自在に支持するものである。
具体的には、シリンダブロック1の前面が僅かに膨出されて成る膨出部64aと、この膨出部64aの一端縁(タイミングチェーン44の配設位置から離隔する側の一端縁:図2においては下端縁)からエンジン前方側(図1における手前側、図2における右側)に向けて延びる立設片64bと、この立設片64bの先端縁からシリンダブロック1の前面に沿って延びる支持片64cとが設けられており、この膨出部64a、立設片64b、支持片64cが平面視において略コ字状に形成されている。そして、これら三者によって囲まれた空間の内部に上記ガイドプレート61の下端部が位置されている。また、このガイドプレート61の下端部におけるシリンダブロック1の前面に対向する内面61aおよびシリンダブロック1の前面側とは反対側の外面61bにはそれぞれ水平方向に延びる係止ピン67a,67bが立設されている。
一方、上記膨出部64aには、水平方向に延びる長孔形状で成る凹陥部64dが形成されており、支持片64cには、この凹陥部64dに対向する位置に同じく長孔形状で成る貫通孔64eが形成されている。
そして、上記ガイドプレート61の内面61aに立設されている係止ピン67aは、膨出部64aに形成されている凹陥部64dに挿入されていると共に、上記ガイドプレート61の外面61bに立設されている係止ピン67bは、支持片64cに形成されている貫通孔64eに挿入されている。これにより、ガイドプレート61の下端部は、各係止ピン67a,67bが、凹陥部64dおよび貫通孔64eの長手方向の一端部に当接する位置(タイミングチェーン44に近接する側の位置:図1に示す位置)と他端部に当接する位置(タイミングチェーン44から離隔する側の位置:図3に示す位置)との間で移動自在に支持されていることになる。
(張力調整動作)
次に、上述の如く構成されたテンショナ装置5およびチェーンガイド機構6による張力調整動作について説明する。
次に、上述の如く構成されたテンショナ装置5およびチェーンガイド機構6による張力調整動作について説明する。
エンジンが運転している場合であって、クランクシャフト11の回転力を受けるオイルポンプからの油圧が上記各油圧アクチュエータ52,62に対して十分に供給されている状況では、図1に示すように、テンショナ装置5およびチェーンガイド機構6による張力調整動作が良好に行われ、タイミングチェーン44には適正な張力が付与されている。これにより、クランクスプロケット41の回転動力が、タイミングチェーン44を介して吸気カムスプロケット42および排気カムスプロケット43にそれぞれ伝達され、動弁系を駆動させる。
この場合、チェーンガイド機構6では、油圧アクチュエータ62からの押圧力をガイドプレート61が受けることで、このガイドプレート61の下端に設けられている上記係止ピン67a,67bは、上記支持機構64の凹陥部64dおよび貫通孔64e内においてタイミングチェーン44に近接する側に位置している。つまり、ガイドプレート61は、その下側部分がタイミングチェーン44の外面に近接するような姿勢となり、ガイドプレート61の中央部分からその下側に亘る部分がタイミングチェーン44の外面に当接し、ガイドプレート61の上端部分がタイミングチェーン44の外面から後退する。つまり、上記第1摺動材66aがタイミングチェーン44の外面に当接し、第2摺動材66bはタイミングチェーン44の外面に当接しない状態となる。この場合、上述した如く第1摺動材66aは、タイミングチェーン44の表面との間での摺動抵抗が比較的低い材料が適用されているため、ガイドプレート61とタイミングチェーン44との間での摩擦抵抗による動力伝達ロスは大幅に削減されている。
一方、長期間に亘ってエンジン停止状態が継続されるなどして、各油圧アクチュエータ52,62内にオイルが殆ど存在していない状態からエンジンが始動された場合、オイルポンプが駆動しても、このオイルポンプから吐出されたオイルがオイル通路を通って油圧アクチュエータ52,62に到達し、その油圧室にオイルが満たされるまでの期間は、タイミングチェーン44に対する油圧による押圧力(張力調整のための押圧力)を得ることができない。
