JP2010005292A - 火災時危険度評価装置、移動経路選択装置、火災時危険度評価プログラム及び移動経路選択プログラム - Google Patents

火災時危険度評価装置、移動経路選択装置、火災時危険度評価プログラム及び移動経路選択プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】火災時の建物内の任意の区画の危険度の正確な評価を可能とする。
【解決手段】建物内に設けられた防火区画のうち、火災時に火が伝わる可能性がある全ての防火区画の組み合わせについて、境界に防火設備が有る場合は当該防火設備が正常に機能しているか否かに応じて、境界に防火設備が無い場合は防火区画の形成材料に応じて、火災時に延焼する確率を隣接延焼リスク値として設定してテーブルに登録し、隣接煙拡大リスクも同様に設定登録する(56〜74)ことを、延焼や煙拡大の可能性がある全ての防火区画の組み合わせについて各々行う。火災時には、隣接延焼リスク値及び隣接煙拡大リスク値を用い、火元の防火区画から評価対象の防火区画に至る個々の延焼経路毎の延焼リスク値及び個々の煙到達経路毎の煙到達リスク値を各々演算して評価対象の防火区画の危険度を評価し、人が存在している防火区画からの避難経路を選択する。
【選択図】図5

Description

本発明は火災時危険度評価装置、移動経路選択装置、火災時危険度評価プログラム及び移動経路選択プログラムに係り、特に、火災時の危険度をリアルタイムに評価する火災時危険度評価装置、火災時の危険度に基づいて人の移動経路を選択する移動経路選択装置、コンピュータを前記火災時危険度評価装置として機能させるための火災時危険度評価プログラム、及び、コンピュータを移動経路選択装置として機能させるための移動経路選択プログラムに関する。
建物の火災時には、建物内に存在する人を安全な避難経路へ誘導する必要がある。しかし、火災の進行度合いや進行の仕方によっては、当初は安全と考えていた避難経路の危険度が一転して著しく増大する可能性もあり、安全な避難経路は火災の発生から鎮火迄の間一定であるとは限らない。これに関連して特許文献1には、火災の発生及び発生箇所を火煙検知用センサ等によって検出すると共に、入館者が各々所持するトランスポンディングカードによって入館者数や所在位置を把握し、入館者の避難誘導を行う技術が開示されており、火災の進行状況に応じて安全な避難路を順次変更することも記載されている。
特開昭62−57092号公報
上記のように、特許文献1には、火災の進行状況に応じて安全な避難路を順次変更することは開示されているものの、安全な避難路を具体的にどのように判断するかについては記載されていない。特許文献1に記載の技術では、火煙検知用センサ等によって火災の発生箇所を検出しており、この火煙検知用センサ等によって、建物内の火や煙が存在している箇所の変化、すなわち火災の進行状況も把握できることから、特許文献1に記載の技術における安全な避難路の判断方法には、火や煙が存在している箇所からの距離が大きくなるに従って安全度が高くなると判断するアルゴリズム、例えばトランスポンディングカードによって所在位置を把握した入館者に対し、火煙検知用センサ等によって検出された、建物内の火や煙が現存している箇所からなるべく離間した避難路を安全な避難路と判断するアルゴリズムが適用されている可能性が高いと推察される。
しかしながら、火や煙が存在している箇所からの距離は安全度を評価するための一要素ではあるものの、現実の火災では、例えば火災発生箇所に隣り合った箇所へ延焼しない一方で、火災発生箇所から離間した箇所へ火が及ぶこともあり、建物内の各箇所の安全度は、火や煙が存在している箇所からの距離とは必ずしも対応していない。従って、上記のように火や煙が存在している箇所からの距離が大きくなるに従って安全度が高くなると判断した場合、建物内の各箇所の安全度を正確に評価できないという問題がある。そして、建物内の各箇所の安全度を正確に評価できないことから、建物内に存在する人が避難誘導に従い或る避難路を移動している途中で、移動している避難路の危険度が一転して著しく増大する可能性も否定できず、この場合、別の避難路へ迂回せざるを得なくなることで、結局は避難に要する時間が長時間化することもある、という問題もある。
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、火災時の建物内の任意の区画の危険度を正確に評価できる火災時危険度評価装置及び火災時危険度評価プログラムを得ることが目的である。また本発明は、上記評価結果を利用して、建物内における安全性の高い人の移動経路を正確に選択できる移動経路選択装置及び移動経路選択プログラムを得ることが目的である。
本願発明者等は、RC造やSRC造、S造等のように防火性・気密性の高い建物について、火災時に火や煙が建物内をどのように広がるか、その広がり方に影響を与える要因は何かについて検討を行った。RC造やSRC造、S造等の建物の内部は、複数の防火区画に区画されていると共に複数の防煙区画に区画されており、防火区画には隣接する防火区画との境界に防火設備が設置され、防煙区画には防煙設備が設置されている。上記検討の結果、防火区画又は防煙区画から成る建物内部の個々の区画に設置された防火設備や防煙設備の性能、或いは防火設備や防煙設備がその機能を果たしているか否かは、火災時の火や煙の広がり方に多大な影響を与えるとの知見を得た。
上記知見に基づき請求項1記載の発明に係る火災時危険度評価装置は、防火区画又は防煙区画から成る建物内部の個々の区画に各々設置され、設置された区画内に存在する火及び煙の少なくとも一方を検知する第1検知手段と、前記建物内部の前記個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備の情報を含む建物属性情報を記憶する記憶手段と、前記第1検知手段によって火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る複数の経路について、前記記憶手段に記憶された建物属性情報に基づき、火又は煙が前記特定区画から前記経路を通って前記評価対象の区画へ到達する到達確率を各々演算することを繰り返す演算手段と、前記演算手段により前記複数の経路について各々演算された前記到達確率に基づいて前記評価対象の区画の危険度を評価し、評価結果を出力することを繰り返す評価手段と、を含んで構成されている。
請求項1記載の発明は、防火区画又は防煙区画から成る建物内部の個々の区画に各々設置され、設置された区画内に存在する火及び煙の少なくとも一方を検知する第1検知手段を備えている。なお、第1検知手段は火及び煙の一方のみを検知する構成であってもよいが、火及び煙を各々検知する構成であることが望ましい。この第1検知手段により、建物内の個々の区画に火及び煙の少なくとも一方が存在するか否かを、火災時にリアルタイムに把握することが可能となる。
また、請求項1記載の発明では、建物内部の個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備の情報を含む建物属性情報が記憶手段に記憶されている。なお、個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備の情報としては、例えば個々の区画に設置された防火又は防煙設備の性能(防火性能又は防煙性能)を判断可能な情報、例えば個々の区画に設置された防火又は防煙設備の性能を表す情報、或いは、設置された防火又は防煙設備の種類を表す情報(例えば防火設備であれば常時閉鎖の防火戸、随時閉鎖の防火戸、シャッター及び不燃扉の何れであるかを表す情報、防煙設備であれば自然排煙設備及び機械排煙設備の何れであるかを表す情報等)を適用することができる。また、建物属性情報には個々の区画の配置位置を表す区画配置情報が含まれていてもよく、次に述べる複数の経路はこの区画配置情報から認識可能である。但し、区画配置情報は必須の情報ではなく、後述する請求項2に記載のイベントツリー情報が建物属性情報に含まれている場合は省略することも可能である。
また、請求項1記載の発明に係る演算手段は、第1検知手段によって火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る複数の経路について、記憶手段に記憶された建物属性情報に基づき、火又は煙が特定区画から前記経路を通って評価対象の区画へ到達する到達確率を各々演算することを繰り返す。なお、或る経路についての火又は煙の到達確率の演算は、例えば建物属性情報のうちの防火設備又は防煙設備の情報等に基づき、隣接する一対の区画の間での火又は煙の伝播確率を判断することを、前記或る経路上に並ぶ各区画の間について各々行い、判断した各区画の間の伝播確率を全て乗ずることで行うことができる。また、火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る複数の経路は、例えば建物属性情報に前述の区画配置情報が含まれている場合は当該区画配置情報から、建物属性情報に後述する請求項2に記載のイベントツリー情報が建物属性情報に含まれている場合は当該イベントツリー情報から各々認識可能であり、或る経路上に並ぶ各区画についても、例えば同様に区画配置情報又はイベントツリー情報から認識可能である。また、複数の経路について火又は煙の到達確率を演算する評価対象の区画は、建物内の単一の区画であってもよいが、建物内の全区画を評価対象として、複数の経路についての火又は煙の到達確率の演算を行ってもよいし、建物内の全区画のうち特定区画から火又は煙が到達しないと判断できる区画を除外した各区画についてのみ、上記の到達確率の演算を行うようにしてもよい。
第1検知手段によって火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る各経路上に存在している防火設備又は防煙設備は、建築属性情報に基づいて把握することができるので、上記のように、建物属性情報に基づき、火又は煙が特定区画から前記経路を通って評価対象の区画へ到達する到達確率を各経路について各々演算することで、特定区画から火又は煙が各経路を通って評価対象の区画へ到達する到達確率を正確に演算することができる。なお、建物内にスプリンクラー等の消火設備が設置されている場合は、建物属性情報にこの消火設備の情報も含めておき、到達確率の演算に際して消火設備の有無も考慮することが望ましい。これにより、到達確率の演算精度を更に向上させることができる。また演算手段は、上記のように複数の経路について火又は煙の到達確率を演算することを繰り返すので、火災の進行に伴い、特定区画から火又は煙が各経路を通って評価対象の区画へ到達する到達確率が変化した場合にも、変化した後の最新の到達確率が適宜演算されることになる。
