本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<帯電部材>
本実施形態に係る帯電部材は、画像形成装置に備えられる像保持体の表面を帯電させる帯電部材であって、基材と、基材上に設けられ、かつ像保持体に接触する最外層とを含む。
本実施形態に係る帯電部材の形状としては、特に限定されるものではないが、ロール状、ブラシ状、ベルト(チューブ)状、ブレード状などを挙げることができる。これらの中でもロール状(いわゆる帯電ロール)であることが好ましい。
また、帯電部材は、基材と、基材上に設けられた最外層とを少なくとも含むものであれば、その層構成は特に限定されず、基材上に直接最外層を設けてもよく、基材と最外層との間に導電性の弾性層など、1層以上の中間層を設けることもできる。
なお、本実施形態に係る帯電部材は、基材表面に導電性の弾性層と、表面層(最外層)とをこの順に設けた層構成を有し、ロール状の形状からなる帯電ロールであることが好ましい。
以下、本実施形態に係る帯電部材が帯電ロールであることを前提に、基材、導電性弾性層、および、最外層についてより詳細に説明するが、もちろんこれら各層の構成材料は、他の形状の帯電部材についても同様に用いることができる。
基材(導電性支持体)は、帯電ロールの電極および支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼などの金属または合金;クロム、ニッケルなど鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂などの導電性の材質で構成されたものを用いることができる。
導電性弾性層は、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成することができる。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴムなど、およびこれらのブレンドゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBRおよびこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤などが用いられる。
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック;熱分解カーボン;グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体などの各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末を挙げることができる。
また、イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩など;リチウム、マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩など;を挙げることができる。
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、導電性弾性層中に添加される導電剤の添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが好ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより好ましい。
導電性弾性層の形成に際しては、この層を構成する導電剤、ゴム材、その他の成分(加硫剤や必要に応じて添加される発泡剤など)の各成分の混合方法や混合順序は特に限定されないが、一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー、Vブレンダーなどで混合し、押出機によって均一に溶融混合する方法などが挙げられる。
導電性弾性層の硬度は、アスカーCで40以上80以下の範囲が好ましい。導電性弾性層の硬度が40未満であると、導電性弾性層が変形しやすいためにクラックが発生しやすくなり、80を超えると感光体との接触部のニップ圧力が高くなり、クラックが発生しやすくなる場合がある。
次に最外層について説明する。本実施形態に係る帯電部材において、最外層は、エポキシ樹脂およびイソシアネート樹脂のうち少なくとも1つを用いて架橋されたポリアミド樹脂を含み、架橋度が30%以上である。この架橋ポリアミド樹脂は、エポキシ樹脂およびイソシアネート樹脂のうち少なくとも1つを用いてポリアミド樹脂を架橋させたものである。
従来の帯電部材では、長期間の使用の場合においては耐久性が不十分で、帯電部材にクラックが生じてしまうことがあった。このクラック部分に、トナーやトナーの外添剤などの付着あるいは堆積が生じることにより、帯電部材の表面の抵抗(表面抵抗)にばらつきが生じて帯電性能が不安定化し、画像欠陥が生じることがあった。本発明者らは、帯電部材の最外層が、エポキシ樹脂およびイソシアネート樹脂のうち少なくとも1つを用いて架橋された、特定の範囲の架橋度のポリアミド樹脂を含むことにより、長期間の使用の場合においても帯電部材のクラックなどに起因する画像欠陥を抑制することが可能となることを見出した。
最外層に用いられるポリアミド樹脂は、トナーおよび外添剤の付着性がよい。ポリアミド樹脂としては、特に制限は無いが、ポリアミド樹脂ハンドブック,福本修,8400,(日刊工業新聞社)に記述のポリアミド樹脂が挙げられ、その中でも、浸漬法などの塗膜形成方法により最外層を形成できる点から、メタノール、エタノールなどのアルコールに可溶なアルコール可溶性ナイロンなどの溶剤可溶性ナイロンが好ましい。
溶剤可溶性ナイロンとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10などのナイロンをアルコキシアルキル化したN−アルコキシアルキル化ナイロン、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10などのうち少なくとも2つの共重合体である共重合ナイロンなどが挙げられる。
ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、1万以上10万未満であることが好ましい。ポリアミド樹脂の重量平均分子量が1万未満であると膜の強度が弱くなる場合があり、10万を超えると膜の均一性が低下する場合がある。
上記エポキシ樹脂およびイソシアネート樹脂のうち少なくとも1つを用いて架橋されたポリアミド樹脂の架橋度は、30%以上であるが、60%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。架橋度が30%未満では、帯電部材の耐久性が低下し、帯電部材のクラックに起因する画像欠陥が発生する。
この最外層は、例えば、アルコール可溶性ナイロンなどの溶剤可溶性ナイロンなどのポリアミド樹脂と、エポキシ樹脂またはイソシアネート樹脂とを反応させて3次元架橋を行うことにより形成することができる。これにより、帯電部材の耐久性が飛躍的に向上し、帯電部材のクラックに起因する画像欠陥がほとんどなく、長期にわたっての使用が可能となる。
アルコール可溶性ナイロンの1つであるN−メトキシメチル化ナイロンは、架橋点がメトキシメチル化された部分しかなく、アミド基のメトキシメチル化は反応上、全てのアミド基中の約20%〜30%が限界であるため、さらに架橋度を増やすには限界がある。また、メラミン基による架橋では表層がもろくなり耐久性が低下してしまう。
しかし、エポキシ樹脂やイソシアネート樹脂のエポキシ基、イソシアネート基は、ナイロンなどのポリアミド樹脂のほとんど全てのアミド基と反応することが可能であり、架橋密度が大幅に増加するため、耐久性が飛躍的に向上する。さらに、エポキシ樹脂やイソシアネート樹脂が芳香族基を含むことが好ましい。内部に芳香族基を有するエポキシ樹脂やイソシアネート樹脂は、その芳香族基の構造から、下地の導電性弾性層からのブリードブロック性の向上にも効果があり、これまで困難であったクラック耐久性とブリードブロック性の両立が可能となる。
ポリアミド樹脂と架橋させる架橋剤として用いられるイソシアネート樹脂としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトシイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどが挙げられ、プレポリマ化したものを用いてもよい。イソシアネートは、1種単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
ポリアミド樹脂と架橋させる架橋剤として用いられるエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマ、オリゴマ、ポリマ全般をいい、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格などを有する)などが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
これらの中でも、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂が好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がさらに好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂の硬化を促進するためにエポキシ樹脂硬化剤を用いてもよい。エポキシ樹脂硬化剤としては、当業者において公知のものはすべて用いることができる。例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの炭素数2以上20下の直鎖脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアノジアミドなどのアミノ類、アニリン変性レゾール樹脂やジメチルエーテルレゾール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレンなどのポリオキシスチレン、フェノールアラルキル樹脂などのフェノール樹脂や酸無水物などが例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。
これらの中でも、アニリン変性レゾール樹脂やジメチルエーテルレゾール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレンなどのポリオキシスチレン、フェノールアラルキル樹脂などのフェノール樹脂が好ましく、ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂がさらに好ましく、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。