このような状況において、本実施形態では、上記チェーンガイド機構6のガイドプレート61は、油圧アクチュエータ62からの押圧力を受けないため、この油圧アクチュエータ62による位置規制が解除された状態となっている。つまり、このガイドプレート61は、その下端部が上記支持機構64による位置規制の範囲内において移動が可能な状態である。このような状況で、図3に示すように、ガイドプレート61の表面に設けられている第2摺動材66bがタイミングチェーン44に接触する状態になると、この第2摺動材66bとタイミングチェーン44との間の摩擦抵抗によって、ガイドプレート61が姿勢変化する移動力が発生する。具体的には、図3に矢印Cで示すように時計回り方向の移動力(ガイドプレート61の上端部分がタイミングチェーン44を内側へ押し込むような移動力)がガイドプレート61に発生し、このガイドプレート61におけるタイミングチェーン44の走行方向上流側の端部(図3における上側の端部)がタイミングチェーン44の走行位置を内側へ移行させるように引き込まれることになる。これによりタイミングチェーン44は走行位置の変化に伴って張力が高められることになる。
この場合、ガイドプレート61の下端に設けられている上記係止ピン67a,67bは、上記支持機構64の凹陥部64dおよび貫通孔64e内においてタイミングチェーン44から離間する側に位置している。つまり、ガイドプレート61は、その下側部分がタイミングチェーン44の外面から離れるような姿勢となり、ガイドプレート61の中央部分からその下側に亘る部分がタイミングチェーン44の外面から後退し、ガイドプレート61の上端部分がタイミングチェーン44の外面に当接することで上記姿勢変化を行ってタイミングチェーン44の張力を高める。
このように、本実施形態では、油圧アクチュエータ52,62に油圧が発生しない期間中であっても、ガイドプレート61の姿勢変化によって所定の張力が付与された状態となる。
そして、その後、油圧アクチュエータ52,62に所定の油圧が作用すると、この油圧による押圧力がガイドプレート61に作用することで、このガイドプレート61は図1に示す姿勢となり(図1に破線で示す矢印Dを参照)、タイミングチェーン44に張力が付与されることになる。このような動作が行われるため、本実施形態によれば、常にタイミングチェーン44の張力を適切に調整することができ、タイミングチェーンの振動に伴う異音の発生を解消することができる。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態は、自動車用エンジンのタイミングチェーン44に張力を付与するためのチェーンガイド機構6に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他の装置に備えられた無端状伝達体に張力を付与する機構に対しても適用可能である。また、無端状伝達体としては、チェーンに限らずベルト(例えば自動車用タイミングベルト)であってもよい。
以上説明した実施形態は、自動車用エンジンのタイミングチェーン44に張力を付与するためのチェーンガイド機構6に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他の装置に備えられた無端状伝達体に張力を付与する機構に対しても適用可能である。また、無端状伝達体としては、チェーンに限らずベルト(例えば自動車用タイミングベルト)であってもよい。
また、上記実施形態では、チェーンガイド機構6に本発明を適用した場合について説明したが、チェーンテンショナ装置5に対しても適用可能である。この場合、図1における上側が可動ガイド51の回動支点となり、下側が油圧アクチュエータ52による押圧部分となる。また、チェーンテンショナ装置5の可動ガイド51に対して、チェーン走行方向下流側に上記第1摺動材(タイミングチェーン44の表面との間での摺動抵抗が低い摺動材)をチェーン走行方向上流側に第2摺動材(タイミングチェーン44の表面との間での摺動抵抗が高い摺動材)をそれぞれ適用することになる。
更に、上記実施形態では、ガイドプレート61に取り付けられる摺動材66として、第1摺動材66aおよび第2摺動材66bを互いに異なる材質としていた。本発明はこれに限らず、第1摺動材66aおよび第2摺動材66bを同一の材料で構成し、その表面形状を異ならせるようにしてもよい。例えば、第1摺動材66aの表面(タイミングチェーン44と接触する面)を平滑面とし、第2摺動材66bの表面を凹凸面とする構成などが挙げられる。
また、油圧アクチュエータ62に油圧が作用していない状況において、上記第2摺動材66bがタイミングチェーン44に接触する状態を迅速に得るための構成を付加しておいてもよい。例えば、上記ガイドプレート61の係止ピン67a,67bに対してタイミングチェーン44から離間する方向への付勢力を付与する手段(例えば凹陥部64dや貫通孔64eの内部にコイルスプリングを設ける構成など)を適用することが挙げられる。
また、上記実施形態では、油圧アクチュエータ62に所定の油圧が作用している状態(図1に示す状態)では、第2摺動材66bの全体がタイミングチェーン44の外面に当接しない状態となるようにしていた。これに代えて、油圧アクチュエータ62に所定の油圧が作用している状態であっても第2摺動材66bの一部分のみがタイミングチェーン44の外面に当接するような構成としてもよい。