そして、請求項1記載の発明に係る評価手段は、演算手段により複数の経路について各々演算された到達確率に基づいて評価対象の区画の危険度を評価し、評価結果を出力することを繰り返す。なお、評価手段による評価対象の区画の危険度の評価は、例えば請求項5に記載したように、演算手段により複数の経路について各々演算された到達確率のうちの最大値を、評価対象の区画の危険度を表す評価値として選択することによって行うことができる。前述のように、演算手段により、特定区画から火又は煙が各経路を通って評価対象の区画へ到達する最新かつ正確な到達確率が演算されるので、上記の到達確率に基づいて評価対象の区画の危険度を評価することで、評価対象の区画の危険度を正確に評価することができる。また請求項1記載の発明において、評価対象の区画としては建物内の任意の区画を適用可能である。従って、請求項1記載の発明によれば、火災時の建物内の任意の区画の危険度を正確に評価することができる。
また、請求項1記載の発明において、特定区画から火又は煙が評価対象の区画へ到達する際に火又は煙が通る可能性の有る経路については、前述した区画配置情報等に基づき、到達確率演算の都度認識するようにしてもよいが、例えば請求項2に記載したように、記憶手段に記憶されている建物属性情報に、建物内部の任意の第1区画から任意の第2区画へ火又は煙が到達可能な全ての経路を表すイベントツリーが、建物内部の個々の区画の配置を含む建物の構造に基づき、個々の区画を各々前記第1区画とし、前記第1区画としての区画から火又は煙が到達する可能性がある各区画を各々前記第2区画とする各組み合わせについて各々設定されて成るイベントツリー情報を含めておき、演算手段を、記憶手段に記憶されているイベントツリー情報の中から、特定区画を第1区画とし、評価対象の区画を第2区画とするイベントツリーの情報を読み出し、読み出したイベントツリーの情報に基づき特定区画から評価対象の区画へ至る複数の経路を認識するように構成することが好ましい。これにより、到達確率演算の都度、特定区画から火又は煙が評価対象の区画へ到達する際に火又は煙が通る可能性の有る経路を認識する必要が無くなり、演算手段の負荷低減、処理時間の短縮を実現することができる。
なお、火災時の火の伝播の仕方と煙の伝播の仕方は相違しており、特定区画から評価対象の区画へ到達する火が通る可能性の有る経路と、特定区画から評価対象の区画へ到達する煙が通る可能性の有る経路も同一ではないので、特定区画から評価対象の区画へ火が到達する到達確率と、特定区画から評価対象の区画へ煙が到達する到達確率を各々演算する場合には、火に関するイベントツリーと煙に関するイベントツリーを各々別個に設定し、イベントツリー情報として記憶手段に記憶させることが好ましい。
火に関するイベントツリーについては、具体的には、例えばまず特定区画を基準区画に設定し、「火は同じ平面内又は上方へ延焼する」という延焼ルールに基づき、基準区画から延焼する可能性がある区画を抽出し、抽出した区画から選択した区画を基準区画に設定することを、評価対象の区画へ到達する迄繰り返すことで、特定区画から評価対象の区画へ到達する火が通る可能性の有る経路を全て抽出し、抽出した個々の経路を抽出した区画の連なりで表すことで設定することができる。なお、上記処理において、基準区画に設定する区画の選択では、単一の経路上に同一の区画が複数回出現しないように、単一の経路を抽出する途中で既に選択した区画は選択対象から除外される。
また、煙に関するイベントツリーについては、具体的には、例えばまず特定区画を基準区画に設定し、「煙は同じ平面内又は上方へ広がる」及び「階段室等の吹き抜け区間では天井まで上昇した後に同じ平面内へ広がる」という煙伝播ルールに基づき、基準区画から煙が広がる可能性がある区画を抽出し、抽出した区画から選択した区画を基準区画に設定することを、評価対象の区画へ到達する迄繰り返すことで、特定区画から評価対象の区画へ到達する煙が通る可能性の有る経路を全て抽出し、抽出した個々の経路を抽出した区画の連なりで表すことで設定することができる。なお、上記処理における、基準区画に設定する区画の選択についても、単一の経路上に同一の区画が複数回出現しないように、単一の経路を抽出する途中で既に選択した区画は選択対象から除外される。
また、建物の設置された防火設備や防煙設備は、設置されてからの経過期間が長くなると経年劣化によって機能しない場合もある。そして、火災時の火や煙の伝播の仕方(火や煙がどのような経路を通って広がるか)は、設置されている防火設備や防煙設備が機能しているか否かによって大きく相違する。これを考慮すると、請求項1又は請求項2記載の発明において、例えば請求項3に記載したように、建物内部の個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備が機能しているか否かを検知する第2検知手段を設けてもよく、この場合、演算手段は、隣接する一対の区画に設置された防火設備又は防煙設備に対する第2検知手段の検知結果に基づいて、隣接する一対の区画の間での火又は煙の伝播確率を判断することを、到達確率の演算対象の経路上に並ぶ各区画の間について各々行い、判断した各区画の間の伝播確率を全て乗ずることで、到達確率の演算対象の経路についての到達確率を演算するように構成することが好ましい。これにより、防火設備又は防煙設備が機能しているか否かを正確に検知することができ、検知結果に基づいて評価対象の区画に火又は煙が到達する到達確率をより正確に求めることができる。
また、火災時には火の延焼や煙の拡大に伴い、第1検知手段によって複数の区画で火又は煙が検知される状況となるが、複数の区画で火又は煙が検知されている場合、評価対象の区画に火又は煙が到達する複数の経路で火元又は煙の元となる区画(各経路上の各区画のうち火又は煙が検知されかつ評価対象の区画から最も近い区画:特定区画に相当)は一定ではなくなり、火元又は煙の元となる区画は経路によって相違することになる。これを考慮すると、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、演算手段は、例えば請求項4に記載したように、第1検知手段によって火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る経路の途中に、第1検知手段によって火又は煙が検知された別の区画が存在している場合に、前記経路を別の区画を先頭とする経路に切替えて到達確率の演算を行うように構成することが好ましい。
これにより、火又は煙が検知された区画の増加に伴い、評価対象の区画とそれ迄の特定区画との間の経路上に存在する区画で火又は煙が新たに検知された経路については、火又は煙が新たに検知された区画を開始点とする新たな経路について到達確率が演算されることになる。従って、請求項4記載の発明によれば、火又は煙が検知された区画が増加した場合に、個々の経路を単位として経路の開始点(火元又は煙の元となる経路の開始点の区画)を切替えることを、簡単な処理によって実現することができる。
また、請求項1〜請求項4の何れかに記載の発明において、評価手段による評価対象の区画の危険度の評価は、例えば請求項5に記載したように、演算手段により複数の経路について各々演算された到達確率のうちの最大値を、評価対象の区画の危険度を表す評価値として選択することで行うことができる。
請求項6記載の発明に係る移動経路選択装置は、前記第1検知手段が、前記建物内部の個々の区画内に存在する火及び煙を各々検知し、前記演算手段が、前記特定区画から前記評価対象の区画へ至る火の複数の経路について前記評価対象の区画へ到達する火の到達確率を各々演算すると共に、前記特定区画から前記評価対象の区画へ至る煙の複数の経路について前記評価対象の区画へ到達する煙の到達確率を各々演算し、前記評価手段が、複数の経路について各々演算された火の到達確率に基づいて前記評価対象の区画の火に関する危険度を評価すると共に、複数の経路について各々演算された煙の到達確率に基づいて前記評価対象の区画の煙に関する危険度を評価するように構成された請求項1〜請求項5の何れか1項記載の火災時危険度評価装置と、前記記憶手段に記憶されている建物属性情報に基づいて、前記建物内の第1箇所から前記建物内の第2箇所へ至る人の移動経路の候補を抽出する抽出手段と、移動経路候補上に存在する各区画について前記火災時危険度評価装置によって評価された火に関する危険度及び煙に関する危険度に基づいて、前記移動経路候補の安全度を評価することを、前記抽出手段によって抽出された移動経路候補に対して各々行い、安全度の評価が最大の移動経路候補を前記第1箇所から前記第2箇所へ至る人の移動経路として選択する選択手段と、を備えている。
請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の火災時危険度評価装置を備えており、この火災時危険度評価装置は、第1検知手段が、建物内部の個々の防火区画内に存在する火及び煙を各々検知するように構成され、演算手段が、特定区画から評価対象の区画へ至る火の複数の経路について評価対象の区画へ到達する火の到達確率を各々演算すると共に、特定区画から評価対象の区画へ至る煙の複数の経路について評価対象の区画へ到達する煙の到達確率を各々演算するように構成され、評価手段が、複数の経路について各々演算された火の到達確率に基づいて評価対象の区画の火に関する危険度を評価すると共に、複数の経路について各々演算された煙の到達確率に基づいて評価対象の区画の煙に関する危険度を評価するように構成されている。
また、請求項6記載の発明では、記憶手段に記憶されている建物属性情報に基づいて、建物内の第1箇所から建物内の第2箇所へ至る人の移動経路の候補が抽出手段によって抽出される。なお、請求項7に記載したように、上記の第1箇所(移動経路の開始点)の典型例は人が存在している区画、第2箇所(移動経路の終了点)の典型例は建物の避難口が存在する区画であり、この場合、移動経路の候補として、人が存在する区画から建物の避難口が存在する区画へ移動するための移動経路(避難経路)の候補が抽出手段によって抽出されることになるが、これに限られるものではなく、例えば第1箇所が建物の入口が設けられた区画、第2箇所が第1検知手段によって火が検知された区画であってもよい。この場合、移動経路の候補として、消火活動のための移動経路の候補が抽出手段によって抽出されることになる。
そして、請求項6記載の発明に係る選択手段は、移動経路候補上に存在する各区画について火災時危険度評価装置によって評価された火に関する危険度及び煙に関する危険度に基づいて、移動経路候補の安全度を評価することを、抽出手段によって抽出された移動経路候補に対して各々行い、安全度の評価が最大の移動経路候補を第1箇所から第2箇所へ至る人の移動経路として選択する。上記の移動経路の安全度の評価は、例えば移動経路候補上に存在する各区画について火災時危険度評価装置によって評価された火に関する危険度を積算すると共に、各区画についての火災時危険度評価装置によって評価された煙に関する危険度を積算し、両者の加算値、重み付き加算値、平均値等の何れかを、その移動経路候補についての火及び煙に関する危険度とすることを、個々の移動経路候補について各々行い、火及び煙に関する危険度が最小の移動経路候補を選択することで行うことができる。