最外層の膜厚は、帯電部材としての摩耗による耐久性を考慮すると厚いほうがよいが、厚くしすぎると像保持体への帯電能が悪くなるので、0.01μm以上1,000μm以下の範囲が好ましく、0.1μm以上500μm以下の範囲がより好ましく、0.5μm以上100μmの範囲がさらに好ましい。最外層の製法としては、基材、あるいは中間層を形成した基材の上に浸漬法、スプレ法、真空蒸着法、プラズマ形成法などで最外層を形成するが、これらの方法のうち製造工程の点では浸漬法が好ましい。
最外層は、導電性材料を含有することが好ましく、導電性粒子を含有することがより好ましい。導電性粒子としては、カーボンブラックまたは酸化スズが好ましい。
<クリーニング部材>
帯電部材の外表面を清掃する清掃部材としてのクリーニング部材は、芯材と、芯材の外周面上に設けられる弾性層とを有し、弾性層は発泡体から構成されることが好ましい。さらに、その弾性層を塗布した塗布層を有していてもよい。また、必要に応じて、芯材と弾性層との間にホットメルト接着剤などを用いた中間層、弾性層を設けてもよい。
表面を塗布した発泡体を用いることにより、接触帯電手段、とくに帯電ローラを使用することによる利点を維持するとともに、トナー、紙粉その他の異物の付着による帯電ローラの汚染、これに起因する画像流れ、画像ボケなどの画像欠陥を回避できるとともに、クリーニング部材に導電性を付与し、かつニップ時のひずみが発生しないで良好な帯電機能を維持できるばかりでなく、帯電ローラ、感光体を損傷することを防止することができる。
本実施形態に係るクリーニング部材の形状としては、特に限定されるものではないが、ロール状、ブラシ状、ブレード状などを挙げることができる。これらの中でも帯電部材にかかるストレスがより少ないロール状(いわゆるクリーニングロール)であることが好ましいが、本実施形態に係る帯電部材を用いれば、帯電部材によりストレスのかかるブレード状のクリーニング部材を用いても、長期間の使用の場合においても帯電部材のクラックなどに起因する画像欠陥を抑制することができ、クリーニング部材のコストを減少することができる。
クリーニング部材の硬さは、100N以上500N以下の範囲であることが好ましい。クリーニング部材の硬さが100N未満であると、クリーニング性が不十分の場合があり、500Nを超えると帯電部材の表面を傷つけてしまう場合がある。
クリーニング部材の硬さは以下のように測定する。硬さはJIS K6400(1997)A法に準じ、サンプル50mm×390mm×390mmに対して、φ200mm加圧板を用いて4.9N荷重時を元の厚さとし、ついで、加圧板を用いて75%前圧縮をし、直ちに荷重を除き、再び25%圧縮時20秒後の荷重(N)を硬さとして測定する。
次に、クリーニング部材の各部材について説明する。
芯材について説明する。芯材としては、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケルなどの成形品が用いられる。また、芯材としては、その他導電性粒子などを分散した樹脂成形品などを用いることができる。
弾性層を構成する弾性体材料としては、所望の特性が得られるものであればいかなる材料でも使用できる。たとえば、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムなどの発泡体(フォーム)などを挙げることができる。これらの中で特にポリウレタン発泡体が好ましく用いられる。
弾性層を構成するポリウレタン発泡体は、少なくともポリオール、整泡剤、および反応触媒を用いて得られたものである。
ポリオールとしては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを用いることができる。これらのポリオールは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
また、ポリオールと架橋するために、イソシアネートを使用することができる。イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトシイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどを用いることができる。イソシアネートは、1種単独で用いてもよいし、複数種併用してもよい。
反応触媒としては、たとえば、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(TOYOCAT−ET、東ソー社製)などのアミン系触媒や、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカルボン酸金属塩、ジブチル錫ジラウレートなどの有機金属化合物などが挙げられる。これらのなかでも水発泡系ポリウレタンフォームの製造に適している点で、アミン系触媒の使用が好ましい。これらの反応触媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
整泡剤としては、ジメチルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどのシリコーン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが用いられる。
触媒の使用量としては、ポリオールとイソシアネートとの合計量に対し、0.01質量%以上5質量%以下の範囲が好ましく、0.05質量%以上3質量%以下の範囲がより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下の範囲がさらに好ましい。触媒を用いない場合、クリーニングロールに、未反応のポリマが残留し、帯電部材との接触部において、ブリードすることにより、画像欠陥が生ずる場合がある。
次に、その他の配合物について説明する。その他の配合物としては、導電剤が挙げられる。導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラックなどのカーボン導電剤や、テトラエチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのようなアンモニウム系化合物などのイオン導電剤などが挙げられる。
その他の配合物としては、難燃剤、劣化防止剤、可塑剤などの添加剤も挙げられる。なお、これらその他の配合物は、1種単独で用いてもよいし、複数種併用してもよい。これらの添加剤は単独で用いても、また複数同時に用いてもよい。
本実施形態において、発泡体の形態として、発泡セルのセル数(個/25mm)が20個以上200個以下の範囲であることが好ましい。20個未満あるいは200個を超える場合、帯電部材のクリーニング性能を満足できないことがある。
<クリーニング部材の製造方法>
ポリウレタン発泡体の製造方法について説明する。ポリウレタン発泡体の製造方法については、特に制限はなく、常法によればよいが、その一例を示せば次のとおりである。まず、原料として、ポリウレタンポリオールと、整泡剤と、触媒と、必要に応じて導電剤などと、を混合した後、加熱して反応硬化させることにより、ポリウレタン発泡体を得ることができる。
原料を混合する際の温度や時間については特に制限はないが、混合温度は、通常10℃以上90℃以下の範囲、好ましくは20℃以上60℃以下の範囲である。混合時間は、通常10秒以上20分間以下、好ましくは30秒以上5分間以下程度である。また、加熱して反応硬化させる際、従来公知の方法により、発泡させることにより、ポリウレタン発泡体を得ることができる。
ここで、発泡方法については特に制限はなく、発泡剤を用いる方法、機械的な撹拌により気泡を混入する方法など、いずれの方法をも用いることができる。
次に、クリーニング部材の製造方法について説明する。クリーニングロールの製造方法としては、例えば、金型に原料を注入して発泡させて、所望の形状のポリウレタン発泡体を芯材に被覆する方法、ポリウレタン発泡体をスラブ成型して、所望の形状に研削などにより加工した後、芯材に被覆する方法などが挙げられる。
<帯電装置>
図1は、本実施形態に係る帯電装置の一例を示す概略構成図である。帯電装置21は、被帯電部材(例えば像保持体)を帯電させるための帯電ロール12と、帯電ロール12の外周面に接して配設されるクリーニングロール10とを有している。そして、帯電ロール12として、上記の最外層14を有する帯電ロールを適用している。
クリーニングロール10は、その外周面(弾性層表面)を、例えば、帯電ロール12の最外層14に接離自在の状態で接する。また、帯電ロール12の軸方向に往復移動自在に設置されてもよい。これにより、クリーニングを必要としない場合(画像形成装置が長時間停止している場合など)、帯電ロール12からクリーニングロール10を離間させた状態に置くことができるとともに、帯電ロール12表面をほぼ均一にクリーニングすることができる。
クリーニングロール10は、帯電ロール12と接するときは、帯電ロール12に押圧された状態で配置され、帯電ロール12の回転に伴い従動回転するようになっている。これにより、帯電ロール12へのスクラッチキズなどの発生を防止することができる。
帯電装置21では、クリーニングロール10により、帯電ロール12の表面をクリーニングしつつ、帯電ロール12により被帯電部材(例えば像保持体)を帯電することができる。
そして、前述した帯電ロールを適用することで、長期間の使用の場合においても帯電ロールのクラックなどに起因する画像欠陥を抑制することができる。また、帯電ロール12の表面の耐久性が高く、クリーニングロール10の帯電ロール12への押圧力を高めることができるため、帯電ロール12のクリーニングをより良好に行うことができる。
<画像形成装置およびプロセスカートリッジ>
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。図2に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体(図示せず)に、少なくとも帯電装置21を備えるプロセスカートリッジ20と、潜像形成手段としての露光装置30と、転写手段としての転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置30はプロセスカートリッジ20の開口部から電子写真感光体1(像保持体)に露光可能な位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体1に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体1に接する位置に配置されている。