11 クランクシャフト
21 吸気カムシャフト
22 排気カムシャフト
41 クランクスプロケット(駆動側回転体)
42 吸気カムスプロケット(従動側回転体)
43 排気カムスプロケット(従動側回転体)
44 タイミングチェーン(無端状伝達体)
44b 張架部分(タイミングチェーンの張り側領域)
6 チェーンガイド機構(張力付与機構)
61 ガイドプレート(当接部材)
62 油圧アクチュエータ(押圧力付与手段)
66b 第2摺動材(高摩擦手段)
21 吸気カムシャフト
22 排気カムシャフト
41 クランクスプロケット(駆動側回転体)
42 吸気カムスプロケット(従動側回転体)
43 排気カムスプロケット(従動側回転体)
44 タイミングチェーン(無端状伝達体)
44b 張架部分(タイミングチェーンの張り側領域)
6 チェーンガイド機構(張力付与機構)
61 ガイドプレート(当接部材)
62 油圧アクチュエータ(押圧力付与手段)
66b 第2摺動材(高摩擦手段)
Claims (4)
- 駆動側回転体と従動側回転体とに亘って掛け渡された無端状伝達体に当接可能な当接面を有する当接部材と、この当接部材に対して無端状伝達体に向かう方向への押圧力を与えることで無端状伝達体に張力を付与する押圧力付与手段とを備えた張力付与機構において、
上記当接部材の当接面における無端状伝達体の走行方向上流側の端部には、当接面のその他の領域に比べて無端状伝達体との間での摩擦抵抗が大きく設定された高摩擦手段が設けられており、上記押圧力付与手段から所定の押圧力が得られていない場合に、この高摩擦手段が無端状伝達体に接触し、この高摩擦手段と無端状伝達体との間の摩擦抵抗によって生じる当接部材の移動力によって当接部材が無端状伝達体に対して張力を高める方向へ姿勢変化するよう構成されていることを特徴とする張力付与機構。 - 上記請求項1記載の張力付与機構において、
上記押圧力付与手段は、上記駆動側回転体を回転させるための駆動源の駆動力を受けて作動するオイルポンプからの油圧を受ける油圧アクチュエータであることを特徴とする張力付与機構。 - 上記請求項1または2記載の張力付与機構において、
上記高摩擦手段は、上記押圧力付与手段から所定の押圧力が得られている場合には、無端状伝達体に接触せず、押圧力付与手段から所定の押圧力が得られていない場合にのみ無端状伝達体に接触して当接部材を姿勢変化させるものであることを特徴とする張力付与機構。 - 上記請求項1、2または3記載の張力付与機構において、
自動車用内燃機関に適用され、
上記駆動側回転体はクランクシャフトに回転一体に取り付けられたクランクスプロケットであり、上記従動側回転体はカムシャフトに回転一体に取り付けられたカムスプロケットであり、上記無端状伝達体は上記クランクスプロケットおよびカムスプロケットに亘って掛け渡されたタイミングチェーンであって、
上記押圧力付与手段は、タイミングチェーンの走行方向においてクランクスプロケットの上流側の領域である張り側領域に押圧力を付与する構成とされていることを特徴とする張力付与機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008166957A JP2010007541A (ja) | 2008-06-26 | 2008-06-26 | 張力付与機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008166957A JP2010007541A (ja) | 2008-06-26 | 2008-06-26 | 張力付与機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010007541A true JP2010007541A (ja) | 2010-01-14 |
Family
ID=41588323
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008166957A Withdrawn JP2010007541A (ja) | 2008-06-26 | 2008-06-26 | 張力付与機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010007541A (ja) |
-
2008
- 2008-06-26 JP JP2008166957A patent/JP2010007541A/ja not_active Withdrawn
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