請求項6記載の発明では、本発明に係る火災時危険度評価装置によれば、建物内の任意の区画に対する危険度を正確に評価できることを利用し、第1箇所から第2箇所へ至る人の移動経路候補の安全度を評価しているので、移動経路候補の安全度を正確に評価することができる。従って、請求項6記載の発明によれば、本発明に係る火災時危険度評価装置による火災時の建物内の任意の区画に対する危険度の評価結果を利用して、建物内における安全性の高い人の移動経路を正確に選択することができる。
また、請求項6記載の発明において、例えば請求項7に記載したように、建物内部の個々の区画に各々設置され、設置された区画内に存在する人を検知する第3検知手段を更に設け、抽出手段を、第3検知手段によって人が存在することが検知された区画を第1箇所とすると共に、建物の避難口が存在する区画を第2箇所とし、移動経路の候補として、第1箇所から第2箇所へ至る人の避難経路の候補を抽出するように構成することが好ましい。これにより、火災発生時に建物内に存在している人が建物の避難口へ避難するにあたり、安全性の高い避難経路を正確に選択することができる。
請求項8記載の発明に係る火災時危険度評価プログラムは、防火区画又は防煙区画から成る建物内部の個々の区画に各々設置され、設置された区画内に存在する火及び煙の少なくとも一方を検知する第1検知手段と接続され、前記建物内部の前記個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備の情報を含む建物属性情報を記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、前記第1検知手段によって火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る複数の経路について、前記記憶手段に記憶された建物属性情報に基づき、火又は煙が前記特定区画から前記経路を通って前記評価対象の区画へ到達する到達確率を各々演算することを繰り返す演算手段、及び、前記演算手段により前記複数の経路について各々演算された前記到達確率に基づいて前記評価対象の区画の危険度を評価し、評価結果を出力することを繰り返す評価手段として機能させる。
請求項8記載の発明に係る火災時危険度評価プログラムは、上記のコンピュータを上記の演算手段及び評価手段として機能させるためのプログラムであるので、コンピュータが請求項8記載の発明に係る火災時危険度評価プログラムを実行することで、コンピュータが請求項1に記載の火災時危険度評価装置として機能することになり、請求項1記載の発明と同様に、火災時の建物内の任意の区画の危険度を正確に評価することができる。
請求項9記載の発明に係る移動経路選択プログラムは、 防火区画又は防煙区画から成る建物内部の個々の区画に各々設置され、設置された区画内に存在する火及び煙の少なくとも一方を検知する第1検知手段と接続され、前記建物内部の前記個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備の情報を含む建物属性情報を記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の火災時危険度評価装置の前記演算手段及び前記評価手段、請求項6記載の前記抽出手段及び前記選択手段として機能させる。
請求項9記載の発明に係る移動経路選択プログラムは、上記のコンピュータを、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の火災時危険度評価装置の演算手段及び評価手段、請求項6記載の抽出手段及び選択手段として機能させるためのプログラムであるので、コンピュータが請求項9記載の発明に係る移動経路選択プログラムを実行することで、コンピュータが請求項6記載の移動経路選択装置として機能することになり、請求項6記載の発明と同様に、火災時の建物内の任意の区画に対する危険度の評価結果を利用して、建物内における安全性の高い人の移動経路を正確に選択することができる。
以上説明したように本発明は、建物内部の個々の区画内に存在する火及び煙の少なくとも一方を検知する第1検知手段を設けておくと共に、建物内部の個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備の情報を含む建物属性情報を記憶しておき、火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る複数の経路について、建物属性情報に基づき、火又は煙が特定区画から前記経路を通って評価対象の区画へ到達する到達確率を各々演算することを、少なくとも火又は煙が検知された特定区画が新たに出現する毎に繰り返し、複数の経路について各々演算した到達確率に基づいて評価対象の区画の危険度を評価するようにしたので、火災時の建物内の任意の区画の危険度を正確に評価できる、という優れた効果を有する。
また本発明は、建物内の第1箇所から第2箇所へ至る人の移動経路の候補を抽出し、移動経路候補上に存在する各区画について本発明に係る火災時危険度評価装置によって評価された火に関する危険度及び煙に関する危険度に基づいて、移動経路候補の安全度を評価することを、抽出した移動経路候補に対して各々行い、安全度の評価が最大の移動経路候補を第1箇所から第2箇所へ至る人の移動経路として選択するようにしたので、火災時の建物内の任意の区画に対する危険度の評価結果を利用して、建物内における安全性の高い人の移動経路を正確に選択することができる、という優れた効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係る火災時避難誘導システム10が示されている。火災時避難誘導システム10は、特定の建物の管理室等に設置されたコンピュータ12を備えている。コンピュータ12は、CPU12A、ROMやRAM等から成るメモリ12B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部12Cを備えている。
記憶部12Cには、建物属性情報(後述)が記憶されており、後述するリスク値演算処理を行うためのリスク値演算プログラム、後述する火災時危険度評価処理を行うための火災時危険度評価プログラム、及び、後述する避難誘導処理を行うための避難誘導プログラムが各々インストールされている。リスク値演算プログラム及び火災時危険度評価プログラムは請求項8に記載の火災時危険度評価プログラムに対応していると共に、避難誘導プログラムと共に請求項9に記載の移動経路選択プログラムにも対応している。コンピュータ12は、CPU12Aがこれらのプログラムを実行することで、本発明に係る火災時危険度評価装置及び移動経路選択装置として各々機能する。なお、記憶部12Cは本発明に係る記憶手段に対応している。
またコンピュータ12には、LCD等から成り任意の情報を表示可能なディスプレイ14、任意の情報を入力可能なキーボード16及びマウス18が接続されており、更に、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内に設置され当該建物内に存在する火及び煙を検知可能な複数個の防災センサ20、火災時避難誘導システム10が設けられた建物に設置された個々の防災設備(防火設備等)が正常に機能しているか否かを検知可能な複数個の防災設備動作検知センサ22、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内に設置され当該建物内に存在する人を検知可能な複数個の人検知センサ24、及び、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内に設置された避難誘導装置26が各々接続されている。
一般に、建物の内部空間は複数の防火区画に区画されていると共に、複数の防煙区画にも区画されている。図2(A)には火災時避難誘導システム10が設けられた建物の一例としての地上3階建ての建物30の外形を示すが、例えばこの建物30についても、例として図2(B)に示すように、1階の空間が区画番号"111","112","121","131"の4つの防火区画に区画されていると共に、2階の空間が区画番号"211","212"の2つの防火区画に区画され、3階の空間が区画番号"311","312","331","332"の4つの防火区画に区画され、更に、1階から3階に至る階段室が区画番号"113"の単一の防火区画とされている。なお図2(B)では図示は省略するが、防煙区画は一般に防火区画よりも小サイズとされ、建物30の内部空間はより多数個の防煙区画にも区画されている。
コンピュータ12の記憶部12Cに記憶されている建物属性情報は、火災時避難誘導システム10が設けられた建物の内部空間を区画する個々の防火区画の区画番号や配置を表す情報、後述する隣接延焼リスク値を登録するための隣接延焼リスク値テーブル、後述する隣接煙拡大リスク値を登録するための隣接煙拡大リスク値テーブル等から成る防災区画情報を含んで構成されている。なお、本実施形態では、後述するようにリスク値の演算や危険度の評価を防火区画を単位として行うため、防災区画情報として防火区画に関する情報のみを記憶しているが、上記のリスク値の演算や危険度の評価を防煙区画単位でも行う等の場合には、防災区画情報として防煙区画に関する情報も併せて記憶するようにしてもよい。
また、火災時避難誘導システム10が設けられた建物の個々の防火区画には前述の防災センサ20が各々設置されている。防災センサ20は、設置された防火区画内の何れの箇所で火又は煙が発生した場合にもこれを直ちに検知可能なように、個々の防火区画内に1個〜数個ずつ設置されており、個々の防災センサ20は、設置された防火区画内に火や煙が存在しているか否かを検知し、検知結果をコンピュータ12へ出力する。なお、防災センサ20は本発明に係る第1検知手段に対応している。
また、建物内の個々の防火区画は、一般に、隣り合う防火区画との境界部分に防火設備が設けられているか、防火区画が防火性(耐火性)を考慮した構成とされている。隣り合う防火区画との境界部分に設けられる防火設備としては、例えば常時閉鎖されている防火戸や、随時(火災時に)閉鎖される防火戸、火災時に閉鎖される防火シャッター等が挙げられる。また、防火性(耐火性)を考慮した構成としては、壁や床、窓を不燃材料や準不燃材料、難燃材料で形成した構成が挙げられる。
コンピュータ12の記憶部12Cに記憶されている建物属性情報は、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の各箇所に設けられた個々の防火設備の種類や配置箇所(何れの防火区画の境界に設けられているか)を表す情報や、防火設備が設けられていない防火区画がどのような構成か(壁や床、窓がどのような材料で形成されているか)を表す情報から成る防災設備情報を含んで構成されている。なお、建物内の一部の防火区画には、スプリンクラー等から成る消火設備が設けられていることがあると共に、建物内の個々の防煙区画には、防煙設備として自然排煙又は機械排煙による排煙設備が各々設けられていることが一般的であり、防災設備情報は、上記の消火設備や防煙設備(排煙設備)に関する情報が付加されていてもよい。