プロセスカートリッジ20は、ケース内に帯電装置21とともに電子写真感光体1、現像手段としての現像装置25、クリーニング装置27および繊維状部材(平ブラシ状)29を、取り付けレールにより組み合わせて一体化したものである。なお、ケースには、露光のための開口部が設けられている。
そして、帯電装置21として、上記帯電装置を適用している。なお、帯電装置21は、上述のように帯電ロール12とクリーニングロール10とにより構成されている。
ここで、クリーニングロール10は、次のような条件で帯電ロール12に接して配設されることが好ましい。図11に示すように、帯電ロール12、クリーニングロール10、および電子写真感光体1の各軸と直交した断面において、帯電ロール12の軸点を通り重力方向に対して平行な線(図11における点線)と帯電ロール12の外周とが交差する位置のうち、帯電ロール12の軸点よりも重力方向上方側の位置をαとし、帯電ロール12と電子写真感光体1との接触位置をβとしたとき、クリーニングロール10は、当該クリーニングロール10と帯電ロール12との接触部γが、帯電ロール12の軸点よりも電子写真感光体1の配設位置側で位置αと位置βとで挟まれる帯電ロール12の外周T以外に位置するように配設することが好ましい。
このようにクリーニングロール10を配設することで、クリーニングロール10から脱落した異物が帯電ロール12および電子写真感光体1の上に落下することが防止される。このため、当該異物による電子写真感光体1への帯電不良が抑制されるので、画質上の色点発生が防止され、長期にわたり画質不良を防止することが可能となる。
次に、電子写真感光体1について説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置で用いる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。図6に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2と、感光層3とから構成されている。感光層3は、導電性支持体2上に、下引層4、電荷発生層5、電荷輸送層6および保護層7がこの順序で積層された構造を有している。
また、図7〜図10は、それぞれ電子写真感光体の他の例を示す模式断面図である。図7,図8に示す電子写真感光体は、図6に示す電子写真感光体と同様に電荷発生層5と電荷輸送層6とに機能が分離された感光層3を備えるものである。また、図9,図10は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層8)に含有するものである。
図7に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に電荷発生層5、電荷輸送層6および保護層7が順次積層された構造を有するものである。また、図8に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、電荷輸送層6、電荷発生層5、保護層7が順次積層された構造を有するものである。
また、図9に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、単層型感光層8および保護層7が順次積層された構造を有するものである。また、図10に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に単層型感光層8および保護層7が順次積層された構造を有するものである。
なお、図6〜図10に示す電子写真感光体において、下引き層4は必ずしも設けられなくてもよい。
電子写真感光体1が備える感光層は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層に含有する単層型感光層、または電荷発生材料を含有する層(電荷発生層)と電荷輸送材料を含有する層(電荷輸送層)とを別個に設けた機能分離型感光層のいずれであってもよい。機能分離型感光層の場合、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序はいずれが上層であってもよい。なお、機能分離型感光層の場合、それぞれの層がそれぞれの機能を満たせばよいという機能分離ができるため、より高い機能を実現できる。
電子写真感光体1としては、特に限定されず、公知のものが適用され得るが、以下、代表例として図6に示す電子写真感光体1に基づいて、各要素について説明する。
導電性支持体2としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、金属ベルト等が挙げられる。また、導電性支持体2としては、導電性ポリマ、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等も使用できる。
導電性支持体2の表面は、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、中心線平均粗さ(Ra)で0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。導電性支持体2の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.04μm未満であると、鏡面に近くなるので干渉防止効果が不十分となる傾向がある。他方、中心線平均粗さ(Ra)が0.5μmを越えると、被膜を形成しても画質が不十分となる傾向がある。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、導電性支持体2表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、または回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、導電性支持体2の表面を粗面化することなく、導電性または半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も好ましく用いられる。
上記陽極酸化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は、化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行ってもよい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。この膜厚が0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
また、導電性支持体2には、酸性水溶液による処理またはベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸およびフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。まず、酸性処理液を調整する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
ベーマイト処理は、例えば、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、または90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
下引層4は、導電性支持体2上に形成される。下引層4は、例えば、有機金属化合物および結着樹脂のうち少なくとも1つを含有して構成される。
有機金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等の有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等が挙げられる。
有機金属化合物としては、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、特に有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物が好ましく使用される。
結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知のものが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、下引層4には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させてもよい。
また、下引層4中には、低残留電位化や環境安定性の観点から、電子輸送性顔料を混合、分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、酸化亜鉛または酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。
また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、結着樹脂等で表面処理してもよい。
電子輸送性顔料は多すぎると下引層4の強度を低下させ、塗膜欠陥の原因となるため、下引層4の固形分全量を基準として望ましくは95質量%以下、より望ましくは90質量%以下で使用される。
また、下引層4には、電気特性の向上や光散乱性の向上等の目的により、各種の有機化合物の粉末もしくは無機化合物の粉末を添加することが望ましい。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が有効である。
添加粉末の体積平均粒子径は、0.01μm以上2μm以下のものが望ましい。粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引層4の固形分全量を基準として、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
下引層4は上述した各構成材料を含有する下引層形成用塗布液を用いて形成される。下引層形成用塗布液に使用される有機溶剤としては、有機金属化合物や結着樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合および/または分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常のものが挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
各構成材料の混合および/または分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、振動ボールミル、コロイドミル、ペイントシェーカ超音波等を用いる常法が適用される。混合および/または分散は有機溶剤中で行われる。
下引層4を形成する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。
乾燥は、通常、溶剤を蒸発させ、成膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った導電性支持体2は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引層4を形成することが望ましい。
下引層4の膜厚は、望ましくは0.01μm以上30μm以下、より望ましくは0.05μm以上25μm以下である。
電荷発生層5は、電荷発生材料、さらには必要に応じて結着樹脂を含んで構成される。
電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や三方晶セレン、酸化亜鉛等の無機顔料等公知のものを使用することができる。電荷発生材料としては、特に、380nm以上500nm以下の露光波長の光源を用いる場合には、金属および無金属フタロシアニン顔料、三方晶セレン、ジブロモアントアントロン等が望ましい。その中でも、特開平5−263007号公報および特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報および特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報および特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも特に、分光吸収スペクトルで、810nm以上839nm以下に吸収極大を有し、一次粒子径が0.10μm以下であり、かつ、BET法による比表面積値が45m2/g以上であるものが望ましい。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマから選択することもできる。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層5は、電荷発生材料を蒸着により、または電荷発生材料および結着樹脂を含有する電荷発生層形成用塗布液により形成される。電荷発生層5を、電荷発生層形成用塗布液を用いて形成する場合、電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は、10:1以上1:10以下の範囲が望ましい。
電荷発生層形成用塗布液に、上記各構成材料を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができる。この際、分散によって顔料の結晶型が変化しない条件が必要とされる。さらにこの分散の際、粒子を望ましくは0.5μm以下、より望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層形成用塗布液を用いて電荷発生層5を形成する際には、塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。
電荷発生層5の膜厚は、望ましくは0.1μm以上5μm以下、より望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
電荷輸送層6は、電荷輸送材料および結着樹脂を含有して、または高分子電荷輸送材を含有して構成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの電荷輸送材料は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
また、電荷輸送材料としては、モビリティーの観点から、下記一般式(a−1)、(a−2)または(a−3)で示される化合物が望ましい。
上記式(a−1)中、R16は水素原子またはメチル基を、n10は1または2を示す。また、Ar6およびAr7はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基、−C6H4−C(R38)=C(R39)(R40)、または、−C6H4−CH=CH−CH=C(Ar)2を示し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、または炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。また、R38、R39、R40は水素原子、置換または未置換のアルキル基、置換または未置換のアリール基を、Arは置換または未置換のアリール基を示す。
上記式(a−2)中、R17およびR17’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のアルコキシ基を、R18、R18’、R19およびR19’はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換もしくは未置換のアリール基、−C(R38)=C(R39)(R40)、または、−CH=CH−CH=C(Ar)2を、R38、R39およびR40はそれぞれ独立に水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を、Arは置換または未置換のアリール基を示す。また、n2およびn3はそれぞれ独立に0〜2の整数を示す。
上記式(a−3)中、R21は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、または、−CH=CH−CH=C(Ar)2を示す。Arは、置換または未置換のアリール基を示す。R22、R23はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、または置換もしくは未置換のアリール基を示す。
電荷輸送層6に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1以上1:5以下が望ましい。
また、高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に望ましいものである。
高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層6の構成材料として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層6は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。電荷輸送層形成用塗布液の溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは1種を単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層6の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上30μm以下である。
感光層3には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、または光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、感光層3には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
電子受容性物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に望ましい。
保護層7は、例えば、以下の樹脂により構成することができる。樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材などの高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらのうち、フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂およびポリベンズイミダゾール樹脂などの熱硬化性樹脂が望ましい。これらのうち、特に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シロキサン樹脂、ウレタン樹脂が好ましく用いられ、これらの樹脂またはその前駆体を主成分として含む塗布液を塗布後、溶剤を乾燥させる工程において同時に加熱処理を行い、硬化させ不溶の硬化膜を形成する。
フェノール樹脂としては、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類もしくはトリメチロールフェノール類のモノマ、それらの混合物、それらがオリゴマ化されたもの、またはそれらモノマとオリゴマの混合物が挙げられる。このようなフェノール樹脂は、レゾルシン、ビスフェノール等、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸触媒またはアルカリ触媒下で反応させることで得られるものである。フェノール樹脂としては、一般にフェノール樹脂として市販されているものを使用できる。また、フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂が望ましい。なお、本明細書では、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下程度の比較的大きな分子をオリゴマといい、それ以下のものをモノマという。
上記酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸等が用いられる。また、アルカリ触媒としては、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Ba(OH)2等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。
アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる傾向がある。そのため、酸で中和するか、シリカゲル等の吸着剤や、イオン交換樹脂等と接触させることにより不活性化または除去することが望ましい。
メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂としては、メチロール基がそのままのメチロールタイプ、メチロール基がすべてアルキルエーテル化されたフルエーテルタイプ、またはフルイミノタイプ、メチロールとイミノ基の混合タイプなど種々のものが使用できる。これら中でも、塗布液の安定性の観点から、エーテルタイプのものが望ましい。