また、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の各箇所に設置された個々の防火設備には、前述の防災設備動作検知センサ22が各々取り付けられている。個々の防災設備動作検知センサ22は、自センサが取り付けられている防火設備が正常に機能しているか(例えば随時(火災時に)閉鎖される防火戸や防火シャッターが隙間無く閉鎖されているか)否かを検知し、検知結果をコンピュータ12へ出力する。なお、防災設備動作検知センサ22は本発明に係る第2検知手段に対応している。
また、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の個々の防火区画には前述の人検知センサ24が各々設置されている。人検知センサ24としては、例えば火災時避難誘導システム10が設置された建物内に入館する人にICタグの所持を義務付ける等により、建物内に存在している全ての人にICタグを所持させておき、建物の出入口や隣り合う防火区画の境界にICタグと無線通信を行うことが可能なICタグリーダを各々設け、ICタグリーダ設置箇所を通過した人数をICタグリーダによって把握することで、個々の防火区画内に存在している人の有無及び人数を検知し、検知結果をコンピュータ12へ出力する構成を採用することができる。なお、人検知センサ24は上記構成に限られるものではなく、人が放射する赤外線を検出することで人の有無を検出する構成や、検知範囲内に存在する動く物体を人として検出する構成等を適用してもよい。人検知センサ24は本発明に係る第3検知手段に対応している。
また、本実施形態に係る避難誘導装置26としても種々の構成を採用可能であるが、例えば火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の各箇所(例えば各部屋や避難経路の分岐点等)に各々設置され、避難方向を明示する矢印等の図形を表示装置に表示したり避難方向を案内する音声を再生することで避難対象の人に避難方向を教示する複数の案内誘導装置と、個々の案内誘導装置と接続されコンピュータ12からの指示に応じて個々の案内誘導装置の作動を制御する制御装置から構成することができる。
また、コンピュータ12の記憶部12Cに記憶されている建物属性情報には、建物内の防火区画の連なりで各種経路を表すイベントツリー情報が含まれている。本実施形態に係るイベントツリー情報は、建物内の延焼経路を表すイベンツリーの情報と、建物内の煙到達経路を表すイベンツリーの情報と、建物内の避難経路を表すイベントツリーの情報に大別される。
建物内の延焼経路を表すイベントツリーは、任意の防火区画を開始点(延焼元の区画)、別の任意の防火区画を終了点(延焼先の区画)としたときに、延焼元の区画から延焼先の区画へ火が到達可能な全ての経路を表すものであり、火が到達可能な単一の経路(延焼経路)は、延焼元の区画を基準区画に設定し、延焼ルール1の「基準区画と同一の水平面内に位置しかつ基準区画と隣り合っている区画へ延焼する」、又は、延焼ルール2の「基準区画の鉛直方向上方に存在している区画へ延焼する」に合致する防火区画、すなわち基準区画から火が直接伝わる可能性が有る防火区画を抽出し、抽出した防火区画から選択した防火区画を基準区画に設定し、上記の延焼ルールに合致する防火区画を抽出することを、延焼ルールに合致する防火区画として延焼先の防火区画が抽出される迄繰り返すことで抽出することができる。なお、基準区画に設定する防火区画の選択では、単一の延焼経路上に同一の防火区画が複数回出現しないように、単一の延焼経路を抽出する途中で既に選択した防火区画は選択対象から除外される。更に、上記の延焼経路の抽出を、既に抽出した全ての延焼経路と少なくとも経路の一部が各々相違する延焼経路が存在しなくなる迄繰り返すことで、延焼元の区画から延焼先の区画へ火が到達可能な全ての延焼経路を抽出することができる。
そして、抽出した全ての延焼経路を、それぞれの延焼経路を構成する個々の防火区画を節点とするツリーで表すことにより、例として図3(B)に示すような延焼経路のイベントツリーを生成することができる。なお、図3(B)に示すイベントツリーは、図3(A)に示すように、建物30内の個々の防火区画のうち、1階に位置している区画番号"121"の防火区画を延焼元の区画とし、2階に位置している区画番号"212"の防火区画を延焼先の区画とした場合の延焼経路のイベントツリーを表している。本実施形態では、火災時避難誘導システム10が設けられた建物における全ての防火区画を延焼元に各々設定すると共に、延焼元に設定した防火区画から火が到達する可能性がある全ての防火区画を延焼先に各々設定したときの全ての組み合わせについて延焼経路のイベントツリーを各々生成し、生成した延焼経路の全てのイベントツリーを表す情報を、建物内の延焼経路を表すイベンツリーの情報(イベントツリー情報の一部)として記憶部12Cに予め記憶している。
また、建物内の煙到達経路を表すイベントツリーは、任意の防火区画を開始点(煙到達元の区画)、別の任意の防火区画を終了点(煙到達先の区画)としたときに、煙到達元の区画から煙到達先の区画へ煙が到達可能な全ての経路を表すものであり、煙が到達可能な単一の経路(煙到達経路)は、煙到達元の区画を基準区画に設定し、煙拡大ルール1の「基準区画と同一の水平面内に位置しかつ基準区画と隣り合っている区画へ煙が拡大する」、又は、煙拡大ルール2の「基準区画の鉛直方向上方に存在している区画へ煙が拡大する」に合致し、煙拡大ルール3の「階段室等の吹き抜け空間では煙は天井まで上昇した後に横へ広がる」に矛盾しない防火区画、すなわち基準区画から煙が直接伝わる可能性がある防火区画を全て抽出し、抽出した防火区画から選択した防火区画を基準区画に各々設定し、上記の煙拡大ルールに適合する防火区画を全て抽出することを、煙拡大ルールに合致する防火区画として煙到達先の防火区画が選択される迄繰り返すことで抽出することができる。なお、基準区画に設定する防火区画の選択では、単一の煙到達経路上に同一の防火区画が複数回出現しないように、単一の煙到達経路を抽出する途中で既に選択した防火区画は選択対象から除外される。更に、上記の煙到達経路の抽出を、既に抽出した全ての煙到達経路と少なくとも経路の一部が各々相違する煙到達経路が存在しなくなる迄繰り返すことで、煙到達元の区画から煙到達先の区画へ火が到達可能な全ての煙到達経路を抽出することができる。
そして、抽出した全ての煙到達経路を、それぞれの煙到達経路を構成する個々の防火区画を節点とするツリーで表すことにより、例として図4(B)に示すような煙到達経路のイベントツリーを生成することができる。なお、図4(B)に示すイベントツリーは、図4(A)に示すように、建物30内の個々の防火区画のうち、1階に位置している区画番号"121"の防火区画を煙到達元の区画とし、2階に位置している区画番号"212"の防火区画を煙到達先の区画とした場合の煙到達経路のイベントツリーを表している。本実施形態では、火災時避難誘導システム10が設けられた建物における全ての防火区画を煙到達元に各々設定すると共に、煙到達元に設定した防火区画から煙が到達する可能性がある全ての防火区画を煙到達先に各々設定したときの全ての組み合わせについて煙到達経路のイベントツリーを各々生成し、生成した煙到達経路の全てのイベントツリーを表す情報を、建物内の煙到達経路を表すイベンツリーの情報(イベントツリー情報の一部)として記憶部12Cに予め記憶している。
また、建物内の避難経路を表すイベントツリーは、任意の防火区画を開始点(避難元の区画)、建物に設けられた避難口に対応する防火区画を終了点(避難先の区画)としたときに、避難元の区画から避難先の区画へ人が移動可能な全ての経路を表すものであり、人が移動可能な単一の経路(避難元の区画から避難先の区画へ至る単一の避難経路)は、避難元の区画を基準区画に設定し、基準区画に隣接し基準区画から人が移動可能な防火区画を抽出し、抽出した防火区画から選択した防火区画を基準区画に各々設定することを、前記人が移動可能な防火区画として避難先の区画が抽出される迄繰り返すことで抽出することができる。なお、基準区画に設定する防火区画の選択では、単一の避難経路上に同一の防火区画が複数回出現しないように、単一の避難経路を抽出する途中で既に選択した防火区画は選択対象から除外される。更に、上記の避難経路の抽出を、既に抽出した全ての避難経路と少なくとも経路の一部が各々相違する避難経路が存在しなくなる迄繰り返すことで、避難元の区画から避難先の区画へ火が到達可能な全ての避難経路を抽出することができる。
そして、抽出した全ての避難経路を、それぞれの避難経路を構成する個々の防火区画を節点とするツリーで表すことで、避難経路のイベントツリー(図示省略)を生成することができる。本実施形態では、火災時避難誘導システム10が設けられた建物における全ての防火区画を避難元に各々設定して避難経路のイベントツリーを各々生成し、生成した避難経路の全てのイベントツリーを表す情報を、建物内の避難経路を表すイベンツリーの情報(イベントツリー情報の一部)として記憶部12Cに予め記憶している。
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態に係るコンピュータ12のCPU12Aはリスク値演算プログラムを常時実行している。以下、CPU12Aがリスク値演算プログラムを実行することでコンピュータ12によって実現されるリスク値演算処理について、図5を参照して説明する。なお、リスク値演算処理は本発明に係る演算手段に対応している。また、リスク値演算プログラムを常時実行する代わりに、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内で火災が発生したことが検知されたことをトリガとして、リスク値演算プログラムの実行を開始するようにしてもよい。
リスク値演算処理では、まずステップ50において、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の任意の防火区画iを延焼元の区画として選択する。次のステップ52では、延焼元として選択した防火区画iから火が直接伝わる可能性が有る防火区画が存在しているか否か判定する。この判定は、防火区画iを基準区画とし前述の延焼ルールに合致する防火区画を探索することで行うことができる。また、上記の判定は、防災区画情報の一部としてコンピュータ12の記憶部12Cに記憶されている隣接延焼リスク値テーブルを参照して行うことも可能である。隣接延焼リスク値テーブルの一例を次の表1に示す。
Figure 2010005292