ウレタン樹脂としては、多官能イソシアネート、イソシアヌレートまたはこれらをアルコールやケトンでブロックしたブロックイソシアネートなどが使用できる。これらの中でも、塗布液の安定性の観点から、ブロックイソシアネートまたはイソシアヌレートが好ましく、これらは本実施形態の画像形成装置に用いる電子写真感光体用添加物と加熱架橋するので望ましい。
シリコーン樹脂としては、後述の一般式(X)で示される化合物などから誘導される樹脂を使用できる。
これらの樹脂は単独または2種以上混合して用いることができる。
保護層7には、残留電位を下げるために導電性粒子を添加してもよい。導電性粒子としては、金属、金属酸化物およびカーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも、金属または金属酸化物がより望ましい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀およびステンレス等、またはこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、およびアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は保護層7の透明性の観点から、0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下が特に望ましい。
また、保護層7を形成するための硬化性樹脂組成物には、保護層7の強度、膜抵抗等の種々の物性をコントロールするために、下記一般式(X)で示される化合物を添加することもできる。
Si(R50)(4−c)Qc (X)
(上記式(X)中、R50は水素原子、アルキル基または置換もしくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、cは1〜4の整数を示す。)
上記一般式(X)で示される化合物の具体例としては以下のようなシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の四官能性アルコキシシラン(c=4);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の三官能性アルコキシシラン(c=3);ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等の二官能性アルコキシシラン(c=2);トリメチルメトキシシラン等の1官能アルコキシシラン(c=1)等を挙げることができる。膜の強度を向上させるためには3および4官能のアルコキシシランが好ましく、可とう性、成膜性を向上させるためには1および2官能のアルコキシシランが望ましい。
また、主にこれらのカップリング剤より作製されるシリコン系ハードコート剤も用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。
また、保護層7を形成するための硬化性樹脂組成物には、保護層7の強度を高めるために、下記一般式(XI)に示すような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも望ましい。
B−(Si(R51)(3−d)Qd)2 (XI)
(上記式(XI)中、Bは2価の有機基を、R51は水素原子、アルキル基または置換もしくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、dは1〜3の整数を示す。)
上記一般式(XI)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(XI−1)〜(XI−16)が望ましいものとして挙げることができる。Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示す。
さらに、膜特性のコントロール、液寿命の延長等のため、アルコール系、ケトン系溶剤に可溶な樹脂を添加してもよい。このような樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。特に、電気特性を向上させる観点から、ポリビニルアセタール樹脂が望ましい。
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長等の目的で種々の樹脂を添加することができる。本実施形態においては、アルコールに溶解する樹脂を更に加えることが望ましい。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。特に、電気特性を向上させる観点から、ポリビニルアセタール樹脂が望ましい。
上記樹脂の重量平均分子量は2,000以上100,000以下が好ましく、5,000以上50,000以下がさらに望ましい。重量平均分子量は2,000より小さいと所望の効果が得られなくなる傾向があり、100,000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする傾向がある。添加量は1質量%以上40質量%以下が好ましく、さらに望ましくは1質量%以上30質量%以下であり、5質量%以上20質量%以下が最も望ましい。添加量が1質量%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40質量%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなるおそれがある。また、上記の樹脂は単独で用いてもよいが、それらを混合して用いてもよい。
また、ポットライフの延長、膜特性のコントロールのため、下記一般式(XII)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物、もしくはその化合物からの誘導体を含有させることが望ましい。
上記式(XII)中、A1およびA2は、それぞれ独立に一価の有機基を示す。
一般式(XII)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物としては、市販の環状シロキサンを挙げることができる。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素原子含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等を挙げることができる。これらの環状シロキサン化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
更に、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬さ等を制御するために、保護層7を形成するための硬化性樹脂組成物には、各種粒子を添加することもできる。
粒子の一例として、ケイ素原子含有粒子を挙げることができる。ケイ素原子含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素原子含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、体積平均粒子径が望ましくは1nm以上100nm以下、より望ましくは10nm以上30nm以下であり、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。硬化性樹脂組成物中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性、電気特性、強度の面から硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として望ましくは0.1質量%以上50質量%以下の範囲、より望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素原子含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、球状で、体積平均粒子径が望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下であり、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子およびシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。
シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善することができる。すなわち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐磨耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。硬化性樹脂組成物中のシリコーン粒子の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲であり、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下の範囲である。
また、その他の粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系粒子や”第8回ポリマ材料フォーラム講演予稿集 p89”に示されるような、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物を挙げることができる。
また、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬さ等を制御するために、シリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。これらは、保護層7を形成するための硬化性樹脂組成物中に予め添加してもよいし、感光体を作製後、減圧、あるいは加圧下等で含浸処理してもよい。
また、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
また、ヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテルまたはホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することができ、環境変動時の電位安定性・画質の向上に効果的である。