隣接延焼リスク値テーブルは、隣り合う防火区画のうちの一方で火が発生している場合に一方から他方へ火が直接伝わる確率を表す隣接延焼リスク値を登録するためのテーブルであり、表1に示すように、全ての防火区画を延焼元及び延焼先に各々設定したときの延焼元の区画と延焼先の区画の全ての組み合わせについて隣接延焼リスク値の設定欄が各々設けられており、一定の延焼元に対応する設定欄群(表1で横方向に並ぶ設定欄群)には、延焼元の区画から火が直接伝わる可能性がある防火区画に対応する設定欄にのみ隣接延焼リスク値(表1の例では"0","0.3","1"の何れか)が設定され、その他の防火区画(延焼元の区画から火が直接伝わる可能性が無い防火区画)に対応する残りの設定欄には、延焼元の区画から火が直接伝わる可能性が無いことを表す所定の情報(表1では当該情報を斜線で表している)が予め設定されている。従って、ステップ52の判定は、ステップ50で延焼元として選択した防火区画iに対応する設定欄群の中に、所定の情報が設定されていない設定欄が存在しているか否かを判断することで行うことも可能である。
ステップ52の判定が肯定された場合はステップ54へ移行し、ステップ50で延焼元として選択した防火区画iから火が直接伝わる可能性が有る任意の防火区画jを延焼先として選択する。ステップ56では建物属性情報のうちの防災設備情報を記憶部12Cから読み込み、次のステップ58では、ステップ56で読み込んだ防災設備情報に基づいて、防火区画i(延焼元)と防火区画j(延焼先)の境界に防火設備が設置されているか否か判定する。防火区画iと防火区画jの境界に防火設備が設置されている場合は、ステップ58の判定が肯定されてステップ60へ移行し、防火区画iと防火区画jの境界に設置された防火設備に取付けられた防災設備動作検知センサ22からの信号を取得し、取得した信号に基づいて、防火区画iと防火区画jの境界に設置された防火設備が正常に機能している状態か否か判定する。
防火区画iと防火区画jの境界に設置された防火設備が正常に機能していると判断できる場合は、ステップ60の判定が肯定されてステップ62へ移行し、延焼元の防火区画iから延焼先の防火区画jへ火が直接伝わる確率を表す隣接延焼リスク値r(i,j)に、前記確率が0%であることを表す"0"を設定する。また、防火区画iと防火区画jの境界に設置された防火設備が正常に機能していないと判断できる場合や、防災設備動作検知センサ22からの信号を取得できなかったために防火区画iと防火区画jの境界に設置された防火設備が正常に機能しているか否かが判断不能の場合は、ステップ60の判定が否定されてステップ64へ移行し、隣接延焼リスク値r(i,j)に、延焼元の防火区画iから延焼先の防火区画jへ火が直接伝わる確率が100%であることを表す"1"を設定する。
一方、防火区画iと防火区画jの境界に防火設備が設置されていない場合は、ステップ58の判定が否定されてステップ66へ移行し、先のステップ56で読み込んだ防災設備情報に基づいて延焼元の防火区画iの構成(壁や床、窓がどのような材料で形成されているか)を判断し、延焼元の防火区画iから延焼先の防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)に延焼元の防火区画iの構成に応じた値を設定する。
例えば、建築材料の技術基準(建築基準法)によれば、出火した防火区画の壁や床、窓が不燃材料で形成されている場合、隣り合う他の防火区画への延焼は20分間は抑制されるので、防火区画iの壁や床、窓が不燃材料で形成されている場合、防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)を次の(1)式によって設定する。
(i,j)=T/20 …(1)
但し、(1)式におけるTは、防火区画iで火が検知されてから現時刻迄の経過時間(防火区画iにおける燃焼継続時間(分))であり、防火区画iで火が検知されていない段階ではT=0とされる。また(1)式の演算の結果、隣接延焼リスク値r(i,j)≧1となった場合は、防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)=1に設定する。
また、建築材料の技術基準(建築基準法)によれば、出火した防火区画の壁や床、窓が準不燃材料で形成されている場合、隣り合う他の防火区画への延焼は10分間は抑制されるので、防火区画iの壁や床、窓が準不燃材料で形成されている場合、防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)を次の(2)式によって設定する。
(i,j)=T/10 …(2)
但し、(2)式におけるTも防火区画iにおける燃焼継続時間(分)であり、防火区画iで火が検知されていない段階ではT=0とされる。また(2)式の演算の結果、隣接延焼リスク値r(i,j)≧1となった場合も、防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)=1に設定する。
また、建築材料の技術基準(建築基準法)によれば、出火した防火区画の壁や床、窓が難燃材料で形成されている場合、隣り合う他の防火区画への延焼は5分間は抑制されるので、防火区画iの壁や床、窓が難燃材料で形成されている場合、防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)を次の(3)式によって設定する。
(i,j)=T/5 …(3)
但し、(3)式におけるTも防火区画iにおける燃焼継続時間(分)であり、防火区画iで火が検知されていない段階ではT=0とされる。また(3)式の演算の結果、隣接延焼リスク値r(i,j)≧1となった場合も、防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)=1に設定する。一方、防火区画iの壁や床、窓を形成する材料が不燃材料、準不燃材料及び難燃材料の何れでも無い場合は、防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)=1に設定する。
上記のように、防火区画iと防火区画jの境界に防火設備が設置されている場合は、当該防火設備が正常に機能しているか否かに基づいて防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)を設定し、防火区画iと防火区画jの境界に防火設備が設置されていない場合は、防火区画iの壁や床、窓を形成する材料の種類に応じて防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)を設定することで、防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)として、火災時に延焼元の防火区画iから延焼先の防火区画jへ火が直接伝わる確率を正確に表す値を設定することができる。ステップ62〜66の何れかで隣接延焼リスク値r(i,j)を設定するとステップ68へ移行し、設定した隣接延焼リスク値rf(i,j)を、隣接延焼リスク値テーブルに既に登録されている隣接延焼リスク値rf(i,j)に上書きして隣接延焼リスク値テーブルに登録することで、隣接延焼リスク値テーブルに登録されている隣接延焼リスク値rf(i,j)を更新する。
次のステップ70では、防火区画iから防火区画jへ煙が直接伝わる可能性が有るか否か判定する。この判定は、防火区画iを基準区画としたときの防火区画jが、前述の煙拡大ルールに合致しているか否かを判断することで行うことができる。また、上記の判定は、防災区画情報の一部としてコンピュータ12の記憶部12Cに記憶されている隣接煙拡大リスク値テーブルを参照して行うことも可能である。隣接煙拡大リスク値テーブルの一例を次の表2に示す。
Figure 2010005292
隣接煙拡大リスク値テーブルは、隣り合う防火区画のうちの一方に煙が存在している場合に一方から他方へ煙が直接伝わる確率を表す隣接煙拡大リスク値を登録するためのテーブルであり、表2に示すように、全ての防火区画を煙到達元及び煙到達先に各々設定したときの煙到達元の区画と煙到達先の区画の全ての組み合わせについて隣接煙拡大リスク値の設定欄が各々設けられており、一定の煙到達元に対応する設定欄群(表2で横方向に並ぶ設定欄群)には、煙到達元の区画から煙が直接伝わる可能性がある防火区画に対応する設定欄にのみ隣接煙拡大リスク値(表2の例では"0","0.3","1"の何れか)が設定され、その他の防火区画(煙到達元の区画から煙が直接伝わる可能性が無い防火区画)に対応する残りの設定欄には、煙到達元の区画から煙が直接伝わる可能性が無いことを表す所定の情報(表2では当該情報を斜線で表している)が予め設定されている。従って、ステップ70の判定は、隣接煙拡大リスク値テーブルのうち、煙到達元が防火区画iでかつ煙到達先が防火区画jという条件に合致する設定欄に、隣接煙拡大リスク値が設定登録されているか否かを判断することで行うことも可能である。
表2に示す隣接煙拡大リスク値テーブルを先の表1に示す隣接延焼リスク値テーブルと比較しても明らかなように、煙到達元としての特定の防火区画から煙が直接伝わる可能性がある防火区画は、特定の防火区画から火が直接伝わる可能性がある防火区画とおよそ一致しているが、防火区画の中には、他の防火区画との間に、「火が直接伝わる可能性が有る一方で煙が直接伝わる可能性は0」の第1の関係を有する防火区画が存在している可能性がある(表1,2の例では区画番号"113"の防火区画と区画番号"211"の防火区画の対がこれに該当する)。防火区画jが防火区画iと上記第1の関係を有している場合はステップ70の判定が否定され、ステップ52に戻ってステップ52以降を繰り返す。
また、防火区画iから防火区画jへ火も煙も直接伝わる可能性が有る場合には、ステップ70の判定が肯定されてステップ72へ移行し、防火区画iから防火区画jへの隣接煙拡大リスク値r(i,j)として、先に設定した防火区画iから防火区画jへの隣接延焼リスク値r(i,j)をそのまま設定する。なお、隣接煙拡大リスク値r(i,j)を隣接延焼リスク値r(i,j)と同一の値とすることに限られるものではなく、隣接延焼リスク値r(i,j)とは別個に、例えば防火区画iに排煙設備が設けられているか否かや、排煙設備が設けられている場合はその種類等に応じて、防火区画iから防火区画jへ煙が直接伝わる確率を推定し、推定した確率を隣接煙拡大リスク値r(i,j)として設定するようにしてもよい。次のステップ74では、設定した隣接煙拡大リスク値r(i,j)を、隣接煙拡大リスク値テーブルに既に登録されている隣接煙拡大リスク値r(i,j)に上書きして隣接煙拡大リスク値テーブルに登録することで、隣接煙拡大リスク値テーブルに登録されている隣接煙拡大リスク値r(i,j)を更新し、ステップ52に戻る。
上述したステップ52〜ステップ74は、ステップ52の判定が否定される迄繰り返されるので、ステップ50で選択した防火区画iを延焼元(煙到達元)とし、当該防火区画iから火(及び煙)が直接伝わる可能性がある個々の防火区画jを各々延焼先(煙到達先)としたときの隣接延焼リスク値r(i,j)(及び隣接煙拡大リスク値r(i,j))が順に演算されてテーブルに登録されることになる。