酸化防止剤としては以下のような化合物が挙げられる。例えば、ヒンダートフェノール系としては、「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」(以上、住友化学社製)、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」(以上、チバスペシャリティーケミカルズ社製)、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」(以上、アデカ製)、ヒンダートアミン系としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」(以上、三共ライフテック社製)、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」(以上、チバスペシャリティーケミカルズ社製)、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」(以上、アデカ製)、「スミライザーTPS」(以上、住友化学社製)、チオエーテル系としては、「スミライザーTP−D」(以上、住友化学社製)、ホスファイト系としては、「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」(以上、アデカ製)が挙げられ、特にヒンダートフェノール、ヒンダートアミン系酸化防止剤が望ましい。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋反応可能な例えばアルコキシシリル基等の置換基で変性してもよい。
さらに、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの架橋構造を有する樹脂から、合成時の触媒を除去するために、該樹脂をメタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶解させ、水洗、貧溶剤を用いた再沈殿などの処理を行うか、例えば、以下に例示する材料を用いて処理することが望ましい。かかる材料としては、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製)、ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製)、レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製)、ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製)、スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製)、ナフィオン−H(デュポン社製)などの陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)などの陰イオン交換樹脂;Zr(O3PCH2CH2SO3H)2、Th(O3PCH2CH2COOH)2などのプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサンなどのプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸などのヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸などのイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgOなどの単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類などの複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイトなどの粘土鉱物;LiSO4,MgSO4などの金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタンなどの金属リン酸塩;LiNO3,Mn(NO3)2などの金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体などのアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂などのアミノ基を含有するポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
また、硬さ、接着性、可とう性などの膜特性の調整のために、ポリグリシジルメタクリレート、グリシジルビスフェノール類、フェノールエポキシ樹脂などのエポキシ含有化合物、テレフタル酸、マレイン酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸など、またはそれらの無水物を添加してもよい。添加量としては、本実施形態の電子写真感光体用添加物1質量部に対し、望ましくは0.05質量部以上1質量部以下、より望ましくは0.1質量部以上0.7質量部以下で用いられる。
さらに、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を所望の割合で混合することもできる。これにより、電荷輸送層6との接着性、熱収縮やハジキによる塗布膜欠陥などを抑制することもできる。
保護層7は、上述した各構成材料を含有する保護層形成用塗布液を用いて形成される。すなわち、保護層形成用塗布液を電荷輸送層6上に塗布して硬化させることで、保護層7は形成する。
保護層形成用塗布液には、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶媒が使用される。また、これらの他、種々の溶媒が使用できるが、電子写真感光体の生産に一般的に使用される浸漬塗布法を適用するためには、アルコール系またはケトン系溶剤、あるいはそれらの混合系溶剤が好ましい。また、沸点は50℃以上150℃以下のものが好ましく、任意に混合して使用することができる。溶媒量は任意に設定できるが、少なすぎると析出しやすくなるため、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計1質量部に対し0.5質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより望ましい。
さらに、架橋する際には、保護層形成用塗布液に硬化触媒を使用してもよい。硬化触媒としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタンのようなビススルホニルジアゾメタン類、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルメタンのようなビススルホニルメタン類、シクロヘキシルスルホニルシクロヘキシルカルボニルジアゾメタンのようなスルホニルカルボニルジアゾメタン類、2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロピオフェノンのようなスルホニルカルボニルアルカン類、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネートのようなニトロベンジルスルホネート類、ピロガロールトリスメタンスルホネートのようなアルキルおよびアリールスルホネート類(g)ベンゾイントシレートのようなベンゾインスルホネート類、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミドのようなN−スルホニルオキシイミド類、(4−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)−3,4,6−トリメチル−2−ピリドンのようなピリドン類、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−(3−ビニルフェニル)−エチル−4−クロロベンゼンスルホネートのようなスルホン酸エステル類、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートのようなオニウム塩類などの光酸発生剤や、プロトン酸あるいはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物、および、無水カルボン酸化合物などが好ましく挙げられる。
プロトン酸あるいはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノおよびジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノおよびジエステル類等を、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種アミンもしくはトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイトで中和した化合物、さらには酸−塩基ブロック化触媒として市販されているネイキュア2500X、4167、X−47−110、3525、5225(商品名、キングインダストリー社製)等が挙げられる。また、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、例えばBF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2等のルイス酸を上記のルイス塩基で中和した化合物が挙げられる。
オニウム化合物としては、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。
無水カルボン酸化合物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水ラウリン酸、無水オレイン酸、無水ステアリン酸、無水n−カプロン酸、無水n−カプリル酸、無水n−カプリン酸、無水パルミチン酸、無水ミリスチン酸、無水トリクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水モノクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水ヘプタフルオロ酪酸等が挙げられる。
ルイス酸の具体例としては、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズ等の金属ハロゲン化物、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズ等の有機金属化合物、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジブチル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセトナト)コバルト等の金属キレート化合物、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等の金属石鹸が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの触媒の使用量は特に制限されないが、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.3質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
保護層形成用塗布液を電荷輸送層6上に塗布する場合、塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。そして、塗布後、塗膜を乾燥させることで保護層7が形成される。
なお、塗布の際には1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布すことにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行う場合、加熱処理は塗布の度に行ってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
架橋構造を有する樹脂を用いて保護層7を形成する場合、架橋させる際には硬化温度は望ましくは100℃以上170℃以下、より望ましくは100℃以上160℃以下である。また、硬化時間は、望ましくは30分以上2時間以下、より望ましくは30分以上1時間以下であり、加熱温度を他段階に変化させてもよい。
架橋反応を行う雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどのいわゆる酸化に対して不活性なガス雰囲気下で行うことにより、電気特性の悪化を防止することができる。不活性ガス雰囲気下で架橋反応を行う場合には、空気雰囲気下よりも硬化温度を高く設定することができ、硬化温度は望ましくは100℃以上180℃以下、より望ましくは110℃以上160℃以下である。また、硬化時間は、望ましくは30分以上2時間以下、より望ましくは30分以上1時間以下である。
保護層7の膜厚は、0.5μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、1μm以上5μm以下がさらに好ましい。
保護層7の25℃における酸素透過係数は、4×1012fm/s・Pa以下であることが好ましく、3.5×1012fm/s・Pa以下であることがより好ましく、3×1012fm/s・Pa以下であることがさらに好ましい。
ここで、酸素透過係数は層の酸素ガス透過のし易さを表す尺度であるが、見方を変えると、層の物理的な隙間率の代用特性と捕らえることもできる。なお、ガスの種類が変われば透過率の絶対値は変わるものの、検体となる層間で大小関係の逆転はほとんどない。したがって、酸素透過係数は、一般的なガス透過のし易さを表現する尺度と解釈してよい。
つまり、保護層7の25℃における酸素透過係数が上記条件を満たす場合には、保護層7においてガスが浸透しにくい。したがって、画像形成プロセスにより生じる放電生成物の浸透が抑制され、保護層7に含有される化合物の劣化が抑制され、電気特性を高水準に維持することができ、高画質化、長寿命化に有効である。
なお、電子写真感光体1において、単層型感光層を構成する場合、単層型感光層は、電荷発生材料と結着樹脂を含有して形成される。電荷発生材料としては機能分離型感光層における電荷発生層に使用されるものと同様のものを、結着樹脂としては機能分離型感光層における電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生材料の含有量は、単層型感光層における固形分全量を基準として望ましくは10質量%以上85質量%以下、より望ましくは20質量%以上50質量%以下である。単層型感光層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送材料や高分子電荷輸送材料を添加してもよい。その添加量は単層型感光層における固形分全量を基準として5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いることができる。単層型感光層の膜厚は、5μm以上50μm以下程度が好ましく、10μm以上40μm以下とすることがさらに好ましい。
次に、現像装置25について説明する。現像装置25は、電子写真感光体1上の静電潜像を現像してトナー像を形成するものである。
現像装置25に使用されるトナーについて説明する。
かかるトナーとしては、平均形状係数SF1(SF1=(ML2/A)×(π/4)×100(ここでMLは粒子の最大長(μm)を表し、Aは粒子の投影面(μm2)を表す)が100以上150以下であることが好ましく、100以上140以下であることがより好ましい。平均形状係数(SF1)は、スライドガラス上に載置したトナー粒子の像を、ビデオカメラを通じて、光学顕微鏡により測定し、画像解析装置(LUZEXIII、NIRECO社製)に取り込み、トナーの最大長(ML)、および投影面積(A)を算出し、これらの値を上記式に代入して形状係数が求められる。なお平均形状係数は、任意の100個のトナー粒子における上記式より算出された形状係数の平均値である。
さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が2μm以上12μm以下であることが好ましく、3μm以上12μm以下であることがより好ましく、3μm以上9μm以下であることがさらに好ましい。このような平均形状係数および体積平均粒子径を満たすトナーを用いることにより、高い現像、転写性、および高画質の画像を得ることができる。
トナーは、上記平均形状係数および体積平均粒子径を満足する範囲のものであれば特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法を使用することができる。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤および離型剤を含み、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含有して構成される。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることもできる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが好ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置25に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子および上記外添剤をヘンシェルミキサーまたはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
現像装置25に用いるトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、およびそれらの変性物が使用できる。これらは、1種を単独で、または2種以上を併用して使用できる。ただし、体積平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は望ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
現像装置25に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等を加えることができる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも好ましく使用される。
有機粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
粒子径としては、体積平均粒子径で望ましくは5nm以上1,000nm以下、より望ましくは5nm以上800nm以下、さらに望ましくは5nm以上700nm以下のものが使用される。体積平均粒子径が、上記下限値未満であると、研磨能力に欠ける傾向があり、他方、上記上限値を超えると、電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなる傾向がある。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが好ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等のため、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御のため、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行うためにはシリカと酸化チタンとを併用することが好ましい。また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために好ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
クリーニング装置27は、繊維状部材(ロール形状)27aと、クリーニングブレード(ブレード部材)27bとを備える。
クリーニング装置27は、繊維状部材27aおよびクリーニングブレード27bが設けられているが、クリーニング装置としてはどちらか一方を備えるものでもよい。繊維状部材27aとしては、ロール形状の他に歯ブラシ状としてもよい。また、繊維状部材27aは、クリーニング装置本体に固定してもよく、回転可能に支持されていてもよく、さらに感光体軸方向にオシレーション可能に支持されていてもよい。繊維状部材27aとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリル等や、トレシー(東レ社製)等の極細繊維からなる布状のもの、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維を基材状または絨毯状に植毛したブラシ状のもの等を挙げることができる。また、繊維状部材27aとしては、上述したものに、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与したり、繊維一本一本の内部または外部に導電層が形成されたもの等を用いることもできる。導電性を付与した場合、その抵抗値としては繊維単体で102Ω以上109Ω以下のものが望ましい。また、繊維状部材27aの繊維の太さは、望ましくは30d(デニール)以下、より望ましくは20d以下であり、繊維の密度は望ましくは2万本/inch2以上、より望ましくは3万本/inch2以上である。