また、ステップ52の判定が否定されるとステップ76へ移行し、ステップ50で選択した防火区画iから煙のみが直接伝わる防火区画が有るか否か判定する。防火区画の中には、他の防火区画との間に、「煙が直接伝わる可能性が有る一方で火が直接伝わる可能性は0」の第2の関係を有する防火区画が存在している可能性がある(表1,2の例では区画番号"113"の防火区画と区画番号"312"の防火区画の対がこれに該当する)。防火区画iとの間に上記第2の関係を有する防火区画が存在していない場合はステップ76の判定が否定されてステップ80へ移行するが、防火区画iとの間に上記第2の関係を有する防火区画が存在している場合は、ステップ76の判定が肯定されてステップ78へ移行し、例えば防火区画iに排煙設備が設けられているか否かや、排煙設備が設けられている場合はその種類等に応じて、防火区画iから該当する防火区画への隣接煙拡大リスク値rを設定し、設定した隣接煙拡大リスク値rを隣接煙拡大リスク値テーブルに登録する。
次のステップ80では、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の全ての防火区画を延焼元として選択したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ50に戻り、ステップ50以降の処理を繰り返す。これにより、隣接延焼リスク値テーブル及び隣接煙拡大リスク値テーブルのうち、所定の情報(延焼元又は煙到達元の区画から火又は煙が直接伝わる可能性が無いことを表す情報)が予め設定されていない個々の設定欄に対応する隣接延焼リスク値r(i,j)及び隣接煙拡大リスク値r(i,j)が各々演算され、隣接延焼リスク値テーブル及び隣接煙拡大リスク値テーブルに更新登録される。
また、ステップ80の判定が肯定されるとステップ82へ移行して一定時間が経過したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ82を繰り返す。そしてステップ82の判定が肯定されるとステップ50に戻り、ステップ50以降の処理を繰り返す。これにより、隣接延焼リスク値テーブルに登録されている隣接延焼リスク値r(i,j)及び隣接煙拡大リスク値テーブルに登録されている隣接煙拡大リスク値r(i,j)は、一定時間毎に、その時点での状況(例えばその時点で防火設備が正常に機能しているか否か等)を反映した値へ更新されることになる。
次に、火災が発生したことをトリガとして(すなわち複数の防災センサ20の何れかで火及び煙の少なくとも一方が検知されたことをトリガとして)、CPU12Aによって火災時危険度評価プログラムが実行されることで実現される火災時危険度評価処理について、図6を参照して説明する。なお、火災時危険度評価処理は本発明に係る評価手段に対応している。
火災時危険度評価処理処理では、まずステップ100において、火及び煙の少なくとも一方を検知した防災センサ20が設置されている防火区画を火災発生区画としてメモリ12B等に記憶させる。次のステップ102では、全ての防災センサ20からの信号を取得し、取得した信号に基づいて防災センサ20によって火及び煙の少なくとも一方が検知された防火区画を全て認識する。ステップ102で認識される防火区画は火災発生時点ではステップ100で記憶した火災発生区画のみであるが、火災の進行に伴い、防災センサ20によって火及び煙の少なくとも一方が検知された防火区画の数は増加することになる。ステップ104では、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の全ての防火区画のうち、防災センサ20によって火及び煙の何れも検知されていない防火区画(ステップ102で認識した防火区画を除いた残りの防火区画)の中から、危険度の評価(リスク値の演算)を行う評価対象の防火区画を選択する。
次のステップ106以降では、ステップ104で選択した評価対象区画に対して危険度の評価(リスク値の演算)を行う。すなわち、まずステップ106では、火災発生区画を開始点、評価対象区画を終了点とする延焼経路のイベントツリーの情報を記憶部12Cから読み込む。次のステップ108では変数jに1を代入する。またステップ110では、ステップ106で情報を読み込んだ延焼経路のイベントツリーに基づき、当該イベントツリーが表す火災発生区画から評価対象区画へ至る複数の延焼経路の中からj番目の延焼経路(延焼経路j)を選択する。次のステップ112では、延焼経路jを構成する複数の防火区画の中に、延焼経路jの途中に位置しかつ防災センサ20によって火が検知されている防火区画が存在しているか否か判定する。
火災発生時点では火災発生区画にのみ火が存在しているので、上記判定が否定されてステップ114へ移行し、変数iに1を代入する。一方、火災が進行すると延焼経路jの途中の防火区画でも防災センサ20によって火が検知される可能性がある。この場合はステップ112の判定が肯定されてステップ116へ移行し、火災発生区画から火が検知された防火区画迄の延焼経路jに沿った防火区画の数(火が検知された防火区画が火災発生区画を先頭として延焼経路jの何番目の防火区画であるかを表す値)を変数iに設定する。なお、ステップ112の判定に該当する防火区画(延焼経路jの途中に位置しかつ防災センサ20によって火が検知された防火区画)が複数存在していた場合は、評価対象区画に最も近い防火区画に対応する値を変数iに設定する。
次のステップ118では、記憶部12Cに記憶されている隣接延焼リスク値テーブルから、延焼経路jのi番目の防火区画から延焼経路jのi+1番目の防火区画への隣接延焼リスク値r(i,i+1)を読み出し、読み出した隣接延焼リスク値r(i,i+1)をメモリ12Bに記憶させる。ステップ120では、延焼経路jのi+1番目の防火区画が評価対象区画か否か判定する。判定が否定された場合はステップ122で変数iの値を1だけインクリメントした後にステップ118に戻り、ステップ120の判定が肯定される迄、ステップ118〜ステップ122を繰り返す。これにより、延焼経路jを構成する防火区画の配列のうち、防災センサ20によって火が検知されている防火区画を先頭とし、当該防火区画から延焼経路jに沿って評価対象区画に至る防火区画の配列に対し、個々の防火区画の間の隣接延焼リスク値r(i,i+1)が順に読み出されることになる。
対応する隣接延焼リスク値r(i,i+1)の読み出し・記憶を延焼経路jの末尾まで行うと、ステップ120の判定が肯定されてステップ124へ移行し、ステップ118で読み出してメモリ12Bに記憶させた全ての隣接延焼リスク値r(i,i+1)を用い、延焼経路j経由で評価対象区画に火が伝わる確率を表す延焼経路j経由での評価対象区画の延焼リスク値Rfjを次の(4)式によって演算し、演算結果をメモリ12Bに記憶させる。
fj=Πr(i,i+1) …(4)
これにより、延焼経路j上の火が検知されている防火区画から、延焼経路jに沿って評価対象区画へ火が伝わって評価対象区画が延焼する確率を正確に求めることができる。次のステップ126では、火災発生区画から評価対象区画へ至る全ての延焼経路(ステップ106で情報を読み込んだイベントツリーが表す全ての延焼経路)について上述したステップ110〜ステップ124の処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合は、ステップ128で変数jを1だけインクリメントした後にステップ110に戻る。これにより、ステップ126の判定が肯定される迄ステップ110〜ステップ128が繰り返され、火災発生区画から評価対象区画へ至る全ての延焼経路について延焼リスク値Rfjが各々演算されることになる。
また、ステップ126の判定が肯定されるとステップ130へ移行し、火災発生区画から評価対象区画へ至る全ての延焼経路の延焼リスク値Rfjを次の(5)式に代入して演算することで、評価対象区画xが延焼する確率(他の防火区画から評価対象区画xに火が伝わる確率)を表す評価対象区画xの延焼リスク値R(x)を算出する。
(x)=max(Rfj) …(5)
但し、(5)式における"max( )"は括弧内の各数値の最大値を選択することを表す演算子である。これにより、火が検知されている防火区画から評価対象区画に火が伝わって評価対象区画が延焼する確率を正確に求めることができる。なお、ステップ130では算出した評価対象区画xの延焼リスク値R(x)をメモリ12Bに記憶させるが、評価対象区画xの延焼リスク値R(x)の2回目以降の演算では、前回算出した延焼リスク値R(x)がメモリ12Bに既に記憶されているので、前回の演算でメモリ12Bに記憶させた延焼リスク値R(x)に上書きして今回の演算で得られた延焼リスク値R(x)を記憶させる。
また、ステップ132では火災発生区画を開始点、評価対象区画を終了点とする煙到達経路のイベントツリーの情報を記憶部12Cから読み込む。次のステップ134では変数jに1を代入する。またステップ136では、ステップ132で情報を読み込んだ煙到達経路のイベントツリーに基づき、当該イベントツリーが表す火災発生区画から評価対象区画へ至る複数の煙到達経路の中からj番目の煙到達経路(煙到達経路j)を選択する。次のステップ138では、煙到達経路jを構成する複数の防火区画の中に、煙到達経路jの途中に位置しかつ防災センサ20によって煙が検知されている防火区画が存在しているか否か判定する。
火災発生時点では火災発生区画にのみ煙が存在するので、上記判定が否定されてステップ140へ移行し、変数iに1を代入する。一方、火災が進行すると煙到達経路jの途中の防火区画でも防災センサ20によって煙が検知される可能性がある。この場合はステップ138の判定が肯定されてステップ142へ移行し、火災発生区画から火が検知された防火区画迄の煙到達経路jに沿った防火区画の数(煙が検知された防火区画が火災発生区画を先頭として煙到達経路jの何番目の防火区画であるかを表す値)を変数iに設定する。なお、ステップ138の判定に該当する防火区画(煙到達経路jの途中に位置しかつ防災センサ20によって煙が検知された防火区画)が複数存在していた場合は、評価対象区画に最も近い防火区画に対応する値を変数iに設定する。
次のステップ144では、記憶部12Cに記憶されている隣接煙到達リスク値テーブルから、煙到達経路jのi番目の防火区画から煙到達経路jのi+1番目の防火区画への隣接煙到達リスク値r(i,i+1)を読み出し、読み出した隣接煙到達リスク値r(i,i+1)をメモリ12Bに記憶させる。ステップ146では、煙到達経路jのi+1番目の防火区画が評価対象区画か否か判定する。判定が否定された場合はステップ148で変数iの値を1だけインクリメントした後にステップ144に戻り、ステップ146の判定が肯定される迄、ステップ144〜ステップ148を繰り返す。これにより、煙到達経路jを構成する防火区画の配列のうち、防災センサ20によって煙が検知されている防火区画を先頭とし、当該防火区画から煙到達経路jに沿って評価対象区画に至る防火区画の配列に対し、個々の防火区画の間の隣接煙到達リスク値r(i,i+1)が順に読み出されることになる。
対応する隣接煙到達リスク値r(i,i+1)の読み出し・記憶を煙到達経路jの末尾まで行うと、ステップ146の判定が肯定されてステップ150へ移行し、ステップ144で読み出してメモリ12Bに記憶させた全ての隣接煙到達リスク値r(i,i+1)を用い、煙到達経路j経由で評価対象区画に煙が伝わる確率を表す煙到達経路j経由での評価対象区画の煙到達リスク値Rsjを次の(6)式によって演算し、演算結果をメモリ12Bに記憶させる。