クリーニング装置27には、クリーニングブレード、クリーニングブラシで感光体表面の付着物(例えば、放電生成物)を除去することが求められる。この目的を長期にわたって達成すると共にクリーニング部材の機能を安定化させるために、クリーニング部材には、金属石鹸、高級アルコール、ワックス、シリコーンオイルなどの潤滑性物質(潤滑成分)を供給することが望ましい。
例えば、繊維状部材27aとしてロール状のものを用いる場合、金属石鹸、ワックス等の潤滑性物質と接触させ、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することが望ましい。クリーニングブレード27bとしては、通常のゴムブレードが用いられる。このようにクリーニングブレード27bとしてゴムブレードを使用する場合には、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することは、ブレードの欠けや磨耗を抑制することに特に効果的である。
以上説明したプロセスカートリッジ20は、画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
露光装置30としては、帯電した電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成させるものであればよい。また、露光装置30の光源としては、マルチビーム方式の面発光レーザを用いることが望ましい。
転写装置40としては、電子写真感光体1上のトナー像を被転写媒体(中間転写体50)に転写するものであればよく、例えば、ロール形状の通常使用されるものが使用される。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いることもできる。なお、この中間転写体を備えていない直接転写方式の画像形成装置もある。
なお、被転写媒体とは、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体1から直接、紙等に転写する場合は紙等が被転写媒体であり、また、中間転写体50を用いる場合には中間転写体が被転写媒体になる。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。図3に示す画像形成装置110は、電子写真感光体1が画像形成装置本体に固定され、帯電装置21、現像装置25およびクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されており、それぞれ帯電カートリッジ、現像カートリッジ、クリーニングカートリッジとして独立して備えられている。
画像形成装置110においては、電子写真感光体1とそれ以外の各装置が分離されており、帯電装置21、現像装置25およびクリーニング装置27が画像形成装置本体にビス、かしめ、接着または溶接などにより固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能である。
耐磨耗性に優れる電子写真感光体を用いた場合、カートリッジ化することが不要となる場合がある。したがって、帯電装置21、現像装置25またはクリーニング装置27をそれぞれ本体にビス、かしめ、接着または溶接などにより固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能な構成とすることで、1プリント当りの部材コストを低減することができる。また、これらの装置のうち2つ以上を一体化したカートリッジとして着脱可能とすることもでき、それにより1プリント当りの部材コストをさらに低減することができる。
なお、画像形成装置110は、帯電装置21、現像装置25およびクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されている以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ20を4つ搭載したタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ20がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用できる構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す模式図である。図5に示した画像形成装置130は、1つの電子写真感光体で複数の色のトナー画像を形成させる、いわゆる4サイクル方式の画像形成装置である。画像形成装置130は、駆動装置(図示せず)により所定の回転速度で図中の矢印Aの方向に回転される感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の上方には、感光体ドラム1の外周面を帯電させる帯電装置21が設けられている。
また、帯電装置21の上方には面発光レーザアレイを露光光源として備える露光装置30が配置されている。露光装置30は、光源から射出される複数本のレーザビームを、形成すべき画像に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、感光体ドラム1の外周面上を感光体ドラム1の軸線と平行に走査させる。これにより、帯電した感光体ドラム1の外周面上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム1の側方には現像装置25が配置されている。現像装置25は回転可能に配置されたロール状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器25Y,25M,25C,25Kが設けられている。現像器25Y,25M,25C,25Kは各々現像ロール26を備え、内部に各々イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の色のトナーを貯留している。
画像形成装置130でのフルカラーの画像の形成は、感光体ドラム1が4回画像形成することにより行われる。すなわち、感光体ドラム1が4回画像形成する間、帯電装置21は、感光体ドラム1の外周面の帯電、露光装置30は、形成すべきカラー画像を表すY,M,C,Kの画像データのうちの何れかに応じて変調したレーザビームを感光体ドラム1の外周面上で走査させることを、感光体ドラム1が1回画像形成する毎にレーザビームの変調に用いる画像データを切替えながら繰り返す。また現像装置25は、現像器25Y,25M,25C,25Kの何れかの現像ロール26が感光体ドラム1の外周面に対応している状態で、外周面に対応している現像器を作動させ、感光体ドラム1の外周面に形成された静電潜像を特定の色に現像し、感光体ドラム1の外周面上に特定色のトナー像を形成させることを、感光体ドラム1が各色の画像形成する毎に、静電潜像の現像に用いる現像器が切り替わるように収容体を回転させながら繰り返す。これにより、感光体ドラム1が1回画像形成する毎に、感光体ドラム1の外周面上には、Y,M,C,Kのトナー像が順次形成されることになる。
また、感光体ドラム1の下方には無端の中間転写ベルト50が配設されている。中間転写ベルト50はロール51,53,55に巻掛けられており、外周面が感光体ドラム1の外周面に接触するように配置されている。ロール51,53,55は図示しないモータの駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト50を図5の矢印B方向に回転させる。
中間転写ベルト50を挟んで感光体ドラム1の反対側には転写装置(転写器)40が配置されており、感光体ドラム1の外周面上に順次形成されたY,M,C,Kのトナー像は1色ずつ転写装置40によって中間転写ベルト50の画像形成面に転写され、最終的には、Y,M,C,K全ての画像が中間転写ベルト50上に積層される。
また、感光体ドラム1を挟んで現像装置25の反対側には、感光体ドラム1の外周面に潤滑剤供給装置31およびクリーニング装置27が配置されている。感光体ドラム1の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト50に転写されると、潤滑剤供給装置31により感光体ドラム1の外周面に潤滑剤が供給され、当該外周面のうち転写されたトナー像を保持していた領域がクリーニング装置27により清浄化される。
中間転写ベルト50よりも下方側には用紙受け60が配置されており、用紙受け60内には記録材料(被転写媒体)としての用紙Pが複数枚積層された状態で収容されている。用紙受け60の左斜め上方には取り出しロール61が配置されており、取り出しロール61による用紙Pの取り出し方向下流側にはロール対63、ロール65が順に配置されている。積層状態で最上方に位置している記録紙は、取り出しロール61が回転されることにより用紙受け60から取り出され、ロール対63、ロール65によって搬送される。
また、中間転写ベルト50を挟んでロール55の反対側には転写装置42が配置されている。ロール対63、ロール65によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト50と転写装置42の間に送り込まれ、中間転写ベルト50の画像形成面に形成されたトナー像が転写装置42によって転写される。転写装置42よりも用紙Pの搬送方向下流側には、定着ロール対を備えた定着装置44が配置されており、トナー像が転写された用紙Pは、転写されたトナー像が定着装置44によって溶融定着された後に画像形成装置130の機体外へ排出され、排紙用紙受け(図示せず)上に配置される。
なお、本実施形態のプロセスカートリッジ、および本実施形態の画像形成装置の構成としては、特に限定されるわけではなく、公知の構成とすることができる。
1 電子写真感光体、2 導電性支持体、3 感光層、4 下引層、5 電荷発生層、6 電荷輸送層、7 保護層、8 単層型感光層、10 クリーニングロール、12 帯電ロール、14 最外層、20 プロセスカートリッジ、21 帯電装置、25 現像装置、25Y,25M,25C,25K 現像器、26 現像ローラ、27 クリーニング装置、27a 繊維状部材、27b クリーニングブレード、29 繊維状部材、30 露光装置、31 潤滑剤供給装置、40 転写装置、42 転写装置、44 定着装置、50 中間転写体、51,53,55,65 ローラ、52 中間転写ベルト、60 トレイ、61 取り出しローラ、63 ローラ対、100,110,120,130 画像形成装置。