sj=Πr(i,i+1) …(6)
これにより、煙到達経路j上の煙が存在している防火区画から、煙到達経路jに沿って評価対象区画に煙が伝達する確率を正確に求めることができる。次のステップ152では、火災発生区画から評価対象区画へ至る全ての煙到達経路(ステップ132で情報を読み込んだイベントツリーが表す全ての煙到達経路)について上述したステップ136〜ステップ150の処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合は、ステップ154で変数jを1だけインクリメントした後にステップ136に戻る。これにより、ステップ152の判定が肯定される迄ステップ136〜ステップ154が繰り返され、火災発生区画から評価対象区画へ至る全ての煙到達経路について煙到達リスク値Rsjが各々演算されることになる。
また、ステップ152の判定が肯定されるとステップ156へ移行し、火災発生区画から評価対象区画へ至る全ての煙到達経路の煙到達リスク値Rsjを次の(7)式に代入して演算することで、評価対象区画xに煙が到達する確率を表す評価対象区画xの煙到達リスク値R(x)を算出する。
(x)=max(Rsj) …(7)
これにより、煙が存在している防火区画から評価対象区画に煙が到達する確率を正確に求めることができる。なお、ステップ156では算出した評価対象区画xの煙到達リスク値R(x)をメモリ12Bに記憶させるが、評価対象区画xの煙到達リスク値R(x)の2回目以降の演算では、前回算出した煙到達リスク値R(x)がメモリ12Bに既に記憶されているので、前回の演算でメモリ12Bに記憶させた煙到達リスク値R(x)に上書きして今回の演算で得られた煙到達リスク値R(x)を記憶させる。
以上のようにして、評価対象区画xの延焼リスク値R(x)、煙到達リスク値R(x)を演算(評価対象区画xの危険度の評価)を完了すると、次のステップ158では、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の全ての防火区画のうち、防災センサ20によって火及び煙の何れも検知されていない防火区画を評価対象として全て選択したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ104に戻り、ステップ158の判定が肯定される迄ステップ104〜ステップ158が繰り返される。これにより、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の全ての防火区画のうち火も煙も検知されていない防火区画が評価対象区画として順に選択されると共に、選択した評価対象区画に対して延焼リスク値R(x)及び煙到達リスク値R(x)が各々演算・記憶されることになる。
また、ステップ158の判定が肯定されるとステップ160へ移行して一定時間が経過したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ160を繰り返す。そしてステップ160の判定が肯定されるとステップ102に戻り、ステップ102以降の処理を繰り返す。従って、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の個々の防火区画の延焼リスク値R(x)及び煙到達リスク値R(x)は、一定時間毎に、その時点での火災の進行状況(例えばその時点で火や煙が検知されている防火区画の数や分布範囲等)を反映した値へ更新されることになる。
続いて、火災時危険度評価処理と同様に、火災が発生したことをトリガとして(すなわち複数の防災センサ20の何れかで火及び煙の少なくとも一方が検知されたことをトリガとして)、CPU12Aによって避難誘導プログラムが実行されることで実現される避難誘導処理について、図7を参照して説明する。なお、避難誘導処理は請求項6に記載の抽出手段及び選択手段に対応している。
避難誘導処理のステップ170では、先に説明した火災時危険度評価処理(図6)において、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の各防火区画のうち火も煙も検知されていない防火区画に対し、危険度(延焼リスク値R(x)及び煙到達リスク値R(x))の演算が一通り終了したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ170を繰り返す。ステップ170の判定が肯定されるとステップ172へ移行し、人検知センサ24からの信号を全て取得し、取得した信号に基づいて、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内の全ての防火区画のうち人が存在している防火区画を全て認識する。
次のステップ174では、ステップ172で認識した防火区画の数が1以上か否か、すなわち人が存在している防火区画が有るか否か判定する。判定が肯定された場合はステップ176へ移行し、先のステップ172で認識した個々の防火区画(人が存在している防火区画)について、先に説明した火災時危険度評価処理(図6)で演算した延焼リスク値R(x)及び煙到達リスク値R(x)をメモリ12Bから各々取り込み、取り込んだ各防火区画毎の延焼リスク値R(x)及び煙到達リスク値R(x)に基づいて、人が存在している個々の防火区画の危険度を各々演算し、危険度が最大の防火区画を抽出する。
危険度最大の防火区画の抽出は、例えば人が存在している個々の防火区画について、次の(8)式に従って危険度D(x)を各々演算し、
D(x)=max(R(x),R(x)) …(8)
演算した危険度D(x)の値が最も大きい防火区画を選択することで行うことができる。なお、危険度として用いる値は(8)式で表される値に限られるものではなく、延焼リスク値R(x)と煙到達リスク値R(x)を加算した値や、延焼リスク値R(x)と煙到達リスク値R(x)の加重平均値等を用いてもよい。また、加重平均値における重みについても、予め固定的に定めた値を用いてもよいし、演算対象の防火区画の階数や、演算対象の防火区画と火及び煙の少なくとも一方が検知されている防火区画との階数の差等に応じて適宜変更してもよい。
次のステップ178では、ステップ176で抽出した防火区画における危険度を予め設定した基準値と比較することで、危険度が最大の防火区画で人の避難が必要か否か判定する。危険度最大の防火区画における危険度が基準値未満の場合は、建物内の人が存在している何れの防火区画についても人の避難は不要と判断できるので、ステップ178の判定が否定された場合はステップ180で一定時間が経過したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ180を繰り返す。そしてステップ180の判定が肯定されるとステップ172に戻り、ステップ172以降の処理を繰り返す。
一方、危険度最大の防火区画における危険度が基準値以上の場合は、ステップ178の判定が肯定されてステップ182へ移行し、危険度が最大の防火区画(以降の処理で避難経路の探索を行う防火区画)を開始点、建物出口に対応する防火区画を終了点とする避難経路のイベントツリーの情報を記憶部12Cから読み込む。次のステップ184では変数jに1を、変数iに2を各々代入する。またステップ184では、ステップ182で情報を読み込んだ避難経路のイベントツリーに基づき、当該イベントツリーが表す避難経路探索対象の防火区画から建物出口に対応する防火区画へ至る複数の避難経路の中からj番目の避難経路(避難経路j)を選択する。
ステップ188では、ステップ186で選択した避難経路jを構成する防火区画の配列からi番目の防火区画を認識し、認識したi番目の防火区画の延焼リスク値R(i)及び煙到達リスク値R(i)をメモリ12Bから読み出し、読み出したi番目の防火区画の延焼リスク値R(i)及び煙到達リスク値R(i)に基づいて先のステップ176と同様の演算を行うことで、i番目の防火区画の危険度D(i)を算出する。次のステップ190では、i番目の防火区画が建物出口に対応する防火区画か否か判定する。判定が否定された場合はステップ192へ移行し、変数iを1だけインクリメントした後にステップ188に戻る。これにより、ステップ190の判定が肯定される迄ステップ188〜ステップ192が繰り返され、先のステップ176で得られた危険度最大の防火区画の危険度D(x)と併せて、避難経路jを構成する全ての防火区画の危険度D(i)が得られることになる。
ステップ190の判定が肯定されるとステップ194へ移行し、避難経路jを構成する全ての防火区画の危険度D(x)を用いて次の(9)式の演算を行うことで、避難経路jの危険度Dを演算する。
=ΣD(i) …(9)
これにより、危険度最大の防火区画に存在している人が避難経路jを通って避難する場合の危険度を正確に表す避難経路jの危険度Dが得られる。次のステップ196では、危険度最大の防火区画から建物出口に対応する防火区画へ至る全ての避難経路(ステップ182で情報を読み込んだイベントツリーが表す全ての避難経路)について上述したステップ186〜ステップ194の処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合は、ステップ198で変数jを1だけインクリメントした後にステップ186に戻る。
これにより、ステップ196の判定が肯定される迄ステップ186〜ステップ198が繰り返され、危険度最大の防火区画から建物出口に対応する防火区画へ至る全ての避難経路について危険度Dが各々演算される。また、ステップ196の判定が肯定されるとステップ200へ移行し、上記処理で演算した各避難経路毎の危険度Dに基づき、危険度最大の防火区画(避難経路探索対象の防火区画)からの最適な避難経路として、危険度Dが最小の避難経路を選択する。そしてステップ202では、危険度最大の防火区画(避難経路探索対象の防火区画)に存在する人が、避難誘導装置26による避難誘導に従い、ステップ200で選択した最適避難経路に沿って避難するように、避難誘導装置26を制御する。
ステップ202の処理を行うとステップ172に戻り、ステップ174の判定が否定される迄ステップ172〜ステップ202を繰り返す。これにより、火災時避難誘導システム10が設けられた建物内で火災が発生した場合には、当該建物内の人が存在している防火区画が危険度の高い順に選択されると共に、選択された個々の防火区画毎に最適な避難経路が選択され、選択された個々の防火区画に存在している人が、個々の防火区画毎に選択された最適な避難経路に沿って避難するように誘導されることになる。従って、火災発生時の避難における安全性を最大限に確保することができる。
なお、図7の避難誘導処理では、建物内の個々の防火区画内に存在している人が避難途中であるか否かを判断することなく、ステップ176の処理を行った時点で人が存在している防火区画のうち危険度最大の防火区画に存在している人に対し、最適な避難経路を選択して誘導しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ステップ172〜ステップ202で危険度最大の防火区画に存在している人に対して避難誘導を行った後に、危険度最大の防火区画に存在していた人の移動を監視し、危険度最大の防火区画に存在していた人が、例えば建物出口を通って建物の外部へ避難した、或いは、最適避難経路上の任意の防火区画に到達した(例えば建物出口に対応する防火区画に到達した)、或いは、最適避難経路上の任意の防火区画を通過した(例えば最適避難経路上の危険度最大の防火区画を通過した)ことをトリガとして、ステップ172〜ステップ202の処理を再度行い、その時点で人が存在している防火区画のうち危険度最大の防火区画に存在している人に対して最適な避難経路を選択して誘導することを繰り返すようにしてもよい。この場合、避難経路が過度に混雑してしまうことを回避することができる、という利点を有する。
また、上記では最適な避難経路を選択した後に、建物内に存在している人を避難誘導装置26によって避難誘導する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例として図8に示すように、建物の概略図上で避難経路を図示する等により、選択した最適な避難経路を建物内に存在している人に教示することも可能である。
また、上記では建物内の個々の防火区画内に存在している人に対し、最適な避難経路を選択して誘導する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、消火活動や救助活動を行う人に対し、建物の入口から防災センサ20によって火等が検知されている防火区画、或いは人検知センサ24によって人が存在していることが検知されている防火区画へ至る最も安全な移動経路を選択して教示したり、最も安全な移動経路へ誘導する等の場合に適用することも可能である。
更に、上記では火災が発生した建物に設けられた火災時避難誘導システム10のコンピュータ12によって図5〜図7の処理を行う態様を説明したが、コンピュータ12は必ずしも火災が発生した建物に設けられている必要はなく、例えば防災センサ20や防災設備動作検知センサ22、人検知センサ24、避難誘導装置26が設置された建物と別の建物にコンピュータ12を設置し、当該コンピュータ12と防災センサ20等との間の信号の送受を通信回線を介して行うようにしてもよい。またこの場合、コンピュータ12を、互いに異なる複数の建物に各々設置された防災センサ20等と通信回線を介して各々信号を送受可能に構成し、複数の建物の何れで火災が発生した場合にも、同一のコンピュータ12により、火災が発生した建物の個々の防火区画毎の危険度の評価(リスク値の演算)、最適避難経路の選択・誘導を行うようにしてもよい。
また、上記では延焼経路や煙伝達経路、避難経路をイベントツリーで表して記憶しておく態様を説明したが、これに限定されるものではなく、各種の経路はテーブル等の別形態で記憶しておいてもよいし、火災発生の都度、前述の延焼ルールや煙拡大ルールに基づいて各種の経路を探索する処理を行うようにしてもよい。
また、上記では本発明に係る火災時危険度評価プログラムや移動経路選択プログラムに対応するリスク値演算プログラム、火災時危険度評価プログラム及び避難誘導プログラムの各プログラムがコンピュータ12の記憶部12Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る火災時危険度評価プログラムや移動経路選択プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
本実施形態に係る火災時避難誘導システムの概略構成を示すブロック図である。 建物の外形及び内部の区画を各々示す斜視図である。 延焼経路のイベンツリーの一例を示す概略図である。 煙到達経路のイベンツリーの一例を示す概略図である。 リスク値演算処理の内容を示すフローチャートである。 火災時危険度評価処理の内容を示すフローチャートである。 避難誘導処理の内容を示すフローチャートである。 最適な避難経路を表示する場合の一例を示すイメージ図である。
符号の説明
10 火災時避難誘導システム
12 コンピュータ
12C 記憶部
20 防災センサ
22 防災設備動作検知センサ
24 人検知センサ
26 避難誘導装置

Claims (9)

  1. 防火区画又は防煙区画から成る建物内部の個々の区画に各々設置され、設置された区画内に存在する火及び煙の少なくとも一方を検知する第1検知手段と、
    前記建物内部の前記個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備の情報を含む建物属性情報を記憶する記憶手段と、
    前記第1検知手段によって火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る複数の経路について、前記記憶手段に記憶された建物属性情報に基づき、火又は煙が前記特定区画から前記経路を通って前記評価対象の区画へ到達する到達確率を各々演算することを繰り返す演算手段と、
    前記演算手段により前記複数の経路について各々演算された前記到達確率に基づいて前記評価対象の区画の危険度を評価し、評価結果を出力することを繰り返す評価手段と、
    を含む火災時危険度評価装置。
  2. 前記記憶手段に記憶されている前記建物属性情報には、前記建物内部の任意の第1区画から任意の第2区画へ火又は煙が到達可能な全ての経路を表すイベントツリーが、前記建物内部の個々の区画の配置を含む前記建物の構造に基づき、前記個々の区画を各々前記第1区画とし、前記第1区画としての区画から火又は煙が到達する可能性がある各区画を各々前記第2区画とする各組み合わせについて各々設定されて成るイベントツリー情報が含まれており、
    前記演算手段は、前記記憶手段に記憶されているイベントツリー情報の中から、前記特定区画を前記第1区画とし、前記評価対象の区画を前記第2区画とするイベントツリーの情報を読み出し、読み出したイベントツリーの情報に基づき前記特定区画から前記評価対象の区画へ至る複数の経路を認識する請求項1記載の火災時危険度評価装置。
  3. 前記建物内部の前記個々の区画に設けられた防火設備又は防煙設備が機能しているか否かを検知する第2検知手段を備え、
    前記演算手段は、隣接する一対の区画に設置された防火設備又は防煙設備に対する前記第2検知手段の検知結果に基づいて、前記隣接する一対の区画の間での火又は煙の伝播確率を判断することを、前記到達確率の演算対象の経路上に並ぶ各区画の間について各々行い、判断した前記各区画の間の伝播確率を全て乗ずることで、前記到達確率の演算対象の経路についての前記到達確率を演算する請求項1又は請求項2記載の火災時危険度評価装置。
  4. 前記演算手段は、前記第1検知手段によって火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る経路の途中に、前記第1検知手段によって火又は煙が検知された別の区画が存在している場合に、前記経路を前記別の区画を先頭とする経路に切替えて前記到達確率の演算を行う請求項1〜請求項3の何れか1項記載の火災時危険度評価装置。
  5. 前記評価手段は、前記演算手段により前記複数の経路について各々演算された前記到達確率のうちの最大値を、前記評価対象の区画の危険度を表す評価値として選択することで、前記評価対象の区画の危険度を評価する請求項1〜請求項4の何れか1項記載の火災時危険度評価装置。
  6. 前記第1検知手段が、前記建物内部の個々の区画内に存在する火及び煙を各々検知し、前記演算手段が、前記特定区画から前記評価対象の区画へ至る火の複数の経路について前記評価対象の区画へ到達する火の到達確率を各々演算すると共に、前記特定区画から前記評価対象の区画へ至る煙の複数の経路について前記評価対象の区画へ到達する煙の到達確率を各々演算し、前記評価手段が、複数の経路について各々演算された火の到達確率に基づいて前記評価対象の区画の火に関する危険度を評価すると共に、複数の経路について各々演算された煙の到達確率に基づいて前記評価対象の区画の煙に関する危険度を評価するように構成された請求項1〜請求項5の何れか1項記載の火災時危険度評価装置と、
    前記記憶手段に記憶されている建物属性情報に基づいて、前記建物内の第1箇所から前記建物内の第2箇所へ至る人の移動経路の候補を抽出する抽出手段と、
    移動経路候補上に存在する各区画について前記火災時危険度評価装置によって評価された火に関する危険度及び煙に関する危険度に基づいて、前記移動経路候補の安全度を評価することを、前記抽出手段によって抽出された移動経路候補に対して各々行い、安全度の評価が最大の移動経路候補を前記第1箇所から前記第2箇所へ至る人の移動経路として選択する選択手段と、
    を備えた移動経路選択装置。
  7. 前記建物内部の個々の区画に各々設置され、設置された区画内に存在する人を検知する第3検知手段を更に備え、
    前記抽出手段は、前記第3検知手段によって人が存在することが検知された区画を前記第1箇所とすると共に、前記建物の避難口が存在する区画を前記第2箇所とし、前記移動経路の候補として、前記第1箇所から前記第2箇所へ至る人の避難経路の候補を抽出する請求項6記載の移動経路選択装置。
  8. 防火区画又は防煙区画から成る建物内部の個々の区画に各々設置され、設置された区画内に存在する火及び煙の少なくとも一方を検知する第1検知手段と接続され、前記建物内部の前記個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備の情報を含む建物属性情報を記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、
    前記第1検知手段によって火又は煙が検知された特定区画から評価対象の区画へ至る複数の経路について、前記記憶手段に記憶された建物属性情報に基づき、火又は煙が前記特定区画から前記経路を通って前記評価対象の区画へ到達する到達確率を各々演算することを繰り返す演算手段、
    及び、前記演算手段により前記複数の経路について各々演算された前記到達確率に基づいて前記評価対象の区画の危険度を評価し、評価結果を出力することを繰り返す評価手段
    として機能させるための火災時危険度評価プログラム。
  9. 防火区画又は防煙区画から成る建物内部の個々の区画に各々設置され、設置された区画内に存在する火及び煙の少なくとも一方を検知する第1検知手段と接続され、前記建物内部の前記個々の区画に設置された防火設備又は防煙設備の情報を含む建物属性情報を記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の火災時危険度評価装置の前記演算手段及び前記評価手段、請求項6記載の前記抽出手段及び前記選択手段として機能させるための移動経路選択プログラム。
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